JP2004353528A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】硫黄成分を保持することによる触媒の性能の劣化を抑えた排気浄化装置を提供する。
【解決手段】本発明の排気浄化装置は、機関排気通路上に配置された、硫黄成分を保持・離脱可能な硫黄成分保持剤23と、硫黄成分を保持することにより排気浄化能力が低下する排気浄化触媒26とを備え、上記硫黄成分保持剤から硫黄成分を離脱させる硫黄成分離脱処理を実行する硫黄成分離脱手段と、上記排気浄化触媒を昇温させる昇温手段とを備える。昇温手段は、上記硫黄成分離脱手段によって上記硫黄成分離脱処理を実行している期間中の少なくとも一部期間に上記排気浄化触媒が硫黄成分を保持することのないような所定温度以上にまで排気浄化触媒を昇温させる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の排気通路上に、上流側燃料添加装置、硫黄成分を保持可能なSO保持剤、下流側燃料添加装置、NOを保持可能なNO保持剤が、上流側から下流側に向かって上記の順序で配置された排気浄化装置が知られている(特許文献1)。特許文献1の記載の排気浄化装置では、SO保持剤のSO保持量等に応じて、上流側燃料添加装置によってSO保持剤に流入する排気ガス中に燃料を添加して、SO保持剤に保持されている硫黄成分を離脱させている。また、この前に下流側還元剤添加装置からNO保持剤に流入する排気ガスに還元剤を添加して、NO保持剤に保持されている酸素の濃度を低下させている。このように、NO保持剤に保持されている酸素の濃度を低下させることで、NO保持剤にSO保持剤から離脱された硫黄成分を含む排気ガスが流入するときに、NO保持剤周りの排気ガスの空燃比がリーンとなってしまうことを防止し、よってNO保持剤に硫黄成分が保持されてしまうことを抑制している。
【0003】
【特許文献1】
特開平06−336914号公報
【特許文献2】
特開2000−265833号公報
【特許文献3】
特許2605553号
【特許文献4】
特開2000−145436号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1に記載の排気浄化装置では、NO保持剤は、その流入排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチであれば、NO保持剤の温度が硫黄成分離脱開始温度以下であっても、流入する排気ガス中の硫黄成分を保持してしまうことはないことを前提としている。すなわち、上記排気浄化装置では、NO保持剤に硫黄成分が流入しても、NO保持剤に流入する排気ガスの空燃比がリーンにならなければ、NO保持剤は流入排気ガス中の硫黄成分を保持しないものとしている。
【0005】
ところが、本願出願人等の研究により、実際には、NO保持剤は、流入排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチであってもその温度が離脱開始温度以下であると、流入排気ガス中の硫黄成分を保持してしまうことがあることが判明した。このため、上記特許文献1に記載の排気浄化装置では、NO保持剤に硫黄成分が流入するときにNO保持剤の温度が離脱開始温度以下であると、NO保持剤に流入する排気ガスの空燃比をリーンにしてもNO保持剤には多くの硫黄成分が保持されてしまい、これによりNO保持剤のNO保持能力や酸化能力が低下してしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的は、硫黄成分を保持することによる触媒の性能の劣化を抑えた排気浄化装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、第1の発明では、流入排気ガスの空燃比がリーンのときに硫黄成分を保持し、流入排気ガスの酸素濃度が低下し且つ離脱開始温度以上となっているときに保持している硫黄成分を離脱させる硫黄成分保持剤を機関排気通路上に配置し、且つ該硫黄成分保持剤の排気下流に、硫黄成分を保持することにより排気浄化能力が低下する排気浄化触媒を配置し、上記硫黄成分保持剤から硫黄成分を離脱させる硫黄成分離脱処理を実行する硫黄成分離脱手段と、上記排気浄化触媒を昇温させる昇温手段とを備える内燃機関の排気浄化装置において、上記昇温手段は、上記硫黄成分離脱手段によって上記硫黄成分離脱処理を実行している期間中の少なくとも一部期間に、上記排気浄化触媒が流入排気ガス中の硫黄成分を保持することのないような所定温度以上にまで上記排気浄化触媒を昇温させる。
一般に、硫黄成分を保持することにより排気浄化能力が低下する排気浄化触媒(例えば、後述するNO保持剤を担持した触媒)では、排気浄化触媒への流入排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチになっていて且つ排気浄化触媒の温度が流入排気ガス中の硫黄成分を保持することのないような所定温度以上であると、排気浄化触媒が流入排気ガス中の硫黄成分を保持してしまうことが抑制される。第1の発明によれば、硫黄成分離脱処理中において、排気浄化触媒の温度が少なくとも硫黄成分離脱処理の一部期間に亘って上記所定温度以上に維持される。したがって、硫黄成分離脱処理中には、排気浄化触媒への流入排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチになっていると共に排気浄化触媒の温度が一部期間に亘って所定温度以上になっており、少なくともこの期間中には排気浄化触媒に硫黄成分が保持されてしまうことが抑制される。
なお、上記所定温度とは、例えば、排気浄化触媒への流入排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチであれば、排気浄化触媒に保持されている硫黄成分が離脱せしめられるような温度(以下、「排気浄化触媒の離脱開始温度」と称す)である。また、排気浄化触媒の温度が所定温度以上となっている期間は、硫黄成分離脱処理を実行している期間中の一部期間だけでなく、全期間であってもよい。一部期間の場合には、硫黄成分離脱処理の終了直前を含むのが好ましい。
