JP2012228445A - 炊飯器 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸水工程における内鍋の温度をなるべく均一な状態で上昇させることで、炊きムラを抑えた炊飯工程を実現しうる炊飯器を得ること。
【解決手段】被炊飯物を入れる内鍋30と、前記内鍋30を取り出し可能に収容する内鍋収容部20aを有する炊飯器本体20と、前記内鍋30を加熱する加熱手段25と、前記内鍋30の温度を検出する温度センサ26と、前記温度センサ26で検出された前記内鍋30の温度が所定の温度になるように前記加熱手段25を制御する加熱制御手段とを備え、前記内鍋30の温度が50℃以下の吸水工程において、前記加熱制御手段が、前記内鍋30の温度が漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇するように前記加熱手段25を制御する。
【選択図】図4

Description

本発明は炊飯器に関し、特に、セラミックスなどの非金属製の内鍋を用いた場合にも適用することができる炊飯器に関するものである。
近年、炊飯器は、内鍋の周囲に配置された温度センサにより検出された内鍋温度に基づいて、加熱手段であるIHコイルやヒータへの通電電流をマイクロコンピュータによって制御し、吸水工程、昇温工程、沸騰工程、蒸らし工程という炊飯工程それぞれにおいて内鍋の温度を細かく調整することで、炊飯量や環境温度の変化に左右されずにおいしいご飯を炊くことができるようになっている。
炊飯工程における内鍋の設定温度の一例を図9に示す。
図9に示すように、炊飯工程の最初の吸水工程では、図9の例で20℃として示される室温から、加熱手段に電流が流されることで内鍋の温度が上昇し、50℃として例示される吸水工程での設定温度に到達した後、一定の時間(一例として10〜15分)この吸水工程での設定温度を維持して米に水分を吸水させる。
所定時間の吸水工程の後には、内鍋の温度を一気に水が沸騰する100℃近傍まで引き上げる昇温工程を経て、内鍋温度を水が沸騰する温度に保つ沸騰工程が設けられる。この沸騰工程によって、米のαデンプン化がすすみ、米に粘りと旨みが生じる。
沸騰工程の最後には、内鍋内の水がなくなって内鍋温度が水の沸騰温度以上となる炊き上げを経て、米の表面に付着している余分な水分を抜く、蒸らし工程によって炊飯工程が完了する。なお、通常は、炊飯器が兼ね備えているジャー機能により、炊きあがった米が保温される。
炊飯工程における吸水工程は、比較的低温で米に水分を吸収させる工程であり、吸水工程での吸水率が炊きあがった米の硬さに大きな影響を与えるため、吸水率を制御することが重要となる。また、吸水工程で多くの水を吸収しすぎてしまうと、後の昇温工程、沸騰工程で必要となる内鍋内の水分量が少なくなりすぎてしまって、均一に炊き上げることが困難となるという問題が生じる。
このような吸水工程において、内鍋の温度を制御して好ましい吸水条件を実現するために、吸水工程の温度を60℃以上で1分以上30分以下とすること、もしくは、吸水工程の温度を、40℃と60℃以上70℃未満との2段階に設定することが提案されている(特許文献1参照)。
また、米の吸水率を制御して、炊きあがりの米の硬さを「柔らかめ」「普通」「硬め」などのようにユーザの好みに合わせるために、昇温工程に移行して例えば内鍋の温度が70℃以上となったときに、ヒータによる加熱を一旦停止させて吸水のための時間を確保した後、再度ヒータに通電して水の沸騰温度まで引き上げる技術が提案されている(特許文献2参照)。
特開2001−046224号公報 特開平08−033567号公報
米の炊飯工程において、沸騰工程での噴きこぼれを防止するためにヒータをオフとする温度制御を行うと、内鍋の温度が低下してしまってお米のうまみ成分であるαデンプン化の進行が低下してしまうという問題がある。このため、沸騰工程において噴きこぼれを防止しつつ米のうまみを引き出すことができるように、従来からの金属製ではなく、蓄熱性の高いセラミックスなどの非金属製の材料を用いた内鍋(いわゆる土鍋釜など)が用いられている。
しかし、蓄熱性が高いことの裏返しとして、非金属材料製の内鍋は熱伝導性が低いために、炊飯工程の開始部分である吸水工程において、ヒータからの熱によってすぐには内鍋全体の温度が上昇しない。また、非金属部材を用いた内鍋では、IHコイルにより渦電流を発生させて直接温度を上昇させることができないため、金属膜のコーティングや金属箔を転写するなどしているが、熱伝導性の低い内鍋全体の温度を均一に上昇させることは困難である。このため、上記従来の金属製の内鍋を用いた炊飯器での吸水工程として例えば図9に示された設定温度(50℃)となるように、加熱手段への投入電流の制御を行うと、内鍋全体に熱が行き渡らずに炊きムラが生じてしまうという課題があった。
また、内鍋の熱伝導性が低いために、温度センサによって内鍋温度が所定の設定温度に到達したことを検出した後に直ちに加熱手段の電流をオフにしても、しばらくの間内鍋の温度が上昇を続けて所望外の高温に達してしまうという、大きなオーバーシュートが発生することを回避することができなかった。吸水工程で内鍋の温度が高くなりすぎると、その部分の米の吸水率が突出して高くなりすぎて、一部分の米の表面の糊化が進みすぎるという課題があった。
一方、金属製の内鍋の場合であっても、内鍋に熱を供給する加熱手段であるIHコイルやヒータを内鍋の全周を取り囲むように均一に配置することは不可能であるため、加熱手段に面している部分と加熱手段が近接して配置されていない部分とでは少なからず内鍋温度の高低差が生じ、特に少量炊飯の場合などには、この内鍋の不均一な温度分布が原因で炊きあがりの米の均一性が十分に得られないという課題が生じていた。また、非金属製の内鍋と同様に、吸水工程において内鍋の温度が設定温度に対して上昇しすぎる大きなオーバーシュートが生じると、部分的な米の糊化が進んで炊きムラの原因となるという課題も存在した。
