JP2006266196A - エンジンの冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 エンジンの始動直後における乗員の暖房要求を可及的に満足させつつ、可能な限りエンジンの早期暖機を実現してエミッション性を改善することを目的とする。
【解決手段】ラジエータ経路と、エンジン温度に基づいてラジエータ経路を開閉するサーモスタットと、ヒータ経路と、ラジエータ経路に配設されるとともにエンジン始動時のエンジン温度に基づきウォータジャケットに流入する冷却流体の流量を調整する流量調整機構とを備える。この流量調整機構は、エンジンが極冷間状態にある場合にウォータジャケットに流入する冷却流体の流入流量を通常時流量とし、エンジンが少冷間状態にある場合にウォータジャケット流入流量を無くしまたは通常時流量よりも低減し、エンジンが温間状態にある場合にウォータジャケット流入流量を通常時流量とし、ヒータ経路は、少なくともエンジンが極冷間状態にある場合に流通可能に構成されている。
【選択図】 図5

Description

本発明は、エンジン内のウォータジャケットとラジエータや車室内を暖房するためのヒータユニットなどとの間で冷却水を循環させることによりエンジンを冷却するエンジンの冷却装置に関する。
エンジンを冷却するための手法の一つに、シリンダブロックおよびシリンダヘッド内のウォータジャケットとラジエータとの間で冷却水を流通循環させる水冷方式がある。このような水冷方式においては、昇温した冷却水を熱源として車室内を暖房するためにヒータユニットを上記冷却水循環回路のラジエータと並列に配設されることが多い。
例えば、特許文献1には、エンジン内のウォータジャケットとラジエータとの間で冷却水を流通循環させる冷却水循環経路と、この冷却水循環経路と一部経路を共通にし、上記ウォータジャケットとの間で冷却水を流通循環させるヒータ循環経路と、上記冷却水循環経路中に配設されるとともにウォータジャケットから吐出される冷却水温度に応じてラジエータに対する冷却水流入経路を開閉するサーモスタットとを備えるエンジンの冷却装置が提案されている。この装置では、冷却水が所定の温度に暖まるまでラジエータに対する流入経路を閉じ、冷却水をヒータ循環経路中を流通させることによりエンジンの早期暖機を図りエミッション性を改善するものとなされている。
また、この特許文献1の冷却装置では、常時冷却水がヒータ循環経路を流通するように構成されているため、エンジン始動直後から車室内を暖房することができ、エンジン始動直後から乗員の暖房要求を満足させることができるという利点がある。
特開2004−353632号公報
ところで、ヒータユニットでは車室内に吹き込まれる空気と冷却水との間で熱交換されることから、冷却水をヒータユニットに流通させると冷却水の熱量が奪われ、早期に暖機させようとしても限界があった。
ここで、エンジン停止後間もなくエンジンを再始動させる場合には、エンジンの冷却水温度も、車内温度も外気温程度にまで下がりきっておらず、このため短時間で冷却水温度を所定の温度まで上昇させることができる場合がある。このような場合でも、一律に、冷却水をヒータ循環経路に送ることとすると、エンジン始動直後から車室内を暖房することができるものの、エンジンの暖機が遅れることになり、早期に適温の温風を車室内に送り込むことができない。このような場合には、冷却水循環回路について、エンジン温度を早期に暖める工夫を施して、エンジンのさらなる早期暖機を図り、早期に安定した温度の温風を車室内に送り込むことが乗員の暖房要求を満たすものと考えられる。
また、夏など外気温が暖かい場合には、ヒータユニットを作動させる場合は少なく、このような場合でも一律に冷却水をヒータ循環経路を経ることとするのは、暖機時間が長くなってエミッション性を改善する点から好ましくない。
一方、エンジンの早期暖機を優先させて、例えば冷却水循環経路にラジエータやヒータユニットを迂回させるバイパスを設け、或いはウォータポンプを停止させることによりウォータジャケット内の冷却水を滞留させ、エンジンを早期に暖機することも考えられる。しかしながら、冬など車室内の温度が極めて低い場合には、適温に至る前の温風でも車室内を暖房することができることから、早期にヒータユニットを作動可能に設定しておくことが、乗員の暖房要求を満たすものと考えられる。
本発明は、上記事情に鑑み、エンジンの始動直後における乗員の暖房要求を可及的に満足させつつ、可能な限りエンジンの早期暖機を実現してエミッション性を改善することを目的とする。
本発明に係るエンジンの冷却装置は、ウォータポンプによってエンジン内のウォータジャケットとラジエータとの間で冷却流体を循環させるラジエータ経路と、このラジエータ経路に配設されるとともにエンジン温度が所定の経路開放温度以上にある場合に当該ラジエータ経路を開き、経路開放温度未満である場合に当該ラジエータ経路を閉じるサーモスタットと、上記ウォータジャケットと車室内を暖房するためのヒータユニットとの間で冷却流体を循環させるヒータ経路と、エンジン始動時のエンジン温度に基づき上記ウォータジャケットに流入する冷却流体の流量を調整する流量調整機構とを備え、この流量調整機構は、エンジンが上記経路開放温度未満であって所定の極冷間基準温度よりも低い極冷間状態にある場合に上記ウォータジャケットに流入する冷却流体の流入流量を通常時流量とし、エンジンがこの極冷間基準温度以上であって上記経路開放温度未満の所定の少冷間基準温度よりも低い少冷間状態にある場合に上記ウォータジャケット流入流量を無くしまたは上記通常時流量よりも低減し、エンジンが少冷間基準温度以上の温間状態にある場合に上記ウォータジャケット流入流量を通常時流量とし、上記ヒータ経路は、少なくともエンジンが極冷間状態にある場合に流通可能に構成されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、エンジン始動時のエンジン温度に基づきウォータジャケットに流入する冷却流体の流量を調整する流量調整機構を備え、この流量調整機構は、エンジンが極冷間状態にある場合、すなわちエンジンの温度がサーモスタットによってラジエータへの流通経路が開放される経路開放温度未満であって所定の極冷間基準温度より低い場合、上記ウォータジャケットに流入する冷却流体の流入流量を通常時流量とするとともに、ヒータ経路は、少なくともエンジンが極冷間状態にある場合に流通可能に構成されているので、ウォータジャケットを吐出された冷却流体はヒータ経路に送られ、これによりエンジンの始動直後からヒータユニットを作動させて車室内を暖房することができる。つまり、車内温度も十分に低下していると想定されるエンジンの極冷間状態においては、冷却水などの冷却流体をラジエータではなくヒータユニットに送り込んである程度の早期暖機を図りつつ、エンジンの始動直後から室内を暖房可能に構成して暖房性を優先させることにより乗員の暖房要求を可及的に満足させている。
一方、上記流量調整機構は、エンジンが少冷間状態にある場合、すなわちエンジン温度が上記極冷間基準温度以上であって上記経路開放温度未満の所定の少冷間基準温度よりも低い少冷間状態にある場合、ウォータジャケット流入流量を無くしまたは上記通常時流量よりも低減しているので、ウォータジャケット内の冷却流体はその流通流量が低減し、或いは当該ジャケット内に滞留する。このため、ウォータジャケット内の冷却流体が早期に暖められ、早期暖機を実現して不完全燃焼によるCOやHC等を減少させることによりエミッション性を改善している。また、エンジンが少冷間状態にある場合には車内温度もさほど低下していないと想定されるため、早期暖機により冷却水を速やかに暖めた後、安定した温度の温風を車室内に送り込むことにより、乗員の暖房要求を可及的に満足させることができる。
