JP2004347918A - 電子写真トナー用離型剤および該離型剤を用いた静電荷像現像用電子写真トナー - Google Patents
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Abstract
【課題】低温定着性、耐オフセット性、現像耐久性、長期保存性、帯電性、粉砕性等に優れた電子写真トナー用離型剤および電子写真トナーを提供する。
【解決手段】少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する静電荷像現像用電子写真トナー用の離型剤であって、離型剤がメタロセン触媒により合成された特定のエチレン単独重合体またはエチレンと炭素原子数3ないし10のα‐オレフィンからなるポリオレフィンワックスよりなる電子写真トナー用離型剤。
【選択図】 なし。
【解決手段】少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する静電荷像現像用電子写真トナー用の離型剤であって、離型剤がメタロセン触媒により合成された特定のエチレン単独重合体またはエチレンと炭素原子数3ないし10のα‐オレフィンからなるポリオレフィンワックスよりなる電子写真トナー用離型剤。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電印刷等において静電荷像を現像するために用いられる電子写真トナー用離型剤及び電子写真用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
オフィスオートメーションの発展に伴い、電子写真法を利用した複写機やプリンターの需要は急激に増加しており、それらの性能に対する要求も高度化している。一般に、複写機やプリンターに於ける電子写真法は、光感光体上に静電気的潜像を形成し、ついで潜像を、トナーを用いて現像し、紙などの被定着シート上にトナー画像を転写した後、熱ロールで加熱圧着する方法(熱ロール定着方式)が行われている。この熱ロール定着方式においては、消費電力等の経済性の向上、複写速度の上昇、用紙等のカール防止等のため、より低温で定着可能な定着性の良好なトナーが要求されている。一方で、熱ロール定着方式においては、熱ロール表面とトナーが溶融状態で接触するため、トナーが熱ロール表面に付着転移し、次の被着シートにこれが再転移して汚す、所謂オフセット現象という問題が生じる。このオフセット現象を発生させないことも、重要なトナー性能への要求の一つである。さらには、複写機、プリンターの高速化に伴い、帯電部位の高性能化の要求も高まってきている。すなわちトナーに対し、より高度な耐久性が必要とされてきており、長期耐刷安定性が必要になりつつある。
【0003】
このような要求に対して、従来技術では、トナー用結着樹脂の分子量や分子量分布を改良したもの等の提案がなされている。具体的には、結着樹脂を低分子量化し、定着温度を低くしようとする試みがなされた。しかしながら、低分子量化することにより融点は低下するが、同時に樹脂の凝集力も低下するため、定着ロールへのオフセット現象が発生する。この問題を防ぐため、高分子量の樹脂と低分子量の樹脂を混合使用して分子量分布を広くしたものを該結着樹脂として用いる方法や、あるいは、さらに結着樹脂の高分子量部分を架橋させたりすることなどが行われている。しかしながらこの方法においては、樹脂の粘度が上昇してしまい、逆に、定着性を満足させることが困難となる。
【0004】
上記手法を用いたトナー用結着樹脂としては、一般に、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂等が主として用いていられている。
【0005】
しかしながら、これらの方法では、熱定着ロールからの熱量が十分に伝わり難い高速複写機や小型複写機では十分な効果が得られていない。すなわち、オフセット現象を防止する目的で、重量平均分子量の高いものや、架橋を施したものを使用すると樹脂の粘度が高くなり、定着性が悪化する。
【0006】
このような要求を達成するためにトナー中にパラフィンワックス、低分子量ポリオレフィン等を離型剤として添加する方法がある。スチレン系の結着樹脂を使用する場合には特開昭49−65232号、特開昭50−28840号、特開昭50−81342号等の技術が開示されている。しかしながら、オフセット現象を改善する反面、耐ブロッキング性や現像性が悪化する。さらに、ポリエステル樹脂の場合には、前記の離型剤を適用しても効果は少なく、使用量を多くすると現像剤の劣化が早いことも確認されている。このようなトナーは、トナー粒子の表面にポリオレフィンワックスの露出が多くみられる。そのため、ポリオレフィンがトナー粒子から脱離し、容易に現像ロールや感光体やキャリア等に移行するため、これらの汚染が生じやすくなり、現像剤としての信頼性が低下するという問題がある。さらに、混練法によるトナーではポリオレフィンのような離型剤は離型剤の分散状態の制御が困難である。
【0007】
このような状況のもと、特開昭56−87051号において、離型剤の存在下において重合することを特徴とするトナーの製造方法が開示されている。しかしながらこのような離型剤は、重合トナー製造に際して用いる重合性単量体中で、均一に分散されて使用されるが、分子量の高いオレフィン系の離型剤は分散が困難である。一方、低分子量のパラフィン等の離型剤は単量体に加熱溶解されて、均一に分散されるが、トナー粒径の単量体液滴を安定して製造するのが困難であり、こうした種々の問題は小粒径の重合トナーほど大きな問題となった。実際、特開昭60−230663号において懸濁重合によってトナーを製造する場合、これらの離型剤では十分な効果が得られないことが問題とされている。当該公報においては、離型剤の平均径d1とトナーの平均径d2の比(d1/d2)が0.4〜2.0である静電荷像現像用トナーが提案されたが、トナー粒径より大きい離型剤を用いると、2成分現像法では、キャリヤー表面にフィルミングを起こし、一成分現像法では、現像ロールやブレードにフィルミングを起こすという問題がある。当該公報の実施例によれば、離型剤を更に細かくする方法として、サンドミルで粉砕する方法が提示されているものの、離型剤をこうした湿式粉砕機でトナー粒径以下まで粉砕することは大変時間と手間を要するばかりでなく、微細化に限度があり、粒径分布が広くなるためトナー内に均一に取り込ませることが困難であった。
【0008】
また、粒子の形状および表面組成を意図的に制御したトナーを製造する手段として、特開昭63−282749号や特開平6−250439号において乳化重合凝集法が開示されている。しかし、乳化重合凝集法において離型剤を内添する場合、特開平5−11501号に開示されているように離型剤の粒径が小さすぎると定着性の効果がなく、逆に大きすぎるとトナー表面へ露出して熱や圧力によって粉体特性が悪化する。さらに大きい場合には凝集工程で凝集粒子中に内包されない、あるいは、融着工程で離型剤粒子が脱落してしまう問題が生じていた。
【0009】
このように、充分な定着性、オフセット性を持ち、なおかつ、高画質の複写画像を提供することが可能な現像剤を提供するためには、上述の現像剤に十分な電子写真特性を付与する必要があり、現在までに、複写画像の高画質,高精細化を図るために、種々の手法が試みられてはいるものの、特に上述した欠点を全て改善することができる手段は現在までのところ得られていなかった。
【0010】
【特許文献1】
特開昭49−65232号公報
【特許文献2】
特開昭50−28840号公報
【特許文献3】
特開昭50−81342号公報
【特許文献4】
特開昭56−87051号公報
【特許文献5】
特開昭60−230663号公報
【特許文献6】
特開昭63−282749号公報
【特許文献7】
特開平6−250439号公報
【特許文献8】
特開平5−11501号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来からトナーに要望されている上記諸特性を満たす静電荷像現像用電子写真トナーを提供すべく、為されたものである。
【0012】
即ち、本発明の第1の目的は、熱ロール定着方式においてオフセット防止液を塗布することなくオフセットが防止され、かつより低い定着温度で定着できる静電荷像現像用電子写真トナーを提供することである。
【0013】
本発明の第2の目的は、帯電性に優れた静電荷像現像用電子写真トナーを提供することである。
【0014】
本発明の第3の目的は、高温高湿あるいは低温低湿時においても、常に安定した高濃度の現像画像を得ることができる静電荷像現像用電子写真トナーを提供することである。
【0015】
本発明の第4の目的は、長期間安定した現像画像を形成することができる静電荷像現像用電子写真トナーを提供することである。
【0016】
本発明の第5の目的は、縣濁重合性に優れたトナー用離型剤を提供することである。
【0017】
本発明の第6の目的は、乳化重合凝集性に優れたトナー用離型剤を提供することである。
【0018】
本発明の更に他の目的は、静電荷像現像用電子写真用トナーに用いられる新規離型剤を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、これらの課題を解決するために鋭意検討した結果、従来の技術では到達できなかった優れたトナー用離型剤を見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】
即ち、本発明は、
(1) 少なくとも結着樹脂および着色剤を含有する静電荷像現像用電子写真トナー用の離型剤であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000の範囲にあり、Mw/Mnが3.2以下であり、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が65〜130℃の範囲にあり、密度勾配管法で測定した密度が850〜980kg/m3の範囲にあるポリオレフィンワックスからなることを特徴とする電子写真トナー用離型剤であり、
(2) ポリオレフィンワックスが、メタロセン系触媒により製造されたエチレン単独重合体またはエチレンと炭素原子数3〜10のα‐オレフィンとの共重合体である(1)記載の電子写真トナー用離型剤であり、
(3) 少なくとも離型剤粒子を分散した離型剤分散液を混合する工程を含む静電荷像現像用電子写真トナーの製造方法により製造された電子写真トナー用の離型剤であって、該離型剤に(1)に記載のポリオレフィンワックスを含むことを特徴とする電子写真トナー用離型剤であり、
(4) 水系分散媒体中で、少なくとも重合性単量体、着色剤、離型剤を縣濁させ、重合開始剤を用いて縣濁重合することによって得られたトナー粒子を有する電子写真トナー用の離型剤であって、該離型剤に(1)に記載のポリオレフィンワックスを含むことを特徴とする電子写真トナー用の離型剤であり、
(5) トナー粒子中にポリオレフィンワックスを1〜20質量部含むことを特徴とする(1)に記載の電子写真トナー用離型剤であり、
(6) (1)〜(5)に記載の電子写真トナー用離型剤を含む静電荷像現像用電子写真トナーである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明を更に詳細に説明する。
【0022】
本発明で用いられるポリオレフィンワックスは、エチレン単独重合体またはエチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体である。
【0023】
ここでα−オレフィンとして好ましくは炭素原子数3〜10のα−オレフィンであり、より好ましくは炭素原子数3のプロピレン、炭素原子数4の1−ブテン、炭素原子数5の1−ペンテン、炭素原子数6の1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、炭素原子数8の1−オクテンなどが挙げられ、好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンである。
【0024】
本発明のポリオレフィンワックスは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000好ましく、より好ましくは500〜5,000、さらにより好ましくは500〜4,000の範囲にある。
【0025】
また、本発明のポリオレフィンワックスのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.1〜3.2であることが好ましく、より好ましくは1.2〜2.5の範囲にある。
【0026】
また、本発明のポリオレフィンワックスは、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が65〜130℃、好ましくは70〜120℃、より好ましくは80〜110℃の範囲にある。
【0027】
さらに、本発明のポリオレフィンワックスは、密度勾配管法で測定した密度が850〜980kg/m3、好ましくは890〜980kg/m3、より好ましくは890〜980kg/m3の範囲にある。
【0028】
本発明のポリオレフィンワックスは、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶化温度(Tc(℃)、降温速度2℃/分で測定)と、密度勾配管法で測定した密度(D(kg/m3))との関係が好ましくは、下記式(I)
0.501×D−366 ≧ Tc …(I)
より好ましくは、下記式(Ia)
0.501×D−366.5 ≧ Tc …(Ia)
さらに好ましくは、下記式(Ib)
0.501×D−367 ≧ Tc …(Ib)
を満足する。
【0029】
ポリオレフィンワックスにおいて結晶化温度(Tc)と、密度(D)との関係が上記式を満たすと、ポリオレフィンワックスのコモノマー組成がより均一になる結果、ポリオレフィンワックスのベタつき成分が減少し、ポリオレフィンワックスを含むトナーとしての保存性が向上する。
【0030】
本発明のポリオレフィンワックスは、アセトン抽出分量が好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜15重量%の範囲にある。
【0031】
ポリオレフィンワックスのアセトン抽出分量が上記範囲内にあると、非結晶かつ低分子量の成分が少なくなるので、ポリオレフィンワックスを含むトナーとしての保存性が向上する。
【0032】
なお、アセトン抽出分量は以下のようにして測定される。
【0033】
ソックスレー抽出器(ガラス製)に、フィルター(ADVANCE社製、No.84)を使用し、下段の丸底フラスコ(300ml)にアセトン200mlを装入し70℃の湯浴で5時間抽出を行う。初めのワックスは10gをフィルター上にセットする。
【0034】
ポリオレフィンワックスは、常温で固体であり、80〜130℃以上で、低粘度の液体となる。ワックスには、通常の状態では完全に固体の状態を保ち、定着ロールを通過する際には、その極めて短い通過時間に定着ロールの設定温度近傍で完全に溶解し、効果を発現することが要求されている。
【0035】
上述したようなポリオレフィンワックスは、例えば周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とからなる以下のようなメタロセン系触媒を用いて製造することができる。
【0036】
メタロセン触媒は、従来の触媒に比べ、組成分布の狭い重合物を得ることができる。このため低融点成分の含有量が少なくなり、べたつき成分が少なくなる傾向がある。メタロセン触媒は、α−オレフィンとの共重合性が、従来の触媒に比べてよい傾向にある。このため、低融点のポリオレフィンワックスを得ることができ、通常のワックスに比べて、溶解を終えるための溶解温度を低くすることができる。これにより、離型へ寄与するワックス量(定着ロールの設定温度で溶解するワックス量)が多くなり、発現効果という観点からすれば、効率がよくなる。また、α−オレフィンの選択により、ポリオレフィンワックスの組成を変更することにより、縣濁性や乳化性に優れたワックスを設計することができる。
【0037】
(メタロセン化合物)
メタロセン系触媒を形成するメタロセン化合物は、周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物であり、具体的な例としては下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0038】
M1Lx …(1)
ここで、M1は周期表第4族から選ばれる遷移金属、xは遷移金属M2の原子価、Lは配位子である。
【0039】
M1で示される遷移金属の例としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウムなどがある。Lは遷移金属M1に配位する配位子であって、そのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であって、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。
【0040】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子Lとしては、例えばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−またはi−プロピルシクロペンタジエニル基、n−、i−、sec−またはt−ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基等のアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基;さらにインデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子の水素は、ハロゲン原子またはトリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
【0041】
前記のメタロセン化合物が、配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子同士が、エチレン、プロピレン等のアルキレン基;イソプロピリデン、ジフェニルメチレン等の置換アルキレン基;シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0042】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子(シクロペンタジエニル骨格を有しない配位子)Lとしては、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO3R1)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、R1はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基、ハロゲン原子で置換されたアリール基またはアルキル基で置換されたアリール基である。)などが挙げられる。
【0043】
(メタロセン化合物の例−1)
上記一般式(1)で表されるメタロセン化合物が、例えば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記一般式(2)で表される。
【0044】
R2 kR3 lR4 mR5 nM1 …(2)