本発明はこのような従来技術の課題を解決するものであり、吸水工程における内鍋の温度をなるべく均一な状態で上昇させることで、炊きムラを抑えた炊飯工程を実現しうる炊飯器を得ることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の炊飯器は、被炊飯物を入れる内鍋と、前記内鍋を取り出し可能に収容する内鍋収容部を有する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサと、前記温度センサで検出された前記内鍋の温度が所定の温度になるように前記加熱手段を制御する加熱制御手段とを備え、前記内鍋の温度が50℃以下の吸水工程において、前記加熱制御手段が、前記内鍋の温度が漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇するように前記加熱手段を制御することを特徴とする。
また、上記課題を解決するため、本発明の第2の炊飯器は、被炊飯物を入れる内鍋と、前記内鍋を取り出し可能に収容する内鍋収容部を有する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサと、前記温度センサで設定された前記内鍋の温度が所定の温度になるように前記加熱手段を制御する加熱制御手段と、送風ファンと、前記内鍋収容部の底面もしくは側壁部下部に設けられた送風口と、前記送風ファンの動作を制御する送風ファン制御部とを備え、前記送風ファン制御部が、吸水工程において前記送風ファンを動作させて、前記送風口から前記内鍋収容部と前記内鍋との間に空気を送り込むことを特徴とする。
本発明の第1の炊飯器は、加熱制御手段が、内鍋の温度が50℃以下の吸水工程において、内鍋の温度が漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇するように加熱手段を制御する。このため、内鍋全体の温度を緩やかに上昇させることができ、炊きムラを抑えた炊飯工程を実現しうる炊飯器を得ることができる。
また、本発明の第2の炊飯器は、吸水工程において送風ファン制御部が送風ファンを動作させて、内鍋収容部の底面もしくは側壁部下部に設けられた送風口から内鍋収容部と内鍋との間に空気を送り込む。このため、内鍋の温度を均一化しながら内鍋全体の温度を上昇させることができ、炊きムラを抑えた炊飯工程を実現しうる炊飯器を得ることができる。
本発明の実施形態にかかる炊飯器の外観を示す斜視図である。 本発明の実施形態にかかる炊飯器の構成を示す断面図である。 本発明の実施形態にかかる炊飯器の送風ファンによる気流の流れを説明するイメージ図である。 本発明の実施形態にかかる炊飯器における、吸水工程での内鍋の温度制御を説明する図である。 本発明の実施形態にかかる炊飯器における、吸水工程での内鍋と内鍋内の米の温度変化を示す図である。 比較例の炊飯器における、吸水工程での内鍋と内鍋内の米の温度変化を示す図である。 本発明の実施形態にかかる炊飯器の送風ファンによる効果を示すための、別の実施例における吸水工程での内鍋と内鍋内の米の温度変化を示す図である。 本発明の実施形態にかかる炊飯器の、変形例における内鍋の構造を示す側面図である。 従来の炊飯器における、炊飯工程全体の温度制御を示す図である。
本発明の第1の炊飯器は、被炊飯物を入れる内鍋と、前記内鍋を取り出し可能に収容する内鍋収容部を有する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサと、前記温度センサで検出された前記内鍋の温度が所定の温度になるように前記加熱手段を制御する加熱制御手段とを備え、前記内鍋の温度が50℃以下の吸水工程において、前記加熱制御手段が、前記内鍋の温度が漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇するように前記加熱手段を制御する。
本発明の第1の炊飯器は、上記構成を備えることで、炊飯開始時の内鍋の温度が50℃以下での吸水工程において、なだらかなステップで内鍋の温度を上昇させることができる。このため、熱伝導性の低い非金属材料製の内鍋を用いた場合でも、加熱手段による熱を内鍋全体に十分に行き渡らせることができて内鍋の温度分布の均一化が図れ、炊きムラを抑えることができる。同時に、内鍋の温度が設定温度からかけ離れた高い温度となる大きなオーバーシュートの発生を抑えることができるため、内鍋内の一部のみの米の糊化が進行してしまうことを効果的に防止することができる。また、金属製の内鍋においても、加熱手段に面している部分と、加熱手段から遠い部分との間での内鍋温度の不均一さを解消し、炊きムラの発生を抑えることができる。
上記本発明にかかる第1の炊飯器において、前記内鍋の温度が50℃以下の吸水工程における前記内鍋の温度の昇温段階の段階数が5以上であることが好ましい。このようにすることで、吸水工程における内鍋の温度上昇をより的確に制御することができる。
また、前記内鍋の温度が50℃以下の吸水工程において、前記加熱制御手段が、前記内鍋の温度の昇温段階の段階数に応じた回数、前記加熱手段のオン/オフを繰り返すことが好ましい。このようにすることで、大きなオーバーシュートの発生を抑え、内鍋の温度をなだらかに上昇させることができる。
また、本発明の第2の炊飯器は、被炊飯物を入れる内鍋と、前記内鍋を取り出し可能に収容する内鍋収容部を有する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサと、前記温度センサで設定された前記内鍋の温度が所定の温度になるように前記加熱手段を制御する加熱制御手段と、送風ファンと、前記内鍋収容部の底面もしくは側壁部下部に設けられた送風口と、前記送風ファンの動作を制御する送風ファン制御部とを備え、前記送風ファン制御部が、吸水工程において前記送風ファンを動作させて、前記送風口から前記内鍋収容部と前記内鍋との間に空気を送り込む。
