JP2004357348A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電力変換装置における付帯的機器もユニットとして一体に実装してコンパクトに構成して制御盤筐体を小形にでき、且つ、ユニット全体の保守・点検が容易にでき、ユニット組み込み、交換が迅速にできる電力変換装置を得ることを目的とする。
【解決手段】半導体モジュール34を含む電気機器が配置されるユニット前方部106とヒートシンク36,37と冷却ファン39等が配置されるユニット後方部107とに仕切り、上記ユニット前方部106の前面にコネクタ28及び主回路端子台42,43等を配置し、その後部の側面パネル56に付帯的機器である主回路開閉機器30,31等が取り付ける。延長レール72によって、上記ユニットを筐体外部に引き出した状態で、上記側面パネル56をユニット側面外に移動してユニット中間に保守・点検のための空間を形成する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、電力変換のための半導体モジュールとその付属品とをユニットとして制御盤等の筐体内に収納する電力変換装置に係り、特にその実装構成の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザ加工などの加工電源装置、インバータ装置などの電力変換装置は、交流電源の入力遮断器、ピーク電流の抑制及び他の接続機器に対する電源歪みの悪影響を防止するためのACリアクトル、主回路電磁開閉器、交流電力を直流電力に整流するダイオードモジュール、上記直流電力に含まれる脈動分を平滑するための電解コンデンサ、平滑された直流電力を所望の電圧と周波数の交流電力に変換するためのIGBTなどの半導体モジュール、上記ダイオードモジュール及び半導体モジュールを冷却するためヒートシンク及び冷却ファン、各種制御プリント基板及び入出力接続部などの機器から構成される。
【0003】
上記従来の電力変換装置は、半導体モジュール、放熱フィン、平滑コンデンサを含む主回路ブロック、プリント板ブロック、冷却ファンブロック、端子台ブロック、箱体ブロックなどから構成して、組立,保守点検の手間を軽減し、異なる保護構造が容易に構成できるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−232288号公報(段落[0012]、第1図)
【0005】
また、保守の便宜のためスライドユニットを備えた電子機器装置において、スライド動作に伴うケーブルの折りたたみ処理のために、上記電子機器装置に接続されるケーブル群の略中央部を保持するケーブル支え部を形成したケーブル処理具を該電子機器装置の固定部側に回動自在に備えている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献2】
特許第3340630号公報(段落[0035]、段落[0036]、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
例えば前記特許文献1に記載のものは、機器を平面的に配置しているので装置の幅が大きく、さらにこの電力変換装置の前方には該装置の保守・点検のため他の機器を配置収納できない。さらに、使用上必要となる入力遮断器、ACリアクトル、主回路電磁開閉器を備えていない。これら電力変換装置における付帯的機器は制御盤内の周辺のスペースに収納されることとなる。この結果、インバータなど電力変換装置の本体部分がコンパクトであっても制御盤筐体内にデッドスペースを生じやすく、従って制御盤筐体も大きくなり、機器相互の配線も長くなり配線工数も多く制御盤全体の製造コストが大幅に増大するという問題があった。
【0008】
また、配線接続したままユニットを引き出して筐体前面側からすべての機器を点検・保守できるように構成されていないので、背面に位置する放熱フィンの目詰まり点検等が容易にできず、ユニット組み込み、交換も迅速に行うことができないという問題があった。
【0009】
