JP2004354261A - X線回折の散乱ベクトルの動的表示方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】X線回折の測定条件の変化に伴ってX線回折の散乱ベクトルHの先端位置が移動するときの動的な様子とその軌跡を,試料10の結晶の逆格子空間を表現する表示画面上に2次元的にまたは3次元的に表示する。これにより,散乱ベクトルHの先端位置を動的に把握でき,測定条件が変化することに伴うX線回折現象を容易に把握することができる。したがって,測定条件の検討や測定結果の評価が容易になる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はX線回折の散乱ベクトルの先端位置の動きを動的に表示する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
X線回折の散乱ベクトルは,X線回折現象を理論的に説明するために導入された概念であり,X線回折現象を理解するのに役に立つ。そして,実際のX線回折測定においても,測定条件の検討や測定結果の解釈等の場面で役に立っている。このように有用な概念ではあるが,散乱ベクトルは,X線源と試料とX線検出器との相対位置関係から定まる仮想的な存在であるから,その方向や大きさは目に見えない。
【0003】
そこで,このような散乱ベクトルを画面上に表示できるようにした技術が開発されて,これが次の特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−39409号公報
【0005】
この特許文献1は,X線回折の測定条件を設定すると,逆格子空間を表現する画面上に,散乱ベクトルを表示することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献1は逆格子空間を表現する画面上に散乱ベクトルを表示することはできるが,散乱ベクトルが動く状態やその軌跡を表示するものではない。X線回折測定を実施する場合には,ひとつの測定条件について回折X線の強度を検出するような状況はそれほど多くない。たいていの場合,測定条件を変えて複数の回折強度情報を入手して,それらを組み合わせることで何らかの解析や評価をする手法が多い。したがって,測定条件が変化するのに応じて散乱ベクトルがどのように変化するかを把握できれば,測定条件の検討や測定結果の評価に非常に役立つはずであるが,そのようなことを可能にした装置は見当たらない。
【0007】
そこで,この発明の目的は,X線回折の散乱ベクトルを動的に表示できる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は,X線回折の測定条件の変化に伴ってX線回折の散乱ベクトルの先端位置が移動するときの動的な様子とその軌跡を,試料の結晶の逆格子空間を表現する表示画面上に2次元的にまたは3次元的に表示することを特徴とするものである。これにより,散乱ベクトルの先端位置を動的に把握でき,測定条件が変化することに伴うX線回折現象を容易に把握することができる。したがって,測定条件の検討や測定結果の評価が容易になる。
【0009】
このような動的表示方法は,X線回折測定と同時にリアルタイムに実施すれば効果的である。これにより,現在,どのような回折測定を実施しているのかを,視覚的に把握できる。
【0010】
また,動的なシミュレーションにも使える。すなわち,測定条件設定装置にオペレータが測定条件を入力して,その測定条件を制御装置が取得して,それに基づいて制御装置が仮想的に散乱ベクトルを表示画面上で動かす,というような使い方もできる。しかも,X線検出器や試料の動き(これは目に見える)ではなくて,X線回折現象そのものを表す散乱ベクトル(これは目に見えない)について,これを逆格子空間上で動的に示すものであるから,測定条件の検討に非常に適している。また,このような動的シミュレーションは,X線回折に詳しくない人に対して,X線回折現象を視覚的に見せる上でも効果的である。
【0011】
測定条件設定装置から測定条件を取得する別の場合として,すでに測定が終了した測定条件について,これを取得して散乱ベクトルを動的に表示するということも可能であり,これは測定結果の理解に役立つ。
【0012】
散乱ベクトルの先端位置の軌跡を表示するに当たっては,回折X線の強度情報を付け加えることも有用である。例えば,軌跡の色または太さを変えることで強度情報を画面上で表現できる。
【0013】
