JP2004355759A - 光ディスク装置およびチルト角調節方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】受光素子から出力される信号の複数の空間周波数での信号強度比を算出し、この信号強度比に基づき光ディスクに入射するレーザ光のラジアルチルト角を調節する。このため、チルト検出用の素子を受光素子とは別途に設ける必要がなくなる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク装置およびチルト角調節方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
CD(Compact Disc),DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクでは、ディスクの反りや面の振れ、光学系の位置ずれ等により光ヘッドから照射される照射光が光ディスクに斜めに入射されることがある。ディスク面に対する入射光の傾きをチルトといい、ディスク半径方向のラジアルチルト、ディスク上のトラックの接線方向のタンジェンシャルチルトに区分される。また、チルトの経時的な成分は、ディスクの反り、クランプの状態、光学系の位置ずれ等によるDC的なチルト量と、ディスクの面振れ等に起因するAC的なチルト量がある。
【0003】
ここで、チルト量が大きいとコマ収差が発生して、ディスクに照射された光のビームスポット形状が歪む。このため、目標トラックからの再生信号と隣接するトラックからの再生信号とのクロストークやジッタを生じ、再生信号の品質が劣化するおそれがある。DVDや次世代の光ディスクでは高密度化(即ち、ビームスポットのスポット径の縮小)を実現するために短波長化と高開口数化が必要であり、チルト角がコマ収差に与える影響が大きい。
【0004】
このため、光ディスクに対する光の入射方向のチルト量を検出し、光ディスクに対する照射光の光軸を垂直に保つように補正するチルトサーボ機構を備えることが提案されている。
光ディスクとヘッドの間のチルト量を検出する方法として、光学ヘッドとは別途にチルトセンサーと呼ばれるセンサーを用いて、光ディスクとヘッドの間のチルト量を検出する方法が知られている。また、チルトセンサーを用いない方式としてトラックの左右方向に分割されたディテクタの左右の信号の差分の信号を用いる方法等が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−36773号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のチルトセンサーを使用した方式では信号再生のための受光素子とは別途にセンサー部を設けることが必要となる。
また、照射光の照射位置とセンサーの計測位置が異なるために十分な精度をとれない可能性がある。また、トラックの左右方向に分割されたディテクタの左右の信号の差分の信号を用いる方法では、差分の信号からラジアルチルト量とレンズシフト量の区別をすることが困難である。
そこで、本発明はチルトセンサなどの特別な装置を設けず、更にレンズシフトの影響を受けないでラジアルチルトを検出することができる光ディスク装置およびチルト角調節方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
A.上記目的を達成するために本発明に係る光ディスク装置は、光ディスクを回転させるディスク回転部と、前記ディスク回転部で回転された光ディスクにレーザ光を照射する発光素子と、前記発光素子から出射し前記光ディスクで反射された反射光を受光する受光素子と、前記受光素子から出力される信号の複数の空間周波数での信号強度比を算出する信号強度比算出部と、前記信号強度比算出部で算出された複数の空間周波数での信号強度比に基づき、前記光ディスクに入射するレーザ光のラジアルチルト角を調節するチルト角調節部と、を具備することを特徴とする。
【0008】
受光素子から出力される信号の複数の空間周波数での信号強度比を算出し、この信号強度に基づき光ディスクに入射するレーザ光のラジアルチルト角を調節する。このため、チルト検出用の素子を受光素子とは別途に設ける必要がなくなる。また、受光素子から出力される信号の複数の空間周波数での信号強度比は対物レンズのレンズシフト量には直接依存するものではないので、対物レンズのレンズシフト量を考慮することなく、チルト量の検出、調節を行える。
【0009】
(1)ここで、前記チルト角調節部によるラジアルチルト角の調節が前記光ディスクからの情報の再生中に行われてもよい。
チルト量のAC成分(例えば、ディスクの面振れ等に起因するチルト量)のような経時的なチルト角の変化に対応して、チルト量を常時調節することが可能となる。
