JP2004351960A - 車両の自動操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両の自動操舵装置は、予め記憶または演算された規範転舵角θrefに基づいて前輪を転舵するアクチュエータの駆動を制御することで、車両をスタート位置▲1▼から折り返し位置▲2▼を経て目標位置▲3▼に導くようになっている。タイヤと路面との間の摩擦力が大きいときに、アクチュエータが発生する操舵トルクの不足により規範転舵角θrefの追従性が低下するのを見込んで、破線で示す元の規範転舵角θrefを実線で示すように補正する。この補正後の規範転舵角θrefに基づいてアクチュエータを制御すると、車両の移動軌跡は▲1▼→▲2▼′→▲3▼′のようになり、当初の目標移動軌跡▲1▼→▲2▼→▲3▼とは若干異なるものの、最終的に車両を正しい目標位置▲3▼に支障なく導くことができる。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の車輪を転舵するアクチュエータと、予め記憶または演算された制御目標値に基づいてアクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段とを備えた車両の自動操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる車両の自動操舵装置は下記特許文献により公知である。この自動操舵装置は、スタート位置から目標位置までの車両の移動距離に対する車輪の転舵角の関係を予めテーブルに記憶しておき、車両がスタート位置から目標位置まで移動する間にアクチュエータが前記テーブルに基づいて車輪を自動的に転舵するようになっている。
【0003】
【特許文献】
特開平9−193691号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車輪を転舵すべく転舵角の制御目標値に基づいてアクチュエータの駆動を制御しても、車両の積載重量が大きい場合やタイヤの空気圧が小さい場合には、タイヤと路面との間の摩擦力が大きくなって目標とする転舵角を得ることができず、車両の移動軌跡が目標移動軌跡からずれてしまう可能性があった。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、車両の自動操舵装置においてタイヤと路面との間の摩擦力の変動によって車両の移動軌跡がずれるのを防止することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車両の車輪を転舵するアクチュエータと、予め記憶または演算された制御目標値に基づいてアクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段とを備えた車両の自動操舵装置において、アクチュエータ制御手段は、車輪を転舵するのに要するアクチュエータの駆動力を検出する駆動力検出手段と、駆動力検出手段で検出した駆動力に基づいて制御目標値を補正する補正手段とを備えたことを特徴とする車両の自動操舵装置が提案される。
【0007】
上記構成によれば、車輪を転舵するのに要するアクチュエータの駆動力を検出し、その駆動力に基づいてアクチュエータの制御目標値を補正するので、車両の積載重量の大小やタイヤの空気圧の大小による車輪の転舵角の変動を補償し、車両を目標位置に確実に導くことができる。
【0008】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記制御目標値は、目標位置までの車両の移動距離に応じて変化する車輪の転舵角として設定されており、補正手段は、駆動力検出手段で検出した駆動力が基準値よりも大きいときに、車両が目標位置に到達可能なように前記制御目標値を補正することを特徴とする車両の自動操舵装置が提案される。
【0009】
上記構成によれば、アクチュエータの制御目標値を、目標位置までの車両の移動距離に応じて変化する車輪の転舵角として設定するので、目標位置までの車両の移動軌跡を任意に選択することができる。しかも検出した駆動力が基準値よりも大きいときに、つまりタイヤと路面との間の摩擦力が大きくてアクチュエータが発生する駆動力が不足する可能性があるときに制御目標値を補正するので、必要な転舵角を確保して車両を目標位置に確実に到達させることができる。