【0008】
第2の発明では、第1の発明において、上記硫黄成分離脱処理は、上記硫黄成分保持剤への流入排気ガスの空燃比をリッチにすることとリーンにすることとを繰り返すことによって行われ、上記昇温手段は、上記排気浄化触媒に流入する排気ガス中に燃料を添加する排気浄化触媒用燃料添加装置を具備し、上記硫黄成分離脱処理中において上記硫黄成分保持剤から上記排気浄化触媒へ流れる排気ガスの空燃比がリーンのときに上記排気浄化触媒用燃料添加装置から排気ガスへ燃料を添加する。
第2の発明によれば、硫黄成分保持剤から排気浄化触媒へ流れる排気ガスの空燃比がリーンのとき、すなわちこのような排気ガスに多くの酸素が含まれているときに排気浄化触媒用燃料添加装置から排気ガスへ燃料が添加されるので、排気浄化触媒において酸素と燃料とが反応して、排気浄化触媒を最適に昇温させることができる。ここで、硫黄成分保持剤から排気浄化触媒へ流れる排気ガスの空燃比がリッチのときには、硫黄成分保持剤で反応して排気ガス中に酸素はほとんど存在しないので、排気浄化触媒用燃料添加装置から燃料を添加しても排気浄化触媒で反応が起きず、よって排気浄化触媒が昇温されないばかりか、排気浄化触媒から未燃の燃料が流出してしまう。これに対して、第2の発明のように、空燃比がリーンの排気ガスに燃料を添加すると、上述したように酸素と燃料が良好に反応し、このため排気浄化触媒から未燃の燃料が流出してしまうこともない。
なお、燃料添加装置から添加される燃料は、内燃機関の燃料室に供給される燃料と同一の燃料でなく、別の燃料でもよい。燃料としては、白金等の触媒上で酸素と発熱反応を起こすものであれば、如何なる物質であってもよい。
【0009】
第3の発明では、第2の発明において、上記硫黄成分離脱処理を実行する前に上記排気浄化触媒を活性温度にまで昇温させる。
上記第2の発明では、硫黄成分保持剤の硫黄成分離脱処理を実行する際に、排気浄化触媒において酸素と燃料とを反応させることで排気浄化触媒を昇温させているが、このような反応は排気浄化触媒が或る活性温度に到達していないと良好に起こらない。そこで、第3の発明によれば、硫黄成分離脱処理前に排気浄化触媒を活性温度にまで昇温させることで、硫黄成分離脱処理中に硫黄成分保持剤において確実に酸素と燃料とが反応するようにしている。
なお、活性温度とは、排気浄化触媒が良好に活性する温度、すなわち、排気浄化触媒に燃料と空気が流入したときにほぼ確実に酸化反応が起こるような温度であり、第一の発明における所定温度よりも低い温度である。
【0010】
第4の発明では、第3の発明において、上記硫黄成分離脱手段は、上記硫黄成分保持剤に流入する排気ガス中に燃料を添加する硫黄成分保持剤用燃料添加装置を具備し、上記硫黄成分離脱処理を実行する前の上記排気浄化触媒の昇温は、硫黄成分保持剤用燃料添加装置から排気ガスに燃料を添加することによって行われる。
上述したように、排気浄化触媒は、その温度が基準温度以下であるときには活性の程度が低く、よってその酸化能力も高くない。このため、排気浄化触媒に流入した未燃の燃料と酸素とが反応せず、よって排気浄化触媒が昇温されず且つ排気浄化触媒から未燃の燃料が流出してしまう可能性がある。これに対して第4の発明によれば、排気浄化触媒には硫黄成分保持剤で反応することで高温となっており且つ酸素濃度の低い排気ガスが流入するので、この高温の排気ガスによって排気浄化触媒が昇温されると共に、排気浄化触媒にはほとんど未燃の燃料が流入しないので未燃の燃料が大気中に放出されることもほとんどない。
【0011】
第5の発明では、第2の発明において、上記排気浄化触媒用燃料添加装置から排気ガスへの燃料の添加は、排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比以下とならないように行われる。
第5の発明によれば、排気浄化触媒用燃料添加装置から排気ガスへ燃料を添加する場合には、排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチにならない程度に燃料が添加されるので、排気浄化触媒の排気下流に未燃の燃料が流出してしまうことなく、排気浄化触媒を昇温することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の排気浄化装置を説明する。図1は本発明の排気浄化装置を備えたディーゼル型の圧縮自着火式内燃機関を示す。なお本発明は火花点火式内燃機関にも適用可能である。
【0013】
図1を参照すると、1は機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は電気制御式燃料噴射弁、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートをそれぞれ示す。吸気ポート8は対応する吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、サージタンク12は吸気ダクト13を介して排気ターボチャージャ14のコンプレッサ15に連結される。
【0014】
吸気ダクト13内にはステップモータ16により駆動されるスロットル弁17が配置され、さらに吸気ダクト13周りには吸気ダクト13内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置18が配置される。図1に示した内燃機関では冷却装置18内に機関冷却水が導かれ、この機関冷却水により吸入空気が冷却される。一方、排気ポート10は排気マニホルド19および排気管20を介して排気ターボチャージャ14の排気タービン21に連結され、排気タービン21の出口は排気管22を介してNO触媒23を内蔵したケーシング24に連結される。NO触媒23の排気上流側の部分には、NO触媒23の温度を検出するための温度センサ49が取付けられる。一方、NO触媒23の排気下流側には、排気管25を介してランタン(La)を担持した三元触媒(以下、単に「三元触媒」と称す)26を内蔵したケーシング27が連結される。三元触媒26の排気上流側の部分には、三元触媒26の温度を検出するための温度センサ50が取付けられる。
