JP2004361714A - コンタクトレンズの保存/消毒方法 - Google Patents

コンタクトレンズの保存/消毒方法 Download PDF

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Kazuhiko Nakada
和彦 中田
Kotaro Sakanishi
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Abstract

【課題】レンズ内部に金属フタロシアニン化合物が導入されてなるコンタクトレンズを、細菌等を増殖させることなく、簡易に保存或いは消毒する、新規な保存/消毒方法を提供すること。
【解決手段】所定の金属フタロシアニン化合物が、レンズ形成材料に対して結合された形態において、或いはレンズ形成材料中に化合物として存在する形態において、含有せしめられてなるコンタクトレンズを用い、このコンタクトレンズに対して、水性媒体の存在下において、光照射を行なうようにした。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、コンタクトレンズの保存/消毒方法に係り、特に、レンズ中に金属フタロシアニン化合物が含有せしめられてなるコンタクトレンズを、細菌等を増殖させることなく、簡易に保存し或いは消毒する技術に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来より、コンタクトレンズ(CL)にあっては、レンズを眼から外して保存している間に、レンズ表面に付着した細菌等の微生物が増殖する恐れがあり、そしてそれらの微生物によって、眼に対して感染症等の悪影響がもたらされることがあるところから、一般に、その装用前において消毒を施すことが必要とされているのであり、特に、ソフトCLの場合には、細菌等の感染の危険性が高いために、装用前の消毒が極めて重要となっている。
【0003】
ところで、CLを消毒する方法としては、これまで、煮沸消毒器を用いた熱消毒法と、殺菌剤乃至は防腐剤を用いて行なう化学的消毒法が、主として採用されてきているが、前者の熱消毒法においては、長い時間を要する煮沸操作が必要とされるために、近年においては、後者の化学的消毒法が広く用いられるようになっている。
【0004】
そして、そのような化学的消毒法においては、所定の殺菌/防腐剤を含有せしめてなるCL用の液剤(消毒液)が用いられ、それにCLが浸漬せしめられて、目的とする消毒処理が施されている。なお、このような消毒液に含有される殺菌/防腐剤としては、これまでに、各種のものが提案されており、例えば、クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、チメロサール等が知られている。
【0005】
しかしながら、かかる化学的消毒方法において、充分な消毒乃至は殺菌効果を得るためには、殺菌/防腐剤を高濃度において含有せしめる必要があり、これによって、水濡れ性等のレンズ物性が低下したり、レンズ形状が変化したり、場合によっては、CLの装用時に、眼障害が惹起される恐れがあったのである。また一方で、レンズ物性及び形状の保持や眼に対する安全性を重視して、殺菌/防腐剤の使用濃度を低く抑えた消毒液を使用すると、当然のことながら、消毒作用の低下は免れ得ず、その結果、細菌等の微生物によるCLの汚染が惹起される恐れがあった。
【0006】
このため、消毒作用の低下を抑制しつつ、殺菌/防腐剤のより一層の低濃度化を図ることが、強く要望されているのである。
【0007】
一方、金属フタロシアニン化合物は、酸化還元能を有する触媒として作用することが知られており、この金属フタロシアニン化合物の酸化力により、病原性の有害微生物の殺菌を行なうことが可能であることも知られている。このため、本発明者等は、先に、金属フタロシアニン化合物を分散乃至は溶解せしめてなる消毒液中に、消毒対象とするCLを浸漬せしめ、そして、その状態下において、かかる消毒液に光を照射することにより、金属フタロシアニン化合物が、CLに対して有効な消毒作用を実現することを確かめ、更に、そのような金属フタロシアニン化合物を含有する消毒液に、低濃度の過酸化水素を含有せしめて、光照射を行なうようにすれば、消毒効果がより一層有利に増大せしめられ得ることを知見し、別途、特許出願を行なっている(特願2002−238953号)。
【0008】
また、この金属フタロシアニン化合物は、従来から、染料や色素としても知られており、コンタクトレンズに対して、そのような金属フタロシアニン化合物が適用されて、着色添加剤として、含有せしめられている。
【0009】
さらに、金属フタロシアニン化合物は、近赤外域の光を選択的に吸収する顔料としても知られており、特開平6−240146号公報(特許文献1)には、所定の金属フタロシアニン化合物を含有する樹脂からなる熱遮蔽材が、提案されている。
【0010】
