JP2004347696A - 液晶装置、及びその製造方法、並びに電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】シール材を跨いで形成された引き出し配線、及びこれに接続された外部接続端子を効果的に保護することができ、かつ液晶層厚を一定に保持して高画質の表示を得ることが可能な液晶装置、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の液晶装置は、互いに対向して配置された素子基板10及び対向基板20と、前記の両基板間に挟持された液晶層50と、前記液晶層50を封止するシール材52とを備え、前記素子基板10の内面側に、TFT層35と、配線層6と、層間絶縁膜7(オーバーコート層)とが形成され、前記配線層6が、前記シール材52の外側まで延出されて当該素子基板10の辺端部に設けられた外部接続端子と接続されており、前記外部接続端子が設けられた素子基板10辺端部において、前記シール材52の外側に延設された層間絶縁膜7の縁端部が、前記素子基板10の基板面に対して傾斜したテーパー状を成している。
【選択図】 図3
【解決手段】本発明の液晶装置は、互いに対向して配置された素子基板10及び対向基板20と、前記の両基板間に挟持された液晶層50と、前記液晶層50を封止するシール材52とを備え、前記素子基板10の内面側に、TFT層35と、配線層6と、層間絶縁膜7(オーバーコート層)とが形成され、前記配線層6が、前記シール材52の外側まで延出されて当該素子基板10の辺端部に設けられた外部接続端子と接続されており、前記外部接続端子が設けられた素子基板10辺端部において、前記シール材52の外側に延設された層間絶縁膜7の縁端部が、前記素子基板10の基板面に対して傾斜したテーパー状を成している。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶装置、及びその製造方法、並びに電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶装置の基本構成としては、対向して配置された2枚の基板を、平面視略矩形枠状のシール材により貼り合わせるとともに、両基板と、シール材とに囲まれた空間に液晶を封止した構成が知られている。このような液晶装置において前記シール材の内側に液晶を封止する方法としては、シール材に一部設けられた開口部から液晶を注入し、しかる後、この開口部を封止材により封止する方法が知られている。そして、このような方法で上記液晶を注入、封止する場合、シール材外側の両基板の間隙に液晶が付着するため、前記封止材による封止を行った後、液晶装置を洗浄し、余分の液晶を除去している。
また、液晶装置では、前記シール材の内側の基板上に、電極やスイッチング素子を備えた表示領域が形成されており、これら表示領域の構成部材と外部回路との電気的接続を行うために、前記電極やスイッチング素子から引き出された配線が、シール材の外側の領域に設けられた外部接続端子と接続されている。このような構成において、上記洗浄が不十分であると、シール材外側の液晶残渣により配線ないし外部接続端子のコロージョンを引き起こすおそれがある。
【0003】
このようなシール材を跨ぐ引き出し配線の構造については、断線や短絡、コロージョンを防止するために種々の提案が成されている。例えば下記特許文献1では、シール材の形成領域を平坦化することでシール材に混入されたギャップ材による引き出し配線の配線不良を防止するようにすることが提案されており、特許文献2では、シール材の外側の領域の引き出し配線を、金属配線と透明導電層との2層構造とすることで、引き出し配線のコロージョンの防止を図っている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−56319号公報
【特許文献2】
特開2002−258304号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1又は特許文献2に記載の技術では、表示領域から外部接続端子へ至る領域における平坦化膜、あるいはオーバーコート膜の形成に関して、部分的な観点で行われているため、上記液晶注入工程で付着した液晶の洗浄残渣によるコロージョンを充分に抑制し得る配線保護構造を実現しているとは言い難い。例えば、特許文献1に記載の液晶装置では、素子基板側の平坦化膜は表示領域からシール材形成領域を経て外部接続端子の一部にまで延設されているが、この構造では、対向配置された基板間の間隙が、液晶層厚と同等の極めて狭い間隙となってしまうため、この狭い間隙に液晶や洗剤が残り易く、この残渣により外部接続端子にコロージョンが生じるおそれがある。
【0006】
また、特許文献2に記載の液晶装置では、シール領域よりも内側に平坦化膜が形成されている。この構造では、対向配置された基板間の間隙は広くなるものの、基板の間隙に液晶や洗剤が残ると、外部接続端子にコロージョンが生じる可能性がある。また、平坦化膜の縁端とシール材との間の液晶層中に、前記平坦化膜の厚さに相当する段差が生じるため、この段差に起因する液晶の配向不良により表示品質が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであって、シール材を跨いで形成された引き出し配線、及びこれに接続された外部接続端子を効果的に保護することができ、かつ液晶層厚を一定に保持して高画質の表示を得ることが可能な液晶装置、及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の液晶装置は、互いに対向して配置された素子基板及び対向基板と、前記の両基板間に挟持された液晶層と、前記液晶層を封止するシール材とを備え、前記素子基板の内面側に、薄膜トランジスタ素子と、該薄膜トランジスタ素子と接続された配線と、前記薄膜トランジスタ及び配線を覆って前記シール材の外側まで延設されたオーバーコート層とが形成された液晶装置であって、前記配線が、前記シール材の外側まで延出されて当該素子基板の辺端部に設けられた外部接続端子と接続されており、前記外部接続端子が設けられた素子基板辺端部において、前記シール材の外側に延設されたオーバーコート層の縁端部が、前記素子基板の基板面に対して傾斜したテーパー状を成していることを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、前記素子基板の辺端部のうち、前記オーバーコート層により被覆されない外部接続端子が設けられている辺端部において、前記オーバーコート層の端縁部の形状を、基板面に対して傾斜したテーパー状としているので、シール材外側における素子基板と対向基板の間隙を、外側に向かって広くなる形状とすることができる。そしてこの形状により、シール材に囲まれる領域内への液晶の注入を行ったときに基板に付着する液晶を洗浄する際に、前記シール材外周部に付着した液晶を効率よく掃き出すことができるので、大気に露出されている外部接続端子の近傍において液晶や洗剤の残渣が生じるのを防止することができ、前記残渣による外部接続端子や配線のコロージョンを効果的に防止することができる。従って、本構成によれば信頼性に優れる液晶装置を提供することができる。
また、前記オーバーコート層がシール材の外側まで延設されているので、シール材の内側における素子基板表面を平坦化することができ、もって液晶層内に段差がある場合に生じる液晶の配向の乱れを無くし、高画質の液晶装置を提供することができる。
【0010】
本発明の液晶装置では、前記対向基板の内面側にカラーフィルタ層が設けられ、該カラーフィルタ層を覆う第2のオーバーコート層が形成されており、前記外部接続端子が形成された素子基板辺端部において、前記シール材の外側に延設された前記第2のオーバーコート層の縁端部が、前記素子基板の基板面に対して傾斜したテーパー状を成している構成とすることもできる。
この構成によれば、対向基板に設けられたカラーフィルタ層の凹凸を平坦化するために設けられるオーバーコート層についても、そのシール材外側の縁端部がテーパー状に形成された構成とするので、液晶注入時に基板に付着した液晶を洗浄する工程における洗浄度を高めることができ、もってさらに信頼性に優れる液晶装置を提供することが可能になる。
【0011】
本発明の液晶装置では、前記素子基板の全ての辺端部において、前記シール材の外側に延設されたオーバーコート層の縁端部が、前記素子基板の基板面に対して傾斜したテーパー状を成している構成とすることもできる。
この構成によれば、外部接続端子が設けられた基板辺端部のみならず、全ての基板の辺端部において洗浄効率を高めることができ、もって、液晶注入時に付着した液晶の残渣を装置全体でほぼ無くすことができ、さらに信頼性に優れる液晶装置とすることができる。
また、上記構成において、対向基板に設けられた第2のオーバーコート層についても、全ての対向基板辺端部で、前記シール材の外側に延設されたオーバーコート層の縁端部が、当該対向基板の基板面に対して傾斜して形成されたテーパー状を成している構成とすることもでき、その場合には、さらなる洗浄効率の向上が基体できる。
【0012】