また、流量調整機構は、エンジンが温間状態にある場合、すなわちエンジン温度が上記少冷間基準温度以上である場合には、暖機の必要がなく、上記ウォータジャケット流入流量を通常時流量として通常の作動状態を確保している。
以上のように、この発明によれば、エンジン温度に基づいて車室内温度を想定し、これに基づいて乗員の暖房要求と早期暖機要求との少なくともいずれか一方の要求を優先させつつ、他方の要求を可及的に満足させることによってこれらを効果的に両立させることができる。
上記流量調整機構は、各経路中を流通する冷却流体の温度を直接判別することによってエンジン温度を判別して、エンジンが極冷間状態から少冷間状態、温間状態と変化するに伴ってウォータジャケットに対する流入流量を切り換えるものであってもよいが、上記流量調整機構は、上記エンジンの温度を冷却流体の温度に基づいて判別するとともに、外側を流通する冷却流体、各経路を流通する冷却流体の温度変化に対して内部に存在する冷却流体の温度が所定の遅れをもって追随する鈍変温室を有し、この鈍変温室内の冷却流体温度に基づいてエンジンの極冷間状態を判別するように構成されているのが好ましい(請求項2)。
このように構成すれば、始動時にエンジンが極冷間状態にある場合に、各経路中に流通する冷却流体の温度が極冷間基準温度以上になっても、鈍変温室内の冷却流体は直ちに極冷間基準温度以上にならず所定の遅れをもって変温するので、エンジンが極冷間状態から始動された場合にはその後に少冷間状態に移行した場合でも、所定の遅れをもってウォータジャケットに対する流入流量が切り換えられる。或いは、流通する冷却流体温度から少冷間基準温度を直接判別するように流量調整機構が構成されている場合であって上記遅れの間に流通する冷却流体の温度が少冷間基準温度以上になった場合には、少冷間状態の流量調整機構の制御が省略されて温間状態の流量調整機構の制御が実行されることになる。
したがって、エンジンを極冷間状態から始動させた場合には、エンジンが少冷間状態にある場合の流量調整機構の制御が実行される期間が短縮され、或いは省略されるので、極冷間状態からエンジンを始動させた場合に車内温度が上がるまでの間、温風を送り込むことができない期間を短縮し、或いは送風可能状態を維持して、乗員の暖房要求をより十分に満足させることができる。
上記流量調整機構は、その具体的構成が特に限定されるものではないが、上記ウォータポンプの吸入口と吐出口とを短絡させるショートカット通路と、このショートカット通路を開閉させる開閉弁機構とを備え、このショートカット通路を開いてて上記ウォータポンプから吐出される冷却流体の流量の少なくとも一部を上記ショートカット通路に導入することによりウォータジャケットに導入される冷却流体の流量を低減するように構成されるのが好ましい(請求項3)。
このように構成すれば、ショートカット通路を構成してこのショートカット通路を開閉させる開閉弁機構を設けるという簡単な構成でかつ低廉に流量調整機構を構成することができる。さらに詳しくは、例えば、冷却流体を循環させるウォータポンプについてエンジンの駆動力で駆動させる機械式ポンプを採用した場合でもショートカット通路に冷却流体を流通させることによりウォータジャケットに流入される冷却流体の流量を適正に調整することができ、簡単な構成で適正な制御を実行することができる。
この場合、上記流量調整機構の開閉弁機構は、上記ショートカット通路を開閉する弁体と、この弁体を開方向および閉方向のいずれか一方向に付勢する付勢部材と、冷却流体の温度変化に基づいて所定の付勢力を発生するとともにこの発生した付勢力によって上記弁体を上記付勢部材の付勢方向と反対方向に付勢する第1感温付勢部材と、冷却流体の温度変化に基づいて所定の付勢力を発生するとともにこの発生した付勢力によって上記弁体を上記付勢部材の付勢方向と同一方向に付勢する第2感温付勢部材とを備え、上記第1感温付勢部材および第2感温付勢部材は、その付勢力を発生する所定の温度が上記極冷間基準温度および少冷間基準温度のいずれか一方に設定されるとともに、上記開閉弁機構は、上記付勢部材による付勢力と第1および第2感温付勢部材による発生した付勢力との合付勢力によって、始動時のエンジン状態が極冷間状態にある場合に上記弁体を閉状態に付勢し、始動時のエンジン状態が少冷間状態にある場合に上記弁体を開状態に付勢し、始動時のエンジン状態が温間状態にある場合に上記弁体を閉状態に付勢するように構成されているのが好ましい(請求項4)。
このように構成すれば、開閉弁機構についても機械的に駆動させることができ、これによってより低廉にかつ確実に流量調整機構の開閉弁機構を構成することができる。
また、この場合に、上記サーモスタットは、電気的に駆動されるサーモスタットを採用するものであってもよいが、機械的に駆動されるメカニカルサーモスタットとして構成されているのが好ましい(請求項5)。
このように構成すれば、この発明に係る冷却装置を機械的かつ低廉に構成することができる。
また、この場合において、上記エンジンの一の周面側部に上記ウォータポンプが収納されるウォータポンプハウジングが形成されるとともに、このウォータポンプハウジングに近接して上記サーモスタットを収納するサーモスタットハウジングが形成され、このサーモスタットハウジングと一体的に上記開閉弁機構が収納されるハウジングが形成されているのが好ましい(請求項8)。
このように構成すれば、サーモスタットハウジングの配設スペース等を利用して開閉弁機構を配設することができ、既存の冷却装置について大幅に設計変更することなく、この発明を適用することができる。
この発明において冷却流体を循環させる経路はラジエータ経路とヒータ経路とに限定されるものではなく、例えばラジエータおよびヒータユニットを迂回して上記ウォータジャケットの冷却流体出入口を接続するサブ循環経路をさらに備えるものとしてもよく、またこのサブ循環経路を設ける場合に当該サブ循環経路に冷却流体とエンジンオイルとの間で熱交換させるオイル用熱交換器が配設されているのが好ましい(請求項7)。
このように構成すれば、暖房性とエンジンの早期暖機だけではなく、エンジンオイルの暖機促進も図ることができ、より実用性に富んだものとなる。
この場合、上記サブ循環経路には、オイル用熱交換器をバイパスする熱交換器バイパスが設けられるとともに、この熱交換器バイパスに圧力リリーフ弁が配設されているのが好ましい(請求項8)。
すなわち、例えばエンジン回転数の増大に伴ってこのサブ循環経路を流通する冷却流体の流量が増大すると、オイル用熱交換器の流体導入口の圧力が高まるが、このように構成すれば、上記圧力が一定以上になれば圧力リリーフ弁が作動して熱交換器バイパスを冷却流体が流通することになるので、上記圧力上昇に伴うホース抜け等を有効に防止することができる。
この発明に係るエンジンの冷却装置によれば、エンジン温度に基づいて車室内温度を想定し、これに基づいて乗員の暖房要求と早期暖機要求とのいずれか一方を優先させることによりこれらを効果的に両立させることができるという利点がある。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係る水冷エンジンの概略構成を示す斜視図であり、図2は、このエンジンの冷却装置を模式的に示す説明図である。
