JP2004358670A - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク供給系からのインク漏れを防止する。
【解決手段】インクタンクに刺さっている2本の供給針に上下機構をもたせる。そして、3段階の位置を持たせ、一番上ではインクタンクとヘッドと大気連通口を連通させ、一番下では密閉系にし、真中の位置ではインクタンクを介さずにヘッドと大気連通口を連通させる。
【選択図】 図1
【解決手段】インクタンクに刺さっている2本の供給針に上下機構をもたせる。そして、3段階の位置を持たせ、一番上ではインクタンクとヘッドと大気連通口を連通させ、一番下では密閉系にし、真中の位置ではインクタンクを介さずにヘッドと大気連通口を連通させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チューブ等により構成されたインク供給経路を通してインクタンクから記録ヘッドへとインクを供給する構成のインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ等の記録方式のうち、吐出口(ノズル)からインクを吐出させることによって被記録媒体上に文字や画像などを形成して記録を行うインクジェット記録方式は、低騒音のノンインパクト記録方式で高密度かつ高速の記録動作が可能であるため、近年では広く採用されている。
【0003】
一般的なインクジェット記録装置は、インクジェット記録ヘッドを搭載するキャリッジを駆動する手段と、記録紙などの被記録媒体を搬送する搬送手段と、これらを制御するための制御手段などを備えている。このように、キャリッジを移動させながら記録動作を行うものをシリアル型という。一方、インクジェット記録ヘッドを移動させずに被記録媒体の搬送のみで記録動作を行うものをライン型という。ライン型のインクジェット記録装置では、インクジェット記録ヘッドは、被記録媒体の幅方向全幅にわたって配列された多数のノズルを有している。
【0004】
インクジェット記録ヘッドは、ノズルからインク滴を吐出させるために、ノズル内のインクに与える吐出用のエネルギーを発生するエネルギー発生手段を有している。エネルギー発生手段としては、ピエゾ素子などの電気機械変換体素子を用いてインクを加圧するもの、電波やレーザなどの電磁波を照射して電磁波を機械的振動または熱に変換する電磁波機械変換体素子または電磁波熱変換体素子を用いたもの、あるいは発熱抵抗体などを有する電気熱変換体素子によって液体を加熱して発泡させるものなどがある。その中でも、熱エネルギーを利用してインク滴を吐出させる方式は、ノズルを高密度に配列させることができるため高解像度の記録を行うことが可能である。特に、電気熱変換体素子をエネルギー発生素子として用いたインクジェット記録ヘッドは、電気機械変換体素子を用いたものよりも小型化が容易であり、最近の半導体製造分野において技術の進歩と信頼性の向上が著しいIC技術やマイクロ加工技術を応用してその長所を十分に活用することにより、高密度実装化が容易でかつ製造コストを低くできるという利点がある。
【0005】
インクジェット記録ヘッドへのインクの供給方式としては、インクを収容するインクタンクをインクジェット記録ヘッドと一体としたいわゆるヘッドタンク一体方式、インクタンクとインクジェット記録ヘッドとをチューブで接続したいわゆるチューブ供給方式、および、インクタンクとインクジェット記録ヘッドとを別々に設け、必要に応じてインクジェット記録ヘッドをインクタンクの位置まで移動させて両者を接続し、その間にインクタンクからインクジェット記録ヘッドへインクを供給する、いわゆるピットイン方式がある。
【0006】
インクタンクの交換頻度を少なくするために、インクタンクの容量を大きくすると、インクタンクの重量が増大するため、シリアル型のインクジェット記録装置においては、キャリッジに加わる重量が増大する。このことを考慮すると、大容量のインクタンクを用いるシリアル型のインクジェット記録装置では、チューブ供給方式やピットイン方式を採用する場合が多い。中でも、ピットイン方式はインクの供給中は記録動作を停止させる必要があるため、長時間の連続記録が可能なチューブ供給方式が多く採用される。
【0007】
以下に、チューブ供給方式のインクジェット記録装置のインク供給系について、図7を参照して説明する。
【0008】
図7に示すインク供給系は、インク109を内部に収納するメインタンク104と、供給チューブ106を介してメインタンク104と接続されている記録ヘッド101を有する。
【0009】
記録ヘッド101は、熱エネルギーを利用してインク滴を吐出させる方式のものであり、記録ヘッド101には、インク吐出部を構成するように配列された複数の吐出ノズル101gが、微細な穴となって形成されている。各吐出ノズル101gは、その開口面(吐出口)が下方を向くように配置されており、各吐出ノズル101gから下向きにインクが吐出される。各吐出ノズル101gには特に弁機構はなく、吐出ノズル101gの内部を負圧に保つことによりノズルの先端部にインクのメニスカスを張らせ、吐出ノズル101gからのインクの漏れ、大気からの空気の進入をなくしている。インクの吐出は、吐出ノズル101g近傍に配置されたヒータの膜沸騰エネルギーにより吐出ノズル101gのインクを押し出すことにより行われる。インクの吐出後、吐出ノズル101gの毛細管力によってノズル内に再びインクを満たすサイクルが繰り返され、インクは供給チューブ106を介して随時、メインタンク104から吸い上げられる。
【0010】
記録ヘッド101の内部には、吐出ノズル101gの微細な穴にごみがつまることを防止する微細なメッシュ構造のフィルタ101cと、フィルタ101cの上流でインクを一定量蓄えるサブタンク101bと、フィルタ101cを介してサブタンク101b内を吐出ノズル101gと接続する細い流路101fとが設けられている。メインタンク104からのインクが、供給チューブ106、サブタンク101b、フィルタ101c、および流路101fを通して各吐出ノズル101gへと供給される。供給チューブ106の途中には、その流路を遮断状態、連通(開放)状態に切り換え可能な弁110aが設けられ、その開閉動作がソレノイド110dによって駆動される。供給チューブ106の記録ヘッド101側の付け根には液体コネクタ106aを有し、その液体コネクタ106aによって供給チューブ106の一端が、記録ヘッド101に設けられた液体コネクタ101aと着脱可能な構造、すなわち記録ヘッド101が交換可能な構造となっている。供給チューブ106の一端は、液体コネクタ106aと101aとの接続によってサブタンク101bの内部を連通する。一方、メインタンク104は柔軟な袋により構成されるとともに、供給チューブ106の他端(下端)105aが接続される液体コネクタ104aを有している。この液体コネクタ104aによって供給チューブ106の他端105aがメインタンク104に着脱可能に取り付けられることで、供給チューブ106がメインタンク104内と連通している。したがって、メインタンク104はインクジェット記録装置に対して交換可能となっている。
【0011】
また、サブタンク101bの上方には、弾性部材101hによって圧力調整室101iは、サブタンク101b内の圧力の変化に対して、その容積を変えることで記録ヘッド101内の圧力の安定化を図り、主に記録動作時の急激なインク消費の際に、記録ヘッド101内の圧力の上昇を緩和するものである。
【0012】
このようなインクジェット記録装置においては、吐出ノズル101g内にインクの増粘物が詰まった場合や、吐出ノズル101gのインク中に溶存していた空気が蓄積され気泡となって生じた場合に、これらを除去するために各吐出ノズル101gから所定時にインクを吸引する吸引手段107が一般的に設けられている。吸引手段107は、記録ヘッド101のノズルの開口面(吐出口面)と対向してその開口面をキャッピングする吸引キャップ107aと、この吸引キャップ107aに接続された吸引ポンプ107cと、吸引ポンプ107cを駆動させるポンプモータ107dと、吸引キャップ107aを記録ヘッド101に対して密着または離間させるためのカム機構などの移動手段107bと、それを駆動させる駆動モータ107gとを有している。記録ヘッド101のノズルの開口面を吸引キャップ107aでキャッピングした状態でポンプモータ107dによって吸引ポンプ107cを駆動し、記録ヘッド101内のインクや空気を各吐出ノズル101gから強制的に吸引することで、インクの増粘物や余分な気泡を吐出ノズル101gから除去する。
【0013】
このインクジェット記録装置では、記録ヘッド101に最初にインクを充填する際、または、サブタンク101b内に空気が溜まることによってサブタンク101bのインクが減少してサブタンク101b内にインクを再充填する際などに、記録ヘッド101内にインクを充填する動作が行われる。
【0014】
そのインクの充填動作では、まず記録ヘッド101の吐出口面を吸引キャップ107aでキャッピングし、また弁110aを閉じた状態で、吸引ポンプ107cにより吐出ノズル101gよりインクや空気を吸引し、サブタンク101b内を減圧する。サブタンク101b内の圧力が所定の圧力まで達すると、弁110aを開く。すると、減圧されていたサブタンク101b内の空気が収縮し、サブタンク101b内にメインタンク104からのインクが供給チューブ106を通して導入され、充填される。その後、吸引キャップ107aを記録ヘッド101から離間させると、インクジェット記録装置が記録可能な状態となる。
【0015】
以上、チューブ供給方式を例に挙げて従来のインク供給系を説明したが、ヘッド一体方式やピットイン方式においても、インクタンクから記録ヘッドまでのインクの供給経路に関数構造が異なるだけで、記録ヘッドのフィルタからの下側の構造は、基本的にはチューブ供給方式と同様である。
【0016】
しかしながら、図7に示したインクジェット記録装置では、記録ヘッド101内にインクを充填する際に、吸引キャップ107aを移動させて駆動する駆動モータ107gと、吸引キャップ107aを通してインクを吸引するように吸引ポンプ107cを駆動するポンプモータ107dと、弁110aを開閉駆動するソレノイド110dと3つの駆動源が必要であり、インクジェット記録装置のコストが高いという問題点があった。
