JP2004347678A - カメラの受光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ファインダ像が暗くならず、レリーズタイムラグの無いフラッシュ発光量制御用の受光装置を得ること。
【解決手段】撮影光学系とは別体に設けられたファインダ光学系と、受光素子と、ファインダ光学系に入射した被写体光束を分割する光分割手段を有し、光分割手段により分割された被写体光束を前記受光素子へ導くようにしたカメラの測光装置において、光分割手段は可視領域の光と赤外領域の光に分割するものであり、赤外領域の光を受光素子へ導き、エレクトリックフラッシュの制御に用いることを特徴とするカメラの受光装置とする。
【選択図】 図2
【解決手段】撮影光学系とは別体に設けられたファインダ光学系と、受光素子と、ファインダ光学系に入射した被写体光束を分割する光分割手段を有し、光分割手段により分割された被写体光束を前記受光素子へ導くようにしたカメラの測光装置において、光分割手段は可視領域の光と赤外領域の光に分割するものであり、赤外領域の光を受光素子へ導き、エレクトリックフラッシュの制御に用いることを特徴とするカメラの受光装置とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はカメラに搭載される受光装置、特にエレクトリックフラッシュ発光量制御のための受光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、被写体像を固体撮像素子により光電変換し、この光電変換されたデータを処理し、画像として記録用のメモリに記録する所謂デジタルカメラが広く普及しつつある。
【0003】
これらのデジタルカメラは、エレクトリックフラッシュ(以下フラッシュと称す)を内蔵したものが一般的であり、使用される撮像素子のラチチュードの狭さを補うため、定常光による撮影時及びフラッシュ光を使用した撮影時にそれぞれ異なる露光量制御がおこなわれている。
【0004】
定常光による撮影時は、フィルム使用のカメラと異なり、撮影に使用される撮像素子を利用して撮影前に画像を取り込み、この撮像素子出力を勘案して実露光時の露光条件を決定する方法が一般的に用いられている。
【0005】
また、フラッシュ光を用いる撮影時の露光量制御においては、主にフラッシュの発光量を制御することにより、適正な露光量を得る方法が一般的に用いられている。現在のフラッシュ撮影時の発光量制御法には、以下の2種のいずれかが主に用いられている。
【0006】
(1)撮影光学系とは別にフラッシュ調光用の受光素子を被写体に向けて配置し、撮影露光時のフラッシュ発光による被写体からの反射光をリアルタイムで受光し、この受光光量が所定値になった時点でフラッシュ発光を停止させる方法。
【0007】
(2)撮影時に用いる撮像光学系と撮像素子を用い、撮影露光の前に、予め定めた小光量の予備発光(プリ発光)を被写体に対し行い、この時の撮像素子出力から撮影露光時に適正露光となる発光量を予測演算し、この演算で得られた発光量を撮影露光時に発光させる方法。
【0008】
一方、測光系としては、撮影レンズを通過した光を測光する所謂TTL方式や撮影レンズとは別体の光学系に測光のための受光素子を設けたものが知られている。この、撮影レンズとは別体の光学系に測光のための受光素子を設けたものとして、実像式ファインダ光学系中に配置されたプリズムもしくはミラーのいずれかから入射光の一部を測光用光束として取り出すようにしたものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平1−209432号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平7−174626号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、定常光による撮影時は撮影レンズを通過した光を測光し、ズームレンズを搭載した場合でも画角の変化に応じて測光範囲が変化するようになっている。即ち、従来の所謂コンパクトカメラに分類される種類のデジタルカメラでも定常光による撮影時は、ほぼ理想的な方法が採用されていると言える。
【0012】
一方、フラッシュ光を用いる撮影時の露光量制御法については、前記の2種の方法は、それぞれ以下の問題を有している。
【0013】
前記(1)の方法は、プリ発光を必要とせず、後述のタイムラグの発生は無いが、受光素子の受光角が一定の場合、ズームレンズ搭載カメラの撮影画角変化に対応できない。
【0014】
例えば短焦点時に受光角を適切になるよう設定すると、長焦点時にはその受光角が画角より広い設定になる。この場合、長焦点時に撮影範囲外の周囲の近距離に物体があると、この物体からの反射光を受光することになり、発光量不足のまま発光を停止しアンダー露光となる。
【0015】
また逆に長焦点時に受光角を適切になるよう設定すると、短焦点時にはその受光角が極端にスポット的な設定になる。この場合、フラッシュ発光量の制御が受光角内にある被写体の反射率に依存し、受光角内の被写体反射率が高いとアンダー露光、受光角内の被写体反射率が低い場合オーバー露光となる問題がある。
【0016】
更に、近年発生しつつある大きな問題は、カメラの小型化が急速に進められ、カメラを保持する指と受光素子の配置された位置が必然的に近くならざるを得ず、被写体の反射光でなく、間近のカメラを保持する指の反射光を受光し、極度のアンダー露光となる問題が発生している。
【0017】
前記(2)の方法は、撮影レンズを通過した光を受光しているため、ズームレンズを搭載した場合でも画角の変化に応じて受光範囲が変化し、上記(1)のような問題は無い。しかし、レリーズ釦が押されてから実際の露光が始まるまでにタイムラグが発生するという問題がある。
