JP2004353632A - 車両冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気的な制御を行うことなく冷却水の多段制御を可能とすること。
【解決手段】エンジン冷却装置1は、ラジエータ2、サーモスタット3、エンジン4、ウォータポンプ5、車室内の暖房を行うヒータ6及びバルブユニット7を備えている。バルブユニット7は、接続流路12及び第4流路18を流れる冷却水を適宜混合することでサーモスタット3に導流する冷却水を生成し、該冷却水を第1感温流路19に吐出する。接続流路12及び第4流路18を流れる冷却水の流量配分は接続流路12を流れる冷却水の温度に応じて決定される。
【選択図】 図1
【解決手段】エンジン冷却装置1は、ラジエータ2、サーモスタット3、エンジン4、ウォータポンプ5、車室内の暖房を行うヒータ6及びバルブユニット7を備えている。バルブユニット7は、接続流路12及び第4流路18を流れる冷却水を適宜混合することでサーモスタット3に導流する冷却水を生成し、該冷却水を第1感温流路19に吐出する。接続流路12及び第4流路18を流れる冷却水の流量配分は接続流路12を流れる冷却水の温度に応じて決定される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の内燃機関用冷却装置においては、部分負荷時には燃費、排ガス量を考慮して冷却水を高温に制御し、全負荷時には駆動力を考慮し冷却水を低温に制御することが要求されていた。そのためサーモスタットには、電気的に加熱可能な温度源が温度感知体(ワックスエレメント)近傍に設けられ、該温度源にてワックスエレメントを温めることでエンジンから導出された高温の冷却水とラジエータにより冷やされた冷却水の流量配分を制御することでエンジンに供給する冷却水の温度を制御していた。温度源の制御には制御ユニットが用いられており、該制御ユニットは内燃機関の運転状態及び周囲状態に応じて冷却水の制御温度を決定していた(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭56−18018号公報(図4)
【特許文献2】
特開2001−317355号公報(図3、図4)
【特許文献3】
特許第2662187号公報(第4−5頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1〜3のサーモスタットにおいては、温度源を電気的に加熱していたため、冷却水の制御が行われる際にバッテリの電力を消費する。その結果、バッテリを充電するためにオルタネータによる発電を行わなければならず、該発電に伴うエンジン負荷の増大により燃費が悪くなるという問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、電気的な制御を行うことなく冷却水の多段制御を可能とすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、冷媒による冷却を必要とする熱源と、前記冷媒を循環させる循環手段と、前記冷媒を冷却するために該冷媒の熱量を車外へ放熱する放熱手段と、温度差がある少なくとも2箇所の冷媒の流量配分を感温対象物の温度に応じて変化させる制御手段と、前記放熱手段と該放熱手段を迂回する流路とに流れる前記冷媒の流量配分を前記制御手段から流される冷媒の温度に応じて制御する分配手段とを備えた。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は、前記熱源へ供給される冷媒と、前記熱源から排出される冷媒の流量配分を制御する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記制御手段は前記感温対象物の温度を感温する感温部と、少なくとも2箇所の冷媒を導流する流路を開閉する弁体を前記感温部の感温結果に応じて制御するアクチュエータとを備える。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の発明において、前記制御手段は、前記熱源の導出口の冷媒を前記感温対象物として感知する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の発明において、前記制御手段は、前記放熱手段の導出口の冷媒を前記感温対象物として感知する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の発明において、前記制御手段は、前記熱源の側壁を前記感温対象物として感知する。
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、制御手段から流される冷媒の温度を温度差がある少なくとも2箇所の冷媒の流量配分にて制御することで放熱手段と該放熱手段を迂回する流路とに流れる冷媒の流量配分が電気的な制御を用いることなく実現される。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、熱源への導入直前の冷媒と熱源からの導出直後の冷媒とを用いることにより温度が大きく異なる冷媒を確実に得ることができる。従って、温度が大きく異なる冷媒を混合することによって分配手段にて感温される冷媒の温度が広範囲にわたって制御される。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、感温部と弁体とを用いることで容易に流路の調整が行われる。
請求項4に記載の発明によれば、感温対象物を熱源の導出口の冷媒とすることで、放熱手段と放熱手段を迂回する流路との流れる冷媒の流量分配がエンジン負荷に応じ最適に制御される。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、感温対象物を放熱手段の導出口の冷媒とすることで放熱手段と放熱手段を迂回する流路とに流れる冷媒の流量分配がラジエータの冷却効率(車速、外気温)に応じ最適に制御される。
【0015】
請求項6に記載の発明によれば、制御バルブと熱源が一体的に構成された車両冷却装置が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
図1に示すように、車両冷却装置としてのエンジン冷却装置1は、放熱手段としてのラジエータ2、分配手段としてのサーモスタット3、熱源としてのエンジン4、循環手段としての機械駆動式のウォータポンプ(W/P)5、車室内の暖房を行うヒータ6及び制御手段としてのバルブユニット7を備えている。エンジン4は、内燃機関であり、冷媒としての冷却水による冷却を必要とするものである。ラジエータ2には、図示しない冷却ファン、ラジエータキャップ8及びリザーブタンク9が設けられている。冷却ファンは、ラジエータ2への送風により、ラジエータ2内の冷却水を冷却して車外への放熱を行うためのものである。ラジエータキャップ8は、エンジン冷却装置1内を流れる冷却水の圧力を一定に保持するためのものである。リザーブタンク9は、水温変化によって冷却水の体積が大きくなった場合に、冷却水の一部を貯蔵するためのものである。
【0017】
ラジエータ2は、ラジエータ冷却水導入口10及びラジエータ冷却水導出口11を備えている。ラジエータ冷却水導入口10は、接続流路12を介してエンジン4に設けられたエンジン冷却水導出口13に接続されている。ラジエータ冷却水導出口11は、第1流路14を介してサーモスタット3に接続されている。第1流路14にはラジエータ冷却水導出口11側からの冷却水が流れるようになっている。サーモスタット3は、ウォータポンプ5を介してエンジン冷却水導入口15に接続されている。
【0018】
サーモスタット3は、接続流路12から分岐した流路としての第2流路16、前記ヒータ6、第3流路17及び接続流路12を介してエンジン4のエンジン冷却水導出口13に接続されている。従って、第3流路17にはエンジン冷却水導出口13側からの冷却水が流れる。
【0019】
前記ウォータポンプ5は、サーモスタット3の下流側とエンジン4のエンジン冷却水導入口15との間に配置されている。ウォータポンプ5は、エンジン4によって駆動され、エンジン冷却装置1内の冷却水を循環させるための装置となっている。ウォータポンプ5は、第4流路18を介してバルブユニット7に接続されている。第4流路18にはウォータポンプ5から吐出された冷却水が流れるようになっている。
【0020】
接続流路12には、該流路12を流れるエンジン冷却水導出口13側からの冷却水(感温対象物)の温度を感知するバルブユニット7が設けられている。バルブユニット7は、第1感温流路19を介してサーモスタット3に接続されている。バルブユニット7は、接続流路12を介して導入されるエンジン冷却水の温度を感知し、該温度に応じて接続流路12と第4流路18とに流れる冷却水の流量配分を制御する。
【0021】
