JP2004359833A - 熱可塑性樹脂の変性方法および変性熱可塑性樹脂 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱可塑性樹脂を押出機内で反応変性する製造方法、及び変性熱可塑性樹脂の提供。
【解決手段】押出機内で熱可塑性樹脂に不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトさせる変性方法において、熱可塑性樹脂100重量部当たり、二酸化炭素を2〜200重量部使用し、分子内にカルボニル基を有するラジカル開始剤を0.01〜3重量部使用する熱可塑性樹脂の変性方法。その方法により得られる変性熱可塑性樹脂。分子内にカルボニル基を持つラジカル開始剤を用いることで、反応効率、及び反応均一性を大幅に向上させることが可能となる。
【選択図】 なし
【解決手段】押出機内で熱可塑性樹脂に不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトさせる変性方法において、熱可塑性樹脂100重量部当たり、二酸化炭素を2〜200重量部使用し、分子内にカルボニル基を有するラジカル開始剤を0.01〜3重量部使用する熱可塑性樹脂の変性方法。その方法により得られる変性熱可塑性樹脂。分子内にカルボニル基を持つラジカル開始剤を用いることで、反応効率、及び反応均一性を大幅に向上させることが可能となる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂に不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトさせる変性方法、及び変性熱可塑性樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂を反応変性する製造方法は周知技術である。例えば、グラフト化や架橋等は、該変性法を用いて工業的に実施されている。中でも、該方法で得られるグラフト化ポリオレフィンは、例えば塗料改質、極性材料との接着などの用途に広く用いられている。特にエチレン性不飽和カルボン酸、及びその誘導体をグラフトしたポリオレフィンは、優れた改質性能を示し、中でも無水マレイン酸グラフトポリオレフィンは、良好な性能を持つ接着性樹脂として、食品包材をはじめ広く利用されている。
一般的に、熱可塑性樹脂を変性する場合、水素引き抜き能力の高いジアルキル系パーオキサイドを用いるケースが多い。また、押出法における変性では二酸化炭素を用いることでグラフト率を向上させる方法がある。(例えば特許文献1)。近年、より高いグラフト率が求められる傾向にある。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−256042号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、熱可塑性樹脂を反応変性する製造方法において、グラフト率を向上させ、また、製品中の未反応成分を大幅に低下させる熱可塑性樹脂の変性方法、及び得られる変性熱可塑性樹脂を提供するためになされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、二酸化炭素を用いると変性効率が向上すること、特に分子内にカルボニル基を持つラジカル開始剤を用いると変性効率が大幅に向上することを見出し、本発明に至った。本発明において、分子内にカルボニル基を持つラジカル開始剤を用いた場合、二酸化炭素との相互作用により、ラジカル開始剤が均一に分散され反応効率が大幅に向上するものと推定される。
すなわち本発明は、以下の発明の態様を包含する。
(1) 押出機内で熱可塑性樹脂に不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトさせる変性方法において、熱可塑性樹脂100重量部当たり、二酸化炭素を2〜200重量部使用し、分子内にカルボニル基を有するラジカル開始剤を
0.01〜3重量部使用する熱可塑性樹脂の変性方法。
(2)前記(1)に記載の方法により得られる変性熱可塑性樹脂。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが好ましい。
ポリオレフィンとしては、特に制限なく使用でき、例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(ホモプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ランダム共重合ポリプロピレンなど)、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体等のエチレン系樹脂、プロピレン−ブテン共重合体、ポリ4−メチルペンテン、アイオノマー樹脂(例えばエチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂等)、が挙げられ、中でもポリプロピレンがより好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、複数混合して用いても良い。
【0007】
