JP2004346268A - オレフィン重合用触媒及びそれを用いたオレフィンの重合方法 - Google Patents
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- 0 CCCCC1*C(C)CC1 Chemical compound CCCCC1*C(C)CC1 0.000 description 2
- BSJOHISNHZREET-KSWMRMQZSA-M CCCCC/C=C(/CCCC)\C(\O)=C(\Cc1cc(N=Cc(c(C2)c3O[Tl+](C)(C)[O]4CCCC4)c(C)cc3I)cc2c1O)/C=C Chemical compound CCCCC/C=C(/CCCC)\C(\O)=C(\Cc1cc(N=Cc(c(C2)c3O[Tl+](C)(C)[O]4CCCC4)c(C)cc3I)cc2c1O)/C=C BSJOHISNHZREET-KSWMRMQZSA-M 0.000 description 1
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Abstract
【課題】優れたオレフィン重合活性を有する新規なオレフィン重合用触媒および該触媒を用いたオレフィンの重合方法の安価な提供。
【解決手段】下記一般式(I)で表される成分を含むオレフィン重合用触媒及びそれを用いたオレフィンの重合方法。
【化1】
(式中、A1、A2、A3は第16族原子を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。R1、R3は互いに同一でも異なっていてもよい2価の芳香族炭化水素残基である。R2は3価の芳香族炭化水素残基である。Q1、Q2は互いに同一でも異なっていてもよい炭化水素架橋基であり、R1、R2、R3と連結されている。Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示す。Xはハロゲン原子を示す。nは1〜20の整数を表す。)
【選択図】 なし
【解決手段】下記一般式(I)で表される成分を含むオレフィン重合用触媒及びそれを用いたオレフィンの重合方法。
【化1】
(式中、A1、A2、A3は第16族原子を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。R1、R3は互いに同一でも異なっていてもよい2価の芳香族炭化水素残基である。R2は3価の芳香族炭化水素残基である。Q1、Q2は互いに同一でも異なっていてもよい炭化水素架橋基であり、R1、R2、R3と連結されている。Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示す。Xはハロゲン原子を示す。nは1〜20の整数を表す。)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なオレフィン重合用触媒に関するものであり、さらにはこれらの触媒を用いたオレフィンの重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン重合用触媒としては、チーグラーナッタ触媒やメタロセン触媒がよく知られているが、これらとは全く異なる遷移金属化合物であって、遷移金属原子と第16族原子が直接結合した構造を有する遷移金属化合物が開示されている(例えば、特許文献1〜2参照。)。しかし、遷移金属原子に第16族原子が3個結合した錯体を触媒成分として用いた例はない。
また、これらの先行特許文献に開示された化合物は、配位子が芳香族環構造を有するものであるが、これら芳香族環同士は架橋基を介さず芳香族環上の炭素原子同士が直接結合している。
【0003】
しかし、これらの化合物は、合成工程が複雑で、工業化のためのコストも高く、実用化には至っていない。このような状況のもとオレフィン重合活性に優れ、しかも優れた性状を有するポリオレフィンを安価に製造しうることのできる新規なオレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法の出現が望まれている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−92309号公報
【特許文献2】
特開平11−240910号公報
【0005】
【発明が解決使用とする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、優れたオレフィン重合活性を有する新規なオレフィン重合用触媒および該触媒を用いたオレフィンの重合方法を安価に提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、遷移金属原子に第16族原子が3個又は2個結合し、かつこれら第16族原子は芳香族環構造を有する配位子に結合しており、これら芳香族環は置換基を有していてもよく、かつ炭化水素架橋基を介して互いに連結されている化合物がオレフィン重合に活性を有することを見出し本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記一般式(I)で表される成分を含むオレフィン重合用触媒が提供される。
【0008】
【化3】
(式中、A1、A2、A3は第16族原子を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。R1、R3は互いに同一でも異なっていてもよい2価の芳香族炭化水素残基である。R2は3価の芳香族炭化水素残基である。Q1、Q2は互いに同一でも異なっていてもよい炭化水素架橋基であり、R1、R2、R3と連結されている。Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示す。Xはハロゲン原子を示す。nは1〜20の整数を表す。)
【0009】
また、本発明の第2の発明によれば、下記一般式(II)表される成分を含むオレフィン重合用触媒が提供される。
【0010】
【化4】
(式中、A1、A3は第16族原子を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。R1、R3およびR4は互いに同一でも異なっていてもよい2価の芳香族炭化水素残基である。Q1、Q2は互いに同一でも異なっていてもよい炭化水素架橋基であり、R1、R3、R4と連結されている。Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示す。Xはハロゲン原子を示す。nは1〜20の整数を表す。)
【0011】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、Mが周期表第4族遷移金属原子であることを特徴とするオレフィン重合用触媒が提供される。
【0012】
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、有機アルミニウム化合物、及び有機アルミニウムオキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つを成分として含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒が提供される。
【0013】
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明のオレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合または共重合することを特徴とするオレフィンの重合方法が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のオレフィン重合用触媒は、遷移金属原子に周期表第16族原子が3個又は2個結合し、かつこれら第16族原子は芳香族環構造を有する配位子に結合しており、これら芳香族環は置換基を有していてもよく、かつ炭化水素架橋基を介して互いに連結されている、下記一般式(I)または(II)で表される配位子を持つ遷移金属化合物(成分A)であり、好ましくは、これらと反応してオレフィン重合能を発現させる助触媒(成分B)とからなり、さらに、必要に応じて、有機アルミニウム化合物(成分C)と組み合わせることも可能である。以下、該オレフィン重合用触媒およびこの触媒を用いたオレフィンの重合方法について詳細に説明する。
【0015】
なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
【0016】
1.触媒
(1)遷移金属化合物(成分A)
本発明の遷移金属化合物は下記一般式(I)または(II)で表される。
【0017】
【化5】
(式中A1、A2、A3は第16族原子を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。R1、R3は互いに同一でも異なっていてもよい2価の芳香族炭化水素残基である。R2は3価の芳香族炭化水素残基である。Q1、Q2は互いに同一でも異なっていてもよい炭化水素架橋基であり、R1、R2、R3と連結されている。Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示す。Xはハロゲン原子を示す。nは1以上20以下の整数を表す。)
【0018】
【化6】
(式中A1、A3は第16族原子を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。R1、R3およびR4は互いに同一でも異なっていてもよい2価の芳香族炭化水素残基である。Q1、Q2は互いに同一でも異なっていてもよい炭化水素架橋基であり、R1、R3、R4と連結されている。Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示す。Xはハロゲン原子を示す。nは1以上20以下の整数を表す。)
【0019】
