JP2004360779A - 多層アルミニウム基合金摺動部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】裏金層にアルミニウム基合金からなる中間接着層を介してアルミニウム基摺動合金層を接着してなる多層アルミニウム基合金摺動材料において、中間接着層の高い耐疲労性を維持しながら接着性の向上を図る。
【解決手段】鋼裏金2にアルミニウム基合金からなる中間接着層3を介してアルミニウム基合金からなる軸受合金層4を接着してなる多層アルミニウム基合金軸受1において、その中間接着層3を、下層5と上層6の2層から構成し、鋼裏金2に接する下層5の硬さを上層6よりも軟らかくする。下層5は軟質であるから、鋼裏金2に対する接着性に優れ、また上層6は硬いので、軸受合金層4に加わる荷重に良く耐える。
【選択図】 図1
【解決手段】鋼裏金2にアルミニウム基合金からなる中間接着層3を介してアルミニウム基合金からなる軸受合金層4を接着してなる多層アルミニウム基合金軸受1において、その中間接着層3を、下層5と上層6の2層から構成し、鋼裏金2に接する下層5の硬さを上層6よりも軟らかくする。下層5は軟質であるから、鋼裏金2に対する接着性に優れ、また上層6は硬いので、軸受合金層4に加わる荷重に良く耐える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は裏金層にアルミニウム基合金からなる中間接着層を介してアルミニウム基合金からなる摺動合金層を接着してなる多層アルミニウム基合金摺動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム基合金からなる摺動合金、例えば内燃機関用アルミニウム基軸受合金としては、従来から、Al−Sn系、Al−Sn−Si系、Al−Zn系の材料が知られている。このアルミニウム基軸受合金は、一般に鋼裏金に対して純アルミニウム又はアルミニウム基合金からなる中間接着層を介して接着され、軸受として製造される。
【0003】
このようなアルミニウム基軸受合金においては、最近の内燃機関の高出力化に対処するために、耐疲労性に優れた強度の高いものが開発されてきている。ところが、中間接着層としては、軟らかい材料の方が良好なる接着性を発揮するため、純アルミニウム或は硬さの低いアルミニウム基合金が使用されてきた。しかしながら、中間接着層に純アルミニウム又は硬さの低いアルミニウム基合金を使用したものでは、高荷重が作用すると、その軟らかさ故に、塑性変形を起こし軸受端面からはみ出してくる。
【0004】
この問題を解消するものとして、中間接着層の硬さがアルミニウム基軸受合金に対して、ビッカース硬さで40%以上、70%以下で、且つ中間接着層の硬さがビッカース硬さで25以上、アルミニウム基軸受合金の硬さがビッカース硬さで50以上としたアルミニウム基合金軸受がある(例えば特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2564012号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
中間接着層の硬さとしては、鋼裏金に対するアルミニウム基軸受合金の接着性を良くするために、低いものが使用されてきていた。ところが、エンジンの高出力化に対処するために、硬さの高いアルミニウム基軸受合金を使用すると、そのアルミニウム基軸受合金の硬さの40%以上の硬さを有する中間接着層では、耐疲労性の点では満足できても、硬すぎることとなって接着性に劣るものとなってしまう。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、裏金層にアルミニウム基合金からなる中間接着層を介してアルミニウム基摺動合金層を接着してなる多層アルミニウム基合金摺動材料において、中間接着層の高い耐疲労性を維持しながら接着性の向上を図ることができる多層アルミニウム基合金摺動材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、裏金層にアルミニウム基合金からなる中間接着層を介してアルミニウム基合金からなる摺動合金層を接着してなる多層アルミニウム基合金摺動部材において、前記中間接着層を、前記裏金層に接する層と、この裏金層に接する層よりも前記摺動合金層側に位置する少なくとも1層とから構成し、前記裏金層に接する層よりも前記摺動合金層側に位置する層の少なくとも1層の硬さが前記裏金層に接する層よりも硬いことを特徴とする。
【0009】