また、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じ上記の重合体にその他の樹脂を混合して用いることもできる。混合して用いることのできる樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂(ポリスチレン、ブタジエン−スチレン共重合体(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等)、飽和ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、生分解性ポリマー(例えば、ポリ乳酸のようなヒドロキシカルボン酸縮合物、ポリブチレンサクシネートのようなジオールとカルボン酸の縮合物等)、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、
ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーなどが挙げられる。
【0008】
本発明における不飽和カルボン酸、又はその誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、無水マレイン酸、等からなる不飽和カルボン酸、又はその誘導体が挙げられる。好ましくは、酸無水物が挙げられ、中でも無水マレイン酸が好ましい。
不飽和カルボン酸、又はその誘導体の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部当たり、0.1〜10重量部が好ましい。0.1重量部以上では、改質性能が高く、また10重量部以下であると、基材である熱可塑性樹脂自体の物性が低下しにくい。
【0009】
本発明に用いられる分子内にカルボニル基を持つ開始剤としては、特に制限なく使用でき、例えば、ラジカル開始剤が挙げられる。ラジカル開始剤が熱によって分解しフリーラジカルを発生することによって、ラジカル反応が開始される。ラジカル開始剤としては有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、半減期1分を得るための分解温度が30℃〜400℃であることが好ましい。 分解温度が30℃以上であると、有機過酸化物が十分分散した状態で分解反応が始まり、分解温度が400℃以下であると系内滞留時間内に十分な反応が達成できる。
【0010】
分子内にカルボニル基を有する有機過酸化物の具体例としては、イソブチルパーオキサイド、3,5,5トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ローロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、サクシニック酸パーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシル系パーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−セカンダリ−ブチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート系パーオキサイド、α,α‘−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、カミルパーオキシネオデカノエート、1、1、3、3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシローレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルエートパーオキシベンゾエート混合物,t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシソフタレート等のパーオキシエステル系パーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。
【0011】
ラジカル開始剤の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部当たり、0.01〜3重量部が好ましい。0.01重量部以上では反応が進行しやすく、短時間で変性熱可塑性樹脂を製造しうる。 また3重量部以下であるとゲル等の不要成分の発生が少なく、変性熱可塑性樹脂製品の物性、外観等が優れる。また、熱可塑性樹脂の分解反応又は架橋反応が大幅に進行しないため、安定した押出成形が可能である。
【0012】
本発明においては、目的を損なわない範囲で、樹脂組成物中に、必要に応じて、顔料、染料、滑剤、抗酸化剤、充填剤、可塑剤、安定剤、難燃剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、架橋剤、抗菌剤、発泡剤、発泡核剤、収縮防止剤、結晶核剤等を添加することができる。
本発明において添加剤を添加する方法、添加する場所、および添加するタイミングは、特に制限なく、通常公知の方法を採用することができる。
【0013】
本発明に使用する押出機は、特に制限はなく、公知に使用される押出機を用いることができる。すなわち、スクリューが1本の単軸押出機、スクリューが2本の二軸押出機、スクリューが3本以上の多軸押出機、押出機が1台のシングル押出機、押出機が2台繋がったタンデム押出機、押出機が3台以上繋がった多段押出機等、特に限定されない。