一般式(I)または(II)において、Mは、周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子であるが、好ましくは3〜9族(3族にはランタノイドも含まれる)の金属原子であり、より好ましくは3〜5族および9族から選ばれる遷移金属原子であり、特に好ましくは4族または5族から選ばれる遷移金属原子である。具体的には、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウム、イットリウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウムなどであり、好ましくはスカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウムなどであり、より好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、コバルト、ロジウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、特に好ましくは4族のチタン、ジルコニウム、ハフニウムである。
【0020】
A1、A2、A3は、第16族原子を示し、好ましくは酸素、硫黄原子であり、特に好ましくは酸素原子である。
R1、R2、R3、R4は、芳香族炭化水素残基であり、置換基を有していてもよい。芳香族炭化水素基の具体例としてはフェニル、ナフチル、アントラセニル、ビフェニル、トリル、ベンジルが例示できる。これらにアルキル基が結合していてもよい。好ましくは、フェニル基にアルキル基が結合した芳香族炭化水素基である。これらには水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基が結合していても良い。また、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
Xは、ハロゲン原子であり、互いに同一であっても、異なっていてもよく、好ましくは塩素、臭素原子、特に好ましくは塩素原子である。
Q1、Q2は、炭化水素架橋基である。具体的には、メチレン、エチレン、プロピレンなどの炭素原子数が1〜20、好ましくは1〜5の直鎖状または分岐状のアルキレンなどが挙げられる。特に好ましいのはメチレンである。また、上記炭化水素基は、他の置換基が結合していてもよい。
nは1〜20の整数であり、好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜4の整数である。nの数が多すぎると遷移金属化合物の溶媒への溶解度が低下するため取り扱いが難しくなり好ましくない。
【0021】
これらの遷移金属化合物には中性配位子、例えば、テトラヒドロフラン(THF)分子、アセトニトリル分子、エーテル分子などが配位していても良い。
【0022】
このような遷移金属化合物は、例えば下記式(III)や(IV)で表される配位子前駆体と、MXk(MおよびXは上記一般式(I)中のMおよびXと同義であり、kはMの原子価を満たす数である。)で表される化合物などの遷移金属含有化合物とを反応させることにより製造することができる。
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
【0025】
(2)助触媒(成分B)
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記一般式(I)または(II)で表される配位子を持つ遷移金属化合物と、これらと反応してオレフィン重合能を発現させる助触媒成分とを組み合わせることが好ましい。
本発明で使用できる助触媒成分としては、公知のものであれば特に制限無く使用することが可能である。具体的には下記(B−1)〜(B−4)からなる群から選ばれる。
(B−1)アルミニウムオキシ化合物
(B−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸
(B−3)固体酸
(B−4)イオン交換性層状珪酸塩
【0026】
(B−1)アルミニウムオキシ化合物
アルミニウムオキシ化合物においては、アルミニウムオキシ化合物が遷移金属化合物をカチオン化できることは周知であり、そのような化合物としては、具体的には次の各一般式で表される化合物が挙げられる。
【0027】
【化9】
【0028】
上記各一般式中、R1は、水素原子または炭化水素残基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。また、複数のR1は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
一般式のうち、一番目及び二番目の式で表される化合物は、アルミノキサンとも称される化合物であって、これらの中では、メチルアルミノキサン又はメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。上記のアルミノキサンは、各群内および各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
一般式の三番目で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと、一般式R2B(OH)2で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式中、R1及びR2は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。
【0029】
(B−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸
成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物との錯化物等が挙げられる。
また、上記のようなルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。あるいは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の金属ハロゲン化合物などが例示される。なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。上述した非配位性のホウ素化合物を用いたメタロセン触媒は、特開平3−234709号公報、特開平5−247128号公報等に例示されている。
【0030】
(B−3)固体酸
固体酸としては、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア等が挙げられる。
【0031】
(B−4)イオン交換性層状化合物
イオン交換性層状化合物は、粘土鉱物の大部分を占めるものであり、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」と略記する場合がある。)は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよい。珪酸塩は各種公知のものが使用できる。具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
(i)2:1型鉱物類
モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族; バーミキュライト等のバーミキュライト族; 雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族;
パイロフィライト、タルク等のパイロフィライト−タルク族; Mg緑泥石等の緑泥石族等。
(ii)2:1リボン型鉱物類
セピオライト、パリゴルスカイト等。
【0032】
本発明で原料として使用する珪酸塩は、上記の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。本発明においては、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。本発明で使用する珪酸塩は、天然品または工業原料として入手したものは、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。これらの処理を互いに組み合わせて用いてもよい。本発明において、これらの処理条件には特に制限はなく、公知の条件が使用できる。
また、これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常吸着水および層間水が含まれるため、不活性ガス流通下で加熱脱水処理するなどして、水分を除去してから使用するのが好ましい。
【0033】
(3)有機アルミニウム化合物(成分C)
また、本発明のオレフィン重合用触媒は、さらに有機アルミニウム化合物(成分C)と組み合わせることも可能である。この成分は、従来公知のメタロセン触媒と同様、触媒合成工程における不純物から当該触媒を保護し、重合活性を向上させる役割を果たす。成分Cの具体例としては、一般式
AlR3−iXi
(式中、RはC1〜20の炭化水素基、Xは水素、アルコキシ基、iは0<i≦3の数を示す。但し、Xが水素の場合は、iは0<i<3とする。)で示される化合物が使用される。
【0034】
具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムまたはジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド等のアルコキシ含有アルキルアルミニウムまたはジエチルアルミニウムハライドなどのハライド含有アルキルアルミニウムである。
これらのうち、特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。さらに好ましくは、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムである。
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0035】
(4)担体
本発明のオレフィン重合用触媒は、必要に応じて、触媒を担持するために公知の担体を用いても良い。担体は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
【0036】
(5)予備重合
