JP2004342816A - 半導体基板の製造方法 - Google Patents

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Takeshi Senda
剛士 仙田
Koji Sensai
宏治 泉妻
Masato Igarashi
昌人 五十嵐
Hisatsugu Kurita
久嗣 栗田
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Abstract

【課題】SiGe層を有する半導体基板の製造方法において、SiGe層の薄層化を図ることができ、かつ、SiとSiGeとの格子不整合により発生するSiGe層における貫通転位密度の低減化を図ることができる半導体基板の製造方法を提供する。
【解決手段】酸素イオンをシリコン基板の深さ60nm以上100nm以下に注入した後、該シリコン基板上に、SiGe層をエピタキシャル成長させることを特徴とする半導体基板の製造方法を用いる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板の製造方法、より詳細には、SiGe層を有する半導体基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、シリコン基板上に、SiGe層を介してSiをエピタキシャル成長させた歪Si層をチャネル領域に用いた高速デバイスが提案されている。
この歪Si層は、Siに比べて格子定数が大きいSiGeに引っ張られて歪を生じており、これにより、Siのバンド構造が変化し、縮退が解けて、キャリア移動度が増大する。
よって、この歪Si層をチャネル領域に用いることにより、バルクSiを用いた場合の1.5倍以上のキャリア移動の高速化が可能となる。
【0003】
上記のような歪Si層を、転位が生じることなく得るためには、シリコン基板上に転位密度が低いSiGe層をエピタキシャル成長させる必要がある。
しかしながら、SiとSiGeは格子定数が異なることから、格子不整合により転位が発生し、その影響が歪Si層にまで及び、その結果、デバイス活性層である歪Si層において、転位が生じるという問題があった。
【0004】
これに対しては、従来は、エピタキシャル成長の過程において、SiGe層中のGe濃度を段階的に増加させる組成傾斜層を形成することにより、転位の発生を防止する方法が採用されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、この方法でも、トランジスタの動作不良を防止するほどの転位の低減化を図ることは困難であった。
また、Ge濃度を段階的に増加させるため、SiGe層の厚さが約3μmと非常に厚いものとなり、このような厚いSiGe層のエピタキシャル成長には時間を要し、生産効率、コストの面においても劣っていた。
【0006】
上記課題に対しては、基板上に形成された歪SiGe層に酸素イオンを注入することにより、この上に、歪Si層を形成する方法が提案されている(特許文献2参照)。
また、シリコン基板表面近傍に水素イオンまたはヘリウムイオンを注入し、該シリコン基板上にSiGe層をエピタキシャル成長させる方法も提案されている(特許文献3)。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−252046号公報
【特許文献2】
特開2001−148473号公報
【特許文献3】
特開2003−7615号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載されたSiGe層中に酸素イオンを注入させる方法は、該SiGe層が、格子緩和されたSiGe層の上層と、SiGe層の下層とに分離された後、1200〜1350℃程度の熱処理により、酸素導入部分に酸化層を形成し、格子緩和SiGe層上に歪Si層を形成させるというものである。
すなわち、この方法により得られる半導体基板は酸化層を挟む構造からなるものである。そのため、酸素イオンを注入するために形成されるSiGe層は、それほど薄くすることはできない。
【0009】
また、上記特許文献2に記載された方法は、シリコン基板表面近傍に注入されるイオンが、水素イオンまたはヘリウムイオンであり、大きさの小さいイオンであることから、これらの小さなイオンが格子緩和を促進し、十分な転位低減効果が得られるとはいい難いものであった。
【0010】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、SiGe層を有する半導体基板の製造方法において、SiGe層の薄層化を図ることができ、かつ、格子不整合により発生する貫通転位密度の低減化を図ることができる半導体基板の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体基板の製造方法は、酸素イオンを注入したシリコン基板上に、SiGe層をエピタキシャル成長させることを特徴とする。
上記製造方法によれば、格子不整合により発生する転位を、酸素イオン注入により生じたダメージにより捕捉、終端させることが可能となり、貫通転位密度の低減化を図り、SiGe層の薄層化を図ることができる。
【0012】
本発明においては、前記酸素イオンは、前記シリコン基板の深さ60nm以上100nm以下に注入されることが好ましい。
上記範囲の深さ位置に、酸素イオンを注入することにより、酸素イオンの注入に伴って生じるダメージによる転位発生抑制の大きな効果が得られる。
【0013】
また、本発明に係る半導体基板の製造方法は、前記SiGe層上に、さらに、Si層を形成することを特徴とする。
このようにして形成された半導体基板においては、Si層への転位の伝播が低減されるため、このSi層は転位密度の低い歪Si層として得ることができ、キャリア移動度の高速化を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明に係る半導体基板の製造方法は、酸素イオンを注入したシリコン基板上に、SiGe層をエピタキシャル成長させるものである。
すなわち、SiGe層を有する半導体基板を作製する際、シリコン基板上に、SiGe層をエピタキシャル成長させる前に、シリコン基板に酸素イオンを注入しておく。
上記製造方法によれば、SiとSiGeとの格子不整合により発生する転位を、酸素イオン注入により生じたシリコン基板上のダメージにより捕捉、終端させることが可能となる。このため、SiGe層表面にまで貫通する転位密度を低減化させることができる。
したがって、SiGe層上に、さらに、歪Si層を形成させる場合においても、貫通転位を抑制するために、従来は、組成傾斜層等によりμmオーダーの厚さを要していたSiGe層を、nmオーダーにまで薄層化させることができる。
