JP2004353967A - パルス管冷凍機 - Google Patents
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Abstract
【課題】外部環境や運転条件が変化しても常に最適な位相での運転を可能とするパルス管冷凍機を提供することを目的とする。
【解決手段】位相制御を行う細管7を内部に複数の経路7A、7Bで構成し、運転条件や作動流体の挙動に応じてバッファタンク8と連通する細管経路7A、7Bを選択する構成にすることにより、エネルギー効率の高い状態で安定した運転が可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】位相制御を行う細管7を内部に複数の経路7A、7Bで構成し、運転条件や作動流体の挙動に応じてバッファタンク8と連通する細管経路7A、7Bを選択する構成にすることにより、エネルギー効率の高い状態で安定した運転が可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パルス管冷凍機の位相制御に関するもので、特に設定温度や周囲環境などが変化しても、高効率で安定して運転できるパルス管冷凍機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、比較的低温をターゲットとした、冷媒の相変化を用いず作動流体の圧縮・膨張の往復運動により寒冷を得る蓄冷型の冷凍方法として、スターリング冷凍機とGM冷凍機が用いられている。これらは圧力振動源の違いに特徴があり、GM型は回転型の圧縮機により高圧と低圧の圧力源を構成し、バルブ切り替えにより冷凍機に圧力変動を発生させるものである。一方、スターリング冷凍機はシリンダ内を往復するピストンにより直接冷凍機に圧力振動を発生させている。どちらの方式も圧力振動源とは別に、系内の作動流体の移動を制御するディスプレーサと呼ばれるピストンを備えており、蓄冷器の内部を往復運動する作動流体の圧力と変位の位相差を制御することで冷凍を行っている。
【0003】
次に、この蓄冷型冷凍機の動作原理について図6を用いて説明する。図6は蓄冷器内部における作動流体の圧力変動と変位の様子を示したものである。圧力振動源と接続された蓄冷器38の内部には蓄冷材39として粒子もしくは積層メッシュが配置されており、この蓄冷材39が構成する個々の経路の大きさは、作動流体が往復運動する間にこの蓄冷材39と充分熱交換できる程度に狭くなっている。図6(a)、図6(b)それぞれにおいて、右側の図は、ある流体素片40に注目してその動きと圧縮・膨張の様子を模式的に表現したものである。流体素片40を円で表わし、円の大きさが圧縮、膨張の状態を示しており、大きな円が膨張状態を表わし、小さな円が圧縮状態を表わしている。この流体素片40の上下にある直線状のものは蓄冷材39を示しており、上下方向の矢印は蓄冷材39との熱のやり取りを表している。また左側の図は、この流体素片40の変位と圧力の時間変化をグラフ上に示したものである。
【0004】
図6(a)において、作動流体40は右に変位しながら圧縮され、左に変位しながら膨張している。即ち左から右への変位は圧縮過程で、蓄冷材39に対し放熱しながら移動する。逆に右から左への変位は膨張過程で、蓄冷材39から吸熱しながら移動する。従ってこの場合、往復1周期の過程で吸熱と放熱がバランスし作動流体による熱の移動は起こらない。
【0005】
一方、図6(b)では左から右への変位の中間位置で最も圧縮され圧力が最大となり、右から左への変位の中間位置途中で最も膨張している。この場合、往復運動の右半分は膨張過程で吸熱、左半分は圧縮過程で放熱している。従って、1往復のトータルとして右から左に熱の移動(汲み上げ)が発生し、冷凍機として機能することになる。
【0006】
以上の説明から図6(a)のように、単に圧力変動を加えて圧力と位置を同位相で変化させるだけでは熱の移動は起こらず、図6(b)のように(理想的には90度の)位相差を持たせて変化させることで冷凍機として機能する。上で説明したスターリング冷凍機やGM冷凍機では、圧力振動を付与する一方でディスプレーサで作動流体を適切なタイミングで移動させることにより位相差の制御を実現している。
【0007】
近年、この蓄冷型冷凍機においてディスプレーサの替わりに、パルス管と呼ばれる中空管を設けこの中に発生させるガスピストンを利用したパルス管冷凍機の発展が著しい。このパルス管冷凍機では、冷凍部に可動機構であるディスプレーサが不要なため構造が簡単かつ低振動化が図りやすい等の特長をもつ。
【0008】
パルス管冷凍機は1960年代に発見され、当初の第一世代のベーシック型はパルス管の終端を単に閉端としていたため、上で説明した圧力変動と変位の位相差が小さく、スターリング冷凍機やGM冷凍機に比べて冷凍能力が小さく実用に向かないものであった。その後1980年代に、第二世代のオリフィス型として、パルス管の終端にオリフィスとバッファタンクを設けることでより大きな位相差に制御することが可能となり、実用化が進められた。さらにその後、より広範囲に位相を制御できる第三世代と呼ばれる数々の方法が提案され今日に至っている。これら第三世代の中でも特に、第二世代のオリフィスを細管に置き換えたイナータンス型と呼ばれる方式は、構造も簡単であり実用化に向いているものとして注目されている。
【0009】
