JP2004348990A - 表示装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造プロセスで表示パネル内に異物が残留すると、FED(Field Emission Display)の駆動時に、そこで放電が起こりやすくなる。
【解決手段】FEDの製造方法として、カソード基板作成工程F11で作成されたカソード基板をドライ洗浄する第1のドライ洗浄工程F12と、アノード基板作成工程F21で作成されたアノード基板をドライ洗浄する第2のドライ洗浄工程F22と、第1のパネル基板にスペーサを組み付けるスペーサ組み付け工程F23と、スペーサ組み付け後のアノード基板をドライ洗浄する第3のドライ洗浄工程F24と、ドライ洗浄済みの第1のパネル基板と第2のパネル基板とをスペーサを介して貼り合わせる基板貼り合わせ工程F31とを有する。
【選択図】 図3
【解決手段】FEDの製造方法として、カソード基板作成工程F11で作成されたカソード基板をドライ洗浄する第1のドライ洗浄工程F12と、アノード基板作成工程F21で作成されたアノード基板をドライ洗浄する第2のドライ洗浄工程F22と、第1のパネル基板にスペーサを組み付けるスペーサ組み付け工程F23と、スペーサ組み付け後のアノード基板をドライ洗浄する第3のドライ洗浄工程F24と、ドライ洗浄済みの第1のパネル基板と第2のパネル基板とをスペーサを介して貼り合わせる基板貼り合わせ工程F31とを有する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置の製造方法に係り、特に、2枚のパネル基板を貼り合わせた表示パネルを備える平面型表示装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
真空中におかれた金属等の導体あるいは半導体の表面に、ある閾値以上の電界を与えると、トンネル効果によって電子が障壁を通過し、常温時においても真空中に電子が放出される。この現象は電界放出(Field Emission)と呼ばれ、これによって電子を放出する素子は電界放出型素子(Field Emission Device)と呼ばれている。近年では、電界放出型の電子放出素子をエミッタとして用いたFED(Field Emission Display)が注目されている。FEDは、多数の電子放出素子がカソード基板上に半導体加工技術等を駆使して形成された表示パネルを備えるフラットディスプレイ装置(平面型の表示装置)である。このFEDでは、電気的に選択(アドレッシング)された電子放出素子から電界の集中によって電子を放出させるとともに、この電子をアノード基板側の蛍光体に衝突させて、蛍光体の励起・発光により画像を表示している。
【0003】
FEDの表示パネルは、その構造上、カソード基板とアノード基板とを微小なギャップを介して対向状態に配置し、その間のギャップ空間部を真空状態に封止している。そのため、カソード基板やアノード基板が大気圧に耐えられるよう、それらの基板の間にスペーサを介装し、このスペーサで両基板を支持している。FEDに用いられるスペーサとしては、長尺の薄板状に形成されたものが知られている。スペーサはアノード基板に組み付けられる。スペーサの寸法は、例えば、高さ寸法が1〜2mmで、厚み寸法が0.05〜0.1mmといった具合に非常にアスペクト比が高いものとなる。したがって、アノード基板上にはスペーサを起立状態に支持するために、例えば、微小な突起が形成されている。アノード基板へのスペーサの組み付け技術に関しては、例えば、下記特許文献1に記載された技術が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−156181号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、FEDの動作時には、表示パネルに所定の電圧が加えられる。すなわち、スペーサを介して対向するアノード基板とカソード基板の各電極(アノード電極−カソード電極)間に、アノード電圧と呼ばれる高電圧(HV)が加えられる。このとき、表示パネルの内部(アノード基板の表面、カソード基板の表面、スペーサの表面など)に微小なダスト等の異物(微粒子)が存在すると、そこで放電が起こりやすくなる。そのため、放電によって不要な電子が放出される恐れがある。
【0006】
これに対して、FEDの表示パネルの製造プロセスは、クリーンルーム等の清浄な雰囲気(空間)内で行われるものの、プロセス中やプロセス間の保管時において、FEDの表示パネルの部品(アノード基板、カソード基板、スペーサなど)への異物の付着を完全に防止することは難しい。そのため、実際の製造プロセスでは、異物が付着したままの状態でアノード基板とカソード基板が貼り合わせられる場合があり、これに起因して放電による不要電子の放出を招く恐れがあった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、表示パネル内での放電による不要電子の放出を有効に防止することができる表示装置の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る表示装置の製造方法は、第1のパネル基板にスペーサを組み付けるスペーサ組み付け工程と、このスペーサ組み付け工程の後に、第1のパネル基板と第2のパネル基板とをスペーサを介して貼り合わせる基板貼り合わせ工程と、この基板貼り合わせ工程の前に、スペーサ組み付け前の第1のパネル基板、第2のパネル基板及びスペーサ組み付け後の第1のパネル基板のうち、少なくともいずれかをドライ洗浄するドライ洗浄工程とを有するものである。
【0009】