ここで、M1は周期表第4族から選ばれる遷移金属、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)、R3、R4およびR5はそれぞれ独立にシクロペンタジエニル骨格を有するかまたは有しない基(配位子)である。kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
【0045】
M1がジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個含むメタロセン化合物の例を次に挙げる。
【0046】
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0047】
前記の化合物の中で、1,3−位置換シクロペンタジエニル基を1,2−位置換シクロペンタジエニル基に置き換えた化合物も用いることができる。
【0048】
またメタロセン化合物の別の例としては、上記一般式(2)において、R2、R3、R4およびR5の少なくとも2個、例えばR2およびR3がシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、この少なくとも2個の基がアルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合されているブリッジタイプのメタロセン化合物を使用することもできる。このときR4およびR5は、それぞれ独立に、前述したシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子Lと同様である。
【0049】
このようなブリッジタイプのメタロセン化合物としては、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
【0050】
(メタロセン化合物の例−2)
また別のメタロセン化合物の例としては、下記一般式(3)で表される特開平4−268307号公報記載のメタロセン化合物が挙げられる。
【0051】
【化1】
【0052】
ここで、M1は周期表第4族遷移金属であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムが挙げられる。
【0053】
R11およびR12は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数1〜10のアルコキシ基;炭素原子数6〜10のアリール基;炭素原子数6〜10のアリーロキシ基;炭素原子数2〜10のアルケニル基;炭素原子数7〜40のアリールアルキル基;炭素原子数7〜40のアルキルアリール基;炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基;またはハロゲン原子であり、R11およびR12は、塩素原子であることが好ましい。
【0054】
R13およびR14は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数6〜10のアリール基;−N(R20)2、−SR20、−OSi(R20)3、−Si(R20)3または−P(R20)2基である。ここで、R20はハロゲン原子、好ましくは塩素原子;炭素原子数1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基;または炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基である。R13およびR14は、特に水素原子であることが好ましい。
【0055】
R15およびR16は、水素原子が含まれないことを除きR13およびR14と同じであって、互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは同じである。R15およびR16は、好ましくはハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、トリフルオロメチル等が挙げられ、特にメチルが好ましい。
【0056】
上記一般式(3)において、R17は次の群から選ばれる。
【0057】
【化2】
【0058】
=BR21、=AlR21、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO2、=NR21、=CO、=PR21、=P(O)R21など。M2はケイ素、ゲルマニウムまたは錫、好ましくはケイ素またはゲルマニウムである。
【0059】
ここで、R21、R22およびR23は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基;炭素原子数6〜10のアリール基;炭素原子数6〜10のフルオロアリール基;炭素原子数1〜10のアルコキシ基;炭素原子数2〜10のアルケニル基;炭素原子数7〜40アリールアルキル基;炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基;または炭素原子数7〜40のアルキルアリール基である。「R21とR22」または「R21とR23」とは、それぞれそれらが結合する原子と一緒になって環を形成してもよい。
【0060】
また、R17は、=CR21R22、=SiR21R22、=GeR21R22、−O−、−S−、=SO、=PR21または=P(O)R21であることが好ましい。
【0061】
R18およびR19は互いに同一でも異なっていてもよく、R21と同じものが挙げられる。
【0062】
mおよびnは互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ0、1または2、好ましくは0または1であり、m+nは0、1または2、好ましくは0または1である。
【0063】
上記一般式(3)で表されるメタロセン化合物の例としては、次の化合物が挙げられる。rac−エチレン(2−メチル−1−インデニル)2−ジルコニウム−ジクロライド、rac−ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)2−ジルコニウム−ジクロライドなど。これらのメタロセン化合物は、例えば、特開平4−268307号公報に記載の方法で製造することができる。
【0064】
(メタロセン化合物の例−3)
また、メタロセン化合物としては、下記一般式(4)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0065】
【化3】
【0066】
式中、M3は、周期表第4族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムなどである。
【0067】
R24およびR25は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示す。
【0068】
R24は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチルまたはプロピルの炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
【0069】
R25は水素原子または炭化水素基が好ましく、特に水素原子、またはメチル、エチルもしくはプロピルの炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
【0070】
R26、R27、R28およびR29は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示す。これらの中では水素原子、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。R26とR27、R27とR28、R28とR29のうち少なくとも1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環の芳香族環を形成していてもよい。また芳香族環を形成する基以外に、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2個以上ある場合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおR29が芳香族基以外の置換基である場合、水素原子であることが好ましい。
【0071】
X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示す
Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR30−、−P(R30)−、−P(O)(R30)−、−BR30−または−AlR30−(ただし、R30は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
【0072】
式(4)において、R26とR27、R27とR28、R28とR29のうち少なくとも1組が互いに結合して形成する単環の芳香族環を含み、M3に配位する配位子としては、次式で表されるものなどが挙げられる。
【0073】
【化4】
【0074】
(式中、Yは前式に示したものと同じである。)
(メタロセン化合物の例−4)
メタロセン化合物としては、また下記一般式(5)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0075】
【化5】
【0076】
式中、M3、R24、R25、R26、R27、R28およびR29は、上記一般式(4)と同じである。
【0077】
R26、R27、R28およびR29のうち、R26を含む2個の基がアルキル基であることが好ましく、R26とR28、またはR28とR29がアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。またこのアルキル基は、ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換されていてもよく、ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、R24、R25で例示した置換基が挙げられる。
【0078】
R26、R27、R28およびR29のうち、アルキル基以外の基は、水素原子であることが好ましい。
【0079】
またR26、R27、R28およびR29は、これらから選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以外の単環あるいは多環を形成していてもよい。ハロゲン原子としては、上記R24およびR25と同様のものが挙げられる。
【0080】
X1、X2およびYとしては、上記と同様のものが挙げられる。
【0081】
上記一般式(5)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。rac−ジメチルシリレン−ビス(4,7−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2,4,7−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2,4,6−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0082】
これらの化合物において、ジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置換えた遷移金属化合物を用いることもできる。遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0083】
(メタロセン化合物の例−5)
メタロセン化合物として、下記一般式(6)で表されるメタロセン化合物を使用することもできる。
【0084】
【化6】
【0085】
式中、M3、R24、X1、X2およびYは、上記一般式(4)と同じである。
【0086】
R24は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルまたはブチルの炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
【0087】
R25は、炭素原子数6〜16のアリール基を示す。R25はフェニル、ナフチルであることが好ましい。アリール基は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよい。
【0088】
X1およびX2としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
【0089】
上記一般式(6)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。
【0090】
rac−ジメチルシリレン−ビス(4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(α−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(β−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(1−アントリル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。またこれら化合物において、ジルコニウム金属をチタニウム金属またはハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
【0091】
(メタロセン化合物の例−6)
またメタロセン化合物として、下記一般式(7)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0092】
LaM4X3 2 …(7)
ここで、M4は周期表第4族またはランタニド系列の金属である。Laは非局在化π結合基の誘導体であり、金属M4活性サイトに拘束幾何形状を付与している基である。X3は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数20以下の炭化水素基、20以下のケイ素を含有するシリル基または20以下のゲルマニウムを含有するゲルミル基である。
【0093】
この化合物の中では、次式(8)で示される化合物が好ましい。
【0094】
【化7】
【0095】
M4は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムである。
【0096】
X3は上記一般式(7)で説明したものと同様である。
【0097】
CpはM4にπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基である。
【0098】
Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期表第4族の元素(例えばケイ素、ゲルマニウムまたは錫)である。
【0099】
Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、ZとYとで縮合環を形成していてもよい。
【0100】
このような式(8)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。
【0101】
(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリド、((t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル)チタンジクロリドなど。またこのメタロセン化合物において、チタンをジルコニウムまたはハフニウムに置き換えた化合物を挙げることもできる。
【0102】
(メタロセン化合物の例−7)
またメタロセン化合物としては、下記一般式(9)で表されるメタロセン化合物を使用することもできる。
【0103】
【化8】
【0104】
M3は周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的には、チタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
【0105】
R31は互いに同一でも異なっていてもよく、そのうち少なくとも1個が炭素原子数11〜20のアリール基、炭素原子数12〜40のアリールアルキル基、炭素原子数13〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数12〜40のアルキルアリール基またはケイ素含有基であるか、またはR31で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成している。この場合、R31により形成される環は、R31が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が4〜20である。
【0106】
アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基および芳香族環、脂肪族環を形成しているR31以外のR31は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。
【0107】
R32は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。
【0108】
また、R32で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成していてもよい。この場合、R32により形成される環は、R32が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が4〜20であり、芳香族環、脂肪族環を形成しているR32以外のR32は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。
【0109】
なお、R32で示される2個の基が、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成して構成される基にはフルオレニル基が次式のような構造になる態様も含まれる。
【0110】
【化9】
【0111】
R32は、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。このような置換基としてR32を有するフルオレニル基としては、2,7−ジアルキル−フルオレニル基が好適な例として挙げられ、この場合の2,7−ジアルキルのアルキル基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基が挙げられる。また、R31とR32は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0112】
R33およびR34は互いに同一でも異なっていてもよく、前記と同様の水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。これらのうち、R33およびR34は、少なくとも一方が炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
【0113】
X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2とから形成された共役ジエン残基である。
【0114】
