JP2004344240A - 消臭方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】悪臭を消去あるいは軽減するために酵素含有消臭剤組成物を噴霧すると、消臭剤中の酵素が空中に飛散される可能性があり、飛散された酵素をヒトが繰り返し吸い込むと、喘息や発熱を誘発することがある。
そこで本発明の課題は、酵素含有消臭剤組成物が有する消臭効果とほぼ同じ程度の消臭効果を達成でき、しかも悪臭を消去あるいは軽減するために消臭剤組成物を噴霧しても、ヒトへの悪影響について何ら心配する必要がない消臭方法を提供する。
【解決する手段】消臭基剤を酵素と接触処理させ、次に接触処理した消臭基剤だけを悪臭の発生源に適用して悪臭を消臭あるいは軽減する。消臭基剤としてフェノール性化合物、酵素としてフェノール性化合物酸化酵素が好ましい。なお、消臭基剤にはフレグランス及び/又はフレーバーが添加・配合されているとより好ましい。
【選択図】 なし
そこで本発明の課題は、酵素含有消臭剤組成物が有する消臭効果とほぼ同じ程度の消臭効果を達成でき、しかも悪臭を消去あるいは軽減するために消臭剤組成物を噴霧しても、ヒトへの悪影響について何ら心配する必要がない消臭方法を提供する。
【解決する手段】消臭基剤を酵素と接触処理させ、次に接触処理した消臭基剤だけを悪臭の発生源に適用して悪臭を消臭あるいは軽減する。消臭基剤としてフェノール性化合物、酵素としてフェノール性化合物酸化酵素が好ましい。なお、消臭基剤にはフレグランス及び/又はフレーバーが添加・配合されているとより好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、酵素と接触処理した消臭基剤あるいはそれを含有する消臭剤組成物を用いて悪臭を消去あるいは軽減する(以下、「消去あるいは軽減する」を消臭するということがある)悪臭の消臭方法に関する。さらに詳しくは、フェノール性化合物酸化酵素と接触処理した後のフェノール性化合物あるいはそれを含有する消臭剤組成物を悪臭の発生源に適用する悪臭の消臭方法に関する。また、本発明は酵素と接触処理した消臭基剤であって、しかも酵素を含有しないか含有する酵素量を最小限に抑えた(以下、「酵素を含有しないか含有する酵素量を最小限に抑えた」を実質的に酵素を含有しないということがある)消臭基剤あるいはそれを含有する消臭剤組成物を含む消臭具に関する。
【0002】
【従来技術と発明が解決すべき課題】
現在、様々な悪臭が身の周りに存在しえる状況にあり、その悪臭を消去あるいは軽減するために数多くの消臭剤に関する研究報告がある。例えば、植物抽出液を消臭剤とする例として、赤かぶの根、ココア豆、コーヒー豆、パセリ抽出物(例えば、特許文献1参照)を示すことができる。これらの多くはポリフェノール化合物の混合物を主成分としており、一応の消臭効果を示すが、十分な効果を示すとは言い難く、より優れた消臭効果を有する消臭剤の開発が待たれていた。
【0003】
一方、フェノール性化合物を主成分とする植物抽出液とフェノールオキシダーゼとを構成成分とする消臭剤組成物が報告されている(例えば、特許文献2、3を参照)。これら消臭剤組成物は優れた消臭効果を有するのであるが、採用する酵素によってはヒトに対し悪影響を及ぼす不安が指摘されている。すなわち、悪臭を消去あるいは軽減するために消臭剤を適用したときに、消臭剤中の酵素が空中に飛散される可能性があり、飛散された酵素をヒトが繰り返し吸い込むと、喘息や発熱を誘発することがあると指摘されていた。そのため、使用する酵素は制限されるばかりでなく、できるだけヒトが酵素を吸い込まないように注意を喚起しなければならないという問題点があった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭60−207664号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平9−38183号公報(特許請求の範囲)、
【特許文献3】
特開平10−212221号公報(特許請求の範囲)
【0005】
そこで本発明の課題は、フェノール性化合物を主成分とする植物抽出液とフェノールオキシダーゼとを構成成分とする消臭剤組成物が有する消臭効果とほぼ同じ程度の消臭効果を達成でき、しかも悪臭の発生源に適用する際に、ヒトへの悪影響について何ら心配する必要がない消臭方法を提供することにある。また、実質的には酵素を含まず、しかも消臭効果は酵素と消臭基剤とを含む消臭剤組成物と同様の効果を示す消臭剤あるいはそれを含む消臭剤組成物を提供することにある。さらにその消臭剤あるいはそれを含む消臭剤組成物を用いた消臭具を提供することにもある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、従来知られている消臭剤組成物において、フェノール性化合物を酸化する酵素がフェノール性化合物と常に共存していなくとも悪臭の消臭効果を発揮することができる、という知見を得、その知見に基づきさらに研究を続け、遂に本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は
酵素と接触処理した消臭基剤を悪臭の発生源に適用する悪臭の消臭方法、
消臭基剤がフェノール性化合物で酵素がフェノール性化合物酸化酵素である上記悪臭の消臭方法、
消臭基剤にはフレグランス及び/又はフレーバーが添加・配合されている上記悪臭の消臭方法、
フェノール性化合物酸化酵素が固定化処理されたフェノール性化合物酸化酵素である上記悪臭の消臭方法、
酵素と消臭基剤とを酵素が消臭基剤から隔離した状態で一つの容器内に保持し、容器内で消臭基剤を酵素と接触処理させた後に接触処理された消臭基剤を悪臭の発生源に適用する上記悪臭の消臭方法、
消臭基剤と酵素とをそれぞれ異なる容器内に保持し、消臭基剤を酵素が保持された容器内に移送し、あるいは酵素を消臭基剤が保持された容器内に移送し、消臭基剤を酵素と接触処理させた後に接触処理された消臭基剤を悪臭の発生源に適用する上記悪臭の消臭方法、
酵素と接触処理した消臭基剤を消臭剤の有効成分として含有する消臭剤組成物、酵素と消臭基剤とを、酵素が消臭基剤から隔離された状態で一つの容器内に保持し、しかも消臭基剤を酵素に接触処理させた後悪臭の発生源に適用する手段を有する消臭具、
酵素と消臭基剤とを異なる容器内に保持し、しかも酵素と消臭基剤とのいずれか一方を他方が保持されている容器内に移送する手段と両者を接触処理させた後悪消臭基剤を悪臭の発生源に適用する手段を有する消臭具、
を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。
まずこの発明における酵素と接触処理した消臭基剤について説明する。
本発明に用いられる酵素と接触処理した消臭基剤は消臭剤を構成する基本成分であり、消臭効果をもたらすための重要な成分である。消臭基剤を構成する成分の代表例はフェノール性化合物である。具体的には、消臭基剤は1個あるいは2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール性化合物が挙げられる。これらの中では、とくにポリフェノール化合物が好ましい。なお、「フェノール性水酸基」という用語は、ベンゼン環などの芳香環に直接結合した水酸基を意味する。芳香環とはベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環、ナフタレン環、ビフェニル環、および他の芳香環などのいずれかであって、ベンゼン環が最も好ましい。
【0009】
好ましいフェノール性化合物の例としては、カテコール、4−メチルカテコール、5−メチルカテコール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、ハイドロキノンといったジフェノール、4,4’−ビフェニルジオールおよび3,4’−ジフェニルジオールといったビフェニロイド、ドーパ、ドーパミン、クロロゲン酸、カフェイン酸あるいはそのエステル、パラクマリン酸、チロシンといったカテコール誘導体などを包含するが、特に、カテコール、チロシンおよびクロロゲン酸が好ましい。
なお、本発明ではフェノール性化合物の溶液を消臭基剤とすることが好ましい。とくにフェノール性化合物の水溶液、含水アルコール溶液あるいはアルコール溶液が好ましい。
【0010】
該フェノール性化合物は天然起源から調製してもよいし、各種合成法を利用して調製してもよい。天然起源から調製する方法はすでに公知の方法を適用すればよいのであって、フェノール性化合物に富む植物を選び、常法によりフェノール性化合物を含む抽出物を得、消臭基剤として使用する。この抽出物をさらに精製し、得られた精製物を消臭基剤として使用できる。精製する程度は特に限定されない。フェノール性化合物に富む植物の例としては、例えば、ブドウ果皮、リンゴ、バナナ、イチゴ、アンズ、モモ、プラム、柑橘果実、パイナップル、ナシ、カキ、サクランボ、パパイヤ、マンゴー、アボガド、メロン、ビワ、イチジク、キウイ、プルーン、ブルーベリー、ブラックベリー、ラスベリー、ツルコケモモ、コーヒー豆、生コーヒー豆、カカオ豆、ヒマワリ種子、ブドウ種子、ゴマ、グループフルーツ種子、ペカンナッツ、カシューナッツ、クリ、ココナッツ、ピーナツ、クルミ、ローズマリー、セージ、タイム、クローブ、アーチチョーク、ドイツカミツレ、キンミズヒキ、カンゾウ、アニス、オリーブ、ノコギリソウ、ユーカリ、ワームウッド、シシウド、コロハ、シシトウガラシ、ウイキョウ、アニス種子、トウガラシ、カルダモン、セロリ種子、コエンドロヒ種子、メウイキョウ種子、ウイキョウ種子、イノンド種子、ニワタイム、ラベンダー、スペアミント、ペパーミント、サントリソウ、ヒソップ、メボウキ、マリーゴールド、タンポポ、ニンジン葉、緑茶葉、紅茶葉、ウーロン茶葉、シソ葉、タバコ葉、ショウガ、ワサビ、西洋ワサビ、マヨラナ、ハナハッカ、カラシ、パセリ、コショウ、セイヴォリー、タラゴン、ゴボウ、ウコン、トマト、ソラマメ、ほうれん草、はす、ナス、大根、かぶ、ピート、ホップ、チコリー、タマネギ、アスパラガス、ピーマン、大麦、小麦、とうもろこし、ジャガイモ、サツマイモ、ヤマノイモ、タロイモ、さとうきび、アルファルファ、麦芽、よもぎ、きくなどを例示できる。それらの中では、ローズマリー、セージ、タイム、スペアミント、ペパーミント、ヒマワリ種子、生コーヒー豆、ブドウ果皮、ブドウ種子、リンゴ、ニンジン葉、緑茶葉、紅茶葉、ウーロン茶葉などが好ましい。
これらフェノール性化合物あるいは植物抽出物は単独、もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0011】
植物抽出物は既知の方法により入手することができる。特に、植物資源を溶媒と混合し、次いで、要すれば溶媒を除去することにより容易に入手することができる。適切な溶媒の例としては、水、アルコール、有機溶媒およびその混合物が挙げられる。
植物資源はフェノール性化合物に富むものが好ましい。植物資源は抽出工程に入る前に乾燥し細かく切り刻むなどの前処理を施しておくことが好ましい。抽出溶媒の選定は消臭剤組成物の所望の用途に依存するが、食品に使用する場合に安全な溶媒、例えば、熱水、エタノール含有の水などを使用するのが好ましい。
【0012】
本発明でいう消臭基剤として水溶性リグニン、とくに所謂サルファイト蒸解法により調製されるリグノスルホン酸も含まれる。
すなわち、適宜の大きさにカットした木材を亜硫酸水に浸し、130℃程度にて加熱処理すると、木材中のリグニンはスルホン化され、反応液内に溶出される。続いて、反応液内に共存する各種無機物などを除去し、リグノスルホン酸を得ることができる。
本発明においてはリグノスルホン酸と共にリグノスルホン酸の塩あるいはそれらの混合物を消臭基剤のひとつの成分として採用してもよい。
【0013】
以下、用いられる酵素について説明する。この酵素は、上記消臭基剤と接触し、消臭基剤に悪臭を消去あるいは軽減させることができる機能を付与できる酵素であればどのような酵素でもよい。
【0014】
代表的な酵素として、酸化還元酵素を挙げることができる。
ここでいう酸化還元酵素(Oxidoreductases)とは、酸化・還元反応を触媒する酵素であり、the Recommendation (1992) of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology (IUBMB)によりE.C.1に分類される酵素をいう。
【0015】
本発明では、特に次の三タイプの酸化還元酵素を挙げることができる。
ラッカーゼあるいはその関連酵素(例えばチロシナーゼ):酸素分子に作用し、過酸化水素のようなペルオキサイドの関与なしに水分子を生成させる酵素。
オキシダーゼ:酸素分子に作用してペルオキサイド(過酸化水素)を生成させる酵素。
ペルオキシダーゼ:過酸化水素のようなペルオキサイドに作用して水分子を生成させる酵素。
さらに、これら3タイプの酵素の組合せからなる「酵素システム」の利用も本発明に含まれる。この酵素システムの例として、ラッカーゼあるいはその関連酵素とオキシダーゼとの組合せ、ラッカーゼあるいはその関連酵素とペルオキシダーゼとの組合せ、ラッカーゼあるいはその関連酵素、オキシダーゼ及びペルオキシダーゼの組合せ、オキシダーゼとペルオキシダーゼとの組合せを挙げることができる。
【0016】
酸化還元酵素としては植物や果実由来の酵素および微生物由来の酵素が好ましい。それらは消臭効果をもたらす点では優れているが、微生物由来の酵素、特に組み換え体由来のもの及び/また副活性を含まない精製された酵素が好ましい。微生物由来の酵素は周知の遺伝子組み換え技術によって簡単に大量供給できる点で、植物や果実由来の酵素よりも優れている。
