JP2006002055A - ポリマーアロイ成形物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 2種以上の熱可塑性樹脂を溶融混合する際に、使用する熱可塑性樹脂材料に制約をほとんど受けず、製品物性に悪影響を及ぼす相溶化剤や可塑剤を使用することなく良好な熱可塑性樹脂の微分散構造を達成することができ、また低コストで効率よく容易に製造することができるポリマーアロイ成形物の製造方法を提供する。
【解決手段】 ポリマーアロイ成形物の製造方法は、2種以上の熱可塑性樹脂を成形機に供給して加熱溶融する成形物の製造方法において、該熱可塑性樹脂の合計量100重量部に対して2〜200重量部の分子量300以下のパラフィン系炭化水素を存在させて、熱可塑性樹脂を溶融、混合したのち、熱可塑性樹脂溶融物を固化することを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、2種以上の熱可塑性樹脂を溶融状態で混合してポリマーアロイ成形物を製造する方法に関する。
近年、熱可塑性樹脂材料に要求される性能が高度化・多様化し、これらのニーズを単一の熱可塑性樹脂材料で満足させることが困難となってきた。そこで、異なる性質を有する数種の熱可塑性樹脂を複合化させ、多成分系熱可塑性樹脂材料として、種々のニーズに応えるべく、研究開発が盛んに行われてきた(非特許文献1〜4参照)。これらの技術は、ポリマーブレンド、ポリマーアロイ、ポリマーコンポジット等と呼ばれている。なかでも、2種以上の熱可塑性樹脂を押出機内で溶融、混合して、熱可塑性樹脂組成物を製造する方法は周知技術であり、この方法を用いて工業的に実施されている。前記方法は、比較的容易に実施でき、また、連続生産で、低コストという大きなメリットがある。
しかしながら、前記方法には、下記のいくつかの問題点がある。
(a)異種の熱可塑性樹脂の場合、それらの溶融温度、および溶融粘度が著しく異なると、均一に相溶、分散させることができない。
(b)さらに異種の熱可塑性樹脂の相溶性が乏しい場合、それらの間の界面張力を低下させるために、ブロック共重合体、グラフト共重合体のような相溶化剤を添加することが一般的に行われているが、相溶化剤の設計および選択が難しい上に、相溶化剤添加の影響で性能劣化に繋がる例が多い。
(c)高温での溶融混合が必要な場合、分解等により性能劣化の可能性があり、また可塑剤添加の影響により、性能劣化に繋がる例が多い。
以上のことから、押出機による溶融混合技術は、容易に実施できる反面、使用する熱可塑性樹脂材料等に大きく制約を受けることが知られている。
小高忠男ら著,「ポリマーアロイ基礎と応用」,株式会社東京化学同人,1981年4月 浅井治海ら著,「ポリマーブレンドの開発」,株式会社シーエムシー,1988年6月 古川淳二ら著,「高性能ポリマーアロイ」,丸善株式会社,1991年3月 西敏夫ら著,「ポリマーABCハンドブック」,株式会社エヌ・ティー・エス,2001年1月
本発明の課題は、2種以上の熱可塑性樹脂を溶融混合する際に、使用する熱可塑性樹脂材料に制約をほとんど受けず、製品物性に悪影響を及ぼす相溶化剤や可塑剤を使用することなく良好な熱可塑性樹脂の微分散構造を達成することができ、また低コストで効率よく容易に製造することができるポリマーアロイ成形物の製造方法を提供することである。
本発明のポリマーアロイ成形物の製造方法は、2種以上の熱可塑性樹脂を成形機に供給して加熱溶融する成形物の製造方法において、該熱可塑性樹脂の合計量100重量部に対して2〜200重量部の分子量300以下のパラフィン系炭化水素を存在させて、熱可塑性樹脂を溶融、混合したのち、熱可塑性樹脂溶融物を固化することを特徴とする。
本発明のポリマーアロイ成形物の製造方法によれば、異種の熱可塑性樹脂を溶融、混合する際にも、物性に悪影響を及ぼす相溶化剤や可塑剤を使用しなくても良好な微分散構造を達成することができ、従来溶融混合法では不可能とされてきた異種非相溶性の熱可塑性樹脂からなる良好な微分散構造を有するポリマーアロイ成形物を低コストで容易に効率よく製造することができる。
