JP2004352958A - 抗酸化剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】食品の風味や栄養価等を損ない、品質の劣化を引き起こすだけではなく、生体において疾病や老化等の悪影響を及ぼす活性酸素やフリーラジカル等による生体の酸化的障害を抑制する抗酸化剤及びこの抗酸化剤を配合した飲食品を提供する。
【解決手段】チーズの水溶性ペプチド画分に抗酸化効果があり、しかも低用量で効果を有することを見出した。このチーズの水溶性ペプチド画分は、チーズを摩砕した後、脱脂し、不溶性物質を除去し、タンパク質を除去することにより得られる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チーズの水溶性ペプチド画分を有効成分とする抗酸化剤に関する。またチーズの水溶性ペプチド画分を有効成分とする抗酸化剤を配合した抗酸化性飲食品または飼料に関する。
【0002】
【従来の技術】
不飽和脂肪酸の酸化によって生じる過酸化物やフリーラジカルは、食品の風味や栄養価等を損ない、品質の劣化を引き起こすだけではなく、生体においては、その強い酸化力により細胞内のタンパク質や遺伝子DNAを傷つけるとともに、細胞膜を構成する脂質を攻撃して、毒性の強い脂質ハイドロパーオキサイド等の過酸化脂質を作り、細胞損傷や組織障害を引き起こすといわれている。こうした活性酸素やフリーラジカルによる生体への有害な作用の蓄積が、老化を促進したり、ガンや動脈硬化、心臓病をはじめとする、いわゆる生活習慣病の原因の一つとして関係があることが明らかとなってきた。そのため、食品成分による酸化ストレスの防止や抑制の観点から、食品の抗酸化性と食品成分との関係に関する研究や抗酸化性を持つ成分の検索が行われている。
【0003】
抗酸化性を持つ成分に関しては、植物由来のビタミンやポリフェノール等が以前から知られている。ビタミンに関しては多くの報告があり、特にビタミンC、ビタミンE及びβ−カロテン等に抗酸化性が認められている。また、ポリフェノールについては、カテキン類やフラボノイド類等が強い抗酸化性をもつことが明らかにされている。 さらに、タンパク質のプロテアーゼ加水分解物からも多種多様な抗酸化ペプチドが分離・同定されており、卵白アルブミンの酵素分解物から3種類の抗酸化ペプチドを分離したという報告がある(例えば、非特許文献1参照。)。また、大豆タンパク質のβ−コングリシニンのプロテアーゼ加水分解物から、6種類の抗酸化ペプチドを分離・同定したという報告もある(例えば、非特許文献2参照。)。
【0004】
一方、乳タンパク質の酵素分解物についてはオピオイド活性作用、カルシウム吸収促進作用、細胞増殖作用、抗菌作用、アンジオテンシンI変換酵素阻害作用等、多くの生理作用が明らかにされている。魚油等のエイコサペンタエン酸含有油脂を水溶性タンパク質溶液により乳化して魚油臭を抑制する方法(例えば、特許文献1参照。)や、高度不飽和脂肪酸含有油脂を乳部分加水分解物により乳化し酸化安定性の高い高度不飽和脂肪酸含有油脂の粉末を得る方法(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。また、高度不飽和脂肪酸含有油脂、チーズ及び水を乳化させて抗酸化乳化物を調製して、高度不飽和脂肪酸含有油脂の酸化を防止し高度不飽和脂肪酸含有魚油由来の魚臭や保存中の異臭をマスキングするという方法(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。しかし、これらはいずれも高度不飽和脂肪酸含有油脂に、水溶性タンパク質溶液、乳部分加水分解物、またはチーズを加えてそれぞれ乳化させた高度不飽和脂肪酸含有油脂の乳化物であって、主体となる高度不飽和脂肪酸含有油脂自体の、魚臭や保存中の異臭を防止するものである。しかしながら、高度不飽和脂肪酸含有油脂と混合し乳化させることなく、乳タンパク質由来のペプチド単独で抗酸化性を持つという報告は見当たらない。また、乳から製造されるチーズの生理機能に関しては、抗腫瘍作用、抗変異原作用等が報告されているものの、抗酸化作用を持つことについては知られていない。
【0005】
【先行技術文献】
【特許文献1】
特開昭60‐102168号公報
【特許文献2】
特開平2‐305898号公報
【特許文献3】
特開平7‐274823号公報
【非特許文献1】
