JP2004354340A - 信号異常検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】A/Dコンバータ21と、異常検出回路22と、処理回路23とを有する処理部2をASICで構成する。処理回路23は、ディジタル変換後の疑似正弦波信号に対して細分化処理を施し、モータの回転量(回転角)を疑似正弦波信号の周期より細かい分解能で検出する。異常検出回路22は、ディジタル変換後のA相の疑似正弦波信号の周期変化をトリガにB相の疑似正弦波信号の最大値および最小値をホールドし、ディジタル変換後のB相の疑似正弦波信号の周期変化をトリガにA相の疑似正弦波信号の最大値および最小値をホールドする。異常検出回路22は、ホールド値に基づいて異常の有無を判定する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンコーダからの信号の異常を検出する異常検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
モータなどのアクチュエータの変位および移動速度を制御する技術が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載されている技術では、ステッピングモータの回転角度を、モータの回転に応じて互いに90度の位相差を有する2相の疑似正弦波信号を用いて検出する。このため、回転角度を常に正しく検出するためには、上記2相の疑似正弦波信号が正常に発生されているか否かをチェックする必要がある。
【0003】
2相の疑似正弦波信号をチェックする方法として、ウィンド・コンパレータ(非特許文献1参照)を用いる方法が考えられる。この方法では、疑似正弦波信号が所定の電圧範囲内であれば正常と判定し、疑似正弦波信号が上記電圧範囲から外れた場合に異常と判定する。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−178193号公報
【非特許文献1】
宮崎誠一編,トランジスタ技術増刊アナログIC活用ハンドブック,第2版,CQ出版株式会社,昭和62年4月1日,p107
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記ウィンド・コンパレータによって疑似正弦波信号のチェック手段を構成する場合、疑似正弦波信号の振幅が過小となるような異常が発生しても、疑似正弦波信号全体の電位(直流成分の信号レベル)が上記所定の電圧範囲から外れない限り異常を検出することができない。
【0006】
本発明は、アクチュエータの変位を検出するための信号の振幅が過小となるような異常も検出するようにした変位検出信号の信号異常検出装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンコーダから可動物体の変位に応じて疑似正弦波として出力される変位検出信号の信号異常検出装置に適用される。そして、変位検出信号の最大値および最小値をそれぞれ記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された値に基づいて変位検出信号の異常の有無を判定する異常検出手段と、記憶手段に最大値および最小値の記憶を指示する記憶制御手段とを備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の信号異常検出装置において、記憶制御手段が可動物体の移動速度を検出する移動速度検出手段を有し、移動速度が所定速度以上のとき、記憶手段に対する指示を行うように構成したものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の信号異常検出装置において、所定の位相差を有する第1の変位検出信号と第2の変位検出信号とで変位検出信号を構成し、第1の変位検出信号の最大値および最小値をそれぞれ記憶する第1の記憶手段と、第2の変位検出信号の最大値および最小値をそれぞれ記憶する第2の記憶手段とで記憶手段を構成し、第1の記憶手段に記憶された第1の変位検出信号の最大値および最小値に基づいて第1の変位検出信号の異常の有無を判定する第1の異常検出手段と、第2の記憶手段に記憶された第2の変位検出信号の最大値および最小値に基づいて第2の変位検出信号の異常の有無を判定する第2の異常検出手段とで異常検出手段を構成する。そして、第1の変位検出信号が所定周期変動すると第2の記憶手段に最大値および最小値の記憶を指示するとともに、第2の変位検出信号が所定周期変動すると第1の記憶手段に最大値および最小値の記憶を指示するように記憶制御手段を構成したものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の信号異常検出装置において、それぞれが記憶した最大値および最小値の差分が所定の判定閾値以下の場合に異常であると判定するように第1の異常検出手段および第2の異常検出手段をそれぞれ構成したものである。