X1とX2とから形成された共役ジエン残基としては、1,3−ブタジエン、2,4−ヘキサジエン、1−フェニル−1,3−ペンタジエン、1,4−ジフェニルブタジエンの残基が好ましく、これらの残基はさらに炭素原子数1〜10の炭化水素基で置換されていてもよい。
【0115】
X1およびX2としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基またはイオウ含有基であることが好ましい。
【0116】
Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR35−、−P(R35)−、−P(O)(R35)−、−BR35−または−AlR35−(ただし、R35は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
【0117】
これらの2価の基のうちでも、−Y−の最短連結部が1個または2個の原子で構成されているものが好ましい。また、R35は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0118】
Yは、炭素原子数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
【0119】
(メタロセン化合物の例−8)
またメタロセン化合物としては、下記一般式(9)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0120】
【化10】
【0121】
式中、M3は周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
【0122】
R36は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。なお、上記アルキル基およびアルケニル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0123】
R36はこれらのうち、アルキル基、アリール基または水素原子であることが好ましく、特にメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチルなどのアリール基または水素原子であることが好ましい。
【0124】
R37は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。
【0125】
なお、上記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基は、ハロゲンが置換していてもよい。
【0126】
R37はこれらのうち、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、tert−ブチルの炭素原子数1〜4の炭化水素基であることが好ましい。また、前記R36とR37は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0127】
R38およびR39は、いずれか一方が炭素原子数1〜5のアルキル基であり、他方は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。
【0128】
これらのうち、R38およびR39は、いずれか一方がメチル、エチル、プロピルなどの炭素原子数1〜3のアルキル基であり、他方は水素原子であることが好ましい。
【0129】
X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2とから形成された共役ジエン残基である。これらのうち、ハロゲン原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
【0130】
Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR40−、−P(R40)−、−P(O)(R40)−、−BR40−または−AlR40−(但し、R40は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
【0131】
これらのうちYは、炭素原子数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
【0132】
以上に説明したメタロセン化合物は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。またメタロセン化合物は、炭化水素またはハロゲン化炭化水素などに希釈して用いてもよい。
【0133】
(有機アルミニウムオキシ化合物)
有機アルミニウムオキシ化合物は、公知のアルミノオキサンであってもよく、またベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0134】
このような公知のアルミノオキサンは、具体的には次式で表される。
【0135】
【化11】
【0136】
ここで、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の整数である。
【0137】
アルミノオキサンは式(OAl(R’))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位および式(OAl(R’’))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位(ここで、R’およびR’’はRと同様の炭化水素基を例示することができ、R’およびR’’は相異なる基を表す。)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。なお有機アルミニウムオキシ化合物は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有していてもよい。
【0138】
(イオン化イオン性化合物)
イオン化イオン性化合物(イオン性イオン化化合物、イオン性化合物と称される場合もある)としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を例示することができる。
【0139】
ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で表される化合物が挙げられる。ルイス酸の具体的なものとしては、トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0140】
前記イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などが挙げられる。イオン性化合物としてのトリアルキル置換アンモニウム塩としては、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。イオン性化合物としてのジアルキルアンモニウム塩としては、ジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0141】
前記イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることもできる。
【0142】
前記ボラン化合物としては、デカボラン(9);ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0143】
前記カルボラン化合物としては、4−カルバノナボラン(9)、1,3−ジカルバノナボラン(8)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0144】
このようなイオン化イオン性化合物は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。また有機アルミニウムオキシ化合物およびイオン化イオン性化合物は、前記担体化合物に担持させて用いることもできる。
【0145】
またメタロセン系触媒を形成するに際しては、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とともに、以下のような有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
【0146】
(有機アルミニウム化合物)
必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物としては、分子内に少なくとも1個のAl−炭素結合を有する化合物が使用できる、このような化合物としては、例えば下記一般式(11)で表される有機アルミニウム化合物、
(R6)m Al(OR7)n Hp X4 q …(11)
(式中、R6およびR7は互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子を通常1〜15個、好ましくは1〜4個含む炭化水素基である。X4はハロゲン原子である。mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であって、しかもm+n+p+q=3である。)
下記一般式(12)で表される第1属金属とアルミニウムとの錯アルキル化物などが挙げられる。
【0147】
(M5)Al(R6) …(12)
(式中、M5はLi、NaまたはKであり、R6は前記一般式(11)のR6と同じである。)
(重合)
本発明で用いられるポリオレフィンワックスは、上記メタロセン系触媒の存在下に、エチレンを通常液相で単独重合するか、またはエチレンおよびα−オレフィンを共重合させることにより得られる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、α−オレフィンを溶媒として用いてもよい。なお、ここで用いる各モノマーは、前述した通りである。
【0148】
重合方法は、ポリオレフィンワックスがヘキサン等の溶媒中に粒子として存在する状態で重合する懸濁重合、溶媒を用いないで重合する気相重合、そして140℃以上の重合温度で、ポリオレフィンワックスが溶剤と共存または単独で溶融した状態で重合する溶液重合が可能であり、その中でも溶液重合が経済性と品質の両面で好ましい。
【0149】
重合反応は、バッチ法あるいは連続法いずれの方法で行ってもよい。重合をバッチ法で実施するに際しては、前記の触媒成分は次に説明する濃度下で用いられる。
【0150】
重合系内のメタロセン化合物の濃度は、通常0.00005〜0.1ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/リットルである。
【0151】
有機アルミニウムオキシ化合物は、重合系内のメタロセン化合物中の遷移金属に対するアルミニウム原子のモル比(Al/遷移金属)で、1〜10000、好ましくは10〜5000の量で供給される。
【0152】
イオン化イオン性化合物は、重合系内のメタロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物のモル比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で表して、0.5〜20、好ましくは1〜10の量で供給される。
【0153】
また有機アルミニウム化合物が用いられる場合には、通常約0〜5ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは約0〜2ミリモル/リットルとなるような量で用いられる。
【0154】
重合反応は、通常温度が−20〜+200℃、好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは70〜180℃で、圧力が0を超えて7.8MPa(80kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超えて4.9MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下の条件下に行われる。
【0155】
重合に際して、エチレンおよび必要に応じて用いられるα−オレフィンは、前記した特定組成のポリオレフィンワックスが得られるような量割合で重合系に供給される。また重合に際しては、水素などの分子量調節剤を添加することもできる。
【0156】
このようにして重合させると、生成した重合体は通常これを含む重合液として得られるので、常法により処理するとポリオレフィンワックスが得られる。
【0157】
重合反応は、特に(メタロセン化合物の例−6)で示したメタロセン化合物を含む触媒の使用が好ましい。
【0158】
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、下記の結着樹脂の使用が可能である。
【0159】
例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニール、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、上記樹脂以外のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂、架橋されたスチレン系共重合体などの樹脂が挙げられる。好ましい結着物質としては、スチレン系共重合体もしくはポリエステル樹脂がある。
【0160】
本発明に用いられている結着樹脂のガラス転移点(Tg)は通常40〜70℃である。40℃未満ではトナーがブロッキングと呼ばれるトナー粒子の凝集を起こし好ましくなく、70℃より高いと定着性が悪化して好ましくない。
【0161】
本発明に用いられている結着樹脂は、そのテトラヒドロフラン(THF)可溶部をGPCで評価したときのMw/Mnが、4〜100であることが好ましく、6〜60であると、より好ましい。4未満では耐オフセット性が不足し好ましくない。100より大きくなると、定着性が悪化し、好ましくない。
【0162】
本発明に用いられている結着樹脂は、THF可溶部をGPCで評価したときのピーク分子量が1000〜30000であることが好ましいが、1000〜20000がより好ましく、更に好ましくは2000〜15000である。1000未満では耐オフセット性や機械的耐久性が悪化し好ましくなく、30000より大きいと、定着性が悪化し、好ましくない。
【0163】
本発明に用いられている結着樹脂に含まれるTHF不溶分は、樹脂組成物中、0〜40重量%であることが好ましい。40重量%より大きいと、定着性が悪化し、好ましくない。
【0164】
本発明の結着樹脂の低温定着特性、耐オフセット性を更に改善する必要がある場合には、以下のようなワックス、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックスを併用してもよい。前記ポリオレフィンワックスに相当するものの具体的商品名としては、三井化学社製ハイワックス800P、400P、200P、100P、720P、420P、320P、405MP、320MP、4051E、2203A、1140H、NL800、NP055、NP105、NP505、NP805等を例示することができる。また、セラミックワックス、ライスワックス、シュガーワックス、ウルシロウ、密鑞、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス等の天然ワックスを含有しても良い。上記ワックスの添加量は、トナー用樹脂組成物中に0〜20重量%の範囲であることが好ましい。
【0165】
ワックスを併用する方法としては、結着樹脂の製造時、又は製造後、さらには後述する静電荷像現像用電子写真トナーを製造する時点等、いかなる段階でも用いることができる。
【0166】
離型剤粒子分散液は少なくとも離型剤と、分散液との混合液を、離型剤の融点以上に加熱した後、下記の高圧タイプの乳化機を用いて乳化し、その後冷却して離型剤微粒子を固化することにより得られる。離型剤粒子分散液は必要に応じて、アニオン系、カチオン系、両性イオン系、ノニオン系の界面活性剤を用いてもよい。離型剤の他、着色剤や帯電制御剤粒子、内添粒子などを加えてもよい。乳化には、ホモミキサーなどの撹拌装置を用いて、十分に撹拌する。なお、この撹拌時間としては、10分間以上が好ましい。撹拌時間が短すぎるとシャープな粒径分布が得られないためである。
【0167】
アニオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩等が挙げられる。
【0168】
カチオン系界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0169】
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン、脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等がある。
【0170】
両性イオン系界面活性剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0171】
離型剤を分散させる場合の界面活性剤の含有量は、0.01〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは0.5〜2重量%である。含有量が0.01重量%未満では、凝集時に各粒子間の安定性が異なるため、特定粒子の遊離が生じるなどの問題があり、また、10重量%をこえると粒子の粒度分布が広くなったり、粒子径の制御が困難になったり、トナーの耐湿性が悪くなったりするおそれがある。
【0172】
(静電荷像現像用電子写真トナー)
本発明の静電荷像現像用電子写真トナーは、上記の結着樹脂と荷電制御剤、着色剤、磁性体などとからなる。
【0173】
本発明の静電荷像現像用電子写真トナーに用いることが出来る荷電制御剤としては、公知の荷電制御剤を単独でまたは併用して用いることができる。荷電制御剤は、トナーを所望する荷電量とするに必要な量であればよく、例えば樹脂100質量部に対して0.05〜10質量部程度とするのが好ましい。
【0174】
正荷電制御剤としては、例えばニグロシン系染料、第4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂などが挙げられる。
【0175】
また、負荷電制御剤としては、Cr、Co、Al、Feなどの金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレーン化合物などが挙げられる。
【0176】
本発明の静電荷像現像用電子写真トナーにおいて用いることができる着色剤としては、従来トナーの製造において用いられることが知られた着色剤がいずれも使用可能であり、これら着色剤の例としては、脂肪酸金属塩、種々のカーボンブラック、フタロシアニン系、ローダミン系、キナクリドン系、トリアリルメタン系、アントラキノン系、アゾ系、ジアゾ系などの染顔料があげられる。着色剤は、単独で或いは2種以上を同時に使用することができる。
【0177】
また、本発明の静電荷像現像用電子写真トナーにおいて用いることができる磁性体としては、従来磁性トナーの製造において使用されている強磁性の元素を含む合金、化合物等何れのものであってもよい。これら磁性体の例としては、マグネタイト、マグヘタイト、フェライト等の酸化鉄または二価金属と酸化鉄との化合物、鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金、及びこれらの混合物があげられる。これらの磁性体は、平均粒径が0.1〜2μm、更には0.1〜0.5μm程度のものが好ましい。
【0178】