拓殖信昭ら、日本農芸化学会誌、65号、p.1635、1991年
【非特許文献2】
エッチ・エム・チェンら(Chen, H.−M. et al.), ジャーナル・アグリカルチャー・アンド・フード・ケミストリー(J. Agric. Food Chem.), 43号, p.574,1995年
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、食品の風味や栄養価等を損ない、品質の劣化を引き起こすだけではなく、生体においては疾病や老化等に悪影響を及ぼす活性酸素やフリーラジカル等による生体の酸化的障害を抑制するのに有効な抗酸化剤を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、チーズの水溶性ペプチド画分に抗酸化効果があり、しかも低用量で効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、チーズの水溶性ペプチド画分を有効成分とする抗酸化剤に関する。
また、本発明は、チーズの水溶性ペプチド画分が、チーズを溶媒に懸濁した後、脱脂、不溶性物質の除去を行って得られる画分であるチーズの水溶性ペプチド画分を有効成分とする抗酸化剤に関する。
また、本発明は、チーズの水溶性ペプチド画分が、チーズを溶媒に懸濁した後、脱脂、不溶性物質の除去及びタンパク質の除去を行って得られる画分であるチーズの水溶性ペプチド画分を有効成分とする抗酸化剤に関する。
また、本発明は、チーズの水溶性ペプチド画分が、チーズを溶媒に懸濁した後、脱脂、不溶性物質の除去及びタンパク質の除去を行って得られる画分を、C18カラムに通して得られる透過画分及び/または吸着成分を溶出して得られる画分であるチーズの水溶性ペプチド画分を有効成分とする抗酸化剤に関する。
また、本発明は、チーズの水溶性ペプチド画分のゲルろ過法による分子量が400〜6,000であるチーズの水溶性ペプチド画分を有効成分とする抗酸化剤に関する。
また、本発明は、チーズの水溶性ペプチド画分を有効成分とする抗酸化剤を配合した抗酸化性飲食品または飼料に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いることができるチーズの水溶性ペプチド画分は、例えばチーズを溶媒に懸濁した後、脱脂、遠心分離によって不溶性物質の除去を行って得ることができる。さらにその得られた画分からタンパク質を除去してもよい。本発明においてチーズを溶媒に懸濁するということは、チーズに溶媒を加えて均質化したり、または溶媒中で破砕したりして、水溶性ペプチド画分を得やすい大きさにすることをいう。溶媒としては、水、リン酸緩衝液等の水性溶媒を用いることができる。その後、透析膜やイオン交換樹脂等によって脱塩を行ってもよいし、さらに、凍結乾燥や噴霧乾燥等によって乾燥を行うことにより粉末化してもよい。
【0009】
また、チーズの水溶性ペプチド画分を得るためのチーズ原料としては、ゴーダチーズ、チェダーチーズ、エメンタールチーズ、エダムチーズ、カマンベールチーズ、スチルトンチーズ、ブルーチーズ等のナチュラルチーズ、及びこれらのナチュラルチーズを原料としたプロセスチーズ等を用いることができるが、熟成度の進んだナチュラルチーズ、特にカビ熟成型ナチュラルチーズを用いることが望ましい。
【0010】
さらに、チーズを溶媒に懸濁した後、脱脂、不溶性物質の除去及びタンパク質の除去によって得られるチーズの水溶性ペプチド画分は、C18カラムを用いた逆相クロマトグラフィーによりさらに精製することも可能である。本発明のチーズの水溶性ペプチド画分をトリフルオロ酢酸(TFA)等の酸性条件下あるいは蒸留水等の中性条件下でC18カラムに通した時に、抗酸化活性を有する画分は、カラムに吸着されない透過画分と、カラムに吸着されて10%エタノールで溶出されてくる画分に主として分かれる。これらの画分についてゲルろ過クロマトグラフィーによりさらに精製を行って、活性画分の分子量分布を求めたところ、いずれの画分も400〜6,000の範囲であった。
【0011】
本発明の抗酸化剤は、飲食品に配合して飲食品の品質劣化防止に使用することができる。飲食品に配合する場合は、チーズを水中で摩砕した後、脱脂、遠心分離によって不溶性物質の除去を行って、さらにタンパク質を除去することにより得たチーズの水溶性ペプチドをそのまま配合することができるし、透析膜やイオン交換樹脂等によって脱塩を行ったもの、さらに、凍結乾燥や噴霧乾燥等によって乾燥を行い粉末化したものも配合することができる。