この表示装置の製造方法においては、第1のパネル基板と第2のパネル基板とをスペーサを介して貼り合わせるにあたり、この基板貼り合わせ工程の前に、スペーサ組み付け前の第1のパネル基板をドライ洗浄することにより、当該第1のパネル基板から微小な異物が取り除かれる。また、基板貼り合わせ工程の前に、第2のパネル基板をドライ洗浄することにより、当該第2のパネル基板から微小な異物が取り除かれる。さらに、基板貼り合わせ工程の前に、スペーサ組み付け後の第1のパネル基板をドライ洗浄することにより、当該第1のパネル基板から微小な異物が取り除かれる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の方法が適用される表示装置の一例としてFEDの表示パネルの構成を示す断面図であり、図2はその表示パネルの構成を示す斜視図である。図1及び図2においては、平板状のカソード基板(カソードパネル)1と、同じく平板状のアノード基板(アノードパネル)2とを、所定の間隙を介して対向状態に配置するとともに、それら2つの基板1,2の間に長方形の枠体3を介装して一体的に組み付けることにより、画像表示のための一つのパネル構体(表示パネル)が構成されている。このうち、アノード基板2は本発明における第1のパネル基板に相当し、カソード基板1は本発明における第2のパネル基板に相当する。
【0012】
カソード基板1上には複数の電子放出部が形成されている。これら複数の電子放出部は、カソード基板1の有効領域(実際に表示部分として機能する領域)に2次元マトリックス状に多数形成されている。各々の電子放出部は、カソード基板1のベースとなる絶縁性の支持基板(例えば、ガラス基板)4と、この支持基板4上に積層状態で順に形成されたカソード電極5、絶縁層6及びゲート電極7と、ゲート電極7及び絶縁層6に形成されたゲートホール8と、このゲートホール8の底部に形成された電子放出素子9とによって構成されている。
【0013】
カソード電極5は、複数のカソードラインを形成するようにストライプ状に形成されている。ゲート電極7は、各々のカソードラインと交差(直交)する複数のゲートラインを形成するようにストライプ状に形成されている。ゲートホール8は、ゲート電極7に形成された第1の開口部8Aと、この第1の開口部8Aに連通する状態で絶縁層6に形成された第2の開口部8Bとから構成されている。電子放出素子9は、電子の放出源(エミッタ)となるもので、モリブデン(Mo)等の高融点金属を円錐状に形成した、いわゆるスピント型のエミッタ構造を有する。この電子放出素子9は、先ず、絶縁層6及びゲート電極7にそれぞれ開口部8A,8Bを形成した状態でゲート電極7上に例えばアルミニウムの斜め蒸着によって剥離層(不図示)を形成し、次いで、エミッタ材料となる高融点金属(Mo等)を垂直に蒸着することでホール開口径を徐々に縮めてゲートホール8の底部にエミッタ材料を円錐状に堆積させ、その後、不要なエミッタ材料を剥離層と一緒に取り除くことにより得られる。
【0014】
一方、アノード基板2は、ベースとなる透明基板12と、この透明基板12上に形成された蛍光体層13及びブラックマトリックス14と、これら蛍光体層13及びブラックマトリックス14を覆う状態で透明基板12上に形成されたアノード電極15とを備えて構成されている。蛍光体層13は、赤色発光用の蛍光体層13Rと、緑色発光用の蛍光体層13Gと、青色発光用の蛍光体層13Bとから構成されている。ブラックマトリックス14は、各色発光用の蛍光体層13R,13G,13Bの間に形成されている。アノード電極15は、カソード基板1の電子放出素子と対向するように、アノード基板2の有効領域の全域に積層状態で形成されている。
【0015】
これらのカソード基板1とアノード基板2とは、それぞれの外周部(周縁部)で枠体3を介して接合されている。また、カソード基板1の無効領域(有効領域の外側の領域で、実際に表示部分として機能しない領域)には真空排気用の貫通孔16が設けられている。貫通孔16には、真空排気後に封じ切られるチップ管17が接続されている。ただし、図1は表示装置の組み立て完了状態を示しているため、チップ管17は既に封じ切られた状態となっている。また、図1及び図2においては、各々の基板1,2間のギャップ部分に介装される真空耐圧用のスペーサの表示を省略している。
【0016】
上記構成のパネル構造を有する表示装置においては、カソード電極5に相対的な負電圧が走査回路18から印加され、ゲート電極7には相対的な正電圧が制御回路19から印加され、アノード電極15にはゲート電極7よりも更に高い正電圧が加速電源20から印加される。かかる表示装置において、実際に画像の表示を行う場合は、カソード電極5に走査回路18から走査信号を入力し、ゲート電極7に制御回路19からビデオ信号を入力する。
【0017】
これにより、カソード電極5とゲート電極7との間に電圧が印加され、これによって電子放出素子9の先鋭部に電界が集中することにより、量子トンネル効果によって電子がエネルギー障壁を突き抜けて電子放出素子9から真空中へと放出される。こうして放出された電子はアノード電極15に引き付けられてアノード基板2側に移動し、透明基板12上の蛍光体層13(13R,13G,13B)に衝突する。その結果、蛍光体層13が電子の衝突により励起されて発光するため、この発光位置を画素単位で制御することにより、表示パネル上に所望の画像を表示することができる。
【0018】
図3は本発明の表示装置(FED)の製造方法を適用した場合の製造工程の一例を示すフローチャートである。図3において、カソード基板作成工程F11では、カソード電極5の形成(成膜、パターニング)、絶縁層6の形成(成膜)、ゲート電極7の形成(成膜、パターニング)、ゲートホール8の形成(孔開け)、電子放出素子9の形成などにより、カソード基板1を作成する。