本発明のオレフィン重合用触媒は、遷移金属錯体と助触媒からなるポリオレフィン製造用触媒をオレフィン重合用(本重合)の触媒として使用する前に必要に応じて、担体に担持させた後、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等のオレフィンを予備的に少量重合する予備重合処理を施してもよい。予備重合方法は公知の方法が使用できる。
【0037】
2.オレフィンの重合
本発明のオレフィンの重合方法は、上記成分(A)と成分(B)、さらに必要に応じて成分(C)を用いて行う。
上記成分(A)と成分(B)の使用量は、それぞれの組み合わせの中で最適な量比で用いられる。
成分(B)が、アルミニウムオキシ化合物の場合は、Al/遷移金属のモル比は通常10以上100000以下、さらに100以上20000以下、特に100以上10000以下の範囲が適する。一方、成分(B)としてイオン性化合物あるいはルイス酸を用いた場合は、対遷移金属のモル比は0.1〜1000、好ましくは0.5〜100、更に好ましくは1〜50の範囲である。
成分(B)として、固体酸あるいはイオン交換性層状珪酸塩を用いる場合は、成分(B)1gにつき、遷移金属錯体0.001〜10ミリモル、好ましくは0.001〜1ミリモルの範囲である。
これらの使用比率は、通常の割合例を示すものであって、触媒が合目的的なものとなっておれば、上に述べた使用比率の範囲によって、本発明が限定されることにはならないことは当然である。
【0038】
本発明のオレフィン重合用触媒により重合できるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ビニルシクロアルカン、ブタジエン等の共役ジエン、1,5−ヘキサジエン等の非共役ジエン、スチレンあるいはこれらの誘導体等が挙げられる。特に、エチレンあるいはプロピレンが好適に使用される。特に好ましくはエチレンである。
【0039】
また、重合は、単独重合の他にランダム共重合やブロック共重合にも好適に適用できる。共重合の際のコモノマーとしては、上記のオレフィンが例示できる。
【0040】
重合反応は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン等の不活性炭化水素や液化α−オレフィン等の溶媒の存在下に、あるいは実質的に溶媒や単量体の液相が存在しない状態で気相重合により行うのが好ましい。気相重合は、例えば流動床、撹拌床、撹拌・混合機を備えた撹拌流動床等の反応装置を用いて行うことができる。重合温度、重合圧力等の条件は特に限定されないが、重合温度は、一般に−50〜350℃、好ましくは0〜300℃であり、また、重合圧力は通常、常圧〜約2000kgf/cm2、好ましくは常圧〜1500kgf/cm2、更に好ましくは常圧〜1300kgf/cm2の範囲である。また、重合系内に分子量調節剤として水素を存在させてもよい。
【0041】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また物性測定は以下の方法を用いた。
【0042】
1.物性測定法
(1)DSC測定
JIS−K7121に準拠しておこなった。試料9mgを160℃で10分間融解後、10℃/分の速度で降温して結晶化曲線を測定し、ピークトップ温度(℃)を結晶化温度(Tc)とした。さらに20℃に降温度して1分間保持後、160℃まで10℃/分の昇温速度で融解曲線を測定し、ピークトップ温度(℃)を融点(Tm)とした。
(2)GPC測定
本発明において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)はゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定したものをいう。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。
較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.917×10−4、α=0.733
なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料はODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる
【0043】
実施例1
(1)2,6−ビス(4,6−ジメチルサリチル)−4−t−ブチルフェノール[H3(Me−L)](配位子−1)の合成
撹拌子を備えた300mLなす型フラスコに、2,6−ジヒドロキシメチル−4−t−ブチルフェノール(20.0g,0.095mol)、2,4−ジメチルフェノール(70.0g,0.57mol)、濃塩酸(約2mL)、及び、ヘキサン(100mL)を入れ、約2時間加熱撹拌した。溶媒留去後、過剰の2,4−ジメチルフェノールを減圧蒸留(0.2mmHg)によって回収した。残査をジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒から再結晶し、濾過、乾燥することにより[H3(Me−L)](配位子−1)を無色結晶として得た(下記反応式)。収量は21.9g(0.052mol)であり、収率は55%であった。
【0044】
【化10】
【0045】
(2)チタン2核錯体[Ti(Me−L)Cl]2の(錯体−1)合成
高真空系、冷却管、撹拌子を備え、脱気乾燥後アルゴン置換した100mLシュレンク管に2,6−ビス(4,6−ジメチルサリチル)−4−t−ブチルフェノール[H3(Me−L)](配位子−1)(2.09g,5.00mmol)を入れ、トルエン(100mL)に溶解させた。四塩化チタン(0.99g,5.22mmol)を加えるとすみやかに反応し、塩酸の発生とともに溶液は赤色を呈した。反応混合物を1時間加熱還流下撹拌した後、溶媒を留去して赤色固体を得た。これをエーテルで洗浄した後、減圧乾燥することにより[Ti(Me−L)Cl]2(錯体−1)を赤色結晶として得た(下記反応式)。収量は2.13g(2.13mmol)であり、収率は85%であった。
【0046】
【化11】
【0047】
実施例2
(1)チタン単核錯体Ti(Me−L)Cl(thf)2(錯体−2)の合成
高真空系、撹拌子を備え、脱気乾燥後アルゴン置換した50mLシュレンク管に[Ti(Me−L)Cl]2(錯体−1)を入れ、THFに溶解させた。溶媒留去して減圧乾燥することによりTi(Me−L)Cl(thf)2(錯体−2)を赤色結晶として定量的に得た(下記反応式)。
【0048】
【化12】
【0049】
実施例3
(1)2,6−ビス(4−メチル−6−t−ブチルサリチル)−4−t−ブチルフェノール [H3(tBu−L)](配位子−2)の合成
撹拌子を備えた300mLなす型フラスコに、2,6−ジヒドロキシメチル−4−t−ブチルフェノール(15.2g,0.072mol)、2−t−ブチル−4−メチルフェノール(70.0g,0.43mol)、濃塩酸(約2mL)、及び、ヘキサン(100mL)を入れ、2時間加熱撹拌した。溶媒留去後、過剰の2−t−ブチル−4−メチルフェノールを減圧蒸留(0.2mmHg)によって回収した。残査をジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒から再結晶し、濾過、乾燥することにより[H3(tBu−L)](配位子−2)を無色結晶として得た(下記反応式)。収量は27.0g(0.053mol)であり、収率は74%であった。
【0050】
【化13】
【0051】
(2)チタン2核錯体[Ti(tBu−L)Cl]2(錯体−3)の合成
高真空系、撹拌子を備え、脱気乾燥後アルゴン置換した100mLシュレンク管に四塩化チタンTHF錯体[TiCl4(thf)2](2.07g,6.20mmol)と2,6−ビス(4−メチル−6−t−ブチルサリチル)−4−t−ブチルフェノール[H3(tBu−L)](配位子−2)(3.15g,6.23mmol)を入れた。トルエン(60mL)を加えるとすみやかに反応し、塩酸の発生とともに溶液は赤色を呈した。反応混合物を2時間室温で撹拌した後、溶媒を留去して赤色固体を得た。これをヘキサンから再結晶し、上澄み液を除いた後、減圧乾燥することにより[Ti(tBu−L)Cl]2(錯体−3)を赤色結晶として得た(下記反応式)。収量は2.89g(2.48mmol)であり、収率は80%であった。
【0052】
【化14】
【0053】
実施例4
(1)2,6−ビス(4−メチル−6−t−ブチルサリチル)−4−メチルフェノール[H3(tBu−LMe)](配位子−3)の合成
撹拌子を備えた300mLなす型フラスコに、2,6−ジヒドロキシメチル−4−メチルフェノール(20.1g,0.12mol)、2−t−ブチル−4−メチルフェノール(120g,0.73mol)、濃塩酸(約2mL)、及び、ヘキサン(100mL)を入れ、2時間加熱撹拌した。溶媒留去後、過剰の2−t−ブチル−4−メチルフェノールを減圧蒸留(0.2mmHg)によって回収した。残査をジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒から再結晶し、濾過、乾燥することにより[H3(tBu−LMe)](配位子−3)を無色結晶として得た(下記反応式)。収量は28.7g(0.062mol)であり、収率は52%であった。
【0054】
【化15】
【0055】
(2)チタン2核錯体 [Ti(tBu−LMe)Cl]2(錯体−4)の合成高真空系、撹拌子を備え、脱気乾燥後アルゴン置換した200mLシュレンク管に四塩化チタンTHF錯体[TiCl4(thf)2](3.89g,11.7mmol)と2,6−ビス(4−メチル−6−t−ブチルサリチル)−4−メチルフェノール(配位子−3)(5.38g,11.7mmol)を入れた。トルエン(110mL)を加えるとすみやかに反応し、塩酸の発生とともに溶液は赤色を呈した。反応混合物を5時間室温で撹拌した後、溶媒を留去して赤色固体を得た。これをヘキサンで洗浄した後、減圧乾燥することにより[Ti(tBu−LMe)Cl]2(錯体−4)を赤色結晶として得た(下記反応式)。収量は5.40g(4.99mmol)であり、収率は85%であった。
【0056】
【化16】
【0057】
実施例5