オリフィス型及びイナータンス型の位相制御機構の動作は電気回路とのアナロジーで考えるとわかりやすく、作動流体の圧力と体積流量をそれぞれ電圧と電流に、細管とバッファタンクをインダクタンス(L)と抵抗(R)、コンデンサ(C)の直列回路に置き換えて説明している。これによると、駆動周波数(ω)が共振周波数(ω0=(LC)−0.5)と等しいとき、圧力−体積変位の位相差が90°となる。ただし、これはこれは細管とパルス管の接続部分での位相差であり蓄冷器内部ではこれよりも位相差は小さくなるので、効率的に冷凍を行うためにはω>ω0となるように細管とバッファタンクの大きさを決める。
【0010】
しかしながら、位相制御機構の特性は細管やバッファタンクのサイズにより決まるため、設定温度や冷凍能力変更に応じて位相差を調整するのが難しいという課題があった。これを解決する方法としては特許文献1に記載の方法がこれまでに知られている。
【0011】
図7に特許文献1に記載されたパルス管冷凍機の概略構成を模式図で示す。蓄冷器41の低温端41Lとパルス管42の低温端42Lとが冷却ステージ44により接続されている。ガス流路45は、蓄冷器41内の空間とパルス管42内の空間とを連通させる。蓄冷器41とパルス管42と冷却ステージ44は真空容器46内に配されている。蓄冷器41の高温端41Hとパルス管42の高温端42Hが真空容器46に固定されている。蓄冷器41の高温端41Hに圧力振動源55が接続されている。ガス輸送路48の一端がパルス管42の高温端42Hに接続されており、その途中部分にオリフィス47が配置されている。ガス輸送路48の他端に4本の分岐路49a〜49dが連結され、それぞれ開閉弁50a〜50bを介して、容量の異なるバッファタンク51a〜51dに接続されている。開閉弁50a〜50bを制御することでバッファタンク51a〜51dの合計容積を変化させることができ、これにより位相制御特性を可変としている。圧力振動源55を運転し、作動ガスの供給と回収を繰返すと、パルス管42の低温端42Lで吸熱が生じ、高温端42Hで発熱が生じる。低温端42Lで吸熱が生じることにより、冷却ステージ44が冷却される。高温端42Hで発生した熱は放熱フィンから放熱される。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−241792号公報(第2−3頁、図1)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の構成では、バッファタンク51a〜51dとそれに対応する開閉弁50a〜50bを複数設ける必要があり、冷凍機全体のサイズが大きくなってしまうという課題を有していた。また、部品点数が多いので、コスト、設計のやり易さの面でも課題があった。
【0014】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、装置の設計が容易で、かつ冷凍負荷や周囲環境などの条件が変化しても、安定して効率的に運転が可能なパルス管冷凍機を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明のパルス管冷凍機は、パルス管の一端に配置された少なくとも細管とバッファタンクから構成され、蓄冷器内部における作動流体の圧力変動と変位の位相を制御する位相制御手段を備え、運転条件に応じて位相制御手段の特性を調整しながら運転するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、作動流体に対し周期的な圧力変動を作用させる圧縮手段と、中空筒状に形成さたパルス管と、圧縮手段に接続され、圧縮・膨張を繰り返しながら往復運動する作動流体との間で交換した熱を蓄積する蓄冷器と、蓄冷器とパルス管の間に配置され、被冷却対象から吸収した熱を作動流体に伝える熱交換器と、パルス管の一端に配置された少なくとも細管とバッファタンクから構成され、蓄冷器内部における作動流体の圧力変動と変位の位相を制御する位相制御手段を備え、運転条件に応じて位相制御手段の特性を調整しながら運転するものである。
【0017】
上記のように構成することで、冷凍負荷や設定温度、周囲環境などの運転条件が変化した場合にも、最適な位相を維持して運転を行うことができる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は請求項1の構成に加え、位相制御手段にはこれを構成する細管の実効的な長さもしくは内径の少なくとも一方を変更する手段を含むように構成するものである。
【0019】
上記のように構成することで、バッファタンクと細管が構成するヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数を変化させるこのができ、結果として圧力変動と変位の位相差を制御することができる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明は請求項2の構成に加え、細管を内部に隔壁を備えた複数の経路から構成し、細管の端部もしくは途中部分にパルス管とバッファタンクを連通する経路をこの複数の経路から選択する経路選択手段を含むように構成するものである。
【0021】
上記のように構成することで、動作させる経路選択により、バッファタンクと細管が構成するヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数を変化させるこのができ、結果として圧力変動と変位の位相差を制御することができる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明は請求項1から3の構成に加え、バッファタンクが細管の一部分をその内部に収容するように構成するものである。