さらに,逆格子点の位置を前記軌跡に重ね合わせて表示することも有用である。散乱ベクトルの先端位置が逆格子点に一致すると,その逆格子点に対応する格子面で回折現象が生じる,というのがX線回折の理論であるから,逆格子点の位置情報を画面に重ね合わせることで,前記軌跡上でX線回折が生じるかどうかを画面上で判断できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に,本発明の実施形態を図面を参照して説明する。まず,散乱ベクトルの説明をする。図1はX線回折における散乱ベクトルの説明図である。試料10の表面にX線12が入射して,そこから回折X線14が出て行くことを考える。入射X線12が試料10の表面に対してなす角度(入射角)をωと定義する。回折X線14が入射X線12に対してなす角度(回折角)は2θである。X線回折の測定を行う場合には,入射X線12がX線源16からやってくることになり,回折X線14はX線検出器18で検出されることになる。
【0015】
試料10を構成する結晶の逆格子空間を用いてX線回折現象を説明すると,次のようになる。入射X線12の方向に単位ベクトルS0をとり,回折X線14の方向に単位ベクトルSをとる。良く知られているように,入射X線ベクトルをS0/λとし,回折X線ベクトルをS/λとすると,回折X線ベクトルから入射X線ベクトルをベクトル的に引き算したものが散乱ベクトルHとなる。ここで,λはX線の波長である。散乱ベクトルHの先端が逆格子空間の格子点に一致すると,その格子点に対応する実格子面20(現実の空間での結晶の格子面)でX線回折が生じる,というのがX線回折の理論である。散乱ベクトルHの方向は実格子面20に垂直であり,散乱ベクトルHの大きさは実格子面20の格子面間隔の逆数に等しい,という性質がある。散乱ベクトルHの方向は,試料10の表面の法線22からの傾きξで表すことができる。
【0016】
図2は本発明の動的表示方法を極図形測定に適用したときの表示画面の一例である。この表示画面は試料10の結晶の逆格子空間を示しており,逆格子の座標軸qx,qy,qzによって3次元空間が表現される。試料結晶の結晶構造が正方晶系または立方晶系の場合は,逆格子空間は3次元の直交座標系となる。このとき,試料表面の法線方向にqz軸をとり,試料の表面上にqx軸とqy軸をとるようにしている。
【0017】
極図形を測定するときは,試料10に対してX線回折光学系(入射X線12と回折X線14)を図に示す角度αの方向に傾斜させるような条件設定と,X線回折光学系を試料10の法線(qz軸に一致する)回りに角度βだけ回転させるような条件設定との組み合わせを用いる。図2では,入射X線12に対する回折X線14の角度(回折角2θ)は60度に設定している。そして,αを0度(散乱ベクトルHが試料表面の法線に一致した状態)から30度まで10度間隔の測定刻みで設定し,βについては0度から360度まで5度間隔の測定刻みで設定している。図2は,これらのαとβを組み合わせた測定条件について,その散乱ベクトルの先端の移動軌跡を太い実線で示している。
【0018】
次に,散乱ベクトルの先端位置の動きを具体的に説明する。図6は図2の表示画面の一部を拡大したものである。測定のスタート時は,散乱ベクトルHの先端位置はa点にある。まず,この位置でX線回折測定を実施し(すなわち,回折X線の強度を検出し),次に,X線回折光学系を試料に対して相対的に傾斜させて(現実の装置では,X線光学系を静止させておいて試料を傾斜させることもある),角度αを10度にする。このとき,散乱ベクトルHの先端位置はb点に来る。次に,この角度αを固定した状態で,βを0度から360度まで5度刻みでステップ移動させて,72個のβ値についてX線回折測定を実施する。この測定の期間中,散乱ベクトルHは,α=10度を保ったまま,座標軸qzの回りを1回転する。そして,b点に戻ってくる。次に,α=20度に設定して,同様に,βを5度刻みでX線回折測定を実施する。図6は,α=0度から30度までの測定を完了した状態での散乱ベクトルHの先端の軌跡を示している。これを説明すると,散乱ベクトルHの先端位置は,a点からスタートして,b点に移り,qzの回りを1回転してb点に戻り,次にc点に移り,qzの回りを1回転してからc点に戻り,次にd点に移り,qzの回りを1回転してd点に戻り,ここで測定が終了する。
【0019】
このように,この実施形態によれば,極図形の測定の最中に,散乱ベクトルHの先端位置が動いていく様子が画面にリアルタイムに表示され,かつ,その軌跡が表示画面中に残って表示されたままの状態となる。したがって,極図形の測定者は,現在,散乱ベクトルの先端位置がどこにあるのかをリアルタイムで把握することができる。
【0020】
