JP2004345995A - (メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】湿り気の影響が少なく塊状化がし難く、かつ取り扱い性の良好な顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩およびその製造方法を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩のケーキ、フレーク又は粉末から攪拌造粒装置を用いて顆粒状製品を製造する方法において、パドル、ピンミル及びスプレイヤーを有する混合攪拌機を用いて、含水率3−10%を保持しながら、5−40分間混合攪拌して造粒した後、窒素豊富化空気または乾燥気体を使用して乾燥することにより顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を得る。
【選択図】 なし
【解決手段】(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩のケーキ、フレーク又は粉末から攪拌造粒装置を用いて顆粒状製品を製造する方法において、パドル、ピンミル及びスプレイヤーを有する混合攪拌機を用いて、含水率3−10%を保持しながら、5−40分間混合攪拌して造粒した後、窒素豊富化空気または乾燥気体を使用して乾燥することにより顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を得る。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒新規な製造法に関する。更に詳しくは、溶解性と流動性に優れ、取り扱いが良好な(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の攪拌造粒法による製造方法に関する。さらには、保存時の塊状化を防止することのできる(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法に関してである。また当該顆粒の使用形態の一例として有機溶媒等の溶媒に分散させた分散体および/またはスラリーとして使用する方法を提案する。
【0002】
【従来の技術】
一般に(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体の微粉末を得る方法としては、当該粉体は、重合しやすい物質であることを考慮し、水中にてアクリル酸および/またはメタクリル酸と、アルカリ金属水酸化物とを反応せしめてアクリル酸アルカリ金属塩および/またはメタクリル酸アルカリ金属塩を含有の水溶液を得、得られた当該アクリル酸アルカリ金属塩および/またはメタクリル酸アルカリ金属塩含有の水溶液を噴霧状にて熱気流体と接触せしめて水分を除去する、いわゆるスプレードライ法によって乾燥したアクリル酸、又はメタクリル酸アルカリ金属塩粉体の微粉末を得る方法が、特許文献1、特許文献2に開示されている。また特許文献3では、貯蔵タンク等に加熱乾燥空気を導入し、噴霧乾燥して製造されたアクリル酸カリウム粉体と接触させることにより、当該粉体傍の湿り空気を置換することによるアクリル酸カリウム粉体の乾燥方法が提示されている。この特許文献3では、噴霧乾燥後の粉体と記載されており、明らかに粉体を乾燥させる技術であり、アクリル酸カリウム顆粒を製造する方法ではない。
【0003】
一方、アクリル酸カリウム以外の化合物として、例えば、ソルビン酸カリウムの顆粒の製造方法が特許文献4に記載されている。この技術は、100℃から160℃に加熱した空気によって流動化させたソルビン酸カリウム種粒子の存在する床の中または上へソルビン酸カリウム水溶液を噴霧して、その単位時間当たりの供給量を、流動床の温度が40〜80℃で排気の相対湿度が60℃で計算して20重量%以下であるように調節しながら顆粒を連続的に製造する方法である。しかし、この方法は、装置の大きさに比べて生産量が小さく容積効率が低い等の問題がある。しかし顆粒の製造形態として開示しているのは重合性のないソルビン酸カリウムである。
【0004】
また、重合性を保有しない、微粉である飛灰の乾燥方法として、高温の乾燥空気、具体的には80〜120℃の乾燥空気を使用した粉体の乾燥方法が開示されている。(特許文献5等)。この様な高い温度では、重合性の顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を乾燥する温度としては高すぎ、顆粒物として得た後貯槽等で蓄熱が起こり、重合する危険がある。また具体的に顆粒である形態はこの特許文献5には記載がない。
【0005】
また食塩を乾燥する方法にいたっては、150〜180度という非常に高い温度で乾燥する形態が記載されている。(特許文献6等)。この様な高い温度では、重合性の顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩はすぐさま重合して硬化物になると考えられる。
【0006】
また、アクリル酸カリウムで代表される重合性を保有する(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体は、独特の潮解性を有するものであり、上記公報中のアクリル酸カリウムの形状はいずれも微粉体である。よって、当該粉体の乾燥条件や保存条件が十分でないと貯蔵中に塊状化して使用しにくくなる問題がある。なお、特許文献3では貯蔵後の塊状性が改良されたように記載されているが、一番重要な当該粉体と乾燥空気との接触条件の記載が十分ではなく、貯蔵後の塊状性が改良された当該微粉体を安定的に得るための技術としては不十分である。また微粉末であると使用形態によっては、使用時に粉が舞い上がる等の作業性に難点が出てくる場合がある。また上で説明したように、この特許文献3においても具体的に製造されているものは、アクリル酸カリウムの粉体であり顆粒状物ではない。またこの特許文献3で開示される条件では当該顆粒を製造することは困難である。
【0007】
また上記特許文献1〜特許文献6にはいずれも、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体あるいは、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を有機溶媒に分散させて使用する形態は、何も記載されてはいない。
【0008】
【特許文献1】
特開昭47−31924号公報
【特許文献2】
特開昭49−11820号公報
【特許文献3】
特開2003−12599号公報
【特許文献4】
特公昭62−19417号公報
【特許文献5】
特開2002−179250号公報
【特許文献6】
特開平5−345610号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、製造性、製造中および製造後の流動性に優れ、従来の微粉体よりも取り扱い性に優れた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒物およびその製造法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、嵩比重が大で水への溶解速度が大きくしかも保存安定性の良好な、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒物およびその製造法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、新規な(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造法について鋭意研究した。その結果、種々の化合物の顆粒を製造する方法である、押し出し機による造粒方式等よりも、工業的に安定に生産することのできる(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒製造方法として、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩および重合禁止剤を含むケーキ、フレークおよびパウダーを、パドル、ピンミル及びスプレイ機能とを有する攪拌造粒機を用いて造粒した後、乾燥する事によって、効率よく(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒が生産できることを見出し、本発明を完成した。また原料化合物である(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の種晶(当該化合物粉体)に当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の水溶液をスプレーして大粒化させる形態でも製造できることを見出した。
【0011】
また、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体あるいは、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を有機溶媒に分散させて取り扱うことにより乾燥させた状態の粉体や顆粒として取り扱うよりも外気の影響を受け難い形態で取り扱えることも見出したものである。
【0012】
本発明の構成は以下である。
【0013】
(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩および重合禁止剤を含むケーキ、フレークおよびパウダーから、攪拌造粒装置を用いて(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を製造する方法において、当該攪拌造粒装置は、パドル、ピンミルおよびスプレイヤーを設けた混合攪拌機であり、上記混合攪拌機にケーキ、フレークおよびパウダーから、選択されるひとつを仕込み、その含水率が3〜13重量%になるように調節しながら5〜40分間攪拌混合して造粒した後、温度が50℃〜160℃の気体を用いて乾燥することを特徴とする、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法である。より好ましくは50℃〜150℃の気体を用いて乾燥する形態である。
【0014】
また、上記気体として、温度70℃以下および露点が0℃以下の乾燥気体を用いて乾燥する形態は好ましい形態となる。
【0015】
さらには、上記 (メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含むケーキ、フレークおよびパウダーの水分含有量が、13重量%以下であることを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法である。
【0016】
さらには、
上記上記混合攪拌機のスプレーヤーから、純水または濃度50重量%以下に調製された(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液を、当該混合攪拌機に仕込まれた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩含むケーキ、フレークまたはパウダーの含水率が3〜13重量%になるように噴霧することを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法である。
【0017】
さらには、
パドルを低速度で、ピンミルをパドルよりも高速度で共に回転させて10〜25分間混合攪拌した後、得られた顆粒を、露点が0℃以下の気体を用いて乾燥することを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法である。上記気体として露点がマイナス20度以下の空気を用いて乾燥する形態は好ましい形態である。
【0018】
さらには、
上記パドルの回転を周速度1〜1.5メートル/秒で、ピンミルの回転を周速度8〜10メートル/秒で行うことを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法である。
さらには、
上記、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法によって得られた顆粒を、振動流動乾燥機、攪拌流動乾燥機または風力流動乾燥機を使用して、露点が0℃以下になるまで除湿した、乾燥気体を50〜160℃に加熱して送気し、当該顆粒の含水率が0.2%以下になるまで乾燥することを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法である。また当該顆粒の含水率が0.1%以下になるまで乾燥する形態は好ましい形態である。
【0019】
さらには、本発明は、
平均粒子径が0.5〜8mmの範囲、水分含有量が2000ppm以下である(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒である。
【0020】
さらには、
上記記載の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法によって製造された、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲、水分含有量が2000ppm以下である(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒である。
【0021】
また本発明には、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を有機溶媒に分散させスラリーまたは分散体として取り扱う方法も好ましい実施形態の一つとして含まれる。通常、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒の乾燥品をフレコン等の密封容器に充填して使用することも可能であるが、当該乾燥粉体および/または当該乾燥顆粒として取り扱うよりも、有機溶媒に分散させてそのスラリーまたは分散体として使用することにより、より外気の影響を受け難く取り扱うことができる。
【0022】
上記乾燥粉体および/または乾燥顆粒として容器に充填して取り扱った場合、容器中での塊状化、固体化により容器からの搬出がしにくくなる等や取扱いが煩雑になる等の問題が起こりえたが、上記の、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を有機溶媒に分散させスラリーまたは分散体として取り扱う方法を採用することでこの問題を解消することができる。よって、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を有機溶媒に分散させたスラリーまたは分散体もまた好ましい実施形態となる。なお、上記の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を有機溶媒に分散させスラリーまたは分散体として取り扱う方法とは、具体的には(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を有機溶媒に分散させスラリーまたは分散体として貯蔵する方法、容器等に貯蔵して当該容器を移送する方法、当該分散体を反応容器に投入する方法、等を列記することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下さらに詳細に本発明の実施形態を説明する。
【0024】
本発明に使用する原料の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩としては、具体的にはアクリル酸カリウムまたはメタクリル酸カリウムを挙げることができる。本発明の顆粒化工程に支障がなければ、もちろんこれ以外のアルカリ金属塩であってもよい。そして通常は、アクリル酸水溶液あるいは、メタクリル酸水溶液を所定のアルカリを使用して中和して、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩含有水溶液とし、本発明の顆粒製造工程に使用する。
【0025】
上記の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩含有水溶液の調製は、特に限定されずに公知、周知の操作、条件が広範囲に使用可能である。例えば、アルカリ金属水酸化物の水溶液に、アクリル酸および/またはメタクリル酸を徐々に添加することによって行なわれる。
【0026】
また、水中にアルカリ金属水酸化物の水溶液とアクリル酸および/またはメタクリル酸を同時に徐々に添加することも可能である。この際、反応釜は十分冷却し、攪拌は十分行なうことが望ましい。この反応温度は、通常は0℃から70℃が望ましい。0℃未満の反応温度では、アルカリ金属水酸化物の水溶液あるいはアクリル酸および/またはメタクリル酸の凝固を引き起こしてしまいふさわしくない。また、70℃を越える反応温度では、重合を引き起こしてしまうことがありふさわしくない。通常は10℃〜60℃、好ましくは20℃〜50℃で反応を行なうことが適切である。反応系の攪拌は、水中でアルカリ金属水酸化物の水溶液あるいはアクリル酸および/またはメタクリル酸とが十分に接触できる程度にするのが望ましい。尚、反応中は重合を防止するため空気中で行うことが望ましい。
【0027】
上記の本発明における、アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩の他にリチウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩を例示し得るものである。より具体的には、ナトリウム塩またはカリウム塩である。
【0028】
上記のアクリル酸および/またはメタクリル酸には、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテルの如き重合禁止剤を添加する形態が好ましい。アクリル酸および/またはメタクリル酸アルカリ金属塩水溶液の濃度は、通常10〜70重量%、好ましくは30〜65重量%が採用される。10重量%より濃度が低ければ、乾燥に多量の熱が必要となり、かつ乾燥装置も大きくなるため経済的にふさわしくない。また70重量%を越える濃度では反応が激しすぎ、重合等の不具合が発生する恐れがある。反応終点のpHは7〜13程度、好ましくは、pHは8〜11程度が採用される。反応終点のpHが7未満であれば、残存するアクリル酸および/またはメタクリル酸が多くなり、乾燥中に重合を起こす恐れがある。一方、pHが13を越えると残存するアルカリ金属水酸化物が多くなり、アクリル酸および/またはメタクリル酸アルカリ金属塩を使用した反応で加水分解等の不具合を起こすことがある。
【0029】
かくして、前記の如き反応によって、30〜65重量%の濃度のアクリル酸および/またはメタクリル酸アルカリ金属塩水溶液を得ることが出来る。得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液は公知のドラムドライヤーや薄膜蒸発機等を使用して濃縮し、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含むケーキを製造する。
【0030】
また顆粒製造中にかかる熱の影響を少なくするために、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液に重合禁止剤を含有している形態は好ましい形態である。
【0031】
上記、重合禁止剤としては、上記以外にメトキノンやt−ブチルハイドロキノンやフェノチアジン、硫黄等を使用する。その含有量は、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩固体分に対して10〜1000ppmの範囲が好ましい。より好ましくは20〜700ppmである。さらに好ましくは30〜500ppmである。
【0032】
よって、本発明の顆粒の形態では、重合禁止剤を1000ppm以下の範囲で含有する(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は好ましい実施形態となる。具体的な重合禁止剤の含有量は、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩固体分に対して10〜1000ppmの範囲が好ましい。より好ましくは20〜700ppmである。さらに好ましくは30〜500ppmである。
【0033】
また、特に、攪拌造粒装置が具備された顆粒製造装置で、当該顆粒に対して熱の変性がおきやすい顆粒製造条件を採用する場合には、その量を増加させるか、あるいは、N−オキシル化合物を使用する。N−オキシル化合物は上記ハイドロキノン等の重合禁止剤と併用しても、代替使用してもかまわない。特にN−オキシル化合物の添加または配合量は、0.1ppm以上、5000ppm(0.5重量%)以下である。より好ましくは1ppm以上、1000ppm(0.1重量%)以下である。このN−オキシル化合物は少量で熱に対しての安定性が付与できるので、熱の変性がおきやすい製造条件を採用しても、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の不用意な重合が起こり難くなる。
【0034】
上記N−オキシル化合物としては、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4,4′,4′′−トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)フォスファイト、2,2,4,4−テトラメチルアゼチジン−1−オキシル、2,2−ジメチル−4,4−ジプロピルアゼチジン−1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチル−3−オキソピロリジン−1−オキシル、6−アザ−7,7−ジメチル−スピロ(4,5)デカン−6−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−アセトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾイルオキシピペリジン−1−オキシル等が好適であり、これらの中でも、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4,4′,4′′−トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)フォスファイトが好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0035】
よって、本発明の顆粒の形態では、重合禁止剤としてN−オキシル化合物を5000ppm以下の範囲で含有する(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は好ましい実施形態となる。より好ましくは1000ppm以下である。より具体的なN−オキシル化合物の含有量は、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩固体分に対して10〜1000ppmの範囲が好ましい。より好ましくは30〜500ppmである。