また、トナー中の磁性体の含有量は、結着材樹脂100質量部に対して、通常約20〜200質量部、好ましくは40〜150質量部である。また、トナーの飽和磁化としては、15〜35emu/g(測定磁場 1キロエルステッド)が好ましい。
【0179】
本発明のトナーは、さらに必要に応じて滑剤、流動性改良剤、研磨剤、導電性付与剤、画像剥離防止剤等のトナーの製造に当たり使用されている公知の添加剤を内添、あるいは外添することができる。これら添加剤の例としては、滑剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛などが、流動性改良剤としては、コロイダルシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタンなどが、研磨剤としては酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、タングステンカーバイド、炭酸カルシウムなどが、導電性付与剤としてはカーボンブラック、酸化スズなどが挙げられる。また、ポリビニリデンフルオライドなどのフッ素含有重合体の微粉末は、流動性、研磨性、帯電安定性などの点から好ましいものである。
【0180】
本発明にかかる静電荷像現像用電子写真トナーは、従来から公知の方法を用いて製造することができる。例えば、前述したような結着樹脂などのトナー構成材料を、ボールミル、ヘンシェルミキサーなどの混合機により充分混合した後、熱ロールニーダー、一軸あるいは二軸のエクストルーダーなどの熱混練機を用いてよく混練し、冷却固化後、ハンマーミルなどの粉砕機などを用いて機械的に粗粉砕し、次いでジェットミルなどにより微粉砕した後、分級する方法により製造することができる。
【0181】
分散剤中に樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液と、分散剤中に着色剤粒子を分散させた着色剤分散液と、分散剤中に離型剤粒子を分散させてなる離型剤粒子分散液とを混合する混合工程と、トナー粒径に相当する凝集粒子を形成する凝集工程と、該凝集粒子を加熱することによって融合する融合工程とを含む方法により製造することもできる。
【0182】
重合性単量体、着色剤、離型剤、荷電制御剤等からなる組成物を重合させる工程を含む方法により製造することもできる。
【0183】
本発明の静電荷像現像用電子写真トナーは、キャリアと混合して二成分または一.五成分現像剤としても用いることができるし、トナー中に磁性粉を含有させた磁性一成分現像剤、もしくはキャリアや磁性粉を使用しない非磁性一成分現像剤、あるいはマイクロトーニング現像剤として用いることができる。本発明のトナーが二成分または一.五成分現像剤として用いられる場合、キャリアとしては、従来公知のキャリアがいずれも使用できる。使用することができるキャリアとしては、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のような磁性粉体やガラスビーズ等、あるいはこれらの表面を樹脂などで処理したものが挙げられる。キャリア表面を被覆する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、フッ素含有樹脂、シリコン含有樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂など、あるいはこれらの混合物が挙げられる。これらの中では、スペントトナーの形成が少ないため、フッ素含有樹脂、シリコン含有樹脂が特に好ましい。
【0184】
本発明の静電荷像現像用電子写真トナーの重量平均粒子径は、10μm以下であるが、3〜10μmであることが現像特性の面で好ましく、さらには5〜10μmであることが現像特性の面で好ましい。トナーの重量平均粒子径は、10μmを越える場合、微細な画像を発現させることが難しくなる等、現像特性の面で好ましくない。なお、トナーの粒度分布測定は、例えばコールターカウンターを用いて測定することができる。
【0185】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以降「質量部」は、特に断わらない限り質量%を表す。
【0186】
本発明におけるトナー用樹脂組成物の分子量および分子量分布の測定は、GPCを用いて求めたものである。測定は、市販の単分散標準ポリスチレンを標準とし、以下の条件で行った。
検出器 ; SHODEX RI−71S
溶剤 ; テトラヒドロフラン
カラム ; KF−G + KF−807L × 3 + KF800D
流速 ; 1.0 ml/分
試料 ; 0.25 %THF溶液
本発明におけるワックスの分子量および分子量分布の測定は、GPCを用いて求めたものである。測定は、市販の単分散標準ポリスチレンを標準とし、以下の条件で行った。
装置 ; Waters社製 (150C−ALC/GPC)
溶剤 ; o−ジクロルベンゼン
カラム ; 東ソー社製(CMタイプ)
流速 ; 1.0 ml/分
試料 ; 0.10 %o−ジクロルベンゼン溶液
温度 ; 140℃
本発明における融点は、示差走査型熱量測定法(DSC)に従い、DSC−20(セイコー電子工業社製)によって測定した。試料約10mgを−20℃から200℃まで10℃/分で昇温し、得られたカーブの吸熱ピークを融点として求める。この昇温測定の前に、一旦樹脂を200℃程度まで昇温し、5分間保持した後、即座に常温(25℃)まで降温する操作を行い、樹脂の熱履歴を統一することが望ましい。通常の方法で、昇温速度10℃/min.で測定した。
【0187】
本発明における結晶化温度(Tc、℃)は、ASTM D 3417‐75に準じるが、降温速度2℃/min.で測定した。
【0188】
また、本発明の密度(D、kg/m3)は、サンプルを150℃で1時間加熱し、23℃の恒温槽で3時間以上放置したものを使用し、JIS K7112‐1980に準じた。
【0189】
また、以下に本発明で行ったトナーの評価方法を記載する。
▲1▼ 定着性
市販の電子写真複写機を改造した複写機にて未定着画像を作成した後、この未定着画像を市販の複写機の定着部を改造した熱ローラー定着装置を用いて定着させた。熱ロールの定着速度は300mm/secとし、熱ローラーの温度を5℃ずつ変化させてトナーの定着を行った。得られた定着画像を砂消しゴム(トンボ鉛筆社製)により、0.5kgの荷重をかけ、10回摩擦させ、この摩擦試験前後の画像濃度をマクベス式反射濃度計により測定した。各温度での画像濃度の変化率が70%以上となった最低の定着温度をもって最低定着温度とした。なお、ここに用いた熱ローラ定着装置はシリコーンオイル供給機構を有しないものである。また、環境条件は、常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
【0190】
▲2▼ 耐オフセット性
耐オフセット性の評価は、上記最低定着温度の測定に準ずるが、上記複写機にて未定着画像を作成した後、トナー像を転写して上述の熱ローラー定着装置により定着処理を行い、次いで白紙の転写紙を同様の条件下で当該熱ローラ定着装置に送って転写紙上にトナー汚れが生ずるか否かを目視観察する操作を、前記熱ローラー定着装置の熱ローラーの設定温度を順次上昇させた状態で繰り返し、トナーによる汚れの生じた最低の設定温度をもってオフセット発生温度とした。また、環境条件は、常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
○ ; オフセット発生温度 ≧ 220℃
△ ; 220℃ > オフセット発生温度 ≧ 200℃
× ; 200℃ > オフセット発生温度
▲3▼ 現像耐久性
市販の複写機(東芝製、プレシオ5560)により連続して100,000枚にわたる実写テストを行った後、画像濃度、画質が劣化し始める枚数により評価した。
○ : 7万枚以上でも劣化しない
△ : 5〜7万枚で劣化
× : 5万枚以下で劣化
▲4▼ 耐ブロッキング性(保存性)
温度50℃、相対湿度50%の環境条件下に48時間放置後、150メッシュのふるいに5gのせ、パウダーテスター(細川粉体工学研究所)の加減抵抗機の目盛りを3にして、1分間振動を加える。振動後の150メッシュのふるいの上に残った重量を測定し、残存重量比を求めた。
○ ; 20%より小さい
△ ; 20%以上35%以下
× ; 35%より大きい
(ポリオレフィンワックス1の製造)
メタロセン触媒を用いて、次のようにしてポリオレフィンワックス1を合成した。
【0191】
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン790mlおよびプロピレン 80mlを装入し、水素を0.5Mpa(ゲージ圧)導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム 0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート 0.04ミリモル、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.002ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9Mpa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。
【0192】
少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。得られたポリオレフィンワックス1の物性を評価して次の値を得た。
分子量(GPC) ; Mn=500、Mw=800、Mw/Mn=1.6
密度 ; 890kg/m3
融点(DSC法) ; 80℃
必要量が得られるまで上記反応を繰り返し行った。
(ポリオレフィンワックス2の製造)
メタロセン触媒を用いて、次のようにしてポリオレフィンワックス2を合成した。
【0193】
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン 850mlおよびブテン‐1 100mlを装入し、水素を0.3Mpa(ゲージ圧)導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム 0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート 0.04ミリモル、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.002ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9Mpa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。
【0194】
少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンとプロペンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。得られたポリオレフィンワックス2の物性を評価して次の値を得た。
分子量(GPC) ; Mn=1000、Mw=1800、Mw/Mn=1.8
密度 ; 891kg/m3
融点(DSC法) ; 85℃
必要量が得られるまで上記反応を繰り返し行った。
(ポリオレフィンワックス3の製造)
メタロセン触媒を用いて、次のようにしてポリオレフィンワックス3を合成した。
【0195】
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン 920mlおよびプロピレン 80mlを装入し、水素を0.1Mpa(ゲージ圧)導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム 0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート 0.04ミリモル、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.002ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9Mpa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。
【0196】
少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンとプロペンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。得られたポリオレフィンワックス3の物性を評価して次の値を得た。
分子量(GPC) ; Mn=1800、Mw=4700、Mw/Mn=2.6
密度 ; 897kg/m3
融点(DSC法) ; 82℃
必要量が得られるまで上記反応を繰り返し行った。
(樹脂分散液1の製造)
5リットルの四つ口フラスコに還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計及び撹拌装置を取り付け、イオン交換水47.6質量部、スチレン 37.0質量部、n‐ブチルアクリレート 3.0質量部、アクリル酸0. 6質量部、ドデカンチオール 2.4質量部、4臭化炭素 0.4質量部、ネオペックスF−25(花王社製)4.0質量部をフラスコに投入し、フラスコ中で分散、乳化し10分ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム0.4質量部を溶解したイオン交換水5.0質量部を投入し、窒素置換を行った。フラスコを攪拌しながら70℃にて、5時間乳化重合を行った。これにより、中心径155nm、ガラス転移点59℃、Mw12000の低分子量樹脂分散液1を得た。
(樹脂分散液2の製造)
5リットルの四つ口フラスコに還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計及び撹拌装置を取り付け、イオン交換水50.2質量部、スチレン 28.0質量部、n‐ブチルアクリレート 12.0質量部、アクリル酸 0.8質量部、ネオペレックスF−25(花王社製)4.0質量部をフラスコに投入し、フラスコ中で分散、乳化し10分ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム0.3質量部を溶解したイオン交換水5.0質量部を投入し、窒素置換をおこなった。フラスコを攪拌しながら70℃にて、5時間乳化重合を行った。これにより、中心径105nm、ガラス転移点53℃、Mw55万の高分子量樹脂分散液2を得た。
(着色剤分散液の製造)
カーボンブラック(MA−100・三菱化学社製)20.0質量部、ネオペレックスF−25(花王社製)5.0質量部、、イオン交換水75.0質量部を混合し、本田電子(株)製超音波洗浄機W−113にて発振周波数28kHzで10分間分散して着色剤分散液を得た。このサンプルの粒度分布を堀場製作所(株)製粒度測定装置LA−700で測定したところ体積平均粒径は150nmであり、また1μmの粗大粒子は観察されなかった。
(離型剤分散液1の製造)
ポリオレフィンワックス1 20.0質量部、ネオペレックスF−25(花王社製)2.0質量部、イオン交換水78.0質量部を140℃に加熱し、ゴーリンホモジナイザーで560×105 N/m2の吐出圧力で乳化した後、急冷し、離型剤分散液を得た。このサンプルを堀場製作所(株)製粒度測定装置LA−700で測定したところ体積平均粒径は120nmであり、また0.8μm以上の粗大粒子は5%以下であった。
(離型剤分散液2の製造)
ポリオレフィンワックス2 20.0質量部、ネオペレックスF−25(花王社製)2.0質量部、イオン交換水78.0質量部を140℃に加熱し、ゴーリンホモジナイザーで560×105 N/m2の吐出圧力で乳化した後、急冷し、離型剤分散液を得た。このサンプルを堀場製作所(株)製粒度測定装置LA−700で測定したところ体積平均粒径は152nmであり、また0.8μm以上の粗大粒子は5%以下であった。
(離型剤分散液3の製造)
ポリオレフィンワックス3 20.0質量部、ネオペレックスF−25(花王社製)2.0質量部、イオン交換水78.0質量部を140℃に加熱し、ゴーリンホモジナイザーで560×105 N/m2の吐出圧力で乳化した後、急冷し、離型剤分散液を得た。このサンプルを堀場製作所(株)製粒度測定装置LA−700で測定したところ体積平均粒径は173nmであり、また0.8μm以上の粗大粒子は5%以下であった。
(離型剤分散液4の製造)
ポリエチレンワックス110P(融点109℃ 三井化学社製) 20.0質量部、ネオペレックスF−25(花王社製)2.0質量部、イオン交換水78.0質量部を140℃に加熱し、ゴーリンホモジナイザーで560×105 N/m2の吐出圧力で乳化した後、急冷し、離型剤分散液を得た。このサンプルを堀場製作所(株)製粒度測定装置LA−700で測定したところ体積平均粒径は380nmであり、また1.0μm以上の粗大粒子は15%であった。
【0197】
【表1】
以下に実施態様について具体的に記述する。
【0198】
実施例1
樹脂分散液1 180g
樹脂分散液2 80g
着色剤分散液 30g
離型剤分散液1 30g
サニゾールB50(花王社製) 1.5g
以上を丸型フラスコ中でホモミキサーで混合分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら50℃まで加熱した。50℃で1時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると約5.7μmの凝集粒子が生成していることが確認された。その後、ここにネオペックスF−25 9.0gを追加した後、フラスコを密閉して、攪拌を継続しながら105℃まで加熱し、3時間保持した。冷却後、ろ過し、イオン交換水で充分洗浄後、コールターカウンターで粒径を測定すると5.9μmであった。次いで、上記トナ−100質量部に対して、疎水性シリカ(R−972、アエロジル社製)を0.5質量部となる割合で外部から添加して、これをヘンシェルミキサーにより混合してトナ−を得た。このトナー粒子を用いて、定着性、耐オフセット性、現像耐久性、耐ブロッキング性を調べた。
【0199】
実施例2
実施例1において離型剤分散液1を離型剤分散液2に変更した以外は同様の方法でトナーを製造した。得られたトナーの粒径は5.8μmであった。
【0200】
実施例3
実施例1において離型剤分散液1を離型剤分散液3に変更した以外は同様の方法でトナーを製造した。得られたトナーの粒径は6.2μmであった。
【0201】
比較例1
実施例1において離型剤分散液1を離型剤分散液4に変更した以外は同様の方法でトナーを製造した。得られたトナーの粒径は6.1μmであった。
【0202】
【表2】
【0203】
【発明の効果】
本発明の電子写真トナー用離型剤を用いることにより、電子写真トナーの定着性、耐オフセット性、現像耐久性、保存性、帯電性が向上する。
したがって、本発明の、電子写真トナー用離型剤および電子写真トナーによれば、複写機およびプリンターの高速化、低温定着化など、近年高まっている要求に充分に対応することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電印刷等において静電荷像を現像するために用いられる電子写真トナー用離型剤及び電子写真用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
