JP2004342659A - 半導体装置及びその製造方法、携帯電子機器、並びにicカード - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体基板1上に半導体記憶素子31と半導体スイッチング素子32とを混載した半導体装置であって、簡単なプロセスで容易に作製でき、低コスト化できるものを提供すること。
【解決手段】半導体記憶素子31,半導体スイッチング素子32はそれぞれ、ゲート電極3と、一対のソース/ドレイン拡散領域13,13とを有する電界効果トランジスタからなる。素子31のゲート電極3の両側に、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子10からなる電荷保持部及び蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体17とからなるメモリ機能体11が設けられている。素子31では、電荷保持部10に保持された電荷の多寡により、ゲート電極3に電圧を印加した際の一方のソース/ドレイン拡散領域から他方のソース/ドレイン拡散領域に流れる電流量を変化させ得る。
【選択図】 図2
【解決手段】半導体記憶素子31,半導体スイッチング素子32はそれぞれ、ゲート電極3と、一対のソース/ドレイン拡散領域13,13とを有する電界効果トランジスタからなる。素子31のゲート電極3の両側に、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子10からなる電荷保持部及び蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体17とからなるメモリ機能体11が設けられている。素子31では、電荷保持部10に保持された電荷の多寡により、ゲート電極3に電圧を印加した際の一方のソース/ドレイン拡散領域から他方のソース/ドレイン拡散領域に流れる電流量を変化させ得る。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体記憶素子と半導体スイッチング素子とを同一基板上に混載した半導体装置及びその製造方法に関する。
【0002】
また、本発明は、そのような半導体装置を備えた携帯電子機器及びICカードに関する。
【0003】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来は、フラッシュメモリと論理回路を混載した半導体装置を製造する場合、大幅なコスト・アップが避けられなかった。コスト・アップの要因である製造コストがかさむ理由としては、混載のため複雑なプロセスになり、余計にマスクが必要となることが挙げられる。例えばフラッシュメモリでは、メモリ素子に2層のポリシリコン層を必要とするなどの理由から、標準のCMOS製造プロセスに対して7から8枚のマスクを追加しなければならなかった(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
そこで、本発明の課題は、半導体記憶素子と半導体スイッチング素子とを混載した半導体装置であって、簡単なプロセスで容易に作製でき、低コスト化することができるものを提供することにある。
【0005】
また、本発明の課題は、半導体記憶素子と半導体スイッチング素子とを混載した半導体装置を、簡単なプロセスで容易に作製でき、低コスト化できる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0006】
また、本発明の課題は、そのような半導体装置を備えた携帯電子機器及びICカードを提供することにある。
【0007】
なお、一般的なフラッシュメモリの素子の構造断面図を、図20に示す。P型ウェル領域101上に第1酸化膜104を介してポリシリコンからなる浮遊ゲート106を有し、浮遊ゲート106の上に第2酸化膜105を介してポリシリコンからなる制御ゲート107を有する。ゲート電極106,107の両側のP型ウェル領域101表面には第1のN型拡散領域102及び第2のN型拡散領域103が形成されている。ゲート電極106,107の端部は第1のN型拡散領域102,第2のN型拡散領域103の端部上にそれぞれ重なっている。また、フラッシュメモリと論理回路を混載した場合の一形態として、アレイ状に配置したメモリセルアレイ、並びに、その周辺にデコーダ、書き込み/消去回路及び読み出し回路等の周辺回路となる論理回路を配置する技術が知られている。さらに、メモリユニットをパソコンや携帯電話等の情報処理システムとして機能させるためには、MPU(マイクロ・プロセッシング・ユニット)等の論理回路部、キャッシュとして用いるSRAM(スタティックRAM)部等を配置する技術が知られている。
【0008】
【非特許文献1】
大石 基之、『「誰でも使える不揮発性メモリ」が登場,標準CMOS技術で製造可能に』、第3段落「従来の不揮発性メモリは〜が使いづらかった。」、[online]、2002年3月6日、日経BP社、[平成15年3月17日検索]、インターネット<URL:http://ne.nikkeibp.co.jp/edaonline/2002/03/1000011229.html>
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の半導体装置は、半導体基板上に、半導体記憶素子を有するメモリ領域と、半導体スイッチング素子を有する論理回路領域とが配置され、
上記半導体記憶素子と半導体スイッチング素子はそれぞれ、ゲート電極と、このゲート電極の両側に相当する半導体基板表面に形成された一対のソース/ドレイン拡散領域とを有する電界効果トランジスタからなり、
上記半導体記憶素子のゲート電極の両側に、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子からなる電荷保持部及び蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体とからなるメモリ機能体が設けられ、
上記半導体記憶素子においては、上記電荷保持部に保持された電荷の多寡により、上記ゲート電極に電圧を印加した際の一方の上記ソース/ドレイン拡散領域から他方の上記ソース/ドレイン拡散領域に流れる電流量を変化させ得るように構成されていることを特徴としている。
【0010】
一般的なフラッシュメモリは電荷保持部(電荷を蓄積するための領域)がゲート電極下部にあるのでゲート絶縁膜が厚膜化した電界効果トランジスタとしての能力しかなかったが、本発明における半導体記憶素子は、電荷保持部がゲート電極側方にあるため、最先端のMOSFET製造プロセスを容易に適用できる。そして、本発明によれば、そのような半導体記憶素子と半導体スイッチング素子を混載した、半導体装置を提供できる。さらに、上記複数の半導体スイッチング素子より論理回路部が構成され、上記複数の半導体記憶素子により不揮発性メモリ部が構成されているため、上記効果を有し、同一基板上に容易に混載された論理回路部と不揮発性メモリ部を有する半導体装置を実現することができる。
【0011】
また、別の局面では、本発明の半導体装置は、半導体基板上に、半導体記憶素子を有するメモリ領域と、半導体スイッチング素子を有する論理回路領域とが配置され、
上記半導体記憶素子と半導体スイッチング素子はそれぞれ、ゲート電極と、このゲート電極の両側に相当する半導体基板表面に形成された一対のソース/ドレイン拡散領域とを有する電界効果トランジスタからなり、
上記半導体スイッチング素子では、チャネル方向に関して上記ゲート電極の端部の下に上記ソース/ドレイン拡散領域が延在して重なる一方、
上記半導体記憶素子では、チャネル方向に関して上記ゲート電極と上記ソース/ドレイン拡散領域との間に間隔が設けられ、半導体基板表面上の上記間隔を覆うように、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子からなる電荷保持部及び蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体とからなるメモリ機能体が設けられていることを特徴としている。
【0012】
本発明の半導体装置では、半導体基板上に、半導体記憶素子を有するメモリ領域と、半導体スイッチング素子を有する論理回路領域とが配置されている。つまり、同一基板内に半導体記憶素子と半導体スイッチング素子とが混載されている。半導体記憶素子は、一方のソース/ドレイン拡散領域から他方のソース/ドレイン拡散領域に流れる電流量を保持電荷の多寡により変化させ得るものとする。半導体スイッチング素子は、たとえ電荷を保持し得る場合であっても、一方のソース/ドレイン拡散領域から他方のソース/ドレイン拡散領域に流れる電流量を、素子の動作に影響する程度には、保持電荷の多寡により変化させないものとする。半導体記憶素子において、ゲート電極の側方に、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子からなる電荷保持部と、蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体とのメモリ機能体が配置されるため、不揮発性半導体記憶素子として働くことができる。
【0013】
さらに、チャネル方向に関して上記ゲート電極と上記ソース/ドレイン拡散領域との間に間隔(オフセット領域)を有する半導体記憶素子と、そのような間隔を有しない半導体スイッチング素子とが同一基板内に混載されているので、メモリ効果の良好な不揮発性半導体記憶素子と電流駆動能力の高い半導体スイッチング素子が混載できる。
【0014】
また、一般的なフラッシュメモリは電荷保持部(電荷を蓄積するための領域)がゲート電極下部にあるのでゲート絶縁膜が厚膜化した電界効果トランジスタとしての能力しかなかったが、本発明における半導体記憶素子は、電荷保持部がゲート電極側方にあるため、最先端のMOSFET製造プロセスを容易に適用できる。そして、本発明によれば、そのような半導体記憶素子と半導体スイッチング素子を混載した、半導体装置を提供できる。さらに、上記複数の半導体スイッチング素子より論理回路部が構成され、上記複数の半導体記憶素子により不揮発性メモリ部が構成されているため、上記効果を有し、同一基板上に容易に混載された論理回路部と不揮発性メモリ部を有する半導体装置を実現することができる。
【0015】
一実施形態の半導体装置は、上記半導体スイッチング素子のゲート電極の両側に、上記半導体記憶素子のメモリ機能体と同じものが設けられていることを特徴とする。
【0016】
このように、半導体記憶素子だけでなく半導体スイッチング素子でもゲート電極の側方にメモリ機能体を形成した場合は、両者の作製プロセスに大幅な差がないため、半導体記憶素子と半導体スイッチング素子とを混載した半導体装置を、簡単なプロセスで容易に作製でき、低コスト化できる。
【0017】
また、一実施形態の半導体装置は、上記メモリ機能体が上記ゲート電極の側面に設けられたサイドウォールスペーサであることを特徴としている。
【0018】
この一実施形態の半導体装置では、サイドウォールスペーサがセルフアラインプロセスにより形成され得るため、例えば、半導体スイッチング素子からなる論理回路等と半導体記憶素子からなる不揮発性メモリとの混載が自己整合的なプロセスを用いて非常に容易に可能になる。
【0019】
また、一実施形態の半導体装置は、上記微粒子と上記ゲート電極との間、及び、上記微粒子と上記半導体基板との間に、上記散逸防止絶縁体の少なくとも一部が介在していることを特徴としている。
【0020】
この一実施形態の半導体装置では、上記電荷を蓄積する機能を有する微粒子と、上記ゲート電極及び半導体基板との間に、上記散逸防止絶縁体の少なくとも一部が介在しているため、上記微粒子から上記ゲート電極及び半導体基板への蓄積電荷のリークを抑制することができる。それにより、電荷保持特性が良くなり、長期信頼性が高まる。
【0021】
また、一実施形態の半導体装置では、上記散逸防止絶縁体は、上記微粒子と上記ゲート電極との間及び上記微粒子と半導体基板との間を隔離するように、実質的に均一な膜厚で上記ゲート電極の側面と上記ゲート電極の両側に相当する半導体基板表面とを覆う断面L字型(ここでL字型とは、単に角を有する形状のことを意味しているものであり、完全に直角に交わる角を有していることを意味するものではない。以下L字型の記載はすべて同じ)の第1の絶縁膜を含むことを特徴としている。
【0022】
この一実施形態の半導体装置によれば、上記と同様に、上記微粒子から上記ゲート電極及び半導体基板への蓄積電荷のリークを抑制することができる。それにより、電荷保持特性が良くなり、長期信頼性が高まる。しかも、電荷を蓄積する機能を有する微粒子とゲート電極及び半導体基板とは、実質的に均一な膜厚の断面L字型の第1の絶縁膜によって隔てられているので、書き込み/消去における電荷の注入/除去のバラツキを抑制できる。よって、書き込み/消去効率の良い半導体記憶素子を有する半導体装置を提供できる。ここで「実質的に均一な膜厚」とは、膜厚のバラツキが製造バラツキの範囲内であることを示している。
【0023】