また、N−オキシル化合物は原料の、(メタ)アクリル酸に使用されていてもよく、また中和後の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液に必要量を配合してもよい。また中和時に必要所定量を配合してもかまわない。その配合する時期、配合方法は特に限定しない。より好ましくは所定量のN−オキシル化合物の含有量になるように配合し当該溶液とすることである。上記のN−オキシル化合物を使用した(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液を使用して造粒装置で当該顆粒を製造することにより、より安定に顆粒を製造することができる。
【0036】
もちろんN−オキシル以外の重合禁止剤の使用形態においても上記と同様で、原料の、(メタ)アクリル酸に使用されていてもよく、また中和後の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液に必要量を配合してもよい。また重合禁止剤を中和時に必要所定量を配合してもかまわない。その配合する時期、配合方法は特に限定しない。
【0037】
この場合、熱に対しての変性(不用意な重合物の副生)が少なくなるので、得られた顆粒中のポリマー分が低減することができる。よって、得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒としては、ポリマーの含有量が、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を100重量%とすると、1重量%以下が好ましい。より好ましくは0.5重量%以下である。さらに好ましくは0.3重量%以下である。さらには0.1重量%以下である。
【0038】
よって、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲、水分含有量が2000ppm以であり、さらにポリマー含有量が1重量%以下である(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒もまた好ましい実施形態である。
【0039】
上記のポリマー含有量は、以下の条件で測定することができる。
ポリマー量;高速液体クロマトグラフィーにより面積百分率で算出する。
カラム;Shimpack SCR−101H 7.8mm id×250mm
(島津製作所製)
移動相;85%リン酸15ml+超純水3L
流速;1ml/min
検出器;HITACHI L−4000H UVディテクター(200nm)
ポンプ;HITACHI L−6000
リテンションタイム;ポリマー 4.3分、モノマー12.5分
また、本発明の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を製造する方法において使用する(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含むケーキ、フレークおよびパウダーとしては、以下の形態が使用できる。(1)(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液を濃縮できる装置、例えば減圧若しくは常圧のドラムドライヤーや薄膜蒸発機等を使用して得られた含水率が15重量%以下、好ましくは10重量%以下のケーキまたはフレーク、(2)アクリル酸またはメタクリル酸と水酸化カリウム等のアルカリをエタノール、メタノール、アセトン等の水溶性溶剤中で中和反応させて生成したスラリーを濾過して得られたケーキ(含水率が有機溶剤の含有量も含めて15重量%以下のもの、より好ましくは10重量%以下のもの)、および(3)乾燥した(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩に水を添加して含水率を15重量%以下に調製したケーキ、好ましくは10重量%以下に調製したケーキを使用することができる。
【0040】
ただし、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩は重合性を保有しているために保存安定性の低下を考慮して、顆粒の乾燥を、減圧乾燥方式あるいは、任意の乾燥気体、あるいは窒素等の不活性ガス雰囲気中で乾燥する等の配慮が必要になる。この場合、顆粒を乾燥する時に使用する気体の温度は50℃〜160℃の範囲が好ましい。使用する気体のより好ましい温度は、50℃〜150℃である。さらに好ましくは50℃〜140℃、さらには60℃〜120℃である。50℃より温度が低いと乾燥効率が低下する。また160℃より高い温度の気体を使用する場合、当該顆粒に熱による作用がかかりやすくなり不用意な重合等の問題がおきやすくなる。
【0041】
また上記気体として、より好ましくは露点が0℃以下の乾燥気体を使用する。より好ましくは露点が−10℃以下の乾燥気体である。さらに好ましくは露点が−20℃以下の乾燥気体である。さらに好ましくは露点が−30℃以下の乾燥気体である。また、少し乾燥時間が長くなる場合もあるが、さらに低い温度、乾燥気体の温度が100℃以下、さらには90℃以下、さらには80℃以下、さらには乾燥気体の温度を70℃以下、さらに好ましくは60℃以下に調整することが好ましい。乾燥気体を70℃以下にする場合は、加熱乾燥空気を使用することができる。低い乾燥温度を採用することで当該顆粒が乾燥時に不用意に重合がおきにくくなる。ただし低い温度の乾燥気体であれば乾燥効率が低下することはいなめない。
【0042】
上記加熱気体の温度は、以下のような、BAM蓄熱貯蔵試験を行うことで設定したものである。具体的には、以下アクリル酸カリウムを例として説明する。500mlのジュワー瓶に400mlのアクリル酸カリウムを入れ、断熱材の蓋をして、60℃の空気高温槽に入れ、試料温度が雰囲気温度に達してから自己加速分解に到るまでの誘導時間を測定するBAM蓄熱貯蔵試験(危険物輸送に関する国連勧告の試験マニュアルより、“Test H.4:Heat accumulation storage test”)に準じ、蓄熱貯蔵試験器(BAM型)は、形式:KRS−RG−6116(株式会社蔵持科学器械製作所製)を用いて行なった。即ち、内容積500mlのジュワー瓶に400mlの試料を入れ、蓋をした後、所定の温度に設定した空気恒温槽にセットする。試料の温度が設定温度から2℃低くなることを確認後、その温度(60℃)で3ヶ月間、自己加速分解による発熱ピークの有無を検出する。その結果、重合性吸湿性粉体を取り扱う場合、60℃の保管条件では発熱ピークは観察されなかった。その結果、当該粉体を所定の貯蔵条件がそろえば60℃で貯蔵することが可能になることがわかった。また、135℃では6.5時間、100℃では29.5時間、90℃では104時間、75℃では500時間で自己加速分解による発熱ピークが観測される。よって本発明の造粒装置で(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を乾燥するに際して使用する乾燥気体としては、乾燥気体の温度としての上限は100℃〜90℃とすることが好ましい。逆にいえば短時間の接触であれば、130℃程度の乾燥気体でも使用することができる。より好ましくは80℃以下の乾燥気体を使用することである。さらに好ましくは70℃以下の乾燥気体を使用することである。
【0043】
また、当該顆粒製造装置における、顆粒を乾燥する時に使用する気体の温度として50℃〜160℃の範囲の内、70℃〜160℃の乾燥気体が当該顆粒に作用する時間を短くして、できるだけ余分な重合を低減しかつ合わせて水分を除くようにし、その後、乾燥気体として50〜70℃の温度の乾燥気体に置き換えて乾燥工程を持続する形態とすることが好ましい。そうすることで高温の乾燥気体で速やかに水分が除去され、また低い温度の乾燥気体で当該顆粒を冷やしながらさらに残った水分を除去する、という乾燥工程を採用してもかまわない。
【0044】
よって、当該顆粒製造装置における顆粒を乾燥する乾燥工程としては、70℃〜160℃の乾燥気体を使用する乾燥工程とその後に、当乾燥気体として50〜70℃の温度の乾燥気体を使用する乾燥工程の2段階の乾燥工程が具備されている形態が好ましい。上記の乾燥条件は、該攪拌造粒機が具備された混合造粒攪拌機や、連続流動造粒乾燥装置の運転条件により適宜、種々の温度条件の乾燥工程を採用することができる。この場合でも当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒が重合性であることに注意して不用意な重合が起きない乾燥温度条件を採用する形態が好ましい。
【0045】
これらの原料の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩のケーキ等は、前以て(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液または水を添加してその含水率を3重量%以上15重量%以下に調節した物を、より好ましくはその含水率を3重量%以上10重量%以下に調節した物を、使用するか、または混合攪拌機における造粒操作中に、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液または水をスプレイヤーから噴霧してその含水率を3〜15重量%に調節して、より好ましくは、3重量%以上10重量%以下に調節して使用することもできる。
【0046】
すなわち、上記濃度に調製した(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩のケーキ、フレークまたはパウダーを、パドルとピンミルおよびスプレイヤーを有する混合攪拌機に仕込み、パドルの回転速度とピンミルの回転速度およびスプレイヤーに供給する(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液または水の噴霧量と噴霧速度を調製しながら、5〜40分間混合攪拌を行って所望の粒径に造粒した後、得られた顆粒を乾燥することによって目的を達せられる。
これらの原料(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の含水率は、造粒される粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粒径に大きく影響する。造粒時に噴霧した水をも含めた原料の含水率が低い場合には、得られる顆粒の粒径は小さくなる傾向があり、逆に含水率が高い場合は大きな粒径となる傾向がある。また、含水率が15重量%を越えると平均の顆粒径が大きな塊状になり、目的の粒度の物の収率が低下したり、甚だしい場合はパドルの回転を不能にすることがある。本発明における(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の好ましい平均粒子径は、0.5〜8mmである。さらに好ましくは0.5〜5mmである。また、上記の平均粒子径を便宜上平均顆粒径と表示する場合もある。従って、上記の平均粒子径は使用する当該水溶液の粘度と当該攪拌造粒装置の条件が影響する。
【0047】
本発明の平均粒子径の測定は、製造された当該顆粒を製造ロット、または採取個所が異なる合計10バッチの顆粒を採取し、JIS K0069「化学製品の篩い分け試験法」の乾式篩い分け試験法に準じて行ったその平均である。また、製造された当該顆粒を、製造ロット、採取場所を変えて10枚電子顕微鏡写真を撮影し、その写真から、50個の顆粒を観測し、顆粒径を読み取り平均化することで求めることもできる。
【0048】
また、所望の粒度調製条件としては、原料水溶液が持つ水分と共に造粒時の水のスプレー量および造粒時の水分の飛散による損失も重要な因子となる。原料の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液の温度が高い場合は、造粒中の水分の飛散する割合が影響するので、水分の飛散による損失を考慮して、水分を添加することが好ましい。本発明における造粒時のより好ましい含水率は、2〜10重量%、さらには5〜8重量%である。造粒時のより好ましい混合攪拌時間(以下、造粒時間と呼ぶことがある)は10〜25分である。
【0049】
本発明の造粒は、前述した如くパドル型混合機とピンミルおよびスプレイヤーを設けた混合攪拌機を使用することによって行われる。以下に一例として、二軸型混合攪拌機を使用する顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の製造法について説明する。パドル型混合機としては、通常パドルの周速度が1.0〜1.5メートル/秒程度の比較的低速回転で混合する二軸の混合攪拌機で、二軸のそれぞれに容器内の原料粉粒体を確実に攪拌混合出来るように容器の全長をカバーする複数枚のパドルが取り付けられて全体を満遍なく攪拌出来る構造になっている物が好ましい。従って、パドル型混合機の容器は、パドルの回転に合わせて底面が二つの半円筒状(ドラム)になっていて、底部の形状に合わせてパドルが回転すると、粉粒体を底部に滞留させる事なく混合することができるような形状になっている物が好ましい。
【0050】
また、二軸のパドルはそれぞれが互いに逆回転して粉体を中央部へ移動し、その粉体は更に中央上部に移動してここに設けられたピンミルに衝突し、さらにオーバーラップしながら上下、左右、前後に移動して混合され、この混合操作とピンミルの解砕操作を繰り返す方法で顆粒状に造粒される。
【0051】
ピンミルは、周速度8〜10メートル/秒程度の高速で回転する、40本前後のピンが2列に配置され、そのピンの上方にピンカバーを設けてある。パドルの攪拌によって移動してきた粉粒体がパドルの中央部でオーバーラップしてくる部位にピンミルが設置され、大きな塊状物を解砕して粒度が整えられる。これらの、混合攪拌機の容器、パドル、ピンミル及びピンミルカバーは、造粒の際に原料のケーキが金属表面に付着するのを抑制するためポリテトラフルオロエチレン(商品名テフロン:登録商標)でコーテングまたはライニングを施した物が好ましい。原料ケーキの混合攪拌機の部材への付着は最終的には製品の品質低下や保存安定性の低下をきたす。また、スプレー装置は、粉粒体に水または、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液を噴霧してこれを効率良く加湿できるような位置に、例えば粉体がパドルとピンミルおよびピンミルカバーを経て移動してくる位置に設置するのが好ましい。
使用する噴霧器の機種は、一流式または二流式のいずれのノズルであっても微細な霧を発生するものを選択すれば問題なく使用できる。加湿用の水としては純水の外に、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を50重量%以下の濃度で含有している水溶液であれば、支障なくスプレーに使用できる。
【0052】
上記の混合攪拌機(以下造粒機と呼ぶことがある)の運転は、まず原料(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を混合攪拌機にパドルが隠れる位置近くまで仕込み、パドルとピンミルの運転を開始して造粒されてくる粒の状態を観察しながら不足の水分をスプレーにより供給して所望の粒径を整える方法で行われる。原料粒は、パドルとピンミルおよびスプレーによって適当な加湿と解砕を受けながら粒形と流動性が改善されて行き、次第に嵩比重が上昇して行く。これに従って粉粒体部の容積が減少していくため、原料(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の仕込み量は、パドルの全ての部分が粉粒体内に隠れる位置まで仕込むのが好ましい。また、造粒時間を長くする程顆粒は丸みを帯びた形状となり、硬く締まった嵩比重の大きい顆粒ができる傾向がある。必要以上に長時間の混合攪拌を行うと、得られる顆粒の水への溶解速度が小さくなる傾向があるので、通常10〜25分程度で行うことが望ましい。ただし、溶解速度として攪拌しないで自然に溶解する速度を特に重視せず、製品の長期保存時の吸湿による塊状化防止を重視するのであれば、造粒時間を長くすることが効果的である。以上に回分式操作による造粒について述べたが、本発明の製造法は連続式または半連続式の操作によっても行うこともできる。
【0053】
上述した造粒法で製造された含水の顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩は、乾燥工程に移され乾燥される。乾燥法としては、一般的な風力による流動乾燥、風力と振動または攪拌とを組み合わせた流動乾燥または減圧乾燥が適当である。乾燥機は、熱源として蒸気、電熱または遠赤外線等の、低コストの熱源を適用できる乾燥装置等が使用できる。乾燥条件は、顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩が重合性を保有しているために、製造された顆粒を乾燥するために使用する加熱した気体の温度を上記のような温度範囲に調製することが好ましい。
【0054】
特に、流動乾燥、振動流動乾燥、攪拌流動乾燥等の様な風力を同時に使用する場合は、露点が0℃以下好ましくは、−10℃以下、さらに好ましくは−20℃以下になるように除湿した乾燥気体を使用するのが好ましく、その場合は乾燥に供する熱風温度が70℃以下の乾燥気体を用いて、容易に含水量が0.2質量%以下(含水量が2000ppm以下)の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を得ることができる。
【0055】
乾燥用に供給する乾燥気体である、空気または窒素等の気体を除湿乾燥する場合は、ポリイミド製中空子膜を通過させて乾燥するのが経済的には有利である。
【0056】
以上の様な方法で造粒乾燥された顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩は、分級装置に供給され、例えば粒径8.0mmを超える顆粒は篩でカットされる。カットした篩上品は、粉砕または溶解することで、原料として再利用する場合もある。また、場合によっては径2mmの篩を通過した粒を更に細孔の篩で分級し、大粒品と細粒品に分けて製品となす場合もある。また所望される顆粒の粒子径の従い、上記の分級装置の篩の条件を変更してもいいことはいうまでもない。本発明のより好ましい態様を以下の(ア)〜(エ)に示す。
【0057】
(ア)ピンミルおよびスプレイヤーを設けてあり、パドルを付けた二つの攪拌軸が互いに逆まわりに回転する二軸混合攪拌機に、含水率が10重量%以下、より好ましくは8重量%以下の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含むケーキ、フレークまたはパウダーを仕込み、純水または濃度50重量%以下に調製された(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液を用いて、当該二軸混合攪拌機に仕込まれた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩含むケーキ、フレークまたはパウダーの含水率が5〜8重量%になるようにスプレイヤーから噴霧しながら、パドルを低速度で、ピンミルをパドルよりも高速度で共に回転させて10〜25分間混合攪拌した後、得られた顆粒を、露点が−10℃以下の乾燥気体を用いて乾燥する当該顆粒の製造方法。より好ましくは−20℃以下の乾燥気体を用いて乾燥する、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造法。乾燥気体は、具体的には乾燥空気である。
【0058】
(イ)前項において、パドルの回転を周速度1〜1.5メートル/秒で、ピンミルの回転を周速度8〜10メートル/秒で行う、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造法。
【0059】
また本発明では、上記製造方法を行うことで、水分量の少ない(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を得ることができる。よって、以下に記載する(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、本発明の好ましい実施形態である。
【0060】
なお、本発明の顆粒における好ましい水分量は、2000ppm以下である。さらに好ましくは1500ppm以下である。さらには1000ppm以下である。さらには800ppm以下が好ましい。また更に好ましい形態は、水分量としては、600ppm以下であることが好ましい。2000ppmを超えると、顆粒であっても顆粒同士による、ダマや、固体が発生しやすくなり、配管での詰まりや、充填された製品容器の中で固体化や塊状物が発生するおそれがある。より好ましくは550ppm以下であり、更に好ましくは500ppm以下であり、更に好ましくは350ppm以下である、特に好ましくは300ppm以下であり、最も好ましくは250ppm以下である。上記水分量は製造工程における顆粒の乾燥条件等を設定することで容易に得ることができる。原料や中間体として所望される水分量範囲はこのようにして調整し、所望する当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を製造することができる。
【0061】
本発明は、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒であって、水分含有量が2000ppm以下である(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒に関してである。顆粒という形状を採用することで、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体、通常は、平均粒子径が、0.1〜400μmの範囲である粉体は、乾燥された状態であっても外気の湿気の影響を受けやすく、吸湿により容易に塊状化し粉体ではなくなり取扱いが不便になる場合もある。よって、製品として粉体を得た後フレコンやペーパバック等の容器に充填しても厳重な吸湿防止対策が必要であり、当該フレコンやペーパバックは防湿仕様の容器が必要になる。
【0062】
また当該粉体の製造工程においても、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液から分離乾燥工程を経て得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体の近傍に存在する湿り気を、乾燥気体を使用し乾燥気体と置換しておく必要がある。この置換が十分に行われない場合、当該乾燥粉体を当該容器に充填した場合塊状化し、使用時に不便になる。しかし、本発明における、水分含有量が2000ppm以下で、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒であれば、通常の平均粒子径が、0.1〜400μmの範囲である粉体よりもはるかに湿気の影響を受け難く、塊状化もし難い。
よって、本発明の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を使用することで、従来問題であった、上記の取扱い上の、湿り気による塊状化を低減させることができる。また、顆粒状であっても、例えばアクリロイル基を持つ誘導体にするための出発物質としても粉体と同等の反応性を持ち、また重合性単量体としても同等の重合性を保有するものであり工業製品として有用である。
【0063】