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の信号異常検出装置において、それぞれが記憶した最大値および最小値がともにそれぞれの所定の基準レベルより高い、もしくは最大値および最小値がともにそれぞれの基準レベルより低い場合に異常であると判定するように第1の異常検出手段および第2の異常検出手段をそれぞれ構成したものである。
請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれかに記載の信号異常検出装置において、ディジタル変換後の第1の変位検出信号および第2の変位検出信号について最大値および最小値をそれぞれ記憶するように、第1の記憶手段および第2の記憶手段を構成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による異常検出装置を備えたモータの駆動制御装置の要部構成を示す図である。駆動制御装置は、光学式エンコーダを用いてロータリモータ(不図示)の回転角を検出し、モータの回転を制御する。図1において駆動制御装置は、変位情報生成部1と、処理部2とに大別される。変位情報生成部1は、モータ(不図示)の変位を検出するための疑似正弦波信号を生成する。処理部2は、疑似正弦波信号を用いてモータの変位を検出するとともに、疑似正弦波信号の異常の有無を監視する。変位検出値および監視結果は不図示のコントローラへ送信される。コントローラ(不図示)は、変位検出値に応じてモータ(不図示)を駆動制御し、疑似正弦波信号の異常が報知された場合にはモータを停止させるなどの措置をとる。
【0009】
変位情報生成部1は、発光素子11と、回転ディスク12と、受光素子13と、増幅回路14とを有する。回転ディスク12は、たとえば、その中心がモータ(不図示)の回転軸に一致させて配設される。ディスク12には外周に沿って複数のスリット12aが設けられている。発光素子11および受光素子13は、両者間にディスク12のスリット12aを挟むようにそれぞれ配設される。発光素子11で発した光をディスク12のスリット12aに照射し、スリット12aを通過した光を受光素子13で受光する。受光素子13は、受光した光の強さに応じて検出信号を出力する。
【0010】
モータ(不図示)の回転にともなって回転ディスク12が回転すると、受光素子13で受光される光は、スリット12aを通過する状態とスリットとスリットとの間で妨げられる状態とが繰り返されて強弱を繰り返す。このように強弱を繰り返す信号は疑似正弦波信号と呼ばれる。疑似正弦波信号は増幅回路14で増幅され、制御部2へ出力される。
【0011】
受光素子13は、たとえば、90度の位相差を有する2つの検出信号を出力するように構成されている。すなわち、受光素子13は、ディスク12に設けられているスリット12aの間隔をΔhとすると、Δh/4の間隔を隔てて配設される2つの受光素子13aおよび13b(不図示)によって構成される。これにより、受光素子13aによる検出信号(疑似正弦波信号)に対し、位相が360/4=90度遅れた受光素子13bによる検出信号(疑似正弦波信号)が得られる。
【0012】
図2は、受光素子13aによる検出信号sigA、および受光素子13bによる検出信号sigBの信号波形を示す図である。図2において、横軸は疑似正弦波信号の位相角θであり、縦軸は受光レベルである。位相角θは、アクチュエータの位置変位(この場合はモータの回転量)に対応する。位相角θの360度がスリット12aの間隔Δhに対応する。したがって、モータが1スリット間隔回転すると、疑似正弦波信号が一周期変動する。検出信号sigBをsinθで表すと、検出信号sigAはcosθで表される。
【0013】
処理部2は、A/Dコンバータ21と、異常検出回路22と、処理回路23とを有する。これらの回路は、ゲートアレイなどのASIC(特定用途向け集積回路)によって構成されている。A/Dコンバータ21は、上記2相(A相ならびにB相)の疑似正弦波信号、すなわち検出信号sigAと検出信号sigBを、それぞれアナログ信号からディジタル信号に変換する。変換後のディジタルデータは、処理回路23および異常検出回路22のそれぞれへ送出される。
【0014】