このような構成とすることで、本発明の第2の炊飯器は、吸水工程において内鍋の周りに内鍋の下部から上部へと向かう気流が生じることになり、加熱手段からの熱を、内鍋自体による熱伝導に加えて、内鍋周囲に生じる気流によっても全体に行き渡らせることができる。このため、熱伝導性の低い非金属材料製の内鍋を用いた場合でも、内鍋の温度分布の均一化を図ることができて炊きムラを抑えることができる。同時に、大きなオーバーシュートの発生を抑えることができるため、内鍋内の一部のみの米の糊化が進行してしまうことを効果的に防止することができる。また、金属製の内鍋においても、加熱手段に面している部分と、加熱手段から遠い部分との間での内鍋温度の不均一さを解消し、炊きムラの発生を抑えることができる。
上記第2の炊飯器において、前記内鍋の温度が50℃以下の吸水工程において、前記加熱制御手段が、前記内鍋の温度が漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇するように前記加熱手段を制御することが好ましい。このようにすることで、内鍋全体の温度を、均一化を図りながら緩やかに上昇させることができ、炊きムラの発生をさらに効果的に抑えることができる。
また、前記内鍋の温度が50℃以下の吸水工程における前記内鍋の温度の昇温段階の段階数が5以上であることが望ましく、前記内鍋の温度が50℃以下の吸水工程において、前記加熱制御手段が、前記内鍋の温度の昇温段階の段階数に応じた回数、前記加熱手段のオン/オフを繰り返すことが好ましい。このようにすることで、内鍋の温度をより確実に制御しながらなだらかに上昇させることができる。
さらに、前記内鍋が非金属材料製であることが好ましい。このようにすることで、非金属製の内鍋の沸騰工程での蓄熱性を利用しつつ、内部の被炊飯物全体に吸水させることができ、よりおいしくご飯を炊くことができる炊飯器を得ることができる。
なお、本発明の炊飯器は、被炊飯物を入れる内鍋と、前記内鍋を取り出し可能に収容する内鍋収容部を有する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサと、前記温度センサで検出された前記内鍋の温度が所定の設定温度となるよう前記加熱手段を制御する加熱制御手段とを備え、前記内鍋の温度が50℃以下の吸水工程において、前記設定温度が、漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇するように設定されていることが好ましい。
このようにすることで、内鍋全体の温度を、均一化を図りながらなだらかに上昇させる温度制御を行うことができる。
以下、本発明にかかる炊飯器の実施形態として、内鍋が非金属製の土鍋釜であり、内鍋と内鍋収容部との間隙に空気を送り込むことができる送風ファンを備えた炊飯器を例示して説明する。
図1は、本実施形態の炊飯器の外観を示す斜視図である。また、図2は、本実施形態の炊飯器の断面構成を示す図である。
本実施形態の炊飯器100は、図1および図2に示すように、米と水、さらに、炊き込みご飯モードなどでは野菜や豆類などの各種の具である被炊飯物を入れる内鍋30と、この内鍋30を内鍋収容部20aに収容することができる炊飯器本体20とを有している。
図1は、炊飯器本体20に開閉可能に取り付けられた蓋体10が閉じた状態を示している。
蓋体10には、ユーザが炊飯器100に各種設定を与えるためのスイッチ11と、スイッチ11による操作状況や炊飯器100の動作状態等を表示するための液晶表示部12が配置されている。スイッチ11は、炊飯スイッチ、保温スイッチ、各種メニューを設定するメニュースイッチ、時間を設定するタイマースイッチ等を含む。
また、蓋体10には調圧キャップ13が設けられ、調圧キャップ13内部のボール状の逆止弁14(図2参照)が、蓋体10が閉じた状態で逆止弁14の弁圧を超えたときだけ蒸気を蓋体10外に放出しながら、気液分離した「おねば」を一旦ため込んだ後に内鍋30内に戻すようになっている。
炊飯器本体20の手前側の側面には、ロックボタン21が設けられ、蓋体10が閉じている状態でロックボタン21を押し込むと、蓋体10のロックが外れ、図示しないバネ機構により蓋体10全体が図1における後方(奥)側に開くようになっている。
また、炊飯器本体20の後方には、炊飯器100全体を持ち運び可能とするハンドル22が設けられている。
図2に示すように、蓋体10内部の液晶表示部12の下部に位置する部分に、図2では図示を省略した各種スイッチ11の動作回路と、液晶表示部12での表示画像を出力する液晶部駆動回路などが含まれた回路部15が設けられている。また、本実施形態の炊飯器100において、炊飯プログラムの制御を行う制御回路が搭載された図示しないマイコンも、回路部15を構成する回路基板上に搭載されている。本実施形態の炊飯器100では、回路部15に配置されたマイコンに含まれた制御回路に、加熱手段25(25a、25b、25c)への通電を制御する加熱制御手段、後述する送風ファン23の動作を制御する送風ファン制御部も含まれている。
なお、本実施形態の炊飯器100において、加熱制御手段と送風ファン制御部とを含んだ制御回路が搭載されたマイコンが、液晶表示部12の下部に配置されていることは一例に過ぎない。加熱制御手段と送風ファン制御部とが、それぞれ別々の回路基板上に搭載されている場合もあり、また、加熱制御手段と送風ファン制御部とが、蓋体10内の液晶表示部12から離れた、例えば炊飯器本体20内に配置される場合もある。
本実施形態の炊飯器100では、内鍋30の温度を検出する温度センサの一つである蓋体センサ16が、内鍋30が内鍋収容部20a内に収納されたときにその上方に位置するように蓋体10の裏面に配置されていて、炊飯時の内鍋30上方の蒸気の温度を測定することができる。この蓋体センサ16や後述するセンターセンサ26など、本実施形態の炊飯器100に用いられる各温度センサは、例えばサーミスタに代表される熱的電気素子を用いて構成される従来周知の温度センサを、そのまま用いることができる。