加えて、特表平10−513376号公報(特許文献2)には、表面に、銅フタロシアニンやコバルトフタロシアニン等の非−光化学触媒を、プラスチック材料の内部に混入させたり、或いは、プラスチック材料の表面にコーティングすることによって、かかる非−光化学触媒を、被消毒物品の表面に供給し、更に、その表面を、過酸化水素溶液等の処理剤で処理することによって、消毒を行なう方法が提案されている。
【0011】
【特許文献1】
特開平6−240146号公報
【特許文献2】
特表平10−513376号公報
【0012】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、レンズ内部に金属フタロシアニン化合物が導入されて、存在せしめられてなるコンタクトレンズを、細菌等を増殖させることなく、簡易に保存或いは消毒する、新規な保存/消毒方法を提供することにある。
【0013】
【解決手段】
そして、本発明は、上述の如き課題を解決するために為されたものであって、その要旨とするところは、金属フタロシアニン化合物が、レンズ形成材料に対して結合された形態において、或いはレンズ形成材料中に化合物として存在する形態において、含有せしめられてなるコンタクトレンズを用い、このコンタクトレンズに対して、水性媒体の存在下において、光照射を行ない、該コンタクトレンズを保存し、或いは消毒することを特徴とするコンタクトレンズの保存/消毒方法にある。
【0014】
要するに、かくの如き本発明に従うコンタクトレンズの保存/消毒方法にあっては、レンズ中に金属フタロシアニン化合物がレンズ形成材料との結合状態において、若しくは非結合状態において含有せしめられてなるコンタクトレンズを、水性媒体中に浸漬せしめて、そのような水性媒体が存在する状態下において、光を照射するようにしているところから、光を受けたコンタクトレンズ中の金属フタロシアニン化合物が、水との接触部分において、ヒドロキシラジカルを生成し、かかるヒドロキシラジカルの強い酸化作用により、コンタクトレンズ表面上やその周囲に存在する細菌等の殺菌が行なわれ、以て、細菌等の増殖が有利に防止され得るようになっているのである。
【0015】
なお、このような本発明に従うコンタクトレンズの保存/消毒方法における望ましい態様の一つによれば、前記金属フタロシアニン化合物は、前記レンズ形成材料中に、30ppm〜3000ppmとなる割合において含有せしめられていることが望ましい。このような含有割合を採用することによって、金属フタロシアニン化合物による殺菌効果(消毒効果)を一層有利に発現することが可能となると共に、コンタクトレンズが着色し過ぎて、視認性が悪化するようなことも有利に防止され得るようになる。
【0016】
さらに、本発明に従うコンタクトレンズの保存/消毒方法の別の望ましい態様の一つによれば、前記金属フタロシアニン化合物として、下記一般式(I)にて示される化合物が、好適に採用されることとなる。
【化4】
Figure 2004361714
[但し、Mは、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、コバルト、ガリウム、塩化アルミニウム、又は塩化ガリウムを示し、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基又はそのアルカリ金属若しくはアンモニウム塩、スルホン基又はそのアルカリ金属若しくはアンモニウム塩、下記一般式(II)にて示される4級アンモニウム基、或いは下記一般式(III)にて示されるアミン基を示す。]
【化5】
Figure 2004361714
[但し、Rは、炭素数2〜6のアルキレン基又は炭素数2〜6のオキシアルキレン基であり、R10〜R12は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基である。]
【化6】
Figure 2004361714
[但し、R13,R14は、それぞれ独立して、水素原子又は−CO−A基である(ここで、Aは、炭素数7〜17のアルキル基、ビニル基、1−メチルビニル基、メタクリロイル基、或いはアクリロイル基を表わす)。]
【0017】
加えて、本発明における別の好ましい態様の一つによれば、前記光照射は、波長:340〜700nmの光を、放射照度:0.1〜20mW/cmとなるように、3分間〜12時間照射することにより、行なわれることが望ましく、このように光照射を実施することによって、金属フタロシアニン化合物の光触媒作用が有利に促進され、以て、より一層優れた殺菌効果を、効果的に得ることが出来るのである。
【0018】
また、本発明に従うコンタクトレンズの保存/消毒方法の更に別の好ましい態様の一つによれば、前記水性媒体の浸透圧が、270〜330mOsm/kgであることが望ましく、これによって、コンタクトレンズに悪影響が及ぼされるようなことが有利に防止され得ると共に、かかる水性媒体に浸漬されたコンタクトレンズを装用する際に、眼刺激が抑えられ、眼への安全性がより一層高度に確保されることとなる。
【0019】
なお、かかる本発明に従うコンタクトレンズの保存/消毒方法において、コンタクトレンズとしては、酸素透過性の非含水性コンタクトレンズ、含水性コンタクトレンズ等の公知の各種コンタクトレンズが挙げられるが、特に、含水率10%以上の含水性コンタクトレンズにあっては、コンタクトレンズの内部にも水が含有せしめられるところから、金属フタロシアニン化合物による殺菌効果が、より一層有利に発揮せしめられる。
