JP2004363444A - 半導体装置の製造方法、及び基板処理装置 - Google Patents

半導体装置の製造方法、及び基板処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光励起によりOHラジカルやOラジカル等のラジカル分子/原子と樹脂膜とを反応させる際、反応生成物の流動を抑制すること。
【解決手段】被処理基板の主面上に樹脂膜を形成する工程と、前記被処理基板の主面に、紫外光が照射されてOHラジカル及び/又はOラジカルを生成する分子を含む雰囲気を接触させる工程と、前記被処理基板の主面に対して前記紫外光を照射する工程と、前記紫外光により前記分子からOHラジカル及び/又はOラジカルを生成する工程と、生成されたOHラジカル及び/又はOラジカルと、前記樹脂膜とを反応させ、反応生成物を生成する工程と、前記紫外線の照射時、生成された反応生成物が流動しない温度に被処理基板を冷却する工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光励起により生成されたOHラジカル及び/又はOラジカルを用いて樹脂膜のパターンを処理する半導体装置の製造方法、及びこの製造方法用いて形成された半導体素子、並びにスリミング処理を行う基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、微細加工技術では、50nmを切るようなきわめて小さい寸法のデバイスパターン形成が要求される一方、非常に高い精度の加工が要求されている。また、これらの加工に用いられている光リソグラフィーでは、KrF→ArF→Fと露光に用いるエキシマレーザーの波長の短波長化により、微細化が進められている。しかし、これらのエキシマレーザーを用いてパターン形成を行っても、微細化の要求に対して十分でなく、光リソグラフィーでターゲットよりも大きい寸法を形成しておいて、ドライエッチング、UV光を照射しながらオゾンでアッシング(特許文献1)等のドライプロセスによりレジストパターンを細くするスリミング処理が行われている。
【0003】
スリミング処理には、OHラジカルやOラジカル等のラジカル分子/原子を用いた方法がある。このスリミング処理の問題点を図15を用いて説明する。
【0004】
図15(a)に示すように、レジストパターン102が形成された被処理基板101を、純水又は過酸化水素水の蒸気を含む雰囲気下に設置する。次いで、被処理基板101に対して、光を照射し、光励起によりラジカル分子/原子を生成する。レジストパターン102とラジカル分子/原子とを反応させると、反応生成物の骨格中に多数のアルコール性OH基を有する反応生成物103が生じる。このため軟化点が低くなり流動性が高くなる。基板に照射された光により基板が加熱される。図15(b)に示すように、熱により流動性が高い反応生成物103が流動する。その結果、図15(c)に示すように、レジストパターン102の断面形状が矩形にならない。また、レジストパターン102の膜厚が大きく減少する。
【0005】
また、樹脂製の絶縁膜の改質(酸化)処理に光励起により形成されるラジカル分子/原子を用いると以下の問題が発生する。樹脂膜がパターンを有している場合、反応生成物が流動することにより、樹脂膜の改質(酸化)処理を均一に行うことが出来ない。また、ウエハ全面に形成された樹脂膜に対して処理を行うと、樹脂膜が流動し、均一な処理を行うことが出来ないという問題点があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−85407
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、光励起により生成されたOHラジカルやOラジカル等のラジカル分子/原子と樹脂膜とを反応させると反応生成物が流動し、均一な処理を行うことが出来ないという問題があった。
【0008】
また、光励起により生成されたOHラジカルやOラジカル等のラジカル分子/原子を用いたスリミング処理では、パターンの断面形状が矩形にならないという問題があった。また、膜厚が薄くなるという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、光励起によりOHラジカルやOラジカル等のラジカル分子/原子と樹脂膜とを反応させる際、反応生成物の流動を抑制し得る半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明の目的は、光励起によりOHラジカルやOラジカル等のラジカル分子/原子と樹脂膜とを反応させる際、樹脂膜のパターンの断面形状を矩形にし得る半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明のさらなる目的は、光励起によりOHラジカルやOラジカル等のラジカル分子/原子と樹脂膜とを反応させる際、樹脂膜の膜厚減少を抑制し得る半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために以下のように構成されている。
【0013】
(1)本発明の一例に係わる半導体装置の製造方法は、被処理基板の主面上に樹脂膜を形成する工程と、前記被処理基板の主面に、紫外光が照射されてOHラジカル及び/又はOラジカルを生成する分子を含む雰囲気を接触させる工程と、前記被処理基板の主面に対して前記紫外光を照射する工程と、前記紫外光により前記分子からOHラジカル及び/又はOラジカルを生成する工程と、生成されたOHラジカル及び/又はOラジカルと、前記樹脂膜とを反応させ、反応生成物を生成する工程と、前記紫外線の照射時、生成された反応生成物が流動しない温度に被処理基板を冷却する工程と。
【0014】
(2)本発明の一例に係わる半導体装置の製造方法は、被処理基板の主面上に樹脂膜のパターンを形成する工程と、前記被処理基板の主面が下方に向いた状態にする工程と、前記被処理基板の主面に、紫外光が照射されてOHラジカル及び/又はOラジカルを生成する分子を含む雰囲気を接触させる工程と、前記被処理基板主面に対して前記紫外光を照射する工程と、前記紫外光により前記分子からOHラジカル及び/又はOラジカルを生成する工程と、生成されたOHラジカル及び/又はOラジカルと、前記樹脂膜とを反応させ、反応生成物を生成する工程と、前記反応生成物を除去する工程とを含むことを特徴とする。
【0015】