【0015】
本発明においては、シリコン基板に酸素イオンを注入することにより、シリコン基板には、亀裂、気泡、格子欠陥、格子歪等のダメージが生じる。このダメージが、格子不整合により発生する転位を捕捉または終端させる役割を果たす。
酸素は水素やヘリウムよりも大きい、すなわち、重い元素であるため、酸素イオンを注入する方が、水素イオンやヘリウムイオンを注入するよりも、転位を捕捉または終端させる効果が大きい。
【0016】
前記酸素イオンは、前記シリコン基板の深さ60nm以上100nm以下に注入されることが好ましい。
上記範囲の深さ位置に、酸素イオンを注入することにより、酸素イオンの上記のような種々のダメージによる転位発生抑制の大きな効果が得られる。特に、前記深さが80nmのとき、上記効果は最大となる。
ただし、酸素イオンを注入した際、実際には、図1にも示すように、酸素イオン濃度(密度)は、特定の深さのみに存在するのではなく、分布に広がりを有する。このため、上記範囲の深さ位置、特に、深さ80nmにおいて、酸素イオンがピーク濃度(密度)となることが好ましい。
【0017】
図1に、シリコン基板への酸素イオン注入深さとダメージの深さプロファイルを示す。
図1は、シリコン基板の深さ400nmを目標に酸素イオンを注入した際の酸素イオン密度と深さの関係、および、該酸素イオン注入により生じた亀裂、気泡、格子欠陥、格子歪等のダメージの密度と深さの関係を示したものである。
図1から分かるように、酸素イオンの目標注入深さが400nmである場合、それに伴って生じるダメージは、320nmがピークとなる。
すなわち、前記ダメージ密度のピーク深さが、酸素イオン注入の目標深さよりも、約80nm浅い。
このことから、酸素イオンの注入深さが80nmであるとき、深さ0nm、すなわち、シリコン基板最表面において、前記ダメージ密度が最大となると言える。
【0018】
前記酸素イオンの注入深さは、ドーズ量および加速電圧を調整することにより、適宜調整することができる。
【0019】
上記のようにして形成されたSiGe層上には、Si層を積層させることにより、転位密度の低い歪Si層を形成することができる。
上述したように、転位密度の低い歪Si層を形成した基板においては、該歪Si層は、キャリア移動の高速化が図られ、高速デバイスを形成する上で好適な基板として用いることができる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
酸素イオンを深さ80nmを目標に注入(ドーズ量:4×1017atoms/cm、加速電圧:50keV)したシリコン基板上に、SiGe層(Si:70%、Ge:30%)を厚さ80nmでエピタキシャル成長させて、さらに、歪Si層(厚さ20nm)をエピタキシャル成長させた。
上記により得られた基板をSeccoエッチングし、歪Si層表面のエッチピット密度(EPD:Etch Pit Density)を評価したところ、5.5×10(/cm)であった。
【0021】
[実施例2]
酸素イオンを深さ200nmを目標に注入(ドーズ量:4×1017atoms/cm、加速電圧:100keV)したシリコン基板上に、実施例1と同様にして、エピタキシャル処理を行った。
処理した基板をSeccoエッチングし、歪Si層表面のEPDを評価したところ、3.8×10(/cm)であった。
【0022】
[比較例1]
水素イオンを深さ80nmを目標に注入(ドーズ量:4×1017atoms/cm、加速電圧:50keV)したシリコン基板上に、実施例1と同様にして、エピタキシャル処理を行った。
処理した基板をSeccoエッチングし、歪Si層表面のEPDを評価したところ、8.5×10(/cm)であった。
【0023】
[比較例2]
水素イオンを深さ200nmを目標に注入(ドーズ量:4×1017atoms/cm、加速電圧:100keV)したシリコン基板上に、実施例1と同様にして、エピタキシャル処理を行った。
処理した基板をSeccoエッチングし、歪Si層表面のEPDを評価したところ、6.3×10(/cm)であった。
【0024】
[比較例3]
バルクのシリコン基板上に、イオン注入をせずに、実施例1と同様にして、エピタキシャル処理を行った。
処理した基板をSeccoエッチングし、歪Si層表面のEPDを評価したところ、7.8×10(/cm)であった。
【0025】
上記実施例および比較例から、イオン注入の有無で比較すると、酸素イオン、水素イオンのいずれの場合にも、イオン注入されていないバルクシリコン基板(比較例3)よりも、EPD、すなわち、歪Si層における転位の発生が抑制されていることが認められた。
また、同じ深さにイオン注入した場合、酸素イオン(実施例1、2)の方が、水素イオン(比較例1、2)よりも転位の抑制の効率が優れていることが認められた。
さらに、酸素イオンを注入した場合、深さ80nm(実施例1)の方が、深さ200nm(実施例2)よりも、歪Si層における転位の発生が抑制されていることが認められた。
【0026】
【発明の効果】
本発明に係る製造方法によれば、SiGe層の薄層化を図ることができ、かつ、格子不整合により発生する貫通転位密度の低減化を図ることができる。これにより、SiGe層を有する半導体基板の生産コストの削減、生産効率の向上を図ることも可能となる。
また、本発明に係る製造方法により得られたSi層を有する半導体基板を用いれば、転位密度の低い高品質の歪Si層が形成されているため、これをチャネル領域として用いることにより、キャリア移動度の高速化が図られることとなり、半導体素子のより一層の微細化、高性能化等に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリコン基板の深さ400nmを目標に酸素イオンを注入した際の酸素イオン密度と深さの関係、および、該酸素イオン注入により生じたダメージの密度と深さの関係を示した線図である。

Claims (3)

  1. 酸素イオンを注入したシリコン基板上に、SiGe層をエピタキシャル成長させることを特徴とする半導体基板の製造方法。
  2. 前記酸素イオンは、シリコン基板の深さ60nm以上100nm以下に注入されることを特徴とする請求項1記載の半導体基板の製造方法。
  3. 前記SiGe層上に、さらに、Si層を形成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体基板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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