JP2004354285A - 分取液体クロマトグラフィー用検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ケーシング12内を水平隔壁13で分割したその上側空間部14内に収納されるUV検出器22と、下側空間部15内に収納されるRI検出器52とを、分離カラム側から導入される移動相20が上流側であるUV検出器22のフローセルから下流側であるRI検出器52のフローセルを経て流下する流路16を形成して配設するとともに、UV検出器22は、低圧水銀ランプからなる光源と、該光源側から試料側スリットを通過させた紫外線と直面する前記フローセルと、該フローセルを経た透過光を受光する試料側受光部と、前記光源側から対照側スリットを通過させた紫外線を直に受光する対照側受光部とをボックス23内に設置して形成される光学系25と、ファン45で空冷される電源部38とで構成した。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、示差屈折率検出器と紫外吸光検出器とを同じケーシング内にコンパクト化して組み込むことにより分取用として好適に使用することができるようにした分取液体クロマトグラフィー用検出装置に関する技術である。
【0002】
【従来の技術】
液体クロマトグラフを構成する検出器は、示差屈折率検出器などのように溶液物性型の汎用型のものと、紫外吸光検出器などのような溶質物性型の特異型のものとに大別することができる。
【0003】
このうち、汎用型のひとつである示差屈折率検出器については、分析精度を高感度化するために、溶媒の微小な温度変化や流量(圧力)変化などの外的要因を少なくしてやる必要があった。
【0004】
示差屈折率検出器に関しては、このような制約があるものの、分取用として好適に使用することができ、かつ、全体を軽量コンパクト化したものも既に提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2791970号公報(段落番号「0036」〜「0037」、図1)
【0006】
また、特異型のひとつである紫外吸光検出器については、移動相溶媒の温度変化や流量の脈動などの外部要因の変動による影響を受け難いことから、容易に高感度化できる特長があるものの、物質に紫外線吸収性がない場合や特定波長に依存しない場合などには適用できない難点があった。
【0007】
一方、分取液体クロマトグラフィーにおいては、移動相溶媒の状況に応じて紫外吸光検出器と示差屈折率検出器とを使い分けることにより、分取作業をより円滑に行いたいとする要請がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、わずかな温度変化であっても分析精度に大きな影響がでる示差屈折率検出器にあっては、ケーシングの容積自体を相当程度に大きなものとしない限り、光源が大きな熱源となっている紫外吸光検出器を同じケーシング内に収納することはできず、したがって、両者を同じケーシング内に収納しようとすると大型化と重量化とを招いてしまう不都合があった。
【0009】
本発明は、従来技術にみられた上記課題に鑑み、示差屈折率検出器と紫外吸光検出器とを同じ一つのケーシング内にコンパクト化して組み込むことにより、操作性の向上と低価格化とを実現しつつ分取用として好適に使用することができる分取液体クロマトグラフィー用検出装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであり、ケーシング内を水平隔壁により上下方向に分割したその上側空間部内に収納される紫外吸光検出器と、下側空間部内に収納される示差屈折率検出器とを、分離カラムを経て導入される移動相が上流側である前記紫外吸光検出器のフローセルから下流側である前記示差屈折率検出器のフローセルを経て流下する流路を形成して配設するとともに、前記紫外吸光検出器は、10ワット以下の低圧水銀ランプからなる光源と、該光源側から試料側スリットを通過させた紫外線とその光軸方向で直面する前記フローセルと、該フローセルを経た透過光を受光する試料側受光部と、前記光源側から対照側スリットを通過させた紫外線を直に受光する対照側受光部とを断熱シートを内張したボックス内に設置して形成される光学系と、前記ボックス外に空冷を自在に配設されて前記光源のための安定化電源回路を形成する電源部とを少なくとも具備させて配設したことに特徴がある。