また,このような軌跡は,X線回折測定を実施しないときでも,表示画面に表示させることができる。すなわち,上述の角度αとβの組み合わせからなる測定条件を測定条件設定装置に入力して,X線回折測定を実施せずに,散乱ベクトルの先端位置の動きの様子とその軌跡を動的にシミュレーション表示することができる。
【0021】
次に,別の表示例を示す。図3は本発明の動的表示方法を逆格子マップ測定に適用したときの表示画面の一例である。この例では,試料表面に垂直な平面内での逆格子マップ(以下,アウト・オブ・プレーンの逆格子マップと呼ぶ)の測定と,試料面内での逆格子マップ(以下,イン・プレーンの逆格子マップと呼ぶ)の測定とを,一連の動作で測定する場合について,散乱ベクトルの動きの様子とその軌跡を動的に表示している。測定条件を説明すると,アウト・オブ・プレーンの逆格子マップ測定では,逆格子マップの中心位置を2θ=60度,ω=20度に設定している。測定範囲は,2θ/ωを50度から70度までを2度刻みに,Δωについてはマイナス10度からプラス10度までを2度刻みに設定している。ωと2θの定義は図1に示している。一方,イン・プレーンの逆格子マップ測定では,逆格子マップの中心位置を2θχ=60度,φ=20度に設定している。測定範囲は,2θχ/φを50度から70度までを2度刻みに,Δφについてはマイナス10度からプラス10度までを2度刻みに設定している。φは試料の面内回転である。2θχはアウト・オブ・プレーン回折における2θに相当する回折角である。
【0022】
散乱ベクトルHの先端位置はa点からスタートする。a点はΔω=マイナス10度,2θ/ω=50度の地点である。ここから,b点(Δωがa点nに等しく,2θ/ωは70度である)に向かって,2θ/ωを2度刻みで変化させながら(これを2θ/ωスキャンという),合計11回のX線回折測定を実施する。このとき,画面を見ているオペレータは,散乱ベクトルHの先端がa点からb点に向かって延びていくのが見える。このとき,散乱ベクトルHの方向は変化しない。次に,b点からc点にステップ移動する。すなわち,Δωをマイナス8度にして,2θ/ωを50度に戻す。そして,再び,c点から2θ/ωスキャンを実行して,同様に11回のX線回折測定を実施する。このような動作を,Δωについてマイナス10度からプラス10度まで11種類について実施する。アウト・オブ・プレーンの逆格子マップ測定の最終地点はd点になる。測定回数は11×11=121回になる。
【0023】
次に,イン・プレーンの逆格子マップの測定に移る。d点にあった散乱ベクトルHの先端は,大きく移動して,試料面内のe点に移る。このe点はΔφ=マイナス10度,2θχ/φ=50度の地点である。ここから,f点(Δφがe点nに等しく,2θχ/φは70度である)に向かって,2θχ/φを2度刻みで変化させながら(これを2θχ/φスキャンという),合計11回のX線回折測定を実施する。このとき,画面を見ているオペレータは,散乱ベクトルHの先端が試料面内でe点からf点に向かって延びていくのが見える。散乱ベクトルHの方向は変化しない。次に,f点からg点にステップ移動する。すなわち,Δφをマイナス8度にして,2θχ/φを50度に戻す。そして,再び,g点から2θχ/φスキャンを実行して,同様に11回のX線回折測定を実施する。このような動作を,Δφについてマイナス10度からプラス10度まで11種類について実施する。イン・プレーンの逆格子マップ測定の最終地点はh点になる。イン・プレーンの逆格子マップの測定回数も11×11=121回になる。
【0024】
以上で,アウト・オブ・プレーンの逆格子マップ測定とイン・プレーンの逆格子マップ測定の一連の測定が終了する。測定終了後は,散乱ベクトルの先端位置が動いた軌跡が図3に示すように画面に残った状態で表示される。
【0025】
図3において,アウト・オブ・プレーンの逆格子マップ測定だけで終了すれば,散乱ベクトルの先端位置はqy・qz平面内だけを移動することになる。したがって,散乱ベクトルの先端位置の軌跡表示は2次元の逆格子空間表示で足りる。同様に,イン・プレーンの逆格子マップ測定だけを実施する場合は,散乱ベクトルの先端位置はqx・qy平面内だけを移動することになり,やはり2次元の逆格子空間表示で足りる。
【0026】
