JP2004351740A - レンズの製造方法とそれに用いる金型装置 - Google Patents

レンズの製造方法とそれに用いる金型装置 Download PDF

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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】凹面を有するレンズであってもそれの凸成形面への喰らい付きを防止して面精度よく、また生産性よく成形できるようにする。
【解決手段】金型2、3によりレンズ素材6を加熱、加圧して所望の形状のレンズ7に成形する工程と、成形後の冷却に伴い、金型2、3におけるレンズ7の有効径範囲を含む部分とその外側部分とを成形する第1成形面3aと、第2成形面4aとに、線熱膨張係数の差から、第1成形面3aが第2成形面4aよりも後退する段差を生じさせて金型3の第1成形面3aと前記レンズ7を分離する工程とで、上記の目的を達成する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレンズの製造方法とそれに用いる金型装置に関し、特に、凹面を有したレンズを成形するのに好適なレンズの製造方法とそれに用いる金型装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルカメラの高画質化、小型化に伴い、負メニスカスレンズを前玉等に使用することで、光学系の高画質化、小型化が推進されている。
【0003】
本発明の実施の形態を示す図1を参照して、負メニスカスレンズ7は中心部より周縁部の肉厚が厚い。このような負メニスカスレンズ7を成形するのに、レンズ素材6を上下金型2、3により加熱しながらプレス成形した後、冷却する際、前記のような肉厚の差でレンズ凹面7b側にひけるといった特性がある。このため、成形後の負メニスカスレンズ7は成形に続く冷却時に凸成形面2aに喰らい付き、内部応力が残留する。この内部応力は図3に斜線を施した部分を除去する芯取り加工をした後の負メニスカスレンズ7に形状崩れをもたらす。このため、負メニスカスレンズ7の場合、ひけによる問題が生じない凸レンズに比して面精度を確保しにくく、生産効率は低い。そこで、所定の品質を維持しながらいかに生産性を高めるかが課題になっている。
【0004】
これに対応するのに従来、加圧成形後の冷却工程にて上金型への加圧を解除するなどして上金型の自重のみが掛かる状態とすることにより前記喰らい付きを緩和し、面精度を得やすくする成形方法が知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0005】
また、メニスカスレンズの凹面のように癖のあるレンズ面を成形する成形面を、前記癖を相殺する形状にして成形したり、癖のあるレンズ面を成形後に機械加工して所定の面精度に仕上げる方法も知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61−021927号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平11−049523号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平08−040732号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1、2に記載のもののように、冷却時に上金型の加圧を解除してフリーにする方法では、金型装置の構造が複雑になって高価につく。また、上金型は加圧部材など他の部材と離れて相互間に気体が入り込んで断熱層を形成するため上金型が放熱しにくく、加圧部材と接触したままの場合に比して冷却に長い時間が掛かる。特に、金型の背部から伝熱加熱、伝熱冷却を行う成形方法であると、加熱するのにも冷却時に離していた他部材の当接を待ってしか開始できないので、これによる時間遅れも加わり生産性に大きく影響する。
【0010】
また、特許文献3に記載のもののように、癖のあるレンズ面を相殺する成形面を形成する方法は成形面の設計、管理が困難であるし、レンズの成形後に癖のあるレンズ面を機械加工する方法では、成形に問題はないが、機械加工のために製品コストが上昇する。
【0011】
本発明の目的は、凹面を有するレンズであってもそれの凸成形面への喰らい付きを防止して面精度よく、また生産性よく成形できるレンズの製造方法とそれに用いる金型装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のレンズ製造方法は、金型によりレンズ素材を加熱、加圧して所望の形状のレンズに成形する工程と、成形後の冷却に伴い、金型におけるレンズの有効径範囲を成形する第1成形面とその外側部分を成形する第2成形面とに、線熱膨張係数の差から、第1成形面が第2成形面よりも後退する段差を生じさせて金型の第1成形面と前記レンズとを分離する工程と、を備えたことを1つの特徴としている。
【0013】
