JP2004361817A - フルカラートナー - Google Patents

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Abstract

【課題】初期及び耐刷時における黒トナーとカラートナー間の帯電特性の差が小さく、良好な画質のフルカラー画像が継続して得られるフルカラートナーを提供すること。
【解決手段】結着樹脂及び着色剤をそれぞれ含有してなる、黒トナーと少なくとも1種のカラートナーからなるフルカラートナーであって、黒トナーに含有されている結着樹脂の不飽和度(黒トナー不飽和度)が、いずれのカラートナーに含有されている結着樹脂の不飽和度(カラートナー不飽和度)よりも低く、黒トナー不飽和度と最も低いカラートナー不飽和度の差がカラートナー不飽和度間の差のいずれよりも大きく、黒トナー不飽和度といずれのカラートナー不飽和度との差も0.1〜1.5モル/1000gであるフルカラートナー。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるフルカラートナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、イエロー、シアン、マゼンタの3原色カラートナーと黒トナーの4色のトナーを用いるフルカラートナーが普及しているが、透明性等の要求特性や着色剤等の相違から、各トナーの現像特性が異なり、初期及び耐刷後の画像濃度の安定性向上が望まれている。
【0003】
そこで、4色の各トナー間の帯電特性を調整する手段として、特定物性を有する複数の無機微粒子のトナーへの外添(特許文献1参照)、カラートナーと黒トナーの軟化点や添加ワックスの調整(特許文献2、特許文献3参照)等が知られており、ある程度の効果は得られているものの、さらなる改善が望まれている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−10773号公報(請求項1、4)
【特許文献2】
特開2001−147554号公報(請求項1)
【特許文献3】
特開2001−147555号公報(請求項1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、初期及び耐刷時における黒トナーとカラートナー間の帯電特性の差が小さく、良好な画質のフルカラー画像が継続して得られるフルカラートナーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結着樹脂及び着色剤をそれぞれ含有してなる、黒トナーと少なくとも1種のカラートナーからなるフルカラートナーであって、黒トナーに含有されている結着樹脂の不飽和度(黒トナー不飽和度)が、いずれのカラートナーに含有されている結着樹脂の不飽和度(カラートナー不飽和度)よりも低く、黒トナー不飽和度と最も低いカラートナー不飽和度の差がカラートナー不飽和度間の差のいずれよりも大きく、黒トナー不飽和度といずれのカラートナー不飽和度との差も0.1〜1.5モル/1000gであるフルカラートナーに関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のフルカラートナーは、黒トナーと少なくとも1種のカラートナーを含有するものであるが、黒トナーに含有されている結着樹脂の不飽和度(黒トナー不飽和度)が、カラートナーに含有されている結着樹脂の不飽和度(カラートナー不飽和度)よりも低く、かつ特定濃度差に調整されている点に大きな特徴を有する。同一の結着樹脂を用いたフルカラー画像の形成では、耐刷後はいずれのトナーの帯電性も類似するものの、帯電の立ち上がりについてはカーボンブラックや金属酸化物のような導電性の高い物質を含有した黒トナーがカラートナーよりも早く、従って印刷初期における黒トナーとカラートナーにおける画像濃度の差が大きくなりがちである。しかしながら、本発明では、黒トナー不飽和度がカラートナー不飽和度よりも低く、その差がカラートナー間の不飽和度差よりも大きく、かつ特定の不飽和度差に調整されているため、本発明のフルカラートナーは、黒トナーとカラートナーの帯電の立ち上がりがほぼ同程度になり、かつ耐刷後も両者が良好な帯電量を維持できるため、安定した画質のフルカラー画像を継続して得ることができる。
【0008】
黒トナー不飽和度といずれのカラートナー不飽和度との差も、長期の画質維持の観点から、0.1〜1.5モル/1000gであり、好ましくは0.4〜1.0モル/1000g、より好ましくは0.7〜0.8モル/1000gである。
【0009】
また、カラートナー不飽和度間の差は、0.5モル/1000g以内が好ましく、0.3モル/1000g以内がより好ましく、0モル/1000g、即ち各カラートナーに同一の結着樹脂が含有されているのが特に好ましい。
【0010】
黒トナー不飽和度は、長期の画質維持の観点から、好ましくは0〜1.0モル/1000g、より好ましくは0〜0.4モル/1000g、特に好ましくは0〜0.1モル/1000gであり、カラートナー不飽和度は、長期の画質維持の観点から、好ましくは0.2〜1.5モル/1000g、より好ましくは0.5〜1.0モル/1000g、特に好ましくは0.7〜0.9モル/1000gである。なお、結着樹脂が複数の樹脂からなる場合は、それぞれの樹脂の不飽和度と配合比率の積の和を結着樹脂全体としての不飽和度とする。また、不飽和度に限らず、後述する酸価や軟化点についても、同様にして結着樹脂全体としての値を算出するものとする。
【0011】