【0011】
この場合、紫外吸光検出器の前記フローセルは、開口部を設けた枠状ガラス部を中央に配置し、前記開口部の一方の開口面側には一側ガラス部を、他方の開口面側には他側ガラス部をそれぞれ一体的に封着して中空部を形成するとともに、該中空部に対する移動相の流入と流出とを自在にして形成するのが好ましい。
【0012】
また、前記電源部は、前記光源の側への交流100Vと、これより低い交流電圧の印加を自在とすべく、スイッチングレギュレータとインバータ回路とトランスとで構成するのが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の概略構成例を模式的に示す説明図であり、分取液体クロマトグラフィー用検出装置11の全体は、水平隔壁13により上下方向に分割形成することで相互間で空気が移動することのない上側空間部14と下側空間部15とを備える、例えば15cm(横幅)×20cm(縦幅)×30cm(奥行)程度の大きさでその前側面12aにオートゼロスイッチ等の必要な操作部を備えてなる鉄板などからなるケーシング12と、上側空間部14内に収納される紫外吸光検出器22と、下側空間部15内に収納される示差屈折率検出器52とで構成さている。
【0014】
また、紫外吸光検出器22と示差屈折率検出器52とは、分離カラム(図示せず)から流下される移動相20を上流側に配置されている紫外吸光検出器22に導入管路17を介して例えば図2に示すフローセル29の側に流入させた後に、下流側に配置されている示差屈折率検出器52の図示しないフローセルの試料側セルへと連通管路18を介してさらに流入させた後、例えばフラクションコレクタ(図示せず)側などへと導出管路19を介して流下させる長さが短い流路16を備えてケーシング12内に配設されている。なお、示差屈折率検出器52のフローセルの対照側セル(図示せず)には、溶媒の流入と流出とを行う図示しない流路が別途形成されている。
【0015】
この場合、紫外吸光検出器22は、鉄板等の適宜の金属材からなる例えば5cm(横幅)×5cm(縦幅)×15cm(奥行)程度の大きさのボックス23内に設置される光学系25と、ボックス23外に配設されて光学系25に給電する電源部38と、該電源部38を含む上側空間部14内を空冷すべくケーシング12の後側面12bに外付けで配設されているファン45とを少なくとも備えて形成されている。
【0016】
このうち、光学系25は、図2に示すように低圧水銀ランプ27からなる光源26と、該光源26側から試料側スリット28を通過させた紫外線27aその光軸方向で直面するフローセル29と、該フローセル29を経た透過光Rを受光する紫外検出用フォトダイオードを用いた試料側受光部35と、光源26側から対照側スリット36を通過させた紫外線27aを直に受光する紫外検出用フォトダイオードを用いた対照側受光部37とを例えば1mm程度の厚さのゴムシートなどからなる断熱シート24を内張したボックス23内に設置することにより形成されている。
【0017】
この場合、光源26である低圧水銀ランプ27には、10ワット以下、例えば4ワットで254nmの単波長の光を発するサイズの小さいものが用いられている。また、試料側スリット28と対照側スリット36とは、相互を例えば1cm程度離間させて形成されている。
【0018】
しかも、石英ガラス材からなるフローセル29は、図3に示すように開口部32を設けた枠状ガラス部31を中央に配置し、開口部32の一方の開口面32a側には一側ガラス部33を、他方の開口面32b側には他側ガラス部34をそれぞれ一体的に溶着して液密状に封着することで形成されている。
【0019】
この場合、枠状ガラス部31は、その開口部32側と外側から連通する導入通孔31aと、該導入通孔31aとは反対側に位置して開口部32側から外側へと連通させた導出通孔31bとを備えている。
【0020】
このため、枠状ガラス部31と一側ガラス部33と側ガラス部34とを一体的に封着した際にその内部に形成される中空部30は、導入通孔31aと導出通孔31bとを介して外部と連通させることができるので、導入通孔31aには導入管路17を、導出通孔31bには連通管路18をそれぞれ接続することにより、図示しない分離カラム側からの移動相20の流入と示差屈折率検出器52の図示しないフローセル側への流出とが自在となって形成されることになる。