【0017】
上記問題に対応するために以下の構成のインクジェット記録装置が提案されている。
【0018】
提案されているインクジェット記録装置の概略図を図6に示す。図6では、インク9を蓄える液室1f、及び該液室1fからのインクを吐出する吐出ノズル1gを有する記録ヘッド1に、インクタンク4に収容されたインク9を供給するためのインク供給経路と、該インク供給経路に設けられてその経路を開閉する遮断弁10と、前期記録ヘッド1内のインクを所定時のみに前期吐出ノズル1gから吸引可能な吸引手段とを有し、吸引動作と該遮断弁10の開閉動作を同じ駆動源のカム制御モータ7gで行うことを特徴としている。(特許文献1参照。)
【特許文献1】
特開2002−248779号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示したインクジェット記録装置では、印字時常時遮断弁が開放状態のため、装置を設置する面が傾いていると、バッファ室5fの有効高さがいかされず、バッファ室5fからインクが溢れることがありえるという問題がある。例えば、温度変化や気圧変化等でバッファ室5fがかなりインクで満たされた状態の際にヘッド側がリークし、バッファ内にインクが逆流した状態では大気連通口5gよりインクが溢れ、一度5gより溢れ出すと水頭面が通常の水頭面(供給針5a、5bの下面)より下になるため、インクタンク内のインクがすべて無くなるまで溢れてしまうという問題がある。また、装置設置時や装置搬送後に新規にインクをインク経路に充填する際、同様にある程度バッファ内がインクで満たされた状態で、装置が傾いていた場合、インクタンクを挿入すると、水頭面の位置によっては同様に大気連通口からインクタンクが空になるまでインクが溢れることがあるという問題がある。これらの問題に対応するためにバッファ室内の体積を十分に大きくすると装置全体が大きくなってしまうという課題が生じてしまう。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決させるために、遮断弁を開閉させるレバーに回動自在な機構を設けることを特徴とする。装置が傾いた際には、装置の傾きに応じてレバーが傾き、レバーを押すリンクが動いても、レバーがその位置から外れており、リンクでレバーを押せない構成にする。それによって、装置が傾いた際は常時遮断弁が閉鎖状態になる構成を作ることが可能となり、バッファを必要以上に大きくすることもなく、インク溢れに対応することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
以下では、本発明のインクジェット記録装置においてチューブを介してインクジェット記録ヘッドにインクを供給するインクジェット供給システムについて図1から図4を用いて説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態のインクジェット記録装置におけるインク供給の基本原理を説明するための図である。まず、インクジェット記録装置におけるインクの供給の一般的な基本原理について図1を参照して説明する。
【0024】
図1に示すように、インクジェット記録装置では、記録ヘッド1とメインタンク4とが供給チューブ6を通して連通されており、メインタンク4から記録ヘッド1の各吐出ノズル1gまでの流路がインクで満たされている。記録ヘッド1の吐出ノズル1gは、メインタンク4内に収容されたインクの液面よりも高さHだけ高い位置に配置され、記録ヘッド1内の圧力が高さHの水頭差分の負圧に保たれた状態となっている。記録ヘッド1内には、一定量のインク9が蓄えられている。
【0025】
インクジェット記録方式において、記録ヘッド1の吐出ノズル1gは微細な穴であり、吐出ノズル1gに特に弁機構はない。吐出ノズル1gの内部を負圧に保つことによって、そのノズルの先端部にインクのメニスカスを張らせ、吐出ノズル1gからのインクの漏れ、大気から吐出ノズル1g内への空気の進入をなくしている。インクの吐出は、吐出ノズル1g近傍に配置した不図示のヒータの膜沸騰エネルギーにより吐出ノズル1g内のインクを押し出すことにより行われる。インクの吐出後、吐出ノズル1gの毛細管力によってノズル内に再びインクを満たすサイクルが繰り返され、インクは、供給チューブ6を通してメインタンク4から記録ヘッド1へと再び吸い上げられる。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態によるインクジェット記録装置の概略の構成を示す斜視図である。
【0027】
図2に示すインクジェット記録装置は、記録ヘッド1の主走査方向の往復移動(主走査)と、一般記録紙、特殊紙、OHPフィルム等の記録用シートSの所定ピッチごとの副走査方向への搬送(副走査)とを繰り返しつつ、これらの動きと同期させながら記録ヘッド1から選択的にインクを吐出させて記録用シートSに付着させることで、文字や記号、画像等を形成するシリアル型の記録装置である。
【0028】
図2において、記録ヘッド1は、2本のガイドレールに摺動自在に支持され不図示のモータ等の駆動手段によりガイドレールに沿って往復移動されるキャリッジ2に着脱可能に搭載されている。記録用シートSは、搬送ローラ3により、記録ヘッド1のインク吐出面に対面し、かつ、インク吐出面との距離を一定に維持するように、キャリッジ2の移動方向と交差する方向(例えば、直行する方向である矢印A方向)に搬送される。
【0029】
記録ヘッド1は、それぞれ異なる色のインクを吐出するための複数のノズル列を有する。それらの核ノズル列は、記録ヘッド1の主走査方向とほぼ直交した方向に延びている。記録ヘッド1から吐出されるインクの色に対応して、複数の独立したメインタンク4が、インク供給ユニット5に着脱可能に装着される。インク供給ユニット5と記録ヘッド1とは、それぞれのインクの色に対応した複数の供給チューブ6によって接続され、メインタンク4をインク供給ユニット5に装着することで、メインタンク4内に収納された各色のインクを、記録ヘッド1の各ノズル列に独立して供給することが可能となる。これらメインタンク4、インク供給ユニット5、及び供給チューブ6によって、インクを記録ヘッド1に供給するインク供給経路が構成されている。
【0030】
記録ヘッド1の往復移動範囲内で、かつ、記録用シートSの通過範囲外の領域である非記録領域には、インク供給ユニット5に隣接した回復ユニット7が、記録ヘッド1のインク吐出面と対面するように配置されている。回復ユニット7は、記録ヘッド1の各吐出ノズル1gの開口端からそのノズル内のインクまたは空気を強制的に吸い出し、吐出ノズル1gのクリーニングや、記録ヘッド1へのインク充填動作を行う機構である。
【0031】
次に、このインクジェット記録装置のインク供給系の構成について図3を参照して説明する。図3は、図1に示すインクジェット記録装置の、1色分についてのインク供給経路を説明するための図である。
【0032】
まず、記録ヘッド1について説明する。
【0033】
記録ヘッド1の側面には電気基板1jが取り付けられている。電気基板1jは、記録ヘッド1がキャリッジ2上に搭載された際に、キャリッジ2上に設けられた接点2aと接続する。電気基板1jには、記録装置本体からの電源供給用の端子や、記録装置本体と記録ヘッド1との信号のやり取りを行うための端子など複数の端子が形成されている。それらの端子の中には、2つの端子が短絡しているものがあり、記録装置本体側では、それらの端子に対応する接点2aがオープンなら、記録ヘッド1が取り付けられていない状態であるヘッドなしと判断し、閉じていれば、記録ヘッド1がキャリッジ2上に取り付けられている状態であるヘッドありと判断する。ヘッドあり判断された場合には、その後、記録ヘッド1への電源供給や、記録装置本体と記録ヘッド1との信号のやりとりを開始する。
【0034】
記録ヘッド1へは、供給チューブ6の先端に設けられた液体コネクタが気密接続されるコネクタ挿入口1aは、記録ヘッド1の上部にインク室として形成されるインクを一定量蓄えるサブタンク部1bと連通している。サブタンク部1bの重力方向下側には、並列に配列された複数の吐出ノズル1gを有するノズル部にインクを直接供給する液室1fが形成されている。サブタンク部1bと液室1fとの境界には開口部1dが形成された仕切部1eを有し、フィルタ1cはこの仕切部1e上に設置されている。よって、サブタンク部1bは、フィルタ1c、開口部1d、及び液室1fを介して各吐出ノズル1gと繋がっている。
【0035】
記録ヘッド1の内部におけるインクの通過経路では、上述の構成により、コネクタ挿入口1aから記録ヘッド1に供給されたインクは、サブタンク部1b、フィルタ1c、液室1fを経て各吐出ノズル1gに供給される。コネクタ挿入口1aから吐出ノズル1gまでの間は大気に対して気密な状態に保たれている。
【0036】
サブタンク部1bの上面には開口部が形成され、この開口部は、記録ヘッド1の上面に固定されたドーム状の弾性部材1hで覆われている。この弾性部材1hで囲まれた空間(圧力調整室1i)は、開口部を介してサブタンク部1b内と連通しており、サブタンク部1b内の圧力に応じて容積が変化することによって、後述するようにサブタンク部1b内の圧力を調整する機能を有する。
【0037】
吐出ノズル1gは、断面幅が20μm程度の微細な筒状の構造を持ち、吐出ノズル1g内のインクに吐出エネルギーを与えることでインクを吐出ノズル1gから吐出させ、インクの吐出後、吐出ノズル1gの毛管力により吐出ノズル1g内にインクが満たされる。通常は、この吐出を20kHz以上のサイクルで繰り返し、微細で高速な画像形成を行っている。吐出ノズル1g内のインクに吐出エネルギーを与えるために、記録ヘッド1は、吐出ノズル1gごとにエネルギー発生手段を有する。本実施形態では、エネルギー発生手段として、吐出ノズル1g内のインクを加熱する発熱抵抗素子を用いており、記録ヘッド1の駆動を制御するヘッド制御部(不図示)からの指令により発熱抵抗素子を選択的に駆動し、所望の吐出ノズル1g内のインクを膜沸騰させ、これにより生じる気泡の圧力を利用して吐出ノズル1gからインクを吐出させている。
【0038】