ここでいう微生物由来の酵素はバクテリア、糸状菌、酵母由来の酵素をいう。また、更に本発明の目的にそって遺伝学的に改変された酸化還元酵素も含まれる。
【0017】
上記酸化還元酵素を得る手段としては、好ましい活性プロフィールを持つ変異型酵素をスクリーニングする方法があり、また変異型酵素の好ましい作成方法としては部位特異的な変異あるいはランダム変異等既存の方法がある。
なお、受容体として酸素分子を利用する酵素の場合、「酸素」とは大気中に存在する酸素も考えられる。
【0018】
ラッカーゼ及びその関連酵素について説明する。
本発明で用いられる、フェノール性化合物を酸化することができる一連のラッカーゼ及びその関連酵素の例として、モノフェノールオキシダーゼとジフェノールオキシダーゼを挙げることができる。より具体的には、カテコールオキシダーゼ(E.C.1.10.3.1)、ラッカーゼ(E.C.1.10.3.2)、チロシナーゼ(E.C.1.14.18.1)、ビリルビンオキシダーゼ(E.C.1.3.3.5)を挙げることができる。
【0019】
ラッカーゼはオルトジフェノールばかりでなくパラジフェノールを酸化してキノン体を形成する機能を有する。チロシナーゼやカテコールオキシダーゼはモノフェノールに水酸基を付加してオルトジフェノール化する、またオルトジフェノールを酸化してオルトキノン体を生成するという異なる2つの反応を触媒する。
【0020】
ここで用いられるラッカーゼはPolyporus sp.特にP. pinsitus(Trametes villosa とも呼ばれる)あるいはP. versicolor、またはMyceliophthora sp.例えばM. thermophila、Rhizoctonia sp.特にR. praticolaあるいはR. solani、Scytalidium sp.特にS. thermophilium、Pyricularia sp.特にP. oryzae、Coprinus sp.例えばC. cinereusから得ることができる。
更にはCollybia、Fomes、Lentinus、Pleurotus、Aspergillus、Neurospora、Podospora、Phlebia(例えばP. radiata (WO 92/01046))、Coriolus sp.(例えばC. hirsitus (JP 2−238885)、Botrytisといった糸状菌から得ることもできる。
【0021】
これらの中でも好ましいものはMyceliophthora sp.特にM. thermophila由来のラッカーゼ(WO 95/33836、Novo Nordisk社製)が挙げられる。
ビリルビンオキシダーゼはMyrothecium sp.例えばM. verrucariaから得ることができる。
【0022】
次に、ペルオキシダーゼについて説明する。
ペルオキシダーゼは過酸化水素あるいはオキシダーゼと併用して初めて、消臭用基剤に悪臭成分を除去あるいは減少させる機能を与えることができる。
好ましいペルオキシダーゼとして、受容体としてペルオキサイドに作用する一連の酵素、例えばE.C.1.11.1特にE.C.1.11.1.7を好ましい例として挙げることができる。
このようなペルオキシダーゼは特に糸状菌であるCoprinus特にC. cinereusあるいはC. macrorhizus、あるいはバクテリアのBacillus特にB. pumilusから得ることができる。
ハロペルオキシダーゼも好適な酵素として挙げることができる。ハロペルオキシダーゼは過酸化水素存在下でハロゲン化物(Cl−、Br−、I−)を次亜ハロゲン酸に酸化することができる一連の酵素をいう。Curvularia sp.特にC. verruculosa由来のものを好適なものとして挙げる事ができる。
【0023】
次に、オキシダーゼについて説明する。
オキシダーゼはペルオキサイド(過酸化水素)を生成するが、消臭用基剤に悪臭成分を除去あるいは減少させる機能を与えるためには、ペルオキシダーゼとの併用が不可欠である。
好ましいオキシダーゼの例として、グルコースオキシダーゼ(E.C.1.1.3.4)、ヘキソースオキシダーゼ(E.C.1.1.3.5)、L−アミノ酸オキシダーゼ(E.C.1.4.3.2)、キシリトールオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ(E.C.1.1.3.9)、ピラノースオキシダーゼ(E.C.1.1.3.10)、アルコールオキシダーゼ(E.C.1.1.3.13)を挙げることができる。
【0024】
紅藻類の一種であるChondrus crispus(一般にトチャカと呼ばれている、Sullivn and Ikawa(1973)、Biochem. Biophs. Acts, 309, p.11−22; Ikawa (1982), Meth. In Enzymol. 89, carbohydrate metabolism part D, 145−149)由来のヘキソースオキシダーゼはD−グルコース、D−ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、D−グルコース−6−リン酸、D−マンノース、2−デオキシ−D−グルコース、2−デオキシ−D−ガラクトース、D−フコース、D−グルクロン酸、D−キシロースといった炭水化物を幅広く酸化する。
また、紅藻類の一種、Iridophycus flaccidumも容易に抽出可能なヘキソースオキシダーゼを生成するが、その酵素はいくつかの異なるモノサッカライド、ジサッカライドを酸化する(Bean and Hassid (1956), J. Biol. Chem., 218, p. 425; Rand et al. (1972), J. of Food Science 37, p. 698−710)。
【0025】
更に好ましい酵素として、キシリトール、D−ソルビトール、D−ガラクチトール、D−マンニトール、D−アラビニトールを酸素存在下酸化することができるキシリトールオキシダーゼ(参考文献 JP 80892242)を挙げることができる。キシリトールオキシダーゼはStreptomyces sp.(例えばStreptomyces IKD472, FERM P−14339)から得ることができる。本酵素は7.5に至適pHを持ち、pH5.5〜10.5、温度65℃以下の条件で安定である。
【0026】
L−アミノ酸オキシダーゼはTrichoderma sp.例えばT. harzianum(WO 94/25574、Novo Nordisk A/S社製)、T. virideから得ることができる。
グルコースオキシダーゼはAspergillus sp. 例えばA.niger、Cladosporium sp. 例えば C.oxysporumから得ることが出来る。
【0027】
植物や果実由来の酵素を利用することができる。好ましい植物や果実としては、アガリクス属およびボレタス属のキノコ、リンゴ、バナナ、ナシ、イチゴ、カキ、パイナップル、ブドウ、アンズ、モモ、プラム、パパイヤ、マルメロ、アボガド、マンゴー、サクランボ、アプリコット、メロン、ビワ、イチジク、プルーン、キウイ、ブルーベリー、ブラックベリー、ラスベリー、ツルコケモモ、ヅグリ、ゴボウ、ナス、トマト、ヨモギ、ハスの根、レタス、キャベツ、甜菜、ホップ、バースニップ、ほうれん草、大根、カブ、カリフラワー、チコリー、タマネギ、セロリ、ニンジン、アスパラガス、西洋ワサビ、ショウガ、アロエ、ピーマン、大麦、小麦、トウモロコシ、アルファルファ、モルト、ソラマメ、大豆、アズキ、インゲン、サヤインゲン、ヤエナリ、バレイショ、サツマイモ、サトウキビ、タロイモ、茶、タバコ、オリーブ、キクなどがある。
【0028】
なお、本発明ではこれら酵素を単独で使用してもよいが、2種類以上の酵素を組み合わせて使用してもよい。また、所期の目的を達成できる範囲内で植物抽出法により得られる酵素あるいは酵素含有組成物を併用してもよい。
本発明では所謂固定化処理を施した酵素を用いることが特に好ましい。具体的には、例えば酸化還元酵素を例にすると、酵素を顆粒状シリカなど粒子状の担体表面へ吸着させること、酵素を顆粒状シリカへなど粒子状の担体表面へグルタルアルデヒドなどの架橋剤とともに共有結合させること、酵素を粒状弱塩基性陰イオン交換多孔性樹脂へ吸着させること、酵素をポリプロピレンなどの樹脂へ吸着させること、あるいはグルタルアルデヒドなどの架橋剤を用いて担体表面へ架橋させること、この際さらに硫酸マグネシウムを共存させることなどにより得られる固定化酵素等を挙げることができる。
酵素の固定化は、とくにEP140452、 WO8902916、 WO90055778、WO9015868、EP232933, あるいはUS4665028に記載された方法によって実施されうる。何種類かの酸化還元酵素を混合して固定化する場合も、それぞれ別々に固定化する場合も有りうる。後者の場合にはそれぞれの固定化酸化還元酵素は混合することも、連続した反応に別々に使用することも出来る。
【0029】
例えば、固定化ラッカーゼを以下のような手段で調製することができる。たとえば、Myceliophthora thermophila由来のラッカーゼ濃縮液をアルカリ性に調整した後澱粉顆粒(粒子サイズ 0.5〜2mm)に噴霧し、混合分散させ、ついで乾燥させた。
乾燥させたラッカーゼを保持した顆粒に、さらに3〜6%グルタルアルデヒド溶液などの架橋能を有する溶液を噴霧した。水分を含む顆粒を次に乾燥させ、架橋固定化ラッカーゼが調製された。
【0030】
本発明においては、まず消臭基剤を酵素と接触させ、次いで得られた酵素接触処理された消臭基剤を悪臭の発生源に適用すること、すなわち、悪臭の発生源に適用される酵素接触処理された消臭基剤は実質的に酵素を含有しないことが一つの大きな特徴である。この酵素接触処理された消臭基剤には酵素が存在しないか、あるいは酵素接触処理された消臭基剤の調製中に入り込んでしまう少量の酵素しか存在しないから、この酵素処理された消臭基剤を悪臭源に適用しても酵素の飛散を何ら心配する必要がないことを示すのであり、ヒトへの酵素の影響が回避されることになる。なお、酵素処理された消臭基剤を悪臭の発生源に適用したときに、その消臭基剤から空気中へ飛散される酵素の許容限度量は用いた酵素や適用する条件により変動するので一概に規定することができないが、空気中への酵素の飛散量は低い方が望ましい。酵素の空気中への飛散量に関する基準(限度量)としてTLV値(Threshold Limit Value)が知られている。この点に関しては文献American Conference of Governmental Industrial Hygienists, Documentation of the Threshold Limit Values, 5th edition, pp 540−541 (1986) に説明がある。悪臭の発生源に適用される消臭基剤は実質的に酵素を含有しないにもかかわらず、悪臭を消去あるいは軽減する効果は極めて優れている。
【0031】
消臭基剤を酵素に接触させる条件は消臭基剤が悪臭を消去あるいは軽減できる機能を有するようになる条件である限り、特に限定されない。該条件は用いる消臭基剤と酵素とにより変化するので一概には規定できないが、例えば消臭基剤0.1g当たり酵素活性(LAMU)が10単位以上となる量の酵素を消臭基剤に添加し、室温下両者を接触する条件を示すことができる。接触時間はとくに問わないが、消臭機能を効率的に引き出すように工夫するとよい結果をもたらすことができる。例えば一定の太さを有するチューブに酵素を移動不可能に固定するときには、酵素量を多くすると、消臭基剤が酵素とより長い時間接触することができるためであろうか、消臭能が高くなる。また、一定量の酵素を移動不可能に固定するときには、太さが大きいチューブよりも太さが小さいチューブを用いて酵素を固定した方が、消臭基剤が酵素とより長い時間接触することができるためであろうか、消臭能が高くなる。
【0032】
この酵素の添加量は公知の酵素含有消臭剤組成物における酵素の必要量よりもかなり低い量である。なお、ここでいう酵素活性(LAMU/g)の1単位とは基質として下記シリンガルダジンを選び、PH7.5、温度30℃の条件下、1分間反応させたときに1μモルのシリンガルダジンを酸化しうる酵素量をいう。
【0033】
細かな条件を以下に示す。
酵素活性測定法 (LAMU法)
(酵素活性測定操作)
吸光度測定用セルに下記基質溶液を240μL加え、30℃に保温する。これに下記試料酵素溶液を80μL加えると同時に予め30℃に保温した下記PH7.50 緩衝液を3.20mL加え混合する。
吸光度計にセルをセットし、530nmにて60秒後、120秒後の吸光度を測定する。120秒後の測定値から60秒後の測定値を差し引いた数値を吸光度の増加とする。
試料中の酵素活性の単位は下記式に基づいて算出する。
Act = A / W
但し、Act = 試料中の酵素活性の単位(LAMU/g)
A = 標準曲線から読み取った酵素活性(LAMU/mL)
W = 試料溶液1mL中の試料酵素量(g)
【0034】
(1)試料酵素溶液
試料酵素にPEG(50g/L)を加え、試料酵素溶液とする。
(2)基質溶液
0.56mM シリンガルダジン(シリルガルジダン10.0mgに96%エタノール溶液を加えて50mLとし、約3時間攪拌し完全に溶解する)4.40mLに水を加え、10mLとする。
(3)PH7.50 緩衝液
