JP2004351715A - 車両内装部材のシール構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造コストの低減化を可能とした車両内装部材のシール構造を提供する。
【解決手段】シール部材60は、パネル基材12と表皮材14との間から設置部18へ所要量だけはみ出すように配設して、これらパネル基材12および表皮材14により挟み込まれる第1シール部62と、前記設置部18へはみ出した第2シール部64とに分かたれる。従って、前記第1シール部62により、発泡成形時の発泡体16の漏出を防止する。また、エアアウトレット40およびダクトDで前記第2シール部64を挟み込むことで、これらエアアウトレット40およびダクトDの連結部分から空気が漏出するのを防止する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両内装部材のシール構造に関し、更に詳細には、基材および表皮材の間で発泡体を発泡成形するに際し、前記表皮材から基材に亘って開設されるエアアウトレット用の設置部に臨む部位から前記発泡体が漏出するのを防止するため、前記設置部を囲繞し得るシール部材を、前記基材と表皮材との間に介在させるようにした車両内装部材のシール構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乗用車等の車両における乗員室内には、インストルメントパネル、フロアコンソール、ドアパネル、ピラーガーニッシュ等をはじめとする種々の車両内装部材が設置されている。例えばインストルメントパネル10は、図15に部分的に例示するように、所要形状に成形した合成樹脂製のパネル基材(基材)12の外側に、所要形状に成形した合成樹脂製の表皮材14を配設すると共に、これらパネル基材12および表皮材14の間に弾力性を有するウレタンフォーム等の発泡体16を介在させた3層構造のものが実施されている。なお、インストルメントパネル10は、前述した3層構造タイプだけでなく、前記発泡体16を有さない2層構造タイプや、該発泡体16および前記表皮材14を有さない単層構造タイプも実施されている。
【0003】
また、前記インストルメントパネル10の外面所要位置には、該パネル10に装着される取付部品の1つであって、乗員室の前方等に搭載したエアコンユニット(図示せず)とダクトDを介して連通接続されるエアアウトレット40が、所要数設置されるようになっている。このエアアウトレット40は、矩形、円形または楕円形等の枠体形状に形成された合成樹脂製の成形部材であって、前記エアコンユニットから送出される調温空気を、乗員室内の後方側に向けて吹出し案内するために供される。従って前記インストルメントパネル10には、前記エアアウトレット40を収容保持するための設置部18が、前記表皮材14、発泡体16およびパネル基材12に亘って開設されている。
【0004】
ここで、3層構造の前記インストルメントパネル10を製造するには、従前の製造方法によれば、先ず予備成形したパネル基材12および表皮材14の間で発泡体16を発泡成形し、この際に形成された前記設置部18に対して前記エアアウトレット40を後付け装着するようになっており、発泡体16の発泡成形工程とエアアウトレット40の装着工程とが各々別工程とされていた。しかしながら近年に至っては、前記設置部18を形成する前記表皮材14の表皮凹部20へ前記エアアウトレット40を予めセットしたもとで、前記パネル基材12および該表皮材14の間において前記発泡体16を発泡成形するようにして、発泡体16の発泡成形工程とエアアウトレット40の装着工程とを同一工程で同時に行なう製造方法も採用されている。なお、後者の製造方法に関する技術は、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】
実公平06−14984号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記パネル基材12と表皮材14との間で前記発泡体16を成形するに際しては、図15に例示したように、前記設置部18を開設するために該パネル基材12に形成した前記挿通口22および前記表皮材14に形成した前記開口部24の周囲、すなわち該設置部18に臨む部位において、これらパネル基材12と表皮材14との間に隙間が画成されるようになる。そこで、発泡成形中の前記発泡体16が前記隙間から設置部18へ漏出するのを防止するため、前記設置部18を囲繞し得るシール部材26を、前記パネル基材12と表皮材14との間に介在させたもとで、該発泡体16の発泡成形を行なうようになっている。
【0007】