図4は本発明の動的表示方法をメッシュ測定に適用したときの表示画面の一例である。この例では,試料表面に垂直な平面内でのメッシュ測定(以下,アウト・オブ・プレーンのメッシュ測定と呼ぶ)と,試料面内でのメッシュ測定(以下,イン・プレーンのメッシュ測定と呼ぶ)とを,一連の動作で測定する場合について,散乱ベクトルの動きの様子とその軌跡を動的に表示している。測定条件を説明すると,アウト・オブ・プレーンのメッシュ測定では,メッシュ測定の中心位置をqy=0,qz=0.8にする。測定範囲は,上記中心位置を基準として,Δqyをマイナス0.1からプラス0.1まで0.02刻みで設定し,Δqxもマイナス0.1からプラス0.1まで0.02刻みで設定する。qyとqzの座標単位はオングストロームの逆数である。qxの単位も同様である。一方,イン・プレーンのメッシュ測定では,メッシュ測定の中心位置をqx=0,qy=0.8とする。測定範囲は,上記中心位置を基準として,Δqxをマイナス0.1からプラス0.1まで0.02刻みで設定し,Δqyもマイナス0.1からプラス0.1まで0.02刻みで設定する。
【0027】
散乱ベクトルHの先端位置はa点からスタートする。a点はΔqy=マイナス0.1,Δqz=マイナス0.1の地点である。ここから,b点(Δqzがa点に等しくて,Δqyはプラス0.1である)に向かって,Δqyを0.02刻みで変化させながら(qyスキャンという),合計11回のX線回折測定を実施する。このとき,画面を見ているオペレータは,散乱ベクトルHの先端がa点からb点に向かって右方向に水平に移動するのが見える。次に,b点からc点にステップ移動する。すなわち,Δqzをマイナス0.08にして,Δqyをマイナス0.1に戻す。そして,再び,c点からqyスキャンを実行して,同様に11回のX線回折測定を実施する。このような動作を,Δqzについてマイナス0.1からプラス0.1まで11種類について実施する。アウト・オブ・プレーンのメッシュ測定の最終地点はd点になる。測定回数は11×11=121回になる。
【0028】
次に,イン・プレーンのメッシュ測定に移る。d点にあった散乱ベクトルHの先端は,大きく移動して,試料面内にあるe点に移る。このe点はΔqx=マイナス0.01,Δqy=マイナス0.1の地点である。ここから,f点(Δqxがe点に等しくて,Δqyはプラス0.1である)に向かって,Δqyを0.02刻みで変化させながら(これもqyスキャンである),合計11回のX線回折測定を実施する。このとき,画面を見ているオペレータは,散乱ベクトルHの先端が試料面内でe点からf点に向かって右方向に水平に移動するのが見える。次に,f点からg点にステップ移動する。すなわち,Δqxをマイナス0.08にして,Δqyをマイナス0.1に戻す。そして,再び,g点からqyスキャンを実行して,同様に11回のX線回折測定を実施する。このような動作を,Δqxについてマイナス0.1からプラス0.1まで11種類について実施する。イン・プレーンのメッシュ測定の最終地点はh点になる。イン・プレーンのメッシュ測定の測定回数も11×11=121回になる。
【0029】
以上で,アウト・オブ・プレーンのメッシュ測定とイン・プレーンのメッシュ測定の一連の測定が終了する。測定終了後は,散乱ベクトルの先端位置が動いた軌跡が図4に示すように画面に残った状態で表示される。
【0030】
図5は本発明の動的表示方法を3次元メッシュ測定に適用したときの表示画面の一例である。この例では,qxとqyとqzのすべてについて,0.1から0.5まで0.1刻みで設定して,合計で5×5×5=125回のX線回折測定を実施している。qx,qy,qzの座標単位はオングストロームの逆数である。
【0031】
散乱ベクトルHの先端位置はa点からスタートする。a点はqx=0.1,qy=0.1,qz=0.1の地点である。ここから,b点(qyとqzがa点に等しくて,qzは0.5である)に向かって,qxを0.1刻みで変化させながら(qxスキャンという),合計5回のX線回折測定を実施する。次に,b点からc点にステップ移動する。すなわち,qyを0.2にして,qxを0.1に戻す。qzはそのままである。そして,再び,c点からqxスキャンを実行して,同様に5回のX線回折測定を実施する。このような動作を,qyについて0.1から0.5まで5種類について実施する。そして,qzを一定にしたままでの5×5=25回の測定が終了すると,d点に到達する。次に,d点からe点にステップ移動する。e点は,a点と比較して,qzが0.1だけ増加した地点である。以下,同様にして,qzについて0.1から0.5まで5種類について測定を実施する。最終的にf点に到達して測定が終了する。測定回数は125回になる。
【0032】
この3次元メッシュ測定では,測定期間中,画面を見ているオペレータには,散乱ベクトルHの先端が3次元の空間上を規則的に動いていくのが分かる。そして,測定が終了した段階では,散乱ベクトルHの先端位置が動いた軌跡が図5に示すように残って表示される。
【0033】
