JP2004344084A - アルコール発酵性酵母 - Google Patents
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Abstract
【課題】産業廃棄物系のデンプン、セルロース系物質の加水分解物を発酵できる耐酸性、耐塩性の高い酵母を見いだす。
【解決手段】酸や塩等に高い耐性を示すIssatchenkia属orientalis種のアルコール発酵性酵母MF-121株(受託番号FERM P-19368)を提供する。この酵母は、耐酸性・耐塩性・耐糖性・耐アルコール性を複合的に有する。この酵母を用いると、バイオマス資源を硫酸等の酸で加水分解した糖液に、pHが3以下で、若干の栄養源を添加するだけでアルコール醗酵ができ、高いアルコール生産が可能となる。
【選択図】 なし
【解決手段】酸や塩等に高い耐性を示すIssatchenkia属orientalis種のアルコール発酵性酵母MF-121株(受託番号FERM P-19368)を提供する。この酵母は、耐酸性・耐塩性・耐糖性・耐アルコール性を複合的に有する。この酵母を用いると、バイオマス資源を硫酸等の酸で加水分解した糖液に、pHが3以下で、若干の栄養源を添加するだけでアルコール醗酵ができ、高いアルコール生産が可能となる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アルコール発酵性酵母に関し、より詳細には、酸や塩に高い耐性を示すアルコール発酵性酵母に関する。
【0002】
【従来の技術】
エネルギー生産を目的としてバイオマス資源から微生物を用いてアルコールを生産する方法に関して多くの文献が知られている。この原料のバイオマスは大きく澱粉系とセルロース系に分類される。澱粉系のバイオマスをグルコースに分解する方法として、糖化とアルコール発酵を別の工程で行う方法(非特許文献1)や糖化とアルコール発酵を同時に行う方法(非特許文献2)等が知られているが、そのpHはほぼ5〜6で行われている。
一方、セルロース系のバイオマスについては、濃硫酸でセルロースの結晶構造を壊してから、薄めて希硫酸にした後、加熱して完全加水分解する方法が最も一般である。このような方法として、現在米国を中心にセルロース系バイオマス資源を高濃度硫酸で加水分解し、石灰等で中和処理後、沈殿性の硫酸カルシウムを遠心等で除去後、アルコール発酵するシステムの開発が進んでいる(非特許文献3)。しかし、硫酸カルシウムを連続遠心機で除く工程は運転コスト、大量生産、連続遠心機の維持等を考えると、経済的な面で問題がある。また、硫酸カルシウムの沈殿には無視できない糖(グルコース)の吸着があり、アルコールの生産効率改善のためには吸着された糖を回収するための改善策が求められる。
一方、醸造食品関連分野ではアルコール醗酵は古くから行われており、醸造用の酒酵母(Saccharomyces cerevisiae)が最も一般に用いられている。しかし、これらの酵母は耐塩性の能力が低く、一般にpH5付近でアルコール生産されている。このため、培養液や醗酵装置の殺菌や温度制御は不可避であり、低コストが要求されるエネルギー生産分野には適していない。
【0003】
【非特許文献1】
Biotec. & Bioeng., 27, 316−320 (1985)
【非特許文献2】
Biotec. & Bioeng., 65, 673−676 (1999)
【非特許文献3】
日経バイオビジネス2002.09 p52−61
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、酸や塩等に高い耐性を示すアルコール醗酵酵母を提供することを目的とする。このような酵母を用いると、バイオマス資源を硫酸等の酸で加水分解した糖液に、pHが3以下で、若干の栄養源を添加するだけでアルコール醗酵ができ、高いアルコール生産が可能となる。また、この酵母は、耐酸性・耐塩性・耐糖性・耐アルコール性を複合的に有するため、培地や醗酵装置の殺菌が不要となる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
酸性河川(万座温泉街を流れる万座川の支流)から取得した河川水から、アルコール発酵性酵母MF121株を分離した。幾多の試験の結果、この酵母は耐酸性・耐塩性・耐糖性・耐アルコール性を複合的に有し、低pH条件でアルコール発酵が可能であることが分かった。
即ち、本発明は、Issatchenkia属orientalis種のアルコール発酵性酵母MF−121株である。
また、本発明は、請求項1に記載の酵母を含むその培養液である。
また、本発明は、この培養液に単糖を含む有機基質を加えることから成るエタノールを製造する方法である。この培養液のpHは3以下であってもよい。この有機基質は、糖質資源を加水分解することにより得られてもよい。この場合、酸等により加水分解したものには菌の生育阻害物質が含まれていることがあるので(非特許文献1)、活性炭等で濾過しておくことが好ましい。
【0006】