オフィスオートメーションの発展に伴い、電子写真法を利用した複写機やプリンターの需要は急激に増加しており、それらの性能に対する要求も高度化している。一般に、複写機やプリンターに於ける電子写真法は、光感光体上に静電気的潜像を形成し、ついで潜像を、トナーを用いて現像し、紙などの被定着シート上にトナー画像を転写した後、熱ロールで加熱圧着する方法(熱ロール定着方式)が行われている。この熱ロール定着方式においては、消費電力等の経済性の向上、複写速度の上昇、用紙等のカール防止等のため、より低温で定着可能な定着性の良好なトナーが要求されている。一方で、熱ロール定着方式においては、熱ロール表面とトナーが溶融状態で接触するため、トナーが熱ロール表面に付着転移し、次の被着シートにこれが再転移して汚す、所謂オフセット現象という問題が生じる。このオフセット現象を発生させないことも、重要なトナー性能への要求の一つである。さらには、複写機、プリンターの高速化に伴い、帯電部位の高性能化の要求も高まってきている。すなわちトナーに対し、より高度な耐久性が必要とされてきており、長期耐刷安定性が必要になりつつある。
【0003】
このような要求に対して、従来技術では、トナー用結着樹脂の分子量や分子量分布を改良したもの等の提案がなされている。具体的には、結着樹脂を低分子量化し、定着温度を低くしようとする試みがなされた。しかしながら、低分子量化することにより融点は低下するが、同時に樹脂の凝集力も低下するため、定着ロールへのオフセット現象が発生する。この問題を防ぐため、高分子量の樹脂と低分子量の樹脂を混合使用して分子量分布を広くしたものを該結着樹脂として用いる方法や、あるいは、さらに結着樹脂の高分子量部分を架橋させたりすることなどが行われている。しかしながらこの方法においては、樹脂の粘度が上昇してしまい、逆に、定着性を満足させることが困難となる。
【0004】
上記手法を用いたトナー用結着樹脂としては、一般に、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂等が主として用いていられている。
【0005】
しかしながら、これらの方法では、熱定着ロールからの熱量が十分に伝わり難い高速複写機や小型複写機では十分な効果が得られていない。すなわち、オフセット現象を防止する目的で、重量平均分子量の高いものや、架橋を施したものを使用すると樹脂の粘度が高くなり、定着性が悪化する。
【0006】
このような要求を達成するためにトナー中にパラフィンワックス、低分子量ポリオレフィン等を離型剤として添加する方法がある。スチレン系の結着樹脂を使用する場合には特開昭49−65232号、特開昭50−28840号、特開昭50−81342号等の技術が開示されている。しかしながら、オフセット現象を改善する反面、耐ブロッキング性や現像性が悪化する。さらに、ポリエステル樹脂の場合には、前記の離型剤を適用しても効果は少なく、使用量を多くすると現像剤の劣化が早いことも確認されている。このようなトナーは、トナー粒子の表面にポリオレフィンワックスの露出が多くみられる。そのため、ポリオレフィンがトナー粒子から脱離し、容易に現像ロールや感光体やキャリア等に移行するため、これらの汚染が生じやすくなり、現像剤としての信頼性が低下するという問題がある。さらに、混練法によるトナーではポリオレフィンのような離型剤は離型剤の分散状態の制御が困難である。
【0007】
このような状況のもと、特開昭56−87051号において、離型剤の存在下において重合することを特徴とするトナーの製造方法が開示されている。しかしながらこのような離型剤は、重合トナー製造に際して用いる重合性単量体中で、均一に分散されて使用されるが、分子量の高いオレフィン系の離型剤は分散が困難である。一方、低分子量のパラフィン等の離型剤は単量体に加熱溶解されて、均一に分散されるが、トナー粒径の単量体液滴を安定して製造するのが困難であり、こうした種々の問題は小粒径の重合トナーほど大きな問題となった。実際、特開昭60−230663号において懸濁重合によってトナーを製造する場合、これらの離型剤では十分な効果が得られないことが問題とされている。当該公報においては、離型剤の平均径d1とトナーの平均径d2の比(d1/d2)が0.4〜2.0である静電荷像現像用トナーが提案されたが、トナー粒径より大きい離型剤を用いると、2成分現像法では、キャリヤー表面にフィルミングを起こし、一成分現像法では、現像ロールやブレードにフィルミングを起こすという問題がある。当該公報の実施例によれば、離型剤を更に細かくする方法として、サンドミルで粉砕する方法が提示されているものの、離型剤をこうした湿式粉砕機でトナー粒径以下まで粉砕することは大変時間と手間を要するばかりでなく、微細化に限度があり、粒径分布が広くなるためトナー内に均一に取り込ませることが困難であった。
【0008】
また、粒子の形状および表面組成を意図的に制御したトナーを製造する手段として、特開昭63−282749号や特開平6−250439号において乳化重合凝集法が開示されている。しかし、乳化重合凝集法において離型剤を内添する場合、特開平5−11501号に開示されているように離型剤の粒径が小さすぎると定着性の効果がなく、逆に大きすぎるとトナー表面へ露出して熱や圧力によって粉体特性が悪化する。さらに大きい場合には凝集工程で凝集粒子中に内包されない、あるいは、融着工程で離型剤粒子が脱落してしまう問題が生じていた。
【0009】
このように、充分な定着性、オフセット性を持ち、なおかつ、高画質の複写画像を提供することが可能な現像剤を提供するためには、上述の現像剤に十分な電子写真特性を付与する必要があり、現在までに、複写画像の高画質,高精細化を図るために、種々の手法が試みられてはいるものの、特に上述した欠点を全て改善することができる手段は現在までのところ得られていなかった。
【0010】
【特許文献1】
特開昭49−65232号公報
【特許文献2】
特開昭50−28840号公報
【特許文献3】
特開昭50−81342号公報
【特許文献4】
特開昭56−87051号公報
【特許文献5】
特開昭60−230663号公報
【特許文献6】
特開昭63−282749号公報
【特許文献7】
特開平6−250439号公報
【特許文献8】
特開平5−11501号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来からトナーに要望されている上記諸特性を満たす静電荷像現像用電子写真トナーを提供すべく、為されたものである。
【0012】
即ち、本発明の第1の目的は、熱ロール定着方式においてオフセット防止液を塗布することなくオフセットが防止され、かつより低い定着温度で定着できる静電荷像現像用電子写真トナーを提供することである。
【0013】
本発明の第2の目的は、帯電性に優れた静電荷像現像用電子写真トナーを提供することである。
【0014】
本発明の第3の目的は、高温高湿あるいは低温低湿時においても、常に安定した高濃度の現像画像を得ることができる静電荷像現像用電子写真トナーを提供することである。
【0015】
本発明の第4の目的は、長期間安定した現像画像を形成することができる静電荷像現像用電子写真トナーを提供することである。
【0016】
本発明の第5の目的は、縣濁重合性に優れたトナー用離型剤を提供することである。
【0017】
本発明の第6の目的は、乳化重合凝集性に優れたトナー用離型剤を提供することである。
【0018】
本発明の更に他の目的は、静電荷像現像用電子写真用トナーに用いられる新規離型剤を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、これらの課題を解決するために鋭意検討した結果、従来の技術では到達できなかった優れたトナー用離型剤を見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】
即ち、本発明は、
(1) 少なくとも結着樹脂および着色剤を含有する静電荷像現像用電子写真トナー用の離型剤であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000の範囲にあり、Mw/Mnが3.2以下であり、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が65〜130℃の範囲にあり、密度勾配管法で測定した密度が850〜980kg/m3の範囲にあるポリオレフィンワックスからなることを特徴とする電子写真トナー用離型剤であり、
(2) ポリオレフィンワックスが、メタロセン系触媒により製造されたエチレン単独重合体またはエチレンと炭素原子数3〜10のα‐オレフィンとの共重合体である(1)記載の電子写真トナー用離型剤であり、
(3) 少なくとも離型剤粒子を分散した離型剤分散液を混合する工程を含む静電荷像現像用電子写真トナーの製造方法により製造された電子写真トナー用の離型剤であって、該離型剤に(1)に記載のポリオレフィンワックスを含むことを特徴とする電子写真トナー用離型剤であり、
(4) 水系分散媒体中で、少なくとも重合性単量体、着色剤、離型剤を縣濁させ、重合開始剤を用いて縣濁重合することによって得られたトナー粒子を有する電子写真トナー用の離型剤であって、該離型剤に(1)に記載のポリオレフィンワックスを含むことを特徴とする電子写真トナー用の離型剤であり、
(5) トナー粒子中にポリオレフィンワックスを1〜20質量部含むことを特徴とする(1)に記載の電子写真トナー用離型剤であり、
(6) (1)〜(5)に記載の電子写真トナー用離型剤を含む静電荷像現像用電子写真トナーである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明を更に詳細に説明する。
【0022】
本発明で用いられるポリオレフィンワックスは、エチレン単独重合体またはエチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体である。
【0023】
ここでα−オレフィンとして好ましくは炭素原子数3〜10のα−オレフィンであり、より好ましくは炭素原子数3のプロピレン、炭素原子数4の1−ブテン、炭素原子数5の1−ペンテン、炭素原子数6の1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、炭素原子数8の1−オクテンなどが挙げられ、好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンである。
【0024】
本発明のポリオレフィンワックスは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000好ましく、より好ましくは500〜5,000、さらにより好ましくは500〜4,000の範囲にある。
【0025】
また、本発明のポリオレフィンワックスのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.1〜3.2であることが好ましく、より好ましくは1.2〜2.5の範囲にある。
【0026】
また、本発明のポリオレフィンワックスは、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が65〜130℃、好ましくは70〜120℃、より好ましくは80〜110℃の範囲にある。
【0027】
さらに、本発明のポリオレフィンワックスは、密度勾配管法で測定した密度が850〜980kg/m3、好ましくは890〜980kg/m3、より好ましくは890〜980kg/m3の範囲にある。
【0028】
本発明のポリオレフィンワックスは、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶化温度(Tc(℃)、降温速度2℃/分で測定)と、密度勾配管法で測定した密度(D(kg/m3))との関係が好ましくは、下記式(I)
0.501×D−366 ≧ Tc …(I)
より好ましくは、下記式(Ia)
0.501×D−366.5 ≧ Tc …(Ia)
さらに好ましくは、下記式(Ib)
0.501×D−367 ≧ Tc …(Ib)
を満足する。
【0029】
ポリオレフィンワックスにおいて結晶化温度(Tc)と、密度(D)との関係が上記式を満たすと、ポリオレフィンワックスのコモノマー組成がより均一になる結果、ポリオレフィンワックスのベタつき成分が減少し、ポリオレフィンワックスを含むトナーとしての保存性が向上する。
【0030】
本発明のポリオレフィンワックスは、アセトン抽出分量が好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜15重量%の範囲にある。
【0031】
ポリオレフィンワックスのアセトン抽出分量が上記範囲内にあると、非結晶かつ低分子量の成分が少なくなるので、ポリオレフィンワックスを含むトナーとしての保存性が向上する。
【0032】
なお、アセトン抽出分量は以下のようにして測定される。
【0033】
ソックスレー抽出器(ガラス製)に、フィルター(ADVANCE社製、No.84)を使用し、下段の丸底フラスコ(300ml)にアセトン200mlを装入し70℃の湯浴で5時間抽出を行う。初めのワックスは10gをフィルター上にセットする。
【0034】
ポリオレフィンワックスは、常温で固体であり、80〜130℃以上で、低粘度の液体となる。ワックスには、通常の状態では完全に固体の状態を保ち、定着ロールを通過する際には、その極めて短い通過時間に定着ロールの設定温度近傍で完全に溶解し、効果を発現することが要求されている。
【0035】
上述したようなポリオレフィンワックスは、例えば周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とからなる以下のようなメタロセン系触媒を用いて製造することができる。
【0036】
メタロセン触媒は、従来の触媒に比べ、組成分布の狭い重合物を得ることができる。このため低融点成分の含有量が少なくなり、べたつき成分が少なくなる傾向がある。メタロセン触媒は、α−オレフィンとの共重合性が、従来の触媒に比べてよい傾向にある。このため、低融点のポリオレフィンワックスを得ることができ、通常のワックスに比べて、溶解を終えるための溶解温度を低くすることができる。これにより、離型へ寄与するワックス量(定着ロールの設定温度で溶解するワックス量)が多くなり、発現効果という観点からすれば、効率がよくなる。また、α−オレフィンの選択により、ポリオレフィンワックスの組成を変更することにより、縣濁性や乳化性に優れたワックスを設計することができる。
【0037】
(メタロセン化合物)
メタロセン系触媒を形成するメタロセン化合物は、周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物であり、具体的な例としては下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0038】
M1Lx …(1)
ここで、M1は周期表第4族から選ばれる遷移金属、xは遷移金属M2の原子価、Lは配位子である。
【0039】
M1で示される遷移金属の例としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウムなどがある。Lは遷移金属M1に配位する配位子であって、そのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であって、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。
【0040】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子Lとしては、例えばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−またはi−プロピルシクロペンタジエニル基、n−、i−、sec−またはt−ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基等のアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基;さらにインデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子の水素は、ハロゲン原子またはトリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
【0041】
前記のメタロセン化合物が、配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子同士が、エチレン、プロピレン等のアルキレン基;イソプロピリデン、ジフェニルメチレン等の置換アルキレン基;シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0042】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子(シクロペンタジエニル骨格を有しない配位子)Lとしては、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO3R1)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、R1はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基、ハロゲン原子で置換されたアリール基またはアルキル基で置換されたアリール基である。)などが挙げられる。
【0043】
(メタロセン化合物の例−1)
上記一般式(1)で表されるメタロセン化合物が、例えば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記一般式(2)で表される。
【0044】
R2 kR3 lR4 mR5 nM1 …(2)
ここで、M1は周期表第4族から選ばれる遷移金属、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)、R3、R4およびR5はそれぞれ独立にシクロペンタジエニル骨格を有するかまたは有しない基(配位子)である。kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
【0045】
M1がジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個含むメタロセン化合物の例を次に挙げる。
【0046】
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0047】
前記の化合物の中で、1,3−位置換シクロペンタジエニル基を1,2−位置換シクロペンタジエニル基に置き換えた化合物も用いることができる。
【0048】
またメタロセン化合物の別の例としては、上記一般式(2)において、R2、R3、R4およびR5の少なくとも2個、例えばR2およびR3がシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、この少なくとも2個の基がアルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合されているブリッジタイプのメタロセン化合物を使用することもできる。このときR4およびR5は、それぞれ独立に、前述したシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子Lと同様である。