【0020】
また、本発明における更に別の好ましい態様の一つによれば、前記水性媒体には、更に、過酸化水素が、1〜500ppmの割合において含有せしめられていることが望ましい。これにより、金属フタロシアニン化合物による殺菌効果と、過酸化水素による殺菌効果が相俟って、殺菌効果が相乗的に向上せしめられるのである。また、過酸化水素の濃度が、1ppm〜500ppmとされているところから、眼への悪影響が著しく低減されて、安全性も充分に確保され得る。
【0021】
さらに、本発明に従うコンタクトレンズの保存/消毒方法の好ましい態様の更に別の一つによれば、前記レンズ形成材料として、ケイ素含有モノマー及びフッ素含有モノマーから選ばれた少なくとも1種の重合成分を重合させて得られる重合体からなるものが、好適に採用され得る。
【0022】
【発明の実施の形態】
ところで、上述の如き本発明に従うコンタクトレンズ(CL)の保存/消毒方法は、金属フタロシアニン化合物を含有するレンズ形成材料からなるCL、具体的には、重合性基を有する金属フタロシアニン化合物が共重合せしめられて、それを結合した形態において含有するレンズ形成材料や、重合性基を有さない金属フタロシアニン化合物を分散,存在せしめた形態において含有するレンズ形成材料からなるCLを用い、このようなCLを水性媒体中に浸漬せしめる等して、水性媒体が存在する状態下において、かかるCLに光を照射して、該CLを保存、或いは消毒せしめるようにしたものであって、そこに、本発明の大きな特徴が存している。
【0023】
具体的には、本発明において採用されるCLの形成材料中に含有せしめられる金属フタロシアニン化合物は、CLを着色せしめるための着色剤として従来より知られているものであるが、本発明においては、酸化還元能を有する触媒としての作用をも奏するものであって、そのような金属フタロシアニン化合物が、水性媒体と接触せしめられた状態において光を受けることにより、ヒドロキシラジカルが生成されて、強い酸化力が発現され、以て、かかる酸化力に基づく殺菌作用が、有効に発揮せしめられるようになっているのである。
【0024】
なお、本発明において、かかる金属フタロシアニン化合物としては、特に限定されるものではないもの、前記一般式(I)にて示されるものが、好適に用いられることとなる。
【0025】
但し、かかる一般式(I)において、その中心部のMは、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、コバルト、ガリウム、塩化アルミニウム(AlCl)、又は塩化ガリウム(GaCl)を示しており、それらの中でも、特に、銅、鉄、亜鉛が、効果や安全性の面から、より望ましい。
【0026】
また、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基(−COOH)又はそのアルカリ金属若しくはアンモニウム塩(例えば、−COONa、−COONH)、スルホン基(−SOH)又はそのアルカリ金属若しくはアンモニウム塩(例えば、−SONa、−SONH)、前記一般式(II)にて表わされる4級アンモニウム基、或いは前記一般式(III)にて表わされるアミン基を示している。
【0027】
なお、前記一般式(II)において、Rは、炭素数2〜6のアルキレン基又は炭素数2〜6のオキシアルキレン基を示すものであり、そして、そのような炭素数2〜6のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基等の直鎖状アルキレン基や、プロピレン基等の分岐鎖状アルキレン基を挙げることが出来る一方、炭素数2〜6のオキシアルキレン基としては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基等を挙げることが出来る。また、前記一般式(II)にけるR10〜R12は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基を示し、そして、そのような炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることが出来る。
【0028】
また、前記一般式(III)において、R13,R14は、それぞれ独立に、水素原子又は−CO−A基を示す。ここにおいて、−CO−A基におけるAは、炭素数7〜17のアルキル基、ビニル基、1−メチルビニル基、メタクリロイル基、或いはアクリロイル基を表わし、そして、それらのうちの炭素数7〜17のアルキル基としては、例えば、ヘプチル基、オクチル基等を挙げることが出来る。
【0029】