【0018】
即ち、レリーズ釦が押された後、プリ発光をおこない、このプリ発光による被写体からの反射光を撮像素子で受け、適正な発光量を予測演算した後、撮影のための露光がおこなわれる。この一連のシーケンスに100ミリセカンド(ms)前後の時間を要し、シャッターチャンスを逃してしまう問題がある。またプリ発光を撮影と勘違いさせてしまい、カメラブレを起こすという問題もある。
【0019】
更に、プリ発光時にもフラッシュ用のコンデンサに充電した電荷を使用するため、露光のため使用できる発光量がプリ発光に使用する分だけ低下する。この対策としてコンデンサ容量を大きくすると、大型化、コストアップ、充電時間の増加、電池寿命の短縮等種々の問題が付随的に発生する。
【0020】
また、測光系として特許文献1、特許文献2に記載の実像式ファインダは、上記の(1)の問題を解消する一方法であるが、測光用光束の分離にハーフミラー若しくはパターンミラーを使用している。このためファインダ視野像は、入射光から測光用光束の分を差し引いた光量の像となり、視野像の暗いファインダとなってしまう欠点がある。このことは特に、暗所での撮影時に被写体の確認が困難となる欠点となる。
【0021】
本発明は上記問題に鑑み、ファインダ光学系に受光素子を配置してファインダ入射光の一部を利用する受光装置であって、ファインダ像が暗くならず、レリーズタイムラグの無いフラッシュ発光量制御用の受光装置を得ることを目的とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、
1) 撮影光学系とは別体に設けられたファインダ光学系と、受光素子と、前記ファインダ光学系に入射した被写体光束を分割する光分割手段を有し、該光分割手段により分割された被写体光束を前記受光素子へ導くようにしたカメラの受光装置において、前記光分割手段は可視領域の光と赤外領域の光に分割するものであり、前記赤外領域の光を前記受光素子へ導き、エレクトリックフラッシュの制御に用いることを特徴とするカメラの受光装置、とすることで達成される。
【0023】
即ち、ファインダ光学系中に配置された光分割手段により、赤外光と可視光に分割し、可視光は使用者へのファインダ視野像として用いることでファインダ像は全く暗くならず、赤外光を受光素子へ導くことでフラッシュ制御用の受光装置を得ることができる。
【0024】
2) ファインダ光学系は、実像式ファインダである1)のカメラの受光装置、であることが望ましい。これにより、ファインダの結像面と共役な位置近傍に受光素子を配置するだけで受光範囲を容易に設定できるようになる。
【0025】
3) 撮像光学系とファインダ光学系は変倍可能なズーム光学系である1)又は2)のカメラの受光装置、とすることで、撮影画角に対応して受光範囲を変化させることが可能となる。
【0026】
4) 光分割手段は、赤外領域の光を透過し可視領域の光を反射する鏡面又は赤外領域の光を反射し可視領域の光を透過する鏡面のいずれかである1)〜3)のいずれかのカメラの受光装置、とすることで、特に実像式ファインダの正立系が反射系の場合は赤外光を透過し可視光を反射する鏡面を用い、正立系がリレー系の場合は赤外光を反射し可視光を透過する鏡面を用いることで複雑な光路を用いずに構成することが可能になる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
図1は、本発明の受光装置を備えたデジタルカメラの一例の外観図である。図1(a)はカメラ前面から見た斜視図、図1(b)はカメラ背面から見た斜視図である。
【0029】
図1(a)において、81はズーム変倍撮像光学系であり、82は本発明の受光装置を備えたズームファインダのファインダ窓、83はレリーズ釦、84はフラッシュ発光部、86はマイク、87はストラップ取り付け部、88は外部機器との接続端子(例えばUSB端子)である。89はレンズカバーであり、不使用時は撮像光学系81は沈胴し、レンズカバー89をスライドして撮像光学系81及びファインダ窓82、フラッシュ発光部84の前面を覆うようになっている。
【0030】
レリーズ釦83はその1段の押し込み(以下、スイッチS1のONという)によりカメラの撮影準備動作、即ち焦点合わせ動作や測光動作が行われ、その2段の押し込みにより撮影露光動作が行われる。
【0031】
図1(b)において、91は本発明の受光装置を備えたズームファインダのファインダ接眼部、92は赤と緑の表示ランプであり、AFやAEの情報をスイッチS1がONされた時、点灯もしくは点滅により撮影者に表示するものである。93はズーム釦であり、ズームアップ、ズームダウンをおこなう釦である。94はスピーカであり、マイク86で録音した音声の再生や、レリーズ音等を発するものである。95はメニュー/セット釦、96は選択釦で4方向スイッチであり、100は画像表示部であり画像やその他文字情報等を表示する。メニュー/セット釦95で、画像表示部100上に各種のメニューを表示させ、選択釦96で選択し、メニュー/セット釦95で確定させる機能を有している。97は再生釦で、撮影した画像の再生をおこなう釦である。98はディスプレイ釦で、画像表示部100に表示された画像やその他文字情報の表示や消去を選択する釦である。99は消去釦で、撮影記録した画像の消去をおこなう釦である。101は三脚穴、102は電池/カード蓋である。電池/カード蓋102の内部には、本カメラの電源を供給する電池と、撮影した画像を記録するカード型のリムーバブルメモリが装填されるようになっている。
【0032】
図2は、本発明の受光装置を備えたファインダ光学系主要部を示した図である。このファインダ光学系は、実像式ズームファインダである。
【0033】