多層アルミニウム基合金摺動部材は、通常、摺動合金層を構成するアルミニウム合金板と、中間接着層を構成するアルミニウム合金板とをロール圧接して複合アルミニウム合金板を製造し、この複合アルミニウム合金板を鋼板にロール圧接して製造する。
【0010】
このため、中間接着層のうち、裏金層に接する部分は裏金層との接着性に優れることが要求される。また、中間接着層のうち、摺動合金層側の部分は、相手側から当該摺動合金層に加わる荷重が直接的に作用する部分であるので、この部分には高荷重に耐える機能が特に要求される。
【0011】
本発明では、上記のように中間接着層を2以上の層から構成し、そのうち裏金層に接する層よりも摺動合金層側に位置する少なくとも1層の硬さを裏金層に接する層よりも硬くしているので、この硬い層が高荷重に耐え、しかも、高荷重によって端面からはみ出すような塑性変形を起こすこともない。一方、裏金層に接する層は、その硬さが比較的低い、つまり軟らかいので裏金層に対して良好なる接着性を発揮する。以上のことから、本発明の中間接着層は、耐疲労性及び接着性に優れ、摺動部材の長寿命化を実現する。
【0012】
中間接着層において、摺動合金層側に位置する層の少なくとも一層の硬さは、Hv(ビッカース硬さ)で25以上、70以下とすることが好ましい。Hvが25以上であると、その軟らかさに起因する端面からのはみ出しや、疲労を防止する能力が特に高く、Hv70以下であると、圧延などの塑性加工性や、なじみ性が特に良好なものとなる。より好ましい硬さは、Hv35〜60である。
【0013】
本発明では、中間接着層において、裏金層に接する層よりも摺動合金層側に位置する層の全ての硬さが裏金層に接する層の硬さよりも硬くすることができる。このようにすれば、中間接着層の耐疲労性が一層向上する。
また、中間接着層において、裏金層に接する層の厚さは、中間接着層全体の厚さの5%以上で50%未満とすることができる。
【0014】
中間接着層のうち、裏金層に接する層は、前述のように裏金層に対して良好なる接着性を発揮する部分である。この層の厚さが、中間接着層全体の厚さの5%以上では、相対的に薄過ぎる場合に生じる圧接時の破れを抑制する効果が大きいので、破れ部分から摺動合金層側の相対的に硬い層が露出したりすることへの防止に特に有利である。そのため、安定した接着強度を得ることに対して特に優れたものとなる。
【0015】
裏金層に接する層の硬さは摺動合金層側に位置する少なくとも1層よりも低いが、裏金層に接する層の厚さが中間接着層全体の50%未満であると、中間接着層は、機械的性質が十分に高いものとなり、端面からはみ出すような塑性変形や疲労を防止する能力が高くなる。このため、裏金層に接する層の厚さが中間接着層全体の厚さの5%以上、50%未満の場合は、裏金層と中間接着層との接合界面、中間接着層のうち裏金層に接する層の内部を起点とする疲労に対する防止能力が特に優れる。より好ましくは、中間接着層の裏金層に接する層の厚さは、中間接着層全体の厚さの8〜30%である。
【0016】
本発明では、中間接着層のうち、裏金層に接する層の硬さは、当該裏金層に接する層よりも摺動合金層側に位置する層の少なくとも1層の硬さの40%以上100%未満とすることができる。
40%以上では、耐荷重性が特に優れ、摺動部材の端面からはみ出したリ、疲労に至ることを防止する能力が特に優れる。100%未満では、硬すぎることがないため、圧延などの塑性加工性、なじみ性が特に優れたものとなる。
【0017】
本発明では、中間接着層において、裏金層に接する層の硬さがビッカース硬さで30以上、裏金層に接する層よりも摺動合金層側に位置する層の硬さがビッカース硬さで40以上とすることができる。
各層がHv30以上、Hv40以上では、高荷重下での使用においても優れた耐荷重性を発揮し、耐疲労性が特に優れる。
【0018】
本発明では、中間接着層のうち、裏金層に接する層は下記(1)〜(4)のうちの一つ以上を含有することができる。
【0019】
(1)Si1〜8.5質量%
理由:SiはAl中に固溶すると共に、高硬度のSi粒子として晶出し、合金硬度を高める。1質量%以上ではその効果が顕著であり、8.5質量%以下で延性などの塑性加工性が特に優れ、十分に安定した接合強度を確保できる。より好ましくは、4〜8質量%である。
【0020】
(2)Cu、Zn、Mgのうちから選択された1種以上の元素を総量で0.01〜7質量%
理由:これらの選択元素はAlマトリクスの強度を向上させる。0.01質量%以上ではその効果が顕著であり、7質量%以下では、粗大な金属間化合物の生成防止能力が特に高く、また、圧延などの塑性加工性が特に優れ、接合もより安定する。より好ましくは,0.5〜6質量%である。
【0021】