次に、本発明の液晶装置の製造方法は、互いに対向して配置された素子基板及び対向基板と、前記の両基板間に挟持された液晶層と、前記液晶層を封止するシール材とを備え、前記素子基板の内面側に、薄膜トランジスタ素子と、該薄膜トランジスタ素子と接続された配線と、前記配線と素子基板辺端において接続された外部接続端子とを具備した液晶装置の製造方法であって、前記薄膜トランジスタ及び配線を覆うオーバーコート層を形成するに際して、前記オーバーコート層を前記シール材の外側まで延設するとともに、前記外部接続端子が形成された素子基板辺端部において、前記オーバーコート層の縁端部を、前記素子基板の基板面に対して傾斜したテーパー状に形成することを特徴とする。
この製造方法によれば、素子基板上にオーバーコート層を形成するに際して、その端縁部が基板面に対して傾斜したテーパー状を成すように形成するので、液晶注入時に基板に付着する液晶を洗浄する工程において、シール材外周部に付着している液晶を効率よく洗い流すことができ、液晶や洗剤の残渣がシール材の外周部に生じるのを効果的に防止することができる。従って、本製造方法によれば、上記液晶や洗剤の残渣を起因とする外部接続端子や配線のコロージョンを効果的に防止でき、信頼性に優れる液晶装置を製造することができる。
【0013】
本発明の液晶装置の製造方法では、前記素子基板の全ての辺端部において、前記オーバーコート層の縁端部を、前記素子基板の基板面に対して傾斜したテーパー状に形成することもできる。
この製造方法によれば、素子基板の全ての辺端部において、付着した液晶を洗浄する際の洗浄度を高めることができ、さらに液晶や洗剤の残渣が生じ難くなるので、製造される液晶装置の信頼性をさらに高めることができる。
【0014】
次に、本発明の電子機器は、先に記載の本発明の液晶装置を備えたことを特徴としている。この構成によれば、外部接続端子及びそれに接続された配線におけるコロージョンが極めて生じ難く、信頼性に優れた表示部を有する電子機器を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施形態の液晶装置は、画素のスイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)を用いたアクティブマトリクス型の液晶装置である。図1(a)は、本実施形態の液晶装置の全体構成を示す平面構成図、図1(b)は、同図(a)に示すH−H線に沿う断面構成図、図2は、同、回路構成を示す図、図3は、図1(a)に示すH−H線における基板辺端部の部分断面構成図である。
【0016】
図1(a)及び図1(b)に示すように、本実施形態の液晶装置は、素子基板(TFTアレイ基板)10と、対向基板20とが平面視略矩形枠状のシール材52によって貼り合わされ、このシール材52に囲まれた領域内に液晶層50が封入された構成を備えている。シール材52内周側に沿って平面視矩形枠状の周辺見切り53が形成され、この周辺見切りの内側の領域が画像表示領域11とされている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路201及び外部回路実装端子202が素子基板10の1辺(図示下辺)に沿って形成されており、この1辺に隣接する2辺に沿ってそれぞれ走査線駆動回路204,204が形成されている。素子基板10の残る1辺(図示上辺)には、画像表示領域11の両側の走査線駆動回路204,204間を接続する複数の配線205が設けられている。また、対向基板20の各角部においては、素子基板10と対向基板20との間の電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
【0017】
なお、データ線駆動回路201および走査線駆動回路204,204をTFTアレイ基板10の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたCOF(Chip On Film)基板とTFTアレイ基板10の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的および機械的に接続するようにしてもよい。また、液晶装置においては、使用する液晶の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、垂直配向モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。
【0018】
次に、図2に示すように、本実施形態の液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットには、画素電極9と当該画素電極9を制御するためのスイッチング素子であるTFT30がそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線6aに対してグループ毎に供給される。また、走査線3aがTFT30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線3aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極9はTFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオンすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0019】
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ここで、保持された画像信号がリークするのを防止するために、画素電極9と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。なお、符号3bは容量線である。
【0020】
図3は、図1(a)に示すH−H線における基板辺端部の部分断面構成図である。この図に示すように、素子基板10と、これに対向配置される対向基板20との間に、液晶層50が挟持されている。素子基板10は、ガラスや石英等の透光性材料からなる素子基板本体10Aとその液晶層50側表面に積層形成されたTFT層35と、層間絶縁膜(オーバーコート層)7と、電極層19と、配向膜40とを主体として構成されており、対向基板20はガラスや石英等の透光性材料からなる対向基板本体20Aとその液晶層50側表面に形成されたカラーフィルタ層22と、平坦化膜23と、共通電極21と、配向膜60とを主体として構成されている。
尚、図3ではデータ線駆動回路201の図示を省略しているが、実際は、データ線駆動回路201は、TFT層35において画素スイッチング用のTFTと同層にて形成されており、シール材52の外側において配線層6を介して図1(a)に示す外部接続端子202と電気的に接続されている。
【0021】
前記TFT層35は、各画素を駆動するTFT30が複数形成された層であり、その詳細な構成は後述するが、図3に示すように、アクリル樹脂等からなる層間絶縁膜4に設けられたコンタクトホール5を介して、配線層6と図示略のTFTとが電気的に接続されている。上記TFT層35上にアクリル樹脂等からなる層間絶縁膜7を介して画素電極9を含む電極層19が形成され、層間絶縁膜4,7を貫通するコンタクトホール(図示略)を介して電極層19とTFT層35のTFTとが電気的に接続されている。対向基板20の辺端部に設けられたシール材52により前記両基板10,20が貼り合わされており、素子基板10上の画素電極9が設けられた層及び配向膜40が設けられた層の端縁部と、対向基板20上の共通電極20、配向膜60の端縁部とは、シール材52の形成領域と一部平面的に重なっている。
上記電極層19は、図2ではシール材52と一部重なる位置から面方向に延在する平面形状に図示しているが、実際には、先の画素電極9が平面視略矩形状を成して配列形成されたものである。また、カラーフィルタ層22は、上記画素電極9の形成領域と対応する平面形状を有し、異なる色(例えば赤、緑、青)を呈する色材層が配列形成されたものである。
【0022】
上記構成を備えた本実施形態の液晶装置は、例えば、(1)TFTアレイ作製工程、(2)配向処理工程、(3)シール材印刷工程、(4)貼り合わせ工程、(5)液晶注入・封止工程、(6)パネル洗浄工程、(7)パネル検査工程、を基本とする製造工程を経る製造方法により製造することができる。これらの工程の他、複数の液晶装置を同時に製造するべく大型のマザー基板を用いて製造を行う場合には、上記各工程に加えて、マザー基板を複数の液晶装置に分離する分離工程が適宜追加される。
【0023】
より詳細には、(1)TFTアレイ作製工程において、図3に示す素子基板本体10A上に、TFT30や画素電極9、配向膜40等を形成して素子基板10を得る。次いで、(2)配向処理工程において前記配向膜40にラビング処理等の配向処理が施される。次に、(3)シール材印刷工程において、図1に示すように平面視略矩形枠状のシール材52を素子基板10上に印刷した後、(4)貼り合わせ工程にて、別途作製された対向基板20と素子基板10とを上記シール材52を介して貼り合わせる。
次に、(5)液晶注入・封止工程にて、図1に示すシール材52の開口部から液晶を注入した後、封止材54によりシール材52の開口部を封止する。次いで、(6)パネル洗浄工程にて、液晶注入時にシール材52の外側に付着した余分の液晶を洗浄する。次に、(7)パネル検査工程にて、作製された液晶装置の製品検査を行う。
【0024】