例えば前記特許文献2に記載のものは、ケーブルが電子機器装置の背面に接続される構造なので、電子機器装置を引き出した状態でケーブル接続作業を行う必要がある。この作業は接続部が目視しづらく、解放状態の前カバーが支障になるなど狭い空間で行うこととなり、ユニット組み込み、交換が容易にできないという問題があった。さらに、ケーブルが複数本の場合はケーブル処理具に入りきらなくなり、構造が複雑化するという問題があった。
【0010】
この発明は、前記のような問題点を解消するためになされたものであり、電力変換装置における付帯的機器もユニットとして一体に実装してコンパクトに構成でき、制御盤筐体を小形にでき制御盤全体の製造コストが低減できる電力変換装置を得ることを目的とする。
【0011】
また、ユニット全体の試験・保守及び点検が容易にでき、ユニット組み込み、交換が迅速にできる電力変換装置を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明による請求項1に係る電力変換装置は、半導体モジュールが取り付けられたヒートシンクと上記ヒートシンクを冷却する冷却ファンとを引出形ユニットとして筐体内にガイドレールを介して着脱自在に収納する電力変換装置において、上記引出形ユニットのユニットケーシングを、左右側板と上記左右側板とを前後で連結する前面板と背面板とから構成すると共に、上記ガイドレールを上記ユニットケーシングの左右側板の最上部に配設し、上記筐体の前面下部に筐体側ケーブルが配線接続されるコネクタ及び主回路接続部を配設し、上記ガイドレールに組み込まれた延長レールによって、上記筐体側のケーブルを接続したまま、上記引出形ユニットを筐体外部に引き出した状態で懸垂保持することを特徴とするものである。
【0013】
この発明による請求項2に係る電力変換装置は、引出形ユニットを、背面板によってユニット前方部とユニット後方部とに仕切り、上記ユニット前方部において、前面板と背面板との間に位置して側板開口部内に機器が取り付けられた側面パネルを配設し、ガイドレールに組み込まれた延長レールによって、上記引出形ユニットを筐体外部に引き出した状態で、上記側面パネルをユニット側面の外側に移動し、上記前面板と背面板との間に空間を形成することを特徴とするものである。
【0014】
この発明による請求項3に係る電力変換装置は、コネクタ及び主回路接続部に引き込み接続される筐体側のケーブルを、ユニット前方部の底面奥部において固定する第1の保持部と、上記第1の保持部より下部前方に位置する筐体部分において固定する第2の保持部とを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
この発明による請求項4に係る電力変換装置は、主回路接続部が端子台で形成されるものにおいて、主回路端子台に引き込み接続されるケーブル端末を、上記主回路端子台相間ピッチに一致するようにクリート部材で固定し、上記クリート部材に端子台部分と係合して誤接続を防止する係合部を形成することを特徴とするものである。
【0016】
この発明による請求項5に係る電力変換装置は、ガイドレールは筐体に固定される固定レールと上記固定レールから前方に引き出される延長レールとを有し、上記延長レールは固定レール前端に固定される第1のスライダーピンと延長レール後端に固定される第2のスライダーピンによって摺動自在に引き出され、上記延長レールは引出形ユニットのレール部に係合して該引出形ユニットの左右を規制すると共に第1のスライダーピンに案内される第1の延長レールと第1のスライダーピンに摺動自在に支持される第2の延長レールが重ね合わされることを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図11を参照してこの発明の実施の形態に係る電力変換装置の構成を説明する。図1は制御盤内に収納した電力変換装置の縦断面図、図2は図1において電力変換装置を引き出した状態の縦断面図、図3は電力変換装置の上面図、図4は電力変換装置の正面図、図5は電力変換装置の側面パネル部分の正面図、図6は電力変換装置のユニット後方部の正面図と電力変換装置を引き出した後の制御盤の要部正面図、図7は主回路接続部である主回路端子台の正面図、図8は主回路接続部である主回路端子台の側面図、図9はガイドレールの側面図、図10は図9のA−A線断面図、図11は図9のB−B線断面図である。
【0018】