(1)2,6−ビス(4,6−ジメチルサリチル)−4−t−ブチルアニソール[H2(Me−LOMe)](配位子−4)の合成
冷却管、撹拌子を備えた100mLシュレンク管に、2,6−ビス(4,6−ジメチルサリチル)−4−t−ブチルフェノール[H3(Me−L)](配位子−1)(3.01g,7.19mmol)、炭酸カリウム(565mg,4.09mmol)、p−トルエンスルホン酸メチル(1.34g,7.20mmol)、及び、アセトニトリル(100mL)を入れ、一晩加熱還流下撹拌した。希塩酸で加水分解した後、塩化メチレンで抽出し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水乾燥した。溶媒留去後、乾燥することにより[H2(Me−LOMe)](配位子−4)を無色結晶として得た(下記反応式)。収量は2.70g(6.24mol)であり、収率は87%であった。
【0058】
【化17】
【0059】
(2)チタン単核錯体Ti(Me−LOMe)Cl2(thf)(錯体−5)の合成
高真空系、撹拌子を備え、脱気乾燥後アルゴン置換した200mLシュレンク管に四塩化チタンTHF錯体[TiCl4(thf)2](2.58g,7.73mmol)と2,6−ビス(4,6−ジメチルサリチル)−4−t−ブチルアニソール(配位子−4)(3.34g,7.72mmol)を入れた。トルエン(150 mL)を加えるとすみやかに反応し、塩酸の発生とともに溶液は赤色を呈した。反応混合物を11時間室温で撹拌した後、溶媒を留去して赤色固体を得た。これをヘキサン、エーテルで洗浄した後、減圧乾燥することによりTi(Me−LOMe)Cl2(thf)(錯体−5)を赤色結晶として得た(下記反応式)。収量は3.46g(5.57mmol)であり、収率は72%であった。
【0060】
【化18】
【0061】
実施例6
(1)2,6−ビス(4,6−ジ−t−ブチルサリチル)−4−メチルフェノール [H3(tBu4−L)](配位子−5)の合成
撹拌子を備えた500mLなす型フラスコに、2,6−ジヒドロキシメチル−4−メチルフェノール(20.0g,0.12mol)、2,4−ジ−t−ブチルフェノール(148g,0.72mol)、濃塩酸(約4mL)、及び、ヘキサン(150mL)を入れ、2時間加熱撹拌した。溶媒留去後、過剰の2,4−ジ−t−ブチルフェノールを減圧蒸留(0.2mmHg)によって回収した。残査をジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒から再結晶し、濾過、乾燥することにより[H3(tBu4−L)](配位子−5)を無色結晶として得た(下記反応式)。収量は39.0g(0.072mol)であり、収率は60%であった。
【0062】
【化19】
【0063】
(2)チタン2核錯体[Ti(tBu4−L)Cl(thf)]2(錯体−6)の合成
高真空系、撹拌子を備え、脱気乾燥後アルゴン置換した100mLシュレンク管に四塩化チタンTHF錯体[TiCl4(thf)2](1.82g,5.45mmol)と2,6−ビス(4,6−ジ−t−ブチルサリチル)−4−メチルフェノール(配位子−5)(2.99g,5.48mmol)を入れた。トルエン(60mL)を加えるとすみやかに反応し、塩酸の発生とともに溶液は赤色を呈した。反応混合物を4時間室温で撹拌した後、溶媒を留去して赤色固体を得た。これをヘキサンから再結晶し、上澄み液を除いた後、減圧乾燥することにより[Ti(tBu4−L)Cl(thf)]2(錯体−6)を赤色結晶として得た(下記反応式)。収量は2.47g(1.77mmol)であり、収率は65%であった。
【0064】
【化20】
【0065】
実施例7
(1)2,6−ビス(4,6−ジ−t−ブチルサリチル)−4−t−ブチルフェノール [H3(tBu5−L)](配位子−6)の合成
撹拌子を備えた300mLなす型フラスコに、2,6−ジヒドロキシメチル−4−t−ブチルフェノール(21.2g,0.10mol)、2,4−ジ−t−ブチルフェノール(116g,0.56mol)、濃塩酸(約2mL)、及び、ヘキサン(100mL)を入れ、2時間加熱撹拌した。溶媒留去後、過剰の2,4−ジ−t−ブチルフェノールを減圧蒸留(0.2mmHg)によって回収した。残査を少量のヘキサンで洗浄した後、塩化メチレンに溶解し、溶媒留去することにより[H3(tBu5−L)](配位子−6)を得た(下記反応式)。粗収量は33g(0.056mol)であり、粗収率は56%であった。
【0066】
【化21】
【0067】
(2)チタン2核錯体[Ti(tBu5−L)Cl(thf)]2(錯体−7)の合成
高真空系、撹拌子を備え、脱気乾燥後アルゴン置換した50mLシュレンク管に四塩化チタンTHF錯体[TiCl4(thf)2](250mg,0.75mmol)と2,6−ビス(4,6−ジ−t−ブチルサリチル)−4−t−ブチルフェノール(配位子−6)(440mg,0.75mmol)を入れた。トルエン(20mL)を加えるとすみやかに反応し、塩酸の発生とともに溶液は赤色を呈した。反応混合物を4時間室温で撹拌した後、溶媒を留去して赤色固体を得た。これをエーテルから再結晶し、上澄み液を除いた後、減圧乾燥することにより[Ti(tBu5−L)Cl(thf)]2(錯体−7)を赤色結晶として得た(下記反応式)。収量は310mg(0.21mmol)であり、収率は56%であった。
【0068】
【化22】
【0069】
実施例8
(1)チタン4量体用配位子(配位子−7)合成
(i)1,4−Bis(bromomethyl)dureneの合成
500mL反応容器に還流菅、三方コック、ゴム風船を取り付け、デュレン(1,2,4,5−Tetramethylbenzene,20.0g,149mmol)、パラホルムアルデヒド(11.2g)を取り、酢酸(80mL)を加え撹拌した。ここに飽和臭化水素酢酸溶液(33%,110mL)をゆっくり加えると、発熱が始まりパラホルムアルデヒドは溶解した。反応溶液はオイルバスで80°Cに加熱し、8hr撹拌した。放冷後、反応溶液を氷水(500mL)に注ぎ、生じた白色個体をろ別し、続けて水で洗浄した。白色個体を減圧下乾燥して、目的の1,4−Bis(bromomethyl)durene(42.9g,134mmol)を得た(収率90%)。
【0070】
(ii)1,4−Bis(acetoxymethyl)dureneの合成
1L反応容器に還流菅、三方コック、ゴム風船を取り付け、1,4−Bis(bromomethyl)durene(38g,119mmol)、酢酸カリウム(47.0g,475mmol)を取り、N,N−Dimethylformamide(DMF,500mL)を加え撹拌した。反応溶液をオイルバスで150°Cに加熱し、8hr撹拌した。放冷後、反応溶液を氷水(1L)に注ぎ、生じた白色個体をろ別し、続けて水で洗浄した。白色個体を減圧下乾燥して、目的の1,4−Bis(acetoxymethyl)durene(31.5g,113mmol)を得た(収率95%)。
【0071】
(iii)1,4−Bis(3,5−di−tert−butyl−2−hydroxyphenylmethyl)dureneの合成
300mL反応容器に還流管、三方コック、ゴム風船を取り付け1,4−Bis(acetoxy−methyl)durene 10.0g,36mmol)、2,4−Di−tert−butylphenol(44.6g,216mmol)を取り、トルエン(150mL)を加え撹拌した。ここにp−トルエンスルホン酸一水和物(1.0g,5.3mmol)を加え、オイルバスで110°Cに加熱し、12hr撹拌した。放冷後、反応溶液を分液漏斗に移し、水で洗った。水層はジクロロメタン(50mL×2回)で抽出し、有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をグラスフィルターで除去後、溶媒を流去し、祖生成物を得た。過剰の2,4−Di−tert−butylphenolはクーゲルローワーを用いて減圧流去し、残渣をジクロロメタン?ヘキサンから再結晶して、目的の1,4−Bis(3,5−di−tert−butyl−2−hydroxy−phenylmethyl)durene(16.4g,29mmol)(配位子−7)を白色粉末として得た(収率80%)。
【0072】
(2)チタン4量体(錯体−8)の合成
(i)チタン六量体の合成
200mL反応容器に還流管、三方コックを取り付け、アルゴン置換した。ここに1,4−Bis(3,5−di−tert−butyl−2−hydroxyphenylmethyl)durene(配位子−7)(3.0g,5.25mmol)を取り、トルエン(100mL)を加え溶解した。室温で四塩化チタン?トルエン溶液(1.0M,5.25mmol,5.25mL)をゆっくり滴下しすると、反応溶液は直ちに暗赤色を呈した。滴下終了後、オイルバスで反応溶液を110°Cに加熱し、生成する塩酸ガスをアルゴン気流で系外に除きながら2hr撹拌すると、多量の赤色沈殿が生じた。室温まで放冷後、さらに0°Cで8hr静置し、上澄みをキャヌラで除去した。沈殿はトルエン(30mL)に懸濁させ、再び0°Cで8hr沈降させたのちに、同様に上澄みを除いた。得られた固体を減圧下乾燥して、目的のチタン六量体(3.36g,0.81mmol)を、橙色粉末として得た(収率93%)。
【0073】
(ii)チタン四量体の合成
アルゴン下で、100mLシュレンク型反応容器にチタン六量体 688mg,0.17mmol)を取り、テトラヒドロフラン(THF,30mL)を加えた。容器をよく密閉した後に、オイルバスで70°Cに加熱し2hr撹拌した。得られた暗赤色の溶液を遠心分離器にかけ、少量の不溶物を除いた。反応溶液を減圧下、約3〜5mLに濃縮し、ヘキサン(30mL)を加え、生じた暗赤色粉末を0°Cで12hr沈降させた。上澄みをキャヌラで除去し、得られた固体を減圧下乾燥して、目的のチタン四量体(錯体−8)(628mg,0.21mmol)を、赤色粉末として得た(収率82%)。
【0074】
実施例9