下記第二液25.0mLに水を700mL加え、さらに下記第一液を10mL、下記第三液を5mL加える。PHを7.50に酸(塩素イオンを含まない)またはアルカリ(塩素イオンを含まない)で調整し、水を加え1000mLとする。
第一液:リンゴ酸23.2gに水を加え、全量を200mLとする。
第二液:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン121.1gに水を加え、全量を1000mLとする。
第三液:Triton X−100 25.0gに水を加え250mLとする。
【0035】
(酵素活性標準曲線の作成)
LAMU標準酵素(61−1100:ノボザイムス社製)0.9gのPEG(50g/L)溶液50mLから10μL、20μL、30μL、40μL、50μLおよび60μLを量り取り、それぞれにPEG(50g/L)を加え1mLとする。
吸光度測定用セルに上記基質溶液を240μL加え、30℃に保温する。これに上記LAMU標準酵素溶液を80μL加えると同時に予め30℃に保温した下記PH7.50 緩衝液を3.20mL加え混合する。
吸光度計にセルをセットし、530nmにて60秒後、120秒後の吸光度を測定する。120秒後の測定値から60秒後の測定値を差し引いた数値を吸光度の増加とする。横軸に酵素活性(LAMU/mL)、縦軸に吸光度の増加をとり、酵素活性標準曲線を作成する。
【0036】
本発明においては、上記酵素が消臭基剤から隔離されていることも一つの特徴である。ここで隔離されているとは、該酵素と消臭基剤とは互いに接触されることが可能であり、しかも、例えば酵素と接触処理された消臭基剤を悪臭の発生源に適用するときなど、必要なときには酵素と接触処理された消臭基剤だけが該酵素から離れて移動することが可能な状態をいう。
隔離する手段は、特に限定されないのであって、例えば消臭基剤は自由に通過することができるが、酵素は通過することができない材料で酵素を保持する方法がある。当該材料としては、織布、不織布、連続気泡性の樹脂などが挙げられ、それらから得られるシート、積層体、袋、容器などが用いられる。
また、両端部が開放されているチューブなどを使用して酵素を消臭基剤から隔離することも可能である。この場合では例えば脱脂綿を用いてチューブ内に酵素支持部を作り、酵素を載せ、次いで脱脂綿を用いて酵素抑え部を作ることにより上記隔離の状態となる。
なお、これらの場合、酵素は必要に応じて所謂酵素固定化処理されていてもよいし、また、植物の茎、葉、根などを原料として調整される所謂アセトン凍結乾燥酵素粉末品を使用してもよい。
例えば酵素を固定化処理しておき、該酵素を消臭基剤と隔離した状態で保持しておく。次いで、該固定化酵素と消臭基剤とを接触させた後、該酵素と接触処理した消臭基剤を固定化酵素から離し、酵素と接触処理した消臭基剤だけを悪臭の発生源に適用する形態も本発明の範囲内である。
【0037】
本発明での悪臭の発生源とは、ヒトにとって悪臭と感じられる臭いを発生させている悪臭揮散物質、それらを保持する容器、悪臭を発生させる恐れがある物質、それらを含む空間などを意味する。また、消臭したいと願う場所も本発明の悪臭の発生源に含まれる。なお、悪臭の発生源に酵素と接触処理した消臭基剤を適用するとは、上記悪臭の発生源に当該接触処理した消臭基剤を散布、噴霧、滴下などの任意の手段にて接触処理することを意味する。
【0038】
消臭対象となる悪臭成分の主要なものには、アンモニア、トリメチルアミン、インドールなどの含窒素化合物、硫化水素、ジメチルスルフィド、ジアリルスルフィド、メチルメルカプタンなどの含硫黄化合物、イソ吉草酸、イソ酪酸などの低級脂肪酸などがある。
【0039】
上記酵素と消臭基剤とを接触処理する前に、消臭基剤に他の物質を配合させておいてもよい。また、酵素と接触処理した消臭基剤に他の物質を配合させ、その後に得られた消臭基剤を悪臭の発生源に適用してもよい。配合される他の物質としては、各種安定化剤、ブチルヒドロキシトルエン,ブチルヒドロキシアニソール,ビタミンE,ビタミンC等の抗酸化剤、後述するフレグランスやフレーバー、無水ケイ酸塩、無水硫酸塩、各種無機塩化物、糖類、多糖類等の増量剤、安息香酸、安息香酸ナトリウム等の抗微生物剤、色素、公知の水溶性消臭剤等が挙げられる。
【0040】
上記方法により得られた酵素と接触処理された消臭基剤あるいはそれを含有する消臭剤組成物(以下、消臭剤ということがある)を悪臭の発生源に適用する手段は特に限定されない。消臭剤を悪臭の発生源に散布してもよいし、噴霧してもよい。また、消臭剤を滴下してもよいし、塗布してもよい。酵素と接触処理された消臭基剤は液状が好ましいが、所期の目的を達成することがきるかぎり他の状態でもよい。
【0041】
本発明の消臭剤を適用する好ましい形態としてスプレータイプがある。スプレータイプとしては例えばエアゾールタイプと非エアゾールタイプを挙げることができ、本発明では両方のタイプとも利用可能である。エアゾールタイプは噴射剤と耐圧容器を用いることが特徴である。非エアゾールタイプは押圧する手段に応じて、トリバー式、ポンプ式、スクイズ式が挙げられる。
【0042】
まず、エアゾールタイプについて以下説明する。
すなわち、代表的なエアゾール容器は、耐圧容器、耐圧容器の上部に設けられたスプレー部とポンプから構成される取り付け口部、取り付け口部から下方に延びるデイップチューブおよびキャップから構成される。
耐圧容器内には消臭基剤を含む液体と噴射剤とが圧入される。デイップチューブ内に酵素が多孔質体にて移動不可能な状態で保持されている。
上記スプレー容器のスプレー部を下方に押すと、耐圧容器内に加圧状態で収まる消臭基剤を含む液体と噴射剤との混合物がデイップチューブ内を通り、消臭基剤を含む液体は酵素と接触された後に、スプレー部に設けられた孔から一挙に放出される。なお、酵素が保持された状態は、これに限定されず、耐圧容器内に酵素、とくに固定化処理された酵素が通過不能な程度の細かな孔を有するシートで包まれ、保持されてもよく、また、他の場所に酵素を移動不可能な状態で保持してもよい。
【0043】
次にトリガータイプを説明する。
すなわち、代表的なトリガータイプのスプレー容器は、消臭基剤を収容する容器、容器の口部に取り付けられるキャップ、一次バルブを備えたバルブケース、バルブケースに内挿・固定されるチューブ、バルブケースに外挿・固定されたハウジング、支持体に固定されたノズル、支持体に形成されたプランジャー、このプランジャーを押圧するトリガー、支持体に対して弾発支持するスプリング、支持体のバルブケースに内挿された2次バルブから構成される。
容器内には酵素が多孔質体にて移動不可能な状態で保持され、消臭基剤も収容されている。
【0044】
上記容器のトリガーをヒトの指を使って引き込むと、プランジャーが押されて、ピストンがハウジング内にある酵素と接触処理された消臭基剤を圧縮する。圧縮された該消臭基剤はハウジングとバルブケースとの間隙を通り、2次バルブを通過してノズル先端から一挙に放出される。トリガーから指を開放すると、スプリングの弾発力によりトリガーは元の状態に戻り、容器内の酵素処理された消臭基剤はシリンダー内に充填される。
【0045】
本発明の消臭剤を適用する他の好ましい消臭具の例として、消臭基剤収容容器、消臭基剤収納容器の上部に設けられた酵素からなる層を有する液体取り出し口部およびキャップから構成される消臭具が挙げられる。酵素からなる層は酵素が酵素層から外部に移動できないような状態になっていればどのような形態でもよい。
その消臭基剤収容容器を持ち上げ、キャップをはずし傾けると、容器内の消臭基剤が液体取り出し口に保持されている酵素と接触され、次いで取り出し口から流れ出す。一定量の酵素と接触処理された消臭基剤が流れ出た後、傾けた容器を元の状態に戻し、キャップを閉める。
取り出し口から流れ出た酵素と接触処理された消臭基剤を悪臭の発生源に適用し、悪臭を消去あるいは軽減することができる。
【0046】
本発明の消臭剤を適用する他の異なる好ましい消臭具の例を説明する。酵素、とくに固定化処理された酵素を、消臭基剤は通過できるが酵素は通過できないシートに載せ、その上から上記シートをさらに重ね、酵素収容シートを得る。この酵素収容シートを悪臭源の上部あるいは近傍に配置し、ついで消臭基剤を該酵素収容シート上から注ぎこむ。酵素収容シートの下側から酵素接触処理された消臭基剤が流れ出、悪臭の発生源に適用され、悪臭が消去あるいは軽減される。
また、消臭基剤出口を設けた消臭基剤収容容器、消臭基剤入口を容器の下部に設け、酵素と接触処理された消臭基剤出口を容器の上部に設けた酵素収容容器、二つの容器を接続するパイプなどの接続手段を配置した消臭具も挙げられる。
【0047】
消臭基剤収容容器内に収容された消臭基剤を必要なときにポンプなどの移送手段を用いて酵素収容容器に注入する。消臭基剤が酵素と接触された後に酵素収容容器の上部から酵素と接触処理された消臭基剤が排出され、任意の手段で悪臭の発生源に適用される。
また、酵素収納容器の代わりに酵素収容シートを使用してもよい。
消臭基剤を酵素と接触させて得られた消臭基剤は優れた消臭剤でもあるし、消臭基剤と、固定化酵素などに例示される消臭基剤から分離可能な酵素との組成物も消臭剤としての機能を有する。
【0048】
本発明でいう消臭剤は、人にとって悪臭と感じられる臭いを消去あるいは軽減することができる。とくに硫化水素、ジメチルスルフィド、ジアリルスルフィド、メチルメルカプタンなどの含硫黄化合物あるいはアンモニア、トリメチルアミン、インドールなどの含窒素化合物を構成成分とする悪臭の消臭に有効である。具体的には口臭、体臭、冷蔵庫内での臭い、納豆など独特の強い臭いを発する食品の臭い、生ゴミ、調理後の調理用品などから発せられる台所からの臭い、ごみ箱から発せられる臭い、工場内の臭い、工場廃液の臭い、ヒトを含めた動物の糞尿の臭い、パーマネントや染毛時に発せられる臭いなどを挙げることができる。
【0049】
本発明でいう消臭基剤、酵素と接触処理された消臭基剤あるいはそれを含有する消臭剤組成物内にフレーバーあるいはフレグランス、または両者を共に配合してもよい。その結果、酵素と接触処理された消臭基剤あるいはそれを含有する消臭剤組成物に心地よい香気を付与することができる。さらに消臭剤組成物を構成する成分によっては基質特有の異臭がごく僅か発生するときもあるが、そのようなときには異臭をマスキングすることができ、十分な消臭効果を発揮させることが可能になる。
【0050】
上記フレーバーあるいはフレグランスの配合量はとくに限定されないが、たとえば酵素と接触処理した消臭基剤を基準にして、0.01〜5重量%程度配合させると好ましい結果をもたらすことができる。
好ましいフレーバーあるはフレグランスとしては次の化合物あるいは精油が挙げられる。
【0051】
サリチル酸アミル、ベンジルアセトン、サリチル酸ベンジル、1,1,2,3,3−ペンタメチル−2,3,5,6,7−ペンタヒドロインデン−4−オン、2,6,6,8−テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン−8−オール、シトロネロール、酢酸トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]−4−デセン−8−イル、プロパン酸トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]−4−デセン−8−イル、2,6−ジメチルオクト−7−エン−2−オール、2,6−ジメチルヘプタン−1−オール、フェノキシベンゼン、4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル−6,7,8−トリヒドロキシ−シクロペンタ[1,2−g]イソクロマン、ガルバナム油、酢酸ゲラニル、3−エトキシ−1,1,5−トリメチルシクロヘキサン、ヘキシル桂皮アルデヒド、サリチル酸へキシル、酢酸イソボルニル、1−(3,4,10,10−テトラメチルビシクロ[4.4.0]−5−デセン−3−イル)エタン−1−オン、2−((2Z)ペンタ−2−エニル)−3−メチルシクロペンタン−2−エン−1−オン、3−[4−(tert−ブチル)フェニル]−2−メチルプロパナール、リナロール、2−アミノ安息香酸メチル、(1E)−1−(6,6−ジメチル−2−メチレンシクロヘキシル)−1−ペンテン−3−オン、2−((1E)−1−アザ−8−ヒドロキシ−4,8−ジメチル−1−ノネニル)安息香酸メチル、2−ノニナール−ジメチルアセタール、2−フェニルエタン−1−オール、α−テルピネオール、
【0052】
1−((6S,1R)−2,2,6−トリメチルシクロへキシル)へキサン−3−オール、酢酸2−(tert−ブチル)シクロヘキシル、酢酸4(tert−ブチル)シクロヘキシル、2−メトキシナフタレン、1−(2,6,6,8−テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0(1,5)]−8−ウンデセン−9−イル)エタン−1−オン、アセチルイソオイゲノール、アリルアミルグリコレート、1,6,10,10−テトラメチル−5−オキサトリシクロ[7.4.0.0(2,6)]トリデカン、(1S,2R,6R)−1,6,10,10−テトラメチル−5−オキサトリシクロ[7.4.0.0(2,6)]トリデカン、アミル−α−シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、酢酸ベンジル、ベルガモット油、7−メチル−2H,4H−ベンゾ[b]1,4−ジオキセピン−3−オン、桂皮アルコール、シトロネロール、2−メチル−3−[4−(メチルエチル)フェニル]プロパナール、2−オキサビシクロ[4.4.0]デカン−3−オン、(2E)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサン−3−エニル)ブタン−2−エン−1−オン、2,6−ジメチルオクタン−7−エン−2−オール、酢酸1,1−ジメチル−2−フェニルエチル、2,6−ジメチルヘプタン−1−オール、オイゲノール、2−オキサシクロヘキサデカン−1−オン、3−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパナール、ゲラニオール、2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)酢酸メチル、酢酸ヘキシル、サリチル酸ヘキシル、