本実施形態の液晶装置は、素子基板10及び対向基板20の辺端部におけるオーバーコート層(層間絶縁膜7及び平坦化膜23)の構造に特徴を有している。図3に示すように、本実施形態の液晶装置では、素子基板10の内面側に設けられた層間絶縁膜7が、シール材52の外側まで延設されるとともに、その縁端部に素子基板本体10Aに対して傾斜した斜面部7aを有するテーパー部7bが形成されている。また対向基板20の内面側に設けられた平坦化膜23も、シール材52の外側まで延設されるとともに、その縁端部に対向基板本体20Aに対して傾斜した斜面部23aを有するテーパー部23bが形成されている。
上記層間絶縁膜7のテーパー部7bは、上述の製造工程におけるTFTアレイ作製工程において、層間絶縁膜7のパターニングを行う際に形成することができる。その具体的な形成方法としては、例えば層間絶縁膜7を所定形状にエッチングする際に、意図的にオーバーエッチングすることで端縁部にテーパー形状を有する層間絶縁膜を形成することができる。更に詳しく説明するならば、現像後のポストベーク温度を制御する事により、エッチング後のテーパ角度を管理する事が出来る。例えば、ポストベーク温度を高くするとテーパー角度(後述する傾斜面7a、23aの傾斜角α、βに相当)は小さく、ポストベーク温度を低くすると前記テーパー角度は大きくなる。
【0025】
このように、シール材52の外側まで延設された層間絶縁膜7及び平坦化膜23が、先のテーパー部7b、23bを有していることで、本実施形態の液晶装置は、その製造に際して、上記(5)液晶注入・封止工程にて素子基板10と対向基板20とシール材52とに囲まれる領域内に液晶を封止した後の、(6)パネル洗浄工程による洗浄度を向上させることができる。これは、上記テーパー部7b、23bを設けたことにより、シール材52の外側における基板間隔を実質的に広げることができるため、シール材52の外面や層間絶縁膜7及び平坦化膜23の上面に付着している液晶を効果的に除去することができるようになるからである。
【0026】
上記テーパー部7b、23bの作用を図4を参照してさらに詳細に説明する。図4は、図3に示す液晶装置において、仮に上記テーパー部7b、23bが形成されていない構成とした場合の部分断面構成図である。
図4に示す液晶装置は、対向配置された素子基板10及び対向基板20とを有し、両基板10、20の間に液晶層50を挟持するとともにシール材52により封止した構成を備えており、素子基板本体10A内面側に、配線層6と、層間絶縁膜107とが形成され、対向基板本体20A内面側に平坦化膜123が形成されるとともに、前記層間絶縁膜107及び平坦化膜123がシール材52の外側まで延設されている。尚、図4では、図面を見易くするために、説明に不要の画素電極や共通電極、配向膜等はその図示を省略しているが、実際には、層間絶縁膜107及び平坦化膜123以外の構成は、図3に示す実施形態の液晶装置と同様である。
【0027】
図4に示すように、層間絶縁膜107及び平坦化膜123の端縁部が、テーパー部を有して形成されていない場合、基板10,20間の間隙がセルギャップ(液晶層50の層厚)とほぼ同等にまで狭くなる。図4に示す対向基板20と素子基板10側の配線層6との間隔L1は、通常5〜6μm程度であり、層間絶縁膜107の層厚L2は、2〜3μm程度である。従って、シール材52の外側における層間絶縁膜107と平坦化膜123との間隔は、3〜4μm程度であり、洗浄工程において除去しきれなかった液晶や洗剤が、シール材52の外周部に残渣Cとして残り易くなる。このような残渣Cは、層間絶縁膜107上に位置している限りにおいては、配線6に対してコロージョンを生じさせる可能性は低いが、図4に示すように、層間絶縁膜107により被覆されていない配線層6へ移動した場合には、配線層6の配線や外部接続端子に容易にコロージョンを生じさせて配線不良の原因となるおそれがある。
【0028】
これに対して、図3に示す本実施形態の液晶装置では、層間絶縁膜7及び平坦化膜23が、それぞれテーパー部7b、23bを有しているので、基板10,20間の間隔が比較的狭くなるシール材52外周面近傍に液晶が付着していたとしても、各テーパー部7b、23bの斜面部7a、23aに沿って外側へ排出され易くなっており、パネル洗浄工程における洗浄度を容易に向上させることができるようになっている。これにより、従来液晶や洗剤の残渣が生じやすかった基板10,20の間隙部における液晶や洗剤の除去を確実に行うことが可能になり、もって配線層6のコロージョンや図1(a)に示す外部接続端子202におけるコロージョンが極めて生じ難い構成とすることができ、高信頼性の液晶装置を提供することができる。
【0029】
図3に示す本実施形態の液晶装置では、層間絶縁膜7の斜面部7a及び平坦化膜23の斜面部23aは、紙面に垂直な方向に延在する傾斜平面とされているが、前記斜面部7a、23aは、いずれも曲面形状に形成することができる。前記傾斜面7a、23aの傾斜角α、βは、基板面に対して5°以上85°以下とすることが好ましい。前記傾斜角α、βが、5°未満の場合には、傾斜面7a、23aの平面領域が必要以上に大きくなり、液晶装置の額縁が大きくなるため、液晶装置の小型化の点で好ましくない。また、85°を超える場合には、前記斜面部7a、23aによる洗浄度の向上効果が得られ難くなるため好ましくない。これらを勘案して、液晶装置の額縁を小さくでき、かつ効果的に洗浄を行える傾斜角α、βの範囲としては、30°以上60°以下である。
【0030】
また、本実施形態では、素子基板10の層間絶縁膜7と、対向基板20の平坦化膜23の双方が、それぞれテーパー部7b、23bを有する構成としており、係る構成とすることが液晶装置の洗浄工程における洗浄度の点で好ましいのは勿論であるが、本発明において、少なくとも素子基板10側のオーバーコート層を成す層間絶縁膜7がテーパー部7bを有していれば、基板間の間隙を実質的に広げることができ、また、洗浄時に斜面部7aに沿って当該間隙に付着した液晶が掃き出され易くなるため、洗浄度の向上について一定の効果を期待できる。
【0031】
以上では、図3により、データ線駆動回路201が設けられた基板10,20辺端部について図示するとともに説明したが、本実施形態に係る層間絶縁膜7及び平坦化膜23は、データ線駆動回路201側の端縁部のみならず、図1(a)に示す走査線駆動回路204,204側の端縁部においても前記テーパー部7b、23bを有する構成とすることもできる。本実施形態の場合、走査線駆動回路204,204は、図3に示すTFT層35に形成されており、通常は層間絶縁膜7により覆われているため、これらの駆動回路204,204や配線をコロージョンから保護する効果は小さいが、走査線駆動回路204,204が、素子基板10上に露出された配線に対して異方性導電膜等を介して接続される構成である場合には、駆動回路の端子や配線をコロージョンから保護する効果は大きく、液晶装置の歩留まりや信頼性を向上させる上で本発明は極めて有用である。
【0032】
図1(a)に示す配線205が引き回された素子基板10辺端部においても、通常配線205は素子基板10の前記層間絶縁膜7により覆われているため、上記テーパー部7b、23bは必ずしも形成する必要はないが、前記配線205が露出されている場合には、係る基板辺端部においても、上記テーパー部7b、23bを設けることが好ましい。また、層間絶縁膜7により配線205が覆われている場合であっても、対向基板20の平坦化膜23にテーパー部23bを形成しておけば、配線205側の対向基板20辺端部における洗浄度を高めることができるため、液晶装置の信頼性を向上させる点で好ましい。
【0033】
また、本実施形態の液晶装置では、図3に示すように、層間絶縁膜7の斜面部7a、平坦化膜23の斜面部23aが、いずれもシール材52の形成領域と一部平面的に重なるように形成されている。このような構成とすることで、シール材52の外側に基板面と平行な平坦面が生じないようにすることができ、パネル洗浄工程において、上記斜面部7a、23aによる付着液晶の掃き出しを効果的に行うことができるようになる。また、図3に示すように、層間絶縁膜7、平坦化膜23の平坦面もシール材52の形成領域と一部平面的に重なって配置されており、これにより、シール材52に混入されている液晶層50の層厚(セルギャップ)を保持するためのギャップ材を安定に保持できるようになり、セルギャップを正確に制御できるようになる。
【0034】
またさらに、図3に示すように、シール材52は、素子基板10上において電極層19及び配向膜40と一部重なるように形成されており、対向基板20上においては、共通電極21及び配向膜60と一部重なるように形成されている。このような構成とすることで、配向膜40,60の端縁における段差を、液晶層50が封止された空間より外側に配置することができ、もって前記段差に起因する液晶分子の配向の乱れを防止することができ、高画質の液晶装置を提供することができる。
【0035】
以下、本実施形態のアクティブマトリクス型液晶装置の各部の詳細構成を図面を参照して説明する。
図5は、上記実施形態に係る素子基板10における1ドット領域の平面構成を示す図である。同図に示すように、素子基板10上に、平面視略矩形状の画素電極9が設けられており、画素電極9の縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3aおよび容量線3bが設けられている。本実施の形態において、各画素電極9および各画素電極9を囲むように配置されたデータ線6a、走査線3a、容量線3b等が形成された領域の内側が一つのドット領域であり、マトリクス状に配置された各ドット領域毎に表示が可能な構造になっている。図5では、画素電極9を1つのみ図示しているが、本実施の形態の液晶装置では、平面視略長方形状の画素電極9を備えた3ドットにより1画素が構成されるようになっている。
