JP2004344945A - アルミニウム部材の連結方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム製材料からなるアルミニウムプレート12と、アルミニウム製材料以外の金属製材料からなるプレート部材16とを一体的に連結する際、前記アルミニウムプレート12の上面に、貫通孔14が形成されたプレート部材16を載置し、前記貫通孔14の内部に連結部材18の挿入部20を挿入する。そして、連結部材18におけるフランジ部22をプレート部材16の上面に当接させた状態で、前記挿入部20の穴部24に回転する摩擦攪拌接合用工具34を挿入し、前記穴部24の底面に押圧することにより、前記連結部材18における連結部26とアルミニウムプレート12とを摩擦攪拌接合により一体的に連結する。
【選択図】図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム製材料からなる第1部材とアルミニウム製材料以外の異種材料からなる第2部材とを一体的に連結するアルミニウム部材の連結方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車のボディ(ドアパネル、ボンネットパネル、フレーム等)に採用される複数の薄板状のスチール製材料に代えて、薄板状のアルミニウム製材料を採用することにより、前記ボディの軽量化を図り、運動性能や燃費の向上を図る技術が採用されている。
【0003】
この場合であっても、前記ボディの各部位における剛性を維持し、製造コストを低減する等の要請により、スチール製材料とアルミニウム製材料とが混在して採用されることがある。そして、前記スチール製材料とアルミニウム製材料とを連結して一体化する際に、アルミニウム製材料とそれ以外のスチール製材料等の他の金属製材料とを接合によって直接的に連結することが困難である。
【0004】
そのため、例えば、図5に示されるように、平面状の鉄製のベースプレート1とアルミニウム製のアルミパネル2とを一体的に固定する場合には、前記ベースプレート1をアルミニウム製材料からなるパネル3の上部に載置する。
【0005】
一方、ベースプレート1の略中央部から所定間隔離間して複数のリベット孔4aを形成し、前記リベット孔4aと対向するパネル3にも同様に複数のリベット孔4bを形成する。次いで、前記リベット孔4a、4bにリベット5a、5bを挿通させ、前記リベット5a、5bの両端部を拡径するように変形させることによりベースプレート1とパネル3とを一体的に固定している。
【0006】
この場合、前記パネル3の下側に突出するように折曲して形成されるフランジ6を、平面状のアルミパネル2の上面に当接させ、前記フランジ6とアルミパネル2とを接合することにより、ベースプレート1とアルミパネル2とを一体的に連結する(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−364624号公報(段落[0009]〜[0015]、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に係るアルミパネルの連結部位構造においては、ベースプレート1とアルミパネル2とを直接的に連結することができないため、複数のリベット孔4a、4bにリベット5a、5bを挿通させてベースプレート1とパネル3とを連結した後、前記パネル3とアルミパネル2とを接合によって連結している。
【0009】
しかしながら、ベースプレート1とパネル3とをリベット5a、5bによって連結する際、該リベット5a、5bがベースプレート1の上面から上方に所定長だけ突出するとともに、前記リベット5a、5bがパネル3の下面から同様に下方に所定長だけ突出する。
【0010】
そのため、前記パネル3をアルミパネル2へと連結する際、前記パネル3をアルミパネル2の上面に当接するように配設することができず、フランジ6を介して所定長だけ上方へと離間させて浮かせた状態としている。すなわち、前記アルミパネル2の上面とパネル3の下面との間にクリアランスを設けることによって、リベット5a、5bの突出した部位を回避する構造としている。その結果、前記クリアランスの分だけベースプレート1の連結部位近傍における高さ方向の寸法が増大するという問題がある。
【0011】
また、ベースプレート1とアルミパネル2との間にパネル3を介在させ、且つリベット5a、5bを用いるために部品点数が増大するとともに、その組み付け工程が煩雑になるという問題がある。
【0012】
本発明は、前記の不具合を考慮してなされたものであり、部品点数を削減して構成を簡素化するとともに、高さ方向の寸法を抑制することが可能なアルミニウム部材の連結方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、アルミニウム製材料からなる第1部材に対して、貫通孔を有するアルミニウム製材料以外の異種材料から形成される第2部材を載置する工程と、
アルミニウム製材料からなり、且つフランジ部の形成された連結部材の有底筒状部を前記貫通孔の内部に挿入する工程と、