そして、本発明にあっては、上述の如き金属フタロシアニン化合物の1種若しくは2種以上が、適宜に選択されて、レンズ形成材料中に含有せしめられることとなる。尤も、かかる金属フタロシアニン化合物を、重合体であるレンズ形成材料中に含有せしめるには、レンズ形成材料を構成する重合性モノマー組成物(重合成分からなる組成物)の重合に先立って、該重合性モノマー組成物中に、金属フタロシアニン化合物を、添加,混合せしめれば良い。その場合において、重合性基を有する重合型の金属フタロシアニン化合物を用いる場合にあっては、かかる金属フタロシアニン化合物自体が、レンズ形成材料を構成する重合成分と共重合することにより、レンズ形成材料中に結合含有せしめられる一方、重合性基を有しない添加型の金属フタロシアニン化合物が用いられるときは、レンズ形成材料中に独立した化合物の形態において均一に分散するように含有せしめられることとなる。
【0030】
この際、上記した金属フタロシアニン化合物は、レンズ形成材料中に、30〜3000ppm、より好ましくは、50〜1000ppmとなる割合において、換言すれば、金属フタロシアニン化合物が、全重合成分(重合型金属フタロシアニン化合物を除く)の100重量部に対し、0.003〜0.3重量部程度、好ましくは、0.005〜0.01重量部程度となる割合において、添加,含有せしめられることが、望ましい。何故ならば、かかる含有量が少なくなり過ぎると、金属フタロシアニン化合物による消毒効果を有効に実現することが不可能となる恐れがあるからであり、また、含有量が多くなり過ぎると、着色剤としての作用をも奏する金属フタロシアニン化合物によって、CLが着色し過ぎて、光線透過率が低下し、CL装用時において、視認性が悪化するようになる恐れがあるからである。
【0031】
なお、上述せる如き金属フタロシアニン化合物が含有せしめられるレンズ形成材料としては、その種類が特に限定されるものではなく、例えば、非含水性CLや含水性CL、また、軟質CLや硬質CLに拘わらず、公知の各種CLを形成する材料として用いられているものが、何れも採用され得るのであるが、特に、それらの中でも、含水率が10%以上の材料からなる含水性CLにあっては、その内部にも水が含有せしめられるところから、CL内部においても、金属フタロシアニン化合物による殺菌作用が発現されることとなり、より一層優れた消毒効果が得られるのである。更に、含水性CLにあっては、水性媒体に浸漬することによって、その材質中に水性媒体が取り込まれるところから、水性媒体から取り出した状態下において、光照射を行なっても、金属フタロシアニン化合物による殺菌作用が発現せしめられるといった利点がある。このように、CLを水性媒体中から取り出して光照射を行なっても、水性媒体が存在しておれば、つまり、水性媒体とレンズが接触しておれば、CLを水性媒体中に浸漬した状態で光照射を行なう場合と同様な効果が得られることは、勿論、言うまでもないところである。
【0032】
因みに、上述せるようなレンズ形成材料を構成する重合成分(重合性モノマー)としては、例えば、シリコン含有(メタ)アクリレートやシリコン含有スチレン誘導体、シリコン含有マクロモノマー等のケイ素含有モノマー;フッ素含有スチレン誘導体、フッ素含有アルキル(メタ)アクリレート等のフッ素含有モノマー;(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸;架橋性モノマー等、従来から公知の各種のものを例示することが出来る。そして、上述せる如き重合成分のうちの1種又は2種以上が、所望とするCLの種類(例えば、ハード、ソフト、非含水性、含水性等)やCLに必要とされる特性等に応じて、適宜に選択されて、用いられ得るのである。特に、CLに対して優れた酸素透過性や耐汚染性を付与せしめるために、これらの中でも、ケイ素含有モノマー及びフッ素含有モノマーのうちの少なくとも1種が、重合成分の一つとして、用いられることが望ましい。なお、上記「・・・(メタ)アクリレート」なる表記は、「・・・アクリレート」及び「・・・メタクリレート」を含む総称として用いられており、また、その他の(メタ)アクリル誘導体についても同様である。
【0033】
かくして、上述せる如き重合成分を含有する重合性モノマー組成物に対して、金属フタロシアニン化合物が、均一に添加,含有せしめられた後、かかる重合性モノマー組成物が、重合開始剤等を用いた従来から公知の重合法にて重合せしめられることにより、金属フタロシアニン化合物が、結合された形態において、或いは材料中に化合物として存在する形態において、含有せしめられたレンズ形成材料が形成されるのである。なお、レンズ形成材料を与える重合性モノマー組成物には、重合成分以外にも、必要に応じて、従来からCLの製造に一般的に用いられている各種の添加剤が、通常の範囲内で配合されても良いことは、勿論、言うまでもないところである。
【0034】
ところで、本発明にあっては、上述せる如き、レンズ形成材料中に金属フタロシアニン化合物を含有するCLを用い、このCLに対して、水性媒体の存在下において、光を照射することにより、光を受けたコンタクトレンズ中の金属フタロシアニン化合物が、水との接触部分において、ヒドロキシラジカルを生成し、かかるヒドロキシラジカルの強い酸化作用により、コンタクトレンズ表面上やその周囲に存在する細菌等の殺菌が行なわれて、細菌等の増殖が有利に防止され、以て、CLの保存/消毒処理が実施されるのである。また、上記した金属フタロシアニン化合物による殺菌効果は、該金属フタロシアニン化合物の触媒作用によるものであるところから、長期に亘って永続して発揮され得るようになっている。