【0012】
本発明の抗酸化剤は、経口あるいは非経口的に投与して、生体において活性酸素やフリーラジカル等を消去することにより疾病や老化等の進行を防止することができる。経口あるいは非経口的に投与する場合の本発明の抗酸化剤の剤形としては、錠剤、カプセル剤、細粒剤、散剤、丸剤、トローチ、舌下剤または液剤等の経口投与用の製剤、あるいは、注射剤、座剤等の非経口投与用の製剤を例示することができる。
本発明の抗酸化剤の経口による投与量は、治療や予防の目的、症状、体重、年齢や性別等を考慮して適宜決定すればよいが、通常、成人1日あたりチーズの水溶性ペプチド画分として10〜500mg投与すれば、高脂血症や動脈硬化症の治療または予防効果が得られる。
【0013】
また、本発明の抗酸化剤は、飲食品または飼料に配合され、飲食品または飼料の劣化を防ぐだけでなく、それらの飲食品または飼料を経口摂取することによっても生体内で抗酸化作用を発揮する。本発明の抗酸化性飲食品または飼料としては、チーズ、バター、乳飲料、ジュース、ヨーグルト、ゼリー、パン、アイスクリーム、麺、ソーセージ、育児用調製乳や離乳食等を挙げることができる。そして、抗酸化効果を得るためには、成人1日あたりチーズの水溶性ペプチド画分として10〜500mg程度摂取すればよい。
以下に実施例及び試験例を示し、本発明をより詳細に説明するが、これらは単に例示するのみであり、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0014】
【実施例1】
(ブルーチーズの水溶性ペプチド画分の製造)
ブルーチーズ20gに蒸留水80mlを加え、ストマッカー(オルガノ社製)で15分間摩砕した後、水中においてウルトラディスパーサー(ULTRA−TURRAX、T−25;IKAジャパン社製)で30秒間さらに破砕した。 破砕時に生じた乳脂肪を取り除き、得られたチーズスラリーを振盪機で30分間振盪した後、遠心分離(6,000rpm、20min、4℃)で不溶物を除き、上清をろ紙(ワットマン、No.113 )によりろ過して、試験例1に使用した。残りは凍結乾燥してチーズの水溶性ペプチド画分を得た。このようにして得られたチーズの水溶性ペプチド画分は、そのまま抗酸化剤として利用可能である。
【0015】
【実施例2】
(各種チーズの水溶性ペプチド画分の製造)
スターターとして乳酸菌を用いたゴーダチーズ、エダムチーズ、マリボーチーズ、チェダーチーズ、ラクレットチーズ及びパルメザンチーズ、スターターとして乳酸菌とプロピオン酸菌を用いたエメンタールチーズ及びグリエールチーズ、スターターとして乳酸菌と青カビを用いたスチルトンチーズ及びブルーチーズ、スターターとして乳酸菌と白カビを用いたカマンベールチーズについて、以下のようにして水溶性ペプチド画分を製造した。
前記の各種チーズ20gに蒸留水80mlを加え、ストマッカー(オルガノ社製)で15分間摩砕した後、水中においてウルトラディスパーサー(ULTRA−TURRAX、T−25;IKAジャパン社製)で30秒間さらに破砕した。 破砕時に生じた乳脂肪を取り除き、得られたチーズスラリーを振盪機で30分間振盪した後、遠心分離(6,000rpm、20min、4℃)で不溶物を除き、上清をろ紙(ワットマン、No.113 )によりろ過した。 得られたろ過液にエタノールを70%濃度になるように加え、4℃で4時間静置した後、遠心分離(10,000rpm、20min、4℃)により不溶物を除去し、以下の試験例1及び2に使用した。残りはエバポレーターでエタノールを除いた後凍結乾燥してチーズの水溶性ペプチド画分を得た。このようにして得られたチーズの水溶性ペプチド画分は、そのまま抗酸化剤として利用可能である。
【0016】
【試験例1】
(各種チーズを原料とする水溶性ペプチド画分の抗酸化活性測定)