【0053】
2H,4H,4aH,9aH−インダノ[2,1−d]1,3−ジオキサン、(3E)−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサン−2−エニルブタン−3−エン−2−オン、(3E)−4−(6,6−ジメチル−2−メチレンシクロヘキシル)ブタン−3−エン−2−オン、1−(3,4,10,10−テトラメチルビシクロ[4.4.0]−5−デセン−3−イル)エタン−1−オン、 2−((2Z)−2−ペンテニル)−3−メチルシクロ−2−ペンテン−1−オン、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセンカルバアルデヒド、3−[4−(tert−ブチル)フェニル]−2−メチルプロパナール、(5E)−2,6−ジメチルヘプタン−5−エナール、メチルカビコール、(1E)−1−(6,6−ジメチル−2−メチレンシクロヘキシル)ペンタン−1−エン−3−オン、2,5−ジオキサシクロヘプタデカン−1,6−ジオン、trans−2−トリデセナール、酢酸フェニルエチル、フェニルエチルアルコール、酢酸スチラリル、ジメチルシクロヘキサナール、5−ヘプチル−3,4,5−トリヒドロフラン−2−オン、酢酸2−(tert−ブチル)シクロヘキシル、α−フェンキルアルコール、1−デカナール、2,6−ジメチル−7−オクテン−2−オール、4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル−6,7,8−トリヒドロシクロペンタ[1,2−g]イソクロマン、安息香酸ベンジル、
【0054】
2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)酢酸メチル、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−アール、酢酸リナリル、ゲラニルニトリル、テトラヒドロリナロール、バニリン、カリオフィレン、メントール、イソプレゴール、ユーカリプトール、p−メンタン−3,8−ジオール、ビニルブチルエーテル、リンゴ油、アプリコット油、カッシア油、桂皮アルデヒド、ヘキサン酸アリル、酢酸イソアミル、アミルアルコール、アネトール、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、酢酸イソブチル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、樟脳、カルボン、β−カリオフィレン、シンナムアルデヒド、シンナミルアルコール、シトラール、酢酸シトロネリル、クミンアルデヒド、シメン、デカラクトン、デカナール、ジアセチル、アセト酢酸エチル、アンスラニル酸エチル、酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、乳酸エチル、2−メチル酪酸エチル、サリチル酸エチル、エチルバニリン、エチルメントール、オイゲノール、イソオイゲノール、フルフラール、フルフリルアルコール、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ヘキサナール、ヘキセナール、酢酸ヘキシニル、ヘキシルアルコール、イオノン、イロン、リモネン、リナロール、酢酸リナリル、マルトール、メントール、メントン、酢酸メチル、アンスラニル酸メチル、桂皮酸メチル、サリチル酸メチル、ネロール、ネロリドール、
【0055】
ノナラクトン、ノナナール、オクタラクトン、オクタナール、オクタノール、オクテノール、酢酸オクチル、酢酸フェニル、フェネチルアルコール、ピネン、ピペラナール、酢酸プロピル、チモール、ウンデカラクトン、アニス油、アニススター油、メボウキ油、月桂樹葉ウエストインデアン油、クスノキ剤油、ブチュ葉油、カルダモン種子油、カッシア樹皮油、クモミル花ローマン油、シナモン樹皮油、肉桂葉油、チョウジ蕾み油、コニャックグリーン油、コエンドロ油、クベバ油、ヒメウイキョウ油、ウイキョウ甘油、ニンニク油、ショウガ油、ペチグレイン油、レモン油、ライムオイル、オレンジ油、柑橘油、杉剤油、クスノキ剤油、シトロネラ油、パッチュリ油、ユーカリ油、ベイ油、グレープフルーツ油、マンダリン油、白檀油、杜松実油、ローズ油、イラン油、タンジェリン油、ゼラニウム油、リモネン、薄荷油、西洋薄荷(ペパーミント)油、などが挙げられる。これらは、2種以上混合しても良い。
【0056】
本発明の消臭剤組成物には他の配合剤を添加することも可能である。具体的には、各種安定化剤、無水ケイ酸塩、無水硫酸塩、各種無機塩化物、糖類、多糖類等の増量剤、色素、界面活性剤、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンE、ビタミンC等の抗酸化剤、安息香酸、安息香酸ナトリウム等の抗微生物剤、活性炭、サイクロデキストリン等の市販消臭剤等が挙げられる。これらの配合量は所期の目的を達成できる限り配合してよい。
【0057】
本発明の消臭基剤あるいは消臭剤は広い範囲の臭いの除去あるいは軽減に有効であり、各種の用途に応用される。すなわち、本発明の消臭剤は含硫黄化合物あるいは含窒素化合物を捕獲することができるのであるから、悪臭を構成する成分としてそれら化合物が存在するときには、当該悪臭は消臭されることになるので、広い範囲の使い方を可能にする。具体的には、生ゴミの臭い、まな板、包丁、鍋、食器などの臭いを消臭する台所用消臭剤、パーマネント時やヘアカラー時に発生する臭いを消臭する頭髪用消臭剤、オムツ、ナプキン、寝たきり老人用のベッド用シーツやマットなどの臭いを消臭する衛生用品用消臭剤、ソファー、カーテン、洋服などの布製品などから生じる臭いを消臭する消臭剤、ペットおよびペット関連用品から発せられる臭いを消臭するペット用消臭剤、トイレや風呂場などで生じる臭いを消臭する消臭剤などが挙げられる。とくにスプレータイプの消臭剤を用いると、手軽に消臭剤を適用でき、しかも完全に悪臭を消臭することができるので、極めて有効である。
【0058】
以下、参考例、実施例および応用例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されない。なお、とくに規定していない限り、%は重量%を意味する。
【0059】
参考例1 消臭基剤の調製
生コーヒー豆1Kgを粉砕機で粉砕し、5mmメッシュ通過した粉砕物に水10L加えて、85〜95℃で2時間抽出する。抽出液をろ過した後、ろ液をXAD−2(オルガノ株式会社製)カラムに吸着させる。水で洗浄した後、メタノールで溶出させる。溶出液を濃縮乾固し、生コーヒー豆抽出物182gを得た。
【0060】
参考例2 酵素の調製
ゴボウ100gと−20℃に冷却したアセトン400mLをミキサーに入れ、磨砕した後、吸引ろ過した。残渣を5℃の80%アセトン含水液500mLで十分洗浄した後、エバポレーターにより溶剤を除去することによりゴボウパウダー20gを得た。
【0061】
参考例3 固定化酵素の調製
Myceliophthora thermophila由来のラッカーゼ濃縮液(4690LAMU/g)527gに1規定水酸化ナトリウム溶液を添加して濃縮液のPHを10に調整した後、該調整された液体を2000gのカッサバでんぷん顆粒(粒子サイズ 約0.7mm)にLodgie社製5リッターMGミキサーを用いて噴霧し、溶液が分散するようにした。次にこの水分を含む顆粒をGlatt社製MP1流動層を用い60℃で乾燥した。
この乾燥させたラッカーゼを保持した顆粒1kgをLodgie社製5リッターMGミキサーに移し、4.5%グルタルアルデヒド溶液22gを噴霧した。次にこの水分を含む顆粒をGlatt社製MP1流動層を用い60℃で乾燥することにより、344LAMU/gの活性を持つ架橋固定化ラッカーゼを調製した。
【0062】
実施例1 酵素と接触処理した消臭基剤の調製
ガラス管(内径8mm)の下端部より3cm程度上部に脱脂綿製の水溶液通過可能な栓を設け、上端部が開放されているガラス管を用意した。参考例2で得たゴボウパウダー20mgを上記脱脂綿製の栓の上部に詰め、その上から脱脂綿製の水溶液通過可能な栓を施しゴボウパウダーを移動できないようにした。参考例1で得られた生コーヒー豆抽出物20mgを水に溶解させて得た生コーヒー豆抽出液3mLを上記ガラス管内に注いだ。ガラス管の下端部から、ゴボウアセトンパウダーの層を通過した生コーヒー豆抽出液を得た。
【0063】
試験例1 酵素と接触処理した消臭基剤の消臭能
実施例1で得られた生コーヒー豆抽出液2mLを50mLの褐色瓶に入れ、メチルメルカプタンナトリウムの15%水溶液2μLを加えて、パラフィルムで蓋をして、25℃にて攪拌する。10分後、バイアル瓶内のヘッドスペースガス50mLをガス検知管(ガステック株式会社製)に通して、ガス内に残存する悪臭成分である含イオウ化合物の濃度を測定し、下式に従って消臭率を算出した。
実施例1で得られた生コーヒー豆抽出液1mLに水1mLを加えた溶液を50mLの褐色瓶に入れ、上記と同様な操作を繰り返し、消臭率を算出した。
測定結果を表1に示す。
消臭率(%) = 100 x {1 − (A) / (B)}}
なお、上記式中、Aは測定された悪臭成分濃度を示し、Bはコントロールで測定された悪臭成分濃度を示す。
【0064】
表1
表中、コントロールは 実施例1の生コーヒー豆抽出液2mL加える代わりに、水2mL加えた。
対照▲1▼は、実施例1の生コーヒー豆抽出液2mL加える代わりに、参考例1の生コーヒー豆抽出液であってガラス管に通す前の生コーヒー豆抽出液2mLを加えた。
対照▲2▼は、実施例1の生コーヒー豆抽出液2mL加える代わりに、下記方法にて得られた液体2mLを加えた。
実施例1において生コーヒー豆抽出液3mLの代わりに、水3mLをゴボウパウダー層を通過させて得られた液体。
対照▲3▼は、実施例1の生コーヒー豆抽出液2mL加える代わりに、対照▲2▼で用いた液体1mLと参考例1の生コーヒー豆抽出液であってガラス管に通す前の生コーヒー豆抽出液1mLを混合させた溶液2mLを加えた。
【0065】
実施例2 酵素と接触処理した消臭基剤の調製
実施例1においてゴボウパウダーの代わりに参考例3で得られた固定化酵素を下記の量用いて、実施例1と同様なガラス管を用意した。次に、下記消臭基剤を特に規定していないかぎり、5mL下記の速度(流速)でガラス管に注ぎ、固定化酵素層を通過させ、酵素と接触処理した消臭基剤を得た。
【0066】
なお、生コーヒー豆抽出液(0.5%)は、参考例1で得られた生コーヒー豆抽出物を0.5重量%含む水溶液である。生コーヒー豆抽出液(2.5%)、生コーヒー豆抽出液(5%)も同様である。
また、リグニン水溶液(ナカライテスク社製、0.5%)はナカライテスク社製のリグニンを0.5重量%含む水溶液である。
【0067】
試験例2 酵素と接触処理した消臭基剤の消臭能
実施例2で得られた酵素と接触処理した消臭基剤の消臭能を試験例1と同様な方法で測定した。
得られた結果を下記表2〜5に示した。固定化酵素層を通さない消臭基剤をコントロールとして、消臭率を算出した。
測定結果
表2
1)酵素量と消臭活性
消臭基剤:生コーヒー豆抽出液0.5%
流速:2mL/分
【0068】
表3
2)消臭基剤の種類と消臭活性
【0069】
酵素量:500mg
流速:2mL/分
表4
3)消臭基剤濃度と消臭活性
消臭基剤:生コーヒー豆抽出液
流速2mL/分
【0070】
実施例3 酵素と接触処理した消臭基剤の調製
参考例3で得られた固定化ラッカーゼ(344 LAMU/g)5gを霧吹き器内に設けられた溶液通過チューブ内に脱脂綿製の栓で移動不可能に固定した。
参考例1で得られた生コーヒー豆抽出物の2.5%水溶液を該霧吹き器内に収容した。
霧吹き器のノブを押し、霧吹き器内の参考例1で得られた生コーヒー豆抽出液をチューブ内に誘導し、通過させ、移動不可能に固定されている固定化ラッカーゼと接触処理された霧状の消臭基剤が得られた。
【0071】
試験例3 酵素と接触処理した消臭基剤の消臭能
実施例3で得た固定化ラッカーゼ(344 LAMU/g)と接触処理された消臭基剤を2mL集め、この酵素処理された消臭基剤の消臭能を試験例1と同様な方法で測定した。
固定化酵素層を通さない消臭基剤をコントロールとして、消臭率を算出した。
その結果、消臭率は71.4%であった。
【0072】
【発明の効果】
本発明により、各種悪臭成分に対して優れた消臭効果がある酵素と接触処理された消臭基剤、該基剤を含む組成物および消臭方法が提供された。従来から知られている消臭剤中には酵素が含まれている場合があるが、ヒトへの感作性の点で使用できない酵素が知られていたが、この発明により、感作性がある酵素でも使用可能になった。そして、実質的に酵素を含有しない本発明の消臭剤組成物は優れた消臭効果をもたらすのであり、極めて実用的である。
【発明の属する技術分野】
