JP2004356046A - Nb3Al化合物系超電導線材及びその製造方法、製造装置 - Google Patents

Nb3Al化合物系超電導線材及びその製造方法、製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】急熱急冷変態法により超電導線を製造する場合において、大径化した超電導線を安定して連続的に供給することができる製造装置を提供する。
【解決手段】急熱急冷装置20において、上流側から下流側にかけて、マルチ線材12を送り出す送出しリール21、通電用の通電キャプスタン22、マルチ線材12を急速加熱するための直流電源、マルチ線材12を急冷するための冷却漕内に入れられた冷却用金属材23、冷却漕内に設けられたリール24、マルチ線材12を巻き取る巻取りリール25をそれぞれ配置し、リール24の半径をマルチ線材12の線径あるいは線厚さの40倍以上となるように形成した。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、NbAl化合物系超電導線材及びその製造方法、製造装置に関し、更に詳しくは、大きな断面積を有し、かつ超電導特性に優れたNbAl化合物系超電導線材及びその線材を製造するための製造方法、製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
NbAl化合物系超電導線は、NbSn、NbTiのような一般的な超電導線と比べ、高磁界における臨界電流密度特性に優れていることから、たとえば、物性研究用NMRマグネット、高エネルギー粒子加速器、核融合炉用マグネット等の超電導材料として実用化が期待されている。
【0003】
従来、NbAl化合物系超電導線の製造方法として、たとえば、NbとAlを所定の組成比率で複合し、相互の拡散距離を数十nm程度まで短くした状態で600〜1050℃の温度に加熱し、これにより固相拡散を起こさせてNbAl化合物を生成させる拡散法と呼ばれる製造方法が知られている。しかし、この製造方法によると、1500℃以上の高温においてのみ安定するNbAl化合物にとっては、温度不足下での固相拡散となり、このため、化学量論組成からのずれが発生するようになる。このため、高い臨界電流密度を得ることが難しく、たとえば、要求特性を20T以上の高磁界で満たす必要があるNMRマグネット等に対し、拡散法をもって対処することは極めて困難であった。
【0004】
NbAl化合物系超電導線を得るための他の製造方法として、NbとAlを所定の組成比率で複合し、これを1500℃以上の温度に急加熱して直ちに急冷し、これによりNb−Al過飽和固溶体を生成させ、その後、これを再加熱することにより、NbAl化合物を析出させる急熱急冷変態法と呼ばれる製造方法が知られている。この製造方法は、加熱温度が高いために化学量論組成からのずれによる臨界電流密度の低下がなく、高い臨界電流密度を有する超電導線の製造が可能であることから、NMRマグネット等の要求に対処可能な製造方法として有望視されている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特公平7−60620号公報
【0006】
通常、この急熱急冷変態法による超電導線の製造は、以下の手順によって行われる。まず、NbとA1のシートを準備して積層巻きした後、これをNbパイプで被覆し、シングル線材を作製する。次に、得られたシングル線の複数本を再度Nbパイプで被覆し、これに伸線加工等を施すことによってNbとAlのマルチ複合線材とし、その後、これを連続通電加熱によって1500℃以上の高温に加熱し、直ちに急冷する。この急加熱、急冷によりNb、Al積層部にNb−Al過飽和固溶体を生成させた後、さらに、600〜1050℃の温度で再度加熱し、これによりNbAlを析出させ、超電導線とするものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
様々な用途に対応する超電導線を提供するためには、大電流容量化が必要不可欠であり、その一つの方法として線材の大径化がある。しかしながら、1500℃以上の温度に通電加熱して直ちに急冷する急熱急冷処理においては、加熱スタート時に必ず脆いA15相の生成した部分ができてしまうため、線径あるいは線厚さが1.3mm以上の大径化した線材の場合、線材が折れてしまうときがあり、安定して連続した急熱急冷処理が行えないという問題があった。
【0008】