このような構成では、金型でレンズ素材を加熱、加圧して所望の形状のレンズに成形し、成形後は冷却する。この冷却に際して、金型におけるレンズの有効径範囲を成形する第1成形面とその外側部分を成形する第2成形面とが線熱膨張係数の差から段差を生じ、第1成形面が第2成形面よりも反レンズ側に移動する、つまり後退する。このため、第1成形面は第2成形面に当接しているレンズから後退し、レンズと分離される。この結果、第1成形面が凸成形面であって、それが成形したレンズの冷却時に凹面側へのひけが生じても、前記金型とレンズの分離によって従来のようにレンズが凸成形面に喰らいつくようなことを防止することができる。しかも、第1、第2成形面が協働してレンズの有効径外部分を含んだ片側全面の成形を満足しながら、レンズの有効径範囲を含んだ部分を第1の成形面1つによって成形するので、レンズが実用される有効径範囲内の成形上、成形面が2つに分かれることによる弊害を回避できる利点がある。
【0014】
このような段差による金型とレンズの分離は上下金型の別なく、また、一対の金型の配置向きに関係なく達成することができる。しかし、レンズが重力で成形面の後退に追随する下金型や、形状やレンズとの材質的な関係からレンズが追随するか、追随する可能性のある条件の金型の場合に特に有効である。
【0015】
本発明のレンズの製造方法は、また、上下金型間にレンズ素材を挿入する工程と、前記上下金型の少なくとも一方の金型を加熱し、双方型間で前記レンズ素材を規制部材による加圧規制位置まで加圧することにより、所望の形状のレンズに成形する工程と、成形後の冷却に伴い、前記規制部材と上下金型の少なくとも一方の金型との線熱膨張係数の差から、上下金型の少なくとも一方の金型とレンズとを分離する工程と、を備えたことを他の特徴としている。
【0016】
このような構成では、少なくとも一方が加熱される上下金型間にレンズ素材を挿入して、このレンズ素材を加熱、加圧してレンズを成形する際、規制部材によって上下金型の加圧位置を規制することにより所望の形状のレンズを成形できるようにし、成形後は冷却する。この冷却に際して、上下金型の少なくとも一方は前記規制部材との線熱膨張係数の差から、規制部材による加圧位置規制状態のままでそれの成形面が後退する。これにより上下金型は開いてレンズと分離される。特に、この分離はレンズが重力で追随せず離れやすい上金型との間では確実に行われる。この結果、レンズから離れる成形面が凸成形面であって、それが成形したレンズの冷却時にその凹面側へのひけが生じても、従来のように凸成形面に喰らいつくようなことを防止することができる。しかも、レンズとの分離を図る成形面を複数に分割しなくてよい利点がある。
【0017】
しかし、重力などによる追随を防止する操作の組み合わせによれば、下金型とこれに重力にて追随するレンズとの間などでも分離することができ、冷却に伴い金型とレンズを分離する工程に前記規制部材またはそれとは別の支持部材を利用して、線熱膨張係数の差からレンズの端部下面を規制部材または支持部材で支持し、下金型とレンズとを分離する工程であることを特徴とした、さらなる構成では、
前記規制部材によって規制された加圧位置のまま下金型の成形面が後退するとき、線熱膨張係数の差から規制部材または支持部材がレンズの端部下面を支持して、下金型の成形面の後退に追随しないようにするので、下金型とレンズとを分離することができる。規制部材または支持部材はレンズの端部を支持すればよく、レンズの有効径範囲を避けられるので、規制部材による支持がレンズに悪影響することはない。このような分離は一対の金型の配置向きに関係なく達成することができる。
【0018】
本発明の金型装置は、少なくとも一方が加熱されてレンズ素材を加熱、加圧して成形する上金型および下金型と、これら上下金型の間にそれらの加圧位置を規制する規制部材を設けた金型装置であって、前記上下金型のうち少なくとも一方の線熱膨張係数が前記規制部材より大きいことを1つの特徴としている。
【0019】
このような構成では、上下金型がレンズ素材を加熱、加圧してレンズを成形する。ことのき、規制部材によって上下金型の加圧位置を規制するので所望の形状のレンズを成形できる。成形後の冷却に際して、上下金型の少なくとも一方が前記規制部材よりも線熱膨張係数が大きいために、規制部材による加圧規制状態のままでそれの成形面がレンズから後退する。このため、上下金型は開かれレンズと分離される。特に、この分離はレンズが重力で追随せず離れやすい上金型との間では確実に行われる。この結果、レンズから離れる成形面が凸成形面であって、それが成形したレンズの冷却時にその凹面側へのひけが生じても、従来のように凸成形面に喰らいつくようなことを防止することができる。しかも、レンズとの分離を図る成形面を複数に分割しなくてよい利点がある。
【0020】
本発明の金型装置は、少なくとも一方が加熱されてレンズ素材を加熱、加圧して成形する上金型および下金型と、これら上下金型の間にそれらの加圧位置を規制する規制部材を設けた金型装置であって、前記規制部材または別に設けた支持部材にレンズの下面の一部を成形する成形面を設け、前記上下金型のうち少なくとも下金型の線熱膨張係数が前記規制部材またはおよび支持部材より大きいことを他の特徴としている。