二酸化炭素を用いる場合、熱可塑性樹脂に完全に溶解拡散するためには、高圧状態を必要とすることから、単軸押出機が好ましい。その中でも、単軸押出機が2台以上繋がった押出機が好ましい。また、未反応成分を除去するための脱気口を設けていることが好ましい。
【0014】
本発明で使用される二酸化炭素の供給方法としては、特に制限なく、通常公知の方法を採用することができる。例えば、二酸化炭素ボンベから減圧弁を介し、供給部の圧力を制御することによりガス状態で供給する方法、二酸化炭素ボンベから定量ポンプを介し、二酸化炭素流量を制御し、液体状態、または超臨界状態で供給する方法等、特に限定されない。中でも液体状態、または超臨界状態で供給する方法が好ましい。
【0015】
本発明法で製造される変性熱可塑性樹脂は、その製品形状、押出形態、ダイ形態においても特に限定されるものではない。ペレット状、パウダー状、ストランド状、フィラメント状、フィルム状、シート状、板状、角材状、パイプ状、チューブ状、円柱状、楕円状、ネット状、発泡押出、多層押出、異形押出、インフレーション押出、ラム押出等、特に限定されない。
【0016】
本発明の一態様である変性熱可塑性樹脂を製造する一例を図1により以下に説明する。
熱可塑性樹脂(1)、不飽和カルボン酸又はその誘導体の有機溶媒溶解液(2)、ラジカル開始剤の有機溶媒溶解液(3)を二酸化炭素(4)(5)を用い、第一押出機(6)、第二押出機(7)に供給し、加熱混練し溶融させる。二酸化炭素の供給方法としては、液化二酸化炭素ボンベ(4)(5)より、二酸化炭素を液体状態に維持したまま定量ポンプ(8)(9)に注入し、定量ポンプ(8)(9)の吐出圧力を二酸化炭素の臨界圧力(7.4MPa)〜50MPaの範囲内で一定圧力となるよう保圧弁(10)(11)で制御し吐出した後、液体状態、もしくは超臨界状態で溶融した熱可塑性樹脂組成物に供給する方法が好ましい。このとき供給する樹脂圧力は、3〜50MPaの範囲が好ましい。
供給する樹脂圧力が3MPa以上では、供給した全ての二酸化炭素を溶解拡散させることができるため、反応効率向上、反応均一性向上、及び未反応成分抽出率向上の効果が大きい。また、供給する樹脂圧力が50MPa以内であると、製造装置からのガス漏れ防止用の特殊で高価な装置が不要であり、安全性、安定生産性、製造コスト等の点で好ましい。
第1押出機(6)のスクリュー形状は、二酸化炭素供給部で熱可塑性樹脂組成物が既に溶融している形状であれば、特に制限されるものではない。特に、二酸化炭素供給部手前に、バレルとのクリアランスを小さくしたリングや、ユニメルト等を設けているスクリューが好ましい。添加した二酸化炭素は、該添加量が適量で、熱可塑性樹脂組成物が完全に溶融状態であれば、溶融樹脂自身のメルトシールにより、ホッパー側へのバックフローはしない。
二酸化炭素が溶解拡散した溶融熱可塑性樹脂組成物は、反応に適した温度に設定された第2押出機(7)へ移送され、変性反応が進行する。この第2押出機(7)での温度、圧力については、熱可塑性樹脂の種類とラジカル開始剤種類とその組み合わせによっても、目的とする変性熱可塑性樹脂によっても、また、製造する装置によっても、異なるため、適宜選択することができる。
第2押出機(7)のスクリュー形状は、特に限定されるものではない。使用する熱可塑性樹脂によっても、反応条件によっても、異なるため、スクリュー形状は適宜選択することができる。例えば、押出機内の圧力を高くしたい場合には、溝が浅く、多条フライトタイプを使用するのが好ましい。また滞留時間を長くしたい場合には、多条フライトで、フライトが切りかき型になっているタイプを使用するのが好ましい。
第2押出機(7)出口に接続されたダイ(12)を通じてストランド状に押し出される。押し出された変性熱可塑性樹脂組成物は、水槽(13)で冷却した後、カッター(14)で切断し、ペレット状変性熱可塑性樹脂組成物(15)として得る。
【0017】
【実施例】
次に本発明を実施例、及び比較例より説明する。
実施例1
押出機として、図1に示したスクリュー径30mmの第1押出機(6)とスクリュー径40mmの第2押出機(7)を有する多段押出機を使用した。二酸化炭素供給口(16)(17)は、押出機(6)(7)の中央付近に設けた。熱可塑性樹脂(1)として、ホモポリプロピレン(三井住友ポリオレフィン社製三井住友ポリプロJ101PT)100重量部と、不飽和カルボン酸として顆粒状無水マレイン酸(日本油脂製クリスタルマンAB)を3.5重量部、ラジカル開始剤として、t−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂製パーブチルZ)を2.0重量部用いた。
二酸化炭素は、サイホン式の液化二酸化炭素ボンベ(4)(5)を使用し、液相部分から直接取り出せるようにした。ボンベ(4)(5)から定量ポンプ(8)(9)までの流路を冷媒循環機を用いて、−12℃に調節したエチレングリコール水溶液で冷却し、二酸化炭素を液体状態で定量ポンプ(8)(9)まで送液できるようにした。