図において、1は制御盤100の底板である。底板1の前後にはビーム2が配設されており、キャスター3が取り付けられている。4は制御盤100の中段に配設された水平仕切板である。5は前面に配設された扉、6は背面に配設された裏板である。7は扉5と裏板6との間に配設された垂直仕切板で、底板1と水平仕切板4との間の空間内は、垂直仕切板7によって前後に分割され、前方に防塵区画101が形成されると共に後方に換気区画102が形成されている。また、水平仕切板4の上部には他の区画104が形成され、他の扉等で閉塞されている。
【0019】
裏板6の上部にはスリット孔から成る上排気口6Aが穿設されている。換気区画102内に位置する底板1にはスリット孔から成る下側の排気口1Aが穿設されている。また、裏板6の中間部には上排気口6Aより大きいスリット孔から成る吸気口6Bが穿設されている。
【0020】
図6に示す9は中間側壁であり、扉5と裏板6はそれぞれ右の中間側壁9と左の中間側壁(図示せず)の前後面に密着され、垂直仕切板7の左右端は中間側壁9の側壁面9Aに密着固定されている。また、扉5には内気ファン21、伝熱板22及び外気ファン23を有し、防塵区画101内を間接空冷するための熱交換器108が取付られている。以上のように形成された防塵区画101及び換気区画102は、必要に応じて制御盤100内に横並びに複数個形成される。
【0021】
次に電力変換装置105の構成について説明する。引出形ユニットである電力変換装置105のユニットケーシングは左側板51と右側板52及び左右側板51,52を後方と前方において連結する背面板53と前面板54とから成る。また、左右側板51,52の中央部にはそれぞれ開口51B、52Bが設けられている。そして背面板53の前側に位置するユニット前方部106と裏側に位置するユニット後方部107とから構成され、ユニット前方部106は防塵区画101内に収納配置されユニット後方部107は換気区画102内に収納配置される。
【0022】
ユニット前方部106に収納される部品として、24は交流電源の入力遮断器、25は制御回路のための保護遮断器、26は制御基板であり、前面板54の前側に取り付けられている。前面板54の裏側にも制御基板27などが取り付けられている。制御基板26の前側には補助板55を介して表示基板29が取り付けられている。28は制御基板26の下方部分に実装された制御回路用のコネクタである。42,43は主回路接続部を形成する主回路端子台で端子取付金具61に固定されている。
【0023】
30,31はそれぞれ主回路電磁開閉器で側面パネル56に取り付けられている。側面パネル56は右側板52の開口52Bの中に位置しており、上下に折り曲げ形成された横リブ52C、52Dにピン67(図5)を介して回動自在にねじ止め固定されている。32は交流電力を直流電力に整流するダイオードモジュールである。33は上記直流電力に含まれる脈動分を平滑するための電解コンデンサで、2個が横並びに配設されている。34は平滑された直流電力を所望の電圧と周波数の交流電力に変換するためのIGBTなどの半導体モジュールである。35は半導体モジュール34のためのゲート制御基板である。
【0024】
ユニット後方部107に収納される部品として、36は上ヒートシンク、37は下ヒートシンクである。上ヒートシンク36は、そのベースプレート36Aで背面板53に穿設された角穴53Aを塞ぐように固定され、放熱フィン36Bは換気区画102内に配置されている。下ヒートシンク37も同様に角穴53Cを塞ぐように固定されている。ヒートシンク36,37にダイオードモジュール32、半導体モジュール34が固定されている。
【0025】
上下ヒートシンク36,37の間に配置された電解コンデンサ33はその端子部が防塵区画101内に配置されると共に本体部が背面板53に穿設された丸穴53Bを貫通して換気区画102内に配置されている。丸穴53Bは押さえ板59で圧縮された弾性体60で塞がれると共に電解コンデンサ33本体部も弾性体60によって保持されている。そして、導体40によって並列接続されると共に導体41によってダイオードモジュール32及び半導体モジュール34と接続固定されている。
【0026】
