JP2004346313A - ニトリル基含有共役ジエンゴム並びにその製造方法及びその加硫物 - Google Patents

ニトリル基含有共役ジエンゴム並びにその製造方法及びその加硫物 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い耐油性及び耐ガソリン透過性を維持しながら、同時に優れた耐寒性を有し、温度による硬さ変化の少ないゴム加硫物を与えるニトリル基含有共役ジエンゴムを提供すること。
【解決手段】
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位含有量が55重量%以上であり、その加硫物の粘弾性スペクトロメータによるtanδカーブの最大ピークを示す温度が30℃以下にあるニトリル基含有共役ジエンゴムおよびその加硫物。該ゴム加硫物は、特に自動車燃料ホース用途やシール用途として好適である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ニトリル基含有共役ジエンゴム及びその加硫物、ならびに、ニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法に関し、詳しくは、自動車燃料ホース用に好適なニトリル基含有共役ジエンゴム及びその加硫物、ならびに、ニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法に関する。
アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどのニトリル基含有共役ジエンゴムは、耐油性に優れるので、自動車燃料ホースなどに用いられてきた。かかるニトリル基含有共役ジエンゴムは、不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体とを共重合して製造されているが、両単量体の反応性の差異等に起因して、不飽和ニトリル単量体単位の含有量は50重量%程度が上限である。近年、自動車燃料ホースの分野においては、耐油性のみならず耐ガソリン透過性も重要視されるようになり、不飽和ニトリル単量体単位の含有量(以下、同趣旨で「ニトリル基含有量」と記すことがある。)をさらに高くしないと燃料ホース材料としての機能を十分に果たせなくなっている。
一方、従来のニトリル基含有量のニトリル基含有共役ジエンゴムのホースに、耐ガソリン透過性に優れたフッ素ゴムを内張りした多層構造の自動車燃料ホースが実用化されている。しかし、フッ素ゴムは一般に高コストである上に、ハロゲンを含んでいるため廃品焼却時などに環境問題を惹起する懸念があるため、代替材料が求められている。
そこで、従来のものよりニトリル基含有量をさらに高めたニトリル基含有共役ジエンゴムが最近提案された(例えば特許文献1)。このようにニトリル基含有量を高めたニトリル基含有共役ジエンゴムは、耐油性及び耐ガソリン透過性は改良されるものの、耐寒性に劣り、かつ温度による硬さ変化が大きく、そのため、使用温度環境が限られるという問題がある。
特開2002−206011号公報
上記のような事情に鑑み、本発明の目的は、高い耐油性及び耐ガソリン透過性を維持しながら、同時に優れた耐寒性を有し、温度による硬さ変化の少ないニトリル基含有共役ジエンゴムおよびその加硫物を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記特性を有するニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を特定の割合で含有し、その加硫物の粘弾性スペクトロメータによるtanδカーブの最大ピークを示す温度が特定の範囲にあるニトリル基含有共役ジエンゴムにより目的が達成されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った(以下、加硫物の粘弾性スペクトロメータによるtanδカーブの最大ピークを示す温度を「tanδ最大ピーク温度」と称することがある)。
かくして本発明によれば、以下の1〜7の発明が提供される。
1. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位含有量が55重量%以上であり、その加硫物の粘弾性スペクトロメータによるtanδカーブの最大ピークを示す温度が30℃以下にあるニトリル基含有共役ジエンゴム。
2. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体がアクリロニトリルである上記1に記載のニトリル基含有共役ジエンゴム。
3. 上記1または2に記載のニトリル基含有共役ジエンゴム及び加硫剤を配合してなる加硫性ゴム組成物。
4. 上記3に記載の加硫性ゴム組成物を加硫してなる加硫物。
5. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体との合計に対する百分率(X)が55〜90重量%のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と、百分率(Y)が45〜10重量%の共役ジエン単量体とを用い、重合に使用する全単量体を重合反応容器に仕込んで重合を開始し、重合転化率がZ%以上〔ここでZは、Z=−2.214X+222.1(式1)を満たす数値であり、100を超えるときは100とする。〕となるまで重合することを特徴とする、ニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法。