【0023】
上記のように構成することで、細管は外気温度や外力による変形といった影響を受けにくくなる。
【0024】
また、請求項5に記載の発明は請求項3の構成に加え、バッファタンクが細管の一部分をその内部に収容し、細管の内部隔壁による複数の経路がバッファタンク内で分岐してそれぞれ長さが異なるように構成するものである。
【0025】
上記のように構成することで、長さの異なる細管経路をシンプルかつコンパクトにまとめて配置することができる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図1に本発明の実施の形態1におけるパルス管冷凍機の断面図を示す。図1において、リニア圧縮機1の圧縮室23からガス流路2を介して作動流体(ここではヘリウムを使用)は蓄冷器4に導入される。内部に銅メッシュを積層した蓄冷器4と中空円筒に形成したパルス管6は冷却部であるコールドヘッド5で折り返した形で接続している。また、蓄冷器4とパルス管6のコールドヘッド5と逆の端部はフランジ3で保持されており、これはコールドヘッド5を真空断熱により低温に維持する際の真空容器のフランジとしての機能と、リニア圧縮機1から流入する高温ガスの熱及びコールドヘッド5側から流れ込む熱の放熱部としての機能を兼ねている。なお、パルス管6のもう一端は細管7を介してバッファタンク8に連通している。本実施の形態の特徴は、細管7の内部に2本の独立した経路7A、7Bを設け、さらに内部に永久磁石を埋め込んだ電磁バルブ10をパルス管6と細管7の連結部に設け、バッファタンク8と連通する細管経路7A、または7Bもしくはその両方を冷凍機の運転中に選択できるようにした点である。なお、運転条件に応じた経路の選択や電磁バルブの制御には、これらを統括して制御する制御部が必要となるが、図では記載していない。また、細管経路7Aと7Bは隔壁7Xで分離されている。
【0028】
さらに、予めリニア圧縮機1の駆動周波数に応じて最適な位相差となる細管の選択条件をテーブルとして持っておき、冷凍負荷や設定温度に応じて駆動周波数を変更した際にこれに応じて連通する細管経路を7A、7B、7A+7Bの中から選択し、電磁バルブ10を制御する。なお、電磁バルブ10により閉鎖された経路は、バッファタンク8側が開いているだけなのでその容積の一部として働き位相制御の特性に影響を与えることはない。また、電磁バルブ10の位置はパルス管6と細管7の連結部に設けたが、細管7の途中部に設けても良い。
【0029】
上記のように運転条件に応じて位相制御手段の細管7A、7Bの組み合わせを変更することで、冷凍能力に応じてリニア圧縮機1の駆動周波数を制御する場合にもその周波数に応じて常に最適な位相差となるような位相制御を行うことができる。これにより広い冷凍能力にわたってエネルギー効率の高い運転ができる。
【0030】
なお、本実施の形態1ではリニア圧縮機1の駆動周波数に応じて最適な位相を実現する細管経路をテーブルとして記憶しておいて選択するものとしたがこれに限らず、パルス管6内における作動流体(ヘリウム)の圧力と変位を圧力センサ等で検出もしくは推定しながら目標値になるように制御することも可能である。
【0031】
また、本実施の形態1においては細管内の経路を2本とし、しかも開閉のどちらかの状態をとるものとしたがこれに限定されるものではなく、経路数をさらに多くしたり経路の開度まで含めて制御することもでき、これにより位相制御がさらに細かく調整することも可能である。
【0032】
また、本実施の形態1においては圧力振動源としてリニア圧縮機を用いてスターリング型のパルス管冷凍機としたがこれに限定されるものではなく、回転型の圧縮機を用いたGM型冷凍機に適用することも可能である。
【0033】
(実施の形態2)
図2に本発明の実施の形態2におけるパルス管冷凍機の断面図を示す。基本的な構成は実施の形態1と同じであるため繰り返しての説明を避ける。異なる点は、パルス管6と細管7の接続部付近に圧力センサ11、及びリニアピストン21の変位量を検出する変位センサ12をさらに設けていることである。
【0034】
リニア圧縮機1を運転すると系内の作動流体に圧力変動が加えられることになり、これに合わせて圧力センサ11の出力も変動する。リニアピストン21の変位と圧力センサ11の出力を縦軸に、時間を横軸としてプロットした特性例を図3に示す。なお、リニアピストン21の動きについては縦軸上側が圧縮側に変位していることを示している。
【0035】
この図から明らかなようにリニアピストン21の変位とパルス管6の高温端の圧力は時間差Δtに相当する位相差を持って変動しており、電磁バルブ10を制御して連通する細管経路7を変更すると時間差Δtも変化し冷凍能力も変化する。つまり上記の時間差Δtは作動流体の圧力と変位の状態を反映しており、これを所定の値に近づけるように電磁バルブ10を制御することで最適な位相を維持するように冷凍機の運転を行うことが可能である。なお最適となる時間差Δtは装置の構成、特にガス流路2や蓄冷器4の流路抵抗やリニア圧縮機1の駆動周波数等の運転条件に依存するため予め特性の把握が必要となる。
【0036】