充分に乾燥、窒素置換した3Lのステンレス製オートクレーブにトルエン1.0Lを入れ、誘導撹拌装置を用いて撹拌しつつ内部温度を30℃に調節した。これにアルミノキサン(東ソーファイケム社製PMAO−S、Al原子換算で8.5wt%のトルエン溶液)を7.2mL加え、さらに遷移金属化合物[Ti(Me−L)Cl]2(錯体−1)を10μmol(トルエン溶液10mLとして)を添加した。温度を30℃に保持したままエチレンを0.9MPa・Gを保つように加え撹拌しつつ30分重合した。その後エタノールを添加して重合を停止し、濾過、乾燥後ポリエチレン0.5gを得た。得られたポリマーの物性を表1に示す。
【0075】
実施例10〜16
実施例9における(錯体−1)に変えて表1のような遷移金属化合物(錯体−2〜錯体−8)を使用した以外は、実施例9と同様にエチレン重合を行いポリエチレンを得た。得られたポリマーの物性を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【発明の効果】
本発明の遷移金属化合物は、合成が容易であり、工業的規模で安価に製造することが可能である。また、構造的に堅固でかつ立体的にバルキーな配位子を用いることによりオレフィンを効率よく重合させることができる。さらに配位子構造を最適化することで所望の分子構造を有するポリオレフィンの製造が可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なオレフィン重合用触媒に関するものであり、さらにはこれらの触媒を用いたオレフィンの重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン重合用触媒としては、チーグラーナッタ触媒やメタロセン触媒がよく知られているが、これらとは全く異なる遷移金属化合物であって、遷移金属原子と第16族原子が直接結合した構造を有する遷移金属化合物が開示されている(例えば、特許文献1〜2参照。)。しかし、遷移金属原子に第16族原子が3個結合した錯体を触媒成分として用いた例はない。
また、これらの先行特許文献に開示された化合物は、配位子が芳香族環構造を有するものであるが、これら芳香族環同士は架橋基を介さず芳香族環上の炭素原子同士が直接結合している。
【0003】
しかし、これらの化合物は、合成工程が複雑で、工業化のためのコストも高く、実用化には至っていない。このような状況のもとオレフィン重合活性に優れ、しかも優れた性状を有するポリオレフィンを安価に製造しうることのできる新規なオレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法の出現が望まれている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−92309号公報
【特許文献2】
特開平11−240910号公報
【0005】
【発明が解決使用とする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、優れたオレフィン重合活性を有する新規なオレフィン重合用触媒および該触媒を用いたオレフィンの重合方法を安価に提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、遷移金属原子に第16族原子が3個又は2個結合し、かつこれら第16族原子は芳香族環構造を有する配位子に結合しており、これら芳香族環は置換基を有していてもよく、かつ炭化水素架橋基を介して互いに連結されている化合物がオレフィン重合に活性を有することを見出し本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記一般式(I)で表される成分を含むオレフィン重合用触媒が提供される。
【0008】
【化3】
(式中、A1、A2、A3は第16族原子を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。R1、R3は互いに同一でも異なっていてもよい2価の芳香族炭化水素残基である。R2は3価の芳香族炭化水素残基である。Q1、Q2は互いに同一でも異なっていてもよい炭化水素架橋基であり、R1、R2、R3と連結されている。Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示す。Xはハロゲン原子を示す。nは1〜20の整数を表す。)
【0009】
また、本発明の第2の発明によれば、下記一般式(II)表される成分を含むオレフィン重合用触媒が提供される。
【0010】
【化4】
(式中、A1、A3は第16族原子を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。R1、R3およびR4は互いに同一でも異なっていてもよい2価の芳香族炭化水素残基である。Q1、Q2は互いに同一でも異なっていてもよい炭化水素架橋基であり、R1、R3、R4と連結されている。Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示す。Xはハロゲン原子を示す。nは1〜20の整数を表す。)
【0011】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、Mが周期表第4族遷移金属原子であることを特徴とするオレフィン重合用触媒が提供される。
【0012】
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、有機アルミニウム化合物、及び有機アルミニウムオキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つを成分として含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒が提供される。
【0013】
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明のオレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合または共重合することを特徴とするオレフィンの重合方法が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のオレフィン重合用触媒は、遷移金属原子に周期表第16族原子が3個又は2個結合し、かつこれら第16族原子は芳香族環構造を有する配位子に結合しており、これら芳香族環は置換基を有していてもよく、かつ炭化水素架橋基を介して互いに連結されている、下記一般式(I)または(II)で表される配位子を持つ遷移金属化合物(成分A)であり、好ましくは、これらと反応してオレフィン重合能を発現させる助触媒(成分B)とからなり、さらに、必要に応じて、有機アルミニウム化合物(成分C)と組み合わせることも可能である。以下、該オレフィン重合用触媒およびこの触媒を用いたオレフィンの重合方法について詳細に説明する。
【0015】
なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
【0016】
1.触媒
(1)遷移金属化合物(成分A)
本発明の遷移金属化合物は下記一般式(I)または(II)で表される。
【0017】
【化5】
(式中A1、A2、A3は第16族原子を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。R1、R3は互いに同一でも異なっていてもよい2価の芳香族炭化水素残基である。R2は3価の芳香族炭化水素残基である。Q1、Q2は互いに同一でも異なっていてもよい炭化水素架橋基であり、R1、R2、R3と連結されている。Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示す。Xはハロゲン原子を示す。nは1以上20以下の整数を表す。)
【0018】
【化6】
(式中A1、A3は第16族原子を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。R1、R3およびR4は互いに同一でも異なっていてもよい2価の芳香族炭化水素残基である。Q1、Q2は互いに同一でも異なっていてもよい炭化水素架橋基であり、R1、R3、R4と連結されている。Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示す。Xはハロゲン原子を示す。nは1以上20以下の整数を表す。)
【0019】
一般式(I)または(II)において、Mは、周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子であるが、好ましくは3〜9族(3族にはランタノイドも含まれる)の金属原子であり、より好ましくは3〜5族および9族から選ばれる遷移金属原子であり、特に好ましくは4族または5族から選ばれる遷移金属原子である。具体的には、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウム、イットリウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウムなどであり、好ましくはスカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウムなどであり、より好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、コバルト、ロジウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、特に好ましくは4族のチタン、ジルコニウム、ハフニウムである。
【0020】
A1、A2、A3は、第16族原子を示し、好ましくは酸素、硫黄原子であり、特に好ましくは酸素原子である。
R1、R2、R3、R4は、芳香族炭化水素残基であり、置換基を有していてもよい。芳香族炭化水素基の具体例としてはフェニル、ナフチル、アントラセニル、ビフェニル、トリル、ベンジルが例示できる。これらにアルキル基が結合していてもよい。好ましくは、フェニル基にアルキル基が結合した芳香族炭化水素基である。これらには水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基が結合していても良い。また、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