エンジン1は、車両前部であってボンネット下方のエンジンルーム内に横置きに搭載、つまり、クランク軸方向が車幅方向に沿うように搭載されている。このエンジン1は、クランク軸方向に沿って4つの気筒が直列配置された直列4気筒エンジンであり、各気筒10A〜10D上部の燃焼室に開口する吸気ポート11と排気ポート12とがそれぞれ気筒列方向に並設されるとともにこれらの吸気ポート11と排気ポート12とが上記燃焼室を挟んで互いに反対側に延設された、いわゆるクロスフロー型のエンジンである。この結果、図2に示すように、各吸気ポート11は、エンジン1に対して車両前後方向前側に配置され、一方、各排気ポート12は、エンジン1に対して車両前後方向後側に配置されている。
また、このエンジン1は、各気筒10A〜10Dにおける燃焼によって発生した熱を大気中に放出するための媒体に冷却水などの液体を用いる水冷エンジンであり、ラジエータ5等からなる冷却装置に組み込まれることによって冷却されるように構成されている。
すなわち、このエンジン1の冷却装置は、ウォータジャケット20が内部に設けられたエンジン本体2と、エンジン本体2の前方に配設されたラジエータ5と、エンジン本体2の後方に配設されたヒータユニット6と、ウォータジャケット20からラジエータ5またはヒータユニット6に冷却水を送るためのインレットパイプ13,14と、これらのラジエータ5またはヒータユニット6からウォータジャケット20に冷却水を戻すためのアウトレットパイプ15,16と、これらのラジエータ5およびヒータユニット6を迂回するバイパスパイプ17と、インレットパイプ13,14およびバイパスパイプ17内の圧力を調整する圧力リリース弁23(図2参照)が介在する調圧用パイプ18と、上記アウトレットパイプ15,16、バイパスパイプ17および調圧用パイプ18の下流端が接続されたサーモスタットハウジング71内に配設されるとともに冷却水温度に応じてラジエータ5からの冷却水流入路を開閉するサーモスタット7と、このサーモスタット7とウォータジャケット20との間に介在し冷却水を強制的に循環させるウォータポンプ8とを備えている。
なお、当実施形態では、図2に示すように、上記バイパスパイプ17によって構成されるバイパス経路中に熱交換によってエンジンオイルを冷却するオイルクーラ50(熱交換器の一例に相当する)やエンジン1の側方に配設された自動変速機51のためのオイルを温めるATFウォーマ52(熱交換器の一例に相当する)が配設されている。
この結果、この冷却装置は、ウォータジャケット20とラジエータ5との間で冷却水を流通循環させるラジエータ経路と、ウォータジャケット20とヒータユニット6との間で冷却水を循環させるヒータ経路と、バイパスパイプ17を含んで構成されウォータジャケット20の冷却水流入口(後述する冷却水流入ポート231の前面開口)と冷却水吐出口205とを接続するバイパス経路(サブ循環経路の一例に相当する)と、ラジエータ5、ヒータユニット6、オイルクーラ50およびATFウォーマ52を迂回してこれらの上流側冷却水循環路の圧力を調整する調圧用バイパス経路とを含んだ冷却水の循環経路が構成されることになる。なお、これらの経路(当実施形態ではヒータ経路とバイパス経路等)は一部において重複するものであってもよい。
具体的には、エンジン1は、図1に示すように、各気筒を構成するエンジン本体2と、このエンジン本体2にその下側から組み付けられたオイルパン3と、エンジン本体2にその上側から組み付けられたシリンダヘッドカバー4とを備えている。エンジン本体2は、鋳鉄やアルミニウム合金製の鋳造品であり、気筒の本体部を構成するシリンダブロック21と、このシリンダブロック21の上側にガスケット(図示せず)を介して取り付けられ気筒の上部を構成するシリンダヘッド22とを備えている。これらのシリンダブロック21およびシリンダヘッド22の内部は、それぞれ冷却通路をなすブロック側およびヘッド側ウォータジャケット20a,20bが形成され、エンジン本体2内に冷却水が循環流通可能に構成されている。つまり、これらのウォータジャケット20a,20bは、シリンダブロック21またはシリンダヘッド22における気筒10A〜10Dの周囲に形成された空隙であり、冷却水を流通させるための通路(冷却通路)を構成している。このウォータジャケット20a,20bにおける冷却水の循環方式には種々あるが、当実施形態では、ブロック側ウォータジャケット20aについては気筒10A〜10Dの周囲を一方向に冷却水を周回循環させるUターン方式が採用され、一方、ヘッド側ウォータジャケット20bについてはシリンダヘッド22の一端側から他端側に気筒列方向に沿って冷却水を並列的に流通させる軸流方式が採用されている。
ブロック側ウォータジャケット20aは、図2に示すように、シリンダブロック21の周縁部に沿って各気筒10A〜10Dの周囲を囲むように設けられ、その一端が冷却水流入ポート231を介してウォータポンプ8に連通するとともに、その他端がシリンダヘッド22のウォータジャケット20bに連通するように構成されている。
一方、ヘッド側ウォータジャケット20bは、ボトムデッキ(図示せず)とミドルデッキ(図示せず)との間を図2に示すように当該シリンダヘッド22の一端側から他端側に延び、一端部が後述する第1〜第4連通路201〜204を通じてヘッド側ウォータジャケット20bに連通しているとともに、他端部が冷却水導出口205を通じてウォータアウトレット部材24に連通している。なお、第1〜第4連通路201〜204はヘッド側ウォータジャケット20bの一端部側に固まって開口し、これにより冷却水を気筒列方向に並列に流通させることができるものとなされている。また、ヘッド側ウォータジャケット20bは、これらの第1〜第4連通路201〜204以外にも、その通路断面積がこれらの通路201〜204の断面積に比べて小さいエア抜き用通路(図示せず)を通じてもブロック側ウォータジャケット20aと連通している。
ブロック側ウォータジャケット20aについてさらに詳しく説明すると、ブロック側ウォータジャケット20aは、冷却水流入ポート231から当該シリンダブロック21の長手方向一側部(図例では右側部)を後方に延びる第1冷却通路232aと、この第1冷却通路232aに連通してシリンダブロック21の後側部、言い換えるとシリンダブロック21の排気側部を気筒列方向に沿って当該シリンダブロック21の長手方向他端側(図例では左側)まで延びる第2冷却通路232bと、第2冷却通路232bに連通してシリンダブロック21の他端部(図例では左側部)を前方に延びる第3冷却通路232cと、この第3冷却通路232cに連通してシリンダブロック21の前側部、言い換えるとシリンダブロック21の吸気側部を気筒列方向に沿って当該シリンダブロック21の一端側(図例では右側)に戻る第4冷却通路232dとを備え、第1ないし第4冷却通路232a〜dの順で冷却水が流通される。
このブロック側ウォータジャケット20aの第1冷却通路232aには、ヘッド側ウォータジャケット20bに連通する第1および第2連通路201,202が開口するとともに、第2冷却通路232bの上流端部および第4冷却通路232dの下流端部には、それぞれヘッド側ウォータジャケット20bに連通する第3連通路203または第4連通路204が開口している。
なお、各連通路201〜204を通じてブロック側ウォータジャケット20aからヘッド側ウォータジャケット20bに流入する冷却水の流入量は、第2、第1、第4、第3連通路202,201,204,203を通じて流入する量の順で多くなるように、当実施形態では連通路の通路断面積を調整している。