定量ポンプ(8)を制御し、吐出圧力を30MPaとなるよう、保圧弁(10)を調整した。無水マレイン酸をアセトンに重量比1:2の割合で溶解させ、保圧弁(10)より、185℃に加熱した押出機(6)に供給した。この時の二酸化炭素の供給量は、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し8重量部であり、供給部圧力は20MPaであった。次に、定量ポンプ(9)を制御し、吐出圧力を30MPaとなるよう、保圧弁(11)を調整した。ラジカル開始剤をアセトンに重量比1:2の割合で溶解させ、保圧弁(11)より、180℃に加熱した押出機(7)に供給した。この時の二酸化炭素の供給量は、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し12重量部であり、供給部圧力は18MPaであった。
このようにして、溶融した熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して超臨界二酸化炭素を計20重量部の割合で押出機(6)(7)に供給し、スクリューで均一に溶解拡散させた。
第2押出機(7)で変性反応した変性熱可塑性樹脂組成物は、 第2押出機(7)出口に接続されたダイ(12)を通じてストランド状に1kg/時間の押出量で押し出した。押し出されたストランド状変性熱可塑性樹脂組成物は、水槽(13)で冷却した後、カッター(14)により切断し、ペレット状の変性熱可塑性樹脂組成物(15)を得た。
得られた変性熱可塑性樹脂組成物の無水マレイン酸のグラフト率は、変性熱可塑性樹脂組成物100重量%に対して1.9重量%であった。
結果を表1に示す。
【0018】
実施例2
本実施例は、ラジカル開始剤として、イソブチリルパーオキサイド(日本油脂製パーロイルIB)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた変性熱可塑性樹脂組成物の無水マレイン酸のグラフト率は、変性熱可塑性樹脂組成物100重量%に対して1.8重量%であった。結果を表1に示す。
【0019】
比較例1
本比較例は、ラジカル開始剤として、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキシン−3(日本油脂製パーヘキシン25B)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた変性熱可塑性樹脂組成物の無水マレイン酸のグラフト率は、変性熱可塑性樹脂組成物100重量%に対して1.2重量%であった。結果を表1に示す。
【0020】
比較例2
本比較例は、ラジカル開始剤として、ジ−t−ブチルパーオキサイド(日本油脂製パーブチルD)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた変性熱可塑性樹脂組成物の無水マレイン酸のグラフト率は、変性熱可塑性樹脂組成物100重量%に対して1.0重量%であった。結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
上記、実施例1、2及び比較例1、2の結果を表1に示す。この結果より押出機を用い二酸化炭素を利用した変性反応では、分子内にカルボニル基を持つラジカル開始剤が有利であることが判る。
この理由として次のことが考えられる。押出機内で変性反応を行う時、二酸化炭素を用いる場合、分子内にカルボニル基を持つラジカル開始剤を用いた場合、二酸化炭素との相互作用により、ラジカル開始剤が均一に分散され反応効率が大幅に向上するものと推定される。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、熱可塑性樹脂を反応変性する製造方法において、反応効率、及び反応均一性を大幅に向上させ、高いグラフト効率を得ることができる手法である。
【0024】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の変性熱可塑性樹脂の製造方法の一例を示す概略構成図。
【符号の説明】
(1)熱可塑性樹脂
(2)不飽和カルボン酸又はその誘導体の有機溶媒溶解液
(3)ラジカル開始剤の有機溶媒溶解液
(4)液化二酸化炭素ボンベ
(5)液化二酸化炭素ボンベ
(6)第一押出機
(7)第二押出機
(8)定量ポンプ
(9)定量ポンプ
(10)保圧弁
(11)保圧弁
(12)ダイ
(13)水槽
(14)カッター
(15)変性熱可塑性樹脂組成物
(16)二酸化炭素供給口
(17)二酸化炭素供給口
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂に不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトさせる変性方法、及び変性熱可塑性樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂を反応変性する製造方法は周知技術である。例えば、グラフト化や架橋等は、該変性法を用いて工業的に実施されている。中でも、該方法で得られるグラフト化ポリオレフィンは、例えば塗料改質、極性材料との接着などの用途に広く用いられている。特にエチレン性不飽和カルボン酸、及びその誘導体をグラフトしたポリオレフィンは、優れた改質性能を示し、中でも無水マレイン酸グラフトポリオレフィンは、良好な性能を持つ接着性樹脂として、食品包材をはじめ広く利用されている。