(3)本発明の一例に係わる半導体装置の製造方法は、被処理基板の主面上に樹脂膜のパターンを形成する工程と、前記被処理基板の主面に、紫外光が照射されてOHラジカル及び/又はOラジカルを生成する分子を含む雰囲気を接触させる工程と、前記被処理基板の主面に対して前記紫外光を照射する工程と、前記紫外光により前記分子からOHラジカル及び/又はOラジカルを生成する工程と、生成されたOHラジカル及び/又はOラジカルと前記樹脂膜とを反応させ、反応生成物を生成する工程と、前記紫外光の照射時、前記樹脂膜の温度を分解温度未満の温度で、前記反応生成物が蒸発するように前記被処理基板を加熱する工程と、前記紫外光の照射後、前記反応生成物を除去する工程とを含むことを特徴とする。
【0016】
(4)本発明の一例に係わる基板処理装置は、チャンバーと、前記チャンバー内に設けられ、基板を保持する基板保持手段と、前記基板の温度を制御する手段と、前記基板保持手段に保持される基板主面に対向配置された、紫外光を照射する手段と、前記チャンバーに接続され、前記基板主面と照射手段の間の空間に、前記紫外線の照射によりOHラジカル及び/又はOラジカルを生成する分子を含むガスを前記チャンバー内に供給するガス供給手段と、前記チャンバー内を排気するガス排気手段と、前記ガス供給手段から供給されるガスに含まれる前記分子の濃度を制御する濃度制御手段とを具備してなることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係わる半導体装置の製造方法、及び基板処理装置について図1,2を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。また、図2は、本発明の第1の実施形態に係わる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0019】
先ず、図2(a)に示すように、被処理基板101上に100nmの孤立残しレジストパターン(樹脂膜のパターン)102を形成する(ステップS101)。なお、被処理基板101は半導体装置の製造途中のウエハである。より具体的には、レジストパターン102をマスクに被処理基板101をエッチングし、MOSトランジスタのゲート電極パターンを形成する。
【0020】
レジストパターン102の形成過程を以下に説明する。被処理基板101上に反射防止膜(膜厚50nm)、化学増幅型レジスト(膜厚300nm)を塗布し、ArFエキシマレーザーを用い、露光用レチクルを介しゲート加工用パターンを縮小投影露光する。該基板を120℃で90秒間熱処理した後、60秒間アルカリ現像液を供給して、レジスト膜を現像する。所定時間経過後、純水を供給し、反応の停止および洗浄を行う。
【0021】
この被処理基板101及びレジストパターン102を具備するウエハ100を図3に示す基板処理装置200に搬送する(ステップS102)。図3は、本発明の第1の実施形態に係わる基板処理装置の構成を示す図である。図3に示すように、基板処理装置200は、チャンバー201内に被処理基板101を保持する基板保持部202が設けられている。基板保持手段202は、ウエハ100の温度を調整するために、ペルチェ素子を用いた冷却機能(水冷機能でも良い)を持っている。照射部210を具備する。照射部210は、水が吸収する172nmの光をウエハ100主面に対して照射する。照射部210は、移動手段203によってウエハ100主面上を走査可能である。
【0022】
チャンバー201内に、ウエハ100主面に対向して、被処理基板に洗浄液(純水)を供給する洗浄液供給部204が設けられている。また、ウエハ100主面に対向して、ウエハ100主面を乾燥させる乾燥機205が設けられている。洗浄液供給部204及び乾燥機205は、移動手段206によってウエハ100主面上を走査可能である。
【0023】
チャンバー201内に窒素(N)ガス、酸素(O)ガスを導入するガス供給器220がチャンバー201に接続されている。ガス供給器220は、MFC(マスフローコントローラ)221a〜221cが、バブラー222を具備する。チャンバー201内を排気する排気部230が配管を介してチャンバーに接続されている。また、MFC221a〜221cの流量をそれぞれ制御するMFC制御部223が設けられている。
【0024】
照射部210の構成を図4を参照して説明する。図4は、図3に示した基板処理装置の照射部の構成を示す図である。図4(a)は照射部の正面図、図4(b)は照射部の断面図である。図4(a)は走査方向から見た図であり、図4(b)は走査方向に直交する方向の断面図である。
【0025】
図4(a),(b)に示すように、ランプハウス211内に、走査方向に直交する方向に沿って、複数のランプ212が配列されている。ランプ212としては、波長172nmの光を発光するエキシマランプを用いた。ランプハウス211のウエハに対向する側には、石英ガラス(透明板)213が設置されている。ランプ212には、電力入力部215から電力が入力される。電力入力部215は各ランプ212に独立に電力を供給し、それぞれのランプ212の照度を調整することができる。
【0026】
ランプハウス211内に、ランプ212から発した光を効率よくウエハ側に照射するために、リフレクタ216が設けられている。また、ランプ212と石英ガラス213との間に、照度むらを少なくする拡散板217が設置されている。
【0027】
ランプとして、複数のランプ212を用いたのはそれぞれのランプへの入力電力を調整して照度の均一性をあげるためで、分割しなくても均一であれば、分割したランプを用いる必要はない。
【0028】
次に、図3に示した基板処理装置を用いた処理について説明する。ウエハ100は、図示されないキャリアステーションから基板搬送系により装置200の基板保持手段202に搬送されて保持される。基板100を基板保持手段202に搭載後、チャンバー内の雰囲気はガス供給器220及び排気部230により置換される。ここでは、MFC制御部223が、MFC221a,221bを制御することにより、チャンバー201内を窒素と酸素との雰囲気に置換した。なお、酸素の濃度が1%となるようにした。
【0029】
次いで、レジストパターン102の表面を親水化処理し、レジストパターンの水に対する接触角度を大きくする(ステップS103)。ここで、親水化処理を行ったのは、レジストパターン102の純水に対する接触角が50°であり、後に水の吸着膜を形成するのが困難である為である。レジストパターンの親水性が高い場合、この親水化処理は不要である。
【0030】
親水化処理について説明する。前述した窒素と酸素との混合雰囲気下で、被処理基板全面に照射部210から172nmの光を照射する。172nm光の照射により、酸素からオゾンが生成される。生成されたオゾンとレジストパターン101とが反応し、レジストパターン102表面が親水化される。所定時間親水化処理を行った後、照射部210からの光照射を停止する。
