JP2004344950A - 形状記憶合金チューブの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】内周面に密着性の高い被覆層を有する形状記憶合金チューブの製造方法を提供すること。
【解決手段】内周面に金属の被覆層を有する形状記憶合金チューブの製造方法であって、前記金属の被覆層となる、Auチューブ素材2に、形状記憶合金チューブ素材1を被せてクラッド材を形成する工程と、前記クラッド材の材質間の圧着を行うとともに形状を整えるための冷間加工又は温間加工を施す工程とを有する。また前記クラッド材に冷間加工又は温間加工を施す工程の前に、熱間静水圧処理、冷間静水圧処理、爆着処理から選択されるいずれかの加圧処理を施す工程を有するとよい。
【選択図】 図1
【解決手段】内周面に金属の被覆層を有する形状記憶合金チューブの製造方法であって、前記金属の被覆層となる、Auチューブ素材2に、形状記憶合金チューブ素材1を被せてクラッド材を形成する工程と、前記クラッド材の材質間の圧着を行うとともに形状を整えるための冷間加工又は温間加工を施す工程とを有する。また前記クラッド材に冷間加工又は温間加工を施す工程の前に、熱間静水圧処理、冷間静水圧処理、爆着処理から選択されるいずれかの加圧処理を施す工程を有するとよい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内周面に金属の被覆層を有する形状記憶合金チューブの製造方法に係り、特に医療分野での使用に好適な形状記憶合金チューブの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
TiNi合金をはじめとする形状記憶合金はマルテンサイト変態の逆変態に付随して顕著な形状記憶効果及び超弾性を示すことはよく知られている。なかでもTiNi合金は生活環境温度の近傍で優れた機能を持つことから、電子レンジのダンパー、エアコン風向制御装置、炊飯器蒸気調圧弁、建築用の換気口、携帯電話アンテナ、眼鏡フレームなど幅広い分野で使用されている。また、医療分野への応用の試みはこの合金開発の当初からなされ、これまでに歯列矯正ワイヤー、人工歯根、血管拡張コイル、ガイドワイヤー、カテーテル等が実用化されている。
【0003】
しかしながら、形状記憶合金、特にTiNi合金を使用した血管拡張ステント、カテーテルチューブにおいては酸化によるチューブ内周面のスケール生成の問題がある。これらのチューブは体内に入れて使用するため、スケールの脱落が大きな問題を起こす可能性がある。そこで、特許文献1ではカテーテル本体の形状記憶合金部分の外周面を被覆してポリマー層を形成し、内周面を被覆してAu、Ag、Pt、Pd、Taから選択される金属層を形成してなるカテーテルが提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、形状記憶合金チューブの内周面にAu、Ag、Ptといった金属をめっきすることにより、加工工程における内周面の酸化、それに伴うスケールの生成を防止し、内周面を清浄に保つ方法が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−9695号公報
【特許文献2】
特開2001−187984号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電気めっき等の際、表面酸化等によりめっき密着性が低下し、剥離するといった問題があった。そこで、本発明の課題は、内周面に密着性の高い被覆層を有する形状記憶合金チューブの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の形状記憶合金チューブの製造方法は、内周面に金属の被覆層を有する形状記憶合金チューブの製造方法であって、前記金属の被覆層となる、Au、Ag、Pt、Pd、Taから選択される少なくとも1つを含む金属又は合金のチューブに、形状記憶合金のチューブを被せてクラッド材を形成する工程と、前記クラッド材の材質間の圧着を行うとともに形状を整えるための冷間加工又は温間加工を施す工程とを有することを特徴とする。
【0008】
また、前記形状記憶合金チューブの製造方法は、前記クラッド材に冷間加工又は温間加工を施す工程の前に、熱間静水圧処理、冷間静水圧処理、爆着処理から選択されるいずれかの加圧処理を施す工程を有することができる。
【0009】
次に、本発明の作用を説明する。
【0010】
本発明においては、Au、Ag、Pt、Pd、Taの少なくとも1つを含む金属又は合金のチューブに形状記憶合金チューブを被せてクラッド材とし、加工によって最終形状とするとともに、その金属又は合金のチューブと、形状記憶合金チューブとを圧着させる。また圧着性を向上させるために、熱間静水圧処理、冷間静水圧処理又は爆着処理等の処理によって予め前記金属又は合金のチューブと形状記憶合金チューブを密着させたのちに冷間加工又は温間加工を行ってもよい。