一方、冷却水流入ポート231は、第1冷却通路232aの延出方向と略同方向に延びることにより、第1冷却通路232aへの流入抵抗を低減するように構成されている。第1冷却通路232aの基端部と第4冷却通路232dの先端部との間のシリンダブロック21の周縁部には、一端が第1冷却通路232aに連通する短絡通路232eが設けられている。この短絡通路232eと第4冷却通路232dとは仕切壁233によって仕切られてその間で直接冷却水が流通しないようになっている。
短絡通路232eは、図3に示すように、シリンダブロック21の長手方向一側部に配置された気筒10Aの周囲に沿って第1冷却通路232aから第4冷却通路232d側に延びるジャケット部2321と、このジャケット部2321の先端部から冷却水流入ポート231と略平行に後述するサーモスタットハウジング71内に延びる短絡ポート部2322とを備える。この短絡ポート部2322には、図3に二点鎖線で示すように後述するヒータ流入ポート7aの一端が開口しているとともに、この短絡通路232eを開閉させる開閉弁機構9の弁体91が配設されている。
この開閉弁機構9は、短絡通路232eの下流側であって、サーモスタットハウジング71内に配設されており、当該ハウジング71内を流通する冷却水の温度に基づいて機械的に開閉されるように構成されている。そして、短絡通路232eが開放された場合には、冷却水流入ポート231から流入した冷却水の大部分は、ウォータポンプ8の吸引力によって減圧された短絡通路232eに導入され、この短絡通路232eを通じてウォータポンプ8の上流側に位置するサーモスタットハウジング71に導入される。したがって、短絡通路232eが開放されている場合には、ウォータポンプ8によって送り出される冷却水は、その大部分が短絡通路232eを通じて循環し、ブロック側およびヘッド側ウォータジャケット20a,20bに流通される冷却水の流量がほとんど無い状態にまで低減する。すなわち、この短絡通路232eおよび開閉弁機構9は、ウォータジャケット20に流入する冷却水の流量を調整する流量調整機構の一例に相当する。
開閉弁機構9は、エンジンが極冷間状態にある場合、すなわち、後述する鈍変温室91f内の冷却水温度がラジエータ経路開放温度(当実施形態では76〜82℃程度)未満であって所定の極冷間基準温度(当実施形態では約20℃)未満にある場合に、短絡通路232eを閉塞し、エンジンが少冷間状態にある場合、すなわち、サーモスタットハウジング71内を流通する冷却水温度がラジエータ経路開放温度未満の所定の少冷間基準温度(当実施形態では約70℃)未満であって上記極冷間基準温度を上回る場合に、短絡通路232eを開放し、エンジンが温間状態にある場合、すなわち冷却水温度が少冷間基準温度を超える場合に、短絡通路232eを閉塞するように構成されている。
具体的には、開閉弁機構9は、図3に示すように、短絡通路232eを開閉する弁体91と、この弁体91を閉状態に付勢する付勢部材92と、冷却水温度が上記極冷間基準温度以上になることにより所定の付勢力を発生するとともにこの発生した付勢力と付勢部材92との合付勢力によって弁体91を開状態に付勢する第1感温付勢部材93と、冷却水温度が上記少冷間基準温度以上になることにより所定の付勢力を発生するとともにこの発生した付勢力と付勢部材92および第1感温付勢部材93による付勢力との合付勢力によって弁体91を閉状態に付勢する第2感温付勢部材94とを備える。
弁体91は、図3に示すように、短絡通路232eの短絡ポート部2322の断面形状に応じて形成され、先端に配設された弁本体91aが当該短絡ポート部2322に位置することにより当該通路232eを閉塞するとともにジャケット部2321に位置することにより当該通路232eを開放するように構成されている。この弁本体91aは、当該弁本体91aと一体形成された弁ロッド91bによって支持されている。弁ロッド91bは、その弁本体91a側と反対側の端部に有底円筒状の収容部91cが一体に形成されている。
収容部91cは、その長手方向略中央部において周壁が段状に拡径するとともにその拡径開口縁に外側に突出するフランジ部91dが設けられ、その内部、特にその小径部分の内部に第1感温付勢部材93が収容されるように構成されている。この収容部91cの小径部分は、短絡通路232eの短絡ポート2322に嵌挿されるように形成されており、当実施形態では弁体91の開閉移動に伴って短絡ポート部2322に開口するヒータ流入ポート7aが小径部分の周面によって開閉されるように構成されている。つまり、弁体91が閉状態にある場合には、図3に示すように、収容部91cにおける小径部分の外周面によってヒータ流入ポート7aが開放されるように構成され、弁体91が開状態にある場合には、図4に示すように、収容部91cにおける小径部分の外周面によってヒータ流入ポート7aが閉塞されるように構成されている。なお、図には明示していないが、このヒータ流入ポート7aから流入した冷却水は、サーモスタットハウジング71を通じてウォータポンプ8に導入されるように、短絡ポート部2322、後述するサーモスタットハウジング71および弁体91が形成されている。
収容部91cの大径部分には、第1感温付勢部材93の収容空間への冷却水の流入を抑制する流入抑制蓋91eが嵌挿されている。この流入抑制蓋91eは、収容部91cとは別体に形成され、後述するサーモスタットハウジング71の所定部分に取り付けられている。この取付位置は、弁体91が閉状態にある場合に、収容部91cの拡径に伴う段差部に当接するように設定されている。
また、流入抑制蓋91eは、その外周縁が上記収容部の大径部分の内周面に摺接するようにその大きさが設定されている。したがって、この流入抑制蓋91eによって閉塞された収容部91cの収容空間には、収容部91cの外側の流路から冷却水が流入し難いものの、流入抑制蓋91eの外周縁と収容部91cの内周面との僅かな隙間を通じて当該流路との間で冷却水が往来することになる。この結果、収容部91c内の収容空間は、当該空間に存在する冷却水の温度がその外部の冷却水の温度変化に対して所定の遅れをもって追随する鈍変温室91fとして構成される。
この鈍変温室91fには、上記第1感温付勢部材93が配設されている。この第1感温付勢部材93は、形状記憶合金(例えばNi−Ti系合金、Cu−Zu−Al系合金等)から形成された圧縮コイルばね、いわゆる形状記憶合金圧縮コイルばねであり、形状回復することにより伸張し、これにより弁本体91aを開方向に付勢するものとなされている。
この第1感温付勢部材93は、温度上昇時についての形状を記憶した一方向形状記憶効果を有し、付勢部材92をバイアスばねとしてバイアス法により弁本体91aを開状態および閉状態に切り換えるものとなされている。なお、バイアス法とは、一方向形状記憶効果を示す形状記憶合金に、温度上昇時だけでなく温度下降時にも形状変化するように所定の外部応力(例えばバイアスばねによる付勢力)を負荷して二方向動作を繰り返し行わせる方法をいう。
また、この第1感温付勢部材93の形状回復温度、つまり形状記憶効果によって形状が回復する温度は、極冷間基準温度(当実施形態では約20℃)に設定されている。したがって、鈍変温室91f内の冷却水温度が極冷間基準温度以上になった場合に、第1感温付勢部材93は、弁本体91aを開方向に付勢する付勢力を発生させるものとなされている。この形状記憶効果によって第1感温付勢部材93が発生する付勢力は、付勢部材92の付勢力よりも大きい値に設定されている。これにより、後述するように、弁体91を閉状態に付勢する付勢部材92の付勢力に抗して第1感温付勢部材93が弁体91を図3に示す閉状態から図4に示す開状態に切り換えることができる。
