JP2004351092A - 炊飯器 - Google Patents

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Abstract

【課題】炊飯器本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体の内側に加熱板を有する炊飯器において、加熱板に高い加熱出力を瞬時に入れ、かつ温度を加熱板全体に均一化させて結露を防ぐようにする。
【解決手段】炊飯器本体11内に鍋12を着脱自在に収納し、この鍋12を鍋加熱手段13により加熱し、炊飯器本体11の上面開口部を蓋体14により開閉自在に覆い、蓋体14の内側を構成する加熱板15を蓋加熱コイル16により電磁誘導加熱し、加熱制御手段18により鍋加熱手段13および蓋加熱コイル16への加熱量を加熱制御する。加熱板15は、磁性材料と熱伝導率の高い材料とを合わせたクラッド材により構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炊飯器本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体の内側に加熱板を有する炊飯器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、炊飯器は数多く普及してきている。従来、炊飯器は図4に示すように構成していた。以下、その構成について説明する。
【0003】
図4に示すように、炊飯器本体1は、内部に鍋2を着脱自在に収納し、この鍋2を鍋加熱手段3により加熱するように構成している。鍋2の上部には、炊飯器本体1の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体4を設け、蓋体4の内側の鍋2に対向する面は加熱板5で覆われている。加熱板5の内側に蓋ヒータ6を貼り付けている。加熱制御手段7は、鍋加熱手段3と蓋ヒータ6を通電制御するもので、加熱手段3の外側に配置している。
【0004】
上記構成において、炊飯および保温時に発生した蒸気が加熱板5に付着しても、蓋ヒータ6に通電することで、露を蒸発させて、結露を防いでいる。
【0005】
一般的に、加熱板5は、例えばアルミニウムの板金で構成されているが、蓋ヒータ6付近と離れている場所とで温度差が生じやすい。そこで、代わりにクラッド材を用いるなどすると、熱容量が増えて均一に加熱することができるようになる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−70128号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の炊飯器では、蓋ヒータ6が高熱による断線をしない範囲での出力設定となるために加熱量に制限があり、かつ蓋ヒータ6の発熱を加熱板5の裏側まで伝える構成のため、熱応答性が悪く、意図したタイミングに付着した露が蒸発しない難点があった。
【0008】
また、この問題を解決するために、蓋ヒータ6の代わりに電磁誘導加熱による加熱方式を用いる手段もあるが、磁性体材料は基本的に熱伝導率が悪く、加熱部位とそれ以外の部位との温度差が大きくなり、過加熱によるご飯の乾燥・黄変と、加熱不足による結露が同時に発生してしまうという問題があった。
【0009】
本発明は上記課題を解決するもので、加熱板に高い加熱出力を瞬時に入れ、かつ温度を加熱板全体に均一化させて結露を防ぐようにすることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、炊飯器本体内に鍋を着脱自在に収納し、この鍋を鍋加熱手段により加熱し、炊飯器本体の上面開口部を蓋体により開閉自在に覆い、蓋体の内側を構成する加熱板を蓋加熱コイルにより電磁誘導加熱し、加熱制御手段により鍋加熱手段および蓋加熱コイルへの加熱量を加熱制御するよう構成し、加熱板は、磁性材料と熱伝導率の高い材料とを合わせたクラッド材により構成したものである。
【0011】