本発明の酵母は単糖をアルコール発酵するものであるため、有機基質としては、単糖を含む必要がある。単糖としては、グルコース、キシロース等を、特に制限なく用いることができる。糖質資源を基質とする場合には、糖質にはオリゴ糖や多糖が含まれるため、これらを加水分解して単糖にしておくことが好ましい。この糖質資源として、澱粉又はセルロースを含むものであってもよい。糖質としてはグルコースを構成単位とする糖質が最も好ましい。
本発明において有機基質として、例えば、澱粉又はセルロース類を多く含む残飯、非商品デンプン系菓子類、生分解性プラスチック、バイオマスなどが挙げられる。セルロース類の場合には、これに予め加水分解等の処理を行っておくことは特に有効である。
なお、Issatchenkia属orientalis種のアルコール発酵性酵母MF−121は、平成15年5月22日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託され、受託番号FERM P−19368が付与された。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、Issatchenkia属orientalis種のアルコール発酵性酵母MF−121の分類学的性質を示す。
1.形態特性
(a)GPY培地(pH6.0)で培養したものの顕微鏡写真を図1に示す。これは栄養状態の良いときの菌体を示している。
(b)スライド培養したものの顕微鏡写真を図2に示す。これはポテトグルコース寒天培地をスライドグラスに薄く引き、白金耳で菌体を薄く移植したあと十分に培養したあとの菌体、即ち、栄養状態が悪くなったときの菌体を示している。
【0008】
2.生態的分類法による性質
この分類法はThe yeasts a taxonomic study third revised and enlarged edition. edited by N.J.W. Kreger−van Rij, Elsevier Science Publishers B.V. (1984).及び Yeasts: Characterisitcs and identification(Third edition).Edited by J.A. Barnett, R.W. Payne and D. Yarrow, Cambridge University Press (2000).に従って行った。
(1)諸性質
【表1】
【0009】
(2)その他の性質
【表2】
(3)胞子の形成
有性胞子: 子嚢胞子・・・有り 球形胞子
(4)資化性と発酵性
【表3】
【0010】
3.遺伝子配列による同定
以上の結果、アルコール発酵性酵母MF−121は、Issatchenkia orientalis(Candida krusei)に最も近いと考えられたが、完全に一致しているとは判断できなかった。 そのため、更にDNAの塩基配列で菌株の同定を行った。
この菌株MF−121から常法によりDNAを抽出し、ユニバーサルプライマー(E21F(配列番号1)及びE1778r(配列番号2))を用いてPCR反応を行い、電気泳動を行い、精製したものを、シクエンサー(ABI PRIZM310, DYEnamic Terminator Cycle Seaquencing Kit, プライマー:E21F、E1778r、NS2(配列番号3)及びNS3(配列番号4)NS4(配列番号5)及びNS5(配列番号6))によりその配列(配列番号7)を決定した。
【0011】
この配列(配列番号7)をデータベース(NCBI)上で検索したところ、Candida Krusei (M55528)、Issatchenkia orientalis (AB053239)及びIssatchenkia orientalis (AY218894)と相同性がそれぞれ99%、Pichia membranifaciens (AY251635)と相同性が97%、Candida pseudlambica (AB053238)と相同性が98%、Pichia manshurica (AY251637)と相同性が97%、Pichia membranifaciens (X58055)と相同性が97%であった。この結果、Candida krusei, Issatchenkia orientalis, Pichia sp.が上位に上げられ、本菌はCandida krusei 又は Issatchenkia orientalis と考えられる。
しかし、これらはpH2.5程度の低pHでアルコール発酵するという特性は知られておらず、本発明のアルコール発酵性酵母MF−121株は新種の酵母と考えられる。
【0012】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を例証するが、本発明を限定することを意図するものではない。
実施例1
万座温泉街を流れる万座川の支流から採取した河川水(pH約2−3)25mlとスクリーニング培地25ml(pH2.5)を混ぜ、100ml程度のマイヤーを使用して培養液が白濁するまで30℃で振とう培養した。このスクリーニング培地組成(改変GPY培地)は、グルコース10%、ポリペプトン1%、酵母エキス0.5%、硫酸ナトリウム5%、水道水から作製し、5規定(N)硫酸でpH2.5に調整し、培養液の殺菌はしなかった。
