JP2004350625A - 光学活性n−ベンジル−3−ピロリジノールの製造方法 - Google Patents

光学活性n−ベンジル−3−ピロリジノールの製造方法 Download PDF

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弘之 朝子
Ito Kanatsuji
糸 金辻
Shinya Ito
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Abstract

【課題】N−ベンジル−3−ピロリジノンを酵素還元して光学活性なN−ベンジル−3−ピロリジノールを製造する方法において、効率的に高い光学純度の光学活性なN−ベンジル−3−ピロリジノールの製造方法を提供すること。
【解決手段】N−ベンジル−3−ピロリジノンに下記のアミノ酸配列群の中から選ばれるアミノ酸配列を有する酵素を作用させることを特徴とする光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールの製造方法。<アミノ酸配列群>(a)特定のアミノ酸配列を有する酵素。(b)特定のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ、N−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元して光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを生成する能力を有する酵素のアミノ酸配列等
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、β−ラクタム系抗生物質やジヒドロピリジン系化合物等の生理活性物質製造の中間体として有用な、光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールの製造方法等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールの製造方法として、N−ベンジル−3−ピロリジノンを立体選択的に還元するコリネバクテリウム(Corynebacterium)属に属する微生物が産生する還元酵素の存在下、このN−ベンジル−3−ピロリジノンを立体選択的に還元して光学活性なN−ベンジル−3−ピロリジノールを製造する方法(例えば、特許文献1記載。)が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−141876号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来法は、基質濃度が低く反応スケールも小さいため実用的ではない。また、微生物の菌体の培養及び酵素の精製を反応毎に行っており工業的に有利とは言い難い。
本発明の課題は、N−ベンジル−3−ピロリジノンを酵素還元して光学活性なN−ベンジル−3−ピロリジノールを製造する方法において、効率的に高い光学純度の光学活性なN−ベンジル−3−ピロリジノールの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような状況下、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、コリネバクテリウム属に属する微生物由来の還元酵素をコードする遺伝子を含むDNA断片をベクターに組み込んで得られる組み換え大腸菌およびその処理物を用いてN−ベンジル−3−ピロリジノンを還元すると、高い光学純度の光学活性なN−ベンジル−3−ピロリジノールを効率的に製造できることを見出し、本発明に至った。
【0006】
即ち、本発明は、
1.N−ベンジル−3−ピロリジノンに下記のアミノ酸配列群の中から選ばれるアミノ酸配列を有する酵素を作用させることを特徴とする光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールの製造方法(以下、本発明製造方法と記すこともある。)<アミノ酸配列群>
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する酵素。
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ、N−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元して光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを生成する能力を有する酵素のアミノ酸配列
(c)配列番号2で示される塩基配列がコードするアミノ酸配列
(d)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列に相補性を有する塩基配列がコードするアミノ酸配列を有し、かつ、N−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元して光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノーを生成する能力を有する酵素のアミノ酸配列;
2.補酵素NADH/NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)存在下、N−ベンジル−3−ピロリジノンに酵素を作用させることを特徴とする前項1記載の製造方法;
3.2級アルコールの存在下、N−ベンジル−3−ピロリジノンに酵素を作用させることを特徴とする前項1又は2記載の製造方法;
4.2級アルコールが2−プロパノールであることを特徴とする前項3記載の製造方法;
5.光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールが、(S)−(−)−N−ベンジル−3−ピロリジノールであることを特徴とする前項1記載の製造方法;
6.N−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元してN−ベンジル−3−ピロリジノールを生成させるための触媒としての、下記のアミノ酸配列群の中から選ばれるアミノ酸配列を有する酵素の使用;
<アミノ酸配列群>
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する酵素。
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ、N−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元して光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを生成する能力を有する酵素のアミノ酸配列
(c)配列番号2で示される塩基配列がコードするアミノ酸配列
(d)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列に相補性を有する塩基配列がコードするアミノ酸配列を有し、かつ、N−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元して光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノーを生成する能力を有する酵素のアミノ酸配列
等を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明製造方法において、N−ベンジル−3−ピロリジノンに作用させる酵素は、少なくとも「N−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元して光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを生成する能力」を有しており、かつ、下記のアミノ酸配列群の中から選ばれるアミノ酸配列を有する酵素(以下、本還元酵素と記すこともある。)である。
<アミノ酸配列群>
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ、N−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元して光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを生成する能力を有する酵素のアミノ酸配列
(c)配列番号2で示される塩基配列がコードするアミノ酸配列