【0015】
排気マニホルド19とサージタンク12とは排気ガス再循環(以下、EGR)通路28を介して互いに連結され、EGR通路28内には電気制御式EGR制御弁29が配置される。またEGR通路28周りにはEGR通路28内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置30が配置される。図1に示した内燃機関では冷却装置30内に機関冷却水が導かれ、この機関冷却水によりEGRガスが冷却される。
【0016】
一方、各燃料噴射弁6は燃料供給管6aを介して燃料リザーバ、いわゆるコモンレール27に連結される。このコモンレール31内へは電気制御式の吐出量可変な燃料ポンプ32から燃料が供給され、コモンレール31内に供給された燃料は各燃料供給管6aを介して燃料噴射弁6に供給される。コモンレール31にはコモンレール31内の燃料圧を検出するための燃料圧センサ33が取り付けられ、燃料圧センサ33の出力信号に基づいてコモンレール31内の燃料圧が目標燃料圧となるように燃料ポンプ32の吐出量が制御される。
【0017】
電子制御ユニット40はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス41により互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)42、RAM(ランダムアクセスメモリ)43、CPU(マイクロプロセッサ)44、入力ポート45および出力ポート46を具備する。燃料圧センサ33の出力信号は対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。また、温度センサ49、50の出力信号は対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。
【0018】
アクセルペダル51にはアクセルペダル51の踏込量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ52が接続され、負荷センサ52の出力電圧は対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。さらに、入力ポート45には、クランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ53が接続される。また、排気管22には、NO触媒23に流入する排気ガス中に燃料を添加するための上流側燃料添加装置54が設けられ、排気管25には、三元触媒26に流入する排気ガスに燃料を添加するための下流側燃料添加装置55が設けられ、これら燃料添加装置54、55は対応する駆動回路48を介して出力ポート46に接続される。さらに、出力ポート46は、対応する駆動回路48を介して、燃料噴射弁6、スロットル弁駆動用ステップモータ16、EGR制御弁29、および、燃料ポンプ32に接続される。
【0019】
次に、本発明のNO触媒23による排気ガスの浄化メカニズム、特に排気ガス中のNOの保持・離脱および還元浄化作用について図2を参照して説明する。なお、ランタン(La)を担持した三元触媒26も同様なメカニズムのNOの保持・離脱および還元浄化作用を有するが、説明は省略する。NO触媒23は、例えばカリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)のようなアルカリ金属、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)のようなアルカリ土類、ランタン(La)、イットリウム(Y)のような希土類から選ばれた少なくとも一つであるNO保持剤と、白金(Pt)のような貴金属とから成る。
【0020】
次に、このNOの保持・離脱および還元浄化作用のメカニズムについて白金(Pt)およびバリウム(Ba)を担持させた場合を例にとって説明するが他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類、希土類を用いても同様なメカニズムとなる。なお、図2(a)および(b)はNO触媒23の隔壁の表面上および隔壁の細孔表面上に形成された担体層の表面の拡大図を模式的に表している。図2(a)および(b)において60は白金の粒子を示しており、61はバリウム等のNO保持剤を含む担体層を示している。
【0021】
吸気通路および燃焼室5内および排気通路に供給された空気と燃料との比を排気ガスの空燃比と称すると、流入する排気ガスの空燃比がかなりリーンになると排気ガス中の酸素濃度が大幅に増大し、図2(a)に示したようにこれら酸素がO またはO2−の形で白金60の表面に付着する。一方、流入する排気ガス中のNOは白金60の表面上でO またはO2−と反応し、NOとなる(2NO+O→2NO)。次いで生成されたNOの一部は白金60上で更に酸化されつつNO保持剤61内に吸収されて酸化バリウム(BaO)と結合しながら、図2(a)に示されるように硝酸イオン(NO )の形でNO保持剤61内に拡散する。このようにしてNOがNO保持剤61に保持される。
【0022】