【0021】
このような構成では、上下金型がレンズ素材を加熱、加圧してレンズを成形する。ことのき、規制部材によって上下金型の加圧位置を規制するので所望の形状のレンズを成形できる。成形後の冷却に際して、上下金型の少なくとも下金型が前記規制部材またはおよび支持部材よりも線熱膨張係数が大きいことにより、規制部材による加圧規制状態のままでそれの成形面がレンズから後退する。このため、下金型の成形面は、規制部材または支持部材の成形面が下面の一部を支持しているレンズと分離される。この結果、前記下金型の成形面が凸成形面であって、それが成形したレンズの冷却時に凹面側へのひけが生じても、前記金型とレンズの分離によって従来のように凸成形面に喰らいつくようなことを防止することができる。規制部材または支持部材はレンズの一部を支持すればよく、レンズの有効径範囲を避けられるので、規制部材または支持部材と下金型とに成形面が分かれる影響がレンズに生じない。
【0022】
このとき、上金型も規制部材またはおよび支持部材より線熱膨張係数が大きいと、冷却時その成形面も規制部材または支持部材の成形面により支持されたレンズから後退するので、規制部材の成形面によって下面の一部を支持した状態に自重で落ち着いているレンズと分離される。この結果、前記上金型の成形面が凸成形面であって、それが成形したレンズの冷却時に凹面側へのひけが生じても、前記金型とレンズの分離によって従来のように凸成形面に喰らいつくようなことを防止することができる。
【0023】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面によって明らかになる。本発明の各特徴は、それ単独で、あるいは種々な組み合わせで複合して採用することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るレンズの製造方法とそれに用いる金型装置の実施の形態につき、図1〜図4を参照しながら詳細に説明する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載事項を限定するものではない。
【0025】
本発明に係るレンズ製造方法の実施の形態では、図1、図2に例示する金型装置1や図4に例示する金型装置8などを用いて図3に例示するようなレンズ7を成形し、成形後に冷却する。このようにして製造したレンズ7は、その有効径範囲よりも外側にある図3に斜線を施して示した外側部分、つまり有効径外部分7aを研削などして除去する芯取り加工を施す。例示したレンズ7は既述したように負メニスカスレンズであるが、これに限られることはなく、所望の形状のレンズ7に成形するようにできる。
【0026】
本発明に係るレンズの製造方法の実施の形態としては、金型装置1、8の上下金型2、3間に図2(a)、図4(a)に示すようにレンズ素材6を挿入する工程と、前記上下金型2、3の少なくとも一方を加熱し、双方間で前記レンズ素材6を図2(a)、図4(a)の状態から図2(b)、図4(b)に示すように規制部材9による加圧規制位置まで加圧して所望の形状のレンズ7に成形する工程とを備え、特に、成形後の冷却に伴い、前記規制部材9と上下金型2、3の少なくとも一方の金型との線熱膨張係数の差から、図2(b)、図4(b)の状態から図2(c)、図4(c)の状態に上下金型2、3の少なくとも一方の金型とレンズ7を分離する工程を備えている。
【0027】
このように、少なくとも一方が加熱される上下金型2、3間にレンズ素材6を挿入して、このレンズ素材6を加熱、加圧してレンズ7を成形する際、規制部材9によって上下金型2、3の加圧位置を規制することにより所望の形状のレンズ7を成形することができる。成形後は冷却するが、この冷却に際して、上下金型2、3の少なくとも一方は前記規制部材9との線熱膨張係数の差から、規制部材9による加圧位置規制状態のままでそれの成形面2aまたは3aが後退する。これだけで、上下金型2、3は互いに開いてレンズ7と分離される。特に、この分離はレンズ7が重力で追随せず離れやすい上金型2との間では確実に行われる。
この結果、レンズ7から離れる成形面2aが図2、図4に例示するように凸成形面であって、それが成形したレンズ7の冷却時にその凹面7a側へのひけが生じても、従来のように凸成形面である成形面2aに喰らいつくようなことを防止することができる。しかも、レンズ7との分離を図る成形面2aなどを複数に分割しなくてよい利点がある。このような分離機構は上下金型2、3の双方の規制部材9との線熱膨張係数の違いから、それらの成形面2a、3aの双方が後退する方式にても達成することができ、上下金型2、3の開き距離を大きくとりやすい。
【0028】