(d)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列に相補性を有する塩基配列がコードするアミノ酸配列を有し、かつ、N−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元して光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを生成する能力を有する酵素のアミノ酸配列
尚、本還元酵素は、N−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元して光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを生成する能力の他に、さらに当該能力を有する酵素が依存する補酵素を再生する能力を同時に有する酵素であってもよい。
【0008】
本還元酵素をN−ベンジル−3−ピロリジノンに作用させるには、本還元酵素自体であるタンパク質を当該基質に直接的に作用させてもよいし、本酵素を含有する微生物(天然に存在する微生物若しくは人為的に作製される微生物であってもよい。)又は当該微生物の処理物(例えば、死菌化細胞、抽出物、粗精製物等)の形態で本酵素を当該基質に間接的に作用させてもよい。
【0009】
人為的に作製される微生物は、突然変異処理により作製される微生物であってもよいし、遺伝子工学的な手法を用いて作製させる微生物(以下、本形質転換体と記すこともある。)であってもよい。尚、本形質転換体を作製する際に用いられる本還元酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子(以下、本還元酵素遺伝子と記すこともある。)は、(1)天然に存在する遺伝子の中からクローニングされたものであってもよいし、(2)天然に存在する遺伝子であっても、このクローニングされた遺伝子の塩基配列において、その一部の塩基の欠失、置換又は付加が人為的に導入されてなる遺伝子(即ち、天然に存在する遺伝子を変異処理(部分変異導入法、突然変異処理等)を行ったものであってもよいし、(3)人為的に合成されたものであってもよい。
【0010】
ここで、前記(b)にある「アミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列」や前記(d)にある「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列に相補性を有する塩基配列がコードするアミノ酸配列」には、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する酵素が細胞内で受けるプロセシング、該酵素が由来する生物の種差、個体差、組織間の差異等により天然に生じる変異や、人為的なアミノ酸の変異等が含まれる。
【0011】
前記(b)「(アミノ酸が)欠失、置換若しくは付加(された)」(以下、総じてアミノ酸の改変と記すこともある。)を人為的に行う場合の手法としては、例えば、配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAに対して慣用の部位特異的変異導入を施し、その後このDNAを常法により発現させる手法が挙げられる。ここで部位特異的変異導入法としては、例えば、アンバー変異を利用する方法(ギャップド・デュプレックス法、Nucleic Acids Res.,12,9441−9456(1984))、変異導入用プライマーを用いたPCRによる方法等が挙げられる。
【0012】
前記で改変されるアミノ酸の数については、少なくとも1残基、具体的には1若しくは数個、又はそれ以上である。かかる改変の数は、N−ベンジル−3−ピロリジノンをN−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元して光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを生成する能力を見出すことのできる範囲であればよい。
【0013】
また前記欠失、置換若しくは付加のうち、特にアミノ酸の置換に係る改変が好ましい。当該置換は、疎水性、電荷、pK、立体構造上における特徴等の類似した性質を有するアミノ酸への置換がより好ましい。このような置換としては、例えば、▲1▼グリシン、アラニン;▲2▼バリン、イソロイシン、ロイシン;▲3▼アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;▲4▼セリン、スレオニン;▲5▼リジン、アルギニン;▲6▼フェニルアラニン、チロシンのグループ内での置換が挙げられる。
【0014】
本発明において「(アミノ酸が)欠失、置換若しくは付加(された)」には、例えば、2つの蛋白質間のアミノ酸配列に関する高い配列同一性(具体的には、80%以上の配列同一性、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の配列同一性)が存在している必要がある。また「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」には2つのDNA間の塩基配列に関する配列同一性(具体的には、80%以上の配列同一性、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の配列同一性)が存在している必要がある。
ここで「配列同一性」とは、2つのDNA又は2つの蛋白質間の配列の同一性及び相同性をいう。前記「配列同一性」は、比較対象の配列の領域にわたって、最適な状態にアラインメントされた2つの配列を比較することにより決定される。ここで、比較対象のDNA又は蛋白質は、2つの配列の最適なアラインメントにおいて、付加又は欠失(例えばギャップ等)を有していてもよい。このような配列同一性に関しては、例えば、Vector NTIを用いて、ClustalWアルゴリズム(Nucleic Acid Res.,22(22):4673−4680(1994)を利用してアラインメントを作成することにより算出することができる。尚、配列同一性は、配列解析ソフト、具体的にはVector NTI、GENETYX−MACや公共のデータベースで提供される解析ツールを用いて測定される。前記公共データベースは、例えば、ホームページアドレスhttp://www.ddbj.nig.ac.jpにおいて、一般的に利用可能である。
前記(d)にある「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」に関して、ここで使用されるハイブリダイゼーションは、例えば、Sambrook J., Frisch E. F., Maniatis T.著、モレキュラークローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー発行(Cold Spring Harbor Laboratory press)に記載される方法や、「クローニングとシークエンス」(渡辺格監修、杉浦昌弘編集、1989年、農村文化社発行)に記載されているサザンハイブリダイゼーション法等の通常の方法に準じて行うことができる。また「ストリンジェントな条件下」とは、例えば、6×SSC(900mM NaCl、90mM クエン酸三ナトリウムを含む溶液。尚ここでは、NaCl175.3g、クエン酸三ナトリウム88.2gを含む溶液を水800mlで溶解し、10N NaClでpHを調製した後、全量を1000 mlとした溶液を20×SSCとする。)中で65℃にてハイブリッドを形成させた後、2×SSCで50℃にて洗浄するような条件(Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (1989), 6.3.1−6.3.6)等を挙げることができる。洗浄ステップにおける塩濃度は、例えば、2×SSCで50℃の条件(低ストリンジェンシーな条件)から0.1×SSCで65℃までの条件(高ストリンジェンシーな条件)から選択することができる。洗浄ステップにおける温度は、例えば、室温(低ストリンジェンシーな条件)から65℃(高ストリンジェンシーな条件)から選択することができる。また、塩濃度と温度の両方を変えることもできる。
【0015】
本還元酵素遺伝子は、例えば、下記のような調製方法に準じて調製すればよい。
コリネバクテリウム・シュードジフテリティカム(Corynebacterium pseudodiphteriticum)等のコリネバクテリウム属に属する微生物等から通常の遺伝子工学的手法に準じて染色体DNAを調製し、調製された染色体DNAを鋳型として、かつ適切なプライマーを用いてPCRを行うことにより、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、配列番号2で示される塩基配列を有するDNA等を増幅して本還元酵素遺伝子を調製する。