付勢部材92は、鋼鉄等から形成された圧縮コイルばねであり、第1および第2感温付勢部材93,94に対してバイアスばねとして機能するものである。この付勢部材92は、弁体91(詳しくは収容部91cの大径部分)の外側に配設され、その一端が収容部91cのフランジ部91dに当接するとともにその他端がサーモスタットハウジング71の底面71aに当接することにより弁体91を開状態に付勢している。
この付勢部材92の径方向外側には第2感温付勢部材94が配設されている。この第2感温付勢部材94は、形状記憶合金(例えばNi−Ti系合金、Cu−Zu−Al系合金等)から形成された圧縮コイルばね、いわゆる形状記憶合金圧縮コイルばねであり、形状回復することにより伸張し、これにより弁本体91aを閉方向に付勢するものとなされている。つまり、第2感温付勢部材94もその一端が収容部91cのフランジ部91dに当接するとともにその他端がサーモスタットハウジング71の底面71aに当接することにより、形状回復により弁体91を閉状態に付勢するものとなされている。
この第2感温付勢部材94は、温度上昇時についての形状を記憶した一方向形状記憶効果を有し、付勢部材92および第1感温付勢部材93をバイアスばねとしてバイアス法により弁本体91aを開状態および閉状態に切り換えるものとなされている。また、この第2感温付勢部材94の形状回復温度は、上記第1感温付勢部材93の形状回復温度よりも高い少冷間基準温度(当実施形態では約70℃)に設定されている。したがって、上記収容部91cの外側であってサーモスタットハウジング71の内側を流通する冷却水の温度が少冷間基準温度以上になった場合に、第2感温付勢部材94は、付勢部材92および第1感温付勢部材93の付勢力によって開状態に付勢されている弁本体91aに対して付勢力を発生させ、この弁本体91aを閉状態に切り換えるものとなされている。すなわち、この形状記憶効果によって第2感温付勢部材94が発生する付勢力は、付勢部材92および第1感温付勢部材93の各付勢力の合成力である合付勢力よりも大きい値に設定されている。言い換えると、付勢部材92および第2感温付勢部材94の付勢力の総和が第1感温付勢部材の付勢力よりも大きい値に設定されている。これにより、付勢部材92および第1感温付勢部材93の合付勢力によって付勢されている弁体91は、この第2感温付勢部材94によって図3に示す開状態から図4に示す閉状態に切り換えられることになる。
一方、図1および図2に戻って、ブロック側ウォータジャケット20aの上流側には、上記ウォータポンプ8が配設されている。具体的には、ウォータポンプ8は、シリンダブロック21の前面上部における一側端部(図例では車両の前後方向を基準にして前面右上端部)に取り付けられている。また、ウォータポンプ8は、渦巻き型の遠心式ポンプであり、シリンダブロック21の一側面下端部に配設されたクランクプーリ55にVベルト(図示せず)を介して接続され、クランクプーリ55の回転駆動力を利用してウォータポンプハウジング81(図3参照)内に配設されたインペラ82(図3参照)が回転されることにより駆動するように構成されている。したがって、ウォータポンプ8の回転速度はエンジン回転速度に応じて定められる。このため、短絡回路232eが閉じられている状態、つまり通常の状態では、このウォータポンプ8によってブロック側およびヘッド側ウォータジャケット20a,20bの双方に導入される冷却水の通常時流量は、エンジン回転速度に応じた流量となる。
このウォータポンプ8の上流側には、冷却水温度に応じて上記ラジエータ経路を開閉することにより冷却水温度を適温に維持するサーモスタット7が配設され、このサーモスタット7はウォータポンプ8に隣接してシリンダブロック21の前面に取り付けられたサーモスタットハウジング71内に収納されている。
サーモスタット7は、図示を省略するが、冷却水温度に基づいてラジエータ経路を開閉し、エンジン作動状態で冷却水温度を適正な範囲に調整するものである。当実施形態では、サーモスタット7は、いわゆるワックス型、つまり容器内に封入されたワックスが温度上昇に伴って溶けて膨張することを利用してニードルを押し出し、この押出力によって閉方向に付勢されている弁体を開放するように構成されている。当実施形態のサーモスタット7は、封入するワックスを選択することにより、弁体を開放する温度(経路開放温度)が約76〜82℃に設定されている。つまり、このサーモスタット7は、電気的に作動させるものではなく、機械的に作動させるように構成されている。
サーモスタットハウジング71は、図3および図4に示すように、シリンダブロック21と一体に形成された前方開口型のブロック側ケース72と、この開口を閉塞する蓋状ケース73とを備える。ブロック側ケース72内には開閉弁機構9が配設され、一方、蓋状ケース73内にサーモスタット7が配設されている。ブロック側ケース72は、その底面71aにおいて短絡通路232eを通じてブロック側ウォータジャケット20aに連通しているとともに、その周側面においてウォータポンプハウジング81内に連通している。
また、サーモスタットハウジング71には、その上面に開口したヒータ流入ポート7aと、その正面に開口した調圧時流入ポート7bおよびラジエータ流入ポート7cとが設けられている。ヒータ流入ポート7aには、ヒータアウトレットパイプ16とバイパスパイプ17とが下流端部において接続されることにより構成される共用パイプ19が接続されている。調圧時流入ポート7bには調圧用パイプ18が接続され、一方、ラジエータ流入ポート7cにはラジエータ5において熱交換された冷却水をエンジン本体2に戻すためのラジエータアウトレットパイプ115が接続されている。
エンジン本体2のウォータポンプ8が設けられた車幅方向一端側(図例では右側)と反対側の側面上部には、ウォータアウトレット部材24が設けられている。このウォータアウトレット部材24は、その一端がヘッド側ウォータジャケット20bに連通し、その他端が分岐してそれぞれラジエータ流出ポート、ヒータ流出ポート、調圧時流出ポート、調圧時流出ポートの4つのポートが設けられている。各ポートには、それぞれエンジン本体2において昇温した冷却水をラジエータ5やヒータユニット6に流入させるためのラジエータインレットパイプ13やヒータインレットパイプ14が接続されるとともに、バイパスパイプ17や調圧用パイプ18が接続されている。
なお、調圧用パイプ18に設けられた圧力リリース弁23は、当実施形態では、内部検出型の直動式減圧弁が用いられているが、その構成は公知のものであり、当実施形態ではその説明を省略する。
次に、以上のように構成されたエンジン1の冷却装置の作用を説明する。図5は、エンジンの始動に伴って上昇する冷却水温度の時間変化(図(a))、およびエンジン始動時のエンジン状態に基づいて各経路の開閉状況の時間変化(図(b)〜(d))を示す説明図である。
この装置では、第1および第2感温付勢部材93,94の形状記憶効果に基づいてエンジン始動時におけるエンジン温度(冷却水温度)を判別し、このエンジン温度に基づいて冷却水の循環経路が切り換えられるように構成されている。
まず、エンジン1が極冷間状態にあるとき、すなわち図5(a)におけるS1状態からエンジン1を始動させる場合について説明する。エンジン1が極冷間状態にあるときは、第1および第2感温付勢部材93,94は、ともに形状回復温度に達しておらず、したがって付勢部材92だけが付勢力を発生しており、この状態では、開閉弁機構9の弁体91によって短絡通路232eは閉塞された状態となっている。また、このとき、この弁体91の収容部91cによってヒータ流入ポート7aが閉塞されておらず開口しており、したがってヒータ経路およびバイパス経路は開放された状態となっている。一方、冷却水温度が経路開放温度に達していないことからサーモスタット7はラジエータ経路を閉塞した状態となっている。