流入する排気ガス中の酸素濃度が高い限り白金60の表面でNOが生成され、NO保持剤61のNO保持能力が飽和しない限りNOがNO保持剤61に保持されて硝酸イオン(NO )が生成される。これに対して排気ガス中の酸素濃度が低下してNOの生成量が低下すると反応が逆方向(NO →NO)に進み、斯くしてNO保持剤61内の硝酸イオン(NO )がNOの形でNO保持剤から放出される。すなわち、流入する排気ガス中の酸素濃度が低下するとNO保持剤61からNOが離脱せしめられることになる。流入する排気ガスのリーンの度合いが低くなれば排気ガス中の酸素濃度が低下し、したがって流入する排気ガスのリーンの度合いを低くすればNO保持剤61からNOが離脱せしめられることになる。
【0023】
一方、この時流入する排気ガスの空燃比を小さくすると、HC、COは白金60上のO またはO2−と反応して酸化せしめられる。また、流入する排気ガスの空燃比を小さくすると排気ガス中の酸素濃度が極度に低下するためにNO保持剤61からNOが離脱され、このNOは図2(b)に示さしたように未燃HC、COと反応して還元浄化せしめられる。このようにして白金60の表面上にNOが存在しなくなるとNO保持剤61から次から次へとNOが離脱される。したがって流入する排気ガスの空燃比を小さくし、且つ還元剤が存在する状態にすると短時間のうちにNO保持剤61からNOが離脱されて還元浄化されることになる。
【0024】
次に、NO保持剤61の硫黄成分の保持・離脱のメカニズムについて説明する。排気ガス中にSO成分が含まれていると、NO保持剤61は上述のNOの吸収と同じメカニズムで排気ガス中のSOを保持する。すなわち、排気ガスの空燃比がリーンの時、排気ガス中のSO(例えばSO)は白金(Pt)上で酸化されてSO 、SO となり、酸化バリウム(BaO)と結合してBaSOを形成する。BaSOは比較的安定であり、また、結晶が粗大化しやすいため一旦生成されると分解放出されにくい。このため、NO保持剤61中のBaSOの生成量が増大するとNOの保持に関与できるBaOの量が減少してしまいNO保持能力が低下してしまう。
【0025】
保持している硫黄成分を離脱させるためには、NO保持剤61中に生成されたBaSOを高温で分解するとともに、これにより生成されるSO 、SO の硫酸イオンをほぼ理論空燃比またはリッチ雰囲気下で還元させることで、気体状のSOに転換してNO保持剤61から離脱せしめられる。したがって硫黄成分を離脱させるためには、NO保持剤61を高温且つほぼ理論空燃比またはリッチ雰囲気の状態にすることが必要とされる。
【0026】
ところで、本実施形態の両排気浄化触媒(すなわち、NO触媒23および三元触媒26)は上述したメカニズムで排気浄化触媒23、26への流入排気ガスの空燃比がリーンのときには排気ガス中に含まれるNOを保持し、流入排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチのときには保持しているNOを排気ガス中に離脱させる。離脱したNOは、排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチであるときに排気ガス中に含まれる還元剤(例えばHC、CO)によって還元浄化される。以下、このように流入排気ガス中のNOを保持する能力を、「NO保持能力」と称す。
【0027】
一方、このような排気浄化触媒23、26では排気ガス中のNOだけでなく硫黄成分(SOまたはHS等)も保持してしまう(以下、このような能力を「硫黄成分保持能力」と称す)。より詳細には、排気浄化触媒23、26は、それぞれ、上述したメカニズムで、流入排気ガスおよび排気浄化触媒等が硫黄成分保持条件にあるときには流入排気ガス中の硫黄成分を保持し、硫黄成分離脱条件にあるときには排気浄化触媒が保持している硫黄成分を離脱させる。なお、硫黄成分保持条件および硫黄成分離脱条件については後述する。
【0028】
一般に、排気浄化触媒に保持されている硫黄成分の量が多くなると、排気浄化触媒の排気浄化能力(例えば、NO保持能力や酸化能力等)が低下してしまうので、NO触媒23の硫黄成分保持量(NO触媒23が保持している硫黄成分の量)を常に少量に抑える必要がある。このため、多くの排気浄化装置では、NO触媒23の硫黄成分保持量が所定量以上となったときに、NO触媒23に保持されている硫黄成分を強制的に離脱させる処理(以下、S離脱処理と称す)を行い、NO触媒23に保持されている硫黄成分が離脱させるようにしている。こうすることで、NO触媒23の硫黄成分保持量を常に所定量よりも少なく維持することができ、NO触媒23のNO保持能力や酸化能力の低下を抑制することができる。
【0029】
ところで、従来から、上述したような排気浄化触媒の硫黄成分保持条件とは、排気浄化触媒への流入排気ガスの空燃比がリーンであることであり、硫黄成分離脱条件とは、排気浄化触媒への流入排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチであって排気浄化触媒の温度(排気浄化触媒の床温)が離脱開始温度(排気浄化触媒への流入排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチであるときに、排気浄化触媒に保持されている硫黄成分が離脱されるような温度)以上であることだと考えられてきた。したがって、NO触媒23のS離脱処理を実行して三元触媒26に硫黄成分を多く含んだ排気ガスが流入しても、その排気ガスがリッチであるため三元触媒は硫黄成分保持条件となっておらず、三元触媒には硫黄成分が保持されないものと考えられていた。
【0030】
ところが、本願出願人の研究により、NO触媒23のS離脱処理を実行すると、三元触媒26に硫黄成分が保持されてしまうことが発見された。この理由としては、現在正確なメカニズムは分かっていないが、例えば三元触媒26への流入排気ガスの空燃比は全体としてはほぼ理論空燃比またはリッチであるが、局所的に空燃比がリーンとなっている領域が存在し、このような領域において三元触媒26に硫黄成分が保持されてしまうことが考えられる。そして、三元触媒26に多量に硫黄成分が保持されると、三元触媒26の排気浄化能力(例えば、NOx保持能力や酸化能力)が低下してしまう。
【0031】