【0036】
データ線6aは、TFT30を構成する、例えばポリシリコン膜からなる半導体層1fのうち、後述のソース領域にコンタクトホール5を介して電気的に接続されており、画素電極9は、半導体層1fのうち、後述のドレイン領域にコンタクトホール8を介して電気的に接続されている。また、半導体層1fと走査線3aとが平面視において交差している領域(図中左上がりの斜線で示す領域)にTFT30のチャネル領域1aが形成されており、走査線3aはチャネル領域1aに対向する部分でゲート電極として機能する。
【0037】
容量線3bは、走査線3aに沿って略直線状に延びる本線部(すなわち、平面的に見て、走査線3aに沿って形成された第1領域)と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中上向き)に突出した突出部(すなわち、平面的に見て、データ線6aに沿って延設された第2領域)とを有する。そして、図5中、右上がりの斜線で示した領域には、複数の遮光膜11aが設けられている。
【0038】
上記遮光膜11aは、各々、半導体層1fのチャネル領域1aを含むTFT30を素子基板本体10A側から見て覆う位置に設けられており、さらに、容量線3bの本線部に対向して走査線3aに沿って直線状に延びる本線部と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って隣接する後段側(すなわち、図中下向き)に突出した突出部とを有する。遮光膜11aの各段(画素行)における下向きの突出部の先端は、データ線6a下において次段における容量線3bの上向きの突出部の先端と平面的に重なっている。この重なった箇所には、遮光膜11aと容量線3bとを相互に電気的に接続するコンタクトホール13が設けられている。すなわち、遮光膜11aは、コンタクトホール13によって前段あるいは後段の容量線3bと電気的に接続されている。
【0039】
次に、図6に基づいて、本実施形態の液晶装置の詳細な断面構造について説明する。図6は、図5に示すA−A’線に沿う断面構造を示す図である。同図に示すように、本実施形態の透過型液晶装置においては、素子基板10と、これに対向配置される対向基板20との間に誘電異方性が負の液晶からなる垂直配向モードの液晶層50が挟持されている。素子基板10は、素子基板本体10Aと、その液晶層50側表面に形成された、TFT30、画素電極9、配向膜40とを主体として構成され、対向基板20は対向基板本体20Aと、その液晶層50側表面に形成された、カラーフィルタ層22、平坦化膜23、共通電極21、配向膜60とを主体として構成されている。
【0040】
素子基板10において、画素電極9に隣接する位置に、各画素電極9をスイッチング制御する画素スイッチング用TFT30が設けられている。TFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3aと、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’と、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜2と、データ線6aと、半導体層1aの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eとを備えている。
【0041】
また、上記走査線3a上、ゲート絶縁膜2上を含む素子基板本体10A上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5、及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が開孔した第2層間絶縁膜4が形成されている。つまり、データ線6aは、第2層間絶縁膜4を貫通するコンタクトホール5を介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続されている。さらに、データ線6a上及び第2層間絶縁膜4上には、高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が開孔した第3層間絶縁膜7が形成されている。つまり、高濃度ドレイン領域1eは、第2層間絶縁膜4及び第3層間絶縁膜7を貫通するコンタクトホール8を介して画素電極9に電気的に接続されている。また、本実施形態では、ゲート絶縁膜2を走査線3aに対向する位置から延設して誘電体膜として用い、半導体膜1aを延設して第1蓄積容量電極1fとし、更にこれらに対向する容量線3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、蓄積容量70が構成されている。
【0042】
素子基板本体10Aの液晶層50側表面において、各画素スイッチング用TFT30が形成された領域には、遮光膜11aが設けられており、係る遮光膜11aは、素子基板10を透過した後、素子基板10の図示下面で反射されて液晶層50側へ戻る光が、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’及び低濃度ソース、ドレイン領域1b、1cに入射するのを防止するために設けられている。前記遮光膜11aとTFT30との間には、TFT30を構成する半導体層1aを遮光膜11aから電気的に絶縁するための第1層間絶縁膜12が形成されている。さらに、図5に示したように、素子基板10に遮光膜11aを設けるのに加えて、コンタクトホール13を介して遮光膜11aは、前段あるいは後段の容量線3bに電気的に接続するように構成されている。
また、素子基板10の液晶層50側最表面、すなわち、画素電極9及び第3層間絶縁膜7上には、電圧無印加時における液晶層50内の液晶分子の配向を制御する配向膜40が形成されている。
【0043】
他方、対向基板本体20Aの液晶層50側表面であって、データ線6a、走査線3a、画素スイッチング用TFT30の形成領域に対向する領域、すなわち各画素部の開口領域と対応する平面形状を有する複数色の色材層を備えたカラーフィルタ層22が設けられている。さらに、カラーフィルタ層22が形成された対向基板本体20Aの液晶層50側には、そのほぼ全面に渡って、アクリル樹脂等からなる平坦化膜23が設けられ、平坦化膜23上にITO等からなる共通電極21、及び電圧無印加時における液晶層50内の液晶分子の配向を制御する配向膜60が形成されている。
【0044】
尚、図5及び図6を参照して説明した液晶装置の詳細構成は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明の技術範囲を何ら限定するものではない。
【0045】
(電子機器)
図7は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。この図に示す携帯電話1300は、本発明の液晶装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
上記各実施の形態の表示装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの電子機器に対しても高画質で高信頼性の表示部を提供し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、実施形態の液晶装置の平面構成図、図1(a)に示すH−H線に沿う断面構成図。
【図2】図2は、同、回路構成図。
【図3】図3は、同、基板辺端部における断面構成図。
【図4】図4は、オーバーコート層の作用を説明するための図であって、他の構成の液晶装置の基板辺端部における断面構成図。
【図5】図5は、実施形態の液晶装置の1ドット領域の平面構成図。
【図6】図6は、図5のA−A’線に沿う断面構成図。
【図7】図7は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視構成図。
【符号の説明】
10 素子基板、20 対向基板、10A 素子基板本体、20A 対向基板本体、7 層間絶縁膜(オーバーコート層)、23 平坦化膜((第2の)オーバーコート層)、7a,23a 斜面部、7b,23b テーパー部、40,60 配向膜、50 液晶、3a 走査線、6 配線層(配線)、6a データ線、30 TFT(薄膜トランジスタ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶装置、及びその製造方法、並びに電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶装置の基本構成としては、対向して配置された2枚の基板を、平面視略矩形枠状のシール材により貼り合わせるとともに、両基板と、シール材とに囲まれた空間に液晶を封止した構成が知られている。このような液晶装置において前記シール材の内側に液晶を封止する方法としては、シール材に一部設けられた開口部から液晶を注入し、しかる後、この開口部を封止材により封止する方法が知られている。そして、このような方法で上記液晶を注入、封止する場合、シール材外側の両基板の間隙に液晶が付着するため、前記封止材による封止を行った後、液晶装置を洗浄し、余分の液晶を除去している。