【0011】
このように、めっき工程を行うことなく、冷間加工又は温間加工によって最終形状を得るので、内周面の表面酸化による剥離などは発生せず、内周面が清浄な形状記憶合金チューブが得られる。また、内周面の金属被覆層には、X線をよく吸収する金属又は合金を用いたので、医療分野の使用において重要なX線造影性を高めた形状記憶合金チューブが得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
まず、形状記憶合金チューブ素材と、このチューブ内面を被覆しようとする金属又は合金のチューブとによるクラッド材を作製する。
【0014】
必要に応じて、熱間静水圧処理、冷間静水圧処理、爆着処理から選択されるいずれかの加圧処理を行い、クラッド材の材質間の密着性を高める。
【0015】
次に、適切な加工性を有する金属の丸棒を芯材にして、温間又は冷間での伸線加工と焼鈍の工程を繰り返して、所望の形状にする。
【0016】
引き続き、超弾性処理としての熱処理を行ったのち、芯抜きを行って、内周面に金属の被覆層が形成された形状記憶合金チューブを得る。
【0017】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明する。
【0018】
(実施例1)本発明のクラッド材の断面図を示す図1を参照して説明する。Niが51原子%、残部がTiである組成の合金からなり、外径が15mm、内径が10mmの形状記憶合金チューブ素材1を用いた。TiNi合金のNi又はTiの一部を第3の元素、例えば、Fe、Cr、V、Mn、Zr、Co、Cuなどで置換したものも使用可能である。また、外径15mm、内径10mmの、Ti−51原子%Ni合金の形状記憶合金チューブ素材1にかろうじて入る外径10mmのAuチューブ(18K)素材を用いた。Auチューブ素材2にTiNi合金の形状記憶合金チューブ素材1を被せてクラッド材とし、Cuの丸棒を芯金にして焼鈍及び伸線加工を繰り返し、外径1.5mm、内径1.0mmまで加工した。その後、超弾性処理として500℃で5分間の熱処理を行って芯抜きした。クラッド化されたAuチューブの加工後の厚さを測定した結果、膜厚は10μmであった。
【0019】
このようにして得られた、内周面に金属の被覆層を有する形状記憶合金チューブについて、室温での90度曲げテスト、曲げ変形(5%歪み)を加えた後の形状回復率、及びX線造影性を調べた。
【0020】
(実施例2)実施例1の焼鈍及び伸線加工前のものに爆着処理を行い、後は実施例1と同様に、内周面に金属の被覆層を有する形状記憶合金チューブを作製して、実施例1と同じ試験を行った。
【0021】
図3に、本実施例2の工程をフロー図で示す。ステップS1は形状記憶合金チューブ素材とAuチューブ素材によるクラッド材の作製工程であり、ステップS2はクラッド材の材質間の密着性を予め高めておく爆着処理の工程であり、ステップS3は焼鈍及び伸線加工を繰り返して、所望の形状を得る工程であり、ステップS4は超弾性処理の工程である。
【0022】
次に、本発明の比較例を説明する。
【0023】
(比較例)図2は、本比較例のAuめっきを施した形状記憶合金チューブ素材の断面図である。Niが51原子%、残部がTiである組成の合金からなり、外径が15mm、内径が10mmの形状記憶合金チューブ素材1を用いた。そして、この形状記憶合金チューブ素材1の内周面にAuめっき3を施した。Auめっき3の厚さは100μmとした。次に、Cuの丸棒を芯金にして、焼鈍及び伸線加工を繰り返し、少なくとも20%の加工率でチューブを作製した。得られた、外径1.5mm、内径1.0mmのチューブにおけるめっき厚は10μmであった。その後、超弾性処理として500℃で5分間の熱処理を行って芯抜きした。
【0024】
外径1.5mm、内径1.0mmのチューブにおいて、実施例1及び2と同じ試験を行った。
【0025】
表1に、実施例1及び2、並びに比較例での試験結果を示す。
【0026】
【表1】
【0027】
Auめっき材を用いた比較例の結果と比べると、実施例の形状記憶合金チューブは比較例と同等の超弾性特性を示し、且つTiNi合金チューブとAuチューブとの密着性に富んでいることが、表1から、容易に判断できる。
【0028】
また、これらのチューブを長手方向に分割して内周面を観察した結果によると、表面酸化によるスケールの生成は見られなかった。
【0029】
さらに、X線撮影を行い、造影写真を得て、Au層によるX線造影性の向上を確認した。このように医療用途に向けてAu金属を配していることにより、X線下における高い造影性を実現できた。