蓋体10は、炊飯器本体20のヒンジ機構27により開閉可能となっている。そして、蓋体10が閉じられたとき、ロックボタン21に連動する図2では明示しないロック機構により、蓋体10が炊飯器本体20の上面にしっかりと押しつけられた状態で固定される。蓋体10と炊飯器本体20とがしっかりと押さえつけられて固定されることで、蓋体10の図示しないシールパッキンが炊飯器本体20の内鍋収容部20aの口縁部に上方から圧接されて内鍋30を収めた内鍋収容部20aの空間を密閉し、炊飯や保温を行う状態となる。
本実施形態の炊飯器100の炊飯器本体20の内部には、一対の送風ファン23が配置されている。送風ファン23は、蓋体10の回路基板15に搭載されたマイコン内部の送風ファン制御部からの信号に応じて、回転(オン)停止(オフ)、および必要に応じて、正転と反転の動作が制御される。
本実施形態の炊飯器100において、送風ファン23は、炊飯器100を正面側であるロックボタン21側から見た場合の後方側の左右に2つ配置されている。図2では、2つの送風ファン23の内の、図2における手前側の一方のみが表されている。送風ファン23は、図示しない吸入口から吸入された空気を、内鍋収容部20aの側壁部下側に設けられた送風口24から内鍋収容部20a内の内鍋30との間隙部分に吹き出す。本実施形態の炊飯器100では、送風口24は、内鍋収容部20aの中心に対してそれぞれ60度の間隔を隔てて合計6つの送風口24が設けられている。
炊飯器本体20の内鍋収容部20aの周囲には、加熱手段25としての第1のワークコイル25a、第2のワークコイル25b、加熱ヒータ25cが設けられている。
第1のワークコイル25aは、内鍋30の底面に面して内鍋収容部20aの底面に配置されている。内鍋収容部20aの底面中央には、内鍋30の底面の温度を検出する温度センサであるセンターセンサ26が配置されているため、第1のワークコイル25aは、平面視すると中央に穴の開いた円環(ドーナツ)状になっている。
第2のワークコイル25bは、内鍋30の底面と側面との境界に位置する傾斜部分に対向するように配置されている。第2のワークコイル25bも第1のワークコイル25aと同様に円環状となっている。
これら第1のワークコイル25a、第2のワークコイル25bに流れる電流により渦電流が生じるように、本実施形態の炊飯器100の内鍋30では、非金属製の内鍋本体の内面側にステンレスもしくは銀などの金属薄膜が、コーティングもしくは金属箔を転写するなどして形成されている。そして、第1のワークコイル25a、第2のワークコイル25bに電流が流れることで金属薄膜が発熱し、この発熱が土鍋釜全体の温度を上昇させる。
内鍋30の側面に対向する内鍋収容部20aの側壁には、側面ヒータ25cが配置されている。この側面ヒータ25cに電流が流れることにより発熱して、炊飯後のジャー機能時に内鍋30を保温するともに、炊飯時にも第1のワークコイル25a、第2のワークコイル25bとともに、内鍋30を加熱することができる。
本実施形態の炊飯器100では、これら第1のワークコイル25a、第2のワークコイル25b、側面ヒータ25cが加熱手段25を構成しており、蓋体10の回路部15のマイコンに搭載された加熱制御手段により、それぞれに流れる電流量が制御されることで、加熱手段のオンとオフ、また、オンの場合の発熱量の制御が行われる。なお、加熱手段25として、上記の第1のワークコイル25a、第2のワークコイル25b、側面ヒータ25cの他にも、内鍋収容部20aの周囲の他の部分や蓋体10の内部にコイルやヒータなどを配置することが可能である。
炊飯器本体20の背面における上部には、ヒンジ機構27が設けられていて、蓋体10が内鍋収容部20aを覆った状態から開閉することができる。
ヒンジ機構27の下部には、炊飯器100に電力を供給するために、商用電源に接続される電源プラグ28に接続された電源コードを収納するコードリールが配置されている。
なお、本実施形態の炊飯器100の全体の形状や、各部の具体的な構成や配置としては、上記、図1および図2に例示した構成と異なるさまざまな構成を採用することができる。
ここで、図3を用いて、送風ファン23を動作させたときの内鍋収容部20aと内鍋30との間隙部分の空気の流れについて説明する。
図3に示すように、図3では図示しない送風ファン23が動作することで、炊飯器本体20の内鍋収容部20aの側壁部下側に設けられた送風口24から送り込まれた空気が、気流29を形成する。例えば、図3に示すように、気流29の吹き出し方向を真上ではなく斜め左上の方向に向けることで、内鍋収容部20aの側壁と内鍋30との間の間隙部分に時計回りに循環する空気の流れを作ることができる。
本実施形態の炊飯器100では、加熱手段25である、第1のワークコイル25aが内鍋30の底面に対向して内鍋収容部20aの底面に配置されており、また、第2のワークコイル25bも、内鍋30の底面と側面との境界部分に対向して設けられているため、第1のワークコイル25aと第2のワークコイル25bとによって、内鍋30の下部の温度が上昇しやすい。また、側面ヒータ25cも、内鍋30側面の上下方向における中央部分に対向して配置されているため、内鍋30自体の温度、および内鍋30の周囲の空気の温度は、内鍋30の下側部分が上側の部分と比較してより高くなりやすい。一方で、内鍋30の上端に形成されたつば部は、炊飯時に加熱される被炊飯物の噴きこぼれが生じないように、蓋体10と炊飯器本体20とで覆われていて、このつば部を加熱手段で直接暖めることは困難であり、内鍋30の上部側の温度は他の部分に比べて高くなりにくい。
このため、本実施形態の炊飯器100では、送風口24を内鍋収容部20aの側壁部下側に設けることにより、送風口24から吹き出された気流29を、全体として内鍋30の外表面を下から上方向に向かわせることで、内鍋30の下部の周囲に位置する高い温度の空気を、内鍋30上方のつば部及びその近傍部分に向かわせて内鍋30の全体の温度を上昇させることができるようになっている。