一般的に、熱可塑性樹脂を変性する場合、水素引き抜き能力の高いジアルキル系パーオキサイドを用いるケースが多い。また、押出法における変性では二酸化炭素を用いることでグラフト率を向上させる方法がある。(例えば特許文献1)。近年、より高いグラフト率が求められる傾向にある。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−256042号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、熱可塑性樹脂を反応変性する製造方法において、グラフト率を向上させ、また、製品中の未反応成分を大幅に低下させる熱可塑性樹脂の変性方法、及び得られる変性熱可塑性樹脂を提供するためになされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、二酸化炭素を用いると変性効率が向上すること、特に分子内にカルボニル基を持つラジカル開始剤を用いると変性効率が大幅に向上することを見出し、本発明に至った。本発明において、分子内にカルボニル基を持つラジカル開始剤を用いた場合、二酸化炭素との相互作用により、ラジカル開始剤が均一に分散され反応効率が大幅に向上するものと推定される。
すなわち本発明は、以下の発明の態様を包含する。
(1) 押出機内で熱可塑性樹脂に不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトさせる変性方法において、熱可塑性樹脂100重量部当たり、二酸化炭素を2〜200重量部使用し、分子内にカルボニル基を有するラジカル開始剤を
0.01〜3重量部使用する熱可塑性樹脂の変性方法。
(2)前記(1)に記載の方法により得られる変性熱可塑性樹脂。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが好ましい。
ポリオレフィンとしては、特に制限なく使用でき、例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(ホモプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ランダム共重合ポリプロピレンなど)、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体等のエチレン系樹脂、プロピレン−ブテン共重合体、ポリ4−メチルペンテン、アイオノマー樹脂(例えばエチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂等)、が挙げられ、中でもポリプロピレンがより好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、複数混合して用いても良い。
【0007】
また、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じ上記の重合体にその他の樹脂を混合して用いることもできる。混合して用いることのできる樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂(ポリスチレン、ブタジエン−スチレン共重合体(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等)、飽和ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、生分解性ポリマー(例えば、ポリ乳酸のようなヒドロキシカルボン酸縮合物、ポリブチレンサクシネートのようなジオールとカルボン酸の縮合物等)、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、
ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーなどが挙げられる。
【0008】
本発明における不飽和カルボン酸、又はその誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、無水マレイン酸、等からなる不飽和カルボン酸、又はその誘導体が挙げられる。好ましくは、酸無水物が挙げられ、中でも無水マレイン酸が好ましい。
不飽和カルボン酸、又はその誘導体の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部当たり、0.1〜10重量部が好ましい。0.1重量部以上では、改質性能が高く、また10重量部以下であると、基材である熱可塑性樹脂自体の物性が低下しにくい。
【0009】
本発明に用いられる分子内にカルボニル基を持つ開始剤としては、特に制限なく使用でき、例えば、ラジカル開始剤が挙げられる。ラジカル開始剤が熱によって分解しフリーラジカルを発生することによって、ラジカル反応が開始される。ラジカル開始剤としては有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、半減期1分を得るための分解温度が30℃〜400℃であることが好ましい。 分解温度が30℃以上であると、有機過酸化物が十分分散した状態で分解反応が始まり、分解温度が400℃以下であると系内滞留時間内に十分な反応が達成できる。