実施例1及び実施例2で得られた各種チーズの水溶性ペプチド画分について、リノール酸の酸化物がβ−カロテンを退色させる作用を利用する方法で抗酸化活性を測定した。すなわち、β−カロテン溶液(10mg/10mlクロロホルム) 0.5ml、リノール酸溶液(1g/10mlクロロホルム) 0.2ml、ツイーン40溶液(2g/10mlクロロホルム) 1.0mlを200m1の三角フラスコに入れ、窒素ガスでクロロホルムを完全に除去した後、100mlの蒸留水を加えて溶解した。さらに、0.2Mリン酸緩衝液(pH7.0) 8.9mlを添加して、リノール酸・β−カロテン溶液を調製した。次に、あらかじめ水溶性ペプチド画分0.1mlを分注した分光光度計用試験管セルに、上記のリノール酸・β−カロテン溶液4.9mlを加え、攪拌後直ちに470nmの吸光度(S)を測定した。なお、リノール酸・β−カロテン溶液の調製に際しては、Sが1.2程度(1.1〜1.3)になるようにβ−カロテン溶液の添加量を適宜増減した。S測定後、直ちに試験管セルを50℃の恒温槽に入れ、30分間インキュベートした。インキュベート終了後、直ちに吸光度(S3)を測定し、30分間における470nmの吸光度の低下量、ΔS=S−S3を算出した。ブランクには試料の代わりに70%エタノールを用い、同様の操作を行なった。すなわち、リノール酸・β−カロテン溶液を加えた直後の吸光度(B)、及び50℃、30分間保持した後の吸光度(B3)を測定し、30分間における470nmの吸光度の低下量、ΔB=B−B3を求めた。抗酸化活性は次の式に代入し、抗酸化率(%)として表した。
〔ΔB−ΔS〕/(ΔB)×100
なお、ポジティブコントロールとして合成抗酸化剤BHT(ブチルヒドロキシルトルエン)を20μM、50μM、100μM、及び200μMに調製したものを用いた。また、対照としてカゼインについても同様に処理し、抗酸化活性を評価した。
実施例1で得られたブルーチーズの水溶性ペプチド画分(ブルーAと表す)については、実施例2で得られた画分との比較のため、水溶性ペプチド画分3mlに蒸留水7mlを加えたものを用いた。実施例2で得られたブルーチーズの水溶性ペプチド画分はブルーBと表した。
結果を図1に示した。これによると、全てのチーズで抗酸化活性が認められ、ポジティブコントロールとしたBHTと比較すると、BHT濃度20μM及び50μMの抗酸化率よりはるかに高く、BHT濃度100μM及び200μMの抗酸化率と同等またはそれ以上の抗酸化率を示した。青カビ熟成タイプのスチルトンチーズとブルーチーズ、及び白カビ熟成タイプのカマンベールチーズは他の乳酸菌熟成タイプのチーズより高かった。なお、対照としたカゼインには抗酸化活性はほとんど認められなかった。
【0017】
【試験例2】
(ブルーチーズの水溶性ペプチド画分の精製1と抗酸化活性測定)
実施例1で得られたブルーチーズの水溶性ペプチド画分80mlをロータリーエバポレーターで減圧乾固後、0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)/HO 20mlに溶解し、生じた不溶物を0.45μmのフィルターで除去した。次いで、0.05%TFA/HOで平衡化したC18カラム(Cosmosil 40C18−PREP、φ2.5cm×18cm、ナカライテスク社製)に試料を負荷した後、同溶液240mlでカラムを洗浄した。洗浄後、吸着成分を10%、20%、30%、50%エタノールとなるようにステップワイズ法で溶出し、検出波長220nmにおいて吸光度を測定した。なお、洗浄及び溶出時にはフラクショネーションして、各フラクションの抗酸化活性を試験例1と同様の方法で測定した。その結果を図2に示す。
これによると、抗酸化活性は未吸着画分(フラクションNo.9〜16、Fα)、及び10%エタノール溶出画分(フラクションNo.11〜18、Fβ)に認められた。
【0018】
【実施例3】
(ブルーチーズの水溶性ペプチド精製画分の調製1)
実施例1で得られたブルーチーズの水溶性ペプチド画分80mlをロータリーエバポレーターで減圧乾固後、蒸留水 20mlに溶解し、生じた不溶物を0.45μmのフィルターで除去した。次いで、蒸留水で平衡化したC18カラム(Cosmosil 40C18−PREP、φ2.5cm×18cm、ナカライテスク社製)に試料を負荷した後、同溶液240mlでカラムを洗浄した。洗浄後、吸着成分を10%エタノールで溶出し、溶出した画分をエバポレーターでエタノールを除いた後凍結乾燥してチーズの水溶性ペプチド精製画分を得た。このようにして得られたチーズの水溶性ペプチド精製画分は、そのまま抗酸化剤として利用可能である。
【0019】
【試験例3】
(ブルーチーズの水溶性ペプチド精製画分の抗酸化活性と分子量の測定)