GPY培地を、グルコース10%、ポリペプトン1%、酵母エキス0.5%から作製した。
培養液25mlと、同じスクリーニング培地25mlを混合し再度培養し目的酵母の濃縮を計った。有用菌株の濃縮の段階では、スクリーニング培地は低温加熱殺菌(65℃、30分程度の条件)をした培地を使用した。
上記スクリーニング培地に2%寒天を加え固体培地を作成し、培養液の一部を固体培地上に広げコロニーを出させた。
コロニーを20種類ほど釣り上げ、スクリーニング培地(10ml)で培養した。培養液がエタノール臭を示す株を第一段階目のアルコール発酵性菌株として選択した。
この選択株を再度培養し、培養液中のエタノール濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。培養液の一部を遠心後、フィルター濾過しHPLCでアルコール濃度を正確に測定した。
アルコール濃度が高かった株について、再度コロニーを出させ純化した。
酸性培地での生育性とアルコール醗酵能を総合評価し、最終的にMF121株を分離した。
【0013】
実施例2
本実施例では、MF121株の特殊培養条件におけるアルコール生産条件を検討した。試験条件設定等は以下の考え方で行った。
A:硫酸塩濃度を5%まで試験した。高濃度澱粉(40−50%澱粉溶液)を0.8−2.0規定濃度の硫酸中で100−120℃、約1時間加熱処理すると、ほとんどの澱粉はグルコースに加水分解される。これを苛性ソーダでpH2.5まで中和すると硫酸ソーダ塩濃度は約5%弱となる。
B:培養液のグルコース濃度を20%と25%濃度で試験した。耐糖性のある酵母でも一般的に25%グルコース濃度以上となると生育は容易でない。塩を含むとさらに条件は悪くなる。たとえ生育できてもアルコール発酵は期待できない。
C:アルコール発酵能の上限を設定した。一般に、培地の糖濃度の約50%変換率がほぼアルコール発酵の上限と考えられる。残り50%の糖は生育やアルコール生合成系に利用される。そのような理由から、20%から25%濃度グルコースから発酵で期待できるアルコール濃度の最高値としては約10−12.5%を目標とすることが一般的である。
D:最終的にバイオリアクターでアルコール発酵を行った。1回ごとにアルコール発酵を行うと(回分式発酵)、グルコースが細胞の生育に使用されグルコースのアルコール変換率が悪い。バイオリアクター内に酵母を生育させた後に、連続してグルコースをアルコールに変換すると2回目以降のグルコースは主にアルコール発酵に回り、理論上アルコール変換効率は上がる。また、連続的にアルコールの製造が可能となるため、スケールアップするのに都合が良い。
【0014】
生育条件は以下のとうりである。
グルコース20%と25%、ポリペプトン1%、酵母エキス0.5%のGPY培地をベースにpH3.0、 pH2.5、 pH2.0と硫酸ナトリウム濃度を0%から5%に変化させ生育特性調べた。比較菌株として、実際の醸造に使用されている酒酵母(Saccharomyces cerevisiae)4種類を使用した。S:焼酎酵母、no.3:ワイン酵母、no.7とno.9は清酒酵母。
生育特性の評価は以下の方法で行った。培養液を10倍水で希釈後、吸光度(660nm)で測定し、菌体の濁度を指標に菌の生育程度を比較した。
【0015】
生育結果を下記の表4及び表5にまとめた。
【表4】
【表5】
この結果、MF121株は25%グルコース、pH2.0、5%硫酸ナトリウムのGPY培地でも生育は十分できることが明らかとなり、複合耐性酵母であることが証明された。一方、醸造に利用されている一般の酒酵母では、同じ培養条件では全く生育できなかった。
【0016】
実施例3
本実施例では、MF121株のアルコール醗酵能を試験した。比較のため実施例2で用いた4種類の酒酵母についても同様に試験した。
500ml容三角フラスコに酸性GPYS培地100mlを作り、前培養液(5ml)を加え、30℃で緩やかに振とう培養を5日間行い、アルコール濃度を測定した。
この酸性GPYS培地は、グルコース20%と25%、ポリペプトン1%、酵母エキス0.5%をベースに培養液とし、pHと硫酸ソーダ塩濃度を変えた。
アルコール濃度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、カラム:TSKgel OApak−Aで測定した。
【0017】
結果を表6及び表7にまとめる。
【表6】
【表7】
【0018】
MF−121株は(1)20%グルコース、5%硫酸ソーダ、pH2.5の培地条件、及び(2)25%グルコース、5%硫酸ソーダ、pH3.0の培地条件まで生育及び高いアルコール発酵能を示したのに対し、醸造用の酵母では、十分な生育ができず、アルコール生産もほとんどなかった。