前記有底筒状部の内径より小径に形成される接合部を前記有底筒状部の内部に挿入し、回転する前記接合部と連結部材とを接触させて摩擦攪拌接合して、前記第1部材と連結部材とを一体化することにより、前記第2部材を前記フランジ部によって第1部材との間に挟持して、第1部材と第2部材とを連結する工程と、
を有することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、アルミニウム製材料からなる第1部材と、アルミニウム製材料以外の異種材料からなる第2部材とを、アルミニウム製材料からなる連結部材を介して摩擦攪拌接合を行うことにより、前記第1部材と連結部材とを金属的に強固に連結することができ、第1部材と第2部材との間の連結強度を向上させることができる。
【0015】
また、前記第1部材と第2部材とを、アルミニウム製材料からなる連結部材のみで一体的に連結することができるため、部品点数およびコストを削減することができるとともに、第1部材と第2部材との連結部位における高さ方向の寸法を低減することができる。
【0016】
さらに、前記接合部が有底筒状部の内部に挿入されて摩擦攪拌接合が行われる際、連結部材を、前記第2部材の方向に押圧された状態で保持することにより、前記連結部材が第1部材および第2部材より離間することが防止されるとともに、前記連結部材の変形等を防止することができる。
【0017】
さらにまた、第1部材に、前記連結部材の有底筒状部と対向し、前記有底筒状部の外形形状に対応した位置決め部を形成することにより、前記第1部材と連結部材との連結位置をより高精度に位置決めすることができるため、それに伴って貫通孔を介して連結される第1部材と第2部材との位置決め精度を向上させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係るアルミニウム部材の連結方法について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0019】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る連結方法が適用されるアルミニウム部材の連結構造を示す。
【0020】
このアルミニウム部材の連結構造10(以下、単に連結構造10という)は、図1に示されるように、薄板状のアルミニウム製材料からなるアルミニウムプレート(第1部材)12と、前記アルミニウムプレート12の上面に載置され、その略中央部に貫通孔14が形成されるプレート部材(第2部材)16と、前記プレート部材16の上方より貫通孔14の内部に挿入される連結部材18とからなる。なお、前記プレート部材16は、アルミニウム以外の異種材料(例えば、スチール製材料)から形成されていればよく、特に材質は限定されるものではない。
【0021】
連結部材18はアルミニウム製材料から形成され、有底円筒状の挿入部(有底筒状部)20と、前記挿入部20の上端より半径外方向へと拡径したフランジ部22と、前記挿入部20の内部に形成される穴部24とからなる。そして、挿入部20の下端部には連結部26が形成され、この連結部26にはアルミニウムプレート12と対向する連結面28が形成されている。
【0022】
また、連結部26は、連結部材18の他の部位と比較して薄肉状に形成されている。挿入部20の外周径Aは、プレート部材16の貫通孔14の直径Bより小さく形成されている(A<B)。一方、挿入部20における穴部24の内周径Cは、その穴部24に対して上方より挿入される摩擦攪拌接合用工具(接合部)34(後述する)の外周径Dより大きく形成されている(C>D)。
【0023】
さらに、前記挿入部20における連結面28とフランジ部22の下面との距離Eを、プレート部材16の厚さFより大きくなるように形成してもよいし、略同等もしくは小さくなるように形成してもよい(E>F、E≦F)。
【0024】
アルミニウムプレート12と連結部材18とを連結する際、該連結部材18の穴部24に摩擦攪拌接合用工具34が挿入される。この摩擦攪拌接合用工具34は耐熱性および高剛性を有する材質から形成され、図示しない駆動源の作用下に回転自在であり、且つ軸線方向に沿って変位自在に構成されている。図2および図3に示されるように、摩擦攪拌接合用工具34の下端部には下方に向かって所定長だけ突出したプローブ36(図2および図3参照)が設けられ、前記プローブ36は摩擦攪拌接合用工具34より半径内方向に縮径して形成されている。前記プローブ36の軸線方向に沿った長さGは、連結部26の厚さHより長く形成されている(G>H)。
【0025】
本発明の実施の形態に係るアルミニウム部材の連結方法が適用されるアルミニウム部材の連結構造10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その連結方法について説明する。
【0026】
先ず、図1に示されるように、平面状のアルミニウムプレート12の上面に対して、プレート部材16の貫通孔14を所望の位置に合わせるようにして載置する。そして、プレート部材16の貫通孔14の内部に連結部材18の挿入部20をフランジ部22が上方となるように挿入する(図2参照)。