【0019】
次いで、第1のドライ洗浄工程F12では、先のカソード基板作成工程F11で作成されたカソード基板1をドライ洗浄する。このドライ洗浄工程F12は、図4に示すように、内部の空間を清浄化したクリーンブース21の中で行われる。クリーンブース21の内部には、カソード基板1を保持する基板保持具22と、この基板保持具22を矢印方向に沿って直線状に移動させる移動手段(不図示)と、この移動手段による基板保持具22の移動途中に、カソード基板1に近接して対向する状態で配置された洗浄ヘッド23とが設けられている。
【0020】
基板保持具22は、真空引き用の複数の吸着用孔24が設けられたベース部材25と、このベース部材25の上面に上記複数の吸着用孔24を露出する状態で取り付けられた長方形の枠型の基板ホルダー26とによって構成されている。これに対して、被洗浄物となるカソード基板1は、被洗浄面(蛍光体層13やアノード電極15などが形成された面)を外向き(上向き)にして基板ホルダー26の枠内に配置されるとともに、各々の吸着用孔24からの真空引きにより基板保持具22に吸着、保持(固定)される。
【0021】
洗浄ヘッド23は、エアーナイフと呼ばれるライン状のドライエアーを発生するもので、上記移動手段による基板保持具22の移動方向(矢印方向)に対して、これと直交する方向に長く延びる長尺状のバー構造となっている。洗浄ヘッド23の断面を拡大してみると図5に示すような構造になっている。すなわち、洗浄ヘッド23の内部には、図中矢印で示す基板移動方向の一方と他方に分割して配置された2つのプレッシャーヘッド部27A,27B、これら2つのプレッシャーヘッド部27A,27Bの間に配置された1つのバキュームヘッド部28とが設けられている。また、一方のプレッシャーヘッド部27Aには超音波発生器29Aが組み込まれ、他方のプレッシャーヘッド部27Bにも超音波発生器29Bが組み込まれている。
【0022】
上記基板保持具22及び洗浄ヘッド23を用いて実際にカソード基板1をドライ洗浄する場合は、先ず、被洗浄物となるカソード基板1を上述のように基板保持具22にセットして真空吸着により固定状態に保持する。次いで、基板保持具22を移動手段により移動(例えば、水平移動)させ、この移動によってカソード基板1を洗浄ヘッド23の下に通す。このとき、洗浄ヘッド23の一面(図5の下面)では、2つのプレッシャーヘッド部27A,27Bの吹き出しノズルから、それぞれ所定の圧力に加圧されたドライエアー(プレッシャーエアー)が噴出するとともに、このドライエアーに超音波発生器29A,29Bによって超音波が付加される。また、バキュームヘッド部28では、上記2つのプレッシャーヘッド部27A,27Bの吹き出しノズル間に位置する吸引ノズルから、エアーの吸引が行われる。
【0023】
これにより、洗浄ヘッド23の下を通過するカソード基板1の被洗浄面に対しては、2つのプレッシャーヘッド部27A,27Bから、それぞれ超音波を乗せたドライエアーが高速エアーナイフとなって吹き付けられる。このとき、一方のプレッシャーヘッド部27Aからはカソード基板1の被洗浄面に対して斜めにドライエアーが吹き付けられ、他方のプレッシャーヘッド部27Bからはそれと交差する向きでカソード基板1の被洗浄面に斜めにドライエアーが吹き付けられる。
【0024】
このようにドライエアーを吹き付けることにより、それまでカソード基板1の被洗浄面(表面)に付着していたダスト等の異物(微粒子)が基板表面から剥離される。特に、ドライエアーに超音波を乗せると、この超音波効果によってカソード基板1の被洗浄面から異物が剥離しやすくなる。また、こうして基板表面から剥離された異物は、バキュームヘッド部28からのエアーの吸引によって除去される。したがって、洗浄ヘッド23の下を完全に通過するようにカソード基板1を移動させることにより、カソード基板1の被洗浄面全体を洗浄ヘッド23で洗浄することができる。
【0025】
なお、上記ドライ洗浄工程では、カソード基板1と洗浄ヘッド23とを相対的に移動させるために、カソード基板1をセットした基板保持具22を移動させるものとしたが、これに代えて洗浄ヘッド23を移動させるものとしてもよい。
【0026】
一方、アノード基板作成工程F21では、ブラックマトリックス14の形成、蛍光体層13の形成、アノード電極15の形成(成膜)などにより、アノード基板2を作成する。次いで、第2のドライ洗浄工程F22では、先のアノード基板作成工程F21で作成されたアノード基板2をドライ洗浄する。このドライ洗浄工程F22では、被洗浄物となるアノード基板2のアノード電極形成面を被洗浄面として、上記カソード基板1の場合(ドライ洗浄工程F12)と同様の手法でアノード基板2をドライ洗浄する。
【0027】
続いて、スペーサ組み付け工程F23では、ドライ洗浄済みのアノード基板2に対して、図6に示すように、複数のスペーサ30,…を組み付ける。各々のスペーサ30は、例えばセラミックスからなるもので、長尺の薄板状に形成されている。アノード基板2のスペーサ取付部位には予めアノード基板作成工程S21でスペーサ支持用の微小な突起が複数形成されている。そして、スペーサ組み付け工程F23では、上記複数の突起の間にスペーサ30の長辺側の一端部を差し込むようにしてアノード基板2上にスペーサ30が組み付けられる。このとき、各々のスペーサ30は、アノード基板2の一辺部(通常は長辺部)に沿って互いに平行になるように組み付けられる。
【0028】