尚、接続流路12を流れる冷却水はエンジン4にて発生した熱を回収しており、第4流路18を流れる冷却水はエンジン4の内部へ導流する冷却水である。従って、接続流路12を流れる冷却水は、第4流路18を流れるそれに比べて高温になっている。
【0022】
ヒータ6は、第2流路16、サーモスタット3及びウォータポンプ5を介してエンジン4のエンジン冷却水導出口13に接続されている。従って、エンジン4が稼働しているとき、ヒータ6には常時冷却水が流れ、冷却水がヒータ6を通過するときに、熱交換によって車室内の暖房が行われる。
【0023】
サーモスタット3は、エンジン冷却水の温度に応じて第1流路14と第2流路16との流量配分を制御する。本実施形態において、エンジン冷却装置1は、エンジン出口水温を感知して該エンジン出口の冷却水とエンジン入口の冷却水の流量配分をバルブユニット7にて制御し、該バルブユニット7から導出される冷却水の温度を感知して冷却水を分配制御するように構成されている。
【0024】
図2に示すように、バルブユニット7はハウジング20及びアクチュエータとしてのサーモエレメント22を備えている。ハウジング20は略円筒形状に形成されており、一方の開口部が接続流路12の側壁12aに向かって取着されている。側壁12aにはバルブユニット7の取着箇所に第1導流路12bが形成されている。第1導流路12bは内周面が円筒形状となるように形成されており、該第1導流路12b内にサーモエレメント22が配設されている。
【0025】
第1導流路12bはハウジング20の内周面の径と略等しく形成されている。即ち、ハウジング20はその内周面が第1導流路12bの内周面と連続するように側壁12aに取着されている。ハウジング20の他方の開口部は第1感温流路19を介してサーモスタット3に接続されている。
【0026】
ハウジング20には混合室20aが設けられ、の高さ方向略中央には側壁20bに孔が形成されており、該孔の内周面に連続するように導流壁20cがハウジング20の径方向両側に一体に延設されている。導流壁20cの内周面は軸線方向の一方(図2において右方)が第4流路18を介してウォータポンプ5に接続されており、他方(図2において左方)がハウジング20の内部に接続されている。
【0027】
ハウジング20の内部に向かって一体に突出された導流壁20cは、ハウジング20の周方向中心まで延設された後、該ハウジング20の軸線方向片側(図2において上側)に向かって延設されている。導流壁20cの先端は円筒形状に形成されており、その内周面にて第2導流路20dを形成している。第2導流路20dの内周面の描く円は第1導流路12bの内周面が描く円と同軸上に配置されている。
【0028】
サーモエレメント22は、固定部21によって接続流路12を流れる冷却水の温度を感知するように固定されている。固定部21は係止部材23、台座24、支持部材25から構成されている。係止部材23はリング状に形成されており、ハウジング20及び側壁12aにて不動に挟持されている。台座24はリング状の平板にて形成されており、その円環部の内周面に貫挿孔24aが形成されている。台座24は周方向に亘ってその外縁部が係止部材23に差し込まれることで係止部材23に一体に取着されている。
【0029】
台座24には支持部材25が一体に固着されており、該支持部材25には略円柱形状に形成されたサーモエレメント22が貫挿孔24aに貫挿された状態で一体に固着されている。
【0030】
サーモエレメント22は、その軸中心が第1導流路12bと同軸上に配置されている。サーモエレメント22はピストン26、ガイド部27及び水温感温部28によって構成されている。ピストン26は、棒状をなしており、円筒状をなすガイド部27から出没可能に配置されている。ガイド部27及びピストン26は、第1導流路12bと同軸上に配置されている。
【0031】
水温感温部28内には図示しないワックスエレメントが収容されている。ワックスエレメントは、水温感温部28に接触する冷却水の温度に応じて膨張または収縮する。水温感温部28は、前記接続流路12内に突出するように配置されている。従って、水温感温部28は、接続流路12内を流れる冷却水の温度を感温する。
【0032】
ピストン26は、ワックスエレメントの膨張によってガイド部27から突出し、ワックスエレメントの収縮によってガイド部27内に没入するようになっている。ピストン26の先端部には、フレーム29、弁体としての第1弁体部30及びメインシャフト31が一体に取着されている。従って、フレーム29、第1弁体部30及びメインシャフト31はピストン26の出没方向に沿って一体に移動する。
【0033】
フレーム29は略有底筒形状に形成されており、その内周面の径はガイド部27の外周面の径と略等しい大きさに設定されている。フレーム29の内部にはガイド部27が没入するようになっており、ピストン26がガイド部27内に没入すると、その動作に合わせて相対的にガイド部27は摺動フレーム29内に没入する。
【0034】
フレーム29の開口端には径方向外側に向かって突出するフランジ部29aが周方向に亘って形成されている。フランジ部29aと台座24との間には第1リターンスプリング32が介在されている。第1リターンスプリング32は、ワックスエレメントの収縮時にピストン26がガイド部27内に没入するように付勢する。
【0035】
フレーム29とメインシャフト31との間には第1弁体部30が挟持されている。第1弁体部30は略円盤形状に形成されており、その径方向の大きさが貫挿孔24aの径よりも大きく設定されている。
【0036】
メインシャフト31の外縁部には弁体としての第2弁体部33が配置されている。第2弁体部33はリング状の平板にて形成されており、その円環部の径は導流路20dの開口径より大きく形成されている。また、第2弁体部33の円環部の内周面の径はメインシャフト31の外周面をその軸線方向に摺動可能な大きさに設定されている。
【0037】
メインシャフト31の先端には該メインシャフト31の外縁部から径方向外側に突出する摺動規制部31aが配置されている。摺動規制部31aはメインシャフト31の軸線方向に移動不能に取着されており、該摺動規制部31aにて第2弁体部33の軸線方向への摺動を規制している。
【0038】
第1弁体部30と第2弁体部33との間には閉塞スプリング34が介在されている。閉塞スプリング34はメインシャフト31と同心円上に配置され、第1弁体部30と第2弁体部33とを互いに離間する方向に付勢する。
【0039】
第1弁体部30には、同弁体部30の周方向に沿って延びるシール面30aが形成されており、該シール面30aは、台座24に当接するようになっている。このシール面が台座24に当接したとき、接続流路12から第1感温流路19に流れる冷却水が遮断される。この時、第4流路18の開口端と第2弁体部33が離間しており、第4流路18から冷却水が第1感温流路19に流れる。
【0040】
第2弁体部33には、同弁体部33の周方向に沿って延びるシール面33aが形成されており、該シール面33aは、導流路20dの開口端に当接するようになっている。このシール面33aが導流路20dの開口端に当接したとき、第4流路18から第1感温流路19に流れる冷却水が遮断される。この時、台座24から第1弁体部30が離間しており、接続流路12から冷却水が第1感温流路19に流れる。
【0041】
このように形成されたサーモエレメント22は、エンジン出口水温を感知し、ピストン26の出没量を変化させる。このピストン26の出没により、第1弁体部30及び第2弁体部33が移動する。第1弁体部30は、閉状態において第1導流路12bを遮断し、開状態において第1導流路12bからの冷却水をサーモスタット3側に導出させるようになっている。第2弁体部33は、閉状態において第2導流路20dを遮断し、開状態において第2導流路20dからの冷却水をサーモスタット3側に導出させるようになっている。そして、ピストン26の突出時において、開状態となった第1弁体部30のバルブ開度が最大値近傍になると、第2弁体部33が閉状態になる。ピストン26の没入時において、第2弁体部33のバルブ開度が最大値近傍になると、第1弁体部30が閉状態になる。
【0042】
図3に示すように、前記ウォータポンプ5を構成する金属製のハウジング41内には、吸込流路5a及びインペラ収容室42が形成されている。吸込流路5aには第2流路16の開口端が接続されている。吸込流路5aには、前記エンジン4の前記エンジン冷却水導出口13側からバルブユニット7、第3流路17、ヒータ6及び第2流路16を介して流れる冷却水が導入されるようになっている。第2流路16の開口端は、後記するバルブ後流室43の合流部43aの近傍に位置している。
【0043】
インペラ収容室42は吸込流路5aに連通されている。インペラ収容室42内には、回転軸44を中心として回転可能なインペラ45が収容されている。回転軸44はエンジン4の図示しない出力軸に連結されている。よって、インペラ45は、エンジン4の駆動力によって回転することにより、吸込流路5aを流れる冷却水を導入して混合させ、吐出口46に導流するようになっている。
