トナーの個数基準の粒径頻度分布における円相当個数平均径が2〜6μmであり、円形度頻度分布における平均円形度が0.970〜0.995で、円形度0.950未満のトナー粒子が15個数%以下となる様にトナーの粒子形状を精密に制御することにより、転写性と現像性をバランス良く改善することができる。
トナーの個数基準の粒径頻度分布における円相当個数平均径を2〜6μm、好ましくは2〜5μmと小粒径化することにより画像の輪郭部分、特に文字画像やラインパターンの現像での再現性が良好なものとなる。しかし、一般にトナー粒子を小粒径化すると、必然的に微小粒径のトナーの存在率が高くなるため、トナーを均一に帯電させることが困難となり画像カブリを生じるばかりか、静電潜像担持体表面への付着力が高くなり、結果として転写残トナーの増加を招いていた。
しかし、本発明に係るトナーは、円形度頻度分布における平均円形度が0.970〜0.995とすることにより、転写性を大幅に改善することができる。
その理由として本発明者らは、現像工程においてトナー担持体上にトナーの薄層を形成する際に、トナー層厚規制部材の規制力を通常よりも強くしても十分なトナーコート量を保つことができるため、トナー担持体に対するダメージを与えることなくトナー担持体上のトナーの帯電量を通常よりも高くすることが可能となるからだと考えている。
特に円相当個数平均径が2〜5μmで、平均円形度が0.980〜0.995である場合、従来では困難であった小粒径を呈するトナーの転写性が大幅に改善されると共に低電位潜像に対する現像能力も格段に向上する。特にデジタル方式の微小スポット潜像を現像する場合に有効である。
平均円形度が0.970未満の場合、転写性が悪化するばかりか、現像性が低下する。また、平均円形度が0.995を超えるとトナー表面の劣化が著しいものとなり耐久性等に問題を生じる様になる。
また、本発明のトナーは、円形度頻度分布における円形度0.950未満のトナー粒子を15個数%以下とすることにより、現像性や転写性の環境変動に対する安定性、更には耐久性が良好なものとなる。
円形度0.950未満のトナー粒子が15個数%を超えると、トナーの均一帯電が困難となる。特にトナーの使用環境の温湿度が変動した場合、顕著となる。
本発明におけるトナーの円相当径、円形度及びそれらの頻度分布とは、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではフロー式粒子像測定装置FPIA−1000型(東亜医用電子社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出した。
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.00を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02gを加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機UH−50型(エスエムテー社製)に振動子として5φのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を用い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
トナー粒子の形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、トナーの円相当径や円形度頻度分布等を求める。
一方、本発明のトナーは、用いるワックス成分の物理特性を特定することにより一層良好なものとなる。すなわち、本発明に係るワックス成分として、スチレンモノマーへの溶解温度が35〜80℃となるものを用いることで、現像性や転写性を高い次元で両立することができる。
本発明者等はその理由を以下の様に推測している。すなわち、ワックス成分のスチレンモノマーに対する溶解性は、結着樹脂との相溶性を間接的に示唆するものであり、溶解温度が低い程、相溶性が良好となり結着樹脂を可塑化し易くなり、逆に溶解温度が高い程、相溶性が悪く分離し易くなると考えられる。スチレンモノマーへの溶解温度が35℃未満の場合、結着樹脂に対する相溶性が過剰となり、トナー表面へのワックス成分のマイグレートを生じたり、トナーの機械的強度の低下を招いたりして、トナーの帯電性や流動性、更には、画像形成装置とのマッチングに支障をきたす。また、溶解温度が80℃を超える場合、結着樹脂に対する相溶性が低下するため、結着樹脂中の着色剤や荷電制御剤等の分散状態を阻害したり、トナー粒子外に遊離して、現像性や転写性に問題を生じる。
以上、本発明のトナーは、ワックス成分のスチレンモノマーに対する溶解性を特定することにより、トナーの表面状態等の最適化が可能であり、特に粒子形状を均一とすることにより現像性や転写性が相乗的に良化する。また、粒子形状が球形化するに従い、トナーの比表面積は減少していくので、トナーの表面状態をコントロールすることでその効果は顕著なものとなる。
本発明においてワックス成分のスチレンモノマーに対する溶解温度は以下の様に測定される。すなわち、容器中に予め重合禁止剤を0.1重量%添加したスチレンモノマー100mlを用意し、その中に微粉砕したワックス成分20gを加え、均一に分散させた後、加温してワックス成分を溶融・溶解させる。次いで、これを1℃/minの冷却速度で徐冷していき、ワックス成分が析出し始める温度をスチレンモノマーに対する溶解温度とする。
本発明に係るワックス成分としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等、天然ワックス及びそれらの誘導体等で、誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含み、また、高級脂肪族アルコール等のアルコール;ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸或いはその化合物;酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物ワックス、動物ワックス等、スチレンモノマーへの溶解温度が40〜80℃のものであれば、どれでも用いることが可能である。
これらの中でもポリオレフィン、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス、石油系ワックス、高級アルコール、もしくは、高級エステルである場合、現像性や転写性の改善効果が更に高くなる。
上述したワックス成分は、結着樹脂100重量部に対して1〜30重量部使用するのが好ましい。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、一般的に用いられているスチレン−(メタ)アクリル共重合体,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,スチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。重合法により直接トナー粒子を得る方法においては、それらを形成するための単量体が用いられる。具体的にはスチレン;o−(m−,p−)メチルスチレン,m−(p−)エチルスチレンの如きスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メタ)アクリル酸ベヘニル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン,イソプレン,シクロヘキセン,(メタ)アクリロニトリル,アクリル酸アミドの如きエン系単量体が好ましく用いられる。これらは、単独、または、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−P139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40〜75℃を示すように単量体を適宜混合して用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じやすく、一方75℃を超える場合はトナーの定着点の上昇をもたらす。特にフルカラー画像を形成するためのカラートナーの場合においては各色トナーの定着時の混色性が低下し色再現性に乏しく、更にOHP画像の透明性が低下するため好ましくない。