ここでコリネバクテリウム・シュードジフテリティカム由来の染色体DNAを鋳型として、かつ配列番号3に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号4に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いてPCRを行う場合には、配列番号2で示される塩基配列からなるDNAを増幅して本還元酵素遺伝子を調製することになる。
当該PCRの条件としては、例えば、4種類のdNTPを各々20μM、2種類のオリゴヌクレオチドプライマーを各々15pmol、Taqpolymeraseを1.3U及び鋳型となるcDNAライブラリーを混合した反応液を97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)‐50℃(0.5分間)‐72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)‐55℃(0.5分間)‐72℃(2.5分間)のサイクルを20回行い、さらに72℃で7分間保持する条件が挙げられる。
尚、当該PCRに用いるプライマーの5’末端側には、制限酵素認識配列等を付加していてもよい。
上記のようにして増幅されたDNAを、Sambrook J., Frisch E. F., Maniatis T.著「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press、「Current Protocols in Molecular Biology」(1987), John Wiley & Sons, Inc. ISBNO−471−50338−X等に記載されている方法に準じてベクターにクローニングして組換ベクターを得ることができる。用いられるベクターとしては、具体的には、例えば、pUC119(宝酒造社製)、pTV118N(宝酒造社製)、pBluescriptII (東洋紡社製)、pCR2.1−TOPO(Invitrogen社製)、pTrc99A(Pharmacia社製)、pKK223−3(Pharmacia社製)等が挙げられる。このようにしてベクターに組み込んだ形態で本還元酵素遺伝子を調製すれば、後の遺伝子工学的手法における使用において便利である。
【0016】
N−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元して光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを生成する能力を有する酵素が依存する補酵素を再生する能力を有する酵素(以下、本補酵素再生酵素遺伝子と記すこともある。)は、例えば、本補酵素再生酵素遺伝子が本還元酵素とは異なる酵素である場合には、下記のような調製方法に準じて調製すればよい。
バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)等のバシラス属に属する微生物等から通常の遺伝子工学的手法に準じて染色体DNAを調製し、調製された染色体DNAを鋳型として、かつ適切なプライマーを用いてPCRを行うことにより、配列番号8で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、配列番号8で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、配列番号7で示される塩基配列を有するDNA等を増幅して本補酵素再生酵素遺伝子を調製する。
ここでバシラス・メガテリウム由来の染色体DNAを鋳型として、かつ配列番号5に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号6に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いてPCRを行う場合には、配列番号7で示される塩基配列からなるDNAを増幅して本補酵素再生酵素遺伝子を調製することになる。
当該PCRの条件としては、例えば、4種類のdNTPを各々20μM、2種類のオリゴヌクレオチドプライマーを各々15pmol、Taqpolymeraseを1.3U及び鋳型となるcDNAライブラリーを混合した反応液を97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)‐50℃(0.5分間)‐72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)‐55℃(0.5分間)‐72℃(2.5分間)のサイクルを20回行い、さらに72℃で7分間保持する条件が挙げられる。
尚、当該PCRに用いるプライマーの5’末端側には、制限酵素認識配列等を付加していてもよい。
上記のようにして増幅されたDNAを、Sambrook J., Frisch E. F., Maniatis T.著「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press、「Current Protocols in Molecular Biology」(1987), John Wiley & Sons, Inc. ISBNO−471−50338−X等に記載されている方法に準じてベクターにクローニングして組換ベクターを得ることができる。用いられるベクターとしては、具体的には、例えば、pUC119(宝酒造社製)、pTV118N(宝酒造社製)、pBluescriptII (東洋紡社製)、pCR2.1−TOPO(Invitrogen社製)、pTrc99A(Pharmacia社製)、pKK223−3(Pharmacia社製)等が挙げられる。このようにしてベクターに組み込んだ形態で本還元酵素遺伝子を調製すれば、後の遺伝子工学的手法における使用において便利である。
【0017】
本形質転換体を調製する方法としては、例えば、(1)本還元酵素遺伝子と本補酵素再生酵素遺伝子との両遺伝子及び宿主細胞で機能可能なプロモーターが機能可能な形で接続されてなるDNAのような遺伝子が宿主細胞中で発現できるような単一な組換プラスミドを作製し、これを宿主細胞に導入することにより作製する方法、(2)本還元酵素遺伝子と本補酵素再生酵素遺伝子との両遺伝子のうちの一方の遺伝子及び宿主細胞で機能可能なプロモーターが機能可能な形で接続されてなるDNAのような遺伝子のうちの一方の遺伝子が宿主細胞中で発現できるような組換プラスミドを上記遺伝子毎に別々に作製し、これらを宿主細胞に導入することにより作製する方法等があげられる。さらに、一方の遺伝子又は両遺伝子を宿主細胞の染色体中に導入する方法も利用することができる。
尚、上記単一な組換プラスミドを宿主細胞に導入することにより作製する方法としては、例えば、プロモーター、ターミネーター等の発現制御に関わる領域をそれぞれの両遺伝子に連結して組換プラスミドを構築したり、ラクトースオペロンのような複数のシストロンを含むオペロンとして発現させるような組換プラスミドを構築する方法等をあげることができる。
ここで上記の組換プラスミドとしては、例えば、宿主細胞中で複製可能な遺伝情報を含み、自立的に増殖できるものであって、宿主細胞からの単離・精製が容易であり、宿主細胞中で機能可能なプロモーターを有し、検出可能なマーカーを持つ発現ベクターに、本還元酵素をコードする遺伝子が機能可能な形で導入されたものを好ましく挙げることができる。尚、発現ベクターとしては、各種のものが市販されている。
ここで、「機能可能な形で」とは、上記の組換プラスミドを宿主細胞に導入することにより宿主細胞を形質転換させた際に、本還元遺伝子等が、プロモーターの制御下に発現するようにプロモーターと結合された状態にあることを意味する。プロモーターとしては、大腸菌のラクトースオペロンのプロモーター、大腸菌のトリプトファンオペロンのプロモーター、又は、tacプロモーターもしくはtrcプロモーター等の大腸菌内で機能可能な合成プロモーター等をあげることができる。またコリネバクテリウム・シュードジフテリティカム、バシラス・メガテリウムにおいて本還元遺伝子等の発現を制御しているプロモーターを利用してもよい。
また発現ベクターとしては、選択マーカー遺伝子(例えば、カナマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等の抗生物質耐性付与遺伝子等)を含むベクターを用いると、当該ベクターが導入された形質転換体を当該選択マーカー遺伝子の表現型等を指標にして容易に選択することができる。