上記のようにリニアピストン21の変位と圧力変動の位相差を検出し、これをもとに効率の最適となるように電磁バルブ10を操作することで位相制御を最適化することが可能となる。これにより、冷却対象の負荷や設定温度、または周囲温度などの運転環境が変化した場合にもエネルギー効率の高い状態で冷凍機を運転することが可能となる。
【0037】
なお、本実施の形態2では作動流体の状態を検知するためにリニアピストン21の変位とパルス管6の高温端の圧力を用いたがこれに限定されるものではなく、例えば蓄冷器4の高温端とパルス管6の高温端の2箇所の圧力変動差を利用することも可能である。
【0038】
(実施の形態3)
図4に本発明の実施の形態3におけるパルス管冷凍機のバッファタンクの透視図を示す。バッファタンク以外の構成は図1と同様であり、説明を省略する。
【0039】
本実施の形態3における特徴は、パルス管(図示せず)とバッファタンク8を連結する細管7の露出部分を短くし、細管7として必要な長さは折り曲げてバッファタンク8の内部に収容するものである。
【0040】
上記のように細管7を設置することで、細管長を長くする必要がある場合にも、空いたスペースに長々と引き回すことがなくコンパクトに構成することができる。また、バッファタンク8内に収容されているため外環境に直接曝されることがなく、接触して変形するようなこともないため、信頼性が高く、安定した特性のパルス管冷凍機が得られる。
【0041】
なお、図4では細管7をバッファタンク8の内壁に接しないように配置されているがこれに限らず、壁面に内接させて収容することも可能でり、この場合にはバッファタンクへの放熱性能が向上し細管の温度上昇を抑えることができるという効果も得られる。
【0042】
(実施の形態4)
図5に本発明の実施の形態4におけるパルス管冷凍機のバッファタンクの透視図を示す。バッファタンク以外の構成は図1と同様であり、説明を省略する。
【0043】
本実施の形態4における特徴は、パルス管(図示せず)とバッファタンク8を連結する細管7の露出部分を短くし、細管7として必要な長さは折り曲げてバッファタンクの内部に収容すると共に、細管7を構成する複数の経路7A、7B、7Cをバッファタンク8内部で分岐させ、各細管経路7A、7B、7Cの長さを自由に設定できるようにしたものである。
【0044】
上記のように細管7を設置することで、位相制御の設定範囲を広く取ることができ、より広範囲の運転条件に対し最適な位相差で冷凍機を運転することが可能となる。また、長さの異なる細管7A、7B、7Cをコンパクトかつシンプルに配置できる上に、外環境や接触に対しても影響を受けにくく、信頼性が高く、安定した特性のパルス管冷凍機が得られる。
【0045】
【発明の効果】
上記から明らかなように本発明は、作動流体に対し周期的な圧力変動を作用させる圧縮手段と、中空円筒状に形成され内部に流体を収容するパルス管と、圧縮手段に接続され、圧縮・膨張を繰り返しながら往復運動する作動流体との間で交換した熱を蓄積する蓄冷器と、蓄冷器とパルス管の間に配置され、被冷却対象から吸収した熱を作動流体に伝える熱交換器と、パルス管の一端に配置された少なくとも細管とバッファタンクから構成される位相制御手段を備え、内部に複数の経路を設けた細管から実際に使用する経路を条件に応じて選択できるようにしたもので、冷凍負荷や設定温度、周囲環境などの運転条件が変化した場合にも、適宜位相制御のチューニングを行うことができ、効率の高い条件で、安定して運転を行うことができる。
【0046】
また、本発明はバッファタンクの内部に細管の一部分を収容したもので、コンパクトかつシンプルなパルス管冷凍機が得られる。さらに、外気温度や外力による変形といった外乱に対しても影響を受けにくく、信頼性も向上する。
【0047】
また、本発明はバッファタンクの内部に細管の一部分を収容し、細管を構成する複数の経路をバッファタンク内で分岐してそれぞれ長さを自由に設定できるようにしたものである。
【0048】
これにより、経路選択手段と合わせて、細管の断面積だけでなく長さの変更も可能となり、位相制御の範囲を広く取ることができる。結果としてより広範囲の運転条件に対し効率よく運転できるパルス管冷凍機が得られる。
【0049】
また、細管の長さの異なる部分がバッファタンクの中に収められるので、コンパクトかつシンプルなパルス管冷凍機が得られる。さらに、外気温度や外力による変形といった外乱に対しても影響を受けにくく、信頼性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1を示すパルス管冷凍機の断面図
【図2】本発明の実施の形態2を示すパルス管冷凍機の断面図
【図3】本発明の実施の形態2におけるパルス管冷凍機のピストン変位と圧力変動を示す特性図
【図4】本発明の実施の形態3におけるパルス管冷凍機のバッファタンクを示す透視図
【図5】本発明の実施の形態4におけるパルス管冷凍機のバッファタンクを示す透視図
【図6】従来の蓄冷型冷凍機の動作原理を示す模式図
【図7】従来のパルス管冷凍機を示す断面図
【符号の説明】
1 リニア圧縮機
4 蓄冷器
5 コールドヘッド
6 パルス管
7 細管
8 バッファタンク
10 電磁バルブ
11 圧力センサ