【0031】
次いで、ガス供給器220から湿度80%の窒素ガスをチャンバー201内に供給する。湿度の調整について説明する、純水が蓄えられたバブラー222を経由させた窒素ガスと、純粋な窒素ガスとを混合させた混合ガスの湿度を図示されない湿度計で測定する。測定された湿度に応じて、MFC制御部223がMFC221b,221cを制御して、二つの窒素ガスの混合比を変化させることにより行う。図2(b)に示すように、水蒸気111によりレジストパターン102表面に水の吸着膜112を形成する(ステップS104)。この時の水の吸着膜112の厚さは数μm程度であった。
【0032】
次いで、図2(c)に示すように、レジストパターン102の表面に吸着膜112が形成された状態で、照射部210から172nmの光120を照射し、レジストパターン102のスリミング処理を行う(ステップS105)。図5は、水の吸収係数の波長依存性を示す特性図である。図5に示すように、水は172nmの光に対して大きな吸収係数を持つ。よって、172nmの光120の照射により、吸着膜112及び水蒸気111からOHラジカルやOラジカルのラジカル分子/原子113が光励起により生成される。ラジカル分子/原子113とレジストパターン102が反応し、反応生成物103が形成され、レジストパターン102が細る。
【0033】
なお、照射部210からの光120の照射は、図6に示すように、ランプ212を点灯した状態で照射部210をウエハ100主面上の一端から他端に走査させることで行った。本実施形態では、光120が照射される時間(スリミング処理時間)が10秒間になるよう、照射部210の走査速度を調整した。
【0034】
本実施形態では、ランプ212の出力を100mW/cm、石英ガラス213と被処理基板との距離20mmで行った。このとき基板は基板保持部202を介してウエハ100が50℃以下になるように冷却を行った。このとき石英ガラスと被処理基板間に供給した雰囲気の湿度は常に80%となるように調整している。湿度の制御は、レジスト膜表面の吸着水の乾燥防止、スリミング中のレジスト膜表面に対する水分の供給を目的にしている。反応生成物103はアルコール的な性質(アルコール性OH基を有するもの)であり、低融点化して流動現象が生じやすい。反応生成物103の流動が生じないように、基板保持手段202によりウエハ100を冷却する。
【0035】
所定のスリミング処理終了後、図2(d)に示すように、洗浄液供給部204をウエハ100上を走査させて純水を供給しウエハ100を洗浄する(ステップS106)。更に乾燥機205をウエハ100上で走査させて、ウエハ100表面に残存する水滴を除去する(吸着水はレジスト膜表面に保持)。
【0036】
これら一連の操作により得られたスリミングレート(レジストパターンが細る速度)は2nm/sでスリミング量は20nmであった。これら一連の処理により、現像直後に100nmあったゲート加工用レジストパターンが80nmまで細くなった。
【0037】
更にステップS104からステップS106を繰り返し行い(ステップS105は10秒)、レジストパターン102を60nmまで細らせた。2回に分けてステップS104からS107までの処理を行ったのは、照射に用いた172nmの光が反応生成物103内で減衰するためレジストパターン102の表面で反応が生じないことによる。また、OHラジカルの反応性が高いため、レジストパターン102表面で殆どのラジカルが反応してしまうことにもよる。
【0038】
上述のように作成したレジストパターン102をマスクに加工して作成したゲートを用いたデバイスは本処理を行わずに用いたゲート寸法より非常に微細に加工できたため、優れた応答性を得ることができた。
【0039】
本実施形態により、レジストパターンを効率よく細らせることができ、この技術を用いて作成したデバイスも従来技術で作成したもの比較し優れた応答性を得ることができた。
【0040】
本実施形態では水が吸収する光の照射に、172nmの光を基板全面に照射するエキシマランプ光源を用いたがこれに限るものではない。スリット状、又はスポット状に照射する光源であっても良い。必要とする加工均一性や処理時間により適時変更しても良い。なお、これらいずれの場合においても照射領域の被処理基板を冷却することは必要である。また、光源にエキシマランプ以外に低圧水銀ランプなどを用いても良い。
【0041】
被処理膜(レジストパターン)も上述の組成には限らない。本実施形態に用いたレジストとしてArFに反応性を有する化学増幅型レジストを用いたがこれに限るものではなく、他の脂環式樹脂(アクリル系、コマ系、ハイブリッド系樹脂)を用いた場合でも同等の効果が得られた。この他に紫外光照射により生じたOHラジカルの付加反応でアルコール性OH基が生じるものであれば如何なるのものにも適用できる。また、芳香族化合物を有する樹脂に対しても有効でノボラック樹脂を持つI線、G線レジストやポリビニルフェノール骨格を持つ樹脂で構成されるKrFレジストや電子線露光用レジスト、軟X線(EVU)露光用レジストなどについても効果を確認できた。なお、芳香族化合物を有する樹脂を用いた場合にはアルカリ水、例えばTMAH(テトラメチルアンモニウムオキサイド)溶液やKOH溶液を用いたほうが、より高いスリミングレートを得ることができた。
【0042】
なお、乾燥に、超臨界状態の炭酸水を用いるとパターン倒れのない良好な加工が可能である。高圧チャンバーに被処理基板を移し、スリミング処理後の被処理基板主面の純水を先ず炭酸が可溶なアルコールに先ず置換する。更にこのアルコールを液体COで置換する。液体CO状態からの乾燥は35℃、10Mpaとして超臨界状態のCOの状態を変化させたのち、チャンバーの圧力を徐々に下げてCOを気化させて除去する。
【0043】
本実施形態においてスリミング処理後に純水、過酸化水素水またはアルコールによる洗浄を実施した場合レジストパターン表面にウエット処理の際に生じた膨潤層が凝縮して生じた凹凸が顕著に見られる場合がある。このような場合には、最後に172nmの光を酸素またはオゾン雰囲気下でレジストパターン表面に照射すると良い。膨潤層は言わば反応中間生成物であり、前述の処理を行うことで選択的に剥離することができる。その結果凹凸の少ないパターン表面を形成でき、デバイスの信頼性をより一層高めることができる。
【0044】