従って、本発明の目的は、急熱急冷変態法により超電導線を製造する場合において、大径化した超電導線を安定して連続的に供給することができる製造方法及び製造装置を提供することにより、臨界電流密度特性に優れ、かつ安定した特性を示す大径化NbAl化合物系超電導線を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のNbAl化合物系超電導線材は、線径あるいは線厚が1.3mm以上であり、かつ90A/mm以上の臨界電流密度特性を有することを特徴とする。
【0010】
前記線材は、NbあるいはNb合金とAlあるいはAl合金とを交互に積層した積層体を内部に含み、その積層体の一部若しくは全部にNbAl化合物相を析出させたNbAl化合物系超電導線材とすることができる。
【0011】
また、本発明のNbAl化合物系超電導線材は、中心材の周りにNbとAlとを交互に形成した積層体をNbで被覆したシングル線材を複数束ね、全体をNbにより被覆したマルチ線材内の前記積層体の一部若しくは全部にNbAl化合物相を析出させたNbAl化合物系超電導線材であって、前記マルチ線材の線径あるいは線厚が1.3mm以上であり、かつ90A/mm以上の臨界電流密度特性を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のNbAl化合物系超電導線材の製造方法は、NbとAlとを所定の組成で複合した超電導線材を上流側から下流側へ送り出しつつ、上流側において1500℃以上の温度に急加熱し、下流側において急冷してNb−Al過飽和固溶体を生成した後、下流側で巻き取り、更に再加熱してNbAl化合物を析出させる急熱急冷変態法によるNbAl化合物系超電導線材の製造方法において、前記急冷後に超電導線材を巻き取る際の線材の曲げ半径を線径もしくは線厚の40倍以上としたことを特徴とする。
【0013】
前記超電導線材を巻き取るための張力T(kgf)は、前記超電導線材の断面積をA(mm)としたとき、T≧0.69×Aとすることが好ましい。
【0014】
更に、本発明のNbAl化合物系超電導線材の製造装置は、上流側から下流側にかけて、NbとAlとを所定の組成で複合した超電導線材を送り出す送出しリール、前記超電導線材を急速加熱する加熱手段、前記超電導線材を急冷する冷却漕内に設けられたリール、前記超電導線材を巻き取る巻取りリールを有し、前記冷却漕内に設けられたリールの半径が前記超電導線材の線径あるいは線厚さの40倍以上となるように形成されていることを特徴とする。
【0015】
前記巻取りリールの半径も、前記超電導線材の線径あるいは線厚さの40倍以上となるように形成されていることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係るNbAl化合物系超電導線材の製造方法について説明する。
【0017】
図1は本実施形態における各製造過程での線材の形状を示したものである。
【0018】
図1(a)は、複合素線7の断面構造を示したものである。この複合素線7は、Nbシート2とAlシート3を積層し、これを中心材4に隙間なく巻き付けることによって構成したジェリーロール形式の積層体1上に、Nbマトリックスを形成するためのNb被覆5を形成し、さらにNb被覆5の上にCu被覆6を形成して作製される。
【0019】
図1(b)は、シングル線材8を示したものである。このシングル線材8は、複合素線7を静水圧押し出しおよびダイス伸線により断面六角形に減面加工し、その後、Cu被覆6を除去することによって作製できる。このシングル線材8は、六角形による密接集合が可能な構造となっている。
【0020】
図1(c)は、複合線材11を示したものである。この複合線材11は、外部マトリックスとなるべきNb管9とCu−Ni合金管10を、静水圧押出によりシングル線材8の集合束の上に形成することによって得ることができる。この複合線材11は、ダイス伸線によって所定の寸法に減面加工された後、最外周のCu−Ni合金管10が除去され、所定寸法のマルチ線材とされる。
【0021】
図1(d)は、以上の工程により得られたマルチ線材12を示したものである。図中9’は、マルチ線材12の外層部を構成する外部マトリックスを示す。マルチ線材12は図のように丸線、平角線のどちらでも良い。
【0022】
このマルチ線12を所定の温度に急加熱し、これを液体Ga中に浸漬して急冷し、シングル線材8の積層体1の部分にNb−Al過飽和固溶体を生成させた後、所定の温度で再加熱することによってNbAl化合物相を析出させたNbAl化合物系超電導線が製造される。最初の加熱の手段としてはマルチ線材12に直接電流を流す通電加熱方式が採用される。
【0023】