12 変位センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、パルス管冷凍機の位相制御に関するもので、特に設定温度や周囲環境などが変化しても、高効率で安定して運転できるパルス管冷凍機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、比較的低温をターゲットとした、冷媒の相変化を用いず作動流体の圧縮・膨張の往復運動により寒冷を得る蓄冷型の冷凍方法として、スターリング冷凍機とGM冷凍機が用いられている。これらは圧力振動源の違いに特徴があり、GM型は回転型の圧縮機により高圧と低圧の圧力源を構成し、バルブ切り替えにより冷凍機に圧力変動を発生させるものである。一方、スターリング冷凍機はシリンダ内を往復するピストンにより直接冷凍機に圧力振動を発生させている。どちらの方式も圧力振動源とは別に、系内の作動流体の移動を制御するディスプレーサと呼ばれるピストンを備えており、蓄冷器の内部を往復運動する作動流体の圧力と変位の位相差を制御することで冷凍を行っている。
【0003】
次に、この蓄冷型冷凍機の動作原理について図6を用いて説明する。図6は蓄冷器内部における作動流体の圧力変動と変位の様子を示したものである。圧力振動源と接続された蓄冷器38の内部には蓄冷材39として粒子もしくは積層メッシュが配置されており、この蓄冷材39が構成する個々の経路の大きさは、作動流体が往復運動する間にこの蓄冷材39と充分熱交換できる程度に狭くなっている。図6(a)、図6(b)それぞれにおいて、右側の図は、ある流体素片40に注目してその動きと圧縮・膨張の様子を模式的に表現したものである。流体素片40を円で表わし、円の大きさが圧縮、膨張の状態を示しており、大きな円が膨張状態を表わし、小さな円が圧縮状態を表わしている。この流体素片40の上下にある直線状のものは蓄冷材39を示しており、上下方向の矢印は蓄冷材39との熱のやり取りを表している。また左側の図は、この流体素片40の変位と圧力の時間変化をグラフ上に示したものである。
【0004】
図6(a)において、作動流体40は右に変位しながら圧縮され、左に変位しながら膨張している。即ち左から右への変位は圧縮過程で、蓄冷材39に対し放熱しながら移動する。逆に右から左への変位は膨張過程で、蓄冷材39から吸熱しながら移動する。従ってこの場合、往復1周期の過程で吸熱と放熱がバランスし作動流体による熱の移動は起こらない。
【0005】
一方、図6(b)では左から右への変位の中間位置で最も圧縮され圧力が最大となり、右から左への変位の中間位置途中で最も膨張している。この場合、往復運動の右半分は膨張過程で吸熱、左半分は圧縮過程で放熱している。従って、1往復のトータルとして右から左に熱の移動(汲み上げ)が発生し、冷凍機として機能することになる。
【0006】
以上の説明から図6(a)のように、単に圧力変動を加えて圧力と位置を同位相で変化させるだけでは熱の移動は起こらず、図6(b)のように(理想的には90度の)位相差を持たせて変化させることで冷凍機として機能する。上で説明したスターリング冷凍機やGM冷凍機では、圧力振動を付与する一方でディスプレーサで作動流体を適切なタイミングで移動させることにより位相差の制御を実現している。
【0007】
近年、この蓄冷型冷凍機においてディスプレーサの替わりに、パルス管と呼ばれる中空管を設けこの中に発生させるガスピストンを利用したパルス管冷凍機の発展が著しい。このパルス管冷凍機では、冷凍部に可動機構であるディスプレーサが不要なため構造が簡単かつ低振動化が図りやすい等の特長をもつ。
【0008】
パルス管冷凍機は1960年代に発見され、当初の第一世代のベーシック型はパルス管の終端を単に閉端としていたため、上で説明した圧力変動と変位の位相差が小さく、スターリング冷凍機やGM冷凍機に比べて冷凍能力が小さく実用に向かないものであった。その後1980年代に、第二世代のオリフィス型として、パルス管の終端にオリフィスとバッファタンクを設けることでより大きな位相差に制御することが可能となり、実用化が進められた。さらにその後、より広範囲に位相を制御できる第三世代と呼ばれる数々の方法が提案され今日に至っている。これら第三世代の中でも特に、第二世代のオリフィスを細管に置き換えたイナータンス型と呼ばれる方式は、構造も簡単であり実用化に向いているものとして注目されている。
【0009】
オリフィス型及びイナータンス型の位相制御機構の動作は電気回路とのアナロジーで考えるとわかりやすく、作動流体の圧力と体積流量をそれぞれ電圧と電流に、細管とバッファタンクをインダクタンス(L)と抵抗(R)、コンデンサ(C)の直列回路に置き換えて説明している。これによると、駆動周波数(ω)が共振周波数(ω0=(LC)−0.5)と等しいとき、圧力−体積変位の位相差が90°となる。ただし、これはこれは細管とパルス管の接続部分での位相差であり蓄冷器内部ではこれよりも位相差は小さくなるので、効率的に冷凍を行うためにはω>ω0となるように細管とバッファタンクの大きさを決める。
【0010】
しかしながら、位相制御機構の特性は細管やバッファタンクのサイズにより決まるため、設定温度や冷凍能力変更に応じて位相差を調整するのが難しいという課題があった。これを解決する方法としては特許文献1に記載の方法がこれまでに知られている。
【0011】