吐出ノズル1gは、上述したように、インクを吐出する先端を下向きにして配列されているが、その先端を閉鎖する弁機構は設けられておらず、インクはメニスカスを形成した状態で吐出ノズル1gを満たしている。そのため、記録ヘッド1の内部、特に吐出ノズル1g内は負圧の状態に保たれている。ただし、負圧が小さすぎると、吐出ノズル1gの先端に異物やインクが付着した場合、インクのメニスカスが崩れてインクが吐出ノズル1gから漏れ出てしまうことがある。またこの逆に負圧が大きすぎると、吐出時にインクに与えられるエネルギーよりも吐出ノズル1g内にインクを引き戻す力が強くなってしまい、吐出不良となってしまう。よって、吐出ノズル1g内における負圧は、大気圧よりも若干低い一定の範囲に保たれる。この負圧の範囲は、吐出ノズル1gの数、断面積、発熱抵抗素子の性能等により異なるが、実験結果によれば、‐40mmAq(約‐0.0040atm=‐4.053kPa)〜‐200mmAq(約‐0.0200atm=‐2.0265kPa)(ただし、インクの比重≒水の比重とする)の範囲が好ましい。
【0039】
フィルタ1cは、吐出ノズル1gを詰まらせるような異物がサブタンク部1bから液室1fへ流出するのを防止するためのものであって、吐出ノズル1gの断面幅よりも小さい10μm以下の微細孔を有する金属メッシュで構成される。フィルタ1cは、フィルタ1cの一方の面のみにインクが接触すると各微細孔に毛管力によるインクのメニスカスが形成され、インクは容易に透過するが空気の流れは困難な性質を持っている。微細孔のサイズが小さいほどメニスカスの強度は強くなり、より空気を通しにくくなる。
【0040】
記録ヘッド1内でのインクの移動方向に関してフィルタ1cの下流に位置する液室1fに空気が存在すると、空気は空気自身の浮力程度ではフィルタ1cを通過することができないので、液室1f内の空気は液室1f内にとどまる。この現象を利用し、液室1fをインクで満たさず、液室1f内のインクとフィルタ1cとの間に空気の層が存在し、この空気層によって液室1f内のインクとフィルタ1cとが隔てられるように、所定の量のインクを液室1f内に蓄えている。
【0041】
液室1f内に蓄えられるインクの量は、最低限、吐出ノズル1gをインクで満たすのに必要な量である。吐出ノズル1g内に液室1fからの空気が浸入すると、インク吐出後の吐出ノズル1gにインクが補充されず吐出不良をおこすため、一定量以上のインクを蓄える液室1fの下側に吐出ノズル1gを下向きに配置し、吐出ノズル1g内に空気が入り込まないように吐出ノズル1g内は常にインクで満たされている必要がある。
【0042】
フィルタ1cの上面にはサブタンク部1b内のインクが接触しているが、このインクと接触している面積がフィルタ1cの有効面積となる。フィルタ1cによる圧力損失はフィルタ1cの有効面積に依存している。フィルタ1cの面積は、圧力損失が許容値以下となるように設定されている。圧力損失はフィルタ1cのメッシュが細かいほど、インクの流量が多いほど高くなる。逆にフィルタ1cの面積に反比例する。近年の高速、多ノズル、小ドットプリンタにおいては圧力損失が高くなる傾向にあり、フィルタの大きさが10×20mm程度と大きくなっており、フィルタの上流側にサブタンク部、下流側に液室の空間を必要としている。本実施形態では、フィルタ1cを記録ヘッド1cの使用状態において水平となるように配置し、フィルタ1cの上面全体にインクを接触させることによりフィルタの有効面積を最大とし、圧力損失を低くしている。
【0043】
圧力調整室1iは、内部の負圧が高まるにつれてその容積が縮小する部屋であり、圧力調整室1iが弾性部材1hで構成される場合は、弾性部材1hとしてはゴム材等が好ましい。また、弾性部材1hの他に、プラスチックシートとばねとの組み合わせによって構成してもよい。
【0044】
圧力調整室1iを設けない場合、サブタンク部1b内の圧力は、インクがメインタンク4、インク供給ユニット5、及び供給チューブ6を通過する際の圧力損失による抵抗を直接受ける。そのため、すべての吐出ノズル1gよりインクを吐出するなど、高い割合でインクを吐出するいわゆる高デューティーの場合には、サブタンク部1b内の圧力は、供給チューブ6やインク供給ユニット5、メインタンク4をインクが通過する際の圧力損失による抵抗を受けるので、吐出されるインクに対して記録ヘッド1に供給されるインクが不足状態となり、負圧が急激に上昇してしまう。吐出ノズル1gの負圧が、前述した限界値である‐200mmAq(約‐2.0265kPa)を越えると、吐出が不安定になり画像形成の上で不都合な状態となる。
【0045】
シリアル型の記録装置においては、高デューティーでの画像形成を行った後に、キャリッジ2(図2参照)の反転の際にインクの吐出を中断する状態が存在する。この場合、圧力調整室1iは、インクの吐出中には容積を縮小させてサブタンク部1b内の負圧の上昇を緩和し、反転時に復元するといった、コンデンサのような役割を果たす。
【0046】
このように、圧力調整室1iにより、インクの吐出の安定化を図るとともに、メインタンク4から記録ヘッド1までのインクの供給経路での圧力損失の影響が抑えられる。そのため、キャリッジ2に従動させる供給チューブ6も直径の細いものを使用することができ、キャリッジ2の移動の負荷低減にも貢献する。
【0047】
次に、インク供給ユニット5およびメインタンク4について説明する。
【0048】
メインタンク4はインク供給ユニット5に対して着脱可能な構成であり、剛性を有するケース4aの下部に2口のゴム栓4b,4cが取り付けられてなるものである。メインタンク4は、それ単体では密閉された容器であり、メインタンク4内にはインク9が液体のまま収容されている。
【0049】
一方、インク供給ユニット5は、メインタンク4からインク9を取り出すためのインク供給針5aと、メインタンク4内へ大気を導入させるための大気導入針5bとを有する。メインタンク4の取り付け部が、これらインク供給針5aおよび大気導入針5bなどから構成されている。インク供給針5aおよび大気導入針5bはともに中空の針であり、メインタンク4のインク供給口および大気導入口の位置に対応させて針先を上方に向けて配置されており、メインタンク4がインク供給ユニット5に装着されることで、インク供給針5aおよび大気導入針5bがそれぞれゴム栓4b,4cを貫通し、メインタンク4の内部に侵入する構成となっている。これにより、メインタンク4内と各針内の流路が連通可能となる。
【0050】
インク供給針5aは、第1液路5c、選択的に開閉可能な遮断弁10、および第5液路5dという経路を経て、供給チューブ6と接続され、さらに記録ヘッド1と連通する。大気導入針5bは、液路5e、バッファ室5f、大気連通口5gを経て大気と連通する。インク供給針5aから供給チューブ6までのインク供給経路のうち最も高さの低い位置にある第1液路5cと、大気導入針5bから大気連通口5gまでの経路のうち最も高さの低い位置にある液路5eとは、ともに同じ高さである。インク供給針5aおよび大気導入針5bは、インクの流動抵抗を抑えるため、内径が1.6mmの太いものを使用し、また、針穴についても直径を1〜1.5mmとしている。
【0051】
遮断弁10は、ゴム材からなるダイヤフラム10aを有し、このダイヤフラム10aを上下に変位させることにより第1液路5cと第2液路5dの間の開閉を行う。ダイヤフラム10aの上面には、押圧ばね10cを内部に保持する筒状のばねホルダ10bが取り付けられており、この押圧ばね10cによりダイヤフラム10aの中央部を押圧してダイヤフラム10aを押し潰すことにより、ダイヤフラム10aの下面によって第5液路5dの開口面が塞がれると、第1液路5cと第2液路5dの間が遮断される。ばねホルダ10bは、後述する回復ユニット7のリンク7eにより動作されるレバー11が係合するフランジを有する。レバー11を動作させて、押圧ばね10cのばね力に抗してばねホルダ10bを持ち上げることで、第1液路5cと第2液路5dの間が連通する。遮断弁10は、記録ヘッド1がインクを吐出している状態では開かれ、待機中および休止中は閉じられ、インク充填動作時には、回復ユニット7とタイミングを合わせて開閉される。
【0052】
上述したインク供給ユニット5の構成は、レバー11を除き、メインタンク4ごと、すなわち、黒、シアン、マゼンタ、イエローそれぞれの色のインクごとに設けられている。レバー11は全ての色に共通のものであり、全ての色についての遮断弁10を同時に開閉させる。すなわち、レバー11は1つであり、レバー11の作用点に各色の遮断弁10のばねホルダ10bが系合ており、1つのレバー11によって全ての遮断弁10が同時に開閉させられる。
【0053】
以上の構成により、記録ヘッド1内のインクが消費されると、その負圧により、インクが随時、メインタンク4からインク供給ユニット5および供給チューブ6を介して記録ヘッド1へ供給される。その際、メインタンク4から供給されたインクと同量の空気が、大気連通口5gからバッファ室5f、大気導入針5bを経て、メインタンク4内に導入される。
【0054】
バッファ室5fは、メインタンク4内の空気の膨張によりメインタンク4から流出したインクを一時的に保持する目的の空間であり、大気導入針5bの下端はバッファ室5fの底部に位置している。インクジェット記録装置の待機中または休止中に環境温度が上昇したり外気圧が低下する等、メインタンク4内の空気が膨張した場合は、遮断弁10は閉じられているため、メインタンク4内のインクが大気導入針5bから液路5eを経てバッファ室5fへ流出する。逆に、環境温度が低下する等、メインタンク4内の空気が収縮した場合は、バッファ室5f内に流出していたインクはメインタンク4へ戻る。また、バッファ室5fにインクが存在している状態で記録ヘッド1からインクを吐出させると、まず、バッファ室5f内のインクがメインタンク4へ戻り、バッファ室5f内のインクが無くなった後、メインタンク4内に空気が導入される。
【0055】
バッファ室5fの容積Vbは、製品の使用環境を満足するように設定する。例えば、5℃(278K)〜35℃(308K)の温度範囲内での使用を前提とする製品であれば、メインタンク4の容量を100mlとすると、Vb=100×(308−278)/308=9.7ml以上として設定される。
【0056】
