JP2004362786A - 携帯機器用燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化が可能な携帯用燃料電池システムを得る。
【解決手段】携帯機器用燃料電池システムを、燃料電池セル3と燃料電池セル3に水素を供給する水素吸蔵容器2とで構成し、水素吸蔵容器1を、さらに水素吸蔵容器筐体1aと、水素吸蔵容器筐体1a内に配置された水素吸蔵材料2と、水素吸蔵容器筐体1aの表面に設けられた接続口9と、水素吸蔵材料2と前記接続口7との間に配設された配管経路5,6と、配管経路5,6に設けられた付属装置4と、で構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】携帯機器用燃料電池システムを、燃料電池セル3と燃料電池セル3に水素を供給する水素吸蔵容器2とで構成し、水素吸蔵容器1を、さらに水素吸蔵容器筐体1aと、水素吸蔵容器筐体1a内に配置された水素吸蔵材料2と、水素吸蔵容器筐体1aの表面に設けられた接続口9と、水素吸蔵材料2と前記接続口7との間に配設された配管経路5,6と、配管経路5,6に設けられた付属装置4と、で構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水素吸蔵材料を適用した水素吸蔵容器およびそれを用いた燃料電池システムに関するもので、特に携帯機器用燃料電池システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水素を燃料とした燃料電池は、供給される水素ガスの化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するため高い発電効率を得ることができる。近年、携帯機器への使用を目的として、水素吸蔵材料に水素を貯蔵し、水素吸蔵容器と燃料電池を接続することにより純水素を燃料電池に供給する小型燃料電池システムおよびその構造が提案されている。
【0003】
水素吸蔵材料の一つである水素吸蔵合金の水素の吸放出特性は材料固有の平衡圧力に依存し、水素吸蔵容器の内圧が平衡圧力以上の場合に貯蔵可能な大半の水素を吸収し、平衡圧力以下で水素を放出するという特性を有する。その際、平衡圧力は水素吸蔵合金の材料組成を制御することにより任意に調整でき、通常の高圧で水素を充填する水素ボンベなどに比べて非常に低い圧力で水素の吸放出が可能なため、取り扱いに注意を要する高圧容器を何ら必要としないので、水素吸蔵材料として大きな利点をもつ。平衡圧力は常圧付近とすることも可能であるが、水素吸蔵合金の平衡圧力が常圧に近い場合は、気温の変化により常圧では水素放出が困難になる場合があり、使用環境が制限されてしまう不都合があった。よって、実際には水素吸蔵合金の平衡圧力を常圧の数倍程度まで高く設定する必要があった。
【0004】
しかしながら、固体高分子型燃料電池では固体高分子膜の耐圧が低く、上記のような常圧に比べて高い水素吸蔵容器の圧力の状態で燃料電池へ水素を搬送した場合には固体高分子膜が破損してしまうなどの問題が生じた。また、水素吸蔵合金は温度の上昇に伴い平衡圧力が上昇するため、容器の破裂や変形を防止するために、水素吸蔵合金容器の圧力がある一定圧力以上に上昇した場合に水素吸蔵容器内の圧力を下げる機構を備えることが必要であった。
【0005】
例えば、特許文献1では水素吸蔵ボンベ(水素吸蔵容器)から燃料電池へ水素を供給する途中経路と燃料電池での未反応ガスを水素吸蔵ボンベに送る排ガス経路を具備し、それらの圧力検出と圧力制御を行うことにより燃料電池の運転状況に応じた圧力制御を行う構造が開示されている。
【0006】
また、特許文献2に開示された燃料電池システムでは、燃料電池と直方体形状の水素吸蔵合金容器の間の水素流通経路に水素吸蔵合金容器と燃料電池とを脱着可能に接続する接続部、水素の開閉を行うミニバルブ、および水素圧力を調整する圧力調整器とを備えており、パーソナルコンピュータやラジオなど、比較的小型な電子機器への応用が想定されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−60895号公報
【特許文献2】
特開平10−64567号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1、2などのような水素吸蔵材料およびそれを貯蔵する容器を具備する小型燃料電池システムにおいて、水素吸蔵容器と燃料電池の間の経路に弁装置や圧力調節装置などの付属装置を設けた場合、弁装置や圧力調整装置、コネクタ、経路は数気圧の水素の流れを保持するように設計されるため、ある程度の容積が必要であった。
【0009】
また、小型容器内で限定された容積の水素吸蔵材料に吸蔵された水素を燃料とする場合、十分なエネルギー量を得るには小型容器内に対する水素吸蔵材料の占める割合をなるべく高める必要があり、上述の弁装置等の装置類の占める体積は無視できなかった。かかる装置類は燃料電池システムの小型化の支障となり、先行技術文献では想定されていない、さらに小型化された、例えば携帯機器用の電子機器に適用する場合には、個々の装置類における個別の小型化だけでは適切な燃料電池システムを構成できなかった。
【0010】
本発明は携帯電話やデジタルカメラ、あるいはさらに小型化された携帯用機器へも十分搭載可能でかつ機能性や安全性にも優れた水素吸蔵容器を具備した小型の携帯機器用燃料電池システムを得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る携帯機器用燃料電池システムは、水素を燃料として電力を発電する燃料電池セルと上記燃料電池セルに水素を供給する水素吸蔵容器とを備え、携帯機器に搭載された携帯機器用燃料電池システムであって、上記水素吸蔵容器が、水素吸蔵容器筐体と、上記水素吸蔵容器筐体内に配置された水素吸蔵材料と、上記水素吸蔵容器筐体の表面に設けられた接続口と、上記水素吸蔵材料と前記接続口との間に配設された配管経路と、上記配管経路に設けられた付属装置と、を備える。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明における実施の形態1の携帯機器用燃料電池システムを、図1に基づいて説明する。図1に燃料電池セルへ水素を供給する際の水素圧力を水素吸蔵合金の平衡圧力以下に調節する機能を有する圧力調節機構が水素吸蔵容器筐体内部に設けられた携帯機器用燃料電池システムの構成図の一例を示す。図1(a)は水素吸蔵容器と燃料電池セルの厚み方向の断面図、(b)は(a)のA―A”線についての水素吸蔵容器の断面図を示している。
【0013】
図1中、1は水素吸蔵容器、1aは水素吸蔵容器筐体、2は水素吸蔵容器1の中に充填される水素吸蔵合金(水素吸蔵材料)、3は水素吸蔵容器1に密着するように配置され水素を燃料として電力を供給する燃料電池セル、4は水素吸蔵容器1中に配置された圧力調節器(付属装置の一部、圧力調節機構)、5は水素吸蔵容器1中に配設され水素吸蔵合金2から放出される水素を圧力調節器4に送る配管経路A、6は同じく水素吸蔵容器1中に配設され圧力調節器4から燃料電池セル3に水素を供給する配管経路B、7は水素吸蔵容器筐体の表面に設けられ外部の水素補給装置から水素吸蔵容器1に水素を供給する際に水素補給装置と水素吸蔵容器1との接続を行い、接続された際に開き、接続が解除された際に閉じる弁機構を兼ね備えた水素補給口、8は水素吸蔵合金2から燃料電池セル3あるいは水素補給口7に対して粉体である水素吸蔵合金2の放出を防止するフィルター(付属装置の一部)、9は水素吸蔵合金2と燃料電池セル3の接続部との接続口、をそれぞれ示す。
【0014】
水素吸蔵容器1は厚み方向の長さが短い直方体形状を呈し、厚み方向の水素吸蔵容器1上に燃料電池セル3が密着して配置されている。水素吸蔵容器1の外形寸法の一例としては、およそ3cm×4cm×0.5cmで、水素吸蔵容器筐体1aを構成する材料としては、1Mpa程度の圧力に耐えるように、0.8mm程度の肉厚のアルミニウムあるいはステンレスなどの金属が用いられる。水素吸蔵容器筐体1aは、アルミニウムの場合は鋳造、彫り込み、穴あけなどの加工により、また、ステンレスの場合は折り曲げ、溶接などの加工により、厚み方向に0.5cm程度に二分された状態で配管経路A5、配管経路B6および圧力調節器4を埋め込む部分が形成され、圧力調節器4の組み込み、フィルター8の設置、水素補給口7の設置、水素吸蔵合金2の充填を行った後、溶接により上下の部位を一体化して一つの水素吸蔵容器筐体1aとなる。
【0015】
水素吸蔵合金2は通常数十μm程度の粉末状であるが、空洞率の大きいポーラス材料に浸透させることにより、粉末を固定化することもできる。水素吸蔵合金2は材料および材料組成により吸放出特性を決める平衡圧力を調整できるが、平衡圧力は水素吸蔵合金の温度によっても変化し、温度上昇に伴い平衡圧力も増加する。AB5型のLaNi5を主成分とする水素吸蔵合金2を用いた場合、使用環境が0〜60℃程度であることを想定し、平衡圧力が0℃で常圧以上、60℃で1Mpaを越えないように20℃の平衡圧力が0.4〜0.5Mpa程度の水素吸蔵合金用材料を用いると好適である。溶接され一体となった水素吸蔵容器筐体1aは接続口9を介して別個に作製された燃料電池セル3と組み合わされ、水素吸蔵容器1から燃料電池セル3への経路が外部から密閉されることにより本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムが完成する。
【0016】
次に、水素吸蔵容器1への水素の補給と燃料電池セル駆動時の動作について説明する。水素補給時には、水素吸蔵容器1は着脱式で接続することにより弁が開くような機構をもつ水素補給口7に、高圧ボンベや、水の電気分解、あるいはメタノール、エタノール、ジメチルエーテルなどの改質によって水素を発生する水素発生器などの水素補給装置が接続され、水素吸蔵容器筐体1aの表面に設けられた水素補給口7を介して水素吸蔵容器1内の水素吸蔵合金2へ水素が補給、貯蔵される。
【0017】
その際、水素補給側圧力は水素吸蔵合金2の平衡圧力以上で、かつ1Mpa以下とする。水素吸蔵合金2への水素の吸蔵は発熱反応であるため、水素吸蔵合金2を冷却することにより水素化反応速度が加速される。よって、水素補給装置に冷却機構が設けられていると、より短時間での水素補給が可能となる。
【0018】
また、水素補給装置に水素補給口7を接続する際に若干の配管経路への空気の巻き込みが発生して配管経路内に空気が混入する不具合を防止するため、補給前に水素補給装置側に配管経路に巻き込まれた空気を除去する真空ポンプ等の装置を用意して、水素補給装置の接続後で水素補給前に真空引き動作をさせることが望ましい。
【0019】
補給された水素は水素吸蔵合金2中に貯蔵される他、フィルター8および配管経路A5、さらに圧力調節器4以降は減圧された状態で、配管経路B6より燃料電池セル3までの配管経路に充填される。燃料電池セル動作時は、まず燃料電池セル側配管経路B6までの水素が消費され、消費された水素を補給すべく水素吸蔵合金2に貯蔵された水素がフィルター8、配管経路A5、圧力調節器4および配管経路B6を順次経由して燃料電池セル3に供給され、燃料電池セル3側の水素圧力を一定に保持しながら燃料電池セル3が継続的に動作して、携帯機器に安定に電力を供給する。
【0020】
以上、実施の形態1の携帯機器用燃料電池システムによると、水素吸蔵容器から燃料電池セルへ水素を供給する配管経路、および配管経路に付属する付属装置を水素吸蔵容器筐体内部に設け、さらに付属装置を水素吸蔵容器筐体内部に配置して水素吸蔵容器として一体化することにより、各々が水素の送気に耐えるような肉厚に設計される各付属装置の容積を小さくできると同時に各付属装置を接続する配管やコネクタを省略でき、この結果、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が可能となる。
【0021】
実施の形態2.