なお、重力などによるレンズ7の下金型3の成形面3aなどへの追随を防止する操作を組み合わせると、下金型3とこれに重力にて追随するレンズ7との間などでも分離することができる。これを達成するのに、本実施の形態の製造方法ではさらに、既述した冷却に伴い金型とレンズを分離する工程につき、線熱膨張係数の差からレンズ7の端部下面を図4に示す規制部材9または図2に示す支持部材4により図2(c)、図4(c)に示すように支持し、下金型3とレンズ7とを分離する工程としている。ここで、規制部材9または支持部材4がレンズ7の端部下面を支持するのは、それらに形成した成形面9aまたは4aであり、下金型3の成形面3aと協働してレンズ7の下面を成形するものとしてある。これにより、レンズ7を規制部材9または支持部材4によって支持するために、レンズ7に余分な部分を設けて拡張するような不利は生じない。反面、レンズ7の下面を成形する成形面が下金型3の成形面3aと規制部材9の成形面9aまたは支持部材4の成形面4aとに分割する必要はある。いずれを採用してもよい。また、成形面3aは少なくともレンズ7の有効径範囲を成形すればレンズ7の有効径範囲の成形に成形面が分割することによる影響が生じない。従って、成形面3aはレンズ7の有効径範囲を越えた部分をも成形することを妨げないし、成形面9aまたは4aはレンズ7を前記分離のために支持できればよく、レンズ7の有効径範囲外に対しどのように設定してもよい。
【0029】
このような規制部材9または支持部材4は、レンズ7の成形後の冷却に際し、線熱膨張整数の差から下金型3が規制部材9によって規制された加圧位置のままでその成形面3aが後退するとき、つまり下降するとき、線熱膨張係数の差から規制部材9の成形面9aまたは支持部材4の成形面4aによってレンズ7の端部下面を図2(c)、図4(c)に示すように支持し、下金型3の成形面3aの後退にレンズ7が追随しないようにする。これにより、下金型3とレンズ7とを分離することができる。
【0030】
なお、規制部材9または支持部材4はレンズ7の端部を支持すればよく、レンズ7の有効径範囲を避けられるので、規制部材9または支持部材4による支持がレンズ7に悪影響することはない。この場合、下金型3は規制部材9または支持部材4との線熱膨張係数の差から、規制部材9による加圧規制位置のままで成形面3aが後退することを必須となるが、上金型2の側は必須とならない。しかし、線熱膨張係数の差から上金型2の成形面2aが、規制部材9または支持部材4の成形面9aまたは4aに支持されたレンズ7から後退しないのでは、上金型2をレンズ7から分離できない。従って、上下金型2、3をレンズ7と分離するには、上下金型2、3の成形面2a、3a共に後退する線熱膨張係数の関係を満足する必要がある。
【0031】
以上のような規制部材9または支持部材4による第2の成形面9aまたは4aに対し、下金型3による第1の成形面3aが後退して、成形面3aとレンズ7とを分離する機構は、一対の金型の配置向きに関係なく達成することができ、図2、図4に示す金型装置1、8の上下金型2、3の双方に対して同時に適用することができる。
【0032】
また、このような分離機構は、第2の成形面9aまたは4aに対し、第1の成形面3aが後退することによりできる図2(c)、図4(c)に示すような段差によって下金型3とレンズ7とを分離するものであるといえる。このような観点から、本実施の形態は、また、上下金型2、3によりレンズ素材6を加熱、加圧して所望の形状のレンズ7に成形する工程と、成形後の冷却に伴い、上下金型2、3の少なくとも一方側における、レンズ7の有効径範囲を含む部分を成形する第1成形面の一例である3aと、その外側部分を成形する第2成形面の一例である成形面9aまたは4aとに、線熱膨張係数の差から、第1成形面3aが第2成形面9aまたは4aよりも後退する段差を生じさせて成形面3aと前記レンズ7を分離する工程と、を備えたレンズの製造方法をも提供している。
【0033】
このような段差によるレンズ7との分離は、既述した規制部材9または支持部材4によりレンズ7を支持して分離を図る場合同様、上下金型2、3の別なく、また、一対の金型の配置向きに関係なく達成することができるが、レンズが重力で成形面の後退に追随する下金型3や、形状やレンズとの材質的な関係からレンズが追随するか、追随する可能性のある条件の金型の場合に特に有効である。
【0034】
以下、図2、図4に示す金型装置1、8の具体例について、さらに詳述する。
上下金型2、3は筒状の規制部材9内にその上下端から嵌め合わされて対向し合い、規制部材9による邪魔なしに相互間でレンズ素材6を加熱、加圧してレンズ7を成形することができる。上下金型2、3はそのフランジ部2d、3dが規制部材9の上下端と対向し合い、レンズ7を成形する際に互いが図2(b)、図4(b)に示すように当接することで加圧位置を規制される。これによりレンズ素材6を所定の形状に成形することができる。
【0035】
一般に、下金型3は規制部材9とともに固定側とし、上金型2を可動側として成形を行い、成形および冷却が終了する都度上金型2を規制部材9から上方へ抜き出して、製造したレンズ7を取り出せるようにする。しかし、これに限られることはない。規制部材9も上金型2と共に退避するようにもできるし、下金型3が可動側でも、上下金型2、3の双方が可動でもよい。
【0036】