(3)Mn、V、Mo、Cr、Co、Fe、Ni、Wのうちから選択された1種以上の元素を0.01〜3質量%
理由:これらの選択元素はAlマトリクスに固溶するか、または金属間化合物、或は単体として晶出することにより、合金の強度を向上させる。0.01質量%以上ではその効果が顕著であり、3質量%以下では金属間化合物の粗大化防止能力が特に高く、圧延などの塑性加工性が特に優れる。より好ましくは、0.2〜2質量%である。
【0022】
(4)B、Ti、Zrのうちから選択された1種以上の元素を0.01〜2質量%
理由:これらの選択元素はAlマトリクスに固溶し、疲労強度を高める効果を持つ。0.01質量%以上ではその効果が顕著であり、2質量%以下では靱性が特に高いものとなる。より好ましくは、0.02〜0.5質量%である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1により説明する。
図1には多層アルミニウム基合金摺動部材としての多層アルミニウム基合金軸受1の断面が示されている。同図のように、多層アルミニウム基合金軸受1は、裏金層、例えば鋼裏金2上にアルミニウム基合金からなる中間接着層3を介してアルミニウム基合金からなる摺動合金層としての軸受合金層4を接合して構成されている。中間接着層3は、複数層、例えば2層構造のもので、鋼裏金2側の下層5と、軸受合金層4側の上層6からなる。
【0024】
上記の軸受合金層4を構成するアルミニウム基軸受合金は、アルミニウムに下記の(1)〜(5)のうち、一つ以上を含有してなる。
(1)3〜20質量%のSn
(2)Cu、Zn、Mg、Siのうちから選択された1種以上の元素を総量で0.1〜7質量%
(3)Mn、V、Mo、Cr、Co、Fe、Ni、Wのうちから選択された1種以上の元素を総量で0.01〜3質量%
(4)B、Ti、Zrのうちから選択された1種以上の元素を総量で0.01〜2質量%
(5)Pb、Bi、Inのうちから選択された1種以上の元素を総量で3質量%以下
【0025】
また、2層のアルミニウム中間接着層3のうち、下層5は、アルミニウムに次の(1)〜(4)のうちの少なくとも1つを含有してなる。
(1)Si1〜8.5質量%
(2)Cu、Zn、Mgのうちから選択された1種以上の元素を総量で0.01〜7質量%
(3)Mn、V、Mo、Cr、Co、Fe、Ni、Wのうちから選択された1種以上の元素を0.01〜3質量%
(4)B、Ti、Zrのうちから選択された1種以上の元素を0.01〜2質量%
【0026】
一方、上層6は0を越え2質量%以下のMn、0を越え2質量%以下のCu、0を越え2質量%以下のMg、0を越え2質量%以下のFeのうち、少なくとも一種以上を含有している。
【0027】
次に図1に示す多層アルミニウム基合金軸受1の製造方法について説明する。
【0028】
まず、通常の鋳造及び圧延によって軸受合金層4を構成するアルミニウム基軸受合金板を作る。また、通常の鋳造及び圧延により、中間接着層3の下層5を構成するアルミニウム合金板と上層6を構成するアルミニウム合金板とを作り、それら2枚のアルミニウム合金板を圧接により接合して中間接着層用アルミニウム合金複合板を作る。そして、アルミニウム基軸受合金板と中間接着層用アルミニウム合金複合板とを圧接により接合して複層アルミニウム合金板を作る。
【0029】
次に、鋼裏金を構成する低炭素鋼ストリップに複層アルミニウム合金板を重ね合わせてロール圧接し、アルミニウム基軸受合金板を中間接着層用アルミニウム合金板を介して鋼裏金に接合してなるバイメタルを作る。
【0030】
なお、以下の説明では、アルミニウム基軸受合金板は軸受合金層4、中間接着層用アルミニウム合金板は中間接着層3、低炭素鋼ストリップは鋼裏金2という。
【0031】
上記のようにしてバイメタルを製造した後、そのバイメタルを約350℃で3時間加熱する焼鈍を行ない、その後、バイメタルを半円筒状或いは円筒状に加工して軸受として製造する。
【0032】
バイメタルを焼鈍した後、そのバイメタルを溶体化処理しても良い。この溶体化処理は、バイメタルを460〜520℃で10〜30分加熱することによって行う。この溶体化処理により、アルミニウム基軸受合金層4のCu、Zn、Mg、SiなどがAlマトリックスに固溶する。溶体化処理後は、バイメタルを急冷する。これにより、軸受合金層4の強度を高める。その後、バイメタルを半円筒状或いは円筒状に加工して軸受として製造する。更に、バイメタルを急冷した後、人工時効処理(例えば150〜200℃で20時間)を施しても良い。
【0033】