結着樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをソックスレー抽出器を用いトルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめて抽出物を得、更に低軟化点物質は溶解するが外殻樹脂は溶解しない有機溶剤(例えばクロロホルム等)を抽出物に加え十分洗浄を行った後、残留物をテトラヒドロフラン(THF)に溶解した溶液をポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターでろ過したサンプル(THF溶液)をウォーターズ社製150Cを用いて測定する。カラム構成は昭和電工製A−801、802、803、804、805、806、807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定し得る。本発明に係る結着樹脂の主たるピーク分子量は5000〜100万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、2〜100を示すものが本発明には好ましい。
また、前述の結着樹脂は、1〜60重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは15〜60重量%のTHF不溶分を有し、且つ、該THF不溶分の0.02〜90重量%、好ましくは1〜70重量%、より好ましくは5〜60重量%をポリエステル成分とすることにより現像性や耐久性、更には定着性と耐オフセット性のバランスを良好なものとする。また、後述する様なトナー粒子の球形化処理に際してもトナー粒子表面の劣化による性能低下や粒子同士の合一等を未然に防ぐことができるので、トナー粒子の球形化の効果が良好に発現する。
本発明において結着樹脂のTHF不溶分とは、トナー粒子中の樹脂組成物のTHFに対して不溶性となった樹脂成分の重量割合を示し、架橋成分を含む樹脂組成物の架橋の程度を示す目安となるが、THF不溶分が0重量%であっても必ずしも架橋していないという訳ではない。THF不溶分とは、以下のように測定された値をもって定義する。
即ち、トナーが非磁性トナーの場合には顔料の含有率などを、磁性トナーの場合には顔料及び磁性体の含有率などを、予め公知の方法で測定しておく。次に、トナー0.5〜1.0gの一定量を秤量し(W1g)、円筒濾紙(東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF100〜200mlを用いて20時間抽出し、溶媒によって抽出された可溶成分をエバポレートした後、100℃で数時間真空乾燥し、THF可溶樹脂成分量を秤量する(W2g)。そして、該トナー一定量中に含まれている顔料や磁性体のうち、THFに可溶な成分の重量をW3g、THFに不溶な成分の重量をW4gとすると、以下の式に従って樹脂組成物中のTHF不溶分が算出される。
なお、該結着樹脂のTHF不溶分は、前記のスチレン−(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等を何らかの方法で架橋したものであって、例えば重合法により直接トナー粒子を得る方法においては、前記のスチレン等の単量体とジビニルベンゼン等の架橋剤を共重合させる方法等が挙げられるが、本発明においては、不飽和ポリエステル等の反応性ポリエステルの共存下で単量体及び必要に応じて架橋剤とを反応重合させる方法が好適である。
THF不溶分中に含まれるポリエステル成分は、例えば以下の様にして定性、定量することができる。
THF不溶分の分析を行なうためには、まずトナーを前述したTHFによるソックスレー抽出をし、その後乾燥した残渣を核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,13C−NMR)、赤外吸収スペクトル(IR)、紫外吸収スペクトル(UV)、質量スペクトル(MS)等のスペクトル分析、元素分析、その他化学分析(例えば酸価,水酸基価の測定)など様々な方法により分析すればよい。また、ポリエステル成分の構造中に有する水酸基やカルボキシル基と反応する染料等をポリエステル成分に結合させ、可視スペクトル分析する方法なども適用することができる。これらの分析手段は単独でも複数組み合わせてもよい。
本発明に係わる反応性ポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、マレイン酸、コハク酸、セバシン酸、チオジグリコール酸、ジグリコール酸、マロン酸、グルタン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、しょうのう酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸等の多塩基酸と;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類とを縮合重合したものであって、得られた縮合重合体の主鎖又は側鎖に反応性基を有するものである。反応性基とは、カルボン酸(又はその塩)、スルホン酸(又はその塩)、エチレンイミノ酸、エポキシ基、イソシアネート基、二重結合、酸無水物、ハロゲン原子等様々なものが例示でき、この反応性ポリエステルをお互いに反応させて、あるいは多官能性の架橋剤(例えば多価アルコール、多塩基酸など)と反応させて、さらに反応性ポリエステルとビニル系単量体を反応(例えばエステル化、共重合など)させてTHF不溶分を得ることができる。例えば重合法によりトナーを得る場合には、反応性ポリエステルとして不飽和ポリエステルを用い、これとビニル系単量体(必要に応じてジビニルベンゼン等の架橋剤も含む)を共重合する。この場合には、極性を有する不飽和ポリエステルは、重合の進行と共にトナー表面付近に移行し、トナー粒子の外殻を形成するため、耐ブロッキング性、耐オフセット性が特に優れたトナーを得ることが可能である。
本発明で使用できる反応性ポリエステルは、前述の反応性基を含有していればどんなものでも使用可能であるが、あまり分子量が低すぎると架橋反応にあずからないポリエステルがトナー表面に存在してしまうことがあり、耐ブロッキング性が低下することがある。また、あまり高分子量であると、例えば重合法によりトナーを得る場合には、ビニル系単量体への該反応性ポリエステルの溶解が困難となるため、製造が困難となる。従って、反応性ポリエステルの重量平均分子量は、3,000〜100,000程度が特に性能の優れたトナーを得るのに好適である。
また、これらはそれぞれ一種類の重合体に限定されるわけではなく、例えば反応性ポリエステルを同時に二種以上用いることや、ビニル系重合体を二種以上用いることが可能であり、さらに全く種類の異なる重合体、例えば反応性の無いポリエステル、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアルキルビニルエーテル、ポリアルキルビニルケトン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリルエステル、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン等様々な重合体を必要に応じてバインダー樹脂に添加することができる。