【0044】
吐出口46は、吐出流路5bを介してエンジン4の前記エンジン冷却水導入口15に連通されるとともに、吐出流路5cを介して第4流路18に連通されている。吐出口46はインペラ収容室42と吐出流路5b,5cとの間に配置されている。つまり、吐出口46は、インペラ収容室42の下流側に配置され、吐出流路5b,5cの上流側に配置されている。
【0045】
吐出流路5cは吐出流路5bよりも小径に形成されている。従って、吐出口46から吐出される冷却水は主に吐出流路5bからエンジン冷却水導入口15に導流されており、それ以外の一部が吐出流路5bからバルブユニット7に導流される。
【0046】
前記サーモスタット3は、ハウジング47及びバルブ駆動部48を備えている。ハウジング47は、エンジン4によって高温化した冷却水の温度よりも融点が高い耐熱プラスチック等の合成樹脂によって形成されている。なお、ハウジング47は金属によって形成されていてもよい。ハウジング47の下流側開口端には、前記ウォータポンプ5のハウジング41が接続されている。
【0047】
また、ハウジング47内には第2感温流路49及びメイン流路50が形成されている。メイン流路50はハウジング47内において内側に配置されている。メイン流路50は、前記ラジエータ2の前記ラジエータ冷却水導出口11側から導入される冷却水を、バルブ後流室43に導入するためのものである。バルブ後流室43は、前記吸込流路5aに連通されており、ハウジング41,47において吸込流路5aと同軸上に配置されている。バルブ後流室43は、ハウジング41,47において後記するピストン51の出没方向、即ち後記するバルブ52の作動方向に沿って吸込流路5aと対向配置されている。バルブ後流室43は、同バルブ後流室43に導入された冷却水を吸込流路5aに導入するためのものである。
【0048】
第2感温流路49は、第1感温流路19に連通されており、ハウジング47内においてメイン流路50の外側に配置されている。第2感温流路49は、第1感温流路19よりも下流側に配置されている。第2感温流路49には、前記ウォータポンプ5の前記吐出口46に導流された冷却水の一部が流れるようになっている。第2感温流路49には、エンジン4が稼働している間、冷却水が流れ続けるようになっている。第2感温流路49は、吐出口46からの冷却水を後記する水温感温部53に導流し、水温感温部53に導流された冷却水をバルブ後流室43に導入するためのものである。
【0049】
第2感温流路49は、バルブ後流室43の合流部43aにおいてメイン流路50と合流するようになっている。つまり、合流部43aには第2感温流路49の開口端が位置している。従って、第2感温流路49及びメイン流路50からの冷却水が合流部43aにおいて混合される。合流部43aに導入された冷却水は、前記吸込流路5aにおいて更に前記第2流路16からの冷却水と混合され、ウォータポンプ5を介してエンジン4側へ導出されるようになっている。なお、バルブ後流室43は、ハウジング47の内周面と後記するメインシャフト54の外周面とによって囲まれる部分であり、合流部43aは、バルブ後流室43の周方向における一部分である。
【0050】
前記バルブ駆動部48を構成するサーモエレメント55は、前記ハウジング47内において前記バルブ52に対しメイン流路50側に配置されている。サーモエレメント55はウォータポンプ5の前記回転軸44と同軸上に配置されている。サーモエレメント55は、ピストン51、ガイド部56及び水温感温部53によって構成されている。ピストン51は、棒状をなしており、円筒状をなすガイド部56から出没可能に配置されている。ガイド部56及びピストン51は、メイン流路50内において回転軸44と同軸上に配置されている。ピストン51は、後記するワックスエレメントの膨張によってガイド部56から突出し、ワックスエレメントの収縮によってガイド部56内に没入するようになっている。ピストン51の先端部には、棒状をなすメインシャフト54が、ピストン51の出没方向に沿って移動可能に配設されている。メインシャフト54は、ハウジング47に係止された後記するフレーム57によって摺動可能に支持されている。メインシャフト54は回転軸44と同軸上に配置されている。
【0051】
メインシャフト54の先端側にはフレーム57が設けられている。フレーム57は、ピストン51の出没方向から見てほぼ円形状をなしている。フレーム57の外周部には一対の係止片58が形成されている。各係止片58は、吸込流路5a内において、ハウジング47の内側面から下流側に延びる係止突部59に対して固定されている。
【0052】
フレーム57とバルブ52との間にはリターンスプリング60が介在されている。リターンスプリング60はメインシャフト54と同心円上に配置され、フレーム57及びバルブ52を互いに離間する方向に付勢するようになっている。ここで、フレーム57は係止突部59に固定されているため、ピストン51は、ワックスエレメントの収縮時に第2リターンスプリング60に付勢されて前記ガイド部56内に没入する。
【0053】
メインシャフト54の基端側にはピストン51の出没方向から見て円形状をなすバルブ52が設けられている。バルブ52は、前記バルブ後流室43と前記メイン流路50との連通部分に設けられており、メインシャフト54に対して一体的に固定されている。バルブ52はフレーム57よりも上流側に配置されている。バルブ52は、閉状態においてメイン流路50を遮断し、開状態においてメイン流路50からの冷却水をバルブ後流室43に導出させるようになっている。
【0054】
バルブ52には、同バルブ52の周方向に沿って延びるシール面52aが形成されている。シール面52aは、ハウジング47においてメイン流路50とバルブ後流室43との間の部分に形成される弁座部47aに当接するようになっている。シール面52aが弁座部47aに当接したとき、メイン流路50から合流部43aに流れる冷却水が遮断される。
【0055】
前記サーモエレメント55には、略円筒状をなす前記水温感温部53が設けられている。水温感温部53内には図示しないワックスエレメントが収容されている。ワックスエレメントは、水温感温部53に接触する冷却水の温度に応じて膨張または収縮するようになっている。水温感温部53は、前記第2感温流路49の感温部収容室61内に配置されている。つまり、水温感温部53は、ハウジング47においてメイン流路50の外側に配置されている。水温感温部53は、前記ウォータポンプ5の前記回転軸44と同軸上に配置されている。よって、水温感温部53は、前記第1流路14、メイン流路50及びバルブ後流室43の冷却水の温度に影響を受けないようになっている。
【0056】
次に、このように形成されたエンジン冷却装置1の作用について説明する。
エンジン4の始動時には冷却水が低温であるため、ウォータポンプ5が駆動すると、エンジン4を通過した冷却水は接続流路12、第3流路17及び第2流路16を循環する。この際、接続流路12に導流される冷却水の温度は低温であるため、サーモエレメント22の水温感温部28に収容されたワックスエレメントは収縮し、ピストン26はガイド部27に没入する。従って、第1弁体部30のシール面が台座24に当接し接続流路12から第1感温流路19に流れる冷却水が遮断され、接続流路12から第1感温流路19に冷却水が流れない。
【0057】
第2流路16を流れる冷却水は、吸込流路5a、インペラ収容室42及び吐出口46の順番に通過する。このとき、第2流路16を流れる冷却水と第2感温流路49を流れる冷却水とがインペラ45の回転によって混合される。そして、混合された冷却水はエンジン4に向かって吐出されるとともにその一部は、吐出流路5cから第4流路18を通過してバルブユニット7に導流され、そのまま第1感温流路19に導流される。このようにして第1感温流路19に導流された冷却水はサーモスタット3に配設された水温感温部53によって感温される。また、この場合、サーモスタット3のバルブ52は閉状態にあるため、第1流路14及びラジエータ2に冷却水が流れることはない。
【0058】
その後、エンジン冷却水温が上昇し、水温感温部28に導流される冷却水が冷却水制御温度近傍になると、水温感温部28内のワックスエレメントが膨張することによりサーモエレメント22のピストン26が温度に応じて突出する。
【0059】
このピストン26の突出量によって、第1弁体部30のバルブ開度が大きくなるに伴い第2弁体部33のバルブ開度が小さくなる。従って、サーモスタット3には、第1及び第2弁体部30,33のバルブ開度に応じて流れる冷却水が混合されて供給される。即ち、バルブユニット7は、エンジン出口水温を感知して接続流路12と第4流路18とから第1感温流路19に流れる冷却水の流量配分を制御する。そして、第1弁体部30のバルブ開度が最大値近傍になると、第2弁体部33が閉状態になり、第4流路18を遮断して接続流路12の冷却水をサーモスタット3に流す。