【0010】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記制御目標値は、車両を目標位置に導くことができる一定の車輪の転舵角として設定されており、補正手段は、駆動力検出手段で検出した駆動力が基準値よりも大きいときに、車両が目標位置に到達可能なように前記制御目標値を補正することを特徴とする車両の自動操舵装置が提案される。
【0011】
上記構成によれば、アクチュエータの制御目標値を、車両を目標位置に導くことができる一定の車輪転舵角として設定するので、制御目標値の設定およびアクチュエータの制御を簡素化することができる。しかも検出した駆動力が基準値よりも大きいときに、つまりタイヤと路面との間の摩擦力が大きくてアクチュエータが発生する駆動力が不足する可能性があるときに制御目標値を補正するので、車両を目標位置に確実に到達させることができる。
【0012】
また請求項4に記載された発明によれば、車両の車輪を転舵するアクチュエータと、予め記憶または演算された制御目標値に基づいてアクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段とを備えた車両の自動操舵装置において、アクチュエータ制御手段は、車輪を転舵するのに要するアクチュエータの駆動力を検出する駆動力検出手段を備え、駆動力検出手段で検出した駆動力を基準値と比較し、駆動力が基準値を上回ったときにドライバーへの報知あるいはアクチュエータの制御中止を行うことを特徴とする車両の自動操舵装置が提案される。
【0013】
上記構成によれば、車輪を転舵するのに要するアクチュエータの駆動力を検出し、検出した駆動力が基準値を上回ったときに、つまりタイヤと路面との間の摩擦力が大きくてアクチュエータが発生する駆動力が不足する可能性があるときにドライバーへの報知あるいはアクチュエータの制御中止を行うので、車両が目標位置からずれた位置に導かれるのを防止することができる。
【0014】
また請求項5に記載された発明によれば、請求項1〜請求項4の何れか1項の構成に加えて、駆動力検出手段は、車両が停止しているときにアクチュエータ制御手段でアクチュエータを駆動して駆動力を検出することを特徴とする車両の自動操舵装置が提案される。
【0015】
上記構成によれば、車両が停止しているときにアクチュエータ制御手段でアクチュエータを駆動して駆動力を検出するので、駆動力を検出するためのアクチュエータの駆動によって車両の移動軌跡が影響を受けるのを防止することができる。
【0016】
また請求項6に記載された発明によれば、請求項1〜請求項5の何れか1項の構成に加えて、アクチュエータは電動モータであり、駆動力検出手段は電動モータへの通電電流に基づいて駆動力を検出することを特徴とする車両の自動操舵装置が提案される。
【0017】
上記構成によれば、電動モータよりなるアクチュエータへの通電電流に基づいて駆動力を検出するので、特別のセンサを設けることなく駆動力を検出することができる。
【0018】
尚、実施例の電子制御ユニットUは本発明のアクチュエータ制御手段に対応し、実施例の前輪Wfは本発明の車輪に対応し、実施例の規範転舵角θreは本発明の制御目標値に対応する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0020】
図1〜図5は本発明の一実施例を示すもので、図1は自動操舵装置を備えた車両の全体構成図、図2はバック駐車/左モードの作用説明図、図3はモード選択スイッチおよび自動駐車スタートスイッチを示す図、図4はアクチュエータの駆動力が不足した場合の作用説明図、図5は規範転舵角を補正した場合の作用説明図である。
【0021】