そこで、本発明の排気浄化装置では、NO触媒23のS離脱処理を実行して、NO触媒23から離脱した硫黄成分が三元触媒26に流入するときには、三元触媒26を昇温させる三元触媒の昇温処理を実行し、S離脱処理中に三元触媒26の温度が離脱開始温度(三元触媒26への流入排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチであるときに、三元触媒26に保持されている硫黄成分が離脱されるような温度)以上にまで到達するようにしている。このため、NO触媒23においてS離脱処理が行われている期間のうち、少なくともS離脱処理の終了間際において三元触媒26の温度は離脱開始温度にまで到達している。
【0032】
NO触媒23のS離脱処理中には三元触媒26への流入排気ガスの空燃比はほぼ理論空燃比またはリッチであるので、このS離脱処理中に三元触媒26の温度を離脱開始温度以上にすることにより、NO触媒23から離脱して三元触媒26に流入する硫黄成分が三元触媒26に保持されてしまうことが抑制される。また、S離脱処理期間のうち少なくともS離脱処理の終了間際に三元触媒26の温度が離脱開始温度以上になっていることにより、S離脱処理期間のうち上記終了間際以外の期間において三元触媒26の温度が離脱開始温度以上になっていなくて三元触媒26に硫黄成分が保持されてしまっていたとしても、上記S離脱処理の終了間際に三元触媒26に保持されている硫黄成分を離脱させることができ、よってS離脱処理が終了したときには三元触媒26の硫黄成分保持量をほぼ零にすることができる。
【0033】
次に、図3を参照して、本発明の排気浄化装置におけるS離脱処理における制御について詳細に説明する。図3は、S離脱処理を実行した場合の、上流側燃料添加装置54からの燃料添加量(図3(a))、下流側燃料添加装置55からの燃料添加量(図3(b))、NO触媒23への流入排気ガスの空燃比(図3(c))、三元触媒26への流入排気ガスの空燃比(図3(d))、NO触媒23および三元触媒26の温度(図3(e))のタイムチャートである。
【0034】
本実施形態の排気浄化触媒では、後述する事前昇温処理により三元触媒26の温度が活性温度Tda以上になったとき(すなわち、図3の時刻t)に、NO触媒23のS離脱処理が開始される。S離脱処理が開始されると、まず、上流側燃料添加装置54によって排気ガス中に燃料が添加されて、NO触媒23への流入排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチにされる。このときの上流側燃料添加装置54による燃料添加量は、NO触媒23への流入排気ガスの空燃比のリッチ度合いが比較的低くなるように、すなわち上記流入排気ガスの空燃比がリッチでありながら理論空燃比に近い空燃比となるような量である。換言すると、上記燃料添加量は、上記流入排気ガスの空燃比が理論空燃比よりも僅かに小さい空燃比となるような量である。
【0035】
S離脱処理開始時点ではNO触媒23の温度がその離脱開始温度Tus以上となっていないことが多く、この場合、上述したようにNO触媒23への流入排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチとされると、NO触媒23がさらに昇温せしめられる。これは、上流側燃料添加装置54によって添加された燃料が排気ガス中に含まれる酸素によって燃焼せしめられることによる。このとき、NO触媒23への流入排気ガスの空燃比はリッチ度合いの低いリッチであるので、添加した燃料のほとんどが燃焼し、よってNO触媒23から流出する排気ガス中に未燃の燃料等はほとんど存在しない。また、NO触媒23から流出する排気ガス中に含まれた未燃の燃料等は三元触媒26によって燃焼せしめられるので、この場合に、排気浄化装置から大気中に未燃の燃料等が放出されてしまうことはほとんどない。
【0036】
そして、NO触媒23がその離脱開始温度Tus以上となるまで昇温された場合には、上流側燃料添加装置54によって燃料が添加されてNO触媒23への流入排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチとされると、NO触媒23の昇温と同時に、NO触媒23に保持されている硫黄成分が離脱せしめられる。そして、NO触媒23への流入排気ガスの空燃比をほぼ理論空燃比またはリッチにし且つNO触媒23の温度がその離脱開始温度以上に維持すると、NO触媒23に保持されている硫黄成分は維持されている時間に応じて離脱せしめられる。その後、NO触媒23の硫黄成分保持量がほぼ零になったと推定された場合に、S離脱処理が終了せしめられ、すなわち上流側燃料添加装置54からの燃料の添加が停止せしめられる。このようにして、NO触媒23に保持されている硫黄成分が離脱せしめられる。
【0037】
ところで、S離脱処理の実行中においては、S離脱処理の全期間に亘ってNO触媒23への流入排気ガスの空燃比をほぼ理論空燃比またはリッチにするように上流側燃料添加装置54から燃料を添加することはできない。このように、燃料添加により流入排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチの状態が続くと、NO触媒23の温度が高くなり過ぎてNO触媒23の限界温度Tucを越えてしまい、NO触媒23のNO保持能力が低下したり、NO触媒23に担持されている触媒(例えば、白金触媒等)の酸化能力が低下したりしてしまう。このため、本実施形態の排気浄化装置では、図3(a)および図3(c)に示したように、S離脱処理中に、上流側燃料添加装置54から燃料を添加してNO触媒23への流入排気ガスの空燃比をほぼ理論空燃比またはリッチにすることと、上流側燃料添加装置54から燃料を添加せずにNO触媒23への流入排気ガスの空燃比をリーンにすることとを繰り返すことで、NO触媒23の温度が必要以上に高温になってしまうことを防止している。すなわち、流入排気ガスの空燃比がリーンとなる期間を入れることで、燃料がNO触媒23上で燃焼しない期間をつくり、NO触媒23が必要以上に昇温されてしまうことを防止している。この場合、流入排気ガスの空燃比をほぼ理論空燃比またはリッチにする時間と、リーンにする時間とは、NO触媒23の温度がその離脱開始温度Tusよりも高い限界温度以上になってしまうことのないようにそれぞれ予め定められている。こうして、図3(e)に示したように、NO触媒23の温度はNO触媒23の限界温度Tuc以下に維持される。