ここで、軸受としての完成時における中間接着層3の全体の厚さは、10〜70μm、そのうち、裏金層側である下層の厚さは2〜30μmで、全体の3%以上、60%未満に定められている。また、上層6の硬さは、Hv22〜75以下であり、下層5の硬さはビッカース硬さで上層6の37%以上、100%未満になっている。下層5の硬さはHv30以上、上層6の硬さはHv40以上であることが好ましい。
【0034】
図2は本発明の他の実施例を示すもので、この実施例が上記一実施例と異なるところは、中間接着層7を、鋼裏金2と接する下層8と、この下層8上に接合されて当該下層8よりも軸受合金層4側に位置する中央層9と、この中央層9上に接合されてアルミニウム基軸受合金層4に接する上層10の3層構造としたところにある。
【0035】
そして、下層8及び上層10は、上記一実施例の下層5及び上層6と同じ組成のアルミニウム合金から構成され、中央層9は上記一実施例の下層5または上層6と同じ組成のアルミニウム合金から構成しても良いし、異なる組成のものから構成しても良い。この場合、中央層9の硬さは、下層8よりも硬く、上層10よりも軟らかいことが好ましいが、下層8よりも軟らかくても、或は上層10よりも硬くとも良い。
【0036】
さて、本発明者は発明の効果を確認するために、次の表1に示される中間接着層を有したアルミニウム基合金軸受を製造し、接着試験及び疲労試験を実施した。ここで、表1の各試料の軸受合金層は、Sn:13質量%。Si:3質量%、Cu:1.0質量%、残りAlからなる。また、溶体化処理は行っていない。
接着強度試験は、軸受合金層を鋼裏金層から接合面と平行に剥離させたときのせん断強さにより表した。また、疲労試験の条件は表2に示す通りである。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
表1の中間接着層において、層▲1▼、▲2▼、▲3▼のある試料は図2の3層構造のものであり、層▲1▼が下層、層▲2▼が中央層、層▲3▼が上層である。層▲3▼のない試料は図1の2層構造のものであり、層▲1▼が下層、層▲2▼が上層である。
試験結果を考察してみると、発明品1及び2と比較品1とを比較すると、比較品1は層▲1▼(下層)の硬さが高く、圧接時の塑性変形能が不足するため、接着強度が低く、耐疲労性に劣る。
【0040】
発明品3と比較品3とを比較すると、比較品3では、層▲1▼(下層)の硬さが高く、圧接時の塑性変形能が不足するため、接着強度が低く、耐疲労性に劣ると共に、層▲1▼(下層)が薄く、硬さの低い層▲2▼(中央層)及び層▲3▼(上層)が相対的に厚くなり、軸受端面からのはみ出しが発生してしまう。
【0041】
発明品4と比較品4とを比較すると、比較品4では層▲1▼(下層)の硬さが高く、圧接時の塑性変形能が不足するため、接着強度が低く、耐疲労性に劣ると共に、硬さの高い層▲1▼(下層)が厚いため、軸受のなじみ性が不足し、耐疲労性が低下している。
【0042】
発明品5と比較品2とを比較すると、比較品2は層▲1▼(下層)の硬さが高く、圧接時の塑性変形能が不足するため、接着強度が低く、耐疲労性に劣ると共に、硬さの低い層▲3▼(上層)で疲労が発生してしまう。
【0043】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、以下のような拡張或は変更が可能である。
中間接着層は2層、3層に限らず、4層或はそれ以上の層からなるものであっても良い。この場合、最下層(裏金に接する層)は、上の層(摺動合金側の層)の少なくとも一層より軟質で、中間接着層全体の厚さの5%以上、50%未満であれば良い。
本発明は、軸受に限られず、動く相手側を受ける摺動部材に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す軸受の断面図
【図2】本発明の他の実施例を示す図1相当図
【符号の説明】
図中、1は多層アルミニウム基合金軸受(多層アルミニウム基合金摺動部材)、2は鋼裏金(裏金)、3,7は中間接着層、4は軸受合金層(摺動合金層)である。
【発明の属する技術分野】
本発明は裏金層にアルミニウム基合金からなる中間接着層を介してアルミニウム基合金からなる摺動合金層を接着してなる多層アルミニウム基合金摺動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム基合金からなる摺動合金、例えば内燃機関用アルミニウム基軸受合金としては、従来から、Al−Sn系、Al−Sn−Si系、Al−Zn系の材料が知られている。このアルミニウム基軸受合金は、一般に鋼裏金に対して純アルミニウム又はアルミニウム基合金からなる中間接着層を介して接着され、軸受として製造される。
【0003】