本明細書において結着樹脂の不飽和度とは、結着樹脂1000g中の付加重合性不飽和結合のモル数と定義する。結着樹脂の各構成成分について〔モル数〕×〔当該構成成分1分子中の付加重合性不飽和結合数の合計〕を計算し、得られた値を全ての構成成分について合計して合計値(モル)(以下、URという)を求める。一方、各構成成分ごとにそのモル数に対し分子量を乗じ、得られた値を全ての構成成分について合計して合計値(g)(以下、SUMという)を求め、さらにUR÷SUM×1000を計算することにより不飽和度(モル/1000g)を求める。なお、縮重合系樹脂の場合には、SUMから、水、低級アルコール等の低分子物質の脱反応による脱低分子物質量(g)を減じた値をSUMの値として用いる。
【0012】
さらに、カラートナーに含有される結着樹脂の酸価は、帯電保持力の観点から、黒トナーに含有される結着樹脂の酸価よりも高いことが好ましく、その差は、1〜30mgKOH/gが好ましく、5〜15mgKOH/gがより好ましい。黒トナーに含有される結着樹脂の酸価は、1〜15mgKOH/gが好ましく、1〜10mgKOH/gがより好ましい。また、カラートナーに含有される結着樹脂の酸価は、2〜40mgKOH/gが好ましく、5〜20mgKOH/gがより好ましい。
【0013】
黒トナーとカラートナーは、通常のトナーと同様に、それぞれ結着樹脂及び着色剤を含有するものである。
【0014】
結着樹脂は、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステルとスチレン−アクリル樹脂の混合樹脂、2種以上の樹脂成分が部分的に化学結合したハイブリッド樹脂等が挙げられるが、定着性及び透明性の観点から、ポリエステルを主成分とすることが好ましい。結着樹脂中のポリエステルの含有量は、50〜100重量%が好ましく、70〜100重量%がより好ましく、100重量%が特に好ましい。なお、ハイブリッド樹脂としては、ポリエステル、ポリエステル・ポリアミド、ポリアミド等の縮重合系樹脂とビニル重合系樹脂等の付加重合系樹脂とが化学的に結合した樹脂が好ましく、2種以上の樹脂を原料として得られたものであっても、1種の樹脂と他種の樹脂の原料モノマーの混合物から得られたものであってもよいが、効率よくハイブリッド樹脂を得るためには、2種以上の樹脂の原料モノマーの混合物から得られたものが好ましい。
【0015】
ポリエステルの原料モノマーは、特に限定されないが、公知のアルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の公知のカルボン酸成分が用いられる。
【0016】
アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン等の式(I):
【0017】
【化2】
Figure 2004361817
【0018】
(式中、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyは正の数を示し、xとyの和は1〜16、好ましくは1.5〜5.0である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。
【0019】
また、カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の芳香族カルボン酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸、イタコン酸、シトラコン酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族カルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
【0020】
本発明においては、帯電性、着色剤の分散性及び耐ブロッキング性の観点から、黒トナーとカラートナーのいずれにおいても、アルコール成分中に、式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80〜100重量%、特に好ましくは100重量%含有されていることが好ましく、黒トナーとカラートナーとの不飽和度差は、カルボン酸成分を構成するモノマーにより調整することが好ましい。
【0021】
また、黒トナーに含有される結着樹脂の少なくとも1種は、カルボン酸成分中のα,β−エチレン性不飽和多塩基酸化合物の含有量が、好ましくは0〜50モル%、より好ましくは0〜10モル%、特に好ましくは0モル%であり、カラートナーに含有される結着樹脂の少なくとも1種は、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜50モル%である。なお、α,β−エチレン性不飽和多塩基酸化合物には、前記したカルボン酸成分のうち、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等が含まれ、好ましくはフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、特に好ましくはフマル酸である。また、α,β−エチレン性不飽和多塩基酸化合物は、α,β−エチレン性不飽和多塩基酸、及びそれらの酸の無水物、それらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等のα,β−エチレン性不飽和多塩基酸の誘導体を含む。
【0022】
ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。
【0023】