6. 少なくともα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体とを含み、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体との合計に対するα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体の百分率(X)が50重量%を超える単量体混合物を重合することからなるニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法であって、重合に使用する全単量体量に対して、10〜60重量%のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と5〜45重量%の共役ジエン単量体とを含有する単量体混合物を仕込んで重合を開始し、重合開始時の仕込み単量体量の5重量%以上が重合した後に、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体又は少なくとも50重量%以上のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体を含有する単量体混合物を連続的にもしくは断続的に又は一括で供給して、全仕込み単量体に対する重合転化率が20重量%以上になるまで重合することを特徴とする、ニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法。
7. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体がアクリロニトリルであり、共役ジエン単量体が1,3−ブタジエンである、上記5又は6に記載のニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法。
本発明により、高い耐油性、耐ガソリン透過性及び耐ガス透過性を有し、同時に優れた耐寒性を有し、温度による硬さ変化の少ないゴム加硫物を与えるニトリル基含有共役ジエンゴム、及び、該ニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を55重量%以上含有し、且つその加硫物が粘弾性スペクトロメータによるtanδカーブの最大ピークを示す温度が30℃以下に持つことを特徴とする。
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を55重量%以上、好ましくは57重量%以上、より好ましくは59重量%以上含有し、共役ジエン単量体単位を45重量%未満、好ましくは43重量%未満、より好ましくは41重量%未満含有する。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が少なすぎると、又は、共役ジエン単量体単位の含有量が多すぎると、耐油性および耐ガソリン透過性が低下するおそれがある。
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、その加硫物のtanδ最大ピーク温度が30℃以下にあることが必須であり、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下、特に好ましくは15℃以下にある。このtanδ最大ピーク温度が低い程、加硫物の耐寒性が優れ、加硫物の温度による硬さ変化がより小さくなる。逆に、tanδ最大ピーク温度が30℃を超えると、加硫物の耐寒性が低下し、加硫物の温度による硬さ変化が大きくなるおそれがある。
本発明においてtanδとは、tanδ=E’’/E’(E’’は損失弾性率、E’は貯蔵弾性率)で表されるものである。また、本発明におけるtanδは、ニトリル基含有共役ジエンゴムに、後述する標準配合処方に従って各種配合剤を混練したのち加硫したものを、粘弾性スペクトロメータにて測定して得られるものである。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体は、特に限定されない。その例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどが挙げられ、中でもアクリロニトリルが好ましい。また、共役ジエン単量体も、特に限定されない。その例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、中でも1,3−ブタジエンが好ましい。
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、上記α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位及び共役ジエン単量体単位以外に、これらと共重合可能な他の単量体単位を、全単量体単位に対して好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下有していてもよい。
かかる共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、無水フマル酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸及びその無水物;(メタ)アクリル酸メチル(アクリル酸メチル及びメタクリル酸メチルの意。)、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルキルエステル;マレイン酸モノ(ジ)エチル(マレイン酸モノエチル及びマレイン酸ジエチルの意。)、マレイン酸モノ(ジ)ブチル、フマル酸モノ(ジ)エチル、フマル酸モノ(ジ)ブチル、フマル酸モノ(ジ)シクロヘキシル、イタコン酸モノ(ジ)エチル、イタコン酸モノ(ジ)ブチルなどのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸のモノ(ジ)エステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチルなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルコキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル;ビニルピリジンなどの複素環式芳香族ビニル単量体;ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエン単量体;などが挙げられる。
