JP4290924B2 - 燃料供給装置およびそれを用いた燃料電池システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池もしくは燃料改質器へ液体燃料を供給する燃料供給装置およびそれを用いた燃料電池システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯機器の電源として利用可能な小型の燃料電池が各所で研究開発されており、この種の燃料電池としては、固体高分子型燃料電池(PEFC)や、メタノールを燃料電池セルに供給する直接メタノール型燃料電池(DMFC)などが提案されている。
【0003】
ここにおいて、固体高分子型燃料電池を用いた燃料電池システムでは、メタノールを水素に改質する燃料改質器が必要なのに対して、直接メタノール型燃料電池を用いた燃料電池システムでは燃料改質器が不要なのでシステムの小型化の点で有利である。しかしながら、メタノール濃度が高いとメタノールが燃料電池の固体電解質膜を通り抜ける所謂クロスオーバーが起こり燃料電池の出力が低下してしまうので、メタノールと水とを混合したメタノール水溶液を燃料電池の燃料極へ供給するようにした燃料電池システムも提案されている。
【0004】
ところで、これらの燃料電池システムにおいて燃料電池用もしくは燃料改質器用の液体燃料を燃料電池もしくは燃料改質器へ供給する燃料供給装置では、液体燃料の入った容器から液体燃料をポンプによって汲み上げたり毛管力によって吸い上げて燃料電池もしくは燃料改質器へ供給している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように液体燃料をポンプによって汲み上げるようにした燃料供給装置では、ポンプを駆動するための電力が必要であり、燃料電池システム全体としての総合効率が低下してしまうという問題があった。また、液体燃料を毛管力によって吸い上げて供給する燃料供給装置では、燃料供給路にバルブを設けることができないので、液体燃料の供給量を調節することができず燃料電池の出力を制御することができないという問題や、燃料電池の出力密度が低いという問題があった。
【0006】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、ポンプなどの補機を用いることなく燃料電池もしくは燃料改質器へ液体燃料を供給することができ且つ液体燃料の供給量を調節可能な燃料供給装置およびそれを用いた燃料電池システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、携帯機器に用いる燃料電池用もしくは燃料改質器用の液体燃料および液体燃料を加圧して燃料電池もしくは燃料改質器へ圧送する加圧手段を内蔵した容器と、容器を燃料電池もしくは燃料改質器への燃料供給路に着脱する着脱手段とを備えてなることを特徴とするものであり、ポンプなどの補機を用いることなく燃料電池もしくは燃料改質器へ液体燃料を円滑に供給することができて、燃料電池を含めた燃料電池システムの総合効率を高めることが可能となり、しかも、従来のように毛管力によって液体燃料を吸い上げる場合に比べて単位時間当たりに燃料供給路を通る液体燃料の供給量を多くすることができ、燃料供給路にバルブを設けることができるから、当該バルブを設けることによって液体燃料の供給量を調節することが可能となる。また、容器を燃料供給路に着脱することができるので、容器を交換することで燃料電池の発電を継続させることができ、携帯機器の長時間の連続使用が可能になるという利点もある。また、請求項1の発明は、加圧手段が、前記液体燃料が入れられ容器内に納装された可撓性の袋と、容器内において容器と袋との間に入れた液体と、容器と袋との間に充満し前記液体の蒸気からなる加圧ガスとで構成されてなることを特徴とするものであり、加圧ガスが前記燃料電池もしくは前記燃料改質器へ流れ込むのを防止することができ、しかも、加圧ガスとして容器内において容器と袋との間に入れる液体の蒸気を利用しているので、加圧ガスの圧力調整が不要で燃料供給装置の製造が容易になる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記液体燃料は、液体有機燃料、水、液体有機燃料と水との混合液体燃料から選択されるので、前記液体燃料として比較的取り扱いの容易な液体燃料を用いることができる。