この発明は、酵素と接触処理した消臭基剤あるいはそれを含有する消臭剤組成物を用いて悪臭を消去あるいは軽減する(以下、「消去あるいは軽減する」を消臭するということがある)悪臭の消臭方法に関する。さらに詳しくは、フェノール性化合物酸化酵素と接触処理した後のフェノール性化合物あるいはそれを含有する消臭剤組成物を悪臭の発生源に適用する悪臭の消臭方法に関する。また、本発明は酵素と接触処理した消臭基剤であって、しかも酵素を含有しないか含有する酵素量を最小限に抑えた(以下、「酵素を含有しないか含有する酵素量を最小限に抑えた」を実質的に酵素を含有しないということがある)消臭基剤あるいはそれを含有する消臭剤組成物を含む消臭具に関する。
【0002】
【従来技術と発明が解決すべき課題】
現在、様々な悪臭が身の周りに存在しえる状況にあり、その悪臭を消去あるいは軽減するために数多くの消臭剤に関する研究報告がある。例えば、植物抽出液を消臭剤とする例として、赤かぶの根、ココア豆、コーヒー豆、パセリ抽出物(例えば、特許文献1参照)を示すことができる。これらの多くはポリフェノール化合物の混合物を主成分としており、一応の消臭効果を示すが、十分な効果を示すとは言い難く、より優れた消臭効果を有する消臭剤の開発が待たれていた。
【0003】
一方、フェノール性化合物を主成分とする植物抽出液とフェノールオキシダーゼとを構成成分とする消臭剤組成物が報告されている(例えば、特許文献2、3を参照)。これら消臭剤組成物は優れた消臭効果を有するのであるが、採用する酵素によってはヒトに対し悪影響を及ぼす不安が指摘されている。すなわち、悪臭を消去あるいは軽減するために消臭剤を適用したときに、消臭剤中の酵素が空中に飛散される可能性があり、飛散された酵素をヒトが繰り返し吸い込むと、喘息や発熱を誘発することがあると指摘されていた。そのため、使用する酵素は制限されるばかりでなく、できるだけヒトが酵素を吸い込まないように注意を喚起しなければならないという問題点があった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭60−207664号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平9−38183号公報(特許請求の範囲)、
【特許文献3】
特開平10−212221号公報(特許請求の範囲)
【0005】
そこで本発明の課題は、フェノール性化合物を主成分とする植物抽出液とフェノールオキシダーゼとを構成成分とする消臭剤組成物が有する消臭効果とほぼ同じ程度の消臭効果を達成でき、しかも悪臭の発生源に適用する際に、ヒトへの悪影響について何ら心配する必要がない消臭方法を提供することにある。また、実質的には酵素を含まず、しかも消臭効果は酵素と消臭基剤とを含む消臭剤組成物と同様の効果を示す消臭剤あるいはそれを含む消臭剤組成物を提供することにある。さらにその消臭剤あるいはそれを含む消臭剤組成物を用いた消臭具を提供することにもある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、従来知られている消臭剤組成物において、フェノール性化合物を酸化する酵素がフェノール性化合物と常に共存していなくとも悪臭の消臭効果を発揮することができる、という知見を得、その知見に基づきさらに研究を続け、遂に本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は
酵素と接触処理した消臭基剤を悪臭の発生源に適用する悪臭の消臭方法、
消臭基剤がフェノール性化合物で酵素がフェノール性化合物酸化酵素である上記悪臭の消臭方法、
消臭基剤にはフレグランス及び/又はフレーバーが添加・配合されている上記悪臭の消臭方法、
フェノール性化合物酸化酵素が固定化処理されたフェノール性化合物酸化酵素である上記悪臭の消臭方法、
酵素と消臭基剤とを酵素が消臭基剤から隔離した状態で一つの容器内に保持し、容器内で消臭基剤を酵素と接触処理させた後に接触処理された消臭基剤を悪臭の発生源に適用する上記悪臭の消臭方法、
消臭基剤と酵素とをそれぞれ異なる容器内に保持し、消臭基剤を酵素が保持された容器内に移送し、あるいは酵素を消臭基剤が保持された容器内に移送し、消臭基剤を酵素と接触処理させた後に接触処理された消臭基剤を悪臭の発生源に適用する上記悪臭の消臭方法、
酵素と接触処理した消臭基剤を消臭剤の有効成分として含有する消臭剤組成物、酵素と消臭基剤とを、酵素が消臭基剤から隔離された状態で一つの容器内に保持し、しかも消臭基剤を酵素に接触処理させた後悪臭の発生源に適用する手段を有する消臭具、
酵素と消臭基剤とを異なる容器内に保持し、しかも酵素と消臭基剤とのいずれか一方を他方が保持されている容器内に移送する手段と両者を接触処理させた後悪消臭基剤を悪臭の発生源に適用する手段を有する消臭具、
を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。
まずこの発明における酵素と接触処理した消臭基剤について説明する。
本発明に用いられる酵素と接触処理した消臭基剤は消臭剤を構成する基本成分であり、消臭効果をもたらすための重要な成分である。消臭基剤を構成する成分の代表例はフェノール性化合物である。具体的には、消臭基剤は1個あるいは2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール性化合物が挙げられる。これらの中では、とくにポリフェノール化合物が好ましい。なお、「フェノール性水酸基」という用語は、ベンゼン環などの芳香環に直接結合した水酸基を意味する。芳香環とはベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環、ナフタレン環、ビフェニル環、および他の芳香環などのいずれかであって、ベンゼン環が最も好ましい。
【0009】
好ましいフェノール性化合物の例としては、カテコール、4−メチルカテコール、5−メチルカテコール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、ハイドロキノンといったジフェノール、4,4’−ビフェニルジオールおよび3,4’−ジフェニルジオールといったビフェニロイド、ドーパ、ドーパミン、クロロゲン酸、カフェイン酸あるいはそのエステル、パラクマリン酸、チロシンといったカテコール誘導体などを包含するが、特に、カテコール、チロシンおよびクロロゲン酸が好ましい。
なお、本発明ではフェノール性化合物の溶液を消臭基剤とすることが好ましい。とくにフェノール性化合物の水溶液、含水アルコール溶液あるいはアルコール溶液が好ましい。
【0010】
該フェノール性化合物は天然起源から調製してもよいし、各種合成法を利用して調製してもよい。天然起源から調製する方法はすでに公知の方法を適用すればよいのであって、フェノール性化合物に富む植物を選び、常法によりフェノール性化合物を含む抽出物を得、消臭基剤として使用する。この抽出物をさらに精製し、得られた精製物を消臭基剤として使用できる。精製する程度は特に限定されない。フェノール性化合物に富む植物の例としては、例えば、ブドウ果皮、リンゴ、バナナ、イチゴ、アンズ、モモ、プラム、柑橘果実、パイナップル、ナシ、カキ、サクランボ、パパイヤ、マンゴー、アボガド、メロン、ビワ、イチジク、キウイ、プルーン、ブルーベリー、ブラックベリー、ラスベリー、ツルコケモモ、コーヒー豆、生コーヒー豆、カカオ豆、ヒマワリ種子、ブドウ種子、ゴマ、グループフルーツ種子、ペカンナッツ、カシューナッツ、クリ、ココナッツ、ピーナツ、クルミ、ローズマリー、セージ、タイム、クローブ、アーチチョーク、ドイツカミツレ、キンミズヒキ、カンゾウ、アニス、オリーブ、ノコギリソウ、ユーカリ、ワームウッド、シシウド、コロハ、シシトウガラシ、ウイキョウ、アニス種子、トウガラシ、カルダモン、セロリ種子、コエンドロヒ種子、メウイキョウ種子、ウイキョウ種子、イノンド種子、ニワタイム、ラベンダー、スペアミント、ペパーミント、サントリソウ、ヒソップ、メボウキ、マリーゴールド、タンポポ、ニンジン葉、緑茶葉、紅茶葉、ウーロン茶葉、シソ葉、タバコ葉、ショウガ、ワサビ、西洋ワサビ、マヨラナ、ハナハッカ、カラシ、パセリ、コショウ、セイヴォリー、タラゴン、ゴボウ、ウコン、トマト、ソラマメ、ほうれん草、はす、ナス、大根、かぶ、ピート、ホップ、チコリー、タマネギ、アスパラガス、ピーマン、大麦、小麦、とうもろこし、ジャガイモ、サツマイモ、ヤマノイモ、タロイモ、さとうきび、アルファルファ、麦芽、よもぎ、きくなどを例示できる。それらの中では、ローズマリー、セージ、タイム、スペアミント、ペパーミント、ヒマワリ種子、生コーヒー豆、ブドウ果皮、ブドウ種子、リンゴ、ニンジン葉、緑茶葉、紅茶葉、ウーロン茶葉などが好ましい。
これらフェノール性化合物あるいは植物抽出物は単独、もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0011】
植物抽出物は既知の方法により入手することができる。特に、植物資源を溶媒と混合し、次いで、要すれば溶媒を除去することにより容易に入手することができる。適切な溶媒の例としては、水、アルコール、有機溶媒およびその混合物が挙げられる。
植物資源はフェノール性化合物に富むものが好ましい。植物資源は抽出工程に入る前に乾燥し細かく切り刻むなどの前処理を施しておくことが好ましい。抽出溶媒の選定は消臭剤組成物の所望の用途に依存するが、食品に使用する場合に安全な溶媒、例えば、熱水、エタノール含有の水などを使用するのが好ましい。
【0012】
本発明でいう消臭基剤として水溶性リグニン、とくに所謂サルファイト蒸解法により調製されるリグノスルホン酸も含まれる。
すなわち、適宜の大きさにカットした木材を亜硫酸水に浸し、130℃程度にて加熱処理すると、木材中のリグニンはスルホン化され、反応液内に溶出される。続いて、反応液内に共存する各種無機物などを除去し、リグノスルホン酸を得ることができる。
本発明においてはリグノスルホン酸と共にリグノスルホン酸の塩あるいはそれらの混合物を消臭基剤のひとつの成分として採用してもよい。
【0013】
以下、用いられる酵素について説明する。この酵素は、上記消臭基剤と接触し、消臭基剤に悪臭を消去あるいは軽減させることができる機能を付与できる酵素であればどのような酵素でもよい。
【0014】
代表的な酵素として、酸化還元酵素を挙げることができる。
ここでいう酸化還元酵素(Oxidoreductases)とは、酸化・還元反応を触媒する酵素であり、the Recommendation (1992) of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology (IUBMB)によりE.C.1に分類される酵素をいう。
【0015】
本発明では、特に次の三タイプの酸化還元酵素を挙げることができる。
ラッカーゼあるいはその関連酵素(例えばチロシナーゼ):酸素分子に作用し、過酸化水素のようなペルオキサイドの関与なしに水分子を生成させる酵素。
オキシダーゼ:酸素分子に作用してペルオキサイド(過酸化水素)を生成させる酵素。
ペルオキシダーゼ:過酸化水素のようなペルオキサイドに作用して水分子を生成させる酵素。
さらに、これら3タイプの酵素の組合せからなる「酵素システム」の利用も本発明に含まれる。この酵素システムの例として、ラッカーゼあるいはその関連酵素とオキシダーゼとの組合せ、ラッカーゼあるいはその関連酵素とペルオキシダーゼとの組合せ、ラッカーゼあるいはその関連酵素、オキシダーゼ及びペルオキシダーゼの組合せ、オキシダーゼとペルオキシダーゼとの組合せを挙げることができる。
【0016】
酸化還元酵素としては植物や果実由来の酵素および微生物由来の酵素が好ましい。それらは消臭効果をもたらす点では優れているが、微生物由来の酵素、特に組み換え体由来のもの及び/また副活性を含まない精製された酵素が好ましい。微生物由来の酵素は周知の遺伝子組み換え技術によって簡単に大量供給できる点で、植物や果実由来の酵素よりも優れている。
ここでいう微生物由来の酵素はバクテリア、糸状菌、酵母由来の酵素をいう。また、更に本発明の目的にそって遺伝学的に改変された酸化還元酵素も含まれる。
【0017】
上記酸化還元酵素を得る手段としては、好ましい活性プロフィールを持つ変異型酵素をスクリーニングする方法があり、また変異型酵素の好ましい作成方法としては部位特異的な変異あるいはランダム変異等既存の方法がある。
なお、受容体として酸素分子を利用する酵素の場合、「酸素」とは大気中に存在する酸素も考えられる。
【0018】
ラッカーゼ及びその関連酵素について説明する。
本発明で用いられる、フェノール性化合物を酸化することができる一連のラッカーゼ及びその関連酵素の例として、モノフェノールオキシダーゼとジフェノールオキシダーゼを挙げることができる。より具体的には、カテコールオキシダーゼ(E.C.1.10.3.1)、ラッカーゼ(E.C.1.10.3.2)、チロシナーゼ(E.C.1.14.18.1)、ビリルビンオキシダーゼ(E.C.1.3.3.5)を挙げることができる。
【0019】
ラッカーゼはオルトジフェノールばかりでなくパラジフェノールを酸化してキノン体を形成する機能を有する。チロシナーゼやカテコールオキシダーゼはモノフェノールに水酸基を付加してオルトジフェノール化する、またオルトジフェノールを酸化してオルトキノン体を生成するという異なる2つの反応を触媒する。
【0020】