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムの、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は好ましくは15〜150、より好ましくは30〜120である。
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、重合に使用するα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体との合計に対する百分率(X)が55〜90重量%のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と、百分率(Y)が45〜10重量%の共役ジエン単量体とを用い、重合に使用する全単量体を重合反応容器に仕込んで重合を開始し、重合転化率がZ%以上〔ここでZは、Z=−2.214X+222.1(式1)を満たす数値であり、100を超えるときは100とする〕、好ましくは(Z+2)%以上、より好ましくは(Z+4)%以上となるまで重合を継続することにより製造することができる。以下、この方法を「製造方法1」と称する。
製造方法1においては百分率(X)を、好ましくは56重量%以上、より好ましくは57重量%以上、特に好ましくは58重量%以上;また;好ましくは84重量%以下、より好ましくは78重量%以下、特に好ましくは74重量%以下として重合を行う。
製造方法1において、百分率(X)が少なすぎると、生成したニトリル基含有共役ジエンゴムの耐油性及び耐ガソリン透過性に劣るおそれがあり、また90重量%より多いと、ニトリル基含有共役ジエンゴムの耐寒性が低下する可能性がある。
また、製造方法1においては百分率(Y)を、好ましくは44重量%以下、より好ましくは43重量%以下、特に好ましくは42重量%以下;また;好ましくは16重量%以上、より好ましくは22重量%以上、特に好ましくは26重量%以上として重合を行う。
Z%未満の重合転化率で重合を停止すると、ニトリル基含有共役ジエンゴムの耐油性及び耐ガソリン透過性が劣る。
また、本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、少なくともα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体とを含み、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体との合計に対するα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体の百分率(X)が50重量%を超える単量体混合物を重合することからなるニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法であって、重合に使用する全単量体量に対して、10〜60重量%のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と5〜45重量%の共役ジエン単量体とを含有する単量体混合物を仕込んで重合を開始し、重合開始時の仕込み単量体量の5重量%以上が重合した後に、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体又は50重量%以上のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体を含有する単量体混合物を連続的にもしくは断続的に又は一括で供給して、全仕込み単量体に対する重合転化率が20重量%以上になるまで重合することによっても製造することができる(この方法を、「製造方法2」と称する)。
製造方法2において重合開始時に仕込むα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体の量は、重合に使用する全単量体量に対して、好ましくは25重量%以上、より好ましくは30重量%以上、特に好ましくは35重量%以上;また;好ましくは55重量%以下、より好ましくは53重量%以下、特に好ましくは50重量%以下である。重合開始時に仕込むα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体が少なすぎると、重合開始後の単量体供給時に発熱が大きくなって反応制御が困難になるおそれがある。
また、重合開始時に仕込む共役ジエン単量体の量は、重合に使用する全単量体量に対して、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、特に好ましくは17.5重量%以上;また;好ましくは40重量%以下、より好ましくは35重量%以下、特に好ましくは32.5重量%以下である。重合開始時に仕込む共役ジエン単量体が多すぎると、耐油性及び耐ガソリン性が低下する傾向がある。また、加硫物の温度による硬さ変化が大きくなるおそれがある。
重合開始時に仕込む単量体の量が、重合に使用する全単量体に対してα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体が10〜60重量%で、共役ジエン単量体が5〜45重量%(ここで、45重量%は、重合の開始時に共役ジエンの全量をα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体の初期仕込み分と共に仕込む場合で、共役ジエンを最大に使用する重合反応の場合である。)であれば、重合途中で添加する単量体の反応が円滑に進行し、ニトリル基含有共役ジエンゴムを効率良く製造することができる。