【0060】
第4流路18に流れる冷却水の温度は、接続流路12を流れる冷却水の温度よりも低い。そして、バルブユニット7からサーモスタット3に流出される冷却水の水温は、第1導流路12bと第4流路18から流れる冷却水の流量配分による温度となる。
【0061】
従って、第1感温流路19から吐出される冷却水は、接続流路12内を流れる冷却水の水温が冷却水制御温度よりも低い時には低温側に制御され、接続流路12内を流れる冷却水の水温が冷却制御温度よりも高い時には高温側に制御される。
【0062】
サーモスタット3は、バルブユニット7から感温流路19を介して流入される冷却水の水温を感温してバルブ開度を制御する。接続流路12を流れる冷却水の水温がサーモスタット3における冷却水制御温度近傍になっても、それに比べてバルブ52が弁座部47aから離間しない。従って、冷却水は第3流路17及び第2流路16を循環し、冷却水の温度が早く上昇する。
【0063】
そして、バルブユニット7から感温流路19を介して流入される冷却水の水温が冷却水制御温度近傍になると、サーモスタット3の水温感温部53内のワックスエレメントが膨張することによりサーモエレメント55のピストン51が温度に応じて突出する。そのピストン51の突出量に応じてバルブ52が弁座部47aから離間される。
【0064】
そして、メイン流路50からの冷却水が、ピストン51の出没方向に沿って流れ、吸込流路5a、インペラ収容室42及び吐出口46の順番に通過する。そして、メイン流路50からの冷却水、第2感温流路49からの冷却水及び第2流路16からの冷却水がインペラ45の回転によって混合される。その後、混合された冷却水はエンジン4に向かって吐出されるとともにその一部は、吐出流路5cから第4流路18を通過してバルブユニット7に導流される。
【0065】
そして、ピストン51の突出量によって、バルブ52のバルブ開度が大きくなるのに伴い、第1流路14及びラジエータ2を通過する冷却水の流量は徐々に増加する。よって、エンジン4を通過した冷却水は、第2流路16に加えて第1流路14を循環する。
【0066】
この時、バルブユニット7は、接続流路12内の冷却水温度を感温するため、第1感温流路19に流す冷却水における接続流路12の冷却水の流量配分を多くしている。更に、接続流路12内の冷却水温度が高くなると、バルブユニット7は、第4流路18を第2弁体部33によって遮断する。このため、サーモスタット3の水温感温部53には供給される冷却水の温度は高い温度に保持されるため、サーモエレメント55はバルブ52のバルブ開度を大きい状態に保持する。従って、冷却水はラジエータ2が配設された第1流路14を循環し、該ラジエータ2において冷却水と空気の熱交換が行われ、エンジン4が冷却される。
【0067】
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)バルブユニット7は接続流路12を流れる冷却水の温度が低いときには第1感温流路19に、より温度の低い冷却水を吐出し、接続流路12を流れる冷却水の温度が高いときには第1感温流路19に接続流路12と略同温の冷却水を吐出する。従って、サーモスタット3はエンジン冷却装置1を循環する冷却水の温度が低いときに早く冷却水が温まるように冷却水を循環し、冷却水の温度が高いときに効率よく冷却水を冷却することができる。
【0068】
(2)バルブユニット7は水温感温部28に収容されたワックスエレメントが収縮或いは膨張することでピストン26を介して両弁体部30,33を移動し、第1感温流路19から吐出される冷却水の流量配分を行った。そのため、接続流路12及び第4流路18から第1感温流路19に導流される冷却水の流量配分に応じて第1感温流路19から吐出される冷却水の水温が制御される。従って、電気的な制御を用いることなく第1感温流路19から吐出される冷却水の水温を制御することができる。
【0069】
(3)電気的な制御を用いることなく第1感温流路19から吐出される冷却水の水温を制御することができるため、冷却水の水温を制御するためにバッテリ電圧が用いられることがなく、バッテリ電圧の低下を防ぐことができる。従って、バッテリを充電するためにオルタネータによる発電を行う必要もなく燃費を向上させることができる。
【0070】
(4)第4流路18を流れる冷却水はエンジン4の内部への導流前の冷却水であり、接続流路12を流れる冷却水はエンジン4から導出された直後の冷却水である。そのため、接続流路12を流れる冷却水は第4流路18を流れる冷却水の水温よりも高温となる。従って、両流路12,18の冷却水の流量配分を適宜制御することで、第1感温流路19に導流される冷却水の水温を接続流路12内の冷却水の水温と第4流路18内の冷却水の水温との間で制御することができる。
【0071】
(5)ピストン26の出没はワックスエレメントの膨張及び収縮に基づいて多段階に変化される。従って、接続流路12から第1感温流路19に向かう冷却水の流路と、第4流路18から第1感温流路19に向かう冷却水の流路とが多段階に調整され、第1感温流路19から吐出される冷却水の温度を多段制御することができる。
【0072】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態では、バルブユニット7はエンジン冷却水導入口15の直前と、エンジン冷却水導出口13の直後の2箇所の冷却水を導流し、両冷却水を混合して第1感温流路19に吐出する冷却水を流量配分していた。しかし、バルブユニット7で混合される冷却水が温度の異なる冷却水であればよく、冷却水の導流箇所を他の箇所としてもよい。また、バルブユニット7で混合される冷却水が3箇所以上から導流されるようにしてもよい。
【0073】
・前記実施形態では、水温感温部28内にワックスエレメントが収容されており、該ワックスエレメントの膨張及び収縮によってピストン26が突出されていた。しかし、水温感温部28内の温度の違いに応じて形状が変化しピストン26を突出させることができればよく、例えば水温感温部28内に冷媒の温度によって形状が変化するバイメタルや、形状記憶合金を収容してもよい。
【0074】
・前記実施形態では、バルブユニット7はエンジン冷却水導出口13から吐出された直後の接続流路12内を流れる冷却水の水温を感温して第1感温流路19に吐出する冷却水の水温の制御を行っていた。しかし、バルブユニット7の制御は他の箇所の温度に基づいて行ってもよく、例えばラジエータ冷却水導出口11から吐出された直後の冷却水の水温に基づいてバルブユニット7の制御を行ってもよい。
【0075】
また、エンジン4の側壁にバルブユニットの感温部を一体に形成し、エンジン4の側壁の温度に基づいてバルブユニットの制御を行ってもよい。
・前記実施形態では、サーモエレメント55はウォータポンプ5の回転軸44と同軸上に配置されていたが、サーモエレメント55の中心軸線を、回転軸44の中心軸線に対して斜めに配置してもよいし、垂直に配置してもよい。
【0076】
・前記実施形態では、循環手段としてエンジン4に駆動される機械駆動式のウォータポンプ5が用いられていたが、モータに駆動される電動ウォータポンプを循環手段として用いてもよい。このように構成すれば、エンジン4の駆動力がウォータポンプ5によって消費されるのを防止できるため、エンジン4の燃費向上を図ることができる。
【0077】
・前記実施形態の構成を、熱源としてエンジン4と電動機(モータ)との両方を用いたハイブリッド車に適用してもよい。
・前記実施形態の構成を、エンジン4の代わりにモータを用いるとともに、冷媒による冷却を必要とする熱源として蓄電器(燃料電池)を用いた燃料電池車に適用してもよい。
【0078】
・前記実施形態では、冷媒として冷却水が用いられていたが、例えば低粘度のオイル等を冷媒として用いてもよい。
【0079】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、電気的な制御を行うことなく冷却水の多段制御を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジン冷却装置の概略図。
【図2】バルブユニットの正断面図。
【図3】サーモスタットの正断面図。
【符号の説明】
2…放熱手段としてのラジエータ、3…分配手段としてのサーモスタット、4…熱源としてのエンジン、5…循環手段としてのウォータポンプ、12b…第1導流路、20d…第2導流路、22…サーモエレメント、26…ピストン、28…水温感温部、30…第1弁体部、33…第2弁体部、51…ピストン、55…サーモエレメント。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の内燃機関用冷却装置においては、部分負荷時には燃費、排ガス量を考慮して冷却水を高温に制御し、全負荷時には駆動力を考慮し冷却水を低温に制御することが要求されていた。そのためサーモスタットには、電気的に加熱可能な温度源が温度感知体(ワックスエレメント)近傍に設けられ、該温度源にてワックスエレメントを温めることでエンジンから導出された高温の冷却水とラジエータにより冷やされた冷却水の流量配分を制御することでエンジンに供給する冷却水の温度を制御していた。温度源の制御には制御ユニットが用いられており、該制御ユニットは内燃機関の運転状態及び周囲状態に応じて冷却水の制御温度を決定していた(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭56−18018号公報(図4)