グルコース濃度が20%と25%でアルコール生産性に有意な差が認められなかったことから、効率的には浸透圧の低い20%グルコースの方が適している。同様の考えで、硫酸ソーダ塩の濃度も2.5%濃度の方が菌株の生育上には良いと考えられる。
以上のことから、MF−121株の酸性培地中でのアルコール発酵は、グルコース20%、硫酸ソーダ2.5%、pH2.5が適当と判断した。またこの条件でも、醸造用酵母のアルコール発酵能はかなり低い。
培養条件が厳しくなるとアルコール発酵能は低下するが、下記のデータでは上昇している箇所がある。この理由として、本菌は発泡性の性質があり、菌体が泡の中に包まれると培養液の上層に浮きアルコール発酵がしにくくなると考えられる。一方、pHが下がると泡の生成が少なくなり、多くの酵母菌体がアルコール発酵する機会が与えられ生産量が上昇したと考えられる。
【0019】
実施例4
本実施例では、図3に示すバイオリアクターを用いてアルコール生産実験を行った。酸性GPYS培地として、グルコース20%、ポリペプトン1%、酵母エキス0.5%、硫酸ナトリウム2.5%から成り、pH2.5に調整したものを用いた。培地は第1回目だけ低温加熱殺菌(65℃、30分程度)するが、菌体が増えアルコールが生産されてくるとアルコール殺菌の効果も現れてくるので、培地交換をするときには培地の殺菌は不要となる。
装置の仕様は以下のとうりである
(i)リアクターのカラム:内径3cm 長さ40cm
(ii)担体:ヘチマ繊維
(iii)酸性GPYS培地:500 ml
(iv)培地の流速:0.5 ml/min (30 ml/h)
実験は、一定時間ごとに培地中のグルコースとエタノール濃度を測定した。酸性GPYS培地を付け替えるごとに内容液を抜き取り、新たに循環させた。その結果を図4に示す。
【0020】
本実験の結果以下のことがわかった。
(1)約9%アルコール生産まで到達する。
(2)バイオリアクター内の固定化酵母菌体量を増やせばアルコール生産速度は向上すると考えられる。
(3)約4ヶ月、10回以上GPYS培地を付け替えて運転したが、状態が悪くなるようなことはなかった。酸性GPYS培地にアルコールが約9%程度含まれるため、最初の培養時だけ簡単な殺菌操作をすれば、その後の培地の殺菌はする必要性がないと考えられる。
【0021】
実施例5
本実施例では、澱粉の加水分解物からアルコール発酵させた。
馬鈴薯澱粉(ポテト澱粉)10gを1.0規定(N)硫酸30mlを加え、110℃で2時間加水分解した。加水分解後、遠心した上澄液を苛性ソーダでpH2.5に調整し、ポリペプトン4%と酵母エキス2%を溶解した栄養培地(pH2.5)10ml加えた。これに、MF121株の培養液5mlを加え、30℃で3日間振とう培養後、さらに3日間静置培養を行った。培養液を遠心した上澄み液をフィルター濾過後HPLCでアルコール濃度を分析した結果、培養液中のアルコール濃度は5.8%であった。
【0022】
実施例6
本実施例では、セルロースの加水分解からアルコール発酵させた。
市販セルロースを54%硫酸溶液に20℃で1時間浸し膨潤させた後、大量の蒸留水で希釈、沈澱したセルロースを自然沈降法と遠心法で集め、よく洗浄した。このセルロースの結晶構造は相当弱くなっているため、完全加水分解が天然のものと比べると容易であると考えられる。
この前処理を施したセルロース10gを1%市販セルラーゼを含む酢酸緩衝液(pH4.5)50mlに懸濁し、45℃で4日間反応させた後、10規定(N)硫酸10mlを加え、110℃で4時間加水分解した。加水分解後遠心した上澄み液を、苛性ソーダでpH2.5に調整し、ポリペプトン15%と酵母エキス7.5%を溶解した栄養培地(pH2.5)5ml加えた。これに、MF121株の培養液5mlを加え、30℃で3日間振とう培養後、さらに3日間静置培養を行った。培養液を遠心した上澄み液をフィルター濾過後HPLCでアルコール濃度を分析した結果、培養液中のアルコール濃度は2.0%であった。
以上から、本発明の酵母により、セルロース等を酸で加水分解した生成物を用いてpHが2.5の条件でアルコール発酵することができることがわかる。
【0023】
【発明の効果】
本発明の複合耐性酵母は、澱粉資源の硫酸加水分解溶液を苛性ソーダでpH2.5程度に調整後、活性炭等で脱色処理と、多少の栄養源を添加するだけで、アルコール(エタノール)の工業生産が可能である。
図3に示すバイオリアクター装置(アルコール発酵工程)に、有機基質を加水分解する工程を付加して、その加水分解物を基質(図3の1)として使用することにより、このバイオリアクター装置でより広いバイオマス資源をエタノールに経済的に変換することが可能となる。特に、セルロース系バイオマス資源を物理的・生化学的に前処理をしてセルロース構造を柔らかくし、硫酸で加水分解すれば、このような酵母の発酵工程だけでは処理が困難なセルロース系バイオマス資源からアルコール生産ができる。
【0024】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】MF−121株をGPY培地(pH6.0)で培養したものの顕微鏡写真を示す図である。
【図2】MF−121株をスライド培養したものの顕微鏡写真を示す図である。