「連続的にもしくは断続的に又は一括で供給」するとは、重合開始時の仕込み単量体量の5重量%以上が重合した後に、開始時に仕込んだ単量体の残余の単量体を、それぞれ一定期間絶え間なく、もしくは、2回以上の複数回に分割して、又は、一括で供給することを言う。残余の単量体として最も好ましいのはα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単独であるが、単量体混合物の場合は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体が好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上含有するものである。重合開始後に供給する混合物中のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体含有量が50重量%未満では、耐油性及び耐ガソリン性が低下する傾向がある。また、加硫物の温度による硬さ変化が大きくなるおそれがある。
連続的に又は断続的に供給する場合は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体又はα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体含有混合物を、重合開始時の仕込み単量体量の10〜50%が消費された時点から、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体の重合開始時の仕込み量及び重合開始後の供給量の合計が重合に使用する全単量体量の50重量%を超え、かつ重合開始後に供給した単量体の全量が重合開始時に仕込んだ全単量体量の5分の1の量以上となる時点まで供給することが好ましい。断続的に供給する場合の供給回数は特に限定されないが、単量体供給時の反応熱制御の状況によって選択することができ、2〜4回が好ましく、1回の供給量は、全単量体供給量を供給回数で割った量の3分の1の量以上3倍量以下であることが好ましい。
製造方法1および製造方法2において、重合法は限定されないが、ラジカル重合法が好適で、なかでも乳化重合法が好適である。また、製造方法1および製造方法2においては、分子量調整剤を使用することができる。その例としては、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール、2,2,4,6,6,8,8−ヘプタメチルノナン−4−チオール、2,4,4−トリメチルペンタン−2−チオール、n−ドデカン−1−チオール、t−ドデシルメルカプタンなどのアルキルチオール化合物;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドなどのキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、臭化エチレンなどのハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタンなどの炭化水素類;およびアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、テルピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、α−メチルスチレンダイマー(2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンが50重量%以上のものが好ましい)、2,5−ジヒドロフラン、3,6−ジヒドロ−2H−ピン、フタラン、1,2−ブタジエン、1,4−ヘキサジエンなどを挙げることができる。
分子量調整剤の使用量は、重合に供される単量体100重量部に対し、通常、0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。分子量調整剤は、その全使用量の全部または一部を重合前の単量体混合物中に含有せしめ、さらに重合転化率が進んだ時点で分子量調整剤の残量を重合系に添加しても良い。添加の時期および回数は必要に応じて適宜選択することができる。
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムを乳化重合法で製造するときに使用する乳化剤としては、例えば、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウムなどの飽和脂肪酸アルカリ金属塩類;オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウムなどの不飽和脂肪酸アルカリ金属塩類;ロジン酸ナトリウム、ロジン酸カリウムなどのロジン酸アルカリ金属塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩類;ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸カリウムなどのアルキルスルホン酸アルカリ金属塩類;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・プロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどの非イオン系乳化剤;などが挙げられる。これらの使用量は、単量体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
本発明の加硫性ゴム組成物は、本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムに、加硫剤を必須成分として配合してなる。
上記の加硫性ゴム組成物を得るために配合される加硫剤としては、ニトリル基含有共役ジエンゴムの加硫剤として通常使用される加硫剤を使用することができる。このような加硫剤としては、好ましくは硫黄系加硫剤または有機過酸化物加硫剤が挙げられ、中でも、硫黄系加硫剤がより好ましい。加硫剤の配合量は特に限定されないが、ニトリル基含有共役ジエンゴム100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部である。