また、本発明の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、トルエンやアルコール等の有機溶媒に分散させた分散体、あるいは溶解させたスラリーという形態で使用し、移送や貯蔵することは好ましい形態である。よって、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を含む分散体やスラリーは好ましい形態となる。また有機溶媒によっては、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を含む分散体はスラリー状態に近いものとなる。よって場合によっては、分散体はスラリーとも呼ばれる場合がある。当該分散体、またはスラリーの、温度25℃、湿度25%の雰囲気で、固形分濃度が40%になるように、当該金属塩をトルエン(500g)中に投入し、4枚ばねの攪拌羽を使用して、スリーワンモーターで200回/分の回転数で調製したスラリーにおける粘度が、1000mPa・s以下であることは好ましい。より好ましくは、800mPa・s以下である。さらに好ましくは、600mPa・s以下である。さらには500mPa・s以下である。さらには300mPa・s以下である。なお上記粘度はBL型粘度型を使用して測定する。
【0064】
また上記分散体で使用する有機溶媒は、メタノール、エタノール、ブタノール、等のアルコール系有機溶媒であってもよい。また、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール等の多価アルコールであってもよい。またケトン系やエーテル系溶媒であってもよい。また当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩が溶解する有機溶媒であってもよい。
【0065】
所望される用途および使用される分散体の条件により、所定の沸点の有機溶媒を選定する。また(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の分散状態、または溶解した粘度をもとに有機溶媒を選定してもかまわない。これらの有機溶媒は、例えば、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を原料にして誘導体を製造するときの反応溶媒としても使用できる。
【0066】
この場合、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒と有機溶媒を含む分散体またはスラリーという形態であってもよく、また(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体と有機溶媒を含む分散体またはスラリーという形態であってもよい。平均粒子径が0.1μm〜8mmの範囲の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒と有機溶媒を含む分散体またはスラリーという形態であってもよい。しかし、あまり平均粒子径が小さく、微粉体であると有機溶媒中に分散させるときにダマが発生したりして、分散体やスラリーを効率よく得ることが難しくなる場合もある。よって、平均粒子径が0.05〜8mmの範囲、より好ましくは、0.1〜8mm、さらに好ましくは0.1〜5mm、さらに好ましくは平均粒子径が0.5〜5mmの範囲の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒と有機溶媒を含む分散体またはスラリーという形態は分散体やスラリーとしては、好ましい形態となる。
【0067】
また本発明の当該粉体および/または顆粒、そして有機溶媒を含む分散体またはスラリーにおける、得られた分散体またはスラリーを100重量%とした場合の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の含有量は、3〜80重量%の範囲が好ましい。より好ましくは5〜70重量%である。さらに好ましくは6〜60重量%である。有機溶媒の含有量は、97〜20重量%である。さらには95〜30重量%である。さらには96〜40重量%である。また当該分散体またはスラリーの物性に影響しない範囲で公知の添加剤を併用することができる。例えばさらに重合禁止剤を配合するとか、粘度調整剤、充填剤、分散安定剤、顔料、染料、カップリング剤等である。また有機溶媒の代わりに重合性単量体を溶媒として使用した分散体であってもよい。この場合所定の重合性単量体を使用すれば分散体やスラリーのまま開始剤等を配合し熱や光により共重合させることもできる。
【0068】
また、本発明の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒、そして有機溶媒を含む分散体またはスラリーを使用して、貯蔵する方法、または移送する方法は好ましい形態となる。
【0069】
なお、上記の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を有機溶媒に分散させスラリーまたは分散体として取り扱う方法とは、具体的には(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を有機溶媒に分散させスラリーまたは分散体として貯蔵する方法、容器等に貯蔵して当該容器を移送する方法、当該分散体を反応容器に投入する方法、等を列記することができる。
【0070】
上記乾燥粉体および/または乾燥顆粒として容器に充填して取り扱った場合、容器中での塊状化、固体化により容器からの搬出がしにくくなる等や取扱いが煩雑になる等の問題が起こりえたが、上記の、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を有機溶媒に分散させスラリーまたは分散体として取り扱う方法を採用することでこの問題を解消することができる。
【0071】
また本発明の、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒であって、水分含有量が2000ppm以下である(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、各種条件を整えることで、上記のような、パドル、ピンミルおよびスプレイヤーを設けた混合攪拌機を持つ噴霧造粒機以外の噴霧造粒機でも製造することができる。以下は、本発明の第2の実施形態としての、連続流動造粒乾燥装置(例えば、大川原製作所製、ミクスグラード)を使用した(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法を示す。
【0072】
上記、連続流動造粒乾燥装置としては、流動層を有し流動層の上に、種材料(具体的には乾燥された(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体)を展開させ110℃から250℃で、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含む水溶液を、装置内に吹き込んで噴霧することで上記種材料を造粒する工程を持つことが好ましい形態となる。より好ましい吹き込み温度は、120℃〜230℃の範囲である。またより好ましくは、流動層上の造粒された紛粒体をコンベアで装置から排出する機構をもち、分級機を通して所定の微粉を流動層内に戻す工程を持つ。また所定以上の粒子径になった粒は、粉砕機に通して流動層内に戻す工程を有する形態が好ましい。また好ましい流動風速は、0.6〜1.0m/sである。またこの場合、造粒中の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の含水率は6〜13質量%の範囲が好ましい。含水率が6質量%を下回ると、乾燥しすぎてうまく粒になりにくく、また13質量%を超えると当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の状態が湿りすぎて混練が起こってうまく造粒できない場合がある。
【0073】
よって、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法であって、連続流動造粒乾燥装置の流動層の上に、種材料として(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体を展開し、110℃〜250℃の範囲の吹き込み温度で(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含む水溶液を、装置内に吹き込んで噴霧することで上記種材料を造粒することを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法は本発明の好ましい第2の実施形態である。またこの時に原料である(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含む水溶液に重合禁止剤が配合されている形態を採用することで、連続流動造粒乾燥装置の流動層上等の装置内でゲル化物が発生することを防ぐことができるので好ましい実施形態となる。重合禁止剤の配合量は、採用する連続流動造粒乾燥装置の温度条件、生産条件等を考慮し、また製造後の顆粒の特性(例えば重合性や着色性)に影響しないように、量を調整すればよい。その量は上記記載の重合禁止剤の量を参考にして選定すればよい。
【0074】
さらに上記、連続流動造粒乾燥装置が、流動層上で造粒された紛粒体をコンベアで当該装置から排出する機構をもち、分級機を通して所定の微粉を流動層内に戻す工程を持つことを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法は、好ましい第2の実施形態である。
【0075】
さらに上記、造粒中の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の含水率は6〜13質量%の範囲であることを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法は、好ましい第2の実施形態である。
【0076】
さらに上記、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法によって得られた顆粒を、振動流動乾燥機、攪拌流動乾燥機または風力流動乾燥機を使用して、露点が0℃以下になるまで除湿した、乾燥気体を50〜160℃に加熱して送気し、当該顆粒の含水率が0.2%以下になるまで乾燥することを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法は、好ましい第2の実施形態である。
【0077】
また上記の連続流動造粒乾燥装置を使用する(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法においても、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲、水分含有量が2000ppm以下である(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を製造することは好ましい形態となる。連続流動造粒乾燥装置を使用する(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法によって製造された当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、湿り気の影響を受け難く、顆粒同士の団結現象を粉体の状態より低減することができ取扱い性が向上する。また、合わせて、顆粒状であっても、粉体と同様な反応性を有するので各種化学品誘導体の原料または中間原料として有用である。
【0078】
また、本発明の連続流動造粒乾燥装置で使用する乾燥気体としては、露点が7℃以下であることが好ましい。より好ましくは、0℃以下であり、更に好ましくは、−8℃以下であり、特に好ましくは−16℃以下である。上記露点は外気温の適応範囲を示しており、露点7℃以下の乾燥気体は外気温が30℃以上の場合に適応できる。露点0℃以下の乾燥気体は外気温が20℃以上の場合であり、露点−8℃以下の乾燥気体は外気温が10℃以上の場合であり、露点−16℃以下の乾燥気体は外気温が0℃以上の場合であり、外気温に応じて適宜選択することができる。
この場合、連続流動造粒乾燥装置で顆粒を乾燥する時に使用する気体の温度は50℃〜160℃の範囲が好ましい。使用する気体のより好ましい温度は、50℃〜150℃である。さらに好ましくは50℃〜140℃、さらには60℃〜120℃である。50℃より温度が低いと乾燥効率が低下する。また160℃より高い温度の気体を使用する場合、当該顆粒に熱による作用がかかりやすくなり不用意な重合等の問題がおきやすくなる。
上記乾燥気体の温度は100℃以下が好ましく、さらに90℃以下であることが好ましい。より好ましくは、80℃以下であり、更に好ましくは、70℃以下である。乾燥気体を使用することでより効率よく顆粒周辺あるいは近傍にある湿り気を乾燥気体と置換することができ、固体化や塊状化を有効に防ぐことができる。
【0079】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
なお水分量の測定は以下によって行った。
【0080】
(水分量測定条件)
方法:カール・フィッシャー法
測定機器:自動水分測定装置KF−07型(三菱化学社製)
滴定溶剤:メタノール(試薬特級)
試料導入方法:滴定フラスコ内に試料を投入し、均一溶解させる
試料採取及び秤量雰囲気:相対湿度25%に調湿された気体
試料採取量:2.0±0.2g
水分測定終点待ち時間:30抄
なお、以下の実施例で、特に、重合禁止剤を記載しない以外は重合禁止剤としてハイドロキノンを200ppm含んだ(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液を使用した。顆粒の平均径の測定点は5バッチの製造で、異なる場所から10箇所顆粒のサンプルを採取し、それぞれを以下に示す方法で分布を求めその平均を求めた。
【0081】
(実施例1)
(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩としてのアクリル酸カリウムのケーキ(濃度55%のアクリル酸カリウム水溶液をドラム乾燥機(真空式)で連続濃縮して得られた含水率6.5重量%のアクリル酸カリウムのケーキ)56.2キログラムを、露点がマイナス40℃以下の、乾燥空気の雰囲気下で、パドルの回転速周度数1.2メートル/秒、ピンミルの回転周速度10メートル/秒の条件で運転を開始しているケムコ・フォーベルグ混合機(コトブキ技研工業(株)製.FP−60型をポリテトラフルオロエチレンでコーティングした装置)に仕込み、12重量%濃度のアクリル酸カリウム水溶液1キログラムを噴霧しながら15分間造粒操作を実施した後、運転を停止して得られた顆粒を流動乾燥機(不二パウダル(株)製ミゼットドライヤー)に移した。続いて、露点マイナス40℃以下の空気を70℃に加熱し、約100リッター/分の速度で吹き込んで乾燥し、排気が温度65℃で相対湿度5%以下になった時点で乾燥を終了した。得られた顆粒が室温付近に冷却した後排出した。
【0082】
乾燥に供した空気はポリイミド系の膜(宇部興産UBEメンブレンドライヤー)を通して除湿し、再加熱して循環使用した。同じ原料のケーキを用いて上記の操作を5回繰り返して得られた丸みを帯びた顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩としてのアクリル酸カリウムの収率(水分を除く仕込量に対する収率)は、99〜100%であった。得られた製品の平均含水率は0.05%であった。また、5バッチの当該アクリル酸カリウム顆粒製造の結果得られた顆粒の、平均粒子径とその粒度分布は以下であった。また、測定点は10個所であった。なお平均粒子径およびその粒度分布の測定はJIS K0069「化学製品の篩い分け試験法」の乾式篩い分け試験法に準じて行った。
【0083】
平均粒子径範囲 2.0mm以上 3%
平均粒子径範囲 1.6以上〜2.0mm未満 9%
平均粒子径範囲 1.0以上〜1.6mm未満 50%
平均粒子径範囲 0.5以上〜1.0mm未満 35%
平均粒子径範囲 0.5ミリ未満 3%
この結果、実施例1で得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の平均粒子径は、1.2mmであった。また高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したポリマー含有量は0.8重量%であった。
【0084】
上記条件にて所定量の顆粒を製造後、この顆粒200kgを密封材料の内袋を持つ二重構造のフレコンに充填し、木製パレット上に置き25℃相対湿度65%の倉庫にて30日間保管した。その後当該フレコンを吊り上げフレコンの底部を開け、顆粒の排出テストを行ったが、顆粒状態のままであり容易に全部排出でた。特に目立った固体化、塊状化も観測されなかった。また排出時の粉だちもほとんど発生しなかった。また、30日間保管後の当該顆粒の含水量は0.07%であった。また、製造された顆粒10gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。
【0085】
同様にして顆粒30gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。顆粒40gを100gのブタノールに分散させたが、やや粘度が高くなったが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。分散体の粘度が高くなっただけで分散体の取扱い上問題はなかった。また200mlのマヨネーズ瓶に上記3点の濃度の分散体を充填し、25℃の貯蔵庫に3ヶ月間保管した。いずれも著しい沈降等はなく、若干沈降していても振動、攪拌等で容易に分散体の状態に回復した。よって、有機溶媒を含む分散体としての貯蔵性も良好なものであると考えられた。
【0086】
次に同じような分散条件で、ブタノール10Lに対して当該顆粒を、上記3点の濃度に調整して、容積20Lの石油缶等の形態で25℃×3ヶ月貯蔵実験を行った。その結果、石油缶での貯蔵性も良好なものであった。一部沈降していたが、石油缶の上部を缶切りで開け、ハンドエアモータで攪拌することで容易に元の分散体の形態を示し、石油缶からの、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩と有機溶媒を含む分散体の排出も容易であった。よって、石油缶の状態で貯蔵し移送し使用することも可能であることがわかった。
【0087】
(比較例1)
ケムコ・フォーベルグ混合機のピンミルの運転を全く停止した外は実施例1と同じ条件で造粒および乾燥を行った結果、粒径8ミリを超える塊が20%発生し、粒径2ミリパスの部分の嵩比重を測定すると0.62と小さかった。また製造された比較例1の顆粒10gを100gのブタノールに分散させたが、粒径8ミリを超える塊状物が含まれておりすぐに沈降した。また熱履歴が多く付与されたためと考えられるが、ポリマー分は、1.5重量%と実施例1に比較して増加した。
【0088】
(比較例2)
乾燥に露点26℃の空気を使用した外は実施例1と同じ条件で造粒乾燥を行った結果、含水率が0.31%の製品を得た。得られた顆粒の平均粒子径とその分布は、実施例1と同程度であった。同じ条件で所定量の顆粒を製造後この顆粒200kgを密封材料の内袋を持つ二重構造のフレコンに充填し、25℃相対湿度65%の倉庫にて30日間保管した。その後排出テストを行ったが、含水量が多かったので顆粒状態であっても塊状化が進み、一部が固化し全部排出できなかった。
【0089】
(実施例2)
実施例1における、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩としてのアクリル酸カリウムのケーキ(濃度55%のアクリル酸カリウム水溶液をドラム乾燥機(真空式)で連続濃縮して得られた含水率6.5重量%のアクリル酸カリウムのケーキ)56.2キログラムの含水率を7.8%にしてやや顆粒径の大きな顆粒を製造した。他の製造条件等は実施例1と同じである。
【0090】
同じ原料のケーキを用いて上記の操作を5回繰り返して得られた丸みを帯びた顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の収得率(水分を除く仕込量に対する収得率)は、99〜100%であった。得られた製品の平均含水率は0.07%であった。また、5回の顆粒製造の結果得られた顆粒の、平均粒子径とその粒度分布は以下であった。測定点は同様に10箇所であった。以下はその平均である。なお平均粒子径およびその粒度分布の測定はJIS K0069「化学製品の篩い分け試験法」の乾式篩い分け試験法に準じて行った。
平均粒子径範囲 4.0 ミリ以上 6%
平均粒子径範囲 3.0mm以上〜4.0mm未満 22%
平均粒子径範囲 2.0mm以上〜3.0mm未満 48%
平均粒子径範囲 1.0mm以上〜2.0mm未満 18%
平均粒子径範囲 1.0ミリ未満 6%
所定量の顆粒を製造後、この顆粒200kgを密封材料の内袋を持つ二重構造のフレコンに充填し、25℃相対湿度65%の倉庫にて30日間保管した。その後排出テストを行ったが、含水量が0.07%と少なかったので顆粒状態のままであり容易に全部排出できた。また排出時の粉だちもほとんど発生しなかった。
また、製造された顆粒10gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。同様にして顆粒30gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。顆粒40gを100gのブタノールに分散させたが、やや粘度が高くなったが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。分散体の粘度が高くなっただけで分散体の取扱い上問題はなかった。また200mlのマヨネーズ瓶に上記3点の濃度の分散体を充填し、25℃の貯蔵庫に3ヶ月間保管した。いずれも著しい沈降等はなく、若干沈降していても振動、攪拌等で容易に分散体の状態に回復した。よって、有機溶媒を含む分散体としての貯蔵性も良好なものであると考えられた。
【0091】
この結果、実施例2で得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の平均粒子径は、2.5mmであった。また高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したポリマー含有量は0.5重量%であった。
【0092】
(実施例3)
実施例1における、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩としてのアクリル酸カリウムのケーキ(濃度55%のアクリル酸カリウム水溶液をドラム乾燥機(真空式)で連続濃縮して得られた含水率6.5重量%のアクリル酸カリウムのケーキ)56.2キログラムの含水率を9.5%にしてさらに顆粒径の大きな顆粒を製造した。他の製造条件等は実施例1と同じである。
【0093】
同じ原料のケーキを用いて上記の操作を5回繰り返して得られた丸みを帯びた顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の収得率(水分を除く仕込量に対する収得率)は、99〜100%であった。得られた製品の平均含水率は0.08%であった。また、10回の顆粒製造の結果得られた顆粒の、平均粒子径とその粒度分布は以下であった。なお平均粒子径およびその粒度分布の測定はJIS K0069「化学製品の篩い分け試験法」の乾式篩い分け試験法に準じて行った。
【0094】
平均粒子径範囲 5.0 ミリ以上 5%
平均粒子径範囲 4.0mm以上〜5.0mm未満 21%
平均粒子径範囲 3.0mm以上〜4.0mm未満 50%