【0030】
なお、50μmを超えるAu厚さでは、10μm以下のAu厚さのものに比較して、形状回復率が著しく低下する。このため、Au厚さは50μm以下とすることが望ましい。
【0031】
ところで、以上の実施例においては、形状記憶合金チューブの内周面を被覆する金属として、Auを用いたが、他に、Ag、Pt、Pd、Taの使用が可能であり、それらの合金を用いることもできる。
【0032】
以上、TiNi系合金についての例を示したが、本発明は、CuAl系合金などの形状記憶合金チューブの製造方法にも適応できる。
【0033】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、X線造影性が高く、密着性の高い被覆層により内周面が清浄に保たれ、良好な超弾性特性を持った形状記憶合金チューブの製造方法の提供が可能となる。特に製造工程における内周面の酸化、それに伴うスケールの生成を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクラッド材の断面図。
【図2】比較例のAuめっきを施した形状記憶合金チューブ素材の断面図。
【図3】実施例2の工程を示すフロー図。
【符号の説明】
1 形状記憶合金チューブ素材
2 Auチューブ素材
3 Auめっき
【発明の属する技術分野】
本発明は、内周面に金属の被覆層を有する形状記憶合金チューブの製造方法に係り、特に医療分野での使用に好適な形状記憶合金チューブの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
TiNi合金をはじめとする形状記憶合金はマルテンサイト変態の逆変態に付随して顕著な形状記憶効果及び超弾性を示すことはよく知られている。なかでもTiNi合金は生活環境温度の近傍で優れた機能を持つことから、電子レンジのダンパー、エアコン風向制御装置、炊飯器蒸気調圧弁、建築用の換気口、携帯電話アンテナ、眼鏡フレームなど幅広い分野で使用されている。また、医療分野への応用の試みはこの合金開発の当初からなされ、これまでに歯列矯正ワイヤー、人工歯根、血管拡張コイル、ガイドワイヤー、カテーテル等が実用化されている。
【0003】
しかしながら、形状記憶合金、特にTiNi合金を使用した血管拡張ステント、カテーテルチューブにおいては酸化によるチューブ内周面のスケール生成の問題がある。これらのチューブは体内に入れて使用するため、スケールの脱落が大きな問題を起こす可能性がある。そこで、特許文献1ではカテーテル本体の形状記憶合金部分の外周面を被覆してポリマー層を形成し、内周面を被覆してAu、Ag、Pt、Pd、Taから選択される金属層を形成してなるカテーテルが提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、形状記憶合金チューブの内周面にAu、Ag、Ptといった金属をめっきすることにより、加工工程における内周面の酸化、それに伴うスケールの生成を防止し、内周面を清浄に保つ方法が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−9695号公報
【特許文献2】
特開2001−187984号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電気めっき等の際、表面酸化等によりめっき密着性が低下し、剥離するといった問題があった。そこで、本発明の課題は、内周面に密着性の高い被覆層を有する形状記憶合金チューブの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の形状記憶合金チューブの製造方法は、内周面に金属の被覆層を有する形状記憶合金チューブの製造方法であって、前記金属の被覆層となる、Au、Ag、Pt、Pd、Taから選択される少なくとも1つを含む金属又は合金のチューブに、形状記憶合金のチューブを被せてクラッド材を形成する工程と、前記クラッド材の材質間の圧着を行うとともに形状を整えるための冷間加工又は温間加工を施す工程とを有することを特徴とする。
【0008】
また、前記形状記憶合金チューブの製造方法は、前記クラッド材に冷間加工又は温間加工を施す工程の前に、熱間静水圧処理、冷間静水圧処理、爆着処理から選択されるいずれかの加圧処理を施す工程を有することができる。
【0009】
次に、本発明の作用を説明する。
【0010】
本発明においては、Au、Ag、Pt、Pd、Taの少なくとも1つを含む金属又は合金のチューブに形状記憶合金チューブを被せてクラッド材とし、加工によって最終形状とするとともに、その金属又は合金のチューブと、形状記憶合金チューブとを圧着させる。また圧着性を向上させるために、熱間静水圧処理、冷間静水圧処理又は爆着処理等の処理によって予め前記金属又は合金のチューブと形状記憶合金チューブを密着させたのちに冷間加工又は温間加工を行ってもよい。