硫黄系加硫剤としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降性硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄及び不溶性硫黄などの硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリン・ジスルフィド、アルキルフェノール・ジスルフィド、N,N′−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼノピン−2)、含リンポリスルフィド及び高分子多硫化物などの含硫黄化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、2−(4′−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどの硫黄供与性化合物などが挙げられる。
硫黄系加硫剤を用いる場合には、亜鉛華、ステアリン酸などの加硫助剤;グアニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系などの加硫促進剤を使用することができる。これらの加硫助剤及び加硫促進剤の使用量も特に限定されず、ニトリル基含有共役ジエンゴム100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部の範囲で使用することができる。
有機過酸化物加硫剤としては、例えば、ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,3−及び1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3−トリメチルシクロヘキサン、4,4−ビス−(t−ブチル−ペルオキシ)−n−ブチルバレレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキシン−3、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、p−クロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシベンゾエート等が挙げられる。
有機過酸化物加硫剤を用いる場合には、加硫助剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、エチレンジメタクリレート、トリアリルイソシアヌレートなどの多官能性単量体などが用いられる。これらの加硫助剤の配合量は特に限定されないが、ニトリル基含有共役ジエンゴム100重量部に対して、通常、0.5〜20重量部の範囲で使用することができる。
本発明の加硫性ゴム組成物は、本発明の効果を損わない範囲で、ニトリル基含有共役ジエンゴム以外のゴムを含有していてもよい。その例としては、アクリルゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴムなどを挙げることができる。この場合には、上記以外の加硫剤として、例えば、金属石けん/硫黄系加硫剤、トリアジン/ジチオカルバミン酸塩系化合物、ポリカルボン酸/オニウム塩系化合物、ポリアミン系化合物(ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、エチレンジアミンカルバメートなど)などを必要に応じて併用することができる。
本発明の加硫性ゴム組成物には、ゴム分野において使用される通常の補強性充填剤、又はその他の配合剤を配合することができる。
補強性充填剤としては、例えば、各種カーボンブラック;粒径10〜15nmの超微細嵩高白色粉末状のけい酸、けい酸塩、無水けい酸塩、含水けい酸および合成けい酸塩などのシリカ;活性化炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、特殊炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム;塩基性炭酸マグネシウム;超微粉末けい酸マグネシウム;ハードクレー;タルク;けいそう土;アルミナなどが挙げられる。補強性充填剤の配合量は、特に限定されないが、ニトリル基含有共役ジエンゴム100重量部に対して、通常、1〜200重量部であり、好ましくは5〜100重量部、より好ましくは10〜50重量部である。
前記の補強性充填剤とともにシランカップリング剤を配合することもできる。シランカップリング剤は従来からゴム分野で使用されているものが使用できるが、なかでもビニル基を有するシランカップリング剤は耐熱性の向上に寄与するので好ましい。シランカップリング剤の使用量は、ニトリル基含有共役ジエンゴム100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲が好ましい。ビニル基を有するシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、N−ビニルベンジル−N’−トリメトキシシリルプロピルエチレンジアミン塩などが挙げられる。
その他の配合剤としては、例えば、プロセス油、可塑剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、非補強性充填剤などを挙げることができる。
加硫剤、補強性充填剤、その他のゴム、及びその他の配合剤などの配合方法はとくに限定されず、ロール、バンバリーミキサーなどの通常の混合機を使用することができる。
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムから得られる加硫性ゴム組成物のムーニー粘度を以下、「コンパウンドムーニー粘度」と称する。本発明における加硫性ゴム組成物のコンパウンドムーニー粘度(ML1+4,100℃)は好ましくは20〜200、より好ましくは40〜150である。