さらなる高発現を導くことが必要な場合には、本還元酵素及び/又は本補酵素再生酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子の上流にリボゾーム結合領域を連結してもよい。用いられるリボゾーム結合領域としては、Guarente L.ら(Cell 20, p543)や谷口ら(Genetics of Industrial Microorganisms, p202, 講談社)による報告に記載されたものを挙げることができる。
宿主細胞としては、例えば、原核生物(例えば、Escherichia属、Bacillus属、Corynebacterium属、Staphylococcus属、Streptomyces属)もしくは真核生物(例えば、Saccharomyces属、Kluyveromyces属、Aspergillus属)である微生物等(尚、昆虫細胞又は哺乳動物細胞等であってもよい。)を挙げることができる。例えば、本形質転換体の大量調製が容易になるという観点では、大腸菌等を好ましく挙げることができる。
本還元酵素及び/又は本補酵素再生酵素が宿主細胞中で発現できるようなプラスミドを宿主細胞に導入する方法としては、用いられる宿主細胞に応じて通常使われる導入方法であればよく、例えば、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press、「Current Protocols in Molecular Biology」(1987), John Wiley & Sons, Inc. ISBNO−471−50338−X等に記載される塩化カルシウム法や、「Methods in Electroporation:Gene Pulser /E.coli Pulser System」 Bio−Rad Laboratories, (1993)等に記載されるエレクトロポレーション法等をあげることができる。
宿主細胞において本還元酵素遺伝子及び/又は本補酵素再生酵素遺伝子が宿主細胞中で発現できるようなプラスミドが導入された形質転換体を選抜するには、前記の如く、例えば、ベクターに含まれる選択マーカー遺伝子の表現型を指標にして選抜すればよい。
プラスミドが導入された宿主細胞(即ち、形質転換体)が本還元酵素遺伝子及び本補酵素再生酵素遺伝子を保有していることは、例えば、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press等に記載される通常の方法に準じて、制限酵素部位の確認、塩基配列の解析、サザンハイブリダイゼーション、ウエスタンハイブリダイゼーション等を行うことにより、確認することができる。
【0018】
本形質転換体の培養は、微生物等の宿主細胞の培養に使用される通常の方法によって行うことができる。例えば大腸菌の場合、適当な炭素源、窒素源およびビタミン等の微量栄養物を適宜含む培地中で培養を行う。培養方法としては、固体培養、試験管振盪式培養、往復式振盪培養、ジャーファーメンター(Jar Fermenter)培養、タンク培養等の液体培養のいずれの方法でもよく、好ましくは、通気撹拌培養法等の液体培養を挙げることができる。
培養温度は、本形質転換体が生育可能な範囲で適宜変更できるが、通常約10〜50℃、好ましくは約20〜40℃である。培地のpHは約6〜8の範囲が好ましい。培養時間は、培養条件によって異なるが通常約1日〜約5日が好ましい。
本形質転換体を培養するための培地としては、例えば、微生物等の宿主細胞の培養に通常使用される炭素源や窒素源、有機塩や無機塩等を適宜含む各種の培地を用いることができる。
炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、シュークロース等の糖類、グリセロール等の糖アルコール、フマル酸、クエン酸、ピルビン酸等の有機酸、動物油、植物油及び糖蜜が挙げられる。これらの炭素源の培地への添加量は培養液に対して通常0.1〜30%(w/v)程度である。
窒素源としては、例えば、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、大豆粉、コーン・スティープ・リカー(Corn Steep Liquor)、綿実粉、乾燥酵母、カザミノ酸等の天然有機窒素源、アミノ酸類、硝酸ナトリウム等の無機酸のアンモニウム塩、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩、フマル酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム等の有機酸のアンモニウム塩及び尿素が挙げられる。これらのうち有機酸のアンモニウム塩、天然有機窒素源、アミノ酸類等は多くの場合には炭素源としても使用することができる。これらの窒素源の培地への添加量は培養液に対して通常0.1〜30%(w/v)程度である。
有機塩や無機塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄、マンガン、コバルト、亜鉛等の塩化物、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩及びリン酸塩を挙げることができる。具体的には、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、塩化コバルト、硫酸亜鉛、硫酸銅、酢酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素一カリウム及びリン酸水素二カリウムが挙げられる。これらの有機塩及び/又は無機塩の培地への添加量は培養液に対して通常0.0001〜5%(w/v)程度である。
さらに、tacプロモーター、trcプロモーター及びlacプロモーター等のアロラクトースで誘導されるタイプのプロモーターと、本還元酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子とが機能可能な形で接続されてなるDNAが導入されてなる形質転換体の場合には、本還元酵素の生産を誘導するための誘導剤として、例えば、isopropyl thio−β−D−galactoside(IPTG)を培地中に少量加えることもできる。
【0019】
本形質転換体の取得は、例えば、前記の培養により得られた培養物を遠心分離等により形質転換体を沈殿物として回収すればよい。必要に応じて、回収前に当該形質転換体を、例えば、100mMリン酸1カリウム−リン酸2カリウムバッファー(pH7)等の緩衝液等を用いて洗浄してもよい。
【0020】
さらに本形質転換体から、その死菌化細胞を下記の方法により調製することもできる。
死菌化処理方法としては、例えば、物理的殺菌法(加熱、乾燥、冷凍、光線、超音波、濾過、通電)や、化学薬品を用いる殺菌法(アルカリ、酸、ハロゲン、酸化剤、硫黄、ホウ素、砒素、金属、アルコール、フェノール、アミン、サルファイド、エーテル、アルデヒド、ケトン、シアン及び抗生物質)をあげることができる。尚、これらの殺菌法のうちできるだけ本還元酵素等の酵素活性を失活させず、かつ反応系への残留、汚染などの影響が少ない処理方法を各種の反応条件に応じて適宜選択することがよい。
【0021】
このようにして調製された形質転換体又はその死菌化細胞は、例えば、凍結乾燥細胞、有機溶媒処理細胞、乾燥細胞等の形態、あるいは、固定化された形態(固定化物)で利用してもよい。
【0022】
固定化物を得る方法としては、例えば、担体結合法(シリカゲルやセラミック等の無機担体、セルロース、イオン交換樹脂等に本形質転換体又はその死菌化細胞を吸着させる方法)及び包括法(ポリアクリルアミド、含硫多糖ゲル(例えばカラギーナンゲル)、アルギン酸ゲル、寒天ゲル等の高分子の網目構造の中に本形質転換体又はその死菌化細胞を閉じ込める方法)が挙げられる。
【0023】
続いて、本発明製造方法における触媒反応について説明する。
本発明製造方法においてN−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元して光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを生成する反応は、N−ベンジル−3−ピロリジノンに本還元酵素(尚、勿論、本形質転換体又はその死菌化細胞の形態で提供される本還元酵素であってもよい。)を作用させることによって達成される。
当該反応は、通常、水の存在下で行われる。水は緩衝液の形態であってもよく、この場合に用いられる緩衝剤としては、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のリン酸アルカリ金属塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