このような金型装置1、8で図3に示すような負メニスカスレンズを、凹面7bが上向きで凸面7cが下向きとなる姿勢のレンズ7として成形するのに、上金型2の成形面2aを凸成形面、下金型3の成形面3aを凹成形面としてある。レンズ7の成形後の冷却に際し、レンズ7の凹面7bが凸である成形面2aに食いつかせないためには、上金型2とレンズ7との分離が必須となる。しかし、図2、図4に示す金型装置1、8では、上金型2とレンズ7との分離に加え、下金型3とレンズ7との分離をも規制部材9または支持部材4の成形面9aまたは4aによる支持方式にて図るようにしてある。
【0037】
これを満足するのに、図2に示す金型装置1では、支持部材4は規制部材9の内周と下金型3の外周との間に嵌め合わされた筒型部材とし、規制部材9の途中高さ位置、下金型3の成形面3aと並ぶ上端を成形面4aとして、下金型3の成形面3aと連なって既述したように協働し、レンズ7の下面を成形するようにしている。併せ、線熱膨張係数が「上下金型2、3」>「規制部材9および支持部材4」の関係を満足して、前記成形とその後の冷却を行わせるようにしている。これにより、成形後の冷却の際、前記上下金型2、3と規制部材9との線熱膨張係数の違いから、上下金型2、3は規制部材9による加圧規制位置のままで、それらの成形面2a、3aどうしが互いに後退して開く。このときレンズ7は上方に向け後退する、つまり上昇する上金型2の成形面2aには重力にて追随せず確実に分離される。従って、図示するように成形面2aが凸成形面であってもこれにより成形されたレンズ7の凹面7bが食らいつく問題はない。一方、下金型3の成形面3aは下方に後退する、つまり下降するが、それだけではレンズ7は自重で追随する。しかし、前記支持部材4と下金型3との線熱膨張係数の違いから、下金型3aの成形面3aは支持部材4の成形面4aに対して段差をなして下降するので、下金型3の成形面3aは支持部材4の成形面4aに支持されたレンズ7から確実に分離される。従って、下金型3の成形面3aがもし、図2に示すのとは異なり凸成形面であってもレンズ7の食らいつきを防止することができる。
【0038】
また、図4に示す金型装置8では、図2に示す金型装置1での支持部材4の成形面4aに代えて、規制部材9の内周の途中高さ部に形成した成形面9aを採用している。この成形面9aは規制部材9の内周途中で、下金型3の成形面3aと並ぶ段差部をなし、下金型3の成形面3aと連なって既述したように協働し、レンズ7の下面を成形するようにしている。併せ、線熱膨張係数が「上下金型2、3」>「規制部材9」の関係を満足したものとしている。これにより、成形後の冷却の際、前記上下金型2、3と規制部材9との線熱膨張係数の違いから、上下金型2、3は規制部材9による加圧規制位置のままで、それらの成形面2a、3aどうしが互いに後退して開く。このときレンズ7は上方に向け後退する、つまり上昇する上金型2の成形面2aには重力にて追随せず確実に分離される。従って、図示するように成形面2aが凸成形面であってもこれにより成形されたレンズ7の凹面7bが食らいつく問題はない。一方、下金型3の成形面3aは下方に後退する、つまり下降するが、それだけではレンズ7は自重で追随する。しかし、前記規制部材9と下金型3との線熱膨張係数の違いから、下金型3aの成形面3aは規制部材9の成形面9aに対して段差をなして下降するので、下金型3の成形面3aは規制部材9の成形面9aに支持されたレンズ7から確実に分離される。従って、下金型3の成形面3aがもし、図4に示すのとは異なり凸成形面であってもレンズ7の食らいつきを防止することができる。
【0039】
なお、規制部材9あるいは支持部材4の成形面9aまたは4aの高さに対する下金型3の成形面3aは、図2(a)、図4(a)に示すように予め低くしておき、前記加熱成形時に前記線熱膨張係数の違いから、双方の成形面9aまたは4aと成形面3aとの高さがほぼ一致するように配慮する。これにより、下金型3と線熱膨張係数の違う規制部材9や支持部材4に形成した成形面9aまたは4aにてレンズ7の有効径より外側部分7aを成形するのに、この成形面9aまたは4aに対して低くしておいた下金型3の成形面3aの高さの違いを、加熱成形時の規制部材9や支4と下金型3との前記線熱膨張係数の違い応じた膨張差によりほぼ一致させられる。この結果、下金型3と規制部材9や支持部材4との線熱膨張係数が異なることによって双方の成形面9aまたは4aと成形面3aが形成するレンズ面に許容範囲を超える段差ができて成形の邪魔になりレンズ7の周縁の成形に支障を来すようなことを防止することができる。
【0040】
また、前記規制部材9の成形面9aや支持部材4の成形面4aの傾斜角度は、下金型3の成形面3aの周縁部の傾斜角度とほぼ同一とする。これにより、下金型3と規制部材9や支持部材4とが別部材であっても、それらの成形面4aまたは9aと成形面3aの境界部で傾斜が大きく異なって成形の邪魔になってレンズ7の周縁の成形に支障を来したり、成形したレンズ7の前記境界部で極端に傾斜角度が異なるようなことを防止することができる。
【0041】