平均粒子径範囲 2.0mm以上〜3.0mm未満 19%
平均粒子径範囲 2.0ミリ未満 5%
所定量の顆粒を製造後、この顆粒200kgを密封材料の内袋を持つ二重構造のフレコンに充填し、25℃相対湿度65%の倉庫にて30日間保管した。その後排出テストを行ったが、含水量が0.08%と少なかったので顆粒状態のままであり容易に全部排出できた。また排出時の粉だちもほとんど発生しなかった。
また、製造された顆粒10gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。同様にして顆粒30gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。顆粒40gを100gのブタノールに分散させたが、やや粘度が高くなったが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。分散体の粘度が高くなっただけで分散体の取扱い上問題はなかった。また200mlのマヨネーズ瓶に上記3点の濃度の分散体を充填し、25℃の貯蔵庫に3ヶ月間保管した。いずれも著しい沈降等はなく、若干沈降していても振動、攪拌等で容易に分散体の状態に回復した。よって、有機溶媒を含む分散体としての貯蔵性も良好なものであると考えられた。
【0095】
この結果、実施例3で得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の平均粒子径は、3.6mmであった。また高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したポリマー含有量は0.4重量%であった。
【0096】
(実施例4)
混合造粒装置として実施例1で使用した物と同型で、その容器、パドル、ピンミルおよびピンミルカーがポリテトラフルオロエチレン(商品名テフロン:登録商標)でコーティングされていない、ステンレス製(SUS−304)の混合攪拌機を使用し、実施例1と同じ条件で3回造粒および乾燥を行った。製品の収得率は初回が84.5%、2回目が89.5%、3回目が93.4%であった。顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の物性を測定した結果、粒径2ミリ以上の大粒の比率が多くなっていたが実用上何等支障はないものであった。
【0097】
この結果、実施例4で得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の平均粒子径は、1.5mmであった。また高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したポリマー含有量は0.7重量%であった。
含水率: 0.06%
粒度分布:
平均粒子径範囲 2mmを超える 7%
平均粒子径範囲 2〜0.5mm 88%
平均粒子径範囲 0.5mm未満 5%
(実施例5)
メタノール溶媒中でアクリル酸と水酸化カリウムを反応させて生成した(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩のスラリーを遠心濾過して得られたケーキを窒素を通しながら乾燥機としてドラムドライヤーを使用して温度130℃〜140℃のドラム表面温度に設定して乾燥した。但し(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩のスラリーの原料として、アクリル酸としては、Nオキシル化合物として、4−ヒドロキシ−2、2、6、6、−テトラメチルピペリジン−1−オキシルを3ppm含有するものを使用しさらにメトキシハイドロキノン(メトキノン)を100ppm中和時に配合したものを用いた。得られた粉末状のアクリル酸カリウムの粒度分布および含水率は、以下の通りであった。
平均粒子径範囲 500〜200μm 5%
平均粒子径範囲 199〜100μm 30%
平均粒子径範囲 100μm未満 65%
含水率 0.05%
ポリマー量 0.5%
この(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉末を原料にして、水の添加量を3.5%に変更した外は実施例1と同じ条件で造粒および乾燥を行った。得られた、丸みを帯びた顆粒状アクリル酸カリウムの特性値は以下の通りであった。
含水率 0.06%
粒度分布(重量%)
平均粒子径範囲 1.0mm以上 1%
平均粒子径範囲 0.5mm以上〜1.0mm未満 45%
平均粒子径範囲 0.1mm以上〜0.5mm未満 49%
平均粒子径範囲 0.1mm 未満 5%
粒度は、実施例1と比較すると、やや小さくなったが、実用上何等支障はないものである。
【0098】
この結果、実施例5で得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の平均粒子径は、1.0mmであった。また高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したポリマー含有量は0.7重量%であった。
【0099】
上記条件にて所定量の顆粒を製造後、この顆粒200kgを密封材料の内袋を持つ二重構造のフレコンに充填し、木製パレット上に置き25℃相対湿度65%の倉庫にて30日間保管した。その後当該フレコンを吊り上げフレコンの底部を開け、顆粒の排出テストを行ったが、顆粒状態のままであり容易に全部排出できた。特に目立った固体化、塊状化も観測されなかった。また排出時の粉だちもほとんど発生しなかった。また、30日間保管後の当該顆粒の含水量は0.07%であった。また、製造された顆粒10gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。同様にして顆粒30gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。顆粒40gを100gのブタノールに分散させたが、やや粘度が高くなったが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。分散体の粘度が高くなっただけで分散体の取扱い上問題はなかった。また200mlのマヨネーズ瓶に上記3点の濃度の分散体を充填し、25℃の貯蔵庫に3ヶ月間保管した。いずれも著しい沈降等はなく、若干沈降していても振動、攪拌等で容易に分散体の状態に回復した。よって、有機溶媒を含む分散体としての貯蔵性も良好なものであると考えられた。
【0100】
次に同じような分散条件で、ブタノール10Lに対して当該顆粒を、上記3点の濃度に調整して、容積20Lの石油缶等の形態で25℃×3ヶ月貯蔵実験を行った。その結果、石油缶での貯蔵性も良好なものであった。一部沈降していたが、石油缶の上部を缶切りで開け、エアモータで攪拌することで容易に元の分散体の形態を示し、石油缶からの、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩と有機溶媒を含む分散体の排出も容易であった。よって、石油缶の状態で貯蔵し移送し使用することも可能であることがわかった。
【0101】
(実施例6)
原料の水添加量を8.5重量%に変更した外は実施例2と同じ条件で製造し、含水率0.06%の丸みを帯びた顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を得た。物性を測定した結果を以下に示す。諸特性は製品として何等問題の無いものであった。
粒度分布
平均粒子径範囲 2mmを超える 2%
平均粒子径範囲 2〜0.5mm 94%
平均粒子径範囲 0.5mm未満 4%
この結果、実施例6で得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の平均粒子径は、1.5mmであった。また高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したポリマー含有量は0.5重量%であった。
【0102】
(実施例7)
実施例1と同じ原料を径1ミリのスクリーンから押出し、造粒して得られたペレットをフォーベルグ混合機(60型)に56キログラム仕込み、実施例1と同じ条件で造粒した後、露点マイナス25℃の窒素を吹き込みながら乾燥機温度を80℃に設定して回転式乾燥機で乾燥し、含水率0.07%の丸みを帯びた顆粒状アクリル酸カリウムを得た。粒度分布を測定すると径1.2ミリ以上は2%、径1.2〜0.5ミリは92%、径0.5ミリ以下は6%であった。
【0103】
(比較例3)
実施例6に使用したペレット状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を実施例6で使用した回転式乾燥機に仕込み、露点25℃の空気を150℃に加熱した熱風で乾燥機の排気温度90℃に達する迄乾燥し、円柱状の顆粒状アクリル酸カリウムの製造を試みたが、乾燥空気の温度が高いために、乾燥工程の途中で顆粒の一部がゲル化してしまった。
【0104】
(実施例8)
なお以下は本件の実施形態2に関しての実施例であり、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲、水分含有量が2000ppm以下であることを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を好ましく製造できる実施例である。
【0105】
噴霧造粒機として、連続流動造粒乾燥装置(例えば、大川原製作所製、ミクスグラード)を使用した(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法を以下に示す。
【0106】
上記、連続流動造粒乾燥装置としては、流動層を有しており、当該流動層の上に、種材料(具体的には乾燥されたアクリル酸カリウム粉体を展開させ110℃から250℃で、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含む水溶液を、装置内に吹き込んで噴霧することを行った。この時の吹き込み温度は、120℃〜230℃の範囲であった。上記ミクスグラードは、流動層上の造粒された紛粒体をコンベアで装置から排出する機構をもち、分級機を通して所定の微粉を流動層内に戻す工程を持っており、所定以上の粒子径になった粒は、粉砕機に通して流動層内に戻す工程を有する形態も有していた。また所定の乾燥工程を経て当該顆粒を製造した。この時に流動風速は、0.8m/sであった。上記(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含む水溶液として、メチルハイドロキノンを150ppm含む、50質量%濃度のアクリル酸カリウム水溶液を使用した。このようにして乾燥されたアクリル酸カリウム顆粒、具体的には、平均粒子径が0.5〜1.4mm、水分量が500ppmである顆粒を製造した。
【0107】
(実施例9)
実施例1における(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩としてのアクリル酸カリウムをメタクリル酸カリウムに変更した以外は、実施例1と同様にしてメタクリル酸カリウムの顆粒を製造した。顆粒の物性はほぼ、実施例1の顆粒と同様であった。具体的には以下である
平均粒子径範囲 2.0mm以上 5%
平均粒子径範囲 1.7以上〜2.0mm 未満 7%
平均粒子径範囲 1.0以上〜1.7mm 未満 48%
平均粒子径範囲 0.5以上〜1.0mm 未満 37%
平均粒子径範囲 0.5ミリ未満 3%
この結果得られたメタクリル酸カリウムの顆粒の平均粒子径は、1.3mmであった。また高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したポリマー含有量は0.6重量%であった。製造後の水分は0.05%であった。
【0108】
上記条件にて所定量の顆粒を製造後、この顆粒200kgを密封材料の内袋を持つ二重構造のフレコンに充填し、木製パレット上に置き25℃相対湿度65%の倉庫にて30日間保管した。その後当該フレコンを吊り上げフレコンの底部を開け、顆粒の排出テストを行ったが、顆粒状態のままであり容易に全部排出できた。特に目立った固体化、塊状化も観測されなかった。また排出時の粉だちもほとんど発生しなかった。また、30日間保管後の当該顆粒の含水量は0.07%であった。また、製造された顆粒10gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。同様にして顆粒30gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。顆粒40gを100gのブタノールに分散させたが、やや粘度が高くなったが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。分散体の粘度が高くなっただけで分散体の取扱い上問題はなかった。また200mlのマヨネーズ瓶に上記3点の濃度の分散体を充填し、25℃の貯蔵庫に3ヶ月間保管した。いずれも著しい沈降等はなく、若干沈降していても振動、攪拌等で容易に分散体の状態に回復した。よって、有機溶媒を含む分散体としての貯蔵性も良好なものであると考えられた。
【0109】
次に同じような分散条件で、ブタノール10Lに対して当該顆粒を、上記3点の濃度に調整して、容積20Lの石油缶等の形態で25℃×3ヶ月貯蔵実験を行った。その結果、石油缶での貯蔵性も良好なものであった。一部沈降していたが、石油缶の上部を缶切りで開け、エアモータで攪拌することで容易に元の分散体の形態を示し、石油缶からの、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩と有機溶媒を含む分散体の排出も容易であった。よって、石油缶の状態で貯蔵し移送し使用することも可能であることがわかった。
【0110】
よって以上の実施例より、この有機溶媒であるブタノールに分散させた当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、分散体であるので貯蔵性や移送性に優れたものとなる。つまり顆粒状等の外気に影響を受けやすい形状ではなく、有機溶媒の分散体であるので取扱いが容易となる。よって、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を含む有機溶媒の分散体は好ましい形態である。つまり、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲、水分含有量が2000ppm以下であることを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を含む有機溶媒の分散体も本発明の好ましい実施形態となる。当該有機溶媒としては特に限定しない。通常のアルコールやケトン系溶媒等が使用できる。ただ、有機溶媒によっては、当該顆粒が溶解する場合があるのでその場合は、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含む有機溶媒溶液となる。所望により有機溶媒を選定すればよい。
【0111】
(実施例10)
以下の実施例は、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体および有機溶媒を含む分散体に関しての実施例である。
【0112】
アクリル酸水溶液と水酸化カリウム水溶液を反応させて生成した、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液(固形分濃度50質量%)としての、50質量%アクリル酸カリウム水溶液を遠心式噴霧乾燥装置(大川原化工機社製、型式OD−50、サイクロン一点捕集)の塔頂部より連続的に噴霧した。使用したディスクは、M型、直径125mmで回転数は18000rpmであり、原料供給量は80kg/hであった。上記遠心式噴霧乾燥装置下で得られた当該アクリル酸カリウム粉体の水分量は、250ppmであった。アクリル酸カリウム粉体の受器として粉体投入口、粉体排出口、乾燥空気投入口及び空気排出口を備えた容積200LのSUS304製ホッパーを使用した。なお、空気投入口は中央底部にあり、そこから投入した。スプレードライヤーの入口熱風温度185℃、出口温度120℃、ホッパーへの乾燥空気投入速度0.278[L/s]、投入空気露点0℃、相対湿度26%、投入空気温度20℃、乾燥空気投入時間1時間の条件で1時間連続噴霧乾燥した結果、嵩比重0.344g/ml、水分量166ppm、粒子径が74μm未満の粒子の割合が96質量%のアクリル酸カリウム粉体が36.8kg得られた。収率は92質量%であった。
【0113】
乾燥直後の粉体の比表面積は1.05m2/gであり、充填前の粉体の比表面積は0.89m2/gであった。比表面積保持率は85%であった。上記で得られたアクリル酸カリウム粉体10gを100gのブタノールにダマがなくなるまで十分に分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。後は実施例9と同様にして分散体固形分濃度を変更して、マヨネーズ瓶による貯蔵性、石油缶による貯蔵性を見たが、粉体であり分散体を製造するときに、若干余分に攪拌時間を必要としたこと以外はいずれも実施例9で製造した分散体の貯蔵性、排出性と遜色ない結果であった。
【0114】
【発明の効果】
本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、粉体状ではなく平均粒子径が0.5〜8mmの範囲、水分含有量が2000ppm以下である顆粒であるので(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩と遜色ない特性をもちながら、粉体に比べて湿り気の影響をうけにくく、また顆粒同士の塊状化も低減できる。また、使用時に粉体の粉の舞い上がり等の問題もなく、顆粒状であるので充填された容器からの排出性も良好である。また得られた顆粒の各種溶媒への分散性や溶解性も(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体と遜色ない。よって、本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、(メタ)アクリロイル基を導入するための原料、各種中間体原料、重合用原料としいて有用である。
より具体的には、本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、従来の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体に比べて、表面積が小さいので水分の影響を受け難く団結化や塊状化等も低減される。また、有機溶媒等に分散して使用する形態においても、従来の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体は粒子径が小さすぎると分散時あるいは溶解時、ママコになりやすく、効率よく溶解あるいは分散しにくい場合もあったが、当該顆粒ではその問題点も低減できる。
【0115】
また、従来の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体は、どうしても粉体であるので平均粒子径が小さく、当該粉体の使用時や製造工程で容器への充填時に粉体が舞い上がる等の取扱い性が悪い点もあったが、当該顆粒ではそのような問題点を低減できる。また当該顆粒はフレコンやペーパーバックに充填後排出するときにもこれら容器からの排出性も粉体に比べ良好で排出作業時間等が短縮できる。特に、100kg以上あるいは200kg以上等の大量の顆粒をフレコンや他の容器へ充填しこれらフレコンや容器から当該顆粒を排出するときに、特に良好な短時間での排出が可能になる。
【0116】
よって、本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、平均粒子径が0.1〜500μmの(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体と同様の特性を有しながら、湿り気に影響を受け難い、取扱い性の向上したものであり、各種用途に適した有用な工業製品となる。
【0117】
また本件の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を得るための製造方法は、パドル、ピンミルおよびスプレイヤーを設けた混合攪拌機であり、上記混合攪拌機にケーキ、フレークおよびパウダーから、選択されるひとつを仕込み、その含水率が3〜13重量%になるように調節しながら5〜40分間攪拌混合して造粒した後、温度が40℃〜160℃の乾燥気体を用いて乾燥することにより製造する。より好ましくは、温度70℃以下および露点が0℃以下の乾燥気体を用いて乾燥することを特徴とする攪拌造粒装置を用いて製造されるので、効率よくかつ熱による当該顆粒の変性(具体的には不用意な重合)も抑制しながら乾燥状態の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を製造することができる。また、本発明の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を得るための製造方法は、連続流動造粒乾燥装置を使用しても製造することができる。
【0118】
また、例えば有機溶媒であるブタノールに当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を分散することによって得られた分散体またはスラリーは、貯蔵性や移送性に優れたものとなる。つまり粉体や顆粒状等の外気に影響を受けやすい形状ではなく、有機溶媒の分散体であるので湿り気の影響が少なくなり取扱いが容易となる。よって、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を含む有機溶媒の分散体は好ましい形態である。そしてこの分散体を使用した貯蔵方法や移送方法も好ましい実施形態となる。
【0119】
よって当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を分散することによって得られた分散体またはスラリーは、外気の影響を受け難く、また必要に応じそのまま反応原料として使用できる工業的にも有用な形態となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒新規な製造法に関する。更に詳しくは、溶解性と流動性に優れ、取り扱いが良好な(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の攪拌造粒法による製造方法に関する。さらには、保存時の塊状化を防止することのできる(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法に関してである。また当該顆粒の使用形態の一例として有機溶媒等の溶媒に分散させた分散体および/またはスラリーとして使用する方法を提案する。
【0002】
【従来の技術】
一般に(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体の微粉末を得る方法としては、当該粉体は、重合しやすい物質であることを考慮し、水中にてアクリル酸および/またはメタクリル酸と、アルカリ金属水酸化物とを反応せしめてアクリル酸アルカリ金属塩および/またはメタクリル酸アルカリ金属塩を含有の水溶液を得、得られた当該アクリル酸アルカリ金属塩および/またはメタクリル酸アルカリ金属塩含有の水溶液を噴霧状にて熱気流体と接触せしめて水分を除去する、いわゆるスプレードライ法によって乾燥したアクリル酸、又はメタクリル酸アルカリ金属塩粉体の微粉末を得る方法が、特許文献1、特許文献2に開示されている。また特許文献3では、貯蔵タンク等に加熱乾燥空気を導入し、噴霧乾燥して製造されたアクリル酸カリウム粉体と接触させることにより、当該粉体傍の湿り空気を置換することによるアクリル酸カリウム粉体の乾燥方法が提示されている。この特許文献3では、噴霧乾燥後の粉体と記載されており、明らかに粉体を乾燥させる技術であり、アクリル酸カリウム顆粒を製造する方法ではない。