図2は、以上の超電導線の製造プロセスをフローチャートにまとめたもので、図中(a)〜(b)は、それぞれ図1の(a)〜(d)に対応するものである。
【0024】
図3は、Nb−Al過飽和固溶体を生成させるための急熱急冷装置20の概略図である。この急熱急冷装置20においては、上流側から下流側にかけて、マルチ線材12を送り出す送出しリール21、通電用の通電キャプスタン22、マルチ線材12を急速加熱するための直流電源、マルチ線材12を急冷するための冷却漕内に入れられた冷却用金属材23、冷却漕内に設けられたリール24、マルチ線材12を巻き取る巻取りリール25がそれぞれ配置されている。ここで、リール24及び巻取りリール25の半径はマルチ線材12の線径あるいは線厚さの40倍以上となるように形成されている。
【0025】
このような急熱急冷装置20において、線材にNb−Al過飽和固溶体を生成させるためには、まず、マルチ線材12を送出しリール21に巻き付け、一端を送出しリール21から通電キャプスタン22、リール24を介して巻取りリール25に巻き付ける。次いで、巻取りリール25を所定の速度で回転させてマルチ線材12を巻き取る。すると、送出しリール21より送り出されたマルチ線材12は、通電キャプスタン22と冷却用金属材23の間で直流電源により連続的に通電加熱された後、冷却用金属材23で急冷され、巻取りリール25で巻き取られる。この時、マルチ線材12はリール24および巻取りリール25の円弧に沿って曲げを受ける。
【0026】
ここで、リール24および巻取りリール25の半径をマルチ線材12の線径あるいは線厚さの40倍以上としているので、断面積の大きなマルチ線材12においても通電加熱スタート時の脆いA15相の生成した部分が折れずに巻き取ることができるようになるため、かかる線材の急加熱急冷処理が可能となり、作製した線材の臨界電流密度特性も高くなる。一方、リール24および巻取りリール25の半径をマルチ線材12の線径あるいは線厚さの40倍未満とすると、加熱スタート時の脆いA15相が巻き取られずに折れて断線し、その後の急加熱急冷処理を行うことができなくなる。
【0027】
また、急加熱急冷処理後の上記マルチ線材12を巻き取るための張力T(kgf)は、マルチ線材の断面積をA(mm)とすると、T≧0.69×Aであることが好ましい。これは、急加熱急冷処理後の線材の張力を線材断面積の0.69倍以上としてかかる処理を行った場合は、線材が安定して通線されるため優れた臨界電流密度特性を示し、処理の前後端での特性のばらつきもないが、一方、張力を線材断面積の0.69倍未満として急加熱急冷処理を行った場合は、線材の剛性を押さえることができず、通線が安定しないため、線材の長手方向に特性のばらつきが起こり、優れた特性を示す線材が作製できなくなるためである。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
最初に、各実施例および比較例に使用されるマルチ線材12を以下のように作製した。まず、外径5mmのNbの中心材4と、厚さが80μmの純Nbシート2と、厚さが25μmの純Alシート3を用いて、図1に示すようなシングル線材8を製造し、次いで、85本のシングル線材8をNb管9に挿入後、これを更にCu−Ni管10に入れて静水圧押出し、伸線加工を施して所定寸法のマルチ線材12を作製した。
【0029】
【実施例1】
線径1.35mm、10m長のマルチ線材12を作製し、これを半径54mm(線径の40倍)のリール24と半径100mm(線径の74倍)の巻取りリール25を取り付けた急熱急冷装置20により、巻き取り張力1.0kgf(線材断面積の0.69倍)で巻き取りながら1500℃以上で加熱後、急冷処理して過飽和固溶体を生成させた。
【0030】
【実施例2】
線厚さ1.35mm、幅2.00mm、10m長のマルチ線材12を作製し、これを半径54mm(線厚さの40倍)のリール24と半径100mm(線厚さの74倍)の巻取りリール25を取り付けた急熱急冷装置20により、巻き取り張力1.9kgf(線材断面積の0.70倍)で巻き取りながら1500℃以上で加熱後、急冷処理して過飽和固溶体を生成させた。
【0031】
【実施例3】
線径1.35mm、10m長のマルチ線材12を作製し、これを半径60mm(線径の44倍)のリール24と半径100mm(線径の74倍)の巻取りリール25を取り付けた急熱急冷装置20により、巻き取り張力1.0kgf(線材断面積の0.69倍)で巻き取りながら1500℃以上で加熱後、急冷処理して過飽和固溶体を生成させた。
【0032】
【実施例4】
