JP2004359999A - 清浄鋼の溶製方法 - Google Patents

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剛 村井
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Abstract

【課題】溶鋼中の微小な介在物を短時間で効率良く除去して、清浄性の高い溶鋼を溶製する。
【解決手段】溶鋼3の温度域では蒸気圧が高く、溶鋼中では蒸発しやすい蒸発性成分を発生させるフラックスを溶鋼に添加し、フラックスから発生される蒸発性成分を溶鋼に供給し、次いで、真空精錬設備1を用いて溶鋼を減圧雰囲気下として溶鋼中の前記蒸発性成分をガス気泡として除去する。このガス気泡に微小介在物が捕捉され、ガス気泡と共に溶鋼から浮上・分離するので、清浄性の高い溶鋼を溶製することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶鋼中の微小な酸化物系非金属介在物を効率良く除去して清浄性の高い溶鋼を溶製する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
酸化物系非金属介在物の含有量の少ない清浄鋼は、転炉等の一次精錬炉で酸化脱炭精錬された溶鋼が金属アルミニウム等の強脱酸剤によって脱酸処理され、酸化脱炭精錬で増加した溶鋼中の酸素が除去されて溶製される。この脱酸処理工程で生成したアルミナ等の脱酸生成物は、一般的には、溶鋼と脱酸生成物との密度差を利用して溶鋼から除去されているが、粒径が数10μm以下である微小な脱酸生成物の浮上速度は極めて遅く、浮上分離に長時間を要するため、単に溶鋼と脱酸生成物との密度差を利用しただけでは、微小な脱酸生成物を完全に浮上分離させることは極めて難しく、鋼中に微小な酸化物系非金属介在物(以下、「介在物」と記す)として残留する。そのため、従来、清浄鋼の溶製においては、このような微小な介在物を除去するために、RH真空脱ガス装置等の真空精錬設備を用いて溶鋼を強撹拌させ、介在物の浮上分離を促進させることが行われてきた。
【0003】
しかしながら、近年の鋼製品に対する品質要求はますます厳しくなり、単に、真空精錬設備を用いて溶鋼を強撹拌するだけでは、近年の品質要求に対して十分には対処できず、そのため、微小な介在物を更に効率良く除去する方法が多数提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ガスバブリングによって溶融金属中に水素ガスや窒素ガス等の可溶性ガスを溶解させ、その後、真空精錬設備において溶融金属を急激に減圧して溶融金属中に微細な水素ガス若しくは窒素ガスの気泡を発生させ、このガス気泡で溶鋼中の微小な介在物を捕捉させ、ガス気泡と共に介在物を浮上分離させる方法が提案されている。この方法では、ガス気泡は介在物を核として溶鋼中に生成されるので、ガス気泡には介在物が必ず捕捉されるため、微小介在物を従来にない高い効率で除去可能であるが、可溶性ガスが必要であり、真空精錬設備の処理前或いは処理中に大量の可溶性ガスの溶鋼中への添加が必要であり、これにより処理時間が延長すると云う問題がある。特に、水素ガスの場合には、高価なため経済性の問題がある上に、取り扱い上の問題もある。
【0005】
又、特許文献2には、円筒状の浸漬管を取鍋内の溶鋼に浸漬させ、浸漬管内を減圧して溶鋼を精錬する際に、脱酸剤として金属アルミニウムを溶鋼に添加すると同時に粒径10μm以下のCaO−MgO系フラックスを溶鋼に投入し、且つ、取鍋底部から浸漬管内に0.1〜10Nl/分・トンの攪拌用ガスを供給して、アルミナ系介在物の浮上分離を促進させる方法が提案されている。この方法では、アルミナ系介在物はフラックスと反応して浮上分離性の良い低融点化合物を形成するため、処理時間を延長させずに清浄性を高めることは可能であるが、粒径10μm以下の微細なフラックスが必要であり、フラックスが高価になり、経済上の問題がある。又、微小介在物とフラックスとが溶鋼中で衝突しない場合には反応が起こらないため、特許文献1のように微細なガス気泡を発生させる方法に比べると必然的に除去効率が低くならざるを得ないと云う問題もある。