尚、緩衝液を溶媒として用いる場合、その量はN−ベンジル−3−ピロリジノン1重量部に対して、通常、1〜300重量倍、好ましくは5〜100重量倍である。
当該反応に際しては、N−ベンジル−3−ピロリジノンを反応系内に連続又は逐次加えてもよい。
【0024】
反応温度としては、本還元酵素の安定性、反応速度の点から15〜50℃程度をあげることができ、好ましくは約20〜40℃があげられる。
反応pHとしては、反応が進行する範囲内で適宜変化させることができるが、通常4〜11、好ましくは6〜9をあげることができる。
【0025】
反応は、水の他に有機溶媒の共存下に行うこともできる。この場合の有機溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、イソプロピルエーテル等のエーテル類、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、デカン等の炭化水素類、t−ブタノール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、ジメチルスルホキサイドなどのスルホキサイド類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類及びこれらの混合物が挙げられる。
反応に使用する有機溶媒の量は、N−ベンジル−3−ピロリジノンに対して、通常、100重量倍以下であり、好ましくは70重量倍以下である。
【0026】
反応はさらに、例えば、NADH、NADPHのような補酵素を加えて通常行うことがよい。
反応に用いられる補酵素の量は、N−ベンジル−3−ピロリジノンに対して、通常、0.5重量倍以下、好ましくは0.1重量倍以下である。
【0027】
本発明製造方法における触媒反応では、N−ベンジル−3−ピロリジノンの不斉的な還元反応において化学量論量の還元型補酵素(電子供与体)が消費された結果生じた酸化型補酵素(電子受容体)を、再び還元型補酵素(電子供与体)に変換する能力、即ち、N−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元して光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを生成する能力を有する酵素が依存する補酵素を再生する能力、を有する酵素(即ち、本補酵素再生酵素)の利用が不可欠となる。この場合には、本補酵素再生酵素は、前記不斉的な還元反応を行う本還元酵素とは異なる酵素であってもよいし、また本還元酵素が補酵素再生酵素としての機能を合わせ持つものであってもよい。もちろん両者の組み合わせであってもよい。
ここで、「本還元酵素が補酵素再生酵素としての機能を合わせ持つもの」であることは、例えば、単離された本還元酵素を用いて酸化型補酵素(電子受容体)の存在下で、補酵素再生酵素の基質である再生系原料化合物を酸化させる反応を行うことにより還元型補酵素(電子供与体)を生じるか否かを調べることにより確認すればよい。
本補酵素再生酵素としては、例えば、グルコース脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、アルデヒド脱水素酵素、アミノ酸脱水素酵素及び有機脱水素酵素(リンゴ酸脱水素酵素等)等が挙げられる。中でも、脂肪族アルコール(例えば、2−プロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール等の200℃以下の沸点をもつアルコール等)を還元することにより補酵素再生を行う補酵素再生酵素が好ましい。この場合に用いられる脂肪族アルコールの量は、N−ベンジル−3−ピロリジノン対して100モル倍以下、好ましくは20モル倍以下である。
【0028】
反応は、例えば、水、N−ベンジル−3−ピロリジノン、本形質転換体又はその死菌化細胞、及び必要に応じて補酵素、有機溶媒等を混合し、攪拌、振盪することにより行うことができる。
【0029】
反応の終点は、例えば、反応液中の原料化合物の存在量を液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等により追跡することにより決定することができる。反応時間の範囲としては、通常、5分間〜10日間、好ましくは30分間〜4日間の範囲をあげることができる。
【0030】
反応終了後は、触媒として酵素を使用して化合物を製造する方法において通常用いられる化合物の回収方法により目的物を採取すればよい。例えば、まず反応液をヘキサン、ヘプタン、tert−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、トルエン等の有機溶媒で抽出する。必要に応じて反応液を濾過したり、又は遠心分離等の処理により不溶物を除去した後に前記抽出操作を行なえばよい。次に抽出された有機層を乾燥した後、濃縮物として目的物を回収することができる。目的物は、必要によりカラムクロマトグラフィー等によりさらに精製することができる。
【0031】
【実施例】
以下、製造例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0032】
実施例1 (本還元酵素遺伝子を含有する形質転換体及び本還元酵素の調製)
Appl Microbial Biotechnol(1999)52:386−392等に記載される公知のプラスミドpUAR(受託番号FERM P−18127)を用いてE. coli JM109株を形質転換した。
次に、フラスコに液体培地(水1000mlにトリプトン10g、酵母エキス5g及び塩化ナトリウム5gを溶解した。この溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を滴下することによりpHを7.0に調整した。)100mlを入れ、滅菌した後、アンピシリンを100μg/ml、ZnClを0.01%(w/v)、isopropyl thio−β−D−galactoside(IPTG)を0.4mMになるように加えた。このようにして調製された培地に、上記で得られた形質転換体(E. coli JM109/pUAR株)が前記組成の液体培地で予め培養された培養液0.3mlを接種し、これを30℃で14時間振盪培養することにより、本還元酵素遺伝子を含有する形質転換体を含む培養物を得て、これを本還元酵素として下記の実施例で使用した。
【0033】
実施例2 (本発明製造方法の例(その1))
pH7に調製された50mMリン酸緩衝液に2−プロパノール50ml、NAD0.94gを混合して1kgとした溶液を、温度計を備えたガラス製フラスコに仕込み30℃に保温した。その中に、N−ベンジル−3−ピロリジノン10g(57.07mmol)と実施例1で得られた本還元酵素33.33gとを投入し、20時間撹拌して反応させた。この反応混合液を1lのトルエンで3回抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、エバポレーターを用いて濃縮して、濃縮オイル6gを得た。得られた濃縮オイルをガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、純度95.5%光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールであり、収率は56.7%であった。これを単蒸留し、GC純度90%以上の画分を合わせたところ、収率52.6%であった。単蒸留して得られた光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析の結果、立体構造は(S)−体であり、光学純度は99%ee以上であることが確認された。
【0034】
実施例3 (本発明製造方法の例(その2))
実施例2と同様の緩衝液に2−プロパノール0.75ml、NAD14.1mgを混合して15mlとした溶液を、温度計を備えたガラス製フラスコに仕込み30℃に保温した。その中に、N−ベンジル−3−ピロリジノン150mg(0.856mmol)と実施例1と同様にして得られた還元酵素10gとを投入し、20時間撹拌して反応させた。この反応混合液を15mlのトルエンで抽出し、得られた有機層をGC分析したところ、N−ベンジル−3−ピロリジノンから光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールへの変換率は100%であった。得られた光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールは、HPLCによる分析の結果、立体構造は(S)−体であり、光学純度は99%ee以上であることが確認された。
【0035】