また、液晶装置では、前記シール材の内側の基板上に、電極やスイッチング素子を備えた表示領域が形成されており、これら表示領域の構成部材と外部回路との電気的接続を行うために、前記電極やスイッチング素子から引き出された配線が、シール材の外側の領域に設けられた外部接続端子と接続されている。このような構成において、上記洗浄が不十分であると、シール材外側の液晶残渣により配線ないし外部接続端子のコロージョンを引き起こすおそれがある。
【0003】
このようなシール材を跨ぐ引き出し配線の構造については、断線や短絡、コロージョンを防止するために種々の提案が成されている。例えば下記特許文献1では、シール材の形成領域を平坦化することでシール材に混入されたギャップ材による引き出し配線の配線不良を防止するようにすることが提案されており、特許文献2では、シール材の外側の領域の引き出し配線を、金属配線と透明導電層との2層構造とすることで、引き出し配線のコロージョンの防止を図っている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−56319号公報
【特許文献2】
特開2002−258304号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1又は特許文献2に記載の技術では、表示領域から外部接続端子へ至る領域における平坦化膜、あるいはオーバーコート膜の形成に関して、部分的な観点で行われているため、上記液晶注入工程で付着した液晶の洗浄残渣によるコロージョンを充分に抑制し得る配線保護構造を実現しているとは言い難い。例えば、特許文献1に記載の液晶装置では、素子基板側の平坦化膜は表示領域からシール材形成領域を経て外部接続端子の一部にまで延設されているが、この構造では、対向配置された基板間の間隙が、液晶層厚と同等の極めて狭い間隙となってしまうため、この狭い間隙に液晶や洗剤が残り易く、この残渣により外部接続端子にコロージョンが生じるおそれがある。
【0006】
また、特許文献2に記載の液晶装置では、シール領域よりも内側に平坦化膜が形成されている。この構造では、対向配置された基板間の間隙は広くなるものの、基板の間隙に液晶や洗剤が残ると、外部接続端子にコロージョンが生じる可能性がある。また、平坦化膜の縁端とシール材との間の液晶層中に、前記平坦化膜の厚さに相当する段差が生じるため、この段差に起因する液晶の配向不良により表示品質が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであって、シール材を跨いで形成された引き出し配線、及びこれに接続された外部接続端子を効果的に保護することができ、かつ液晶層厚を一定に保持して高画質の表示を得ることが可能な液晶装置、及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の液晶装置は、互いに対向して配置された素子基板及び対向基板と、前記の両基板間に挟持された液晶層と、前記液晶層を封止するシール材とを備え、前記素子基板の内面側に、薄膜トランジスタ素子と、該薄膜トランジスタ素子と接続された配線と、前記薄膜トランジスタ及び配線を覆って前記シール材の外側まで延設されたオーバーコート層とが形成された液晶装置であって、前記配線が、前記シール材の外側まで延出されて当該素子基板の辺端部に設けられた外部接続端子と接続されており、前記外部接続端子が設けられた素子基板辺端部において、前記シール材の外側に延設されたオーバーコート層の縁端部が、前記素子基板の基板面に対して傾斜したテーパー状を成していることを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、前記素子基板の辺端部のうち、前記オーバーコート層により被覆されない外部接続端子が設けられている辺端部において、前記オーバーコート層の端縁部の形状を、基板面に対して傾斜したテーパー状としているので、シール材外側における素子基板と対向基板の間隙を、外側に向かって広くなる形状とすることができる。そしてこの形状により、シール材に囲まれる領域内への液晶の注入を行ったときに基板に付着する液晶を洗浄する際に、前記シール材外周部に付着した液晶を効率よく掃き出すことができるので、大気に露出されている外部接続端子の近傍において液晶や洗剤の残渣が生じるのを防止することができ、前記残渣による外部接続端子や配線のコロージョンを効果的に防止することができる。従って、本構成によれば信頼性に優れる液晶装置を提供することができる。
また、前記オーバーコート層がシール材の外側まで延設されているので、シール材の内側における素子基板表面を平坦化することができ、もって液晶層内に段差がある場合に生じる液晶の配向の乱れを無くし、高画質の液晶装置を提供することができる。
【0010】
本発明の液晶装置では、前記対向基板の内面側にカラーフィルタ層が設けられ、該カラーフィルタ層を覆う第2のオーバーコート層が形成されており、前記外部接続端子が形成された素子基板辺端部において、前記シール材の外側に延設された前記第2のオーバーコート層の縁端部が、前記素子基板の基板面に対して傾斜したテーパー状を成している構成とすることもできる。
この構成によれば、対向基板に設けられたカラーフィルタ層の凹凸を平坦化するために設けられるオーバーコート層についても、そのシール材外側の縁端部がテーパー状に形成された構成とするので、液晶注入時に基板に付着した液晶を洗浄する工程における洗浄度を高めることができ、もってさらに信頼性に優れる液晶装置を提供することが可能になる。
【0011】
本発明の液晶装置では、前記素子基板の全ての辺端部において、前記シール材の外側に延設されたオーバーコート層の縁端部が、前記素子基板の基板面に対して傾斜したテーパー状を成している構成とすることもできる。
この構成によれば、外部接続端子が設けられた基板辺端部のみならず、全ての基板の辺端部において洗浄効率を高めることができ、もって、液晶注入時に付着した液晶の残渣を装置全体でほぼ無くすことができ、さらに信頼性に優れる液晶装置とすることができる。
また、上記構成において、対向基板に設けられた第2のオーバーコート層についても、全ての対向基板辺端部で、前記シール材の外側に延設されたオーバーコート層の縁端部が、当該対向基板の基板面に対して傾斜して形成されたテーパー状を成している構成とすることもでき、その場合には、さらなる洗浄効率の向上が基体できる。
【0012】
次に、本発明の液晶装置の製造方法は、互いに対向して配置された素子基板及び対向基板と、前記の両基板間に挟持された液晶層と、前記液晶層を封止するシール材とを備え、前記素子基板の内面側に、薄膜トランジスタ素子と、該薄膜トランジスタ素子と接続された配線と、前記配線と素子基板辺端において接続された外部接続端子とを具備した液晶装置の製造方法であって、前記薄膜トランジスタ及び配線を覆うオーバーコート層を形成するに際して、前記オーバーコート層を前記シール材の外側まで延設するとともに、前記外部接続端子が形成された素子基板辺端部において、前記オーバーコート層の縁端部を、前記素子基板の基板面に対して傾斜したテーパー状に形成することを特徴とする。
この製造方法によれば、素子基板上にオーバーコート層を形成するに際して、その端縁部が基板面に対して傾斜したテーパー状を成すように形成するので、液晶注入時に基板に付着する液晶を洗浄する工程において、シール材外周部に付着している液晶を効率よく洗い流すことができ、液晶や洗剤の残渣がシール材の外周部に生じるのを効果的に防止することができる。従って、本製造方法によれば、上記液晶や洗剤の残渣を起因とする外部接続端子や配線のコロージョンを効果的に防止でき、信頼性に優れる液晶装置を製造することができる。
【0013】
本発明の液晶装置の製造方法では、前記素子基板の全ての辺端部において、前記オーバーコート層の縁端部を、前記素子基板の基板面に対して傾斜したテーパー状に形成することもできる。
この製造方法によれば、素子基板の全ての辺端部において、付着した液晶を洗浄する際の洗浄度を高めることができ、さらに液晶や洗剤の残渣が生じ難くなるので、製造される液晶装置の信頼性をさらに高めることができる。
【0014】
次に、本発明の電子機器は、先に記載の本発明の液晶装置を備えたことを特徴としている。この構成によれば、外部接続端子及びそれに接続された配線におけるコロージョンが極めて生じ難く、信頼性に優れた表示部を有する電子機器を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施形態の液晶装置は、画素のスイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)を用いたアクティブマトリクス型の液晶装置である。図1(a)は、本実施形態の液晶装置の全体構成を示す平面構成図、図1(b)は、同図(a)に示すH−H線に沿う断面構成図、図2は、同、回路構成を示す図、図3は、図1(a)に示すH−H線における基板辺端部の部分断面構成図である。
【0016】