同図において、11はファインダ第1レンズ(以降、F1レンズと称す)、12はファインダ第2レンズ(以降、F2レンズと称す)、13はファインダ第3レンズ(以降、F3レンズと称す)、14はファインダ第4レンズ(以降、F4レンズと称す)であり、この4枚のレンズにより変倍可能な結像系が構成されている。15は反射面を3面備えたプリズムであり、20は視野マスク、16は本発明に係る光分割手段として使用されるミラーである。このプリズム15とミラー16により正立系が構成されている。17はアイピースレンズであり、18は集光レンズ、19は赤外光領域に感度を持つ受光素子(例えば、シリコンフォトトランジスタ)である。以下、受光素子をシリコンフォトトランジスタとして説明するが、赤外領域に感度を有する受光素子であれば、これに限るものではない。
【0034】
以上のように構成されたファインダ光学系において、被写体光はF1レンズ11〜F4レンズ14を経てプリズム15の入射面15aに入射し、反射面15b、15c、15dで順次反射した後、プリズム15から射出し視野マスク20の面で結像する。ズーミング即ち変倍は、F2レンズ12とF3レンズ13が光軸に沿ってそれぞれが所定量移動することによりおこなわれる。
【0035】
視野マスク20の面で結像した光束は、ミラー16の視野マスク側の面で赤外領域の光と可視領域の光に分割され可視領域の光は反射しアイピースレンズ17を経て、視野像として撮影者に視認される。一方、赤外領域の光はミラー16を透過し集光レンズ18を経て、シリコンフォトトランジスタ19により受光される。
【0036】
図3は、本発明に適用される図2のミラー16の分光反射率特性及び分光透過率特性の例を示した図である。同図に示すように、ミラー16は所謂コールドミラー(エドモンド・オプティクス・ジャパン社製)と同様の分光特性を有するものである。ミラー16は、入射角45°で図示のような特性となるよう、例えば誘電体多層膜により形成される。同図は、実線が各波長の透過率を示し、破線が各波長での反射率を示している。同図に示すように、可視光領域を殆ど反射させ、赤外光領域を殆ど透過させるものである。
【0037】
図4は、本発明に適用されるシリコンフォトトランジスタ19の分光感度特性を示す図である。同図に示すようにシリコンフォトトランジスタ19の分光感度は周知のように、赤外領域の波長800nm付近に最大感度を有しているためミラー16を透過した赤外光を損失なく有効に受光することができる。
【0038】
即ち、上記のような構成により、撮影者が視認する視野像すなわち被写体像の明るさは、光分割手段であるミラー16の影響を全く受けず、通常のミラーを配置した場合と同等とすることができると共に、指の反射光を受けることなく、撮影画角に対応して受光角が変化しつつ、プリ発光を必要とせず、レリーズタイムラグの無いフラッシュ制御用の受光装置を得ることができる。
【0039】
図5は、本発明の受光装置を備えた別のファインダ光学系を示した図である。同図は、光分割手段を結像面の前方に配置し、シリコンフォトトランジスタ19の受光面を結像面と共役な位置近傍に配置した例である。以下、図2に示したもの同機能をもつものには同符号を付して説明の重複を避け、異なる点について説明する。
【0040】
図5に示す光学系は、プリズム21の反射面21dの面に、図3で示した分光反射率特性及び分光透過率特性を持たせた光分割手段である誘電体多層膜を形成し、プリズム22を接着し、反射面21dを透過した赤外領域の光束を受光するようプリズム22の後方にシリコンフォトトランジスタ19を配置したものである。シリコンフォトトランジスタ19の受光面は、視野マスク20と光学的に共役な位置近傍に配置されている。この場合、ミラー23は通常の表面鏡でよい。
【0041】
このように、赤外光の結像面近傍にシリコンフォトトランジスタ19の受光面を配置することにより、集光レンズを使用しなくても図2に示した光学系より測光分布をより明確に設定することができるようになる。
【0042】
図6は、本発明の受光装置を備えた、更に別のファインダ光学系を示した図である。
【0043】
図6に示す光学系は、入射面25aと反射面25b、25cを有するプリズム25と、光分割手段であるミラー26、ミラー23で正立系が構成され、ミラー26を結像面前方に配置し、シリコンフォトトランジスタ19を結像面と共役な位置近傍に配置したものである。光分割手段のミラー26は、視野マスク20側の面に、図3に示す分光反射率特性及び分光透過率特性をもつ反射面を施したものであり、シリコンフォトトランジスタ19の受光面は、視野マスク20と光学的に共役な位置近傍に配置されている。この場合もミラー23は通常の表面鏡でよい。
【0044】
このような構成とすることで、測光分布をより明確に設定できるだけでなく、図5に示す光学系に比べコストを低減できる。
【0045】
図7は、本発明の受光装置を備えた、その他のファインダ光学系を示した図である。本実施の形態は、正立系をダハミラー31とペンタプリズム32で構成し、ダハミラー31の背後にシリコンフォトトランジスタ19を配置したものである。ダハミラー31は、その稜線を光軸と45°に傾けて配置される。このダハミラー31は本発明に係る光分割手段であり、ミラー31の反射面は前述の図3に示す分光反射率特性及び分光透過率特性をもつように形成されている。
【0046】
このダハミラー31により、可視光領域は反射され視野マスク20の面で結像し、ペンタプリズム32、アイピースレンズ17を通して撮影者に視野像として視認される。一方、赤外光領域はダハミラー31を透過しシリコンフォトトランジスタ19で受光される。
【0047】
なお、図7に示す光学系は、光分割する平面ミラーとペンタゴナルダハプリズムで構成することも可能なのは言うまでもない。
【0048】
図8は、本発明の受光装置を備えた、リレー系を用いたファインダ光学系を示した図である。