そして、エンジン1を稼働させると、クランクプーリ55が回転してウォータポンプ8が作動し、このウォータポンプ8から吐出される冷却水は、全量、ウォータジャケット20の第1冷却通路232aに導入されることになる。この冷却水の一部は、第1〜第3連通路201〜203を通じてヘッド側ウォータジャケット20bに導入され、その冷却水の残りは、ブロック側ウォータジャケット20aを流通してシリンダブロック21をその排気側の側部からUターン冷却して第4連通路204を通じてヘッド側ウォータジャケット20bに導入される。このヘッド側ウォータジャケット20bでは、第2,第3連通路202,203を通じて導入された冷却水が専らシリンダヘッド22の排気側の側部を気筒列方向に沿って流通し、第1,第4連通路201,204を通じて導入された冷却水が専らシリンダブロック21の吸気側の側部を気筒列方向に沿って流通する。ヘッド側ウォータジャケット20b内を流通した冷却水は、合流して冷却水導出口205を通じてウォータアウトレット部材24に吐出される。
この冷却水は、このウォータアウトレット部材24で分流され、この極冷間状態で開放されている流水路、すなわちヒータインレットパイプ14およびバイパスパイプ17によって構成される流水路に導入される。このようにエンジン1の極冷間状態では、ヒータ経路およびバイパス経路に通常時流量の冷却水、すなわちエンジン回転速度に応じた流量の冷却水が流通する。したがって、温度上昇過程の冷却水ではあるもののこの冷却水をヒータユニット6に導入してこの冷却水温度を利用して車室内を効果的に暖房することができる。すなわち、エンジン1の極冷間状態では、車内温度も極めて低いと考えられることから、このような温度上昇過程の冷却水との熱交換による温風であっても車内を効果的に暖房することができる。したがって、冷却水温度が適温に上昇されるまでヒータユニット6が作動できない状態に比べて、早期に車室内をある程度暖房することができ、乗員の暖房要求を満足させることができる。
ここで、エンジン回転速度が急激に上昇すると、これに伴ってウォータポンプ8からの吐出量も増大してATFウォーマ52よりも上流側のバイパスパイプ17やヒータインレットパイプ14の内圧が上昇する。これらのパイプ17,14の内圧が上昇するとこれらのパイプの抜け落ちが懸念されるが、この冷却装置によれば、これらの圧力上昇とともに調圧用パイプ18の内圧も上昇し、これに伴って圧力リリース弁23が開放されるので、各パイプ14,17等の抜け落ちを有効に防止することができる。
ヒータユニット6、オイルクーラ50およびATFウォーマ52から吐出された冷却水は、ヒータ流入ポート7aを通じてサーモスタットハウジング71に導入される。そして、この冷却水は、サーモスタットハウジング71内を流通してウォータポンプ8に再び導入される。
このように冷却水がヒータ経路およびバイパス経路を循環すると、冷却水温度が効率的に上昇し、極冷間基準温度Tbを越えることになる。ここで、サーモスタットハウジング71内を流通する冷却水の温度が極冷間基準温度Tbを越えた時点においても、第1感温付勢部材93は付勢力が発生しない。すなわち、第1感温付勢部材93は、内部の冷却水が所定の遅れをもって変温する鈍変温室91fに収納されているため所定の遅れをもって付勢力を発生する。この遅れは、当実施形態では、一般的なエンジン1の作動状態において、経路内を流通する冷却水温度が極冷間基準温度Tbから少冷間基準温度Tsに至るまでの時間よりも長くなるように予め設計されているので、エンジン1が少冷間状態にある場合であっても第1感温付勢部材93が付勢力を発生せず、開閉弁機構9は短絡通路232eを閉塞した状態を保っている。
そして、サーモスタットハウジング71内を流通する冷却水温度が少冷間基準温度Tsを越えると、第2感温付勢部材94が付勢力を発生する。第2感温付勢部材94は開閉弁機構9の弁体91を閉状態に付勢するので、弁体91は短絡通路232eを閉塞した状態を保っている。このとき、鈍変温室91f内の冷却水温度が極冷間基準温度Tbを越えて第1感温付勢部材93が付勢力を発生したとしても、この第1感温付勢部材93による付勢力は、付勢部材92および第2感温付勢部材94による合付勢力(各付勢部材92,94の付勢力の総和)よりも小さいので、弁体91は短絡通路232eを閉塞した状態を保つ。
続いて、冷却水温度がさらに上昇して経路開放温度Toを越えると、サーモスタット7が開状態に切り換わることによりラジエータ経路が開放されてラジエータ5によって冷却水が効率的に冷却される。この結果、冷却水温度が経路開放温度To以下になると、サーモスタット7が閉状態に切り換わって再び冷却水温度が上昇し始める。この動作を繰り返しながら、冷却水が適正温度範囲に制御されることになる。
以上に説明したように始動時にエンジン1が極冷間状態にある場合には、図5(b)に示すように、短絡経路232eを含むショートカット経路を閉塞することによりウォータジャケット20内に通常時流量の冷却水が流通するとともに、ヒータ経路は常時開放された状態にあり、エンジン1の始動直後からヒータユニット6をいつでも作動させることができ、極めて低い温度と考えられる車室内に少しでも暖かい温風を順次送りこんで車室内を効果的に暖房して乗員の暖房要求を可及的に満足させることができる。しかも、この装置では、極冷間状態でエンジン1を稼働させる場合には、冷却水がラジエータ5ではなくヒータ経路およびバイパス経路を流通するので、ある程度の早期暖機を図ることができる。
次に、エンジン1が少冷間状態にあるとき、すなわち図5(a)におけるS2状態からエンジン1を始動させる場合について説明する。エンジン1が少冷間状態にあるときは、第2感温付勢部材94は形状回復温度に達していないが、第1感温付勢部材93は形状回復温度に達している。すなわち、始動時にエンジン1が少冷間状態にあるということは、エンジン1の始動を停止してから間もない状態ということになり、通常、鈍変温室91f内の冷却水温度は少なくとも極冷間基準温度Tbを上回っている。したがって、付勢部材92だけではなく第1感温付勢部材93も付勢力を生じており、この状態では第1感温付勢部材93が付勢部材92の付勢力よりも大きい付勢力で弁体91を開状態に付勢していることから、開閉弁機構9の弁体91が開状態に位置して短絡通路232eは開放された状態となっている。また、このとき、この弁体91の収容部91cによってヒータ流入ポート7aが閉塞された状態となっており、したがってヒータ経路およびバイパス経路は閉塞された状態となっている。一方、冷却水温度が経路開放温度に達していないことからサーモスタット7はラジエータ経路を閉塞した状態となっている。
そして、エンジン1を稼働させると、クランクプーリ55が回転してウォータポンプ8が作動し、このウォータポンプ8から吐出される冷却水は、全量、ウォータジャケット20の第1冷却通路232aの基端部に導入されることになるが、短絡通路232eが開放していることからこの短絡通路232eの内圧が直近にあるウォータポンプ8によって減圧されており、しかもヒータ経路、バイパス経路、ラジエータ経路の各経路が閉塞された状態となっており、したがって冷却水はその全量が短絡通路232eを通じてサーモスタットハウジング71内に導入され、再びウォータポンプ8に吸い込まれる。すなわち、冷却水は短絡経路232eを含むショートカット経路を循環流通し、このためウォータジャケット20内の冷却水は滞留することになる。このため、ウォータジャケット20内の冷却水が早期に暖められ、早期暖機を実現して不完全燃焼によるCOやHC等を減少させることによりエミッション性を改善することができる。