なお、本実施形態の炊飯器100では、炊飯器100を正面から見た場合の左右後方に備えた2つの送風ファン23を、30秒ごとに交互に動作させることで交互に逆向きの気流を内鍋収容部20aと内鍋30との間の間隙に生じさせている。しかし、本発明にかかる炊飯器において、送風ファンの数やその動作の制御方法、送風口の数およびその配置位置は例示したものに限られない。送風ファンは、1つまたは3つ以上設けることができ、複数の送風ファンを交互に動作させるのではなく、複数の送風ファンを同時に動作させて、より強い気流を起こすこともできる。また、送風口24は、内鍋収容部20aの側壁部下側に限らず、内鍋収容部20aの底面に設けることもできる。ただし、前述したように、加熱手段25の配置位置の関係から内鍋30の下部側の温度がより高くなるため、送風ファン23により生じる気流が下から上に向かうことがより好ましく、内鍋30の周囲を環状に取り囲む気流を生じさせることが、内鍋30全体の温度を均一に上昇させる上でさらに好ましい。
図4は、本実施形態にかかる炊飯器100の、吸水工程における内鍋30の温度制御について説明するための図である。
本実施形態にかかる炊飯器100の吸水工程における内鍋30の温度は、吸水工程開始時の最初の設定温度から吸水工程に引き続いて行われる昇温工程開始時の内鍋の設定温度に至るまで、漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇するように設定されている。
具体的には、図4に示すように、吸水工程が開始される、すなわち炊飯プログラムの開始時である時間t=0での設定温度41が例えば室温より高い30℃と設定され、吸水工程に続く昇温工程開始時である時間t=12での設定温度が40℃である場合に、吸水工程を12の段階に区切って、この間の設定温度41を所定の時間(一例として1分間)は一定の温度を保ちながら、階段状に漸次上昇するように設定している。なお、図4に示す例では、階段の1段の段差に相当する設定温度上昇度合いは一例として0.8℃であり、結局吸水工程での設定温度は、12分間の吸水工程において、30℃の吸水工程開示時の温度から40℃の吸水工程終了時の温度まで、12段の昇温段階を経て上昇するように設定されている。
加熱制御手段は、図4に示す設定温度41に、内鍋30の底部外側中央の温度を検出するセンターセンサ26をはじめとする各種センサの検出温度が追従して上昇するように、加熱手段25を制御する。具体的には、加熱手段25全体のオンとオフ、さらに、オンの場合の電流量の調整や、第1のワークコイル25a、第2のワークコイル25b、側面ヒータ25cの3つの加熱手段25のうちのどの加熱手段25をどの電流量でオンさせるかという制御を行う。図4に、加熱手段25がオンにされる時間を網掛44として表す。加熱手段25がオンされることにより、内鍋30の温度として図4に図示するセンターセンサ26の温度42が上昇をはじめ、センターセンサ26の温度42が設定温度41に到達すると加熱制御手段が加熱手段25をオフにする。
加熱制御手段は、設定温度41が次の段階である少し高い温度に変化すると再び加熱手段をオンにする。すると再び内鍋30の温度を示すセンターセンサ26の温度42が上昇して、設定温度41よりも高くなったときに、加熱制御手段が加熱手段を再びオフにする。このような制御を加熱制御手段が繰り返すことで、図4に示すように、設定温度41に対して上下することを繰り返しながら、センターセンサ26の温度42として現れる内鍋30の温度が上昇する。
本実施形態の炊飯器100では、吸水工程での設定温度41を、吸水工程開始時の最初の設定温度から吸水工程に引き続き行われる昇温工程開始時の内鍋の設定温度に至る漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇するように設定することで、図4に示すように内鍋30の温度であるセンターセンサ26の温度42を徐々に上昇させることができる。このため、内鍋30として熱伝導性の低い非金属材料による土鍋釜を用いているにもかかわらず、内鍋30全体の温度を確実に上昇させることができ、図4に点線43として示す、内鍋30に収容された被炊飯物の温度をなだらかに上昇させることができる。
なお、図4に示すように、本実施形態の炊飯器100の吸水工程での内鍋30の温度を示すセンターセンサ26の温度42には、微視的に見ると設定温度41を上回るオーバーシュートが生じている。しかし、設定温度41が漸次上昇する複数の昇温段階を経るように設定されているため、加熱制御手段により加熱手段25に電流が流される、各昇温段階の開始時点における設定温度41と実際の内鍋30の温度であるセンターセンサ26の温度42との温度差が小さいために、加熱制御手段により加熱手段25に流される電流量が比較的小さくなって、不可避のオーバーシュートの大きさを小さくすることができる。このため、吸水工程全体を通して、内鍋30の温度であるセンターセンサ26の温度42、および、内鍋30内の被炊飯物の温度43を、昇温工程開始時の設定温度である40℃と同等な温度、または、同等以下の温度に制御することができる。したがって、従来の炊飯器における吸水工程での温度制御のように、40℃から60℃前後の温度を吸水工程での設定温度として一元的に設定し、非金属製の内鍋の温度がこの設定温度になるべく早く追従するように加熱制御手段が加熱手段を制御する場合に生じていた、大きなオーバーシュートの発生を抑制することができる。この結果、内鍋30内の一部の温度が極端に高くなってその部分の米のみの糊化が進行してしまうことを効果的に回避することができ、本実施形態の炊飯器100では、お米全体を炊きムラ無くふっくらと炊き上げることができる。
図5は、本実施形態にかかる炊飯器100で炊飯を行ったときの、吸水工程における内鍋30と内鍋30内の被炊飯物の温度変化を示したものである。
図5において、実線51が内鍋30の温度で、内鍋30内側の底部中央に熱電対を配置して測定された温度である。このように、内鍋30の内側の温度であるため、実線51で示す温度はセンターセンサ26で検出される温度とは異なるものである。また、点線52が、内鍋30に収容された白米のうち内鍋30の上部に位置する米の温度、一点鎖線53が内鍋30の中央部分における米の温度、二点差線54が内鍋30の下部に位置する米の温度を、それぞれ示している。