一方、前記設置部18に収容保持された前記エアアウトレット40の後方へ前記ダクトDを連結するに際しては、前記パネル基材12の裏面と該ダクトDの前端との間に別のシール部材28を介在させることで、これらエアアウトレット40およびダクトDの連結部位から空気が漏出することを防止する対策が施されている。
【0008】
すなわち従来のインストルメントパネル10では、前記発泡体16の漏出を防止するための前記シール部材26と、前記空気の漏出を防止するための前記シール部材28とを、個別に準備して実施に供するようになっていた。このため、2つ以上のシール部材26,28を製作して準備しなければならず、部品点数の増加に伴ってコストアップを招来してしまう課題があった。また、前記各々のシール部材26,28は、パネル基材12の表側の所要位置および裏側の所要位置に対して、別々の作業工程により取着(接着または貼着)するようになっており、作業工数の増加および作業時間の増加に伴うコストアップも無視できないものとなっていた。
【0009】
【発明の目的】
本発明は、前述した課題を好適に解決するべく提案されたもので、単一のシール部材により、発泡体の発泡成形時における該発泡体の漏出防止と、エアアウトレットとダクトの連結時における空気の漏出防止とを図るようにすることで、製造コストの低減化を可能とした車両内装部材のシール構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決して、所期の目的を達成するため本発明は、基材および表皮材の間で発泡体を発泡成形するに際し、前記表皮材から基材に亘って開設されるエアアウトレット用の設置部に臨む部位から前記発泡体が漏出するのを防止するため、前記設置部を囲繞し得るシール部材を、前記基材と表皮材との間に介在させるようにした車両内装部材のシール構造において、
前記シール部材を、前記基材と表皮材との間から前記設置部へ所要量だけはみ出すように配設することで、これら基材および表皮材により挟み込まれる第1シール部と、前記設置部へはみ出した第2シール部とに分かたれるようにし、
前記第1シール部により前記発泡体の漏出を防止すると共に、前記設置部へ収容したエアアウトレットおよび該エアアウトレットへ連結するダクトにより前記第2シール部を挟み込むことで、これらエアアウトレットおよびダクトの連結部分から空気が漏出するのを防止するよう構成したことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る車両内装部材のシール構造につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお本実施例では、車両内装部材として前記3層構造のインストルメントパネル10を例示する。従って、図15を引用して説明した従来技術の項で既出の部材と同一部材は、同一の符号を付して説明する。
【0012】
図1は、本発明の好適実施例に係る車両内装部材のシール構造が実施されたインストルメントパネルの部分斜視図、図2は図1のII−II線断面図、図3は図1のIII−III線断面図である。実施例のインストルメントパネル10は、基本的には図15に例示した従来のものと同一構造であって、所要形状に成形したパネル基材(基材)12と、所要形状に成形した表皮材14と、これらパネル基材12および表皮材14の間で発泡して介在させた発泡体16とから構成されている。そして、インストルメントパネル10の所要部位には、別体をなす前記エアアウトレット40を前側から収容保持する設置部18が開設されている。
【0013】
前記パネル基材12は、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂素材を、例えば図示しない基材成形型を使用してインジェクション成形した樹脂成形部材であって、当該インストルメントパネル10の意匠形状を考慮した外面形状に形成されている。そして、前記設置部18に対する対応部位には、該設置部18より一回り大きな輪郭形状で略台形状に陥凹した陥凹部30が形成されており、該陥凹部30の底部には、前記ダクトDの先端部の挿通を許容する略矩形状の挿通口32が形成されている。
【0014】