【0049】
同図において、11はF1レンズ、12はF2レンズ、13はF3レンズ、14はF4レンズであり、この4枚のレンズにより変倍可能な結像系が構成されている。20は視野マスク、43はコンデンサレンズ、41はリレー光学系、42は本発明に係る光分割手段である。本例では正立系がリレー光学系41で構成されている。17はアイピースレンズであり、19はシリコンフォトトランジスタである。
【0050】
以上のように構成されたファインダ光学系において、被写体光はF1レンズ11〜F4レンズ14を経て視野マスク20の面で結像する。ズーミング即ち変倍は、F2レンズ12とF3レンズ13が光軸に沿ってそれぞれが所定量移動することによりおこなわれる。視野マスク20の面で結像した光束は、リレー光学系41により再び破線で示す44の位置で再結像され正立像となる。
【0051】
光分割手段42で赤外領域の光と可視領域の光に分割され可視領域の光は透過しアイピースレンズ17を経て、視野像として撮影者に視認される。一方、赤外領域の光は反射しシリコンフォトトランジスタ19により受光される。
【0052】
図9は、正立系としてリレー系を用いたファインダ光学系に適用される光分割手段42の分光反射率特性及び分光透過率特性の例を示した図である。
【0053】
同図に示すように、光分割手段42は所謂ホットミラー(エドモンド・オプティクス・ジャパン社製)と同様の分光特性を有するものである。これは入射角45°で図示のような特性となるよう、例えば誘電体多層膜により形成される。同図は、実線が各波長の透過率を示し、破線が各波長での反射率を示している。同図に示すように、可視光領域を殆ど透過させ、赤外光領域を殆ど反射させることができるものである。
【0054】
このように構成することで、正立系にリレー光学系を使用したファインダの場合でも、撮影者が視認する視野像すなわち被写体像の明るさは暗くならず、撮影画角に対応して受光角が変化しつつ、プリ発光を必要としないレリーズタイムラグの無いフラッシュ制御用の受光装置を得ることができる。
【0055】
また、逆ガリレオ式ズームファインダの場合も同様に光路中に図9に示す特性の光分割手段を挿入することで適用可能である。
【0056】
即ち、屈曲部を有するファインダ光学系の屈曲部に光分割手段を使用し、赤外光領域と可視光領域に分割する場合は図3に示す分光特性の光分割手段を用い、ファインダ光学系の直線部で赤外光領域と可視光領域に分割する場合は図9に示す分光特性の光分割手段を用いるということである。
【0057】
このように、可視光と赤外光とに分割し、可視光をアイピースレンズへ導き、フラッシュ発光による被写体からの反射光のうち、赤外光をフラッシュ制御用の光束として利用することにより、前述の効果に加え、可視光を含む光を受光する従来のフラッシュ制御方法に比べ、被写体反射率の違いによる露光量のバラツキを低減することも可能になる。これは、自然界の物体の赤外反射率の分布範囲が、可視光反射率の分布範囲より狭いことによる。
【0058】
また、受光素子は、ファインダ中心に配置するのではなく、ファインダ視野のやや下方に位置させることが望ましい。具体的には、受光素子中心をファインダ中心からファインダ視野短辺方向の長さの10〜15%程度下方に配置することが望ましい。これは撮影画面上部は主要被写体がなく、主要被写体よりも遠距離の背景となっている場合が多いためである。
【0059】
更に、受光範囲はファインダ視野短辺方向の長さの50〜75%程度の長さを直径とする円形、ファインダ視野短辺方向の長さの50〜75%程度の長さを短軸とする楕円形、ファインダ視野短辺方向の長さの50〜75%程度の長さを1辺とする略四角形、ファインダ視野短辺方向の長さの50〜75%程度の長さを高さとする略三角形等に設定することが望ましい。
【0060】
なお、本実施の形態では、デジタルカメラのズームファインダを用いて説明したが、単焦点のカメラに搭載される固定式のファインダ及びフィルムカメラのフラッシュ制御用受光装置にも適用可能であり、本発明を逸脱するものでないのは勿論である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、ファインダ光学系内で、可視光と赤外光とに分割し、可視光をアイピースレンズへ導き、フラッシュ発光による被写体からの反射光のうち、赤外光をフラッシュ制御用の光束として利用することにより、ファインダ像が暗くならず、レリーズタイムラグの無いフラッシュ発光量制御用の受光装置を得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の受光装置を備えたデジタルカメラの一例の外観図である。
【図2】本発明の受光装置を備えたファインダ光学系主要部を示した図である。
【図3】本発明に適用される図2のミラーの分光反射率特性及び分光透過率特性の例を示した図である。
【図4】本発明に適用されるシリコンフォトトランジスタの分光感度特性を示す図である。
【図5】本発明の受光装置を備えた別のファインダ光学系を示した図である。
【図6】本発明の受光装置を備えた、更に別のファインダ光学系を示した図である。
【図7】本発明の受光装置を備えた、その他のファインダ光学系を示した図である。
【図8】本発明の受光装置を備えた、リレー系を用いたファインダ光学系を示した図である。
【図9】正立系としてリレー系を用いたファインダ光学系に適用される光分割手段の分光反射率特性及び分光透過率特性の例を示した図である。
【符号の説明】
11 ファインダ第1レンズ(F1レンズ)
12 ファインダ第2レンズ(F2レンズ)
13 ファインダ第3レンズ(F3レンズ)
14 ファインダ第4レンズ(F4レンズ)
15 プリズム
16 ミラー(光分割手段)
17 アイピースレンズ
18 集光レンズ