本発明の加硫物は、ニトリル基含有共役ジエンゴムから得られる加硫性ゴム組成物を加硫してなる。
加硫性ゴム組成物を加硫する方法は特に限定されないが、内部まで均一に加硫することが容易であるので、熱による加硫が好ましい。この場合、加硫温度は特に限定されないが、60℃〜200℃が好ましい。この温度範囲で加硫することにより、迅速に加硫でき、かつ焼けのない加硫物を得ることができる。
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、従来のニトリル基含有共役ジエンゴムに比較して結合ニトリル単量体量が高いにもかかわらず、その加硫物は温度による硬さ変化が小さく、且つ耐寒性に優れるという利点を持ち、さらに耐ガソリン透過性と耐油性に優れる。そのため、広い温度環境下において、単層の燃料ホースとして、また、このゴム加硫物を内層に有する多層構造の燃料ホースとして使用することができる。
また、本発明のニトリル基含有共役ジエンゴム加硫物は、液体燃料に限らず、あらゆるガス燃料(ジメチルエーテル等)、不活性ガス(窒素、アルゴン等)、水素、水蒸気、空気等に対して高い耐ガス透過性を有する。自動車燃料ホース等の用途に加え、シール用途(パッキン、ガスケット、ダイヤフラム等)に好適に使用することができる。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。以下においては、とくに断りのない限り部及び%は重量基準である。なお、評価方法は以下のとおりである。
(1)ニトリル基含有共役ジエンゴムの特性
(A)結合アクリロニトリル量(重量%)
JIS K6384に従い、ケルダール法によって測定したニトリル基含有共役ジエンゴム中の窒素含量から計算により求めた。
(B)ポリマームーニー粘度(ML1+4 ,100℃)
JIS K6300に従って測定した。
(2)ニトリル基含有共役ジエンゴムの加硫性ゴム組成物の特性
(A)コンパウンドムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)
下記標準配合処方に従って配合して得た加硫性ゴム組成物のコンパウンドムーニー粘度をJIS K6300に従って測定した。
〔標準配合処方〕
ニトリル基含有共役ジエンゴム 100部
FEFカーボンブラック 20部
酸化亜鉛 5部
ステアリン酸 1部
325メッシュ硫黄 0.5部
テトラメチルチウラムジスルフィド 1.5部
シクロヘキシルベンゾチアゾリルスルフェンアミド 1.5部
(3)ニトリル基含有共役ジエンゴムの加硫物の特性
加硫性ゴム組成物を160℃で20分プレス加硫してガソリン透過性試験に使用する試験シート及びその他の試験に使用する試験片を作製した。
(A)tanδ最大ピーク温度(℃)
粘弾性スペクトロメータ〔(株)東洋精機製作所製:製品名レオログラフソリッドL1−R〕によりtanδを測定し、tanδが極大となるときの温度を求め、その中でtanδが最大となるときの温度をtanδ最大ピーク温度とした。
(B)硬さ温度依存性
JIS K6253に従って、40℃及び100℃における硬さをDuro−Aで、23℃及び100℃における硬さをDuro−Dでそれぞれ測定し、温度変化に対する硬さの差をそれぞれ求めた。
(C)脆化温度(℃)
JIS K6301に従い、脆化温度を測定した。
(D)耐油性 ΔV (%)
JIS K6258に従い、燃料油C(イソオクタンとトルエンとを容積比1:1で混合したもの)中に、40℃で48時間浸せきし、浸せき前後の体積変化率ΔV(%)を測定した。
(E)ガソリン透過性
燃料油Cについて、アルミカップ法によりガソリン透過性を測定した。アルミカップ法は、100ml容量のアルミカップに50mlの燃料油Cを入れ、これに、直径61mmの円板状に切り取った厚さ1mmの試験シートで、蓋をし、締め具で、該シートによりアルミカップ内外を隔てる面積が25.50cmになるように調整し、該アルミカップを40℃の恒温槽内に放置し24時間毎に重量測定することにより24時間毎の燃料油Cの透過量を測定し、その最大量を透過量とするものである。
判定は、○(良い:100g・mm/m・day未満)、△(やや悪い:100g・mm/m・day以上500未満)、×(悪い:500g・mm/m・day以上)にて行った。
実施例1(製造方法1の例)
反応容器に、水250部、アクリロニトリル66部、1,3−ブタジエン34部を仕込み、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.5部、及び分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.3部を用い、さらに活性剤として硫酸第一鉄0.015部を仕込み、十分に脱気した後、重合開始剤としてパラメンタンハイドロペルオキシド0.05部を仕込み、10℃で乳化重合を開始した。ここで、X=66重量%、計算されたZ=76%である。重合転化率が60%、70%、80%に達した時点で、活性剤と開始剤を反応開始時とそれぞれ同量添加し、重合転化率がZより7ポイント高い83%に達するまで重合を継続した。その後、反応容器に0.1部のヒドロキシルアミン硫酸塩と0.1部の水酸化カリウムを添加して重合を停止させた。次いで、反応容器の内容物を70℃に加温し、減圧下に水蒸気蒸留により未反応の単量体を回収し、老化防止剤(アルキル化フェノール)2部を添加し、生成したラテックスを攪拌下の凝固剤(塩化カルシウム)水溶液に注ぎ共重合体ゴムを凝固させた。クラムを分離・回収、水洗した後、50℃で減圧乾燥してニトリル基含有共役ジエンゴムを得た。得られたニトリル基含有共役ジエンゴムの結合アクリロニトリル量は59.1%であり、ポリマームーニー粘度は84であった。