【0035】
なお、このような保存/消毒処理に際しては、例えば、先ず、少なくともその一部において光の通過を許容する適当な容器を用いて、その容器内に、水性媒体を収容し、次いで、かかる容器中に金属フタロシアニン化合物を含有するCLを浸漬せしめ、その浸漬状態下で、光照射を行なって、光を容器内に入射せしめてCLに当てることによって、CLを消毒せしめる手法が、有利に採用されることとなる。また、かくの如き例示の手法を用いる場合においては、容器として、透明な材料からなるものを使用して、複数方向より光を照射せしめるように為すことで、光の照射効率を高めることが、より一層望ましい。
【0036】
また、CLに対して照射する光としては、金属フタロシアニン化合物における光触媒反応が有利に促進せしめられ得るように、一般に、340〜700nm、好ましくは、550〜700nm、更に好ましくは、600〜700nmの波長領域の光を含むものが望ましい。なお、上記した340〜700nmの波長の光を含むものであれば、光源は特に限定されるものではなく、例えば、太陽光等の自然光であっても良いし、LED(light−emitting diode)や白熱ランプ、超高圧水銀ランプ、蛍光灯、クセノンランプ、レーザー光等の人工光源であっても良い。
【0037】
また、そのような光の強さにあっては、特に限定されるものではないものの、小さくなり過ぎると、金属フタロシアニン化合物の触媒作用を効果的に向上せしめることが困難となる一方、大き過ぎると、CLに黄変等のレンズ劣化が起こる恐れがあるところから、使用する光源に応じて、適宜に設定されることが望ましいのである。放射照度としては、好ましくは、0.1〜20mW/cm、更に好ましくは、0.2〜10mW/cmであることが望ましい。
【0038】
また、このような光をCLに照射せしめて、かかるCLの保存/消毒を行なう時間にあっても、適宜に決定されるものであるが、金属フタロシアニン化合物による殺菌効果を得るためには、少なくとも3分以上、好ましくは、5分以上の照射時間が必要とされる。また、照射時間の上限としては、消毒作業の能率の向上を図る上で、通常、12時間以下、好適には4時間以下とされる。
【0039】
このように、本発明手法に従えば、CL保存時に、金属フタロシアニン化合物が含有せしめられたCLに対して、所定時間、光を照射するだけで、CLの形状や物性に悪影響を与えることなく、細菌等の微生物の増殖を抑制することが出来、以て、CLを有利に保存、或いは消毒することが出来るのである。また、言い換えれば、金属フタロシアニン化合物が含有せしめられたCLにあっては、水に接触した状態で光を受けることにより、抗菌作用が有利に発現され得るようになっているのである。
【0040】
ところで、上述せる如き水性媒体としては、水道水や精製水、蒸留水等の水そのものの他にも、水を主体とする溶液、例えば、生理食塩水や、コンタクトレンズ用保存液や洗浄液、殺菌液等の公知の水性液剤であれば、金属フタロシアニン化合物による殺菌効果が有効に得られるところから、何れも利用可能である。
【0041】
また、かくの如き水を主体とする水性媒体は、その浸透圧が、好ましくは、270〜330mOsm/kg、更に好ましくは、280〜320mOsm/kgに調整されていることが望ましい。何故なら、浸透圧が大き過ぎたり、逆に小さ過ぎる場合には、かかる水性媒体に浸漬されたCLの表面に、該水性媒体が付着したまま使用されるようなことがあると、眼に対して刺激が与えられたり、眼障害が招来される恐れがあると共に、CLに対して、形状変化等の悪影響を及ぼす恐れがあるからである。なお、水性媒体の浸透圧を、そのような所望とする浸透圧に調整するためには、一般に、塩化ナトリウムや、塩化カリウム、糖類、糖アルコール、多価アルコール若しくはそのエーテル又はそのエステル等の、公知の各種の等張化剤が、適宜に選択されて用いられることとなる。
【0042】
さらに、上記した水性媒体には、必要に応じて、通常のコンタクトレンズ用保存液や洗浄液、殺菌液等のコンタクトレンズ用液剤の調製において使用されている公知の各種の添加成分、例えば、キレート化剤、緩衝剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、殺菌剤、及び過酸化物のうちの1種或いは2種以上が組み合わされて含有せしめられていても良い。但し、それらの各添加成分は、何れも、生体に対して安全で、眼科生理学的に許容し得るものであると共に、先述せる如き金属フタロシアニン化合物によってもたらされる効果を阻害しないものであり、また、その効果を損なわない量的範囲において、それぞれ使用されることとなる。
【0043】
ここにおいて、そのような添加成分のうち、過酸化物としては、例えば、過酸化水素、オゾン水、過酸化ナトリウム、過酸化マグネシウム、酸化銀等を例示することが出来る。これらの過酸化物の中でも、過酸化水素にあっては、取扱性や安全性が良好であるところから、好適に採用され得るのである。