図1(a)及び図1(b)に示すように、本実施形態の液晶装置は、素子基板(TFTアレイ基板)10と、対向基板20とが平面視略矩形枠状のシール材52によって貼り合わされ、このシール材52に囲まれた領域内に液晶層50が封入された構成を備えている。シール材52内周側に沿って平面視矩形枠状の周辺見切り53が形成され、この周辺見切りの内側の領域が画像表示領域11とされている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路201及び外部回路実装端子202が素子基板10の1辺(図示下辺)に沿って形成されており、この1辺に隣接する2辺に沿ってそれぞれ走査線駆動回路204,204が形成されている。素子基板10の残る1辺(図示上辺)には、画像表示領域11の両側の走査線駆動回路204,204間を接続する複数の配線205が設けられている。また、対向基板20の各角部においては、素子基板10と対向基板20との間の電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
【0017】
なお、データ線駆動回路201および走査線駆動回路204,204をTFTアレイ基板10の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたCOF(Chip On Film)基板とTFTアレイ基板10の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的および機械的に接続するようにしてもよい。また、液晶装置においては、使用する液晶の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、垂直配向モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。
【0018】
次に、図2に示すように、本実施形態の液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットには、画素電極9と当該画素電極9を制御するためのスイッチング素子であるTFT30がそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線6aに対してグループ毎に供給される。また、走査線3aがTFT30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線3aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極9はTFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオンすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0019】
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ここで、保持された画像信号がリークするのを防止するために、画素電極9と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。なお、符号3bは容量線である。
【0020】
図3は、図1(a)に示すH−H線における基板辺端部の部分断面構成図である。この図に示すように、素子基板10と、これに対向配置される対向基板20との間に、液晶層50が挟持されている。素子基板10は、ガラスや石英等の透光性材料からなる素子基板本体10Aとその液晶層50側表面に積層形成されたTFT層35と、層間絶縁膜(オーバーコート層)7と、電極層19と、配向膜40とを主体として構成されており、対向基板20はガラスや石英等の透光性材料からなる対向基板本体20Aとその液晶層50側表面に形成されたカラーフィルタ層22と、平坦化膜23と、共通電極21と、配向膜60とを主体として構成されている。
尚、図3ではデータ線駆動回路201の図示を省略しているが、実際は、データ線駆動回路201は、TFT層35において画素スイッチング用のTFTと同層にて形成されており、シール材52の外側において配線層6を介して図1(a)に示す外部接続端子202と電気的に接続されている。
【0021】
前記TFT層35は、各画素を駆動するTFT30が複数形成された層であり、その詳細な構成は後述するが、図3に示すように、アクリル樹脂等からなる層間絶縁膜4に設けられたコンタクトホール5を介して、配線層6と図示略のTFTとが電気的に接続されている。上記TFT層35上にアクリル樹脂等からなる層間絶縁膜7を介して画素電極9を含む電極層19が形成され、層間絶縁膜4,7を貫通するコンタクトホール(図示略)を介して電極層19とTFT層35のTFTとが電気的に接続されている。対向基板20の辺端部に設けられたシール材52により前記両基板10,20が貼り合わされており、素子基板10上の画素電極9が設けられた層及び配向膜40が設けられた層の端縁部と、対向基板20上の共通電極20、配向膜60の端縁部とは、シール材52の形成領域と一部平面的に重なっている。
上記電極層19は、図2ではシール材52と一部重なる位置から面方向に延在する平面形状に図示しているが、実際には、先の画素電極9が平面視略矩形状を成して配列形成されたものである。また、カラーフィルタ層22は、上記画素電極9の形成領域と対応する平面形状を有し、異なる色(例えば赤、緑、青)を呈する色材層が配列形成されたものである。
【0022】
上記構成を備えた本実施形態の液晶装置は、例えば、(1)TFTアレイ作製工程、(2)配向処理工程、(3)シール材印刷工程、(4)貼り合わせ工程、(5)液晶注入・封止工程、(6)パネル洗浄工程、(7)パネル検査工程、を基本とする製造工程を経る製造方法により製造することができる。これらの工程の他、複数の液晶装置を同時に製造するべく大型のマザー基板を用いて製造を行う場合には、上記各工程に加えて、マザー基板を複数の液晶装置に分離する分離工程が適宜追加される。
【0023】
より詳細には、(1)TFTアレイ作製工程において、図3に示す素子基板本体10A上に、TFT30や画素電極9、配向膜40等を形成して素子基板10を得る。次いで、(2)配向処理工程において前記配向膜40にラビング処理等の配向処理が施される。次に、(3)シール材印刷工程において、図1に示すように平面視略矩形枠状のシール材52を素子基板10上に印刷した後、(4)貼り合わせ工程にて、別途作製された対向基板20と素子基板10とを上記シール材52を介して貼り合わせる。
次に、(5)液晶注入・封止工程にて、図1に示すシール材52の開口部から液晶を注入した後、封止材54によりシール材52の開口部を封止する。次いで、(6)パネル洗浄工程にて、液晶注入時にシール材52の外側に付着した余分の液晶を洗浄する。次に、(7)パネル検査工程にて、作製された液晶装置の製品検査を行う。
【0024】
本実施形態の液晶装置は、素子基板10及び対向基板20の辺端部におけるオーバーコート層(層間絶縁膜7及び平坦化膜23)の構造に特徴を有している。図3に示すように、本実施形態の液晶装置では、素子基板10の内面側に設けられた層間絶縁膜7が、シール材52の外側まで延設されるとともに、その縁端部に素子基板本体10Aに対して傾斜した斜面部7aを有するテーパー部7bが形成されている。また対向基板20の内面側に設けられた平坦化膜23も、シール材52の外側まで延設されるとともに、その縁端部に対向基板本体20Aに対して傾斜した斜面部23aを有するテーパー部23bが形成されている。
上記層間絶縁膜7のテーパー部7bは、上述の製造工程におけるTFTアレイ作製工程において、層間絶縁膜7のパターニングを行う際に形成することができる。その具体的な形成方法としては、例えば層間絶縁膜7を所定形状にエッチングする際に、意図的にオーバーエッチングすることで端縁部にテーパー形状を有する層間絶縁膜を形成することができる。更に詳しく説明するならば、現像後のポストベーク温度を制御する事により、エッチング後のテーパ角度を管理する事が出来る。例えば、ポストベーク温度を高くするとテーパー角度(後述する傾斜面7a、23aの傾斜角α、βに相当)は小さく、ポストベーク温度を低くすると前記テーパー角度は大きくなる。
【0025】
このように、シール材52の外側まで延設された層間絶縁膜7及び平坦化膜23が、先のテーパー部7b、23bを有していることで、本実施形態の液晶装置は、その製造に際して、上記(5)液晶注入・封止工程にて素子基板10と対向基板20とシール材52とに囲まれる領域内に液晶を封止した後の、(6)パネル洗浄工程による洗浄度を向上させることができる。これは、上記テーパー部7b、23bを設けたことにより、シール材52の外側における基板間隔を実質的に広げることができるため、シール材52の外面や層間絶縁膜7及び平坦化膜23の上面に付着している液晶を効果的に除去することができるようになるからである。
【0026】
上記テーパー部7b、23bの作用を図4を参照してさらに詳細に説明する。図4は、図3に示す液晶装置において、仮に上記テーパー部7b、23bが形成されていない構成とした場合の部分断面構成図である。
図4に示す液晶装置は、対向配置された素子基板10及び対向基板20とを有し、両基板10、20の間に液晶層50を挟持するとともにシール材52により封止した構成を備えており、素子基板本体10A内面側に、配線層6と、層間絶縁膜107とが形成され、対向基板本体20A内面側に平坦化膜123が形成されるとともに、前記層間絶縁膜107及び平坦化膜123がシール材52の外側まで延設されている。尚、図4では、図面を見易くするために、説明に不要の画素電極や共通電極、配向膜等はその図示を省略しているが、実際には、層間絶縁膜107及び平坦化膜123以外の構成は、図3に示す実施形態の液晶装置と同様である。