標準配合処方に従ってニトリル基含有共役ジエンゴムに各配合剤を配合して得た加硫性ゴム組成物のコンパウンドムーニー粘度を測定したところ88であり、加硫物のtanδ最大ピーク温度は11.4℃であった。また、硬さ温度依存性(Duro−AおよびDuro−D)、脆化温度、耐油性およびガソリン透過性を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
実施例2(製造方法1の例)
実施例1において、アクリロニトリル66部を86部に、1,3−ブタジエン34部を14部に、t−ドデシルメルカプタン1.3部を0.8部にそれぞれ仕込み量を変更し、また、重合反応の途中で活性剤と開始剤の添加を行わず、重合を重合転化率35%に達する迄継続したことの他は実施例1と同様に行ってニトリル基含有共役ジエンゴムを得た。ここで、Xは86重量%、計算されたZは32%であり、重合終了転化率はZより3ポイント高かった。得られたニトリル基含有共役ジエンゴムの結合アクリロニトリル量は60.0%であり、ポリマームーニー粘度は70であった。
実施例1と同様にして得た加硫性ゴム組成物のコンパウンドムーニー粘度を測定したところ72であり、加硫物のtanδ最大ピーク温度は23.4℃であった。以降、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3(製造方法2の例)
反応容器に、水250部、アクリロニトリル36.6部、1,3−ブタジエン30部を仕込み、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.5部、及び分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.0部を用い、さらに活性剤として硫酸第一鉄0.008部を仕込み、十分に脱気した後、重合開始剤としてパラメンタンハイドロペルオキシド0.03部を仕込み、10℃で乳化重合を開始した。重合転化率が15%、25%、35%、45%に達した時点でアクリロニトリルをそれぞれ6.7部、6.7部、10.0部、10.0部添加した。また、重合転化率が45%、55%、65%に達した時点で活性剤と開始剤とをそれぞれ反応開始時と同量添加し、重合転化率が73%に達するまで重合を継続した。その後、実施例1と同様の操作を行い、ニトリル基含有共役ジエンゴムを得た。得られたニトリル基含有共役ジエンゴムの結合アクリロニトリル量は60.0%であり、ポリマームーニー粘度は93であった。
実施例1と同様にして得た加硫性ゴム組成物のコンパウンドムーニー粘度を測定したところ86であり、加硫物のtanδ最大ピーク温度は13.5℃であった。以降、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
反応容器に、水250部、アクリロニトリル80.0部、1,3−ブタジエン4.2部を仕込み、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.5部、及び分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.0部を用い、さらに活性剤として硫酸第一鉄0.015部を仕込み、十分に脱気した後、重合開始剤としてパラメンタンハイドロペルオキシド0.05部を仕込み、10℃で乳化重合を開始した。重合転化率が8%、24%、37%に達した時点で1,3−ブタジエンをそれぞれ6.1部、5.2部、4.5部添加した。重合転化率が55%に達するまで重合を継続した。その後、実施例1と同様の操作を行い、ニトリル基含有共役ジエンゴムを得た。得られたニトリル基含有共役ジエンゴムの結合アクリロニトリル量は59.3%であり、ポリマームーニー粘度は88であった。
実施例1と同様にして得た加硫性ゴム組成物のコンパウンドムーニー粘度を測定したところ107であり、加硫物のtanδ最大ピーク温度は34.4℃であった。以降、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。この方法では、目標とする、加硫物のtanδ最大ピーク温度が得られないことが分かる。
比較例2
反応容器に、水250部、アクリロニトリル60.0部、1,3−ブタジエン20.0部を仕込み、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.5部、及び分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.0部を用い、さらに活性剤として硫酸第一鉄0.008部を仕込み、十分に脱気した後、重合開始剤としてパラメンタンハイドロペルオキシド0.03部を仕込み、10℃で乳化重合を開始した。重合転化率が42%、60%に達した時点で1,3−ブタジエンをそれぞれ10.0部、10.0部添加し、重合転化率が74%に達するまで重合を継続した。その後、実施例1と同様の操作を行い、ニトリル基含有共役ジエンゴムを得た。得られたニトリル基含有共役ジエンゴムの結合アクリロニトリル量は49.0%であり、ポリマームーニー粘度は86であった。
実施例1と同様にして得た加硫性ゴム組成物のコンパウンドムーニー粘度を測定したところ92であり、加硫物のtanδ最大ピーク温度は15.0℃であった。以降、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
反応容器に、水250部、アクリロニトリル85.0部、1,3−ブタジエン4.5部を仕込み、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.5部、及び分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.0部を用い、さらに活性剤として硫酸第一鉄0.008部を仕込み、十分に脱気した後、重合開始剤としてパラメンタンハイドロペルオキシド0.03部を仕込み、10℃で乳化重合を開始した。重合転化率が14%、27%、39%に達した時点で1,3−ブタジエンをそれぞれ3.5部、3.5部、3.5部添加し、重合転化率が49%に達するまで重合を継続した。その後、実施例1と同様の操作を行い、ニトリル基含有共役ジエンゴムを得た。得られたニトリル基含有共役ジエンゴムの結合アクリロニトリル量は70.0%であり、ポリマームーニー粘度は87であった。