【特許文献2】
特開2001−317355号公報(図3、図4)
【特許文献3】
特許第2662187号公報(第4−5頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1〜3のサーモスタットにおいては、温度源を電気的に加熱していたため、冷却水の制御が行われる際にバッテリの電力を消費する。その結果、バッテリを充電するためにオルタネータによる発電を行わなければならず、該発電に伴うエンジン負荷の増大により燃費が悪くなるという問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、電気的な制御を行うことなく冷却水の多段制御を可能とすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、冷媒による冷却を必要とする熱源と、前記冷媒を循環させる循環手段と、前記冷媒を冷却するために該冷媒の熱量を車外へ放熱する放熱手段と、温度差がある少なくとも2箇所の冷媒の流量配分を感温対象物の温度に応じて変化させる制御手段と、前記放熱手段と該放熱手段を迂回する流路とに流れる前記冷媒の流量配分を前記制御手段から流される冷媒の温度に応じて制御する分配手段とを備えた。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は、前記熱源へ供給される冷媒と、前記熱源から排出される冷媒の流量配分を制御する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記制御手段は前記感温対象物の温度を感温する感温部と、少なくとも2箇所の冷媒を導流する流路を開閉する弁体を前記感温部の感温結果に応じて制御するアクチュエータとを備える。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の発明において、前記制御手段は、前記熱源の導出口の冷媒を前記感温対象物として感知する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の発明において、前記制御手段は、前記放熱手段の導出口の冷媒を前記感温対象物として感知する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の発明において、前記制御手段は、前記熱源の側壁を前記感温対象物として感知する。
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、制御手段から流される冷媒の温度を温度差がある少なくとも2箇所の冷媒の流量配分にて制御することで放熱手段と該放熱手段を迂回する流路とに流れる冷媒の流量配分が電気的な制御を用いることなく実現される。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、熱源への導入直前の冷媒と熱源からの導出直後の冷媒とを用いることにより温度が大きく異なる冷媒を確実に得ることができる。従って、温度が大きく異なる冷媒を混合することによって分配手段にて感温される冷媒の温度が広範囲にわたって制御される。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、感温部と弁体とを用いることで容易に流路の調整が行われる。
請求項4に記載の発明によれば、感温対象物を熱源の導出口の冷媒とすることで、放熱手段と放熱手段を迂回する流路との流れる冷媒の流量分配がエンジン負荷に応じ最適に制御される。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、感温対象物を放熱手段の導出口の冷媒とすることで放熱手段と放熱手段を迂回する流路とに流れる冷媒の流量分配がラジエータの冷却効率(車速、外気温)に応じ最適に制御される。
【0015】
請求項6に記載の発明によれば、制御バルブと熱源が一体的に構成された車両冷却装置が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
図1に示すように、車両冷却装置としてのエンジン冷却装置1は、放熱手段としてのラジエータ2、分配手段としてのサーモスタット3、熱源としてのエンジン4、循環手段としての機械駆動式のウォータポンプ(W/P)5、車室内の暖房を行うヒータ6及び制御手段としてのバルブユニット7を備えている。エンジン4は、内燃機関であり、冷媒としての冷却水による冷却を必要とするものである。ラジエータ2には、図示しない冷却ファン、ラジエータキャップ8及びリザーブタンク9が設けられている。冷却ファンは、ラジエータ2への送風により、ラジエータ2内の冷却水を冷却して車外への放熱を行うためのものである。ラジエータキャップ8は、エンジン冷却装置1内を流れる冷却水の圧力を一定に保持するためのものである。リザーブタンク9は、水温変化によって冷却水の体積が大きくなった場合に、冷却水の一部を貯蔵するためのものである。
【0017】
ラジエータ2は、ラジエータ冷却水導入口10及びラジエータ冷却水導出口11を備えている。ラジエータ冷却水導入口10は、接続流路12を介してエンジン4に設けられたエンジン冷却水導出口13に接続されている。ラジエータ冷却水導出口11は、第1流路14を介してサーモスタット3に接続されている。第1流路14にはラジエータ冷却水導出口11側からの冷却水が流れるようになっている。サーモスタット3は、ウォータポンプ5を介してエンジン冷却水導入口15に接続されている。
【0018】
サーモスタット3は、接続流路12から分岐した流路としての第2流路16、前記ヒータ6、第3流路17及び接続流路12を介してエンジン4のエンジン冷却水導出口13に接続されている。従って、第3流路17にはエンジン冷却水導出口13側からの冷却水が流れる。
【0019】
前記ウォータポンプ5は、サーモスタット3の下流側とエンジン4のエンジン冷却水導入口15との間に配置されている。ウォータポンプ5は、エンジン4によって駆動され、エンジン冷却装置1内の冷却水を循環させるための装置となっている。ウォータポンプ5は、第4流路18を介してバルブユニット7に接続されている。第4流路18にはウォータポンプ5から吐出された冷却水が流れるようになっている。
【0020】
接続流路12には、該流路12を流れるエンジン冷却水導出口13側からの冷却水(感温対象物)の温度を感知するバルブユニット7が設けられている。バルブユニット7は、第1感温流路19を介してサーモスタット3に接続されている。バルブユニット7は、接続流路12を介して導入されるエンジン冷却水の温度を感知し、該温度に応じて接続流路12と第4流路18とに流れる冷却水の流量配分を制御する。
【0021】
尚、接続流路12を流れる冷却水はエンジン4にて発生した熱を回収しており、第4流路18を流れる冷却水はエンジン4の内部へ導流する冷却水である。従って、接続流路12を流れる冷却水は、第4流路18を流れるそれに比べて高温になっている。
【0022】
ヒータ6は、第2流路16、サーモスタット3及びウォータポンプ5を介してエンジン4のエンジン冷却水導出口13に接続されている。従って、エンジン4が稼働しているとき、ヒータ6には常時冷却水が流れ、冷却水がヒータ6を通過するときに、熱交換によって車室内の暖房が行われる。
【0023】
サーモスタット3は、エンジン冷却水の温度に応じて第1流路14と第2流路16との流量配分を制御する。本実施形態において、エンジン冷却装置1は、エンジン出口水温を感知して該エンジン出口の冷却水とエンジン入口の冷却水の流量配分をバルブユニット7にて制御し、該バルブユニット7から導出される冷却水の温度を感知して冷却水を分配制御するように構成されている。
【0024】
図2に示すように、バルブユニット7はハウジング20及びアクチュエータとしてのサーモエレメント22を備えている。ハウジング20は略円筒形状に形成されており、一方の開口部が接続流路12の側壁12aに向かって取着されている。側壁12aにはバルブユニット7の取着箇所に第1導流路12bが形成されている。第1導流路12bは内周面が円筒形状となるように形成されており、該第1導流路12b内にサーモエレメント22が配設されている。
【0025】
第1導流路12bはハウジング20の内周面の径と略等しく形成されている。即ち、ハウジング20はその内周面が第1導流路12bの内周面と連続するように側壁12aに取着されている。ハウジング20の他方の開口部は第1感温流路19を介してサーモスタット3に接続されている。