次いで、第3のドライ洗浄工程F24では、先のスペーサ組み付け工程F23でスペーサが組み付けられたアノード基板(スペーサ組み付け後のアノード基板)2をドライ洗浄する。この場合も、上記カソード基板1の場合(ドライ洗浄工程F12)と同様の手法で、スペーサ付きのアノード基板2をドライ洗浄することになるが、その際に、各々のスペーサ30の向きと洗浄ヘッド23から生成されるライン状のドライエアー(ドライエアー)の向きを次のように設定することが望ましい。
【0029】
すなわち、図7(A),(B)に示すように、アノード基板2上の各々のスペーサ30の向きに対して、当該スペーサ30の長手方向と直交する向きで洗浄ヘッド3を配置することにより、この洗浄ヘッド3から生成されるライン状のドライエアーをスペーサ30の長手方向と直交する向きでアノード基板2の被洗浄面に吹き付ける。この場合、スペーサ30の長手方向と平行な向きでライン状のドライエアーをアノード基板2に吹き付ける場合に比較して、スペーサ30が厚み方向(横方向)への風圧を受けにくくなるため、ドライエアーの吹き付けによるスペーサ30の揺れや倒れを有効に抑えることができる。なお、表示パネルの構成によっては柱状のスペーサを用いる場合もある。この場合は、スペーサの配列ピッチにもよるが、例えば、複数のスペーサを細かいピッチで連続的に組み付けた場合は、それらのスペーサの並び方向と直交する向きでライン状のドライエアーを吹き付けることが望ましい。
【0030】
その後、基板貼り合わせ工程F31では、カソード基板1とアノード基板2とをスペーサ30を介して貼り合わせる。この基板貼り合わせ工程31においては、ドライ洗浄済みのカソード基板1と、同じくドライ洗浄済みのスペーサ付きアノード基板2とを、図8に示すように、互いに対向させた状態で、相対的な位置を合わせつつ貼り合わせる。その際、例えば、アノード基板2の外周部には長方形の枠体3が取り付けられ、この枠体3の部分でカソード基板1とアノード基板2がフリットシールにより接合される。
【0031】
続いて、後工程F32では、上述のようにカソード基板1とアノード基板2とを貼り合わせて得られる表示パネルの内部を真空にするための排気処理や、チップ管17(図1参照)を封じ切るための処理、表示制御用回路18,19,20(図1参照)との電気的接続のためのTAB(Tape Automated Bonding)処理などが行われる。
【0032】
このように本実施形態に係る表示装置の製造方法では、基板貼り合わせ工程F31でカソード基板1とアノード基板2とを貼り合わせる前に、カソード基板1を単独でドライ洗浄したり、アノード基板2を単独でドライ洗浄したり、スペーサ付きのアノード基板2をドライ洗浄したりすることにより、基板貼り合わせ工程F31に受け渡される各々の部品(1,2,30)を予め清浄化した状態で、カソード基板1とアノード基板2とをスペーサ3を介して貼り合わせることができる。これにより、組み立ての完了した表示パネルを用いて画像を表示した際に、表示パネル内での異物の存在による放電の発生とこれに伴う不要電子の放出を有効に防止することができる。
【0033】
また、上記製造フローの中で、特に、スペーサ組み付け工程F23では、スペーサ30を組み付けるときに、これを支持する突起との擦れによって削れ粉が発生し、この削れ粉が微粒子(異物)となってアノード基板2上に散在することが考えられる。そのため、スペーサ組み付け工程F23の後にドライ洗浄工程F24を設け、このドライ洗浄工程F24でスペーサ付きのアノード基板2をドライ洗浄してから、カソード基板1とアノード基板2とを貼り合わせるといった製造フローを採用することにより、表示パネル内への異物の残存を有効に防止することができる。
【0034】
なお、本実施形態においては、カソード基板1のエミッタ構造として、スピント型のエミッタ構造を示したが、これ以外にも、例えば、複数のカーボンナノチューブを用いて形成される平面型のエミッタ構造など、他のエミッタ構造を採用したものでもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、スペーサ組み付け前の第1のパネル基板に付着する異物や、第2のパネル基板に付着した異物、さらにはスペーサ組み付け後の第1のパネル基板に付着した異物を、予めドライ洗浄によって除去した状態で、第1のパネル基板と第2のパネル基板とをスペーサを介して貼り合わせるため、表示パネル内での異物の存在による放電の発生とこれに伴う不要電子の放出を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法が適用される表示装置の一例としてFEDの表示パネルの構成を示す断面図である。
【図2】本発明の方法が適用される表示装置の一例としてFEDの表示パネルの構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の表示装置(FED)の製造方法を適用した場合の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図4】ドライ洗浄の具体的な手法を説明する概略図である。
【図5】ドライ洗浄に使用する洗浄ヘッドの構造を示す断面図である。
【図6】スペーサ組み付け工程を説明する斜視図である。
【図7】スペーサ組み付け後のアノード基板をドライ洗浄する際のドライ洗浄工程を説明する図である。
【図8】基板貼り合わせ工程を説明する斜視図である。
【符号の説明】
1…カソード基板、2…アノード基板、22…基板保持具、23…洗浄ヘッド、30…スペーサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置の製造方法に係り、特に、2枚のパネル基板を貼り合わせた表示パネルを備える平面型表示装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