本発明のポリマーアロイ成形物の製造方法の特徴は、2種以上の熱可塑性樹脂を溶融混合時に、媒体として分子量が300以下のパラフィン系炭化水素を、混合する熱可塑性樹脂の合計量100重量部に対して2〜200重量部、好ましくは3〜150重量部、さらに好ましくは5〜100重量部の割合で添加することである。
パラフィン系炭化水素を前記割合で添加することにより、溶融混合する際の熱可塑性樹脂溶融物の溶融粘度が全体的に低下する。この結果、異種熱可塑性樹脂であっても、それらの間の溶融粘度差が低減し、均一分散性が大幅に向上する効果と、より低温での溶融混合が可能になるため分解等による製品の性能劣化の可能性が小さくなるという効果が得られる。また、相溶化剤や可塑剤を添加する必要がないので、製品の物性低下の心配がない。
以上の相乗効果から、従来溶融混合で困難とされてきた異種非相溶性の熱可塑性樹脂であっても、均一に微分散したポリマーアロイ成形物の製造が可能になり、低コストで、不純物の少ない高品質・高機能のポリマーアロイ成形物を得ることが可能となる。
本発明で用いられるパラフィン系炭化水素の添加時の状態は、気体(ガス)状態、液体状態、超臨界状態のいずれであってもよく、特に制限はない。
本発明で用いられるパラフィン系炭化水素としては、分子量が300以下のものが好ましい。そして、熱可塑性樹脂の種類、組み合わせ、および混合比等の各条件に応じて最適な炭化水素が選択される。また2種以上のパラフィン系炭化水素を組み合わせて使用することもできる。またパラフィン系炭化水素としては、直鎖のノルマルパラフィン系炭化水素でも、側鎖をもつパラフィン系炭化水素でもよい。更にパラフィン系炭化水素の炭素数が1〜15であることが好ましく、更には1〜10であることが好ましい。前記炭素数を有するパラフィン系炭化水素は、熱可塑性樹脂に対する溶解性が高く、多量に溶解させることができる上、添加方法が容易で、ハンドリングし易い。また経済性にも優れている。これらのなかでも、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタンが好ましい。
また、パラフィン系炭化水素とともにそれ以外の他の液体、気体、超臨界流体等を添加することもできる。そのようなものとしては不活性ガスが好ましく、なかでも二酸化炭素、窒素が好ましい。パラフィン系炭化水素以外の他の液体、気体、超臨界流体等を添加する場合の添加量は、熱可塑性樹脂の合計量100重量部当たり、0.01〜50重量部が好ましく、更には0.1〜30重量部が好ましく、特には1〜20重量部が好ましい。
本発明に用いることのできる熱可塑性樹脂としては、特に制限無く使用できる。熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−ブテンコポリマー、プロピレン−ブテンコポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸エチルコポリマー、アイオノマー樹脂(例えばエチレン−メタクリル酸コポリマーアイオノマー樹脂等)、ポリプロピレン、超高分子量ポリプロピレン、ポリブテン、4−メチルペンテン−1樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、エチレン−スチレンコポリマー、スチレン系樹脂(ポリスチレン、ブタジエン−スチレンコポリマー(HIPS)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS樹脂等))、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、酢酸セルロース、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等)、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、生分解性ポリマー(例えば、ポリ乳酸のようなヒドロキシカルボン酸縮合物、ポリブチレンサクシネートのようなジオールとカルボン酸の縮合物等)等が挙げられる。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、経済性の観点より非架橋性の樹脂であることが好ましい。