Xは、ハロゲン原子であり、互いに同一であっても、異なっていてもよく、好ましくは塩素、臭素原子、特に好ましくは塩素原子である。
Q1、Q2は、炭化水素架橋基である。具体的には、メチレン、エチレン、プロピレンなどの炭素原子数が1〜20、好ましくは1〜5の直鎖状または分岐状のアルキレンなどが挙げられる。特に好ましいのはメチレンである。また、上記炭化水素基は、他の置換基が結合していてもよい。
nは1〜20の整数であり、好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜4の整数である。nの数が多すぎると遷移金属化合物の溶媒への溶解度が低下するため取り扱いが難しくなり好ましくない。
【0021】
これらの遷移金属化合物には中性配位子、例えば、テトラヒドロフラン(THF)分子、アセトニトリル分子、エーテル分子などが配位していても良い。
【0022】
このような遷移金属化合物は、例えば下記式(III)や(IV)で表される配位子前駆体と、MXk(MおよびXは上記一般式(I)中のMおよびXと同義であり、kはMの原子価を満たす数である。)で表される化合物などの遷移金属含有化合物とを反応させることにより製造することができる。
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
【0025】
(2)助触媒(成分B)
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記一般式(I)または(II)で表される配位子を持つ遷移金属化合物と、これらと反応してオレフィン重合能を発現させる助触媒成分とを組み合わせることが好ましい。
本発明で使用できる助触媒成分としては、公知のものであれば特に制限無く使用することが可能である。具体的には下記(B−1)〜(B−4)からなる群から選ばれる。
(B−1)アルミニウムオキシ化合物
(B−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸
(B−3)固体酸
(B−4)イオン交換性層状珪酸塩
【0026】
(B−1)アルミニウムオキシ化合物
アルミニウムオキシ化合物においては、アルミニウムオキシ化合物が遷移金属化合物をカチオン化できることは周知であり、そのような化合物としては、具体的には次の各一般式で表される化合物が挙げられる。
【0027】
【化9】
【0028】
上記各一般式中、R1は、水素原子または炭化水素残基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。また、複数のR1は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
一般式のうち、一番目及び二番目の式で表される化合物は、アルミノキサンとも称される化合物であって、これらの中では、メチルアルミノキサン又はメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。上記のアルミノキサンは、各群内および各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
一般式の三番目で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと、一般式R2B(OH)2で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式中、R1及びR2は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。
【0029】
(B−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸
成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物との錯化物等が挙げられる。
また、上記のようなルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。あるいは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の金属ハロゲン化合物などが例示される。なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。上述した非配位性のホウ素化合物を用いたメタロセン触媒は、特開平3−234709号公報、特開平5−247128号公報等に例示されている。
【0030】
(B−3)固体酸
固体酸としては、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア等が挙げられる。
【0031】
(B−4)イオン交換性層状化合物
イオン交換性層状化合物は、粘土鉱物の大部分を占めるものであり、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」と略記する場合がある。)は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよい。珪酸塩は各種公知のものが使用できる。具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
(i)2:1型鉱物類
モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族; バーミキュライト等のバーミキュライト族; 雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族;
パイロフィライト、タルク等のパイロフィライト−タルク族; Mg緑泥石等の緑泥石族等。
(ii)2:1リボン型鉱物類
セピオライト、パリゴルスカイト等。
【0032】
本発明で原料として使用する珪酸塩は、上記の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。本発明においては、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。本発明で使用する珪酸塩は、天然品または工業原料として入手したものは、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。これらの処理を互いに組み合わせて用いてもよい。本発明において、これらの処理条件には特に制限はなく、公知の条件が使用できる。
また、これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常吸着水および層間水が含まれるため、不活性ガス流通下で加熱脱水処理するなどして、水分を除去してから使用するのが好ましい。
【0033】
(3)有機アルミニウム化合物(成分C)
また、本発明のオレフィン重合用触媒は、さらに有機アルミニウム化合物(成分C)と組み合わせることも可能である。この成分は、従来公知のメタロセン触媒と同様、触媒合成工程における不純物から当該触媒を保護し、重合活性を向上させる役割を果たす。成分Cの具体例としては、一般式
AlR3−iXi
(式中、RはC1〜20の炭化水素基、Xは水素、アルコキシ基、iは0<i≦3の数を示す。但し、Xが水素の場合は、iは0<i<3とする。)で示される化合物が使用される。
【0034】
具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムまたはジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド等のアルコキシ含有アルキルアルミニウムまたはジエチルアルミニウムハライドなどのハライド含有アルキルアルミニウムである。
これらのうち、特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。さらに好ましくは、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムである。
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0035】
(4)担体
本発明のオレフィン重合用触媒は、必要に応じて、触媒を担持するために公知の担体を用いても良い。担体は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
【0036】
(5)予備重合
本発明のオレフィン重合用触媒は、遷移金属錯体と助触媒からなるポリオレフィン製造用触媒をオレフィン重合用(本重合)の触媒として使用する前に必要に応じて、担体に担持させた後、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等のオレフィンを予備的に少量重合する予備重合処理を施してもよい。予備重合方法は公知の方法が使用できる。
【0037】
2.オレフィンの重合
本発明のオレフィンの重合方法は、上記成分(A)と成分(B)、さらに必要に応じて成分(C)を用いて行う。
上記成分(A)と成分(B)の使用量は、それぞれの組み合わせの中で最適な量比で用いられる。
成分(B)が、アルミニウムオキシ化合物の場合は、Al/遷移金属のモル比は通常10以上100000以下、さらに100以上20000以下、特に100以上10000以下の範囲が適する。一方、成分(B)としてイオン性化合物あるいはルイス酸を用いた場合は、対遷移金属のモル比は0.1〜1000、好ましくは0.5〜100、更に好ましくは1〜50の範囲である。
成分(B)として、固体酸あるいはイオン交換性層状珪酸塩を用いる場合は、成分(B)1gにつき、遷移金属錯体0.001〜10ミリモル、好ましくは0.001〜1ミリモルの範囲である。
これらの使用比率は、通常の割合例を示すものであって、触媒が合目的的なものとなっておれば、上に述べた使用比率の範囲によって、本発明が限定されることにはならないことは当然である。
【0038】
本発明のオレフィン重合用触媒により重合できるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ビニルシクロアルカン、ブタジエン等の共役ジエン、1,5−ヘキサジエン等の非共役ジエン、スチレンあるいはこれらの誘導体等が挙げられる。特に、エチレンあるいはプロピレンが好適に使用される。特に好ましくはエチレンである。