真空中におかれた金属等の導体あるいは半導体の表面に、ある閾値以上の電界を与えると、トンネル効果によって電子が障壁を通過し、常温時においても真空中に電子が放出される。この現象は電界放出(Field Emission)と呼ばれ、これによって電子を放出する素子は電界放出型素子(Field Emission Device)と呼ばれている。近年では、電界放出型の電子放出素子をエミッタとして用いたFED(Field Emission Display)が注目されている。FEDは、多数の電子放出素子がカソード基板上に半導体加工技術等を駆使して形成された表示パネルを備えるフラットディスプレイ装置(平面型の表示装置)である。このFEDでは、電気的に選択(アドレッシング)された電子放出素子から電界の集中によって電子を放出させるとともに、この電子をアノード基板側の蛍光体に衝突させて、蛍光体の励起・発光により画像を表示している。
【0003】
FEDの表示パネルは、その構造上、カソード基板とアノード基板とを微小なギャップを介して対向状態に配置し、その間のギャップ空間部を真空状態に封止している。そのため、カソード基板やアノード基板が大気圧に耐えられるよう、それらの基板の間にスペーサを介装し、このスペーサで両基板を支持している。FEDに用いられるスペーサとしては、長尺の薄板状に形成されたものが知られている。スペーサはアノード基板に組み付けられる。スペーサの寸法は、例えば、高さ寸法が1〜2mmで、厚み寸法が0.05〜0.1mmといった具合に非常にアスペクト比が高いものとなる。したがって、アノード基板上にはスペーサを起立状態に支持するために、例えば、微小な突起が形成されている。アノード基板へのスペーサの組み付け技術に関しては、例えば、下記特許文献1に記載された技術が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−156181号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、FEDの動作時には、表示パネルに所定の電圧が加えられる。すなわち、スペーサを介して対向するアノード基板とカソード基板の各電極(アノード電極−カソード電極)間に、アノード電圧と呼ばれる高電圧(HV)が加えられる。このとき、表示パネルの内部(アノード基板の表面、カソード基板の表面、スペーサの表面など)に微小なダスト等の異物(微粒子)が存在すると、そこで放電が起こりやすくなる。そのため、放電によって不要な電子が放出される恐れがある。
【0006】
これに対して、FEDの表示パネルの製造プロセスは、クリーンルーム等の清浄な雰囲気(空間)内で行われるものの、プロセス中やプロセス間の保管時において、FEDの表示パネルの部品(アノード基板、カソード基板、スペーサなど)への異物の付着を完全に防止することは難しい。そのため、実際の製造プロセスでは、異物が付着したままの状態でアノード基板とカソード基板が貼り合わせられる場合があり、これに起因して放電による不要電子の放出を招く恐れがあった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、表示パネル内での放電による不要電子の放出を有効に防止することができる表示装置の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る表示装置の製造方法は、第1のパネル基板にスペーサを組み付けるスペーサ組み付け工程と、このスペーサ組み付け工程の後に、第1のパネル基板と第2のパネル基板とをスペーサを介して貼り合わせる基板貼り合わせ工程と、この基板貼り合わせ工程の前に、スペーサ組み付け前の第1のパネル基板、第2のパネル基板及びスペーサ組み付け後の第1のパネル基板のうち、少なくともいずれかをドライ洗浄するドライ洗浄工程とを有するものである。
【0009】
この表示装置の製造方法においては、第1のパネル基板と第2のパネル基板とをスペーサを介して貼り合わせるにあたり、この基板貼り合わせ工程の前に、スペーサ組み付け前の第1のパネル基板をドライ洗浄することにより、当該第1のパネル基板から微小な異物が取り除かれる。また、基板貼り合わせ工程の前に、第2のパネル基板をドライ洗浄することにより、当該第2のパネル基板から微小な異物が取り除かれる。さらに、基板貼り合わせ工程の前に、スペーサ組み付け後の第1のパネル基板をドライ洗浄することにより、当該第1のパネル基板から微小な異物が取り除かれる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の方法が適用される表示装置の一例としてFEDの表示パネルの構成を示す断面図であり、図2はその表示パネルの構成を示す斜視図である。図1及び図2においては、平板状のカソード基板(カソードパネル)1と、同じく平板状のアノード基板(アノードパネル)2とを、所定の間隙を介して対向状態に配置するとともに、それら2つの基板1,2の間に長方形の枠体3を介装して一体的に組み付けることにより、画像表示のための一つのパネル構体(表示パネル)が構成されている。このうち、アノード基板2は本発明における第1のパネル基板に相当し、カソード基板1は本発明における第2のパネル基板に相当する。
【0012】
カソード基板1上には複数の電子放出部が形成されている。これら複数の電子放出部は、カソード基板1の有効領域(実際に表示部分として機能する領域)に2次元マトリックス状に多数形成されている。各々の電子放出部は、カソード基板1のベースとなる絶縁性の支持基板(例えば、ガラス基板)4と、この支持基板4上に積層状態で順に形成されたカソード電極5、絶縁層6及びゲート電極7と、ゲート電極7及び絶縁層6に形成されたゲートホール8と、このゲートホール8の底部に形成された電子放出素子9とによって構成されている。