本発明に用いられる着色剤は、以下に示すイエロー着色剤,マゼンタ着色剤及びシアン着色剤が挙げられ、黒色着色剤としてカーボンブラック,磁性体または以下に示すイエロー着色剤/マゼンタ着色剤/シアン着色剤を混合して黒色に調色されたものが利用される。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168、180等が好適に用いられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アンスラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アンスラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナー粒子中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂成分100重量部に対し1〜20重量部使用するのが好ましい。
黒色着色剤として磁性体を用いた場合には、他の着色剤と異なり、樹脂100重量部に対し40〜150重量部使用するのが好ましい。
本発明に用いられる荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、且つ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。更に、トナー粒子を直接重合法を用いる場合には、重合阻害性が無く水系分散媒体への可溶化物の無い荷電制御剤が特に好ましい。具体的化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物;スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物;ホウ素化合物;尿素化合物;ケイ素化合物;カリークスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤として、四級アンモニウム塩;該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物等が挙げられる。該荷電制御剤は樹脂100重量部に対し0.5〜10重量部使用することが好ましい。しかしながら、本発明において荷電制御剤の添加は必須ではなく、二成分現像方法を用いた場合においては、キャリヤとの摩擦帯電を利用し、非磁性一成分ブレードコーティング現像方法を用いた場合においては、ブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー粒子中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
本発明のトナーに無機微粉体を添加することは、現像性、転写性、帯電安定性、流動性及び耐久性向上のために好ましい実施形態である。該無機微粉体としては公知のものが使用可能であるが、特にシリカ,アルミナ,チタニアあるいはその複酸化物の中から選ばれることが好ましい。更には、シリカであることがより好ましい。例えば、かかるシリカは硅素ハロゲン化物やアルコキシドの蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ及びアルコキシド,水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O,SO3 2-等の製造残渣の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム,塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物を硅素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
本発明に用いられる無機微粉体は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、特に50〜400m2/gの範囲のものが良好な結果を与え、トナー100重量部に対してシリカ微粉末0.1〜8重量部、好ましくは0.5〜5重量部、さらに好ましくは1.0を超えて3.0重量部まで使用するのが特に良い。
また、本発明に用いられる無機微粉体は、必要に応じ、疎水化,帯電性制御等の目的でシリコーンワニス,各種変性シリコーンワニス,シリコーンオイル,各種変性シリコーンオイル,シランカップリング剤,官能基を有するシランカップリング剤,その他有機硅素化合物,有機チタン化合物等の処理剤で、あるいは、種々の処理剤で併用して処理されていることも可能であり好ましい。
比表面積はBET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出した。
高い帯電量を維持し、低消費量及び高転写率を達成するためには、無機微粉体は少なくともシリコーンオイルで処理されることがさらに好ましい。
本発明のトナーにおいては、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤;ケーキング防止剤、あるいは例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末等の導電性付与剤、また、逆極性の有機微粒子及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
本発明のトナーを製造する方法としては、樹脂,低軟化点物質からなる離型剤,着色剤,荷電制御剤等を加圧ニーダーやエクストルーダー又はメディア分散機を用い均一に分散せしめた後、機械的又はジェット気流下でターゲットに衝突させ、所望のトナー粒径に微粉砕化せしめた後、必要により、トナー粒子の平滑化及び球形化の工程を付加し、更に分級工程を経て粒度分布をシャープにせしめトナーにする粉砕方法によるトナーの製造方法の他に、特公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナーを得る方法や、特公昭36−10231号公報,特開昭59−53856号公報,特開昭59−61842号公報に述べられている懸濁重合方法を用いて直接トナーを生成する方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナーを生成する分散重合方法又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成するソープフリー重合法に代表される乳化重合方法等を用いトナーを製造することが可能である。
粉砕法を用いてトナーを製造する方法においては、トナー粒子の形状を所望の円形度頻度分布の範囲に納めることが困難であり、溶融スプレー法においては、ある程度の円形度を得ることができるが、得られるトナーの粒度分布が広くなり易い傾向があると共に、トナーの表面状態をコントロールすることが困難である。他方、分散重合法においては、得られるトナーは極めてシャープな粒度分布を示すが、使用する材料の選択が狭いことや有機溶剤の利用が廃溶剤の処理や溶剤の引火性に関する観点から製造装置が複雑で煩雑化しやすい。ソープフリー重合に代表される乳化重合方法は、トナーの粒度分布が比較的揃うため有効であるが、使用した乳化剤や重合開始剤末端がトナー粒子表面に存在した時に環境特性を悪化させやすい。
本発明においては、トナー粒子の円形度頻度分布のコントロールが重要であり、比較的容易に円相当個数平均径が2〜6μmの微粒子トナーが得られる常圧下、または、加圧下での乳化重合法又は懸濁重合方法を用い、予め得られた重合体にメディアを用い定形化したり、直接加圧衝突板に重合体を衝突せしめる方法や、更には得られた重合体を水系中にて凍結せしめたり、塩折や反対表面電荷を有する粒子をpH等の条件を考慮することで合体し、凝集、合一せしめる凝集方法が特に好ましい。さらに、一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめるシード重合方法も本発明に好適に利用することができる。
トナーの製造方法として直接重合方法を利用する場合、トナー粒子の円形度頻度分布及び粒径頻度分布の制御は、難水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散剤の種類や添加量を変える方法や機械的装置条件(例えばローターの周速、パス回数、撹拌羽根形状等の撹拌条件や容器形状)又は、水溶液中での固形分濃度等を制御することにより所定のトナー粒子を得ることができる。