【0027】
図4に示すように、層間絶縁膜107及び平坦化膜123の端縁部が、テーパー部を有して形成されていない場合、基板10,20間の間隙がセルギャップ(液晶層50の層厚)とほぼ同等にまで狭くなる。図4に示す対向基板20と素子基板10側の配線層6との間隔L1は、通常5〜6μm程度であり、層間絶縁膜107の層厚L2は、2〜3μm程度である。従って、シール材52の外側における層間絶縁膜107と平坦化膜123との間隔は、3〜4μm程度であり、洗浄工程において除去しきれなかった液晶や洗剤が、シール材52の外周部に残渣Cとして残り易くなる。このような残渣Cは、層間絶縁膜107上に位置している限りにおいては、配線6に対してコロージョンを生じさせる可能性は低いが、図4に示すように、層間絶縁膜107により被覆されていない配線層6へ移動した場合には、配線層6の配線や外部接続端子に容易にコロージョンを生じさせて配線不良の原因となるおそれがある。
【0028】
これに対して、図3に示す本実施形態の液晶装置では、層間絶縁膜7及び平坦化膜23が、それぞれテーパー部7b、23bを有しているので、基板10,20間の間隔が比較的狭くなるシール材52外周面近傍に液晶が付着していたとしても、各テーパー部7b、23bの斜面部7a、23aに沿って外側へ排出され易くなっており、パネル洗浄工程における洗浄度を容易に向上させることができるようになっている。これにより、従来液晶や洗剤の残渣が生じやすかった基板10,20の間隙部における液晶や洗剤の除去を確実に行うことが可能になり、もって配線層6のコロージョンや図1(a)に示す外部接続端子202におけるコロージョンが極めて生じ難い構成とすることができ、高信頼性の液晶装置を提供することができる。
【0029】
図3に示す本実施形態の液晶装置では、層間絶縁膜7の斜面部7a及び平坦化膜23の斜面部23aは、紙面に垂直な方向に延在する傾斜平面とされているが、前記斜面部7a、23aは、いずれも曲面形状に形成することができる。前記傾斜面7a、23aの傾斜角α、βは、基板面に対して5°以上85°以下とすることが好ましい。前記傾斜角α、βが、5°未満の場合には、傾斜面7a、23aの平面領域が必要以上に大きくなり、液晶装置の額縁が大きくなるため、液晶装置の小型化の点で好ましくない。また、85°を超える場合には、前記斜面部7a、23aによる洗浄度の向上効果が得られ難くなるため好ましくない。これらを勘案して、液晶装置の額縁を小さくでき、かつ効果的に洗浄を行える傾斜角α、βの範囲としては、30°以上60°以下である。
【0030】
また、本実施形態では、素子基板10の層間絶縁膜7と、対向基板20の平坦化膜23の双方が、それぞれテーパー部7b、23bを有する構成としており、係る構成とすることが液晶装置の洗浄工程における洗浄度の点で好ましいのは勿論であるが、本発明において、少なくとも素子基板10側のオーバーコート層を成す層間絶縁膜7がテーパー部7bを有していれば、基板間の間隙を実質的に広げることができ、また、洗浄時に斜面部7aに沿って当該間隙に付着した液晶が掃き出され易くなるため、洗浄度の向上について一定の効果を期待できる。
【0031】
以上では、図3により、データ線駆動回路201が設けられた基板10,20辺端部について図示するとともに説明したが、本実施形態に係る層間絶縁膜7及び平坦化膜23は、データ線駆動回路201側の端縁部のみならず、図1(a)に示す走査線駆動回路204,204側の端縁部においても前記テーパー部7b、23bを有する構成とすることもできる。本実施形態の場合、走査線駆動回路204,204は、図3に示すTFT層35に形成されており、通常は層間絶縁膜7により覆われているため、これらの駆動回路204,204や配線をコロージョンから保護する効果は小さいが、走査線駆動回路204,204が、素子基板10上に露出された配線に対して異方性導電膜等を介して接続される構成である場合には、駆動回路の端子や配線をコロージョンから保護する効果は大きく、液晶装置の歩留まりや信頼性を向上させる上で本発明は極めて有用である。
【0032】
図1(a)に示す配線205が引き回された素子基板10辺端部においても、通常配線205は素子基板10の前記層間絶縁膜7により覆われているため、上記テーパー部7b、23bは必ずしも形成する必要はないが、前記配線205が露出されている場合には、係る基板辺端部においても、上記テーパー部7b、23bを設けることが好ましい。また、層間絶縁膜7により配線205が覆われている場合であっても、対向基板20の平坦化膜23にテーパー部23bを形成しておけば、配線205側の対向基板20辺端部における洗浄度を高めることができるため、液晶装置の信頼性を向上させる点で好ましい。
【0033】
また、本実施形態の液晶装置では、図3に示すように、層間絶縁膜7の斜面部7a、平坦化膜23の斜面部23aが、いずれもシール材52の形成領域と一部平面的に重なるように形成されている。このような構成とすることで、シール材52の外側に基板面と平行な平坦面が生じないようにすることができ、パネル洗浄工程において、上記斜面部7a、23aによる付着液晶の掃き出しを効果的に行うことができるようになる。また、図3に示すように、層間絶縁膜7、平坦化膜23の平坦面もシール材52の形成領域と一部平面的に重なって配置されており、これにより、シール材52に混入されている液晶層50の層厚(セルギャップ)を保持するためのギャップ材を安定に保持できるようになり、セルギャップを正確に制御できるようになる。
【0034】
またさらに、図3に示すように、シール材52は、素子基板10上において電極層19及び配向膜40と一部重なるように形成されており、対向基板20上においては、共通電極21及び配向膜60と一部重なるように形成されている。このような構成とすることで、配向膜40,60の端縁における段差を、液晶層50が封止された空間より外側に配置することができ、もって前記段差に起因する液晶分子の配向の乱れを防止することができ、高画質の液晶装置を提供することができる。
【0035】
以下、本実施形態のアクティブマトリクス型液晶装置の各部の詳細構成を図面を参照して説明する。
図5は、上記実施形態に係る素子基板10における1ドット領域の平面構成を示す図である。同図に示すように、素子基板10上に、平面視略矩形状の画素電極9が設けられており、画素電極9の縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3aおよび容量線3bが設けられている。本実施の形態において、各画素電極9および各画素電極9を囲むように配置されたデータ線6a、走査線3a、容量線3b等が形成された領域の内側が一つのドット領域であり、マトリクス状に配置された各ドット領域毎に表示が可能な構造になっている。図5では、画素電極9を1つのみ図示しているが、本実施の形態の液晶装置では、平面視略長方形状の画素電極9を備えた3ドットにより1画素が構成されるようになっている。
【0036】
データ線6aは、TFT30を構成する、例えばポリシリコン膜からなる半導体層1fのうち、後述のソース領域にコンタクトホール5を介して電気的に接続されており、画素電極9は、半導体層1fのうち、後述のドレイン領域にコンタクトホール8を介して電気的に接続されている。また、半導体層1fと走査線3aとが平面視において交差している領域(図中左上がりの斜線で示す領域)にTFT30のチャネル領域1aが形成されており、走査線3aはチャネル領域1aに対向する部分でゲート電極として機能する。
【0037】
容量線3bは、走査線3aに沿って略直線状に延びる本線部(すなわち、平面的に見て、走査線3aに沿って形成された第1領域)と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中上向き)に突出した突出部(すなわち、平面的に見て、データ線6aに沿って延設された第2領域)とを有する。そして、図5中、右上がりの斜線で示した領域には、複数の遮光膜11aが設けられている。
【0038】
上記遮光膜11aは、各々、半導体層1fのチャネル領域1aを含むTFT30を素子基板本体10A側から見て覆う位置に設けられており、さらに、容量線3bの本線部に対向して走査線3aに沿って直線状に延びる本線部と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って隣接する後段側(すなわち、図中下向き)に突出した突出部とを有する。遮光膜11aの各段(画素行)における下向きの突出部の先端は、データ線6a下において次段における容量線3bの上向きの突出部の先端と平面的に重なっている。この重なった箇所には、遮光膜11aと容量線3bとを相互に電気的に接続するコンタクトホール13が設けられている。すなわち、遮光膜11aは、コンタクトホール13によって前段あるいは後段の容量線3bと電気的に接続されている。
【0039】
次に、図6に基づいて、本実施形態の液晶装置の詳細な断面構造について説明する。図6は、図5に示すA−A’線に沿う断面構造を示す図である。同図に示すように、本実施形態の透過型液晶装置においては、素子基板10と、これに対向配置される対向基板20との間に誘電異方性が負の液晶からなる垂直配向モードの液晶層50が挟持されている。素子基板10は、素子基板本体10Aと、その液晶層50側表面に形成された、TFT30、画素電極9、配向膜40とを主体として構成され、対向基板20は対向基板本体20Aと、その液晶層50側表面に形成された、カラーフィルタ層22、平坦化膜23、共通電極21、配向膜60とを主体として構成されている。