また、本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、2種以上からなる熱可塑性樹脂の少なくとも1種が0℃未満のガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂であり、かつ少なくとも1種が0℃以上のガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂であることが好ましい。さらに0℃未満のガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂が、海相(マトリックス相)を形成し、0℃以上のガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂が島相(ドメイン相)を形成するものであることが好ましい。より好ましくは島相の熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、40℃以上が好ましく、更には80℃以上が好ましい。前記範囲のガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂を用いることで、例えば、本発明で得られたポリマーアロイ成形物を延伸する際、海相はゴム状態に、島相はガラス状態にすることができ、延伸により容易に多孔化できるようになる。
本発明では、既に述べたように、2種以上の熱可塑性樹脂が用いられる。この場合、本発明の樹脂組成物を構成する2種以上の熱可塑性樹脂からなる各成分の組成割合は任意の割合である。本発明では、任意割合で配合する各成分を、パラフィン系炭化水素を媒体として混合することにより、良好な微分散構造を達成することができる。例えば、2種からなる熱可塑性樹脂組成物の場合、組成割合は、1/99〜99/1が好ましい。更に10/90〜90/10が好ましく、更に30/70〜70/30が好ましい。前記組成割合にすることで、構成される熱可塑性樹脂の両者の機能を活かせることができる。
また、本発明においては、課題の達成が損なわれない範囲で、必要に応じて、顔料、染料、滑剤、抗酸化剤、充填剤、安定剤、難燃剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、架橋剤、抗菌剤、結晶核剤、収縮防止剤を添加することができる。
本発明では、熱可塑性樹脂の溶融混合方法については特に制限はなく、押出成形、射出成形、カレンダー成形、圧縮成形等の通常公知の成形方法に用いられる成形機を採用することができる。なかでも押出成形に用いられる押出機の使用が好ましい。
本発明では、押出機等の成形機により2種以上の熱可塑性樹脂をパラフィン系炭化水素の存在下に溶融、混合し、炭化水素を除去後、押し出し冷却して固化し、例えばペレット状に成形してポリマーアロイ成形物を得たあと、これを用いて所望の成形法により成形して所望の成形品を得ることができる。また別法として、所望の成形法に用いられる成形機内で2種以上の熱可塑性樹脂をパラフィン系炭化水素の存在下に溶融、混合し、炭化水素を除去してポリマーアロイ成形物用の組成物とし、その後冷却することなく溶融状態の該組成物をそのまま成形機で成形して固化し所望の成形品とすることもできる。
本発明では、パラフィン系炭化水素を熱可塑性樹脂に添加するタイミングについては、加熱溶融前でも加熱溶融後でも特に制限がない。例えば、加熱溶融前の熱可塑性樹脂にオートクレーブ等の高圧下で、パラフィン系炭化水素を溶解させた後、加熱溶融しても構わないし、過熱溶融した後に、パラフィン系炭化水素を溶解させても構わない。