【図3】バイオリアクター装置(アルコール発酵工程)を示す図である。
【図4】本発明の酵母を用いたアルコール生産実験を示す図である。
【符号の説明】
1 基質(グルコース)
2 GPYS培地
3 温水装置(30℃)
4 固定化した酵母
5 ポンプ
6 炭酸ガス抜き
【発明の属する技術分野】
この発明は、アルコール発酵性酵母に関し、より詳細には、酸や塩に高い耐性を示すアルコール発酵性酵母に関する。
【0002】
【従来の技術】
エネルギー生産を目的としてバイオマス資源から微生物を用いてアルコールを生産する方法に関して多くの文献が知られている。この原料のバイオマスは大きく澱粉系とセルロース系に分類される。澱粉系のバイオマスをグルコースに分解する方法として、糖化とアルコール発酵を別の工程で行う方法(非特許文献1)や糖化とアルコール発酵を同時に行う方法(非特許文献2)等が知られているが、そのpHはほぼ5〜6で行われている。
一方、セルロース系のバイオマスについては、濃硫酸でセルロースの結晶構造を壊してから、薄めて希硫酸にした後、加熱して完全加水分解する方法が最も一般である。このような方法として、現在米国を中心にセルロース系バイオマス資源を高濃度硫酸で加水分解し、石灰等で中和処理後、沈殿性の硫酸カルシウムを遠心等で除去後、アルコール発酵するシステムの開発が進んでいる(非特許文献3)。しかし、硫酸カルシウムを連続遠心機で除く工程は運転コスト、大量生産、連続遠心機の維持等を考えると、経済的な面で問題がある。また、硫酸カルシウムの沈殿には無視できない糖(グルコース)の吸着があり、アルコールの生産効率改善のためには吸着された糖を回収するための改善策が求められる。
一方、醸造食品関連分野ではアルコール醗酵は古くから行われており、醸造用の酒酵母(Saccharomyces cerevisiae)が最も一般に用いられている。しかし、これらの酵母は耐塩性の能力が低く、一般にpH5付近でアルコール生産されている。このため、培養液や醗酵装置の殺菌や温度制御は不可避であり、低コストが要求されるエネルギー生産分野には適していない。
【0003】
【非特許文献1】
Biotec. & Bioeng., 27, 316−320 (1985)
【非特許文献2】
Biotec. & Bioeng., 65, 673−676 (1999)
【非特許文献3】
日経バイオビジネス2002.09 p52−61
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、酸や塩等に高い耐性を示すアルコール醗酵酵母を提供することを目的とする。このような酵母を用いると、バイオマス資源を硫酸等の酸で加水分解した糖液に、pHが3以下で、若干の栄養源を添加するだけでアルコール醗酵ができ、高いアルコール生産が可能となる。また、この酵母は、耐酸性・耐塩性・耐糖性・耐アルコール性を複合的に有するため、培地や醗酵装置の殺菌が不要となる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
酸性河川(万座温泉街を流れる万座川の支流)から取得した河川水から、アルコール発酵性酵母MF121株を分離した。幾多の試験の結果、この酵母は耐酸性・耐塩性・耐糖性・耐アルコール性を複合的に有し、低pH条件でアルコール発酵が可能であることが分かった。
即ち、本発明は、Issatchenkia属orientalis種のアルコール発酵性酵母MF−121株である。
また、本発明は、請求項1に記載の酵母を含むその培養液である。
また、本発明は、この培養液に単糖を含む有機基質を加えることから成るエタノールを製造する方法である。この培養液のpHは3以下であってもよい。この有機基質は、糖質資源を加水分解することにより得られてもよい。この場合、酸等により加水分解したものには菌の生育阻害物質が含まれていることがあるので(非特許文献1)、活性炭等で濾過しておくことが好ましい。
【0006】
本発明の酵母は単糖をアルコール発酵するものであるため、有機基質としては、単糖を含む必要がある。単糖としては、グルコース、キシロース等を、特に制限なく用いることができる。糖質資源を基質とする場合には、糖質にはオリゴ糖や多糖が含まれるため、これらを加水分解して単糖にしておくことが好ましい。この糖質資源として、澱粉又はセルロースを含むものであってもよい。糖質としてはグルコースを構成単位とする糖質が最も好ましい。
本発明において有機基質として、例えば、澱粉又はセルロース類を多く含む残飯、非商品デンプン系菓子類、生分解性プラスチック、バイオマスなどが挙げられる。セルロース類の場合には、これに予め加水分解等の処理を行っておくことは特に有効である。
なお、Issatchenkia属orientalis種のアルコール発酵性酵母MF−121は、平成15年5月22日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託され、受託番号FERM P−19368が付与された。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、Issatchenkia属orientalis種のアルコール発酵性酵母MF−121の分類学的性質を示す。