ここで用いられるラッカーゼはPolyporus sp.特にP. pinsitus(Trametes villosa とも呼ばれる)あるいはP. versicolor、またはMyceliophthora sp.例えばM. thermophila、Rhizoctonia sp.特にR. praticolaあるいはR. solani、Scytalidium sp.特にS. thermophilium、Pyricularia sp.特にP. oryzae、Coprinus sp.例えばC. cinereusから得ることができる。
更にはCollybia、Fomes、Lentinus、Pleurotus、Aspergillus、Neurospora、Podospora、Phlebia(例えばP. radiata (WO 92/01046))、Coriolus sp.(例えばC. hirsitus (JP 2−238885)、Botrytisといった糸状菌から得ることもできる。
【0021】
これらの中でも好ましいものはMyceliophthora sp.特にM. thermophila由来のラッカーゼ(WO 95/33836、Novo Nordisk社製)が挙げられる。
ビリルビンオキシダーゼはMyrothecium sp.例えばM. verrucariaから得ることができる。
【0022】
次に、ペルオキシダーゼについて説明する。
ペルオキシダーゼは過酸化水素あるいはオキシダーゼと併用して初めて、消臭用基剤に悪臭成分を除去あるいは減少させる機能を与えることができる。
好ましいペルオキシダーゼとして、受容体としてペルオキサイドに作用する一連の酵素、例えばE.C.1.11.1特にE.C.1.11.1.7を好ましい例として挙げることができる。
このようなペルオキシダーゼは特に糸状菌であるCoprinus特にC. cinereusあるいはC. macrorhizus、あるいはバクテリアのBacillus特にB. pumilusから得ることができる。
ハロペルオキシダーゼも好適な酵素として挙げることができる。ハロペルオキシダーゼは過酸化水素存在下でハロゲン化物(Cl−、Br−、I−)を次亜ハロゲン酸に酸化することができる一連の酵素をいう。Curvularia sp.特にC. verruculosa由来のものを好適なものとして挙げる事ができる。
【0023】
次に、オキシダーゼについて説明する。
オキシダーゼはペルオキサイド(過酸化水素)を生成するが、消臭用基剤に悪臭成分を除去あるいは減少させる機能を与えるためには、ペルオキシダーゼとの併用が不可欠である。
好ましいオキシダーゼの例として、グルコースオキシダーゼ(E.C.1.1.3.4)、ヘキソースオキシダーゼ(E.C.1.1.3.5)、L−アミノ酸オキシダーゼ(E.C.1.4.3.2)、キシリトールオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ(E.C.1.1.3.9)、ピラノースオキシダーゼ(E.C.1.1.3.10)、アルコールオキシダーゼ(E.C.1.1.3.13)を挙げることができる。
【0024】
紅藻類の一種であるChondrus crispus(一般にトチャカと呼ばれている、Sullivn and Ikawa(1973)、Biochem. Biophs. Acts, 309, p.11−22; Ikawa (1982), Meth. In Enzymol. 89, carbohydrate metabolism part D, 145−149)由来のヘキソースオキシダーゼはD−グルコース、D−ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、D−グルコース−6−リン酸、D−マンノース、2−デオキシ−D−グルコース、2−デオキシ−D−ガラクトース、D−フコース、D−グルクロン酸、D−キシロースといった炭水化物を幅広く酸化する。
また、紅藻類の一種、Iridophycus flaccidumも容易に抽出可能なヘキソースオキシダーゼを生成するが、その酵素はいくつかの異なるモノサッカライド、ジサッカライドを酸化する(Bean and Hassid (1956), J. Biol. Chem., 218, p. 425; Rand et al. (1972), J. of Food Science 37, p. 698−710)。
【0025】
更に好ましい酵素として、キシリトール、D−ソルビトール、D−ガラクチトール、D−マンニトール、D−アラビニトールを酸素存在下酸化することができるキシリトールオキシダーゼ(参考文献 JP 80892242)を挙げることができる。キシリトールオキシダーゼはStreptomyces sp.(例えばStreptomyces IKD472, FERM P−14339)から得ることができる。本酵素は7.5に至適pHを持ち、pH5.5〜10.5、温度65℃以下の条件で安定である。
【0026】
L−アミノ酸オキシダーゼはTrichoderma sp.例えばT. harzianum(WO 94/25574、Novo Nordisk A/S社製)、T. virideから得ることができる。
グルコースオキシダーゼはAspergillus sp. 例えばA.niger、Cladosporium sp. 例えば C.oxysporumから得ることが出来る。
【0027】
植物や果実由来の酵素を利用することができる。好ましい植物や果実としては、アガリクス属およびボレタス属のキノコ、リンゴ、バナナ、ナシ、イチゴ、カキ、パイナップル、ブドウ、アンズ、モモ、プラム、パパイヤ、マルメロ、アボガド、マンゴー、サクランボ、アプリコット、メロン、ビワ、イチジク、プルーン、キウイ、ブルーベリー、ブラックベリー、ラスベリー、ツルコケモモ、ヅグリ、ゴボウ、ナス、トマト、ヨモギ、ハスの根、レタス、キャベツ、甜菜、ホップ、バースニップ、ほうれん草、大根、カブ、カリフラワー、チコリー、タマネギ、セロリ、ニンジン、アスパラガス、西洋ワサビ、ショウガ、アロエ、ピーマン、大麦、小麦、トウモロコシ、アルファルファ、モルト、ソラマメ、大豆、アズキ、インゲン、サヤインゲン、ヤエナリ、バレイショ、サツマイモ、サトウキビ、タロイモ、茶、タバコ、オリーブ、キクなどがある。
【0028】
なお、本発明ではこれら酵素を単独で使用してもよいが、2種類以上の酵素を組み合わせて使用してもよい。また、所期の目的を達成できる範囲内で植物抽出法により得られる酵素あるいは酵素含有組成物を併用してもよい。
本発明では所謂固定化処理を施した酵素を用いることが特に好ましい。具体的には、例えば酸化還元酵素を例にすると、酵素を顆粒状シリカなど粒子状の担体表面へ吸着させること、酵素を顆粒状シリカへなど粒子状の担体表面へグルタルアルデヒドなどの架橋剤とともに共有結合させること、酵素を粒状弱塩基性陰イオン交換多孔性樹脂へ吸着させること、酵素をポリプロピレンなどの樹脂へ吸着させること、あるいはグルタルアルデヒドなどの架橋剤を用いて担体表面へ架橋させること、この際さらに硫酸マグネシウムを共存させることなどにより得られる固定化酵素等を挙げることができる。
酵素の固定化は、とくにEP140452、 WO8902916、 WO90055778、WO9015868、EP232933, あるいはUS4665028に記載された方法によって実施されうる。何種類かの酸化還元酵素を混合して固定化する場合も、それぞれ別々に固定化する場合も有りうる。後者の場合にはそれぞれの固定化酸化還元酵素は混合することも、連続した反応に別々に使用することも出来る。
【0029】
例えば、固定化ラッカーゼを以下のような手段で調製することができる。たとえば、Myceliophthora thermophila由来のラッカーゼ濃縮液をアルカリ性に調整した後澱粉顆粒(粒子サイズ 0.5〜2mm)に噴霧し、混合分散させ、ついで乾燥させた。
乾燥させたラッカーゼを保持した顆粒に、さらに3〜6%グルタルアルデヒド溶液などの架橋能を有する溶液を噴霧した。水分を含む顆粒を次に乾燥させ、架橋固定化ラッカーゼが調製された。
【0030】
本発明においては、まず消臭基剤を酵素と接触させ、次いで得られた酵素接触処理された消臭基剤を悪臭の発生源に適用すること、すなわち、悪臭の発生源に適用される酵素接触処理された消臭基剤は実質的に酵素を含有しないことが一つの大きな特徴である。この酵素接触処理された消臭基剤には酵素が存在しないか、あるいは酵素接触処理された消臭基剤の調製中に入り込んでしまう少量の酵素しか存在しないから、この酵素処理された消臭基剤を悪臭源に適用しても酵素の飛散を何ら心配する必要がないことを示すのであり、ヒトへの酵素の影響が回避されることになる。なお、酵素処理された消臭基剤を悪臭の発生源に適用したときに、その消臭基剤から空気中へ飛散される酵素の許容限度量は用いた酵素や適用する条件により変動するので一概に規定することができないが、空気中への酵素の飛散量は低い方が望ましい。酵素の空気中への飛散量に関する基準(限度量)としてTLV値(Threshold Limit Value)が知られている。この点に関しては文献American Conference of Governmental Industrial Hygienists, Documentation of the Threshold Limit Values, 5th edition, pp 540−541 (1986) に説明がある。悪臭の発生源に適用される消臭基剤は実質的に酵素を含有しないにもかかわらず、悪臭を消去あるいは軽減する効果は極めて優れている。
【0031】
消臭基剤を酵素に接触させる条件は消臭基剤が悪臭を消去あるいは軽減できる機能を有するようになる条件である限り、特に限定されない。該条件は用いる消臭基剤と酵素とにより変化するので一概には規定できないが、例えば消臭基剤0.1g当たり酵素活性(LAMU)が10単位以上となる量の酵素を消臭基剤に添加し、室温下両者を接触する条件を示すことができる。接触時間はとくに問わないが、消臭機能を効率的に引き出すように工夫するとよい結果をもたらすことができる。例えば一定の太さを有するチューブに酵素を移動不可能に固定するときには、酵素量を多くすると、消臭基剤が酵素とより長い時間接触することができるためであろうか、消臭能が高くなる。また、一定量の酵素を移動不可能に固定するときには、太さが大きいチューブよりも太さが小さいチューブを用いて酵素を固定した方が、消臭基剤が酵素とより長い時間接触することができるためであろうか、消臭能が高くなる。
【0032】
この酵素の添加量は公知の酵素含有消臭剤組成物における酵素の必要量よりもかなり低い量である。なお、ここでいう酵素活性(LAMU/g)の1単位とは基質として下記シリンガルダジンを選び、PH7.5、温度30℃の条件下、1分間反応させたときに1μモルのシリンガルダジンを酸化しうる酵素量をいう。
【0033】
細かな条件を以下に示す。
酵素活性測定法 (LAMU法)
(酵素活性測定操作)
吸光度測定用セルに下記基質溶液を240μL加え、30℃に保温する。これに下記試料酵素溶液を80μL加えると同時に予め30℃に保温した下記PH7.50 緩衝液を3.20mL加え混合する。
吸光度計にセルをセットし、530nmにて60秒後、120秒後の吸光度を測定する。120秒後の測定値から60秒後の測定値を差し引いた数値を吸光度の増加とする。
試料中の酵素活性の単位は下記式に基づいて算出する。
Act = A / W
但し、Act = 試料中の酵素活性の単位(LAMU/g)
A = 標準曲線から読み取った酵素活性(LAMU/mL)
W = 試料溶液1mL中の試料酵素量(g)
【0034】
(1)試料酵素溶液
試料酵素にPEG(50g/L)を加え、試料酵素溶液とする。
(2)基質溶液
0.56mM シリンガルダジン(シリルガルジダン10.0mgに96%エタノール溶液を加えて50mLとし、約3時間攪拌し完全に溶解する)4.40mLに水を加え、10mLとする。
(3)PH7.50 緩衝液
下記第二液25.0mLに水を700mL加え、さらに下記第一液を10mL、下記第三液を5mL加える。PHを7.50に酸(塩素イオンを含まない)またはアルカリ(塩素イオンを含まない)で調整し、水を加え1000mLとする。
第一液:リンゴ酸23.2gに水を加え、全量を200mLとする。
第二液:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン121.1gに水を加え、全量を1000mLとする。
第三液:Triton X−100 25.0gに水を加え250mLとする。
【0035】
(酵素活性標準曲線の作成)
LAMU標準酵素(61−1100:ノボザイムス社製)0.9gのPEG(50g/L)溶液50mLから10μL、20μL、30μL、40μL、50μLおよび60μLを量り取り、それぞれにPEG(50g/L)を加え1mLとする。
吸光度測定用セルに上記基質溶液を240μL加え、30℃に保温する。これに上記LAMU標準酵素溶液を80μL加えると同時に予め30℃に保温した下記PH7.50 緩衝液を3.20mL加え混合する。
吸光度計にセルをセットし、530nmにて60秒後、120秒後の吸光度を測定する。120秒後の測定値から60秒後の測定値を差し引いた数値を吸光度の増加とする。横軸に酵素活性(LAMU/mL)、縦軸に吸光度の増加をとり、酵素活性標準曲線を作成する。
【0036】
本発明においては、上記酵素が消臭基剤から隔離されていることも一つの特徴である。ここで隔離されているとは、該酵素と消臭基剤とは互いに接触されることが可能であり、しかも、例えば酵素と接触処理された消臭基剤を悪臭の発生源に適用するときなど、必要なときには酵素と接触処理された消臭基剤だけが該酵素から離れて移動することが可能な状態をいう。