【0038】
一方、三元触媒26では、S離脱処理を実行すると、上流側燃料添加装置54から燃料が添加されたときには三元触媒26にも比較的高温の排気ガスが流入し、三元触媒26も昇温せしめられる。しかしながら、NO触媒23と三元触媒26との距離が比較的離れていたりすると、三元触媒26の温度はNO触媒23の温度よりもかなり低い温度になり、よってS離脱処理が実行されてNO触媒23の温度がその離脱開始温度Tus以上になっても、三元触媒26の温度はその離脱開始温度Tdsにまでは昇温されないことが多い。
【0039】
上述したように、三元触媒26は、その温度が離脱開始温度Tdsよりも低いと、流入排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチであっても、流入排気ガス中の硫黄成分の一部を保持してしまう。そこで、本発明の排気浄化装置では、図3(b)に示したように、S離脱処理中において、上流側燃料添加装置54から燃料が添加されずにNO触媒23から三元触媒26に空燃比がリーンの排気ガスが流れているときに、下流側燃料添加装置55によって三元触媒26に流入する排気ガス中に燃料を添加するようにしている。このときの下流側燃料添加装置55による燃料添加量は、三元触媒26への流入排気ガスの空燃比のリーン度合いが比較的低くなるように、すなわち上記流入排気ガスの空燃比がリーンでありながら理論空燃比に近い空燃比となるような量である。換言すると、上記燃料添加量は、上記流入排気ガスの空燃比が理論空燃比よりも僅かに大きい空燃比となるような量である。
【0040】
このように、NO触媒23から三元触媒26に空燃比がリーンの排気ガスが流れているときに下流側燃料添加装置55から燃料を添加することによって、下流側排気浄化装置26を効果的に昇温することができる。すなわち、NO触媒23から流出した排気ガスの空燃比がリーンであり、その排気ガス中には多量の酸素が含まれているので、添加した燃料が排気ガス中の酸素の存在により三元触媒26上で良好に燃焼する。
【0041】
また、NO触媒23から三元触媒26へ流れる排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチのときに下流側燃料添加装置55から燃料を添加すると、三元触媒26への流入排気ガスの空燃比はリッチ度合いの高いリッチとなり、三元触媒26の排気下流に未燃の燃料等が流出してしまうことになるが、本実施形態のようにNO触媒23から三元触媒26へと流れる排気ガスの空燃比がリーンのときに上述した量の燃料を添加しても、流入排気ガス中の燃料は三元触媒26上でほとんど燃焼するので、その排気下流に未燃の燃料が流出してしまうことが抑制される。
【0042】
結果的に、三元触媒26への流入排気ガスの空燃比は図3(d)のようになり、三元触媒26の温度は図3(e)のようになる。すなわち、上流側燃料添加装置54から燃料が添加されているときには空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチで比較的高温の排気ガスが流入し、下流側燃料添加装置55から燃料が添加されているときには空燃比がリーンの未燃の燃料が流入して、三元触媒26上で燃料の燃焼が起こり、三元触媒26が昇温される。このため、三元触媒26の温度は徐々に上昇し、S離脱処理中に三元触媒26の温度は離脱開始温度Tdsに到達する。したがって、S離脱再生中にNO触媒23から離脱せしめられた硫黄成分は三元触媒26に保持されずに、三元触媒26の排気下流へと流出せしめられ、三元触媒26に硫黄成分が保持されてしまうことが抑制される。
【0043】
また、図3から分かるように、本発明の排気浄化装置では、NO触媒23のS離脱処理を実行する前に、時刻tから時刻tまでの間に事前昇温処理が実行される。事前昇温処理では、上流側燃料添加装置54によってNO触媒23への流入排気ガス中に燃料が添加される。このとき、上流側燃料添加装置54からの燃料添加量は、燃料を添加してもNO触媒23への流入排気ガスの空燃比が理論空燃比以上(すなわち、リーン)となるような量である。すなわち、このとき、図3に示したように、NO触媒23への流入排気ガスの空燃比はリーンでありながらも理論空燃比に近い空燃比となっている。一方、このとき、下流側燃料添加装置55からは燃料は添加されない。このため、NO触媒23から流出した排気ガスの空燃比はそのまま変わらないので、三元触媒26への流入排気ガスの空燃比もNO触媒23への流入排気ガスの空燃比と同様に、リーンでありながらも理論空燃比に近い空燃比となっている。
【0044】
事前昇温処理においては、上流側燃料添加装置54によって添加された燃料が排気ガス中に含まれる酸素によってNO触媒23上で燃焼せしめられるので、この燃焼に伴ってNO触媒23の温度およびNO触媒23を流れる排気ガスの温度が上昇せしめられる。また、このようにしてNO触媒23において昇温された高温の排気ガスが三元触媒26に流入するので、三元触媒26も昇温せしめられる。
【0045】
そして、事前昇温処理により三元触媒26の温度が活性温度Tda以上となると、上述したS離脱処理が開始される。この場合、活性温度Tdaとは、三元触媒26が良好に活性する温度、すなわち、三元触媒26に燃料と空気が流入したときにほぼ確実に酸化反応が起こるような温度であり、上述した三元触媒26の離脱開始温度Tdsよりも低い温度である。