【0013】
カソード電極5は、複数のカソードラインを形成するようにストライプ状に形成されている。ゲート電極7は、各々のカソードラインと交差(直交)する複数のゲートラインを形成するようにストライプ状に形成されている。ゲートホール8は、ゲート電極7に形成された第1の開口部8Aと、この第1の開口部8Aに連通する状態で絶縁層6に形成された第2の開口部8Bとから構成されている。電子放出素子9は、電子の放出源(エミッタ)となるもので、モリブデン(Mo)等の高融点金属を円錐状に形成した、いわゆるスピント型のエミッタ構造を有する。この電子放出素子9は、先ず、絶縁層6及びゲート電極7にそれぞれ開口部8A,8Bを形成した状態でゲート電極7上に例えばアルミニウムの斜め蒸着によって剥離層(不図示)を形成し、次いで、エミッタ材料となる高融点金属(Mo等)を垂直に蒸着することでホール開口径を徐々に縮めてゲートホール8の底部にエミッタ材料を円錐状に堆積させ、その後、不要なエミッタ材料を剥離層と一緒に取り除くことにより得られる。
【0014】
一方、アノード基板2は、ベースとなる透明基板12と、この透明基板12上に形成された蛍光体層13及びブラックマトリックス14と、これら蛍光体層13及びブラックマトリックス14を覆う状態で透明基板12上に形成されたアノード電極15とを備えて構成されている。蛍光体層13は、赤色発光用の蛍光体層13Rと、緑色発光用の蛍光体層13Gと、青色発光用の蛍光体層13Bとから構成されている。ブラックマトリックス14は、各色発光用の蛍光体層13R,13G,13Bの間に形成されている。アノード電極15は、カソード基板1の電子放出素子と対向するように、アノード基板2の有効領域の全域に積層状態で形成されている。
【0015】
これらのカソード基板1とアノード基板2とは、それぞれの外周部(周縁部)で枠体3を介して接合されている。また、カソード基板1の無効領域(有効領域の外側の領域で、実際に表示部分として機能しない領域)には真空排気用の貫通孔16が設けられている。貫通孔16には、真空排気後に封じ切られるチップ管17が接続されている。ただし、図1は表示装置の組み立て完了状態を示しているため、チップ管17は既に封じ切られた状態となっている。また、図1及び図2においては、各々の基板1,2間のギャップ部分に介装される真空耐圧用のスペーサの表示を省略している。
【0016】
上記構成のパネル構造を有する表示装置においては、カソード電極5に相対的な負電圧が走査回路18から印加され、ゲート電極7には相対的な正電圧が制御回路19から印加され、アノード電極15にはゲート電極7よりも更に高い正電圧が加速電源20から印加される。かかる表示装置において、実際に画像の表示を行う場合は、カソード電極5に走査回路18から走査信号を入力し、ゲート電極7に制御回路19からビデオ信号を入力する。
【0017】
これにより、カソード電極5とゲート電極7との間に電圧が印加され、これによって電子放出素子9の先鋭部に電界が集中することにより、量子トンネル効果によって電子がエネルギー障壁を突き抜けて電子放出素子9から真空中へと放出される。こうして放出された電子はアノード電極15に引き付けられてアノード基板2側に移動し、透明基板12上の蛍光体層13(13R,13G,13B)に衝突する。その結果、蛍光体層13が電子の衝突により励起されて発光するため、この発光位置を画素単位で制御することにより、表示パネル上に所望の画像を表示することができる。
【0018】
図3は本発明の表示装置(FED)の製造方法を適用した場合の製造工程の一例を示すフローチャートである。図3において、カソード基板作成工程F11では、カソード電極5の形成(成膜、パターニング)、絶縁層6の形成(成膜)、ゲート電極7の形成(成膜、パターニング)、ゲートホール8の形成(孔開け)、電子放出素子9の形成などにより、カソード基板1を作成する。
【0019】
次いで、第1のドライ洗浄工程F12では、先のカソード基板作成工程F11で作成されたカソード基板1をドライ洗浄する。このドライ洗浄工程F12は、図4に示すように、内部の空間を清浄化したクリーンブース21の中で行われる。クリーンブース21の内部には、カソード基板1を保持する基板保持具22と、この基板保持具22を矢印方向に沿って直線状に移動させる移動手段(不図示)と、この移動手段による基板保持具22の移動途中に、カソード基板1に近接して対向する状態で配置された洗浄ヘッド23とが設けられている。
【0020】
基板保持具22は、真空引き用の複数の吸着用孔24が設けられたベース部材25と、このベース部材25の上面に上記複数の吸着用孔24を露出する状態で取り付けられた長方形の枠型の基板ホルダー26とによって構成されている。これに対して、被洗浄物となるカソード基板1は、被洗浄面(蛍光体層13やアノード電極15などが形成された面)を外向き(上向き)にして基板ホルダー26の枠内に配置されるとともに、各々の吸着用孔24からの真空引きにより基板保持具22に吸着、保持(固定)される。
【0021】
洗浄ヘッド23は、エアーナイフと呼ばれるライン状のドライエアーを発生するもので、上記移動手段による基板保持具22の移動方向(矢印方向)に対して、これと直交する方向に長く延びる長尺状のバー構造となっている。洗浄ヘッド23の断面を拡大してみると図5に示すような構造になっている。すなわち、洗浄ヘッド23の内部には、図中矢印で示す基板移動方向の一方と他方に分割して配置された2つのプレッシャーヘッド部27A,27B、これら2つのプレッシャーヘッド部27A,27Bの間に配置された1つのバキュームヘッド部28とが設けられている。また、一方のプレッシャーヘッド部27Aには超音波発生器29Aが組み込まれ、他方のプレッシャーヘッド部27Bにも超音波発生器29Bが組み込まれている。