隔離する手段は、特に限定されないのであって、例えば消臭基剤は自由に通過することができるが、酵素は通過することができない材料で酵素を保持する方法がある。当該材料としては、織布、不織布、連続気泡性の樹脂などが挙げられ、それらから得られるシート、積層体、袋、容器などが用いられる。
また、両端部が開放されているチューブなどを使用して酵素を消臭基剤から隔離することも可能である。この場合では例えば脱脂綿を用いてチューブ内に酵素支持部を作り、酵素を載せ、次いで脱脂綿を用いて酵素抑え部を作ることにより上記隔離の状態となる。
なお、これらの場合、酵素は必要に応じて所謂酵素固定化処理されていてもよいし、また、植物の茎、葉、根などを原料として調整される所謂アセトン凍結乾燥酵素粉末品を使用してもよい。
例えば酵素を固定化処理しておき、該酵素を消臭基剤と隔離した状態で保持しておく。次いで、該固定化酵素と消臭基剤とを接触させた後、該酵素と接触処理した消臭基剤を固定化酵素から離し、酵素と接触処理した消臭基剤だけを悪臭の発生源に適用する形態も本発明の範囲内である。
【0037】
本発明での悪臭の発生源とは、ヒトにとって悪臭と感じられる臭いを発生させている悪臭揮散物質、それらを保持する容器、悪臭を発生させる恐れがある物質、それらを含む空間などを意味する。また、消臭したいと願う場所も本発明の悪臭の発生源に含まれる。なお、悪臭の発生源に酵素と接触処理した消臭基剤を適用するとは、上記悪臭の発生源に当該接触処理した消臭基剤を散布、噴霧、滴下などの任意の手段にて接触処理することを意味する。
【0038】
消臭対象となる悪臭成分の主要なものには、アンモニア、トリメチルアミン、インドールなどの含窒素化合物、硫化水素、ジメチルスルフィド、ジアリルスルフィド、メチルメルカプタンなどの含硫黄化合物、イソ吉草酸、イソ酪酸などの低級脂肪酸などがある。
【0039】
上記酵素と消臭基剤とを接触処理する前に、消臭基剤に他の物質を配合させておいてもよい。また、酵素と接触処理した消臭基剤に他の物質を配合させ、その後に得られた消臭基剤を悪臭の発生源に適用してもよい。配合される他の物質としては、各種安定化剤、ブチルヒドロキシトルエン,ブチルヒドロキシアニソール,ビタミンE,ビタミンC等の抗酸化剤、後述するフレグランスやフレーバー、無水ケイ酸塩、無水硫酸塩、各種無機塩化物、糖類、多糖類等の増量剤、安息香酸、安息香酸ナトリウム等の抗微生物剤、色素、公知の水溶性消臭剤等が挙げられる。
【0040】
上記方法により得られた酵素と接触処理された消臭基剤あるいはそれを含有する消臭剤組成物(以下、消臭剤ということがある)を悪臭の発生源に適用する手段は特に限定されない。消臭剤を悪臭の発生源に散布してもよいし、噴霧してもよい。また、消臭剤を滴下してもよいし、塗布してもよい。酵素と接触処理された消臭基剤は液状が好ましいが、所期の目的を達成することがきるかぎり他の状態でもよい。
【0041】
本発明の消臭剤を適用する好ましい形態としてスプレータイプがある。スプレータイプとしては例えばエアゾールタイプと非エアゾールタイプを挙げることができ、本発明では両方のタイプとも利用可能である。エアゾールタイプは噴射剤と耐圧容器を用いることが特徴である。非エアゾールタイプは押圧する手段に応じて、トリバー式、ポンプ式、スクイズ式が挙げられる。
【0042】
まず、エアゾールタイプについて以下説明する。
すなわち、代表的なエアゾール容器は、耐圧容器、耐圧容器の上部に設けられたスプレー部とポンプから構成される取り付け口部、取り付け口部から下方に延びるデイップチューブおよびキャップから構成される。
耐圧容器内には消臭基剤を含む液体と噴射剤とが圧入される。デイップチューブ内に酵素が多孔質体にて移動不可能な状態で保持されている。
上記スプレー容器のスプレー部を下方に押すと、耐圧容器内に加圧状態で収まる消臭基剤を含む液体と噴射剤との混合物がデイップチューブ内を通り、消臭基剤を含む液体は酵素と接触された後に、スプレー部に設けられた孔から一挙に放出される。なお、酵素が保持された状態は、これに限定されず、耐圧容器内に酵素、とくに固定化処理された酵素が通過不能な程度の細かな孔を有するシートで包まれ、保持されてもよく、また、他の場所に酵素を移動不可能な状態で保持してもよい。
【0043】
次にトリガータイプを説明する。
すなわち、代表的なトリガータイプのスプレー容器は、消臭基剤を収容する容器、容器の口部に取り付けられるキャップ、一次バルブを備えたバルブケース、バルブケースに内挿・固定されるチューブ、バルブケースに外挿・固定されたハウジング、支持体に固定されたノズル、支持体に形成されたプランジャー、このプランジャーを押圧するトリガー、支持体に対して弾発支持するスプリング、支持体のバルブケースに内挿された2次バルブから構成される。
容器内には酵素が多孔質体にて移動不可能な状態で保持され、消臭基剤も収容されている。
【0044】
上記容器のトリガーをヒトの指を使って引き込むと、プランジャーが押されて、ピストンがハウジング内にある酵素と接触処理された消臭基剤を圧縮する。圧縮された該消臭基剤はハウジングとバルブケースとの間隙を通り、2次バルブを通過してノズル先端から一挙に放出される。トリガーから指を開放すると、スプリングの弾発力によりトリガーは元の状態に戻り、容器内の酵素処理された消臭基剤はシリンダー内に充填される。
【0045】
本発明の消臭剤を適用する他の好ましい消臭具の例として、消臭基剤収容容器、消臭基剤収納容器の上部に設けられた酵素からなる層を有する液体取り出し口部およびキャップから構成される消臭具が挙げられる。酵素からなる層は酵素が酵素層から外部に移動できないような状態になっていればどのような形態でもよい。
その消臭基剤収容容器を持ち上げ、キャップをはずし傾けると、容器内の消臭基剤が液体取り出し口に保持されている酵素と接触され、次いで取り出し口から流れ出す。一定量の酵素と接触処理された消臭基剤が流れ出た後、傾けた容器を元の状態に戻し、キャップを閉める。
取り出し口から流れ出た酵素と接触処理された消臭基剤を悪臭の発生源に適用し、悪臭を消去あるいは軽減することができる。
【0046】
本発明の消臭剤を適用する他の異なる好ましい消臭具の例を説明する。酵素、とくに固定化処理された酵素を、消臭基剤は通過できるが酵素は通過できないシートに載せ、その上から上記シートをさらに重ね、酵素収容シートを得る。この酵素収容シートを悪臭源の上部あるいは近傍に配置し、ついで消臭基剤を該酵素収容シート上から注ぎこむ。酵素収容シートの下側から酵素接触処理された消臭基剤が流れ出、悪臭の発生源に適用され、悪臭が消去あるいは軽減される。
また、消臭基剤出口を設けた消臭基剤収容容器、消臭基剤入口を容器の下部に設け、酵素と接触処理された消臭基剤出口を容器の上部に設けた酵素収容容器、二つの容器を接続するパイプなどの接続手段を配置した消臭具も挙げられる。
【0047】
消臭基剤収容容器内に収容された消臭基剤を必要なときにポンプなどの移送手段を用いて酵素収容容器に注入する。消臭基剤が酵素と接触された後に酵素収容容器の上部から酵素と接触処理された消臭基剤が排出され、任意の手段で悪臭の発生源に適用される。
また、酵素収納容器の代わりに酵素収容シートを使用してもよい。
消臭基剤を酵素と接触させて得られた消臭基剤は優れた消臭剤でもあるし、消臭基剤と、固定化酵素などに例示される消臭基剤から分離可能な酵素との組成物も消臭剤としての機能を有する。
【0048】
本発明でいう消臭剤は、人にとって悪臭と感じられる臭いを消去あるいは軽減することができる。とくに硫化水素、ジメチルスルフィド、ジアリルスルフィド、メチルメルカプタンなどの含硫黄化合物あるいはアンモニア、トリメチルアミン、インドールなどの含窒素化合物を構成成分とする悪臭の消臭に有効である。具体的には口臭、体臭、冷蔵庫内での臭い、納豆など独特の強い臭いを発する食品の臭い、生ゴミ、調理後の調理用品などから発せられる台所からの臭い、ごみ箱から発せられる臭い、工場内の臭い、工場廃液の臭い、ヒトを含めた動物の糞尿の臭い、パーマネントや染毛時に発せられる臭いなどを挙げることができる。
【0049】
本発明でいう消臭基剤、酵素と接触処理された消臭基剤あるいはそれを含有する消臭剤組成物内にフレーバーあるいはフレグランス、または両者を共に配合してもよい。その結果、酵素と接触処理された消臭基剤あるいはそれを含有する消臭剤組成物に心地よい香気を付与することができる。さらに消臭剤組成物を構成する成分によっては基質特有の異臭がごく僅か発生するときもあるが、そのようなときには異臭をマスキングすることができ、十分な消臭効果を発揮させることが可能になる。
【0050】
上記フレーバーあるいはフレグランスの配合量はとくに限定されないが、たとえば酵素と接触処理した消臭基剤を基準にして、0.01〜5重量%程度配合させると好ましい結果をもたらすことができる。
好ましいフレーバーあるはフレグランスとしては次の化合物あるいは精油が挙げられる。
【0051】
サリチル酸アミル、ベンジルアセトン、サリチル酸ベンジル、1,1,2,3,3−ペンタメチル−2,3,5,6,7−ペンタヒドロインデン−4−オン、2,6,6,8−テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン−8−オール、シトロネロール、酢酸トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]−4−デセン−8−イル、プロパン酸トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]−4−デセン−8−イル、2,6−ジメチルオクト−7−エン−2−オール、2,6−ジメチルヘプタン−1−オール、フェノキシベンゼン、4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル−6,7,8−トリヒドロキシ−シクロペンタ[1,2−g]イソクロマン、ガルバナム油、酢酸ゲラニル、3−エトキシ−1,1,5−トリメチルシクロヘキサン、ヘキシル桂皮アルデヒド、サリチル酸へキシル、酢酸イソボルニル、1−(3,4,10,10−テトラメチルビシクロ[4.4.0]−5−デセン−3−イル)エタン−1−オン、2−((2Z)ペンタ−2−エニル)−3−メチルシクロペンタン−2−エン−1−オン、3−[4−(tert−ブチル)フェニル]−2−メチルプロパナール、リナロール、2−アミノ安息香酸メチル、(1E)−1−(6,6−ジメチル−2−メチレンシクロヘキシル)−1−ペンテン−3−オン、2−((1E)−1−アザ−8−ヒドロキシ−4,8−ジメチル−1−ノネニル)安息香酸メチル、2−ノニナール−ジメチルアセタール、2−フェニルエタン−1−オール、α−テルピネオール、
【0052】
1−((6S,1R)−2,2,6−トリメチルシクロへキシル)へキサン−3−オール、酢酸2−(tert−ブチル)シクロヘキシル、酢酸4(tert−ブチル)シクロヘキシル、2−メトキシナフタレン、1−(2,6,6,8−テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0(1,5)]−8−ウンデセン−9−イル)エタン−1−オン、アセチルイソオイゲノール、アリルアミルグリコレート、1,6,10,10−テトラメチル−5−オキサトリシクロ[7.4.0.0(2,6)]トリデカン、(1S,2R,6R)−1,6,10,10−テトラメチル−5−オキサトリシクロ[7.4.0.0(2,6)]トリデカン、アミル−α−シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、酢酸ベンジル、ベルガモット油、7−メチル−2H,4H−ベンゾ[b]1,4−ジオキセピン−3−オン、桂皮アルコール、シトロネロール、2−メチル−3−[4−(メチルエチル)フェニル]プロパナール、2−オキサビシクロ[4.4.0]デカン−3−オン、(2E)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサン−3−エニル)ブタン−2−エン−1−オン、2,6−ジメチルオクタン−7−エン−2−オール、酢酸1,1−ジメチル−2−フェニルエチル、2,6−ジメチルヘプタン−1−オール、オイゲノール、2−オキサシクロヘキサデカン−1−オン、3−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパナール、ゲラニオール、2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)酢酸メチル、酢酸ヘキシル、サリチル酸ヘキシル、
【0053】
2H,4H,4aH,9aH−インダノ[2,1−d]1,3−ジオキサン、(3E)−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサン−2−エニルブタン−3−エン−2−オン、(3E)−4−(6,6−ジメチル−2−メチレンシクロヘキシル)ブタン−3−エン−2−オン、1−(3,4,10,10−テトラメチルビシクロ[4.4.0]−5−デセン−3−イル)エタン−1−オン、 2−((2Z)−2−ペンテニル)−3−メチルシクロ−2−ペンテン−1−オン、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセンカルバアルデヒド、3−[4−(tert−ブチル)フェニル]−2−メチルプロパナール、(5E)−2,6−ジメチルヘプタン−5−エナール、メチルカビコール、(1E)−1−(6,6−ジメチル−2−メチレンシクロヘキシル)ペンタン−1−エン−3−オン、2,5−ジオキサシクロヘプタデカン−1,6−ジオン、trans−2−トリデセナール、酢酸フェニルエチル、フェニルエチルアルコール、酢酸スチラリル、ジメチルシクロヘキサナール、5−ヘプチル−3,4,5−トリヒドロフラン−2−オン、酢酸2−(tert−ブチル)シクロヘキシル、α−フェンキルアルコール、1−デカナール、2,6−ジメチル−7−オクテン−2−オール、4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル−6,7,8−トリヒドロシクロペンタ[1,2−g]イソクロマン、安息香酸ベンジル、