さらに、上記第1の絶縁膜の厚さが1nmから10nmの範囲内であるのが望ましい。半導体基板と微粒子及びゲート電極と微粒子を隔てる絶縁体の厚さが1nm以上であれば電荷の散逸を防止できリテンションが向上する一方、10nm以下であれば効率よく電荷を注入できる。さらに第1の絶縁膜の厚さが3nmから6nmの範囲内であるのが望ましい。第1の絶縁膜の厚さが3nm以上であれば直接トンネルによる電荷の散逸の抑制が可能であり、6nm以下であれば半導体基板と微粒子間及びゲート電極と微粒子間をFNトンネル伝導等のトンネル伝導によって効率的に電荷を移動させることができるので、非常に低電圧で高速の書き込み/消去及び長期保持が可能な不揮発性メモリが提供できる。
【0024】
さらに、上記微粒子の大きさが1nmから15nmであるのが望ましい。また、上記微粒子は、上記半導体基板に対して1nmから6nmの間隔を有する第1の微粒子と、前記第1の微粒子に対して1nmから6nmの間隔を有する第2の微粒子を有するのが望ましい。上記半導体基板と第1の微粒子との間の間隔が1nmから6nmであり、かつ、第1の微粒子と第2の微粒子との間の間隔が1nmから6nmであれば、電荷の散逸を防止し、リテンションが向上する。さらに、半導体基板と第1の微粒子との間及び第1の微粒子と第2の微粒子との間をトンネル伝導によって電荷を移動させることができるので、非常に低電圧で、高速の書き込み、消去及び長期保持が可能な不揮発性半導体記憶素子が提供できる。
さらに、第1の微粒子の大きさが1nm以上であるためクーロンブロッケード効果が大き過ぎる場合に起こる書き込み効率の低下が抑制される。
【0025】
さらに、微粒子の大きさが15nm以下であるので微粒子のエネルギー準位が離散化し、クーロンブロッケード効果により電荷を保持することができる。よって、長時間の電荷保持が可能な不揮発性メモリが提供できる。
【0026】
さらに、上記微粒子の大きさについての限定と、上記半導体基板と第1の微粒子との間及び第1の微粒子と第2の微粒子との間の間隔についての限定とがともに満足されれば、2重トンネル接合が形成されるので、更に効率的にクーロンブロッケード効果が発現し、更に長時間の電荷保持が可能な不揮発性メモリが提供できる。
【0027】
さらに、上記半導体基板がシリコン基板であり、上記微粒子はシリコンからなるのが望ましい。LSI(大規模集積回路)の材料として最も広く使われているシリコンを用いることで、非常に高度に発達したシリコンプロセスを用いることができるので、製造が容易になる。
【0028】
また、一実施形態の半導体装置は、上記電荷保持部の最上部位置が上記ゲート電極の最上部位置より下方であることを特徴としている。
【0029】
この一実施形態の半導体装置によれば、上記微粒子がチャネル近傍に限定して配置される。よって、書き込みによって注入される電子はチャネル近傍付近に限定されるので、消去によって電子を除去し易くなる。それゆえ、消去不良を防止できる。また、電荷保持部の占める領域が限定されるので、注入電子数が変わらないとすれば、電子密度が高くなる。よって、書き込みと消去のしきい値電圧の差や、駆動電流の差が増大するので、電圧マージンが大きく、信頼性の向上した不揮発性メモリが形成できる。
【0030】
また、一実施形態の半導体装置は、上記半導体スイッチング素子の上記ソース/ドレイン拡散領域のうち上記ゲート電極の端部の下に延在する部分は、該ソース/ドレイン拡散領域のうち上記ゲート電極及びメモリ機能体の外側に相当する部分よりも不純物濃度が低いことを特徴としている。
【0031】
この一実施形態の半導体装置によれば、上記半導体スイッチング素子の上記ソース/ドレイン拡散領域のうち上記ゲート電極の端部の下に延在する部分は、該ソース/ドレイン拡散領域のうち上記ゲート電極及びメモリ機能体の外側に相当する部分よりも不純物濃度が低いので、ドレイン耐圧が向上する。一方、上記半導体記憶素子では、チャネル方向に関して上記ゲート電極と上記ソース/ドレイン拡散領域との間に間隔が設けられているため、ホットキャリヤが効率的に発生し、充分に早い書き込み/消去速度が得られる。よって、信頼性の高い半導体スイッチング素子と、充分に早い書き込み/消去速度を有する半導体記憶素子とを同時に実現することができる。
【0032】
さらに、上記メモリ領域の半導体記憶素子と上記論理回路領域の半導体スイッチング素子とに対して供給される電源電圧が、互いに独立に設定されるようになっているのが望ましい。その場合、メモリ領域における半導体記憶素子には比較的高電源電圧の供給ができるため、書き込み/消去速度を比較的向上させることができる。さらに、論理回路領域における半導体スイッチング素子には比較的低電源電圧の供給ができるため、ゲート絶縁膜の破壊等による、トランジスタ特性の劣化を抑制することができ、さらに低消費電力化が達成され、それらが混載される。よって、同一基板上に容易に混載された信頼性の高い論理回路領域と書き込み/消去速度が格段に速いメモリ領域を有する半導体装置を実現することができる。
【0033】
さらに、上記複数の半導体スイッチング素子により、スタティック・ランダム・アクセス・メモリが構成されているのが望ましい。その場合、上記複数の半導体スイッチング素子により論理回路部及びスタティック・ランダム・アクセス・メモリが構成され、上記複数の半導体記憶素子により不揮発性メモリ部が構成される。このため、同一基板上に混載された論理回路部及びスタティック・ランダム・アクセス・メモリと不揮発性メモリ部を有する半導体装置を容易に実現することができる。さらに、スタティック・ランダム・アクセス・メモリを高速動作メモリ一時記憶メモリとして混載することにより、さらなる機能の向上を達成することができる。
【0034】
また、一実施形態の半導体装置では、上記半導体記憶素子において、上記複数の微粒子からなる電荷保持部の少なくとも一部が前記ソース/ドレイン拡散領域の一部にオーバーラップしていることを特徴としている。
【0035】
この一実施形態の半導体装置では、半導体記憶素子の読出し動作時の電流値がオーバーラップしていない場合と比較して、格段に向上する。それによって、半導体記憶素子の読出し速度が格段に向上する。
【0036】
また、一実施形態の半導体装置では、上記微粒子が、上記ゲート絶縁膜の表面と略平行に配列していることを特徴としている。
【0037】
この一実施形態の半導体装置では、微粒子に保持された電荷の多寡によりオフセット領域での反転層の形成されやすさを効果的に制御することができ、メモリ効果を大きくすることができる。また、オフセット量がばらついた場合でもメモリ効果の変化を比較的小さく保つことができ、メモリ効果のばらつきを抑制することができる。
【0038】
また、一実施形態の半導体装置では、上記電荷保持部が、上記ゲート電極側面と略平行に配列している微粒子を含むことを特徴としている。
【0039】
この一実施形態の半導体装置では、書換え動作時に電荷保持部に注入される電荷が増加し、書換え速度が増大する。
【0040】
また、一実施形態の半導体装置では、上記第1の絶縁膜の膜厚が、上記ゲート電極の直下に形成されたゲート絶縁膜の膜厚より薄く、かつ0.8nm以上であることを特徴としている。
【0041】
この一実施形態の半導体装置では、微粒子への電荷の注入が容易になり、書込み動作及び消去動作の電圧を低下させ、又は書込み動作及び消去動作を高速にすることが可能となり、また、微粒子に電荷が保持された時にチャネル形成領域又はウェル領域に誘起される電荷量が増えるため、メモリ効果を増大させることができる。また、上記第1の絶縁膜の膜厚が0.8nm以上なので保持特性の極端な劣化が抑制される。
【0042】
また、一実施形態の半導体装置では、上記第1の絶縁膜の膜厚が、上記ゲート電極の直下に形成されたゲート絶縁膜の膜厚より厚く、かつ20nm以下であることを特徴としている。
【0043】
この一実施形態の半導体装置では、メモリの短チャネル効果を悪化させることなく保持特性を改善することが可能となる。また、上記第1の絶縁膜の膜厚が20nm以下であるため書換え速度の低下を抑制できる。
【0044】
また、本発明のICカードは、上記発明の半導体装置を備えたことを特徴としている。
【0045】
本発明のICカードによれば、上記発明の半導体装置による作用効果と同様の作用効果を奏することができる。例えば、ICカードは、不揮発性メモリとその周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等を容易に混載し低コスト化できた半導体装置を有する。それゆえ、コスト削減できたICカードが提供できる。
【0046】
また、本発明の携帯電子機器は、上記発明の半導体装置を備えたことを特徴としている。
【0047】
本発明の携帯電子機器によれば、上記発明の半導体装置による作用効果と同様の作用効果を奏することができる。例えば、携帯電話は、不揮発性メモリとその周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等を容易に混載し低コスト化できた半導体装置を有する。それゆえ、コスト削減できた携帯電話が提供できる。
【0048】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に設定されたメモリ領域に電界効果トランジスタからなる半導体記憶素子を形成するのと並行して、上記半導体基板上に設定された論理回路領域に電界効果トランジスタからなる半導体スイッチング素子を形成する半導体装置の製造方法であって、
上記メモリ領域及び論理回路領域の半導体基板表面上に、それぞれゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
上記メモリ領域に不純物が導入されないようにマスクを設けた状態で上記論理回路領域に上記ゲート電極をマスクとして不純物を導入して、上記論理回路領域に、ソース/ドレイン拡散領域の一部となる第1の不純物領域を形成する工程と、
少なくとも上記メモリ領域の上記ゲート電極の側面に、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子からなる電荷保持部及び蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体とからなるメモリ機能体を形成する工程と、
上記メモリ領域と論理回路領域に、上記ゲート電極と形成されたメモリ機能体とをマスクとして上記不純物と同じ導電型の不純物をそれぞれ導入して、ソース/ドレイン拡散領域の少なくとも一部となる第2の不純物領域を形成する工程とを有することを特徴としている。
【0049】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、半導体記憶素子と半導体スイッチング素子とを混載した半導体装置を、簡単なプロセスで容易に作製でき、低コスト化できる。具体的には、半導体基板上に設定されたメモリ領域に電界効果トランジスタからなる半導体記憶素子を形成するのと並行して、上記半導体基板上に設定された論理回路領域に電界効果トランジスタからなる半導体スイッチング素子が形成される。形成された半導体スイッチング素子は、上記ゲート電極の両側に相当する半導体基板表面に上記第1の不純物領域が配置されて、チャネル方向に関してゲート電極とソース/ドレイン拡散領域との間に間隔が存しないものとなる。一方、形成された半導体記憶素子は、チャネル方向に関して上記ゲート電極と上記ソース/ドレイン拡散領域との間に間隔(オフセット領域)が設けられ、半導体基板表面上の上記間隔を覆うように、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子からなる電荷保持部及び蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体とからなるメモリ機能体が設けられたものとなる。さらに、上記オフセット領域を有しない半導体スイッチング素子は比較的駆動電流が大きく、上記オフセット領域を有する半導体記憶素子は比較的メモリ効果が大きくなるので、駆動電流が大きい論理回路とメモリ効果が大きい不揮発性メモリが容易に混載される。
【0050】
また、一実施形態の半導体装置の製造方法は、
上記メモリ機能体を形成する工程は、
上記ゲート電極の上面および側面と上記ゲート電極の両側に相当する半導体基板表面とを覆うように、電荷を蓄積する機能をもつ微粒子と上記微粒子に接する絶縁膜とを形成する工程と、
上記微粒子に接する絶縁膜を選択的にエッチングバックして、上記ゲート電極の側面に上記微粒子及び上記絶縁膜を有するサイドウォールスペーサを形成する工程とを含むことを特徴としている。
【0051】
この一実施形態の半導体装置の製造方法では、選択的なエッチングバックにより、自己整合的にサイドウォールスペーサを形成している。このようにした場合、上記オフセット領域を有しない半導体スイッチング素子が自己整合プロセスを用いてより簡易に形成でき、さらに、上記オフセット領域を有する半導体記憶素子も自己整合プロセスを用いて簡易に形成できる。したがって、不揮発性半導体記憶素子と論理回路部等の半導体スイッチング素子との混載が極めて容易に可能となる。
【0052】
また、一実施形態の半導体装置の製造方法は、
上記メモリ機能体を形成する工程は、