いずれにせよ、2種以上の熱可塑性樹脂の溶融混合は、パラフィン系炭化水素の存在下で行い、溶融、混合し、炭化水素を除去すること以外は、従来の溶融、混合する方法と同じ方法を採用して行うことができる。
また、熱可塑性樹脂の溶融混合は、多量のパラフィン系炭化水素が熱可塑性樹脂に溶解拡散するような高圧状態下で行われることが好ましい。そのような高圧状態は、溶融した熱可塑性樹脂が装置内に充填されることで達成され、例えば単軸押出機等の装置を使用することにより容易に実現される。
ポリマーアロイ成形物の好ましい製造方法として次の方法が例示できる。まず2種以上の熱可塑性樹脂を押出機に供給して加熱溶融した後、パラフィン系炭化水素を3〜50MPa、好ましくは10〜30MPaの圧力で押出機中の溶融状態の熱可塑性樹脂に添加し、炭化水素存在下で2種以上の熱可塑性樹脂を溶融、混合してポリマーアロイ成形物用の組成物を形成し、その後該組成物から炭化水素を、場合によっては熱可塑性樹脂中の不純物と共に脱気する。次いで押出機から押し出し、冷却して固化し、例えばペレット状に成形してポリマーアロイ成形物を得る。
溶融、混合する温度および時間は、主に熱可塑性樹脂の種類、組み合わせ、混合比率、炭化水素の添加量、目的とするポリマーアロイ成形物の所望の物性、使用する装置等により適宜設定されるが、熱可塑性樹脂が溶融しかつ分解しない温度範囲が選択され、2種以上の熱可塑性樹脂が十分に均一に分散するような時間が選択される。そのような温度および時間は、前記因子が決まれば、実験的に求めることができる。
本発明で、パラフィン系炭化水素と共に除去し得る不純物は、熱可塑性樹脂に含有されるモノマー残留物、溶剤、水等であり、例えばポリエチレンの場合、エチレンモノマー等である。
使用することのできる押出機には、特に制限はなく、樹脂加工方法に使用される公知の押出機を使用することができる。例えば、スクリューが1本の単軸押出機、スクリュー2本の二軸押出機、スクリューが3本以上の多軸押出機、押出機が1台のシングル押出機、押出機が2台繋がったタンデム押出機、押出機が3台以上繋がった多段押出機等、特に限定されない。
これらのなかでも単軸押出機が好ましい。単軸押出機は、押出機内が溶融した熱可塑性樹脂で完全に充填されるため、二軸押出機に比べて樹脂圧力を高圧状態に維持し易い。多量のパラフィン系炭化水素を熱可塑性樹脂に完全に溶解拡散するためには、高圧状態を必要とするので、本発明の製造方法には樹脂圧力を高圧状態に維持し易い単軸押出機が好ましい。また、炭化水素を供給する供給口、および炭化水素を除去するための脱気口を有するものが好ましい。
パラフィン系炭化水素の供給方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。例えば、炭化水素ボンベから減圧弁を介し、供給部の圧力を制御することによりガス状態で供給する方法、炭化水素ボンベから定量ポンプを介し、炭化水素流量を制御し、供給する方法などがあげられる。
本発明の方法で製造されたポリマーアロイ成形物は、炭化水素を媒体として各成分を混合することにより得られるものであって、海相と島相からなる相構造(海島構造)、あるいはスピノーダル分解の初期過程で形成される連続構造(各々の熱可塑性樹脂が網目状に入り交じった連続構造)であることが好ましい。海島構造の場合、島相部分の平均粒径が20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、更には5μm以下であることが好ましく、特に1μm以下であることが好ましい。このような範囲にある場合、例えば機械物性等に優れる。
本発明のポリマーアロイ成形物は、種々の形状に成形して使用することができる。その際適用することができる成形法としては、従来公知の成形法のいずれをも用いることができ、例えば押出成形(シート成形、インフレーション成形、異形成形、発泡成形、多層成形、中空成形、パイプ成形等)、射出成形等が挙げられる。成形体の形状についてもパウダー状、ペレット状、フィルム状、ネット状、シート状、ロッド状、フィラメント状、パイプ状、チューブ状、板状、角材状、円柱状、多孔状等、特に限定されない。