【0040】
素子基板10において、画素電極9に隣接する位置に、各画素電極9をスイッチング制御する画素スイッチング用TFT30が設けられている。TFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3aと、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’と、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜2と、データ線6aと、半導体層1aの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eとを備えている。
【0041】
また、上記走査線3a上、ゲート絶縁膜2上を含む素子基板本体10A上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5、及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が開孔した第2層間絶縁膜4が形成されている。つまり、データ線6aは、第2層間絶縁膜4を貫通するコンタクトホール5を介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続されている。さらに、データ線6a上及び第2層間絶縁膜4上には、高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が開孔した第3層間絶縁膜7が形成されている。つまり、高濃度ドレイン領域1eは、第2層間絶縁膜4及び第3層間絶縁膜7を貫通するコンタクトホール8を介して画素電極9に電気的に接続されている。また、本実施形態では、ゲート絶縁膜2を走査線3aに対向する位置から延設して誘電体膜として用い、半導体膜1aを延設して第1蓄積容量電極1fとし、更にこれらに対向する容量線3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、蓄積容量70が構成されている。
【0042】
素子基板本体10Aの液晶層50側表面において、各画素スイッチング用TFT30が形成された領域には、遮光膜11aが設けられており、係る遮光膜11aは、素子基板10を透過した後、素子基板10の図示下面で反射されて液晶層50側へ戻る光が、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’及び低濃度ソース、ドレイン領域1b、1cに入射するのを防止するために設けられている。前記遮光膜11aとTFT30との間には、TFT30を構成する半導体層1aを遮光膜11aから電気的に絶縁するための第1層間絶縁膜12が形成されている。さらに、図5に示したように、素子基板10に遮光膜11aを設けるのに加えて、コンタクトホール13を介して遮光膜11aは、前段あるいは後段の容量線3bに電気的に接続するように構成されている。
また、素子基板10の液晶層50側最表面、すなわち、画素電極9及び第3層間絶縁膜7上には、電圧無印加時における液晶層50内の液晶分子の配向を制御する配向膜40が形成されている。
【0043】
他方、対向基板本体20Aの液晶層50側表面であって、データ線6a、走査線3a、画素スイッチング用TFT30の形成領域に対向する領域、すなわち各画素部の開口領域と対応する平面形状を有する複数色の色材層を備えたカラーフィルタ層22が設けられている。さらに、カラーフィルタ層22が形成された対向基板本体20Aの液晶層50側には、そのほぼ全面に渡って、アクリル樹脂等からなる平坦化膜23が設けられ、平坦化膜23上にITO等からなる共通電極21、及び電圧無印加時における液晶層50内の液晶分子の配向を制御する配向膜60が形成されている。
【0044】
尚、図5及び図6を参照して説明した液晶装置の詳細構成は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明の技術範囲を何ら限定するものではない。
【0045】
(電子機器)
図7は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。この図に示す携帯電話1300は、本発明の液晶装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
上記各実施の形態の表示装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの電子機器に対しても高画質で高信頼性の表示部を提供し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、実施形態の液晶装置の平面構成図、図1(a)に示すH−H線に沿う断面構成図。
【図2】図2は、同、回路構成図。
【図3】図3は、同、基板辺端部における断面構成図。
【図4】図4は、オーバーコート層の作用を説明するための図であって、他の構成の液晶装置の基板辺端部における断面構成図。
【図5】図5は、実施形態の液晶装置の1ドット領域の平面構成図。
【図6】図6は、図5のA−A’線に沿う断面構成図。
【図7】図7は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視構成図。
【符号の説明】
10 素子基板、20 対向基板、10A 素子基板本体、20A 対向基板本体、7 層間絶縁膜(オーバーコート層)、23 平坦化膜((第2の)オーバーコート層)、7a,23a 斜面部、7b,23b テーパー部、40,60 配向膜、50 液晶、3a 走査線、6 配線層(配線)、6a データ線、30 TFT(薄膜トランジスタ)
Claims (6)
- 互いに対向して配置された素子基板及び対向基板と、前記の両基板間に挟持された液晶層と、前記液晶層を封止するシール材とを備え、前記素子基板の内面側に、薄膜トランジスタ素子と、該薄膜トランジスタ素子と接続された配線と、前記薄膜トランジスタ及び配線を覆って前記シール材の外側まで延設されたオーバーコート層とが形成された液晶装置であって、
前記配線が、前記シール材の外側まで延出されて当該素子基板の辺端部に設けられた外部接続端子と接続されており、
前記外部接続端子が設けられた素子基板辺端部において、前記シール材の外側に延設されたオーバーコート層の縁端部が、前記素子基板の基板面に対して傾斜したテーパー状を成していることを特徴とする液晶装置。 - 前記対向基板の内面側にカラーフィルタ層が設けられ、該カラーフィルタ層を覆う第2のオーバーコート層が形成されており、
前記外部接続端子が形成された素子基板辺端部において、前記シール材の外側に延設された前記第2のオーバーコート層の縁端部が、前記素子基板の基板面に対して傾斜したテーパー状を成していることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。 - 前記素子基板の全ての辺端部において、前記シール材の外側に延設されたオーバーコート層の縁端部が、前記素子基板の基板面に対して傾斜したテーパー状を成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。
- 互いに対向して配置された素子基板及び対向基板と、前記の両基板間に挟持された液晶層と、前記液晶層を封止するシール材とを備え、前記素子基板の内面側に、薄膜トランジスタ素子と、該薄膜トランジスタ素子と接続された配線と、前記配線と素子基板辺端において接続された外部接続端子とを具備した液晶装置の製造方法であって、
前記薄膜トランジスタ及び配線を覆うオーバーコート層を形成するに際して、
前記オーバーコート層を前記シール材の外側まで延設するとともに、前記外部接続端子が形成された素子基板辺端部において、前記オーバーコート層の縁端部を、前記素子基板の基板面に対して傾斜したテーパー状に形成することを特徴とする液晶装置の製造方法。 - 前記素子基板の全ての辺端部において、前記オーバーコート層の縁端部を、前記素子基板の基板面に対して傾斜したテーパー状に形成することを特徴とする請求項4に記載の液晶装置の製造方法。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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JP2003142052A JP2004347696A (ja) | 2003-05-20 | 2003-05-20 | 液晶装置、及びその製造方法、並びに電子機器 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009031774A (ja) * | 2007-06-26 | 2009-02-12 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 液晶表示装置およびその作製方法 |
-
2003
- 2003-05-20 JP JP2003142052A patent/JP2004347696A/ja not_active Withdrawn
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