処理回路23は、ディジタル化された疑似正弦波信号に対して周知の内挿処理を施すことにより、モータの回転量(回転角)を疑似正弦波信号の周期より細かい分解能で検出する。異常検出回路22は、ディジタル化された疑似正弦波信号を監視し、異常の有無をチェックする。
【0015】
本発明は、上記の異常検出回路22によって疑似正弦波信号をチェックする処理に特徴を有する。
【0016】
図3は、異常検出回路22の詳細を説明する図である。異常検出回路22は、速度監視回路221と、制御回路222と、電圧範囲モニタ回路223と、電圧範囲モニタ回路224と、最大値/最小値ホールド回路225と、最大値/最小値ホールド回路226と、電圧異常判定回路227と、電圧異常判定回路228と、OR論理和回路229とを有する。
【0017】
速度監視回路221は、A相ならびにB相の疑似正弦波信号のうち少なくとも一方について、単位時間当たりの波数を計数し、この計数値を用いてモータ(不図示)の回転速度を検出する。速度監視回路221は、検出速度を示す速度情報信号を制御回路222へ出力する。電圧範囲モニタ回路223は、A相の疑似正弦波信号について、A/D変換後の電圧データを電圧エリアを示すデータに変換し、電圧エリアを示す信号を制御回路222へ逐次送出する。
【0018】
図4は、電圧エリアを説明する図である。図4において、横軸は疑似正弦波信号の位相角θであり、縦軸は電圧値である。A/Dコンバータ21からは、0〜2(V)の範囲で疑似正弦波信号の電圧データが入力される。曲線41はA相の疑似正弦波信号であり、曲線42はB相の疑似正弦波信号である。曲線43については後述する。電圧範囲モニタ回路223は、電圧値が0〜0.5(V)の場合に電圧エリア1、電圧値が0.5〜1.0(V)の場合に電圧エリア2、電圧値が1.0〜1.5(V)の場合に電圧エリア3、電圧値が1.5〜2.0(V)の場合に電圧エリア4を示す電圧範囲信号をそれぞれ出力する。
【0019】
A相ならびにB相の疑似正弦波信号は、それぞれ正常時に最大値1.75(V)、最小値0.25(V)、信号の直流成分のレベル(基準電位)が1.0(V)になるように増幅回路14(図1)のゲインが調整されている。したがって、図4に示される電圧波形において電圧範囲モニタ回路223の出力信号が示す電圧エリアは、3→4→3→2→1→2→3→4…の順に変化する。
【0020】
電圧範囲モニタ回路224は、B相の疑似正弦波信号について、A/D変換後の電圧データを電圧エリアを示すデータに変換し、電圧エリアを示す信号を制御回路222へ逐次送出する。図4に示される電圧波形において電圧範囲モニタ回路224の出力信号が示す電圧エリアは、4→3→2→1→2→3→4→3…の順に変化する。
【0021】
制御回路222は、電圧範囲モニタ回路223による出力信号が示す電圧エリアが4つの電圧エリア間を上記順番で変化する場合に、A相の疑似正弦波信号に1周期分の変動が生じたと判定する。制御回路222はさらに、電圧範囲モニタ回路224による出力信号が示す電圧エリアが4つの電圧エリア間を上記順番で変化する場合に、B相の疑似正弦波信号に1周期分の変動が生じたと判定する。
【0022】
最大値/最小値ホールド回路225は、制御回路222の指令に応じてA相の疑似正弦波信号の最大電圧値および最小電圧値をそれぞれ検出し、両検出値を電圧異常判定回路227へそれぞれ出力する。最大値/最小値ホールド回路228は、制御回路222の指令に応じてB相の疑似正弦波信号の最大電圧値および最小電圧値をそれぞれ検出し、両検出値を電圧異常判定回路228へそれぞれ出力する。
【0023】
電圧異常判定回路227は、入力されるA相の疑似正弦波信号の最大値および最小値のレベル差(差分)を算出し、差分が判定閾値(たとえば、1(V))以上であれば正常と判定し、差分が1(V)未満であればA相の疑似正弦波信号の振幅異常と判定する。電圧異常判定回路227はさらに、A相の疑似正弦波信号の基準電位が上記最大値および最小値に挟まれていれば正常と判定し、上記最大値および最小値の双方が基準電位より高い、もしくは、上記最大値および最小値の双方が基準電位より低い場合に、A相の疑似正弦波信号の基準レベル異常と判定する。
【0024】
電圧異常判定回路228は、入力されるB相の疑似正弦波信号の最大値および最小値のレベル差(差分)を算出し、差分が判定閾値(たとえば、1(V))以上であれば正常と判定し、差分が1(V)未満であればB相の疑似正弦波信号の振幅異常と判定する。電圧異常判定回路228はさらに、B相の疑似正弦波信号の基準電位が上記最大値および最小値に挟まれていれば正常と判定し、上記最大値および最小値の双方が基準電位より高い、もしくは、上記最大値および最小値の双方が基準電位より低い場合に、B相の疑似正弦波信号の基準レベル異常と判定する。