インク供給針5aと大気導入針5bとにはインクの電気抵抗を測定する検出回路5hが接続されており、メインタンク4内のインクの有無を検出可能となっている。この検出回路5hは、メインタンク4内にインクが存在している状態では、メインタンク4内のインクを介して検出回路5hに電流が流れるため電気的クローズを検出し、インクが存在しないまたはメインタンク4が装着されていない状態では電気的オープンを検出する。検出電流は微弱であるため、インク供給針5aと大気導入針5bとの絶縁は重要であり、インク供給針5aから記録ヘッド1までの経路と、大気導入針5bから大気連通口5gまでの経路とを完全に独立させ、メインタンク4内のインクのみの電気抵抗を測定可能なように配慮している。
【0057】
次に、回復ユニット7について説明する。
【0058】
回復ユニット7は、吐出ノズル1gからのインクや空気の吸引と、遮断弁10の開閉を行うものであり、記録ヘッド1のインクの吐出面(吐出ノズル1gが開口した面)をキャッピングするキャップ手段としての吸引キャップ7aと、遮断弁10のレバー11を動作させるリンク7eとを有する。吸引キャップ7a、吸引ポンプ7c、およびポンプモータ7dなどから、所定時のみに記録ヘッド1内のインクを吐出ノズル1gから吸引する吸引手段が構成されている。
【0059】
吸引キャップ7aは、少なくともインク吐出面と接触する部分がゴム等の弾性部材で構成され、インク吐出面を覆って密閉するキャップ位置と、記録ヘッド1から離間して退避した退避位置との間を往復移動可能に設けられている。吸引キャップ7aには、複数のコロを有するチューブポンプ式の吸引ポンプ7cを中間部位に有するチューブが接続されており、ポンプモータ7dによって吸引ポンプ7cを駆動することで、連続吸引が可能である。また、ポンプモータ7dの回転量に応じて吸引量を変えることが可能である。
【0060】
第1のカム7bは吸引キャップ7aを上記2つの位置の間を上下移動させて動作させるものであり、駆動手段であるカム制御モータ7gにより、リンク7eを動作させる第2のカム7fと同一軸上で同期して回転される。リンク7eは、第2のカム7fによりスライドすることでレバー11を動かし、それによって遮断弁10の開閉を行う。第1のカム7bのa〜cの位置がそれぞれ吸引キャップ7aと接触するタイミングは、第2のカム7fのa〜cの位置がそれぞれリング7eと接触するタイミングと一致している。aの位置では、第1のカム7bは吸引キャップ7aを記録ヘッド1のインク吐出面から離間させ、第2のカム7fはリンク7eを押し付けてレバー11を押し上げ、遮断弁10を開かせる。bの位置では、第1のカム7bは吸引キャップ7aをインク吐出面に密着させ、第2のカム7fはリンク7eを引き戻して遮断弁を閉じさせる。cの位置では、第1のカム7bは吸引キャップ7aをインク吐出面に密着させ、第2のカム7fはリンク7eを押し付けて遮断弁10を開かせる。
【0061】
このように本実施形態のインクジェット記録装置では、吸引キャップ7aを駆動するカム制御モータ7gによって遮断弁10が開閉駆動される。
【0062】
また、上述したように吸引キャップ7aの移動がキャップ位置と退避位置との間の往復移動であり、遮断弁10の開閉動作が、ダイヤフラム10aの中央部の往復移動すなわち弁体の往復移動であることにより、それらの動作がともに同じような動作になり、吸引キャップ7aを移動させるカム制御モータ7gを遮断弁10の駆動源として利用することが合理的である。さらに、第1のカム7bと第2のカム7fとを同一軸上でカム制御モータ7gによって回転させる構成により、カム制御モータ7gを1方向に所定の角度ずつ回転駆動していくという簡単な制御で吸引キャップ7aと遮断弁10の一連のシーケンスを実行できる。インクジェット記録装置の本体に制御手段として備えられた制御回路は、その記録装置の動作、すなわち記録ヘッド1の動作や、キャリッジ2の移動、ポンプモータ7dおよびカム制御モータ7gの駆動などを制御している。
【0063】
記録動作の際は、第1のカム7bおよび第2のカム7fをaの位置とし、吸引キャップ7aをインク吐出面から離間させ、遮断弁10を開いて、吐出ノズル1gからのインクの吐出、およびメインタンク4から記録ヘッド1へのインクの供給を可能とする。待機中および休止中を含む非動作時は、第1のカム7bおよび第2のカム7fをbの位置とし、吸引キャップ7aによってインク吐出面を覆って吐出ノズル1gの乾燥を防止するとともに、遮断弁10を閉じて記録ヘッド1からのインクの流出を防止する。
【0064】
図4に本発明の回動自在なレバーの概略図を示す。
【0065】
レバー11は、遮断弁10を持ち上げる部材11aと遮断弁を持ち上げる回転方向とは直角方向(A方向)に回動自在な11bの2部材で構成されている。11aはA方向に対しては固定されており、遮断弁を持ち上げる方向にのみ可動である。それに対し11bはA方向に回動自在であり、リンク7eによって押圧されていない状態では、装置の傾きと同じように同期して傾くように下端側に重心をもってきている。レバー11を押圧するリンク7eは、レバーが動かない限り、必ずレバー11の一定位置を押圧する。それに対し装置が傾いた場合、図4(b)に示すようにレバー11bが傾き、リンク7eはレバー11bを押圧することが不可能となる。それによって、レバー11aは動かず、遮断弁10は持ち上がらず閉鎖された状態を保つ。また、印字中等でリンク7eがレバー11bを押圧した状態で装置を傾けた場合は、必ず回復時に一度カム制御モータ7gが動き、第1のカム7bおよび第2のカム7fはbの位置にくるのでリンク7eはレバー11から離間し、11bは回動自在な状態となる。その際、装置が傾いていると装置と同程度レバー11bは傾き、次にリンク7eがレバー11を押圧するよう動いてもレバー11bを押圧することが不可能となり、遮断弁10は閉鎖状態となる。
【0066】
また、装置の傾きをより厳しく管理するレバー11bの形状として、図4(c)に示すように湾曲形状をしていてもよい。その際、リンク7eも先端に丸みを帯びた形状にしてもよい。このような形状にすることにより、装置の傾きに対するレバーでの弁の開放範囲がより厳しくなり、少し装置が傾くとリンク7eとレバー11bが面同士で当たらなくなり、よりレバー11bを逃がす方向に動かすこととなる。
【0067】
図5に本発明の別の実施例を説明するための回動自在なレバーの概略図を示す。
【0068】
図5に示すように、レバー11とリンク7eとの間に回動自在な部材12を設けている。回動部材12はリンク7eに押圧され、それによって、回動部材12がレバー11を押圧し、遮断弁10が開放する構成である。回動部材12はリンク7eやレバー11とは独立して図示していない領域に取り付けており、装置の傾きに応じて回動する。そして、装置の傾きが一定以上だと、図5(b)に示すように、回動部材12が回動しリンク7eが回動部材12を押圧することが不可能となり、レバー11を押圧することが不可能になる。その結果遮断弁10が閉鎖状態を保持する。リンク7eが往復運動する方向にも回動部材12は可動であり、リンク7eの押圧力をそのままレバー11に伝達する。また、回動部材12は、装置が水平状態だとリンク7eとレバー11の間に位置するように、重心は下端側にある。
【0069】
【発明の効果】
本発明により、通常の待機中や休止中はもともと弁が閉まっているためインクが溢れることはないが印字中も本発明により、弁が閉鎖されるのでインクが漏れることはない。また、装置を一度移動させるためにインクタンクを外し、移動後装置が傾けた状態でインクタンクを装着させる場合でも、本発明により弁が閉鎖された状態を保つのでインクタンクが空になるまで溢れるという課題が解決することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるインクジェット記録装置におけるインク供給の基本原理を説明するための概略図。
【図2】本発明の一実施形態によるインクジェット記録装置の概略の構成を示す斜視図。
【図3】図1に示すインクジェット記録装置の、1色分についてのインク供給経路を説明するための概略図。
【図4】本発明の回動自在な弁機構を説明するための概略図。
【図5】本発明の別の実施例を説明するための回動自在なレバーの概略図を示す。
【図6】特開2002‐248779におけるインク供給系の概略図。
【図7】従来のチューブ供給方式のインクジェット記録装置におけるインク供給系の概略図。
【符号の説明】
1 記録ヘッド
1a コネクタ挿入口
1b サブタンク部
1c フィルタ
1d 開口部
1e 仕切部
1f 液室
1g 吐出ノズル
1h 弾性部材
1i 圧力調整室
1j 電気基板
2 キャリッジ
2a 接点
3 搬送ローラ
4 メインタンク
4a ケース
4b,4c ゴム栓
5 インク供給ユニット
5a インク供給針
5b 大気導入針
5c 第1液路
5d 第2液路
5e 液路
5f バッファ室
5g 大気連通口
5h 検出回路
6 供給チューブ
7 回復ユニット
7a 吸引キャップ
7b 第1のカム
7c 吸引ポンプ
7d ポンプモータ
7e リンク
7f 第2のカム
7g カム制御モータ
9 インク
10 遮断弁
10a ダイヤフラム
10b ホルダ
10c 押圧ばね
11 レバー
11a,11b レバー
S 記録用シート
【発明の属する技術分野】
本発明は、チューブ等により構成されたインク供給経路を通してインクタンクから記録ヘッドへとインクを供給する構成のインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ等の記録方式のうち、吐出口(ノズル)からインクを吐出させることによって被記録媒体上に文字や画像などを形成して記録を行うインクジェット記録方式は、低騒音のノンインパクト記録方式で高密度かつ高速の記録動作が可能であるため、近年では広く採用されている。
【0003】
一般的なインクジェット記録装置は、インクジェット記録ヘッドを搭載するキャリッジを駆動する手段と、記録紙などの被記録媒体を搬送する搬送手段と、これらを制御するための制御手段などを備えている。このように、キャリッジを移動させながら記録動作を行うものをシリアル型という。一方、インクジェット記録ヘッドを移動させずに被記録媒体の搬送のみで記録動作を行うものをライン型という。ライン型のインクジェット記録装置では、インクジェット記録ヘッドは、被記録媒体の幅方向全幅にわたって配列された多数のノズルを有している。
【0004】