このようなアルミニウム基軸受合金においては、最近の内燃機関の高出力化に対処するために、耐疲労性に優れた強度の高いものが開発されてきている。ところが、中間接着層としては、軟らかい材料の方が良好なる接着性を発揮するため、純アルミニウム或は硬さの低いアルミニウム基合金が使用されてきた。しかしながら、中間接着層に純アルミニウム又は硬さの低いアルミニウム基合金を使用したものでは、高荷重が作用すると、その軟らかさ故に、塑性変形を起こし軸受端面からはみ出してくる。
【0004】
この問題を解消するものとして、中間接着層の硬さがアルミニウム基軸受合金に対して、ビッカース硬さで40%以上、70%以下で、且つ中間接着層の硬さがビッカース硬さで25以上、アルミニウム基軸受合金の硬さがビッカース硬さで50以上としたアルミニウム基合金軸受がある(例えば特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2564012号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
中間接着層の硬さとしては、鋼裏金に対するアルミニウム基軸受合金の接着性を良くするために、低いものが使用されてきていた。ところが、エンジンの高出力化に対処するために、硬さの高いアルミニウム基軸受合金を使用すると、そのアルミニウム基軸受合金の硬さの40%以上の硬さを有する中間接着層では、耐疲労性の点では満足できても、硬すぎることとなって接着性に劣るものとなってしまう。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、裏金層にアルミニウム基合金からなる中間接着層を介してアルミニウム基摺動合金層を接着してなる多層アルミニウム基合金摺動材料において、中間接着層の高い耐疲労性を維持しながら接着性の向上を図ることができる多層アルミニウム基合金摺動材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、裏金層にアルミニウム基合金からなる中間接着層を介してアルミニウム基合金からなる摺動合金層を接着してなる多層アルミニウム基合金摺動部材において、前記中間接着層を、前記裏金層に接する層と、この裏金層に接する層よりも前記摺動合金層側に位置する少なくとも1層とから構成し、前記裏金層に接する層よりも前記摺動合金層側に位置する層の少なくとも1層の硬さが前記裏金層に接する層よりも硬いことを特徴とする。
【0009】
多層アルミニウム基合金摺動部材は、通常、摺動合金層を構成するアルミニウム合金板と、中間接着層を構成するアルミニウム合金板とをロール圧接して複合アルミニウム合金板を製造し、この複合アルミニウム合金板を鋼板にロール圧接して製造する。
【0010】
このため、中間接着層のうち、裏金層に接する部分は裏金層との接着性に優れることが要求される。また、中間接着層のうち、摺動合金層側の部分は、相手側から当該摺動合金層に加わる荷重が直接的に作用する部分であるので、この部分には高荷重に耐える機能が特に要求される。
【0011】
本発明では、上記のように中間接着層を2以上の層から構成し、そのうち裏金層に接する層よりも摺動合金層側に位置する少なくとも1層の硬さを裏金層に接する層よりも硬くしているので、この硬い層が高荷重に耐え、しかも、高荷重によって端面からはみ出すような塑性変形を起こすこともない。一方、裏金層に接する層は、その硬さが比較的低い、つまり軟らかいので裏金層に対して良好なる接着性を発揮する。以上のことから、本発明の中間接着層は、耐疲労性及び接着性に優れ、摺動部材の長寿命化を実現する。
【0012】
中間接着層において、摺動合金層側に位置する層の少なくとも一層の硬さは、Hv(ビッカース硬さ)で25以上、70以下とすることが好ましい。Hvが25以上であると、その軟らかさに起因する端面からのはみ出しや、疲労を防止する能力が特に高く、Hv70以下であると、圧延などの塑性加工性や、なじみ性が特に良好なものとなる。より好ましい硬さは、Hv35〜60である。
【0013】
本発明では、中間接着層において、裏金層に接する層よりも摺動合金層側に位置する層の全ての硬さが裏金層に接する層の硬さよりも硬くすることができる。このようにすれば、中間接着層の耐疲労性が一層向上する。
また、中間接着層において、裏金層に接する層の厚さは、中間接着層全体の厚さの5%以上で50%未満とすることができる。
【0014】
中間接着層のうち、裏金層に接する層は、前述のように裏金層に対して良好なる接着性を発揮する部分である。この層の厚さが、中間接着層全体の厚さの5%以上では、相対的に薄過ぎる場合に生じる圧接時の破れを抑制する効果が大きいので、破れ部分から摺動合金層側の相対的に硬い層が露出したりすることへの防止に特に有利である。そのため、安定した接着強度を得ることに対して特に優れたものとなる。