【0010】
(2)光ディスク装置が、前記信号強度比算出部によって算出された複数の空間周波数での信号強度比に基づき、前記光ディスクに入射するレーザ光のラジアルチルト角を算出するチルト角算出部をさらに具備してもよい。
算出したチルト角に対応してチルト量を調節することで、より適正にチルト量の調節を行える。
【0011】
B.本発明に係るチルト角調節方法は、回転された光ディスクにレーザ光を照射する照射ステップと、前記照射ステップで照射されたレーザ光が前記光ディスクで反射される反射ステップと、前記反射ステップで反射されたレーザ光を電気信号に変換する信号変換ステップと、前記信号変換ステップでレーザ光から変換された電気信号の複数の空間周波数での信号強度比を算出する信号強度比算出ステップと、前記信号強度比算出ステップで算出された複数の空間周波数での信号強度比に基づき、前記光ディスクに入射するレーザ光のラジアルチルト角を調節するチルト角調節ステップと、を具備することを特徴とする。
【0012】
信号変換ステップでレーザ光から変換された電気信号の複数の空間周波数での信号強度比を算出し、この信号強度比に基づき光ディスクに入射するレーザ光のラジアルチルト角を調節する。このため、チルト検出用の素子を受光素子とは別途に設ける必要がなくなる。また、受光素子から出力される信号の複数の空間周波数での信号強度比は対物レンズのレンズシフト量には直接依存するものではないので、対物レンズのレンズシフト量を考慮することなく、チルト量の検出、調節を行える。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る光ディスク装置100を表すブロック図である。本図に示すように、光ディスク装置100は、光ディスク110から情報の再生を行うものであり、ディスク保持部121、ディスク駆動部122、光ピックアップ130、プリアンプ141、信号処理回路142、MTF値比較回路143、チルト量検出回路144、サーボ回路145、チルト補正機構146を有する。
【0014】
光ディスク110は、表面111の下層に記録層112を有し、記録層112に対してレーザ光による情報の記録、再生が行われる。
ディスク保持部121は、光ディスク110を保持する。
ディスク駆動部122は、ディスク保持部121、ひいては光ディスク110を回転するものであり、ディスク回転部として機能する。
【0015】
光ピックアップ130は、発光素子131,ビームスプリッタ132,対物レンズ133,受光素子134を有し、光ディスク110の記録層112にレーザ光を照射し、記録層112からのレーザ反射光を電気信号に変換しRF信号を出力する。発光素子131から出射されたレーザ光がビームスプリッタ132を通過し、対物レンズ133で光ディスク110の記録層112に集光されビームスポットを形成する。集光されたレーザ光は光ディスク110の記録層112で反射されビームスプリッタ132で方向が変えられ、受光素子134に受光されて、電気信号(RF信号)に変換される。
【0016】
プリアンプ141は、光ピックアップ130より出力されたRF信号を増幅する。プリアンプ141で増幅されたRF信号は信号処理回路142およびMTF値比較回路143に入力される。
信号処理回路142は、プリアンプ141から出力されたRF信号を処理して情報の再生を行う。
【0017】
MTF値比較回路143は、プリアンプ141から出力されたRF信号の複数の空間周波数のMTF値の比を出力するものであり、信号強度比算出部として機能する。例えば、2Tを再生するときの空間周波数のMTFの振幅値と8Tを再生するときの空間周波数のMTFの振幅値の比を算出する。
MTF値比較回路143は、図示しない空間周波数分析部、基準値記憶部、演算部を有する。空間周波数分析部は、プリアンプ141から出力されたRF信号の空間周波数分析を行い複数の所定の空間周波数(例えば、8Tと2T)でのMTF値を出力する。空間周波数分析は、例えば、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を用いて行える。基準値記憶部は、基準値としてラジアルチルト角0°での複数の所定の空間周波数のMTF値の比を記憶する。演算部は、空間周波数分析部から出力されたMTF値の比と基準のMTF値の比との商を比較値として算出する。なお、MTF値の詳細は後述する。
【0018】
チルト量検出回路144は、MTF値比較回路143から出力された比較値から光ディスク110のラジアル方向のチルト量を算出するものであり、チルト角算出部として機能する。なお、この算出のために、比較値とチルト量との対応関係を表したテーブルが記憶されている。このテーブルの詳細は後述する。