実施例4 (本発明製造方法の例(その3)) 実施例3における本還元酵素の使用量を0.5gに変更した以外は実施例3と同様に光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを製造した。その結果、N−ベンジル−3−ピロリジノンから光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールへの変換率は99%であった。得られた光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールは、HPLCによる分析の結果、立体構造は(S)−体であり、光学純度は99%ee以上であることが確認された。
【0036】
実施例5 (本発明製造方法の例(その4))
実施例3における本還元酵素の使用量を1gに変更し、かつ反応温度を40℃に変更した以外は実施例3と同様に光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを製造した。その結果、N−ベンジル−3−ピロリジノンから光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールへの変換率は100%であった。得られた光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールは、HPLCによる分析の結果、立体構造は(S)−体であり、光学純度は99%ee以上であることが確認された。
【0037】
上記の実施例におけるHPLC分析条件及びGC分析条件は次の通りである。
<HPLC条件>
カラム:キラルパックOD−H(0.46cmφ×25cm;ダイセル化学工業社製)
カラム温度:20℃
溶離液:n−ヘキサン/2−プロパノール/ジエチルアミン=95/5/0.1
検出:254nm
溶離液流速:0.5ml/ml
溶出時間:(S)−体20分、(R)−体23分
【0038】
<GC分析条件>
カラム:DB−WAX(0.25mmφ×30m;J&W社製)
検出:FID
キャリアーガス:ヘリウム
カラム初期温度:100℃
インジェクター温度:230℃
検出器温度:230℃
【0039】
実施例6 (本還元酵素遺伝子の調製)
(6−1)染色体DNAの調製
フラスコに液体培地(水1000mlにトリプトン5g、酵母エキス2.5g、塩化ナトリウム4g、ゼラチン2.5g、酢酸ナトリウム1.5g及びスレオニン2.4gを溶解する。この溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を滴下することによりpHを7.0に調整する。)100mlを入れ、滅菌する。このようにして調製された培地に、特開平10−94399等に記載される公知のコリネバクテリウム・シュードジフテリティカム亜種(Corynebacterium pseudodiphteriticum)ST−10株(受託番号FERM P−13150)が前記組成の液体培地で予め培養された培養液0.3mlを接種し、これを30℃で10時間振盪培養する。
培養後、得られた培養液を遠心分離(15000×g、15分、4℃)することにより、菌体を回収する。回収された菌体を、50mMリン酸1カリウム−リン酸2カリウムバッファー(pH7.0)30mlに懸濁し、この懸濁液を遠心分離(15000×g、15分、4℃)することにより、洗浄菌体を得る。
このようにして得られる洗浄菌体を用いて、J.C.Wangらの方法(Appl Microbiol Biotechnol (1999)52:386−392)によって染色体DNAを調製する。
【0040】
(6−2)本還元酵素遺伝子を含有するプラスミドの調製(プラスミドpTrcPARの構築)
配列番号3で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号4で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとをプライマーに、前記(6−1)で調製される染色体DNAを鋳型にして下記反応液組成、反応条件でPCRを行う。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)
【0041】
[反応液組成]
染色体DNA 1μl
dNTP(各2.5mM−mix) 0.4μl
プライマー(20pmol/μl) 各0.75μl
10xbuffer(with MgCl) 5μl
enz.expandHiFi (3.5x10U/ml) 0.375μl
超純水 41.725μl
【0042】
[反応条件]
上記組成の反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)−55℃(0.5分間)−72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)−55℃(0.5分間)−72℃(2.5分間)のサイクルを20回行い、さらに72℃で7分間保持する。
【0043】
PCR反応液を精製して得られたPCR増幅DNA断片に2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)を加えることにより、当該DNA断片を2重消化する。次いで得られるDNA断片を精製する。
一方、ベクターpTrc99A(Pharmacia製)を2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)を加えることにより、当該ベクターを2重消化する。次いで得られるDNA断片を精製する。
このようにして精製して得られる2種類のDNA断片を混合し、T4 DNAリガーゼでライゲーションする。得られるライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換する。
得られる形質転換体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いて本還元酵素遺伝子を含有するプラスミド(以下、プラスミドpTrcPARと記すこともある。)を取り出す。
【0044】
実施例7 (本補酵素再生酵素遺伝子の調製)
(7−1)酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド等を還元型に変換する能力を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子を調製するための準備
フラスコにLB培地(1%トリプトン、0.5%酵母エキス、1%塩化ナトリウム)100mlを入れ、滅菌した。このようにして調製された培地に、Bacillus megaterium IFO12108株が前記組成の液体培地で予め培養された培養液0.3mlを接種し、これを30℃で10時間振盪培養した。
培養後、得られた培養液を遠心分離(15000×g、15分、4℃)することにより、菌体を回収した。回収された菌体を、50mMリン酸1カリウム−リン酸2カリウムバッファー(pH7.0)30mlに懸濁し、この懸濁液を遠心分離(15000×g、15分、4℃)することにより、洗浄菌体を得た。
このようにして得られた洗浄菌体からQiagen Genomic Tip (Qiagen社製)を用い、それに付属するマニュアルに記載される方法に従って染色体DNAを精製した。
【0045】
(7−2)酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド等を還元型に変換する能力を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子の調製(その1:プラスミドpSDGDH12の構築)
The Journal of Biological Chemistry Vol.264, No.11, 6381−6385(1989)に記載された公知のBacillus megaterium IWG3由来のグルコース脱水素酵素のアミノ酸配列に基づいて配列番号5で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとを合成した。
配列番号5で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いて、前記(7−1)で精製された染色体DNAを鋳型にして実施例6(6−2)に記載させる反応液組成、反応条件でPCRを行った。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)
PCR反応液を精製して得られたPCR増幅DNA断片を、Invitrogen社製TOPOTMTA cloningキットを用いてpCR2.1−TOPOベクターの既存「PCR Product挿入サイト」にライゲーションした。得られたライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。