【0022】
上記基板保持具22及び洗浄ヘッド23を用いて実際にカソード基板1をドライ洗浄する場合は、先ず、被洗浄物となるカソード基板1を上述のように基板保持具22にセットして真空吸着により固定状態に保持する。次いで、基板保持具22を移動手段により移動(例えば、水平移動)させ、この移動によってカソード基板1を洗浄ヘッド23の下に通す。このとき、洗浄ヘッド23の一面(図5の下面)では、2つのプレッシャーヘッド部27A,27Bの吹き出しノズルから、それぞれ所定の圧力に加圧されたドライエアー(プレッシャーエアー)が噴出するとともに、このドライエアーに超音波発生器29A,29Bによって超音波が付加される。また、バキュームヘッド部28では、上記2つのプレッシャーヘッド部27A,27Bの吹き出しノズル間に位置する吸引ノズルから、エアーの吸引が行われる。
【0023】
これにより、洗浄ヘッド23の下を通過するカソード基板1の被洗浄面に対しては、2つのプレッシャーヘッド部27A,27Bから、それぞれ超音波を乗せたドライエアーが高速エアーナイフとなって吹き付けられる。このとき、一方のプレッシャーヘッド部27Aからはカソード基板1の被洗浄面に対して斜めにドライエアーが吹き付けられ、他方のプレッシャーヘッド部27Bからはそれと交差する向きでカソード基板1の被洗浄面に斜めにドライエアーが吹き付けられる。
【0024】
このようにドライエアーを吹き付けることにより、それまでカソード基板1の被洗浄面(表面)に付着していたダスト等の異物(微粒子)が基板表面から剥離される。特に、ドライエアーに超音波を乗せると、この超音波効果によってカソード基板1の被洗浄面から異物が剥離しやすくなる。また、こうして基板表面から剥離された異物は、バキュームヘッド部28からのエアーの吸引によって除去される。したがって、洗浄ヘッド23の下を完全に通過するようにカソード基板1を移動させることにより、カソード基板1の被洗浄面全体を洗浄ヘッド23で洗浄することができる。
【0025】
なお、上記ドライ洗浄工程では、カソード基板1と洗浄ヘッド23とを相対的に移動させるために、カソード基板1をセットした基板保持具22を移動させるものとしたが、これに代えて洗浄ヘッド23を移動させるものとしてもよい。
【0026】
一方、アノード基板作成工程F21では、ブラックマトリックス14の形成、蛍光体層13の形成、アノード電極15の形成(成膜)などにより、アノード基板2を作成する。次いで、第2のドライ洗浄工程F22では、先のアノード基板作成工程F21で作成されたアノード基板2をドライ洗浄する。このドライ洗浄工程F22では、被洗浄物となるアノード基板2のアノード電極形成面を被洗浄面として、上記カソード基板1の場合(ドライ洗浄工程F12)と同様の手法でアノード基板2をドライ洗浄する。
【0027】
続いて、スペーサ組み付け工程F23では、ドライ洗浄済みのアノード基板2に対して、図6に示すように、複数のスペーサ30,…を組み付ける。各々のスペーサ30は、例えばセラミックスからなるもので、長尺の薄板状に形成されている。アノード基板2のスペーサ取付部位には予めアノード基板作成工程S21でスペーサ支持用の微小な突起が複数形成されている。そして、スペーサ組み付け工程F23では、上記複数の突起の間にスペーサ30の長辺側の一端部を差し込むようにしてアノード基板2上にスペーサ30が組み付けられる。このとき、各々のスペーサ30は、アノード基板2の一辺部(通常は長辺部)に沿って互いに平行になるように組み付けられる。
【0028】
次いで、第3のドライ洗浄工程F24では、先のスペーサ組み付け工程F23でスペーサが組み付けられたアノード基板(スペーサ組み付け後のアノード基板)2をドライ洗浄する。この場合も、上記カソード基板1の場合(ドライ洗浄工程F12)と同様の手法で、スペーサ付きのアノード基板2をドライ洗浄することになるが、その際に、各々のスペーサ30の向きと洗浄ヘッド23から生成されるライン状のドライエアー(ドライエアー)の向きを次のように設定することが望ましい。
【0029】
すなわち、図7(A),(B)に示すように、アノード基板2上の各々のスペーサ30の向きに対して、当該スペーサ30の長手方向と直交する向きで洗浄ヘッド3を配置することにより、この洗浄ヘッド3から生成されるライン状のドライエアーをスペーサ30の長手方向と直交する向きでアノード基板2の被洗浄面に吹き付ける。この場合、スペーサ30の長手方向と平行な向きでライン状のドライエアーをアノード基板2に吹き付ける場合に比較して、スペーサ30が厚み方向(横方向)への風圧を受けにくくなるため、ドライエアーの吹き付けによるスペーサ30の揺れや倒れを有効に抑えることができる。なお、表示パネルの構成によっては柱状のスペーサを用いる場合もある。この場合は、スペーサの配列ピッチにもよるが、例えば、複数のスペーサを細かいピッチで連続的に組み付けた場合は、それらのスペーサの並び方向と直交する向きでライン状のドライエアーを吹き付けることが望ましい。
【0030】
その後、基板貼り合わせ工程F31では、カソード基板1とアノード基板2とをスペーサ30を介して貼り合わせる。この基板貼り合わせ工程31においては、ドライ洗浄済みのカソード基板1と、同じくドライ洗浄済みのスペーサ付きアノード基板2とを、図8に示すように、互いに対向させた状態で、相対的な位置を合わせつつ貼り合わせる。その際、例えば、アノード基板2の外周部には長方形の枠体3が取り付けられ、この枠体3の部分でカソード基板1とアノード基板2がフリットシールにより接合される。