インクジェット記録ヘッドは、ノズルからインク滴を吐出させるために、ノズル内のインクに与える吐出用のエネルギーを発生するエネルギー発生手段を有している。エネルギー発生手段としては、ピエゾ素子などの電気機械変換体素子を用いてインクを加圧するもの、電波やレーザなどの電磁波を照射して電磁波を機械的振動または熱に変換する電磁波機械変換体素子または電磁波熱変換体素子を用いたもの、あるいは発熱抵抗体などを有する電気熱変換体素子によって液体を加熱して発泡させるものなどがある。その中でも、熱エネルギーを利用してインク滴を吐出させる方式は、ノズルを高密度に配列させることができるため高解像度の記録を行うことが可能である。特に、電気熱変換体素子をエネルギー発生素子として用いたインクジェット記録ヘッドは、電気機械変換体素子を用いたものよりも小型化が容易であり、最近の半導体製造分野において技術の進歩と信頼性の向上が著しいIC技術やマイクロ加工技術を応用してその長所を十分に活用することにより、高密度実装化が容易でかつ製造コストを低くできるという利点がある。
【0005】
インクジェット記録ヘッドへのインクの供給方式としては、インクを収容するインクタンクをインクジェット記録ヘッドと一体としたいわゆるヘッドタンク一体方式、インクタンクとインクジェット記録ヘッドとをチューブで接続したいわゆるチューブ供給方式、および、インクタンクとインクジェット記録ヘッドとを別々に設け、必要に応じてインクジェット記録ヘッドをインクタンクの位置まで移動させて両者を接続し、その間にインクタンクからインクジェット記録ヘッドへインクを供給する、いわゆるピットイン方式がある。
【0006】
インクタンクの交換頻度を少なくするために、インクタンクの容量を大きくすると、インクタンクの重量が増大するため、シリアル型のインクジェット記録装置においては、キャリッジに加わる重量が増大する。このことを考慮すると、大容量のインクタンクを用いるシリアル型のインクジェット記録装置では、チューブ供給方式やピットイン方式を採用する場合が多い。中でも、ピットイン方式はインクの供給中は記録動作を停止させる必要があるため、長時間の連続記録が可能なチューブ供給方式が多く採用される。
【0007】
以下に、チューブ供給方式のインクジェット記録装置のインク供給系について、図7を参照して説明する。
【0008】
図7に示すインク供給系は、インク109を内部に収納するメインタンク104と、供給チューブ106を介してメインタンク104と接続されている記録ヘッド101を有する。
【0009】
記録ヘッド101は、熱エネルギーを利用してインク滴を吐出させる方式のものであり、記録ヘッド101には、インク吐出部を構成するように配列された複数の吐出ノズル101gが、微細な穴となって形成されている。各吐出ノズル101gは、その開口面(吐出口)が下方を向くように配置されており、各吐出ノズル101gから下向きにインクが吐出される。各吐出ノズル101gには特に弁機構はなく、吐出ノズル101gの内部を負圧に保つことによりノズルの先端部にインクのメニスカスを張らせ、吐出ノズル101gからのインクの漏れ、大気からの空気の進入をなくしている。インクの吐出は、吐出ノズル101g近傍に配置されたヒータの膜沸騰エネルギーにより吐出ノズル101gのインクを押し出すことにより行われる。インクの吐出後、吐出ノズル101gの毛細管力によってノズル内に再びインクを満たすサイクルが繰り返され、インクは供給チューブ106を介して随時、メインタンク104から吸い上げられる。
【0010】
記録ヘッド101の内部には、吐出ノズル101gの微細な穴にごみがつまることを防止する微細なメッシュ構造のフィルタ101cと、フィルタ101cの上流でインクを一定量蓄えるサブタンク101bと、フィルタ101cを介してサブタンク101b内を吐出ノズル101gと接続する細い流路101fとが設けられている。メインタンク104からのインクが、供給チューブ106、サブタンク101b、フィルタ101c、および流路101fを通して各吐出ノズル101gへと供給される。供給チューブ106の途中には、その流路を遮断状態、連通(開放)状態に切り換え可能な弁110aが設けられ、その開閉動作がソレノイド110dによって駆動される。供給チューブ106の記録ヘッド101側の付け根には液体コネクタ106aを有し、その液体コネクタ106aによって供給チューブ106の一端が、記録ヘッド101に設けられた液体コネクタ101aと着脱可能な構造、すなわち記録ヘッド101が交換可能な構造となっている。供給チューブ106の一端は、液体コネクタ106aと101aとの接続によってサブタンク101bの内部を連通する。一方、メインタンク104は柔軟な袋により構成されるとともに、供給チューブ106の他端(下端)105aが接続される液体コネクタ104aを有している。この液体コネクタ104aによって供給チューブ106の他端105aがメインタンク104に着脱可能に取り付けられることで、供給チューブ106がメインタンク104内と連通している。したがって、メインタンク104はインクジェット記録装置に対して交換可能となっている。
【0011】
また、サブタンク101bの上方には、弾性部材101hによって圧力調整室101iは、サブタンク101b内の圧力の変化に対して、その容積を変えることで記録ヘッド101内の圧力の安定化を図り、主に記録動作時の急激なインク消費の際に、記録ヘッド101内の圧力の上昇を緩和するものである。
【0012】
このようなインクジェット記録装置においては、吐出ノズル101g内にインクの増粘物が詰まった場合や、吐出ノズル101gのインク中に溶存していた空気が蓄積され気泡となって生じた場合に、これらを除去するために各吐出ノズル101gから所定時にインクを吸引する吸引手段107が一般的に設けられている。吸引手段107は、記録ヘッド101のノズルの開口面(吐出口面)と対向してその開口面をキャッピングする吸引キャップ107aと、この吸引キャップ107aに接続された吸引ポンプ107cと、吸引ポンプ107cを駆動させるポンプモータ107dと、吸引キャップ107aを記録ヘッド101に対して密着または離間させるためのカム機構などの移動手段107bと、それを駆動させる駆動モータ107gとを有している。記録ヘッド101のノズルの開口面を吸引キャップ107aでキャッピングした状態でポンプモータ107dによって吸引ポンプ107cを駆動し、記録ヘッド101内のインクや空気を各吐出ノズル101gから強制的に吸引することで、インクの増粘物や余分な気泡を吐出ノズル101gから除去する。
【0013】
このインクジェット記録装置では、記録ヘッド101に最初にインクを充填する際、または、サブタンク101b内に空気が溜まることによってサブタンク101bのインクが減少してサブタンク101b内にインクを再充填する際などに、記録ヘッド101内にインクを充填する動作が行われる。
【0014】
そのインクの充填動作では、まず記録ヘッド101の吐出口面を吸引キャップ107aでキャッピングし、また弁110aを閉じた状態で、吸引ポンプ107cにより吐出ノズル101gよりインクや空気を吸引し、サブタンク101b内を減圧する。サブタンク101b内の圧力が所定の圧力まで達すると、弁110aを開く。すると、減圧されていたサブタンク101b内の空気が収縮し、サブタンク101b内にメインタンク104からのインクが供給チューブ106を通して導入され、充填される。その後、吸引キャップ107aを記録ヘッド101から離間させると、インクジェット記録装置が記録可能な状態となる。
【0015】
以上、チューブ供給方式を例に挙げて従来のインク供給系を説明したが、ヘッド一体方式やピットイン方式においても、インクタンクから記録ヘッドまでのインクの供給経路に関数構造が異なるだけで、記録ヘッドのフィルタからの下側の構造は、基本的にはチューブ供給方式と同様である。
【0016】
しかしながら、図7に示したインクジェット記録装置では、記録ヘッド101内にインクを充填する際に、吸引キャップ107aを移動させて駆動する駆動モータ107gと、吸引キャップ107aを通してインクを吸引するように吸引ポンプ107cを駆動するポンプモータ107dと、弁110aを開閉駆動するソレノイド110dと3つの駆動源が必要であり、インクジェット記録装置のコストが高いという問題点があった。
【0017】
上記問題に対応するために以下の構成のインクジェット記録装置が提案されている。
【0018】
提案されているインクジェット記録装置の概略図を図6に示す。図6では、インク9を蓄える液室1f、及び該液室1fからのインクを吐出する吐出ノズル1gを有する記録ヘッド1に、インクタンク4に収容されたインク9を供給するためのインク供給経路と、該インク供給経路に設けられてその経路を開閉する遮断弁10と、前期記録ヘッド1内のインクを所定時のみに前期吐出ノズル1gから吸引可能な吸引手段とを有し、吸引動作と該遮断弁10の開閉動作を同じ駆動源のカム制御モータ7gで行うことを特徴としている。(特許文献1参照。)
【特許文献1】
特開2002−248779号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示したインクジェット記録装置では、印字時常時遮断弁が開放状態のため、装置を設置する面が傾いていると、バッファ室5fの有効高さがいかされず、バッファ室5fからインクが溢れることがありえるという問題がある。例えば、温度変化や気圧変化等でバッファ室5fがかなりインクで満たされた状態の際にヘッド側がリークし、バッファ内にインクが逆流した状態では大気連通口5gよりインクが溢れ、一度5gより溢れ出すと水頭面が通常の水頭面(供給針5a、5bの下面)より下になるため、インクタンク内のインクがすべて無くなるまで溢れてしまうという問題がある。また、装置設置時や装置搬送後に新規にインクをインク経路に充填する際、同様にある程度バッファ内がインクで満たされた状態で、装置が傾いていた場合、インクタンクを挿入すると、水頭面の位置によっては同様に大気連通口からインクタンクが空になるまでインクが溢れることがあるという問題がある。これらの問題に対応するためにバッファ室内の体積を十分に大きくすると装置全体が大きくなってしまうという課題が生じてしまう。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決させるために、遮断弁を開閉させるレバーに回動自在な機構を設けることを特徴とする。装置が傾いた際には、装置の傾きに応じてレバーが傾き、レバーを押すリンクが動いても、レバーがその位置から外れており、リンクでレバーを押せない構成にする。それによって、装置が傾いた際は常時遮断弁が閉鎖状態になる構成を作ることが可能となり、バッファを必要以上に大きくすることもなく、インク溢れに対応することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