線径1.35mm、10m長のマルチ線材12を作製し、これを半径54mm(線径の40倍)のリール24と半径100mm(線径の74倍)の巻取りリール25を取り付けた急熱急冷装置20により、巻き取り張力1.5kgf(線材断面積の1.04倍)で巻き取りながら1500℃以上で加熱後、急冷処理して過飽和固溶体を生成させた。
【0033】
【実施例5】
線径1.35mm、10m長のマルチ線材12を作製し、これを半径54mm(線径の40倍)のリール24と半径100mm(線径の74倍)の巻取りリール25を取り付けた急熱急冷装置20により、巻き取り張力2.0kgf(線材断面積の1.38倍)で巻き取りながら1500℃以上で加熱後、急冷処理して過飽和固溶体を生成させた。
【0034】
【実施例6】
線径1.50mm、10m長のマルチ線材12を作製し、これを半径60mm(線径の40倍)のリール24と半径100mm(線径の67倍)の巻取りリール25を取り付けた急熱急冷装置20により、巻き取り張力1.25kgf(線材断面積の0.70倍)で巻き取りながら1500℃以上で加熱後、急冷処理して過飽和固溶体を生成させた。
【0035】
【比較例1】
線径1.35mm、10m長のマルチ線材12を作製し、これを半径50mm(線径の37倍)のリール24と半径100mm(線径の74倍)の巻取りリール25を取り付けた急熱急冷装置20により、巻き取り張力1.0kgf(線材断面積の0.69倍)で巻き取りながら1500℃以上で加熱後、急冷処理して過飽和固溶体を生成させた。
【0036】
【比較例2】
線厚さ1.35mm、幅2.00mm、10m長のマルチ線材12を作製し、これを半径50mm(線径の37倍)のリール24と半径100mm(線径の74倍)の巻き取りリール25を取り付けた急熱急冷装置20により、巻取り張力1.9kgf(線材断面積の0.70倍)で巻き取りながら1500℃以上で加熱後、急冷処理して過飽和固溶体を生成させた。
【0037】
【比較例3】
線径1.35mm、10m長のマルチ線材12を作製し、これを半径54mm(線径の40倍)のリール24と半径100mm(線径の74倍)の巻取りリール25を取り付けた急熱急冷装置20により、巻き取り張力0.8kgf(線材断面積の0.56倍)で巻き取りながら1500℃以上で加熱後、急冷処理して過飽和固溶体を生成させた。
【0038】
【表1】
Figure 2004356046
【0039】
表1は実施例1〜6および比較例1〜3における線材作製の要点と急加熱急冷処理の可不可および、生成した過飽和固溶体の前後端をサンプリングし、所定の温度で再加熱処理を施してNbAl相を析出させたマルチ線材の臨界電流特性を示したものである。ここで、再加熱処理は、800℃×10時間の条件で行った。
【0040】
表1によれば、リール24による曲げ半径を線径の40倍とし、かつ加熱冷却後のマルチ線材の巻き取り張力を線材断面積の0.69倍以上とした実施例1〜6はいずれも急加熱急冷処理が可能である、つまり加熱スタート時の脆いA15相を含んだ線材が折れずに巻き取られていることがわかる。それに対し、リール24による曲げ半径を線径の40倍未満にした比較例1および2は、加熱スタート時の脆いA15相を含んだ部分がリール24の曲げによって断線し、その後の急加熱急冷処理が行えなかった。このことから、急加熱急冷処理後の線材の曲げ半径が線径の40倍以上となるようなリールを用いなければならないことが判明した。
【0041】
また、急加熱急冷後の巻き取り張力を線材断面積の0.69倍より小さい0.8kgfとして過飽和固溶体を生成させた比較例3では、急加熱急冷処理は行えたが、製造した10mの線材の前後端における臨界電流密度特性は張力を線材断面積の0.69倍以上とした実施例1〜6の線材の特性よりも低い結果となった。また、製造した10mの前後端の臨界電流密度特性のばらつきにおいても、実施例1〜6は前後端で安定した特性を示すのに対し、比較例3では10%以上のばらつきがあった。この結果から、安定した高い特性を有する線材を製造するためには、急加熱急冷処理後の線材を線材断面積の0.69倍以上の張力で巻き取る必要があることが判明した。
【0042】
なお、上記実施例では、巻取リール25の半径を100mmとして行ったが、巻取りリール25においても、線径の40倍以上の半径であればよい。また、上記実施例では、急加熱急冷処理後のリールはリール24および巻取りリール25の2つとなっているが、その間にガイドとなるリールや張力をコントロールするためのリールを設置することも可能である。