図7に特許文献1に記載されたパルス管冷凍機の概略構成を模式図で示す。蓄冷器41の低温端41Lとパルス管42の低温端42Lとが冷却ステージ44により接続されている。ガス流路45は、蓄冷器41内の空間とパルス管42内の空間とを連通させる。蓄冷器41とパルス管42と冷却ステージ44は真空容器46内に配されている。蓄冷器41の高温端41Hとパルス管42の高温端42Hが真空容器46に固定されている。蓄冷器41の高温端41Hに圧力振動源55が接続されている。ガス輸送路48の一端がパルス管42の高温端42Hに接続されており、その途中部分にオリフィス47が配置されている。ガス輸送路48の他端に4本の分岐路49a〜49dが連結され、それぞれ開閉弁50a〜50bを介して、容量の異なるバッファタンク51a〜51dに接続されている。開閉弁50a〜50bを制御することでバッファタンク51a〜51dの合計容積を変化させることができ、これにより位相制御特性を可変としている。圧力振動源55を運転し、作動ガスの供給と回収を繰返すと、パルス管42の低温端42Lで吸熱が生じ、高温端42Hで発熱が生じる。低温端42Lで吸熱が生じることにより、冷却ステージ44が冷却される。高温端42Hで発生した熱は放熱フィンから放熱される。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−241792号公報(第2−3頁、図1)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の構成では、バッファタンク51a〜51dとそれに対応する開閉弁50a〜50bを複数設ける必要があり、冷凍機全体のサイズが大きくなってしまうという課題を有していた。また、部品点数が多いので、コスト、設計のやり易さの面でも課題があった。
【0014】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、装置の設計が容易で、かつ冷凍負荷や周囲環境などの条件が変化しても、安定して効率的に運転が可能なパルス管冷凍機を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明のパルス管冷凍機は、パルス管の一端に配置された少なくとも細管とバッファタンクから構成され、蓄冷器内部における作動流体の圧力変動と変位の位相を制御する位相制御手段を備え、運転条件に応じて位相制御手段の特性を調整しながら運転するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、作動流体に対し周期的な圧力変動を作用させる圧縮手段と、中空筒状に形成さたパルス管と、圧縮手段に接続され、圧縮・膨張を繰り返しながら往復運動する作動流体との間で交換した熱を蓄積する蓄冷器と、蓄冷器とパルス管の間に配置され、被冷却対象から吸収した熱を作動流体に伝える熱交換器と、パルス管の一端に配置された少なくとも細管とバッファタンクから構成され、蓄冷器内部における作動流体の圧力変動と変位の位相を制御する位相制御手段を備え、運転条件に応じて位相制御手段の特性を調整しながら運転するものである。
【0017】
上記のように構成することで、冷凍負荷や設定温度、周囲環境などの運転条件が変化した場合にも、最適な位相を維持して運転を行うことができる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は請求項1の構成に加え、位相制御手段にはこれを構成する細管の実効的な長さもしくは内径の少なくとも一方を変更する手段を含むように構成するものである。
【0019】
上記のように構成することで、バッファタンクと細管が構成するヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数を変化させるこのができ、結果として圧力変動と変位の位相差を制御することができる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明は請求項2の構成に加え、細管を内部に隔壁を備えた複数の経路から構成し、細管の端部もしくは途中部分にパルス管とバッファタンクを連通する経路をこの複数の経路から選択する経路選択手段を含むように構成するものである。
【0021】
上記のように構成することで、動作させる経路選択により、バッファタンクと細管が構成するヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数を変化させるこのができ、結果として圧力変動と変位の位相差を制御することができる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明は請求項1から3の構成に加え、バッファタンクが細管の一部分をその内部に収容するように構成するものである。
【0023】
上記のように構成することで、細管は外気温度や外力による変形といった影響を受けにくくなる。
【0024】
また、請求項5に記載の発明は請求項3の構成に加え、バッファタンクが細管の一部分をその内部に収容し、細管の内部隔壁による複数の経路がバッファタンク内で分岐してそれぞれ長さが異なるように構成するものである。
【0025】
上記のように構成することで、長さの異なる細管経路をシンプルかつコンパクトにまとめて配置することができる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図1に本発明の実施の形態1におけるパルス管冷凍機の断面図を示す。図1において、リニア圧縮機1の圧縮室23からガス流路2を介して作動流体(ここではヘリウムを使用)は蓄冷器4に導入される。内部に銅メッシュを積層した蓄冷器4と中空円筒に形成したパルス管6は冷却部であるコールドヘッド5で折り返した形で接続している。また、蓄冷器4とパルス管6のコールドヘッド5と逆の端部はフランジ3で保持されており、これはコールドヘッド5を真空断熱により低温に維持する際の真空容器のフランジとしての機能と、リニア圧縮機1から流入する高温ガスの熱及びコールドヘッド5側から流れ込む熱の放熱部としての機能を兼ねている。なお、パルス管6のもう一端は細管7を介してバッファタンク8に連通している。本実施の形態の特徴は、細管7の内部に2本の独立した経路7A、7Bを設け、さらに内部に永久磁石を埋め込んだ電磁バルブ10をパルス管6と細管7の連結部に設け、バッファタンク8と連通する細管経路7A、または7Bもしくはその両方を冷凍機の運転中に選択できるようにした点である。なお、運転条件に応じた経路の選択や電磁バルブの制御には、これらを統括して制御する制御部が必要となるが、図では記載していない。また、細管経路7Aと7Bは隔壁7Xで分離されている。