【0049】
このようなブリッジタイプのメタロセン化合物としては、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
【0050】
(メタロセン化合物の例−2)
また別のメタロセン化合物の例としては、下記一般式(3)で表される特開平4−268307号公報記載のメタロセン化合物が挙げられる。
【0051】
【化1】
【0052】
ここで、M1は周期表第4族遷移金属であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムが挙げられる。
【0053】
R11およびR12は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数1〜10のアルコキシ基;炭素原子数6〜10のアリール基;炭素原子数6〜10のアリーロキシ基;炭素原子数2〜10のアルケニル基;炭素原子数7〜40のアリールアルキル基;炭素原子数7〜40のアルキルアリール基;炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基;またはハロゲン原子であり、R11およびR12は、塩素原子であることが好ましい。
【0054】
R13およびR14は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数6〜10のアリール基;−N(R20)2、−SR20、−OSi(R20)3、−Si(R20)3または−P(R20)2基である。ここで、R20はハロゲン原子、好ましくは塩素原子;炭素原子数1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基;または炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基である。R13およびR14は、特に水素原子であることが好ましい。
【0055】
R15およびR16は、水素原子が含まれないことを除きR13およびR14と同じであって、互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは同じである。R15およびR16は、好ましくはハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、トリフルオロメチル等が挙げられ、特にメチルが好ましい。
【0056】
上記一般式(3)において、R17は次の群から選ばれる。
【0057】
【化2】
【0058】
=BR21、=AlR21、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO2、=NR21、=CO、=PR21、=P(O)R21など。M2はケイ素、ゲルマニウムまたは錫、好ましくはケイ素またはゲルマニウムである。
【0059】
ここで、R21、R22およびR23は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基;炭素原子数6〜10のアリール基;炭素原子数6〜10のフルオロアリール基;炭素原子数1〜10のアルコキシ基;炭素原子数2〜10のアルケニル基;炭素原子数7〜40アリールアルキル基;炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基;または炭素原子数7〜40のアルキルアリール基である。「R21とR22」または「R21とR23」とは、それぞれそれらが結合する原子と一緒になって環を形成してもよい。
【0060】
また、R17は、=CR21R22、=SiR21R22、=GeR21R22、−O−、−S−、=SO、=PR21または=P(O)R21であることが好ましい。
【0061】
R18およびR19は互いに同一でも異なっていてもよく、R21と同じものが挙げられる。
【0062】
mおよびnは互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ0、1または2、好ましくは0または1であり、m+nは0、1または2、好ましくは0または1である。
【0063】
上記一般式(3)で表されるメタロセン化合物の例としては、次の化合物が挙げられる。rac−エチレン(2−メチル−1−インデニル)2−ジルコニウム−ジクロライド、rac−ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)2−ジルコニウム−ジクロライドなど。これらのメタロセン化合物は、例えば、特開平4−268307号公報に記載の方法で製造することができる。
【0064】
(メタロセン化合物の例−3)
また、メタロセン化合物としては、下記一般式(4)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0065】
【化3】
【0066】
式中、M3は、周期表第4族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムなどである。
【0067】
R24およびR25は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示す。
【0068】
R24は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチルまたはプロピルの炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
【0069】
R25は水素原子または炭化水素基が好ましく、特に水素原子、またはメチル、エチルもしくはプロピルの炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
【0070】
R26、R27、R28およびR29は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示す。これらの中では水素原子、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。R26とR27、R27とR28、R28とR29のうち少なくとも1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環の芳香族環を形成していてもよい。また芳香族環を形成する基以外に、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2個以上ある場合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおR29が芳香族基以外の置換基である場合、水素原子であることが好ましい。
【0071】
X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示す
Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR30−、−P(R30)−、−P(O)(R30)−、−BR30−または−AlR30−(ただし、R30は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
【0072】
式(4)において、R26とR27、R27とR28、R28とR29のうち少なくとも1組が互いに結合して形成する単環の芳香族環を含み、M3に配位する配位子としては、次式で表されるものなどが挙げられる。
【0073】
【化4】
【0074】
(式中、Yは前式に示したものと同じである。)
(メタロセン化合物の例−4)
メタロセン化合物としては、また下記一般式(5)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0075】
【化5】
【0076】
式中、M3、R24、R25、R26、R27、R28およびR29は、上記一般式(4)と同じである。
【0077】
R26、R27、R28およびR29のうち、R26を含む2個の基がアルキル基であることが好ましく、R26とR28、またはR28とR29がアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。またこのアルキル基は、ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換されていてもよく、ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、R24、R25で例示した置換基が挙げられる。
【0078】
R26、R27、R28およびR29のうち、アルキル基以外の基は、水素原子であることが好ましい。
【0079】
またR26、R27、R28およびR29は、これらから選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以外の単環あるいは多環を形成していてもよい。ハロゲン原子としては、上記R24およびR25と同様のものが挙げられる。
【0080】
X1、X2およびYとしては、上記と同様のものが挙げられる。
【0081】
上記一般式(5)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。rac−ジメチルシリレン−ビス(4,7−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2,4,7−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2,4,6−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0082】
これらの化合物において、ジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置換えた遷移金属化合物を用いることもできる。遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0083】
(メタロセン化合物の例−5)
メタロセン化合物として、下記一般式(6)で表されるメタロセン化合物を使用することもできる。
【0084】
【化6】
【0085】
式中、M3、R24、X1、X2およびYは、上記一般式(4)と同じである。
【0086】
R24は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルまたはブチルの炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
【0087】
R25は、炭素原子数6〜16のアリール基を示す。R25はフェニル、ナフチルであることが好ましい。アリール基は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよい。
【0088】
X1およびX2としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
【0089】
上記一般式(6)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。
【0090】
rac−ジメチルシリレン−ビス(4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(α−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(β−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(1−アントリル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。またこれら化合物において、ジルコニウム金属をチタニウム金属またはハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
【0091】
(メタロセン化合物の例−6)
またメタロセン化合物として、下記一般式(7)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0092】
LaM4X3 2 …(7)
ここで、M4は周期表第4族またはランタニド系列の金属である。Laは非局在化π結合基の誘導体であり、金属M4活性サイトに拘束幾何形状を付与している基である。X3は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数20以下の炭化水素基、20以下のケイ素を含有するシリル基または20以下のゲルマニウムを含有するゲルミル基である。
【0093】
この化合物の中では、次式(8)で示される化合物が好ましい。
【0094】
【化7】
【0095】
M4は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムである。
【0096】
X3は上記一般式(7)で説明したものと同様である。
【0097】
CpはM4にπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基である。
【0098】
Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期表第4族の元素(例えばケイ素、ゲルマニウムまたは錫)である。
【0099】
Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、ZとYとで縮合環を形成していてもよい。
【0100】
このような式(8)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。
【0101】
(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリド、((t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル)チタンジクロリドなど。またこのメタロセン化合物において、チタンをジルコニウムまたはハフニウムに置き換えた化合物を挙げることもできる。
【0102】
(メタロセン化合物の例−7)
またメタロセン化合物としては、下記一般式(9)で表されるメタロセン化合物を使用することもできる。
【0103】
【化8】
【0104】
M3は周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的には、チタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
【0105】
R31は互いに同一でも異なっていてもよく、そのうち少なくとも1個が炭素原子数11〜20のアリール基、炭素原子数12〜40のアリールアルキル基、炭素原子数13〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数12〜40のアルキルアリール基またはケイ素含有基であるか、またはR31で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成している。この場合、R31により形成される環は、R31が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が4〜20である。
【0106】
アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基および芳香族環、脂肪族環を形成しているR31以外のR31は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。
【0107】
R32は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。
【0108】
また、R32で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成していてもよい。この場合、R32により形成される環は、R32が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が4〜20であり、芳香族環、脂肪族環を形成しているR32以外のR32は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。
【0109】
なお、R32で示される2個の基が、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成して構成される基にはフルオレニル基が次式のような構造になる態様も含まれる。
【0110】
【化9】
【0111】
R32は、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。このような置換基としてR32を有するフルオレニル基としては、2,7−ジアルキル−フルオレニル基が好適な例として挙げられ、この場合の2,7−ジアルキルのアルキル基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基が挙げられる。また、R31とR32は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0112】
R33およびR34は互いに同一でも異なっていてもよく、前記と同様の水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。これらのうち、R33およびR34は、少なくとも一方が炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
【0113】
X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2とから形成された共役ジエン残基である。
【0114】
X1とX2とから形成された共役ジエン残基としては、1,3−ブタジエン、2,4−ヘキサジエン、1−フェニル−1,3−ペンタジエン、1,4−ジフェニルブタジエンの残基が好ましく、これらの残基はさらに炭素原子数1〜10の炭化水素基で置換されていてもよい。
【0115】
X1およびX2としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基またはイオウ含有基であることが好ましい。
【0116】
Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR35−、−P(R35)−、−P(O)(R35)−、−BR35−または−AlR35−(ただし、R35は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
【0117】
これらの2価の基のうちでも、−Y−の最短連結部が1個または2個の原子で構成されているものが好ましい。また、R35は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0118】
Yは、炭素原子数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
【0119】
(メタロセン化合物の例−8)
またメタロセン化合物としては、下記一般式(9)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0120】
【化10】
【0121】
式中、M3は周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