これにより、加熱板に高い加熱出力を瞬時に入れ、かつ温度を加熱板全体に均一化させることができ、結露を防ぐことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に着脱自在に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体と、前記蓋体の内側を構成する加熱板と、前記加熱板を電磁誘導加熱する蓋加熱コイルと、前記鍋加熱手段および蓋加熱コイルへの加熱量を加熱制御する加熱制御手段とを備え、前記加熱板は、磁性材料と熱伝導率の高い材料とを合わせたクラッド材により構成したものであり、加熱板に高い加熱出力を瞬時に入れて加熱板に高い加熱出力を与えることができ、その発熱を加熱板全体に均一に広げることができて、温度を加熱板全体に均一化させることができ、結露を防ぐことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、加熱板は、磁性材料の厚みを0.3〜0.5mmの間に設定したクラッド材を用いたものであり、加熱板材料を必要最低限に抑え、加熱板を軽量化しつつ、加熱効率を高めることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2に記載の発明において、加熱板は、3層以上のクラッド材で構成したものであり、加熱板が加熱されて高温になっても、異なる金属材料の熱変形量の差で、加熱板が加熱されても変形しないようにでき、加熱板がひずむのを防ぐことができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、上記請求項3に記載の発明において、加熱板は、クラッド材を構成する材料の内、表面両側を硬度の高い金属材料としたものであり、手入れ時に硬いたわし等で擦っても傷が付きにくく、手入れ性を高めることができ、また、質感を高めることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、上記請求項1〜4に記載の発明において、加熱板は、鍋側表面を黒色に着色したものであり、炊飯中に加熱板から遠赤外線を放出してご飯に熱を与えることができ、ご飯の火通りを改善しておいしいご飯を炊くことができる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
(実施例1)
図1に示すように、炊飯器本体11は、内部に鍋12を着脱自在に収納し、この鍋12を鍋加熱手段13により加熱するように構成している。鍋12の上部には、炊飯器本体11の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体14を設け、蓋体14の内側の鍋12に対向する面は加熱板15で覆われている。
【0019】
この加熱板15は、上側をフェライト系のステンレス材(磁性材料)、下方の鍋12に対向する側をアルミニウム材(熱伝導率の高い材料)の2層で構成したクラッド材としている。加熱板15の上方には、蓋加熱コイル16を配置している。蓋体14の中央付近には、炊飯中の蒸気を排出する蒸気口17を貫通している。加熱制御手段17は、鍋加熱手段13と蓋加熱コイル16を通電制御するもので、炊飯器本体11の内部に配置している。
【0020】
上記構成において炊飯および保温中の動作について説明する。炊飯が開始されると、鍋加熱手段13に通電され、鍋12内が加熱されて沸騰を開始する。沸騰すると、蒸気が発生して加熱板15に結露するが、炊飯が終了した時点で蓋体14を開けても水滴が加熱板15表面を流れないように沸騰開始後、蓋加熱コイル16を通電させる。
【0021】
この通電によって、蓋加熱コイル16からは、例えば200Wの電力で加熱板15を構成するステンレス材を電磁誘導加熱する。加熱板15の熱容量に対し、発熱レベルが高いため、加熱板15温度は瞬時に100℃を超える温度まで加熱されるため、表面に付着した露は即座に飛ばされる。
【0022】
この炊飯終了時の加熱板15の温度分布を図2に示す。図2は、縦軸に加熱板15の表面温度、横軸に加熱板15の加熱部中心から外周部にかけての位置を示す。ここで、曲線19は、本実施例における温度曲線、曲線20は加熱板15が従来の磁性材料のみのステンレス板で構成している場合を示す。なお、a点は蓋加熱コイル16の中心を示し、幅bは蓋加熱コイル16を配置している範囲を示している。
【0023】
例えば、一般家庭で広く使用されている1升炊きの炊飯器において、ステンレス材だけで構成した加熱板15を200Wで電磁誘導加熱すると、曲線20に示すように、蓋加熱コイル16に対向した部分は一気に加熱され、150℃を超えるまでになる。ところが、その周囲である加熱板15の端部や、さらには中央付近、蒸気口17付近までは電磁誘導加熱されないため、100℃程度までの温度上昇にとどまる。