次に本発明の作用について説明する。水に200nm以下の波長の光を照射すると、OHラジカルやOラジカルが生成される。OHラジカル、Oラジカルは酸化性が非常に強く、有機物であるレジストは酸化分解される。従って、被処理基板上に水の液膜を形成した状態で、光を照射し、OHラジカル、Oラジカルをレジストと作用させることで、レジストが分解し、レジストパターンの残し寸法の減少(スリミング)が生じる。また、照射量、照射時間、水の液厚を適切な値に設定することで、反応量を制御することができるため、スリミング量の制御が可能である。また、均一な酸化分解反応が緩やかに起こるため、ラインエッジラフネスの低減も可能である。本実施形態では、ラジカル源として水を用いているが、過酸化水素水でも同様の効果が得られる。過酸化水素水を用いた場合には300nm以下の波長の光を照射すると良い。また、これらのラジカル源として水のかわりに、酸素水やオゾン水を用いることも有効である。
【0045】
本実施形態ではレジストパターン表面を親水化するのに172nm光を用いたがこれに限るものではない。また、純水にオゾン(O)を溶解させたオゾン水をレジスト膜表面に供給しても同様の親水化の効果を得ることができる。オゾン水は現像後のパーティクル除去する機能も具備するため、現像のリンス工程でオゾン水を用い、予め親水化しておいても良い。また、酸素やオゾンを含む雰囲気に被処理基板を載置し、光励起してOラジカルを生成して、スリミング処理を行っても良い。また、図7に、酸素及びオゾンの吸収係数の波長依存性を示す。また、オゾン水の場合、図5及び図7に示す特性図から、オゾンと水との両方の吸収係数が高い波長を選択して、スリミング処理を行うことが好ましい。オゾン又は酸素を含む雰囲気中では、図7に示す特性図から、吸収係数が高い波長を選択して、スリミング処理を行う。
【0046】
本実施形態では、スリミングするパターンとして、レジストパターンの例を示したが、本方法の用途はこれに限るものではない。
【0047】
光照射により活性化した水でパターン寸法が細くなるパターンであればこれに限らない。樹脂系の絶縁膜のスリミング処理にも用いることができる。また、絶縁膜等の樹脂膜表面の酸化・改質処理等に用いることができる。また、シリコン窒化膜パターンも寸法が細くなるので、本方法によりパターンを形成することが可能である。また、表面に酸化膜を形成する場合にも勿論使用できる。
【0048】
レジストパターンに不良が生じた際のレジスト膜除去(再生)にも用いることができる。この場合は処理時間をレジストパターンが幅方向に消失する条件で行うと良い。大きいパターンが存在するときには、反応生成物を除去して繰り返し上述の処理を行えばよい。
【0049】
(第2の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態と異なる基板処理装置を用いて、スリミング処理を行う。図8は、本発明の第2の実施形態に係わる基板処理装置の概略構成を示す図である。図8において、図3に示した装置と同一な部位には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0050】
図8に示すように、ウエハ100は基板保持手段202の下面に保持され、ウエハ100主面(レジストパターン形成面)は下方を向いている。また、照射部210の石英ガラス213は上方に向けられている。また、ランプ212は水が吸収する222nmの光を発光するエキシマランプ光を用いている。なお、バブラー222内には純水ではなく、濃度5%の過酸化水素水が蓄えられている。
【0051】
図8,図9を参照して、本実施形態の基板処理を説明する。図9は、本発明の第2の実施形態に係わる基板処理方法を示す断面図である。
【0052】
先ず、第1の実施形態と同様に、図1(a)に示したレジストパターン102を形成する(S101)。次いで、図8に示した基板処理装置内に搬送する(ステップS102)。ウエハ100主面は下方に向いた状態である。
【0053】
次いで、ガス供給器220から過酸化水素水の蒸気と窒素ガスとの混合ガスをチャンバー201内に供給する。混合ガスの湿度は、80%に設定する。図9(a)に示すように、過酸化水素水の蒸気131によりレジストパターン102表面に過酸化水素水の吸着膜132を形成する(ステップS104)。
【0054】
この状態で、図10に示すように、222nmの光をウエハ100主面上に照射しながら、照射部210をウエハ100主面上で走査させる。ランプ212の出力を50mW/cm、照射部210のスキャン速度を2mm/sec、石英ガラス213とウエハ100との距離1mmを設定した。スキャン速度を2mm/sec、且つ照射部210から照射された光のウエハ100主面上での形状は、走査方向で40mmである。従って、レジストパターンに対して光が照射される時間(スリミング処理時間)は、20秒である。基板保持部202により、ウエハ100の温度が100℃になるように温調した。過酸化水素水の吸収係数の波長依存性を図11に示す。図11に示すように、過酸化水素水の吸収係数は、波長222nmに対して大きな吸収係数を持っている。よって、222nmの光の照射により、光励起により過酸化水素水からOHラジカル、Oラジカルが生成される。
【0055】
図9(b)に示すように、光140の照射により、蒸気131及び吸着膜132から活性なラジカル分子/原子113が発生する。ラジカル分子/原子113とレジストパターン表面102が反応して、レジストパターン102の幅が細る。反応により反応生成物103が形成される。
【0056】
反応生成物103は、ウエハ100の温度が100℃に設定されているため、流動現象が生じる。流動した反応生成物103はパターン102先端に移動する。反応生成物は表面張力が小さく、先端に移動しても凝集せずにツララ状になる。レジストパターン102先端はツララ状の反応生成物103により保護されるため、厚さ方向のエッチングが抑制される。
【0057】
スリミングの後、レジストパターン102表面を水洗することでツララ状の反応生成物は溶解し、図9(c)に示すように、所望のパターンを得ることができる。
【0058】
このときのスリミングレート(レジストパターンが細る速度)は3nm/sでスリミング量は60nmであった。これら一連の処理により、現像直後に100nmあったゲート加工用レジストパターンを40nmまで細くできた。
【0059】
上述の方法で得られたレジストパターンは、スリミング時に幅方向に異方性エッチングされているため、後のエッチング工程に対して、加工に十分な耐え得る膜厚を確保できる。
【0060】
このように作成したレジストパターンをマスクに加工して作成したゲートを用いたデバイスは本処理を行わずに用いたゲート寸法より非常に微細に加工できたため、優れた応答性を得ることができた。
【0061】
本実施形態によれば、レジストパターンを効率よく細らせることができ、この技術を用いて作成したデバイスも従来技術で作成したもの比較し優れた応答性を得ることができる。