【0027】
その際、アルミニウムプレート12における挿入部20と対向する位置に予め所定深さの位置決め穴(位置決め部)30(図1参照)を形成しておき、前記貫通孔14に挿入部20を挿入した際にその先端部が位置決め穴30に挿入されることにより、連結部材18およびプレート部材16の位置決めを行うようにしてもよい。すなわち、連結部材18を位置決め穴30に挿入することにより、アルミニウムプレート12に対するプレート部材16の連結位置を簡便且つ高精度に位置決めすることができる。
【0028】
次に、図3に示されるように、貫通孔14に挿入された連結部材18に対して、フランジ部22の上方から円筒状の押え治具32を当接させ、前記連結部材18をプレート部材16の方向(矢印方向)へと押圧する。すなわち、前記押え治具32の押圧作用下にフランジ部22がプレート部材16の上面に当接した状態が確保され、連結部材18がプレート部材16に対して上方に離間することが防止される。
【0029】
そして、前記押え治具32の内部の空間を貫通して、摩擦攪拌接合用工具34を所定回転数で回転させながら下方へと変位させ、連結部材18の穴部24へと進入させ、該摩擦攪拌接合用工具34の下端に設けられたプローブ36を穴部24の底面に回転当接させる。
【0030】
前記のように高速度で回転するプローブ36を穴部24の底面に接触させることにより摩擦熱が発生し、この摩擦熱により連結部材18における連結部26を軟化させるとともに、前記連結部26に対向するアルミニウムプレート12の上面近傍を同様に軟化させて、連結部26とアルミニウムプレート12とを一体的に接合する摩擦攪拌接合(FWS…friction stir welding)が行われる。
【0031】
詳細には、プローブ36を穴部24の底面に当接させた状態で所定回転数で回転させることにより、前記プローブ36と連結部26との接触作用下に摩擦熱が生じ、前記連結部26におけるプローブ36との接触部位が加熱されて軟化する。このプローブ36は、連結部26の軟化した肉を流動させながら上方へと押し出し、前記肉は、前記連結部26の内部をアルミニウムプレート12の方向に向かって徐々に変位する。そのため、前記連結部26を軟化させたプローブ36が、連結部26に対向するアルミニウムプレート12の上面と接触し、該アルミニウムプレート12の上面近傍も同様に加熱されて軟化する。
【0032】
そして、連結部材18における連結部26の流動化した肉と、アルミニウムプレート12の流動化した肉とが互いに接触して一体化される。一方、この状態で、前記摩擦攪拌接合用工具34が上方へと変位し、連結部材18より離間する。
【0033】
最後に、図4に示されるように、連結部材18における連結部26の流動した肉と、アルミニウムプレート12の流動した肉とが一体化された状態で、冷却されることにより連結部材18の連結部26とアルミニウムプレート12とが強固に連結された状態となる。
【0034】
また、アルミニウムプレート12と連結部材18における連結部26とを摩擦攪拌接合によって連結する際に、前記連結部材18における連結面28とフランジ部22の下面との距離Eを、プレート部材16の厚さFより大きく(E>F)なるように形成することにより、前記連結部26をアルミニウムプレート12に対して比較的接合力が小さな状態で連結することができる。
【0035】
反対に、前記連結部材18における連結面28とフランジ部22の下面との距離Eを、プレート部材16の厚さFより小さくもしくは略同等(E≦F)となるように形成することにより、前記連結部26をアルミニウムプレート12に対してより強固に連結することができる。
【0036】
以上のように、本実施の形態では、アルミニウム製材料からなるアルミニウムプレート12の上面に、貫通孔14が形成されたプレート部材16を載置した後、前記貫通孔14に連結部材18の挿入部20を挿入する。そして、前記連結部材18のフランジ部22の上面を押え治具32によってアルミニウムプレート12側へと押圧した状態で、挿入部20の穴部24に摩擦攪拌接合用工具34を回転させながら挿通させている。この摩擦攪拌接合用工具34のプローブ36を連結部26に接触させることにより、前記連結部26との間で発生する摩擦熱の作用下に該連結部26を軟化させ、その後、アルミニウムプレート12における連結部26と対向する位置を同様に軟化させている。
【0037】
そして、アルミニウムプレート12および連結部26における軟化して流動した肉同士が一体化した状態で冷却されることにより、摩擦攪拌接合によってアルミニウムプレート12と、アルミニウム製材料からなる連結部材18の連結部26とを金属的に結合させることができるため、アルミニウム製材料からなるアルミニウムプレート12と連結部材18とをより一層強固に連結することができる。
【0038】