図1に示すように、車両Vは一対の前輪Wf,Wfおよび一対の後輪Wr,Wrを備える。ステアリングハンドル1と操舵輪である前輪Wf,Wfとが、ステアリングハンドル1と一体に回転するステアリングシャフト2と、ステアリングシャフト2の下端に設けたピニオン3と、ピニオン3に噛み合うラック4と、ラック4の両端に設けた左右のタイロッド5,5と、タイロッド5,5に連結された左右のナックル6,6とによって接続される。ドライバーによるステアリングハンドル1の操作をアシストすべく、あるいは後述する車庫入れのための自動操舵を行うべく、電動モータよりなるアクチュエータ7がウオームギヤ機構8を介してステアリングシャフト2に接続される。
【0022】
操舵制御装置21は制御部22と記憶部23とから構成されており、制御部22には、ステアリングハンドル1の回転角である転舵角θを検出する転舵角検出手段Saと、ステアリングハンドル1の操舵トルクTを検出する操舵トルク検出手段Sbと、車輪Wf,Wf;Wr,Wrの回転角を検出する車輪回転角検出手段Sc…と、ブレーキペダル9の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段Sdと、セレクトレバー10により選択されたシフトレンジ(「D」レンジ、「R」レンジ、「N」レンジ、「P」レンジ等)を検出するシフトレンジ検出手段Seとからの信号が入力される。
【0023】
制御部22には、前輪Wf,Wfを転舵するのに要するアクチュエータ7の駆動力を検出する駆動力検出手段22aと、駆動力検出手段22aが検出した駆動力に基づいて後述する規範転舵角θreを補正する補正手段22bとが設けられる。
【0024】
図3を併せて参照すると明らかなように、ドライバーにより操作されるモード選択スイッチSfおよび自動駐車スタートスイッチSgが制御部22に接続される。モード選択スイッチSfは、後述する4種類の駐車モード、即ちバック駐車/右モード、バック駐車/左モード、縦列駐車/右モードおよび縦列駐車/左モードの何れかを選択する際に操作される4個のボタンを備える。自動駐車スタートスイッチSgは、モード選択スイッチSfで選択した何れかのモードによる自動駐車を開始する際に操作される。
【0025】
記憶部23には、前記4種類の駐車モードのデータ、即ち車両Vの移動距離Xに対する規範転舵角θrefの関係が、予めテーブルとして記憶されている。車両Vの移動距離Xは、既知である車輪Wf,Wf;Wr,Wrの周長に車輪回転角検出手段Sc…で検出した車輪Wf,Wf;Wr,Wrの回転角を乗算することにより求められる。尚、前記移動距離Xの算出には、車輪回転角検出手段Sc…の出力のハイセレクト値、ローセレクト値、あるいは平均値が使用される。
【0026】
制御部22は、前記各検出手段Sa〜SeおよびスイッチSf,Sgからの信号と、記憶部23に記憶された駐車モードのデータとに基づいて、前記アクチュエータ7の作動と、液晶モニター、スピーカ、ランプ、チャイム、ブザー等を含む操作段階教示装置11の作動とを制御する。
【0027】
次に、前述の構成を備えた本発明の実施例の作用について説明する。
【0028】
自動駐車を行わない通常時(前記モード選択スイッチSfが操作されていないとき)には、操舵制御装置21は一般的なパワーステアリング制御装置として機能する。具体的には、ドライバーが車両Vを旋回させるべくステアリングハンドル1を操作すると、操舵トルク検出手段Sbがステアリングハンドル1に入力された操舵トルクTを検出し、制御部22は前記操舵トルクTに基づいてアクチュエータ7の駆動を制御する。その結果、アクチュエータ7の駆動力によって左右の前輪Wf,Wfが転舵され、ドライバーのステアリング操作がアシストされる。
【0029】
次に、バック駐車/左モード(車両Vの左側にある駐車位置にバックしながら駐車するモード)を例にとって、自動操舵制御の内容を説明する。
【0030】
先ず、図2(A)に示すように、ドライバー自身のステアリング操作により車両Vを駐車しようとする車庫の近傍に移動させ、車体の左側面を車庫入口線にできるだけ近づけた状態で、ドアの内側に設けられたマークM(図1参照)が車庫の中心線に一致する位置(スタート位置▲1▼)に車両Vを停止させる。そして、モード選択スイッチSfを操作してバック駐車/左モードを選択するとともに自動駐車スタートスイッチSgをONすると、自動操舵制御が開始される。自動操舵制御が行われている間、操作段階教示装置11には自車の現在位置、周囲の障害物、駐車位置、スタート位置▲1▼から目標位置▲3▼までの自車の目標移動軌跡、前進から後進に切り換える折り返し位置▲2▼等が表示され、併せてスピーカからの音声でドライバーに前記折り返し位置▲2▼におけるセレクトレバー10の操作等の各種の指示や警報が行われる。