【0025】
図4における曲線43は、B相の疑似正弦波信号の異常波形例を示す。このような異常は、受光素子13b、増幅回路14、各部に電力を供給する電源回路(不図示)ならびに各回路素子等を結ぶ配線などのいずれかに異常が生じた場合に発生する。曲線43は、差分が1(V)未満の「振幅異常」と、最大値および最小値の双方が基準電位より高い「基準レベル異常」の双方が発生している例である。なお、A相の疑似正弦波信号についても、受光素子13a、増幅回路14、各部に電力を供給する電源回路(不図示)ならびに各回路素子等を結ぶ配線などのいずれかに異常が生じた場合には、B相の場合と同様に異常波形が現れる。
【0026】
上記異常検出回路22による疑似正弦波信号のチェックについて、制御回路222で行われる処理の流れを説明する図5のフローチャートを参照して説明する。図5による処理は、モータ(不図示)の駆動制御時に繰り返し行われる。図5のステップS11において、制御回路222は、モータの回転速度が所定速度(たとえば、80(rpm))以上か否かを判定する。制御回路222は、速度監視回路221による検出速度が80(rpm)以上の場合にステップS11を肯定判定してステップS12へ進み、検出速度が80(rpm)未満の場合にステップS11を否定判定し、図5による処理を終了する。低速の場合は異常検出回路22によるチェックを行わない。この理由は後述する。
【0027】
ステップS12において、制御回路222は、A相の疑似正弦波信号が2周期分変動したか否かを判定する。制御回路222は、電圧範囲モニタ回路223の出力信号が示す電圧エリアが2周期分変化した場合にステップS12を肯定判定してステップS13へ進み、電圧エリアが2周期分変化しない場合にステップS12を否定判定してステップS14へ進む。
【0028】
ステップS13において、制御回路222は、B相の疑似正弦波信号について最大値および最小値をそれぞれ検出・保持(ホールド)するように最大値/最小値ホールド回路226に指令を送出し、ステップS16へ進む。ホールド期間は、たとえば、指令後1周期分とする。
【0029】
ステップS14において、制御回路222は、タイムアウトか否かを判定する。制御回路222は、内部のタイマ回路(不図示)で所定時間(回転速度80(rpm)の場合に疑似正弦波が2周期分変動するのに必要な見込み時間)を計時し、タイムアップしている場合にステップS14を肯定判定してステップS15へ進む。制御回路222は、計時途中でタイムアップしていない場合にはステップS14を否定判定し、ステップS12へ戻る。
【0030】
ステップS15において、制御回路222は、A相の疑似正弦波信号の異常を示すフラグをセットしてステップS16へ進む。速度監視回路221による検出速度が80(rpm)以上にもかかわらず、所定時間内に疑似正弦波が2周期分変動しないのは、A相疑似正弦波の異常と考えられる。
【0031】
ステップS16において、制御回路222は、B相の疑似正弦波信号が2周期分変動したか否かを判定する。制御回路222は、電圧範囲モニタ回路224の出力信号が示す電圧エリアが2周期分変化した場合にステップS16を肯定判定してステップS17へ進み、電圧エリアが2周期分変化しない場合にステップS16を否定判定してステップS18へ進む。
【0032】
ステップS17において、制御回路222は、A相の疑似正弦波信号について最大値および最小値をそれぞれ検出・保持(ホールド)するように最大値/最小値ホールド回路225に指令を送出してステップS20へ進む。ホールド期間は、たとえば、指令後1周期分とする。
【0033】
ステップS18において、制御回路222は、タイムアウトか否かを判定する。制御回路222は、内部のタイマ回路(不図示)でステップS14の場合と同様に時間を計時し、タイムアップしている場合にステップS18を肯定判定してステップS19へ進む。制御回路222は、計時途中でタイムアップしていない場合にはステップS18を否定判定し、ステップS16へ戻る。
【0034】
ステップS19において、制御回路222は、B相の疑似正弦波信号の異常を示すフラグをセットしてステップS20へ進む。速度監視回路221による検出速度が80(rpm)以上にもかかわらず、所定時間内に疑似正弦波が2周期分変動しないのは、B相疑似正弦波の異常と考えられる。
【0035】