実質的に均一な膜厚で上記ゲート電極の側面と上記ゲート電極の両側に相当する半導体基板表面とを覆う断面L字型の部分をもつ第1の絶縁膜を形成する工程と、
上記第1の絶縁膜の表面に沿って電荷を蓄積する機能をもつ微粒子を形成する処理と、その微粒子の表面を酸化かつ/又は窒化する処理とを組み合わせて1回以上繰り返す工程と、
上記第1の絶縁膜の表面とともに上記酸化かつ/又は窒化された微粒子を覆うように、堆積絶縁膜を堆積する工程と、
上記第1の絶縁膜及び堆積絶縁膜をエッチングバックして、上記ゲート電極の側面に、上記第1の絶縁膜、微粒子及び堆積絶縁膜を有するサイドウォールスペーサを形成する工程とを含むことを特徴としている。
【0053】
この一実施形態の半導体装置の製造方法では、上記微粒子を酸化かつ/又は窒化処理しているので、微粒子の大きさバラツキが抑えられ、メモリ効果のバラツキが抑えられ、信頼性が向上する。ここで、「酸化かつ/又は窒化」とは、酸化若しくは窒化すること、又は酸化かつ窒化することを意味する。
【0054】
また、微粒子の表面に酸化膜若しくは窒化膜、または酸化膜と窒化膜との複合膜を形成しているので、耐圧が高く、リーク電流が少なく、信頼性の高い半導体装置を提供できる。
【0055】
また、一実施形態の半導体装置の製造方法は、上記電荷保持部の最上部位置が上記ゲート電極の最上部位置より下方になるように、上記サイドウォールスペーサを等方性エッチングする工程を含むことを特徴としている。
【0056】
この一実施形態の半導体装置の製造方法によれば、電荷保持部の最上部位置が上記ゲート電極の最上部位置より下方になることから、微粒子をチャネル近傍に限定して配置することができる。よって、書き込みによって注入される電子はチャネル近傍付近に限定されるので、消去によって電子を除去し易くなる。それゆえ、消去不良を防止できる。また、電荷保持部の占める領域が限定されるので、注入電子数が変わらないとすれば、電子密度が高くなる。よって、書き込みと消去のしきい値電圧の差や、駆動電流の差が増大するので、電圧マージンが大きく、信頼性の向上した不揮発性メモリが形成できる。
【0057】
また、サイドウォールスペーサ形成時のエッチングバック工程で微粒子の残渣が残った場合に、サイドウォールスペーサにさらに等方性エッチングを行うことにより、残渣をリフトオフすることができる。したがって、残渣による素子の不良を抑制できる。
【0058】
また、一実施形態の半導体装置の製造方法は、上記第1の不純物領域における不純物濃度は、上記第2の不純物領域における不純物濃度より低いことを特徴としている。
【0059】
この一実施形態の半導体装置の製造方法では、上記半導体スイッチング素子の上記ソース/ドレイン拡散領域のうち第1の不純物領域における不純物濃度は、上記第2の不純物領域における不純物濃度より低いので、ドレイン耐圧が向上する。一方、上記半導体記憶素子では、チャネル方向に関して上記ゲート電極と上記ソース/ドレイン拡散領域との間に間隔が設けられているため、ホットキャリヤが効率的に発生し、充分に早い書き込み/消去速度が得られる。よって、信頼性の高い半導体スイッチング素子と、充分に早い書き込み/消去速度を有する半導体記憶素子とを同時に形成することができる。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0061】
(第1の実施形態)
図16は、本発明の半導体装置の一実施形態であるメモリユニット200の平面レイアウトを示している。このメモリユニット200では、同一の半導体基板1上に、半導体記憶素子を備えたメモリ領域201と、半導体スイッチング素子を備えた論理回路領域202とが配置されている。メモリ領域201には、後述する半導体記憶素子をアレイ状に配置してなるメモリセルアレイが形成されている。論理回路領域202には、デコーダ203,207、書き込み/消去回路209、読み出し回路208、アナログ回路206、制御回路205、各種のI/O回路204等、通常のMOSFET(電界効果トランジスタ)により構成できる周辺回路が形成されている。
【0062】
さらに、図17に示すように、パーソナルコンピュータや携帯電話等の情報処理システムの記憶装置300を1チップで構成するためには、メモリユニット200に加えて、MPU(マイクロ・プロセッシング・ユニット)301、キャッシュ(SRAM(スタティックRAM))302、ロジック回路303、アナログ回路304等の論理回路領域を、同一の半導体基板1上に配置することが必要である。
【0063】
従来はこれらのメモリ領域201と論理回路領域202,…を混載するのに標準のCMOSを形成する場合と比べて製造コストが大幅に増大していたが、以下の説明から明らかになるように、本発明により、製造コストの増大を抑制することができる。
【0064】
図1は、上記メモリ領域201を構成する半導体記憶素子30のチャネル方向に沿った断面を例示している。図1における左右方向がチャネル方向に相当する。
【0065】
この半導体記憶素子30は、図1に示したように、半導体基板1上に、ゲート絶縁膜2を介して、ゲート電極3を備えている。ゲート電極3の両側に相当する半導体基板表面1aには、一対のソース/ドレイン拡散領域13,13が形成されている。このソース/ドレイン拡散領域13は、ゲート電極3の端部3eに対してオフセットされている。つまり、チャネル方向に関してゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13との間には間隔(これを「オフセット領域」と呼ぶ。
)20が設けられている。ゲート絶縁膜2及びゲート電極3よりなるゲートスタック8の両側には、それぞれオフセット領域20を覆うように、メモリ機能体11が形成されている。メモリ機能体11は、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子(図中に●で示す。)10からなる電荷保持部と、蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体17とからなる。これにより、メモリ機能体11への電子の注入、及び、正孔の注入が効率的に行われ、書き込み、消去速度の速いメモリ素子が構成される。
【0066】
また、半導体記憶素子30における、ソース/ドレイン拡散領域13がゲート電極3からオフセットされていることにより、ゲート電極3に電圧を印加したときのメモリ機能体11下のオフセット領域の反転しやすさを、メモリ機能体11に蓄積された電荷量によって大きく変化させることができ、メモリ効果を増大させることが可能となる。さらに、通常構造のMOSFETと比較して、短チャネル効果を抑制することができ、ゲート長の微細化を図ることができる。また、上記理由より構造的に短チャネル効果抑制に適しているため、オフセットしていないロジックトランジスタと比較して膜厚の厚いゲート絶縁膜を採用することができ、信頼性を向上させることが可能となる。
【0067】
また、半導体記憶素子30のメモリ機能体11は、ゲート絶縁膜2とは独立した材料によって形成されている。したがって、メモリ機能体11が担うメモリ機能と、ゲート絶縁膜2が担うトランジスタ動作機能とは互いに独立に実現されている。また、同様の理由により、メモリ機能体11としてメモリ機能に好適な材料を選択して形成することができる。
【0068】
この半導体記憶素子30は、1つの素子に2ビット又はそれ以上の情報を記憶することにより、4値又はそれ以上の情報を記憶する半導体記憶素子として機能し、また、メモリ機能体11による可変抵抗効果により、選択トランジスタとメモリトランジスタとの機能を兼ね備えた半導体記憶素子としても機能する。
【0069】
ここで、1トランジスタ当り2ビットの記憶を実現するための、書き込み/消去、読み出しの方法の原理の例を以下に示す。ここでは、メモリ素子がNチャネル型である場合を説明する。そこで、メモリ素子がPチャネル型の場合は電圧の符号を逆にして同様に適応すれば良い。なお、印加電圧を特に指定していないノード(ソース、ドレイン、ゲート、基板)においては、接地電位を与えれば良い。
【0070】
この半導体記憶素子30に書き込みを行う場合には、ゲートに正電圧を、ドレインにゲートと同程度かそれ以上の正電圧を加える。この時ソースから供給された電荷(電子)は、ドレイン端付近で加速され、ホットエレクトロンとなってドレイン側のメモリ機能体11に注入される。このとき、ソース側に存在するメモリ機能体11には電子は注入されない。このようにして特定の側のメモリ機能体11に書き込みをすることができる。また、ソースとドレインを入れ替えることで、容易に2ビットの書き込みを行うことができる。
【0071】
この半導体記憶素子30に書き込まれた情報を消去するためには、ホットホール注入を利用する。消去したいメモリ機能体11のある側の拡散層領域(ソース/ドレイン)に正電圧を、ゲートに負電圧をくわえればよい。このとき、半導体基板1と正電圧を与えられた拡散層領域におけるPN接合において、バンド間トンネルにより正孔が発生し、負電位をもつゲートに引き寄せられて、消去したいメモリ機能体11に注入される。このようにして、特定の側の情報を消去することができる。なお、反対の側のメモリ機能体11に書き込まれた情報を消去するためには、反対側のメモリ機能体11に正電圧を加えればよい。
【0072】
次に、この半導体記憶素子30に書きこまれた情報を読み出すためには、読み出したいメモリ機能体11の側の拡散領域をソースとし、反対側の拡散領域をドレインとする。すなわち、ゲートに正電圧を、ドレイン(書き込みの時はソースとしていた)にゲートと同程度かそれ以上の正電圧を与えればよい。ただし、このときの電圧は書き込みが行われないよう充分小さくしておく必要がある。メモリ機能体11に蓄積された電荷の多寡により、ドレイン電流が変化し、記憶情報を検出することができる。なお、反対側のメモリ機能体11に書き込まれた情報を読み出すためには、ソースとドレインを入れ替えればよい。
【0073】
上記書き込み消去と読み出しの方法は、メモリ機能体11に窒化膜を用いた場合の1例であり、それ以外の方法を用いることができる。さらにまた、それ以外の材料を用いた場合であっても、上記方法かもしくは異なる書き込みと消去の方法を用いることができる。
【0074】
さらに、メモリ機能体11が、ゲート電極3下ではなく、ゲート電極3の両側に配置されるため、ゲート絶縁膜2をメモリ機能体11として機能させる必要がなく、ゲート絶縁膜2を、メモリ機能体11とは独立して、単純にゲート絶縁膜としての機能のみに使用することが可能となり、LSIのスケーリング則に応じた設計を行うことが可能となる。このため、フラッシュメモリのようにフローティングゲートをチャネルとコントロールゲートとの間に挿入する必要がなく、さらに、ゲート絶縁膜2としてメモリ機能をもたせたONO膜を採用する必要がなく、微細化に応じたゲート絶縁膜を採用することが可能となるとともに、ゲート電極3の電界がチャネルに及ぼす影響が強くなり、短チャネル効果に強いメモリ機能を有する半導体記憶素子30を実現することができる。よって、微細化して集積度を向上させることができるとともに、安価な半導体記憶素子を提供することができる。さらに、同時に形成された論理回路部のMOSFETにおけるゲート絶縁膜2も、半導体記憶素子30におけるのと同様に、微細化に応じたゲート絶縁膜を採用することが可能となるため、短チャネル効果に強いMOSFETも同時に形成される。以上より、高性能な半導体記憶素子と論理回路部等のMOSFETを自己整合による簡易な工程で形成することができる。
【0075】
このように、この半導体記憶素子30によれば、1トランジスタ当り2ビットの記憶を実現しながら、短チャネル効果が極めて抑制され、微細化が可能となる。また、高速動作と低消費電力化が可能である。また、メモリ機能体11に電荷を保持した場合に、チャネル拡散領域の一部が電荷による影響を強く受けるため、ドレイン電流値が変化する。それにより電荷の有無を区別する半導体記憶素子が形成される。
【0076】
さらに、本半導体記憶素子の構成においては、下記に記載する形態であっても良い。
【0077】
本発明の半導体装置のメモリを構成する半導体記憶素子は、主として、ゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、ゲート電極の両側に形成されたメモリ機能体と、ゲート電極の下に形成されたチャネル形成領域と、チャネル形成領域の両側に形成されチャネル形成領域と逆導電型を有するソース/ドレイン拡散領域とから構成される。
【0078】
この半導体記憶素子は、1つのメモリ機能体に2値又はそれ以上の情報を記憶することにより、4値又はそれ以上の情報を記憶する半導体記憶素子として機能し、また、メモリ機能体による可変抵抗効果により、選択トランジスタとメモリトランジスタとの機能を兼ね備えたメモリセルとしても機能する。しかしながら、この半導体記憶素子は、必ずしも4値又はそれ以上の情報を記憶して機能させる必要はなく、例えば、2値の情報を記憶して機能させてもよい。
【0079】
本発明の半導体装置を構成する半導体記憶素子は、半導体基板上、又は半導体基板内に形成されたチャネル形成領域と同導電型のウェル領域上に形成されることが好ましい。
【0080】