図5の温度変化の測定に当たっては、白米5.5合を炊飯する場合を想定し、吸水工程開始時の最初の内鍋の設定温度を25℃、吸水工程終了時、すなわち、昇温工程開始時の内鍋の設定温度を40℃とした。また、吸水工程全体の長さを15分間として、この15分間において、15段階の昇温段階を経て上昇するように設定温度を設定した。また、送風ファン23は、吸水工程の開始時から吸水工程の終了時まで、2つのファンを用いて30秒ごとに交互に動作させた。さらに、吸水工程の後は、通常の炊飯プログラムに準じて定められた設定温度に基づいて、昇温工程、沸騰工程、蒸らし工程を経て炊飯を完了させた。送風ファン23は、昇温工程の後半から蒸らし工程の最初にかけて動作させた。
図5に示すように、本実施形態の炊飯器100による炊飯では、吸水工程において、点線52で示す内鍋30内の上部、一点鎖線53で示す内鍋30内の中央部分、二点鎖線54で示す内鍋30内の下部、それぞれに位置するお米の温度が、大きな温度差なくほぼ均等に上昇して、吸水工程終了時には、いずれの部分のお米も内鍋30の設定温度である40℃に到達していることがわかる。
これに対し、比較例として、吸水工程の設定温度を15段の昇温段階を経て上昇するように設定せず、昇温工程開始時の設定温度である40℃に一元的に設定した場合の、内鍋30内側の底部中央、および、内鍋30内の各部分における米の温度を測定した結果を図6に示す。なお、図6に温度変化を示した比較例の場合においても、吸水工程は15分間とし、送風ファンは吸水工程では動作させていない。また、図6においても図5と同様の箇所の温度は同じ線種で示しており、実線61が内鍋30内側の底部中央の温度、点線62が内鍋30の上部に位置する米の温度、一点鎖線63が内鍋30の中央部分における米の温度、二点鎖線54が内鍋30の下部に位置する米の温度をそれぞれ示している。また、昇温工程以降の炊飯条件は、送風ファンの動作を含めて、本実施形態の炊飯条件を説明した図5の場合と同じ条件とした。
図6に示すように、比較例の吸水工程では、設定温度が最初から40℃に設定されているために吸水工程の最初から強い加熱が行われ、吸水工程の開始4分後における内鍋30内側の底部中央の温度61に、70℃を越える大きなオーバーシュートが生じている。また、内鍋30の内部の米の温度は、吸水工程の終了時の15分経過時点で、上部62、中央部63、下部64と、いずれも設定温度の40℃に到達しておらず、内鍋30の上部の米の温度62が38℃以上であるのに対し、内鍋30の下部の米の温度62が約32℃と、内鍋30内の位置により米に約6℃以上の温度差が生じていることがわかる。
このような比較例の場合の設定温度によって吸水工程を行えば、吸水時の温度が十分に上昇していないため、十分な量の吸水が行えない。一方、図5に温度変化を示した本実施形態の炊飯器における、漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇する内鍋温度の設定をし、吸水工程において送風ファンを動作させた場合には、図6に温度変化を示した比較例の設定温度による吸水工程の場合と比較して、炊飯する米の合数による変化はあるものの、3%〜37%吸水率が上昇したことが確認できた。
また、図6に示す、比較例の場合の設定温度で吸水工程を行った場合には、内鍋30内の場所ごとに米の温度差による吸水率のムラが生じているため、炊き上げ時の炊きムラに繋がることがわかる。
図7は、本実施形態の炊飯器100で用いたように、吸水工程で送風ファンを動作させて、内鍋30周辺に気流を生じさせる効果について確認するための、別の実施例における内鍋30の底部および内鍋30内の各部分における米の温度を測定した結果を示す。
図7に示す、別の実施例の炊飯器における炊飯条件は、吸水工程で送風ファンを動作させた点のみが図6に示した比較例と異なり、設定温度は、吸水工程の最初から吸水工程の終了時点での設定温度である40℃に設定して吸水工程を行った。なお、図7においても、図5および図6と同様の箇所の温度測定結果を同じ線種で示しており、実線71が内鍋30内側の底部中央の温度、点線72が内鍋30の上部に位置する米の温度、一点鎖線73が内鍋30の中央部分における米の温度、二点鎖線74が内鍋30の下部に位置する米の温度を、それぞれ示している。別の実施例における吸水工程での送風ファンの動作制御は、図5に温度測定結果を示した本実施形態の炊飯器の場合と同様に、30秒ごとに2つのファンの動作を切り換えて送風した。なお、図7に示した別の実施例において、昇温工程以降の炊飯工程は、図5に示した本実施形態の炊飯器での炊飯条件、および、図6で温度測定結果を示した比較例での炊飯条件と同じ条件とした。
図7に示すように、別の実施例での吸水工程では、設定温度を最初から40℃としているものの、送風ファンを吸水工程の最初から動作させているため、開始3分後に内鍋30内側の底部中央の温度71にオーバーシュートが生じているが、図6に示した比較例の場合のオーバーシュート温度70℃よりも低く、65℃以下に収まっている。また、内鍋内部の米の温度は、15分の吸水工程終了時に上部72、中央73、下部74のいずれも設定温度の40℃に到達はしていないものの、内鍋内の各部位での米の温度の温度差は3℃以下となり、比較例の場合に6℃以上あった温度差を半分に低減できていることがわかる。
図7に示す別の実施例での吸水工程における温度測定結果から、吸水工程において送風ファンを動作させて、内鍋の周囲に気流を生じさせることで、内鍋内の米の温度を均一化する効果が発揮できることがわかる。
また、図6に示した比較例での温度変化と、図7に示した別の実施例での温度変化を比較すると、図6では、内鍋の上部に位置する米の温度62が最も遅く上昇し始めているのに対し、図7では、内鍋上部の米の温度72が最も早く上昇していることがわかる。一方、図6の比較例では、内鍋下部の米の温度64は吸水工程の前半部分で一旦最も高くなった後、吸水工程の最後では最も低くなるが、図7の別の実施例では、内鍋下部の米の温度74は常に他の部分の米の温度と比較して低い状態で徐々に上昇している。これらのことから、吸水工程において送風ファンを動作させて気流を生じさせることによって、内鍋底部の熱が内鍋上部にうまく伝達されていることが確認できる。