【0012】
請求項の発明は、燃料電池と、請求項1または請求項2記載の燃料供給装置と、前記燃料供給路を通る前記液体燃料の供給量を調節する燃料制御用バルブとを備えてなることを特徴とするものであり、ポンプなどの補機を用いることなく前記液体燃料を前記燃料供給路を通して燃料電池もしくは燃料改質器へ圧送して供給することができ、燃料電池システム全体の総合効率を高めることができ、しかも、従来のように毛管力によって液体燃料を吸い上げる場合に比べて単位時間当たりに燃料供給路を通る液体燃料の供給量を多くすることができ、燃料供給路に設けた燃料制御用バルブによって前記液体燃料の供給量を調節することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
(参考例)
本参考例の燃料電池システムは、図1に示すように、携帯機器の電源として用いる燃料電池1と、燃料電池1へそれぞれ燃料供給管からなる燃料供給路3a,3bを通して液体燃料22,22を供給する燃料供給装置2a,2bと、燃料供給路3a,3b上に配置され液体燃料22,22の供給量を調節する燃料制御用バルブ4a,4bとを備えている。なお、燃料制御用バルブ4a,4bとしては、開量を調節することで液体燃料22,22の流量を制御できるバルブを採用してもよいし、燃料供給路3a,3bの開閉のみを行うバルブを採用するようにしてもよい。また、本参考例の燃料電池システムでは、図示していないが、後述の燃料混合部1bにて混合された混合液体燃料の濃度を検出する濃度センサと、濃度センサの出力に基づいて燃料制御用バルブ4a,4bを制御する制御回路などを備えており、制御回路によって燃料制御バルブ4a,4bを制御することで混合液体燃料の濃度を所望の目標値に近づけることができるようになっている。
【0014】
燃料電池1は、メタノール水溶液を燃料とする直接メタノール型燃料電池であって、水素イオンの伝導性の高い固体高分子膜からなるイオン伝導膜が厚み方向の両側に設けた燃料極と空気極とで挟まれた燃料電池セル1aを備えている。ここに、燃料電池セル1aは、燃料極へメタノール水溶液が供給される一方で、空気極へ外部から酸化剤としての空気が供給されて、発電することになり、燃料極では二酸化炭素が発生し、空気極では水が発生する。なお、燃料電池1には、燃料供給路3aを通して供給される液体燃料22と燃料供給路3bを通して供給される液体燃料22とを混合して上述の混合液体燃料を得る燃料混合部1b、燃料極で発生した二酸化炭素を外部へ排出するためのガスセパレータ1cなども設けられている。
【0015】
燃料供給装置2a,2bは、燃料電池1の燃料混合部1bへ液体燃料22を供給するものであり、燃料電池1用の液体燃料22および液体燃料22を加圧して燃料電池1へ圧送する加圧手段である加圧ガス23を内蔵した容器21と、容器21の燃料装着口24に装着され燃料供給管3(燃料供給路3a,3b)によって突き破られて燃料供給管3を気密的に保持するゴム状弾性を有する材料からなる栓25とを備えている。なお、本参考例では、栓25が容器21を燃料電池1への燃料供給路3a,3bに着脱する着脱手段を構成している。
【0016】
ところで、一方の燃料供給装置2aの容器21には、液体燃料22としてメタノールのような液体有機燃料が入れられ、他方の燃料供給装置2bの容器21には、液体燃料22として水が入れられている。なお、加圧ガス23としては、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを採用すればよいが、燃料供給装置2aにおいては液体燃料22として揮発性が高く蒸気圧の高いものを用いて液体燃料22の蒸気を加圧ガス23として利用するようにしてもよい。
【0017】
しかして、本参考例の燃料供給装置2a,2bでは、ポンプなどの補機を用いることなく燃料電池1へ液体燃料22を円滑に供給することができ、燃料電池1を含めた燃料電池システムの総合効率を高めることが可能となり、しかも、従来のように毛管力によって液体燃料22を吸い上げる場合に比べて単位時間当たりに燃料供給路3a,3bを通る液体燃料22の供給量を多くすることができ、燃料供給路3a,3bに燃料制御用バルブ4a,4bを設けることができるから、燃料制御用バルブ4a,4bを設けることによって各液体燃料22の供給量を調節することが可能となる。また、各容器21を燃料供給路3a,3bに着脱することができるので、容器21を交換することで燃料電池1の発電を継続させることができ、携帯機器の長時間の連続使用が可能になるという利点もある。