本発明のポリマーアロイ成形物の密度は、0.8g/cm以上であることが好ましく、0.9g/cm以上であることがより好ましく、1.0g/cm以上であることがさらに好ましい。前記密度の範囲にある場合、ポリマーアロイ成形物中のボイド(孔)は少なく、例えば機械物性等に優れる。
また、本発明の方法で得られたポリマーアロイ成形物では、異種の熱可塑性樹脂であっても、均一に微分散させることができるので、強度を損なわずに異種の熱可塑性樹脂の各々の特長を具備することができ、樹脂の組み合わせにより、各種の分野で新しい素材として用いることができる。
本発明の一実施形態として図1に基づいて説明する。
図1は、第1押出機1、圧力制御装置(a)2、連結管3、第2押出機4、ストランドダイ5、ペレタイザー6、及びパラフィン系炭化水素供給装置から構成されているポリマーアロイ成形物製造工程を示す。炭化水素供給部14は、第1押出機1に、脱気口7は第2押出機4に設けられている。
まず所定量の熱可塑性樹脂(A)8aと、熱可塑性樹脂(B)8bを混合機9で十分混合して熱可塑性樹脂混合物を得る。次にこの混合物をホッパー10より第1押出機1に供給して加熱溶解させる。パラフィン系炭化水素は、炭化水素ボンベ11につながる定量ポンプ12を制御し、第1押出機1内に供給する。溶融した熱可塑性樹脂100重量部に対して所定量の炭化水素を第1押出機1に供給し、スクリューで均一に溶解拡散させる。このとき炭化水素を供給するゾーンの樹脂圧力(圧力ゲージ13で測定される)は3〜50MPaの範囲が好ましい。樹脂圧力を3MPa以上とすることは炭化水素を熱可塑性樹脂中に溶解拡散させる観点から好ましい。また樹脂圧力を50MPa以下にすることは安全性の観点から好ましい。第1押出機1内の圧力は、所定圧力を維持するように圧力制御装置(a)2と、連結管3の温度とで制御する。圧力制御装置(a)には、公知の装置を使用することができる。なかでもギアポンプを用いることが好ましい。
押出機1のスクリュー形状は、炭化水素供給部14に至るまでに熱可塑性樹脂を溶融してしまうような形状であれば特に制限されるものではない。特に、炭化水素供給部手前に、バレルとのクリアランスを小さくしたリングや、ユニメルト等を設けているスクリューが好ましい。添加したパラフィン系炭化水素は添加量が適量で、熱可塑性樹脂が完全に溶融状態であれば、溶融樹脂自身のメルトシールにより、炭化水素のホッパー側へのバックフローは生じない。
パラフィン系炭化水素が溶解拡散した溶融熱可塑性樹脂は、溶融、混合に適した温度に設定された押出機1下流部で、一方の熱可塑性樹脂への他方の熱可塑性樹脂の微分散化を進行させる。この押出機1での温度については、熱可塑性樹脂の種類、熱可塑性樹脂の組み合わせ、混合比率、炭化水素の添加量、目的とする熱可塑性樹脂組成物の所望物性、使用する装置等により異なるが、温度は50〜400℃の範囲とするのが好ましく、150〜300℃がさらに好ましく、180〜230℃が特に好ましい。
次にこの溶融混合物を連結管3に送り、連結管温度、連結管先端の圧力制御装置(b)15、及び第2押出機4のスクリュー回転数で、連結管内圧力を所定圧力に調整する。次いでこの溶融混合物を第2押出機4に送り、脱気口7より炭化水素を脱気する。炭化水素を脱気した熱可塑性樹脂組成物は、第2押出機4出口に接続されたストランドダイ5を通じて押し出されて固化し、ペレタイザー6により、ペレット化される。
図1では、ダイ5から押し出す前に炭化水素を除去するが、このとき炭化水素を完全に除去せず、ポリマーアロイ成形物を多孔体として得ることもできる。さらに、得られた多孔体を押出機やプレス機等、公知の成形機を使用して再溶融させ、孔を減少、もしくは完全に取り除いたポリマーアロイ成形物とすることもできる。
また図1では2台の押出機を用いているが、1台の押出機だけであっても、また押出機が3台以上繋がった多段押出機であっても、それを使用した本発明のポリマーアロイ成形物の製造が可能である。例えば、多段押出機の場合、第1押出機で炭化水素を供給し、第2押出機で溶融混合物の微分散化を進行させ、第3押出機で炭化水素を脱気する等それぞれの押出機に機能を持たせることも可能である。