【0003】
一方、アクリル酸カリウム以外の化合物として、例えば、ソルビン酸カリウムの顆粒の製造方法が特許文献4に記載されている。この技術は、100℃から160℃に加熱した空気によって流動化させたソルビン酸カリウム種粒子の存在する床の中または上へソルビン酸カリウム水溶液を噴霧して、その単位時間当たりの供給量を、流動床の温度が40〜80℃で排気の相対湿度が60℃で計算して20重量%以下であるように調節しながら顆粒を連続的に製造する方法である。しかし、この方法は、装置の大きさに比べて生産量が小さく容積効率が低い等の問題がある。しかし顆粒の製造形態として開示しているのは重合性のないソルビン酸カリウムである。
【0004】
また、重合性を保有しない、微粉である飛灰の乾燥方法として、高温の乾燥空気、具体的には80〜120℃の乾燥空気を使用した粉体の乾燥方法が開示されている。(特許文献5等)。この様な高い温度では、重合性の顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を乾燥する温度としては高すぎ、顆粒物として得た後貯槽等で蓄熱が起こり、重合する危険がある。また具体的に顆粒である形態はこの特許文献5には記載がない。
【0005】
また食塩を乾燥する方法にいたっては、150〜180度という非常に高い温度で乾燥する形態が記載されている。(特許文献6等)。この様な高い温度では、重合性の顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩はすぐさま重合して硬化物になると考えられる。
【0006】
また、アクリル酸カリウムで代表される重合性を保有する(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体は、独特の潮解性を有するものであり、上記公報中のアクリル酸カリウムの形状はいずれも微粉体である。よって、当該粉体の乾燥条件や保存条件が十分でないと貯蔵中に塊状化して使用しにくくなる問題がある。なお、特許文献3では貯蔵後の塊状性が改良されたように記載されているが、一番重要な当該粉体と乾燥空気との接触条件の記載が十分ではなく、貯蔵後の塊状性が改良された当該微粉体を安定的に得るための技術としては不十分である。また微粉末であると使用形態によっては、使用時に粉が舞い上がる等の作業性に難点が出てくる場合がある。また上で説明したように、この特許文献3においても具体的に製造されているものは、アクリル酸カリウムの粉体であり顆粒状物ではない。またこの特許文献3で開示される条件では当該顆粒を製造することは困難である。
【0007】
また上記特許文献1〜特許文献6にはいずれも、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体あるいは、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を有機溶媒に分散させて使用する形態は、何も記載されてはいない。
【0008】
【特許文献1】
特開昭47−31924号公報
【特許文献2】
特開昭49−11820号公報
【特許文献3】
特開2003−12599号公報
【特許文献4】
特公昭62−19417号公報
【特許文献5】
特開2002−179250号公報
【特許文献6】
特開平5−345610号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、製造性、製造中および製造後の流動性に優れ、従来の微粉体よりも取り扱い性に優れた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒物およびその製造法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、嵩比重が大で水への溶解速度が大きくしかも保存安定性の良好な、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒物およびその製造法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、新規な(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造法について鋭意研究した。その結果、種々の化合物の顆粒を製造する方法である、押し出し機による造粒方式等よりも、工業的に安定に生産することのできる(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒製造方法として、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩および重合禁止剤を含むケーキ、フレークおよびパウダーを、パドル、ピンミル及びスプレイ機能とを有する攪拌造粒機を用いて造粒した後、乾燥する事によって、効率よく(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒が生産できることを見出し、本発明を完成した。また原料化合物である(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の種晶(当該化合物粉体)に当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の水溶液をスプレーして大粒化させる形態でも製造できることを見出した。
【0011】
また、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体あるいは、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を有機溶媒に分散させて取り扱うことにより乾燥させた状態の粉体や顆粒として取り扱うよりも外気の影響を受け難い形態で取り扱えることも見出したものである。
【0012】
本発明の構成は以下である。
【0013】
(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩および重合禁止剤を含むケーキ、フレークおよびパウダーから、攪拌造粒装置を用いて(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を製造する方法において、当該攪拌造粒装置は、パドル、ピンミルおよびスプレイヤーを設けた混合攪拌機であり、上記混合攪拌機にケーキ、フレークおよびパウダーから、選択されるひとつを仕込み、その含水率が3〜13重量%になるように調節しながら5〜40分間攪拌混合して造粒した後、温度が50℃〜160℃の気体を用いて乾燥することを特徴とする、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法である。より好ましくは50℃〜150℃の気体を用いて乾燥する形態である。
【0014】
また、上記気体として、温度70℃以下および露点が0℃以下の乾燥気体を用いて乾燥する形態は好ましい形態となる。
【0015】
さらには、上記 (メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含むケーキ、フレークおよびパウダーの水分含有量が、13重量%以下であることを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法である。
【0016】
さらには、
上記上記混合攪拌機のスプレーヤーから、純水または濃度50重量%以下に調製された(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液を、当該混合攪拌機に仕込まれた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩含むケーキ、フレークまたはパウダーの含水率が3〜13重量%になるように噴霧することを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法である。
【0017】
さらには、
パドルを低速度で、ピンミルをパドルよりも高速度で共に回転させて10〜25分間混合攪拌した後、得られた顆粒を、露点が0℃以下の気体を用いて乾燥することを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法である。上記気体として露点がマイナス20度以下の空気を用いて乾燥する形態は好ましい形態である。
【0018】
さらには、
上記パドルの回転を周速度1〜1.5メートル/秒で、ピンミルの回転を周速度8〜10メートル/秒で行うことを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法である。
さらには、
上記、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法によって得られた顆粒を、振動流動乾燥機、攪拌流動乾燥機または風力流動乾燥機を使用して、露点が0℃以下になるまで除湿した、乾燥気体を50〜160℃に加熱して送気し、当該顆粒の含水率が0.2%以下になるまで乾燥することを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法である。また当該顆粒の含水率が0.1%以下になるまで乾燥する形態は好ましい形態である。
【0019】
さらには、本発明は、
平均粒子径が0.5〜8mmの範囲、水分含有量が2000ppm以下である(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒である。
【0020】
さらには、
上記記載の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法によって製造された、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲、水分含有量が2000ppm以下である(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒である。
【0021】
また本発明には、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を有機溶媒に分散させスラリーまたは分散体として取り扱う方法も好ましい実施形態の一つとして含まれる。通常、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒の乾燥品をフレコン等の密封容器に充填して使用することも可能であるが、当該乾燥粉体および/または当該乾燥顆粒として取り扱うよりも、有機溶媒に分散させてそのスラリーまたは分散体として使用することにより、より外気の影響を受け難く取り扱うことができる。
【0022】
上記乾燥粉体および/または乾燥顆粒として容器に充填して取り扱った場合、容器中での塊状化、固体化により容器からの搬出がしにくくなる等や取扱いが煩雑になる等の問題が起こりえたが、上記の、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を有機溶媒に分散させスラリーまたは分散体として取り扱う方法を採用することでこの問題を解消することができる。よって、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を有機溶媒に分散させたスラリーまたは分散体もまた好ましい実施形態となる。なお、上記の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を有機溶媒に分散させスラリーまたは分散体として取り扱う方法とは、具体的には(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を有機溶媒に分散させスラリーまたは分散体として貯蔵する方法、容器等に貯蔵して当該容器を移送する方法、当該分散体を反応容器に投入する方法、等を列記することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下さらに詳細に本発明の実施形態を説明する。
【0024】
本発明に使用する原料の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩としては、具体的にはアクリル酸カリウムまたはメタクリル酸カリウムを挙げることができる。本発明の顆粒化工程に支障がなければ、もちろんこれ以外のアルカリ金属塩であってもよい。そして通常は、アクリル酸水溶液あるいは、メタクリル酸水溶液を所定のアルカリを使用して中和して、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩含有水溶液とし、本発明の顆粒製造工程に使用する。
【0025】
上記の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩含有水溶液の調製は、特に限定されずに公知、周知の操作、条件が広範囲に使用可能である。例えば、アルカリ金属水酸化物の水溶液に、アクリル酸および/またはメタクリル酸を徐々に添加することによって行なわれる。
【0026】
また、水中にアルカリ金属水酸化物の水溶液とアクリル酸および/またはメタクリル酸を同時に徐々に添加することも可能である。この際、反応釜は十分冷却し、攪拌は十分行なうことが望ましい。この反応温度は、通常は0℃から70℃が望ましい。0℃未満の反応温度では、アルカリ金属水酸化物の水溶液あるいはアクリル酸および/またはメタクリル酸の凝固を引き起こしてしまいふさわしくない。また、70℃を越える反応温度では、重合を引き起こしてしまうことがありふさわしくない。通常は10℃〜60℃、好ましくは20℃〜50℃で反応を行なうことが適切である。反応系の攪拌は、水中でアルカリ金属水酸化物の水溶液あるいはアクリル酸および/またはメタクリル酸とが十分に接触できる程度にするのが望ましい。尚、反応中は重合を防止するため空気中で行うことが望ましい。
【0027】
上記の本発明における、アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩の他にリチウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩を例示し得るものである。より具体的には、ナトリウム塩またはカリウム塩である。
【0028】
上記のアクリル酸および/またはメタクリル酸には、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテルの如き重合禁止剤を添加する形態が好ましい。アクリル酸および/またはメタクリル酸アルカリ金属塩水溶液の濃度は、通常10〜70重量%、好ましくは30〜65重量%が採用される。10重量%より濃度が低ければ、乾燥に多量の熱が必要となり、かつ乾燥装置も大きくなるため経済的にふさわしくない。また70重量%を越える濃度では反応が激しすぎ、重合等の不具合が発生する恐れがある。反応終点のpHは7〜13程度、好ましくは、pHは8〜11程度が採用される。反応終点のpHが7未満であれば、残存するアクリル酸および/またはメタクリル酸が多くなり、乾燥中に重合を起こす恐れがある。一方、pHが13を越えると残存するアルカリ金属水酸化物が多くなり、アクリル酸および/またはメタクリル酸アルカリ金属塩を使用した反応で加水分解等の不具合を起こすことがある。
【0029】
かくして、前記の如き反応によって、30〜65重量%の濃度のアクリル酸および/またはメタクリル酸アルカリ金属塩水溶液を得ることが出来る。得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液は公知のドラムドライヤーや薄膜蒸発機等を使用して濃縮し、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含むケーキを製造する。
【0030】
また顆粒製造中にかかる熱の影響を少なくするために、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液に重合禁止剤を含有している形態は好ましい形態である。
【0031】
上記、重合禁止剤としては、上記以外にメトキノンやt−ブチルハイドロキノンやフェノチアジン、硫黄等を使用する。その含有量は、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩固体分に対して10〜1000ppmの範囲が好ましい。より好ましくは20〜700ppmである。さらに好ましくは30〜500ppmである。
【0032】
よって、本発明の顆粒の形態では、重合禁止剤を1000ppm以下の範囲で含有する(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は好ましい実施形態となる。具体的な重合禁止剤の含有量は、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩固体分に対して10〜1000ppmの範囲が好ましい。より好ましくは20〜700ppmである。さらに好ましくは30〜500ppmである。
【0033】
また、特に、攪拌造粒装置が具備された顆粒製造装置で、当該顆粒に対して熱の変性がおきやすい顆粒製造条件を採用する場合には、その量を増加させるか、あるいは、N−オキシル化合物を使用する。N−オキシル化合物は上記ハイドロキノン等の重合禁止剤と併用しても、代替使用してもかまわない。特にN−オキシル化合物の添加または配合量は、0.1ppm以上、5000ppm(0.5重量%)以下である。より好ましくは1ppm以上、1000ppm(0.1重量%)以下である。このN−オキシル化合物は少量で熱に対しての安定性が付与できるので、熱の変性がおきやすい製造条件を採用しても、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の不用意な重合が起こり難くなる。
【0034】
上記N−オキシル化合物としては、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4,4′,4′′−トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)フォスファイト、2,2,4,4−テトラメチルアゼチジン−1−オキシル、2,2−ジメチル−4,4−ジプロピルアゼチジン−1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチル−3−オキソピロリジン−1−オキシル、6−アザ−7,7−ジメチル−スピロ(4,5)デカン−6−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−アセトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾイルオキシピペリジン−1−オキシル等が好適であり、これらの中でも、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4,4′,4′′−トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)フォスファイトが好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0035】
よって、本発明の顆粒の形態では、重合禁止剤としてN−オキシル化合物を5000ppm以下の範囲で含有する(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は好ましい実施形態となる。より好ましくは1000ppm以下である。より具体的なN−オキシル化合物の含有量は、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩固体分に対して10〜1000ppmの範囲が好ましい。より好ましくは30〜500ppmである。
また、N−オキシル化合物は原料の、(メタ)アクリル酸に使用されていてもよく、また中和後の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液に必要量を配合してもよい。また中和時に必要所定量を配合してもかまわない。その配合する時期、配合方法は特に限定しない。より好ましくは所定量のN−オキシル化合物の含有量になるように配合し当該溶液とすることである。上記のN−オキシル化合物を使用した(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液を使用して造粒装置で当該顆粒を製造することにより、より安定に顆粒を製造することができる。
【0036】
もちろんN−オキシル以外の重合禁止剤の使用形態においても上記と同様で、原料の、(メタ)アクリル酸に使用されていてもよく、また中和後の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液に必要量を配合してもよい。また重合禁止剤を中和時に必要所定量を配合してもかまわない。その配合する時期、配合方法は特に限定しない。
【0037】
この場合、熱に対しての変性(不用意な重合物の副生)が少なくなるので、得られた顆粒中のポリマー分が低減することができる。よって、得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒としては、ポリマーの含有量が、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を100重量%とすると、1重量%以下が好ましい。より好ましくは0.5重量%以下である。さらに好ましくは0.3重量%以下である。さらには0.1重量%以下である。
【0038】
よって、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲、水分含有量が2000ppm以であり、さらにポリマー含有量が1重量%以下である(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒もまた好ましい実施形態である。
【0039】
上記のポリマー含有量は、以下の条件で測定することができる。
ポリマー量;高速液体クロマトグラフィーにより面積百分率で算出する。
カラム;Shimpack SCR−101H 7.8mm id×250mm
(島津製作所製)
移動相;85%リン酸15ml+超純水3L
流速;1ml/min
検出器;HITACHI L−4000H UVディテクター(200nm)
ポンプ;HITACHI L−6000
リテンションタイム;ポリマー 4.3分、モノマー12.5分