得られた形質転換体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてグルコース脱水素酵素を含有するプラスミド(以下、プラスミドpSDGDH12と記すこともある。)を取り出した。
次に、取り出されたプラスミドpSDGDH12を鋳型として、Dye Terminator Cycle sequencing FS ready Reaction Kit(パーキンエルマー製)を用いたシークエンス反応を行った後、得られたDNAの塩基配列をDNAシーケンサー373A(パーキンエルマー製)で解析した。その結果を配列番号7に示す。
【0046】
(7−3)酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸等を還元型に変換する能力を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子の調製(その2:プラスミドpAGDH12の構築)
(7−3−1)プラスミドpTGDH12の構築
配列番号7で示される塩基配列を基にして配列番号9で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号10で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとを合成した。
配列番号9で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号10で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いて、前記(7−1)で精製された染色体DNAを鋳型にして以下の反応液組成、反応条件でPCRを行った。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)
【0047】
[反応液組成]
染色体DNA原液 1μl
dNTP(各2.5mM−mix) 0.4μl
プライマー(20pmol/μl) 各0.75μl
10xbuffer(with MgCl) 5μl
enz.expandHiFi (3.5x10U/ml) 0.375μl
超純水 41.725μl
【0048】
[PCR反応条件]
上記組成に反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)−55℃(0.5分間)−72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)−55℃(0.5分間)−72℃(2.5分間)のサイクルを20回、さらに72℃で7分間保持した。
【0049】
PCR反応液を精製して得られたPCR増幅DNA断片に2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)を加えることにより、当該DNA断片を2重消化させた。次いで得られたDNA断片を精製した。
一方、ベクターpTV118N(宝酒造社製)を2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)を加えることにより、当該ベクターを2重消化させた。次いで消化されたDNA断片を精製した。
このようにして精製して得られた2種類のDNA断片を混合し、T4 DNAリガーゼでライゲーションした。得られたライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。得られた形質転換体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いて本還元酵素遺伝子を含有するプラスミド(以下、プラスミドpTGDH12と記すこともある。)を取り出した。
【0050】
(7−3−2)プラスミドpCGDH12の構築
ベクターpTV118N(宝酒造社製)の塩基配列を基にして配列番号11で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成した。
配列番号11で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号10で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いて、プラスミドpTGDH12を鋳型にして以下の反応液組成、反応条件でPCRを行った。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)
【0051】
[反応液組成]
プラスミドpTGDH12溶液 1μl
dNTP(各2.5mM−mix) 0.4μl
プライマー(20pmol/μl) 各0.75μl
10xbuffer(with MgCl) 5μl
enz.expandHiFi (3.5x10U/ml) 0.375μl
超純水 41.725μl
【0052】
[PCR反応条件]
上記組成に反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)−55℃(0.5分間)−72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)−55℃(0.5分間)−72℃(2.5分間)のサイクルを20回、さらに72℃で7分間保持した。
【0053】
得られたPCR反応液とInvitrogen社製TOPOTMTA cloningキットVer.Eとを用いて、PCRによって得られた約1000bpのDNA断片をpCR2.1−TOPOベクターの既存「PCR Product挿入サイト」にライゲーションし、そのライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。得られた形質転換体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いて本還元酵素遺伝子を含有するプラスミド(以下、プラスミドpCGDH12と記すこともある。)を取り出した。
【0054】
(7−3−3)プラスミドpAGDH12の構築)
プラスミドpCGDH12に制限酵素(BamHI)を加えることにより、当該プラスミドを消化した。次いで、得られるDNA断片(約1000bp)を精製した。
一方、ベクターpACYC184(ニッポンジーン社製)に制限酵素(BamHI)を加えることにより、当該ベクターを消化した。次いで得られるDNA断片を精製した。さらに、セルフライゲーションを防ぐため、Alkaline Phospatase(宝酒造社製)を用いて脱リン酸化処理を行った。
【0055】
このようにして精製して得られた2種類のDNA断片を混合し、T4 DNAリガーゼでライゲーションした。得られたライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。得られた形質転換体を20μg/mlのクロラムフェニコールを含有するLB寒天培地で培養し、生育してきたコロニーの中から4コロニーを無作為に選抜した。この選抜されたコロニーをそれぞれ20μg/mlのクロラムフェニコールを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、24時間)。それぞれの培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。取り出したプラスミドのそれぞれの一部を制限酵素(BamHI)により消化した後、当該消化物を電気泳動することにより、取り出されたプラスミド全てには前記DNA断片(約1000bp)が挿入されていることを確認した。(以下、取り出されたプラスミドをプラスミドpAGDH12と記すこともある。)
【0056】
実施例8 (本還元酵素遺伝子及び本補酵素再生酵素遺伝子を含有するプラスミドの調製:プラスミドpTrcPARSbGの構築)
実施例7(7−2)で調製されたプラスミドpSDGDH12に2種類の制限酵素(BamHIとXbaI)を加えることにより、当該プラスミドを2重消化させる。次いで消化されたDNA断片を精製する。
一方、実施例6で調製されるプラスミドpTrcPARに2種類の制限酵素(BamHIとXbaI)を加えることにより、当該プラスミドを2重消化させる。次いで得られるDNA断片を精製する。
このようにして精製して得られる2種類のDNA断片を混合し、T4 DNAリガーゼでライゲーションする。得られるライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換する。