【0046】
一般に、NO触媒23の排気下流に位置する三元触媒26は、上述したような昇温処理をしていないと、比較的低温になっている。したがって、このような状態で上記S離脱処理を実行すると、三元触媒26の昇温のために下流側燃料添加装置55から燃料を添加しても三元触媒26で燃料が燃焼せず、このため、三元触媒26の昇温が行われないばかりか、未燃の燃料を多く含んだ排気ガスが大気中に放出されてしまうことになる。
【0047】
これに対して、本発明の排気浄化装置では、上述したように事前昇温処理を実行して三元触媒26を活性温度Tdaにまで昇温することにより、上述したS離脱処理を実行する際に、三元触媒26において流入排気ガス中の燃料が良好に燃焼せしめられる。すなわち、三元触媒26の温度が上記活性温度Tda以下であると、S離脱処理の実行中に、上流側燃料添加装置54から燃料を添加せずに空燃比がリーンの排気ガスが三元触媒26に流入するときに、下流側燃料添加装置55から添加された燃料が三元触媒26で確実に燃焼する。よって、このように事前昇温処理を行うことで、上述した三元触媒26の温度が低くて燃料が燃焼しないことが防止せしめられる。
【0048】
次に、本発明の排気浄化装置における事前昇温制御およびS離脱処理に関する制御の制御ルーチンを図4のフローチャートを参照して説明する。まず、ステップ100において、S離脱処理実行条件が成立しているか否かが判定される。ここで、S離脱処理実行条件とは、例えば、NO触媒23に保持されている硫黄成分が所定保持量以上となっていることや、機関運転状態がS離脱処理を実行するのに適した運転状態であること等が挙げられる。なお、上記所定保持量とは、NO触媒23がそれ以上硫黄成分を保持してしまうとNO触媒23のNO保持能力や酸化能力が著しく低下してしまうような量を意味し、また、S離脱処理を実行するのに適した機関運転状態とは、例えば、内燃機関が高負荷・高回転で運転されている場合等、内燃機関から排出される排気ガスの流量が多く且つその温度が比較的高温である状態を意味する。
【0049】
ステップ100において、S離脱処理実行条件が成立していないと判定された場合には、制御ルーチンが終了せしめられる。一方、ステップ100において、S離脱処理実行条件が成立していると判定された場合には、ステップ101に進み、事前昇温処理が実行される。次いで、ステップ102では、三元触媒26の温度Tdが活性温度Tda以上であるか否かが判定され、温度Tdが活性温度Tdaよりも低いと判定された場合にはステップ101へと戻される。一方、ステップ102において、三元触媒26の温度Tdが活性温度Tda以上であると判定された場合にはステップ103へと進み、S離脱処理が実行せしめられ、制御ルーチンが終了せしめられる。
【0050】
なお、上記実施形態では、S離脱処理の実行開始のタイミングを三元触媒26の温度が活性温度Tda以上となった場合としているが、例えば、NO触媒23の温度がその離脱開始温度Tus以上となった場合等、三元触媒26において燃料が確実に燃焼するようであれば他の実行開始タイミングであってもよい。また、S離脱処理の期間中の少なくとも一部期間に三元触媒26の温度がその離脱開始Tds以上となれば、その期間はS離脱処理期間中のどの期間であってもよい。ただし、三元触媒26の温度がその離脱開始温度Tds以上となる期間はS離脱処理期間中のうち終了間際を含むのが好ましい。もちろん、S離脱処理の全期間に亘って三元触媒26の温度をその離脱開始温度Tds以上としてもよい。
【0051】
また、図3(a)および図3(b)において、上流側燃料添加装置54からの燃料添加と下流側燃料添加装置55からの燃料添加とが交互に行われているが、下流側燃料添加装置55からの燃料添加は上述したようにNO触媒23から三元触媒26へ流れる排気ガスの空燃比がリーンであるときに行われるため、実際には交互に行われなくてもよい。すなわち、NO触媒23と三元触媒26との間には距離があるので、例えば、上流側燃料添加装置54からの燃料添加を開始した直後には、三元触媒26へは上流側燃料添加装置54から燃料の燃料添加前の排気ガスが流れるため、この場合には下流側排気浄化触媒26から燃料が添加される。さらに、上記実施形態および図3では、各燃料添加装置54、55からの燃料添加を所定期間に亘って連続的に行っているが、実際には、所定期間においてパルス的に燃料添加を行ってもよい。また、上記燃料添加装置54、55は排気ガス中に燃料を添加しているが、上流側燃料添加装置54はNO触媒23の昇温を促し且つNO触媒23に流入する排気ガス中の酸素濃度を低下させることができれば燃料とは異なる如何なる成分を添加してもよく、また下流側燃料添加装置55は三元触媒26の昇温を促すことができれば燃料とは異なる如何なる成分を添加してもよい。
【0052】
さらに、上記実施形態では、S離脱処理中において燃料添加期間および燃料添加休止期間を予め定められた期間としているが、NO触媒23の温度等に基づいて変更されるようにしてもよい。また、下流側燃料添加装置55からの燃料添加は、各S離脱処理毎でなく、数回のS離脱処理に対して一回の割合で行ってもよい。また、上記実施形態では、S離脱処理中に、三元触媒26をその離脱開始温度Tdsにまで上昇させているが、三元触媒26への流入排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチのときに三元触媒26に硫黄成分が保持されないような温度であれば、離脱開始温度よりも低い温度であってもよい。ただし、この場合、S離脱処理の全実行期間に亘って三元触媒26の温度をその温度以上に維持することが好ましい。
【0053】