なお、前記規制部材9や支持部材4は炭化タングステン、上下金型2、3が規制部材9や支持部材4よりも線熱膨張係数が大きな炭化タングステン、SiC、Si、Al、ZrO、サーメットのいずれかであるのが好適である。
【0042】
ここで、図1、図2に示す金型装置1での実施例を示すと、成形するレンズ7はガラス材料よりなる凹面7bと凸面7cとを有したメニスカスレンズであって、記述したように凹面7bを上にして成形するようにしている。しかし、反対向きでもよいし、凹面7bどうしのレンズ7でもよい。レンズ素材6はホウケイ酸ガラスで、ガラス転移点が510℃、線熱膨張係数が100℃〜300℃で90×10−7/℃のもので、直径15mm、中心厚み4mmに研磨加工されたプリフォーム材を用いた。
【0043】
一方、上下金型2、3には炭化タングステン(WC−Co)の焼結体をHIP処理したものを用いた。線熱膨張係数は57×10−7/℃である。また、規制部材9および支持部材4には炭化タングステン(WC−Ti−TaC)の焼結体を用いた。線熱膨張係数は47×10−7/℃である。
【0044】
図2(a)に示す状態で窒素雰囲気中にある上下金型2、3の間にレンズ素材6をセットし、レンズ素材6の温度が580℃になるまで加熱する。ガラス素材6の温度が580℃になるとレンズ素材6の粘度は10ポアズになっている。この温度で、150Kg/cmの圧力をかけ70秒間プレスした。このときの金型装置1とレンズ素材6との状態を図2(b)に示している。
【0045】
下金型3の成形面3aは線熱膨張係数が支持部材4よりも大きいため、支持部材4の成形面4aとほぼ同一高さ(2〜3μm程度の段差内)になる。従って、レンズ素材6は段差による邪魔なく支持部材4の側にスムーズに変形することができ、レンズ素材6の周縁部が支持部材4の成形面4aに掛かるまで変形されレンズ7に成形される。
【0046】
この後、プレス圧力を50Kg/cmまで減圧して金型装置1とともにレンズ7を300℃まで冷却した。このときの冷却速度は0.85℃/秒〜1.5 ℃/秒である。このときの金型装置1とレンズ7との状態を図2(c)に示してある。この冷却時にレンズ7および金型装置1は収縮するが、上金型2の線熱膨張係数が規制部材9よりも大きいので、規制部材9による加圧位置規制状態のまま成形面2aが上方に後退する。併せて、レンズ7の線熱膨張係数が上金型2の線熱膨張係数より大きいので厚みは小さいが幾分上面が下降する。これにより、レンズ7と上金型2の成形面2aとの間に隙間(2〜3μm程度)が生じ、レンズ7と上金型2は離型する。また、下金型3の線熱膨張係数が支持部材4よりも大きく、支持部材4の成形面4aよりも成形面3aが下降し、かつ、レンズ7の周縁部は支持部材4で受け止められた状態を保つので、下金型3の成形面3aとレンズ7とが離型する。
【0047】
離型後、取り出したレンズ7を図3に示す斜線部分を除去して芯取り加工し、負メニスカスレンズを得た。このとき、下金型3と支持部材4との境目は芯取り加工時に除去されるので、この境目に多少の段差が生じていても問題はない。得られた負メニスカスレンズの形状精度を調べたところ、ニュートン2本以内、アスクセ0.5本以内の良好なレンズ7であった。
【0048】
支持部材4の成形面4aに傾斜はなしで説明したが、レンズ7の周縁の傾斜角度にほぼ等しい傾斜角度に設定することができる。図示する例ではレンズ7の周縁の傾斜角度が25度であるので、0度〜25度程度、あるいは25度よりも少し大き目に設定することができる。
【0049】
さらに、上下金型2、3の材料を炭化タングステン(WC−Co)にした場合について説明したが、線熱膨張係数は30〜95×10−7/℃のものが望ましく、これを満足する他の材料、例えば、SiC、Si、Al、ZrO、サーメット等を使用することができる。
【0050】
次に、図4に示す金型装置8での実施例について説明すると、成形するレンズ7はガラス材料よりなる凹面7bと凸面7cとを有したメニスカスレンズであって、記述したように凹面7bを上にして成形するようにしている。しかし、反対向きでもよいし、凹面7bどうしのレンズ7でもよい。レンズ素材6はホウケイ酸ガラスで、ガラス転移点が510℃、線熱膨張係数が100℃〜300℃で90×10−7/℃のもので、直径15mm、中心厚み4mmに研磨加工されたプリフォーム材を用いた。
【0051】
一方、上下金型2、3には炭化タングステン(WC−Co)の焼結体をHIP処理したものを用いた。線熱膨張係数は57×10−7/℃である。また、規制部材9には炭化タングステン(WC−Ti−TaC)の焼結体を用いた。線熱膨張係数は47×10−7/℃である。
【0052】
図4(a)に示す状態で窒素雰囲気中にある上下金型2、3の間にレンズ素材6をセットし、レンズ素材6の温度が580℃になるまで加熱する。レンズ素材6の温度が580℃になるとレンズ素材6の粘度は10ポアズになっている。この温度で、150Kg/cmの圧力をかけ70秒間プレスした。このときの金型装置1とレンズ素材6との状態を図4(b)に示している。
【0053】