また、トナーを加熱乾燥する際にもトナー粒子に球形化処理を施すことが可能で、例えば流動層乾燥機を用い、回転翼の撹拌条件と処理時間を調整することによりトナー粒子形状を好ましいものとすることができる。
本発明のトナーは、ワックス成分の物理特性を前述の如きに特定することにより、上記の如きトナー粒子の球形化処理に対してもトナーの粗粒化やワックス成分による影響を最小限とすることができるので非常に有効なものとなる。
直接重合法によりトナーを製造する際、用いられる重合開始剤として例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドの如き過酸化物系重合開始剤が用いられる。該重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが一般的には重合性単量体に対し0.5〜20重量%用いられる。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、十時間半減期温度を参考に、単独又は混合して使用される。
重合度を制御するため公知の架橋剤,連鎖移動剤,重合禁止剤等を更に添加し用いても良い。
トナーの製法として分散安定剤を用いた懸濁重合法を利用する場合、用いる分散安定剤としては、無機化合物として、リン酸三カルシウム,リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイト,シリカ,アルミナ等が挙げられる。有機化合物としては、ポリビニルアルコール,ゼラチン,メチルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩,ポリアクリル酸及びその塩,デンプン等が挙げられる。これらを水相に分散させて使用できる。これら分散安定剤は、重合性単量体100重量部に対して0.2〜20重量部を使用することが好ましい。
分散安定剤として、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい粒子を得るために、分散媒体中にて該無機化合物の微粒子を生成しても良い。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合すると良い。
これら分散安定剤の微細な分散の為に、0.001〜0.1重量部の界面活性剤を併用してもよい。これは上記分散安定剤の所期の作用を促進するためのものであり、例えば、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペンタデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステアリン酸カリウム,オレイン酸カルシウム等が挙げられる。
本発明で使用するトナーの製造方法として直接重合法を用いる場合においては、以下の如き製造方法が可能である。
重合性単量体中に、低軟化点物質からなる離型剤,着色剤,荷電制御剤,重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー,超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー,ホモジナイザー等により分散せしめる。好ましくは単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度,撹拌時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行うのが良い。重合反応後半に昇温しても良く、更に、本発明における画像形成方法における耐久性向上の目的で、未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を反応系から留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・濾過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体組成物100重量部に対して水300〜3000重量部を分散媒体として使用するのが好ましい。
次に本発明のトナーが適用される画像形成方法を添付図面を参照しながら以下に説明する。
図1に示す装置システムにおいて、現像器4−1、4−2、4−3、4−4に、それぞれシアントナーを有する現像剤、マゼンタトナーを有する現像剤、イエロートナーを有する現像剤及びブラックトナーを有する現像剤が導入され、磁気ブラシ現像方式又は非磁性一成分方式等によって静電潜像担持体(例えば感光体ドラム)1に形成された静電荷像を現像し、各色トナー像が感光体ドラム1上に形成される。
本発明のトナーは、磁性キャリアと混合し、例えば図2に示すような現像手段を用い現像を行うことができる。具体的には交番電界を印加しつつ、磁気ブラシが感光体ドラム13に接触している状態で現像を行うことが好ましい。現像剤担持体(現像スリーブ)11と感光体ドラム13の距離(S−D間距離)Bは100〜1000μmであることがキャリア付着防止及びドット再現性の向上において良好である。100μmより狭いと現像剤の供給が不十分になりやすく、画像濃度が低くなり、1000μmを超えると磁石S1からの磁力線が広がり磁気ブラシの密度が低くなり、ドット再現性に劣ったり、キャリアを拘束する力が弱まりキャリア付着が生じやすくなる。
交番電界のピーク間の電圧(Vpp)は500〜5000Vが好ましく、周波数(f)は500〜10000Hz、好ましくは500〜3000Hzであり、それぞれプロセスに適宜選択して用いることができる。この場合、波形としては三角波、矩形波、正弦波、あるいはDuty比を変えた波形等種々選択して用いることができる。印加電圧が、500Vより低いと十分な画像濃度が得られにくく、また非画像部のカブリトナーを良好に回収することができない場合がある。5000Vを超える場合には磁気ブラシを介して、静電像を乱してしまい、画質低下を招く場合がある。
良好に帯電したトナーを有する二成分系現像剤を使用することで、カブリ取り電圧(Vback)を低くすることができ、感光体の一次帯電を低めることができるために感光体寿命を長寿命化できる。Vbackは、現像システムにもよるが150V以下、より好ましくは100V以下が良い。
コントラスト電位としては、十分画像濃度がでるように200V〜500Vが好ましく用いられる。
周波数が500Hzより低いとプロセススピードにも関係するが、キャリアへの電荷注入が起こるためにキャリア付着、あるいは潜像を乱すことで画質を低下させる場合がある。10000Hzを超えると電界に対してトナーが追随できず画質低下を招きやすい。
十分な画像濃度を出し、ドット再現性に優れ、かつキャリア付着のない現像を行うために現像スリーブ11上の磁気ブラシの感光体ドラム13との接触幅(現像ニップC)を好ましくは3〜8mmにすることである。現像ニップCが3mmより狭いと十分な画像濃度とドット再現性を良好に満足することが困難であり、8mmより広いと、現像剤のパッキングが起き機械の動作を止めてしまったり、またキャリア付着を十分に抑さえることが困難になる。現像ニップの調整方法としては、現像剤規制部材18と現像スリーブ11との距離Aを調整したり、現像スリーブ11と感光体ドラム13との距離Bを調整することでニップ幅を適宜調整する。
特にハーフトーンを重視するようなフルカラー画像の出力において、マゼンタ用、シアン用、及びイエロー用の3個以上の現像器が使用され、本発明の現像剤及び現像方法を用い、特にデジタル潜像を形成した現像システムと組み合わせることで、磁気ブラシの影響がなく、潜像を乱さないためにドット潜像に対して忠実に現像することが可能となる。転写工程においても本発明トナーを用いることで高転写率が達成でき、したがって、ハーフトーン部、ベタ部共に高画質を達成できる。
さらに初期の高画質化と併せて、本発明のトナーを用いることで多数枚の複写においても画質低下のない本発明の効果が十分に発揮できる。