【0011】
このように、めっき工程を行うことなく、冷間加工又は温間加工によって最終形状を得るので、内周面の表面酸化による剥離などは発生せず、内周面が清浄な形状記憶合金チューブが得られる。また、内周面の金属被覆層には、X線をよく吸収する金属又は合金を用いたので、医療分野の使用において重要なX線造影性を高めた形状記憶合金チューブが得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
まず、形状記憶合金チューブ素材と、このチューブ内面を被覆しようとする金属又は合金のチューブとによるクラッド材を作製する。
【0014】
必要に応じて、熱間静水圧処理、冷間静水圧処理、爆着処理から選択されるいずれかの加圧処理を行い、クラッド材の材質間の密着性を高める。
【0015】
次に、適切な加工性を有する金属の丸棒を芯材にして、温間又は冷間での伸線加工と焼鈍の工程を繰り返して、所望の形状にする。
【0016】
引き続き、超弾性処理としての熱処理を行ったのち、芯抜きを行って、内周面に金属の被覆層が形成された形状記憶合金チューブを得る。
【0017】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明する。
【0018】
(実施例1)本発明のクラッド材の断面図を示す図1を参照して説明する。Niが51原子%、残部がTiである組成の合金からなり、外径が15mm、内径が10mmの形状記憶合金チューブ素材1を用いた。TiNi合金のNi又はTiの一部を第3の元素、例えば、Fe、Cr、V、Mn、Zr、Co、Cuなどで置換したものも使用可能である。また、外径15mm、内径10mmの、Ti−51原子%Ni合金の形状記憶合金チューブ素材1にかろうじて入る外径10mmのAuチューブ(18K)素材を用いた。Auチューブ素材2にTiNi合金の形状記憶合金チューブ素材1を被せてクラッド材とし、Cuの丸棒を芯金にして焼鈍及び伸線加工を繰り返し、外径1.5mm、内径1.0mmまで加工した。その後、超弾性処理として500℃で5分間の熱処理を行って芯抜きした。クラッド化されたAuチューブの加工後の厚さを測定した結果、膜厚は10μmであった。
【0019】
このようにして得られた、内周面に金属の被覆層を有する形状記憶合金チューブについて、室温での90度曲げテスト、曲げ変形(5%歪み)を加えた後の形状回復率、及びX線造影性を調べた。
【0020】
(実施例2)実施例1の焼鈍及び伸線加工前のものに爆着処理を行い、後は実施例1と同様に、内周面に金属の被覆層を有する形状記憶合金チューブを作製して、実施例1と同じ試験を行った。
【0021】
図3に、本実施例2の工程をフロー図で示す。ステップS1は形状記憶合金チューブ素材とAuチューブ素材によるクラッド材の作製工程であり、ステップS2はクラッド材の材質間の密着性を予め高めておく爆着処理の工程であり、ステップS3は焼鈍及び伸線加工を繰り返して、所望の形状を得る工程であり、ステップS4は超弾性処理の工程である。
【0022】
次に、本発明の比較例を説明する。
【0023】
(比較例)図2は、本比較例のAuめっきを施した形状記憶合金チューブ素材の断面図である。Niが51原子%、残部がTiである組成の合金からなり、外径が15mm、内径が10mmの形状記憶合金チューブ素材1を用いた。そして、この形状記憶合金チューブ素材1の内周面にAuめっき3を施した。Auめっき3の厚さは100μmとした。次に、Cuの丸棒を芯金にして、焼鈍及び伸線加工を繰り返し、少なくとも20%の加工率でチューブを作製した。得られた、外径1.5mm、内径1.0mmのチューブにおけるめっき厚は10μmであった。その後、超弾性処理として500℃で5分間の熱処理を行って芯抜きした。
【0024】
外径1.5mm、内径1.0mmのチューブにおいて、実施例1及び2と同じ試験を行った。
【0025】
表1に、実施例1及び2、並びに比較例での試験結果を示す。
【0026】
【表1】
【0027】
Auめっき材を用いた比較例の結果と比べると、実施例の形状記憶合金チューブは比較例と同等の超弾性特性を示し、且つTiNi合金チューブとAuチューブとの密着性に富んでいることが、表1から、容易に判断できる。
【0028】
また、これらのチューブを長手方向に分割して内周面を観察した結果によると、表面酸化によるスケールの生成は見られなかった。
【0029】
さらに、X線撮影を行い、造影写真を得て、Au層によるX線造影性の向上を確認した。このように医療用途に向けてAu金属を配していることにより、X線下における高い造影性を実現できた。
【0030】