下金型3の成形面3aは線熱膨張係数が規制部材9よりも大きいため、規制部材9の成形面9aとほぼ同一高さ(2〜3μm程度の段差内)になる。従って、レンズ素材6は段差による邪魔なく規制部材9の側にスムーズに変形することができ、レンズ素材6の周縁部が規制部材9の成形面9aに掛かるまで変形されレンズ7に成形される。
【0054】
この後、プレス圧力を50Kg/cmまで減圧して金型装置1とともにレンズ7を300℃まで冷却した。このときの冷却速度は0.85℃/秒〜1.5 ℃/秒である。このときの金型装置1とレンズ7との状態を図4(c)に示してある。この冷却時にレンズ7および金型装置1は収縮するが、上金型2の線熱膨張係数が規制部材9よりも大きいので、規制部材9による加圧位置規制状態のまま成形面2aが上方に後退する。併せて、レンズ7の線熱膨張係数が上金型2の線熱膨張係数より大きいので厚みは小さいが幾分上面が下降する。これにより、レンズ7と上金型2の成形面2aとの間に隙間(2〜3μm程度)が生じ、レンズ7と上金型2は離型する。また、下金型3の線熱膨張係数が規制部材9よりも大きく、その成形面9aよりも成形面3aが下降し、かつ、レンズ7の周縁部は規制部材9の成形面9aで受け止められた状態を保つので、下金型3の成形面3aとレンズ7とが離型する。
【0055】
離型後、取り出したレンズ7を図3に示す斜線部分を除去して芯取り加工し、負メニスカスレンズを得た。このとき、下金型3と規制部材9との境目は芯取り加工時に除去されるので、この境目に多少の段差が生じていても問題はない。得られた負メニスカスレンズの形状精度を調べたところ、ニュートン2本以内、アスクセ0.5本以内の良好なレンズ7であった。
【0056】
規制部材9の成形面9aの傾斜角度はなしで説明したが、レンズ7の周縁の傾斜角度にほぼ等しい傾斜角度に設定することができる。図示する例ではレンズ7の周縁の傾斜角度が25度であるので、0度〜25度程度、あるいは25度よりも少し大き目に設定することができる。
【0057】
さらに、上下金型2、3の材料を炭化タングステン(WC−Co)にした場合について説明したが、線熱膨張係数は30〜95×10−7/℃のものが望ましく、これを満足する他の材料、例えば、SiC、Si、Al、ZrO、サーメット等を使用することができる。
【0058】
【発明の効果】
本発明の1つの特徴のレンズ成形方法によれば、金型でレンズ素材を加熱、加圧して所望の形状のレンズに成形し、成形後は冷却する。この冷却に際して、金型におけるレンズの有効径範囲を含む部分を成形する第1成形面とその外側部分を成形する第2成形面とが線熱膨張係数の差から段差を生じ、第1成形面が第2成形面よりも反レンズ側に移動する、つまり後退する。このため、第1成形面は第2成形面に当接しているレンズから後退し、レンズと分離される。この結果、第1成形面が凸成形面であって、それが成形したレンズの冷却時に凹面側へのひけが生じても、前記金型とレンズの分離によって従来のようにレンズが凸成形面に喰らいつくようなことを防止することができる。しかも、第1、第2成形面が協働してレンズの有効径外部分を含んだ片側全面の成形を満足しながら、レンズの有効径範囲を含んだ部分を第1の成形面1つによって成形するので、レンズが実用される有効径範囲内の成形上、成形面が2つに分かれることによる弊害を回避できる利点がある。
【0059】
本発明の他の特徴のレンズの製造方法によれば、少なくとも一方が加熱される上下金型間にレンズ素材を挿入して、このレンズ素材を加熱、加圧してレンズを成形する際、規制部材によって上下金型の加圧位置を規制することにより所望の形状のレンズを成形できるようにし、成形後は冷却する。この冷却に際して、上下金型の少なくとも一方は前記規制部材との線熱膨張係数の差から、規制部材による加圧位置規制状態のままでそれの成形面が後退する。これにより上下金型は開いてレンズと分離される。特に、この分離はレンズが重力で追随せず離れやすい上金型との間では確実に行われる。この結果、レンズから離れる成形面が凸成形面であって、それが成形したレンズの冷却時にその凹面側へのひけが生じても、従来のように凸成形面に喰らいつくようなことを防止することができる。しかも、レンズとの分離を図る成形面を複数に分割しなくてよい利点がある。
【0060】
冷却に伴い金型とレンズを分離する工程に前記規制部材またはそれとは別の支持部材を利用して、線熱膨張係数の差からレンズの端部下面を規制部材または支持部材で支持し、下金型とレンズとを分離する工程とした、さらなる構成によれば、
前記規制部材によって規制された加圧位置のまま下金型の成形面が後退するとき、線熱膨張係数の差から規制部材または支持部材がレンズの端部下面を支持して、下金型の成形面の後退に追随しないようにするので、下金型とレンズとを分離することができる。規制部材または支持部材はレンズの端部を支持すればよく、レンズの有効径範囲を避けられるので、規制部材による支持がレンズに悪影響することはない。このような分離は一対の金型の配置向きに関係なく達成することができる。
【0061】