【0015】
裏金層に接する層の硬さは摺動合金層側に位置する少なくとも1層よりも低いが、裏金層に接する層の厚さが中間接着層全体の50%未満であると、中間接着層は、機械的性質が十分に高いものとなり、端面からはみ出すような塑性変形や疲労を防止する能力が高くなる。このため、裏金層に接する層の厚さが中間接着層全体の厚さの5%以上、50%未満の場合は、裏金層と中間接着層との接合界面、中間接着層のうち裏金層に接する層の内部を起点とする疲労に対する防止能力が特に優れる。より好ましくは、中間接着層の裏金層に接する層の厚さは、中間接着層全体の厚さの8〜30%である。
【0016】
本発明では、中間接着層のうち、裏金層に接する層の硬さは、当該裏金層に接する層よりも摺動合金層側に位置する層の少なくとも1層の硬さの40%以上100%未満とすることができる。
40%以上では、耐荷重性が特に優れ、摺動部材の端面からはみ出したリ、疲労に至ることを防止する能力が特に優れる。100%未満では、硬すぎることがないため、圧延などの塑性加工性、なじみ性が特に優れたものとなる。
【0017】
本発明では、中間接着層において、裏金層に接する層の硬さがビッカース硬さで30以上、裏金層に接する層よりも摺動合金層側に位置する層の硬さがビッカース硬さで40以上とすることができる。
各層がHv30以上、Hv40以上では、高荷重下での使用においても優れた耐荷重性を発揮し、耐疲労性が特に優れる。
【0018】
本発明では、中間接着層のうち、裏金層に接する層は下記(1)〜(4)のうちの一つ以上を含有することができる。
【0019】
(1)Si1〜8.5質量%
理由:SiはAl中に固溶すると共に、高硬度のSi粒子として晶出し、合金硬度を高める。1質量%以上ではその効果が顕著であり、8.5質量%以下で延性などの塑性加工性が特に優れ、十分に安定した接合強度を確保できる。より好ましくは、4〜8質量%である。
【0020】
(2)Cu、Zn、Mgのうちから選択された1種以上の元素を総量で0.01〜7質量%
理由:これらの選択元素はAlマトリクスの強度を向上させる。0.01質量%以上ではその効果が顕著であり、7質量%以下では、粗大な金属間化合物の生成防止能力が特に高く、また、圧延などの塑性加工性が特に優れ、接合もより安定する。より好ましくは,0.5〜6質量%である。
【0021】
(3)Mn、V、Mo、Cr、Co、Fe、Ni、Wのうちから選択された1種以上の元素を0.01〜3質量%
理由:これらの選択元素はAlマトリクスに固溶するか、または金属間化合物、或は単体として晶出することにより、合金の強度を向上させる。0.01質量%以上ではその効果が顕著であり、3質量%以下では金属間化合物の粗大化防止能力が特に高く、圧延などの塑性加工性が特に優れる。より好ましくは、0.2〜2質量%である。
【0022】
(4)B、Ti、Zrのうちから選択された1種以上の元素を0.01〜2質量%
理由:これらの選択元素はAlマトリクスに固溶し、疲労強度を高める効果を持つ。0.01質量%以上ではその効果が顕著であり、2質量%以下では靱性が特に高いものとなる。より好ましくは、0.02〜0.5質量%である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1により説明する。
図1には多層アルミニウム基合金摺動部材としての多層アルミニウム基合金軸受1の断面が示されている。同図のように、多層アルミニウム基合金軸受1は、裏金層、例えば鋼裏金2上にアルミニウム基合金からなる中間接着層3を介してアルミニウム基合金からなる摺動合金層としての軸受合金層4を接合して構成されている。中間接着層3は、複数層、例えば2層構造のもので、鋼裏金2側の下層5と、軸受合金層4側の上層6からなる。
【0024】
上記の軸受合金層4を構成するアルミニウム基軸受合金は、アルミニウムに下記の(1)〜(5)のうち、一つ以上を含有してなる。
(1)3〜20質量%のSn
(2)Cu、Zn、Mg、Siのうちから選択された1種以上の元素を総量で0.1〜7質量%
(3)Mn、V、Mo、Cr、Co、Fe、Ni、Wのうちから選択された1種以上の元素を総量で0.01〜3質量%
(4)B、Ti、Zrのうちから選択された1種以上の元素を総量で0.01〜2質量%
(5)Pb、Bi、Inのうちから選択された1種以上の元素を総量で3質量%以下
【0025】