ステップS20において、制御回路222は、電圧異常判定回路227に指令を出力し、最大値/最小値ホールド回路225によってホールドされているA相の疑似正弦波信号の最大値および最小値の差分が所定値(上記の例では1V)以上か否かを判定させる。制御回路222はさらに、電圧異常判定回路228に指令を出力し、最大値/最小値ホールド回路226によってホールドされているB相の疑似正弦波信号の最大値および最小値の差分が所定値(上記の例では1V)以上か否かを判定させる。
【0036】
制御回路222は、A相およびB相の疑似正弦波信号のそれぞれの差分がともに1V以上のとき、ステップS20を肯定判定してステップS21へ進み、A相およびB相の疑似正弦波信号のいずれかの差分が1V未満のとき、ステップS20を否定判定してステップS22へ進む。
【0037】
ステップS22において、制御回路222は、A相およびB相のうち差分が所定値未満の相について、疑似正弦波信号の振幅異常を示すフラグをセットしてステップS21へ進む。
【0038】
ステップS21において、制御回路222は、電圧異常判定回路227に指令を出力し、最大値/最小値ホールド回路225によってホールドされているA相の疑似正弦波信号の最大値および最小値がともに基準電位より高い、もしくは、ともに基準電位より低いか否かを判定させる。制御回路222はさらに、電圧異常判定回路228に指令を出力し、最大値/最小値ホールド回路226によってホールドされているB相の疑似正弦波信号の最大値および最小値がともに基準電位より高い、もしくは、ともに基準電位より低いか否かを判定させる。
【0039】
制御回路222は、A相およびB相の疑似正弦波信号のそれぞれの最大値が基準電位より高く、それぞれの最小値が基準電位より低いとき、ステップS21を否定判定し、図5による処理を終了する。制御回路222は、A相およびB相の疑似正弦波信号のいずれかで最大値および最小値がともに基準電位より高い、もしくは最大値および最小値がともに基準電位より低いとき、ステップS21を肯定判定してステップS23へ進む。
【0040】
ステップS23において、制御回路222は、A相およびB相のうちステップS21を肯定判定する対象となった相について、疑似正弦波信号の「基準レベル異常」を示すフラグをセットし、図5による処理を終了する。
【0041】
図3のOR論理和回路229は、上述したいずれかの異常フラグがセットされると、異常状態信号を処理回路23(図1)へ送出し、異常発生を報知する。
【0042】
モータの回転速度が低速(上記例では80(rpm)未満)の場合に異常検出回路22によるチェックを行わない理由を説明する。図6は、図4と同様に電圧エリアを説明する図である。横軸は疑似正弦波信号の位相角θであり、縦軸は電圧値である。曲線41はA相の疑似正弦波信号であり、曲線42はB相の疑似正弦波信号である。図4と異なる点は、タイミングt1、t2、およびt3のそれぞれにおいてモータ(不図示)の回転方向が反転している点である。
【0043】
モータ(すなわち、スリット12a)が微振動を繰り返す場合、A相およびB相の信号波形は図6のようになる。この状態で上述したチェック処理を行うと、曲線42に関して「振幅異常」および「基準レベル異常」の双方で異常判定してしまう。この場合、受光素子13b、増幅回路14、各部に電力を供給する電源回路(不図示)ならびに各回路素子等を結ぶ配線などに故障が生じていなくても、B相の疑似正弦波信号を異常とみなす誤判定となる。そこで、電圧の情報の他に時間の情報を加えて判定を行うようにする。モータの回転速度が80(rpm)以上の場合にのみ異常検出回路22によるチェックを行うことは、異常判定に時間の情報を加えることと等価である。図3の制御回路222は、速度監視回路221による検出速度が80(rpm)未満になると、最大値/最小値ホールド回路225,226にホールド動作を中止させるとともに、電圧異常判定回路227,228に判定動作を中止させる。各回路は、動作中止の指令を受けると、それまで保持していたデータを無効とする初期化(リセット)を行う。
【0044】
以上説明した実施の形態についてまとめる。
(1)A/Dコンバータ21と、異常検出回路22と、処理回路23とを有する処理部2をASICで構成する。処理回路23は、ディジタル変換後の疑似正弦波信号に対して細分化処理を施し、モータの回転量(回転角)を疑似正弦波信号の周期より細かい分解能で検出する。異常検出回路22は、ディジタル変換後の疑似正弦波信号を監視し、疑似正弦波信号の異常の有無をチェックする。異常検出回路22をASIC内に構成するとともに、異常検出回路22が処理回路23と同様にディジタルデータを用いて処理を行うので、異常検出用にウィンド・コンパレータなどのアナログ回路を設ける場合に比べて、部品数を低減できる上に実装スペースの増加を抑えることができる。
【0045】