【0010】
分子内にカルボニル基を有する有機過酸化物の具体例としては、イソブチルパーオキサイド、3,5,5トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ローロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、サクシニック酸パーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシル系パーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−セカンダリ−ブチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート系パーオキサイド、α,α‘−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、カミルパーオキシネオデカノエート、1、1、3、3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシローレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルエートパーオキシベンゾエート混合物,t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシソフタレート等のパーオキシエステル系パーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。
【0011】
ラジカル開始剤の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部当たり、0.01〜3重量部が好ましい。0.01重量部以上では反応が進行しやすく、短時間で変性熱可塑性樹脂を製造しうる。 また3重量部以下であるとゲル等の不要成分の発生が少なく、変性熱可塑性樹脂製品の物性、外観等が優れる。また、熱可塑性樹脂の分解反応又は架橋反応が大幅に進行しないため、安定した押出成形が可能である。
【0012】
本発明においては、目的を損なわない範囲で、樹脂組成物中に、必要に応じて、顔料、染料、滑剤、抗酸化剤、充填剤、可塑剤、安定剤、難燃剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、架橋剤、抗菌剤、発泡剤、発泡核剤、収縮防止剤、結晶核剤等を添加することができる。
本発明において添加剤を添加する方法、添加する場所、および添加するタイミングは、特に制限なく、通常公知の方法を採用することができる。
【0013】
本発明に使用する押出機は、特に制限はなく、公知に使用される押出機を用いることができる。すなわち、スクリューが1本の単軸押出機、スクリューが2本の二軸押出機、スクリューが3本以上の多軸押出機、押出機が1台のシングル押出機、押出機が2台繋がったタンデム押出機、押出機が3台以上繋がった多段押出機等、特に限定されない。
二酸化炭素を用いる場合、熱可塑性樹脂に完全に溶解拡散するためには、高圧状態を必要とすることから、単軸押出機が好ましい。その中でも、単軸押出機が2台以上繋がった押出機が好ましい。また、未反応成分を除去するための脱気口を設けていることが好ましい。
【0014】
本発明で使用される二酸化炭素の供給方法としては、特に制限なく、通常公知の方法を採用することができる。例えば、二酸化炭素ボンベから減圧弁を介し、供給部の圧力を制御することによりガス状態で供給する方法、二酸化炭素ボンベから定量ポンプを介し、二酸化炭素流量を制御し、液体状態、または超臨界状態で供給する方法等、特に限定されない。中でも液体状態、または超臨界状態で供給する方法が好ましい。
【0015】
本発明法で製造される変性熱可塑性樹脂は、その製品形状、押出形態、ダイ形態においても特に限定されるものではない。ペレット状、パウダー状、ストランド状、フィラメント状、フィルム状、シート状、板状、角材状、パイプ状、チューブ状、円柱状、楕円状、ネット状、発泡押出、多層押出、異形押出、インフレーション押出、ラム押出等、特に限定されない。
【0016】
本発明の一態様である変性熱可塑性樹脂を製造する一例を図1により以下に説明する。
熱可塑性樹脂(1)、不飽和カルボン酸又はその誘導体の有機溶媒溶解液(2)、ラジカル開始剤の有機溶媒溶解液(3)を二酸化炭素(4)(5)を用い、第一押出機(6)、第二押出機(7)に供給し、加熱混練し溶融させる。二酸化炭素の供給方法としては、液化二酸化炭素ボンベ(4)(5)より、二酸化炭素を液体状態に維持したまま定量ポンプ(8)(9)に注入し、定量ポンプ(8)(9)の吐出圧力を二酸化炭素の臨界圧力(7.4MPa)〜50MPaの範囲内で一定圧力となるよう保圧弁(10)(11)で制御し吐出した後、液体状態、もしくは超臨界状態で溶融した熱可塑性樹脂組成物に供給する方法が好ましい。このとき供給する樹脂圧力は、3〜50MPaの範囲が好ましい。
供給する樹脂圧力が3MPa以上では、供給した全ての二酸化炭素を溶解拡散させることができるため、反応効率向上、反応均一性向上、及び未反応成分抽出率向上の効果が大きい。また、供給する樹脂圧力が50MPa以内であると、製造装置からのガス漏れ防止用の特殊で高価な装置が不要であり、安全性、安定生産性、製造コスト等の点で好ましい。