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−99263号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平9−31528号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の微小介在物除去方法では、介在物の除去効率に優れる方法は処理時間が長くなり、一方、処理時間に優れる方法は除去効率が十分とは云えず、短時間の内に効率良く微細な介在物を除去する方法は、未だ提案されていないのが現状である。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶鋼中の微小な介在物を短時間で効率良く除去して、清浄性の高い溶鋼を溶製する方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意、検討及び試験を実施した。以下に検討及び試験結果を説明する。
【0011】
溶鋼中に存在する数10μm以下の粒径の微小介在物を効率良く除去する手段としては、前述した特許文献1のように、溶鋼中に可溶性ガスを溶解させ、次いで溶鋼を減圧して、溶解させた可溶性ガスを微細なガス気泡として析出させ、このガス気泡に介在物を捕捉させて、ガス気泡と共に浮上分離させる方法が極めて優れている。但し、可溶性ガスとして水素ガスや窒素ガス等の気体を用いた場合には、気体は密度が小さいので大量の気体が必要であり、それを溶鋼中に溶解させるために、前述の如く、処理時間が延長する。この処理時間の延長によって生産性が低下するのみならず、溶鋼温度の降下量が大きくなるためにその温度補償が必要となり、製造コストの上昇を招く。
【0012】
そこで、可溶性ガスとして気体を用いずに、常温では固体状態の元素を検討した。固体状態で添加すれば、固体と気体とでの密度差から、気体の場合に較べて極めて短時間で所定量を溶鋼中に添加することが可能となり、処理時間の延長及びこれに伴う溶鋼温度の降下を未然に防止することができるからである。
【0013】
溶鋼に対して可溶性ではあるものの、溶鋼の温度域では蒸気圧が高く、真空脱ガス精錬を施すことによって容易にガス化して蒸発する元素として、鉛、亜鉛、マグネシウム、カルシウム等の金属がある。しかしながら、これら元素を金属状態で溶鋼に直接添加した試験では、本来これらの元素は溶鋼に対して蒸発しやすい元素であるため、添加歩留まりが極めて低い上に、添加時に激しい地金飛散が発生し、コスト上及び操業上から定常的に使用することは無理であることが分かった。
【0014】
そのため、この添加時の地金飛散及び歩留まり低下を防止する観点から、溶鋼に対して可溶性ではあるものの蒸気圧の高い成分を徐々に発生させる固体状物質を検討した。蒸気圧の高い成分を徐々に発生させることで、少なくとも地金飛散は防止されるはずである。
【0015】
その結果、マグネシア(MgO)と金属アルミニウムとを含有するフラックスを溶鋼に添加すると、溶鋼の有する熱によってフラックスの温度が上昇し、フラックス中のMgOがアルミニウムによって還元されてフラックスから金属マグネシウムが発生し、この金属マグネシウムが溶鋼中に溶解して溶鋼中のマグネシウム濃度が上昇し、次いで溶鋼を減圧することでマグネシウムガスの気泡が発生し、水素ガスのような気体の可溶性ガスを用いた場合と同様に、溶鋼中の微小介在物がマグネシウムガス気泡と共に浮上分離して、効率良く除去されることを見出した。
【0016】
即ち、固体状態の元素の代替として、溶鋼の温度域では蒸気圧が高く、溶鋼中では蒸発しやすい蒸発性成分を発生させるフラックスを溶鋼に添加し、その溶鋼を減圧下の雰囲気に曝すことで、処理時間の延長を来すことなく又地金飛散を生ずることなく、溶鋼中の微細介在物を効率良く除去できることを見出した。
【0017】
本発明は、上記検討結果に基づいてなされたもので、第1の発明に係る清浄鋼の溶製方法は、溶鋼の温度域では蒸気圧が高く、溶鋼中では蒸発しやすい蒸発性成分を発生させるフラックスを溶鋼に添加し、当該フラックスから発生される蒸発性成分を溶鋼に供給し、次いで、真空精錬設備を用いて溶鋼を減圧雰囲気下として溶鋼中の前記蒸発性成分をガス化させて除去することを特徴とするものである。
【0018】
第2の発明に係る清浄鋼の溶製方法は、第1の発明において、前記真空精錬設備は、取鍋内の溶鋼を真空槽に循環させて真空脱ガス精錬を行う循環型真空精錬設備であり、前記フラックスを、当該循環型真空精錬設備での処理前又は処理中に取鍋内の溶鋼に添加するか若しくは真空槽内の溶鋼に添加することを特徴とするものである。