本発明のトナーは一成分現像にも好適に用いることが出来る。静電潜像担持体上に形成された静電像を現像する装置の一例を示すが必ずしもこれに限定されるものではない。
図3において、25は静電潜像担持体(感光体ドラム)であり、潜像形成は電子写真プロセス手段又は静電記録手段により成される。24はトナー担持体(現像スリーブ)であり、アルミニウムあるいはステンレス等からなる非磁性スリーブからなる。
現像スリーブ24の略右半周面はトナー容器21内のトナー溜りに常時接触していて、その現像スリーブ面近傍のトナーが現像スリーブ面にスリーブ内の磁気発生手段の磁力及び/又は静電気力により付着保持される。
本発明では、トナー担持体の表面粗度Ra(μm)を1.5以下となるように設定する。好ましくは1.0以下である。更に好ましくは0.5以下である。
該表面粗度Raを1.5以下とすることでトナー担持体の有するトナー粒子の搬送能力を抑制し、該トナー担持体上のトナー層を薄層化すると共に、該トナー担持体とトナーの接触回数が多くなる為、該トナーの帯電性も改善されるので相乗的に画質が向上する。
該トナー担持体の表面粗度Raが1.5を超えると、該トナー担持体上のトナー層の薄層化が困難となるばかりか、トナーの帯電性が改善されないので画質の向上は望めない。
本発明において、トナー担持体の表面粗度Raは、JIS表面粗さ「JIS B 0601」に基づき、表面粗さ測定器(サーフコーダSE−30H、株式会社小坂研究所社製)を用いて測定される中心線平均粗さに相当する。具体的には、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さaとして2.5mmの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸,縦倍率の方向をY軸,粗さ曲線をy=f(x)で表わした時、次式によって求められる値をミクロメートル(μm)で表わしたものをいう。
本発明に用いられるトナー担持体としては、たとえばステンレス,アルミニウム等から成る円筒状、あるいはベルト状部材が好ましく用いられる。また必要に応じ表面を金属,樹脂等のコートをしても良く、樹脂や金属類,カーボンブラック,帯電制御剤等の微粒子を分散した樹脂をコートしても良い。
本発明では、トナー担持体の表面移動速度を静電潜像担持体の表面移動速度に対し1.05〜3.0倍となるように設定することで、該トナー担持体上のトナー層は適度な撹拌効果を受ける為、静電潜像の忠実再現が一層良好なものとなる。
該トナー担持体の表面移動速度が、静電潜像担持体の表面移動速度に対し1.05倍未満であると、該トナー層の受ける撹拌効果が不十分となり、良好な画像形成は望めない。また、ベタ黒画像等、広い面積にわたって多くのトナー量を必要とする画像を現像する場合、静電潜像へのトナー供給量が不足し画像濃度が薄くなる。逆に3.0を超える場合、上記の如きトナーの過剰な帯電によって引き起こされる種々の問題の他に、機械的ストレスによるトナーの劣化やトナー担持体へのトナー固着が発生、促進され、好ましくない。
トナーTはホッパー21に貯蔵されており、供給部材22によって現像スリーブ上へ供給される。供給部材として、多孔質弾性体、例えば軟質ポリウレタンフォーム等の発泡材より成る供給ローラーが好ましく用いられる。該供給ローラーを現像スリーブに対して、順または逆方向に0でない相対速度をもって回転させ、現像スリーブ上へのトナー供給と共に、スリーブ上の現像後のトナー(未現像トナー)のはぎ取りをも行う。この際、供給ローラーの現像スリーブへの当接幅は、トナーの供給及びはぎ取りのバランスを考慮すると、2.0〜10.0mmが好ましく、4.0〜6.0mmがより好ましい。その一方で、トナーに対する過大なストレスを余儀なくされ、トナーの劣化による凝集の増大、あるいは現像スリーブ,供給ローラー等へトナーの融着・固着が生じやすくなるが、本発明の現像法に用いられるトナーは、流動性,離型性に優れ、耐久安定性を有しているので、該供給部材を有する現像法においても好ましく用いられる。また、供給部材として、ナイロン,レーヨン等の樹脂繊維より成るブラシ部材を用いてもよい。尚、これらの供給部材は磁気拘束力を利用できない非磁性一成分トナーを使用する一成分現像方法において極めて有効であるが、磁性一成分トナーを使用する一成分現像方法に使用してもよい。
現像スリーブ上に供給されたトナーは規制部材によって薄層かつ均一に塗布される。トナー薄層化規制部材は、現像スリーブと一定の間隙をおいて配置される金属ブレード、磁性ブレード等のドクターブレードである。あるいは、ドクターブレードの代りに、金属,樹脂,セラミックなどを用いた剛体ローラーやスリーブを用いても良く、それらの内部に磁気発生手段を入れても良い。
また、トナー薄層化の規制部材としてトナーを圧接塗布する為の弾性ブレードや弾性ローラーの如き弾性体を用いても良い。例えば図3において、弾性ブレード23はその上辺部側である基部を現像剤容器21側に固定保持され、下辺部側をブレードの弾性に抗して現像スリーブ24の順方向或いは逆方向にたわめ状態にしてブレード内面側(逆方向の場合には外面側)をスリーブ24表面に適度の弾性押圧をもって当接させる。この様な装置によると、環境の変動に対しても安定で、緻密なトナー層が得られる。その理由は必ずしも明確ではないが、該弾性体によって現像スリーブ表面と強制的に摩擦される為トナーの環境変化による挙動の変化に関係なく常に同じ状態で帯電が行われる為と推測される。
その一方で帯電が過剰になり易く、現像スリーブや弾性ブレード上にトナーが融着し易いが、本発明に用いられるトナーは離型性に優れ摩擦帯電性が安定しているので好ましく用いられる。
該弾性体には所望の極性にトナーを帯電させるのに適した摩擦帯電系列の材質を選択することが好ましく、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBRの如きゴム弾性体;ポリエチレンテレフタレートの如き合成樹脂弾性体;ステンレス、鋼、リン青銅の如き金属弾性体が使用できる。また、それらの複合体であっても良い。
また、弾性体とトナー担持体に耐久性が要求される場合には、金属弾性体に樹脂やゴムをスリーブ当接部に当るように貼り合わせたり、コーティング塗布したものが好ましい。
更に、弾性体中に有機物や無機物を添加しても良く、溶融混合させても良いし、分散させても良い。例えば、金属酸化物、金属粉、セラミックス、炭素同素体、ウィスカー、無機繊維、染料、顔料、界面活性剤などを添加することにより、トナーの帯電性をコントロールできる。特に、弾性体がゴムや樹脂等の成型体の場合には、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化錫、酸化ジルコニア、酸化亜鉛等の金属酸化物微粉末、カーボンブラック、一般にトナーに用いられる荷電制御剤等を含有させることも好ましい。
またさらに、規制部材である現像ブレード,供給部材である供給ローラー,ブラシ部材に直流電場及び/または交流電場を印加することによっても、トナーへのほぐし作用のため現像スリーブ上の規制部位においては、均一薄層塗布性,均一帯電性がより向上し、供給部位においては、トナーの供給/はぎとりがよりスムーズになされ、十分な画像濃度の達成及び良質の画像を得ることができる。
該弾性体とトナー担持体との当接圧力は、トナー担持体の母線方向の線圧として、0.1kg/m以上、好ましくは0.3〜25kg/m、更に好ましくは0.5〜12kg/mが有効である。これによりトナーの凝集を効果的にほぐすことが可能となり、トナーの帯電量を瞬時に立ち上げることが可能になる。当接圧力が0.1kg/mより小さい場合、トナーの均一塗布が困難となり、トナーの帯電量分布がブロードになりカブリや飛散の原因となる。また当接圧力が25kg/mを超えると、トナーに大きな圧力がかかり、トナーが劣化したり、トナーの凝集物が発生するなど好ましくない。またトナー担持体を駆動させるために大きなトルクを要するため好ましくない。