実施の形態2の携帯機器用燃料電池システムを図2および図3に示す。図2は、より詳細には、燃料電池セル側の水素圧力に対して歪み変形する基板を適用した圧力調節機構を示したものである。図2(a)は圧力調節器を組み込んだ水素吸蔵容器、(b)は圧力調節器の上面図であり、図3は圧力調節器の断面図で、(a)燃料電池セル側の水素圧力が低い場合と、(b)燃料電池セル側の水素圧力が高い場合の動作をそれぞれ示している。図2(a)のように、圧力調節器4は水素吸蔵容器筐体1a内に配置され、水素吸蔵容器1、水素吸蔵合金2、水素補給口7、フィルター8、燃料電池セル3などの外形、配置および作製方法は実施の形態1と同様である。
【0022】
図2(b)および図3に示すように、圧力調節器4は燃料電池セル3側の水素圧力により歪み量が変化するように厚みが調整され、下面側に空洞部14を有する歪み変形基板10と、基板10の上面側に形成された絶縁体からなる圧力制御弁11と、水素吸蔵合金2側から圧力を受ける面積を小さくして上部から歪み変形基板10にかかる力を減らすように圧力制御弁11の周囲に配置された弾性材料12と、水素吸蔵合金2から圧力制御弁11に水素を送る配管経路A5と圧力制御弁11から燃料電池セル3へ水素を供給する配管経路B6と、配管経路B6と歪み変形基板10下面側の空洞部14とを連通させる配管経路C13で構成されている。
【0023】
圧力調節器4は下面側に空洞部14を有する歪み変形基板10と上面側の流路を形成する基板とを膜形成とエッチングなどの微細加工技術を用いて各々1枚の基板上に複数の歪み変形基板や流路形成基板を別個に大量に形成した後、各基板単位毎に分断した上で、個々の複数の歪み変形基板や流路を形成する基板を上下重ねて接着することにより形成される。このような製造方法を適用することにより、圧力調節器4の製造コストを低減できる。
【0024】
圧力調節器4は水素吸蔵容器筐体1aを接合する際に筐体に組み込まれ、上下の各基板が1Mpaの耐圧をもつように接着剤あるいはバイトンやシリコンゴムなどの弾性材料で密閉される。下方の歪み変形基板10は、(1)裏面側からの空洞部14のエッチング、(2)上面側からの圧力制御部のエッチング、(3)穴あけ加工による配管経路C13の形成、(4)圧力制御弁11(絶縁膜)の形成、(5)圧力制御部絶縁膜を囲む弾性材料12の形成、の一連のプロセスによって作製される。
【0025】
また、上部の流路を形成するエッチングによる流路の形成および燃料電池セル3への経路の穴あけ加工は、選択的にウエットエッチングが可能な材料の埋め込みによる犠牲層の形成、表面層の形成、犠牲層のエッチングなどのプロセスにより形成するか、あるいは流路をエッチングにより圧力制御弁11と接する側と反対側表面に形成し、また、圧力制御弁11に通じる経路を穴あけ加工することにより形成する。同一基板上に大量に形成された流路形成基板および歪み変形基板を、各々分断して張り合わせることにより上記の圧力調節器4(圧力調節機構)が形成される。
【0026】
外部からの水素補給および水素吸蔵合金2から燃料電池セル3への水素の供給方法は実施の形態1と同様である。燃料電池セル側圧力が常圧に近い場合は歪み変形基板10は歪んでおらず、圧力制御弁11は開いており、配管経路A5と配管経路B6は通じている。
【0027】
外部からの水素補給時、配管経路A5、圧力制御弁11、配管経路B6を通して燃料電池セル3側の水素圧力が増加すると、圧力制御弁11下の空洞部14の圧力が上昇し、歪み変形基板10が上方に歪んで配管経路A5と配管経路B6の通路を遮断する。燃料電池セル動作時には、配管経路B6に滞留している水素が燃料電池セル3で消費され、燃料電池セル3側の水素圧力が低下すると歪み変形基板10の歪みが戻り、圧力制御弁11が下方に動くことによって配管経路A5と配管経路B6の経路が通じる。歪み変形基板10が燃料電池セル3側の水素圧力を一定に保持するように機能することにより、燃料電池セル3の動作が継続され、携帯機器に安定に電力を供給することができる。
【0028】
以上、本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムの一部である圧力調節機構が、燃料電池セル側の水素圧力に対して歪み変形する基板と、基板上に形成された圧力制御弁からなるので、燃料電池セルの固体高分子膜の破損を有効に防止可能な安定性の高い圧力調節機構を小さな容積で形成できる結果、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が可能となる。
【0029】
実施の形態3.
本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムを図4に示す。図4は、より詳細には、細い流路と開閉弁による圧力調節機構をもつ水素吸蔵容器の一例を示している。本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムでは、圧力制御方法が実施の形態1および2における圧力制御方法より簡便である点に特徴がある。すなわち、細い配管(キャピラリー)を水素が通過する際の圧力損により燃料電池セル駆動時の圧力を下げるものであるため、厳密な動作をする圧力調節器が不要となるからである。
【0030】
ただし、燃料電池セル非駆動時や燃料電池セル3での水素の消費がほとんどない場合は燃料電池セル側の水素圧力が水素吸蔵合金2の水素圧力まで上昇し燃料電池セル3内の固体高分子膜を破損するおそれがあるため、燃料電池セル3の非動作時に水素の流れを遮断する開閉弁16が新たに必要となる。この方式は特に燃料電池セル3が一定の電力を供給し続けるような燃料電池システム、あるいは燃料電池セル3以外に二次電池を装備し、二次電池を介して電力を供給する燃料電池システムにおいて、二次電池への充電を主目的とした燃料電池システムへ適用すると好適である。
【0031】
水素吸蔵容器1、水素吸蔵合金2、燃料電池セル3、水素補給口7、フィルター8、などの外形、配置および作製方法は実施の形態1と同様であるが、圧力調節機構および配管経路として、実施の形態1における配管経路A5、圧力調節器4、配管経路B6の代わりにキャピラリー15および開閉弁16が設けられている。
【0032】
水素吸蔵容器筐体1aは実施の形態1と同様、アルミニウム等が用いられ、厚み方向に二分された状態でキャピラリー15が形成され、開閉弁16の組み込み、フィルター8の設置、水素補給口7の設置、水素吸蔵合金3の充填を行った後、上下の筐体部分は溶接により一体化され水素吸蔵容器筐体1aとなる。
【0033】
水素吸蔵合金2への水素補給方法も実施の形態1と同様であるが、燃料電池セル3の駆動および停止動作が異なる。燃料電池セル3を動作させる際に開閉弁16を開とし、燃料電池セル3への水素の供給を開始する。また、燃料電池セル3を停止させる際には開閉弁16を閉とすることにより燃料電池セル3への水素供給を停止する。
【0034】
以上、本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムによると、圧力調節機構が、水素吸蔵容器の一部に組み込まれた細い流路(キャピラリー)と開閉弁からなるので、小さな容積で細い流路が形成可能で、細い流路の圧力損により簡単な機構で燃料電池セルへ供給する水素の圧力を下げることができるため、燃料電池セルの固体高分子膜の破損を有効に防止可能な安定性の高い圧力調節機構を一層小さな容積で形成できる結果、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が簡便に図れる。
【0035】
実施の形態4.
本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムを図5、図6に示す。図5は、より詳細には、圧力調節機構として上下に電極を有する圧電体を適用した圧電体制御弁およびかかる制御弁を用いた携帯機器用燃料電池システムの一例を示し、(a)は水素吸蔵容器と燃料電池セルの厚み方向の断面図、(b)は(a)のA―A”線についての水素吸蔵容器の断面図を示している。また、図6(a)は圧力調節器の構造図および断面図、(b)は圧電体制御弁の断面図、をそれぞれ示す。なお、圧電体制御弁24とは、圧電体で構成された圧力制御弁を指す。
【0036】
図5に示すように、実施の形態1と同様、圧力調節器4は水素吸蔵容器筐体1a内に配置され、水素吸蔵容器1、水素吸蔵合金2、燃料電池セル3、水素補給口7、フィルター8、などの外形、配置および作製方法も実施の形態1と同様であるが、圧力調節機構20(付属装置の一部)と同一基板上に圧力検知機構21(付属装置の一部)を、また、燃料電池セル3上に圧力制御回路17を設けている点に特徴がある。
【0037】
圧力調節機構20は上面側に上部電極、下面側に下部電極が形成された圧電体を具備した圧電体制御弁24からなり、圧力検知機構21は上面側に上部電極、下面側に下部電極が形成された圧電体を具備した圧電体検知部25からなる。圧電体制御弁24および圧電体検知部25は、さらに詳細には、図6(b)に示すように、表面側から保護膜29、上部電極28、圧電体27、下部電極26、支持基板22で構成されている。
【0038】
圧力検知機構21の圧電体検知部25で検知した燃料電池セル3へ供給される水素の圧力と燃料電池セル3の動作電力とから所望の水素圧力および水素流量を得るべく圧電体制御弁24に電圧を印加し、圧電体27の歪み量を制御する。かかる制御によって燃料電池セル3に供給する水素の圧力および流量を最適に保持することができる。圧力検知機構21は上述の圧電体27の代わりに歪みゲージを利用することも可能である。また、圧力制御回路17は水素吸蔵容器1内部の圧力調節機構20と同一支持基板22上に形成してもよい。
【0039】
図6(a)において、圧力検知機構21は圧力調節機構20と燃料電池セル3へ通じる配管経路B6との間に位置し、圧力調節機構20に対して燃料電池セル3側の水素の圧力を検知する。圧力調節機構20は支持基板22とその上に形成された圧電体制御弁24と、配管経路A5から圧力検知機構21に通じる流路を形成する流路形成基板23と、圧電体27の歪み量を制御すべく燃料電池セル3から電圧を印加するためのリード線A18からなる。また、圧力検知機構21は水素圧力により歪み量が変化するように厚みを調整された支持基板22と、支持基板22上に形成された圧電体検知部25と圧力調節機構20から通じる流路と、配管経路B6に通じる経路と、歪み量に応じた電位差を圧力制御回路17に伝えるリード線B19からなる。
【0040】
実施の形態2の圧力調節機構と同様に、本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムにおける圧力調節機構20および圧力検知機構21は下方に空洞部をもつ歪み支持基板22と上方の流路を形成する流路形成基板23とを膜形成とエッチングなどの微細加工技術を用いて各々1枚の基板上に大量の歪み支持基板22と流路形成基板23を形成した後、個別に分断し、上下の各基板22,23を重ね合わせて接着することにより形成される。水素吸蔵容器筐体1aを溶接等によって接合する際に筐体内に組み込まれ、基板22,23が1Mpaの耐圧をもつように接着剤あるいはバイトンやシリコンゴムなどの弾性体で密閉される。
【0041】
下方の支持基板22は、(1)裏面より圧電体検知部25の下部のエッチング、(2)上面より圧電体検知部25および圧電体制御弁24の形成部のエッチング、(3)下部電極26の形成、(4)圧電体27の形成、(5)上部電極28の形成、(6)保護膜(絶縁膜)29、の順で形成される。
【0042】
圧力検知機構21の圧電体27は圧縮応力が加わったときに厚み方向に分極する特性を有する材質のもの、また、圧力調節機構20の圧電体27は厚み方向に電圧を印加した場合に厚み方向に縮むような特性を有する材質のものを用いる。また、上方の流路形成基板23は、エッチングによる流路の形成および燃料電池セル3への配管経路B6(2次圧力検知部上)およびリード線AおよびB18、19の穴あけ加工、選択的にウエットエッチングが可能な材料の埋め込みによる犠牲層の形成、表面層の形成、犠牲層のエッチングにより形成するか、あるいはエッチングにより圧電体制御弁24と接する側と反対側表面に流路を形成し、また、穴あけ加工によって圧電体制御弁24に通じる経路を形成する。同一基板上に大量に形成された支持基板22および流路形成基板23を各々分断されて張り合わせることにより上記の圧力調節器4が低コストで効率良く作製できる。
【0043】
外部からの水素補給および水素吸蔵合金2から燃料電池セル3への水素の供給方法は実施の形態1と同様である。燃料電池セル3側の水素圧力が常圧の場合は圧電体検知部25は歪んでおらず、圧力調節機構20の圧電体制御弁24は閉じており、水素吸蔵合金2と燃料電池セル3は通じていない。外部からの水素補給時も圧電体制御弁24は閉じた状態となる。電力を供給する携帯電子機器のスイッチを入れると、燃料電池セル3を起動させるべく圧力制御回路17から圧力調整機構20の圧電体制御弁24へ電力を送り、圧電体制御弁24を歪ませて流路の間に間隙を形成して燃料電池セル3へ水素を供給する。燃料電池セル3の動作時には圧力検知機構21において圧電体27の歪み量がリード線B19を通して電位差として圧力制御回路17に伝達され、検知した燃料電池セル3側の水素圧力、および動作環境によって異なる燃料電池セル3の動作電力との関係から圧電体制御弁24に印加する電圧を最適な状態に調節して、燃料電池セル3へ供給する水素流量を制御することにより携帯機器に安定に電力を供給することができる。
【0044】
以上、本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムによれば、水素吸蔵容器筐体内部に圧力検知機構を搭載し、圧力調節機構が圧電体からなる圧電体制御弁を備えたので、圧力検知機構により検知した燃料電池セルへ供給する水素の水素圧力および燃料電池セルの動作電力から最適な水素圧力および水素流量を得るべく圧電体制御弁に電圧を印加し、かかる圧電体制御弁の歪み量を制御することによって燃料電池セル側の水素圧力を調節して、燃料電池セルに供給する水素圧力を最適に保持できるような安定性の高い圧力調節機構および圧力検知機構を小さな容積で形成できる結果、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が図れる。
【0045】
実施の形態5.