【0044】
そして、上述の如き過酸化水素が、水性媒体に更に含有せしめられ、光照射が行なわれることによって、金属フタロシアニン化合物の光触媒作用による殺菌効果と過酸化水素による殺菌効果とが相俟って、それらを単独で使用する場合に比して、著しく優れた殺菌効果が得られるようになるのである。つまり、かかる過酸化物によって、ヒドロキシラジカルの生成が更に促進され得るところから、CLの消毒がより一層効率よく行なわれ得るようになるのである
【0045】
このように、過酸化水素を含有する水性媒体を用いることで、極めて効率の高い消毒効果が得られるところから、かかる水性媒体中の過酸化水素の濃度としては、過酸化水素を殺菌剤乃至は消毒剤として含有する消毒液における濃度(一般に、3%=30000ppm)より極めて低い濃度、具体的には、1〜500ppm、好ましくは、10〜300ppm程度の濃度が、有利に採用され得ることとなる。そして、特に、このような低い過酸化水素濃度が採用される場合には、水性媒体中に含有せしめられた過酸化水素の殆んどが分解し、残存量が限りなく零に近くなるところから、過酸化水素の中和処理を実施する必要はなく、水性媒体に浸漬したCLをそのまま装用したり、或いは生理食塩水等にて濯いだ後に装用することも可能となり、眼への悪影響が著しく低減されて、安全性も充分に確保され得るようになる。
【0046】
また、上記せる如き過酸化水素が採用される場合にあっては、更に必要に応じて、該過酸化水素の活性を高めて、ヒドロキシラジカルを効果的に生成せしめるようにするために、フェントン反応を起こすような物質(例えば、鉄イオン等の金属イオン)を添加、含有せしめることも可能であり、このような物質の添加によって、より一層優れた殺菌作用が発揮され得るようになる。
【0047】
さらに、上述せる如き水性媒体中に必要に応じて含有せしめられる成分のうちの一つたるキレート化剤は、一般に、水性媒体中やCLに付着した涙液中に含まれるカルシウム等の金属イオンがCLに沈着することを防止するための成分であって、具体的に、そのような成分としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸やそのナトリウム塩若しくはその鉄錯体、フィチン酸、クエン酸等を例示することが出来るが、これらに何等限定されるものではない。なお、そのようなキレート化剤を使用するに際しては、カルシウム等の沈着防止効果が充分に得られるように、0.001〜0.1mol/L、更に好ましくは、0.0015〜0.05mol/Lの濃度範囲が好適に採用され得る。これは、キレート化剤の含有量が、0.001mol/L未満である場合には、カルシウム等のCLへの沈着を充分に防ぐことが出来ず、また、0.1mol/Lを超えて添加しても、カルシウム等の沈着防止効果の更なる向上は望み得ず、経済性に劣ることとなるからである。
【0048】
また、前記緩衝剤は、消毒液のpHを、涙液に近い約5〜9の範囲において一定にすると共に、外的要因によるpHの変化を抑え、且つ、保存時のCLの形状、物性を保護するために用いられる成分であって、眼科生理学的に許容し得るものであれば、特に限定はないが、その代表的なものとして、例えば、ホウ酸とそのナトリウム塩、リン酸とそのナトリウム塩、クエン酸とそのナトリウム塩、乳酸とそのナトリウム塩、グリシン、グルタミン酸等のアミノ酸とそのナトリウム塩、リンゴ酸とそのナトリウム塩等を挙げることが出来る。
【0049】
さらに、前記界面活性剤は、CLの洗浄を目的として、添加,含有せしめられる成分であって、従来から、コンタクトレンズ用液剤に一般的に用いられている、公知のアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン系界面活性剤の何れもが、有利に採用され得、その添加によって、水性媒体には、脂質の除去作用等の洗浄効果が付与されることとなる。
【0050】
そして、そのような界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンエチレンジアミン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール、ポリオキシエチレン水素添加ステロール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリソルベート等を挙げることが出来る。
【0051】
加えて、前述せる如き増粘剤は、水性媒体の粘度を調整して、保存時に、CLを外部の物理的な力から守るものであり、眼科生理学的に許容し得るものであれば、特に限定されるものではないが、具体例として、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその加水分解物、ポリアクリル酸、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ゼラチン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、ガールガム等を挙げることが出来る。