半導体基板としては、半導体装置に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の元素半導体、シリコンゲルマニウム、GaAs、InGaAs、ZnSe、GaN等の化合物半導体による基板が挙げられる。また、表面に半導体層を有するものとして、SOI(Silicon on Insulator;シリコン・オン・インシュレータ)基板又は多層SOI基板等の種々の基板、ガラスやプラスチック基板上に半導体層を有するものを用いてもよい。なかでもシリコン基板又は表面にシリコン層が形成されたSOI基板等が好ましい。半導体基板又は半導体層は、内部を流れる電流量に多少が生ずるが、単結晶(例えば、エピタキシャル成長による)、多結晶又はアモルファスのいずれであってもよい。
【0081】
この半導体基板又は半導体層上には、素子分離領域が形成されていることが好ましく、さらにトランジスタ、キャパシタ、抵抗等の素子、これらによる回路、半導体装置や層間絶縁膜が組み合わせられて、シングル又はマルチレイヤー構造で形成されていてもよい。なお、素子分離領域は、LOCOS(局所酸化)膜、トレンチ酸化膜、STI(Shallow Trench Isolation;浅い溝分離法)膜等種々の素子分離膜により形成することができる。半導体基板は、P型又はN型の導電型を有していてもよく、半導体基板には、少なくとも1つの第1導電型(P型又はN型)のウェル領域が形成されていることが好ましい。半導体基板及びウェル領域の不純物濃度は、当該分野で公知の範囲のものが使用できる。なお、半導体基板としてSOI基板を用いる場合には、表面半導体層には、ウェル領域が形成されていてもよいが、チャネル領域下にボディ領域を有していてもよい。
【0082】
ゲート絶縁膜は、通常、半導体装置に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等の絶縁膜;酸化アルミニウム膜、酸化チタニウム膜、酸化タンタル膜、酸化ハフニウム膜などの高誘電体膜の単層膜又は積層膜を使用することができる。なかでも、シリコン酸化膜が好ましい。ゲート絶縁膜は、例えば、等価酸化膜厚で1nm〜20nm程度、好ましくは1nm〜6nm程度の膜厚とすることが適当である。ゲート絶縁膜は、ゲート電極直下にのみ形成されていてもよいし、ゲート電極よりも大きく(幅広)で形成されていてもよい。
【0083】
ゲート電極又は電極は、ゲート絶縁膜上に、通常半導体装置に使用されるような形状又は下端部に凹部を有した形状で形成されている。なお、単一のゲート電極とは、ゲート電極としては、単層又は多層の導電膜によって分離されることなく、一体形状として形成されているゲート電極を意味する。また、ゲート電極は、側壁に側壁絶縁膜を有していてもよい。ゲート電極は、通常、半導体装置に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、導電膜、例えば、ポリシリコン:銅、アルミニウム等の金属:タングステン、チタン、タンタル等の高融点金属:高融点金属とのシリサイド等の単層膜又は積層膜等が挙げられる。ゲート電極の膜厚は、例えば50nm〜400nm程度の膜厚で形成することが適当である。なお、ゲート電極の下にはチャネル形成領域が形成されている。
【0084】
メモリ機能体は、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子からなる電荷保持部と、蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体とによって構成されている。微粒子としては、例えば、シリコン窒化膜ドット、導電体ドットもしくは半導体ドットを1つ以上含む絶縁体等の単層又は積層構造によって形成することができる。ここでドットとは、材料の形状がドット型をしているものであり、必ずしも球形である必要は無く歪な球形であっても良く、また、立方体に近いのものであっても良く、その大きさは1nm〜50nm程度であることが好ましい。より好ましくは、クーロンブロッケード等の量子効果を発現するような1nm〜15nm程度であることが望ましい。また、材料としては、シリコン窒化物;シリコン;リン、ボロン等の不純物を含むシリケートガラス;シリコンカーバイド;アルミナ;ハフニウムオキサイド、ジルコニウムオキサイド、タンタルオキサイド等の高誘電体;酸化亜鉛;強誘電体;金属等やそれと同様の機能を示す材料が挙げられる。
【0085】
なかでも、シリコン窒化膜ドットを1つ以上含む絶縁体をメモリ機能体の一形態として用いれば、電荷をトラップする準位が多数存在するため大きなヒステリシス特性を得ることができ、また、電荷保持時間が長く、リークパスの発生による電荷漏れの問題が生じないため保持特性が良好であり、さらに、LSIプロセスではごく標準的に用いられる材料であるため、好ましい。
【0086】
ドットを1つ以上含む絶縁体膜をメモリ機能体として用いることにより、電荷の直接トンネリングによる書込・消去が行ないやすくなり、低消費電力化の効果がある。
【0087】
メモリ機能体は、電荷を逃げにくくする領域又は電荷を逃げにくくする機能を有する膜をさらに含むことが好ましい。電荷を逃げにくくする機能を果たすものとしては、シリコン酸化膜等が挙げられる。
【0088】
メモリ機能体に含まれるドットは、直接又は絶縁膜を介してゲート電極の両側に形成されており、また、直接、ゲート絶縁膜又は絶縁膜を介して半導体基板(ウェル領域、ボディ領域又はソース/ドレイン拡散領域もしくは拡散領域)上に配置している。ゲート電極の両側のドットは、直接又は絶縁膜を介してゲート電極の側壁の全て又は一部を覆うように形成されていることが好ましい。特に、メモリ機能体として導電体ドットを1つ以上含む絶縁体を用いる場合には、導電体ドットが半導体基板(ウェル領域、ボディ領域又はソース/ドレイン拡散領域もしくは拡散領域)又はゲート電極と直接接触しないように、絶縁膜を介して配置させることが好ましい。応用例としては、ゲート電極が下端部に凹部を有する場合には、直接又は絶縁膜を介して凹部を完全に又は凹部の一部を埋め込むように形成されていてもよい。
【0089】
ゲート電極は、メモリ機能体の側壁のみに形成されるか、あるいはメモリ機能体の上部を覆わないことが好ましい。このような配置により、コンタクトプラグをよりゲート電極と接近して配置することができるので、半導体記憶素子の微細化が容易となる。また、このような単純な配置を有する半導体記憶素子は製造が容易であり、歩留まりを向上することができる。
【0090】
メモリ機能体は、電荷を逃げにくくする領域又は電荷を逃げにくくする機能を有する膜をさらに含むことが好ましい。電荷を逃げにくくする機能を果たすものとしては、シリコン酸化膜等が挙げられる。
【0091】
ソース/ドレイン拡散領域は、半導体基板又はウェル領域と逆導電型の拡散領域として、メモリ機能体のゲート電極と反対側のそれぞれに配置されている。ソース/ドレイン拡散領域と半導体基板又はウェル領域との接合は、不純物濃度が急峻であることが好ましい。ホットエレクトロンやホットホールが低電圧で効率良く発生し、より低電圧で高速な動作が可能となるからである。ソース/ドレイン拡散領域の接合深さは、特に限定されるものではなく、得ようとする半導体記憶装置の性能等に応じて、適宜調整することができる。なお、半導体基板としてSOI基板を用いる場合には、ソース/ドレイン拡散領域は、表面半導体層の膜厚よりも小さな接合深さを有していてもよいが、表面半導体層の膜厚とほぼ同程度の接合深さを有していることが好ましい。
【0092】
ソース/ドレイン拡散領域は、ゲート電極端とオーバーラップするように配置していてもよいし、ゲート電極端と一致するように配置してもよいし、ゲート電極端に対してオフセットされて配置されていてもよい。特に、オフセットされている場合には、ゲート電極に電圧を印加したとき、電荷を保持するドット下のオフセット領域の反転しやすさが、メモリ機能体に蓄積された電荷量によって大きく変化し、メモリ効果が増大するとともに、短チャネル効果の低減をもたらすため、好ましい。ただし、あまりオフセットしすぎると、ソース・ドレイン間の駆動電流が著しく小さくなるため、ゲート長方向に対するドットの存在する領域の厚さよりもオフセット量つまり、ゲート長方向における一方のゲート電極端から近い方のソース/ドレイン拡散領域までの距離は短い方が好ましい。特に重要なことは、メモリ機能体中の電荷を保持するドットの少なくとも一部が、拡散領域であるソース/ドレイン拡散領域の一部とオーバーラップしていることである。
本発明の半導体装置を構成する半導体記憶素子の本質は、メモリ機能体の側壁部にのみ存在するゲート電極とソース/ドレイン拡散領域間の電圧差によりメモリ機能体を横切る電界によって記憶を書き換えることであるためである。
【0093】
ソース/ドレイン拡散領域は、その一部が、チャネル領域表面、つまり、ゲート絶縁膜下面よりも高い位置に延設されていてもよい。この場合には、半導体基板内に形成されたソース/ドレイン拡散領域上に、このソース/ドレイン拡散領域と一体化した導電膜が積層されて構成されていることが適当である。導電膜としては、例えば、ポリシリコン、アモルファスシリコン等の半導体、シリサイド、上述した金属、高融点金属等が挙げられる。なかでも、ポリシリコンが好ましい。ポリシリコンは、不純物拡散速度が半導体基板に比べて非常に大きいために、半導体基板内におけるソース/ドレイン拡散領域の接合深さを浅くするのが容易で、短チャネル効果の抑制がしやすいためである。なお、この場合には、このソース/ドレイン拡散領域の一部は、ゲート電極とともに、メモリ機能体の少なくとも一部を挟持するように配置することが好ましい。
【0094】
本発明の半導体装置を構成する半導体記憶素子は、通常の半導体プロセスによって、例えば、ゲート電極の側壁に単層又は積層構造のサイドウォールスペーサを形成する方法と同様の方法によって形成することができる。具体的には、ゲート電極又は電極を形成した後、ドット、ドット/絶縁膜、絶縁膜/ドット、絶縁膜/ドット/絶縁膜等のドットを含む単層膜又は積層膜を形成し、適当な条件下でエッチバックしてこれらの膜をサイドウォールスペーサとして残す方法;絶縁膜又はドットを形成し、適当な条件下でエッチバックしてサイドウォールスペーサとして残し、さらにドット又は絶縁膜を形成し、同様にエッチバックしてサイドウォールスペーサとして残す方法;粒子状の電荷保持材料を分散させた絶縁膜材料をゲート電極を含む半導体基板上に塗布または堆積し、適当な条件下でエッチバックして、絶縁膜材料をサイドウォールスペーサとして残す方法;ゲート電極を形成した後、前記単層膜又は積層膜を形成し、マスクを用いてパターニングする方法等が挙げられる。また、ゲート電極又は電極を形成する前に、ドット、ドット/絶縁膜、絶縁膜/ドット、絶縁膜/ドット/絶縁膜等を形成し、これらの膜のチャネル領域となる領域に開口を形成し、その上全面にゲート電極材料膜を形成し、このゲート電極材料膜を、開口を含み、開口よりも大きな形状でパターニングする方法等が挙げられる。
【0095】
上述の半導体記憶素子を配列してメモリセルアレイを構成した場合、半導体記憶素子の最良の形態は、例えば、
i)複数の半導体記憶素子のゲート電極が一体となってワード線の機能を有する、
ii)上記ワード線の両側にはメモリ機能体が形成されている、
iii)メモリ機能体内で電荷を保持するのはドット、特にシリコンドットである、
iv)メモリ機能体はドットと絶縁膜で構成されており、ドットはゲート絶縁膜の表面と略並行に配列する部分を有している、
v)メモリ機能体中のシリコンドットはワード線及びチャネル領域とシリコン酸化膜で隔てられている、
vi)メモリ機能体内のシリコンドットと拡散層とがオーバーラップしている、
vii)ゲート絶縁膜の表面と略並行な表面を有するシリコンドットとチャネル領域又は半導体層とを隔てる絶縁膜の厚さと、ゲート絶縁膜の厚さが異なる、
viii)1個の半導体記憶素子の書込み及び消去動作は単一のワード線により行なう、
ix)メモリ機能体の上には書込み及び消去動作を補助する機能を有する電極(ワード線)がない、
x)メモリ機能体の直下で拡散領域と接する部分に拡散領域の導電型と反対導電型の不純物濃度が濃い領域を有する、
なる要件を満たすものである。前記要件を全て満たす場合が最良の形態となるが、無論、必ずしも上記要件を全て満たす必要はない。
【0096】