1.形態特性
(a)GPY培地(pH6.0)で培養したものの顕微鏡写真を図1に示す。これは栄養状態の良いときの菌体を示している。
(b)スライド培養したものの顕微鏡写真を図2に示す。これはポテトグルコース寒天培地をスライドグラスに薄く引き、白金耳で菌体を薄く移植したあと十分に培養したあとの菌体、即ち、栄養状態が悪くなったときの菌体を示している。
【0008】
2.生態的分類法による性質
この分類法はThe yeasts a taxonomic study third revised and enlarged edition. edited by N.J.W. Kreger−van Rij, Elsevier Science Publishers B.V. (1984).及び Yeasts: Characterisitcs and identification(Third edition).Edited by J.A. Barnett, R.W. Payne and D. Yarrow, Cambridge University Press (2000).に従って行った。
(1)諸性質
【表1】
【0009】
(2)その他の性質
【表2】
(3)胞子の形成
有性胞子: 子嚢胞子・・・有り 球形胞子
(4)資化性と発酵性
【表3】
【0010】
3.遺伝子配列による同定
以上の結果、アルコール発酵性酵母MF−121は、Issatchenkia orientalis(Candida krusei)に最も近いと考えられたが、完全に一致しているとは判断できなかった。 そのため、更にDNAの塩基配列で菌株の同定を行った。
この菌株MF−121から常法によりDNAを抽出し、ユニバーサルプライマー(E21F(配列番号1)及びE1778r(配列番号2))を用いてPCR反応を行い、電気泳動を行い、精製したものを、シクエンサー(ABI PRIZM310, DYEnamic Terminator Cycle Seaquencing Kit, プライマー:E21F、E1778r、NS2(配列番号3)及びNS3(配列番号4)NS4(配列番号5)及びNS5(配列番号6))によりその配列(配列番号7)を決定した。
【0011】
この配列(配列番号7)をデータベース(NCBI)上で検索したところ、Candida Krusei (M55528)、Issatchenkia orientalis (AB053239)及びIssatchenkia orientalis (AY218894)と相同性がそれぞれ99%、Pichia membranifaciens (AY251635)と相同性が97%、Candida pseudlambica (AB053238)と相同性が98%、Pichia manshurica (AY251637)と相同性が97%、Pichia membranifaciens (X58055)と相同性が97%であった。この結果、Candida krusei, Issatchenkia orientalis, Pichia sp.が上位に上げられ、本菌はCandida krusei 又は Issatchenkia orientalis と考えられる。
しかし、これらはpH2.5程度の低pHでアルコール発酵するという特性は知られておらず、本発明のアルコール発酵性酵母MF−121株は新種の酵母と考えられる。
【0012】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を例証するが、本発明を限定することを意図するものではない。
実施例1
万座温泉街を流れる万座川の支流から採取した河川水(pH約2−3)25mlとスクリーニング培地25ml(pH2.5)を混ぜ、100ml程度のマイヤーを使用して培養液が白濁するまで30℃で振とう培養した。このスクリーニング培地組成(改変GPY培地)は、グルコース10%、ポリペプトン1%、酵母エキス0.5%、硫酸ナトリウム5%、水道水から作製し、5規定(N)硫酸でpH2.5に調整し、培養液の殺菌はしなかった。
GPY培地を、グルコース10%、ポリペプトン1%、酵母エキス0.5%から作製した。
培養液25mlと、同じスクリーニング培地25mlを混合し再度培養し目的酵母の濃縮を計った。有用菌株の濃縮の段階では、スクリーニング培地は低温加熱殺菌(65℃、30分程度の条件)をした培地を使用した。
上記スクリーニング培地に2%寒天を加え固体培地を作成し、培養液の一部を固体培地上に広げコロニーを出させた。
コロニーを20種類ほど釣り上げ、スクリーニング培地(10ml)で培養した。培養液がエタノール臭を示す株を第一段階目のアルコール発酵性菌株として選択した。
この選択株を再度培養し、培養液中のエタノール濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。培養液の一部を遠心後、フィルター濾過しHPLCでアルコール濃度を正確に測定した。