また、2層のアルミニウム中間接着層3のうち、下層5は、アルミニウムに次の(1)〜(4)のうちの少なくとも1つを含有してなる。
(1)Si1〜8.5質量%
(2)Cu、Zn、Mgのうちから選択された1種以上の元素を総量で0.01〜7質量%
(3)Mn、V、Mo、Cr、Co、Fe、Ni、Wのうちから選択された1種以上の元素を0.01〜3質量%
(4)B、Ti、Zrのうちから選択された1種以上の元素を0.01〜2質量%
【0026】
一方、上層6は0を越え2質量%以下のMn、0を越え2質量%以下のCu、0を越え2質量%以下のMg、0を越え2質量%以下のFeのうち、少なくとも一種以上を含有している。
【0027】
次に図1に示す多層アルミニウム基合金軸受1の製造方法について説明する。
【0028】
まず、通常の鋳造及び圧延によって軸受合金層4を構成するアルミニウム基軸受合金板を作る。また、通常の鋳造及び圧延により、中間接着層3の下層5を構成するアルミニウム合金板と上層6を構成するアルミニウム合金板とを作り、それら2枚のアルミニウム合金板を圧接により接合して中間接着層用アルミニウム合金複合板を作る。そして、アルミニウム基軸受合金板と中間接着層用アルミニウム合金複合板とを圧接により接合して複層アルミニウム合金板を作る。
【0029】
次に、鋼裏金を構成する低炭素鋼ストリップに複層アルミニウム合金板を重ね合わせてロール圧接し、アルミニウム基軸受合金板を中間接着層用アルミニウム合金板を介して鋼裏金に接合してなるバイメタルを作る。
【0030】
なお、以下の説明では、アルミニウム基軸受合金板は軸受合金層4、中間接着層用アルミニウム合金板は中間接着層3、低炭素鋼ストリップは鋼裏金2という。
【0031】
上記のようにしてバイメタルを製造した後、そのバイメタルを約350℃で3時間加熱する焼鈍を行ない、その後、バイメタルを半円筒状或いは円筒状に加工して軸受として製造する。
【0032】
バイメタルを焼鈍した後、そのバイメタルを溶体化処理しても良い。この溶体化処理は、バイメタルを460〜520℃で10〜30分加熱することによって行う。この溶体化処理により、アルミニウム基軸受合金層4のCu、Zn、Mg、SiなどがAlマトリックスに固溶する。溶体化処理後は、バイメタルを急冷する。これにより、軸受合金層4の強度を高める。その後、バイメタルを半円筒状或いは円筒状に加工して軸受として製造する。更に、バイメタルを急冷した後、人工時効処理(例えば150〜200℃で20時間)を施しても良い。
【0033】
ここで、軸受としての完成時における中間接着層3の全体の厚さは、10〜70μm、そのうち、裏金層側である下層の厚さは2〜30μmで、全体の3%以上、60%未満に定められている。また、上層6の硬さは、Hv22〜75以下であり、下層5の硬さはビッカース硬さで上層6の37%以上、100%未満になっている。下層5の硬さはHv30以上、上層6の硬さはHv40以上であることが好ましい。
【0034】
図2は本発明の他の実施例を示すもので、この実施例が上記一実施例と異なるところは、中間接着層7を、鋼裏金2と接する下層8と、この下層8上に接合されて当該下層8よりも軸受合金層4側に位置する中央層9と、この中央層9上に接合されてアルミニウム基軸受合金層4に接する上層10の3層構造としたところにある。
【0035】
そして、下層8及び上層10は、上記一実施例の下層5及び上層6と同じ組成のアルミニウム合金から構成され、中央層9は上記一実施例の下層5または上層6と同じ組成のアルミニウム合金から構成しても良いし、異なる組成のものから構成しても良い。この場合、中央層9の硬さは、下層8よりも硬く、上層10よりも軟らかいことが好ましいが、下層8よりも軟らかくても、或は上層10よりも硬くとも良い。
【0036】
さて、本発明者は発明の効果を確認するために、次の表1に示される中間接着層を有したアルミニウム基合金軸受を製造し、接着試験及び疲労試験を実施した。ここで、表1の各試料の軸受合金層は、Sn:13質量%。Si:3質量%、Cu:1.0質量%、残りAlからなる。また、溶体化処理は行っていない。
接着強度試験は、軸受合金層を鋼裏金層から接合面と平行に剥離させたときのせん断強さにより表した。また、疲労試験の条件は表2に示す通りである。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
表1の中間接着層において、層▲1▼、▲2▼、▲3▼のある試料は図2の3層構造のものであり、層▲1▼が下層、層▲2▼が中央層、層▲3▼が上層である。層▲3▼のない試料は図1の2層構造のものであり、層▲1▼が下層、層▲2▼が上層である。