前記要件を複数満たす場合、特に好ましい組み合わせが存在する。例えば、iii)メモリ機能体内で電荷を保持するのがドット、特にシリコンドットであり、ix)メモリ機能体の上には書込み及び消去動作を補助する機能を有する電極(ワード線)がなく、vi)メモリ機能体内のドット(シリコンドット)と拡散層とがオーバーラップしている、場合である。メモリ機能体内で電荷を保持しているのが絶縁体であり、且つ、メモリ機能体の上には書込み及び消去動作を補助する機能を有する電極がない場合には、メモリ機能体内のドット(シリコンドット)と拡散層とがオーバーラップしている場合にのみ、書込み動作が良好に行なわれることを発見した。すなわち、要件iii)及びix)を満たす場合は、要件vi)を満たすことが特に好ましい。一方、メモリ機能体内で電荷を保持するのが導電体であり、又はメモリ機能体の上には書込み及び消去動作を補助する機能を有する電極がある場合は、メモリ機能体内のドットと拡散層がオーバーラップしていない場合でも、書込み動作を行なうことができた。しかしながら、メモリ機能体内で電荷を保持するのが導電体ではなく絶縁体であり、又はメモリ機能体の上には書込み及び消去動作を補助する機能を有する電極がない場合には、以下のような非常に大きな効果を得ることができる。すなわち、コンタクトプラグをよりメモリ機能体と接近して配置することができ、又は半導体記憶素子間の距離が接近して複数のメモリ機能体が干渉しても記憶情報を保持できるので、半導体記憶素子の微細化が容易となる。また、素子構造が単純であるから工程数が減少し、歩留まりを向上し、論理回路やアナログ回路を構成するトランジスタとの混載を容易にすることができる。更には、5V以下という低電圧により書込み及び消去動作が行なわれることを確認した。以上より、要件iii)、ix)及びvi)を満たすことが特に好ましいのである。
【0097】
本発明の半導体記憶素子及び論理素子を組み合わせた半導体記憶装置は、電池駆動の携帯電子機器、特に携帯情報端末に用いることができる。携帯電子機器としては、携帯情報端末、携帯電話、ゲーム機器等が挙げられる。
【0098】
ところで、本実施形態では、Nチャネル型素子の場合について述べているが、Pチャネル型素子でもよい。その場合は、不純物の導電型を全て逆にすれば良い。
【0099】
また、図面の記載において、同一の材料及び物質を用いている部分においては、同一の符号を付しており、必ずしも同―の形状を示すものではない。
【0100】
また、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法の関係、各層や各部の厚みや大きさの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや大きさの寸法は、以下の説明を斟酌して判断すべきものである。また図面相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0101】
また、本特許に記載の各層や各部の厚みや大きさは、特に説明がない場合は、半導体装置の形成を完了した段階での最終形状の寸法である。よって、膜や不純物領域等を形成した直後の寸法と比較して最終形状の寸法は、後の工程の熱履歴等によって多少変化することに留意すべきである。
【0102】
(第2の実施形態)
図2(a)〜図2(d)に、通常構造のMOSFETである半導体スイッチング素子32により構成される論理回路領域4と、半導体記憶素子31からなるメモリ領域5とを、同一の半導体基板(チップ)1上に混載する手順を示す。ここで、図2において、左側が周辺回路領域4における通常構造の1個のMOSFETに対応する領域を示し、右側がメモリ領域5における1個の半導体記憶素子に対応する領域を示している(後述する図3〜図6において同様。)。論理回路領域4とは、メモリ周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等を含む領域のことを総称している。
【0103】
メモリ領域5の半導体記憶素子31は、ゲートスタック8の側面にメモリ機能体11を有しているため、混載プロセスが非常に簡単になる。より具体的には、ゲート電極3形成後の工程にフォトリソグラフィ工程を加え、LDD(Lightly Doped Drain;ライトリ・ドープト・ドレイン)拡散領域を形成する領域と形成しない領域とを設けることにより、同一基板上で自動的に、論理回路領域4とメモリ領域5を作製することができることを示す。
【0104】
まず、図2(a)に示すように、半導体基板1上に、膜厚1nm〜6nm程度のシリコン酸窒化膜からなるゲート絶縁膜2と、膜厚50nm〜400nm程度のゲート電極3形成のための材料膜とを形成し、これらを所望の形状にパターニングすることによりゲートスタック8を形成する。
【0105】
なお、ゲート電極3形成のための材料膜としては、ポリシリコン、又は、ポリシリコンと高融点金属シリサイドの積層膜、又は、ポリシリコンと金属との積層膜が挙げられる。ゲート絶縁膜2及びゲート電極3の材料は、上述したように、その時代のスケーリング則に則ったロジックプロセスにおいて使われる材料を用いればよく、上記材料に限定されるものではない。
【0106】
次に、図2(b)に示すように、フォトレジストを塗布して、メモリ領域5をフォトレジスト7で覆い、論理回路領域4における半導体スイッチング素子32を形成すべき部位にレジスト開口部を設けるようにパターニングする(図2(b)の左半分はレジスト開口部に相当する。)。その後フォトレジスト7及びゲートスタック8をマスクとして不純物を注入し、論理回路領域4における、ゲートスタック8の両側に相当する半導体基板表面にLDD領域6を形成する。ここで、メモリ領域5にはLDD領域6が形成されずに、通常構造のトランジスタを形成すべき論理回路領域4にLDD領域6を形成することができた。
【0107】
続いて、図2(c)に示すように、得られた半導体基板1、及び、ゲートスタック8の露出面上に、シリコンドットを1つ以上含み膜厚20nm〜100nm程度の絶縁膜を形成し、異方性エッチングによりエッチバックすることにより、記憶に最適なメモリ機能体11を、ゲート電極3の側面に沿ってサイドウォールとして形成する。
【0108】
ここでは、メモリ機能体11は、複数のシリコンドット10とそれらを包む散逸防止絶縁体17とからなるものとしたが、メモリ機能体11は、電荷を蓄積又はトラップする機能を有する物質とそれを包んで絶縁する物質とによって形成されていればよく、例えば、導電体ドットもしくは半導体ドットを1つ以上含む絶縁体等の単層又は積層構造によって形成することができる。
【0109】
その後、図2(d)に示すように、ゲート電極3及びメモリ機能体11をマスクとして不純物をイオン注入することにより、ゲート電極3及びメモリ機能体11の両側に相当する半導体基板表面にソース/ドレイン拡散領域13を形成する。
【0110】
上記したような方法を用いて半導体記憶素子31、及び、半導体スイッチング素子32を、同一基板1上に並行して形成することができる。
【0111】
上記手順から分かるように、上記半導体記憶素子31を形成するための手順は、通常構造のMOSFET形成プロセスと非常に親和性の高いものとなっている。上記半導体記憶素子31の構成は、公知の一般的なMOSFETに近い。上記一般的なMOSFETを上記半導体記憶素子31に変更するためには、例えば、公知の一般的なMOSFETのサイドウォールスペーサにメモリ機能体11としての機能を有する材料を用いて、LDD領域6を形成しないだけでよい。上記メモリ周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等を構成する通常構造MOSFETのサイドウォールスペーサがメモリ機能体11としての機能をもっていたとしても、サイドウォールスペーサ幅が適切であって、書き換え動作が起こらない電圧範囲で動作させる限り、トランジスタ性能を損なうことが無い。従って、通常構造MOSFETで構成される半導体スイッチング素子32と半導体記憶素子31とは、共通のサイドウォールスペーサを用いることができる。また、上記メモリ周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等を構成する通常構造MOSFETで構成される半導体スイッチング素子32と上記半導体記憶素子31とを混載させるためには、更に、上記メモリ周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等のみLDD構造を形成する必要がある。LDD構造を形成するためには、上記ゲート電極3を形成した後であって、上記メモリ機能体11を構成する材料を堆積するまえに、LDD領域形成のための不純物注入を行えばよい。従って、上記LDD形成のための不純物注入を行う際に、上記メモリ領域5のみフォトレジスト7でマスクするだけで、上記半導体記憶素子31と上記メモリ周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等を構成する通常構造MOSFETとを容易に混載することが可能である。さらに、上記半導体記憶素子31と上記メモリ周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等を構成する通常構造MOSFETによってSRAMを構成すれば、不揮発性メモリ、論理回路、SRAMを容易に混載することができる。
【0112】
ところで、上記半導体記憶素子31において、上記論理回路部及びSRAM部等で許容されるよりも、高い電圧を印加する必要がある場合、高耐圧ウエル形成用マスク及び高耐圧ゲート絶縁膜形成用マスクを標準MOSFET形成用マスクに追加するだけでよい。従来、EEPROM(書き込み消去が電気的に可能なプログラブルROM)と論理回路部とを1つのチップ上に混載するプロセスは標準MOSFETプロセスと大きく異なり、必要マスク枚数、プロセス工数が著しく増大した。ゆえに、EEPROMとメモリ周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等の回路と混載した従来の場合に比べて、飛躍的にマスク枚数及びプロセス工数を削減することが可能になる。従って、メモリ周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等の通常構造MOSFETと半導体記憶素子31とを混載したチップの歩留まりが向上し、コストが削減される。
【0113】
(第3の実施形態)
図3(a)〜図4(f)に、論理回路領域4における半導体スイッチング素子42と、メモリ領域5における半導体記憶素子41とを、同一の半導体基板1上に混載する別の手順を示す。より詳しくは、ゲート電極3を形成した後であって、ゲート側面にメモリ機能体11を構成する材料を堆積する前にフォトリソグラフィ工程及びそれに続く不純物注入工程を行うことにより、通常構造MOSFETを形成する領域のみに選択的にLDD領域を形成し、半導体スイッチング素子42と半導体記憶素子41とを、複雑なプロセスを必要とせず簡易に並行して形成できることを示す。
【0114】
図3(a)に示すように、p型の導電型を有する半導体基板1上にMOS(金属―酸化膜―半導体)形成プロセスを経た、MOS構造を有するゲート絶縁膜2及びゲート電極3、つまりゲートスタック8を形成する。
【0115】
代表的なMOS形成プロセスは、次のようなものである。
【0116】
まず、p型の半導体領域を有する半導体基板1に既知の方法により素子分離領域(図示せず)を形成する。素子分離領域は隣り合ったデバイス間において、基板を通じてリーク電流が流れることを防止することができる。ただし、隣り合ったデバイス同士であっても、ソース/ドレイン拡散領域13を共通にするものであれば、このような素子分離領域を形成しなくても良い。既知の素子分離領域形成方法とは、既知のロコス酸化膜を用いたものでも、既知のトレンチ分離領域を用いたものでも、その他の既知の方法を用いて素子を分離するという目的を達成することができるものであれば良い。
【0117】
次に、半導体領域の露出面全面に絶縁膜2を形成する(ただし、図3(a)は既にパターン加工された状態を示している。)。この絶縁膜2はMOSFETのゲート絶縁膜となるため、N2O酸化や、NO酸化、酸化後の窒化処理等を含んだ工程を用いること等により、ゲート絶縁膜2としての性能の良い膜を形成することが望まれる。ゲート絶縁膜2としての性能の良い膜とは、MOSFETの短チャネル効果の抑制、ゲート絶縁膜2を不必要に流れる電流であるリーク電流の抑制、ゲート電極3の不純物の空乏化を抑制しつつMOSFETのチャネル拡散領域へのゲート電極3不純物の拡散を抑制する等々の、MOSFETの微細化や高性能化を進めるに当たってのあらゆる不都合な要因を抑制することができる絶縁膜のことである。代表的な膜は熱酸化膜、N2O酸化膜、NO酸化膜等の酸化膜であり、膜厚は1nmから6nmの範囲内であることが適当である。
【0118】
次に、上記絶縁膜2上にゲート電極3のための材料(以下、「ゲート電極材料」と呼び、簡単のため、ゲート電極と同じ符号3を用いて説明する。)を全面に形成する。ゲート電極材料3としては、ポリシリコン、ドープドポリシリコン等の半導体や、Al、Ti、W等の金属や、これらの金属とシリコンとの化合物等、MOSFETとしての性能を有することのできる材料であればどんな材料を用いることも可能である。
【0119】
次に、ゲート電極材料3上に、フォトリソグラフィ工程により、所望のフォトレジストパターンを形成し、そのフォトレジストパターンをマスクとして、ゲート電極材料3及びゲート絶縁膜2をエッチングして、図3(a)中に示すようにパターン加工する。これによりゲートスタック8を形成する。この時、ゲート絶縁膜2はエッチングしなくても良い。エッチングせずに次工程である不純物注入時に注入保護膜として利用した場合、注入保護膜を形成する工程を略することができる。
【0120】