また、本発明の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を製造する方法において使用する(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含むケーキ、フレークおよびパウダーとしては、以下の形態が使用できる。(1)(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液を濃縮できる装置、例えば減圧若しくは常圧のドラムドライヤーや薄膜蒸発機等を使用して得られた含水率が15重量%以下、好ましくは10重量%以下のケーキまたはフレーク、(2)アクリル酸またはメタクリル酸と水酸化カリウム等のアルカリをエタノール、メタノール、アセトン等の水溶性溶剤中で中和反応させて生成したスラリーを濾過して得られたケーキ(含水率が有機溶剤の含有量も含めて15重量%以下のもの、より好ましくは10重量%以下のもの)、および(3)乾燥した(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩に水を添加して含水率を15重量%以下に調製したケーキ、好ましくは10重量%以下に調製したケーキを使用することができる。
【0040】
ただし、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩は重合性を保有しているために保存安定性の低下を考慮して、顆粒の乾燥を、減圧乾燥方式あるいは、任意の乾燥気体、あるいは窒素等の不活性ガス雰囲気中で乾燥する等の配慮が必要になる。この場合、顆粒を乾燥する時に使用する気体の温度は50℃〜160℃の範囲が好ましい。使用する気体のより好ましい温度は、50℃〜150℃である。さらに好ましくは50℃〜140℃、さらには60℃〜120℃である。50℃より温度が低いと乾燥効率が低下する。また160℃より高い温度の気体を使用する場合、当該顆粒に熱による作用がかかりやすくなり不用意な重合等の問題がおきやすくなる。
【0041】
また上記気体として、より好ましくは露点が0℃以下の乾燥気体を使用する。より好ましくは露点が−10℃以下の乾燥気体である。さらに好ましくは露点が−20℃以下の乾燥気体である。さらに好ましくは露点が−30℃以下の乾燥気体である。また、少し乾燥時間が長くなる場合もあるが、さらに低い温度、乾燥気体の温度が100℃以下、さらには90℃以下、さらには80℃以下、さらには乾燥気体の温度を70℃以下、さらに好ましくは60℃以下に調整することが好ましい。乾燥気体を70℃以下にする場合は、加熱乾燥空気を使用することができる。低い乾燥温度を採用することで当該顆粒が乾燥時に不用意に重合がおきにくくなる。ただし低い温度の乾燥気体であれば乾燥効率が低下することはいなめない。
【0042】
上記加熱気体の温度は、以下のような、BAM蓄熱貯蔵試験を行うことで設定したものである。具体的には、以下アクリル酸カリウムを例として説明する。500mlのジュワー瓶に400mlのアクリル酸カリウムを入れ、断熱材の蓋をして、60℃の空気高温槽に入れ、試料温度が雰囲気温度に達してから自己加速分解に到るまでの誘導時間を測定するBAM蓄熱貯蔵試験(危険物輸送に関する国連勧告の試験マニュアルより、“Test H.4:Heat accumulation storage test”)に準じ、蓄熱貯蔵試験器(BAM型)は、形式:KRS−RG−6116(株式会社蔵持科学器械製作所製)を用いて行なった。即ち、内容積500mlのジュワー瓶に400mlの試料を入れ、蓋をした後、所定の温度に設定した空気恒温槽にセットする。試料の温度が設定温度から2℃低くなることを確認後、その温度(60℃)で3ヶ月間、自己加速分解による発熱ピークの有無を検出する。その結果、重合性吸湿性粉体を取り扱う場合、60℃の保管条件では発熱ピークは観察されなかった。その結果、当該粉体を所定の貯蔵条件がそろえば60℃で貯蔵することが可能になることがわかった。また、135℃では6.5時間、100℃では29.5時間、90℃では104時間、75℃では500時間で自己加速分解による発熱ピークが観測される。よって本発明の造粒装置で(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を乾燥するに際して使用する乾燥気体としては、乾燥気体の温度としての上限は100℃〜90℃とすることが好ましい。逆にいえば短時間の接触であれば、130℃程度の乾燥気体でも使用することができる。より好ましくは80℃以下の乾燥気体を使用することである。さらに好ましくは70℃以下の乾燥気体を使用することである。
【0043】
また、当該顆粒製造装置における、顆粒を乾燥する時に使用する気体の温度として50℃〜160℃の範囲の内、70℃〜160℃の乾燥気体が当該顆粒に作用する時間を短くして、できるだけ余分な重合を低減しかつ合わせて水分を除くようにし、その後、乾燥気体として50〜70℃の温度の乾燥気体に置き換えて乾燥工程を持続する形態とすることが好ましい。そうすることで高温の乾燥気体で速やかに水分が除去され、また低い温度の乾燥気体で当該顆粒を冷やしながらさらに残った水分を除去する、という乾燥工程を採用してもかまわない。
【0044】
よって、当該顆粒製造装置における顆粒を乾燥する乾燥工程としては、70℃〜160℃の乾燥気体を使用する乾燥工程とその後に、当乾燥気体として50〜70℃の温度の乾燥気体を使用する乾燥工程の2段階の乾燥工程が具備されている形態が好ましい。上記の乾燥条件は、該攪拌造粒機が具備された混合造粒攪拌機や、連続流動造粒乾燥装置の運転条件により適宜、種々の温度条件の乾燥工程を採用することができる。この場合でも当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒が重合性であることに注意して不用意な重合が起きない乾燥温度条件を採用する形態が好ましい。
【0045】
これらの原料の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩のケーキ等は、前以て(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液または水を添加してその含水率を3重量%以上15重量%以下に調節した物を、より好ましくはその含水率を3重量%以上10重量%以下に調節した物を、使用するか、または混合攪拌機における造粒操作中に、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液または水をスプレイヤーから噴霧してその含水率を3〜15重量%に調節して、より好ましくは、3重量%以上10重量%以下に調節して使用することもできる。
【0046】
すなわち、上記濃度に調製した(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩のケーキ、フレークまたはパウダーを、パドルとピンミルおよびスプレイヤーを有する混合攪拌機に仕込み、パドルの回転速度とピンミルの回転速度およびスプレイヤーに供給する(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液または水の噴霧量と噴霧速度を調製しながら、5〜40分間混合攪拌を行って所望の粒径に造粒した後、得られた顆粒を乾燥することによって目的を達せられる。
これらの原料(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の含水率は、造粒される粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粒径に大きく影響する。造粒時に噴霧した水をも含めた原料の含水率が低い場合には、得られる顆粒の粒径は小さくなる傾向があり、逆に含水率が高い場合は大きな粒径となる傾向がある。また、含水率が15重量%を越えると平均の顆粒径が大きな塊状になり、目的の粒度の物の収率が低下したり、甚だしい場合はパドルの回転を不能にすることがある。本発明における(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の好ましい平均粒子径は、0.5〜8mmである。さらに好ましくは0.5〜5mmである。また、上記の平均粒子径を便宜上平均顆粒径と表示する場合もある。従って、上記の平均粒子径は使用する当該水溶液の粘度と当該攪拌造粒装置の条件が影響する。
【0047】
本発明の平均粒子径の測定は、製造された当該顆粒を製造ロット、または採取個所が異なる合計10バッチの顆粒を採取し、JIS K0069「化学製品の篩い分け試験法」の乾式篩い分け試験法に準じて行ったその平均である。また、製造された当該顆粒を、製造ロット、採取場所を変えて10枚電子顕微鏡写真を撮影し、その写真から、50個の顆粒を観測し、顆粒径を読み取り平均化することで求めることもできる。
【0048】
また、所望の粒度調製条件としては、原料水溶液が持つ水分と共に造粒時の水のスプレー量および造粒時の水分の飛散による損失も重要な因子となる。原料の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液の温度が高い場合は、造粒中の水分の飛散する割合が影響するので、水分の飛散による損失を考慮して、水分を添加することが好ましい。本発明における造粒時のより好ましい含水率は、2〜10重量%、さらには5〜8重量%である。造粒時のより好ましい混合攪拌時間(以下、造粒時間と呼ぶことがある)は10〜25分である。
【0049】
本発明の造粒は、前述した如くパドル型混合機とピンミルおよびスプレイヤーを設けた混合攪拌機を使用することによって行われる。以下に一例として、二軸型混合攪拌機を使用する顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の製造法について説明する。パドル型混合機としては、通常パドルの周速度が1.0〜1.5メートル/秒程度の比較的低速回転で混合する二軸の混合攪拌機で、二軸のそれぞれに容器内の原料粉粒体を確実に攪拌混合出来るように容器の全長をカバーする複数枚のパドルが取り付けられて全体を満遍なく攪拌出来る構造になっている物が好ましい。従って、パドル型混合機の容器は、パドルの回転に合わせて底面が二つの半円筒状(ドラム)になっていて、底部の形状に合わせてパドルが回転すると、粉粒体を底部に滞留させる事なく混合することができるような形状になっている物が好ましい。
【0050】
また、二軸のパドルはそれぞれが互いに逆回転して粉体を中央部へ移動し、その粉体は更に中央上部に移動してここに設けられたピンミルに衝突し、さらにオーバーラップしながら上下、左右、前後に移動して混合され、この混合操作とピンミルの解砕操作を繰り返す方法で顆粒状に造粒される。
【0051】
ピンミルは、周速度8〜10メートル/秒程度の高速で回転する、40本前後のピンが2列に配置され、そのピンの上方にピンカバーを設けてある。パドルの攪拌によって移動してきた粉粒体がパドルの中央部でオーバーラップしてくる部位にピンミルが設置され、大きな塊状物を解砕して粒度が整えられる。これらの、混合攪拌機の容器、パドル、ピンミル及びピンミルカバーは、造粒の際に原料のケーキが金属表面に付着するのを抑制するためポリテトラフルオロエチレン(商品名テフロン:登録商標)でコーテングまたはライニングを施した物が好ましい。原料ケーキの混合攪拌機の部材への付着は最終的には製品の品質低下や保存安定性の低下をきたす。また、スプレー装置は、粉粒体に水または、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液を噴霧してこれを効率良く加湿できるような位置に、例えば粉体がパドルとピンミルおよびピンミルカバーを経て移動してくる位置に設置するのが好ましい。
使用する噴霧器の機種は、一流式または二流式のいずれのノズルであっても微細な霧を発生するものを選択すれば問題なく使用できる。加湿用の水としては純水の外に、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を50重量%以下の濃度で含有している水溶液であれば、支障なくスプレーに使用できる。
【0052】
上記の混合攪拌機(以下造粒機と呼ぶことがある)の運転は、まず原料(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を混合攪拌機にパドルが隠れる位置近くまで仕込み、パドルとピンミルの運転を開始して造粒されてくる粒の状態を観察しながら不足の水分をスプレーにより供給して所望の粒径を整える方法で行われる。原料粒は、パドルとピンミルおよびスプレーによって適当な加湿と解砕を受けながら粒形と流動性が改善されて行き、次第に嵩比重が上昇して行く。これに従って粉粒体部の容積が減少していくため、原料(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の仕込み量は、パドルの全ての部分が粉粒体内に隠れる位置まで仕込むのが好ましい。また、造粒時間を長くする程顆粒は丸みを帯びた形状となり、硬く締まった嵩比重の大きい顆粒ができる傾向がある。必要以上に長時間の混合攪拌を行うと、得られる顆粒の水への溶解速度が小さくなる傾向があるので、通常10〜25分程度で行うことが望ましい。ただし、溶解速度として攪拌しないで自然に溶解する速度を特に重視せず、製品の長期保存時の吸湿による塊状化防止を重視するのであれば、造粒時間を長くすることが効果的である。以上に回分式操作による造粒について述べたが、本発明の製造法は連続式または半連続式の操作によっても行うこともできる。
【0053】
上述した造粒法で製造された含水の顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩は、乾燥工程に移され乾燥される。乾燥法としては、一般的な風力による流動乾燥、風力と振動または攪拌とを組み合わせた流動乾燥または減圧乾燥が適当である。乾燥機は、熱源として蒸気、電熱または遠赤外線等の、低コストの熱源を適用できる乾燥装置等が使用できる。乾燥条件は、顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩が重合性を保有しているために、製造された顆粒を乾燥するために使用する加熱した気体の温度を上記のような温度範囲に調製することが好ましい。
【0054】
特に、流動乾燥、振動流動乾燥、攪拌流動乾燥等の様な風力を同時に使用する場合は、露点が0℃以下好ましくは、−10℃以下、さらに好ましくは−20℃以下になるように除湿した乾燥気体を使用するのが好ましく、その場合は乾燥に供する熱風温度が70℃以下の乾燥気体を用いて、容易に含水量が0.2質量%以下(含水量が2000ppm以下)の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を得ることができる。
【0055】
乾燥用に供給する乾燥気体である、空気または窒素等の気体を除湿乾燥する場合は、ポリイミド製中空子膜を通過させて乾燥するのが経済的には有利である。
【0056】
以上の様な方法で造粒乾燥された顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩は、分級装置に供給され、例えば粒径8.0mmを超える顆粒は篩でカットされる。カットした篩上品は、粉砕または溶解することで、原料として再利用する場合もある。また、場合によっては径2mmの篩を通過した粒を更に細孔の篩で分級し、大粒品と細粒品に分けて製品となす場合もある。また所望される顆粒の粒子径の従い、上記の分級装置の篩の条件を変更してもいいことはいうまでもない。本発明のより好ましい態様を以下の(ア)〜(エ)に示す。
【0057】
(ア)ピンミルおよびスプレイヤーを設けてあり、パドルを付けた二つの攪拌軸が互いに逆まわりに回転する二軸混合攪拌機に、含水率が10重量%以下、より好ましくは8重量%以下の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含むケーキ、フレークまたはパウダーを仕込み、純水または濃度50重量%以下に調製された(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液を用いて、当該二軸混合攪拌機に仕込まれた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩含むケーキ、フレークまたはパウダーの含水率が5〜8重量%になるようにスプレイヤーから噴霧しながら、パドルを低速度で、ピンミルをパドルよりも高速度で共に回転させて10〜25分間混合攪拌した後、得られた顆粒を、露点が−10℃以下の乾燥気体を用いて乾燥する当該顆粒の製造方法。より好ましくは−20℃以下の乾燥気体を用いて乾燥する、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造法。乾燥気体は、具体的には乾燥空気である。
【0058】
(イ)前項において、パドルの回転を周速度1〜1.5メートル/秒で、ピンミルの回転を周速度8〜10メートル/秒で行う、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造法。
【0059】
また本発明では、上記製造方法を行うことで、水分量の少ない(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を得ることができる。よって、以下に記載する(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、本発明の好ましい実施形態である。
【0060】
なお、本発明の顆粒における好ましい水分量は、2000ppm以下である。さらに好ましくは1500ppm以下である。さらには1000ppm以下である。さらには800ppm以下が好ましい。また更に好ましい形態は、水分量としては、600ppm以下であることが好ましい。2000ppmを超えると、顆粒であっても顆粒同士による、ダマや、固体が発生しやすくなり、配管での詰まりや、充填された製品容器の中で固体化や塊状物が発生するおそれがある。より好ましくは550ppm以下であり、更に好ましくは500ppm以下であり、更に好ましくは350ppm以下である、特に好ましくは300ppm以下であり、最も好ましくは250ppm以下である。上記水分量は製造工程における顆粒の乾燥条件等を設定することで容易に得ることができる。原料や中間体として所望される水分量範囲はこのようにして調整し、所望する当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を製造することができる。
【0061】
本発明は、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒であって、水分含有量が2000ppm以下である(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒に関してである。顆粒という形状を採用することで、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体、通常は、平均粒子径が、0.1〜400μmの範囲である粉体は、乾燥された状態であっても外気の湿気の影響を受けやすく、吸湿により容易に塊状化し粉体ではなくなり取扱いが不便になる場合もある。よって、製品として粉体を得た後フレコンやペーパバック等の容器に充填しても厳重な吸湿防止対策が必要であり、当該フレコンやペーパバックは防湿仕様の容器が必要になる。
【0062】
また当該粉体の製造工程においても、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液から分離乾燥工程を経て得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体の近傍に存在する湿り気を、乾燥気体を使用し乾燥気体と置換しておく必要がある。この置換が十分に行われない場合、当該乾燥粉体を当該容器に充填した場合塊状化し、使用時に不便になる。しかし、本発明における、水分含有量が2000ppm以下で、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒であれば、通常の平均粒子径が、0.1〜400μmの範囲である粉体よりもはるかに湿気の影響を受け難く、塊状化もし難い。
よって、本発明の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を使用することで、従来問題であった、上記の取扱い上の、湿り気による塊状化を低減させることができる。また、顆粒状であっても、例えばアクリロイル基を持つ誘導体にするための出発物質としても粉体と同等の反応性を持ち、また重合性単量体としても同等の重合性を保有するものであり工業製品として有用である。
【0063】
また、本発明の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、トルエンやアルコール等の有機溶媒に分散させた分散体、あるいは溶解させたスラリーという形態で使用し、移送や貯蔵することは好ましい形態である。よって、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を含む分散体やスラリーは好ましい形態となる。また有機溶媒によっては、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を含む分散体はスラリー状態に近いものとなる。よって場合によっては、分散体はスラリーとも呼ばれる場合がある。当該分散体、またはスラリーの、温度25℃、湿度25%の雰囲気で、固形分濃度が40%になるように、当該金属塩をトルエン(500g)中に投入し、4枚ばねの攪拌羽を使用して、スリーワンモーターで200回/分の回転数で調製したスラリーにおける粘度が、1000mPa・s以下であることは好ましい。より好ましくは、800mPa・s以下である。さらに好ましくは、600mPa・s以下である。さらには500mPa・s以下である。さらには300mPa・s以下である。なお上記粘度はBL型粘度型を使用して測定する。
【0064】
また上記分散体で使用する有機溶媒は、メタノール、エタノール、ブタノール、等のアルコール系有機溶媒であってもよい。また、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール等の多価アルコールであってもよい。またケトン系やエーテル系溶媒であってもよい。また当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩が溶解する有機溶媒であってもよい。
【0065】
所望される用途および使用される分散体の条件により、所定の沸点の有機溶媒を選定する。また(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の分散状態、または溶解した粘度をもとに有機溶媒を選定してもかまわない。これらの有機溶媒は、例えば、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を原料にして誘導体を製造するときの反応溶媒としても使用できる。
【0066】
この場合、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒と有機溶媒を含む分散体またはスラリーという形態であってもよく、また(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体と有機溶媒を含む分散体またはスラリーという形態であってもよい。平均粒子径が0.1μm〜8mmの範囲の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒と有機溶媒を含む分散体またはスラリーという形態であってもよい。しかし、あまり平均粒子径が小さく、微粉体であると有機溶媒中に分散させるときにダマが発生したりして、分散体やスラリーを効率よく得ることが難しくなる場合もある。よって、平均粒子径が0.05〜8mmの範囲、より好ましくは、0.1〜8mm、さらに好ましくは0.1〜5mm、さらに好ましくは平均粒子径が0.5〜5mmの範囲の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒と有機溶媒を含む分散体またはスラリーという形態は分散体やスラリーとしては、好ましい形態となる。