【0031】
尚、ドアの内側に設けられたマークMの代わりにドアミラーを利用しても良く、またマークMやドアミラーを車庫の中心線に一致させる代わりに、車庫の端部に一致させても良い。
【0032】
自動操舵制御により、ドライバーがブレーキペダル9を緩めて車両Vをクリープ走行させるだけでステアリングハンドル1を操作しなくても、モード選択スイッチSfにより選択されたバック駐車/左モードのデータに基づいて前輪Wf,Wfが自動操舵される。即ち、スタート位置▲1▼から折り返し位置▲2▼まで車両Vが前進する間は前輪Wf,Wfは右に自動操舵され、折り返し位置▲2▼から目標位置▲3▼まで車両Vが後進する間は前輪Wf,Wfは左に自動操舵される。
【0033】
図2(B)から明らかなように、自動操舵制御が行われている間、制御部22は記憶部23から読み出したバック駐車/左モードの規範転舵角θrefと、転舵角検出手段Saから入力された転舵角θとに基づいて偏差E(=θref−θ)を算出し、その偏差Eが0になるようにアクチュエータ7の作動を制御する。このとき、規範転舵角θrefのデータは車両Vの移動距離Xに対応して設定されているため、クリープ走行の車速に多少の変動があっても車両Vは常に前記移動軌跡上を移動することになる。
【0034】
上記自動操舵制御は、ドライバーがモード選択スイッチSfをOFFした場合に中止されるが、それ以外にドライバーがブレーキペダル9から足を離した場合、ドライバーがステアリングハンドル1を操作した場合に中止され、通常のパワーステアリング制御に復帰する。
【0035】
ところで、車両の積載重量が大きい場合やタイヤの空気圧が小さい場合には、タイヤと路面との間の摩擦力が大きくなるためにアクチュエータ7が通常の操舵トルクを発生しても目標とする規範転舵角θrefを得ることができず、車両Vの実際の移動軌跡が目標移動軌跡からずれてしまう場合がある。
【0036】
即ち、図4(B)に示すように、アクチュエータ7が発生する操舵トルクが不足すると、破線で示す規範転舵角θrefに対して、実線で示す実転舵角θが遅れるため、図4(A)に示すように、車両Vをスタート位置▲1▼から折り返し位置▲2▼を経て目標位置▲3▼に導く目標移動軌跡(破線参照)に対して、実際の移動軌跡(実線参照)は▲1▼→▲2▼′→▲3▼′のようにずれてしまい、車両Vを正しい目標位置▲3▼に導くことができなくなる。
【0037】
そこで本実施例では、車両Vがスタート位置▲1▼に停止してドライバーがモード選択スイッチSfおよび自動駐車スタートスイッチSgをONすると、アクチュエータ7が自動的に作動し、前輪Wf,Wfをニュートラル→右30°→ニュートラル→左30°→ニュートラルの順に転舵する。その間に電子制御ユニットUの駆動力検出手段22aがアクチュエータ7への通電電流を検出し、その通電電流を基準値と比較する。その結果、通電電流が基準値以下であればアクチュエータ7が発生する操舵トルクが基準値以下であるため、タイヤと路面との間の摩擦力も基準値以下であって実転舵角θが規範転舵角θrefに追従可能であると判断し、電子制御ユニットUの補正手段22bは記憶部23に記憶された規範転舵角θrefを補正しない。
【0038】
尚、電動モータよりなるアクチュエータ7が発生する操舵トルクは、その電動モータに固有の値であるトルク定数と通電電流との積で与えられることから、通電電流を検出することでアクチュエータが発生する操舵トルクを求めることができる。
【0039】
一方、アクチュエータ7への通電電流を基準値と比較した結果、通電電流が基準値を超えていれば、アクチュエータ7が発生する操舵トルクがタイヤと路面との間の摩擦力に負けて実転舵角θが規範転舵角θrefに追従不能であると判断し、電子制御ユニットUの補正手段22bは記憶部23に記憶された規範転舵角θrefを補正する。
【0040】