前記表皮材14は、図示しない表皮成形型を使用して一体成形されたもので、例えば真空成形技術に基づいて樹脂シート材から成形されたもの、パウダースラッシュ成形技術に基づいて樹脂粉末から成形されたもの、またはスプレー成形技術に基づいてポリウレタンから成形されたもの等である。そして、全体的には1mm程度の均一な厚みに成形されていて柔軟性を有していると共に、表面には本革等に似せたシボ模様が再現されている。そして、前記エアアウトレット40の外部輪郭形状に合致する内部輪郭形状とされて前記設置部18を形成する表皮凹部20が、所要位置に略矩形状に陥設されていると共に、該設置部18の底部はパネル基材12の前記陥凹部30に臨んでおり、前記挿通口32に整合する略矩形状の開口部34が形成されている。更に、設置部18に対応した表皮凹部20における上壁部分、下壁部分および左・右側壁部分の各々には、エアアウトレット40に突設した係合凸部52が対応的に整合する係合凹部36が、前記発泡体16へ突入した状態で形成されている。
【0015】
前記発泡体16は、図9等に例示した発泡成形型70を利用して、ポリウレタン等の発泡材料を発泡成形して形成したものである。具体的な成形方法は後述するが、発泡成形型70の第1成形型72に前記表皮材14およびエアアウトレット40をセットすると共に、該発泡成形型70の第2成形型74に前記パネル基材12をセットし、このもとで両成形型72,74を型閉めした際にパネル基材12と表皮材14との間に画成される空間76内で、発泡材料を発泡・硬化させて成形したものである。このような発泡体16は、5〜10mm程度の厚みに形成されているので適度の弾力性を有しており、表皮材14の適宜位置を外側から指先等で押圧すると当該押圧部位が適宜陥凹的に弾性変形するようになり、インストルメントパネル10の触感向上に寄与する。
【0016】
なお、実施例のインストルメントパネル10では、図7および図8明らかなように、前記発泡体16の発泡成形に際して前記発泡成形型70を型閉めした際に、前記パネル基材12に形成した前記挿通口32を囲繞する周辺部位と、前記表皮材14に形成した前記開口部34を囲繞する周辺部位とが、当該発泡成形型70が完全な型閉め状態となっても密着しないことがあり、型閉め作業毎に常に好適なシール状態を確実に形成することが極めて困難である。このため、設置部18へ臨む前記挿通口32および開口部34の周辺部位から前記発泡体16が漏出するのを防止するため、該設置部18を囲繞し得るシール部材60を、前記パネル基材12と表皮材14との間に介在させたもとで、該発泡体16の発泡成形を行なうようになっている。
【0017】
前記エアアウトレット40は、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂素材を、図示しない成形型を使用してインジェクション成形した樹脂成形部材であって、図4(a)および図4(b)に例示するように、略矩形筒体状に形成されて前記設置部18の内側へ収容される筒状本体部42と、略矩形枠形状に形成されて該設置部18の前側に露出する前面パネル部44とからなっている。前記筒状本体部42の内部には、図1に例示したように、縦フィンおよび/または横フィンから構成される風向制御板46や、風量調整用の風量ダイヤル48等が配設されている(但し、図2および図3は、図面の煩雑を避けるためにこれらを省略して図示している)。そして前記筒状本体部42の後端面は、後述するように、前記シール部材60に当接する後端当接面50となっている。また前記筒状本体部42の外周面には、複数(3枚)のリブ片から構成されて、前記設置部18に形成した各々の係合凹部36に係合する係合凸部52が、複数個突設されている。一方、前記前面パネル部44は、前記筒状本体部42よりも一回り大きく設定されていて、前記風向制御板46が臨むようになる空気吹出口54と、前記風量ダイヤル48が臨むようになる操作口56とが、横並び状に開設されている。
【0018】
このようなパネル基材12、発泡体16および表皮材14からなる3層構造のインストルメントパネル10では、図2および図3に例示したように、前記設置部18を形成する表皮凹部20が該発泡体16で形状保持されており、前記エアアウトレット40に突設した各々の係合凸部52を、設置部18に陥設した各々の係合凹部36へ対応的に係合させることで、該設置部18に対する該エアアウトレット40の安定的な取付けが図られる。なお、設置部18に対して前記エアアウトレット40が適正に収容されている状態では、前記前面パネル部44の前面と表皮材14の外面とが、面一的に一致して整合するようになっている。
【0019】
(シール構造)
次に、前述のように構成されたインストルメントパネル10に実施されるシール構造について説明する。前記パネル基材12および表皮材14の間で発泡体16を発泡成形すると共に、前記設置部18に収容保持した前記エアアウトレット40に対して前記ダクトDを連結することが前提とされる実施例のインストルメントパネル10では、図15を引用して説明したように、
▲1▼ 発泡体16の発泡成形時に、パネル基材12と表皮材14との間からの該発泡体16の漏出を防止するためのシール対策と、