また、上記実施形態では、燃料添加装置54、55からの燃料添加により、NO触媒23あるいは三元触媒26に流入する排気ガスの空燃比をほぼ理論空燃比またはリッチにすることおよび各触媒23、26の昇温を行っているが、これらは別の方法によって行ってもよい。例えば、NO触媒23あるいは三元触媒26に流入する排気ガスの空燃比をほぼ理論空燃比またはリッチにすることは、内燃機関の燃焼室5に噴射する燃料の量を増量したり、内燃機関の燃焼室5に機関駆動用の燃料を噴射した後に少量の燃料を噴射してそのまま燃焼室5から排出させたりすることによって行ってもよい。
【0054】
また、例えば、各触媒23、26の昇温は、内燃機関の燃焼室5に燃料を噴射するタイミングを遅らせたり、内燃機関の燃焼室5に機関駆動用の燃料を噴射した後に少量の燃料を噴射して燃焼させるかあるいはそのまま燃焼室から排出させたり、各触媒23、26の上流に電気ヒータやグロープラグを設け、これら電気ヒータまたはグロープラグを作動させたりすることによって行ってもよい。また、燃焼室5内に燃料を点火するための点火栓が設けられている場合には、この点火栓による燃料の点火タイミングを遅らせることによっても、各触媒23、26の昇温を行うことができる。
【0055】
また、上記実施形態では、上流側の排気浄化触媒をNO触媒としているが、パティキュレートフィルタ等、硫黄成分保持能力が有れば、あるいは硫黄成分保持剤を担持していれば如何なる排気浄化触媒であってもよい。また、下流側の排気浄化触媒を三元触媒としているが、NO触媒等、硫黄成分を保持してしまうとその浄化能力(例えば、NO保持能力や酸化能力)が低下してしまうような排気浄化触媒あれば如何なる排気浄化触媒であってもよい。
【0056】
なお、本明細書において、NO触媒からNOまたは硫黄成分を離脱させるときに、流入する排気ガスの空燃比をほぼ理論空燃比またはリッチにすると説明したが、実際には流入する排気ガスの酸素濃度が所定の酸素濃度よりも低くなることによってNO触媒からNOや硫黄成分が離脱し易くなる。したがって、上述した実施形態における「排気ガスの空燃比をほぼ理論空燃比またはリッチにする」という説明は「流入する排気ガスの酸素濃度を所定の酸素濃度以下にする」ことを意味する。
【0057】
また、本明細書において「保持」という用語は、NOを硝酸塩等の形で蓄積する場合の「吸収」およびNOをNO等の形で吸着する「吸着」の両方の意味を含むものとして用いる。また、NO触媒からの「離脱」という用語についても、「吸収」に対応する「放出」の他、「吸着」に対応する「脱離」の意味も含むものとして用いる。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、上流側に配置された硫黄成分保持剤から硫黄成分が離脱されて下流側に配置されたNO浄化触媒に流入するときにおいて、NO浄化触媒が硫黄成分を保持しにくくなるので、硫黄成分を保持することによる触媒の性能の劣化を抑えた排気浄化装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排気浄化装置が搭載された内燃機関全体を示す図である。
【図2】NO保持剤のNO保持・離脱作用を説明する図である。
【図3】事前昇温処理およびS離脱処理のタイムチャートである。
【図4】事前昇温制御およびS離脱処理に関する制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…機関本体
5…燃焼室
6…燃料噴射弁
26…三元触媒
23…NO触媒
40…ECU(電子制御ユニット)
54…上流側燃料添加装置
55…下流側燃料添加装置

Claims (5)

  1. 流入排気ガスの空燃比がリーンのときに硫黄成分を保持し、流入排気ガスの酸素濃度が低下し且つ離脱開始温度以上となっているときに保持している硫黄成分を離脱させる硫黄成分保持剤を機関排気通路上に配置し、且つ該硫黄成分保持剤の排気下流に、硫黄成分を保持することにより排気浄化能力が低下する排気浄化触媒を配置し、上記硫黄成分保持剤から硫黄成分を離脱させる硫黄成分離脱処理を実行する硫黄成分離脱手段と、上記排気浄化触媒を昇温させる昇温手段とを備える内燃機関の排気浄化装置において、
    上記昇温手段は、上記硫黄成分離脱手段によって上記硫黄成分離脱処理を実行している期間中の少なくとも一部期間に、上記排気浄化触媒が流入排気ガス中の硫黄成分を保持することのないような所定温度以上にまで上記排気浄化触媒を昇温させる内燃機関の排気浄化装置。
  2. 上記硫黄成分離脱処理は、上記硫黄成分保持剤への流入排気ガスの空燃比をリッチにすることとリーンにすることとを繰り返すことによって行われ、上記昇温手段は、上記排気浄化触媒に流入する排気ガス中に燃料を添加する排気浄化触媒用燃料添加装置を具備し、上記硫黄成分離脱処理中において上記硫黄成分保持剤から上記排気浄化触媒へ流れる排気ガスの空燃比がリーンのときに上記排気浄化触媒用燃料添加装置から排気ガスへ燃料を添加する請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 上記硫黄成分離脱処理を実行する前に上記排気浄化触媒を活性温度にまで昇温させる請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 上記硫黄成分離脱手段は、上記硫黄成分保持剤に流入する排気ガス中に燃料を添加する硫黄成分保持剤用燃料添加装置を具備し、上記硫黄成分離脱処理を実行する前の上記排気浄化触媒の昇温は、上記硫黄成分保持剤用燃料添加装置から排気ガスに燃料を添加することによって行われる請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 上記排気浄化触媒用燃料添加装置から排気ガスへの燃料の添加は、上記排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比以下とならないように行われる請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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