下ヒートシンク37の下方に巻き線と鉄心とを備えた機器38が配設されている。機器38はACリアクトルや高周波変圧器として使用される。機器38の取付部材38Cは背面板53の角穴53Dを塞ぐように固定され、巻き線38Aと鉄心38Bは換気区画102内に配置されている。また、取付部材38Cの前面側には防塵区画101内に位置して端子台38Dが取り付けられている。
【0027】
57は上下のヒートシンク36,37及び電解コンデンサ33の本体後方部を覆うフィンカバーである。フィンカバー57はコ字形の水平断面を有し、左右の側板51,52にねじ止め固定され、その背面に冷却ファン39が取付られている。冷却ファン39は1個ないし2個が電解コンデンサ33のほぼ中心に配置されている。また、フィンカバー57の上端には後方に向かって斜め上方に延びる気流案内板57Bが形成されている。
【0028】
以上のように構成された電力変換装置105は、入力遮断器24、保護遮断器25、主回路電磁開閉器30,31、ACリアクトル等の機器38などの付帯的機器も含めて各機器が左右側板51,52内の縦長の空間に奥行き方向に重ねて引出形ユニットとして一体に実装されている。
【0029】
次にガイドレール機構109の構成について説明する。図9〜11において、70は水平仕切板7の下面に固定された支持フレームで、固定レール71が固着されている。支持フレーム70と固定レール71にはそれぞれ同心の長いスロット70Aと71Aが形成されている。また、固定レール71の突起71Bはユニット後方押さえである。72は延長レールで、第1の延長レール73と第2の延長レール74とが重ね合わせられ一体に固着されている。第1の延長レール73と第2の延長レール74にはそれぞれ同心の長いスロット73Aと74Aが形成されている。
【0030】
支持フレーム70及び固定レール71の前端には第1のスライダーピン75がリベット77で固定されている。第1のスライダーピン75は小径部75Aと大径部75Bとリベット77を受け入れる凹部75Cを有する。第1の延長レール73の後端には第2のスライダーピン76がリベット77で固定されている。リベット77の頭部を受け入れるために、第2の延長レール74には穴74Bが設けられている。第2のスライダーピン76は小径部76Aと大径部76Bとリベット77を受け入れる凹部76Cを有する。幅の広いスロット70Aの中に第2のスライダーピン76の大径部76Bが収まり、幅の狭いスロット71Aの中に小径部76Aが収まり摺動自在に支持される。さらに、幅の狭いスロット73Aの中に第1のスライダーピン75の小径部75Aが収まり、幅の広いスロット74Aの中に大径部75Bが収まり摺動自在に支持される。
【0031】
ガイドレール機構109は左右側板51,52の最上部に配設され、防塵区画101から垂直仕切板7の開口7Bを通り換気区画102内に延びている。14はガイドレール機構109の後方部を換気区画102から仕切るためのレールカバーである。以上のように、延長レール72は固定レール70前端に固定される第1のスライダーピン75と延長レール72後端に固定される第2のスライダーピン76によって摺動自在に水平に引き出しできる。
【0032】
電力変換装置105の側板51,52の上端にはそれぞれユニット側のレールとなるウィング51A,52Aが形成され、収納状態では第1の延長レール73を跨ぐウィング51A,52Aの下端が固定レール71の上端に乗り懸垂保持されるが、引出状態では延長レール73のガイド部73Bにウィング51A,52Aが引っ掛けられて懸垂保持される。側板51,52を上端前方で連結する横枠65はガイドレール機構109とのロック機構110の組み付けや取っ手として使用される。電力変換装置105のユニット後方部107は垂直仕切板7に穿設された開口7Aを貫通して換気区画102内に位置する。開口7Aの周りに当接するようにパッキン58が配設され換気区画102との密閉性が向上されている。
【0033】
筐体側の制御ケーブル44と主回路ケーブル45は、それぞれ図4に示されるように前面下部に配設されたコネクタ28と主回路端子台42、43とに接続される。制御ケーブル44と主回路ケーブル45はほぼ平行線状態を保って奥の方に曲げられ、左右側板51,52の下端の奥に横通しされたサポート62において第1の保持部63で固定されている。次に第1の保持部63より下部前方に位置する筐体部分(この実施例では底板1)において第2の保持部64で固定されている。その先は底板1の下面に配設された配線ダクト15内に入り、横方向に渡り配線されている。なお、配線ダクト15の上には適宜に蓋16を備えた布線作業の開口が設けられている。