【0026】
ハウジング20には混合室20aが設けられ、の高さ方向略中央には側壁20bに孔が形成されており、該孔の内周面に連続するように導流壁20cがハウジング20の径方向両側に一体に延設されている。導流壁20cの内周面は軸線方向の一方(図2において右方)が第4流路18を介してウォータポンプ5に接続されており、他方(図2において左方)がハウジング20の内部に接続されている。
【0027】
ハウジング20の内部に向かって一体に突出された導流壁20cは、ハウジング20の周方向中心まで延設された後、該ハウジング20の軸線方向片側(図2において上側)に向かって延設されている。導流壁20cの先端は円筒形状に形成されており、その内周面にて第2導流路20dを形成している。第2導流路20dの内周面の描く円は第1導流路12bの内周面が描く円と同軸上に配置されている。
【0028】
サーモエレメント22は、固定部21によって接続流路12を流れる冷却水の温度を感知するように固定されている。固定部21は係止部材23、台座24、支持部材25から構成されている。係止部材23はリング状に形成されており、ハウジング20及び側壁12aにて不動に挟持されている。台座24はリング状の平板にて形成されており、その円環部の内周面に貫挿孔24aが形成されている。台座24は周方向に亘ってその外縁部が係止部材23に差し込まれることで係止部材23に一体に取着されている。
【0029】
台座24には支持部材25が一体に固着されており、該支持部材25には略円柱形状に形成されたサーモエレメント22が貫挿孔24aに貫挿された状態で一体に固着されている。
【0030】
サーモエレメント22は、その軸中心が第1導流路12bと同軸上に配置されている。サーモエレメント22はピストン26、ガイド部27及び水温感温部28によって構成されている。ピストン26は、棒状をなしており、円筒状をなすガイド部27から出没可能に配置されている。ガイド部27及びピストン26は、第1導流路12bと同軸上に配置されている。
【0031】
水温感温部28内には図示しないワックスエレメントが収容されている。ワックスエレメントは、水温感温部28に接触する冷却水の温度に応じて膨張または収縮する。水温感温部28は、前記接続流路12内に突出するように配置されている。従って、水温感温部28は、接続流路12内を流れる冷却水の温度を感温する。
【0032】
ピストン26は、ワックスエレメントの膨張によってガイド部27から突出し、ワックスエレメントの収縮によってガイド部27内に没入するようになっている。ピストン26の先端部には、フレーム29、弁体としての第1弁体部30及びメインシャフト31が一体に取着されている。従って、フレーム29、第1弁体部30及びメインシャフト31はピストン26の出没方向に沿って一体に移動する。
【0033】
フレーム29は略有底筒形状に形成されており、その内周面の径はガイド部27の外周面の径と略等しい大きさに設定されている。フレーム29の内部にはガイド部27が没入するようになっており、ピストン26がガイド部27内に没入すると、その動作に合わせて相対的にガイド部27は摺動フレーム29内に没入する。
【0034】
フレーム29の開口端には径方向外側に向かって突出するフランジ部29aが周方向に亘って形成されている。フランジ部29aと台座24との間には第1リターンスプリング32が介在されている。第1リターンスプリング32は、ワックスエレメントの収縮時にピストン26がガイド部27内に没入するように付勢する。
【0035】
フレーム29とメインシャフト31との間には第1弁体部30が挟持されている。第1弁体部30は略円盤形状に形成されており、その径方向の大きさが貫挿孔24aの径よりも大きく設定されている。
【0036】
メインシャフト31の外縁部には弁体としての第2弁体部33が配置されている。第2弁体部33はリング状の平板にて形成されており、その円環部の径は導流路20dの開口径より大きく形成されている。また、第2弁体部33の円環部の内周面の径はメインシャフト31の外周面をその軸線方向に摺動可能な大きさに設定されている。
【0037】
メインシャフト31の先端には該メインシャフト31の外縁部から径方向外側に突出する摺動規制部31aが配置されている。摺動規制部31aはメインシャフト31の軸線方向に移動不能に取着されており、該摺動規制部31aにて第2弁体部33の軸線方向への摺動を規制している。
【0038】
第1弁体部30と第2弁体部33との間には閉塞スプリング34が介在されている。閉塞スプリング34はメインシャフト31と同心円上に配置され、第1弁体部30と第2弁体部33とを互いに離間する方向に付勢する。
【0039】
第1弁体部30には、同弁体部30の周方向に沿って延びるシール面30aが形成されており、該シール面30aは、台座24に当接するようになっている。このシール面が台座24に当接したとき、接続流路12から第1感温流路19に流れる冷却水が遮断される。この時、第4流路18の開口端と第2弁体部33が離間しており、第4流路18から冷却水が第1感温流路19に流れる。
【0040】
第2弁体部33には、同弁体部33の周方向に沿って延びるシール面33aが形成されており、該シール面33aは、導流路20dの開口端に当接するようになっている。このシール面33aが導流路20dの開口端に当接したとき、第4流路18から第1感温流路19に流れる冷却水が遮断される。この時、台座24から第1弁体部30が離間しており、接続流路12から冷却水が第1感温流路19に流れる。
【0041】
このように形成されたサーモエレメント22は、エンジン出口水温を感知し、ピストン26の出没量を変化させる。このピストン26の出没により、第1弁体部30及び第2弁体部33が移動する。第1弁体部30は、閉状態において第1導流路12bを遮断し、開状態において第1導流路12bからの冷却水をサーモスタット3側に導出させるようになっている。第2弁体部33は、閉状態において第2導流路20dを遮断し、開状態において第2導流路20dからの冷却水をサーモスタット3側に導出させるようになっている。そして、ピストン26の突出時において、開状態となった第1弁体部30のバルブ開度が最大値近傍になると、第2弁体部33が閉状態になる。ピストン26の没入時において、第2弁体部33のバルブ開度が最大値近傍になると、第1弁体部30が閉状態になる。
【0042】
図3に示すように、前記ウォータポンプ5を構成する金属製のハウジング41内には、吸込流路5a及びインペラ収容室42が形成されている。吸込流路5aには第2流路16の開口端が接続されている。吸込流路5aには、前記エンジン4の前記エンジン冷却水導出口13側からバルブユニット7、第3流路17、ヒータ6及び第2流路16を介して流れる冷却水が導入されるようになっている。第2流路16の開口端は、後記するバルブ後流室43の合流部43aの近傍に位置している。
【0043】
インペラ収容室42は吸込流路5aに連通されている。インペラ収容室42内には、回転軸44を中心として回転可能なインペラ45が収容されている。回転軸44はエンジン4の図示しない出力軸に連結されている。よって、インペラ45は、エンジン4の駆動力によって回転することにより、吸込流路5aを流れる冷却水を導入して混合させ、吐出口46に導流するようになっている。
【0044】
吐出口46は、吐出流路5bを介してエンジン4の前記エンジン冷却水導入口15に連通されるとともに、吐出流路5cを介して第4流路18に連通されている。吐出口46はインペラ収容室42と吐出流路5b,5cとの間に配置されている。つまり、吐出口46は、インペラ収容室42の下流側に配置され、吐出流路5b,5cの上流側に配置されている。
【0045】
吐出流路5cは吐出流路5bよりも小径に形成されている。従って、吐出口46から吐出される冷却水は主に吐出流路5bからエンジン冷却水導入口15に導流されており、それ以外の一部が吐出流路5bからバルブユニット7に導流される。
【0046】
前記サーモスタット3は、ハウジング47及びバルブ駆動部48を備えている。ハウジング47は、エンジン4によって高温化した冷却水の温度よりも融点が高い耐熱プラスチック等の合成樹脂によって形成されている。なお、ハウジング47は金属によって形成されていてもよい。ハウジング47の下流側開口端には、前記ウォータポンプ5のハウジング41が接続されている。
【0047】
また、ハウジング47内には第2感温流路49及びメイン流路50が形成されている。メイン流路50はハウジング47内において内側に配置されている。メイン流路50は、前記ラジエータ2の前記ラジエータ冷却水導出口11側から導入される冷却水を、バルブ後流室43に導入するためのものである。バルブ後流室43は、前記吸込流路5aに連通されており、ハウジング41,47において吸込流路5aと同軸上に配置されている。バルブ後流室43は、ハウジング41,47において後記するピストン51の出没方向、即ち後記するバルブ52の作動方向に沿って吸込流路5aと対向配置されている。バルブ後流室43は、同バルブ後流室43に導入された冷却水を吸込流路5aに導入するためのものである。