【0062】
なお、本実施形態に用いたレジストとしてArFに反応性を有する化学増幅型レジストを用いたがこれに限らず、他の脂環式樹脂(アクリル系、コマ系、ハイブリッド系樹脂)に対しても同等の効果が得られた。この他に紫外光照射により生じたOHラジカルの付加反応でアルコール性OH基が生じるものであれば如何なるのものにも適用できる。また、芳香族化合物を有する樹脂に対しても有効でノボラック樹脂を持つI線、G線レジストやポリビニルフェノール骨格を持つ樹脂で構成されるKrFレジストや電子線露光用レジスト、軟X線(EVU)露光用レジストなどについても効果を確認できた。なお、芳香族化合物を有する樹脂を用いた場合にはアルカリ水、例えばTMAH(テトラメチルアンモニウムオキサイド)溶液やKOH溶液を用いたほうが、より高いスリミングレートを得ることができた。
【0063】
本実施形態ではOHラジカルを生じる物質として過酸化水素水を用いたがこれに限るものではなく、純水を用いて、200nm以下の光を照射しても同様の効果を得ることができる。また、濃度もこれに限るものでなく、1ppmから30%までの濃度範囲でスリミング効果を確認できた。基板の温度調整については過酸化水素水を用いた場合には30〜50℃の範囲で、純水を用いた場合には30〜90℃程の範囲で行うのが望ましい。
【0064】
本実施形態の場合、スリミングの後に被処理基板をレジストパターンが流動を生じない状態まで加熱して反応生成物を気化させて除去することもできる。また、スリミング処理中であっても導入する気体を加熱してレジスト表面の温度を高めて、ツララを形成しつつ、その一部を気化しても良い。
【0065】
勿論、水洗による除去も可能である。水洗を行った際の乾燥には、超臨界炭酸水を用いるとパターン倒れのない良好な加工が可能である。高圧チャンバーに被処理基板を移し、スリミング処理後の被処理基板主面の純水を先ず炭酸が可溶なアルコールに先ず置換する。更にこのアルコールを液体COで置換する。液体CO状態からの乾燥は35℃、10Mpaとして超臨界状態のCOの状態を変化させたのち、チャンバーの圧力を徐々に下げてCOを気化させて除去する。
【0066】
本実施形態において、スリミング後に純水、過酸化水素水またはアルコールによる洗浄を実施した場合レジストパターン表面にウエット処理の際に生じた膨潤層が凝縮して生じた凹凸が顕著に見られる場合がある。このような場合には、最後に172nmの光を酸素またはオゾン雰囲気下でレジストパターン表面に照射すると良い。膨潤層は言わば反応中間生成物であり、前述の処理を行うことで選択的に剥離することができる。その結果凹凸の少ないパターン表面を形成でき、デバイスの信頼性をより一層高めることができる。
【0067】
光照射により活性化した水でパターン寸法が細くなるパターンであればこれに限らない。樹脂系の絶縁膜のスリミング処理にも用いることができる。また、シリコン窒化膜パターンも寸法が細くなるので、本方法によりパターンを形成することが可能である。
【0068】
本実施形態では、スリミングするパターンとして、レジストパターンの例を示したが、本発明の用途はこれに限るものではない。レジストパターンに不良が生じた際のレジスト膜除去(再生)にも用いることができる。この場合は処理時間をレジストパターンが幅方向に消失条件で行うと良い。大きいパターンが存在するときには、反応生成物を除去して繰り返し上述の処理を行えばよい。
【0069】
(第3の実施形態)
先ず、本実施形態のスリミング処理に用いる基板処理装置の構成を図12を参照して説明する。なお、図3と同一な部位には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。なお、ガス供給器220の構成は、図3に示した装置のガス導入器と同様である。
【0070】
ウエハ100主面を下向きにして保持する保持具242がチャンバー201内に設けられている。保持具は242は、例えば真空チャックによりウエハ100を保持する。また、保持具242は、ウエハ100の温度を調整する温調機能を有する。ウエハ100主面に対向して、照射部250が設けられている。照射部250は、ランプハウス251,172nmの光を発光するXeエキシマランプ252,石英ガラス253,リフレクタ256,及び拡散板257を具備する。
【0071】
次に、図12に示した装置を用いたスリミング処理について説明する。
先ず、第1の実施形態と同様に、図1(a)に示したレジストパターン102を形成する(S101)。
【0072】
反射防止膜は、回転塗布法で形成される。300℃、120秒の条件で加熱を行って溶剤を揮発させ、膜厚100nmの反射防止膜を形成する。ここでは、反射防止膜として、有機系材料のものを用いた。レジスト膜を回転塗布法で形成する。130℃、60秒の条件で加熱を行って溶剤を揮発させ、膜厚200nmのレジスト膜を形成する。レジスト膜はArF光(波長193nm)用化学増幅型ポジレジストである。次に、ArFエキシマレーザを用い、露光用レチクルを介し、ゲート加工用パターンを縮小投影露光する。該基板を熱処理し、現像装置に搬送する。現像装置では、現像液を被処理基板上に供給し、30秒間現像後、被処理基板を回転させながら純水を供給し、反応の停止および洗浄を行い、スピン乾燥によって被処理基板を乾燥する。これらの処理を行うことで被処理基板上に100nmの孤立残しパターンを形成する。
【0073】
次いで、図12に示した基板処理装置内に搬送する。ウエハ100主面は下方に向いた状態である。
次に、現像まで終了した被処理基板は、搬送ロボットによりチャンバー内に搬送され、光照射によるゲート用のレジストパターンのスリミング処理を行う。
【0074】
ガス供給器220から23℃、湿度70%の純水を含む窒素ガスを供給する。窒素ガスの湿度調整は、導入する窒素ガスの温度より高温に加熱された純水が蓄えられたバブラーに窒素ガスの一部を経由させ、純粋な窒素とバブラーにより水分を混入した後、ガスの温度を23℃に調整することで行った。
【0075】
次いで、照射部250から光を照射するウエハ100に対して光を照射し、スリミング処理を行う。ランプ252の出力を50mW/cm、照射時間30秒、石英ガラス253とウエハ100との距離5mmで行った。この時、チャンバー内の圧力が19998.3Pa(150mmHg)になるように真空ポンプをバルブで制御した。
【0076】
本実施形態のスリミング処理を、図13を参照して説明する。図13は、本発明の第3の実施形態に係わる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