【0024】
このため、結露を確実に飛ばすことができず、炊飯終了時点で蓋を開けると、結露水がご飯上や炊飯器本体上に滴下し、ご飯の食味の低下や汚れ、腐敗の原因となる。さらに、露が飛ぶまで十分に加熱しようとすれば、加熱板15表面の一部が150℃程度で10分以上は持続させないと露が飛ばないことがわかっており、加熱板15からの放射熱が過剰となり、さらにご飯の乾燥や変色の原因となる。
【0025】
一方、加熱板15をクラッド材で構成していると、加熱されるのは同じく蓋加熱コイル16に対向した部分だけであるが、加熱板15を構成するアルミニウム材によって熱が加熱板15全体に拡散されるため、曲線19で示すように、加熱板15の温度が120℃前後で均等となり、加熱板15全体の露を即座に蒸発することができる。
【0026】
炊飯が終了し、保温を開始すると、鍋加熱手段13はご飯の温度を70℃程度に保つための加熱を継続して行う。これに合わせて、蓋加熱コイル16も、加熱板15を70℃程度に保つよう加熱を行う。このとき、加熱板15の端部や、蒸気孔17の周囲が外気に冷やされやすくなるため、加熱板15がステンレス材だけで構成していると蓋加熱コイル15の対向部との温度差が20K程度生ずるが、加熱板15がアルミニウム材を合わせたクラッド材で構成すると、熱が加熱板15全体に拡散され、炊飯時と同様温度が均等に保つことができ、温度差は5K程度まで縮まる。保温中は、温度差で生じた低温部に露が集中する特性を持っているため、加熱板15の温度が均等になれば、部分的な結露は発生しない。
【0027】
なお、本実施例では、加熱板15をフェライト系のステンレス材とアルミニウム材の2層で構成したクラッド材としているが、他にも銅等、適した材料が存在することはいうまでもない。
【0028】
(実施例2)
図1に示す加熱板15は、フェライト系のステンレス材(磁性材料)の厚みを0.3〜0.5mmの間に設定したクラッド材としている。他の構成は上記実施例1と同じである。
【0029】
上記構成において図3を参照しながら動作を説明する。なお、炊飯および保温中の基本的な動作は上は実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0030】
図3は、例えば、フェライト系ステンレス材のような磁性材料を電磁誘導加熱したときの表面からの深さと発熱量との関係を示す図であり、縦軸に単位体積当たりの発熱量、横軸に蓋加熱コイル16側の加熱板15表面からの深さを示している。
【0031】
この結果から、深さが0.3mmを超えるあたりから発熱量は微少となり、それ以上に厚みを増やしても製品重量が重くなるだけで、発熱に対する効果は少ない。その分、クラッド材の相手であるアルミニウム材等の熱伝導率の高い材料の厚みを増やした方が温度が均一化され、性能に有利である。
【0032】
(実施例3)
図1に示す加熱板15は、蓋加熱コイル16側から順にフェライト系ステンレス材、アルミニウム材、フェライト系ステンレス材の3層で構成し、表面両側を硬度の高い金属材料としている。他の構成は上記実施例1または2と同じである。
【0033】
上記構成において図3を参照しながら動作を説明する。なお、炊飯および保温中の基本的な動作は上は実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0034】
蓋加熱コイル16に通電し、加熱板15を加熱すると、ステンレス材の温度が瞬間的に蓋加熱コイル16の対向部において200℃を超える高温に達する。このとき、ステンレス材とアルミニウム材とでは熱膨張レベルが異なるため、加熱板15は変形しようとする力が加わる。ところが、アルミニウム材を挟んで両側をステンレス材で構成すれば、互いに変形を抑える方向に力が加わるため、加熱されても形状が安定する。
【0035】
また、加熱板15の表面両側は、ステンレス材で構成しており、表面の硬度が高くなっている。したがって、手入れ時にたわし等で擦っても傷が付きにくく、長期間表面をきれいな状態に保つことができる。
【0036】
なお、本実施例では、加熱板15をフェライト系ステンレス材とアルミニウム材との組み合わせで説明したが、電磁誘導加熱できる材料なら同様の効果が得られ、また、表裏の材料を同一にする必要はない。また、3層に限らず、4層以上でも同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0037】