実施例2で得られたFα画分47ml及びFβ画分38mlをそれぞれロータリーエバポレーターで減圧乾固した後、20%エタノール2mlで再溶解した。生じた不溶物を0.45μmのフィルターで除去した後、20%エタノールで平衡化したトヨパール HW−40Fカラム(φ2cm×100cm、東ソー社製)を用いてゲルろ過を行った。検出波長 220nmで吸光度を測定しながら、各フラクションの抗酸化活性を測定した。その結果を図3(Fα画分及びFβ画分)に示す。
これによると、Fα画分についてはフラクションNo.29〜35(Fα)、Fβ画分についてはフラクションNo.34〜39(Fβ)に抗酸化活性が認められた。なお、これらの活性画分の分子量は、同じカラムを用いて行った標準物質との対比により、いずれの画分も400〜6,000であった。
【0020】
【実施例4】
(ブルーチーズの水溶性ペプチド精製画分の調製2)
実施例2で得られたFα画分47ml及びFβ画分38mlをそれぞれロータリーエバポレーターで減圧乾固した後、20%エタノール2mlで再溶解した。生じた不溶物を0.45μmのフィルターで除去した後、20%エタノールで平衡化したトヨパール HW−40Fカラム(φ2cm×100cm、東ソー社製)を用いてゲルろ過を行った。ゲルろ過成分のうち、フラクションNo.29〜35(Fα)及びフラクションNo.34〜39(Fβ)を回収し、回収した画分をそれぞれエバポレーターでエタノールを除いた後凍結乾燥してチーズの水溶性ペプチド精製画分を得た。このようにして得られたチーズの水溶性ペプチド精製画分は、そのまま抗酸化剤として利用可能である。
【0021】
【実施例5】
表1に示した組成で各成分を混合し、容器に充填した後、加熱殺菌して、本発明の抗酸化剤を配合した抗酸化用飲料を製造した。
【0022】
【表1】
Figure 2004352958
【0023】
【実施例6】
表2に示す組成のドウを作成し、成形した後、焙焼して抗酸化用ビスケットを製造した。
【0024】
【表2】
Figure 2004352958
【0025】
【実施例7】
表3に示す組成で各成分を混合し、本発明の抗酸化剤を配合したイヌ飼育用飼料を製造した。
【0026】
【表3】
Figure 2004352958
【0027】
【発明の効果】
本発明の、チーズの水溶性ペプチド画分を有効成分とする抗酸化剤は、食品の風味や栄養価等を損ない品質の劣化を引き起こすだけではなく、生体においては疾病や老化等に悪影響を及ぼす、活性酸素やフリーラジカル等による生体の酸化的障害を抑制するのに有効であり、抗酸化剤として、また、この抗酸化剤を配合した抗酸化性飲食品または飼料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】各チーズを原料とする水溶性ペプチド画分の抗酸化活性を示す。
【図2】C18カラム(Cosmosil 40C18−PREP)による抗酸化成分の分離クロマトグラフィーを示す。
【符号の説明】
●は抗酸化率を表す。
◆は吸光度を表す。
【図3】Fα画分及びFβ画分のトヨパール HW−40Fカラムによるゲルろ過クロマトグラフィーを示す。上図がFα画分、下図がFβ画分である。
【符号の説明】
■は抗酸化率を表す。
◆は吸光度を表す。

Claims (6)

  1. チーズの水溶性ペプチド画分を有効成分とする抗酸化剤。
  2. チーズの水溶性ペプチド画分が、チーズを溶媒に懸濁した後、脱脂、不溶性物質の除去を行って得られる画分である請求項1記載の抗酸化剤。
  3. チーズの水溶性ペプチド画分が、チーズを溶媒に懸濁した後、脱脂、不溶性物質の除去及びタンパク質の除去を行って得られる画分である請求項1記載の抗酸化剤。
  4. チーズの水溶性ペプチド画分が、チーズを溶媒に懸濁した後、脱脂、不溶性物質の除去及びタンパク質の除去を行って得られる画分を、C18カラムに通して得られる透過画分及び/または吸着成分を溶出して得られる画分である請求項1に記載の抗酸化剤。
  5. チーズの水溶性ペプチド画分のゲルろ過法による分子量が400〜6,000である請求項1〜4のいずれかに記載の抗酸化剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の抗酸化剤を配合した抗酸化性飲食品または飼料。
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