図2に示す製造工程によりポリマーアロイ成形物を製造した。混合機9としてヘンシェルミキサー、押出機としてはスクリュー径50mmの第1押出機16(単軸、L/D=30)とスクリュー径65mmの第2押出機17(単軸、L/D=25)、ダイとしては押出機内の圧力が制御できる圧力制御ダイ18を使用した。炭化水素供給部14は第1押出機16の中央付近に設けた。炭化水素としては、n−ブタンを使用した。
まず、熱可塑性樹脂(A)8aとして、ポリプロピレン(三井化学(株)製J103WB)70重量部と、熱可塑性樹脂(B)8bとして、ポリスチレン(日本ポリスチレン(株)製G899)30重量部を混合機9で十分混合して熱可塑性樹脂混合物を得た。
次にこの樹脂混合物をホッパー10より第1押出機16に供給して200℃で加熱溶解させた。n−ブタンは、n−ブタンボンベ19につながる定量ポンプ12を制御し、第1押出機16内に供給した。このときの炭化水素供給部14の溶融樹脂圧力(圧力ゲージ13)は20MPaであった。このようにして、溶融した熱可塑性樹脂の合計量100重量部に対してn−ブタンを10重量部の割合で第1押出機16に供給し、スクリューで均一に溶解拡散させた。第2押出機17先端の圧力を20MPaに維持するように圧力制御ダイ18で制御し、多孔質のポリマーアロイ成形物20を15kg/時間の押出量で押し出し固化した。このポリマーアロイ成形物20を粉砕機により、ペレット大の大きさに粉砕した。
次にストランドダイが接続されているスクリュー径50mmの単軸押出機(L/D=28)を使用してポリマーアロイ成形物のペレットを製造した。前記粉砕したポリマーアロイ成形物をホッパーより押出機に供給して200℃で加熱溶解させ、ポリマーアロイ成形物ペレットを10kg/時間の押出量で押し出した。得られたポリマーアロイ成形物ペレットの密度は0.95g/cmであった。またこのポリマーアロイ成形物ペレットの断面拡大写真を透過型電子顕微鏡で撮影し、図3に示す。
〔比較例〕
n−ブタンを供給しない以外は、実施例と同様に成形した。得られた熱可塑性樹脂組成物ペレットの断面拡大写真を透過型電子顕微鏡で撮影し、図4に示す。
本発明により、従来、溶融混合法では不可能とされてきた異種非相溶性の熱可塑性樹脂からなる、良好な微分散構造を有し、ポリマー物性に優れたポリマーアロイ成形物を低コストで、効率よく、容易に製造することができる製造方法が提供される。
本発明のポリマーアロイ成形物製造工程の一実施形態を示す模式図である。 実施例のポリマーアロイ成形物製造工程を示す模式図である。 実施例で製造したポリマーアロイ成形物の断面拡大顕微鏡写真である。 比較例で製造したポリマーアロイ成形物の断面拡大顕微鏡写真である。
符号の説明
1 第1押出機
2 圧力制御装置(a)
3 連結管
4 第2押出機
5 ストランドダイ
6 ペレタイザー
7 脱気口
8a熱可塑性樹脂(A)
8b熱可塑性樹脂(B)
9 混合機
10 ホッパー
11 炭化水素ボンベ
12 定量ポンプ
13 圧力ゲージ
14 炭化水素供給部
15 圧力制御装置(b)
16 第1押出機
17 第2押出機
18 圧力制御ダイ
19 ブタンガスボンベ
20 熱可塑性樹脂組成物
PP ポリプロピレン
PS ポリスチレン

Claims (2)

  1. 2種以上の熱可塑性樹脂を成形機に供給して加熱溶融する成形物の製造方法において、該熱可塑性樹脂の合計量100重量部に対して2〜200重量部の分子量300以下のパラフィン系炭化水素を存在させて、熱可塑性樹脂を溶融、混合したのち、熱可塑性樹脂溶融物を固化することを特徴とするポリマーアロイ成形物の製造方法。
  2. パラフィン系炭化水素の炭素数が1〜15であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーアロイ成形物の製造方法。
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