▲2▼ エアアウトレット40とダクトDとの連結部分からの空気の漏出を防止するためのシール対策と、を図る必要がある。
そこで、本実施例のシール構造は、発泡体16の発泡成形時における該発泡体16の漏出防止と、エアアウトレット40とダクトDの連結時における空気の漏出防止とを、単一の前記シール部材60により実現し得るようになっている。
【0020】
すなわち前記シール部材60は、図2および図3に例示したように、前記パネル基材12と表皮材14との間から前記設置部18へ所要量だけはみ出すように配設してある。これによりシール部材60は、これらパネル基材12および表皮材14により挟み込まれる第1シール部62と、前記設置部18へはみ出した第2シール部64とに便宜的に分かたれている。従って、前記発泡体16の発泡成形時には、前記シール部材60の第1シール部62により、パネル基材12と表皮材14との間から該発泡体16が漏出するのを防止する。また、設置部18へ収容した前記エアアウトレット40に前記ダクトDを連結する際には、該エアアウトレット40の後端当接面50と該ダクトDの先端当接面80とにより、前記シール部材60の第2シール部64を挟み込むことで、これらエアアウトレット40およびダクトDの連結部分から空気が漏出するのを防止するようになっている。
【0021】
前記シール部材60は、例えばスポンジやウレタンフォーム等の比較的弾力性に富んだ材質から形成されており、図6に例示したように、一切の外力が加わっていない非圧縮状態にあっては、横断面形状が正方形または長方形等の矩形状に形成されている。そして実施例では、前記発泡体16の発泡成形に先立ち、前記パネル基材12に予め取着することが前提とされており、該パネル基材12の表面において前記挿通口32の周縁に沿って、両面テープによる貼着または接着剤による接着により、前記第1シール部62に対応する部位だけを固定するようにする。なお前記シール部材60は、例えば細長棒状に予備成形したものや、前記該挿通口32の外周縁形状に合致する矩形リング状に予備成形したもの等が実施可能である。
【0022】
【実施例の作用】
次に、前述のように構成された本実施例に係る車両内装部材のシール構造の作用につき説明する。
【0023】
(発泡体の発泡成形時におけるシール態様)
発泡体16の発泡成形に際しては、先ず図5(a)および図5(b)に例示するように、予備成形した前記表皮材14における表皮凹部20に、予備成形したエアアウトレット40をセットしたもとで、発泡成形型70における第1成形型72のセット面72Aに対してこれら表皮材14およびエアアウトレット40をセットする。なお、図5における符号78は、エアアウトレット40の変形を規制する変形規制部材である。一方、図6に例示するように、パネル基材12の前記挿通口32の周縁に沿って前記シール部材60を装着したもとで、前記発泡成形型70における第2成形型74のセット面74Aに対して該パネル基材12をセットする。なお前記シール部材60は、前述したように、両面テープまたは接着剤により前記第1シール部62に対応する部位だけをパネル基材12に固定するようにする。
【0024】
前記第1成形型72に対する表皮材14およびエアアウトレット40のセット作業と、前記第2成形型74に対する前記パネル基材12のセット作業が各々完了したら、図7に例示するように、第1成形型72に対して第2成形型74を近接移動させて発泡成形型70の型閉めを行なう。このとき前記シール部材60は、型閉め直前においては図8(a)に示すように、第1シール部62が前記表皮材14に対向するようになり、前記第2シール部64が前記エアアウトレット40の後端当接面50に対向するようになる。従って、型閉めが完了した状態では、図8(b)に例示するように、前記パネル基材12および表皮材14により前記第1シール部62だけが挟み込まれて圧縮的に変形し、これらパネル基材12および表皮材14における設置部18に臨む部位のシール状態が形成される。なお第2シール部64は、前記エアアウトレット40の後端当接面50に接触して適度に圧縮された状態となっている。
【0025】
そして、前記発泡成形型70の型閉めに先立ち、前記第1成形型72にセットした表皮材14の上面へ所定量の発泡材料を注入しておくことにより、型閉め後に該発泡材料の発泡反応が始まり、図9に例示するように所要時間経過後には、発泡体16がパネル基材12と表皮材14との間に画成された前記空間76内へ充満するようになる。このとき、前記設置部18に臨んだ部位は、図10に例示するように、前記シール部材60における第1シール部62により完全にシールされているので、この部位から発泡体16が設置部18へ漏出することが好適に防止される。