実施の形態5の携帯機器用燃料電池システムを図7に示す。図7は、より詳細には、2つの圧力検知機構の各々の圧電体検知部を電気的に接続することにより圧力制御回路がなくても圧力調節が可能な携帯機器用燃料電池システムの一例を示したものである。図7(a)は実施の形態5の携帯機器用燃料電池システム中の圧力調節機構および圧力検知機構の上面図および断面図を示している。本構成では、水素吸蔵合金2から配管経路A5、1次圧力検知機構30、圧力調節機構20、2次圧力検知機構31、および燃料電池セル3へ通じる配管経路B6がこの順で配置されている。
【0046】
圧電体制御弁24および圧電体検知部25a,bは実施の形態4と同様に微細加工により支持基板22上に形成され、別個に形成された流路形成基板23と重ね合わせて接着され、水素吸蔵容器筐体1aに組み込まれる。圧力制御回路および圧力制御回路への配線が不要なため、流路形成基板23の穴あけ加工は不要となる。代わりに圧力調節機構20の圧電体制御弁24の第1圧電体の上部電極と1次圧力検知機構30の圧電体検知部25aの第2圧電体の上部電極とを電気的に接続する配線A32、2次圧力検知機構31の圧電体検知部25bの第3圧電体の上部電極と圧力調節機構20の圧電体制御弁24の第1圧電体の下部電極を電気的に接続する配線B33、1次圧力検知機構30と2次圧力検知機構31の第2および第3圧電体の下部電極同士を電気的に接続する配線C34を、成膜およびエッチング工程により形成する。実施の形態4と同様、2つの圧力検知機構30,31の第2および第3圧電体は圧縮応力が加わったときに厚み方向に分極する特性をもつもの、また、圧力調節機構20の第1圧電体は厚み方向に電圧を印加した場合に厚み方向に縮むような特性をもつものを用いる。
【0047】
外部からの水素補給および水素吸蔵合金2から燃料電池セル3への水素の供給方法は実施の形態1と同様である。以下に本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムで特徴的な圧力制御動作について説明する。
【0048】
図7(b)は上述の圧力調節機構および圧力検知機構の電気的な構成を説明するための概略図である。1次圧力検知機構30と2次圧力検知機構31の圧電体検知部25a,bを構成する第2および第3圧電体が互いに同一材料で、かつ膜厚と面積が等しい場合を考える。水素吸蔵合金2の平衡圧力P0,水素吸蔵合金2側の1次圧力および燃料電池セル3側の2次圧力を各々P1,P2,圧電体検知部25a,bの下部電極の電位を0、膜厚方向の歪みにより誘起される電荷を各々Q1、Q2、圧電体の静電容量をC、圧力調節機構20の圧電体制御弁24に生ずる電位差をVとする。燃料電池セル3の非駆動時はP1=P2=P0となり、圧電体制御弁24は閉じている。燃料電池セル3への接続あるいは燃料電池セル3の動作により圧力センサ室の圧力が低下すると、圧電体制御弁24にV=(Q1−Q2)/Cの電位差が生じ、電位差Vにより圧電体制御弁24の第1圧電体が膜厚方向に収縮して弁が開き、1次圧力検知機構30から2次圧力検知機構31へと水素が流れる。しかしながら、上記の場合には流れる水素の量を抑制し、その圧力損から燃料電池セル3動作時の圧力を低下させることはできるものの、燃料電池セル3の待機時には燃料電池セル3の圧力が平衡圧力まで上昇してしまい、固体高分子膜への負荷を回避できない不具合が生じうる。
【0049】
1次圧力検知機構30の圧電体検知部25aと2次圧力検知機構31の圧電体検知部25bとの面積あるいは膜厚比を変化させた場合には、同じ歪み量に対し各圧電体に誘起される電荷量を調節できるため、燃料電池セル3側の水素圧力がより低い場合に圧電体制御弁24が閉じるように設定することにより、燃料電池セル3の待機時であっても水素圧力を低く保持することが可能となる。
【0050】
例えば、1次圧検知機構30の圧電体検知部25aの面積が2次厚検知機構31の圧電体検知部25bの面積の1/5である場合を考える。圧電体制御弁24は各々の圧電体検知部25a,bの各圧電体の上部電極に誘起される電荷量が等しい場合に閉じるので、かかる圧力が圧電体の歪み量に比例し、圧電体の歪み量が誘起される電荷量に比例すると仮定すると、2次圧力検知機構31の第3圧電体の歪み量が1次圧力検知機構30の第2圧電体の歪み量の半分となったとき、つまり、水素圧力が半分となったときに圧電体制御弁24が閉じるように燃料電池セル3側の水素圧力を制御できる。また、各圧電体を保持する支持基板の厚み、あるいは支持基板上の圧電体の膜構成を互いに変えることによっても同様の効果を奏する。
【0051】
以上、本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムによれば、水素吸蔵容器内部に2つの圧力検知機構を搭載し、圧力検知機構と圧力調節機構が上下に電極をもつ圧電体からなり、2つの圧力検知機構の上部電極を各々圧力制御弁の上下の電極に、また2つの圧力検知機構の反対側の電極同士を接続することにより圧力検知機構の圧電体の歪みによって生じる電位差をそのまま圧電体による制御弁の電位差とし、燃料電池セルからの電力供給がなくても圧力検知機構の歪みにより生じた電荷量の差を圧電体制御弁の歪による開閉制御に適用することができる構成としたので、小さな容積で供給水素圧力の制御が可能となり、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が図れる。
【0052】
実施の形態6.
実施の形態6の携帯機器用燃料電池システムを図8に示す。図8は、より詳細には、規定圧力以上あるいは規定温度以上で破壊する破砕孔で構成された内圧を下げる内圧制御機構(ガス放出機構)をもつ水素吸蔵容器の構造図である。図8(a)は水素吸蔵容器に組み込まれた破砕孔式水素逃がし弁を、(b)は破砕孔式水素逃がし弁を示している。水素吸蔵合金2から水素吸蔵容器筐体1a外部へ連通した配管経路上に破砕孔式水素逃がし弁35が配置される。かかる破砕孔式水素逃がし弁35は、通常は水素吸蔵容器1を密閉するように破砕孔シール材37によってアルミニウムなどの材質からなる破砕材料36が組込まれているが、水素吸蔵容器1内の水素圧力あるいは水素吸蔵容器温度のいずれかが規定値を超えると、破砕材料36が破砕する。さらに、水素吸蔵容器筐体1a外部へ通ずる配管経路には白金触媒38が塗布され、水素が外部に放出される前に徐々に酸化し、安全な形態で外部に放出できるように構成されている。
【0053】
以上のように本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムは構成されているので、簡単な機構により水素吸蔵容器内圧の規定値以上の上昇を防止できるため、システムとしての安全性を保持しつつ携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が図れる。
【0054】
実施の形態7.
本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムを図9、図10に示す。図9は、より詳細には、規定圧力以上でバルブが開く水素逃がし弁と水素補給口との機能を併せ持った水素吸蔵容器であり、図10はかかる補給口の構造図を示したもので、(a)は水素逃がし弁が容器に組み込まれた通常の状態を表しており、(b)は水素補給時の補給器側のカプラとの接続を表している。
【0055】
水素補給口39は開閉式水素逃がし弁40と、開閉式水素逃がし弁40に規定圧力がかかった場合に開くように水素逃がし弁40を押さえつけるバネA41と、水素補給時に水素補給器カプラ43が補給口39に接続された際に水素逃がし弁40が開くように水素補給器カプラ43を押すバネB42とからなる。また、水素補給口39には水素補給器カプラ43のもつ突起を挿入し、挿入後に回転し、回転後にカプラ43がバネB42により押し出される方向に動くようにするための彫り込み経路がある。以下に動作を説明する。
【0056】
水素補給時は、水素補給器カプラ43が水素補給器カプラ43の外部突起44を水素補給口39の彫り込みにあわせて挿入される。水素補給器カプラ43はバネB42により押し出される方向に力を受けるが、力をかけた状態で彫り込みに従い回転させると、水素補給器カプラ43の内部突起45が水素逃がし弁40の突起受け部46に接続される。そこで水素補給器カプラ43にかけた力を緩めると、バネB42により水素補給器カプラ43が押し戻され、同時にそれに接続した水素逃がし弁40が引っ張られて水素の補給経路が開かれる。
【0057】
水素補給時以外では、水素補給口39は開閉式水素逃がし弁40として機能し、水素吸蔵容器1の内圧がある規定圧力、ここでは1MPa程度の圧力が加わった場合に開閉式水素逃がし弁40が開くようなバネA41が選択され、水素吸蔵容器1の内圧が規定圧力以上に上昇した場合に開閉式水素逃がし弁40が開いて水素を外部に放出する。水素補給時以外の場合は、図9に示すように水素補給口39に水素補給口キャップ47をする。水素補給口キャップ47には外部に放出される水素の経路を設け、その経路には水素を徐々に燃焼させる白金触媒38を塗布しておくことにより、水素圧力が規定値に戻るまで安全に水素を放出できる。
【0058】
以上、本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムによると、ガス放出機構を水素吸蔵容器の水素充填口と共通化することにより、外部へのガス放出口を新たに設ける必要がなくなるため、簡便な機構により水素吸蔵容器内圧の規定値以上の上昇を防止できる結果、システムとしての安全性を損なうことなく、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が図れる。
【0059】
実施の形態8.