なお、50μmを超えるAu厚さでは、10μm以下のAu厚さのものに比較して、形状回復率が著しく低下する。このため、Au厚さは50μm以下とすることが望ましい。
【0031】
ところで、以上の実施例においては、形状記憶合金チューブの内周面を被覆する金属として、Auを用いたが、他に、Ag、Pt、Pd、Taの使用が可能であり、それらの合金を用いることもできる。
【0032】
以上、TiNi系合金についての例を示したが、本発明は、CuAl系合金などの形状記憶合金チューブの製造方法にも適応できる。
【0033】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、X線造影性が高く、密着性の高い被覆層により内周面が清浄に保たれ、良好な超弾性特性を持った形状記憶合金チューブの製造方法の提供が可能となる。特に製造工程における内周面の酸化、それに伴うスケールの生成を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクラッド材の断面図。
【図2】比較例のAuめっきを施した形状記憶合金チューブ素材の断面図。
【図3】実施例2の工程を示すフロー図。
【符号の説明】
1 形状記憶合金チューブ素材
2 Auチューブ素材
3 Auめっき
Claims (2)
- 内周面に金属の被覆層を有する形状記憶合金チューブの製造方法において、前記金属の被覆層となる、Au、Ag、Pt、Pd、Taから選択される少なくとも1つを含む金属又は合金のチューブに、形状記憶合金のチューブを被せてクラッド材を形成する工程と、前記クラッド材の材質間の圧着を行うとともに形状を整えるための冷間加工又は温間加工を施す工程とを有することを特徴とする形状記憶合金チューブの製造方法。
- 請求項1に記載の形状記憶合金チューブの製造方法において、前記クラッド材に冷間加工又は温間加工を施す工程の前に、熱間静水圧処理、冷間静水圧処理、爆着処理から選択されるいずれかの加圧処理を施す工程を有することを特徴とする形状記憶合金チューブの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003145985A JP2004344950A (ja) | 2003-05-23 | 2003-05-23 | 形状記憶合金チューブの製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003145985A JP2004344950A (ja) | 2003-05-23 | 2003-05-23 | 形状記憶合金チューブの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004344950A true JP2004344950A (ja) | 2004-12-09 |
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ID=33532973
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---|---|---|---|
JP2003145985A Pending JP2004344950A (ja) | 2003-05-23 | 2003-05-23 | 形状記憶合金チューブの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8444775B2 (en) | 2007-10-01 | 2013-05-21 | Johnson Matthey Public Limited Company | Manufacturing shape memory alloy tubes by drawing |
CN103894442A (zh) * | 2014-03-26 | 2014-07-02 | 宁夏东方钽业股份有限公司 | 钽管及其制备方法 |
-
2003
- 2003-05-23 JP JP2003145985A patent/JP2004344950A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8444775B2 (en) | 2007-10-01 | 2013-05-21 | Johnson Matthey Public Limited Company | Manufacturing shape memory alloy tubes by drawing |
CN103894442A (zh) * | 2014-03-26 | 2014-07-02 | 宁夏东方钽业股份有限公司 | 钽管及其制备方法 |
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