【0018】
また、容器21内で液体燃料22を加圧する加圧手段が加圧ガス23からなるので、容器21内に特別な構造を設けたり別部材を用いることなく液体燃料22を加圧して燃料電池1へ圧送することができるから、特別な構造を設けたり別部材を用いる必要がなくて、部品点数を削減することができ、低コスト化を図ることができる。
【0019】
ところで、本参考例では、上述のように容器21に装着した栓25を突き破るように燃料供給管3を容器21内へ挿入しており栓25が着脱手段を構成しているが、図3に示すように、先端に近づくほど外径が徐々に小さくなり先端部がシール部(図示せず)により封止された円筒状の接続用筒部26を容器21から突設するとともに、燃料供給管3に弾性材料からなる円筒状の接続用チューブ27を外装しておき、接続用筒部26の外周面と接続用チューブ27の内周面とを密着させて接続用筒部26と接続用チューブ27とを仮接続した後、燃料供給管3において外径を他の部位に比べて小さくした細径部31の先端が上記シール部を突き破って接続用筒部26に挿入されるように接続用筒部26と接続用チューブ27とを接続することによって燃料供給管3を容器2に接続するようにしてもよい。図3のような構成を採用する場合には、接続用筒部26と接続用チューブ27とで着脱手段を構成している。
【0020】
なお、図4に示すように、燃料供給管3のうち容器21内に収納される部分をフレキシブルチューブにより構成して先端部に重り41を固着しておけば、容器21の向きに関わらず燃料供給管3の先端部を液体燃料22に漬けることが可能となるから、容器21の向きに関わらず液体燃料22を燃料電池1へ供給することが可能になる。
【0021】
(実施形態)
上記参考例では、容器21内に内蔵され液体燃料22を加圧する加圧手段として加圧ガス23を採用しているので、液体燃料22が無くなると加圧ガス23が燃料供給路3a,3bへ流れ出るが、図5に示すように、液体燃料22が入れられ容器21内に納装された可撓性の袋28と、容器21内において容器21と袋28との間の空間に入れた蒸気圧が高い液体29と、容器21と袋28との間に充満し上記液体29の蒸気からなる加圧ガス23’(図5中の矢印は加圧ガス23’によって袋28に外側からかかる圧力の向きを模式的に示している)とで加圧手段を構成すれば、加圧ガス23’が燃料電池1へ流れ込むのを防止することができる。しかも、加圧ガス23’として仮に不活性ガスを用いる場合には燃料供給装置2a,2bの製造時に加圧ガス23’の圧力を制御する必要があるのに対して、加圧ガス23’として容器2内に入れる液体29の蒸気を利用しているので、圧力調整が不要で燃料供給装置2a,2bの製造が容易になる。また、図6に示すように、容器21を液体燃料22が入れられて膨らんだ可撓性の袋により構成すれば、容器21を構成する袋の復元力によって液体燃料22を圧送することができる。ただし、図6のように容器21を可撓性の袋により構成する場合には、容器21を保護するために容器21を覆う保護容器51を設けることが望ましい。
【0022】
ところで、上述の燃料電池システムでは各燃料供給装置2a,2bから各液体燃料22,22を燃料電池1へ直接供給していたが、各燃料供給装置2a,2bから各液体燃料22,22を燃料改質器へ供給し、燃料改質器にて改質された燃料を燃料電池へ供給するようにしてもよい。
【0023】
また、上記実施形態における燃料供給装置2aでは、液体燃料22たる液体有機燃料としてメタノールを採用しているが、メタノールの代わりに、ジメチルエーテル、エタノールなどを採用すれば、メタノールを採用する場合に比べて液体燃料22の安全性を高めることができるとともに液体燃料22の取り扱いが容易になる。また、上記実施形態では、2つの燃料供給装置2a,2bを備えており、燃料電池1に燃料混合部1bを設けてあるが、容器21に入れる液体燃料として混合液体燃料(例えば、メタノール水溶液)を採用するようにしてもよい。
【0024】
【発明の効果】