静電潜像担持体とトナー担持体との間隙αは、50〜500μmに設定され、ドクターブレードとトナー担持体との間隙は、50〜400μmに設定されることが好ましい。
トナー担持体上のトナー層の層厚は、静電潜像担持体とトナー担持体との間隙αよりも薄いことが最も好ましいが、場合によりトナー層を構成する多数のトナーの穂のうち、一部は静電潜像担持体に接する程度にトナー層の層厚を規制してもよい。
一方、トナー担持体には、バイアス電源26により静電潜像担持体との間に交番電界を印加することによりトナー担持体から静電潜像担持体へのトナーの移動を容易にし、更に良質の画像を得ることが出来る。交番電界のVppは100V以上、好ましくは200〜3000V、更に好ましくは300〜2000Vで用いるのが良い。また、fは500〜5000Hz、好ましくは1000〜3000Hz、更に好ましくは1500〜3000Hzで用いられるこの場合の波形は、矩形波、サイン波、のこぎり波、三角波等の波形が適用できる。また、正、逆の電圧、時間の異なる非対称交流バイアスも利用できる。また直流バイアスを重畳するのも好ましい。
静電潜像担持体1はa−Se、CdS、ZnO2、OPC、a−Siの様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは感光ベルトである。静電潜像担持体1は図示しない駆動装置によって矢印方向に回転される。
静電潜像担持体としては、アモルファスシリコン感光層、又は有機系感光層を有する感光体が好ましく用いられる。
有機感光層としては、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する、単一層型でもよく、又は、電荷輸送層を電荷発生層を成分とする機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
有機感光層の結着樹脂はポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂が特に、転写性、クリーニング性が良く、クリーニング不良、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくい。
帯電工程では、コロナ帯電器を用いる静電潜像担持体とは非接触である方式と、ローラ等を用いる接触型の方式がありいずれのものも用いられる。効率的な均一帯電、シンプル化、低オゾン発生化のために図1に示す如く接触方式のものが好ましく用いられる。
帯電ローラ2は、中心の芯金2bとその外周を形成した導電性弾性層2aとを基本構成とするものである。帯電ローラ2は、静電潜像担持体1に押圧力をもって圧接され、静電潜像担持体1の回転に伴い従動回転する。
帯電ローラを用いた時の好ましいプロセス条件としては、ローラの当接圧が5〜500g/cmで、直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いた時には、交流電圧は0.5〜5kVpp、交流周波数は50Hz〜5kHz、直流電圧は±0.2〜±1.5kVであり、直流電圧のみを用いた時には、直流電圧は±0.2〜±5kVである。
この他の帯電手段としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、高電圧が不必要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
接触帯電手段としての帯電ローラ及び帯電ブレードの材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜をもうけても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)などが適用可能である。
静電潜像担持体上のトナー像は、電圧(例えば、±0.1〜±5kV)が印加されている中間転写体5に転写される。静電潜像担持体表面は、クリーニングブレード8を有するクリーニング手段9でクリーニングされる。
中間転写体5は、パイプ状の導電性芯金5bと、その外周面に形成した中抵抗の弾性体層5aからなる。芯金5bは、プラスチックのパイプに導電性メッキをほどこしたものでも良い。
中抵抗の弾性体層5aは、シリコーンゴム、テフロン(登録商標)ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンの3元共重合体)などの弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、炭化ケイ素の如き導電性付与材を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を105〜1011Ω・cmの中抵抗に調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層である。
中間転写体5は静電潜像担持体1に対して並行に軸受けさせて静電潜像担持体1の下面部に接触させて配設してあり、静電潜像担持体1と同じ周速度で反対方向に回転する。
静電潜像担持体1の面に形成担持された第1色のトナー像が、静電潜像担持体1と中間転写体5とが接する転写ニップ部を通過する過程で中間転写体5に対する印加転写バイアスで転写ニップ域に形成された電界によって、中間転写体5の外面に対して順次に中間転写されていく。
必要により、着脱自在なクリーニング手段10により、転写材へのトナー像の転写後に、中間転写体5の表面がクリーニングされる。中間転写体上にトナー像がある場合、トナー像を乱さないようにクリーニング手段10は、中間転写体表面から離される。
中間転写体5に対して並行に軸受けさせて中間転写体5の下面部に接触させて転写手段が配設され、転写手段7は例えば転写ローラ又は転写ベルトであり、中間転写体5と同じ周速度で矢印の時計方向に回転する。転写手段7は直接中間転写体5と接触するように配設されていても良く、またベルト等が中間転写体5と転写手段7との間に接触するように配置されても良い。
転写ローラの場合、中心の芯金7bとその外周を形成した導電性弾性層7aとを基本構成とするものである。
中間転写体及び転写ローラとしては、一般的な材料を用いることが可能である。中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値よりも転写ローラの弾性層の体積固有抵抗値をより小さく設定することで転写ローラへの印加電圧が軽減でき、転写材上に良好なトナー像を形成できると共に転写材の中間転写体への巻き付きを防止することができる。特に中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値が転写ローラの弾性層の体積固有抵抗値より10倍以上であることが特に好ましい。
例えば、転写ローラ7の導電性弾性層7aはカーボン等の導電材を分散させたポリウレタン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体(EPDM)等の体積抵抗106〜1010Ωcm程度の弾性体でつくられている。芯金7bには定電圧電源によりバイアスが印加されている。バイアス条件としては、±0.2〜±10kVが好ましい。
本発明のトナーは、転写工程での転写効率が高く、転写残トナーが少ない上に、クリーニング性に優れているので、静電潜像担持体上にフィルミングを生じにくい。さらに、多数枚耐久試験を行っても従来のトナーよりも、本発明のトナーは外添剤のトナー粒子表面への埋没が少ないため、良好な画質を長期にわたって維持し得る。特に静電潜像担持体や中間転写体上の転写残トナーをクリーニングブレードの如きクリーニング手段で除去し、回収された該転写残トナーを再度利用するいわゆるリユース機構を有する画像形成装置に好ましく用いられる。
次いで転写材6上のトナー画像は加熱加圧定着手段によって定着される。加熱加圧定着手段としては、ハロゲンヒーター等の発熱体を内蔵した加熱ローラーと、加熱ローラーに対し押圧力をもって圧接された弾性体の加圧ローラーを基本構成とする熱ロール方式や、フィルムを介してヒーターにより加熱定着する方式(図4,5)が挙げられるが、本発明のトナーは定着性と耐オフセット性に優れるので上記の如き加熱加圧定着手段と良好なマッチングを示す。