また、次に示すような方法で、ゲートスタック8を形成しても良い。p型の半導体領域を有する半導体基板1の露出面全面に上記同様の機能を有するゲート絶縁膜2を形成する。次に、該ゲート絶縁膜2上に上記同様の機能を有するゲート電極材料3を形成する。次に該ゲート電極材料3上に酸化膜、窒化膜、酸窒化膜等からなるマスク絶縁膜を形成する。次に、該マスク絶縁膜上に上記同様の機能を有するフォトレジストパターンを形成し、このフォトレジストパターンの通りに該マスク絶縁膜をエッチングしてパターン化する。次にフォトレジストパターンを除去し、該マスク絶縁膜をエッチングマスクとしてゲート電極材料3をエッチングする。次に、該マスク絶縁膜、及び、ゲート絶縁膜2の露出部をエッチングすることによって、図3(a)中に示すようにゲートスタック8を形成する。
この時、ゲート絶縁膜2はエッチングしなくても良い。エッチングせずに次工程である不純物注入時に注入保護膜として利用した場合、注入保護膜を形成する工程を略することができる。
【0121】
次に、図3(b)に示すように論理回路領域4のみにLDD領域6を形成する。この際、メモリ領域5には、フォトレジスト7が形成されており、LDD領域は形成されない。ここで、メモリ領域5にはLDD領域6が形成されずに、通常構造のトランジスタを形成する論理回路領域4にLDD領域を形成することができた。該フォトレジストは、注入を阻止するものであり、選択的に除去できるものであれば良い。したがって、フォトレジストに代えて、窒化膜等の絶縁膜を用いることもできる。
【0122】
次に、図3(c)に示すように、ゲートスタック8及び半導体基板1の露出面上に第1絶縁膜9を形成し、さらに、第1絶縁膜9上にシリコンドット10を形成し、その後、化学的気相堆積(CVD)法を用いた堆積絶縁膜15を形成する。それぞれの工程を次に詳細に示す。
【0123】
まず、第1絶縁膜9の形成方法について示す。ゲートスタック8及び半導体基板1の露出面上に形成される第1絶縁膜9は、電子が通過する絶縁膜となるため、耐圧が高く、リーク電流が少なく、信頼性の高い膜が良い。例えば、上記ゲート絶縁膜2の材料と同様に、熱酸化膜、N2O酸化膜、NO酸化膜等の酸化膜を用いる。該酸化膜を用いる場合、膜厚は、1nmから20nm程度が良い。更に、該絶縁膜9をトンネル電流が流れる程度に薄く形成した場合は、電荷の注入/消去に必要とする電圧を低くすることができ、それによって、低消費電力化ができる。その場合の典型的な膜厚は、1nm〜5nm程度が良い。ここで第1絶縁膜9を形成することにより、シリコンドット10は、半導体基板1及びゲート電極3に絶縁膜を介して接することになるので、保持電荷のリークをこの絶縁膜により抑制することができる。それにより、電荷保持特性がよく、長期信頼性の高い半導体記憶素子41が形成される。
【0124】
次に、シリコンドット10の形成方法について示す。CVD法で、ジシランを原料ガスとして、1Torrの圧力のもとで基板温度700℃でシリコンドット10を2分間成長させる。このときシリコンドット10の大きさは5nm程度である。ただし、このときのシリコンドット10の大きさは、1nm〜50nm程度であることが好ましい。より好ましくは、クーロンブロッケード等の量子効果を発現するような大きさである1nm〜15nm程度であることが望ましい。ここで、CVDにおける原料ガス、圧力、基板温度、成長時間等のそれぞれの条件を適宜変更、調整することにより、シリコンドット10の大きさ、密度等の形態を最適化し形成することが可能となる。また、次工程の酸化によりドット径が小さくなることを考慮し、適宜大きめに形成しておくことにより、最適な形状のシリコンドット10を形成することができる。
【0125】
さらに、図示はしていないが、シリコンドット10形成後、該シリコンドット10の表面を酸化することが望ましい。当酸化工程は熱酸化を用いるとよい。この際、シリコンドット10の大きさが小さくなるほど、酸化の速度が遅くなるため、シリコンドット10の大きさバラツキが抑えられる。また、該シリコンドット10表面酸化膜は電子が通過する絶縁膜となるため、耐圧が高く、リーク電流が少なく、信頼性の高い膜であれば良い。例えば、N2O酸化膜、NO酸化膜等の酸化膜を用いてもよい。該酸化膜の場合、最終形状における膜厚は第1絶縁膜9を含んで等価酸化膜厚で、1nmから20nm程度が良い。より好ましくは、シリコンドット10の大きさが1nm〜15nm程度大きさである場合には1nm〜10nm程度であることが望ましい。このように、シリコンドット10を酸化し小さくする場合、シリコンドット10の形成時に大きさの減少分を考慮して、大きめに形成しておく必要があることは、言うまでもない。更に、該絶縁膜をトンネル電流が流れる程度に薄く形成し、2重トンネル接合を用いたクーロンブロッケード効果によって電荷を保持する場合は、電荷の注入/消去に必要とする電圧を低くすることができ、それによって、低消費電力化ができる。その場合の典型的な酸化膜厚は、1nm〜3nm程度が良い。また、図においては、シリコンドット10は該ゲートスタック8及び該半導体基板1の露出面上に1層のみ積層されている。しかし、このシリコンドット10の上にさらにシリコンドット10が堆積し、2層以上の層構造をなしても良く、また、高さが揃わず凸凹に堆積されても良い。
【0126】
次に、CVD法を用いた堆積絶縁膜15を形成するが、当工程はHTO(High Temperature Oxide;高温酸化膜)やLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition;減圧気相成長法)を用いたステップカバレッジの良い膜を用いると良い。HTO膜を用いた場合、膜厚は20nm〜100nm程度であれば良い。なお、堆積絶縁膜15は、このあとの工程においてエッチングバックされてサイドウォールスペーサとして加工され、ソース/ドレイン拡散領域13を形成する不純物注入の際の注入マスクとして働く。つまり、ソース/ドレイン拡散領域13の形状、特にゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13との間のオフセット幅を規定する重要な要素となる。したがって、堆積絶縁膜厚を適宜調整変更することにより、ソース/ドレイン拡散領域13を最適な形状に形成し、最適なオフセット幅を得ることが可能となる。
【0127】
次に、図4(d)に示すように、堆積絶縁膜15及びシリコンドット10を異方性エッチングすることにより、ゲートスタック8の側面に沿ってサイドウォールスペーサとして、堆積絶縁膜15の一部からなる側壁絶縁体16を形成する。なお、第1絶縁膜9と側壁絶縁体16との間にはシリコンドット10が残存する。この際、予め第1絶縁膜9と堆積絶縁膜15の材料としてエッチングレートが異なる材料を選んでおくことにより、これらの膜の間の選択比を上げることができ、当工程を効率よく簡単に実施することが可能となる。例えば、第1絶縁膜9の材料としては窒化膜を、堆積絶縁膜15の材料としては酸化膜を用いると良い。
【0128】
ただし、半導体基板1は通常シリコン基板を用いている場合が多く、その場合、ドットの材料としてシリコンを用いているため、シリコンドット10を充分にはエッチングできず、エッチング残りが出る場合がある、この場合は、異方性エッチング後にフッ酸等を用いたウエットエッチングを用いて、残っている絶縁膜を等方性エッチングすることにより、シリコン残渣をリフトオフすると良い。
【0129】
次に、図4(e)に示すように、第1絶縁膜9に対して異方性エッチングを行うことにより、露出部分のみ、選択的にエッチングして、第1絶縁膜9の一部からなるL字型絶縁膜12を形成する。該エッチングは第1絶縁膜9を選択的にエッチングでき、側壁絶縁体16、及び、ゲート電極3材料、及び、半導体基板1材料とのエッチング選択比の大きな条件で行うと良い。これにより、L字型絶縁膜12、シリコンドット10、及び、側壁絶縁体16からなる、メモリ機能体11を形成することができた。
【0130】
また、図3(c)に示す構造から、図4(e)に示す構造まで、1工程で進めてもよい。つまり、第1絶縁膜9、シリコンドット10、及び、堆積絶縁膜15をともに選択的にエッチングでき、ゲート電極3材料、及び、半導体基板1材料とのエッチング選択比の大きな条件を用いた異方性エッチングを行うことにより、通常2工程必要なところを1工程で進めても良い。そのようにした場合、工程数を減少させることができる。ただし、シリコンドット10とゲート電極3材料、及び、半導体基板1材料は、本実施形態の典型的な例においてはシリコンを材料としているため、エッチング選択比を大きく取ることが難しい。そこで、シリコンドット10は残るが、第1絶縁膜9及び堆積絶縁膜15はエッチングされるような条件でエッチングし、その後、適宜フッ酸等のウエットエッチングを用いて残っている絶縁膜を等方性エッチングすることにより、シリコン残渣をリフトオフすると良い。
【0131】
ただし、図示はしないが、これまでの工程において、第1絶縁膜9はエッチングしなくても良い。エッチングせずに次工程である不純物注入時に注入保護膜として利用した場合、注入保護膜を形成する工程を略することができる。
【0132】
次に、図4(f)に示すように、ゲート電極3及びその両側のメモリ機能体11,11を一体のマスク14として用いてソース/ドレイン注入を行い、さらに所定の熱処理を行う。これにより、ソース/ドレイン拡散領域13を自己整合的に形成することができる。
【0133】
以上のプロセスを用いることにより、論理回路領域4に用いるLDD領域を形成した通常構造MOSFET42、及び、メモリ領域5に用いる半導体記憶素子41を、同一基板上で並行して、特別複雑な工程を用いることなく簡易な工程を追加するだけで、容易に形成することができる。
【0134】
また、メモリ機能体11に電荷を保持した場合に、チャネル拡散領域の一部が電荷による影響を強く受けるため、ドレイン電流値が変化する。それにより半導体記憶素子41は、保持電荷の有無に応じて情報を記憶することができる。
【0135】
半導体記憶素子41のゲート絶縁膜2とメモリ機能体11とを独立して設けることにより、半導体記憶素子41と通常構造MOSFET42とを、標準MOSFETプロセスと比べて大幅なプロセス変更やプロセス工数の増加なしに1つのチップ上に混載することが可能となった。それゆえメモリ領域5と、メモリ周辺回路部等4を1つの半導体基板(チップ)1上に混載するための製造コストを大幅に削減することができる。
【0136】
ゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13とがオフセットした半導体記憶素子41と、オフセットしていない論理回路における通常MOSFET42を自己整合的な工程で同一基板上に形成することにより、メモリ効果の高い半導体記憶素子と、電流駆動力の高い論理回路における通常MOSFETを複雑なプロセスを必要とせず簡易に混載できる。
【0137】
更には、この半導体記憶素子41によれば、1トランジスタ当り2ビットの記憶を実現することができるので、1ビットあたりのメモリ素子の占有面積を縮小することができ、大容量の半導体記憶素子を実現できる。
【0138】
また、メモリ機能体11において、シリコンドット10とゲート電極3との間及びシリコンドット10と半導体基板1との間を隔離するようにL字型絶縁膜12が介在しているため、保持電荷のリークをこの絶縁膜12により抑制することができる。それにより、電荷保持特性がよく、長期信頼性の高い半導体記憶素子を実現できる。
【0139】
さらに、シリコンドット10表面を酸化することにより、シリコンドット10の大きさバラツキが抑制でき、電気特性のバラツキが少ない半導体装置が得られる。
【0140】
更に、基板とシリコンドット10間の絶縁膜もしくはゲート電極3とシリコンドット10間の絶縁膜をトンネル電流が流れる程度に薄く形成することにより、2重トンネル接合を用いたクーロンブロッケード効果によって電荷を保持する場合は、電荷の注入/消去に必要とする電圧を低くすることができ、それによって、低消費電力化が達成できる。
【0141】
(第4の実施形態)
図5(a)〜図5(c)を用いて、上記第3の実施形態を変形した実施形態について説明する。本実施形態では、上記第3の実施形態におけるシリコンドット10形成の際、シリコンドット10を1層のみでなく、2層、3層及びそれ以上積層している。
【0142】
図5(a)に示すのは、シリコンドット10を2層積層した場合のソース/ドレイン拡散領域13形成後の断面形状である。メモリ機能体11A中のシリコンドット10が縦方向に2重以上の多重ドットを構成するため1重ドットと比較して、メモリ保持性能が飛躍的に向上する。さらに、1重ドットと比較して、メモリ機能体11A中のシリコンドット10の数が増加するため、保持電荷数が増加し、電荷密度が増大する。よって、書き込みと消去のしきい値電圧の差や、駆動電流の差が増大するので、電圧マージンが大きく、信頼性の向上した半導体記憶素子51Aを実現できる。
【0143】
また、図5(b)に示すのは、シリコンドット10を3層積層した場合のソース/ドレイン拡散領域13形成後の断面形状である。メモリ機能体11B中のシリコンドット10が縦方向に3重以上の多重ドットを構成するため1重及び2重ドットと比較して、メモリ保持性能が飛躍的に向上する。さらに、1重及び2重ドットと比較して、メモリ機能体11B中のシリコンドット10の数が増加するため、保持電荷数が増加し、電荷密度が増大する。よって、書き込みと消去のしきい値電圧の差や、駆動電流の差が増大するので、電圧マージンが大きく、信頼性の向上した半導体記憶素子51Bを実現できる。