(2)異常検出回路22は、電圧範囲モニタ回路223(224)によってA相(B相)の疑似正弦波信号の電圧データを電圧エリアを示すデータに変換し、電圧エリアが4→3→2→1→2→3→4…の順に変化した場合に疑似正弦波信号の周期変動を検出するようにした。したがって、電圧エリアでなく1/1000(V)のような細かい電圧ステップで周期変動を検出する場合に比べて、制御回路222の処理を軽減することができる。
【0046】
(3)A相の疑似正弦波信号の周期変化(上記例では2周期)をトリガにB相の疑似正弦波信号の最大値および最小値のホールドを指示し(ステップS13)、B相の疑似正弦波信号の周期変化(上記例では2周期)をトリガにA相の疑似正弦波信号の最大値および最小値のホールドを指示する(ステップS17)ようにした。もし、B相の疑似正弦波信号の周期変化をトリガにB相の疑似正弦波信号の最大値および最小値をホールドさせると、B相信号に異常が生じた場合に異常値をホールドすることができず、「基準レベル異常」なのか、「振幅異常」なのかを特定できない。これに対して本実施の形態では、少なくともA相側が正常であれば、B相の疑似正弦波信号に異常が発生した場合でも異常発生中のB相信号の最大値および最小値をホールドすることができるので、「基準レベル異常」なのか、「振幅異常」なのかを特定することが可能になる。
【0047】
(4)「基準レベル異常」および「振幅異常」のいずれかを判定すると異常状態信号を処理回路23へ送出するようにした。したがって、疑似正弦波信号の振幅が過小であって、疑似正弦波信号の基準電位が所定の電圧範囲内に位置する場合のように、ウィンド・コンパレータでは検出できない異常も検出することができる。図7は、正常なA相信号sigA、および異常なB相信号sigB’の信号波形を示す図である。横軸は疑似正弦波信号の位相角θであり、縦軸は電圧値である。「振幅異常」が発生したB相信号は、ウィンド・コンパレータによる上限基準電圧および下限基準電圧範囲内に収まるので異常検出されない。これに対して本実施の形態では、異常なB相信号sigB’について「基準レベル異常」および「振幅異常」の双方で確実に異常を判定することができる。
【0048】
(5)モータの回転速度が低速(上記例では80(rpm)未満)の場合に異常検出回路22によるチェックを行わないようにしたので、モータが反転する場合などの微振動が繰り返される場合に異常と誤判定することを防止できる。
【0049】
図5のフローチャートにおいて、ステップS12およびS13の処理後にステップS16およびS17の処理を行うようにしたが、これらの処理をそれぞれ並行して行うようにしてもよい。これにより、AB両相の信号に関して最大値/最小値をホールドするための所要時間を短縮することができる。
【0050】
以上の説明では、ロータリモータの回転角を検出する例を説明したが、リニアモータの移動量を検出する場合にも本発明を適用できる。
【0051】
特許請求の範囲における各構成要素と、発明の実施の形態における各構成要素との対応について説明する。可動物体は、たとえば、不図示のモータが対応する。第1の変位検出信号は、たとえば、A相の疑似正弦波信号が対応する。第2の変位検出信号は、たとえば、B相の疑似正弦波信号が対応する。信号異常検出装置は、たとえば、異常検出回路22によって構成される。第1の記憶手段は、たとえば、最大値/最小値ホールド回路225によって構成される。第2の記憶手段は、たとえば、最大値/最小値ホールド回路226によって構成される。第1の異常検出手段は、たとえば、電圧異常判定回路227によって構成される。第2の異常検出手段は、たとえば、電圧異常判定回路228によって構成される。記憶制御手段は、たとえば、制御回路222によって構成される。基準レベルは、たとえば、基準電位が対応する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【0052】
【発明の効果】
本発明による信号異常検出装置では、変位検出信号の振幅が過小となるような異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるチェック回路を備えたモータの駆動制御装置の要部構成を示す図である。
【図2】受光素子による検出信号波形を示す図である。
【図3】異常検出回路の詳細を説明する図である。
【図4】電圧エリアを説明する図である。
【図5】疑似正弦波信号のチェック処理の流れを説明するフローチャートである。
【図6】電圧エリアを説明する図である。
【図7】正常なA相信号波形および異常なB相信号波形を示す図である。
【符号の説明】
1…変位情報生成部、 2…処理部、