また、結着樹脂の軟化点は、80〜165℃が好ましく、95〜155℃がより好ましく、ガラス転移点は50〜85℃が好ましい。なお、より広い定着域を得る観点から、軟化点が120〜165℃の樹脂(高軟化点樹脂)と、軟化点が80℃以上120℃未満の樹脂(低軟化点樹脂)が、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは30/70〜70/30の重量比(高軟化点樹脂/低軟化点樹脂)で、配合されているのが好ましい。
【0024】
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146 、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。着色剤の使用量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
【0025】
本発明においては、さらに、荷電制御剤、離型剤、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を原料として配合してもよい。
【0026】
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等の正帯電性荷電制御剤と、含金属アゾ染料、芳香族ヒドロキシカルボン酸金属錯体、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、ベンジル酸ホウ素化合物等の負帯電性荷電制御剤が挙げられ、これらはトナーの帯電性に応じてそれぞれ単独で用いられていても、混合して用いられていてもよい。
【0027】
離型剤としては、カルナウバワックス、ライスワックス等の天然エステル系ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュ等の合成ワックス、モンタンワックス等の石炭系ワックス、アルコール系ワックス等のワックスが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して含有されていてもよい。
【0028】
各トナーの製造方法は、混練粉砕法、転相乳化法、乳化分散法、懸濁重合法等の従来より公知のいずれの方法であってもよいが、製造が容易なことから、混練粉砕法が好ましい。例えば、混練粉砕法による粉砕トナーの場合、結着樹脂、着色剤等をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は3〜15μmが好ましい。
【0029】
黒トナー及びカラートナーの軟化点は、定着性及び耐ブロッキング性の観点から、95〜140℃が好ましく、100〜130℃がより好ましい。
【0030】
本発明のフルカラートナーは、黒トナーと少なくとも1種のカラートナーとから構成されるが、カラートナーとしては、マゼンタトナー、イエロートナー、シアントナー等が挙げられる。
【0031】
本発明のフルカラートナーは、各トナーが磁性体微粉末を含有するときは単独で現像剤として、また磁性体微粉末を含有しないときは非磁性一成分系現像剤として、もしくはキャリアと混合して二成分系現像剤として、特に限定されることなく、いずれの現像方法にも用いることができるが、特に長期の帯電安定性が強く要求される二成分系現像剤として用いることが好ましい。
【0032】
【実施例】
〔軟化点〕
高化式フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)を用い、樹脂の半分が流出する温度を軟化点とする(試料:1g、昇温速度:6℃/分、荷重:1.96MPa、ノズル:1mmφ×1mm)。
【0033】
〔酸価〕
JIS K0070に従って測定する。
【0034】
〔ガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定し、最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分から、ピークの頂点まで最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点とする。
【0035】
樹脂製造例1
表1に示す無水トリメリット酸以外の原料及び酸化ジブチル錫4gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、220℃で8時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させた。さらに210℃にて無水トリメリット酸を添加し、所定の軟化点に達するまで反応させて、樹脂A〜Dを得た。
【0036】
【表1】
Figure 2004361817
【0037】
黒トナー製造例
表2に示す結着樹脂100重量部、カーボンブラック「MOGUL−L」(キャボット社製)4.0重量部、荷電制御剤「ボントロン E−84」(保土谷化学工業社製)0.5重量部及び離型剤「カルナバワックスC1」(加藤洋行社製)1重量部を、ヘンシェルミキサーにて予備混合した後、二軸押出機で溶融混練し、冷却後、粉砕、分級工程を経て、体積平均粒子径が8μmの粉体を得た。
【0038】
得られた粉体100重量部に、疎水性シリカ「アエロジルR−972」(日本アエロジル社製)1.0重量部をヘンシェルミキサーにより混合付着させ、黒トナーA〜Cを得た。
【0039】
カラートナー製造例
表2に示す結着樹脂100重量部、イエロー着色剤「パリオトールD1155」(BASF社製)4.0重量部、荷電制御剤「ボントロン E−84」(保土谷化学工業社製)及び離型剤「カルナバワックスC1」(加藤洋行社製)1重量部を使用し、イエロートナーEについては、さらにフマル酸5重量部を使用し、黒トナーと同様にして、イエロートナーA〜Fを得た。