【0019】
サーボ回路145は、チルト量検出回路144によって検出されたディスクのラジアル方向のチルト量に対応したラジアルチルト補正信号を出力する。
チルト補正機構146は、サーボ回路145により出力されたラジアルチルト量補正信号に対応して光ディスク110の半径方向の傾きを変えラジアルチルトの補正を行うものであり、チルト角調節部として機能する。この補正は、光ディスク110、光ピックアップ130のいずれかの傾きを調節することで行える。
【0020】
次に、MTF(Modulation Transfer Function)の振幅値とラジアルチルト角との関係の詳細を説明する。MTFは、画像のコントラストを空間周波数の関数として表示したものである。なお、空間周波数は、1mm当りの周期の数(本/mm,lines/mm)をいう。
【0021】
図2は、ディスクの厚さt:0.6mm、光の波長λ:405nm、対物レンズ133の開口数NA:0.65としたときのMTFの特性を表したグラフである。ラジアルチルト角θを0°、0.4°、0.8°と変化させたときのMTFの特性が表されている。横軸が空間周波数であり、縦軸が振幅である。
横軸の空間周波数は、NA/λ(ビームスポット径に対応する量(λ/NA)の逆数。理論的な(無収差の場合の)ビームスポット径は0.61・λ/NAとなる。)を単位として規格化しており、8T、3T、2TはNA/λを単位としてそれぞれ、0.382、1.067、1.527である。ここで、「T」は、チャネルビット長(Channel Bit Period)を表す。また、「空間周波数2T」は、2Tマークを再生した時の空間周波数を表している。
縦軸は、0°を基準に規格化されているため、ラジアルチルト角θ:0°の振幅は、空間周波数に拠らず常に1として表されている。
【0022】
図2から各ラジアルチルト角でのMTF特性が相違することがわかる。空間周波数2Tと8TでのMTF値の比はラジアルチルト角θ:0°のときを1とすると、0.918(ラジアルチルト角θ:0.4°)と0.851(ラジアルチルト角θ:0.8°)と明らかに差がある。
【0023】
図3は、図2に表されたMTF特性のラジアルチルト角依存性を空間周波数2Tと8TのMTF値の比とラジアルチルト角との関係として表したグラフである。空間周波数2Tと8TのMTF値の比からラジアルチルト角を導出できることが判る。チルト量検出回路144に保持されるテーブルには、このように二つの空間周波数のMTF値の比とラジアルチルト角とが対応して表されている。
以上のように、空間周波数2Tと8TのMTF値の比から、ラジアルチルト角の検出を行えることが判る。
【0024】
次に示すように、複数の空間周波数でのMTF値の比は、再生データ等に依存しない。
RF信号により再生されるデータの配列は一般的にランダムになっているため、再生データはマクロ的なMTF特性には影響しない。
また、再生する光ディスク110が例えば、ROMかRAMかによって反射率が相違しRF信号の信号強度が変化することもあるが、MTF特性自体は変わらない。
記録層112へ焦点を合わせるために、対物レンズ133がシフトする場合がある。このとき、RF信号(再生信号)の強度は変化するが、MTF特性自体は変化しない。
以上のように、MTF特性(MTFのグラフの形状)は再生データの内容、光ディスク110の種別、対物レンズ133のシフト量等に依存しないことから、複数の空間周波数でのMTF値の比(例えば、2Tと8Tの再生信号強度比)はラジアルチルト角により定まる。
【0025】
(光ディスク装置100の動作)
図4は、光ディスク装置100の動作手順を表すフロー図である。以下、図4に基づき、光ディスク装置100の動作手順を説明する。
(1)光ディスク110の記録層112に対して光ピックアップ130からレーザ光を照射する(ステップS1)。
(2)光ディスク110の記録層112からのレーザ反射光を光ピックアップ130で電気信号に変換してRF信号を出力する(ステップS2)。
【0026】
(3)光ピックアップ130から出力されたRF信号をプリアンプ141で増幅したのち、MTF値比較回路143でRF信号の複数の空間周波数での信号強度比とラジアルチルト角0°時の複数の空間周波数での信号強度比との比較値を出力する(ステップS3)。
【0027】
(4)MTF値比較回路143からの比較値に基づき、チルト量検出回路144がラジアルチルト量を検出する(ステップS4)。この際に、前述のテーブルが参照される。
(5)検出されたラジアルチルト量に応じたサーボ回路145からのサーボ信号でチルト補正機構146をラジアル方向のチルトを補正する動作をさせる(ステップS5)。