得られる形質転換体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いて本還元酵素遺伝子及び本補酵素再生遺伝子を含有するプラスミド(以下、プラスミドpTrcPARSbGと記すこともある。)を取り出す。
【0057】
実施例9 (本還元酵素遺伝子及び本補酵素再生酵素遺伝子を含有する形質転換体の調製)
実施例8で調製されるプラスミドpTrcPARSbGを用いてE.coli HB101を形質転換する。得られる形質転換体を0.4mMのIPTG、0.01%(W/V)のZnCl及び50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(100ml×3本)に接種した後、これを振盪培養する(30℃、18時間)。培養後、培養液を遠心分離・洗浄することにより、洗浄菌体を回収する。
【0058】
実施例10 (光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールの製造方法)
100mMリン酸1カリウム−リン酸2カリウムバッファー(pH6.5)20mlに、実施例9で調製される洗浄菌体1g、NAD12mg及びグルコース2.5gを加える。この混合物に、さらに240mgのN−ベンジル−3−ピロリジノンを加えた後、当該混合物のpHを15%炭酸ナトリウム水溶液で7に調製する。このようにして得られる混合物(反応液)を30℃で4時間攪拌することにより反応を行う。反応終了後、反応液にトルエン25mlを注加攪拌し、次いで遠心分離することにより有機層及び水層を別々に回収する。回収される水層に再度トルエン25mlを加えて同様な操作を行う。このようにして得られる有機層を混合し、無水NaSOを用いて乾燥する。乾燥後、トルエンを留去することにより、光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを得る。
【0059】
参考例1 (N−ベンジル−3−ピロリジノンを光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールに変換する能力を有する微生物の取得方法
(1−1) 洗浄菌体の調製
市販の微生物又は土壌等から単離された微生物を滅菌LB培地(10ml)に接種した後、これを振盪培養する(30℃、18時間)。培養後、培養液を遠心分離・洗浄することにより、洗浄菌体を回収する。
(1−2) スクリーニング
100mMリン酸1カリウム−リン酸2カリウムバッファー(pH6.5)20mlに、上記(14−1)で調製された洗浄菌体1g、NADP12mg、NAD12mg及びグルコース2.5gを加える。この混合物に、さらに240mgのN−ベンジル−3−ピロリジノンを加えた後、当該混合物のpHを15%炭酸ナトリウム水溶液で7に調製する。このようにして得られる混合物(反応液)を30℃で4時間攪拌することにより反応を行う。反応終了後、反応液にトルエン25mlを注加攪拌し、次いで遠心分離することにより有機層及び水層を別々に回収する。回収される水層にトルエン25mlを加えて同様な操作を行う。このようにして得られる有機層を混合した後、無水NaSOを用いて乾燥する。乾燥後、トルエンを留去することにより残渣を得る。得られる残渣に、光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールが含まれていることを液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーにて定性分析及び/定量分析(光学純度分析も可能)により確認する。
【0060】
【発明の効果】
本発明により、生理活性物質製造の中間体として有用な、光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールの製造方法等が提供可能になった。
[配列表フリーテキスト]
配列番号3
PCRのために設計されたプライマーであるオリゴヌクレオチド
配列番号4
PCRのために設計されたプライマーであるオリゴヌクレオチド
配列番号5
PCRのために設計されたプライマーであるオリゴヌクレオチド
配列番号6
PCRのために設計されたプライマーであるオリゴヌクレオチド
配列番号9
PCRのために設計されたプライマーであるオリゴヌクレオチド
配列番号10
PCRのために設計されたプライマーであるオリゴヌクレオチド
配列番号11
PCRのために設計されたプライマーであるオリゴヌクレオチド
【0061】
【配列表】
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Claims (6)

  1. N−ベンジル−3−ピロリジノンに下記のアミノ酸配列群の中から選ばれるアミノ酸配列を有する酵素を作用させることを特徴とする光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールの製造方法。
    <アミノ酸配列群>
    (a)配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する酵素。
    (b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ、N−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元して光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを生成する能力を有する酵素のアミノ酸配列
    (c)配列番号2で示される塩基配列がコードするアミノ酸配列
    (d)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列に相補性を有する塩基配列がコードするアミノ酸配列を有し、かつ、N−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元して光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを生成する能力を有する酵素のアミノ酸配列
  2. 補酵素NADH/NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)存在下、N−ベンジル−3−ピロリジノンに酵素を作用させることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 2級アルコールの存在下、N−ベンジル−3−ピロリジノンに酵素を作用させることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 2級アルコールが2−プロパノールであることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
  5. 光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールが、(S)−(−)−N−ベンジル−3−ピロリジノールであることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  6. N−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元してN−ベンジル−3−ピロリジノールを生成させるための触媒としての、下記のアミノ酸配列群の中から選ばれるアミノ酸配列を有する酵素の使用。
    <アミノ酸配列群>
    (a)配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する酵素。
    (b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ、N−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元して光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを生成する能力を有する酵素のアミノ酸配列
    (c)配列番号2で示される塩基配列がコードするアミノ酸配列
    (d)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列に相補性を有する塩基配列がコードするアミノ酸配列を有し、かつ、N−ベンジル−3−ピロリジノンを不斉的に還元して光学活性N−ベンジル−3−ピロリジノールを生成する能力を有する酵素のアミノ酸配列
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