実施の形態8の携帯機器用燃料電池システムを図11および図12に示す。図11および図12は、より詳細には、二次電池を備え、燃料電池セルが駆動していない場合でも水素吸蔵容器内圧が規定値以上に上昇した場合に燃料電池セルが駆動し、電力を二次電池に蓄える機能をもつ燃料電池システムの一例を示したものである。
【0060】
図11(a)は水素吸蔵容器と燃料電池セルの厚み方向の断面図、(b)は(a)のA―A”線についての水素吸蔵容器の断面図、図12は圧力調節器の概観図、をそれぞれ示す。圧力検知機構30,31および圧力調節機構20に圧電体を用い、圧電体検知部、圧電体制御弁の構成、圧力制御回路17による開閉動作の制御などは実施の形態4と同様であるが、図11(a)に示すように、水素吸蔵容器1、燃料電池セル3の他に二次電池48を備え、また、図12に示すように圧力調節器4には1次圧力検知機構30を設け、リード線C49(図11(a))により圧力制御回路17に対して、歪みにより生じる電位差を伝達する。水素吸蔵容器1の内圧が規定圧力以上となった場合、1次圧力検知機構30により規定圧力以上となったことを検知し、燃料電池セル3が動作するよう圧力制御回路17によって圧力調節機構20の圧電体に電圧を印加し、水素を供給して燃料電池セル3を駆動させる。燃料電池セル3が駆動していない場合に圧電体制御弁を動作させるための電圧印加は二次電池48に予め蓄積された電力を利用する。
【0061】
以上、本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムによると、燃料電池システム内に二次電池を設け、燃料電池セルを駆動させて発生した電力により二次電池への充電を行う機構を具備しかつ水素吸蔵容器の内圧の上昇を防止できるので、燃料電池セルで発生した電力を有効に活用しつつ小型の圧力調節器によってシステムとしての安全性を維持できるため、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が図れる。
【0062】
実施の形態9.
実施の形態9の携帯機器用燃料電池システムを図13、図14に示す。図13および図14は、より詳細には、圧力調節機構を形成した支持基板と同一基板上に、水素吸蔵容器が規定圧力以上となった場合に圧力を下げる内圧制御機構を設けた燃料電池システムの一例を示したものである。図13に水素吸蔵容器の厚み方向断面図、図14(a)に水素放出機構を備えた圧力調節器、(b)に圧電体を利用したガス放出機構の断面、(c)に歪み変形基板を用いた水素逃がし弁の構造図、をそれぞれ示す。
【0063】
本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムでは、ガス放出機構51は圧電体を用いた水素逃がし弁52と流路とで構成され、その構造は実施の形態4における圧力調節機構20と同様である。また、実施の形態8と同様に水素吸蔵容器1内の水素圧力を検知するために1次圧力検知機構30を有し、圧電体水素逃がし弁52の動作を圧力制御回路により行う。
【0064】
1次圧力検知機構30で生じた電位差はリード線49により圧力制御回路に伝達される。水素吸蔵容器1内の圧力が規定圧力以上となった場合、圧力制御回路から圧電体水素逃がし弁52に電圧を印加して、水素を外部に放出する。放出経路には水素を燃焼させる白金触媒を用いる。この結果、水素を安全に外部に放出できる。
【0065】
また、水素を逃がす機構は図3において用いたような歪み変形基板を用いることもできる。歪み変形基板53および流路形成基板23は実施の形態2と同様に微細加工技術によって形成される。歪み変形部には絶縁体等を用いた水素逃がし弁54が形成されるが、規定圧力までは弁が開かないよう、あらかじめ水素逃がし弁54は流路と貼り合わせた場合に流路形成基板23を押しつけ、水素吸蔵合金2から規定圧力がかかったときに弁が開くように水素逃がし弁54の高さおよび歪み変形基板53の歪み変形部の厚みが調整されている。
【0066】
歪み変形基板53を適用した水素吸蔵容器1の内圧を下げる内圧制御機構は、実施の形態2の歪み変形基板を利用した圧力調節機構と同一基板上に形成され、水素吸蔵容器筐体1a内部に組み込まれるが、本構成によると圧力制御回路が不要で、駆動に電圧印加を必要としないという利点がある。つまり、内圧制御機構が複数の圧力調節機構を形成した基板と同一基板上に形成されることにより、圧力調節機構と内圧制御機構を同時に形成できる。
【0067】
以上、本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムは、上述のように構成されているので、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が一層図れる。
【0068】
【発明の効果】
本発明に係る携帯機器用燃料電池システムでは、水素を燃料として電力を発電する燃料電池セルと上記燃料電池セルに水素を供給する水素吸蔵容器とを具備し、上記水素吸蔵容器が、水素吸蔵容器筐体と、上記水素吸蔵容器筐体内に配置された水素吸蔵材料と、上記水素吸蔵容器筐体の表面に設けられた接続口と、上記水素吸蔵材料と前記接続口との間に配設された配管経路と、上記配管経路に設けられた付属装置と、を備えたので、水素吸蔵容器と燃料電池セルを結合する経路上の装置、配管、コネクタなどが不要となり、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の携帯機器用燃料電池システムを示し、図1(a)は水素吸蔵容器と燃料電池セルの厚み方向の断面図、(b)は(a)のA―A”線についての水素吸蔵容器の断面図である。
【図2】実施の形態2の携帯機器用燃料電池システムを示し、(a)は圧力調節器を組み込んだ水素吸蔵容器、(b)は圧力調節器の上面図である。
【図3】実施の形態2の携帯機器用燃料電池システムの一部である圧力調節器の断面図で、(a)燃料電池セル側の水素圧力が低い場合と、(b)燃料電池セル側の水素圧力が高い場合の動作を示している。
【図4】実施の形態3の携帯機器用燃料電池システムを示す図である。
【図5】実施の形態4の携帯機器用燃料電池システムを示し、(a)は水素吸蔵容器と燃料電池セルの厚み方向の断面図、(b)は(a)のA―A”線についての水素吸蔵容器の断面図である。
【図6】実施の形態4の携帯機器用燃料電池システムの一部である圧力調節器を示し、(a)は圧力調節器の上面図および断面図、(b)は圧電体の断面図、である。
【図7】実施の形態5の携帯機器用燃料電池システムを示し、(a)は圧力調節機構および圧力検知機構の上面図および断面図、(b)は圧力調節機構および圧力検知機構間の電気的接続に関する概略図である。
【図8】実施の形態6の携帯機器用燃料電池システムを示し、(a)は破砕孔式水素逃がし弁が組込まれた水素吸蔵容器、(b)は破砕孔式水素逃がし弁の概略図である。
【図9】実施の形態7の携帯機器用燃料電池システムを示す図である。
【図10】実施の形態7の携帯機器用燃料電池システムの一部である水素補給口の構造図を示したもので、(a)は水素逃がし弁が容器に組み込まれた通常の状態を表しており、(b)は水素補給時の補給器側のカプラとの接続を表している。
【図11】実施の形態8の携帯機器用燃料電池システムを示し、(a)は水素吸蔵容器と燃料電池セルの厚み方向の断面図、(b)は(a)のA―A”線についての水素吸蔵容器の断面図である。
【図12】実施の形態8の携帯機器用燃料電池システムの一部である圧力調節器の上面図である。
【図13】実施の形態9の携帯機器用燃料電池システムの一部である水素吸蔵容器の図である。
【図14】実施の形態9の携帯機器用燃料電池システムの一部で、(a)は水素放出機構を備えた圧力調節器の上面図、(b)は圧電体を利用したガス放出機構の断面図、(c)は歪み変形基板を用いた水素逃がし弁の断面図である。
【符号の説明】
1 水素吸蔵容器、 1a 水素吸蔵容器筐体、 2 水素吸蔵合金、 3 燃料電池セル、 4 圧力調節器、 5 配管経路A、 6 配管経路B、 7水素補給口、 8 フィルター、 9 接続口、 10 歪み変形基板、 11 圧力制御弁、 12 弾性材料、 13 配管経路C、 14 空洞部、 15 キャピラリー、 16 開閉弁、 17 圧力制御回路、 18 リード線A、 19 リード線B、 20 圧力調節機構、 21 圧力検知機構、 22 支持基板、 23 流路形成基板、 24 圧電体制御弁、 25 圧電体検知部、 26 下部電極、 27 圧電体、 28 上部電極、 29 保護膜、 30 1次圧検知機構、 31 2次圧検知機構、 32 配線A、 33 配線B、 34 配線C、 35 水素逃がし弁(破砕孔式)、 36 破砕材料、 37 シール材、 38 白金触媒、 39 水素逃がし弁付水素補給口、 40 開閉式水素逃がし弁、 41 バネA、 42 バネB、 43 水素補給器カプラ、 44 外部突起、 45 内部突起、 46 突起受け部、 47 補給口キャップ、 48 二次電池、 49 リード線C、 50 水素逃がし弁付圧力調節器、 51 圧電体水素放出機構、 52 水素逃がし弁(圧電体)、 53 歪み変形基板、 54 水素逃がし弁(絶縁体)。
【発明の属する技術分野】
本発明は水素吸蔵材料を適用した水素吸蔵容器およびそれを用いた燃料電池システムに関するもので、特に携帯機器用燃料電池システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水素を燃料とした燃料電池は、供給される水素ガスの化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するため高い発電効率を得ることができる。近年、携帯機器への使用を目的として、水素吸蔵材料に水素を貯蔵し、水素吸蔵容器と燃料電池を接続することにより純水素を燃料電池に供給する小型燃料電池システムおよびその構造が提案されている。
【0003】
水素吸蔵材料の一つである水素吸蔵合金の水素の吸放出特性は材料固有の平衡圧力に依存し、水素吸蔵容器の内圧が平衡圧力以上の場合に貯蔵可能な大半の水素を吸収し、平衡圧力以下で水素を放出するという特性を有する。その際、平衡圧力は水素吸蔵合金の材料組成を制御することにより任意に調整でき、通常の高圧で水素を充填する水素ボンベなどに比べて非常に低い圧力で水素の吸放出が可能なため、取り扱いに注意を要する高圧容器を何ら必要としないので、水素吸蔵材料として大きな利点をもつ。平衡圧力は常圧付近とすることも可能であるが、水素吸蔵合金の平衡圧力が常圧に近い場合は、気温の変化により常圧では水素放出が困難になる場合があり、使用環境が制限されてしまう不都合があった。よって、実際には水素吸蔵合金の平衡圧力を常圧の数倍程度まで高く設定する必要があった。
【0004】
しかしながら、固体高分子型燃料電池では固体高分子膜の耐圧が低く、上記のような常圧に比べて高い水素吸蔵容器の圧力の状態で燃料電池へ水素を搬送した場合には固体高分子膜が破損してしまうなどの問題が生じた。また、水素吸蔵合金は温度の上昇に伴い平衡圧力が上昇するため、容器の破裂や変形を防止するために、水素吸蔵合金容器の圧力がある一定圧力以上に上昇した場合に水素吸蔵容器内の圧力を下げる機構を備えることが必要であった。
【0005】
例えば、特許文献1では水素吸蔵ボンベ(水素吸蔵容器)から燃料電池へ水素を供給する途中経路と燃料電池での未反応ガスを水素吸蔵ボンベに送る排ガス経路を具備し、それらの圧力検出と圧力制御を行うことにより燃料電池の運転状況に応じた圧力制御を行う構造が開示されている。
【0006】
また、特許文献2に開示された燃料電池システムでは、燃料電池と直方体形状の水素吸蔵合金容器の間の水素流通経路に水素吸蔵合金容器と燃料電池とを脱着可能に接続する接続部、水素の開閉を行うミニバルブ、および水素圧力を調整する圧力調整器とを備えており、パーソナルコンピュータやラジオなど、比較的小型な電子機器への応用が想定されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−60895号公報
【特許文献2】