即ち、図5(B)に示すように、アクチュエータ7が発生する操舵トルクの不足により規範転舵角θrefの追従性が低下するのを見込んで、破線で示す元の規範転舵角θrefを実線で示すように補正する。この補正後の規範転舵角θrefに基づいてアクチュエータ7を制御すると、車両Vの移動軌跡は▲1▼→▲2▼′→▲3▼′のようになり、当初の目標移動軌跡▲1▼→▲2▼→▲3▼とは若干異なるものの、最終的に車両Vを正しい目標位置▲3▼に支障なく導くことができる。
【0041】
以上のように、車両Vを停止させた状態でアクチュエータ7で前輪Wf,Wfを左右に試し切りすることで、アクチュエータ7が発生する操舵トルクが不足しているか否かを判定するので、その試し切りによって車両Vの移動軌跡が影響を受けることがない。またアクチュエータ7への通電電流を検出することでアクチュエータ7が発生する操舵トルクを求めるので、アクチュエータ7が発生する操舵トルクを検出する特別のセンサを廃止してコストダウンに寄与することができる。
【0042】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0043】
例えば、タイヤと路面との間の摩擦力が大きくてアクチュエータ7が発生する操舵トルクが不足する場合に、上記実施例の如く規範転舵角θrefを補正する代わりに、操作段階教示装置11を作動させて自動操舵を中止するようにドライバーに報知したり、アクチュエータ7の制御を強制的に中止しても良い。これにより、車両Vが目標位置▲3▼からずれた位置に導かれるのを未然に防止することができる。
【0044】
また実施例では目標位置▲3▼までの車両Vの移動軌跡が予め記憶部23に記憶されているが、車両Vの現在位置および目標位置▲3▼から前記移動軌跡を算出することも可能である。
【0045】
また実施例では規範転舵角θrefをスタート位置▲1▼から目標位置▲3▼までの車両Vの移動距離に応じて変化する値として設定しているが、その規範転舵角θrefを一定の転舵角θで車両Vを目標位置に導くことができる値に設定しても良い。つまり、転舵角θを固定して車両Vを円弧状の移動軌跡に沿って移動させることで目標位置▲3▼に導いても良い。このようにすれば、規範転舵角θrefの設定およびアクチュエータ7の制御を簡素化することができる。
【0046】
また実施例ではモード選択スイッチSfおよび自動駐車スタートスイッチSgをONするとアクチュエータ7が作動して前輪Wf,Wfの試し切りが行われるが、モード選択スイッチSfをONした時点で前輪Wf,Wfの試し切りが行われ、続いて自動駐車スタートスイッチSgをONすると自動操舵制御が開始されるようにしても良い。
【0047】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、車輪を転舵するのに要するアクチュエータの駆動力を検出し、その駆動力に基づいてアクチュエータの制御目標値を補正するので、車両の積載重量の大小やタイヤの空気圧の大小による車輪の転舵角の変動を補償し、車両を目標位置に確実に導くことができる。
【0048】
また請求項2に記載された発明によれば、アクチュエータの制御目標値を、目標位置までの車両の移動距離に応じて変化する車輪の転舵角として設定するので、目標位置までの車両の移動軌跡を任意に選択することができる。しかも検出した駆動力が基準値よりも大きいときに、つまりタイヤと路面との間の摩擦力が大きくてアクチュエータが発生する駆動力が不足する可能性があるときに制御目標値を補正するので、必要な転舵角を確保して車両を目標位置に確実に到達させることができる。
【0049】
また請求項3に記載された発明によれば、アクチュエータの制御目標値を、車両を目標位置に導くことができる一定の車輪転舵角として設定するので、制御目標値の設定およびアクチュエータの制御を簡素化することができる。しかも検出した駆動力が基準値よりも大きいときに、つまりタイヤと路面との間の摩擦力が大きくてアクチュエータが発生する駆動力が不足する可能性があるときに制御目標値を補正するので、車両を目標位置に確実に到達させることができる。
【0050】