【0039】
また、重合は、単独重合の他にランダム共重合やブロック共重合にも好適に適用できる。共重合の際のコモノマーとしては、上記のオレフィンが例示できる。
【0040】
重合反応は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン等の不活性炭化水素や液化α−オレフィン等の溶媒の存在下に、あるいは実質的に溶媒や単量体の液相が存在しない状態で気相重合により行うのが好ましい。気相重合は、例えば流動床、撹拌床、撹拌・混合機を備えた撹拌流動床等の反応装置を用いて行うことができる。重合温度、重合圧力等の条件は特に限定されないが、重合温度は、一般に−50〜350℃、好ましくは0〜300℃であり、また、重合圧力は通常、常圧〜約2000kgf/cm2、好ましくは常圧〜1500kgf/cm2、更に好ましくは常圧〜1300kgf/cm2の範囲である。また、重合系内に分子量調節剤として水素を存在させてもよい。
【0041】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また物性測定は以下の方法を用いた。
【0042】
1.物性測定法
(1)DSC測定
JIS−K7121に準拠しておこなった。試料9mgを160℃で10分間融解後、10℃/分の速度で降温して結晶化曲線を測定し、ピークトップ温度(℃)を結晶化温度(Tc)とした。さらに20℃に降温度して1分間保持後、160℃まで10℃/分の昇温速度で融解曲線を測定し、ピークトップ温度(℃)を融点(Tm)とした。
(2)GPC測定
本発明において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)はゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定したものをいう。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。
較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.917×10−4、α=0.733
なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料はODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる
【0043】
実施例1
(1)2,6−ビス(4,6−ジメチルサリチル)−4−t−ブチルフェノール[H3(Me−L)](配位子−1)の合成
撹拌子を備えた300mLなす型フラスコに、2,6−ジヒドロキシメチル−4−t−ブチルフェノール(20.0g,0.095mol)、2,4−ジメチルフェノール(70.0g,0.57mol)、濃塩酸(約2mL)、及び、ヘキサン(100mL)を入れ、約2時間加熱撹拌した。溶媒留去後、過剰の2,4−ジメチルフェノールを減圧蒸留(0.2mmHg)によって回収した。残査をジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒から再結晶し、濾過、乾燥することにより[H3(Me−L)](配位子−1)を無色結晶として得た(下記反応式)。収量は21.9g(0.052mol)であり、収率は55%であった。
【0044】
【化10】
【0045】
(2)チタン2核錯体[Ti(Me−L)Cl]2の(錯体−1)合成
高真空系、冷却管、撹拌子を備え、脱気乾燥後アルゴン置換した100mLシュレンク管に2,6−ビス(4,6−ジメチルサリチル)−4−t−ブチルフェノール[H3(Me−L)](配位子−1)(2.09g,5.00mmol)を入れ、トルエン(100mL)に溶解させた。四塩化チタン(0.99g,5.22mmol)を加えるとすみやかに反応し、塩酸の発生とともに溶液は赤色を呈した。反応混合物を1時間加熱還流下撹拌した後、溶媒を留去して赤色固体を得た。これをエーテルで洗浄した後、減圧乾燥することにより[Ti(Me−L)Cl]2(錯体−1)を赤色結晶として得た(下記反応式)。収量は2.13g(2.13mmol)であり、収率は85%であった。
【0046】
【化11】
【0047】
実施例2
(1)チタン単核錯体Ti(Me−L)Cl(thf)2(錯体−2)の合成
高真空系、撹拌子を備え、脱気乾燥後アルゴン置換した50mLシュレンク管に[Ti(Me−L)Cl]2(錯体−1)を入れ、THFに溶解させた。溶媒留去して減圧乾燥することによりTi(Me−L)Cl(thf)2(錯体−2)を赤色結晶として定量的に得た(下記反応式)。
【0048】
【化12】
【0049】
実施例3
(1)2,6−ビス(4−メチル−6−t−ブチルサリチル)−4−t−ブチルフェノール [H3(tBu−L)](配位子−2)の合成
撹拌子を備えた300mLなす型フラスコに、2,6−ジヒドロキシメチル−4−t−ブチルフェノール(15.2g,0.072mol)、2−t−ブチル−4−メチルフェノール(70.0g,0.43mol)、濃塩酸(約2mL)、及び、ヘキサン(100mL)を入れ、2時間加熱撹拌した。溶媒留去後、過剰の2−t−ブチル−4−メチルフェノールを減圧蒸留(0.2mmHg)によって回収した。残査をジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒から再結晶し、濾過、乾燥することにより[H3(tBu−L)](配位子−2)を無色結晶として得た(下記反応式)。収量は27.0g(0.053mol)であり、収率は74%であった。
【0050】
【化13】
【0051】
(2)チタン2核錯体[Ti(tBu−L)Cl]2(錯体−3)の合成
高真空系、撹拌子を備え、脱気乾燥後アルゴン置換した100mLシュレンク管に四塩化チタンTHF錯体[TiCl4(thf)2](2.07g,6.20mmol)と2,6−ビス(4−メチル−6−t−ブチルサリチル)−4−t−ブチルフェノール[H3(tBu−L)](配位子−2)(3.15g,6.23mmol)を入れた。トルエン(60mL)を加えるとすみやかに反応し、塩酸の発生とともに溶液は赤色を呈した。反応混合物を2時間室温で撹拌した後、溶媒を留去して赤色固体を得た。これをヘキサンから再結晶し、上澄み液を除いた後、減圧乾燥することにより[Ti(tBu−L)Cl]2(錯体−3)を赤色結晶として得た(下記反応式)。収量は2.89g(2.48mmol)であり、収率は80%であった。
【0052】
【化14】
【0053】
実施例4
(1)2,6−ビス(4−メチル−6−t−ブチルサリチル)−4−メチルフェノール[H3(tBu−LMe)](配位子−3)の合成
撹拌子を備えた300mLなす型フラスコに、2,6−ジヒドロキシメチル−4−メチルフェノール(20.1g,0.12mol)、2−t−ブチル−4−メチルフェノール(120g,0.73mol)、濃塩酸(約2mL)、及び、ヘキサン(100mL)を入れ、2時間加熱撹拌した。溶媒留去後、過剰の2−t−ブチル−4−メチルフェノールを減圧蒸留(0.2mmHg)によって回収した。残査をジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒から再結晶し、濾過、乾燥することにより[H3(tBu−LMe)](配位子−3)を無色結晶として得た(下記反応式)。収量は28.7g(0.062mol)であり、収率は52%であった。
【0054】
【化15】
【0055】
(2)チタン2核錯体 [Ti(tBu−LMe)Cl]2(錯体−4)の合成高真空系、撹拌子を備え、脱気乾燥後アルゴン置換した200mLシュレンク管に四塩化チタンTHF錯体[TiCl4(thf)2](3.89g,11.7mmol)と2,6−ビス(4−メチル−6−t−ブチルサリチル)−4−メチルフェノール(配位子−3)(5.38g,11.7mmol)を入れた。トルエン(110mL)を加えるとすみやかに反応し、塩酸の発生とともに溶液は赤色を呈した。反応混合物を5時間室温で撹拌した後、溶媒を留去して赤色固体を得た。これをヘキサンで洗浄した後、減圧乾燥することにより[Ti(tBu−LMe)Cl]2(錯体−4)を赤色結晶として得た(下記反応式)。収量は5.40g(4.99mmol)であり、収率は85%であった。
【0056】
【化16】
【0057】
実施例5
(1)2,6−ビス(4,6−ジメチルサリチル)−4−t−ブチルアニソール[H2(Me−LOMe)](配位子−4)の合成
冷却管、撹拌子を備えた100mLシュレンク管に、2,6−ビス(4,6−ジメチルサリチル)−4−t−ブチルフェノール[H3(Me−L)](配位子−1)(3.01g,7.19mmol)、炭酸カリウム(565mg,4.09mmol)、p−トルエンスルホン酸メチル(1.34g,7.20mmol)、及び、アセトニトリル(100mL)を入れ、一晩加熱還流下撹拌した。希塩酸で加水分解した後、塩化メチレンで抽出し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水乾燥した。溶媒留去後、乾燥することにより[H2(Me−LOMe)](配位子−4)を無色結晶として得た(下記反応式)。収量は2.70g(6.24mol)であり、収率は87%であった。
【0058】
【化17】
【0059】
(2)チタン単核錯体Ti(Me−LOMe)Cl2(thf)(錯体−5)の合成
高真空系、撹拌子を備え、脱気乾燥後アルゴン置換した200mLシュレンク管に四塩化チタンTHF錯体[TiCl4(thf)2](2.58g,7.73mmol)と2,6−ビス(4,6−ジメチルサリチル)−4−t−ブチルアニソール(配位子−4)(3.34g,7.72mmol)を入れた。トルエン(150 mL)を加えるとすみやかに反応し、塩酸の発生とともに溶液は赤色を呈した。反応混合物を11時間室温で撹拌した後、溶媒を留去して赤色固体を得た。これをヘキサン、エーテルで洗浄した後、減圧乾燥することによりTi(Me−LOMe)Cl2(thf)(錯体−5)を赤色結晶として得た(下記反応式)。収量は3.46g(5.57mmol)であり、収率は72%であった。