請求項1の発明は、携帯機器に用いる燃料電池用もしくは燃料改質器用の液体燃料および液体燃料を加圧して燃料電池もしくは燃料改質器へ圧送する加圧手段を内蔵した容器と、容器を燃料電池もしくは燃料改質器への燃料供給路に着脱する着脱手段とを備えてなるものであり、ポンプなどの補機を用いることなく燃料電池もしくは燃料改質器へ液体燃料を円滑に供給することができるという効果があり、燃料電池を含めた燃料電池システムの総合効率を高めることが可能となり、しかも、従来のように毛管力によって液体燃料を吸い上げる場合に比べて単位時間当たりに燃料供給路を通る液体燃料の供給量を多くすることができ、燃料供給路にバルブを設けることができるから、当該バルブを設けることによって液体燃料の供給量を調節することが可能となるという効果がある。また、容器を燃料供給路に着脱することができるので、容器を交換することで燃料電池の発電を継続させることができ、携帯機器の長時間の連続使用が可能になるという利点もある。また、請求項1の発明は、加圧手段が、前記液体燃料が入れられ容器内に納装された可撓性の袋と、容器内において容器と袋との間に入れた液体と、容器と袋との間に充満し前記液体の蒸気からなる加圧ガスとで構成されているので、加圧ガスが前記燃料電池もしくは前記燃料改質器へ流れ込むのを防止することができ、しかも、加圧ガスとして容器内において容器と袋との間に入れる液体の蒸気を利用しているので、加圧ガスの圧力調整が不要で燃料供給装置の製造が容易になるという効果がある。
【0025】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記液体燃料は、液体有機燃料、水、液体有機燃料と水との混合液体燃料から選択されるので、前記液体燃料として比較的取り扱いの容易な液体燃料を用いることができるという効果がある。
【0029】
請求項の発明は、燃料電池と、請求項1または請求項2記載の燃料供給装置と、前記燃料供給路を通る前記液体燃料の供給量を調節する燃料制御用バルブとを備えてなるものであり、ポンプなどの補機を用いることなく前記液体燃料を前記燃料供給路を通して燃料電池もしくは燃料改質器へ圧送して供給することができ、燃料電池システム全体の総合効率を高めることができるという効果があり、しかも、従来のように毛管力によって液体燃料を吸い上げる場合に比べて単位時間当たりに燃料供給路を通る液体燃料の供給量を多くすることができ、燃料供給路に設けた燃料制御用バルブによって前記液体燃料の供給量を調節することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例における燃料電池システムの概略構成図である。
【図2】 同上の要部の概略断面図である。
【図3】 同上の要部の他の構成例を示す概略断面図である。
【図4】 同上の別の構成例を示す燃料電池システムの概略構成図である。
【図5】 実施形態の燃料電池システムの要部の構成例を示す概略断面図である。
【図6】 同上の要部のさらに別の構成例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 燃料電池
1b 燃料混合部
2a,2b 燃料供給装置
3a,3b 燃料供給路
4a,4b 燃料制御用バルブ
21 容器
22 液体燃料
23 加圧ガス

Claims (3)

  1. 携帯機器に用いる燃料電池用もしくは燃料改質器用の液体燃料および液体燃料を加圧して燃料電池もしくは燃料改質器へ圧送する加圧手段を内蔵した容器と、容器を燃料電池もしくは燃料改質器への燃料供給路に着脱する着脱手段とを備え、加圧手段は、前記液体燃料が入れられ容器内に納装された可撓性の袋と、容器内において容器と袋との間に入れた液体と、容器と袋との間に充満し前記液体の蒸気からなる加圧ガスとで構成されてなることを特徴とする燃料供給装置。
  2. 前記液体燃料は、液体有機燃料、水、液体有機燃料と水との混合液体燃料から選択されることを特徴とする請求項1記載の燃料供給装置。
  3. 燃料電池と、請求項1または請求項2記載の燃料供給装置と、前記燃料供給路を通る前記液体燃料の供給量を調節する燃料制御用バルブとを備えてなることを特徴とする燃料電池システム
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