したがって、図4に示したように、内鍋の設定温度を漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇するように設定しない場合であっても、吸水工程において送風ファンを動作させるように制御することで、内鍋内の場所の違いにおける米の温度差を低減することができ、場所ごとの吸水率のムラを抑えて炊き上げ時の炊きムラの発生を効果的に低減することができることが理解できる。
なお、図4にセンターセンサ26の温度42、図5に内鍋30内側の底部中央の温度51として示されているように、設定温度が漸次上昇する複数の昇温段階として階段状に上昇するように設定されていた場合でも、実際の内鍋30の温度は、図4における設定温度41のような、きれいな階段状の変化を示さない。これは、上記したように、センターセンサ26の温度と設定温度との関係を判断しながら加熱制御手段が加熱手段のオン/オフを制御するため、吸水工程のような昇温段階においては、内鍋の温度が設定温度に対して上下することを繰り返しながら上昇するためである。このため、本発明において、内鍋の温度が、「漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇している」と表現する場合には、図4の直線41のように、一定時間一定の温度が維持されて階段上に上昇する場合に加えて、図4の点線42および図5の直線51のように、小さな波打ちを繰り返しながらその平均的な温度が段階を経て徐々に上昇しているような温度変化を含む。そして、この一つの波打ちを一段分の昇温段階として捉えることとなる。
図8は、本実施形態の炊飯器に用いることができる。内鍋の変形例の形状を示す側面図である。
図8に示す、変形例の内鍋31は、内鍋31の外側表面の上下方向中間部分に、筋状の溝32が形成されている。このように、内鍋の外側表面に溝32を設けることで、送風ファンを動作したときに熱せられた空気と内鍋31との接触面積が増える。このため、コイルにより熱せられた内鍋31や、ヒータによって暖められた空気が内鍋収容部20aと内鍋20との間隙で気流となって移動する際に、内鍋31の表面を暖める効果を向上させることができ、送風ファン動作時における内鍋の温度を均一化する効果を、より一層向上させることができる。
なお、内鍋の表面積を増すことにより、内鍋周囲に生成された気流による温度上昇の効果を高めることができると考えられるので、図8に示したように溝を形成する以外に、内鍋の周囲に畝状の凸部を形成しても同じ効果が期待できる。また、図8に示す、変形例の内鍋31では、溝を斜め方向に形成しているが、溝の角度や長さ、内鍋31における配置位置は図8に示したものに限られず、内鍋周辺に生じさせる気流の強さや方向などに応じて、適宜選択することができる。
以上、本発明の炊飯器について、内鍋として非金属製の土鍋釜を用いた場合を例示して説明した。しかし、本発明の炊飯器の内鍋には、非金属製のセラミックスを材料とする土鍋釜に限られず、ステンレスや銅などの金属材料を主体とする金属釜を用いることができる。
また、本実施形態の炊飯器として、内鍋収容部と内鍋との間隙に空気を送り込んで気流を生じさせる送風ファンを備えたものを例示して説明したが、送風ファンを備えることなく、吸水工程の設定温度を図4に示したような、内鍋の温度が漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇するように設定することで、内鍋の温度の均一化を図ることができ、また、強いオーバーシュートの発生を抑えて、均一な吸水条件での吸水を行うことができて、炊きムラを低減できる炊飯器を得ることができる。
なお、上記実施形態において、吸水工程開始時の設定温度を図4では30℃、図5では25℃としたものを例示して説明したが、本実施形態の炊飯器において、吸水工程開始時の設定温度はこれらの温度に限られるものではない。吸水工程開始時の設定温度は、炊飯開始前の室温以上であり、炊飯開始時に強い火力が加わりすぎることなく吸水工程から始まる炊飯工程を開始できる温度を適宜設定することができる。
また、吸水工程が終了する昇温工程開始時の設定温度を40℃としたものを例示したが、昇温工程開始時の設定温度も40℃に限られるものではなく、吸水工程において十分に効率のよい吸水ができる適切な温度を設定することができる。一般に、内鍋内の米などに対して十分かつより均一な吸水を行わせるためには、吸水工程での設定温度は40℃から50℃程度が好ましいとされており、吸水工程終了時の内鍋の温度を50℃以下に設定して、この50℃以下の吸水工程において、内鍋の温度が漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇することが重要となる。なお、吸水工程の終了時点、すなわち、昇温工程の開始時の設定温度を50℃度以上とすることも可能であるが、この場合でも、内鍋の温度が50℃以下の状態である吸水工程の少なくとも前段部分において、複数の昇温工程を経て内鍋の温度が上昇するように制御することが重要である。また、設定温度が50℃以下である吸水工程の全ての時間にわたって、漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇するような温度設定とする必要はなく、吸水工程の一部において、設定温度もしくは内鍋の温度が、なだらかに上昇する階段状の昇温段階を経ない部分があっても問題はない。
また、図4に示す設定温度の設定例では、設定温度を吸水工程の開示時であるt=0から昇温工程の開始時であるt=12まで、均等に区分された12の昇温段階を経て上昇させた例を説明した。さらに、図5に温度変化を示した実施例では、15段階の昇温段階を経て温度が上昇するようにした。しかし、本実施形態の炊飯器100における設定温度の設定例は、図4や実施例として例示したものに限られない。