以上の各種の表示例において,測定条件をスキャンしてX線回折測定を実施する場合に,そのスキャン方法は連続スキャンでもよいし,ステップスキャンでもよい。連続スキャンとは,スキャン方向の角度を変化させながらX線回折測定を実施するものである。一方,ステップスキャンとは,スキャン方向の角度を一時的に固定した状態でX線回折測定を実施するものである。連続スキャンの場合には,測定した回折X線の強度は,測定中に変化する角度の中心位置でのデータとする。
【0034】
本発明を実施するに当たっては,散乱ベクトルの先端位置の動きや軌跡に加えて,逆格子点の位置を重ね合わせて表示してもよい。図7は,図2に示す動的表示画面に逆格子点の位置を重ね合わせた状態を示している。X線回折の理論によれば,散乱ベクトルの先端位置が逆格子点に一致したときに,その逆格子点に対応する格子面で回折が生じることになる。図7のように表示すると,散乱ベクトルの先端位置が逆格子点に接近しているとか,逆格子点をちょうど通過している,などの情報を画面上で読み取ることができるので,X線回折の状態を把握するのに役立つ。
【0035】
図7では,逆格子点26を,逆格子点26を通過する多数の線分24の交点で表現しているが,このような表現方法に限らずに,例えば,逆格子点を黒丸等で表現してもよい。
【0036】
次に,散乱ベクトルの先端位置の軌跡に回折強度情報を付け加えた例を説明する。図8(a)は,回折強度情報に応じて,上記軌跡を表す表示線の太さを変えた例である。回折X線強度が所定の最低値よりも小さい場合(ゼロを含む)は,表示画面の1画素分の太さの線分28で軌跡を表現する。強度が大きくなるにつれて,2画素分の太さの線分30,3画素分の太さの線分32,というように,太さを変えて,軌跡を表示する。これにより,散乱ベクトルの先端位置の軌跡に沿って回折強度情報がどのように変化するかを表示画面で確認することができる。
【0037】
図8(b)は,回折強度情報に応じて,上記軌跡を表す表示線の色を変えた例である。回折X線強度に応じて,第1の色の線分34,第2の色の線分36,第3の色の線分38というように,色を変えることができる。色を変える方法としては,同一の色相で明度だけを変えるグレー・スケール表示にしてもよいし,色相を変えて鮮やかに表現してもよい。
【0038】
【発明の効果】
本発明の動的表示方法によれば,X線回折の測定条件の変化に伴って散乱ベクトルの先端位置の動きを動的に把握することができるので,測定条件の検討や測定結果の評価が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線回折における散乱ベクトルの説明図である。
【図2】本発明の動的表示方法を極図形測定に適用したときの表示画面の一例である。
【図3】本発明の動的表示方法を逆格子マップ測定に適用したときの表示画面の一例である。
【図4】本発明の動的表示方法をメッシュ測定に適用したときの表示画面の一例である。
【図5】本発明の動的表示方法を3次元メッシュ測定に適用したときの表示画面の一例である。
【図6】図2の表示画面の一部を拡大したものである。
【図7】図2に示す動的表示画面に逆格子点の位置を重ね合わせた状態を示すものである。
【図8】回折強度情報に応じて軌跡の太さや色を変えた状態の説明図である。
【符号の説明】
10 試料
12 入射X線
14 回折X線
16 X線源
18 X線検出器
20 実格子面
22 試料表面の法線
Claims (6)
- X線回折の測定条件の変化に伴ってX線回折の散乱ベクトルの先端位置が移動するときの動的な様子とその軌跡を,試料の結晶の逆格子空間を表現する表示画面上に2次元的にまたは3次元的に表示することを特徴とする散乱ベクトルの動的表示方法。
- 請求項1に記載の動的表示方法において,X線回折測定を実施する最中に,前記動的な様子とその軌跡を表示することを特徴とする動的表示方法。
- 請求項1に記載の動的表示方法において,前記測定条件の変化を測定条件設定装置から取得して,その測定条件の変化に基づいて前記動的な様子とその軌跡を表示することを特徴とする動的表示方法。
- 請求項1に記載の動的表示方法において,前記軌跡を回折X線の強度情報と共に表示することを特徴とする動的表示方法。
- 請求項4に記載の動的表示方法において,前記軌跡の色または太さで前記強度情報を表現することを特徴とする動的表示方法。
- 請求項1に記載の動的表示方法において,逆格子点の位置を前記軌跡に重ね合わせて表示することを特徴とする動的表示方法。
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