第1押出機(6)のスクリュー形状は、二酸化炭素供給部で熱可塑性樹脂組成物が既に溶融している形状であれば、特に制限されるものではない。特に、二酸化炭素供給部手前に、バレルとのクリアランスを小さくしたリングや、ユニメルト等を設けているスクリューが好ましい。添加した二酸化炭素は、該添加量が適量で、熱可塑性樹脂組成物が完全に溶融状態であれば、溶融樹脂自身のメルトシールにより、ホッパー側へのバックフローはしない。
二酸化炭素が溶解拡散した溶融熱可塑性樹脂組成物は、反応に適した温度に設定された第2押出機(7)へ移送され、変性反応が進行する。この第2押出機(7)での温度、圧力については、熱可塑性樹脂の種類とラジカル開始剤種類とその組み合わせによっても、目的とする変性熱可塑性樹脂によっても、また、製造する装置によっても、異なるため、適宜選択することができる。
第2押出機(7)のスクリュー形状は、特に限定されるものではない。使用する熱可塑性樹脂によっても、反応条件によっても、異なるため、スクリュー形状は適宜選択することができる。例えば、押出機内の圧力を高くしたい場合には、溝が浅く、多条フライトタイプを使用するのが好ましい。また滞留時間を長くしたい場合には、多条フライトで、フライトが切りかき型になっているタイプを使用するのが好ましい。
第2押出機(7)出口に接続されたダイ(12)を通じてストランド状に押し出される。押し出された変性熱可塑性樹脂組成物は、水槽(13)で冷却した後、カッター(14)で切断し、ペレット状変性熱可塑性樹脂組成物(15)として得る。
【0017】
【実施例】
次に本発明を実施例、及び比較例より説明する。
実施例1
押出機として、図1に示したスクリュー径30mmの第1押出機(6)とスクリュー径40mmの第2押出機(7)を有する多段押出機を使用した。二酸化炭素供給口(16)(17)は、押出機(6)(7)の中央付近に設けた。熱可塑性樹脂(1)として、ホモポリプロピレン(三井住友ポリオレフィン社製三井住友ポリプロJ101PT)100重量部と、不飽和カルボン酸として顆粒状無水マレイン酸(日本油脂製クリスタルマンAB)を3.5重量部、ラジカル開始剤として、t−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂製パーブチルZ)を2.0重量部用いた。
二酸化炭素は、サイホン式の液化二酸化炭素ボンベ(4)(5)を使用し、液相部分から直接取り出せるようにした。ボンベ(4)(5)から定量ポンプ(8)(9)までの流路を冷媒循環機を用いて、−12℃に調節したエチレングリコール水溶液で冷却し、二酸化炭素を液体状態で定量ポンプ(8)(9)まで送液できるようにした。
定量ポンプ(8)を制御し、吐出圧力を30MPaとなるよう、保圧弁(10)を調整した。無水マレイン酸をアセトンに重量比1:2の割合で溶解させ、保圧弁(10)より、185℃に加熱した押出機(6)に供給した。この時の二酸化炭素の供給量は、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し8重量部であり、供給部圧力は20MPaであった。次に、定量ポンプ(9)を制御し、吐出圧力を30MPaとなるよう、保圧弁(11)を調整した。ラジカル開始剤をアセトンに重量比1:2の割合で溶解させ、保圧弁(11)より、180℃に加熱した押出機(7)に供給した。この時の二酸化炭素の供給量は、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し12重量部であり、供給部圧力は18MPaであった。
このようにして、溶融した熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して超臨界二酸化炭素を計20重量部の割合で押出機(6)(7)に供給し、スクリューで均一に溶解拡散させた。
第2押出機(7)で変性反応した変性熱可塑性樹脂組成物は、 第2押出機(7)出口に接続されたダイ(12)を通じてストランド状に1kg/時間の押出量で押し出した。押し出されたストランド状変性熱可塑性樹脂組成物は、水槽(13)で冷却した後、カッター(14)により切断し、ペレット状の変性熱可塑性樹脂組成物(15)を得た。
得られた変性熱可塑性樹脂組成物の無水マレイン酸のグラフト率は、変性熱可塑性樹脂組成物100重量%に対して1.9重量%であった。
結果を表1に示す。
【0018】
実施例2
本実施例は、ラジカル開始剤として、イソブチリルパーオキサイド(日本油脂製パーロイルIB)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた変性熱可塑性樹脂組成物の無水マレイン酸のグラフト率は、変性熱可塑性樹脂組成物100重量%に対して1.8重量%であった。結果を表1に示す。
【0019】
比較例1
本比較例は、ラジカル開始剤として、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキシン−3(日本油脂製パーヘキシン25B)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた変性熱可塑性樹脂組成物の無水マレイン酸のグラフト率は、変性熱可塑性樹脂組成物100重量%に対して1.2重量%であった。結果を表1に示す。