【0019】
第3の発明に係る清浄鋼の溶製方法は、第2の発明において、前記フラックスを、前記真空槽内に設置された上吹きランス又は真空槽の側壁に設置された羽口から添加することを特徴とするものである。
【0020】
第4の発明に係る清浄鋼の溶製方法は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、前記フラックスは、MgO、CaO、及びAlを含有することを特徴とするものである。
【0021】
第5の発明に係る清浄鋼の溶製方法は、第4の発明において、前記フラックスは、造粒されていることを特徴とするものである。
【0022】
第6の発明に係る清浄鋼の溶製方法は、第1ないし第5の発明の何れかにおいて、前記溶鋼は、アルミニウムで脱酸されたアルミキルド溶鋼であることを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づき説明する。図1は、真空精錬設備として本発明で用いたRH真空脱ガス装置の縦断面概略図である。
【0024】
図1に示すように、RH真空脱ガス装置1は、上部槽6及び下部槽7からなる真空槽5と、下部槽7の下部に設けた上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9と、を備え、上部槽6には、真空槽5内に合金や造滓剤等の原料を供給するための原料投入口11、及び、排気装置(図示せず)と接続して真空槽5内を排気する際のガス排出流路となるダクト12が設けられ、又、上昇側浸漬管8には環流用ガス吹き込み管10が設けられている。環流用ガス吹き込み管10からは環流用不活性ガスとしてArガスが上昇側浸漬管8内に吹き込まれる構造となっている。図1では環流用ガス吹き込み管10を1本のみ記載しているが、上昇側浸漬管8にはその周囲方向に、複数本の環流用ガス吹き込み管10がその吐出方向を上昇側浸漬管8の中心部に向けた水平方向として設置されている。
【0025】
上部槽6には上下動可能な水冷型の上吹きランス13が上部槽6の天蓋を貫通して設置されている。又、取鍋2と真空槽5の側壁との間隙を昇降して溶鋼3に浸漬し、その先端14aが上昇側浸漬管8の直下に位置することが可能な浸漬ランス14が設置されている。更に、下部槽7には、下部槽7の側壁を溶鋼3の湯面下で貫通する羽口15が設置されている。
【0026】
本発明では、溶鋼3の温度域では蒸気圧が高く、溶鋼3中では蒸発しやすい蒸発性成分を発生させるフラックスを溶鋼3に添加する必要があり、このフラックスの添加のために、前記上吹きランス13、浸漬ランス14及び羽口15を使用する。尚、転炉や電気炉等の一次精錬炉から取鍋2への出鋼時に前記フラックスを添加すること、並びに、上部槽6に設けた原料投入口11から添加することも可能であり、その場合には、これらの上吹きランス13、浸漬ランス14、羽口15は使用する必要がなく、これらを他の精錬のために使用しないなら設置する必要もない。
【0027】
上吹きランス13からは、Arガス等の不活性ガスを搬送用ガスとして前記フラックスが真空槽5内の溶鋼湯面に吹き付けられる構造になっており、又、浸漬ランス14及び羽口15からは、不活性ガスを搬送用ガスとして前記フラックスが真空槽5内を通る溶鋼3中に吹き込まれる構造となっている。上吹きランス13、浸漬ランス14及び羽口15からは、酸素又は酸素含有ガス更には不活性ガスを単独で吹き込むことも可能な構造になっている。
【0028】
溶鋼3の温度域では蒸気圧が高く、溶鋼3中では蒸発しやすい蒸発性成分(以下、単に「蒸発性成分」と記す)としては、鉛、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム等があり、従って、これら蒸発性成分を発生させるフラックスとしては、これら元素の酸化物と、溶鋼温度域においてこれら元素よりも酸素親和力の強く、還元剤として作用する金属と、を混合したものを用いることができる。更に、酸化物と反応して化合物を形成することで、酸化物の融点を下げて還元反応を促進させる融点降下剤として、他の酸化物、窒化物、炭化物等を混合してもよい。
【0029】