その結果、アルミニウムプレート12に連結された連結部材18のフランジ部22によって、プレート部材16が該フランジ部22とアルミニウムプレート12との間に挟持されるため、アルミニウム製材料からなるアルミニウムプレート12と、アルミニウム製材料以外の異種材料からなるプレート部材16とを確実且つ容易に一体的に連結することができる。
【0039】
また、アルミニウムプレート12に対してプレート部材16を連結するための連結部材18は、その連結時においてアルミニウムプレート12側に突出することがないとともに、プレート部材16側に対してはフランジ部22の厚さのみが突出しているだけとなる。そのため、従来のアルミパネル2とベースプレート1との間にパネル3を介在させ、上下方向に突出したリベット5a、5bを介してベースプレート1とアルミパネル2とを連結している特許文献1に係るアルミニウムパネルの連結部位構造と比較して、アルミニウムプレート12とプレート部材16との連結部位における高さ方向の寸法を低減することができる。
【0040】
さらに、アルミニウム製材料からなるアルミニウムプレート12と、アルミニウム製材料以外の異種材料からなるプレート部材16とを、アルミニウム製材料からなる連結部材18のみで一体的に連結することができる。そのため、リベット5a、5b、パネル3等を介してアルミパネル2と鉄製のベースプレート1とを連結していた従来のアルミニウム部材の連結部位構造と比較して、部品点数を削減することができる。その結果、作業工程を短縮化することができるとともに、製造コストを削減することができる。
【0041】
さらにまた、アルミニウムプレート12の上面に、連結部材18の挿入部20と対向する位置決め穴30を設け、前記挿入部20の先端を挿入することによりアルミニウムプレート12に対する連結部材18およびプレート部材16の位置決めを簡便に行うことができる。そのため、アルミニウムプレート12とプレート部材16との連結部位の位置精度を向上させることができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0043】
すなわち、アルミニウム製材料からなる第1部材と、アルミニウム製材料以外の異種材料からなる第2部材とに対して、アルミニウム製材料からなる連結部材を介して摩擦攪拌接合を行うことにより、前記第1部材と第2部材とを連結部材を介して金属的に連結することができ、前記第1部材と第2部材との連結強度を向上させることができる。
【0044】
また、前記第1部材と第2部材とをアルミニウム製材料からなる連結部材のみで一体的に連結することができるため、部品点数およびコストを削減することができるとともに、第1部材と第2部材との連結部位における高さ方向の寸法を低減し、且つ連結部位の位置精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るアルミニウム部材の連結方法が適用されたアルミニウム部材の連結構造の分解縦断面図である。
【図2】図1のアルミニウムプレートの上面にプレート部材を載置し、貫通孔に連結部材を挿入した状態を示す縦断面図である。
【図3】図2の連結部材におけるフランジ部を押え治具で押圧するとともに、連結部材の穴部に摩擦攪拌接合用工具を挿入した状態を示す縦断面図である。
【図4】図3の摩擦攪拌接合用工具による接合作用下にアルミニウムプレートとプレート部材とが連結部材を介して一体的に連結された状態を示す縦断面図である。
【図5】従来技術に係るアルミニウムパネルの連結部位構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10…アルミニウム部材の連結構造 12…アルミニウムプレート
14…貫通孔 16…プレート部材
18…連結部材 20…挿入部
22…フランジ部 24…穴部
26…連結部 28…連結面
30…位置決め穴 32…押え治具
34…摩擦攪拌接合用工具 36…プローブ
Claims (3)
- アルミニウム製材料からなる第1部材に対して、貫通孔を有するアルミニウム製材料以外の異種材料から形成される第2部材を載置する工程と、
アルミニウム製材料からなり、且つフランジ部の形成された連結部材の有底筒状部を前記貫通孔の内部に挿入する工程と、
前記有底筒状部の内径より小径に形成される接合部を前記有底筒状部の内部に挿入し、回転する前記接合部と連結部材とを接触させて摩擦攪拌接合して、前記第1部材と連結部材とを一体化することにより、前記第2部材を前記フランジ部によって第1部材との間に挟持して、第1部材と第2部材とを連結する工程と、
を有することを特徴とするアルミニウム部材の連結方法。 - 請求項1記載のアルミニウム部材の連結方法において、
前記連結部材は、前記接合部が有底筒状部の内部に挿入されて摩擦攪拌接合が行われる際、前記第2部材の方向に押圧された状態で保持されることを特徴とするアルミニウム部材の連結方法。 - 請求項1又は2記載のアルミニウム部材の連結方法において、
前記第1部材には、前記連結部材の有底筒状部と対向し、前記有底筒状部の外形形状に対応した位置決め部が形成されることを特徴とするアルミニウム部材の連結方法。
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