【0067】
また本発明の当該粉体および/または顆粒、そして有機溶媒を含む分散体またはスラリーにおける、得られた分散体またはスラリーを100重量%とした場合の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の含有量は、3〜80重量%の範囲が好ましい。より好ましくは5〜70重量%である。さらに好ましくは6〜60重量%である。有機溶媒の含有量は、97〜20重量%である。さらには95〜30重量%である。さらには96〜40重量%である。また当該分散体またはスラリーの物性に影響しない範囲で公知の添加剤を併用することができる。例えばさらに重合禁止剤を配合するとか、粘度調整剤、充填剤、分散安定剤、顔料、染料、カップリング剤等である。また有機溶媒の代わりに重合性単量体を溶媒として使用した分散体であってもよい。この場合所定の重合性単量体を使用すれば分散体やスラリーのまま開始剤等を配合し熱や光により共重合させることもできる。
【0068】
また、本発明の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒、そして有機溶媒を含む分散体またはスラリーを使用して、貯蔵する方法、または移送する方法は好ましい形態となる。
【0069】
なお、上記の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を有機溶媒に分散させスラリーまたは分散体として取り扱う方法とは、具体的には(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を有機溶媒に分散させスラリーまたは分散体として貯蔵する方法、容器等に貯蔵して当該容器を移送する方法、当該分散体を反応容器に投入する方法、等を列記することができる。
【0070】
上記乾燥粉体および/または乾燥顆粒として容器に充填して取り扱った場合、容器中での塊状化、固体化により容器からの搬出がしにくくなる等や取扱いが煩雑になる等の問題が起こりえたが、上記の、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を有機溶媒に分散させスラリーまたは分散体として取り扱う方法を採用することでこの問題を解消することができる。
【0071】
また本発明の、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒であって、水分含有量が2000ppm以下である(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、各種条件を整えることで、上記のような、パドル、ピンミルおよびスプレイヤーを設けた混合攪拌機を持つ噴霧造粒機以外の噴霧造粒機でも製造することができる。以下は、本発明の第2の実施形態としての、連続流動造粒乾燥装置(例えば、大川原製作所製、ミクスグラード)を使用した(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法を示す。
【0072】
上記、連続流動造粒乾燥装置としては、流動層を有し流動層の上に、種材料(具体的には乾燥された(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体)を展開させ110℃から250℃で、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含む水溶液を、装置内に吹き込んで噴霧することで上記種材料を造粒する工程を持つことが好ましい形態となる。より好ましい吹き込み温度は、120℃〜230℃の範囲である。またより好ましくは、流動層上の造粒された紛粒体をコンベアで装置から排出する機構をもち、分級機を通して所定の微粉を流動層内に戻す工程を持つ。また所定以上の粒子径になった粒は、粉砕機に通して流動層内に戻す工程を有する形態が好ましい。また好ましい流動風速は、0.6〜1.0m/sである。またこの場合、造粒中の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の含水率は6〜13質量%の範囲が好ましい。含水率が6質量%を下回ると、乾燥しすぎてうまく粒になりにくく、また13質量%を超えると当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の状態が湿りすぎて混練が起こってうまく造粒できない場合がある。
【0073】
よって、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法であって、連続流動造粒乾燥装置の流動層の上に、種材料として(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体を展開し、110℃〜250℃の範囲の吹き込み温度で(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含む水溶液を、装置内に吹き込んで噴霧することで上記種材料を造粒することを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法は本発明の好ましい第2の実施形態である。またこの時に原料である(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含む水溶液に重合禁止剤が配合されている形態を採用することで、連続流動造粒乾燥装置の流動層上等の装置内でゲル化物が発生することを防ぐことができるので好ましい実施形態となる。重合禁止剤の配合量は、採用する連続流動造粒乾燥装置の温度条件、生産条件等を考慮し、また製造後の顆粒の特性(例えば重合性や着色性)に影響しないように、量を調整すればよい。その量は上記記載の重合禁止剤の量を参考にして選定すればよい。
【0074】
さらに上記、連続流動造粒乾燥装置が、流動層上で造粒された紛粒体をコンベアで当該装置から排出する機構をもち、分級機を通して所定の微粉を流動層内に戻す工程を持つことを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法は、好ましい第2の実施形態である。
【0075】
さらに上記、造粒中の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の含水率は6〜13質量%の範囲であることを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法は、好ましい第2の実施形態である。
【0076】
さらに上記、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法によって得られた顆粒を、振動流動乾燥機、攪拌流動乾燥機または風力流動乾燥機を使用して、露点が0℃以下になるまで除湿した、乾燥気体を50〜160℃に加熱して送気し、当該顆粒の含水率が0.2%以下になるまで乾燥することを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法は、好ましい第2の実施形態である。
【0077】
また上記の連続流動造粒乾燥装置を使用する(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法においても、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲、水分含有量が2000ppm以下である(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を製造することは好ましい形態となる。連続流動造粒乾燥装置を使用する(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法によって製造された当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、湿り気の影響を受け難く、顆粒同士の団結現象を粉体の状態より低減することができ取扱い性が向上する。また、合わせて、顆粒状であっても、粉体と同様な反応性を有するので各種化学品誘導体の原料または中間原料として有用である。
【0078】
また、本発明の連続流動造粒乾燥装置で使用する乾燥気体としては、露点が7℃以下であることが好ましい。より好ましくは、0℃以下であり、更に好ましくは、−8℃以下であり、特に好ましくは−16℃以下である。上記露点は外気温の適応範囲を示しており、露点7℃以下の乾燥気体は外気温が30℃以上の場合に適応できる。露点0℃以下の乾燥気体は外気温が20℃以上の場合であり、露点−8℃以下の乾燥気体は外気温が10℃以上の場合であり、露点−16℃以下の乾燥気体は外気温が0℃以上の場合であり、外気温に応じて適宜選択することができる。
この場合、連続流動造粒乾燥装置で顆粒を乾燥する時に使用する気体の温度は50℃〜160℃の範囲が好ましい。使用する気体のより好ましい温度は、50℃〜150℃である。さらに好ましくは50℃〜140℃、さらには60℃〜120℃である。50℃より温度が低いと乾燥効率が低下する。また160℃より高い温度の気体を使用する場合、当該顆粒に熱による作用がかかりやすくなり不用意な重合等の問題がおきやすくなる。
上記乾燥気体の温度は100℃以下が好ましく、さらに90℃以下であることが好ましい。より好ましくは、80℃以下であり、更に好ましくは、70℃以下である。乾燥気体を使用することでより効率よく顆粒周辺あるいは近傍にある湿り気を乾燥気体と置換することができ、固体化や塊状化を有効に防ぐことができる。
【0079】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
なお水分量の測定は以下によって行った。
【0080】
(水分量測定条件)
方法:カール・フィッシャー法
測定機器:自動水分測定装置KF−07型(三菱化学社製)
滴定溶剤:メタノール(試薬特級)
試料導入方法:滴定フラスコ内に試料を投入し、均一溶解させる
試料採取及び秤量雰囲気:相対湿度25%に調湿された気体
試料採取量:2.0±0.2g
水分測定終点待ち時間:30抄
なお、以下の実施例で、特に、重合禁止剤を記載しない以外は重合禁止剤としてハイドロキノンを200ppm含んだ(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液を使用した。顆粒の平均径の測定点は5バッチの製造で、異なる場所から10箇所顆粒のサンプルを採取し、それぞれを以下に示す方法で分布を求めその平均を求めた。
【0081】
(実施例1)
(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩としてのアクリル酸カリウムのケーキ(濃度55%のアクリル酸カリウム水溶液をドラム乾燥機(真空式)で連続濃縮して得られた含水率6.5重量%のアクリル酸カリウムのケーキ)56.2キログラムを、露点がマイナス40℃以下の、乾燥空気の雰囲気下で、パドルの回転速周度数1.2メートル/秒、ピンミルの回転周速度10メートル/秒の条件で運転を開始しているケムコ・フォーベルグ混合機(コトブキ技研工業(株)製.FP−60型をポリテトラフルオロエチレンでコーティングした装置)に仕込み、12重量%濃度のアクリル酸カリウム水溶液1キログラムを噴霧しながら15分間造粒操作を実施した後、運転を停止して得られた顆粒を流動乾燥機(不二パウダル(株)製ミゼットドライヤー)に移した。続いて、露点マイナス40℃以下の空気を70℃に加熱し、約100リッター/分の速度で吹き込んで乾燥し、排気が温度65℃で相対湿度5%以下になった時点で乾燥を終了した。得られた顆粒が室温付近に冷却した後排出した。
【0082】
乾燥に供した空気はポリイミド系の膜(宇部興産UBEメンブレンドライヤー)を通して除湿し、再加熱して循環使用した。同じ原料のケーキを用いて上記の操作を5回繰り返して得られた丸みを帯びた顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩としてのアクリル酸カリウムの収率(水分を除く仕込量に対する収率)は、99〜100%であった。得られた製品の平均含水率は0.05%であった。また、5バッチの当該アクリル酸カリウム顆粒製造の結果得られた顆粒の、平均粒子径とその粒度分布は以下であった。また、測定点は10個所であった。なお平均粒子径およびその粒度分布の測定はJIS K0069「化学製品の篩い分け試験法」の乾式篩い分け試験法に準じて行った。
【0083】
平均粒子径範囲 2.0mm以上 3%
平均粒子径範囲 1.6以上〜2.0mm未満 9%
平均粒子径範囲 1.0以上〜1.6mm未満 50%
平均粒子径範囲 0.5以上〜1.0mm未満 35%
平均粒子径範囲 0.5ミリ未満 3%
この結果、実施例1で得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の平均粒子径は、1.2mmであった。また高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したポリマー含有量は0.8重量%であった。
【0084】
上記条件にて所定量の顆粒を製造後、この顆粒200kgを密封材料の内袋を持つ二重構造のフレコンに充填し、木製パレット上に置き25℃相対湿度65%の倉庫にて30日間保管した。その後当該フレコンを吊り上げフレコンの底部を開け、顆粒の排出テストを行ったが、顆粒状態のままであり容易に全部排出でた。特に目立った固体化、塊状化も観測されなかった。また排出時の粉だちもほとんど発生しなかった。また、30日間保管後の当該顆粒の含水量は0.07%であった。また、製造された顆粒10gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。
【0085】
同様にして顆粒30gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。顆粒40gを100gのブタノールに分散させたが、やや粘度が高くなったが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。分散体の粘度が高くなっただけで分散体の取扱い上問題はなかった。また200mlのマヨネーズ瓶に上記3点の濃度の分散体を充填し、25℃の貯蔵庫に3ヶ月間保管した。いずれも著しい沈降等はなく、若干沈降していても振動、攪拌等で容易に分散体の状態に回復した。よって、有機溶媒を含む分散体としての貯蔵性も良好なものであると考えられた。
【0086】
次に同じような分散条件で、ブタノール10Lに対して当該顆粒を、上記3点の濃度に調整して、容積20Lの石油缶等の形態で25℃×3ヶ月貯蔵実験を行った。その結果、石油缶での貯蔵性も良好なものであった。一部沈降していたが、石油缶の上部を缶切りで開け、ハンドエアモータで攪拌することで容易に元の分散体の形態を示し、石油缶からの、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩と有機溶媒を含む分散体の排出も容易であった。よって、石油缶の状態で貯蔵し移送し使用することも可能であることがわかった。
【0087】
(比較例1)
ケムコ・フォーベルグ混合機のピンミルの運転を全く停止した外は実施例1と同じ条件で造粒および乾燥を行った結果、粒径8ミリを超える塊が20%発生し、粒径2ミリパスの部分の嵩比重を測定すると0.62と小さかった。また製造された比較例1の顆粒10gを100gのブタノールに分散させたが、粒径8ミリを超える塊状物が含まれておりすぐに沈降した。また熱履歴が多く付与されたためと考えられるが、ポリマー分は、1.5重量%と実施例1に比較して増加した。
【0088】
(比較例2)
乾燥に露点26℃の空気を使用した外は実施例1と同じ条件で造粒乾燥を行った結果、含水率が0.31%の製品を得た。得られた顆粒の平均粒子径とその分布は、実施例1と同程度であった。同じ条件で所定量の顆粒を製造後この顆粒200kgを密封材料の内袋を持つ二重構造のフレコンに充填し、25℃相対湿度65%の倉庫にて30日間保管した。その後排出テストを行ったが、含水量が多かったので顆粒状態であっても塊状化が進み、一部が固化し全部排出できなかった。
【0089】
(実施例2)
実施例1における、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩としてのアクリル酸カリウムのケーキ(濃度55%のアクリル酸カリウム水溶液をドラム乾燥機(真空式)で連続濃縮して得られた含水率6.5重量%のアクリル酸カリウムのケーキ)56.2キログラムの含水率を7.8%にしてやや顆粒径の大きな顆粒を製造した。他の製造条件等は実施例1と同じである。
【0090】
同じ原料のケーキを用いて上記の操作を5回繰り返して得られた丸みを帯びた顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の収得率(水分を除く仕込量に対する収得率)は、99〜100%であった。得られた製品の平均含水率は0.07%であった。また、5回の顆粒製造の結果得られた顆粒の、平均粒子径とその粒度分布は以下であった。測定点は同様に10箇所であった。以下はその平均である。なお平均粒子径およびその粒度分布の測定はJIS K0069「化学製品の篩い分け試験法」の乾式篩い分け試験法に準じて行った。
平均粒子径範囲 4.0 ミリ以上 6%
平均粒子径範囲 3.0mm以上〜4.0mm未満 22%
平均粒子径範囲 2.0mm以上〜3.0mm未満 48%
平均粒子径範囲 1.0mm以上〜2.0mm未満 18%
平均粒子径範囲 1.0ミリ未満 6%
所定量の顆粒を製造後、この顆粒200kgを密封材料の内袋を持つ二重構造のフレコンに充填し、25℃相対湿度65%の倉庫にて30日間保管した。その後排出テストを行ったが、含水量が0.07%と少なかったので顆粒状態のままであり容易に全部排出できた。また排出時の粉だちもほとんど発生しなかった。
また、製造された顆粒10gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。同様にして顆粒30gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。顆粒40gを100gのブタノールに分散させたが、やや粘度が高くなったが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。分散体の粘度が高くなっただけで分散体の取扱い上問題はなかった。また200mlのマヨネーズ瓶に上記3点の濃度の分散体を充填し、25℃の貯蔵庫に3ヶ月間保管した。いずれも著しい沈降等はなく、若干沈降していても振動、攪拌等で容易に分散体の状態に回復した。よって、有機溶媒を含む分散体としての貯蔵性も良好なものであると考えられた。
【0091】
この結果、実施例2で得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の平均粒子径は、2.5mmであった。また高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したポリマー含有量は0.5重量%であった。
【0092】
(実施例3)
実施例1における、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩としてのアクリル酸カリウムのケーキ(濃度55%のアクリル酸カリウム水溶液をドラム乾燥機(真空式)で連続濃縮して得られた含水率6.5重量%のアクリル酸カリウムのケーキ)56.2キログラムの含水率を9.5%にしてさらに顆粒径の大きな顆粒を製造した。他の製造条件等は実施例1と同じである。
【0093】
同じ原料のケーキを用いて上記の操作を5回繰り返して得られた丸みを帯びた顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の収得率(水分を除く仕込量に対する収得率)は、99〜100%であった。得られた製品の平均含水率は0.08%であった。また、10回の顆粒製造の結果得られた顆粒の、平均粒子径とその粒度分布は以下であった。なお平均粒子径およびその粒度分布の測定はJIS K0069「化学製品の篩い分け試験法」の乾式篩い分け試験法に準じて行った。
【0094】
平均粒子径範囲 5.0 ミリ以上 5%
平均粒子径範囲 4.0mm以上〜5.0mm未満 21%
平均粒子径範囲 3.0mm以上〜4.0mm未満 50%
平均粒子径範囲 2.0mm以上〜3.0mm未満 19%
平均粒子径範囲 2.0ミリ未満 5%
所定量の顆粒を製造後、この顆粒200kgを密封材料の内袋を持つ二重構造のフレコンに充填し、25℃相対湿度65%の倉庫にて30日間保管した。その後排出テストを行ったが、含水量が0.08%と少なかったので顆粒状態のままであり容易に全部排出できた。また排出時の粉だちもほとんど発生しなかった。
また、製造された顆粒10gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。同様にして顆粒30gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。顆粒40gを100gのブタノールに分散させたが、やや粘度が高くなったが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。分散体の粘度が高くなっただけで分散体の取扱い上問題はなかった。また200mlのマヨネーズ瓶に上記3点の濃度の分散体を充填し、25℃の貯蔵庫に3ヶ月間保管した。いずれも著しい沈降等はなく、若干沈降していても振動、攪拌等で容易に分散体の状態に回復した。よって、有機溶媒を含む分散体としての貯蔵性も良好なものであると考えられた。
【0095】
この結果、実施例3で得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の平均粒子径は、3.6mmであった。また高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したポリマー含有量は0.4重量%であった。
【0096】
(実施例4)
混合造粒装置として実施例1で使用した物と同型で、その容器、パドル、ピンミルおよびピンミルカーがポリテトラフルオロエチレン(商品名テフロン:登録商標)でコーティングされていない、ステンレス製(SUS−304)の混合攪拌機を使用し、実施例1と同じ条件で3回造粒および乾燥を行った。製品の収得率は初回が84.5%、2回目が89.5%、3回目が93.4%であった。顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の物性を測定した結果、粒径2ミリ以上の大粒の比率が多くなっていたが実用上何等支障はないものであった。
【0097】
この結果、実施例4で得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の平均粒子径は、1.5mmであった。また高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したポリマー含有量は0.7重量%であった。
含水率: 0.06%
粒度分布:
平均粒子径範囲 2mmを超える 7%
平均粒子径範囲 2〜0.5mm 88%
平均粒子径範囲 0.5mm未満 5%
(実施例5)