特開平10−64567号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1、2などのような水素吸蔵材料およびそれを貯蔵する容器を具備する小型燃料電池システムにおいて、水素吸蔵容器と燃料電池の間の経路に弁装置や圧力調節装置などの付属装置を設けた場合、弁装置や圧力調整装置、コネクタ、経路は数気圧の水素の流れを保持するように設計されるため、ある程度の容積が必要であった。
【0009】
また、小型容器内で限定された容積の水素吸蔵材料に吸蔵された水素を燃料とする場合、十分なエネルギー量を得るには小型容器内に対する水素吸蔵材料の占める割合をなるべく高める必要があり、上述の弁装置等の装置類の占める体積は無視できなかった。かかる装置類は燃料電池システムの小型化の支障となり、先行技術文献では想定されていない、さらに小型化された、例えば携帯機器用の電子機器に適用する場合には、個々の装置類における個別の小型化だけでは適切な燃料電池システムを構成できなかった。
【0010】
本発明は携帯電話やデジタルカメラ、あるいはさらに小型化された携帯用機器へも十分搭載可能でかつ機能性や安全性にも優れた水素吸蔵容器を具備した小型の携帯機器用燃料電池システムを得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る携帯機器用燃料電池システムは、水素を燃料として電力を発電する燃料電池セルと上記燃料電池セルに水素を供給する水素吸蔵容器とを備え、携帯機器に搭載された携帯機器用燃料電池システムであって、上記水素吸蔵容器が、水素吸蔵容器筐体と、上記水素吸蔵容器筐体内に配置された水素吸蔵材料と、上記水素吸蔵容器筐体の表面に設けられた接続口と、上記水素吸蔵材料と前記接続口との間に配設された配管経路と、上記配管経路に設けられた付属装置と、を備える。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明における実施の形態1の携帯機器用燃料電池システムを、図1に基づいて説明する。図1に燃料電池セルへ水素を供給する際の水素圧力を水素吸蔵合金の平衡圧力以下に調節する機能を有する圧力調節機構が水素吸蔵容器筐体内部に設けられた携帯機器用燃料電池システムの構成図の一例を示す。図1(a)は水素吸蔵容器と燃料電池セルの厚み方向の断面図、(b)は(a)のA―A”線についての水素吸蔵容器の断面図を示している。
【0013】
図1中、1は水素吸蔵容器、1aは水素吸蔵容器筐体、2は水素吸蔵容器1の中に充填される水素吸蔵合金(水素吸蔵材料)、3は水素吸蔵容器1に密着するように配置され水素を燃料として電力を供給する燃料電池セル、4は水素吸蔵容器1中に配置された圧力調節器(付属装置の一部、圧力調節機構)、5は水素吸蔵容器1中に配設され水素吸蔵合金2から放出される水素を圧力調節器4に送る配管経路A、6は同じく水素吸蔵容器1中に配設され圧力調節器4から燃料電池セル3に水素を供給する配管経路B、7は水素吸蔵容器筐体の表面に設けられ外部の水素補給装置から水素吸蔵容器1に水素を供給する際に水素補給装置と水素吸蔵容器1との接続を行い、接続された際に開き、接続が解除された際に閉じる弁機構を兼ね備えた水素補給口、8は水素吸蔵合金2から燃料電池セル3あるいは水素補給口7に対して粉体である水素吸蔵合金2の放出を防止するフィルター(付属装置の一部)、9は水素吸蔵合金2と燃料電池セル3の接続部との接続口、をそれぞれ示す。
【0014】
水素吸蔵容器1は厚み方向の長さが短い直方体形状を呈し、厚み方向の水素吸蔵容器1上に燃料電池セル3が密着して配置されている。水素吸蔵容器1の外形寸法の一例としては、およそ3cm×4cm×0.5cmで、水素吸蔵容器筐体1aを構成する材料としては、1Mpa程度の圧力に耐えるように、0.8mm程度の肉厚のアルミニウムあるいはステンレスなどの金属が用いられる。水素吸蔵容器筐体1aは、アルミニウムの場合は鋳造、彫り込み、穴あけなどの加工により、また、ステンレスの場合は折り曲げ、溶接などの加工により、厚み方向に0.5cm程度に二分された状態で配管経路A5、配管経路B6および圧力調節器4を埋め込む部分が形成され、圧力調節器4の組み込み、フィルター8の設置、水素補給口7の設置、水素吸蔵合金2の充填を行った後、溶接により上下の部位を一体化して一つの水素吸蔵容器筐体1aとなる。
【0015】
水素吸蔵合金2は通常数十μm程度の粉末状であるが、空洞率の大きいポーラス材料に浸透させることにより、粉末を固定化することもできる。水素吸蔵合金2は材料および材料組成により吸放出特性を決める平衡圧力を調整できるが、平衡圧力は水素吸蔵合金の温度によっても変化し、温度上昇に伴い平衡圧力も増加する。AB5型のLaNi5を主成分とする水素吸蔵合金2を用いた場合、使用環境が0〜60℃程度であることを想定し、平衡圧力が0℃で常圧以上、60℃で1Mpaを越えないように20℃の平衡圧力が0.4〜0.5Mpa程度の水素吸蔵合金用材料を用いると好適である。溶接され一体となった水素吸蔵容器筐体1aは接続口9を介して別個に作製された燃料電池セル3と組み合わされ、水素吸蔵容器1から燃料電池セル3への経路が外部から密閉されることにより本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムが完成する。
【0016】
次に、水素吸蔵容器1への水素の補給と燃料電池セル駆動時の動作について説明する。水素補給時には、水素吸蔵容器1は着脱式で接続することにより弁が開くような機構をもつ水素補給口7に、高圧ボンベや、水の電気分解、あるいはメタノール、エタノール、ジメチルエーテルなどの改質によって水素を発生する水素発生器などの水素補給装置が接続され、水素吸蔵容器筐体1aの表面に設けられた水素補給口7を介して水素吸蔵容器1内の水素吸蔵合金2へ水素が補給、貯蔵される。
【0017】
その際、水素補給側圧力は水素吸蔵合金2の平衡圧力以上で、かつ1Mpa以下とする。水素吸蔵合金2への水素の吸蔵は発熱反応であるため、水素吸蔵合金2を冷却することにより水素化反応速度が加速される。よって、水素補給装置に冷却機構が設けられていると、より短時間での水素補給が可能となる。
【0018】
また、水素補給装置に水素補給口7を接続する際に若干の配管経路への空気の巻き込みが発生して配管経路内に空気が混入する不具合を防止するため、補給前に水素補給装置側に配管経路に巻き込まれた空気を除去する真空ポンプ等の装置を用意して、水素補給装置の接続後で水素補給前に真空引き動作をさせることが望ましい。
【0019】
補給された水素は水素吸蔵合金2中に貯蔵される他、フィルター8および配管経路A5、さらに圧力調節器4以降は減圧された状態で、配管経路B6より燃料電池セル3までの配管経路に充填される。燃料電池セル動作時は、まず燃料電池セル側配管経路B6までの水素が消費され、消費された水素を補給すべく水素吸蔵合金2に貯蔵された水素がフィルター8、配管経路A5、圧力調節器4および配管経路B6を順次経由して燃料電池セル3に供給され、燃料電池セル3側の水素圧力を一定に保持しながら燃料電池セル3が継続的に動作して、携帯機器に安定に電力を供給する。
【0020】
以上、実施の形態1の携帯機器用燃料電池システムによると、水素吸蔵容器から燃料電池セルへ水素を供給する配管経路、および配管経路に付属する付属装置を水素吸蔵容器筐体内部に設け、さらに付属装置を水素吸蔵容器筐体内部に配置して水素吸蔵容器として一体化することにより、各々が水素の送気に耐えるような肉厚に設計される各付属装置の容積を小さくできると同時に各付属装置を接続する配管やコネクタを省略でき、この結果、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が可能となる。
【0021】
実施の形態2.
実施の形態2の携帯機器用燃料電池システムを図2および図3に示す。図2は、より詳細には、燃料電池セル側の水素圧力に対して歪み変形する基板を適用した圧力調節機構を示したものである。図2(a)は圧力調節器を組み込んだ水素吸蔵容器、(b)は圧力調節器の上面図であり、図3は圧力調節器の断面図で、(a)燃料電池セル側の水素圧力が低い場合と、(b)燃料電池セル側の水素圧力が高い場合の動作をそれぞれ示している。図2(a)のように、圧力調節器4は水素吸蔵容器筐体1a内に配置され、水素吸蔵容器1、水素吸蔵合金2、水素補給口7、フィルター8、燃料電池セル3などの外形、配置および作製方法は実施の形態1と同様である。
【0022】
図2(b)および図3に示すように、圧力調節器4は燃料電池セル3側の水素圧力により歪み量が変化するように厚みが調整され、下面側に空洞部14を有する歪み変形基板10と、基板10の上面側に形成された絶縁体からなる圧力制御弁11と、水素吸蔵合金2側から圧力を受ける面積を小さくして上部から歪み変形基板10にかかる力を減らすように圧力制御弁11の周囲に配置された弾性材料12と、水素吸蔵合金2から圧力制御弁11に水素を送る配管経路A5と圧力制御弁11から燃料電池セル3へ水素を供給する配管経路B6と、配管経路B6と歪み変形基板10下面側の空洞部14とを連通させる配管経路C13で構成されている。
【0023】
圧力調節器4は下面側に空洞部14を有する歪み変形基板10と上面側の流路を形成する基板とを膜形成とエッチングなどの微細加工技術を用いて各々1枚の基板上に複数の歪み変形基板や流路形成基板を別個に大量に形成した後、各基板単位毎に分断した上で、個々の複数の歪み変形基板や流路を形成する基板を上下重ねて接着することにより形成される。このような製造方法を適用することにより、圧力調節器4の製造コストを低減できる。
【0024】
圧力調節器4は水素吸蔵容器筐体1aを接合する際に筐体に組み込まれ、上下の各基板が1Mpaの耐圧をもつように接着剤あるいはバイトンやシリコンゴムなどの弾性材料で密閉される。下方の歪み変形基板10は、(1)裏面側からの空洞部14のエッチング、(2)上面側からの圧力制御部のエッチング、(3)穴あけ加工による配管経路C13の形成、(4)圧力制御弁11(絶縁膜)の形成、(5)圧力制御部絶縁膜を囲む弾性材料12の形成、の一連のプロセスによって作製される。
【0025】
また、上部の流路を形成するエッチングによる流路の形成および燃料電池セル3への経路の穴あけ加工は、選択的にウエットエッチングが可能な材料の埋め込みによる犠牲層の形成、表面層の形成、犠牲層のエッチングなどのプロセスにより形成するか、あるいは流路をエッチングにより圧力制御弁11と接する側と反対側表面に形成し、また、圧力制御弁11に通じる経路を穴あけ加工することにより形成する。同一基板上に大量に形成された流路形成基板および歪み変形基板を、各々分断して張り合わせることにより上記の圧力調節器4(圧力調節機構)が形成される。
【0026】
外部からの水素補給および水素吸蔵合金2から燃料電池セル3への水素の供給方法は実施の形態1と同様である。燃料電池セル側圧力が常圧に近い場合は歪み変形基板10は歪んでおらず、圧力制御弁11は開いており、配管経路A5と配管経路B6は通じている。
【0027】
外部からの水素補給時、配管経路A5、圧力制御弁11、配管経路B6を通して燃料電池セル3側の水素圧力が増加すると、圧力制御弁11下の空洞部14の圧力が上昇し、歪み変形基板10が上方に歪んで配管経路A5と配管経路B6の通路を遮断する。燃料電池セル動作時には、配管経路B6に滞留している水素が燃料電池セル3で消費され、燃料電池セル3側の水素圧力が低下すると歪み変形基板10の歪みが戻り、圧力制御弁11が下方に動くことによって配管経路A5と配管経路B6の経路が通じる。歪み変形基板10が燃料電池セル3側の水素圧力を一定に保持するように機能することにより、燃料電池セル3の動作が継続され、携帯機器に安定に電力を供給することができる。
【0028】
以上、本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムの一部である圧力調節機構が、燃料電池セル側の水素圧力に対して歪み変形する基板と、基板上に形成された圧力制御弁からなるので、燃料電池セルの固体高分子膜の破損を有効に防止可能な安定性の高い圧力調節機構を小さな容積で形成できる結果、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が可能となる。
【0029】
実施の形態3.