19 受光素子
20 視野マスク
【発明の属する技術分野】
本発明はカメラに搭載される受光装置、特にエレクトリックフラッシュ発光量制御のための受光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、被写体像を固体撮像素子により光電変換し、この光電変換されたデータを処理し、画像として記録用のメモリに記録する所謂デジタルカメラが広く普及しつつある。
【0003】
これらのデジタルカメラは、エレクトリックフラッシュ(以下フラッシュと称す)を内蔵したものが一般的であり、使用される撮像素子のラチチュードの狭さを補うため、定常光による撮影時及びフラッシュ光を使用した撮影時にそれぞれ異なる露光量制御がおこなわれている。
【0004】
定常光による撮影時は、フィルム使用のカメラと異なり、撮影に使用される撮像素子を利用して撮影前に画像を取り込み、この撮像素子出力を勘案して実露光時の露光条件を決定する方法が一般的に用いられている。
【0005】
また、フラッシュ光を用いる撮影時の露光量制御においては、主にフラッシュの発光量を制御することにより、適正な露光量を得る方法が一般的に用いられている。現在のフラッシュ撮影時の発光量制御法には、以下の2種のいずれかが主に用いられている。
【0006】
(1)撮影光学系とは別にフラッシュ調光用の受光素子を被写体に向けて配置し、撮影露光時のフラッシュ発光による被写体からの反射光をリアルタイムで受光し、この受光光量が所定値になった時点でフラッシュ発光を停止させる方法。
【0007】
(2)撮影時に用いる撮像光学系と撮像素子を用い、撮影露光の前に、予め定めた小光量の予備発光(プリ発光)を被写体に対し行い、この時の撮像素子出力から撮影露光時に適正露光となる発光量を予測演算し、この演算で得られた発光量を撮影露光時に発光させる方法。
【0008】
一方、測光系としては、撮影レンズを通過した光を測光する所謂TTL方式や撮影レンズとは別体の光学系に測光のための受光素子を設けたものが知られている。この、撮影レンズとは別体の光学系に測光のための受光素子を設けたものとして、実像式ファインダ光学系中に配置されたプリズムもしくはミラーのいずれかから入射光の一部を測光用光束として取り出すようにしたものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平1−209432号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平7−174626号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、定常光による撮影時は撮影レンズを通過した光を測光し、ズームレンズを搭載した場合でも画角の変化に応じて測光範囲が変化するようになっている。即ち、従来の所謂コンパクトカメラに分類される種類のデジタルカメラでも定常光による撮影時は、ほぼ理想的な方法が採用されていると言える。
【0012】
一方、フラッシュ光を用いる撮影時の露光量制御法については、前記の2種の方法は、それぞれ以下の問題を有している。
【0013】
前記(1)の方法は、プリ発光を必要とせず、後述のタイムラグの発生は無いが、受光素子の受光角が一定の場合、ズームレンズ搭載カメラの撮影画角変化に対応できない。
【0014】
例えば短焦点時に受光角を適切になるよう設定すると、長焦点時にはその受光角が画角より広い設定になる。この場合、長焦点時に撮影範囲外の周囲の近距離に物体があると、この物体からの反射光を受光することになり、発光量不足のまま発光を停止しアンダー露光となる。
【0015】
また逆に長焦点時に受光角を適切になるよう設定すると、短焦点時にはその受光角が極端にスポット的な設定になる。この場合、フラッシュ発光量の制御が受光角内にある被写体の反射率に依存し、受光角内の被写体反射率が高いとアンダー露光、受光角内の被写体反射率が低い場合オーバー露光となる問題がある。
【0016】
更に、近年発生しつつある大きな問題は、カメラの小型化が急速に進められ、カメラを保持する指と受光素子の配置された位置が必然的に近くならざるを得ず、被写体の反射光でなく、間近のカメラを保持する指の反射光を受光し、極度のアンダー露光となる問題が発生している。
【0017】
前記(2)の方法は、撮影レンズを通過した光を受光しているため、ズームレンズを搭載した場合でも画角の変化に応じて受光範囲が変化し、上記(1)のような問題は無い。しかし、レリーズ釦が押されてから実際の露光が始まるまでにタイムラグが発生するという問題がある。
【0018】
即ち、レリーズ釦が押された後、プリ発光をおこない、このプリ発光による被写体からの反射光を撮像素子で受け、適正な発光量を予測演算した後、撮影のための露光がおこなわれる。この一連のシーケンスに100ミリセカンド(ms)前後の時間を要し、シャッターチャンスを逃してしまう問題がある。またプリ発光を撮影と勘違いさせてしまい、カメラブレを起こすという問題もある。
【0019】
更に、プリ発光時にもフラッシュ用のコンデンサに充電した電荷を使用するため、露光のため使用できる発光量がプリ発光に使用する分だけ低下する。この対策としてコンデンサ容量を大きくすると、大型化、コストアップ、充電時間の増加、電池寿命の短縮等種々の問題が付随的に発生する。
【0020】
また、測光系として特許文献1、特許文献2に記載の実像式ファインダは、上記の(1)の問題を解消する一方法であるが、測光用光束の分離にハーフミラー若しくはパターンミラーを使用している。このためファインダ視野像は、入射光から測光用光束の分を差し引いた光量の像となり、視野像の暗いファインダとなってしまう欠点がある。このことは特に、暗所での撮影時に被写体の確認が困難となる欠点となる。
【0021】