以上のようにして、信号の再生中に繰り返しラジアルチルトが補正され、ラジアルチルト角の固定成分(DC成分)のみならず時間変動(AC成分)にも対応することが可能となる。
【0028】
本発明の実施形態は、上記実施形態に限られず、拡張変更が可能である。拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、チルト量検出回路144によるチルト量の算出は必ずしも行う必要はない。チルト量自体を算出しなくてもサーボ制御によってラジアルチルト角の補正は可能である。この場合には、MTF値比較回路143からの比較値をサーボ回路145に入力すればよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によればチルトセンサなどの特別な装置を設けずにラジアルチルトを検出し、チルト量の調節を行う光ディスク装置およびチルト角調節方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置を表すブロック図である。
【図2】MTFの特性を表したグラフである。
【図3】MTF特性のラジアルチルト角依存性をMTF値の比とラジアルチルト角との関係として表したグラフである。
【図4】光ディスク装置の動作手順を表すフロー図である。
【符号の説明】
100…光ディスク装置、110…光ディスク、111…光ディスク表面、112…記録層、121…ディスク保持部、122…ディスク駆動部、130…光ピックアップ、131…発光素子、132…ビームスプリッタ、133…対物レンズ、134…受光素子、141…プリアンプ、142…信号処理回路、143…MTF値比較回路、144…チルト量検出回路、145…サーボ回路、146…チルト補正機構
Claims (4)
- 光ディスクを回転させるディスク回転部と、
前記ディスク回転部で回転された光ディスクにレーザ光を照射する発光素子と、
前記発光素子から出射し前記光ディスクで反射された反射光を受光する受光素子と、
前記受光素子から出力される信号の複数の空間周波数での信号強度比を算出する信号強度比算出部と、
前記信号強度比算出部で算出された複数の空間周波数での信号強度比に基づき、前記光ディスクに入射するレーザ光のラジアルチルト角を調節するチルト角調節部と、
を具備することを特徴とする光ディスク装置。 - 前記チルト角調節部によるラジアルチルト角の調節が前記光ディスクからの情報の再生中に行われる
ことを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。 - 前記信号強度比算出部によって算出された複数の空間周波数での信号強度比に基づき、前記光ディスクに入射するレーザ光のラジアルチルト角を算出するチルト角算出部
をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。 - 回転された光ディスクにレーザ光を照射する照射ステップと、
前記照射ステップで照射されたレーザ光が前記光ディスクで反射される反射ステップと、
前記反射ステップで反射されたレーザ光を電気信号に変換する信号変換ステップと、
前記信号変換ステップでレーザ光から変換された電気信号の複数の空間周波数での信号強度比を算出する信号強度比算出ステップと、
前記信号強度比算出ステップで算出された複数の空間周波数での信号強度比に基づき、前記光ディスクに入射するレーザ光のラジアルチルト角を調節するチルト角調節ステップと、
を具備することを特徴とするチルト角調節方法。
Priority Applications (1)
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JP2003154490A JP4028436B2 (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | 光ディスク装置およびチルト角調節方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010211887A (ja) * | 2009-03-11 | 2010-09-24 | Nippon Hoso Kyokai <Nhk> | ホログラム記録再生方法およびホログラム記録再生装置 |
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- 2003-05-30 JP JP2003154490A patent/JP4028436B2/ja not_active Expired - Fee Related
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