【0040】
また、イエロー着色剤の代わりに、マゼンタ着色剤「ECR−101」(大日化学社製)4.0重量部又はシアン着色剤「ECB−30」(大日精化社製)4.0重量部を使用した以外は、イエロートナーと同様にして、マゼンタトナーA〜F及びシアントナーA〜Fを得た。なお、マゼンタトナーE及びシアントナーEについては、イエロートナーEと同様に、さらにフマル酸5重量部を添加した。
【0041】
【表2】
Figure 2004361817
【0042】
実施例1〜6、比較例1、2
▲1▼ トナー5重量部とシリコーン樹脂にて被覆した粒子径が50μmのフェライトキャリア95重量部とをボールミルにて混合し、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各現像剤を得た。得られたそれぞれの現像剤を「プリテール550」(リコー社製)に実装し、それぞれの現像条件を同じにして、Hammermill(LaserPrint,90g紙)上に5cm四方のベタ画像(定着温度180℃、定着速度は50mm/sec)を得た。得られた定着画像の濃度を、反射濃度計「RD−915」(マクベス社製)を用いて測定し、以下の評価基準に従って、黒トナーとカラートナーにより得られた画像の画像濃度差(初期)を評価した。結果を表3に示す。なお、各実施例及び比較例におけるカラー画像間の画像濃度の差は、0.10未満であった。
【0043】
〔評価基準〕
黒画像と、カラー画像の中で黒画像ともっとも画像濃度の差が大きなカラー画像の濃度との差が、
◎: 0.10未満
○: 0.10以上、0.15未満
△: 0.15以上、0.20未満
×: 0.20以上
【0044】
▲2▼ さらに、印字率5%の画像をゼロックス社製の50g紙に、1万枚印刷した。1万枚目の画像の濃度を反射濃度計「RD−915」(マクベス社製)を用いて測定し、以下の評価基準に従って、黒トナーとカラートナーにより得られた画像の画像濃度差(耐刷後)を評価した。結果を表3に示す。なお、各実施例及び比較例におけるカラー画像間の画像濃度の差は、0.15未満であった。
【0045】
〔評価基準〕
黒画像と、カラー画像の中で黒画像ともっとも画像濃度の差が大きなカラー画像の濃度との差が、
◎: 0.15未満
○: 0.15以上、0.20未満
×: 0.20以上
【0046】
【表3】
Figure 2004361817
【0047】
以上の結果より、黒トナー不飽和度がカラートナー不飽和度よりも低く、かつ両者の差が一定の範囲内に調整された実施例1〜6のフルカラートナーは、比較例1、2のフルカラートナーと対比して、黒トナーとカラートナーとが、印刷初期からほぼ同等の帯電立ち上がり性を有し、かつ耐刷後も良好な帯電量を維持しているため、安定した画質のフルカラー画像を継続して得られることが分かる。
【0048】
また、樹脂の不飽和度を上げるフマル酸を、製造時に他の原料ととも配合したカラートナーを用いた比較例2では、初期の帯電特性は改良されるものの、耐刷による画像濃度の低下が著しいことから、結着樹脂中の不飽和度の調整が如何に重要であるかが明らかである。
【0049】
【発明の効果】
本発明のフルカラートナーにより、初期及び耐刷時における黒トナーとカラートナー間の帯電特性の差が小さく、良好な画質のフルカラー画像が継続して得られるという優れた効果が奏される。

Claims (4)

  1. 結着樹脂及び着色剤をそれぞれ含有してなる、黒トナーと少なくとも1種のカラートナーからなるフルカラートナーであって、黒トナーに含有されている結着樹脂の不飽和度(黒トナー不飽和度)が、いずれのカラートナーに含有されている結着樹脂の不飽和度(カラートナー不飽和度)よりも低く、黒トナー不飽和度と最も低いカラートナー不飽和度の差がカラートナー不飽和度間の差のいずれよりも大きく、黒トナー不飽和度といずれのカラートナー不飽和度との差も0.1〜1.5モル/1000gであるフルカラートナー。
  2. カラートナー不飽和度間の差が0.5モル/1000g以内であり、黒トナー不飽和度が0〜1.0モル/1000gである請求項1記載のフルカラートナー。
  3. 黒トナーに含有されている結着樹脂の少なくとも1種が、α,β−エチレン性不飽和多塩基酸化合物を0〜50モル%含有したカルボン酸成分と式(I):
    Figure 2004361817
    (式中、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyは正の数を示し、xとyの和は1〜16である)
    で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を50重量%以上含有したアルコール成分とを縮重合させて得られたポリエステルであり、カラートナーに含有されている結着樹脂の少なくとも1種が、α,β−エチレン性不飽和多塩基酸化合物を20〜90モル%含有したカルボン酸成分と前記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を50重量%以上含有したアルコール成分とを縮重合させて得られたポリエステルである請求項1又は2記載のフルカラートナー。
  4. カラートナーに含有される結着樹脂の酸価が黒トナーに含有される結着樹脂の酸価よりも高い請求項1〜3いずれか記載のフルカラートナー。
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