アルコール濃度が高かった株について、再度コロニーを出させ純化した。
酸性培地での生育性とアルコール醗酵能を総合評価し、最終的にMF121株を分離した。
【0013】
実施例2
本実施例では、MF121株の特殊培養条件におけるアルコール生産条件を検討した。試験条件設定等は以下の考え方で行った。
A:硫酸塩濃度を5%まで試験した。高濃度澱粉(40−50%澱粉溶液)を0.8−2.0規定濃度の硫酸中で100−120℃、約1時間加熱処理すると、ほとんどの澱粉はグルコースに加水分解される。これを苛性ソーダでpH2.5まで中和すると硫酸ソーダ塩濃度は約5%弱となる。
B:培養液のグルコース濃度を20%と25%濃度で試験した。耐糖性のある酵母でも一般的に25%グルコース濃度以上となると生育は容易でない。塩を含むとさらに条件は悪くなる。たとえ生育できてもアルコール発酵は期待できない。
C:アルコール発酵能の上限を設定した。一般に、培地の糖濃度の約50%変換率がほぼアルコール発酵の上限と考えられる。残り50%の糖は生育やアルコール生合成系に利用される。そのような理由から、20%から25%濃度グルコースから発酵で期待できるアルコール濃度の最高値としては約10−12.5%を目標とすることが一般的である。
D:最終的にバイオリアクターでアルコール発酵を行った。1回ごとにアルコール発酵を行うと(回分式発酵)、グルコースが細胞の生育に使用されグルコースのアルコール変換率が悪い。バイオリアクター内に酵母を生育させた後に、連続してグルコースをアルコールに変換すると2回目以降のグルコースは主にアルコール発酵に回り、理論上アルコール変換効率は上がる。また、連続的にアルコールの製造が可能となるため、スケールアップするのに都合が良い。
【0014】
生育条件は以下のとうりである。
グルコース20%と25%、ポリペプトン1%、酵母エキス0.5%のGPY培地をベースにpH3.0、 pH2.5、 pH2.0と硫酸ナトリウム濃度を0%から5%に変化させ生育特性調べた。比較菌株として、実際の醸造に使用されている酒酵母(Saccharomyces cerevisiae)4種類を使用した。S:焼酎酵母、no.3:ワイン酵母、no.7とno.9は清酒酵母。
生育特性の評価は以下の方法で行った。培養液を10倍水で希釈後、吸光度(660nm)で測定し、菌体の濁度を指標に菌の生育程度を比較した。
【0015】
生育結果を下記の表4及び表5にまとめた。
【表4】
【表5】
この結果、MF121株は25%グルコース、pH2.0、5%硫酸ナトリウムのGPY培地でも生育は十分できることが明らかとなり、複合耐性酵母であることが証明された。一方、醸造に利用されている一般の酒酵母では、同じ培養条件では全く生育できなかった。
【0016】
実施例3
本実施例では、MF121株のアルコール醗酵能を試験した。比較のため実施例2で用いた4種類の酒酵母についても同様に試験した。
500ml容三角フラスコに酸性GPYS培地100mlを作り、前培養液(5ml)を加え、30℃で緩やかに振とう培養を5日間行い、アルコール濃度を測定した。
この酸性GPYS培地は、グルコース20%と25%、ポリペプトン1%、酵母エキス0.5%をベースに培養液とし、pHと硫酸ソーダ塩濃度を変えた。
アルコール濃度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、カラム:TSKgel OApak−Aで測定した。
【0017】
結果を表6及び表7にまとめる。
【表6】
【表7】
【0018】
MF−121株は(1)20%グルコース、5%硫酸ソーダ、pH2.5の培地条件、及び(2)25%グルコース、5%硫酸ソーダ、pH3.0の培地条件まで生育及び高いアルコール発酵能を示したのに対し、醸造用の酵母では、十分な生育ができず、アルコール生産もほとんどなかった。
グルコース濃度が20%と25%でアルコール生産性に有意な差が認められなかったことから、効率的には浸透圧の低い20%グルコースの方が適している。同様の考えで、硫酸ソーダ塩の濃度も2.5%濃度の方が菌株の生育上には良いと考えられる。
以上のことから、MF−121株の酸性培地中でのアルコール発酵は、グルコース20%、硫酸ソーダ2.5%、pH2.5が適当と判断した。またこの条件でも、醸造用酵母のアルコール発酵能はかなり低い。
培養条件が厳しくなるとアルコール発酵能は低下するが、下記のデータでは上昇している箇所がある。この理由として、本菌は発泡性の性質があり、菌体が泡の中に包まれると培養液の上層に浮きアルコール発酵がしにくくなると考えられる。一方、pHが下がると泡の生成が少なくなり、多くの酵母菌体がアルコール発酵する機会が与えられ生産量が上昇したと考えられる。
【0019】
実施例4
本実施例では、図3に示すバイオリアクターを用いてアルコール生産実験を行った。酸性GPYS培地として、グルコース20%、ポリペプトン1%、酵母エキス0.5%、硫酸ナトリウム2.5%から成り、pH2.5に調整したものを用いた。培地は第1回目だけ低温加熱殺菌(65℃、30分程度)するが、菌体が増えアルコールが生産されてくるとアルコール殺菌の効果も現れてくるので、培地交換をするときには培地の殺菌は不要となる。