また、本実施例では、表面両側をフェライト系ステンレス材としているが、銅合金等硬度の高い材料であれば同様の効果が得られるのはいうまでもない。
【0038】
(実施例4)
図1に示す加熱板15は、鍋12側の表面にフッ素樹脂加工を施し、黒色に着色している。フッ素加工にするのは、加熱板15に汚れが付着しにくくするためである。他の構成は上記実施例1〜3と同じである。
【0039】
上記構成において動作を説明する。なお、炊飯および保温中の基本的な動作は上は実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0040】
炊飯を開始し、沸騰した頃から蓋加熱コイル16を通電し、加熱板15を加熱すると、黒色の表面からは遠赤外線が照射される。遠赤外線は米粒の芯まで熱を与える特性があるため、炊き上がりのご飯は火通りがよく、ふっくらとおいしく炊き上がる。
【0041】
なお、本実施例では、表面処理の手段として、フッ素加工を用いたが、酸化皮膜処理を施す手段、塗料を用いる等でもよく、同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、蓋体の内側を構成する加熱板を蓋加熱コイルにより電磁誘導加熱し、加熱板は、磁性材料と熱伝導率の高い材料とを合わせたクラッド材により構成したから、加熱板に高い加熱出力を瞬時に入れて加熱板に高い加熱出力を与えることができ、その発熱を加熱板全体に均一に広げることができて、温度を加熱板全体に均一化させることができ、結露を防ぐことができる。
【0043】
また、請求項2に記載の発明によれば、加熱板は、磁性材料の厚みを0.3〜0.5mmの間に設定したクラッド材を用いたから、高い加熱効率を得ながら、加熱板材料を必要最低限に抑えて軽量化とコストダウンを達成することができる。
【0044】
また、請求項3に記載の発明によれば、加熱板は、3層以上のクラッド材で構成したから、加熱板が加熱されても変形しないようにできて、加熱板がひずむのを防ぐことができ、炊飯時の加熱板の形状を安定させることができる。
【0045】
また、請求項4に記載の発明によれば、加熱板は、クラッド材を構成する材料の内、表面両側を硬度の高い金属材料としたから、手入れ時に硬いたわし等で擦っても傷が付きにくく、手入れ性を高めることができ、また、質感を高めることができる。
【0046】
また、請求項5に記載の発明によれば、加熱板は、鍋側表面を黒色に着色したから、加熱板から遠赤外線を放出してご飯に熱を与えることができ、ご飯の火通りを改善しておいしいご飯を炊くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の炊飯器の一部切欠した側面図
【図2】同炊飯器の加熱板の温度分布を示す図
【図3】本発明の第2の実施例の炊飯器の加熱板の発熱レベル分布を示す図
【図4】従来の炊飯器の一部切欠した側面図
【符号の説明】
11 炊飯器本体
12 鍋
13 鍋加熱手段
14 蓋体
15 加熱板
16 蓋加熱コイル
18 加熱制御手段

Claims (5)

  1. 炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に着脱自在に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体と、前記蓋体の内側を構成する加熱板と、前記加熱板を電磁誘導加熱する蓋加熱コイルと、前記鍋加熱手段および蓋加熱コイルへの加熱量を加熱制御する加熱制御手段とを備え、前記加熱板は、磁性材料と熱伝導率の高い材料とを合わせたクラッド材により構成した炊飯器。
  2. 加熱板は、磁性材料の厚みを0.3〜0.5mmの間に設定したクラッド材を用いた請求項1記載の炊飯器。
  3. 加熱板は、3層以上のクラッド材で構成した請求項1または2記載の炊飯器。
  4. 加熱板は、クラッド材を構成する材料の内、表面両側を硬度の高い金属材料とした請求項3記載の炊飯器。
  5. 加熱板は、鍋側表面を黒色に着色した請求項1〜4のいずれか1項に記載の炊飯器。
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