【0020】
比較例2
本比較例は、ラジカル開始剤として、ジ−t−ブチルパーオキサイド(日本油脂製パーブチルD)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた変性熱可塑性樹脂組成物の無水マレイン酸のグラフト率は、変性熱可塑性樹脂組成物100重量%に対して1.0重量%であった。結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
上記、実施例1、2及び比較例1、2の結果を表1に示す。この結果より押出機を用い二酸化炭素を利用した変性反応では、分子内にカルボニル基を持つラジカル開始剤が有利であることが判る。
この理由として次のことが考えられる。押出機内で変性反応を行う時、二酸化炭素を用いる場合、分子内にカルボニル基を持つラジカル開始剤を用いた場合、二酸化炭素との相互作用により、ラジカル開始剤が均一に分散され反応効率が大幅に向上するものと推定される。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、熱可塑性樹脂を反応変性する製造方法において、反応効率、及び反応均一性を大幅に向上させ、高いグラフト効率を得ることができる手法である。
【0024】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の変性熱可塑性樹脂の製造方法の一例を示す概略構成図。
【符号の説明】
(1)熱可塑性樹脂
(2)不飽和カルボン酸又はその誘導体の有機溶媒溶解液
(3)ラジカル開始剤の有機溶媒溶解液
(4)液化二酸化炭素ボンベ
(5)液化二酸化炭素ボンベ
(6)第一押出機
(7)第二押出機
(8)定量ポンプ
(9)定量ポンプ
(10)保圧弁
(11)保圧弁
(12)ダイ
(13)水槽
(14)カッター
(15)変性熱可塑性樹脂組成物
(16)二酸化炭素供給口
(17)二酸化炭素供給口
Claims (2)
- 押出機内で熱可塑性樹脂に不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトさせる変性方法において、熱可塑性樹脂100重量部当たり、二酸化炭素を2〜200重量部使用し、分子内にカルボニル基を有するラジカル開始剤を0.01〜3重量部使用する熱可塑性樹脂の変性方法。
- 請求項1に記載の方法により得られる変性熱可塑性樹脂。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003160376A JP2004359833A (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | 熱可塑性樹脂の変性方法および変性熱可塑性樹脂 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003160376A JP2004359833A (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | 熱可塑性樹脂の変性方法および変性熱可塑性樹脂 |
Publications (1)
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ID=34053176
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JP2003160376A Pending JP2004359833A (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | 熱可塑性樹脂の変性方法および変性熱可塑性樹脂 |
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Country | Link |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006193656A (ja) * | 2005-01-14 | 2006-07-27 | Mitsubishi Chemicals Corp | 変性ポリオレフィン樹脂およびその製造方法並びに接着性変性ポリオレフィン樹脂組成物 |
JP2012082316A (ja) * | 2010-10-12 | 2012-04-26 | Mitsubishi Chemicals Corp | 接着性樹脂及び接着性樹脂組成物並びに積層体 |
-
2003
- 2003-06-05 JP JP2003160376A patent/JP2004359833A/ja active Pending
Cited By (3)
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JP4513576B2 (ja) * | 2005-01-14 | 2010-07-28 | 三菱化学株式会社 | 変性ポリオレフィン樹脂およびその製造方法並びに接着性変性ポリオレフィン樹脂組成物 |
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