本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムを図4に示す。図4は、より詳細には、細い流路と開閉弁による圧力調節機構をもつ水素吸蔵容器の一例を示している。本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムでは、圧力制御方法が実施の形態1および2における圧力制御方法より簡便である点に特徴がある。すなわち、細い配管(キャピラリー)を水素が通過する際の圧力損により燃料電池セル駆動時の圧力を下げるものであるため、厳密な動作をする圧力調節器が不要となるからである。
【0030】
ただし、燃料電池セル非駆動時や燃料電池セル3での水素の消費がほとんどない場合は燃料電池セル側の水素圧力が水素吸蔵合金2の水素圧力まで上昇し燃料電池セル3内の固体高分子膜を破損するおそれがあるため、燃料電池セル3の非動作時に水素の流れを遮断する開閉弁16が新たに必要となる。この方式は特に燃料電池セル3が一定の電力を供給し続けるような燃料電池システム、あるいは燃料電池セル3以外に二次電池を装備し、二次電池を介して電力を供給する燃料電池システムにおいて、二次電池への充電を主目的とした燃料電池システムへ適用すると好適である。
【0031】
水素吸蔵容器1、水素吸蔵合金2、燃料電池セル3、水素補給口7、フィルター8、などの外形、配置および作製方法は実施の形態1と同様であるが、圧力調節機構および配管経路として、実施の形態1における配管経路A5、圧力調節器4、配管経路B6の代わりにキャピラリー15および開閉弁16が設けられている。
【0032】
水素吸蔵容器筐体1aは実施の形態1と同様、アルミニウム等が用いられ、厚み方向に二分された状態でキャピラリー15が形成され、開閉弁16の組み込み、フィルター8の設置、水素補給口7の設置、水素吸蔵合金3の充填を行った後、上下の筐体部分は溶接により一体化され水素吸蔵容器筐体1aとなる。
【0033】
水素吸蔵合金2への水素補給方法も実施の形態1と同様であるが、燃料電池セル3の駆動および停止動作が異なる。燃料電池セル3を動作させる際に開閉弁16を開とし、燃料電池セル3への水素の供給を開始する。また、燃料電池セル3を停止させる際には開閉弁16を閉とすることにより燃料電池セル3への水素供給を停止する。
【0034】
以上、本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムによると、圧力調節機構が、水素吸蔵容器の一部に組み込まれた細い流路(キャピラリー)と開閉弁からなるので、小さな容積で細い流路が形成可能で、細い流路の圧力損により簡単な機構で燃料電池セルへ供給する水素の圧力を下げることができるため、燃料電池セルの固体高分子膜の破損を有効に防止可能な安定性の高い圧力調節機構を一層小さな容積で形成できる結果、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が簡便に図れる。
【0035】
実施の形態4.
本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムを図5、図6に示す。図5は、より詳細には、圧力調節機構として上下に電極を有する圧電体を適用した圧電体制御弁およびかかる制御弁を用いた携帯機器用燃料電池システムの一例を示し、(a)は水素吸蔵容器と燃料電池セルの厚み方向の断面図、(b)は(a)のA―A”線についての水素吸蔵容器の断面図を示している。また、図6(a)は圧力調節器の構造図および断面図、(b)は圧電体制御弁の断面図、をそれぞれ示す。なお、圧電体制御弁24とは、圧電体で構成された圧力制御弁を指す。
【0036】
図5に示すように、実施の形態1と同様、圧力調節器4は水素吸蔵容器筐体1a内に配置され、水素吸蔵容器1、水素吸蔵合金2、燃料電池セル3、水素補給口7、フィルター8、などの外形、配置および作製方法も実施の形態1と同様であるが、圧力調節機構20(付属装置の一部)と同一基板上に圧力検知機構21(付属装置の一部)を、また、燃料電池セル3上に圧力制御回路17を設けている点に特徴がある。
【0037】
圧力調節機構20は上面側に上部電極、下面側に下部電極が形成された圧電体を具備した圧電体制御弁24からなり、圧力検知機構21は上面側に上部電極、下面側に下部電極が形成された圧電体を具備した圧電体検知部25からなる。圧電体制御弁24および圧電体検知部25は、さらに詳細には、図6(b)に示すように、表面側から保護膜29、上部電極28、圧電体27、下部電極26、支持基板22で構成されている。
【0038】
圧力検知機構21の圧電体検知部25で検知した燃料電池セル3へ供給される水素の圧力と燃料電池セル3の動作電力とから所望の水素圧力および水素流量を得るべく圧電体制御弁24に電圧を印加し、圧電体27の歪み量を制御する。かかる制御によって燃料電池セル3に供給する水素の圧力および流量を最適に保持することができる。圧力検知機構21は上述の圧電体27の代わりに歪みゲージを利用することも可能である。また、圧力制御回路17は水素吸蔵容器1内部の圧力調節機構20と同一支持基板22上に形成してもよい。
【0039】
図6(a)において、圧力検知機構21は圧力調節機構20と燃料電池セル3へ通じる配管経路B6との間に位置し、圧力調節機構20に対して燃料電池セル3側の水素の圧力を検知する。圧力調節機構20は支持基板22とその上に形成された圧電体制御弁24と、配管経路A5から圧力検知機構21に通じる流路を形成する流路形成基板23と、圧電体27の歪み量を制御すべく燃料電池セル3から電圧を印加するためのリード線A18からなる。また、圧力検知機構21は水素圧力により歪み量が変化するように厚みを調整された支持基板22と、支持基板22上に形成された圧電体検知部25と圧力調節機構20から通じる流路と、配管経路B6に通じる経路と、歪み量に応じた電位差を圧力制御回路17に伝えるリード線B19からなる。
【0040】
実施の形態2の圧力調節機構と同様に、本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムにおける圧力調節機構20および圧力検知機構21は下方に空洞部をもつ歪み支持基板22と上方の流路を形成する流路形成基板23とを膜形成とエッチングなどの微細加工技術を用いて各々1枚の基板上に大量の歪み支持基板22と流路形成基板23を形成した後、個別に分断し、上下の各基板22,23を重ね合わせて接着することにより形成される。水素吸蔵容器筐体1aを溶接等によって接合する際に筐体内に組み込まれ、基板22,23が1Mpaの耐圧をもつように接着剤あるいはバイトンやシリコンゴムなどの弾性体で密閉される。
【0041】
下方の支持基板22は、(1)裏面より圧電体検知部25の下部のエッチング、(2)上面より圧電体検知部25および圧電体制御弁24の形成部のエッチング、(3)下部電極26の形成、(4)圧電体27の形成、(5)上部電極28の形成、(6)保護膜(絶縁膜)29、の順で形成される。
【0042】
圧力検知機構21の圧電体27は圧縮応力が加わったときに厚み方向に分極する特性を有する材質のもの、また、圧力調節機構20の圧電体27は厚み方向に電圧を印加した場合に厚み方向に縮むような特性を有する材質のものを用いる。また、上方の流路形成基板23は、エッチングによる流路の形成および燃料電池セル3への配管経路B6(2次圧力検知部上)およびリード線AおよびB18、19の穴あけ加工、選択的にウエットエッチングが可能な材料の埋め込みによる犠牲層の形成、表面層の形成、犠牲層のエッチングにより形成するか、あるいはエッチングにより圧電体制御弁24と接する側と反対側表面に流路を形成し、また、穴あけ加工によって圧電体制御弁24に通じる経路を形成する。同一基板上に大量に形成された支持基板22および流路形成基板23を各々分断されて張り合わせることにより上記の圧力調節器4が低コストで効率良く作製できる。
【0043】
外部からの水素補給および水素吸蔵合金2から燃料電池セル3への水素の供給方法は実施の形態1と同様である。燃料電池セル3側の水素圧力が常圧の場合は圧電体検知部25は歪んでおらず、圧力調節機構20の圧電体制御弁24は閉じており、水素吸蔵合金2と燃料電池セル3は通じていない。外部からの水素補給時も圧電体制御弁24は閉じた状態となる。電力を供給する携帯電子機器のスイッチを入れると、燃料電池セル3を起動させるべく圧力制御回路17から圧力調整機構20の圧電体制御弁24へ電力を送り、圧電体制御弁24を歪ませて流路の間に間隙を形成して燃料電池セル3へ水素を供給する。燃料電池セル3の動作時には圧力検知機構21において圧電体27の歪み量がリード線B19を通して電位差として圧力制御回路17に伝達され、検知した燃料電池セル3側の水素圧力、および動作環境によって異なる燃料電池セル3の動作電力との関係から圧電体制御弁24に印加する電圧を最適な状態に調節して、燃料電池セル3へ供給する水素流量を制御することにより携帯機器に安定に電力を供給することができる。
【0044】
以上、本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムによれば、水素吸蔵容器筐体内部に圧力検知機構を搭載し、圧力調節機構が圧電体からなる圧電体制御弁を備えたので、圧力検知機構により検知した燃料電池セルへ供給する水素の水素圧力および燃料電池セルの動作電力から最適な水素圧力および水素流量を得るべく圧電体制御弁に電圧を印加し、かかる圧電体制御弁の歪み量を制御することによって燃料電池セル側の水素圧力を調節して、燃料電池セルに供給する水素圧力を最適に保持できるような安定性の高い圧力調節機構および圧力検知機構を小さな容積で形成できる結果、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が図れる。
【0045】
実施の形態5.