【0028】
さらに、予めリニア圧縮機1の駆動周波数に応じて最適な位相差となる細管の選択条件をテーブルとして持っておき、冷凍負荷や設定温度に応じて駆動周波数を変更した際にこれに応じて連通する細管経路を7A、7B、7A+7Bの中から選択し、電磁バルブ10を制御する。なお、電磁バルブ10により閉鎖された経路は、バッファタンク8側が開いているだけなのでその容積の一部として働き位相制御の特性に影響を与えることはない。また、電磁バルブ10の位置はパルス管6と細管7の連結部に設けたが、細管7の途中部に設けても良い。
【0029】
上記のように運転条件に応じて位相制御手段の細管7A、7Bの組み合わせを変更することで、冷凍能力に応じてリニア圧縮機1の駆動周波数を制御する場合にもその周波数に応じて常に最適な位相差となるような位相制御を行うことができる。これにより広い冷凍能力にわたってエネルギー効率の高い運転ができる。
【0030】
なお、本実施の形態1ではリニア圧縮機1の駆動周波数に応じて最適な位相を実現する細管経路をテーブルとして記憶しておいて選択するものとしたがこれに限らず、パルス管6内における作動流体(ヘリウム)の圧力と変位を圧力センサ等で検出もしくは推定しながら目標値になるように制御することも可能である。
【0031】
また、本実施の形態1においては細管内の経路を2本とし、しかも開閉のどちらかの状態をとるものとしたがこれに限定されるものではなく、経路数をさらに多くしたり経路の開度まで含めて制御することもでき、これにより位相制御がさらに細かく調整することも可能である。
【0032】
また、本実施の形態1においては圧力振動源としてリニア圧縮機を用いてスターリング型のパルス管冷凍機としたがこれに限定されるものではなく、回転型の圧縮機を用いたGM型冷凍機に適用することも可能である。
【0033】
(実施の形態2)
図2に本発明の実施の形態2におけるパルス管冷凍機の断面図を示す。基本的な構成は実施の形態1と同じであるため繰り返しての説明を避ける。異なる点は、パルス管6と細管7の接続部付近に圧力センサ11、及びリニアピストン21の変位量を検出する変位センサ12をさらに設けていることである。
【0034】
リニア圧縮機1を運転すると系内の作動流体に圧力変動が加えられることになり、これに合わせて圧力センサ11の出力も変動する。リニアピストン21の変位と圧力センサ11の出力を縦軸に、時間を横軸としてプロットした特性例を図3に示す。なお、リニアピストン21の動きについては縦軸上側が圧縮側に変位していることを示している。
【0035】
この図から明らかなようにリニアピストン21の変位とパルス管6の高温端の圧力は時間差Δtに相当する位相差を持って変動しており、電磁バルブ10を制御して連通する細管経路7を変更すると時間差Δtも変化し冷凍能力も変化する。つまり上記の時間差Δtは作動流体の圧力と変位の状態を反映しており、これを所定の値に近づけるように電磁バルブ10を制御することで最適な位相を維持するように冷凍機の運転を行うことが可能である。なお最適となる時間差Δtは装置の構成、特にガス流路2や蓄冷器4の流路抵抗やリニア圧縮機1の駆動周波数等の運転条件に依存するため予め特性の把握が必要となる。
【0036】
上記のようにリニアピストン21の変位と圧力変動の位相差を検出し、これをもとに効率の最適となるように電磁バルブ10を操作することで位相制御を最適化することが可能となる。これにより、冷却対象の負荷や設定温度、または周囲温度などの運転環境が変化した場合にもエネルギー効率の高い状態で冷凍機を運転することが可能となる。
【0037】
なお、本実施の形態2では作動流体の状態を検知するためにリニアピストン21の変位とパルス管6の高温端の圧力を用いたがこれに限定されるものではなく、例えば蓄冷器4の高温端とパルス管6の高温端の2箇所の圧力変動差を利用することも可能である。
【0038】
(実施の形態3)
図4に本発明の実施の形態3におけるパルス管冷凍機のバッファタンクの透視図を示す。バッファタンク以外の構成は図1と同様であり、説明を省略する。
【0039】
本実施の形態3における特徴は、パルス管(図示せず)とバッファタンク8を連結する細管7の露出部分を短くし、細管7として必要な長さは折り曲げてバッファタンク8の内部に収容するものである。
【0040】
上記のように細管7を設置することで、細管長を長くする必要がある場合にも、空いたスペースに長々と引き回すことがなくコンパクトに構成することができる。また、バッファタンク8内に収容されているため外環境に直接曝されることがなく、接触して変形するようなこともないため、信頼性が高く、安定した特性のパルス管冷凍機が得られる。
【0041】