このようなフラックスを溶鋼3に添加すれば、溶鋼3の熱を受けてこれらの酸化物は、還元剤として添加した金属によって還元され、鉛、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム等が生成される。但し、還元剤として使用する金属が高価であると、経済上のメリットがないため、還元剤としては比較的安価な金属アルミニウムが最適であり、従って、金属アルミニウムによって還元される元素であることが好ましい。この観点からみれば、蒸発性成分としては、鉛、亜鉛、マグネシウムのなかから選択することが好ましい。その中でも、特に酸化物原料が安価で入手しやすいことから、マグネシウムを用いることが好ましい。
【0030】
マグネシウムを生成させるフラックスとしては、海水マグネシアクリンカーや天然マグネシアクリンカー等のマグネシア原料と金属アルミニウムとの混合物を用いることができる。更に、これらに、融点降下剤として生石灰等のカルシア原料を混合することができる。この場合、融点の降下量を増大させる観点から、フラックス中のCaO/MgOが0.5以上となるように配合することが好ましい。マグネシウムとカルシウムとの化合物としてはドロマイト(MgCO ・CaCO )が自然界に存在するので、これを焼成してCO を除去した、所謂軽焼ドロマイト(CaO/MgO≒0.7)を用いることもできる。
【0031】
フラックス中の金属アルミニウムはMgOを還元するためのものであるから、基本的にはフラックス中のMgOの化学当量を目安としてそれ以上含有させる。但し、金属アルミニウムの一部は溶鋼3に直接溶解する場合もあるので、溶鋼3のAl成分の規格上で問題が起こらないようにするため、MgOの化学当量以下に制限することもある。
【0032】
還元速度を促進させる観点から、マグネシア原料、金属アルミニウム、カルシア原料及び軽焼ドロマイトは、粒径が5mm程度以下の微粒若しくは粉体とすることが好ましく、この場合には、取り扱いを容易にするため、所定の配合比率で混合した後、ベントナイトや燐酸アルミニウム等の慣用のバインダーを用いて造粒してもよい。造粒した後の粒径は、投入装置の仕様に基づいて適宜の大きさにすればよい。
【0033】
このような構成のRH真空脱ガス装置1を用いた、本発明に係る清浄鋼の溶製方法を以下に説明する。
【0034】
先ず、転炉や電気炉等の一次精錬炉で精錬して溶鋼3を得て、取鍋2に出鋼し、溶鋼3を収納する取鍋2を真空槽5の直下に搬送する。取鍋2内には転炉や電気炉での精錬で発生したスラグ4が一部混入し、溶鋼3の湯面を覆っている。尚、スラグ4による溶鋼3の酸化を防止してより清浄性の優れた鋼を溶製するために、一次精錬炉からの出鋼時に溶鋼3とスラグ4との電気的性質の差を利用してスラグ4の流出を検知する方法等のスラグ流出防止対策を施して、炉内のスラグを取鍋2内にできるだけ流出させないようにすると同時に、出鋼後、取鍋2内のスラグ4中に金属アルミニウム、アルミニウム灰等の脱酸剤を添加して、スラグ4中のFeO、MnO等の低級酸化物を予め還元しておくことが好ましい。又、取鍋2内のスラグ4を少なくしておくことで、前述したフラックスによる清浄化効果を増加させることもできる。
【0035】
次いで、昇降装置(図示せず)にて取鍋2を上昇させ、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を取鍋2内の溶鋼3に浸漬させる。そして、環流用ガス吹き込み管10から上昇側浸漬管8内にArガスを吹き込むと共に、真空槽5内を排気装置にて排気して真空槽5内を減圧する。真空槽5内が減圧されると、取鍋2内の溶鋼3は、環流用ガス吹き込み管10から吹き込まれるArガスと共に上昇側浸漬管8を上昇して真空槽5内に流入し、その後、下降側浸漬管9を介して取鍋2に戻る流れ、所謂、環流を形成して真空脱ガス精錬が施される。
【0036】
処理する溶鋼3の用途に基づき、脱水素、脱炭等の真空脱ガス精錬を施し、更に、溶鋼3が未脱酸状態であれば溶鋼3を脱酸するために必要な量の金属アルミニウムを原料投入口11から溶鋼3に添加して溶鋼3を脱酸した後、溶鋼3を環流させた状態で、前述したフラックスを添加して溶鋼3の清浄化を促進させる。
【0037】