メタノール溶媒中でアクリル酸と水酸化カリウムを反応させて生成した(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩のスラリーを遠心濾過して得られたケーキを窒素を通しながら乾燥機としてドラムドライヤーを使用して温度130℃〜140℃のドラム表面温度に設定して乾燥した。但し(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩のスラリーの原料として、アクリル酸としては、Nオキシル化合物として、4−ヒドロキシ−2、2、6、6、−テトラメチルピペリジン−1−オキシルを3ppm含有するものを使用しさらにメトキシハイドロキノン(メトキノン)を100ppm中和時に配合したものを用いた。得られた粉末状のアクリル酸カリウムの粒度分布および含水率は、以下の通りであった。
平均粒子径範囲 500〜200μm 5%
平均粒子径範囲 199〜100μm 30%
平均粒子径範囲 100μm未満 65%
含水率 0.05%
ポリマー量 0.5%
この(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉末を原料にして、水の添加量を3.5%に変更した外は実施例1と同じ条件で造粒および乾燥を行った。得られた、丸みを帯びた顆粒状アクリル酸カリウムの特性値は以下の通りであった。
含水率 0.06%
粒度分布(重量%)
平均粒子径範囲 1.0mm以上 1%
平均粒子径範囲 0.5mm以上〜1.0mm未満 45%
平均粒子径範囲 0.1mm以上〜0.5mm未満 49%
平均粒子径範囲 0.1mm 未満 5%
粒度は、実施例1と比較すると、やや小さくなったが、実用上何等支障はないものである。
【0098】
この結果、実施例5で得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の平均粒子径は、1.0mmであった。また高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したポリマー含有量は0.7重量%であった。
【0099】
上記条件にて所定量の顆粒を製造後、この顆粒200kgを密封材料の内袋を持つ二重構造のフレコンに充填し、木製パレット上に置き25℃相対湿度65%の倉庫にて30日間保管した。その後当該フレコンを吊り上げフレコンの底部を開け、顆粒の排出テストを行ったが、顆粒状態のままであり容易に全部排出できた。特に目立った固体化、塊状化も観測されなかった。また排出時の粉だちもほとんど発生しなかった。また、30日間保管後の当該顆粒の含水量は0.07%であった。また、製造された顆粒10gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。同様にして顆粒30gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。顆粒40gを100gのブタノールに分散させたが、やや粘度が高くなったが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。分散体の粘度が高くなっただけで分散体の取扱い上問題はなかった。また200mlのマヨネーズ瓶に上記3点の濃度の分散体を充填し、25℃の貯蔵庫に3ヶ月間保管した。いずれも著しい沈降等はなく、若干沈降していても振動、攪拌等で容易に分散体の状態に回復した。よって、有機溶媒を含む分散体としての貯蔵性も良好なものであると考えられた。
【0100】
次に同じような分散条件で、ブタノール10Lに対して当該顆粒を、上記3点の濃度に調整して、容積20Lの石油缶等の形態で25℃×3ヶ月貯蔵実験を行った。その結果、石油缶での貯蔵性も良好なものであった。一部沈降していたが、石油缶の上部を缶切りで開け、エアモータで攪拌することで容易に元の分散体の形態を示し、石油缶からの、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩と有機溶媒を含む分散体の排出も容易であった。よって、石油缶の状態で貯蔵し移送し使用することも可能であることがわかった。
【0101】
(実施例6)
原料の水添加量を8.5重量%に変更した外は実施例2と同じ条件で製造し、含水率0.06%の丸みを帯びた顆粒状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を得た。物性を測定した結果を以下に示す。諸特性は製品として何等問題の無いものであった。
粒度分布
平均粒子径範囲 2mmを超える 2%
平均粒子径範囲 2〜0.5mm 94%
平均粒子径範囲 0.5mm未満 4%
この結果、実施例6で得られた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の平均粒子径は、1.5mmであった。また高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したポリマー含有量は0.5重量%であった。
【0102】
(実施例7)
実施例1と同じ原料を径1ミリのスクリーンから押出し、造粒して得られたペレットをフォーベルグ混合機(60型)に56キログラム仕込み、実施例1と同じ条件で造粒した後、露点マイナス25℃の窒素を吹き込みながら乾燥機温度を80℃に設定して回転式乾燥機で乾燥し、含水率0.07%の丸みを帯びた顆粒状アクリル酸カリウムを得た。粒度分布を測定すると径1.2ミリ以上は2%、径1.2〜0.5ミリは92%、径0.5ミリ以下は6%であった。
【0103】
(比較例3)
実施例6に使用したペレット状(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を実施例6で使用した回転式乾燥機に仕込み、露点25℃の空気を150℃に加熱した熱風で乾燥機の排気温度90℃に達する迄乾燥し、円柱状の顆粒状アクリル酸カリウムの製造を試みたが、乾燥空気の温度が高いために、乾燥工程の途中で顆粒の一部がゲル化してしまった。
【0104】
(実施例8)
なお以下は本件の実施形態2に関しての実施例であり、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲、水分含有量が2000ppm以下であることを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を好ましく製造できる実施例である。
【0105】
噴霧造粒機として、連続流動造粒乾燥装置(例えば、大川原製作所製、ミクスグラード)を使用した(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法を以下に示す。
【0106】
上記、連続流動造粒乾燥装置としては、流動層を有しており、当該流動層の上に、種材料(具体的には乾燥されたアクリル酸カリウム粉体を展開させ110℃から250℃で、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含む水溶液を、装置内に吹き込んで噴霧することを行った。この時の吹き込み温度は、120℃〜230℃の範囲であった。上記ミクスグラードは、流動層上の造粒された紛粒体をコンベアで装置から排出する機構をもち、分級機を通して所定の微粉を流動層内に戻す工程を持っており、所定以上の粒子径になった粒は、粉砕機に通して流動層内に戻す工程を有する形態も有していた。また所定の乾燥工程を経て当該顆粒を製造した。この時に流動風速は、0.8m/sであった。上記(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含む水溶液として、メチルハイドロキノンを150ppm含む、50質量%濃度のアクリル酸カリウム水溶液を使用した。このようにして乾燥されたアクリル酸カリウム顆粒、具体的には、平均粒子径が0.5〜1.4mm、水分量が500ppmである顆粒を製造した。
【0107】
(実施例9)
実施例1における(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩としてのアクリル酸カリウムをメタクリル酸カリウムに変更した以外は、実施例1と同様にしてメタクリル酸カリウムの顆粒を製造した。顆粒の物性はほぼ、実施例1の顆粒と同様であった。具体的には以下である
平均粒子径範囲 2.0mm以上 5%
平均粒子径範囲 1.7以上〜2.0mm 未満 7%
平均粒子径範囲 1.0以上〜1.7mm 未満 48%
平均粒子径範囲 0.5以上〜1.0mm 未満 37%
平均粒子径範囲 0.5ミリ未満 3%
この結果得られたメタクリル酸カリウムの顆粒の平均粒子径は、1.3mmであった。また高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したポリマー含有量は0.6重量%であった。製造後の水分は0.05%であった。
【0108】
上記条件にて所定量の顆粒を製造後、この顆粒200kgを密封材料の内袋を持つ二重構造のフレコンに充填し、木製パレット上に置き25℃相対湿度65%の倉庫にて30日間保管した。その後当該フレコンを吊り上げフレコンの底部を開け、顆粒の排出テストを行ったが、顆粒状態のままであり容易に全部排出できた。特に目立った固体化、塊状化も観測されなかった。また排出時の粉だちもほとんど発生しなかった。また、30日間保管後の当該顆粒の含水量は0.07%であった。また、製造された顆粒10gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。同様にして顆粒30gを100gのブタノールに分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。顆粒40gを100gのブタノールに分散させたが、やや粘度が高くなったが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。分散体の粘度が高くなっただけで分散体の取扱い上問題はなかった。また200mlのマヨネーズ瓶に上記3点の濃度の分散体を充填し、25℃の貯蔵庫に3ヶ月間保管した。いずれも著しい沈降等はなく、若干沈降していても振動、攪拌等で容易に分散体の状態に回復した。よって、有機溶媒を含む分散体としての貯蔵性も良好なものであると考えられた。
【0109】
次に同じような分散条件で、ブタノール10Lに対して当該顆粒を、上記3点の濃度に調整して、容積20Lの石油缶等の形態で25℃×3ヶ月貯蔵実験を行った。その結果、石油缶での貯蔵性も良好なものであった。一部沈降していたが、石油缶の上部を缶切りで開け、エアモータで攪拌することで容易に元の分散体の形態を示し、石油缶からの、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩と有機溶媒を含む分散体の排出も容易であった。よって、石油缶の状態で貯蔵し移送し使用することも可能であることがわかった。
【0110】
よって以上の実施例より、この有機溶媒であるブタノールに分散させた当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、分散体であるので貯蔵性や移送性に優れたものとなる。つまり顆粒状等の外気に影響を受けやすい形状ではなく、有機溶媒の分散体であるので取扱いが容易となる。よって、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を含む有機溶媒の分散体は好ましい形態である。つまり、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲、水分含有量が2000ppm以下であることを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を含む有機溶媒の分散体も本発明の好ましい実施形態となる。当該有機溶媒としては特に限定しない。通常のアルコールやケトン系溶媒等が使用できる。ただ、有機溶媒によっては、当該顆粒が溶解する場合があるのでその場合は、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を含む有機溶媒溶液となる。所望により有機溶媒を選定すればよい。
【0111】
(実施例10)
以下の実施例は、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体および有機溶媒を含む分散体に関しての実施例である。
【0112】
アクリル酸水溶液と水酸化カリウム水溶液を反応させて生成した、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液(固形分濃度50質量%)としての、50質量%アクリル酸カリウム水溶液を遠心式噴霧乾燥装置(大川原化工機社製、型式OD−50、サイクロン一点捕集)の塔頂部より連続的に噴霧した。使用したディスクは、M型、直径125mmで回転数は18000rpmであり、原料供給量は80kg/hであった。上記遠心式噴霧乾燥装置下で得られた当該アクリル酸カリウム粉体の水分量は、250ppmであった。アクリル酸カリウム粉体の受器として粉体投入口、粉体排出口、乾燥空気投入口及び空気排出口を備えた容積200LのSUS304製ホッパーを使用した。なお、空気投入口は中央底部にあり、そこから投入した。スプレードライヤーの入口熱風温度185℃、出口温度120℃、ホッパーへの乾燥空気投入速度0.278[L/s]、投入空気露点0℃、相対湿度26%、投入空気温度20℃、乾燥空気投入時間1時間の条件で1時間連続噴霧乾燥した結果、嵩比重0.344g/ml、水分量166ppm、粒子径が74μm未満の粒子の割合が96質量%のアクリル酸カリウム粉体が36.8kg得られた。収率は92質量%であった。
【0113】
乾燥直後の粉体の比表面積は1.05m2/gであり、充填前の粉体の比表面積は0.89m2/gであった。比表面積保持率は85%であった。上記で得られたアクリル酸カリウム粉体10gを100gのブタノールにダマがなくなるまで十分に分散させたが、特に分散性の点で凝集や粘度上昇が起きる現象は発現しなかった。後は実施例9と同様にして分散体固形分濃度を変更して、マヨネーズ瓶による貯蔵性、石油缶による貯蔵性を見たが、粉体であり分散体を製造するときに、若干余分に攪拌時間を必要としたこと以外はいずれも実施例9で製造した分散体の貯蔵性、排出性と遜色ない結果であった。
【0114】
【発明の効果】
本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、粉体状ではなく平均粒子径が0.5〜8mmの範囲、水分含有量が2000ppm以下である顆粒であるので(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩と遜色ない特性をもちながら、粉体に比べて湿り気の影響をうけにくく、また顆粒同士の塊状化も低減できる。また、使用時に粉体の粉の舞い上がり等の問題もなく、顆粒状であるので充填された容器からの排出性も良好である。また得られた顆粒の各種溶媒への分散性や溶解性も(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体と遜色ない。よって、本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、(メタ)アクリロイル基を導入するための原料、各種中間体原料、重合用原料としいて有用である。
より具体的には、本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、従来の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体に比べて、表面積が小さいので水分の影響を受け難く団結化や塊状化等も低減される。また、有機溶媒等に分散して使用する形態においても、従来の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体は粒子径が小さすぎると分散時あるいは溶解時、ママコになりやすく、効率よく溶解あるいは分散しにくい場合もあったが、当該顆粒ではその問題点も低減できる。
【0115】
また、従来の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体は、どうしても粉体であるので平均粒子径が小さく、当該粉体の使用時や製造工程で容器への充填時に粉体が舞い上がる等の取扱い性が悪い点もあったが、当該顆粒ではそのような問題点を低減できる。また当該顆粒はフレコンやペーパーバックに充填後排出するときにもこれら容器からの排出性も粉体に比べ良好で排出作業時間等が短縮できる。特に、100kg以上あるいは200kg以上等の大量の顆粒をフレコンや他の容器へ充填しこれらフレコンや容器から当該顆粒を排出するときに、特に良好な短時間での排出が可能になる。
【0116】
よって、本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒は、平均粒子径が0.1〜500μmの(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩粉体と同様の特性を有しながら、湿り気に影響を受け難い、取扱い性の向上したものであり、各種用途に適した有用な工業製品となる。
【0117】
また本件の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を得るための製造方法は、パドル、ピンミルおよびスプレイヤーを設けた混合攪拌機であり、上記混合攪拌機にケーキ、フレークおよびパウダーから、選択されるひとつを仕込み、その含水率が3〜13重量%になるように調節しながら5〜40分間攪拌混合して造粒した後、温度が40℃〜160℃の乾燥気体を用いて乾燥することにより製造する。より好ましくは、温度70℃以下および露点が0℃以下の乾燥気体を用いて乾燥することを特徴とする攪拌造粒装置を用いて製造されるので、効率よくかつ熱による当該顆粒の変性(具体的には不用意な重合)も抑制しながら乾燥状態の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を製造することができる。また、本発明の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を得るための製造方法は、連続流動造粒乾燥装置を使用しても製造することができる。
【0118】
また、例えば有機溶媒であるブタノールに当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を分散することによって得られた分散体またはスラリーは、貯蔵性や移送性に優れたものとなる。つまり粉体や顆粒状等の外気に影響を受けやすい形状ではなく、有機溶媒の分散体であるので湿り気の影響が少なくなり取扱いが容易となる。よって、当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を含む有機溶媒の分散体は好ましい形態である。そしてこの分散体を使用した貯蔵方法や移送方法も好ましい実施形態となる。
【0119】
よって当該(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩の粉体および/または顆粒を分散することによって得られた分散体またはスラリーは、外気の影響を受け難く、また必要に応じそのまま反応原料として使用できる工業的にも有用な形態となる。
Claims (8)
- (メタ)アクリル酸アルカリ金属塩および重合禁止剤を含むケーキ、フレークおよびパウダーから、攪拌造粒装置を用いて(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒を製造する方法において、当該攪拌造粒装置は、パドル、ピンミルおよびスプレイヤーを設けた混合攪拌機であり、上記混合攪拌機にケーキ、フレークおよびパウダーから、選択されるひとつを仕込み、その含水率が3〜13重量%になるように調節しながら5〜40分間攪拌混合して造粒した後、温度50〜160℃の範囲の気体を用いて乾燥することを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法。
- 上記(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩および重合禁止剤を含むケーキ、フレークおよびパウダーの水分含有量が、13重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法。
- 上記上記混合攪拌機のスプレーヤーから、純水または濃度50重量%以下に調製された(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩水溶液を、当該混合攪拌機に仕込まれた(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩含むケーキ、フレークまたはパウダーの含水率が3〜13重量%になるように噴霧することを特徴とする請求項1または2記載の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法。
- パドルを低速度で、ピンミルをパドルよりも高速度で共に回転させて10〜25分間混合攪拌した後、得られた顆粒を、露点が0℃以下の空気を用いて乾燥する請求項1〜3に記載の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法。
- 上記パドルの回転を周速度1〜1.5メートル/秒で、ピンミルの回転を周速度8〜10メートル/秒で行う請求項1〜4に記載の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法。
- 上記、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法によって得られた顆粒を、振動流動乾燥機、攪拌流動乾燥機または風力流動乾燥機を使用して、露点が0℃以下になるまで除湿した、乾燥気体を50〜160℃に加熱して送気し、当該顆粒の含水率が0.2%以下になるまで乾燥することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法。
- 平均粒子径が0.5〜8mmの範囲、水分含有量が2000ppm以下であることを特徴とする(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒。
- 上記請求項1〜6にいずれかに記載の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒の製造方法によって製造された、平均粒子径が0.5〜8mmの範囲、水分含有量が2000ppm以下である(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩顆粒。
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EP2028217A4 (en) * | 2006-05-12 | 2012-04-04 | Sumitomo Seika Chemicals | PROCESS FOR PRODUCTION OF GRANULAR CARBOXYLATED POLYMER PARTICLES AND PARTICLES THUS PRODUCED |
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2003
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