本発明の1つの特徴の金型装置によれば、上下金型がレンズ素材を加熱、加圧してレンズを成形する。ことのき、規制部材によって上下金型の加圧位置を規制するので所望の形状のレンズを成形できる。成形後の冷却に際して、上下金型の少なくとも一方が前記規制部材よりも線熱膨張係数が大きいために、規制部材による加圧規制状態のままでそれの成形面がレンズから後退する。このため、上下金型は開かれレンズと分離される。特に、この分離はレンズが重力で追随せず離れやすい上金型との間では確実に行われる。この結果、レンズから離れる成形面が凸成形面であって、それが成形したレンズの冷却時にその凹面側へのひけが生じても、従来のように凸成形面に喰らいつくようなことを防止することができる。しかも、レンズとの分離を図る成形面を複数に分割しなくてよい利点がある。
【0062】
本発明の他の特徴の金型装置によれば、上下金型がレンズ素材を加熱、加圧してレンズを成形する。ことのき、規制部材によって上下金型の加圧位置を規制するので所望の形状のレンズを成形できる。成形後の冷却に際して、上下金型の少なくとも下金型が前記規制部材またはおよび支持部材よりも線熱膨張係数が大きいことにより、規制部材による加圧規制状態のままでそれの成形面がレンズから後退する。このため、下金型の成形面は、規制部材または支持部材の成形面が下面の一部を支持しているレンズと分離される。この結果、前記下金型の成形面が凸成形面であって、それが成形したレンズの冷却時に凹面側へのひけが生じても、前記金型とレンズの分離によって従来のように凸成形面に喰らいつくようなことを防止することができる。規制部材または支持部材はレンズの一部を支持すればよく、レンズの有効径範囲を避けられるので、規制部材または支持部材と下金型とに成形面が分かれる影響がレンズに生じない。
【0063】
このとき、上金型も規制部材またはおよび支持部材より線熱膨張係数が大きいと、冷却時その成形面も規制部材または支持部材の成形面により支持されたレンズから後退するので、規制部材の成形面によって下面の一部を支持した状態に自重で落ち着いているレンズと分離される。この結果、前記上金型の成形面が凸成形面であって、それが成形したレンズの冷却時に凹面側へのひけが生じても、前記金型とレンズの分離によって従来のように凸成形面に喰らいつくようなことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る1つの実施例を示す金型装置の断面図。
【図2】図1の装置によるレンズの成形工程を示し、その(a)はレンズ素材をセットした状態の断面図、その(b)は加熱成形時の断面図、その(c)は成形後の冷却時の断面図。
【図3】図2の成形工程によって得られたレンズの芯取り加工を行う際の説明図。
【図4】別の金型装置によるレンズの成形工程を示し、その(a)はレンズ素材をセットした状態の断面図、その(b)は加熱成形時の断面図、その(c)は成形後の冷却時の断面図。
【符号の説明】
1 金型装置
2 上金型
3 下金型
4 支持部材
9 規制部材
2a、3a、4a、9a 成形面
6 レンズ素材
7 レンズ
7a 有効径の外側部分
7b 凹面
7c 凸面

Claims (5)

  1. 金型によりレンズ素材を加熱、加圧して所望の形状のレンズに成形する工程と、
    成形後の冷却に伴い、金型におけるレンズの有効径範囲を成形する第1成形部と、その外側部分を成形する第2成形面とに、線熱膨張係数の差から、第1成形面が第2成形面よりも後退する段差を生じさせて金型の第1成形面と前記レンズとを分離する工程と、を備えたことを特徴とするレンズの製造方法。
  2. 上下金型間にレンズ素材を挿入する工程と、
    前記上下金型の少なくとも一方の金型を加熱し、双方間で前記レンズ素材を規制部材による加圧規制位置まで加圧することにより、所望の形状のレンズに成形する工程と、
    成形後の冷却に伴い、前記規制部材と上下金型の少なくとも一方の金型との線熱膨張係数の差から、上下金型の少なくとも一方の金型とレンズとを分離する工程と、を備えたことを特徴とするレンズの製造方法。
  3. 冷却に伴い金型とレンズを分離する工程は、線熱膨張係数の差からレンズの端部下面を規制部材またはそれとは別の支持部材で支持し、下金型とレンズとを分離する工程であることを特徴とする請求項2に記載のレンズの製造方法。
  4. 少なくとも一方が加熱されてレンズ素材を加熱、加圧して成形する上金型および下金型と、これら上下金型の間にそれらの加圧位置を規制する規制部材を設けた金型装置であって、前記上下金型のうち少なくとも一方の線熱膨張係数が前記規制部材より大きいことを特徴とする金型装置。
  5. 少なくとも一方が加熱されてレンズ素材を加熱、加圧して成形する上金型および下金型と、これら上下金型の間にそれらの加圧位置を規制する規制部材を設けた金型装置であって、前記規制部材または別に設けた支持部材にレンズの下面の一部を成形する成形面を設け、前記上下金型のうち少なくとも下金型の線熱膨張係数が前記規制部材またはおよび支持部材より大きいことを特徴とする金型装置。
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