【0043】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係るNbAl化合物系超電導線材の製造方法によれば、急冷後に超電導線材を巻き取る際の線材の曲げ半径を線径もしくは線厚の40倍以上としているので、断面積の大きな線材においても通電加熱スタート時の脆いA15相の生成した部分が折れずに、かかる線材の急加熱急冷処理が可能となる。
【0044】
また、急加熱急冷処理後の線材の張力を線材断面積の0.69倍以上とすることにより、線材が安定して通線されるため得られたNbAl化合物系超電導線材は優れた臨界電流密度特性を示し、処理の前後端での特性のばらつきも少ないものとなる。
【0045】
更に、本発明に係るNbAl化合物系超電導線材の製造装置は、超電導線材を巻き取るリールの半径を超電導線材の線径あるいは線厚さの40倍以上としているので、断面積の大きな線材においても通電加熱スタート時の脆いA15相の生成した部分が折れずに、かかる線材の急加熱急冷処理が可能となる。
【0046】
以上のことより、線径あるいは線厚さ1.35mm以上で、かつ90A/mm以上の臨界電流密度特性を有するNbAl化合物系超電導線材を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るNbAl化合物系超電導線の製造方法における各製造段階での線材の形状を示したものであり、(a)は複合素線を示す断面図、(b)はシングル線材を示す斜視図、(c)は複合線材を示す斜視図、(d)はマルチ線材を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るNbAl化合物系超電導線の製造方法のフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係るNbAl化合物系超電導線の製造装置の概略図である。
【符号の説明】
1 積層体
2 Nbシート
3 Alシート
4 中心材
5 Nb被覆
7 複合素線
8 シングル線材
9 Nb管
11 複合線材
12 マルチ線材
20 急熱急冷装置
21 送出しリール
23 冷却用金属材
24 リール
25 巻取りリール

Claims (7)

  1. 線径あるいは線厚が1.3mm以上であり、かつ90A/mm以上の臨界電流密度特性を有することを特徴とするNbAl化合物系超電導線材。
  2. 前記線材が、NbあるいはNb合金とAlあるいはAl合金とを交互に積層した積層体を内部に含み、その積層体の一部若しくは全部にNbAl化合物相を析出させたNbAl化合物系超電導線材であることを特徴とする請求項1記載のNbAl化合物系超電導線材。
  3. 中心材の周りにNbとAlとを交互に形成した積層体をNbで被覆したシングル線材を複数束ね、全体をNbにより被覆したマルチ線材内の前記積層体の一部若しくは全部にNbAl化合物相を析出させたNbAl化合物系超電導線材であって、前記マルチ線材の線径あるいは線厚が1.3mm以上であり、かつ90A/mm以上の臨界電流密度特性を有することを特徴とするNbAl化合物系超電導線材。
  4. NbとAlとを所定の組成で複合した超電導線材を上流側から下流側へ送り出しつつ、上流側において1500℃以上の温度に急加熱し、下流側において急冷してNb−Al過飽和固溶体を生成した後、下流側で巻き取り、更に再加熱してNbAl化合物を析出させる急熱急冷変態法によるNbAl化合物系超電導線材の製造方法において、前記急冷後に超電導線材を巻き取る際の線材の曲げ半径を線径もしくは線厚の40倍以上としたことを特徴とするNbAl化合物系超電導線材の製造方法。
  5. 前記超電導線材を巻き取るための張力T(kgf)が、前記超電導線材の断面積をA(mm)としたとき、T≧0.69×Aであることを特徴とする請求項4記載のNbAl化合物系超電導線材の製造方法。
  6. 上流側から下流側にかけて、NbとAlとを所定の組成で複合した超電導線材を送り出す送出しリール、前記超電導線材を急速加熱する加熱手段、前記超電導線材を急冷する冷却漕内に設けられたリール、前記超電導線材を巻き取る巻取りリールを有し、前記冷却漕内に設けられたリールの半径が前記超電導線材の線径あるいは線厚さの40倍以上となるように形成されていることを特徴とするNbAl化合物系超電導線材の製造装置。
  7. 前記巻取りリールの半径が、前記超電導線材の線径あるいは線厚さの40倍以上となるように形成されていることを特徴とする請求項6記載のNbAl化合物系超電導線材の製造装置。
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