以下では、本発明のインクジェット記録装置においてチューブを介してインクジェット記録ヘッドにインクを供給するインクジェット供給システムについて図1から図4を用いて説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態のインクジェット記録装置におけるインク供給の基本原理を説明するための図である。まず、インクジェット記録装置におけるインクの供給の一般的な基本原理について図1を参照して説明する。
【0024】
図1に示すように、インクジェット記録装置では、記録ヘッド1とメインタンク4とが供給チューブ6を通して連通されており、メインタンク4から記録ヘッド1の各吐出ノズル1gまでの流路がインクで満たされている。記録ヘッド1の吐出ノズル1gは、メインタンク4内に収容されたインクの液面よりも高さHだけ高い位置に配置され、記録ヘッド1内の圧力が高さHの水頭差分の負圧に保たれた状態となっている。記録ヘッド1内には、一定量のインク9が蓄えられている。
【0025】
インクジェット記録方式において、記録ヘッド1の吐出ノズル1gは微細な穴であり、吐出ノズル1gに特に弁機構はない。吐出ノズル1gの内部を負圧に保つことによって、そのノズルの先端部にインクのメニスカスを張らせ、吐出ノズル1gからのインクの漏れ、大気から吐出ノズル1g内への空気の進入をなくしている。インクの吐出は、吐出ノズル1g近傍に配置した不図示のヒータの膜沸騰エネルギーにより吐出ノズル1g内のインクを押し出すことにより行われる。インクの吐出後、吐出ノズル1gの毛細管力によってノズル内に再びインクを満たすサイクルが繰り返され、インクは、供給チューブ6を通してメインタンク4から記録ヘッド1へと再び吸い上げられる。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態によるインクジェット記録装置の概略の構成を示す斜視図である。
【0027】
図2に示すインクジェット記録装置は、記録ヘッド1の主走査方向の往復移動(主走査)と、一般記録紙、特殊紙、OHPフィルム等の記録用シートSの所定ピッチごとの副走査方向への搬送(副走査)とを繰り返しつつ、これらの動きと同期させながら記録ヘッド1から選択的にインクを吐出させて記録用シートSに付着させることで、文字や記号、画像等を形成するシリアル型の記録装置である。
【0028】
図2において、記録ヘッド1は、2本のガイドレールに摺動自在に支持され不図示のモータ等の駆動手段によりガイドレールに沿って往復移動されるキャリッジ2に着脱可能に搭載されている。記録用シートSは、搬送ローラ3により、記録ヘッド1のインク吐出面に対面し、かつ、インク吐出面との距離を一定に維持するように、キャリッジ2の移動方向と交差する方向(例えば、直行する方向である矢印A方向)に搬送される。
【0029】
記録ヘッド1は、それぞれ異なる色のインクを吐出するための複数のノズル列を有する。それらの核ノズル列は、記録ヘッド1の主走査方向とほぼ直交した方向に延びている。記録ヘッド1から吐出されるインクの色に対応して、複数の独立したメインタンク4が、インク供給ユニット5に着脱可能に装着される。インク供給ユニット5と記録ヘッド1とは、それぞれのインクの色に対応した複数の供給チューブ6によって接続され、メインタンク4をインク供給ユニット5に装着することで、メインタンク4内に収納された各色のインクを、記録ヘッド1の各ノズル列に独立して供給することが可能となる。これらメインタンク4、インク供給ユニット5、及び供給チューブ6によって、インクを記録ヘッド1に供給するインク供給経路が構成されている。
【0030】
記録ヘッド1の往復移動範囲内で、かつ、記録用シートSの通過範囲外の領域である非記録領域には、インク供給ユニット5に隣接した回復ユニット7が、記録ヘッド1のインク吐出面と対面するように配置されている。回復ユニット7は、記録ヘッド1の各吐出ノズル1gの開口端からそのノズル内のインクまたは空気を強制的に吸い出し、吐出ノズル1gのクリーニングや、記録ヘッド1へのインク充填動作を行う機構である。
【0031】
次に、このインクジェット記録装置のインク供給系の構成について図3を参照して説明する。図3は、図1に示すインクジェット記録装置の、1色分についてのインク供給経路を説明するための図である。
【0032】
まず、記録ヘッド1について説明する。
【0033】
記録ヘッド1の側面には電気基板1jが取り付けられている。電気基板1jは、記録ヘッド1がキャリッジ2上に搭載された際に、キャリッジ2上に設けられた接点2aと接続する。電気基板1jには、記録装置本体からの電源供給用の端子や、記録装置本体と記録ヘッド1との信号のやり取りを行うための端子など複数の端子が形成されている。それらの端子の中には、2つの端子が短絡しているものがあり、記録装置本体側では、それらの端子に対応する接点2aがオープンなら、記録ヘッド1が取り付けられていない状態であるヘッドなしと判断し、閉じていれば、記録ヘッド1がキャリッジ2上に取り付けられている状態であるヘッドありと判断する。ヘッドあり判断された場合には、その後、記録ヘッド1への電源供給や、記録装置本体と記録ヘッド1との信号のやりとりを開始する。
【0034】
記録ヘッド1へは、供給チューブ6の先端に設けられた液体コネクタが気密接続されるコネクタ挿入口1aは、記録ヘッド1の上部にインク室として形成されるインクを一定量蓄えるサブタンク部1bと連通している。サブタンク部1bの重力方向下側には、並列に配列された複数の吐出ノズル1gを有するノズル部にインクを直接供給する液室1fが形成されている。サブタンク部1bと液室1fとの境界には開口部1dが形成された仕切部1eを有し、フィルタ1cはこの仕切部1e上に設置されている。よって、サブタンク部1bは、フィルタ1c、開口部1d、及び液室1fを介して各吐出ノズル1gと繋がっている。
【0035】
記録ヘッド1の内部におけるインクの通過経路では、上述の構成により、コネクタ挿入口1aから記録ヘッド1に供給されたインクは、サブタンク部1b、フィルタ1c、液室1fを経て各吐出ノズル1gに供給される。コネクタ挿入口1aから吐出ノズル1gまでの間は大気に対して気密な状態に保たれている。
【0036】
サブタンク部1bの上面には開口部が形成され、この開口部は、記録ヘッド1の上面に固定されたドーム状の弾性部材1hで覆われている。この弾性部材1hで囲まれた空間(圧力調整室1i)は、開口部を介してサブタンク部1b内と連通しており、サブタンク部1b内の圧力に応じて容積が変化することによって、後述するようにサブタンク部1b内の圧力を調整する機能を有する。
【0037】
吐出ノズル1gは、断面幅が20μm程度の微細な筒状の構造を持ち、吐出ノズル1g内のインクに吐出エネルギーを与えることでインクを吐出ノズル1gから吐出させ、インクの吐出後、吐出ノズル1gの毛管力により吐出ノズル1g内にインクが満たされる。通常は、この吐出を20kHz以上のサイクルで繰り返し、微細で高速な画像形成を行っている。吐出ノズル1g内のインクに吐出エネルギーを与えるために、記録ヘッド1は、吐出ノズル1gごとにエネルギー発生手段を有する。本実施形態では、エネルギー発生手段として、吐出ノズル1g内のインクを加熱する発熱抵抗素子を用いており、記録ヘッド1の駆動を制御するヘッド制御部(不図示)からの指令により発熱抵抗素子を選択的に駆動し、所望の吐出ノズル1g内のインクを膜沸騰させ、これにより生じる気泡の圧力を利用して吐出ノズル1gからインクを吐出させている。
【0038】
吐出ノズル1gは、上述したように、インクを吐出する先端を下向きにして配列されているが、その先端を閉鎖する弁機構は設けられておらず、インクはメニスカスを形成した状態で吐出ノズル1gを満たしている。そのため、記録ヘッド1の内部、特に吐出ノズル1g内は負圧の状態に保たれている。ただし、負圧が小さすぎると、吐出ノズル1gの先端に異物やインクが付着した場合、インクのメニスカスが崩れてインクが吐出ノズル1gから漏れ出てしまうことがある。またこの逆に負圧が大きすぎると、吐出時にインクに与えられるエネルギーよりも吐出ノズル1g内にインクを引き戻す力が強くなってしまい、吐出不良となってしまう。よって、吐出ノズル1g内における負圧は、大気圧よりも若干低い一定の範囲に保たれる。この負圧の範囲は、吐出ノズル1gの数、断面積、発熱抵抗素子の性能等により異なるが、実験結果によれば、‐40mmAq(約‐0.0040atm=‐4.053kPa)〜‐200mmAq(約‐0.0200atm=‐2.0265kPa)(ただし、インクの比重≒水の比重とする)の範囲が好ましい。
【0039】
フィルタ1cは、吐出ノズル1gを詰まらせるような異物がサブタンク部1bから液室1fへ流出するのを防止するためのものであって、吐出ノズル1gの断面幅よりも小さい10μm以下の微細孔を有する金属メッシュで構成される。フィルタ1cは、フィルタ1cの一方の面のみにインクが接触すると各微細孔に毛管力によるインクのメニスカスが形成され、インクは容易に透過するが空気の流れは困難な性質を持っている。微細孔のサイズが小さいほどメニスカスの強度は強くなり、より空気を通しにくくなる。
【0040】
記録ヘッド1内でのインクの移動方向に関してフィルタ1cの下流に位置する液室1fに空気が存在すると、空気は空気自身の浮力程度ではフィルタ1cを通過することができないので、液室1f内の空気は液室1f内にとどまる。この現象を利用し、液室1fをインクで満たさず、液室1f内のインクとフィルタ1cとの間に空気の層が存在し、この空気層によって液室1f内のインクとフィルタ1cとが隔てられるように、所定の量のインクを液室1f内に蓄えている。
【0041】