実施の形態5の携帯機器用燃料電池システムを図7に示す。図7は、より詳細には、2つの圧力検知機構の各々の圧電体検知部を電気的に接続することにより圧力制御回路がなくても圧力調節が可能な携帯機器用燃料電池システムの一例を示したものである。図7(a)は実施の形態5の携帯機器用燃料電池システム中の圧力調節機構および圧力検知機構の上面図および断面図を示している。本構成では、水素吸蔵合金2から配管経路A5、1次圧力検知機構30、圧力調節機構20、2次圧力検知機構31、および燃料電池セル3へ通じる配管経路B6がこの順で配置されている。
【0046】
圧電体制御弁24および圧電体検知部25a,bは実施の形態4と同様に微細加工により支持基板22上に形成され、別個に形成された流路形成基板23と重ね合わせて接着され、水素吸蔵容器筐体1aに組み込まれる。圧力制御回路および圧力制御回路への配線が不要なため、流路形成基板23の穴あけ加工は不要となる。代わりに圧力調節機構20の圧電体制御弁24の第1圧電体の上部電極と1次圧力検知機構30の圧電体検知部25aの第2圧電体の上部電極とを電気的に接続する配線A32、2次圧力検知機構31の圧電体検知部25bの第3圧電体の上部電極と圧力調節機構20の圧電体制御弁24の第1圧電体の下部電極を電気的に接続する配線B33、1次圧力検知機構30と2次圧力検知機構31の第2および第3圧電体の下部電極同士を電気的に接続する配線C34を、成膜およびエッチング工程により形成する。実施の形態4と同様、2つの圧力検知機構30,31の第2および第3圧電体は圧縮応力が加わったときに厚み方向に分極する特性をもつもの、また、圧力調節機構20の第1圧電体は厚み方向に電圧を印加した場合に厚み方向に縮むような特性をもつものを用いる。
【0047】
外部からの水素補給および水素吸蔵合金2から燃料電池セル3への水素の供給方法は実施の形態1と同様である。以下に本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムで特徴的な圧力制御動作について説明する。
【0048】
図7(b)は上述の圧力調節機構および圧力検知機構の電気的な構成を説明するための概略図である。1次圧力検知機構30と2次圧力検知機構31の圧電体検知部25a,bを構成する第2および第3圧電体が互いに同一材料で、かつ膜厚と面積が等しい場合を考える。水素吸蔵合金2の平衡圧力P0,水素吸蔵合金2側の1次圧力および燃料電池セル3側の2次圧力を各々P1,P2,圧電体検知部25a,bの下部電極の電位を0、膜厚方向の歪みにより誘起される電荷を各々Q1、Q2、圧電体の静電容量をC、圧力調節機構20の圧電体制御弁24に生ずる電位差をVとする。燃料電池セル3の非駆動時はP1=P2=P0となり、圧電体制御弁24は閉じている。燃料電池セル3への接続あるいは燃料電池セル3の動作により圧力センサ室の圧力が低下すると、圧電体制御弁24にV=(Q1−Q2)/Cの電位差が生じ、電位差Vにより圧電体制御弁24の第1圧電体が膜厚方向に収縮して弁が開き、1次圧力検知機構30から2次圧力検知機構31へと水素が流れる。しかしながら、上記の場合には流れる水素の量を抑制し、その圧力損から燃料電池セル3動作時の圧力を低下させることはできるものの、燃料電池セル3の待機時には燃料電池セル3の圧力が平衡圧力まで上昇してしまい、固体高分子膜への負荷を回避できない不具合が生じうる。
【0049】
1次圧力検知機構30の圧電体検知部25aと2次圧力検知機構31の圧電体検知部25bとの面積あるいは膜厚比を変化させた場合には、同じ歪み量に対し各圧電体に誘起される電荷量を調節できるため、燃料電池セル3側の水素圧力がより低い場合に圧電体制御弁24が閉じるように設定することにより、燃料電池セル3の待機時であっても水素圧力を低く保持することが可能となる。
【0050】
例えば、1次圧検知機構30の圧電体検知部25aの面積が2次厚検知機構31の圧電体検知部25bの面積の1/5である場合を考える。圧電体制御弁24は各々の圧電体検知部25a,bの各圧電体の上部電極に誘起される電荷量が等しい場合に閉じるので、かかる圧力が圧電体の歪み量に比例し、圧電体の歪み量が誘起される電荷量に比例すると仮定すると、2次圧力検知機構31の第3圧電体の歪み量が1次圧力検知機構30の第2圧電体の歪み量の半分となったとき、つまり、水素圧力が半分となったときに圧電体制御弁24が閉じるように燃料電池セル3側の水素圧力を制御できる。また、各圧電体を保持する支持基板の厚み、あるいは支持基板上の圧電体の膜構成を互いに変えることによっても同様の効果を奏する。
【0051】
以上、本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムによれば、水素吸蔵容器内部に2つの圧力検知機構を搭載し、圧力検知機構と圧力調節機構が上下に電極をもつ圧電体からなり、2つの圧力検知機構の上部電極を各々圧力制御弁の上下の電極に、また2つの圧力検知機構の反対側の電極同士を接続することにより圧力検知機構の圧電体の歪みによって生じる電位差をそのまま圧電体による制御弁の電位差とし、燃料電池セルからの電力供給がなくても圧力検知機構の歪みにより生じた電荷量の差を圧電体制御弁の歪による開閉制御に適用することができる構成としたので、小さな容積で供給水素圧力の制御が可能となり、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が図れる。
【0052】
実施の形態6.
実施の形態6の携帯機器用燃料電池システムを図8に示す。図8は、より詳細には、規定圧力以上あるいは規定温度以上で破壊する破砕孔で構成された内圧を下げる内圧制御機構(ガス放出機構)をもつ水素吸蔵容器の構造図である。図8(a)は水素吸蔵容器に組み込まれた破砕孔式水素逃がし弁を、(b)は破砕孔式水素逃がし弁を示している。水素吸蔵合金2から水素吸蔵容器筐体1a外部へ連通した配管経路上に破砕孔式水素逃がし弁35が配置される。かかる破砕孔式水素逃がし弁35は、通常は水素吸蔵容器1を密閉するように破砕孔シール材37によってアルミニウムなどの材質からなる破砕材料36が組込まれているが、水素吸蔵容器1内の水素圧力あるいは水素吸蔵容器温度のいずれかが規定値を超えると、破砕材料36が破砕する。さらに、水素吸蔵容器筐体1a外部へ通ずる配管経路には白金触媒38が塗布され、水素が外部に放出される前に徐々に酸化し、安全な形態で外部に放出できるように構成されている。
【0053】
以上のように本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムは構成されているので、簡単な機構により水素吸蔵容器内圧の規定値以上の上昇を防止できるため、システムとしての安全性を保持しつつ携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が図れる。
【0054】
実施の形態7.
本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムを図9、図10に示す。図9は、より詳細には、規定圧力以上でバルブが開く水素逃がし弁と水素補給口との機能を併せ持った水素吸蔵容器であり、図10はかかる補給口の構造図を示したもので、(a)は水素逃がし弁が容器に組み込まれた通常の状態を表しており、(b)は水素補給時の補給器側のカプラとの接続を表している。
【0055】
水素補給口39は開閉式水素逃がし弁40と、開閉式水素逃がし弁40に規定圧力がかかった場合に開くように水素逃がし弁40を押さえつけるバネA41と、水素補給時に水素補給器カプラ43が補給口39に接続された際に水素逃がし弁40が開くように水素補給器カプラ43を押すバネB42とからなる。また、水素補給口39には水素補給器カプラ43のもつ突起を挿入し、挿入後に回転し、回転後にカプラ43がバネB42により押し出される方向に動くようにするための彫り込み経路がある。以下に動作を説明する。
【0056】
水素補給時は、水素補給器カプラ43が水素補給器カプラ43の外部突起44を水素補給口39の彫り込みにあわせて挿入される。水素補給器カプラ43はバネB42により押し出される方向に力を受けるが、力をかけた状態で彫り込みに従い回転させると、水素補給器カプラ43の内部突起45が水素逃がし弁40の突起受け部46に接続される。そこで水素補給器カプラ43にかけた力を緩めると、バネB42により水素補給器カプラ43が押し戻され、同時にそれに接続した水素逃がし弁40が引っ張られて水素の補給経路が開かれる。
【0057】
水素補給時以外では、水素補給口39は開閉式水素逃がし弁40として機能し、水素吸蔵容器1の内圧がある規定圧力、ここでは1MPa程度の圧力が加わった場合に開閉式水素逃がし弁40が開くようなバネA41が選択され、水素吸蔵容器1の内圧が規定圧力以上に上昇した場合に開閉式水素逃がし弁40が開いて水素を外部に放出する。水素補給時以外の場合は、図9に示すように水素補給口39に水素補給口キャップ47をする。水素補給口キャップ47には外部に放出される水素の経路を設け、その経路には水素を徐々に燃焼させる白金触媒38を塗布しておくことにより、水素圧力が規定値に戻るまで安全に水素を放出できる。
【0058】
以上、本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムによると、ガス放出機構を水素吸蔵容器の水素充填口と共通化することにより、外部へのガス放出口を新たに設ける必要がなくなるため、簡便な機構により水素吸蔵容器内圧の規定値以上の上昇を防止できる結果、システムとしての安全性を損なうことなく、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が図れる。
【0059】
実施の形態8.
実施の形態8の携帯機器用燃料電池システムを図11および図12に示す。図11および図12は、より詳細には、二次電池を備え、燃料電池セルが駆動していない場合でも水素吸蔵容器内圧が規定値以上に上昇した場合に燃料電池セルが駆動し、電力を二次電池に蓄える機能をもつ燃料電池システムの一例を示したものである。
【0060】
図11(a)は水素吸蔵容器と燃料電池セルの厚み方向の断面図、(b)は(a)のA―A”線についての水素吸蔵容器の断面図、図12は圧力調節器の概観図、をそれぞれ示す。圧力検知機構30,31および圧力調節機構20に圧電体を用い、圧電体検知部、圧電体制御弁の構成、圧力制御回路17による開閉動作の制御などは実施の形態4と同様であるが、図11(a)に示すように、水素吸蔵容器1、燃料電池セル3の他に二次電池48を備え、また、図12に示すように圧力調節器4には1次圧力検知機構30を設け、リード線C49(図11(a))により圧力制御回路17に対して、歪みにより生じる電位差を伝達する。水素吸蔵容器1の内圧が規定圧力以上となった場合、1次圧力検知機構30により規定圧力以上となったことを検知し、燃料電池セル3が動作するよう圧力制御回路17によって圧力調節機構20の圧電体に電圧を印加し、水素を供給して燃料電池セル3を駆動させる。燃料電池セル3が駆動していない場合に圧電体制御弁を動作させるための電圧印加は二次電池48に予め蓄積された電力を利用する。
【0061】
以上、本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムによると、燃料電池システム内に二次電池を設け、燃料電池セルを駆動させて発生した電力により二次電池への充電を行う機構を具備しかつ水素吸蔵容器の内圧の上昇を防止できるので、燃料電池セルで発生した電力を有効に活用しつつ小型の圧力調節器によってシステムとしての安全性を維持できるため、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が図れる。
【0062】
実施の形態9.