本発明は上記問題に鑑み、ファインダ光学系に受光素子を配置してファインダ入射光の一部を利用する受光装置であって、ファインダ像が暗くならず、レリーズタイムラグの無いフラッシュ発光量制御用の受光装置を得ることを目的とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、
1) 撮影光学系とは別体に設けられたファインダ光学系と、受光素子と、前記ファインダ光学系に入射した被写体光束を分割する光分割手段を有し、該光分割手段により分割された被写体光束を前記受光素子へ導くようにしたカメラの受光装置において、前記光分割手段は可視領域の光と赤外領域の光に分割するものであり、前記赤外領域の光を前記受光素子へ導き、エレクトリックフラッシュの制御に用いることを特徴とするカメラの受光装置、とすることで達成される。
【0023】
即ち、ファインダ光学系中に配置された光分割手段により、赤外光と可視光に分割し、可視光は使用者へのファインダ視野像として用いることでファインダ像は全く暗くならず、赤外光を受光素子へ導くことでフラッシュ制御用の受光装置を得ることができる。
【0024】
2) ファインダ光学系は、実像式ファインダである1)のカメラの受光装置、であることが望ましい。これにより、ファインダの結像面と共役な位置近傍に受光素子を配置するだけで受光範囲を容易に設定できるようになる。
【0025】
3) 撮像光学系とファインダ光学系は変倍可能なズーム光学系である1)又は2)のカメラの受光装置、とすることで、撮影画角に対応して受光範囲を変化させることが可能となる。
【0026】
4) 光分割手段は、赤外領域の光を透過し可視領域の光を反射する鏡面又は赤外領域の光を反射し可視領域の光を透過する鏡面のいずれかである1)〜3)のいずれかのカメラの受光装置、とすることで、特に実像式ファインダの正立系が反射系の場合は赤外光を透過し可視光を反射する鏡面を用い、正立系がリレー系の場合は赤外光を反射し可視光を透過する鏡面を用いることで複雑な光路を用いずに構成することが可能になる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
図1は、本発明の受光装置を備えたデジタルカメラの一例の外観図である。図1(a)はカメラ前面から見た斜視図、図1(b)はカメラ背面から見た斜視図である。
【0029】
図1(a)において、81はズーム変倍撮像光学系であり、82は本発明の受光装置を備えたズームファインダのファインダ窓、83はレリーズ釦、84はフラッシュ発光部、86はマイク、87はストラップ取り付け部、88は外部機器との接続端子(例えばUSB端子)である。89はレンズカバーであり、不使用時は撮像光学系81は沈胴し、レンズカバー89をスライドして撮像光学系81及びファインダ窓82、フラッシュ発光部84の前面を覆うようになっている。
【0030】
レリーズ釦83はその1段の押し込み(以下、スイッチS1のONという)によりカメラの撮影準備動作、即ち焦点合わせ動作や測光動作が行われ、その2段の押し込みにより撮影露光動作が行われる。
【0031】
図1(b)において、91は本発明の受光装置を備えたズームファインダのファインダ接眼部、92は赤と緑の表示ランプであり、AFやAEの情報をスイッチS1がONされた時、点灯もしくは点滅により撮影者に表示するものである。93はズーム釦であり、ズームアップ、ズームダウンをおこなう釦である。94はスピーカであり、マイク86で録音した音声の再生や、レリーズ音等を発するものである。95はメニュー/セット釦、96は選択釦で4方向スイッチであり、100は画像表示部であり画像やその他文字情報等を表示する。メニュー/セット釦95で、画像表示部100上に各種のメニューを表示させ、選択釦96で選択し、メニュー/セット釦95で確定させる機能を有している。97は再生釦で、撮影した画像の再生をおこなう釦である。98はディスプレイ釦で、画像表示部100に表示された画像やその他文字情報の表示や消去を選択する釦である。99は消去釦で、撮影記録した画像の消去をおこなう釦である。101は三脚穴、102は電池/カード蓋である。電池/カード蓋102の内部には、本カメラの電源を供給する電池と、撮影した画像を記録するカード型のリムーバブルメモリが装填されるようになっている。
【0032】
図2は、本発明の受光装置を備えたファインダ光学系主要部を示した図である。このファインダ光学系は、実像式ズームファインダである。
【0033】
同図において、11はファインダ第1レンズ(以降、F1レンズと称す)、12はファインダ第2レンズ(以降、F2レンズと称す)、13はファインダ第3レンズ(以降、F3レンズと称す)、14はファインダ第4レンズ(以降、F4レンズと称す)であり、この4枚のレンズにより変倍可能な結像系が構成されている。15は反射面を3面備えたプリズムであり、20は視野マスク、16は本発明に係る光分割手段として使用されるミラーである。このプリズム15とミラー16により正立系が構成されている。17はアイピースレンズであり、18は集光レンズ、19は赤外光領域に感度を持つ受光素子(例えば、シリコンフォトトランジスタ)である。以下、受光素子をシリコンフォトトランジスタとして説明するが、赤外領域に感度を有する受光素子であれば、これに限るものではない。
【0034】
以上のように構成されたファインダ光学系において、被写体光はF1レンズ11〜F4レンズ14を経てプリズム15の入射面15aに入射し、反射面15b、15c、15dで順次反射した後、プリズム15から射出し視野マスク20の面で結像する。ズーミング即ち変倍は、F2レンズ12とF3レンズ13が光軸に沿ってそれぞれが所定量移動することによりおこなわれる。
【0035】