以下、具体的実施例によって本発明を説明するが、本発明はなんらこれらに限定されるものではない。
本発明に用いられるワックス成分の内容をスチレンモノマーへの溶解温度の測定結果と共に表1にまとめる。
すなわち、<A>高級脂肪酸エステルワックス、<B>高級アルコールワックス、<C>フィッシャートロプシュ法により合成したポリアルキレンから分別により得られたワックス、<D>アーゲ法より合成したポリアルキレンから分別により得られたワックス、<E>ポリプロピレンの酸化分解より得られたワックス(以上、本発明のトナー用)、及び<a>と<b>ポリエチレンの酸化分解より得られたワックス(比較トナー用)である。
[トナーの製造例及び比較製造例]
本発明のトナーの製造例及び比較製造例について述べる。
トナーの製造例1
高速撹拌装置TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を備えた2リットル用4つ口フラスコ中にイオン交換水650gと0.1mol/リットル−Na3PO4水溶液500gを投入し、回転数を14000rpmに調整し、70℃に加温せしめた。ここに1.0mol/リットル−CaCl2水溶液70重量部を徐々に添加し、微小な難水溶性分散安定剤Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を調製した。
一方、分散質として、
・スチレン 78重量部
・n−ブチルアクリレート 22重量部
・ジビニルベンゼン 0.3重量部
・カーボンブラック(BET比表面積=50m2/g) 5重量部
・不飽和ポリエステル
(エポキシ化ビスフェノールAとフマル酸の縮合重合体、ピーク分子量=7000)
4重量部
・負荷電性制御剤(サリチル酸系鉄化合物) 2重量部
・前記表1のワックス成分<A> 15重量部
上記混合物をアトライター(三井金属社製)を用い3時間分散させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5重量部を添加し重合性単量体組成物を調製した。
次に、前記水系分散媒体中に該重合性単量体組成物を投入し、内温65℃のN2雰囲気下で、高速撹拌器の回転数を12000rpmに維持しつつ、15分間撹拌し、該重合性単量体組成物を造粒した。その後、撹拌器をプロペラ撹拌羽根に換え50rpmで撹拌しながら同温度で10時間保持して重合を完了した。
重合終了後、懸濁液を冷却し、次いで希塩酸を添加し分散安定剤を除去せしめた。更に水洗浄を数回繰り返した後、流動層乾燥機(大川原製作所社製)を用い、熱風中で撹拌しながら10時間トナー粒子の球形化処理と乾燥処理を行い、重合体粒子(A)を得た。該重合体粒子(A)は、GPCによる分子量分布で、ピーク分子量が1.5万、Mw/Mnが18であった。
また、該重合体粒子(A)の結着樹脂のTHF不溶分は21重量%であり、該THF不溶分の16重量%がポリエステル成分であった。
上記重合体粒子(A)100重量部と疎水性オイル処理シリカ微粉体(BET;200m2/g)2重量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して、本発明のトナー(A)とした後、該トナー(A)5重量部と樹脂コート磁性フェライトキャリア(平均粒径;40μm)95重量部とを混合して磁気ブラシ現像用二成分系現像剤(A)を調製した。
トナーの製造例2〜5並びに比較製造例1
ワックス成分<A>に代え、ワックス成分<B>〜<E>及び<a>を各々用いると共に、ジビニルベンゼンと不飽和ポリエステルの添加量を変更することにより結着樹脂のTHF不溶分と該THF不溶分中のポリエステル成分の存在量をコントロールし、更に流動層乾燥機の熱風の温度と撹拌条件と処理時間を変更する以外は、前記のトナー製造例1と同様にして重合体粒子(B)〜(E)及び(a)を得た後、本発明のトナー(B)〜(E)及び比較用トナー(a)、現像剤(B)〜(E)及び比較用現像剤(a)を調製した。
トナーの比較製造例2
ワックス成分<A>と不飽和ポリエステルに代え、前記表1のワックス成分<a>と飽和ポリエステル(プロポキシ化ビスフェノールAとテレフタル酸の縮合重合体、ピーク分子量=8000)を用いる以外は、前記のトナーの製造例1と同様にして重合体粒子(b)を得た後、比較用トナー(b)を調製した。
トナーの比較製造例3
・スチレン−n−ブチルアクリレート−ジビニルベンゼン樹脂
(ピーク分子量=1.5万、Mw/Mn=2.4、Tg=50℃)
100重量部
・トナーの製造例1で用いた不飽和ポリエステル 4重量部
・トナーの製造例1で用いたカーボンブラック 5重量部
・トナーの製造例1で用いた負荷電性制御剤 2重量部
・前記表1のワックス成分<b> 15重量部
上記混合物を二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕物と市販のリン酸カルシウム微粉体とをヘンシェルミキサーで混合後、得られた混合粉体を水が入っている容器へ投入し、更にホモミキサーを用い水中に分散させ水温を徐々に昇温させ温度60℃で2時間加熱処理せしめた。その後希塩酸を容器に添加し、微粉砕物粒子表面のリン酸カルシウムを十分溶解した。濾別後に洗浄、乾燥せしめ、次いで400メッシュの篩いを通して凝集物を除いた後、分級して分級粉(c)とした。該分級粉(c)を用い前記トナーの製造例1と同様にして比較用トナー(c)、更には、比較用現像剤(c)を調製した。
上記で得られた重合体粒子(A)〜(E)、比較用重合体粒子(a)、(b)及び、分級粉(c)の諸性状を表2にまとめる。
[実施例、並びに、比較例]
本実施例に用いた画像形成装置について説明する。図1は、本実施例に適用される画像形成装置の断面の概略的説明図である。
感光体ドラム1は、基材1a上に有機光半導体を有する感光層1bを有し、矢印方向に回転し、対抗し接触回転する帯電ローラー2(導電性弾性層2a、芯金2b)により感光体ドラム1上に約−700Vの表面電位に帯電させる。露光3は、ポリゴンミラーにより感光体上にデジタル画像情報に応じてオン−オフさせることで露光部電位が−150V、暗部電位が−700Vの静電荷像が形成される。複数の現像器4−1、4−2、4−3、4−4を用いイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーまたは、ブラックトナーを感光体1上に反転現像方法を用いトナー像を得た。該トナー像は、中間転写体5(弾性層5a、支持体としての芯金5b)上に転写され中間転写体5上に四色の色重ね顕色像が形成される。感光体1上の転写残トナーはクリーナー部材8により、残トナー容器9中に回収される。回収された残トナーは、リユース機構により現像器に搬送し、再使用した。
中間転写体5は、パイプ状の芯金5b上にカーボンブラックの導電付与部材をニトリル−ブタジエンラバー(NBR)中に十分分散させた弾性層5bをコーティングした。該コート層5bの硬度は、「JIS K−6301」に準拠し30度で且つ体積固有抵抗値は、109Ω・cmであった。感光体1から中間転写体5への転写に必要な転写電流は約4μAであり、これは電源より+500Vを芯金5b上に付与することで得られた。
転写ローラ7の外径16mmで直径8mmの芯金7b上にカーボンの導電性付与部材をエチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体(EPDM)の発泡体中に十分分散させたものをコーティングすることにより生成した弾性層7aを有し、弾性層7aの体積固有抵抗値は、106Ω・cmで、「JIS K−6301」の基準の硬度は30度の値を示すものを用いた。転写ローラには電圧を印加して17μAの転写電流を流した。
加熱定着装置Hにはオイル塗布機能のない熱ロール方式の定着装置を用いた。この時上部ローラー、下部ローラー共にフッ素系樹脂の表面層を有するものを使用し、ローラーの直径は60mmであった。また、定着温度は160℃、ニップ幅を7mmに設定した。