【0052】
また、そのような増粘剤の含有量としては、保存時にCLを外的応力から充分に保護するために、下限としては、0.01w/v%以上、好ましくは、0.02w/v%以上であることが望ましく、含有量が多過ぎる場合には、水性媒体がゲル化し、保存性等が低下する恐れがあるところから、上限としては、10w/v%以下、好ましくは、5w/v%以下であることが望ましい。
【0053】
さらに、防腐剤や殺菌剤は、上記した金属フタロシアニン化合物や過酸化水素等と同様に、保存時にCLが細菌等で汚染されるのを防止するための成分であって、本発明においては、補助的に用いられ、このような防腐剤や殺菌剤が消毒液に更に含有せしめられることによって、より一層優れた殺菌効果乃至は消毒効果が得られるようになるのである。なお、そのような防腐剤や殺菌剤としては、眼科的に許容し得るものであれば、特に限定はなく、代表例として、例えば、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、臭化ピリジニウム、クロロヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ジメチロールジメチルヒダントイン、イミダゾリウムウレア等を例示することが出来る。
【0054】
そして、上記した防腐剤(殺菌剤)の含有量は、更なる消毒効果を発現させるためには、下限として、0.05ppm以上、好ましくは0.1ppm以上であることが望ましく、また防腐剤の含有量が多過ぎる場合には、防腐剤が直接眼に入り眼に障害を与える恐れが生じたり、防腐剤の種類によっては、CLの規格や物性等に悪影響を与える恐れがあるところから、上限として、50ppm以下、好ましくは、30ppm以下が望ましい。
【0055】
【実施例】
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0056】
−コンタクトレンズの作製−
先ず、金属フタロシアニン化合物として、前記一般式(I)におけるMとR〜Rが、下記表1に示されるような金属フタロシアニン化合物1〜3を準備すると共に、重合成分として、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ジメチルアクリルアミド(DMMA)、N−ビニルピロリドン(NVP)、メチルメタクリレート(MMA)、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート(SiMa)及びエチレングリコールジメタクリレート(EDMA)を準備した。
【0057】
【表1】
Figure 2004361714
【0058】
そして、下記表2に示される配合割合となるように、金属フタロシアニン化合物と重合成分とを、それぞれ、配合せしめて、重合性モノマー組成物を調製し、次いで、得られた重合性モノマー組成物を、重合開始剤を用いて、35〜50℃の水槽中で、常法に従って熱重合することにより、共重合体を得た。そして、その後、得られた共重合体を切削加工にてレンズ状に成形し、煮沸処理を施すことにより、3種のレンズ形成材料からなるCL(レンズ1〜3)を作製した。また、得られたCLの含水率を測定し、下記表2に併せて示した。
【0059】
【表2】
Figure 2004361714
【0060】
−抗菌効力試験−
上述せるようにして作製されたCLを用いて、抗菌効果試験を行なった。具体的には、先ず、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis, IFO3134)の懸濁液の吸光度が0.5となるように、その濃度を調整した。この菌液中に、各CL(レンズ1〜3)の複数枚を、それぞれ、1分間浸漬し、取り出した。そして、菌液に浸漬したCLのうち、初期菌数測定用のCLを、別途準備した回収液中で攪拌し、かかる回収液中の生菌数を測定し、得られた結果を、初期菌数とした。
【0061】
また、菌液に浸漬した残りの各CL(レンズ1〜3)を、疑似角膜(半球状ゴム)上に装着し、所定時間、光照射若しくは暗所で静置(遮光)した。その後、各CLを、上記した初期生菌数の測定と同様にして、別途準備した回収液中で攪拌し、光照射後乃至は遮光後の菌数を測定し、得られた結果を、下記表3に示すと共に、下記の計算式に従って、菌減少量(log reduction )を求め、その結果を、下記表3に併せて示した。
菌減少量=log(初期菌数)−log(光照射後又は遮光後の菌数)
【0062】
【表3】
Figure 2004361714
【0063】
上記表3の結果から明らかなように、本発明に従って、金属フタロシアニン化合物を含有するCLを用い、このCLに水性媒体を接触せしめた状態下において、光照射を行なった実施例1〜3にあっては、菌減少量(log reduction )の値が1.6〜1.8となっており、殺菌効力が有利に発現されていることが、分かる。これに対して、光照射を実施しなかった比較例1〜3にあっては、菌減少量(log reduction )の値が略0となっており、金属フタロシアニン化合物を含有するCLに対して、光を照射しない場合には、殺菌効果を得ることが出来ないことが、分かる。