液室1f内に蓄えられるインクの量は、最低限、吐出ノズル1gをインクで満たすのに必要な量である。吐出ノズル1g内に液室1fからの空気が浸入すると、インク吐出後の吐出ノズル1gにインクが補充されず吐出不良をおこすため、一定量以上のインクを蓄える液室1fの下側に吐出ノズル1gを下向きに配置し、吐出ノズル1g内に空気が入り込まないように吐出ノズル1g内は常にインクで満たされている必要がある。
【0042】
フィルタ1cの上面にはサブタンク部1b内のインクが接触しているが、このインクと接触している面積がフィルタ1cの有効面積となる。フィルタ1cによる圧力損失はフィルタ1cの有効面積に依存している。フィルタ1cの面積は、圧力損失が許容値以下となるように設定されている。圧力損失はフィルタ1cのメッシュが細かいほど、インクの流量が多いほど高くなる。逆にフィルタ1cの面積に反比例する。近年の高速、多ノズル、小ドットプリンタにおいては圧力損失が高くなる傾向にあり、フィルタの大きさが10×20mm程度と大きくなっており、フィルタの上流側にサブタンク部、下流側に液室の空間を必要としている。本実施形態では、フィルタ1cを記録ヘッド1cの使用状態において水平となるように配置し、フィルタ1cの上面全体にインクを接触させることによりフィルタの有効面積を最大とし、圧力損失を低くしている。
【0043】
圧力調整室1iは、内部の負圧が高まるにつれてその容積が縮小する部屋であり、圧力調整室1iが弾性部材1hで構成される場合は、弾性部材1hとしてはゴム材等が好ましい。また、弾性部材1hの他に、プラスチックシートとばねとの組み合わせによって構成してもよい。
【0044】
圧力調整室1iを設けない場合、サブタンク部1b内の圧力は、インクがメインタンク4、インク供給ユニット5、及び供給チューブ6を通過する際の圧力損失による抵抗を直接受ける。そのため、すべての吐出ノズル1gよりインクを吐出するなど、高い割合でインクを吐出するいわゆる高デューティーの場合には、サブタンク部1b内の圧力は、供給チューブ6やインク供給ユニット5、メインタンク4をインクが通過する際の圧力損失による抵抗を受けるので、吐出されるインクに対して記録ヘッド1に供給されるインクが不足状態となり、負圧が急激に上昇してしまう。吐出ノズル1gの負圧が、前述した限界値である‐200mmAq(約‐2.0265kPa)を越えると、吐出が不安定になり画像形成の上で不都合な状態となる。
【0045】
シリアル型の記録装置においては、高デューティーでの画像形成を行った後に、キャリッジ2(図2参照)の反転の際にインクの吐出を中断する状態が存在する。この場合、圧力調整室1iは、インクの吐出中には容積を縮小させてサブタンク部1b内の負圧の上昇を緩和し、反転時に復元するといった、コンデンサのような役割を果たす。
【0046】
このように、圧力調整室1iにより、インクの吐出の安定化を図るとともに、メインタンク4から記録ヘッド1までのインクの供給経路での圧力損失の影響が抑えられる。そのため、キャリッジ2に従動させる供給チューブ6も直径の細いものを使用することができ、キャリッジ2の移動の負荷低減にも貢献する。
【0047】
次に、インク供給ユニット5およびメインタンク4について説明する。
【0048】
メインタンク4はインク供給ユニット5に対して着脱可能な構成であり、剛性を有するケース4aの下部に2口のゴム栓4b,4cが取り付けられてなるものである。メインタンク4は、それ単体では密閉された容器であり、メインタンク4内にはインク9が液体のまま収容されている。
【0049】
一方、インク供給ユニット5は、メインタンク4からインク9を取り出すためのインク供給針5aと、メインタンク4内へ大気を導入させるための大気導入針5bとを有する。メインタンク4の取り付け部が、これらインク供給針5aおよび大気導入針5bなどから構成されている。インク供給針5aおよび大気導入針5bはともに中空の針であり、メインタンク4のインク供給口および大気導入口の位置に対応させて針先を上方に向けて配置されており、メインタンク4がインク供給ユニット5に装着されることで、インク供給針5aおよび大気導入針5bがそれぞれゴム栓4b,4cを貫通し、メインタンク4の内部に侵入する構成となっている。これにより、メインタンク4内と各針内の流路が連通可能となる。
【0050】
インク供給針5aは、第1液路5c、選択的に開閉可能な遮断弁10、および第5液路5dという経路を経て、供給チューブ6と接続され、さらに記録ヘッド1と連通する。大気導入針5bは、液路5e、バッファ室5f、大気連通口5gを経て大気と連通する。インク供給針5aから供給チューブ6までのインク供給経路のうち最も高さの低い位置にある第1液路5cと、大気導入針5bから大気連通口5gまでの経路のうち最も高さの低い位置にある液路5eとは、ともに同じ高さである。インク供給針5aおよび大気導入針5bは、インクの流動抵抗を抑えるため、内径が1.6mmの太いものを使用し、また、針穴についても直径を1〜1.5mmとしている。
【0051】
遮断弁10は、ゴム材からなるダイヤフラム10aを有し、このダイヤフラム10aを上下に変位させることにより第1液路5cと第2液路5dの間の開閉を行う。ダイヤフラム10aの上面には、押圧ばね10cを内部に保持する筒状のばねホルダ10bが取り付けられており、この押圧ばね10cによりダイヤフラム10aの中央部を押圧してダイヤフラム10aを押し潰すことにより、ダイヤフラム10aの下面によって第5液路5dの開口面が塞がれると、第1液路5cと第2液路5dの間が遮断される。ばねホルダ10bは、後述する回復ユニット7のリンク7eにより動作されるレバー11が係合するフランジを有する。レバー11を動作させて、押圧ばね10cのばね力に抗してばねホルダ10bを持ち上げることで、第1液路5cと第2液路5dの間が連通する。遮断弁10は、記録ヘッド1がインクを吐出している状態では開かれ、待機中および休止中は閉じられ、インク充填動作時には、回復ユニット7とタイミングを合わせて開閉される。
【0052】
上述したインク供給ユニット5の構成は、レバー11を除き、メインタンク4ごと、すなわち、黒、シアン、マゼンタ、イエローそれぞれの色のインクごとに設けられている。レバー11は全ての色に共通のものであり、全ての色についての遮断弁10を同時に開閉させる。すなわち、レバー11は1つであり、レバー11の作用点に各色の遮断弁10のばねホルダ10bが系合ており、1つのレバー11によって全ての遮断弁10が同時に開閉させられる。
【0053】
以上の構成により、記録ヘッド1内のインクが消費されると、その負圧により、インクが随時、メインタンク4からインク供給ユニット5および供給チューブ6を介して記録ヘッド1へ供給される。その際、メインタンク4から供給されたインクと同量の空気が、大気連通口5gからバッファ室5f、大気導入針5bを経て、メインタンク4内に導入される。
【0054】
バッファ室5fは、メインタンク4内の空気の膨張によりメインタンク4から流出したインクを一時的に保持する目的の空間であり、大気導入針5bの下端はバッファ室5fの底部に位置している。インクジェット記録装置の待機中または休止中に環境温度が上昇したり外気圧が低下する等、メインタンク4内の空気が膨張した場合は、遮断弁10は閉じられているため、メインタンク4内のインクが大気導入針5bから液路5eを経てバッファ室5fへ流出する。逆に、環境温度が低下する等、メインタンク4内の空気が収縮した場合は、バッファ室5f内に流出していたインクはメインタンク4へ戻る。また、バッファ室5fにインクが存在している状態で記録ヘッド1からインクを吐出させると、まず、バッファ室5f内のインクがメインタンク4へ戻り、バッファ室5f内のインクが無くなった後、メインタンク4内に空気が導入される。
【0055】
バッファ室5fの容積Vbは、製品の使用環境を満足するように設定する。例えば、5℃(278K)〜35℃(308K)の温度範囲内での使用を前提とする製品であれば、メインタンク4の容量を100mlとすると、Vb=100×(308−278)/308=9.7ml以上として設定される。
【0056】
インク供給針5aと大気導入針5bとにはインクの電気抵抗を測定する検出回路5hが接続されており、メインタンク4内のインクの有無を検出可能となっている。この検出回路5hは、メインタンク4内にインクが存在している状態では、メインタンク4内のインクを介して検出回路5hに電流が流れるため電気的クローズを検出し、インクが存在しないまたはメインタンク4が装着されていない状態では電気的オープンを検出する。検出電流は微弱であるため、インク供給針5aと大気導入針5bとの絶縁は重要であり、インク供給針5aから記録ヘッド1までの経路と、大気導入針5bから大気連通口5gまでの経路とを完全に独立させ、メインタンク4内のインクのみの電気抵抗を測定可能なように配慮している。
【0057】
次に、回復ユニット7について説明する。
【0058】
回復ユニット7は、吐出ノズル1gからのインクや空気の吸引と、遮断弁10の開閉を行うものであり、記録ヘッド1のインクの吐出面(吐出ノズル1gが開口した面)をキャッピングするキャップ手段としての吸引キャップ7aと、遮断弁10のレバー11を動作させるリンク7eとを有する。吸引キャップ7a、吸引ポンプ7c、およびポンプモータ7dなどから、所定時のみに記録ヘッド1内のインクを吐出ノズル1gから吸引する吸引手段が構成されている。
【0059】
吸引キャップ7aは、少なくともインク吐出面と接触する部分がゴム等の弾性部材で構成され、インク吐出面を覆って密閉するキャップ位置と、記録ヘッド1から離間して退避した退避位置との間を往復移動可能に設けられている。吸引キャップ7aには、複数のコロを有するチューブポンプ式の吸引ポンプ7cを中間部位に有するチューブが接続されており、ポンプモータ7dによって吸引ポンプ7cを駆動することで、連続吸引が可能である。また、ポンプモータ7dの回転量に応じて吸引量を変えることが可能である。
【0060】