冷却水がショートカット経路を流通循環して冷却水温度が少冷間基準温度Tsに達すると、第2感温付勢部材94が付勢力を発生する。この第2感温付勢部材94と付勢部材92との合付勢力は第1感温付勢部材93による付勢力よりも大きいことから、弁体91は開状態から閉状態に変位し、これにより短絡通路232e、すなわちショートカット経路は閉塞されることになる。この弁体91が閉状態になると、弁体91により閉塞されていたヒータ流入ポート7aが開放されて、ヒータ経路およびバイパス経路が開放されることになる。
この状態では、ヒータユニット6を作動することができ、しかもこのヒータユニット6には少冷間基準温度Ts以上の冷却水が流入することから比較的高く安定した温度の温風車室内に送り込むことができ、乗員の暖房要求を可及的に満足させることができる。
以上に説明したように始動時にエンジン1が少冷間状態にある場合には、図5(c)に示すように、エンジン1が少冷間状態にある間はショートカット経路を開放することによりウォータジャケット20内に冷却水を滞留させるとともに、ヒータ経路を閉塞して、冷却水温度を効率的に暖めて早期暖機を図ることができ、エミッション性を改善することができる。そして、エンジン1が温間状態に移行してから、ショートカット経路を閉塞することによりウォータジャケット20内に通常時流量の冷却水を流通させるとともにヒータ経路を開放して、ヒータユニット6を送風可能な状態にしている。これにより、ヒータユニット6を作動させると、比較的高い安定した温風が車室内に送り込まれ、これにより暖房性を可及的に乗員の要求に沿うように達成することができる。
次に、エンジン1が温間状態にあるとき、すなわち図5(a)におけるS3状態からエンジン1を始動させる場合について説明する。エンジン1が温間状態にあるときは、第1および第2感温付勢部材93,94はともに形状回復温度に達しており、この状態では、付勢部材92および第2感温付勢部材94による付勢力が第1感温付勢部材93による付勢力よりも大きいことから、弁体91はこれらの合付勢力によって閉状態に位置して短絡通路232eは開放された状態となっている。また、このとき、この弁体91の収容部91cによってヒータ流入ポート7aが開放された状態となっており、したがってヒータ経路およびバイパス経路は開放された状態となっている。一方、冷却水温度が経路開放温度に達していないことからサーモスタット7はラジエータ経路を閉塞した状態となっている。
この状態では、エンジン1は十分に暖まっていることから暖機の必要性にも乏しく、また冷却水温度も比較的高温になっていることからヒータユニット6によって車室内に送り込まれる温風も比較的高温のものとなり、エンジン1の通常の作動状態を確保することにより、乗員の暖房要求を満足させている。
そして、冷却水温度がさらに高まって経路開放温度Toに達することにより、サーモスタット7が開状態に切り換わることによりラジエータ経路が開放されてラジエータ5によって冷却水が効率的に冷却される。この結果、冷却水温度が経路開放温度To以下になると、サーモスタット7が閉状態に切り換わって再び冷却水温度が上昇し始める。この動作を繰り返しながら、冷却水が適正温度範囲に制御されることになる。
以上に説明したように始動時にエンジン1が温間状態にある場合には、図5(d)に示すように、ショートカット経路を閉塞することによりウォータジャケット20内に通常時流量、つまりエンジン回転速度に応じた流量の冷却水が流通し、この冷却水がヒータ経路およびバイパス経路に流通することにより、エンジン1の通常時の作動状態を確保している。
このように当実施形態のエンジン1の冷却装置によれば、冷却水温度に基づいてエンジン1の温度を電気的にではなく、機械的に判別して、このエンジン温度に基づいて想定される車室内温度に応じて、乗員の暖房要求と早期暖機要求とのいずれか一方を優先させることによりこれらを効果的に両立させることができる。
しかも、形状回復温度の異なる第1および第2感温付勢部材93,94の付勢力を効果的に利用して冷却水温度を判別することができ、機械的な構成により低廉かつ確実にウォータジャケット20における冷却水流量を調整することができる。また、サーモスタット7についても機械的な構成を有するものを採用することにより、一層低廉かつ確実に各経路に対する流量を調整することができる。
なお、以上に説明したエンジンの冷却装置は、本発明に係る装置の一実施形態であり、その具体的構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、その変形例を説明する。
(1)上記実施形態では、シリンダブロック21において冷却水をまず排気側の側部を流通させてから吸気側の側部を流通させるように構成されているが、このシリンダブロック21におけるブロック側ウォータジャケット20aの具体的構成は特に限定されるものではない。
例えば、図6および図7に示すように、シリンダブロック21において冷却水をまず吸気側の側部を流通させてから排気側の側部を流通させるように構成されているものであってもよい。すなわち、この他の変形例にかかる冷却装置では、シリンダブロックの形状が上記実施形態と異なる。この異なる点を重点的に説明する。
変形例にかかるシリンダブロック121は、上記実施形態と同様に、Uターン冷却方式が採用されているものの、ウォータジャケット120aは気筒10A〜10Dの周囲を周回しており、上記実施形態の仕切壁233が設けられていない点で異なる。
具体的には、ブロック側ウォータジャケット120aは、図6に示すように、冷却水流入ポート231からシリンダブロック21の前側部、言い換えるとシリンダブロック121の吸気側部を気筒列方向に沿って当該シリンダブロック121の他端側(図例では左側)に延びる吸気側冷却通路332aと、この吸気側冷却通路332aに連通してシリンダブロック121の他端部(図例では左側部)を後方に延びる転換冷却通路332bと、この転換冷却通路332bに連通してシリンダブロック121の後側部、言い換えるとシリンダブロック121の排気側の側部を気筒列方向に沿って当該シリンダブロック121の長手方向一端部(図例では右側)まで延びる排気側冷却通路332cと、この排気側冷却通路332cに連通してシリンダブロック121の長手方向一側部(図例では右側部)を前方に延びる連通冷却通路332dとを備え、吸気冷却通路332a、転換冷却通路332b、排気側冷却通路332c、連通冷却通路332dの順で冷却水が流通される。吸気側冷却通路332aの基端部には上記実施形態と同様の短絡通路332eが開口し、この短絡通路332eを通じてショートカット経路が構成される。
この場合、冷却水流入ポート331も、図7に明示するように下流端がシリンダブロック121の内側に傾斜して形成され、これにより冷却水が吸気側冷却通路332aに導入し易いように構成されている。
このように構成しても、乗員の暖房要求と早期暖機要求とのいずれか一方を優先させることにより両者を両立することができる。しかも、ブロック側ウォータジャケット120aが気筒10A〜10D周りを1周しているので、エンジンが少冷間状態にある場合に、ブロック側ウォータジャケット120a内で冷却水の一部を循環させることができ、熱交換を活発に行わせて早期暖機を効率的に実行することができる。