【0021】
また、電源部38は、ボックス23内の光源26のための安定化電源回路を形成すべく配設されるものであり、光源26である低圧水銀ランプ27のフィラメントFに交流100Vと、これより低い交流電圧、例えば交流20Vの電圧を選択的に印加することができるようになっている。図3は、電源部38の具体的な構成例を示す回路説明図であり、交流100Vを直流に変換するスイッチングレギュレータ39と、NPNトランジスタ42を備えて直流を交流に変換するインバータ回路40と、該インバータ回路40を介して得られた交流電圧を所望する高周波の交流電圧に変圧するトランス41とで構成されている。
【0022】
一方、小型な示差屈折率検出器52については、本発明の出願人が特許権者である特許第2791970号に係る「液体クロマトグラフィー用示差屈折率検出装置」などを好適に用いることができるので、その具体的な構成については説明を省略する。
【0023】
次に、本発明の作用効果を説明すれば、紫外吸光検出器22と示差屈折率検出器52とは、水平隔壁13を介してケーシング12内に分割形成される上側空間部14と下側空間部15とに各別となってそれぞれが収納されている。
【0024】
したがって、わずかな温度変化であっても分析精度に大きな影響がでる示差屈折率検出器52は、光源26である低圧水銀ランプ27が大きな発熱源となっている紫外吸光検出器22に対し、水平隔壁13を介してその下方に位置させておくことができる結果、光源26の発熱による上側空間部14内の昇温の影響を受け難くして下側空間部15内に配置することができる。
【0025】
しかも、水平隔壁13を介して示差屈折率検出器52の上方に位置することになる紫外吸光検出器22は、その光学系25を構成している光源26としての低圧水銀ランプ27が10ワット以下、例えば4ワットであるばかりでなく、光学系25の全体も断熱シート24を内張したボックス23内に設置されていることから、ボックス23を除く上側空間部14内の昇温もそれだけ効果的に抑制することができる。
【0026】
また、紫外吸光検出器22を構成している電源部38は、光源26として用いる低圧水銀ランプ27が10ワット以下、例えば4ワットであることもあって、スイッチングレギュレータ39とインバータ回路40と小型で発熱量の少ないトランス41との組合せのもとで、例えば20,000Hz程度の高周波の安定化電源回路を形成することができるようになっている。このため、光源26として用いる低圧水銀ランプ27は、長期にわたり安定して使用することができる長寿命化を実現することができる。
【0027】
このため、上側空間部14内の昇温は、電源部38自体からの発熱を抑制できるばかりでなく、外付けのファン45により上側空間部14内を空冷できることとも相俟って、より効果的に抑制することができる。
【0028】
したがって、紫外吸光検出器22と示差屈折率検出器52とを備えているにも拘わらず、拡散の少ない短い流路16長のもとでコンパクトで操作性と性能とに優れているばかりでなく、低価格化をも実現した分取液体クロマトグラフィー用検出装置11として好適に用いることができる。このため、分取液体クロマトグラフィー用検出装置11から取得される検出信号は、分取液体クロマトグラフの構成各部、例えばフラクションコレクタを駆動するための自動制御信号として効果的に利用することができる。
【0029】
以上は、本発明の実施形態を図示例に即して説明したものであり、その具体的な実施の形態例はこれに限定されるものではない。例えば、光源26としての低圧水銀ランプ27は、10ワット以下の適宜のワット数のものを所望に応じ用いることができる。また、フローセル29自体の構造についても、構造が簡単で小型のものでさえあれば、図示例以外の適宜の構造を備えているものを採用することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、水平隔壁を介してケーシング内に分割形成される上側空間部には紫外吸光検出器を、下側空間部には示差屈折率検出器をそれぞれ各別に収納したので、示差屈折率検出器は、光源が大きな発熱源となっている紫外吸光検出器に対し、水平隔壁を介してその下方に位置させておくことができる結果、光源の発熱による上側空間部内の昇温の影響を受け難くして下側空間部内に配置することができる。