第1のカム7bは吸引キャップ7aを上記2つの位置の間を上下移動させて動作させるものであり、駆動手段であるカム制御モータ7gにより、リンク7eを動作させる第2のカム7fと同一軸上で同期して回転される。リンク7eは、第2のカム7fによりスライドすることでレバー11を動かし、それによって遮断弁10の開閉を行う。第1のカム7bのa〜cの位置がそれぞれ吸引キャップ7aと接触するタイミングは、第2のカム7fのa〜cの位置がそれぞれリング7eと接触するタイミングと一致している。aの位置では、第1のカム7bは吸引キャップ7aを記録ヘッド1のインク吐出面から離間させ、第2のカム7fはリンク7eを押し付けてレバー11を押し上げ、遮断弁10を開かせる。bの位置では、第1のカム7bは吸引キャップ7aをインク吐出面に密着させ、第2のカム7fはリンク7eを引き戻して遮断弁を閉じさせる。cの位置では、第1のカム7bは吸引キャップ7aをインク吐出面に密着させ、第2のカム7fはリンク7eを押し付けて遮断弁10を開かせる。
【0061】
このように本実施形態のインクジェット記録装置では、吸引キャップ7aを駆動するカム制御モータ7gによって遮断弁10が開閉駆動される。
【0062】
また、上述したように吸引キャップ7aの移動がキャップ位置と退避位置との間の往復移動であり、遮断弁10の開閉動作が、ダイヤフラム10aの中央部の往復移動すなわち弁体の往復移動であることにより、それらの動作がともに同じような動作になり、吸引キャップ7aを移動させるカム制御モータ7gを遮断弁10の駆動源として利用することが合理的である。さらに、第1のカム7bと第2のカム7fとを同一軸上でカム制御モータ7gによって回転させる構成により、カム制御モータ7gを1方向に所定の角度ずつ回転駆動していくという簡単な制御で吸引キャップ7aと遮断弁10の一連のシーケンスを実行できる。インクジェット記録装置の本体に制御手段として備えられた制御回路は、その記録装置の動作、すなわち記録ヘッド1の動作や、キャリッジ2の移動、ポンプモータ7dおよびカム制御モータ7gの駆動などを制御している。
【0063】
記録動作の際は、第1のカム7bおよび第2のカム7fをaの位置とし、吸引キャップ7aをインク吐出面から離間させ、遮断弁10を開いて、吐出ノズル1gからのインクの吐出、およびメインタンク4から記録ヘッド1へのインクの供給を可能とする。待機中および休止中を含む非動作時は、第1のカム7bおよび第2のカム7fをbの位置とし、吸引キャップ7aによってインク吐出面を覆って吐出ノズル1gの乾燥を防止するとともに、遮断弁10を閉じて記録ヘッド1からのインクの流出を防止する。
【0064】
図4に本発明の回動自在なレバーの概略図を示す。
【0065】
レバー11は、遮断弁10を持ち上げる部材11aと遮断弁を持ち上げる回転方向とは直角方向(A方向)に回動自在な11bの2部材で構成されている。11aはA方向に対しては固定されており、遮断弁を持ち上げる方向にのみ可動である。それに対し11bはA方向に回動自在であり、リンク7eによって押圧されていない状態では、装置の傾きと同じように同期して傾くように下端側に重心をもってきている。レバー11を押圧するリンク7eは、レバーが動かない限り、必ずレバー11の一定位置を押圧する。それに対し装置が傾いた場合、図4(b)に示すようにレバー11bが傾き、リンク7eはレバー11bを押圧することが不可能となる。それによって、レバー11aは動かず、遮断弁10は持ち上がらず閉鎖された状態を保つ。また、印字中等でリンク7eがレバー11bを押圧した状態で装置を傾けた場合は、必ず回復時に一度カム制御モータ7gが動き、第1のカム7bおよび第2のカム7fはbの位置にくるのでリンク7eはレバー11から離間し、11bは回動自在な状態となる。その際、装置が傾いていると装置と同程度レバー11bは傾き、次にリンク7eがレバー11を押圧するよう動いてもレバー11bを押圧することが不可能となり、遮断弁10は閉鎖状態となる。
【0066】
また、装置の傾きをより厳しく管理するレバー11bの形状として、図4(c)に示すように湾曲形状をしていてもよい。その際、リンク7eも先端に丸みを帯びた形状にしてもよい。このような形状にすることにより、装置の傾きに対するレバーでの弁の開放範囲がより厳しくなり、少し装置が傾くとリンク7eとレバー11bが面同士で当たらなくなり、よりレバー11bを逃がす方向に動かすこととなる。
【0067】
図5に本発明の別の実施例を説明するための回動自在なレバーの概略図を示す。
【0068】
図5に示すように、レバー11とリンク7eとの間に回動自在な部材12を設けている。回動部材12はリンク7eに押圧され、それによって、回動部材12がレバー11を押圧し、遮断弁10が開放する構成である。回動部材12はリンク7eやレバー11とは独立して図示していない領域に取り付けており、装置の傾きに応じて回動する。そして、装置の傾きが一定以上だと、図5(b)に示すように、回動部材12が回動しリンク7eが回動部材12を押圧することが不可能となり、レバー11を押圧することが不可能になる。その結果遮断弁10が閉鎖状態を保持する。リンク7eが往復運動する方向にも回動部材12は可動であり、リンク7eの押圧力をそのままレバー11に伝達する。また、回動部材12は、装置が水平状態だとリンク7eとレバー11の間に位置するように、重心は下端側にある。
【0069】
【発明の効果】
本発明により、通常の待機中や休止中はもともと弁が閉まっているためインクが溢れることはないが印字中も本発明により、弁が閉鎖されるのでインクが漏れることはない。また、装置を一度移動させるためにインクタンクを外し、移動後装置が傾けた状態でインクタンクを装着させる場合でも、本発明により弁が閉鎖された状態を保つのでインクタンクが空になるまで溢れるという課題が解決することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるインクジェット記録装置におけるインク供給の基本原理を説明するための概略図。
【図2】本発明の一実施形態によるインクジェット記録装置の概略の構成を示す斜視図。
【図3】図1に示すインクジェット記録装置の、1色分についてのインク供給経路を説明するための概略図。
【図4】本発明の回動自在な弁機構を説明するための概略図。
【図5】本発明の別の実施例を説明するための回動自在なレバーの概略図を示す。
【図6】特開2002‐248779におけるインク供給系の概略図。
【図7】従来のチューブ供給方式のインクジェット記録装置におけるインク供給系の概略図。
【符号の説明】
1 記録ヘッド
1a コネクタ挿入口
1b サブタンク部
1c フィルタ
1d 開口部
1e 仕切部
1f 液室
1g 吐出ノズル
1h 弾性部材
1i 圧力調整室
1j 電気基板
2 キャリッジ
2a 接点
3 搬送ローラ
4 メインタンク
4a ケース
4b,4c ゴム栓
5 インク供給ユニット
5a インク供給針
5b 大気導入針
5c 第1液路
5d 第2液路
5e 液路
5f バッファ室
5g 大気連通口
5h 検出回路
6 供給チューブ
7 回復ユニット
7a 吸引キャップ
7b 第1のカム
7c 吸引ポンプ
7d ポンプモータ
7e リンク
7f 第2のカム
7g カム制御モータ
9 インク
10 遮断弁
10a ダイヤフラム
10b ホルダ
10c 押圧ばね
11 レバー
11a,11b レバー
S 記録用シート
Claims (12)
- インクを吐出する吐出ノズルを有する記録ヘッドに、インクタンクに収容されたインクを供給するためのインク供給経路と、該インク供給経路に設けられてその経路を開閉する弁と、前記記録ヘッド内のインクを所定時のみに前記吐出ノズルから吸引可能な吸引手段と、該吸引手段を駆動する駆動手段と、前記弁の開閉動作が前記駆動手段によって行われるインクジェット記録装置において、前記駆動手段によって弁を開閉する部材に装置の傾きに応じて自在に回動する部材を設けていることを特徴とするインクジェット記録装置。
- 前記回動する部材は、前記駆動手段のリンク部材によって押圧されて弁を開閉することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
- 前記回動部材の回動軌跡は、一平面上であり、装置の傾きが該平面に垂直な平面上以外の向きであれば回動することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
- 前記回動部材は装置の傾きに応じてスムーズに回動するよう下側に重心があることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
- 前記回動部材はリンク部材で押圧される面が湾曲している形状であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
- 前記リンク部材は駆動手段により、一定範囲の一定位置を往復運動することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
- 前記リンク部材を押圧する駆動手段として、カムを用いていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
- インクを吐出する吐出ノズルを有する記録ヘッドに、インクタンクに収容されたインクを供給するためのインク供給経路と、該インク供給経路に設けられてその経路を開閉する弁と、前記記録ヘッド内のインクを所定時のみに前記吐出ノズルから吸引可能な吸引手段と、該吸引手段を駆動する駆動手段と、前記弁の開閉動作が前記駆動手段によって行われるインクジェット記録装置において、前記駆動手段と弁を開閉する部材の間に装置の傾きに応じて自在に回動する部材を設けていることを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項8記載の回動する部材は、駆動手段のリンク部材によって押圧され、その駆動を弁の開閉部材に伝達することを特徴とする請求項8記載のインクジェット記録装置。
- 前記回動部材は装置の傾きに応じてスムーズに回動するよう下側に重心があることを特徴とする請求項8記載のインクジェット記録装置。
- 前記リンク部材は駆動手段により、一定位置を往復運動することを特徴とする請求項8記載のインクジェット記録装置。
- 前記リンク部材を押圧する駆動手段として、カムを用いていることを特徴とする請求項8記載のインクジェット記録装置。
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Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060905 |