実施例1
上記の設定条件で、常温常湿(25℃,60%RH)と高温高湿(30℃,80%RH)環境下、12枚(A4サイズ)/分のプリントアウト速度で現像剤(A)を逐次補給しながら単色での連続モード(すなわち、現像器を休止させることなくトナーの消費を促進させるモード)で5000枚のプリントアウト試験を行い、得られたプリントアウト画像を後述の項目について評価した。
その結果、常温常湿環境下でカブリや中抜けといった画像不良は発生せず、ドット再現性に優れた高品位な画像が得られた。また、高温高湿環境下においても画像濃度やドット再現性に優れ、特に転写材を普通紙(75g/m2)と厚紙(105g/m2)としても転写性に関わる問題を発生させることなく、良好な画像が得られた。
また、同時に、用いた画像形成装置と上記現像剤のマッチングについても評価したところ、残留トナーの固着や傷の発生は見られず、良好なマッチングを示した。
実施例2〜5、並びに、比較例1、2
現像剤(B)〜(E)及び比較用現像剤(a)、(c)の各々を逐次補給しながら前記実施例1と同様に評価を行った。
以上の評価結果を表3に示す。
実施例6及び比較例3
図1に示す画像形成装置の現像装置を図3に示すものに交換し、トナー担持体面の移動速度が静電潜像担持体面の移動速度に対し、3.0倍となるように設定し、トナー(A)と比較用トナー(a)の各々を逐次補給しながら単色での間歇モード(すなわち、1枚プリントアウトする毎に10秒間現像器を休止させ、再起動時の現像装置の予備動作でトナーの劣化を促進させるモード)により前記実施例と同様に評価を行った。
尚、ここで用いたトナー担持体の表面粗度Raは1.4で、トナー規制ブレードは、リン青銅ベース板にウレタンゴムを接着し、トナー担持体との当接面をナイロンによりコートしたものを用いた。また、加熱定着装置Hには図4,5に示した定着装置を用い、加熱体31の検温素子31dの表面温度は140℃、加熱体21−シリコンゴムの発泡体を下層に有するスポンジ加圧ローラー33間の総圧は8kg、加圧ローラーとフィルムのニップは6mmとし、定着フィルム32には、転写材との接触面にPTEF(高分子量タイプ)に導電性物質を分散させた低抵抗の離型層を有する厚さ60μmの耐熱性ポリイミドフィルムを使用した。以上の評価結果を表4にまとめる。
実施例7及び比較例4、5
本実施例では市販のレーザービームプリンターLBP−EX(キヤノン社製)にリユース機構を取り付け改造し、再設定して用いた。即ち、図6において、感光体ドラム60上の未転写トナーを該感光体ドラムに当接しているクリーナー61の弾性ブレード62によりかき落とした後、クリーナーローラーによってクリーナー内部へ送り、更にクリーナースクリュー63を経て、搬送スクリューを設けた供給用パイプ64によってホッパー65を介して現像器66に戻し、再度、回収トナーを利用するシステムを取り付け、一次帯電ローラー67としてナイロン樹脂で被覆された導電性カーボンを分散したゴムローラー(直径12mm,当接圧50g/cm)を使用し、静電潜像担持体にレーザー露光(600dpi)により暗部電位VD=−700V、明部電位VL=−150Vを形成した。トナー担持体として表面にカーボンブラックを分散した樹脂をコートした表面粗度Raが1.1を呈する現像スリーブ68を感光ドラム面の移動速度に対して1.1倍となる様に設定し、次いで、感光体ドラムと該現像スリーブとの間隙(S−D間)を270μmとし、トナー規制部材としてウレタンゴム製ブレードを当接させて用いた。現像バイアスとして直流バイアス成分に交流バイアス成分を重畳して用いた。また、加熱定着装置の設定温度は150℃とした。
以上の設定条件で、常温常湿(25℃,60%RH)と低温低湿(15℃,10%RH)環境下、12枚(A4サイズ)/分のプリントアウト速度で、トナー(A)と比較用トナー(b)及び(c)の各々を逐次補給しながら間歇モード(すなわち、1枚プリントアウトする毎に10秒間現像器を休止させ、再起動時の予備動作でトナーの劣化を促進させるモード)で5000枚のプリントアウト試験を行い、得られたプリントアウト画像を後述の項目について評価した。
また、同時に用いた画像形成装置と上記トナーとのマッチングについても評価した。
以上の評価結果を表5にまとめる。
実施例8
図6のトナーリユース機構を取り外しプリントアウト速度を14枚(A4サイズ)/分とした以外は、実施例7と同様にし、前記トナー(A)を逐次補給しながら連続モード(すなわち、現像器を休止させることなく、トナーの消費を促進させるモード)でプリントアウト試験を行った。
得られたプリントアウト画像を後述の項目について評価すると共に、用いた画像形成装置とのマッチングについても評価した。その結果、いずれの項目についても良好であった。
本発明の実施例及び比較例中に記載の評価項目の説明とその評価基準について述べる。
[プリントアウト画像評価]
<1>画像濃度
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に所定の枚数のプリントアウトを終了した時の画像濃度により評価した。尚、画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。
A:1.40以上
B:1.35以上、1.40未満
C:1.00以上、1.35未満
D:1.00未満
<2>画像濃度安定性
普通紙(75g/m2)と厚紙(128g/m2と135g/m2)にベタ黒画像をプリントアウトした際に生じた画像濃度の濃淡差を測定し評価した。(常温常湿環境下は135g/m2紙のみで評価。)
A:0.05未満
B:0.05以上、0.10未満
C:0.10以上、0.30未満
D:0.30以上
<3>ドット再現性
潜像電界によって電界が閉じ易く、再現しにくい図7に示す様な小径(50μm)の孤立ドットパターンの画像をプリントアウトし、そのドット再現性を評価した。
A:欠損2個以下/100個
B:欠損3〜5個/100個
C:欠損6〜10個/100個
D:欠損11個以上/100個
<4>画像カブリ
「リフレクトメータ」(東京電色社製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。
A:1.5%未満
B:1.5%以上、2.5%未満
C:2.5%以上、4.0%未満
D:4.0%以上
<5>画像中抜け
図8(a)に示した「驚」文字パターンを厚紙(128g/m2と135g/m2)にプリントした際の文字の中抜け(図8(b)の状態)を目視で評価した。
A:中抜けはほとんど発生せず。
B:軽微な中抜けが見られる。
C:若干の中抜けが見られる。
D:顕著な中抜けが見られる。
[画像形成装置マッチング評価]
<1>現像スリーブとのマッチング
プリントアウト試験終了後、現像スリーブ表面への残留トナーの固着の様子とプリントアウト画像への影響を目視で評価した。
A:固着は未発生
B:固着はほとんど発生せず
C:固着があるが、画像への影響が少ない
D:固着が多く、画像ムラを生じる
<2>感光ドラムとのマッチング
プリントアウト試験終了後、感光体ドラム表面の傷や残留トナーの固着の発生状況とプリントアウト画像への影響を目視で評価した。
A:傷及び固着は未発生
B:わずかに傷の発生が見られるが、画像への影響はない
C:固着や傷があるが、画像への影響が少ない
D:固着が多く、縦スジ状の画像欠陥を生じる
<3>中間転写体とのマッチング
プリントアウト試験終了後、中間転写体表面の傷や残留トナーの固着状況を目視で評価した。
A:傷及び固着は未発生
B:表面に残留トナーの存在が認められるものの画像への影響はない
C:固着や傷があるが、画像への影響が少ない
D:固着が多く、画像欠陥を生じる
<4>定着装置とのマッチング
プリントアウト試験終了後、定着ローラーやフィルムの表面の傷や残留トナーの固着状況を目視で評価した。
A:傷及び固着は未発生
B:わずかに固着が見られるものの、画像への影響はない
C:固着や傷があるが、画像への影響が少ない
D:固着が多く、画像欠陥を生じる