【0144】
さらに、図5(c)に示すのは、メモリ機能体11C内を充分に満たすだけの膜厚まで、シリコンドット10を積層した場合のソース/ドレイン拡散領域13形成後の断面形状である。1重、2重及び3重ドットの場合と比較して、メモリ保持性能が飛躍的に向上する。さらに、1重、2重及び3重ドットと比較して、メモリ機能体11C中のシリコンドット10数が増加するため、保持電荷数が増加し、電荷密度が増大する。よって、書き込みと消去のしきい値電圧の差や、駆動電流の差が増大するので、電圧マージンが大きく、信頼性の向上した半導体記憶素子51Cを実現できる。
【0145】
次に、シリコンドット10を複数層積層させる製造方法について説明する。シリコンドット10を複数層積層させること以外の工程は基本的には上記第3の実施形態に記載の工程と同様の工程を用いても良いが、シリコンドット10の複数層積層による膜厚の厚膜化によって、堆積絶縁膜15(図3(c)参照)の堆積膜厚を減らす必要がある。詳細を以下に説明する。
【0146】
図3(b)に示すようなLDD領域形成工程までは、上記第3の実施形態と同様の工程を用いても良い。そこで、同様の工程を用いることによる、重複説明は省略する。
【0147】
その後、図3(c)に示したのと同様にゲートスタック8及び半導体基板1の露出面上に第1絶縁膜9を形成し、さらに、第1絶縁膜9上にシリコンドット10を形成し、その後、化学的気相堆積(CVD)法を用いた堆積絶縁膜15を形成する。ただし、シリコンドット10は1層のみでなく、2層、3層及びそれ以上積層する。つまり、1層シリコンドット10を形成後、第3の実施形態と同様の工程によるシリコンドット10表面の酸化を行い、2層目のシリコンドット10を形成する。3層の場合はさらに、2層目のシリコンドット10表面酸化を行い、その後3層目のシリコンドット10を形成する。以降同様に多層構造を形成することができる。
【0148】
ただし、2層目以降のシリコンドット10表面酸化は、1層目のシリコンドット10の表面をも酸化するといった現象があるため、下層の酸化膜が厚膜化する。つまり、下層酸化膜の厚膜化を考慮した酸化条件を設定することにより、所望の酸化膜を形成することが可能となる。
【0149】
シリコンドット10及び酸化膜の形成工程は上記第3の実施形態と同様次のようなものである。
【0150】
シリコンドット10を形成する場合、CVD法で、ジシランを原料ガスとして、1Torrの圧力のもとで基板温度700℃でシリコンドット10を2分間成長させる。このときシリコンドット10の大きさは5nm程度である。ただし、最終形状におけるシリコンドット10の大きさは、1nm〜50nm程度であることが好ましい。より好ましくは、クーロンブロッケード等の量子効果を発現するような大きさである1nm〜15nm程度であることが望ましい。ここで、CVDにおける原料ガス、圧力、基板温度、成長時間等のそれぞれの条件を適宜変更、調整することにより、シリコンドット10の大きさ、密度等の形態を最適化し形成することが可能となる。また、次工程の酸化によりドット径が小さくなることを考慮し、適宜大きめに形成しておくことにより、最適な形状のシリコンドット10を形成することができる。
【0151】
次にシリコンドット10表面酸化の1例は次の様なものである。当酸化工程は熱酸化を用いるとよい。この際、シリコンドット10の大きさが小さくなるほど、酸化の速度が遅くなるため、シリコンドット10の大きさバラツキが抑えられる。また、該シリコンドット10の表面酸化膜は電子が通過する絶縁膜となるため、耐圧が高く、リーク電流が少なく、信頼性の高い膜であれば良い。例えば、N2O酸化膜、NO酸化膜等の酸化膜を用いてもよい。該酸化膜の場合、最終形状における膜厚は第1絶縁膜9を含んで等価酸化膜厚で、1nmから20nm程度が良い。より好ましくは、シリコンドット10の大きさが1nm〜15nm程度大きさである場合には膜厚が1nm〜10nm程度であることが望ましい。このように、シリコンドット10を酸化し小さくする場合、シリコンドット10の形成時に大きさの減少分を考慮して、大きめに形成しておく必要があることは、言うまでもない。
【0152】
次に、CVD法を用いた堆積絶縁膜15を形成するが、当工程はHTOやLPCVDを用いたステップカバレッジの良い膜を用いると良い。HTO膜を用いた場合、膜厚は20nm〜100nm程度であれば良い。なお、堆積絶縁膜15は、このあとの工程においてエッチングバックされてサイドウォールスペーサとして加工され、ソース/ドレイン拡散領域13を形成する不純物注入の際の注入マスクとして働く。つまり、ソース/ドレイン拡散領域13の形状、特にゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13との間のオフセット幅を規定する重要な要素となる。したがって、堆積絶縁膜厚を適宜調整変更することにより、ソース/ドレイン拡散領域13を最適な形状に形成し、最適なオフセット幅を得ることが可能となる。ただし、シリコンドット10の積層膜厚に堆積絶縁膜15の膜厚を加えたものがサイドウォールスペーサ幅となる。したがって、シリコンドット10の積層膜厚を考慮して堆積絶縁膜15の膜厚を決めることにより、適切なサイドウォールスペーサ幅を得ることができる。例えば、シリコンドット10積層膜厚が所望のサイドウォールスペーサ幅に達している場合は、堆積絶縁膜を形成しなくてよい。
【0153】
次に、図4(d)に示したのと同様に、堆積絶縁膜15及びシリコンドット10を異方性エッチングすることにより、ゲートスタック8の側面に沿ってサイドウォールスペーサとして、堆積絶縁膜15の一部からなる側壁絶縁体16を形成する。なお、第1絶縁膜9と側壁絶縁体16との間にはシリコンドット10が残存する。この際、予め第1絶縁膜9と堆積絶縁膜15の材料としてエッチングレートが異なる材料を選んでおくことにより、これらの膜の間の選択比を上げることができ、当工程を効率よく簡単に実施することが可能となる。例えば、第1絶縁膜9の材料としては窒化膜を、堆積絶縁膜15の材料としては酸化膜を用いると良い。
【0154】
ただし、半導体基板1は通常シリコン基板を用いている場合が多く、その場合、ドットの材料としてシリコンを用いているため、シリコンドット10を充分にはエッチングできず、エッチング残りが出る場合がある。この場合は、異方性エッチング後にフッ酸等を用いたウエットエッチングを用いて、残っている絶縁膜を等方性エッチングすることにより、シリコン残渣をリフトオフすると良い。
【0155】
次に、図5(a)〜図5(c)にそれぞれ示すように、第1絶縁膜9に対して異方性エッチングを行うことにより、露出部分のみ、選択的にエッチングして、第1絶縁膜9の一部からなるL字型絶縁膜12を形成する。該エッチングは第1絶縁膜9を選択的にエッチングでき、側壁絶縁体16、及び、ゲート電極3材料、及び、半導体基板1材料とのエッチング選択比の大きな条件で行うと良い。これにより、L字型絶縁膜12、シリコンドット10、及び、側壁絶縁体16からなる、メモリ機能体11A,11B,11Cを形成することができた。
【0156】
ただし、図示はしないが、これまでの工程において、第1絶縁膜9はエッチングしなくても良い。エッチングせずに次工程である不純物注入時に注入保護膜として利用した場合、注入保護膜を形成する工程を略することができる。
【0157】
次に、図5(a)〜図5(c)にそれぞれ示すように、ゲート電極3及びその両側のメモリ機能体11A,11A、ゲート電極3及びその両側のメモリ機能体11B,11B、ゲート電極3及びその両側のメモリ機能体11C,11Cをそれぞれ一体のマスクとして用いて、ソース/ドレイン注入を行い、さらに所定の熱処理を行う。これにより、それぞれソース/ドレイン拡散領域13を自己整合的に形成することができる。
【0158】
以上のプロセスを用いることにより、論理回路領域4に用いるLDD領域を形成した通常構造MOSFET52A,52B,52C、及び、メモリ領域5に用いる半導体記憶素子51A,51B,51Cを、同一基板上で並行して、特別複雑な工程を用いることなく簡易な工程を追加するだけで、容易に形成することができる。
【0159】
また、メモリ機能体11A,11B,11Cに電荷を保持した場合に、チャネル拡散領域の一部が電荷による影響を強く受けるため、ドレイン電流値が変化する。それにより半導体記憶素子51A,51B,51Cは、保持電荷の有無に応じて情報を記憶することができる。
【0160】
半導体記憶素子51A,51B,51Cのゲート絶縁膜2とメモリ機能体11A,11B,11Cとを独立して設けることにより、半導体記憶素子51A,51B,51Cと通常構造MOSFET52A,52B,52Cとを、標準MOSFETプロセスと比べて大幅なプロセス変更やプロセス工数の増加なしに1つのチップ上に混載することが可能となった。それゆえメモリ領域5と、メモリ周辺回路部等4を1つの半導体基板(チップ)1上に混載するための製造コストを大幅に削減することができる。
【0161】
ゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13とがオフセットした半導体記憶素子51A,51B,51Cと、オフセットしていない論理回路における半導体スイッチング素子52A,52B,52Cを自己整合的な工程で同一基板上に形成することにより、メモリ効果の高い半導体記憶素子と、電流駆動力の高い論理回路における通常MOSFETを複雑なプロセスを必要とせず簡易に混載できる。
【0162】
更には、この半導体記憶素子51A,51B,51Cによれば、1トランジスタ当り2ビットの記憶を実現することができるので、1ビットあたりのメモリ素子の占有面積を縮小することができ、大容量の半導体記憶素子を実現できる。
【0163】
また、メモリ機能体11A,11B,11Cにおいて、シリコンドット10とゲート電極3との間及びシリコンドット10と半導体基板1との間を隔離するようにL字型絶縁膜12が介在しているため、保持電荷のリークをこの絶縁膜12により抑制することができる。それにより、電荷保持特性がよく、長期信頼性の高い半導体記憶素子を実現できる。
【0164】
さらに、シリコンドット10表面を酸化することにより、シリコンドット10の大きさバラツキが抑制でき、電気特性のバラツキが少ない半導体装置が得られる。
【0165】
更に、基板1とシリコンドット10間およびゲート電極3とシリコンドット10間の絶縁膜12をトンネル電流が流れる程度に薄く形成することにより、2重トンネル接合を用いたクーロンブロッケード効果によって電荷を保持する場合は、電荷の注入/消去に必要とする電圧を低くすることができ、それによって、低消費電力化が達成できる。
【0166】
更に、シリコンドット10が2重、3重もしくはそれ以上の多重ドットを形成するため、1重ドットと比較して、より蓄積電荷量が多く、保持時間の長い半導体記憶素子51A,51B,51Cが得られる。
【0167】
(第5の実施形態)
図6(a)〜図6(d)を用いて、上記第3または第4の実施形態を変形した実施形態について説明する。本実施形態ではメモリ機能体等の形状を改変している。
【0168】
図6(a)に示すのは、シリコンドット10を1層含むメモリ機能体11の形状を改変した場合(改変されたメモリ機能体を符号11Dで示す。)の断面形状である。この場合、電荷を保持するシリコンドット10が、チャネル拡散領域付近にのみ形成されるため、書き込みによって注入した電子を消去によって除去しやすくなる。それゆえ、消去不良を防止できる。また、電荷保持部を微小化することにより、効率的に電荷の消去を行うことができ、読み出しと消去スピードが早く信頼性の高い半導体記憶素子61Aを実現できる。
【0169】
また、図6(b)に示すのは、シリコンドット10を1層含むメモリ機能体11形成時に形状を改変し(改変されたメモリ機能体を符号11Eで示す。)、その後、メモリ機能体11Eを覆う絶縁膜25を形成した場合の断面形状である。
この場合、電荷を保持するシリコンドット10が、チャネル拡散領域付近にのみ形成されるため、書き込みによって注入した電子を消去によって除去しやすくなる。それゆえ、消去後のしきい値電圧バラツキが抑制でき、消去不良を防止できる。また、電荷保持部を微小化することにより、効率的に電荷の消去を行うことができ、読み出しと消去スピードが早く信頼性の高い半導体記憶素子61Bを実現できる。
【0170】
また、図6(c)に示すのは、シリコンドット10を多層含むメモリ機能体11Cの形状を改変した場合(改変されたメモリ機能体を符号11Fで示す。)の断面形状である。
【0171】
また、図6(d)に示すのは、シリコンドット10を多層含むメモリ機能体11Cの形状を改変し(改変されたメモリ機能体を符号11Eで示す。)、その後、メモリ機能体11Eを覆う絶縁膜25を形成した場合の断面形状である。
【0172】