【0034】
主回路ケーブル45の端末は、主回路端子台42,43の相間ピッチに一致するように上クリート46と下クリート47との間に挟まれ固定されている。上クリート46はフック46A等の手段で下クリート47と結合される。また、下クリート47には係合突起47Aが形成され、端子取付金具61に形成された係合脚61Aの係合穴61B内に挿入できる。
【0035】
縦長に構成された電力変換装置105は、左右の中間側壁9、9の間に通常2台から3台を横並びに近接して収納することができる。図中の一点鎖線90は横並び配置された電力変換装置105の境界線を示している。即ち、防塵区画101及び換気区画102は複数台の電力変換装置105に共通に形成されている。
【0036】
次に動作について説明する。図1の最終収納位置における電力変換装置105は、図2に示されるように、ケーブル44,45の結線を外すことなく、全体を制御盤100の筐体の外部に引き出して懸垂保持できる。左側板51及び右側板52の中央部にはそれぞれ開口51B、52Bが設けられ大部分が解放されている。この状態でユニット前方部106の機器は全て目視できる。従って、通電状態での試験・動作確認や点検が容易にできる。また、複数台の電力変換装置105はネットワーク制御のため相互に接続される。各ケーブル44,45は正面から選択的に容易に着脱できるから、ネットワーク試験やユニット単独試験を簡単に実施できる。
【0037】
側面パネル56はピン67を中心として回動でき、側面パネル56に取り付けられた主回路電磁開閉器30,31等は、図5で示すように右側板52の外側に配線したまま移動できる。この状態で、背面板53と前面板54との間に空間が形成される。上記空間は左側板51と右側板52との間の全領域に形成され、背面板53の前面側と前面板54の背面側に取り付けられた機器のネジ増し締めなど保守が容易にできる。
【0038】
冷却ファン39も筐体外部に露出しているので、点検及び交換が容易にできる。また、ヒートシンク36,37も露出しているので、その放熱フィンが過度の塵埃によって目詰まりしてないかどうか容易に目視点検ができる。さらに、フィンカバー57は両側面から固定ネジを緩め冷却ファン39を付けたまま取り外すことができる。従って、ヒートシンク36,37の清掃も可能である。
【0039】
図2の最終引出位置にある電力変換装置105を押し込むにつれて、制御ケーブル44と主回路ケーブル45は、第1の保持部63と第2の保持部64との間のみでたわみ、上記各ケーブルは平行線状態を保ったまま第2の保持部64を中心として反転し図1の状態に戻される。即ち、電力変換装置105の引出・挿入に伴って各ケーブルは絡まったり、布線状態が変わったりすることが無く、整然とした配線が維持される。また、正面から引出・挿入に伴うケーブル移動状態が目視確認できるので信頼性が向上される。
【0040】
図7,図8に示されるように、主回路ケーブル45端末の丸圧着端子45A部分は上下のクリート46,47で固定されている。この主回路ケーブル45は左右上下方向及び組み合わされる端子台が正規であるときのみ係合突起部47Aが係合穴61B内に挿入でき、端子台42,43とネジ締め接続できる。主回路端子台42,43にネジアップ式端子台を使用すると、係合穴61Bへの係合突起47Aの挿入に伴ってバネで押し上げられた端子ネジ43Aと端子バー43Bとの間に丸圧着端子45Aが一括して円滑に挿入できる。以上のように、丸圧着端子45Aを有した複数本の主回路ケーブル45は、誤配線することなく接続作業が迅速にできる。なお、図7,図8にて示した例では主回路接続部を端子台としたが、コネクタにて形成してもよく、この場合は上記クリートの代わりにコネクタハウジングにて主回路ケーブル端末は固定され、且つコネクタの雄雌の形状及び方向が一致したときのみ挿入できるので上記端子台と同じ効果が得られる。
【0041】