【0026】
前述のようにして発泡体16の発泡成形が完了した後に、前記発泡成形型70から脱型した前記インストルメントパネル10では、図11および図12(a)に例示するように、前記シール部材60における前記第2シール部64が、設置部18へはみ出して前記挿通口32および開口部34の内周縁に沿って延在している。すなわち第2シール部64は、前記設置部18に収容保持された前記エアアウトレット40の後端当接面50に、整合して適宜接触した状態となっている。
【0027】
(ダクトの連結時におけるシール態様)
そして、前記設置部18に収容保持された前記エアアウトレット40に対して前記ダクトDを連結する際には、図12(b)に例示するように、前記シール部材60の第2シール部64が、前記エアアウトレット40の後端当接面50とダクトDの先端当接面80で挟み込まれるようになる。従って、これらエアアウトレット40とダクトDとの連結部分は、前記シール部材60の第2シール部64で適切にシールされるようになるので、これらエアアウトレット40およびダクトDの連結部分から空気が漏出するのが防止されるようになる。
【0028】
このように本実施例に係る車両内装部材のシール構造では、単一の前記シール部材60により、発泡体16の発泡成形時における該発泡体16の漏出防止を前記第1シール部62で図ると共に、エアアウトレット40とダクトDの連結時における空気の漏出防止を前記第2シール部64で図るようになり、単一の該シール部材60で2つのシール状態を好適に形成することが可能である。従って、単一の前記シール部材60を準備するだけでよいので、部品点数の削減に伴ってコストダウンを図り得る利点がある。また、単一の前記シール部材60だけをパネル基材12の前記設置部18に臨む部位に取着するだけでよいので、従来に比べて作業工数および作業時間が各々削減され、これに伴ってコストダウンを図ることも可能である。
【0029】
なお前記実施例では、前記シール部材60を、前記発泡体16の発泡成形に先立ち、前記パネル基材12に予め取着する場合を例示したが、図13(a)および図13(b)に例示するように、該シール部材60を、前記発泡体16の発泡成形に先立って前記表皮材14に予め取着するようにしても、前述した2つのシール状態を好適に形成することが可能である。この場合、前記表皮材14に対しては、シール部材60の前記第1シール部62に対応する部位だけを取着する。
【0030】
更には前述したように、前記エアアウトレット40を前記設置部18(表皮凹部20)へセットしたもとで前記発泡体16の発泡成形を行なう場合では、図14(a)および図14(b)に例示するように、前記シール部材60を、該エアアウトレット40の前記後端当接面50に予め取着するようにしても、前述した2つのシール状態を好適に形成することが可能である。この場合、前記エアアウトレット40に対しては、シール部材60の前記第2シール部64に対応する部位だけを取着する。
【0031】
前記実施例では、車両内装部材としてインストルメントパネル10を例示したが、本願が対象とする車両内装部材はこれに限定されるものではなく、発泡体16を有すると共にダクトDが連結されるエアアウトレット40を設置する構造となっていれば、これ以外にフロアコンソール、ドアパネル、ピラーガーニッシュ等も対象とされる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る車両内装部材のシール構造によれば、単一のシール部材により、発泡体の発泡成形時における該発泡体の漏出防止を該シール部材の第1シール部で図ると共に、エアアウトレットとダクトの連結時における空気の漏出防止を当該シール部材の第2シールで図るようになり、単一の該シール部材で2つのシール状態を好適に形成することが可能である。従って、単一のシール部材を準備するだけでよいので、部品点数の削減に伴ってコストダウンを図り得る有益な効果を奏する。また、単一のシール部材のみを所定位置に取着すればよいので、従来に比べて作業工数および作業時間が各々削減され、これに伴ってコストダウンを図ることも可能である。なおシール部材は、基材に予め取着するようにしてもよく、また表皮材に予め取着してもよく、更にはエアアウトレットに予め取着してもよく、何れの取着態様にあっても2つのシール状態を好適に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係るシール構造が実施されたインストルメントパネルの部分斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】(a)は、エアアウトレットを前側から見た概略斜視図であり、(b)は、該エアアウトレットを後側から見た概略斜視図である。