先ず、図13(a)に示すように、チャンバー201中の蒸気が光の照射により、OHラジカルやOラジカル等のラジカル分子/原子113が生成される。ラジカル分子/原子113とレジストパターン102とが反応し、レジストパターン表面に反応生成物103が形成され、レジストパターン102の線幅が細る。光140の輻射熱により反応生成物103が暖められ、流動現象が生じる。図13(b)に示すように、レジストパターン102先端近傍の反応生成物103は、流動化によりレジストパターン102の先端に移動し、レジストパターン102の先端部での反応が抑制される。また、流動化した反応生成物103は蒸発し、レジストパターン102の側面にはレジストパターン表面が露出する。
【0077】
紫外線の照射時、レジスト並びに反射防止膜の表面温度がそれぞれの熱分解温度未満になるようにランプ出力、照射時間、石英ガラスと被処理基板との距離等の照射条件、及び保持具の温調機能を制御する。
【0078】
反応生成物を除去しながら、エキシマランプ照射することで未反応のレジスト表面とOHラジカルまたはOラジカルとの反応が促進する。
【0079】
次に、搬送ロボットにより洗浄ユニットに搬送し、被処理基板の上方に配置されたリンスノズルからリンス液(例えば純水)を供給し、回転させながら基板を30秒間洗浄ことでパターン表層にわずかに残った反応生成物は溶解し、所望のパターンを得ることができた。これら一連の処理により、100nmのゲート加工用レジストパターンを60.5nmまで細くすることができた(図13(c))。この時、レジスト膜厚は197nmとほとんど膜厚の変動はなく、スリミング時に幅方向に異方性エッチングされているため、後のエッチング工程に対して、加工に十分な耐え得る膜厚を確保できる。
【0080】
上述のように作成したレジストパターンをマスクに加工して作成したゲートを用いたデバイスは本処理を行わずに用いたゲート寸法より非常に微細に加工できたため、優れた応答性を得ることができた。
【0081】
また、減圧下でのエキシマランプの照射処理から洗浄処理までのこれら一連の処理を複数回行うこともスリミングには有効である。加えて、複数回行う場合には、各一連の処理終了後にレジストパターンの寸法を計測することが有効である。レジストパターン寸法を計測することで、反応量を知ることができる。反応量に応じて、光照射部の照射量、照射時間、石英ガラスと被処理基板との距離、チャンバー内の湿度や酸素濃度等の照射条件をかえて、所望の反応量になるように制御すればよい。
【0082】
本実施形態ではチャンバー内の圧力を19998.3Pa(150mmHg)で行ったが、これに限定されずレジストパターンを細らせるのに十分なだけのOHラジカルやOラジカルを生成する湿度や酸素濃度で行えば良い。
【0083】
また、本実施形態では本実施形態ではバブラーに窒素ガスの一部を経由させ、純粋な窒素とバブラーにより水分を混入した後にチャンバー内に導入しているが、チャンバー内の雰囲気はこれに限らず、大気にオゾンガスや過酸化水素ガス等を混合したガスをチャンバー内に導入しても良い。
【0084】
過酸化水素ガスはOHラジカルやOラジカルを生成することが可能である。特に、過酸化水素ガスは一分子から二分子OHラジカルを生成できる。一方、オゾンもまたOラジカルを発生するため、スリミング反応が可能である。
【0085】
また、エキシマランプの波長はOHラジカルまたは/及びOラジカルが生成すればいかなる波長でも良い。またランプの出力、照射時間、窓材から試料までの距離もここに記したのは一例に過ぎず、反応が生じることが確認できればいかなる値に設定しても良い。また、窓材はCaFでも良い。
【0086】
なお、本実施形態では、レジストパターンの形成面を下向きにしてスリミング処理を行ったが、レジストパターンの形成面を上向きにして処理を行っても良い。光照射により活性化した水でパターン寸法が細くなるパターンであればこれに限らない。樹脂系の絶縁膜のスリミング処理にも用いることができる。また、シリコン窒化膜パターンも寸法が細くなるので、本方法によりパターンを形成することが可能である。
【0087】
(第4の実施形態)
本実施形態では、第1〜第3の実施形態と同様に、レジストパターン形成後にエキシマランプを照射することでレジストパターンをスリミング処理する例を説明する。
【0088】
第3の実施形態と同様な条件で、レジストパターンを形成する。
【0089】
次に、被処理基板を、搬送ロボットにより図12に示した基板処理装置のチャンバー201内に搬送する。ウエハ100は、主面(レジストパターン形成面)を下に向けて保持する。
【0090】
以下の手順を図14を参照し説明する。図14は、本発明の第4の実施形態に係わる半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【0091】
次いで、ガス供給手段から23℃、湿度70%の純水を含む窒素ガスを供給する。窒素ガスによる湿度調整は、導入する窒素ガスの温度より高温に加熱された純水が蓄えられたバブラーに窒素ガスの一部を経由させ、純粋な窒素ガスにバブラーにより蒸気を混入して行った。なお、チャンバー201の圧力を大気圧にする。被処理基板の温度が0℃になるように温調する。図14(a)に示すように、レジストパターン102表面では導入された水分が温度差で結露し、レジストパターン表面に水の吸着膜132が形成される。
【0092】
照射部250から光140を照射し、活性なOHラジカルやOラジカルを発生させ、発生したラジカルによるレジストパターンのスリミング処理を行う。本実施形態では波長172nmのXeエキシマランプ光を照射した。ランプ出力50mW/cm、照射時間20秒、石英ガラスと被処理基板との距離5mmで行った。
【0093】
エキシマランプ照射時には水の吸着膜132からOHラジカルまたはOラジカルが生成され、レジストパターンとラジカルとの反応が進行する。一方、光照射による反応熱によってパターン表面の温度は上昇するため、反応生成物103の流動性が増し、ツララ状になる(図14(b))。レジストパターン102先端はツララ状の反応生成物103により保護されたため、厚さ方向のエッチングが抑制される。
【0094】
次に、光の照射を一旦停止し、ウエハ100を50℃に加熱した状態でチャンバー内の圧力を19998.3Pa(150mmHg)まで減圧する。図14(c)に示すように、減圧下で被処理基板101を加熱することで、ツララ状の反応生成物103は蒸発、未反応のレジストがレジストパターン102表層に現れる。この時、レジストパターン102先端の反応生成物103が除去されないように、処理時間を調整する。