11…発光素子、 12…回転ディスク、
13…受光素子、 14…増幅回路、
21…A/Dコンバータ、 22…異常検出回路、
23…処理回路
Claims (6)
- エンコーダから可動物体の変位に応じて疑似正弦波として出力される変位検出信号の信号異常検出装置において、
前記変位検出信号の最大値および最小値をそれぞれ記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された値に基づいて前記変位検出信号の異常の有無を判定する異常検出手段と、
前記記憶手段に前記最大値および最小値の記憶を指示する記憶制御手段とを備えることを特徴とする信号異常検出装置。 - 請求項1に記載の信号異常検出装置において、
前記記憶制御手段は、前記可動物体の移動速度を検出する移動速度検出手段を有し、前記移動速度が所定速度以上のとき、前記記憶手段に対する指示を行うことを特徴とする信号異常検出装置。 - 請求項1または2に記載の信号異常検出装置において、
前記変位検出信号は、所定の位相差を有する第1の変位検出信号と第2の変位検出信号とから構成され、
前記記憶手段は、前記第1の変位検出信号の最大値および最小値をそれぞれ記憶する第1の記憶手段と、前記第2の変位検出信号の最大値および最小値をそれぞれ記憶する第2の記憶手段とを有し、
前記異常検出手段は、前記第1の記憶手段に記憶された前記第1の変位検出信号の最大値および最小値に基づいて前記第1の変位検出信号の異常の有無を判定する第1の異常検出手段と、前記第2の記憶手段に記憶された前記第2の変位検出信号の最大値および最小値に基づいて前記第2の変位検出信号の異常の有無を判定する第2の異常検出手段とを有し、
前記記憶制御手段は、前記第1の変位検出信号が所定周期変動すると前記第2の記憶手段に前記最大値および最小値の記憶を指示するとともに、前記第2の変位検出信号が所定周期変動すると前記第1の記憶手段に前記最大値および最小値の記憶を指示することを特徴とする信号異常検出装置。 - 請求項3に記載の信号異常検出装置において、
前記第1の異常検出手段および前記第2の異常検出手段は、それぞれ記憶した最大値および最小値の差分が所定の判定閾値以下の場合に異常であると判定することを特徴とする信号異常検出装置。 - 請求項3または4に記載の信号異常検出装置において、
前記第1の異常検出手段および前記第2の異常検出手段は、それぞれ記憶した最大値および最小値がともにそれぞれの所定の基準レベルより高い、もしくは前記最大値および最小値がともにそれぞれの前記基準レベルより低い場合に異常であると判定することを特徴とする信号異常検出装置。 - 請求項3〜5のいずれかに記載の信号異常検出装置において、
前記第1の記憶手段および前記第2の記憶手段は、ディジタル変換後の第1の変位検出信号および第2の変位検出信号について最大値および最小値をそれぞれ記憶することを特徴とする信号異常検出装置。
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JP2003155434A JP2004354340A (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | 信号異常検出装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20150020553A (ko) * | 2012-05-31 | 2015-02-26 | 알레그로 마이크로시스템스, 엘엘씨 | 피크 및 임계값 검출기들을 갖는 기어 톱니 센서 |
-
2003
- 2003-05-30 JP JP2003155434A patent/JP2004354340A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20150020553A (ko) * | 2012-05-31 | 2015-02-26 | 알레그로 마이크로시스템스, 엘엘씨 | 피크 및 임계값 검출기들을 갖는 기어 톱니 센서 |
JP2015524062A (ja) * | 2012-05-31 | 2015-08-20 | アレグロ・マイクロシステムズ・エルエルシー | ピークおよびしきい値検出器を備えたギヤ歯センサー |
KR101948576B1 (ko) * | 2012-05-31 | 2019-04-22 | 알레그로 마이크로시스템스, 엘엘씨 | 피크 및 임계값 검출기들을 갖는 기어 톱니 센서 |
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