【0031】
しかも、紫外吸光検出器は、その光学系を構成している光源としての低圧水銀ランプが10ワット以下であるばかりでなく、光学系の全体も断熱シートを内張したボックス内に隔離して設置されていることから、ボックスを除く上側空間部内の昇温もそれだけ効果的に抑制することができる。
【0032】
また、紫外吸光検出器の電源部をスイッチングレギュレータとインバータ回路と小型で発熱量の少ないトランスとの組合せとすることで、安定化電源回路が形成できるようにしてある場合には、上側空間部内の昇温は、電源部自体からの発熱を抑制できるばかりでなく、上側空間部内を空冷できることとも相俟って、より効果的に抑制することができる。
【0033】
したがって、紫外吸光検出器と示差屈折率検出器とを備えているにも拘わらず、拡散の少ない短い流路長のもとでコンパクトで操作性と性能とに優れているばかりでなく、低価格化をも実現した分取液体クロマトグラフィー用検出装置として好適に用いることができる。また、該分取液体クロマトグラフィー用検出装置から取得される検出信号は、分取液体クロマトグラフの構成各部を駆動するための自動制御信号として効果的に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概略構成例を模式的に示す説明図。
【図2】本発明の紫外吸光検出器が備える光学系の構成例を模式的に示す説明図。
【図3】本発明において紫外吸光検出器の光学系を構成しているフローセルの構造例を示す分解斜視図。
【図4】本発明における紫外吸光検出器の光源のための電源部の構成例を示す説明図。
【符号の説明】
11 分取液体クロマトグラフィー用検出装置
12 ケーシング
12a 前側面
12b 後側面
13 水平隔壁
14 上側空間部
15 下側空間部
16 流路
17 導入管路
18 連通管路
19 導出管路
20 移動相
22 紫外吸光検出器
23 ボックス
24 断熱シート
25 光学系
26 光源
27 低圧水銀ランプ
27a 紫外線
28 試料側スリット
29 フローセル
30 中空部
31 枠状ガラス部
31a 導入通孔
31b 導出通孔
32 開口部
32a,32b 開口面
33 一側ガラス部
34 他側ガラス部
35 試料側受光部
36 対照側スリット
37 対照側受光部
38 電源部
39 スイッチングレギュレータ
40 インバータ回路
41 トランス
42 NPNトランジスタ
45 ファン
52 示差屈折率検出器
F フィラメント
R 透過光
Claims (3)
- ケーシング内を水平隔壁により上下方向に分割したその上側空間部内に収納される紫外吸光検出器と、下側空間部内に収納される示差屈折率検出器とを、分離カラムを経て導入される移動相が上流側である前記紫外吸光検出器のフローセルから下流側である前記示差屈折率検出器のフローセルを経て流下する流路を形成して配設するとともに、
前記紫外吸光検出器は、10ワット以下の低圧水銀ランプからなる光源と、該光源側から試料側スリットを通過させた紫外線とその光軸方向で直面する前記フローセルと、該フローセルを経た透過光を受光する試料側受光部と、前記光源側から対照側スリットを通過させた紫外線を直に受光する対照側受光部とを断熱シートを内張したボックス内に設置して形成される光学系と、前記ボックス外に空冷を自在に配設されて前記光源のための安定化電源回路を形成する電源部とを少なくとも具備させて配設したことを特徴とする分取液体クロマトグラフィー用検出装置。 - 紫外吸光検出器の前記フローセルは、開口部を設けた枠状ガラス部を中央に配置し、前記開口部の一方の開口面側には一側ガラス部を、他方の開口面側には他側ガラス部をそれぞれ一体的に封着して中空部を形成するとともに、該中空部に対する移動相の流入と流出とを自在にして形成した請求項1に記載の分取液体クロマトグラフィー用検出装置。
- 前記電源部は、前記光源の側への交流100Vと、これより低い交流電圧の印加を自在とすべく、スイッチングレギュレータとインバータ回路とトランスとで構成した請求項1または2に記載の分取液体クロマトグラフィー用検出装置。
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