視野マスク20の面で結像した光束は、ミラー16の視野マスク側の面で赤外領域の光と可視領域の光に分割され可視領域の光は反射しアイピースレンズ17を経て、視野像として撮影者に視認される。一方、赤外領域の光はミラー16を透過し集光レンズ18を経て、シリコンフォトトランジスタ19により受光される。
【0036】
図3は、本発明に適用される図2のミラー16の分光反射率特性及び分光透過率特性の例を示した図である。同図に示すように、ミラー16は所謂コールドミラー(エドモンド・オプティクス・ジャパン社製)と同様の分光特性を有するものである。ミラー16は、入射角45°で図示のような特性となるよう、例えば誘電体多層膜により形成される。同図は、実線が各波長の透過率を示し、破線が各波長での反射率を示している。同図に示すように、可視光領域を殆ど反射させ、赤外光領域を殆ど透過させるものである。
【0037】
図4は、本発明に適用されるシリコンフォトトランジスタ19の分光感度特性を示す図である。同図に示すようにシリコンフォトトランジスタ19の分光感度は周知のように、赤外領域の波長800nm付近に最大感度を有しているためミラー16を透過した赤外光を損失なく有効に受光することができる。
【0038】
即ち、上記のような構成により、撮影者が視認する視野像すなわち被写体像の明るさは、光分割手段であるミラー16の影響を全く受けず、通常のミラーを配置した場合と同等とすることができると共に、指の反射光を受けることなく、撮影画角に対応して受光角が変化しつつ、プリ発光を必要とせず、レリーズタイムラグの無いフラッシュ制御用の受光装置を得ることができる。
【0039】
図5は、本発明の受光装置を備えた別のファインダ光学系を示した図である。同図は、光分割手段を結像面の前方に配置し、シリコンフォトトランジスタ19の受光面を結像面と共役な位置近傍に配置した例である。以下、図2に示したもの同機能をもつものには同符号を付して説明の重複を避け、異なる点について説明する。
【0040】
図5に示す光学系は、プリズム21の反射面21dの面に、図3で示した分光反射率特性及び分光透過率特性を持たせた光分割手段である誘電体多層膜を形成し、プリズム22を接着し、反射面21dを透過した赤外領域の光束を受光するようプリズム22の後方にシリコンフォトトランジスタ19を配置したものである。シリコンフォトトランジスタ19の受光面は、視野マスク20と光学的に共役な位置近傍に配置されている。この場合、ミラー23は通常の表面鏡でよい。
【0041】
このように、赤外光の結像面近傍にシリコンフォトトランジスタ19の受光面を配置することにより、集光レンズを使用しなくても図2に示した光学系より測光分布をより明確に設定することができるようになる。
【0042】
図6は、本発明の受光装置を備えた、更に別のファインダ光学系を示した図である。
【0043】
図6に示す光学系は、入射面25aと反射面25b、25cを有するプリズム25と、光分割手段であるミラー26、ミラー23で正立系が構成され、ミラー26を結像面前方に配置し、シリコンフォトトランジスタ19を結像面と共役な位置近傍に配置したものである。光分割手段のミラー26は、視野マスク20側の面に、図3に示す分光反射率特性及び分光透過率特性をもつ反射面を施したものであり、シリコンフォトトランジスタ19の受光面は、視野マスク20と光学的に共役な位置近傍に配置されている。この場合もミラー23は通常の表面鏡でよい。
【0044】
このような構成とすることで、測光分布をより明確に設定できるだけでなく、図5に示す光学系に比べコストを低減できる。
【0045】
図7は、本発明の受光装置を備えた、その他のファインダ光学系を示した図である。本実施の形態は、正立系をダハミラー31とペンタプリズム32で構成し、ダハミラー31の背後にシリコンフォトトランジスタ19を配置したものである。ダハミラー31は、その稜線を光軸と45°に傾けて配置される。このダハミラー31は本発明に係る光分割手段であり、ミラー31の反射面は前述の図3に示す分光反射率特性及び分光透過率特性をもつように形成されている。
【0046】
このダハミラー31により、可視光領域は反射され視野マスク20の面で結像し、ペンタプリズム32、アイピースレンズ17を通して撮影者に視野像として視認される。一方、赤外光領域はダハミラー31を透過しシリコンフォトトランジスタ19で受光される。
【0047】
なお、図7に示す光学系は、光分割する平面ミラーとペンタゴナルダハプリズムで構成することも可能なのは言うまでもない。
【0048】
図8は、本発明の受光装置を備えた、リレー系を用いたファインダ光学系を示した図である。
【0049】
同図において、11はF1レンズ、12はF2レンズ、13はF3レンズ、14はF4レンズであり、この4枚のレンズにより変倍可能な結像系が構成されている。20は視野マスク、43はコンデンサレンズ、41はリレー光学系、42は本発明に係る光分割手段である。本例では正立系がリレー光学系41で構成されている。17はアイピースレンズであり、19はシリコンフォトトランジスタである。
【0050】
以上のように構成されたファインダ光学系において、被写体光はF1レンズ11〜F4レンズ14を経て視野マスク20の面で結像する。ズーミング即ち変倍は、F2レンズ12とF3レンズ13が光軸に沿ってそれぞれが所定量移動することによりおこなわれる。視野マスク20の面で結像した光束は、リレー光学系41により再び破線で示す44の位置で再結像され正立像となる。
【0051】
光分割手段42で赤外領域の光と可視領域の光に分割され可視領域の光は透過しアイピースレンズ17を経て、視野像として撮影者に視認される。一方、赤外領域の光は反射しシリコンフォトトランジスタ19により受光される。
【0052】
図9は、正立系としてリレー系を用いたファインダ光学系に適用される光分割手段42の分光反射率特性及び分光透過率特性の例を示した図である。