装置の仕様は以下のとうりである
(i)リアクターのカラム:内径3cm 長さ40cm
(ii)担体:ヘチマ繊維
(iii)酸性GPYS培地:500 ml
(iv)培地の流速:0.5 ml/min (30 ml/h)
実験は、一定時間ごとに培地中のグルコースとエタノール濃度を測定した。酸性GPYS培地を付け替えるごとに内容液を抜き取り、新たに循環させた。その結果を図4に示す。
【0020】
本実験の結果以下のことがわかった。
(1)約9%アルコール生産まで到達する。
(2)バイオリアクター内の固定化酵母菌体量を増やせばアルコール生産速度は向上すると考えられる。
(3)約4ヶ月、10回以上GPYS培地を付け替えて運転したが、状態が悪くなるようなことはなかった。酸性GPYS培地にアルコールが約9%程度含まれるため、最初の培養時だけ簡単な殺菌操作をすれば、その後の培地の殺菌はする必要性がないと考えられる。
【0021】
実施例5
本実施例では、澱粉の加水分解物からアルコール発酵させた。
馬鈴薯澱粉(ポテト澱粉)10gを1.0規定(N)硫酸30mlを加え、110℃で2時間加水分解した。加水分解後、遠心した上澄液を苛性ソーダでpH2.5に調整し、ポリペプトン4%と酵母エキス2%を溶解した栄養培地(pH2.5)10ml加えた。これに、MF121株の培養液5mlを加え、30℃で3日間振とう培養後、さらに3日間静置培養を行った。培養液を遠心した上澄み液をフィルター濾過後HPLCでアルコール濃度を分析した結果、培養液中のアルコール濃度は5.8%であった。
【0022】
実施例6
本実施例では、セルロースの加水分解からアルコール発酵させた。
市販セルロースを54%硫酸溶液に20℃で1時間浸し膨潤させた後、大量の蒸留水で希釈、沈澱したセルロースを自然沈降法と遠心法で集め、よく洗浄した。このセルロースの結晶構造は相当弱くなっているため、完全加水分解が天然のものと比べると容易であると考えられる。
この前処理を施したセルロース10gを1%市販セルラーゼを含む酢酸緩衝液(pH4.5)50mlに懸濁し、45℃で4日間反応させた後、10規定(N)硫酸10mlを加え、110℃で4時間加水分解した。加水分解後遠心した上澄み液を、苛性ソーダでpH2.5に調整し、ポリペプトン15%と酵母エキス7.5%を溶解した栄養培地(pH2.5)5ml加えた。これに、MF121株の培養液5mlを加え、30℃で3日間振とう培養後、さらに3日間静置培養を行った。培養液を遠心した上澄み液をフィルター濾過後HPLCでアルコール濃度を分析した結果、培養液中のアルコール濃度は2.0%であった。
以上から、本発明の酵母により、セルロース等を酸で加水分解した生成物を用いてpHが2.5の条件でアルコール発酵することができることがわかる。
【0023】
【発明の効果】
本発明の複合耐性酵母は、澱粉資源の硫酸加水分解溶液を苛性ソーダでpH2.5程度に調整後、活性炭等で脱色処理と、多少の栄養源を添加するだけで、アルコール(エタノール)の工業生産が可能である。
図3に示すバイオリアクター装置(アルコール発酵工程)に、有機基質を加水分解する工程を付加して、その加水分解物を基質(図3の1)として使用することにより、このバイオリアクター装置でより広いバイオマス資源をエタノールに経済的に変換することが可能となる。特に、セルロース系バイオマス資源を物理的・生化学的に前処理をしてセルロース構造を柔らかくし、硫酸で加水分解すれば、このような酵母の発酵工程だけでは処理が困難なセルロース系バイオマス資源からアルコール生産ができる。
【0024】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】MF−121株をGPY培地(pH6.0)で培養したものの顕微鏡写真を示す図である。
【図2】MF−121株をスライド培養したものの顕微鏡写真を示す図である。
【図3】バイオリアクター装置(アルコール発酵工程)を示す図である。
【図4】本発明の酵母を用いたアルコール生産実験を示す図である。
【符号の説明】
1 基質(グルコース)
2 GPYS培地
3 温水装置(30℃)
4 固定化した酵母
5 ポンプ
6 炭酸ガス抜き
Claims (6)
- Issatchenkia属orientalis種のアルコール発酵性酵母MF−121株(受託番号FERM P−19368)。
- 請求項1に記載の酵母を含むその培養液。
- 請求項2に記載の培養液に単糖を含む有機基質を加えることから成るエタノールを製造する方法。
- 前記培養液のpHが3以下である請求項3に記載の方法。
- 前記有機基質が、糖質資源を加水分解することにより得られたものである請求項3又は4に記載の方法。
- 前記糖質資源が澱粉又はセルロースを含む請求項5に記載の方法。
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