なお、図4では細管7をバッファタンク8の内壁に接しないように配置されているがこれに限らず、壁面に内接させて収容することも可能でり、この場合にはバッファタンクへの放熱性能が向上し細管の温度上昇を抑えることができるという効果も得られる。
【0042】
(実施の形態4)
図5に本発明の実施の形態4におけるパルス管冷凍機のバッファタンクの透視図を示す。バッファタンク以外の構成は図1と同様であり、説明を省略する。
【0043】
本実施の形態4における特徴は、パルス管(図示せず)とバッファタンク8を連結する細管7の露出部分を短くし、細管7として必要な長さは折り曲げてバッファタンクの内部に収容すると共に、細管7を構成する複数の経路7A、7B、7Cをバッファタンク8内部で分岐させ、各細管経路7A、7B、7Cの長さを自由に設定できるようにしたものである。
【0044】
上記のように細管7を設置することで、位相制御の設定範囲を広く取ることができ、より広範囲の運転条件に対し最適な位相差で冷凍機を運転することが可能となる。また、長さの異なる細管7A、7B、7Cをコンパクトかつシンプルに配置できる上に、外環境や接触に対しても影響を受けにくく、信頼性が高く、安定した特性のパルス管冷凍機が得られる。
【0045】
【発明の効果】
上記から明らかなように本発明は、作動流体に対し周期的な圧力変動を作用させる圧縮手段と、中空円筒状に形成され内部に流体を収容するパルス管と、圧縮手段に接続され、圧縮・膨張を繰り返しながら往復運動する作動流体との間で交換した熱を蓄積する蓄冷器と、蓄冷器とパルス管の間に配置され、被冷却対象から吸収した熱を作動流体に伝える熱交換器と、パルス管の一端に配置された少なくとも細管とバッファタンクから構成される位相制御手段を備え、内部に複数の経路を設けた細管から実際に使用する経路を条件に応じて選択できるようにしたもので、冷凍負荷や設定温度、周囲環境などの運転条件が変化した場合にも、適宜位相制御のチューニングを行うことができ、効率の高い条件で、安定して運転を行うことができる。
【0046】
また、本発明はバッファタンクの内部に細管の一部分を収容したもので、コンパクトかつシンプルなパルス管冷凍機が得られる。さらに、外気温度や外力による変形といった外乱に対しても影響を受けにくく、信頼性も向上する。
【0047】
また、本発明はバッファタンクの内部に細管の一部分を収容し、細管を構成する複数の経路をバッファタンク内で分岐してそれぞれ長さを自由に設定できるようにしたものである。
【0048】
これにより、経路選択手段と合わせて、細管の断面積だけでなく長さの変更も可能となり、位相制御の範囲を広く取ることができる。結果としてより広範囲の運転条件に対し効率よく運転できるパルス管冷凍機が得られる。
【0049】
また、細管の長さの異なる部分がバッファタンクの中に収められるので、コンパクトかつシンプルなパルス管冷凍機が得られる。さらに、外気温度や外力による変形といった外乱に対しても影響を受けにくく、信頼性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1を示すパルス管冷凍機の断面図
【図2】本発明の実施の形態2を示すパルス管冷凍機の断面図
【図3】本発明の実施の形態2におけるパルス管冷凍機のピストン変位と圧力変動を示す特性図
【図4】本発明の実施の形態3におけるパルス管冷凍機のバッファタンクを示す透視図
【図5】本発明の実施の形態4におけるパルス管冷凍機のバッファタンクを示す透視図
【図6】従来の蓄冷型冷凍機の動作原理を示す模式図
【図7】従来のパルス管冷凍機を示す断面図
【符号の説明】
1 リニア圧縮機
4 蓄冷器
5 コールドヘッド
6 パルス管
7 細管
8 バッファタンク
10 電磁バルブ
11 圧力センサ
12 変位センサ
Claims (5)
- 作動流体に対し周期的な圧力変動を作用させる圧縮手段と、中空筒状に形成されたパルス管と、前記圧縮手段に接続され、圧縮・膨張を繰り返しながら往復運動する作動流体との間で交換した熱を蓄積する蓄冷器と、前記蓄冷器とパルス管の間に配置され、被冷却対象から吸収した熱を作動流体に伝える熱交換器と、前記パルス管の一端に配置された少なくとも細管とバッファタンクから構成され、前記蓄冷器内部における作動流体の圧力変動と変位の位相差を制御する位相制御手段を備え、運転条件に応じて前記位相差を調整しながら運転することを特徴とするパルス管冷凍機。
- 位相制御手段はこれを構成する細管の実効的な長さ、もしくは内径の少なくとも一方を変更する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のパルス管冷凍機。
- 位相制御手段を構成する細管は内部に隔壁を備えた複数の経路から構成され、細管の端部もしくは途中部にパルス管とバッファタンクを連通する経路を上記複数の経路から選択する経路選択手段を含むことを特徴とする請求項2に記載のパルス管冷凍機。
- 位相制御手段を構成するバッファタンクは、同じく位相制御手段を構成する細管の一部分をその内部に収容することを特徴とする請求項1から3に記載のパルス管冷凍機。
- 位相制御手段を構成するバッファタンクは、同じく位相制御手段を構成する細管の一部分をその内部に収容し、前記細管の内部隔壁による複数の経路は前記バッファタンク内で分岐してそれぞれ長さを異にすることを特徴とする請求項3に記載のパルス管冷凍機。
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