【0095】
被処理基板101の冷却処理→エキシマランプの照射処理→減圧下での被処理基板加熱処理、の一連の処理を繰り返し行うことで反応生成物103を除去し、未反応のレジスト表面とOHラジカルまたはOラジカルとの反応が促進させることができる。なお、エキシマランプの輻射によってレジストの表面温度が上昇するが、この表面温度がレジスト並びに反射防止膜の熱分解温度未満になるようにランプ出力、照射時間、石英ガラスと被処理基板との距離等の照射条件を制御する。
【0096】
次に、搬送ロボットにより洗浄ユニットに搬送し、被処理基板の上方に配置されたリンスノズルからリンス液(例えば純水)を供給し、回転させながら基板を30秒間洗浄することでパターン表層にわずかに残った反応生成物103は溶解し、所望のパターンを得ることができた(図14(d))。これら一連の処理により、100nmのゲート加工用レジストパターンの寸法を50nmまで細くすることができた。この時、レジスト膜厚は197.5nmとほとんど膜厚の変動はなく、スリミング時に幅方向に異方性エッチングされているため、後のエッチング工程に対して、加工に十分な耐え得る膜厚を確保できる。
【0097】
上述のように作成したレジストパターンをマスクに加工して作成したゲートを用いたデバイスは本処理を行わずに用いたゲート寸法より非常に微細に加工できたため、優れた応答性を得ることができた。
【0098】
本実施形態では、被処理基板を冷却することで水分子をレジスト表面に吸着させ、減圧下で被処理基板を加熱することで反応生成物をレジストパターン表面から除去させたが、OHラジカルまたはOラジカルとレジストパターン表層との反応を促進させる方法はこれに限らない。被処理基板の温度は一定に保持した状態で、チャンバー内の圧力を上げることで水分子をレジストパターン表面に吸着させ、次いでエキシマランプ照射後、今度はチャンバー内を減圧にすることでOHラジカルまたはOラジカルによって生じた反応生成物を気化させることができ、エキシマランプの照射前後でチャンバー内の圧力を制御することでもレジストパターンを細く加工することができる。
【0099】
エキシマランプの波長はOHラジカルまたは/及びOラジカルが生成すればいかなる波長でも良い。またランプの出力、照射時間、窓材から試料までの距離もここに記したのは一例に過ぎず、反応が生じることが確認できればいかなる値に設定しても良い。また、窓材はCaFでも良い。
【0100】
また、被処理基板の冷却処理から洗浄処理までのこれら一連の処理を複数回行うこともスリミングには有効である。加えて、複数回行う場合には、実施形態1同様に各一連の処理終了後にレジストパターンの寸法を計測することが有効である。
【0101】
また、本実施形態ではバブラーに窒素ガスの一部を経由させ、純粋な窒素とバブラーにより水蒸気を混入した後にチャンバー内に導入しているが、実施形態1同様にチャンバー内の雰囲気はこれに限らず、大気にオゾンガスや過酸化水素ガス等を混合したガスをチャンバー内に導入しても良い。
【0102】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0103】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、生成された反応生成物が流動しない温度に被処理基板を冷却することによって、樹脂膜のパターンを細らせることができる。また、樹脂膜が形成された面を下向きにしてOHラジカル及び/又はOラジカルと樹脂膜とを反応させることによって、樹脂膜のパターンを細らせることができると共に、樹脂膜の膜厚減少を抑制することができる。また、前記紫外光の照射時、前記被処理基板周囲の環境を前記反応生成物が蒸発し、前記樹脂膜の温度を分解温度未満にする条件にすることによって、樹脂膜のパターンを細らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るパターン形成方法の処理手順を示すフローチャート。
【図2】第1の実施形態に係わる半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図3】第1の実施形態に係わる基板処理装置の構成を示す図。
【図4】図3に示した基板処理装置の照射部の構成を示す図。
【図5】水の吸収係数の波長依存性を示す特性図。
【図6】スリミング処理時の基板処理装置の照射部の移動状態を示す図。
【図7】酸素及びオゾンの波長依存性を示す特性図。
【図8】第2の実施形態に係わる基板処理装置の概略構成を示す図。
【図9】第2の実施形態に係わる半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図10】スリミング処理時の基板処理装置の照射部の移動状態を示す図。
【図11】過酸化水素水の吸収係数の波長依存性を示す特性図。
【図12】第3の実施形態に係わる基板処理装置の構成を示す図。
【図13】第3の実施形態に係わる半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図14】第4の実施形態に係わる半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図15】光励起により生成されたラジカル分子,原子を用いたスリミング処理の問題点の説明に用いる図。
【符号の説明】
100…ウエハ,101…被処理基板,102…レジストパターン,103…反応生成物,111…水蒸気,112…吸着膜,113…OHラジカル,113…ラジカル分子,120…光,131…蒸気,132…吸着膜

Claims (27)

  1. 被処理基板の主面上に樹脂膜を形成する工程と、
    前記被処理基板の主面に、紫外光が照射されてOHラジカル及び/又はOラジカルを生成する分子を含む雰囲気を接触させる工程と、
    前記被処理基板の主面に対して前記紫外光を照射する工程と、
    前記紫外光により前記分子からOHラジカル及び/又はOラジカルを生成する工程と、
    生成されたOHラジカル及び/又はOラジカルと、前記樹脂膜とを反応させ、反応生成物を生成する工程と、
    前記紫外線の照射時、生成された反応生成物が流動しない温度に被処理基板を冷却する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記樹脂膜は所定のパターンで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記被処理基板主面から、前記反応生成物を除去する工程を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 被処理基板の主面上に樹脂膜のパターンを形成する工程と、