【図5】(a)は、設置部に対応する表皮凹部へエアアウトレットをセットした表皮材を、発泡成形型における第1成形型のセット面に装着する状態を示した説明断面図であり、(b)は、表皮材およびエアアウトレットをセット面にセットした状態を示した説明断面図である。
【図6】パネル基材における挿通口の周縁に沿ってシール部材を取着した後、発泡成形型における第2成形型のセット面に該パネル基材を装着し、その後に発泡成形型を型閉めすることを示した説明断面図である。
【図7】発泡成形型を完全に型閉めした状態を示した説明断面図である。
【図8】(a)は、発泡成形型が完全に型閉めされる直前の状態を示した部分拡大断面図であり、(b)は、発泡成形型が完全に型閉めされることにより、シール部材の第1シール部が、パネル基材と表皮材により挟み込まれた状態を示した部分拡大断面図である。
【図9】パネル基材と表皮材との間に画成された空間内で発泡体を発泡成形した状態を示した説明断面図である。
【図10】図9の部分拡大断面図であって、シール部材の第1シール部により、発泡体が漏出するのを防止した状態を示している。
【図11】設置部に収容保持されたエアアウトレットの後側へダクトを連結する状態を示した説明断面図である。
【図12】(a)は、ダクトが連結される直前の状態を示した部分拡大断面図であり、(b)は、ダクトが完全に連結されたことにより、シール部材の第2シール部が、エアアウトレットと該ダクトにより挟み込まれた状態を示した部分拡大断面図である。
【図13】発泡体の発泡成形に先立ち、シール部材を表皮材に予め取着するようにした別例を例示した説明断面図であって、(a)は、発泡成形型が完全に型閉めされる直前の状態を示し、(b)は、発泡成形型が完全に型閉めされた状態を示している。
【図14】発泡体の発泡成形に先立ち、シール部材をエアアウトレットに予め取着するようにした更に別例を例示した説明断面図であって、(a)は、発泡成形型が完全に型閉めされる直前の状態を示し、(b)は、発泡成形型が完全に型閉めされた状態を示している。
【図15】従来のシール構造を実施したインストルメントパネルの部分断面図であって、発泡体の漏出防止を図るためのシール部材と、エアアウトレットとダクトの連結部分からの空気の漏出防止を図るためのシール部材とが、別々に形成されて実施されていることを示している。
【符号の説明】
12 パネル基材(基材) 14 表皮材
16 発泡体 18 設置部
40 エアアウトレット 60 シール部材
62 第1シール部 64 第2シール部
D ダクト

Claims (4)

  1. 基材(12)および表皮材(14)の間で発泡体(16)を発泡成形するに際し、前記表皮材(14)から基材(12)に亘って開設されるエアアウトレット用の設置部(18)に臨む部位から前記発泡体(16)が漏出するのを防止するため、前記設置部(18)を囲繞し得るシール部材(60)を、前記基材(12)と表皮材(14)との間に介在させるようにした車両内装部材のシール構造において、
    前記シール部材(60)を、前記基材(12)と表皮材(14)との間から前記設置部(18)へ所要量だけはみ出すように配設することで、これら基材(12)および表皮材(14)により挟み込まれる第1シール部(62)と、前記設置部(18)へはみ出した第2シール部(64)とに分かたれるようにし、
    前記第1シール部(62)により前記発泡体(16)の漏出を防止すると共に、前記設置部(18)へ収容したエアアウトレット(40)および該エアアウトレット(40)へ連結するダクト(D)により前記第2シール部(64)を挟み込むことで、これらエアアウトレット(40)およびダクト(D)の連結部分から空気が漏出するのを防止するよう構成した
    ことを特徴とする車両内装部材のシール構造。
  2. 前記シール部材(60)は、前記発泡体(16)の発泡成形に先立ち、前記基材(12)に予め取着されている請求項1記載の車両内装部材のシール構造。
  3. 前記シール部材(60)は、前記発泡体(16)の発泡成形に先立ち、前記表皮材(14)に予め取着されている請求項1記載の車両内装部材のシール構造。
  4. 前記シール部材(60)は、前記エアアウトレット(40)を前記設置部(18)へセットしたもとで前記発泡体(16)の発泡成形を行なう場合、該エアアウトレット(40)に予め取着されている請求項1記載の車両内装部材のシール構造。
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