【0053】
同図に示すように、光分割手段42は所謂ホットミラー(エドモンド・オプティクス・ジャパン社製)と同様の分光特性を有するものである。これは入射角45°で図示のような特性となるよう、例えば誘電体多層膜により形成される。同図は、実線が各波長の透過率を示し、破線が各波長での反射率を示している。同図に示すように、可視光領域を殆ど透過させ、赤外光領域を殆ど反射させることができるものである。
【0054】
このように構成することで、正立系にリレー光学系を使用したファインダの場合でも、撮影者が視認する視野像すなわち被写体像の明るさは暗くならず、撮影画角に対応して受光角が変化しつつ、プリ発光を必要としないレリーズタイムラグの無いフラッシュ制御用の受光装置を得ることができる。
【0055】
また、逆ガリレオ式ズームファインダの場合も同様に光路中に図9に示す特性の光分割手段を挿入することで適用可能である。
【0056】
即ち、屈曲部を有するファインダ光学系の屈曲部に光分割手段を使用し、赤外光領域と可視光領域に分割する場合は図3に示す分光特性の光分割手段を用い、ファインダ光学系の直線部で赤外光領域と可視光領域に分割する場合は図9に示す分光特性の光分割手段を用いるということである。
【0057】
このように、可視光と赤外光とに分割し、可視光をアイピースレンズへ導き、フラッシュ発光による被写体からの反射光のうち、赤外光をフラッシュ制御用の光束として利用することにより、前述の効果に加え、可視光を含む光を受光する従来のフラッシュ制御方法に比べ、被写体反射率の違いによる露光量のバラツキを低減することも可能になる。これは、自然界の物体の赤外反射率の分布範囲が、可視光反射率の分布範囲より狭いことによる。
【0058】
また、受光素子は、ファインダ中心に配置するのではなく、ファインダ視野のやや下方に位置させることが望ましい。具体的には、受光素子中心をファインダ中心からファインダ視野短辺方向の長さの10〜15%程度下方に配置することが望ましい。これは撮影画面上部は主要被写体がなく、主要被写体よりも遠距離の背景となっている場合が多いためである。
【0059】
更に、受光範囲はファインダ視野短辺方向の長さの50〜75%程度の長さを直径とする円形、ファインダ視野短辺方向の長さの50〜75%程度の長さを短軸とする楕円形、ファインダ視野短辺方向の長さの50〜75%程度の長さを1辺とする略四角形、ファインダ視野短辺方向の長さの50〜75%程度の長さを高さとする略三角形等に設定することが望ましい。
【0060】
なお、本実施の形態では、デジタルカメラのズームファインダを用いて説明したが、単焦点のカメラに搭載される固定式のファインダ及びフィルムカメラのフラッシュ制御用受光装置にも適用可能であり、本発明を逸脱するものでないのは勿論である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、ファインダ光学系内で、可視光と赤外光とに分割し、可視光をアイピースレンズへ導き、フラッシュ発光による被写体からの反射光のうち、赤外光をフラッシュ制御用の光束として利用することにより、ファインダ像が暗くならず、レリーズタイムラグの無いフラッシュ発光量制御用の受光装置を得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の受光装置を備えたデジタルカメラの一例の外観図である。
【図2】本発明の受光装置を備えたファインダ光学系主要部を示した図である。
【図3】本発明に適用される図2のミラーの分光反射率特性及び分光透過率特性の例を示した図である。
【図4】本発明に適用されるシリコンフォトトランジスタの分光感度特性を示す図である。
【図5】本発明の受光装置を備えた別のファインダ光学系を示した図である。
【図6】本発明の受光装置を備えた、更に別のファインダ光学系を示した図である。
【図7】本発明の受光装置を備えた、その他のファインダ光学系を示した図である。
【図8】本発明の受光装置を備えた、リレー系を用いたファインダ光学系を示した図である。
【図9】正立系としてリレー系を用いたファインダ光学系に適用される光分割手段の分光反射率特性及び分光透過率特性の例を示した図である。
【符号の説明】
11 ファインダ第1レンズ(F1レンズ)
12 ファインダ第2レンズ(F2レンズ)
13 ファインダ第3レンズ(F3レンズ)
14 ファインダ第4レンズ(F4レンズ)
15 プリズム
16 ミラー(光分割手段)
17 アイピースレンズ
18 集光レンズ
19 受光素子
20 視野マスク
Claims (4)
- 撮影光学系とは別体に設けられたファインダ光学系と、受光素子と、前記ファインダ光学系に入射した被写体光束を分割する光分割手段を有し、該光分割手段により分割された被写体光束を前記受光素子へ導くようにしたカメラの受光装置において、
前記光分割手段は可視領域の光と赤外領域の光に分割するものであり、
前記赤外領域の光を前記受光素子へ導き、エレクトリックフラッシュの制御に用いることを特徴とするカメラの受光装置。 - 前記ファインダ光学系は、実像式ファインダであることを特徴とする請求項1に記載のカメラの受光装置。
- 前記撮像光学系と前記ファインダ光学系は変倍可能なズーム光学系であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラの受光装置。
- 前記光分割手段は、赤外領域の光を透過し可視領域の光を反射する鏡面又は赤外領域の光を反射し可視領域の光を透過する鏡面のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカメラの受光装置。
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