図4に示されるように、ユニット内の各機器と接続される制御基板26の各種コネクタは表示基板28と前面補助板55で覆われ、下部に実装された制御回路コネクタ28のみが見える。従って、制御ケーブル44の着脱作業において相手コネクタを容易に判別できる。また、制御ケーブル44と主回路ケーブル45とを、電力変換装置105から外す必要があるときは、第1の保持部63を解除する必要はなく、サポート62ごと一括して外せばよい。
【0042】
延長レール72の第1の延長レール73はガイド部73Bを曲げ形成するため比較的薄い板厚で構成され、第2の延長レール74はそれより厚い板厚で構成されている。第1の延長レール73が第1のスライダーピン75によって案内され、延長レール72は脱落が阻止されており、第2の延長レール74が第1のスライダーピン75の大径部75Cによって荷重を支えられて延長レール72は摺動される。図2の最終引出位置にある電力変換装置105の荷重は大径部75Cに最も加わるが、大径部75Cと厚い板厚の第2の延長レール74とは幅広く線接触しているので摩擦が少なく円滑な挿入及び引出摺動ができる。また、第1のスライダーピン75は第2の延長レール74より突出しないので横枠65の固定ネジ66頭部などとの干渉が防止できる。即ち、所要幅寸法の小さいガイドレールに構成できる。
【0043】
第1の延長レール73のガイド部73Bは、ユニット側レールであるウィング51A,52Aの内側に係合して引出形ユニットである電力変換装置105は左右を規制され懸垂保持状態での揺れが防止される。
【0044】
冷却ファン39の運転により、矢印91で示す外気吸気流は吸気口6Bからフィンカバー57内に押し込まれ、上側の外気気流92と下側の外気気流93に分流する。上側の外気気流92は上ヒートシンク36の放熱フィン36B内を貫流してフィンカバー57上端部分から後方にほぼ直角に偏向され上排気口6Aを通って矢印92Aで示す上側の排気気流として制御盤外に排気される。この際、上側の外気気流92は気流案内板57Bによって流路が絞られるので、高速で排気され吸気側への気流短絡が防止される。
【0045】
下側の外気気流93は、下ヒートシンク37の放熱フィン内を貫流して下端部から押し出される。次に巻き線と鉄心とを備えた機器38を冷却して底板1のスリット孔1Aから矢印93Aで示す下側の排気気流として制御盤外に排気される。以上により、上下ヒートシンク36,37に取り付けられたダイオードモジュール32、半導体モジュール34は良好に冷却され、電解コンデンサ33、巻き線と鉄心とを備えた機器38も外気による強制冷却される。
【0046】
内気ファン21の運転により防塵区画101内の高温空気(内気)は伝熱板22の上部からに送り込まれ、矢印94で示されるように防塵区画101の下部に戻される。他方、外気ファン23の運転により外気は伝熱板22の下部から送り込まれ、矢印95で示されるように制御盤外に排気される。以上の伝熱板22内の熱交換作用により防塵区画101内は間接的に冷却され、ユニット前方部106内の各電気機器は良好に冷却される。
【0047】
【発明の効果】
この発明に係る電力変換装置は、上記引出形ユニットのユニットケーシングを左右側板と上記左右側板を前後で連結する前面板と背面板とから構成し、上記左右側板の最上部に配設されたガイドレールに組み込まれた延長レールによって、筐体側のケーブルを接続したまま、引出形ユニット全体を筐体外部に引き出して懸垂保持できるので、付帯的機器も含めて各機器を縦長の空間に奥行き方向に重ねて一体に実装でき、機器相互の配線も容易にでき、制御盤筐体を小形にできる。また、付帯的機器も含めて各機器の試験及び点検が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る制御盤内に収納した電力変換装置の縦断面図である。
【図2】図1において電力変換装置を最大引出位置まで引き出した縦断面図である。
【図3】この発明の実施の形態に係る制御盤内に収納した電力変換装置の上面図である。
【図4】この発明の実施の形態に係る制御盤内に収納した電力変換装置の正面図である。
【図5】この発明の実施の形態に係る制御盤内に収納した電力変換装置の側面パネル部分の正面図である。