【0122】
R36は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。なお、上記アルキル基およびアルケニル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0123】
R36はこれらのうち、アルキル基、アリール基または水素原子であることが好ましく、特にメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチルなどのアリール基または水素原子であることが好ましい。
【0124】
R37は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。
【0125】
なお、上記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基は、ハロゲンが置換していてもよい。
【0126】
R37はこれらのうち、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、tert−ブチルの炭素原子数1〜4の炭化水素基であることが好ましい。また、前記R36とR37は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0127】
R38およびR39は、いずれか一方が炭素原子数1〜5のアルキル基であり、他方は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。
【0128】
これらのうち、R38およびR39は、いずれか一方がメチル、エチル、プロピルなどの炭素原子数1〜3のアルキル基であり、他方は水素原子であることが好ましい。
【0129】
X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2とから形成された共役ジエン残基である。これらのうち、ハロゲン原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
【0130】
Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR40−、−P(R40)−、−P(O)(R40)−、−BR40−または−AlR40−(但し、R40は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
【0131】
これらのうちYは、炭素原子数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
【0132】
以上に説明したメタロセン化合物は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。またメタロセン化合物は、炭化水素またはハロゲン化炭化水素などに希釈して用いてもよい。
【0133】
(有機アルミニウムオキシ化合物)
有機アルミニウムオキシ化合物は、公知のアルミノオキサンであってもよく、またベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0134】
このような公知のアルミノオキサンは、具体的には次式で表される。
【0135】
【化11】
【0136】
ここで、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の整数である。
【0137】
アルミノオキサンは式(OAl(R’))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位および式(OAl(R’’))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位(ここで、R’およびR’’はRと同様の炭化水素基を例示することができ、R’およびR’’は相異なる基を表す。)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。なお有機アルミニウムオキシ化合物は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有していてもよい。
【0138】
(イオン化イオン性化合物)
イオン化イオン性化合物(イオン性イオン化化合物、イオン性化合物と称される場合もある)としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を例示することができる。
【0139】
ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で表される化合物が挙げられる。ルイス酸の具体的なものとしては、トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0140】
前記イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などが挙げられる。イオン性化合物としてのトリアルキル置換アンモニウム塩としては、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。イオン性化合物としてのジアルキルアンモニウム塩としては、ジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0141】
前記イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることもできる。
【0142】
前記ボラン化合物としては、デカボラン(9);ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0143】
前記カルボラン化合物としては、4−カルバノナボラン(9)、1,3−ジカルバノナボラン(8)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0144】
このようなイオン化イオン性化合物は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。また有機アルミニウムオキシ化合物およびイオン化イオン性化合物は、前記担体化合物に担持させて用いることもできる。
【0145】
またメタロセン系触媒を形成するに際しては、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とともに、以下のような有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
【0146】
(有機アルミニウム化合物)
必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物としては、分子内に少なくとも1個のAl−炭素結合を有する化合物が使用できる、このような化合物としては、例えば下記一般式(11)で表される有機アルミニウム化合物、
(R6)m Al(OR7)n Hp X4 q …(11)
(式中、R6およびR7は互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子を通常1〜15個、好ましくは1〜4個含む炭化水素基である。X4はハロゲン原子である。mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であって、しかもm+n+p+q=3である。)
下記一般式(12)で表される第1属金属とアルミニウムとの錯アルキル化物などが挙げられる。
【0147】
(M5)Al(R6) …(12)
(式中、M5はLi、NaまたはKであり、R6は前記一般式(11)のR6と同じである。)
(重合)
本発明で用いられるポリオレフィンワックスは、上記メタロセン系触媒の存在下に、エチレンを通常液相で単独重合するか、またはエチレンおよびα−オレフィンを共重合させることにより得られる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、α−オレフィンを溶媒として用いてもよい。なお、ここで用いる各モノマーは、前述した通りである。
【0148】
重合方法は、ポリオレフィンワックスがヘキサン等の溶媒中に粒子として存在する状態で重合する懸濁重合、溶媒を用いないで重合する気相重合、そして140℃以上の重合温度で、ポリオレフィンワックスが溶剤と共存または単独で溶融した状態で重合する溶液重合が可能であり、その中でも溶液重合が経済性と品質の両面で好ましい。
【0149】
重合反応は、バッチ法あるいは連続法いずれの方法で行ってもよい。重合をバッチ法で実施するに際しては、前記の触媒成分は次に説明する濃度下で用いられる。
【0150】
重合系内のメタロセン化合物の濃度は、通常0.00005〜0.1ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/リットルである。
【0151】
有機アルミニウムオキシ化合物は、重合系内のメタロセン化合物中の遷移金属に対するアルミニウム原子のモル比(Al/遷移金属)で、1〜10000、好ましくは10〜5000の量で供給される。
【0152】
イオン化イオン性化合物は、重合系内のメタロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物のモル比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で表して、0.5〜20、好ましくは1〜10の量で供給される。
【0153】
また有機アルミニウム化合物が用いられる場合には、通常約0〜5ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは約0〜2ミリモル/リットルとなるような量で用いられる。
【0154】
重合反応は、通常温度が−20〜+200℃、好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは70〜180℃で、圧力が0を超えて7.8MPa(80kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超えて4.9MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下の条件下に行われる。
【0155】
重合に際して、エチレンおよび必要に応じて用いられるα−オレフィンは、前記した特定組成のポリオレフィンワックスが得られるような量割合で重合系に供給される。また重合に際しては、水素などの分子量調節剤を添加することもできる。
【0156】
このようにして重合させると、生成した重合体は通常これを含む重合液として得られるので、常法により処理するとポリオレフィンワックスが得られる。
【0157】
重合反応は、特に(メタロセン化合物の例−6)で示したメタロセン化合物を含む触媒の使用が好ましい。
【0158】
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、下記の結着樹脂の使用が可能である。
【0159】
例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニール、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、上記樹脂以外のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂、架橋されたスチレン系共重合体などの樹脂が挙げられる。好ましい結着物質としては、スチレン系共重合体もしくはポリエステル樹脂がある。
【0160】
本発明に用いられている結着樹脂のガラス転移点(Tg)は通常40〜70℃である。40℃未満ではトナーがブロッキングと呼ばれるトナー粒子の凝集を起こし好ましくなく、70℃より高いと定着性が悪化して好ましくない。
【0161】
本発明に用いられている結着樹脂は、そのテトラヒドロフラン(THF)可溶部をGPCで評価したときのMw/Mnが、4〜100であることが好ましく、6〜60であると、より好ましい。4未満では耐オフセット性が不足し好ましくない。100より大きくなると、定着性が悪化し、好ましくない。
【0162】
本発明に用いられている結着樹脂は、THF可溶部をGPCで評価したときのピーク分子量が1000〜30000であることが好ましいが、1000〜20000がより好ましく、更に好ましくは2000〜15000である。1000未満では耐オフセット性や機械的耐久性が悪化し好ましくなく、30000より大きいと、定着性が悪化し、好ましくない。
【0163】
本発明に用いられている結着樹脂に含まれるTHF不溶分は、樹脂組成物中、0〜40重量%であることが好ましい。40重量%より大きいと、定着性が悪化し、好ましくない。
【0164】
本発明の結着樹脂の低温定着特性、耐オフセット性を更に改善する必要がある場合には、以下のようなワックス、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックスを併用してもよい。前記ポリオレフィンワックスに相当するものの具体的商品名としては、三井化学社製ハイワックス800P、400P、200P、100P、720P、420P、320P、405MP、320MP、4051E、2203A、1140H、NL800、NP055、NP105、NP505、NP805等を例示することができる。また、セラミックワックス、ライスワックス、シュガーワックス、ウルシロウ、密鑞、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス等の天然ワックスを含有しても良い。上記ワックスの添加量は、トナー用樹脂組成物中に0〜20重量%の範囲であることが好ましい。
【0165】
ワックスを併用する方法としては、結着樹脂の製造時、又は製造後、さらには後述する静電荷像現像用電子写真トナーを製造する時点等、いかなる段階でも用いることができる。
【0166】
離型剤粒子分散液は少なくとも離型剤と、分散液との混合液を、離型剤の融点以上に加熱した後、下記の高圧タイプの乳化機を用いて乳化し、その後冷却して離型剤微粒子を固化することにより得られる。離型剤粒子分散液は必要に応じて、アニオン系、カチオン系、両性イオン系、ノニオン系の界面活性剤を用いてもよい。離型剤の他、着色剤や帯電制御剤粒子、内添粒子などを加えてもよい。乳化には、ホモミキサーなどの撹拌装置を用いて、十分に撹拌する。なお、この撹拌時間としては、10分間以上が好ましい。撹拌時間が短すぎるとシャープな粒径分布が得られないためである。
【0167】
アニオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩等が挙げられる。
【0168】
カチオン系界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0169】
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン、脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等がある。
【0170】
両性イオン系界面活性剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0171】
離型剤を分散させる場合の界面活性剤の含有量は、0.01〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは0.5〜2重量%である。含有量が0.01重量%未満では、凝集時に各粒子間の安定性が異なるため、特定粒子の遊離が生じるなどの問題があり、また、10重量%をこえると粒子の粒度分布が広くなったり、粒子径の制御が困難になったり、トナーの耐湿性が悪くなったりするおそれがある。
【0172】
(静電荷像現像用電子写真トナー)
本発明の静電荷像現像用電子写真トナーは、上記の結着樹脂と荷電制御剤、着色剤、磁性体などとからなる。
【0173】
本発明の静電荷像現像用電子写真トナーに用いることが出来る荷電制御剤としては、公知の荷電制御剤を単独でまたは併用して用いることができる。荷電制御剤は、トナーを所望する荷電量とするに必要な量であればよく、例えば樹脂100質量部に対して0.05〜10質量部程度とするのが好ましい。
【0174】
正荷電制御剤としては、例えばニグロシン系染料、第4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂などが挙げられる。
【0175】
また、負荷電制御剤としては、Cr、Co、Al、Feなどの金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレーン化合物などが挙げられる。
【0176】
本発明の静電荷像現像用電子写真トナーにおいて用いることができる着色剤としては、従来トナーの製造において用いられることが知られた着色剤がいずれも使用可能であり、これら着色剤の例としては、脂肪酸金属塩、種々のカーボンブラック、フタロシアニン系、ローダミン系、キナクリドン系、トリアリルメタン系、アントラキノン系、アゾ系、ジアゾ系などの染顔料があげられる。着色剤は、単独で或いは2種以上を同時に使用することができる。
【0177】
また、本発明の静電荷像現像用電子写真トナーにおいて用いることができる磁性体としては、従来磁性トナーの製造において使用されている強磁性の元素を含む合金、化合物等何れのものであってもよい。これら磁性体の例としては、マグネタイト、マグヘタイト、フェライト等の酸化鉄または二価金属と酸化鉄との化合物、鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金、及びこれらの混合物があげられる。これらの磁性体は、平均粒径が0.1〜2μm、更には0.1〜0.5μm程度のものが好ましい。
【0178】
また、トナー中の磁性体の含有量は、結着材樹脂100質量部に対して、通常約20〜200質量部、好ましくは40〜150質量部である。また、トナーの飽和磁化としては、15〜35emu/g(測定磁場 1キロエルステッド)が好ましい。
【0179】
本発明のトナーは、さらに必要に応じて滑剤、流動性改良剤、研磨剤、導電性付与剤、画像剥離防止剤等のトナーの製造に当たり使用されている公知の添加剤を内添、あるいは外添することができる。これら添加剤の例としては、滑剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛などが、流動性改良剤としては、コロイダルシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタンなどが、研磨剤としては酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、タングステンカーバイド、炭酸カルシウムなどが、導電性付与剤としてはカーボンブラック、酸化スズなどが挙げられる。また、ポリビニリデンフルオライドなどのフッ素含有重合体の微粉末は、流動性、研磨性、帯電安定性などの点から好ましいものである。
【0180】
本発明にかかる静電荷像現像用電子写真トナーは、従来から公知の方法を用いて製造することができる。例えば、前述したような結着樹脂などのトナー構成材料を、ボールミル、ヘンシェルミキサーなどの混合機により充分混合した後、熱ロールニーダー、一軸あるいは二軸のエクストルーダーなどの熱混練機を用いてよく混練し、冷却固化後、ハンマーミルなどの粉砕機などを用いて機械的に粗粉砕し、次いでジェットミルなどにより微粉砕した後、分級する方法により製造することができる。