【0031】
続いて、後工程F32では、上述のようにカソード基板1とアノード基板2とを貼り合わせて得られる表示パネルの内部を真空にするための排気処理や、チップ管17(図1参照)を封じ切るための処理、表示制御用回路18,19,20(図1参照)との電気的接続のためのTAB(Tape Automated Bonding)処理などが行われる。
【0032】
このように本実施形態に係る表示装置の製造方法では、基板貼り合わせ工程F31でカソード基板1とアノード基板2とを貼り合わせる前に、カソード基板1を単独でドライ洗浄したり、アノード基板2を単独でドライ洗浄したり、スペーサ付きのアノード基板2をドライ洗浄したりすることにより、基板貼り合わせ工程F31に受け渡される各々の部品(1,2,30)を予め清浄化した状態で、カソード基板1とアノード基板2とをスペーサ3を介して貼り合わせることができる。これにより、組み立ての完了した表示パネルを用いて画像を表示した際に、表示パネル内での異物の存在による放電の発生とこれに伴う不要電子の放出を有効に防止することができる。
【0033】
また、上記製造フローの中で、特に、スペーサ組み付け工程F23では、スペーサ30を組み付けるときに、これを支持する突起との擦れによって削れ粉が発生し、この削れ粉が微粒子(異物)となってアノード基板2上に散在することが考えられる。そのため、スペーサ組み付け工程F23の後にドライ洗浄工程F24を設け、このドライ洗浄工程F24でスペーサ付きのアノード基板2をドライ洗浄してから、カソード基板1とアノード基板2とを貼り合わせるといった製造フローを採用することにより、表示パネル内への異物の残存を有効に防止することができる。
【0034】
なお、本実施形態においては、カソード基板1のエミッタ構造として、スピント型のエミッタ構造を示したが、これ以外にも、例えば、複数のカーボンナノチューブを用いて形成される平面型のエミッタ構造など、他のエミッタ構造を採用したものでもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、スペーサ組み付け前の第1のパネル基板に付着する異物や、第2のパネル基板に付着した異物、さらにはスペーサ組み付け後の第1のパネル基板に付着した異物を、予めドライ洗浄によって除去した状態で、第1のパネル基板と第2のパネル基板とをスペーサを介して貼り合わせるため、表示パネル内での異物の存在による放電の発生とこれに伴う不要電子の放出を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法が適用される表示装置の一例としてFEDの表示パネルの構成を示す断面図である。
【図2】本発明の方法が適用される表示装置の一例としてFEDの表示パネルの構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の表示装置(FED)の製造方法を適用した場合の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図4】ドライ洗浄の具体的な手法を説明する概略図である。
【図5】ドライ洗浄に使用する洗浄ヘッドの構造を示す断面図である。
【図6】スペーサ組み付け工程を説明する斜視図である。
【図7】スペーサ組み付け後のアノード基板をドライ洗浄する際のドライ洗浄工程を説明する図である。
【図8】基板貼り合わせ工程を説明する斜視図である。
【符号の説明】
1…カソード基板、2…アノード基板、22…基板保持具、23…洗浄ヘッド、30…スペーサ
Claims (3)
- 第1のパネル基板にスペーサを組み付けるスペーサ組み付け工程と、
前記スペーサ組み付け工程の後に、前記第1のパネル基板と第2のパネル基板とを前記スペーサを介して貼り合わせる基板貼り合わせ工程と、
前記基板貼り合わせ工程の前に、前記スペーサ組み付け前の前記第1のパネル基板、前記第2のパネル基板及び前記スペーサ組み付け後の前記第1のパネル基板のうち、少なくともいずれかをドライ洗浄するドライ洗浄工程と
を有することを特徴とする表示装置の製造方法。 - 前記スペーサ組み付け工程においては、前記第1のパネル基板に長尺板状のスペーサを組み付け、
前記ドライ洗浄工程においては、前記スペーサ組み付け後の前記第1のパネル基板に対して、当該スペーサの長手方向と直交する向きでライン状のドライエアーを吹き付ける
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置の製造方法。 - 前記ドライ洗浄工程においては、前記ドライエアーに超音波を乗せた状態で当該ドライエアーを前記スペーサ組み込み後の前記第1のパネル基板に吹き付ける
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置の製造方法。
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JP2003141604A JP2004348990A (ja) | 2003-05-20 | 2003-05-20 | 表示装置の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008292638A (ja) * | 2007-05-23 | 2008-12-04 | Toshiba Corp | 搬送装置、洗浄装置及び液晶表示装置の製造方法 |
-
2003
- 2003-05-20 JP JP2003141604A patent/JP2004348990A/ja active Pending
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