【図6】この発明の実施の形態に係る制御盤内に収納した電力変換装置のユニット後方部の正面図と電力変換装置を引き出した後の制御盤の要部正面図である。
【図7】この発明の実施の形態に係る制御盤内に収納した電力変換装置の主回路接続部である主回路端子台の正面図である。
【図8】図7の主回路接続部である主回路端子台の側面図である。
【図9】この発明の実施の形態に係る制御盤内に収納した電力変換装置のはガイドレールの側面図である。
【図10】図9のA−A線断面図である。
【図11】図9のB−B線断面図である。
【符号の説明】
1 底板、4 水平仕切板、5 扉、6 裏板、6A 上排気口、6B 吸気口、7 垂直仕切板、28 コネクタ、30,31 主回路電磁開閉器、32 ダイオードモジュール、34 半導体モジュール、36 上ヒートシンク、37 下ヒートシンク、38 巻き線と鉄心とを備えた機器、39 冷却ファン、42,43 主回路端子台、44 制御ケーブル、45 主回路ケーブル、46 上クリート、47 下クリート、51 左側板、52 右側板、53 背面板、54 前面板、56 側面パネル、63 第1の保持部、64 第2の保持部、71固定レール、72 延長レール、73 第1の延長レール、74 第2の延長レール、75 第1のスライダーピン、76台2のスライダーピン、100 制御盤、101 防塵区画、102 換気区画、105 電力変換装置、106 ユニット前方部、107 ユニット後方部、109ガイドレール機構。

Claims (5)

  1. 半導体モジュールが取り付けられたヒートシンクと上記ヒートシンクを冷却する冷却ファンとを引出形ユニットとして筐体内にガイドレールを介して着脱自在に収納する電力変換装置において、
    上記引出形ユニットのユニットケーシングを、左右側板と上記左右側板とを前後で連結する前面板と背面板とから構成すると共に、上記ガイドレールを上記ユニットケーシングの左右側板の最上部に配設し、上記筐体の前面下部に筐体側ケーブルが配線接続されるコネクタ及び主回路接続部を配設し、上記ガイドレールに組み込まれた延長レールによって、上記筐体側のケーブルを接続したまま、上記引出形ユニットを筐体外部に引き出した状態で懸垂保持することを特徴とする電力変換装置。
  2. 引出形ユニットを、背面板によってユニット前方部とユニット後方部とに仕切り、上記ユニット前方部において、前面板と背面板との間に位置して側板開口部内に機器が取り付けられた側面パネルを配設し、ガイドレールに組み込まれた延長レールによって、上記引出形ユニットを筐体外部に引き出した状態で、上記側面パネルをユニット側面の外側に移動し、上記前面板と背面板との間に空間を形成することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
  3. コネクタ及び主回路接続部に引き込み接続される筐体側のケーブルを、ユニット前方部の底面奥部において固定する第1の保持部と、上記第1の保持部より下部前方に位置する筐体部分において固定する第2の保持部とを備えたことを特徴とする請求項1、2いずれかに記載の電力変換装置。
  4. 主回路接続部が端子台で形成されるものにおいて、主回路端子台に引き込み接続されるケーブル端末を、上記主回路端子台相間ピッチに一致するようにクリート部材で固定し、上記クリート部材に端子台部分と係合して誤接続を防止する係合部を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電力変換装置。
  5. ガイドレールは筐体に固定される固定レールと上記固定レールから前方に引き出される延長レールとを有し、上記延長レールは固定レール前端に固定される第1のスライダーピンと延長レール後端に固定される第2のスライダーピンによって摺動自在に引き出され、上記延長レールは引出形ユニットのレール部に係合して該引出形ユニットの左右を規制すると共に第1のスライダーピンに案内される第1の延長レールと第1のスライダーピンに摺動自在に支持される第2の延長レールが重ね合わされることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電力変換装置。
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