実施の形態9の携帯機器用燃料電池システムを図13、図14に示す。図13および図14は、より詳細には、圧力調節機構を形成した支持基板と同一基板上に、水素吸蔵容器が規定圧力以上となった場合に圧力を下げる内圧制御機構を設けた燃料電池システムの一例を示したものである。図13に水素吸蔵容器の厚み方向断面図、図14(a)に水素放出機構を備えた圧力調節器、(b)に圧電体を利用したガス放出機構の断面、(c)に歪み変形基板を用いた水素逃がし弁の構造図、をそれぞれ示す。
【0063】
本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムでは、ガス放出機構51は圧電体を用いた水素逃がし弁52と流路とで構成され、その構造は実施の形態4における圧力調節機構20と同様である。また、実施の形態8と同様に水素吸蔵容器1内の水素圧力を検知するために1次圧力検知機構30を有し、圧電体水素逃がし弁52の動作を圧力制御回路により行う。
【0064】
1次圧力検知機構30で生じた電位差はリード線49により圧力制御回路に伝達される。水素吸蔵容器1内の圧力が規定圧力以上となった場合、圧力制御回路から圧電体水素逃がし弁52に電圧を印加して、水素を外部に放出する。放出経路には水素を燃焼させる白金触媒を用いる。この結果、水素を安全に外部に放出できる。
【0065】
また、水素を逃がす機構は図3において用いたような歪み変形基板を用いることもできる。歪み変形基板53および流路形成基板23は実施の形態2と同様に微細加工技術によって形成される。歪み変形部には絶縁体等を用いた水素逃がし弁54が形成されるが、規定圧力までは弁が開かないよう、あらかじめ水素逃がし弁54は流路と貼り合わせた場合に流路形成基板23を押しつけ、水素吸蔵合金2から規定圧力がかかったときに弁が開くように水素逃がし弁54の高さおよび歪み変形基板53の歪み変形部の厚みが調整されている。
【0066】
歪み変形基板53を適用した水素吸蔵容器1の内圧を下げる内圧制御機構は、実施の形態2の歪み変形基板を利用した圧力調節機構と同一基板上に形成され、水素吸蔵容器筐体1a内部に組み込まれるが、本構成によると圧力制御回路が不要で、駆動に電圧印加を必要としないという利点がある。つまり、内圧制御機構が複数の圧力調節機構を形成した基板と同一基板上に形成されることにより、圧力調節機構と内圧制御機構を同時に形成できる。
【0067】
以上、本実施の形態の携帯機器用燃料電池システムは、上述のように構成されているので、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が一層図れる。
【0068】
【発明の効果】
本発明に係る携帯機器用燃料電池システムでは、水素を燃料として電力を発電する燃料電池セルと上記燃料電池セルに水素を供給する水素吸蔵容器とを具備し、上記水素吸蔵容器が、水素吸蔵容器筐体と、上記水素吸蔵容器筐体内に配置された水素吸蔵材料と、上記水素吸蔵容器筐体の表面に設けられた接続口と、上記水素吸蔵材料と前記接続口との間に配設された配管経路と、上記配管経路に設けられた付属装置と、を備えたので、水素吸蔵容器と燃料電池セルを結合する経路上の装置、配管、コネクタなどが不要となり、携帯機器用燃料電池システム全体の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の携帯機器用燃料電池システムを示し、図1(a)は水素吸蔵容器と燃料電池セルの厚み方向の断面図、(b)は(a)のA―A”線についての水素吸蔵容器の断面図である。
【図2】実施の形態2の携帯機器用燃料電池システムを示し、(a)は圧力調節器を組み込んだ水素吸蔵容器、(b)は圧力調節器の上面図である。
【図3】実施の形態2の携帯機器用燃料電池システムの一部である圧力調節器の断面図で、(a)燃料電池セル側の水素圧力が低い場合と、(b)燃料電池セル側の水素圧力が高い場合の動作を示している。
【図4】実施の形態3の携帯機器用燃料電池システムを示す図である。
【図5】実施の形態4の携帯機器用燃料電池システムを示し、(a)は水素吸蔵容器と燃料電池セルの厚み方向の断面図、(b)は(a)のA―A”線についての水素吸蔵容器の断面図である。
【図6】実施の形態4の携帯機器用燃料電池システムの一部である圧力調節器を示し、(a)は圧力調節器の上面図および断面図、(b)は圧電体の断面図、である。
【図7】実施の形態5の携帯機器用燃料電池システムを示し、(a)は圧力調節機構および圧力検知機構の上面図および断面図、(b)は圧力調節機構および圧力検知機構間の電気的接続に関する概略図である。
【図8】実施の形態6の携帯機器用燃料電池システムを示し、(a)は破砕孔式水素逃がし弁が組込まれた水素吸蔵容器、(b)は破砕孔式水素逃がし弁の概略図である。
【図9】実施の形態7の携帯機器用燃料電池システムを示す図である。
【図10】実施の形態7の携帯機器用燃料電池システムの一部である水素補給口の構造図を示したもので、(a)は水素逃がし弁が容器に組み込まれた通常の状態を表しており、(b)は水素補給時の補給器側のカプラとの接続を表している。
【図11】実施の形態8の携帯機器用燃料電池システムを示し、(a)は水素吸蔵容器と燃料電池セルの厚み方向の断面図、(b)は(a)のA―A”線についての水素吸蔵容器の断面図である。
【図12】実施の形態8の携帯機器用燃料電池システムの一部である圧力調節器の上面図である。
【図13】実施の形態9の携帯機器用燃料電池システムの一部である水素吸蔵容器の図である。
【図14】実施の形態9の携帯機器用燃料電池システムの一部で、(a)は水素放出機構を備えた圧力調節器の上面図、(b)は圧電体を利用したガス放出機構の断面図、(c)は歪み変形基板を用いた水素逃がし弁の断面図である。
【符号の説明】
1 水素吸蔵容器、 1a 水素吸蔵容器筐体、 2 水素吸蔵合金、 3 燃料電池セル、 4 圧力調節器、 5 配管経路A、 6 配管経路B、 7水素補給口、 8 フィルター、 9 接続口、 10 歪み変形基板、 11 圧力制御弁、 12 弾性材料、 13 配管経路C、 14 空洞部、 15 キャピラリー、 16 開閉弁、 17 圧力制御回路、 18 リード線A、 19 リード線B、 20 圧力調節機構、 21 圧力検知機構、 22 支持基板、 23 流路形成基板、 24 圧電体制御弁、 25 圧電体検知部、 26 下部電極、 27 圧電体、 28 上部電極、 29 保護膜、 30 1次圧検知機構、 31 2次圧検知機構、 32 配線A、 33 配線B、 34 配線C、 35 水素逃がし弁(破砕孔式)、 36 破砕材料、 37 シール材、 38 白金触媒、 39 水素逃がし弁付水素補給口、 40 開閉式水素逃がし弁、 41 バネA、 42 バネB、 43 水素補給器カプラ、 44 外部突起、 45 内部突起、 46 突起受け部、 47 補給口キャップ、 48 二次電池、 49 リード線C、 50 水素逃がし弁付圧力調節器、 51 圧電体水素放出機構、 52 水素逃がし弁(圧電体)、 53 歪み変形基板、 54 水素逃がし弁(絶縁体)。
Claims (15)
- 水素を燃料として電力を発電する燃料電池セルと前記燃料電池セルに水素を供給する水素吸蔵容器とを備え、携帯機器に搭載された携帯機器用燃料電池システムであって、
前記水素吸蔵容器が、水素吸蔵容器筐体と、前記水素吸蔵容器筐体内に配置された水素吸蔵材料と、前記水素吸蔵容器筐体の表面に設けられた接続口と、前記水素吸蔵材料と前記接続口との間に配設された配管経路と、前記配管経路に設けられた付属装置と、
を備えたことを特徴とする携帯機器用燃料電池システム。 - 前記付属装置が、前記燃料電池セル側の水素圧力を前記水素吸蔵材料の平衡圧力以下に調整する圧力調節機構であることを特徴とする請求項1記載の携帯機器用燃料電池システム。
- 前記圧力調節機構が、前記燃料電池セル側の水素圧力に対応して歪み変形する基板と、前記基板の一方の面上に形成された圧力制御弁と、前記基板の他方の面側に設けられ前記接続口側の配管経路と連通する空洞部と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の携帯機器用燃料電池システム。
- 前記圧力調節機構が、前記配管経路の代わりに、一端が前記水素吸蔵材料に連通したキャピラリーと、前記キャピラリーの他端と前記接続口との間に設けられた開閉弁と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の携帯機器用燃料電池システム。
- 前記水素吸蔵容器が、前記付属装置の一部としてさらに前記燃料電池セルへの供給水素の水素圧力を検知する圧力検知機構を備え、前記圧力調節機構が、圧電体による圧力制御弁で構成され、前記燃料電池セルへの供給水素を所望の水素圧力および水素流量に調節すべく前記燃料電池セルの動作電力および前記圧力検知機構により検知された前記水素圧力に基づき前記圧力制御弁に電圧を印加して前記圧電体の歪み量を制御する機能を有することを特徴とする請求項2記載の携帯機器用燃料電池システム。
- 前記水素吸蔵容器が、前記付属装置の一部としてさらに2つの圧力検知機構を備え、前記圧力調節機構が上面に上部電極および下面に下部電極が形成された第1圧電体からなる圧力制御弁で構成され、前記圧力検知機構が上面に上部電極および下面に下部電極がそれぞれ形成された第2および第3圧電体で構成され、前記第2および第3圧電体の各上部電極のいずれか一方を前記第1圧電体の上部電極に、他方を前記第1圧電体の下部電極に接続し、かつ前記第2および第3圧電体の下部電極同士を接続することにより、前記圧力検知機構の圧電体の歪みにより生じた電荷量の差に基づき前記圧力制御弁の歪量調節による開閉制御を行うことを特徴とする請求項2記載の携帯機器用燃料電池システム。
- 前記第2および第3圧電体の表面積、厚み、各圧電体を保持する支持基板の厚み、あるいは支持基板上の前記圧電体の膜構成のいずれか1つまたは2つ以上を前記第2および第3圧電体間で変えて前記第2および第3圧電体がそれぞれ感知する圧力間に差を生ぜしめることを特徴とする請求項6記載の携帯機器用燃料電池システム。
- 前記圧力調節機構が、予め同一基板上に形成され、前記同一基板から各々分断されて前記水素吸蔵容器筐体に組み込まれたものであることを特徴とする請求項3、5、6のいずれか1項記載の携帯機器用燃料電池システム。
- 前記圧力調節機構が、圧力制御弁を保持する基板と流路を形成する基板とを各々別個に形成して、両者を重ね合わせることにより一体化されたものであることを特徴とする請求項8記載の携帯機器用燃料電池システム。
- 前記水素吸蔵容器が、前記水素吸蔵容器筐体内部に、前記水素吸蔵容器内圧および水素吸蔵容器温度のいずれか一方あるいは双方が規定値を越えないように、前記水素吸蔵容器の内圧を制御する内圧制御機構を設けることを特徴とする請求項1または2記載の携帯機器用燃料電池システム。
- 前記内圧制御機構が、前記水素吸蔵合金と前記水素吸蔵容器筐体との間に規定圧力あるいは規定温度以上で破壊する破砕孔で構成されたガス放出機構であることを特徴とする請求項10記載の携帯機器用燃料電池システム。
- 前記ガス放出機構が、水素を燃焼させる触媒を具備することを特徴とする請求項11記載の携帯機器用燃料電池システム。
- 前記内圧制御機構が、前記水素吸蔵容器筐体の表面に設けられた水素充填口と共通であることを特徴とする請求項10記載の携帯機器用燃料電池システム。
- 前記内圧制御機構が、規定圧力以上の場合に前記燃料電池セルを駆動させて水素を反応させる機構であることを特徴とする請求項10記載の携帯機器用燃料電池システム。
- 前記内圧制御機構が、複数の圧力調節機構を形成した基板と同一基板上に形成されることを特徴とする請求項10記載の携帯機器用燃料電池システム。
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