【0048】
第2感温流路49は、第1感温流路19に連通されており、ハウジング47内においてメイン流路50の外側に配置されている。第2感温流路49は、第1感温流路19よりも下流側に配置されている。第2感温流路49には、前記ウォータポンプ5の前記吐出口46に導流された冷却水の一部が流れるようになっている。第2感温流路49には、エンジン4が稼働している間、冷却水が流れ続けるようになっている。第2感温流路49は、吐出口46からの冷却水を後記する水温感温部53に導流し、水温感温部53に導流された冷却水をバルブ後流室43に導入するためのものである。
【0049】
第2感温流路49は、バルブ後流室43の合流部43aにおいてメイン流路50と合流するようになっている。つまり、合流部43aには第2感温流路49の開口端が位置している。従って、第2感温流路49及びメイン流路50からの冷却水が合流部43aにおいて混合される。合流部43aに導入された冷却水は、前記吸込流路5aにおいて更に前記第2流路16からの冷却水と混合され、ウォータポンプ5を介してエンジン4側へ導出されるようになっている。なお、バルブ後流室43は、ハウジング47の内周面と後記するメインシャフト54の外周面とによって囲まれる部分であり、合流部43aは、バルブ後流室43の周方向における一部分である。
【0050】
前記バルブ駆動部48を構成するサーモエレメント55は、前記ハウジング47内において前記バルブ52に対しメイン流路50側に配置されている。サーモエレメント55はウォータポンプ5の前記回転軸44と同軸上に配置されている。サーモエレメント55は、ピストン51、ガイド部56及び水温感温部53によって構成されている。ピストン51は、棒状をなしており、円筒状をなすガイド部56から出没可能に配置されている。ガイド部56及びピストン51は、メイン流路50内において回転軸44と同軸上に配置されている。ピストン51は、後記するワックスエレメントの膨張によってガイド部56から突出し、ワックスエレメントの収縮によってガイド部56内に没入するようになっている。ピストン51の先端部には、棒状をなすメインシャフト54が、ピストン51の出没方向に沿って移動可能に配設されている。メインシャフト54は、ハウジング47に係止された後記するフレーム57によって摺動可能に支持されている。メインシャフト54は回転軸44と同軸上に配置されている。
【0051】
メインシャフト54の先端側にはフレーム57が設けられている。フレーム57は、ピストン51の出没方向から見てほぼ円形状をなしている。フレーム57の外周部には一対の係止片58が形成されている。各係止片58は、吸込流路5a内において、ハウジング47の内側面から下流側に延びる係止突部59に対して固定されている。
【0052】
フレーム57とバルブ52との間にはリターンスプリング60が介在されている。リターンスプリング60はメインシャフト54と同心円上に配置され、フレーム57及びバルブ52を互いに離間する方向に付勢するようになっている。ここで、フレーム57は係止突部59に固定されているため、ピストン51は、ワックスエレメントの収縮時に第2リターンスプリング60に付勢されて前記ガイド部56内に没入する。
【0053】
メインシャフト54の基端側にはピストン51の出没方向から見て円形状をなすバルブ52が設けられている。バルブ52は、前記バルブ後流室43と前記メイン流路50との連通部分に設けられており、メインシャフト54に対して一体的に固定されている。バルブ52はフレーム57よりも上流側に配置されている。バルブ52は、閉状態においてメイン流路50を遮断し、開状態においてメイン流路50からの冷却水をバルブ後流室43に導出させるようになっている。
【0054】
バルブ52には、同バルブ52の周方向に沿って延びるシール面52aが形成されている。シール面52aは、ハウジング47においてメイン流路50とバルブ後流室43との間の部分に形成される弁座部47aに当接するようになっている。シール面52aが弁座部47aに当接したとき、メイン流路50から合流部43aに流れる冷却水が遮断される。
【0055】
前記サーモエレメント55には、略円筒状をなす前記水温感温部53が設けられている。水温感温部53内には図示しないワックスエレメントが収容されている。ワックスエレメントは、水温感温部53に接触する冷却水の温度に応じて膨張または収縮するようになっている。水温感温部53は、前記第2感温流路49の感温部収容室61内に配置されている。つまり、水温感温部53は、ハウジング47においてメイン流路50の外側に配置されている。水温感温部53は、前記ウォータポンプ5の前記回転軸44と同軸上に配置されている。よって、水温感温部53は、前記第1流路14、メイン流路50及びバルブ後流室43の冷却水の温度に影響を受けないようになっている。
【0056】
次に、このように形成されたエンジン冷却装置1の作用について説明する。
エンジン4の始動時には冷却水が低温であるため、ウォータポンプ5が駆動すると、エンジン4を通過した冷却水は接続流路12、第3流路17及び第2流路16を循環する。この際、接続流路12に導流される冷却水の温度は低温であるため、サーモエレメント22の水温感温部28に収容されたワックスエレメントは収縮し、ピストン26はガイド部27に没入する。従って、第1弁体部30のシール面が台座24に当接し接続流路12から第1感温流路19に流れる冷却水が遮断され、接続流路12から第1感温流路19に冷却水が流れない。
【0057】
第2流路16を流れる冷却水は、吸込流路5a、インペラ収容室42及び吐出口46の順番に通過する。このとき、第2流路16を流れる冷却水と第2感温流路49を流れる冷却水とがインペラ45の回転によって混合される。そして、混合された冷却水はエンジン4に向かって吐出されるとともにその一部は、吐出流路5cから第4流路18を通過してバルブユニット7に導流され、そのまま第1感温流路19に導流される。このようにして第1感温流路19に導流された冷却水はサーモスタット3に配設された水温感温部53によって感温される。また、この場合、サーモスタット3のバルブ52は閉状態にあるため、第1流路14及びラジエータ2に冷却水が流れることはない。
【0058】
その後、エンジン冷却水温が上昇し、水温感温部28に導流される冷却水が冷却水制御温度近傍になると、水温感温部28内のワックスエレメントが膨張することによりサーモエレメント22のピストン26が温度に応じて突出する。
【0059】
このピストン26の突出量によって、第1弁体部30のバルブ開度が大きくなるに伴い第2弁体部33のバルブ開度が小さくなる。従って、サーモスタット3には、第1及び第2弁体部30,33のバルブ開度に応じて流れる冷却水が混合されて供給される。即ち、バルブユニット7は、エンジン出口水温を感知して接続流路12と第4流路18とから第1感温流路19に流れる冷却水の流量配分を制御する。そして、第1弁体部30のバルブ開度が最大値近傍になると、第2弁体部33が閉状態になり、第4流路18を遮断して接続流路12の冷却水をサーモスタット3に流す。
【0060】
第4流路18に流れる冷却水の温度は、接続流路12を流れる冷却水の温度よりも低い。そして、バルブユニット7からサーモスタット3に流出される冷却水の水温は、第1導流路12bと第4流路18から流れる冷却水の流量配分による温度となる。
【0061】
従って、第1感温流路19から吐出される冷却水は、接続流路12内を流れる冷却水の水温が冷却水制御温度よりも低い時には低温側に制御され、接続流路12内を流れる冷却水の水温が冷却制御温度よりも高い時には高温側に制御される。
【0062】
サーモスタット3は、バルブユニット7から感温流路19を介して流入される冷却水の水温を感温してバルブ開度を制御する。接続流路12を流れる冷却水の水温がサーモスタット3における冷却水制御温度近傍になっても、それに比べてバルブ52が弁座部47aから離間しない。従って、冷却水は第3流路17及び第2流路16を循環し、冷却水の温度が早く上昇する。
【0063】
そして、バルブユニット7から感温流路19を介して流入される冷却水の水温が冷却水制御温度近傍になると、サーモスタット3の水温感温部53内のワックスエレメントが膨張することによりサーモエレメント55のピストン51が温度に応じて突出する。そのピストン51の突出量に応じてバルブ52が弁座部47aから離間される。
【0064】
そして、メイン流路50からの冷却水が、ピストン51の出没方向に沿って流れ、吸込流路5a、インペラ収容室42及び吐出口46の順番に通過する。そして、メイン流路50からの冷却水、第2感温流路49からの冷却水及び第2流路16からの冷却水がインペラ45の回転によって混合される。その後、混合された冷却水はエンジン4に向かって吐出されるとともにその一部は、吐出流路5cから第4流路18を通過してバルブユニット7に導流される。