また請求項4に記載された発明によれば、車輪を転舵するのに要するアクチュエータの駆動力を検出し、検出した駆動力が基準値を上回ったときに、つまりタイヤと路面との間の摩擦力が大きくてアクチュエータが発生する駆動力が不足する可能性があるときにドライバーへの報知あるいはアクチュエータの制御中止を行うので、車両が目標位置からずれた位置に導かれるのを防止することができる。
【0051】
また請求項5に記載された発明によれば、車両が停止しているときにアクチュエータ制御手段でアクチュエータを駆動して駆動力を検出するので、駆動力を検出するためのアクチュエータの駆動によって車両の移動軌跡が影響を受けるのを防止することができる。
【0052】
また請求項6に記載された発明によれば、電動モータよりなるアクチュエータへの通電電流に基づいて駆動力を検出するので、特別のセンサを設けることなく駆動力を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動操舵装置を備えた車両の全体構成図
【図2】バック駐車/左モードの作用説明図
【図3】モード選択スイッチおよび自動駐車スタートスイッチを示す図
【図4】アクチュエータの駆動力が不足した場合の作用説明図
【図5】規範転舵角を補正した場合の作用説明図
【符号の説明】
7 アクチュエータ
22a 駆動力検出手段
22b 補正手段
U 電子制御ユニット(アクチュエータ制御手段)
V 車両
Wf 前輪(車輪)
θ 車輪の転舵角
θre 規範転舵角(制御目標値)
Claims (6)
- 車両(V)の車輪(Wf)を転舵するアクチュエータ(7)と、予め記憶または演算された制御目標値(θre)に基づいてアクチュエータ(7)の駆動を制御するアクチュエータ制御手段(U)とを備えた車両の自動操舵装置において、
アクチュエータ制御手段(U)は、
車輪(Wf)を転舵するのに要するアクチュエータ(7)の駆動力を検出する駆動力検出手段(22a)と、
駆動力検出手段(22a)で検出した駆動力に基づいて制御目標値(θre)を補正する補正手段(22b)と、
を備えたことを特徴とする車両の自動操舵装置。 - 前記制御目標値(θre)は、目標位置までの車両(V)の移動距離に応じて変化する車輪(Wf)の転舵角(θ)として設定されており、
補正手段(22b)は、駆動力検出手段(22a)で検出した駆動力が基準値よりも大きいときに、車両(V)が目標位置に到達可能なように前記制御目標値(θre)を補正することを特徴とする、請求項1に記載の車両の自動操舵装置。 - 前記制御目標値(θre)は、車両(V)を目標位置に導くことができる一定の車輪(Wf)の転舵角(θ)として設定されており、
補正手段(22b)は、駆動力検出手段(22a)で検出した駆動力が基準値よりも大きいときに、車両(V)が目標位置に到達可能なように前記制御目標値(θre)を補正することを特徴とする、請求項1に記載の車両の自動操舵装置。 - 車両(V)の車輪(Wf)を転舵するアクチュエータ(7)と、予め記憶または演算された制御目標値(θre)に基づいてアクチュエータ(7)の駆動を制御するアクチュエータ制御手段(U)とを備えた車両の自動操舵装置において、
アクチュエータ制御手段(U)は、車輪(Wf)を転舵するのに要するアクチュエータ(7)の駆動力を検出する駆動力検出手段(22a)を備え、駆動力検出手段(22b)で検出した駆動力を基準値と比較し、駆動力が基準値を上回ったときにドライバーへの報知あるいはアクチュエータ(7)の制御中止を行うことを特徴とする車両の自動操舵装置。 - 駆動力検出手段(22a)は、車両(V)が停止しているときにアクチュエータ制御手段(U)でアクチュエータ(7)を駆動して駆動力を検出することを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両の自動操舵装置。
- アクチュエータ(7)は電動モータであり、駆動力検出手段(22a)は電動モータへの通電電流に基づいて駆動力を検出することを特徴とする、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の車両の自動操舵装置。
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