(2)上記実施形態では、エンジンが少冷間状態にある場合に、ウォータジャケット20内に冷却水が滞留するように構成されているが、例えばバイパス通路に一部循環させるように構成されるものであってもよい。この場合でも、上記実施形態による効果と同様の効果を得ることができる。
(3)上記実施形態では、付勢部材92が弁体91を閉状態に付勢し、第1感温付勢部材93が弁体91を開状態に付勢し、第2感温付勢部材94が弁体91を閉状態に付勢するように構成されているが、形状回復温度や付勢力を適宜設定することにより、これらの組み合わせ以外にも上記弁体91の動作と同様に動作させることも可能である。
(4)上記実施形態では、バイパスパイプ17にオイルクーラ50等が配設されているが、これらは適宜省略することができる。この場合には、バイパスパイプ17によってウォータジャケット20内の冷却水がほとんど熱交換されることなく循環されるので、効率的に冷却水温度を上昇させることができる。
(5)上記実施形態では、極冷間状態にあるエンジンを始動させた場合、冷却水温度が極冷間基準温度Tbを越えた場合でも弁体91を開状態に切り換えず、そのままエンジンが温間状態にある場合の弁体91の開閉制御を行っているが、例えば鈍変温室91fの容積を縮小することにより、あるいは鈍変温室91fに外側と連通する貫通孔を設けること等により、鈍変温室91f内の冷却水温度変化に対する遅れを短く設定し、これによりエンジンの少冷間状態のうち高温側で弁体91を開状態に切り換えるように構成してもよい。
本発明に係るエンジンの冷却装置の概略斜視図である。 同装置を模式的に示す説明図である。 弁体が閉状態にある場合の流路調整機構を示す要部断面図である。 弁体が開状態にある場合の流路調整機構を示す要部断面図である。 冷却水温度の時間変化等を示す説明図である。 本発明に係るエンジンの冷却装置の変形例を模式的に示す説明図である。 同変形例の流路調整機構を示す要部断面図である。
符号の説明
1 エンジン
2 エンジン本体
5 ラジエータ
6 ヒータユニット
7 サーモスタット
9 開閉弁機構
10A〜10D 各気筒
18 調圧用パイプ
20 ウォータジャケット
20a ブロック側ウォータジャケット
20b ヘッド側ウォータジャケット
21 シリンダブロック
22 シリンダヘッド
50 オイルクーラ(熱交換器)
52 ATFウォーマ(熱交換器)
71 サーモスタットハウジング
81 ウォータポンプハウジング
91 弁体
91f 鈍変温室
92 付勢部材
93 第1感温付勢部材
94 第2感温付勢部材
231 冷却水流入ポート
232e 短絡通路

Claims (8)

  1. ウォータポンプによってエンジン内のウォータジャケットとラジエータとの間で冷却流体を循環させるラジエータ経路と、このラジエータ経路に配設されるとともにエンジン温度が所定の経路開放温度以上にある場合に当該ラジエータ経路を開き、経路開放温度未満である場合に当該ラジエータ経路を閉じるサーモスタットと、上記ウォータジャケットと車室内を暖房するためのヒータユニットとの間で冷却流体を循環させるヒータ経路と、エンジン始動時のエンジン温度に基づき上記ウォータジャケットに流入する冷却流体の流量を調整する流量調整機構とを備え、
    この流量調整機構は、エンジンが上記経路開放温度未満であって所定の極冷間基準温度よりも低い極冷間状態にある場合に上記ウォータジャケットに流入する冷却流体の流入流量を通常時流量とし、エンジンがこの極冷間基準温度以上であって上記経路開放温度未満の所定の少冷間基準温度よりも低い少冷間状態にある場合に上記ウォータジャケット流入流量を無くしまたは上記通常時流量よりも低減し、エンジンが少冷間基準温度以上の温間状態にある場合に上記ウォータジャケット流入流量を通常時流量とし、
    上記ヒータ経路は、少なくともエンジンが極冷間状態にある場合に流通可能に構成されていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  2. 上記流量調整機構は、上記エンジンの温度を冷却流体の温度に基づいて判別するとともに、外側を流通する冷却流体の温度変化に対して内部に存在する冷却流体の温度が所定の遅れをもって追随する鈍変温室を有し、この鈍変温室内の冷却流体温度に基づいてエンジンの極冷間状態を判別するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のエンジンの冷却装置。
  3. 上記流量調整機構は、上記ウォータポンプの吸入口と吐出口とを短絡させるショートカット通路と、このショートカット通路を開閉させる開閉弁機構とを備え、このショートカット通路を開いて上記ウォータポンプから吐出される冷却流体の流量の少なくとも一部を上記ショートカット通路に導入することによりウォータジャケットに導入される冷却流体の流量を低減するように構成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載のエンジンの冷却装置。
  4. 上記流量調整機構の開閉弁機構は、上記ショートカット通路を開閉する弁体と、この弁体を開方向および閉方向のいずれか一方向に付勢する付勢部材と、冷却流体の温度変化に基づいて所定の付勢力を発生するとともにこの発生した付勢力によって上記弁体を上記付勢部材の付勢方向と反対方向に付勢する第1感温付勢部材と、冷却流体の温度変化に基づいて所定の付勢力を発生するとともにこの発生した付勢力によって上記弁体を上記付勢部材の付勢方向と同一方向に付勢する第2感温付勢部材とを備え、
    上記第1感温付勢部材および第2感温付勢部材は、その付勢力を発生する所定の温度が上記極冷間基準温度および少冷間基準温度のいずれか一方に設定されるとともに、上記開閉弁機構は、上記付勢部材による付勢力と第1および第2感温付勢部材による発生した付勢力との合付勢力によって、始動時のエンジン状態が極冷間状態にある場合に上記弁体を閉状態に付勢し、始動時のエンジン状態が少冷間状態にある場合に上記弁体を開状態に付勢し、始動時のエンジン状態が温間状態にある場合に上記弁体を閉状態に付勢するように構成されていることを特徴とする請求項3記載のエンジンの冷却装置。
  5. 上記サーモスタットは、機械的に駆動されるメカニカルサーモスタットとして構成されていることを特徴とする請求項4記載のエンジンの冷却装置。
  6. 上記エンジンの一の側面に上記ウォータポンプが収納されるウォータポンプハウジングが形成されるとともに、このウォータポンプハウジングに近接して上記サーモスタットを収納するサーモスタットハウジングが形成され、このサーモスタットハウジングと一体的に上記開閉弁機構が収納されるハウジングが形成されていることを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載のエンジンの冷却装置。
  7. 上記ラジエータおよびヒータユニットを迂回して上記ウォータジャケットの冷却流体出入口を接続するサブ循環経路をさらに備え、このサブ循環経路に冷却流体とエンジンオイルとの間で熱交換させるオイル用熱交換器が配設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のエンジンの冷却装置。
  8. 上記サブ循環経路には、オイル用熱交換器をバイパスする熱交換器バイパスが設けられるとともに、この熱交換器バイパスに圧力リリーフ弁が配設されていることを特徴とする請求項7記載のエンジンの冷却装置。
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