試験結果を考察してみると、発明品1及び2と比較品1とを比較すると、比較品1は層▲1▼(下層)の硬さが高く、圧接時の塑性変形能が不足するため、接着強度が低く、耐疲労性に劣る。
【0040】
発明品3と比較品3とを比較すると、比較品3では、層▲1▼(下層)の硬さが高く、圧接時の塑性変形能が不足するため、接着強度が低く、耐疲労性に劣ると共に、層▲1▼(下層)が薄く、硬さの低い層▲2▼(中央層)及び層▲3▼(上層)が相対的に厚くなり、軸受端面からのはみ出しが発生してしまう。
【0041】
発明品4と比較品4とを比較すると、比較品4では層▲1▼(下層)の硬さが高く、圧接時の塑性変形能が不足するため、接着強度が低く、耐疲労性に劣ると共に、硬さの高い層▲1▼(下層)が厚いため、軸受のなじみ性が不足し、耐疲労性が低下している。
【0042】
発明品5と比較品2とを比較すると、比較品2は層▲1▼(下層)の硬さが高く、圧接時の塑性変形能が不足するため、接着強度が低く、耐疲労性に劣ると共に、硬さの低い層▲3▼(上層)で疲労が発生してしまう。
【0043】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、以下のような拡張或は変更が可能である。
中間接着層は2層、3層に限らず、4層或はそれ以上の層からなるものであっても良い。この場合、最下層(裏金に接する層)は、上の層(摺動合金側の層)の少なくとも一層より軟質で、中間接着層全体の厚さの5%以上、50%未満であれば良い。
本発明は、軸受に限られず、動く相手側を受ける摺動部材に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す軸受の断面図
【図2】本発明の他の実施例を示す図1相当図
【符号の説明】
図中、1は多層アルミニウム基合金軸受(多層アルミニウム基合金摺動部材)、2は鋼裏金(裏金)、3,7は中間接着層、4は軸受合金層(摺動合金層)である。
Claims (7)
- 裏金層にアルミニウム基合金からなる中間接着層を介してアルミニウム基合金からなる摺動合金層を接着してなる多層アルミニウム基合金摺動部材において、
前記中間接着層を、前記裏金層に接する層と、この裏金層に接する層よりも前記摺動合金層側に位置する少なくとも1層とから構成し、前記裏金層に接する層よりも前記摺動合金層側に位置する層の少なくとも1層の硬さが前記裏金層に接する層よりも硬いことを特徴とする多層アルミニウム基合金摺動部材。 - 前記中間接着層において、前記裏金層に接する層よりも前記摺動合金層側に位置する層の全ての硬さが前記裏金層に接する層の硬さよりも硬いことを特徴とする請求項1記載の多層アルミニウム基合金摺動部材。
- 前記中間接着層において、前記裏金層に接する層の厚さは、中間接着層全体の厚さの5%以上で50%未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の多層アルミニウム基合金摺動部材。
- 前記中間接着層において、前記裏金層に接する層の硬さは、当該裏金層に接する層よりも前記摺動合金層側に位置する層の少なくとも1層の硬さの40%以上100%未満であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の多層アルミニウム基合金摺動部材。
- 前記中間接着層のうち、前記裏金層に接する層よりも前記摺動合金層側に位置する層の少なくとも1層の硬さがビッカース硬さで25以上70以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の多層アルミニウム基合金摺動部材。
- 前記中間接着層において、前記裏金層に接する層の硬さがビッカース硬さで30以上、前記裏金層に接する層よりも前記摺動合金層側に位置する層の硬さがビッカース硬さで40以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の多層アルミニウム基合金摺動部材。
- 前記中間接着層のうち、前記裏金層に接する層は下記(1)〜(4)のうちの一つ以上を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の多層アルミニウム基合金摺動部材。
(1)Si1〜8.5質量%
(2)Cu、Zn、Mgのうちから選択された1種以上の元素を総量で0.01〜7質量%
(3)Mn、V、Mo、Cr、Co、Fe、Ni、Wのうちから選択された1種以上の元素を0.01〜3質量%
(4)B、Ti、Zrのうちから選択された1種以上の元素を0.01〜2質量%
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