    前記被処理基板の主面が下方に向いた状態にする工程と、
    前記被処理基板の主面に、紫外光が照射されてOHラジカル及び/又はOラジカルを生成する分子を含む雰囲気を接触させる工程と、
    前記被処理基板主面に対して前記紫外光を照射する工程と、
    前記紫外光により前記分子からOHラジカル及び/又はOラジカルを生成する工程と、
    生成されたOHラジカル及び/又はOラジカルと、前記樹脂膜とを反応させ、反応生成物を生成する工程と、
    前記反応生成物を除去する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 前記紫外光の照射時、前記反応生成物を流動化させることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記紫外光の照射時、生成された反応生成物が流動しない温度に前記被処理基板を冷却することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 被処理基板の主面上に樹脂膜のパターンを形成する工程と、
    前記被処理基板の主面に、紫外光が照射されてOHラジカル及び/又はOラジカルを生成する分子を含む雰囲気を接触させる工程と、
    前記被処理基板の主面に対して前記紫外光を照射する工程と、
    前記紫外光により前記分子からOHラジカル及び/又はOラジカルを生成する工程と、
    生成されたOHラジカル及び/又はOラジカルと前記樹脂膜とを反応させ、反応生成物を生成する工程と、
    前記紫外光の照射時、前記樹脂膜の温度を分解温度未満の温度で、前記反応生成物が蒸発するように前記被処理基板を加熱する工程と、
    前記紫外光の照射後、前記反応生成物を除去する工程とを含むことを特徴とする基板処理方法。
  8. 前記被処理基板の加熱時、前記被処理基板は大気圧未満の圧力下におかれていることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記分子が、酸素及びオゾンの何れかから一つ以上選ばれたものであることを特徴とする請求項1,4,7の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記反応生成物の除去後、前記樹脂膜をマスクに前記被処理基板をエッチングすることを特徴とする請求項3,4,7の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
  11. 前記反応生成物の除去後、被処理基板の主面に対して紫外光または電子線を照射することを特徴とする請求項3,4,7の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
  12. 前記反応生成物の除去は、前記被処理基板主面に対して前記反応生成物を溶解する溶液を供給する工程と、前記溶液を被処理基板主面から除去する工程とを含むことを特徴とする請求項3,4,7の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
  13. 前記溶液は、水又は過酸化水素水であることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
  14. 前記溶液の除去後、前記被処理基板主面を乾燥させる工程を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
  15. 前記反応生成物の除去は、前記反応生成物が気化する温度まで被処理基板を加熱して行うことを特徴とする請求項3,4,7の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
  16. 前記被処理基板の加熱温度は、前記樹脂膜の熱分解温度未満であることを特徴とする請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
  17. 前記雰囲気の接触、前記OHラジカル及び/又はOラジカルの生成、前記反応生成物の生成、前記反応生成物の除去の一連の処理を複数回行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の半導体装置の製造方法。
  18. 前記分子は蒸気状態の液体であり、前記雰囲気の接触により、前記樹脂膜の表面に前記液体を吸着させることを特徴とする請求項1又は4に記載の半導体装置の製造方法。
  19. 前記樹脂膜の表面の前記液体に対する接触角度を増加させる工程を更に含むことを特徴とする請求項18に記載の半導体装置の製造方法。
  20. 前記液体が、水または過酸化水素であることを特徴とする請求項18に記載の半導体装置の製造方法。
  21. 前記雰囲気の接触は、前記被処理基板の主面が下を向いた状態で行うことを特徴とする請求項1又は請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
  22. チャンバーと、
    前記チャンバー内に設けられ、基板を保持する基板保持手段と、
    前記基板の温度を制御する手段と、
    前記基板保持手段に保持される基板主面に対向配置された、紫外光を照射する手段と、
    前記チャンバーに接続され、前記基板主面と照射手段の間の空間に、前記紫外線の照射によりOHラジカル及び/又はOラジカルを生成する分子を含むガスを前記チャンバー内に供給するガス供給手段と、
    前記チャンバー内を排気するガス排気手段と、
    前記ガス供給手段から供給されるガスに含まれる前記分子の濃度を制御する濃度制御手段と
    を具備してなることを特徴とする基板処理装置。
  23. 前記基板保持手段は、前記基板主面を下方に向けて保持することを特徴とする請求項22記載の基板処理装置。
  24. 前記光照射手段を、前記基板に対して相対的に走査させる手段を更に具備することを特徴とする請求項22記載の基板処理装置。
  25. 前記ガス供給手段は、前記分子を含む液体が蓄えられたバブラーを具備することを特徴とする請求項22記載の基板処理装置。
  26. 前記基板主面に液体を供給して前記基板主面を洗浄する洗浄手段を具備した請求項22記載の基板処理装置。
  27. 前記基板主面に付着した液体を乾燥させる乾燥手段を具備した請求項26記載の基板処理装置。
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