【0065】
そして、ピストン51の突出量によって、バルブ52のバルブ開度が大きくなるのに伴い、第1流路14及びラジエータ2を通過する冷却水の流量は徐々に増加する。よって、エンジン4を通過した冷却水は、第2流路16に加えて第1流路14を循環する。
【0066】
この時、バルブユニット7は、接続流路12内の冷却水温度を感温するため、第1感温流路19に流す冷却水における接続流路12の冷却水の流量配分を多くしている。更に、接続流路12内の冷却水温度が高くなると、バルブユニット7は、第4流路18を第2弁体部33によって遮断する。このため、サーモスタット3の水温感温部53には供給される冷却水の温度は高い温度に保持されるため、サーモエレメント55はバルブ52のバルブ開度を大きい状態に保持する。従って、冷却水はラジエータ2が配設された第1流路14を循環し、該ラジエータ2において冷却水と空気の熱交換が行われ、エンジン4が冷却される。
【0067】
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)バルブユニット7は接続流路12を流れる冷却水の温度が低いときには第1感温流路19に、より温度の低い冷却水を吐出し、接続流路12を流れる冷却水の温度が高いときには第1感温流路19に接続流路12と略同温の冷却水を吐出する。従って、サーモスタット3はエンジン冷却装置1を循環する冷却水の温度が低いときに早く冷却水が温まるように冷却水を循環し、冷却水の温度が高いときに効率よく冷却水を冷却することができる。
【0068】
(2)バルブユニット7は水温感温部28に収容されたワックスエレメントが収縮或いは膨張することでピストン26を介して両弁体部30,33を移動し、第1感温流路19から吐出される冷却水の流量配分を行った。そのため、接続流路12及び第4流路18から第1感温流路19に導流される冷却水の流量配分に応じて第1感温流路19から吐出される冷却水の水温が制御される。従って、電気的な制御を用いることなく第1感温流路19から吐出される冷却水の水温を制御することができる。
【0069】
(3)電気的な制御を用いることなく第1感温流路19から吐出される冷却水の水温を制御することができるため、冷却水の水温を制御するためにバッテリ電圧が用いられることがなく、バッテリ電圧の低下を防ぐことができる。従って、バッテリを充電するためにオルタネータによる発電を行う必要もなく燃費を向上させることができる。
【0070】
(4)第4流路18を流れる冷却水はエンジン4の内部への導流前の冷却水であり、接続流路12を流れる冷却水はエンジン4から導出された直後の冷却水である。そのため、接続流路12を流れる冷却水は第4流路18を流れる冷却水の水温よりも高温となる。従って、両流路12,18の冷却水の流量配分を適宜制御することで、第1感温流路19に導流される冷却水の水温を接続流路12内の冷却水の水温と第4流路18内の冷却水の水温との間で制御することができる。
【0071】
(5)ピストン26の出没はワックスエレメントの膨張及び収縮に基づいて多段階に変化される。従って、接続流路12から第1感温流路19に向かう冷却水の流路と、第4流路18から第1感温流路19に向かう冷却水の流路とが多段階に調整され、第1感温流路19から吐出される冷却水の温度を多段制御することができる。
【0072】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態では、バルブユニット7はエンジン冷却水導入口15の直前と、エンジン冷却水導出口13の直後の2箇所の冷却水を導流し、両冷却水を混合して第1感温流路19に吐出する冷却水を流量配分していた。しかし、バルブユニット7で混合される冷却水が温度の異なる冷却水であればよく、冷却水の導流箇所を他の箇所としてもよい。また、バルブユニット7で混合される冷却水が3箇所以上から導流されるようにしてもよい。
【0073】
・前記実施形態では、水温感温部28内にワックスエレメントが収容されており、該ワックスエレメントの膨張及び収縮によってピストン26が突出されていた。しかし、水温感温部28内の温度の違いに応じて形状が変化しピストン26を突出させることができればよく、例えば水温感温部28内に冷媒の温度によって形状が変化するバイメタルや、形状記憶合金を収容してもよい。
【0074】
・前記実施形態では、バルブユニット7はエンジン冷却水導出口13から吐出された直後の接続流路12内を流れる冷却水の水温を感温して第1感温流路19に吐出する冷却水の水温の制御を行っていた。しかし、バルブユニット7の制御は他の箇所の温度に基づいて行ってもよく、例えばラジエータ冷却水導出口11から吐出された直後の冷却水の水温に基づいてバルブユニット7の制御を行ってもよい。
【0075】
また、エンジン4の側壁にバルブユニットの感温部を一体に形成し、エンジン4の側壁の温度に基づいてバルブユニットの制御を行ってもよい。
・前記実施形態では、サーモエレメント55はウォータポンプ5の回転軸44と同軸上に配置されていたが、サーモエレメント55の中心軸線を、回転軸44の中心軸線に対して斜めに配置してもよいし、垂直に配置してもよい。
【0076】
・前記実施形態では、循環手段としてエンジン4に駆動される機械駆動式のウォータポンプ5が用いられていたが、モータに駆動される電動ウォータポンプを循環手段として用いてもよい。このように構成すれば、エンジン4の駆動力がウォータポンプ5によって消費されるのを防止できるため、エンジン4の燃費向上を図ることができる。
【0077】
・前記実施形態の構成を、熱源としてエンジン4と電動機(モータ)との両方を用いたハイブリッド車に適用してもよい。
・前記実施形態の構成を、エンジン4の代わりにモータを用いるとともに、冷媒による冷却を必要とする熱源として蓄電器(燃料電池)を用いた燃料電池車に適用してもよい。
【0078】
・前記実施形態では、冷媒として冷却水が用いられていたが、例えば低粘度のオイル等を冷媒として用いてもよい。
【0079】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、電気的な制御を行うことなく冷却水の多段制御を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジン冷却装置の概略図。
【図2】バルブユニットの正断面図。
【図3】サーモスタットの正断面図。
【符号の説明】
2…放熱手段としてのラジエータ、3…分配手段としてのサーモスタット、4…熱源としてのエンジン、5…循環手段としてのウォータポンプ、12b…第1導流路、20d…第2導流路、22…サーモエレメント、26…ピストン、28…水温感温部、30…第1弁体部、33…第2弁体部、51…ピストン、55…サーモエレメント。
Claims (6)
- 冷媒による冷却を必要とする熱源と、
前記冷媒を循環させる循環手段と、
前記冷媒を冷却するために該冷媒の熱量を車外へ放熱する放熱手段と、
温度差がある少なくとも2箇所の冷媒の流量配分を感温対象物の温度に応じて変化させる制御手段と、
前記放熱手段と該放熱手段を迂回する流路とに流れる前記冷媒の流量配分を前記制御手段から流される冷媒の温度に応じて制御する分配手段と、
を備えたことを特徴とする車両冷却装置。 - 前記制御手段は、前記熱源へ供給される冷媒と、前記熱源から排出される冷媒の流量配分を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両冷却装置。
- 前記制御手段は前記感温対象物の温度を感温する感温部と、少なくとも2箇所の冷媒を導流する流路を開閉する弁体を前記感温部の感温結果に応じて制御するアクチュエータと、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両冷却装置。 - 前記制御手段は、前記熱源の導出口の冷媒を前記感温対象物として感知することを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の車両冷却装置。
- 前記制御手段は、前記放熱手段の導出口の冷媒を前記感温対象物として感知することを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の車両冷却装置。
- 前記制御手段は、前記熱源の側壁を前記感温対象物として感知することを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の車両冷却装置。
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2003
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