フラックスを、上吹きランス13、浸漬ランス14、羽口15、原料投入口11の内の何れか一箇所若しくは一箇所以上から溶鋼3に添加する。溶鋼3に添加されたフラックスは溶鋼3の熱を受け温度上昇し、フラックス中の金属アルミニウムによる還元反応が進行し、溶鋼3に対して蒸発性の高い成分、例えばマグネシウムが生成される。蒸発性成分は、溶鋼3に対して難溶解性ではあるものの溶解度はあるので、生成した蒸発性成分は溶鋼3に溶解する。そして、溶鋼3は、真空槽5と取鍋2との間を環流しており、溶解した蒸発性成分の溶解度は真空槽5内の減圧された雰囲気では減少するので、微細なガス気泡として溶鋼3中に析出し、溶鋼3から浮上分離する。ガス気泡として析出する際、主に溶鋼3中の介在物を核として生成するため、溶鋼3中の微小な介在物も溶鋼3から蒸発性成分のガス気泡と共に除去される。微小介在物は最終的には取鍋2内のスラグ4中に集積される。
【0038】
所定量のフラックスを添加完了後も微小介在物を浮上分離させるために、溶鋼3を数分間程度環流させることが好ましい。尚、C、Si、Mn、Al等の成分を調整する必要がある場合には、この環流時に同時に行うことができる。その後、真空槽5を大気圧に戻して真空脱ガス精錬を終了し、次工程の連続鋳造設備や普通造塊設備等の鋳造設備に取鍋2を搬出して溶鋼3を鋳造する。
【0039】
このようにして溶鋼3を真空脱ガス精錬することで、溶鋼3中の微小な介在物を短時間で効率良く除去して、清浄性の高い溶鋼3を溶製することが可能となる。又、水素ガスや窒素ガスのような気体の可溶性ガスを用いた場合に比較して大幅に処理時間が短縮され、RH真空脱ガス装置1の生産性の向上のみならず、溶鋼温度の降下量の低減によって省エネルギー及び省資源が達成される。
【0040】
尚、上記説明では、蒸発性成分を発生させるフラックスをRH真空脱ガス装置1で添加する例について説明したが、必ずしもRH真空脱ガス装置1で添加する必要はなく、転炉等の一次精錬炉から取鍋2への出鋼時や出鋼後にRH真空脱ガス装置1とは異なる別の装置で添加してもよい。蒸発性成分が真空脱ガス精錬開始まで溶鋼3中に残留していれば、前述した蒸発性成分のガス気泡による介在物除去効果を発揮させることができる。但し、フラックスを添加する以前に予め溶鋼3を金属アルミニウム等の強脱酸剤により脱酸する必要がある。又、上記説明では真空精錬設備としてRH真空脱ガス装置1を用いた場合について説明したが、本発明はRH真空脱ガス装置1に限るものではなく、DH真空脱ガス装置やVAD装置等の他の真空精錬設備に適用することができる。
【0041】
【実施例】
図1に示すRH真空脱ガス装置を用い、蒸発性成分を発生させるフラックスとして、天然マグネシアクリンカー粉(粒径1mm以下)に軽焼ドロマイト粉(粒径1mm以下)を混合してCaO/MgOを約0.6に調整すると共に、これに、MgOの化学当量と等しい量の金属アルミニウム粉(所謂、針状アルミニウム)を混合し、この混合物を、ベントナイトをバインダーとして粒径が20〜50mmに造粒したものを用い、フラックスの添加時期及び添加量を変更した試験を実施した。但し、RH真空脱ガス装置の上吹きランス、浸漬ランス、羽口から添加する際には造粒したフラックスを1〜5mmに破砕して使用した。
【0042】
試験では、転炉で脱炭精錬された300トンの溶鋼を用い、転炉出鋼時に脱酸剤として金属アルミニウムを添加して溶鋼を脱酸し、溶鋼中のアルミニウム濃度を0.02mass%以上に確保すると同時に、転炉出鋼時に出鋼流監視によるスラグの流出検知を行い、スラグ検知と同時に転炉傾動復帰を行うスラグカット法を実施し、取鍋へのスラグ流出量を1000kg以下に抑えた。フラックスの添加時期及び添加方法は、▲1▼:転炉から取鍋への出鋼時に取鍋上から投入添加、▲2▼:RH真空脱ガス精錬時に浸漬ランスから添加、▲3▼:RH真空脱ガス精錬時に原料投入口から投入添加、▲4▼:RH真空脱ガス精錬時に上吹きランスから吹き込み添加、▲5▼:RH真空脱ガス精錬時に羽口から吹き込み添加の5種類の方法で添加した。フラックスの添加量は2〜10kg/tとした。RH真空脱ガス装置では、全ての試験で真空槽内の圧力を133p以下として15分間保持した。この間にフラックスを添加した。尚、比較のために、転炉出鋼時に生石灰のみを添加した試験、転炉出鋼時に金属マグネシウムを添加した試験、及び、RH真空脱ガス精錬時に上吹きランスから金属マグネシウムを添加した試験も実施した。これらの試験も、出鋼時にはスラグカット法を実施すると同時に金属アルミニウムで脱酸処理すると共に、RH真空脱ガス装置では真空槽内の圧力を133p以下として15分間保持した。
【0043】
RH真空脱ガス精錬後、溶鋼から試料を採取して、溶鋼中のアルミニウム濃度及び介在物量を調査した。介在物量は酸溶解抽出法に基づいて評価した。酸溶解抽出法では、アルミナ介在物を評価することができる。表1に試験条件及び試験結果を示す。