【0064】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明に従うコンタクトレンズの保存/消毒方法にあっては、金属フタロシアニン化合物が、レンズ形成材料に対して結合された形態において、或いはレンズ形成材料中に化合物として存在する形態において、含有せしめられてなるコンタクトレンズを用い、このCLに対して、水性媒体の存在下において、光を照射するようにしているところから、優れた殺菌効果が有利に発揮され、細菌等を増殖させることなく、コンタクトレンズを簡易に保存或いは消毒することが出来るのである。
【0065】
また、このような金属フタロシアニン化合物を含有するコンタクトレンズにあっては、水に浸漬した後、光を当てるだけで、殺菌作用が発現されるところから、消毒用途に用いられるコンタクトレンズ用液剤中の殺菌/防腐剤のより一層の低濃度化を図ることも、可能となる。

Claims (8)

  1. 金属フタロシアニン化合物が、レンズ形成材料に対して結合された形態において、或いはレンズ形成材料中に化合物として存在する形態において、含有せしめられてなるコンタクトレンズを用い、このコンタクトレンズに対して、水性媒体の存在下において、光照射を行ない、該コンタクトレンズを保存し、或いは消毒することを特徴とするコンタクトレンズの保存/消毒方法。
  2. 前記金属フタロシアニン化合物が、前記レンズ形成材料中に、30ppm〜3000ppmとなる割合において含有せしめられている請求項1に記載のコンタクトレンズの保存/消毒方法。
  3. 前記金属フタロシアニン化合物が、下記一般式(I)にて示される化合物である請求項1又は請求項2に記載のコンタクトレンズの保存/消毒方法。
    Figure 2004361714
    [但し、Mは、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、コバルト、ガリウム、塩化アルミニウム、又は塩化ガリウムを示し、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基又はそのアルカリ金属若しくはアンモニウム塩、スルホン基又はそのアルカリ金属若しくはアンモニウム塩、下記一般式(II)にて示される4級アンモニウム基、或いは下記一般式(III)にて示されるアミン基を示す。]
    Figure 2004361714
    [但し、Rは、炭素数2〜6のアルキレン基又は炭素数2〜6のオキシアルキレン基であり、R10〜R12は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基である。]
    Figure 2004361714
    [但し、R13,R14は、それぞれ独立して、水素原子又は−CO−A基である(ここで、Aは、炭素数7〜17のアルキル基、ビニル基、1−メチルビニル基、メタクリロイル基、或いはアクリロイル基を表わす)。]
  4. 前記光照射が、波長:340〜700nmの光を、放射照度:0.1〜20mW/cmとなるように、3分間〜12時間照射することにより行なわれる請求項1乃至請求項3の何れかに記載のコンタクトレンズの保存/消毒方法。
  5. 前記水性媒体の浸透圧が、270〜330mOsm/kgである請求項1乃至請求項4の何れかに記載のコンタクトレンズの保存/消毒方法。
  6. 前記コンタクトレンズが、含水率10%以上の含水性コンタクトレンズである請求項1乃至請求項5の何れかに記載のコンタクトレンズの保存/消毒方法。
  7. 前記水性媒体が、更に、過酸化水素を、1〜500ppmの割合において含有している請求項1乃至請求項6の何れかに記載のコンタクトレンズの保存/消毒方法。
  8. 前記レンズ形成材料が、ケイ素含有モノマー及びフッ素含有モノマーから選ばれた少なくとも1種の重合成分を重合させて得られる重合体からなるものである請求項1乃至請求項7の何れかに記載のコンタクトレンズの保存/消毒方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010513991A (ja) * 2006-12-22 2010-04-30 ボーシュ アンド ローム インコーポレイティド コンタクトレンズ用包装システム
JP2015085243A (ja) * 2013-10-29 2015-05-07 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 鉄イオンを利用した光触媒
JP2017514024A (ja) * 2014-04-09 2017-06-01 サンダイナミック テクノロジー エルティーディーSundynamic Technology Ltd 抗菌かつpm2.5粒子の濾過をする立体型マスク用フィルターシート

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