【0054】
2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)酢酸メチル、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−アール、酢酸リナリル、ゲラニルニトリル、テトラヒドロリナロール、バニリン、カリオフィレン、メントール、イソプレゴール、ユーカリプトール、p−メンタン−3,8−ジオール、ビニルブチルエーテル、リンゴ油、アプリコット油、カッシア油、桂皮アルデヒド、ヘキサン酸アリル、酢酸イソアミル、アミルアルコール、アネトール、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、酢酸イソブチル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、樟脳、カルボン、β−カリオフィレン、シンナムアルデヒド、シンナミルアルコール、シトラール、酢酸シトロネリル、クミンアルデヒド、シメン、デカラクトン、デカナール、ジアセチル、アセト酢酸エチル、アンスラニル酸エチル、酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、乳酸エチル、2−メチル酪酸エチル、サリチル酸エチル、エチルバニリン、エチルメントール、オイゲノール、イソオイゲノール、フルフラール、フルフリルアルコール、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ヘキサナール、ヘキセナール、酢酸ヘキシニル、ヘキシルアルコール、イオノン、イロン、リモネン、リナロール、酢酸リナリル、マルトール、メントール、メントン、酢酸メチル、アンスラニル酸メチル、桂皮酸メチル、サリチル酸メチル、ネロール、ネロリドール、
【0055】
ノナラクトン、ノナナール、オクタラクトン、オクタナール、オクタノール、オクテノール、酢酸オクチル、酢酸フェニル、フェネチルアルコール、ピネン、ピペラナール、酢酸プロピル、チモール、ウンデカラクトン、アニス油、アニススター油、メボウキ油、月桂樹葉ウエストインデアン油、クスノキ剤油、ブチュ葉油、カルダモン種子油、カッシア樹皮油、クモミル花ローマン油、シナモン樹皮油、肉桂葉油、チョウジ蕾み油、コニャックグリーン油、コエンドロ油、クベバ油、ヒメウイキョウ油、ウイキョウ甘油、ニンニク油、ショウガ油、ペチグレイン油、レモン油、ライムオイル、オレンジ油、柑橘油、杉剤油、クスノキ剤油、シトロネラ油、パッチュリ油、ユーカリ油、ベイ油、グレープフルーツ油、マンダリン油、白檀油、杜松実油、ローズ油、イラン油、タンジェリン油、ゼラニウム油、リモネン、薄荷油、西洋薄荷(ペパーミント)油、などが挙げられる。これらは、2種以上混合しても良い。
【0056】
本発明の消臭剤組成物には他の配合剤を添加することも可能である。具体的には、各種安定化剤、無水ケイ酸塩、無水硫酸塩、各種無機塩化物、糖類、多糖類等の増量剤、色素、界面活性剤、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンE、ビタミンC等の抗酸化剤、安息香酸、安息香酸ナトリウム等の抗微生物剤、活性炭、サイクロデキストリン等の市販消臭剤等が挙げられる。これらの配合量は所期の目的を達成できる限り配合してよい。
【0057】
本発明の消臭基剤あるいは消臭剤は広い範囲の臭いの除去あるいは軽減に有効であり、各種の用途に応用される。すなわち、本発明の消臭剤は含硫黄化合物あるいは含窒素化合物を捕獲することができるのであるから、悪臭を構成する成分としてそれら化合物が存在するときには、当該悪臭は消臭されることになるので、広い範囲の使い方を可能にする。具体的には、生ゴミの臭い、まな板、包丁、鍋、食器などの臭いを消臭する台所用消臭剤、パーマネント時やヘアカラー時に発生する臭いを消臭する頭髪用消臭剤、オムツ、ナプキン、寝たきり老人用のベッド用シーツやマットなどの臭いを消臭する衛生用品用消臭剤、ソファー、カーテン、洋服などの布製品などから生じる臭いを消臭する消臭剤、ペットおよびペット関連用品から発せられる臭いを消臭するペット用消臭剤、トイレや風呂場などで生じる臭いを消臭する消臭剤などが挙げられる。とくにスプレータイプの消臭剤を用いると、手軽に消臭剤を適用でき、しかも完全に悪臭を消臭することができるので、極めて有効である。
【0058】
以下、参考例、実施例および応用例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されない。なお、とくに規定していない限り、%は重量%を意味する。
【0059】
参考例1 消臭基剤の調製
生コーヒー豆1Kgを粉砕機で粉砕し、5mmメッシュ通過した粉砕物に水10L加えて、85〜95℃で2時間抽出する。抽出液をろ過した後、ろ液をXAD−2(オルガノ株式会社製)カラムに吸着させる。水で洗浄した後、メタノールで溶出させる。溶出液を濃縮乾固し、生コーヒー豆抽出物182gを得た。
【0060】
参考例2 酵素の調製
ゴボウ100gと−20℃に冷却したアセトン400mLをミキサーに入れ、磨砕した後、吸引ろ過した。残渣を5℃の80%アセトン含水液500mLで十分洗浄した後、エバポレーターにより溶剤を除去することによりゴボウパウダー20gを得た。
【0061】
参考例3 固定化酵素の調製
Myceliophthora thermophila由来のラッカーゼ濃縮液(4690LAMU/g)527gに1規定水酸化ナトリウム溶液を添加して濃縮液のPHを10に調整した後、該調整された液体を2000gのカッサバでんぷん顆粒(粒子サイズ 約0.7mm)にLodgie社製5リッターMGミキサーを用いて噴霧し、溶液が分散するようにした。次にこの水分を含む顆粒をGlatt社製MP1流動層を用い60℃で乾燥した。
この乾燥させたラッカーゼを保持した顆粒1kgをLodgie社製5リッターMGミキサーに移し、4.5%グルタルアルデヒド溶液22gを噴霧した。次にこの水分を含む顆粒をGlatt社製MP1流動層を用い60℃で乾燥することにより、344LAMU/gの活性を持つ架橋固定化ラッカーゼを調製した。
【0062】
実施例1 酵素と接触処理した消臭基剤の調製
ガラス管(内径8mm)の下端部より3cm程度上部に脱脂綿製の水溶液通過可能な栓を設け、上端部が開放されているガラス管を用意した。参考例2で得たゴボウパウダー20mgを上記脱脂綿製の栓の上部に詰め、その上から脱脂綿製の水溶液通過可能な栓を施しゴボウパウダーを移動できないようにした。参考例1で得られた生コーヒー豆抽出物20mgを水に溶解させて得た生コーヒー豆抽出液3mLを上記ガラス管内に注いだ。ガラス管の下端部から、ゴボウアセトンパウダーの層を通過した生コーヒー豆抽出液を得た。
【0063】
試験例1 酵素と接触処理した消臭基剤の消臭能
実施例1で得られた生コーヒー豆抽出液2mLを50mLの褐色瓶に入れ、メチルメルカプタンナトリウムの15%水溶液2μLを加えて、パラフィルムで蓋をして、25℃にて攪拌する。10分後、バイアル瓶内のヘッドスペースガス50mLをガス検知管(ガステック株式会社製)に通して、ガス内に残存する悪臭成分である含イオウ化合物の濃度を測定し、下式に従って消臭率を算出した。
実施例1で得られた生コーヒー豆抽出液1mLに水1mLを加えた溶液を50mLの褐色瓶に入れ、上記と同様な操作を繰り返し、消臭率を算出した。
測定結果を表1に示す。
消臭率(%) = 100 x {1 − (A) / (B)}}
なお、上記式中、Aは測定された悪臭成分濃度を示し、Bはコントロールで測定された悪臭成分濃度を示す。
【0064】
表1
表中、コントロールは 実施例1の生コーヒー豆抽出液2mL加える代わりに、水2mL加えた。
対照▲1▼は、実施例1の生コーヒー豆抽出液2mL加える代わりに、参考例1の生コーヒー豆抽出液であってガラス管に通す前の生コーヒー豆抽出液2mLを加えた。
対照▲2▼は、実施例1の生コーヒー豆抽出液2mL加える代わりに、下記方法にて得られた液体2mLを加えた。
実施例1において生コーヒー豆抽出液3mLの代わりに、水3mLをゴボウパウダー層を通過させて得られた液体。
対照▲3▼は、実施例1の生コーヒー豆抽出液2mL加える代わりに、対照▲2▼で用いた液体1mLと参考例1の生コーヒー豆抽出液であってガラス管に通す前の生コーヒー豆抽出液1mLを混合させた溶液2mLを加えた。
【0065】
実施例2 酵素と接触処理した消臭基剤の調製
実施例1においてゴボウパウダーの代わりに参考例3で得られた固定化酵素を下記の量用いて、実施例1と同様なガラス管を用意した。次に、下記消臭基剤を特に規定していないかぎり、5mL下記の速度(流速)でガラス管に注ぎ、固定化酵素層を通過させ、酵素と接触処理した消臭基剤を得た。
【0066】
なお、生コーヒー豆抽出液(0.5%)は、参考例1で得られた生コーヒー豆抽出物を0.5重量%含む水溶液である。生コーヒー豆抽出液(2.5%)、生コーヒー豆抽出液(5%)も同様である。
また、リグニン水溶液(ナカライテスク社製、0.5%)はナカライテスク社製のリグニンを0.5重量%含む水溶液である。
【0067】
試験例2 酵素と接触処理した消臭基剤の消臭能
実施例2で得られた酵素と接触処理した消臭基剤の消臭能を試験例1と同様な方法で測定した。
得られた結果を下記表2〜5に示した。固定化酵素層を通さない消臭基剤をコントロールとして、消臭率を算出した。
測定結果
表2
1)酵素量と消臭活性
消臭基剤:生コーヒー豆抽出液0.5%
流速:2mL/分
【0068】
表3
2)消臭基剤の種類と消臭活性
【0069】
酵素量:500mg
流速:2mL/分
表4
3)消臭基剤濃度と消臭活性
消臭基剤:生コーヒー豆抽出液
流速2mL/分
【0070】
実施例3 酵素と接触処理した消臭基剤の調製
参考例3で得られた固定化ラッカーゼ(344 LAMU/g)5gを霧吹き器内に設けられた溶液通過チューブ内に脱脂綿製の栓で移動不可能に固定した。
参考例1で得られた生コーヒー豆抽出物の2.5%水溶液を該霧吹き器内に収容した。
霧吹き器のノブを押し、霧吹き器内の参考例1で得られた生コーヒー豆抽出液をチューブ内に誘導し、通過させ、移動不可能に固定されている固定化ラッカーゼと接触処理された霧状の消臭基剤が得られた。
【0071】
試験例3 酵素と接触処理した消臭基剤の消臭能
実施例3で得た固定化ラッカーゼ(344 LAMU/g)と接触処理された消臭基剤を2mL集め、この酵素処理された消臭基剤の消臭能を試験例1と同様な方法で測定した。
固定化酵素層を通さない消臭基剤をコントロールとして、消臭率を算出した。
その結果、消臭率は71.4%であった。
【0072】
【発明の効果】
本発明により、各種悪臭成分に対して優れた消臭効果がある酵素と接触処理された消臭基剤、該基剤を含む組成物および消臭方法が提供された。従来から知られている消臭剤中には酵素が含まれている場合があるが、ヒトへの感作性の点で使用できない酵素が知られていたが、この発明により、感作性がある酵素でも使用可能になった。そして、実質的に酵素を含有しない本発明の消臭剤組成物は優れた消臭効果をもたらすのであり、極めて実用的である。
Claims (9)
- 酵素と接触処理した消臭基剤を悪臭の発生源に適用することを特徴とする悪臭の消臭方法。
- 消臭基剤がフェノール性化合物で酵素がフェノール性化合物酸化酵素である請求項1記載の悪臭の消臭方法。
- 消臭基剤にはフレグランス及び/又はフレーバーが添加・配合されている請求項1または2記載の悪臭の消臭方法。
- フェノール性化合物酸化酵素が固定化処理されたフェノール性化合物酸化酵素である請求項1記載の悪臭の消臭方法。
- 酵素と消臭基剤とを酵素が消臭基剤から隔離した状態で一つの容器内に保持し、容器内で消臭基剤を酵素と接触処理させた後に酵素と接触処理した消臭基剤を悪臭の発生源に適用することを特徴とする悪臭の消臭方法。
- 消臭基剤と酵素とをそれぞれ異なる容器内に保持し、酵素と消臭基剤とのいずれか一方を他方が保持されている容器内に移送し、消臭基剤を酵素と接触処理させた後に酵素と接触処理した消臭基剤を悪臭の発生源に適用することを特徴とする悪臭の消臭方法。
- 酵素と接触処理した消臭基剤を消臭有効成分として含有することを特徴とする消臭剤組成物。
- 酵素と消臭基剤とを酵素が消臭基剤から隔離された状態で一つの容器内に保持する手段と、消臭基剤を酵素に接触処理させた後に酵素と接触処理した消臭基剤を悪臭の発生源に適用する手段を有することを特徴とする消臭具。
- 酵素と消臭基剤とを異なる容器内に保持する手段と、酵素と消臭基剤とのいずれか一方を他方が保持されている容器内に移送する手段、両者を接触処理させた後に酵素と接触処理した消臭基剤を悪臭の発生源に適用する手段を有することを特徴とする消臭具。
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