【0181】
分散剤中に樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液と、分散剤中に着色剤粒子を分散させた着色剤分散液と、分散剤中に離型剤粒子を分散させてなる離型剤粒子分散液とを混合する混合工程と、トナー粒径に相当する凝集粒子を形成する凝集工程と、該凝集粒子を加熱することによって融合する融合工程とを含む方法により製造することもできる。
【0182】
重合性単量体、着色剤、離型剤、荷電制御剤等からなる組成物を重合させる工程を含む方法により製造することもできる。
【0183】
本発明の静電荷像現像用電子写真トナーは、キャリアと混合して二成分または一.五成分現像剤としても用いることができるし、トナー中に磁性粉を含有させた磁性一成分現像剤、もしくはキャリアや磁性粉を使用しない非磁性一成分現像剤、あるいはマイクロトーニング現像剤として用いることができる。本発明のトナーが二成分または一.五成分現像剤として用いられる場合、キャリアとしては、従来公知のキャリアがいずれも使用できる。使用することができるキャリアとしては、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のような磁性粉体やガラスビーズ等、あるいはこれらの表面を樹脂などで処理したものが挙げられる。キャリア表面を被覆する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、フッ素含有樹脂、シリコン含有樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂など、あるいはこれらの混合物が挙げられる。これらの中では、スペントトナーの形成が少ないため、フッ素含有樹脂、シリコン含有樹脂が特に好ましい。
【0184】
本発明の静電荷像現像用電子写真トナーの重量平均粒子径は、10μm以下であるが、3〜10μmであることが現像特性の面で好ましく、さらには5〜10μmであることが現像特性の面で好ましい。トナーの重量平均粒子径は、10μmを越える場合、微細な画像を発現させることが難しくなる等、現像特性の面で好ましくない。なお、トナーの粒度分布測定は、例えばコールターカウンターを用いて測定することができる。
【0185】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以降「質量部」は、特に断わらない限り質量%を表す。
【0186】
本発明におけるトナー用樹脂組成物の分子量および分子量分布の測定は、GPCを用いて求めたものである。測定は、市販の単分散標準ポリスチレンを標準とし、以下の条件で行った。
検出器 ; SHODEX RI−71S
溶剤 ; テトラヒドロフラン
カラム ; KF−G + KF−807L × 3 + KF800D
流速 ; 1.0 ml/分
試料 ; 0.25 %THF溶液
本発明におけるワックスの分子量および分子量分布の測定は、GPCを用いて求めたものである。測定は、市販の単分散標準ポリスチレンを標準とし、以下の条件で行った。
装置 ; Waters社製 (150C−ALC/GPC)
溶剤 ; o−ジクロルベンゼン
カラム ; 東ソー社製(CMタイプ)
流速 ; 1.0 ml/分
試料 ; 0.10 %o−ジクロルベンゼン溶液
温度 ; 140℃
本発明における融点は、示差走査型熱量測定法(DSC)に従い、DSC−20(セイコー電子工業社製)によって測定した。試料約10mgを−20℃から200℃まで10℃/分で昇温し、得られたカーブの吸熱ピークを融点として求める。この昇温測定の前に、一旦樹脂を200℃程度まで昇温し、5分間保持した後、即座に常温(25℃)まで降温する操作を行い、樹脂の熱履歴を統一することが望ましい。通常の方法で、昇温速度10℃/min.で測定した。
【0187】
本発明における結晶化温度(Tc、℃)は、ASTM D 3417‐75に準じるが、降温速度2℃/min.で測定した。
【0188】
また、本発明の密度(D、kg/m3)は、サンプルを150℃で1時間加熱し、23℃の恒温槽で3時間以上放置したものを使用し、JIS K7112‐1980に準じた。
【0189】
また、以下に本発明で行ったトナーの評価方法を記載する。
▲1▼ 定着性
市販の電子写真複写機を改造した複写機にて未定着画像を作成した後、この未定着画像を市販の複写機の定着部を改造した熱ローラー定着装置を用いて定着させた。熱ロールの定着速度は300mm/secとし、熱ローラーの温度を5℃ずつ変化させてトナーの定着を行った。得られた定着画像を砂消しゴム(トンボ鉛筆社製)により、0.5kgの荷重をかけ、10回摩擦させ、この摩擦試験前後の画像濃度をマクベス式反射濃度計により測定した。各温度での画像濃度の変化率が70%以上となった最低の定着温度をもって最低定着温度とした。なお、ここに用いた熱ローラ定着装置はシリコーンオイル供給機構を有しないものである。また、環境条件は、常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
【0190】
▲2▼ 耐オフセット性
耐オフセット性の評価は、上記最低定着温度の測定に準ずるが、上記複写機にて未定着画像を作成した後、トナー像を転写して上述の熱ローラー定着装置により定着処理を行い、次いで白紙の転写紙を同様の条件下で当該熱ローラ定着装置に送って転写紙上にトナー汚れが生ずるか否かを目視観察する操作を、前記熱ローラー定着装置の熱ローラーの設定温度を順次上昇させた状態で繰り返し、トナーによる汚れの生じた最低の設定温度をもってオフセット発生温度とした。また、環境条件は、常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
○ ; オフセット発生温度 ≧ 220℃
△ ; 220℃ > オフセット発生温度 ≧ 200℃
× ; 200℃ > オフセット発生温度
▲3▼ 現像耐久性
市販の複写機(東芝製、プレシオ5560)により連続して100,000枚にわたる実写テストを行った後、画像濃度、画質が劣化し始める枚数により評価した。
○ : 7万枚以上でも劣化しない
△ : 5〜7万枚で劣化
× : 5万枚以下で劣化
▲4▼ 耐ブロッキング性(保存性)
温度50℃、相対湿度50%の環境条件下に48時間放置後、150メッシュのふるいに5gのせ、パウダーテスター(細川粉体工学研究所)の加減抵抗機の目盛りを3にして、1分間振動を加える。振動後の150メッシュのふるいの上に残った重量を測定し、残存重量比を求めた。
○ ; 20%より小さい
△ ; 20%以上35%以下
× ; 35%より大きい
(ポリオレフィンワックス1の製造)
メタロセン触媒を用いて、次のようにしてポリオレフィンワックス1を合成した。
【0191】
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン790mlおよびプロピレン 80mlを装入し、水素を0.5Mpa(ゲージ圧)導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム 0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート 0.04ミリモル、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.002ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9Mpa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。
【0192】
少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。得られたポリオレフィンワックス1の物性を評価して次の値を得た。
分子量(GPC) ; Mn=500、Mw=800、Mw/Mn=1.6
密度 ; 890kg/m3
融点(DSC法) ; 80℃
必要量が得られるまで上記反応を繰り返し行った。
(ポリオレフィンワックス2の製造)
メタロセン触媒を用いて、次のようにしてポリオレフィンワックス2を合成した。
【0193】
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン 850mlおよびブテン‐1 100mlを装入し、水素を0.3Mpa(ゲージ圧)導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム 0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート 0.04ミリモル、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.002ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9Mpa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。
【0194】
少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンとプロペンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。得られたポリオレフィンワックス2の物性を評価して次の値を得た。
分子量(GPC) ; Mn=1000、Mw=1800、Mw/Mn=1.8
密度 ; 891kg/m3
融点(DSC法) ; 85℃
必要量が得られるまで上記反応を繰り返し行った。
(ポリオレフィンワックス3の製造)
メタロセン触媒を用いて、次のようにしてポリオレフィンワックス3を合成した。
【0195】
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン 920mlおよびプロピレン 80mlを装入し、水素を0.1Mpa(ゲージ圧)導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム 0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート 0.04ミリモル、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.002ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9Mpa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。
【0196】
少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンとプロペンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。得られたポリオレフィンワックス3の物性を評価して次の値を得た。
分子量(GPC) ; Mn=1800、Mw=4700、Mw/Mn=2.6
密度 ; 897kg/m3
融点(DSC法) ; 82℃
必要量が得られるまで上記反応を繰り返し行った。
(樹脂分散液1の製造)
5リットルの四つ口フラスコに還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計及び撹拌装置を取り付け、イオン交換水47.6質量部、スチレン 37.0質量部、n‐ブチルアクリレート 3.0質量部、アクリル酸0. 6質量部、ドデカンチオール 2.4質量部、4臭化炭素 0.4質量部、ネオペックスF−25(花王社製)4.0質量部をフラスコに投入し、フラスコ中で分散、乳化し10分ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム0.4質量部を溶解したイオン交換水5.0質量部を投入し、窒素置換を行った。フラスコを攪拌しながら70℃にて、5時間乳化重合を行った。これにより、中心径155nm、ガラス転移点59℃、Mw12000の低分子量樹脂分散液1を得た。
(樹脂分散液2の製造)
5リットルの四つ口フラスコに還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計及び撹拌装置を取り付け、イオン交換水50.2質量部、スチレン 28.0質量部、n‐ブチルアクリレート 12.0質量部、アクリル酸 0.8質量部、ネオペレックスF−25(花王社製)4.0質量部をフラスコに投入し、フラスコ中で分散、乳化し10分ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム0.3質量部を溶解したイオン交換水5.0質量部を投入し、窒素置換をおこなった。フラスコを攪拌しながら70℃にて、5時間乳化重合を行った。これにより、中心径105nm、ガラス転移点53℃、Mw55万の高分子量樹脂分散液2を得た。
(着色剤分散液の製造)
カーボンブラック(MA−100・三菱化学社製)20.0質量部、ネオペレックスF−25(花王社製)5.0質量部、、イオン交換水75.0質量部を混合し、本田電子(株)製超音波洗浄機W−113にて発振周波数28kHzで10分間分散して着色剤分散液を得た。このサンプルの粒度分布を堀場製作所(株)製粒度測定装置LA−700で測定したところ体積平均粒径は150nmであり、また1μmの粗大粒子は観察されなかった。
(離型剤分散液1の製造)
ポリオレフィンワックス1 20.0質量部、ネオペレックスF−25(花王社製)2.0質量部、イオン交換水78.0質量部を140℃に加熱し、ゴーリンホモジナイザーで560×105 N/m2の吐出圧力で乳化した後、急冷し、離型剤分散液を得た。このサンプルを堀場製作所(株)製粒度測定装置LA−700で測定したところ体積平均粒径は120nmであり、また0.8μm以上の粗大粒子は5%以下であった。
(離型剤分散液2の製造)
ポリオレフィンワックス2 20.0質量部、ネオペレックスF−25(花王社製)2.0質量部、イオン交換水78.0質量部を140℃に加熱し、ゴーリンホモジナイザーで560×105 N/m2の吐出圧力で乳化した後、急冷し、離型剤分散液を得た。このサンプルを堀場製作所(株)製粒度測定装置LA−700で測定したところ体積平均粒径は152nmであり、また0.8μm以上の粗大粒子は5%以下であった。
(離型剤分散液3の製造)
ポリオレフィンワックス3 20.0質量部、ネオペレックスF−25(花王社製)2.0質量部、イオン交換水78.0質量部を140℃に加熱し、ゴーリンホモジナイザーで560×105 N/m2の吐出圧力で乳化した後、急冷し、離型剤分散液を得た。このサンプルを堀場製作所(株)製粒度測定装置LA−700で測定したところ体積平均粒径は173nmであり、また0.8μm以上の粗大粒子は5%以下であった。
(離型剤分散液4の製造)
ポリエチレンワックス110P(融点109℃ 三井化学社製) 20.0質量部、ネオペレックスF−25(花王社製)2.0質量部、イオン交換水78.0質量部を140℃に加熱し、ゴーリンホモジナイザーで560×105 N/m2の吐出圧力で乳化した後、急冷し、離型剤分散液を得た。このサンプルを堀場製作所(株)製粒度測定装置LA−700で測定したところ体積平均粒径は380nmであり、また1.0μm以上の粗大粒子は15%であった。
【0197】
【表1】
以下に実施態様について具体的に記述する。
【0198】
実施例1
樹脂分散液1 180g
樹脂分散液2 80g
着色剤分散液 30g
離型剤分散液1 30g
サニゾールB50(花王社製) 1.5g
以上を丸型フラスコ中でホモミキサーで混合分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら50℃まで加熱した。50℃で1時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると約5.7μmの凝集粒子が生成していることが確認された。その後、ここにネオペックスF−25 9.0gを追加した後、フラスコを密閉して、攪拌を継続しながら105℃まで加熱し、3時間保持した。冷却後、ろ過し、イオン交換水で充分洗浄後、コールターカウンターで粒径を測定すると5.9μmであった。次いで、上記トナ−100質量部に対して、疎水性シリカ(R−972、アエロジル社製)を0.5質量部となる割合で外部から添加して、これをヘンシェルミキサーにより混合してトナ−を得た。このトナー粒子を用いて、定着性、耐オフセット性、現像耐久性、耐ブロッキング性を調べた。
【0199】
実施例2
実施例1において離型剤分散液1を離型剤分散液2に変更した以外は同様の方法でトナーを製造した。得られたトナーの粒径は5.8μmであった。
【0200】
実施例3
実施例1において離型剤分散液1を離型剤分散液3に変更した以外は同様の方法でトナーを製造した。得られたトナーの粒径は6.2μmであった。
【0201】
比較例1
実施例1において離型剤分散液1を離型剤分散液4に変更した以外は同様の方法でトナーを製造した。得られたトナーの粒径は6.1μmであった。
【0202】
【表2】
【0203】
【発明の効果】
本発明の電子写真トナー用離型剤を用いることにより、電子写真トナーの定着性、耐オフセット性、現像耐久性、保存性、帯電性が向上する。
したがって、本発明の、電子写真トナー用離型剤および電子写真トナーによれば、複写機およびプリンターの高速化、低温定着化など、近年高まっている要求に充分に対応することができる。
Claims (6)
- 少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有する静電荷像現像用電子写真トナー用の離型剤であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000の範囲にあり、Mw/Mnが3.2以下であり、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が65〜130℃の範囲にあり、密度勾配管法で測定した密度が850〜980kg/m3の範囲にあるポリオレフィンワックスからなることを特徴とする電子写真トナー用離型剤。
- ポリオレフィンワックスが、メタロセン系触媒により製造されたエチレン単独重合体またはエチレンと炭素原子数3〜10のα‐オレフィンとの共重合体である請求項1記載の電子写真トナー用離型剤。
- 少なくとも離型剤粒子を分散した離型剤分散液を混合する工程を含む静電荷像現像用電子写真トナーの製造方法により得られた電子写真トナー用の離型剤であって、該離型剤に請求項1に記載のポリオレフィンワックスを含むことを特徴とする電子写真トナー用離型剤。
- 水系分散媒体中で、少なくとも重合性単量体、着色剤、離型剤を縣濁させ、重合開始剤を用いて縣濁重合することによって得られたトナー粒子を有する電子写真トナー用の離型剤であって、該離型剤に請求項1に記載のポリオレフィンワックスを含むことを特徴とする電子写真トナー用離型剤。
- トナー粒子中にポリオレフィンワックスを1〜20質量部含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真トナー用離型剤。
- 請求項1〜5に記載の電子写真トナー用離型剤を含む静電荷像現像用電子写真トナー。
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