【0060】
【化18】
【0061】
実施例6
(1)2,6−ビス(4,6−ジ−t−ブチルサリチル)−4−メチルフェノール [H3(tBu4−L)](配位子−5)の合成
撹拌子を備えた500mLなす型フラスコに、2,6−ジヒドロキシメチル−4−メチルフェノール(20.0g,0.12mol)、2,4−ジ−t−ブチルフェノール(148g,0.72mol)、濃塩酸(約4mL)、及び、ヘキサン(150mL)を入れ、2時間加熱撹拌した。溶媒留去後、過剰の2,4−ジ−t−ブチルフェノールを減圧蒸留(0.2mmHg)によって回収した。残査をジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒から再結晶し、濾過、乾燥することにより[H3(tBu4−L)](配位子−5)を無色結晶として得た(下記反応式)。収量は39.0g(0.072mol)であり、収率は60%であった。
【0062】
【化19】
【0063】
(2)チタン2核錯体[Ti(tBu4−L)Cl(thf)]2(錯体−6)の合成
高真空系、撹拌子を備え、脱気乾燥後アルゴン置換した100mLシュレンク管に四塩化チタンTHF錯体[TiCl4(thf)2](1.82g,5.45mmol)と2,6−ビス(4,6−ジ−t−ブチルサリチル)−4−メチルフェノール(配位子−5)(2.99g,5.48mmol)を入れた。トルエン(60mL)を加えるとすみやかに反応し、塩酸の発生とともに溶液は赤色を呈した。反応混合物を4時間室温で撹拌した後、溶媒を留去して赤色固体を得た。これをヘキサンから再結晶し、上澄み液を除いた後、減圧乾燥することにより[Ti(tBu4−L)Cl(thf)]2(錯体−6)を赤色結晶として得た(下記反応式)。収量は2.47g(1.77mmol)であり、収率は65%であった。
【0064】
【化20】
【0065】
実施例7
(1)2,6−ビス(4,6−ジ−t−ブチルサリチル)−4−t−ブチルフェノール [H3(tBu5−L)](配位子−6)の合成
撹拌子を備えた300mLなす型フラスコに、2,6−ジヒドロキシメチル−4−t−ブチルフェノール(21.2g,0.10mol)、2,4−ジ−t−ブチルフェノール(116g,0.56mol)、濃塩酸(約2mL)、及び、ヘキサン(100mL)を入れ、2時間加熱撹拌した。溶媒留去後、過剰の2,4−ジ−t−ブチルフェノールを減圧蒸留(0.2mmHg)によって回収した。残査を少量のヘキサンで洗浄した後、塩化メチレンに溶解し、溶媒留去することにより[H3(tBu5−L)](配位子−6)を得た(下記反応式)。粗収量は33g(0.056mol)であり、粗収率は56%であった。
【0066】
【化21】
【0067】
(2)チタン2核錯体[Ti(tBu5−L)Cl(thf)]2(錯体−7)の合成
高真空系、撹拌子を備え、脱気乾燥後アルゴン置換した50mLシュレンク管に四塩化チタンTHF錯体[TiCl4(thf)2](250mg,0.75mmol)と2,6−ビス(4,6−ジ−t−ブチルサリチル)−4−t−ブチルフェノール(配位子−6)(440mg,0.75mmol)を入れた。トルエン(20mL)を加えるとすみやかに反応し、塩酸の発生とともに溶液は赤色を呈した。反応混合物を4時間室温で撹拌した後、溶媒を留去して赤色固体を得た。これをエーテルから再結晶し、上澄み液を除いた後、減圧乾燥することにより[Ti(tBu5−L)Cl(thf)]2(錯体−7)を赤色結晶として得た(下記反応式)。収量は310mg(0.21mmol)であり、収率は56%であった。
【0068】
【化22】
【0069】
実施例8
(1)チタン4量体用配位子(配位子−7)合成
(i)1,4−Bis(bromomethyl)dureneの合成
500mL反応容器に還流菅、三方コック、ゴム風船を取り付け、デュレン(1,2,4,5−Tetramethylbenzene,20.0g,149mmol)、パラホルムアルデヒド(11.2g)を取り、酢酸(80mL)を加え撹拌した。ここに飽和臭化水素酢酸溶液(33%,110mL)をゆっくり加えると、発熱が始まりパラホルムアルデヒドは溶解した。反応溶液はオイルバスで80°Cに加熱し、8hr撹拌した。放冷後、反応溶液を氷水(500mL)に注ぎ、生じた白色個体をろ別し、続けて水で洗浄した。白色個体を減圧下乾燥して、目的の1,4−Bis(bromomethyl)durene(42.9g,134mmol)を得た(収率90%)。
【0070】
(ii)1,4−Bis(acetoxymethyl)dureneの合成
1L反応容器に還流菅、三方コック、ゴム風船を取り付け、1,4−Bis(bromomethyl)durene(38g,119mmol)、酢酸カリウム(47.0g,475mmol)を取り、N,N−Dimethylformamide(DMF,500mL)を加え撹拌した。反応溶液をオイルバスで150°Cに加熱し、8hr撹拌した。放冷後、反応溶液を氷水(1L)に注ぎ、生じた白色個体をろ別し、続けて水で洗浄した。白色個体を減圧下乾燥して、目的の1,4−Bis(acetoxymethyl)durene(31.5g,113mmol)を得た(収率95%)。
【0071】
(iii)1,4−Bis(3,5−di−tert−butyl−2−hydroxyphenylmethyl)dureneの合成
300mL反応容器に還流管、三方コック、ゴム風船を取り付け1,4−Bis(acetoxy−methyl)durene 10.0g,36mmol)、2,4−Di−tert−butylphenol(44.6g,216mmol)を取り、トルエン(150mL)を加え撹拌した。ここにp−トルエンスルホン酸一水和物(1.0g,5.3mmol)を加え、オイルバスで110°Cに加熱し、12hr撹拌した。放冷後、反応溶液を分液漏斗に移し、水で洗った。水層はジクロロメタン(50mL×2回)で抽出し、有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をグラスフィルターで除去後、溶媒を流去し、祖生成物を得た。過剰の2,4−Di−tert−butylphenolはクーゲルローワーを用いて減圧流去し、残渣をジクロロメタン?ヘキサンから再結晶して、目的の1,4−Bis(3,5−di−tert−butyl−2−hydroxy−phenylmethyl)durene(16.4g,29mmol)(配位子−7)を白色粉末として得た(収率80%)。
【0072】
(2)チタン4量体(錯体−8)の合成
(i)チタン六量体の合成
200mL反応容器に還流管、三方コックを取り付け、アルゴン置換した。ここに1,4−Bis(3,5−di−tert−butyl−2−hydroxyphenylmethyl)durene(配位子−7)(3.0g,5.25mmol)を取り、トルエン(100mL)を加え溶解した。室温で四塩化チタン?トルエン溶液(1.0M,5.25mmol,5.25mL)をゆっくり滴下しすると、反応溶液は直ちに暗赤色を呈した。滴下終了後、オイルバスで反応溶液を110°Cに加熱し、生成する塩酸ガスをアルゴン気流で系外に除きながら2hr撹拌すると、多量の赤色沈殿が生じた。室温まで放冷後、さらに0°Cで8hr静置し、上澄みをキャヌラで除去した。沈殿はトルエン(30mL)に懸濁させ、再び0°Cで8hr沈降させたのちに、同様に上澄みを除いた。得られた固体を減圧下乾燥して、目的のチタン六量体(3.36g,0.81mmol)を、橙色粉末として得た(収率93%)。
【0073】
(ii)チタン四量体の合成
アルゴン下で、100mLシュレンク型反応容器にチタン六量体 688mg,0.17mmol)を取り、テトラヒドロフラン(THF,30mL)を加えた。容器をよく密閉した後に、オイルバスで70°Cに加熱し2hr撹拌した。得られた暗赤色の溶液を遠心分離器にかけ、少量の不溶物を除いた。反応溶液を減圧下、約3〜5mLに濃縮し、ヘキサン(30mL)を加え、生じた暗赤色粉末を0°Cで12hr沈降させた。上澄みをキャヌラで除去し、得られた固体を減圧下乾燥して、目的のチタン四量体(錯体−8)(628mg,0.21mmol)を、赤色粉末として得た(収率82%)。
【0074】
実施例9
充分に乾燥、窒素置換した3Lのステンレス製オートクレーブにトルエン1.0Lを入れ、誘導撹拌装置を用いて撹拌しつつ内部温度を30℃に調節した。これにアルミノキサン(東ソーファイケム社製PMAO−S、Al原子換算で8.5wt%のトルエン溶液)を7.2mL加え、さらに遷移金属化合物[Ti(Me−L)Cl]2(錯体−1)を10μmol(トルエン溶液10mLとして)を添加した。温度を30℃に保持したままエチレンを0.9MPa・Gを保つように加え撹拌しつつ30分重合した。その後エタノールを添加して重合を停止し、濾過、乾燥後ポリエチレン0.5gを得た。得られたポリマーの物性を表1に示す。
【0075】
実施例10〜16
実施例9における(錯体−1)に変えて表1のような遷移金属化合物(錯体−2〜錯体−8)を使用した以外は、実施例9と同様にエチレン重合を行いポリエチレンを得た。得られたポリマーの物性を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【発明の効果】
本発明の遷移金属化合物は、合成が容易であり、工業的規模で安価に製造することが可能である。また、構造的に堅固でかつ立体的にバルキーな配位子を用いることによりオレフィンを効率よく重合させることができる。さらに配位子構造を最適化することで所望の分子構造を有するポリオレフィンの製造が可能となる。
Claims (5)
- Mが周期表第4族遷移金属原子であることを特徴とする請求項1又は2に記載のオレフィン重合用触媒。
- 有機アルミニウム化合物、及び有機アルミニウムオキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つを成分として含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合または共重合することを特徴とするオレフィンの重合方法。
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