実施例1と同様にして得た加硫性ゴム組成物のコンパウンドムーニー粘度を測定したところ83であり、加硫物のtanδ最大ピーク温度は46.4℃であった。以降、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2004346313
表1の結果から、重合開始時にアクリロニトリルを55〜78重量%の間の量(X=66重量%)仕込み、Z(=76)%以上の重合転化率(83%)まで重合を継続してtanδ最大ピーク温度を低くした実施例1、X=86重量%仕込み、Z=32%以上の重合転化率(35%)まで重合を継続した実施例2及び、重合開始時にアクリロニトリルを10〜60重量%の間の量(36.6重量%)、1,3−ブタジエンを5〜45重量%の間の量(30重量%)仕込み、その後アクリロニトリルのみを単独で供給して重合を継続してtanδ最大ピーク温度を低くした実施例3では、加硫物の耐油性、耐ガソリン透過性が良好であり、温度による硬さ変化が小さく、且つ脆化温度が低い、すなわち耐寒性にも優れることが分かる。
一方、重合開始時にアクリロニトリルを60重量%より多く仕込みかつ重合途中で1,3−ブタジエンのみを単量体として添加しtanδ最大ピーク温度の高い比較例1のニトリル基含有共役ジエンゴムは、結合アクリロニトリル量は実施例1、2とほぼ同等であるにもかかわらず、温度による硬さ変化が大きく、且つ脆化温度が高い、すなわち耐寒性にも劣ることが分かる。
また、重合途中で1,3−ブタジエンのみを単量体として添加した比較例2で得られたニトリル基含有共役ジエンゴムは、加硫物の耐寒性は良くなるものの、耐油性、及び耐ガソリン透過性に劣る。
また、重合開始時にアクリロニトリルを60重量%より多く仕込みかつ重合途中で1,3−ブタジエンのみを単量体として添加した比較例3で得られたニトリル基含有共役ジエンゴムは、加硫物の耐油性は良くなるものの、tanδ最大ピーク温度が高く、加硫物の温度による硬さ変化が非常に大きく、また耐寒性に劣り、その程度はいずれも比較例1で得られたニトリル基含有共役ジエンゴムよりも更に劣る。

Claims (7)

  1. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位含有量が55重量%以上であり、その加硫物の粘弾性スペクトロメータによるtanδカーブの最大ピークを示す温度が30℃以下にあるニトリル基含有共役ジエンゴム。
  2. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体がアクリロニトリルである請求項1に記載のニトリル基含有共役ジエンゴム。
  3. 請求項1または2に記載のニトリル基含有共役ジエンゴム及び加硫剤を配合してなる加硫性ゴム組成物。
  4. 請求項3に記載の加硫性ゴム組成物を加硫してなる加硫物。
  5. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体との合計に対する百分率(X)が55〜90重量%のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と、百分率(Y)が45〜10重量%の共役ジエン単量体とを用い、重合に使用する全単量体を重合反応容器に仕込んで重合を開始し、重合転化率がZ%以上〔ここでZは、Z=−2.214X+222.1(式1)を満たす数値であり、100を超えるときは100とする。〕となるまで重合することを特徴とする、ニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法。
  6. 少なくともα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体とを含み、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体との合計に対するα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体の百分率(X)が50重量%を超える単量体混合物を重合することからなるニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法であって、重合に使用する全単量体量に対して、10〜60重量%のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と5〜45重量%の共役ジエン単量体とを含有する単量体混合物を仕込んで重合を開始し、重合開始時の仕込み単量体量の5重量%以上が重合した後に、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体又は少なくとも50重量%以上のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体を含有する単量体混合物を連続的にもしくは断続的に又は一括で供給して、全仕込み単量体に対する重合転化率が20重量%以上になるまで重合することを特徴とする、ニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法。
  7. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体がアクリロニトリルであり、共役ジエン単量体が1,3−ブタジエンである、請求項5又は6に記載のニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法。

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