まず、設定温度の昇温段階の数としては、例示した12段階や、15段階に限られず、吸水工程全体の時間や、昇温工程開始時の設定温度、内鍋が金属製か非金属製か、加熱手段の配置位置やその加熱能力などの諸条件に合わせて、2段階から18段階程度の範囲で適宜適切なものを選択することができる。もちろん、昇温段階の数を多くすることにより、内鍋の温度をより緩やかに均一化した状態で上昇させることができるので、昇温段階の数としては、5段階以上がより好ましいと考えられる。一方、昇温段階をあまり細かく設定したとしても、内鍋の温度の管理には限界があるため、吸水工程の時間が15分程度であることを考慮すれば、15段階程度に分けることが最も現実的であると言うことができる。
また、本発明者らの検討においては、送風ファンを用いて内鍋の周辺に気流を生じさせる場合と、気流を生じさせない場合とで、好ましい昇温段階の数に有意の差は生じなかった。しかし、送風ファンを用いて内鍋の周囲に気流を生じさせることにより、内鍋の温度がより均一な状態に制御できることから、送風ファンで気流を生じさせる場合には設定温度の昇温段階の数を低減できる可能性がある。
また、設定温度の昇温段階において、それぞれの段階において所定の温度を保つ一定の時間は、図4に示すように全て一定とする必要はなく、適宜長短を交えて設定することができる。また、次の段階の設定温度に進むときの設定温度の上昇度合い、すなわち一つ前の昇温段階との温度差も、均一に限られるものではなく、適宜好ましい温度差を選択することができる。この場合には、内鍋の温度上昇が開始する時点である、吸水工程の最初の段階での設定時間をより長く、また、最初に近い段階での温度差をより小さく設定することが好ましいと考えられる。
さらに、内鍋の温度を複数の昇温段階を経て上昇させるために、加熱制御手段が、一つの昇温段階で加熱手段を1回オン/オフ制御する例について説明した。内鍋の温度を漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇させるためには、このように一つの昇温段階で一回のオン/オフ制御を繰り返すことが好ましいが、本発明の炊飯器における、加熱制御手段の制御には、加熱手段のオン/オフ回数と昇温段階の段数とが必ずしも一致しない場合も含まれることは言うまでもない。
また、上記の説明では、被炊飯物として白米を用いた場合を説明したが、白米以外の豆類や野菜、米以外の穀物など、各種の具を被炊飯物とすることができ、炊き込みご飯等のいわゆる具入りご飯においても、良好な吸水工程に基づくおいしい具入りご飯を炊飯することができる。
本発明の炊飯器によれば、吸水工程において内鍋内の被炊飯物にまんべんなく良好な吸水を行わせることができるので、炊きムラの低減に有用である。
20 炊飯器本体
20a 内鍋収容部
23 送風ファン
24 送風口
25 加熱手段
26 センターセンサ(温度センサ)
30 内鍋

Claims (9)

  1. 被炊飯物を入れる内鍋と、前記内鍋を取り出し可能に収容する内鍋収容部を有する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサと、前記温度センサで検出された前記内鍋の温度が所定の温度になるように前記加熱手段を制御する加熱制御手段とを備え、
    前記内鍋の温度が50℃以下の吸水工程において、前記加熱制御手段が、前記内鍋の温度が漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇するように前記加熱手段を制御することを特徴とする炊飯器。
  2. 前記内鍋の温度が50℃以下の吸水工程における前記内鍋の温度の昇温段階の段階数が5以上である請求項1に記載の炊飯器。
  3. 前記内鍋の温度が50℃以下の吸水工程において、前記加熱制御手段が、前記内鍋の温度の昇温段階の段階数に応じた回数、前記加熱手段のオン/オフを繰り返す請求項1または2に記載の炊飯器。
  4. 被炊飯物を入れる内鍋と、前記内鍋を取り出し可能に収容する内鍋収容部を有する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサと、前記温度センサで検出された前記内鍋の温度が所定の温度になるように前記加熱手段を制御する加熱制御手段と、送風ファンと、前記内鍋収容部の底面もしくは側壁部下部に設けられた送風口と、前記送風ファンの動作を制御する送風ファン制御部とを備え、
    前記送風ファン制御部が、吸水工程において前記送風ファンを動作させて、前記送風口から前記内鍋収容部と前記内鍋との間に空気を送り込むことを特徴とする炊飯器。
  5. 前記内鍋の温度が50℃以下の吸水工程において、前記加熱制御手段が、前記内鍋の温度が漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇するように前記加熱手段を制御するように制御する請求項4に記載の炊飯器。
  6. 前記内鍋の温度が50℃以下の吸水工程における前記内鍋の温度の昇温段階の段階数が5以上である請求項5に記載の炊飯器。
  7. 前記内鍋の温度が50℃以下の吸水工程において、前記加熱制御手段が、前記内鍋の温度の昇温段階の段階数に応じた回数、前記加熱手段のオン/オフを繰り返す請求項5または6に記載の炊飯器。
  8. 前記内鍋が非金属材料製である請求項1から7のいずれかに記載の炊飯器。
  9. 被炊飯物を入れる内鍋と、前記内鍋を取り出し可能に収容する内鍋収容部を有する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサと、前記温度センサで検出された前記内鍋の温度が所定の設定温度となるよう前記加熱手段を制御する加熱制御手段とを備え、
    前記内鍋の温度が50℃以下の吸水工程において、前記設定温度が、漸次上昇する複数の昇温段階を経て上昇するように設定されていることを特徴とする炊飯器。
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