【0044】
【表1】
Figure 2004359999
【0045】
表1からも明らかなように、生石灰のみを添加した試験(試験No.10〜12)及び金属マグネシウムのみを添加した試験(試験No.13,14)では、溶鋼中の介在物量が20ppm以上であった。これに対して、MgO−CaO−Alからなるフラックスを添加した試験(試験No.1〜9)では、溶鋼中の介在物量は17ppm以下であり、特に上吹きランス及び羽口から添加した試験では、添加量が同一条件においても介在物量が少なく、12ppm以下を達成した。尚、表1の備考欄には、本発明の範囲の試験には本発明例と表示し、それ以外の試験には比較例と表示した。
【0046】
これらの結果から、蒸発性成分を発生させるフラックスを溶鋼に添加し、真空脱ガス精錬することで、溶鋼の清浄性を向上できることが分かった。又、転炉出鋼時等の真空精錬設備以外の場所でフラックスを添加しても、真空脱ガス精錬開始時まで蒸発性成分が溶鋼中に溶解している限り、清浄性が向上することが分かった。特に、RH真空脱ガス装置の上吹きランス及び羽口から添加した場合には、添加したフラックスが環流に随伴して鋼浴内へ巻き込まれ、効果的に作用するため、清浄化効果が大きいことが分かった。尚、真空脱ガス精錬終了後の溶鋼中マグネシウム濃度は全ての試験で3ppm以下であり、通常の溶鋼と差が無いレベルであった。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、少量添加したフラックスから発生し、溶鋼中に溶解した蒸発性成分が真空脱ガス精錬によって微細なガス気泡として溶鋼中に析出し、このガス気泡が溶鋼中の微小介在物を捕捉して浮上分離するので、溶鋼中の微小な介在物を短時間で効率良く除去して、清浄性の高い溶鋼を溶製することが可能となる。その結果、品質の向上のみならず、省資源、省エネルギーが達成され、工業上有益な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】真空精錬設備として本発明で用いたRH真空脱ガス装置の概略図である。
【符号の説明】
1 RH真空脱ガス装置
2 取鍋
3 溶鋼
4 スラグ
5 真空槽
6 上部槽
7 下部槽
8 上昇側浸漬管
9 下降側浸漬管
10 環流用ガス吹き込み管
11 原料投入口
12 ダクト
13 上吹きランス
14 浸漬ランス
15 羽口

Claims (6)

  1. 溶鋼の温度域では蒸気圧が高く、溶鋼中では蒸発しやすい蒸発性成分を発生させるフラックスを溶鋼に添加し、当該フラックスから発生される蒸発性成分を溶鋼に供給し、次いで、真空精錬設備を用いて溶鋼を減圧雰囲気下として溶鋼中の前記蒸発性成分をガス化させて除去することを特徴とする、清浄鋼の溶製方法。
  2. 前記真空精錬設備は、取鍋内の溶鋼を真空槽に循環させて真空脱ガス精錬を行う循環型真空精錬設備であり、前記フラックスを、当該循環型真空精錬設備での処理前又は処理中に取鍋内の溶鋼に添加するか若しくは真空槽内の溶鋼に添加することを特徴とする、請求項1に記載の清浄鋼の溶製方法。
  3. 前記フラックスを、前記真空槽内に設置された上吹きランス又は真空槽の側壁に設置された羽口から添加することを特徴とする、請求項2に記載の清浄鋼の溶製方法。
  4. 前記フラックスは、MgO、CaO、及びAlを含有することを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の清浄鋼の溶製方法。
  5. 前記フラックスは、造粒されていることを特徴とする、請求項4に記載の清浄鋼の溶製方法。
  6. 前記溶鋼は、アルミニウムで脱酸されたアルミキルド溶鋼であることを特徴とする、請求項1ないし請求項5の何れか1つに記載の清浄鋼の溶製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014065078A (ja) * 2012-09-04 2014-04-17 Tohoku Univ 溶鋼への亜鉛添加方法および亜鉛添加鋼の製造方法
JP7524860B2 (ja) 2021-07-26 2024-07-30 Jfeスチール株式会社 亜鉛含有物質の処理方法

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