この図6(c),図6(d)の場合、電荷を保持するシリコンドット10が、チャネル拡散領域付近にのみ形成されるため、書き込みによって注入した電子を消去によって除去しやすくなる。それゆえ、消去後のしきい値電圧バラツキが抑制でき、消去不良を防止できる。また、効率的に電荷の消去を行うことができ、読み出しと消去スピードが早く信頼性の高い半導体記憶素子61C,61Dを実現できる。さらに、L字型絶縁膜12はゲート電極3の外周を覆うように残るため、ソース/ドレインのコンタクトとゲート電極3との短絡を抑制することができる。それによって、微細化が容易になり、メモリの高集積化が可能となる。さらに、1層ドットの場合と比較して、メモリ機能体11D,11E中のシリコンドット10の数が増加するため、保持電荷数が増加し、電荷密度が増大する。よって、書き込みと消去のしきい値電圧の差や、駆動電流の差が増大するので、電圧マージンが大きく、信頼性の向上した半導体記憶素子61C,61Dを実現できる。
【0173】
ここで、上記図6(a)〜図6(d)の構造において、メモリ領域5における、ゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13との間のオフセット幅、つまり、ゲート電極3の一方の端部からソース/ドレイン拡散領域13の近い方の端部までの横方向の距離は、それぞれメモリ機能体11D,11E,11F,11Gの厚さ(図中の横方向の寸法)と等しいか、または、それ以下であることが望ましい。
【0174】
次に、図6(a)及び図6(c)に示す構造の半導体装置の形成方法について詳細に説明する。
【0175】
ソース/ドレイン拡散領域13形成工程までは、上記第3の実施形態におけるのと同様の工程を用いても良い。そこで、同様の工程を用いることによる、重複説明は省略する。
【0176】
次に、図6(a)及び図6(c)に示すように、メモリ機能体11D,11Fを等方性エッチングすることにより、ゲートスタック8の最上部位置より、メモリ機能体11D,11Fの最上部位置が低くなるようにする。
【0177】
ただし、半導体基板1は通常シリコン基板を用いている場合が多く、その場合、ドットの材料としてシリコンを用いているため、シリコンドット10を充分エッチングできず、エッチング残りが出るような条件でエッチングを実施しても良い。ただし、この場合は、フッ酸等を用いたウエットエッチングを用いて残っている絶縁膜12を適宜等方性エッチングすることにより、シリコン残渣をリフトオフすると良い。加えて、シリコン残渣を酸化し、その後、適宜フッ酸等を用いたウエットエッチングを用いてシリコン残渣を除去しても良い。
【0178】
また、当工程におけるエッチング量を調整し、次に示すような最適形状になるように、メモリ機能体11D,11Fの横幅を最適になるようにすることが好ましい。最適形状とは、メモリ領域5における、ゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13との間のオフセット幅、つまり、ゲート電極3の一方の端部からソース/ドレイン拡散領域13の近い方の端部までの横方向の距離が、それぞれメモリ機能体11D,11Fの厚さ(図中の横方向の寸法)と等しいか、または、それ以下であることを意味する。
【0179】
次に、図6(b)に示す構造の半導体装置の形成方法について詳細に説明する。
【0180】
この場合、まず上記第2実施形態における図4(d)に示される構造を形成する。
【0181】
次に、等方性エッチングを行って、側壁絶縁膜16及びシリコンドット10を図6(b)に示す形状になるまでエッチングする。つまり、ゲートスタック8の最上部位置より、メモリ機能体11Eの最上部位置が低くなるようにする。
【0182】
次に、CVD法を用いた堆積絶縁膜を全域に形成し、それを異方性エッチングして、図6(b)に示すように、ゲート電極3の両側にメモリ機能体11Eを包むようにサイドウォールスペーサ絶縁体25を形成する。当工程はHTOやLPCVDを用いたステップカバレッジの良い膜を用いると良い。なお、サイドウォールスペーサ絶縁体25は、このあとの工程においてソース/ドレイン拡散領域13を形成する不純物注入の際のマスクの一部として働く。つまり、ソース/ドレイン拡散領域13の形状、特にゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13との間のオフセット幅を規定する重要な要素となる。したがって、堆積絶縁膜厚を適宜調整変更することにより、ソース/ドレイン拡散領域13を最適な形状に形成し、最適なオフセット幅を得ることが可能となる。ただし、メモリ機能体11Eの幅に堆積絶縁膜の膜厚を加えたものがサイドウォールスペーサ幅となる。
したがって、メモリ機能体11Eの幅を考慮して堆積絶縁膜の膜厚を決めることにより、適切なサイドウォールスペーサ幅を得ることができる。
【0183】
次に、図6(b)に示すように、ゲート電極3、その両側のメモリ機能体11E,11E及びサイドウォールスペーサ絶縁体25,25を一体のマスクとして用いて、ソース/ドレイン注入を行い、さらに所定の熱処理を行う。これにより、ソース/ドレイン拡散領域13を自己整合的に形成することができる。
【0184】
次に、図6(d)に示す構造の半導体装置の形成方法について詳細に説明する。
【0185】
この図6(d)に示す構造を形成する方法は、シリコンドット10を積層する工程以外は、ほぼ上記図6(b)を形成した工程と同様な工程を用いる。つまり、まず第4の実施形態に記載した半導体装置の形成方法における、シリコンドット10の積層膜を形成する。その後に、等方性エッチングを行って、側壁絶縁膜16、L字型絶縁膜12及びシリコンドット10を図6(d)に示す形状になるまでエッチングする。つまり、ゲートスタック8の最上部位置より、メモリ機能体11Gの最上部位置が低くなるようにする。ただし、半導体基板1は通常シリコン基板を用いている場合が多く、その場合、ドットの材料としてシリコンを用いているため、シリコンドット10を充分エッチングできず、エッチング残りが出るような条件でエッチングを実施しても良い。ただし、この場合は、フッ酸等を用いたウエットエッチングを用いて残っている絶縁膜12を適宜等方性エッチングすることにより、シリコン残渣をリフトオフすると良い。加えて、シリコン残渣を酸化し、その後、適宜フッ酸等を用いたウエットエッチングを用いてシリコン残渣を除去しても良い。このようにして、図6(d)に示す形状のメモリ機能体11Gを形成できる。
【0186】
次に、CVD法を用いた堆積絶縁膜を形成し、それを異方性エッチングして図6(d)に示すサイドウォールスペーサ絶縁体25を形成する。当工程はHTOやLPCVDを用いたステップカバレッジの良い膜を用いると良い。なお、サイドウォールスペーサ絶縁体25は、このあとの工程においてソース/ドレイン拡散領域13を形成する不純物注入の際のマスクの一部として働く。つまり、ソース/ドレイン拡散領域13の形状、特にゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13との間のオフセット幅を規定する重要な要素となる。したがって、堆積絶縁膜厚を適宜調整変更することにより、ソース/ドレイン拡散領域13を最適な形状に形成し、最適なオフセット幅を得ることが可能となる。ただし、メモリ機能体11Gの幅に堆積絶縁膜の膜厚を加えたものがサイドウォールスペーサ幅となる。したがって、メモリ機能体11Gの幅を考慮して堆積絶縁膜の膜厚を決めることにより、適切なサイドウォールスペーサ幅を得ることができる。
【0187】
次に、図6(d)に示すように、ゲート電極3、その両側のメモリ機能体11G,11G及びサイドウォールスペーサ絶縁体25,25を一体のマスクとして用いて、ソース/ドレイン注入を行い、さらに所定の熱処理を行う。これにより、ソース/ドレイン拡散領域13を自己整合的に形成することができる。
【0188】
以上のプロセスを用いることにより、論理回路領域4に用いるLDD領域を形成した通常構造MOSFET62A,62B,62C,62D、及び、メモリ領域5に用いる半導体記憶素子61A,61B,61C,61Dを、同一基板上で並行して、特別複雑な工程を用いることなく簡易な工程を追加するだけで、容易に形成することができる。
【0189】
また、メモリ機能体11D,11E,11F,11Gに電荷を保持した場合に、チャネル拡散領域の一部が電荷による影響を強く受けるため、ドレイン電流値が変化する。それにより半導体記憶素子61A,61B,61C,61Dは、保持電荷の有無に応じて情報を記憶することができる。
【0190】
半導体記憶素子61A,61B,61C,61Dのゲート絶縁膜2とメモリ機能体11D,11E,11F,11Gとを独立して設けることにより、半導体記憶素子61A,61B,61C,61Dと通常構造MOSFET62A,62B,62C,62Dとを、標準MOSFETプロセスと比べて大幅なプロセス変更やプロセス工数の増加なしに1つのチップ上に混載することが可能となった。それゆえメモリ領域5と、メモリ周辺回路部等4を1つの半導体基板(チップ)1上に混載するための製造コストを大幅に削減することができる。
【0191】
ゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13とがオフセットした半導体記憶素子61A,61B,61C,61Dと、オフセットしていない論理回路における半導体スイッチング素子62A,62B,62C,62Dを自己整合的な工程で同一基板上に形成することにより、メモリ効果の高い半導体記憶素子と、電流駆動力の高い論理回路における通常MOSFETを複雑なプロセスを必要とせず簡易に混載できる。
【0192】
更には、この半導体記憶素子61A,61B,61C,61Dによれば、1トランジスタ当り2ビットの記憶を実現することができるので、1ビットあたりのメモリ素子の占有面積を縮小することができ、大容量の半導体記憶素子を実現できる。
【0193】
また、メモリ機能体11D,11E,11F,11Gにおいて、シリコンドット10とゲート電極3との間及びシリコンドット10と半導体基板1との間を隔離するようにL字型絶縁膜12が介在しているため、保持電荷のリークをこの絶縁膜12により抑制することができる。それにより、電荷保持特性がよく、長期信頼性の高い半導体記憶素子を実現できる。
【0194】
更に、基板1とシリコンドット10間およびゲート電極3とシリコンドット10間の絶縁膜12をトンネル電流が流れる程度に薄く形成することにより、2重トンネル接合を用いたクーロンブロッケード効果によって電荷を保持する場合は、電荷の注入/消去に必要とする電圧を低くすることができ、それによって、低消費電力化が達成できる。
【0195】
更に、シリコンドット10が2重、3重もしくはそれ以上の多重ドットを形成するため、1重ドットと比較して、より蓄積電荷量が多く、保持時間の長い半導体記憶素子61A,61B,61C,61Dが得られる。
【0196】
(第6の実施形態)
この実施の形態の半導体装置を構成する半導体記憶素子は、ゲート電極117の両側のメモリ機能体161、162が電荷を保持できる領域(電荷を蓄える領域であって、電荷を保持する機能を有する膜であってもよい)と電荷を逃げにくくする領域(電荷を逃げにくくする機能を有する膜であってもよい)から構成される。例えば、図7に示すように、シリコン酸化膜141、シリコン微粒子142及びそれを覆うように形成されたシリコン酸化膜143から、メモリ機能体161、162が構成されている。ここで、シリコン微粒子は電荷を保持できる機能を果たす。また、シリコン酸化膜141、143はシリコン微粒子中に蓄えられた電荷を逃げにくくする機能を有する膜の役割を果たす。
【0197】
また、メモリ機能体161、162における電荷を保持できる領域(シリコン微粒子142)は、ソース/ドレイン拡散領域112、113とそれぞれオーバーラップしている。ここで、オーバーラップするとは、ソース/ドレイン拡散領域112、113の少なくとも一部の領域上に、電荷を保持できる領域(シリコン微粒子142)の少なくとも一部が存在することを意味する。なお、111は半導体基板、114はゲート絶縁膜、117はゲート電極、171は(ゲート電極とソース/ドレイン拡散領域との)オフセット領域である。図示しないが、ゲート絶縁膜114下であって半導体基板111最表面部はチャネル形成領域となる。
【0198】
メモリ機能体161、162におけるシリコン微粒子142とソース/ドレイン拡散領域112、113とがオーバーラップすることによる効果を次に説明する。
【0199】
図8は、図7の右側のメモリ機能体162周辺部の拡大図である。W1はゲート電極114とソース/ドレイン拡散領域113とのオフセット量を示す。また、W2はゲート電極のゲート長方向の切断面におけるメモリ機能体162の幅を示しているが、メモリ機能体162のうちシリコン微粒子142のゲート電極117から遠い側の端が、ゲート電極117から遠い側のメモリ機能体162の端と一致しているため、メモリ機能体162の幅をW2として定義した。メモリ機能体162と拡散領域113とのオーバーラップ量は(W2−W1)で表される。特に重要なことは、メモリ機能体162のうちシリコン微粒子142が、拡散領域113とオーバーラップする、つまり、W2>W1なる関係を満たすことである。
【0200】
なお、図9に示すように、メモリ機能体162aのうちシリコン微粒子142aのゲート電極から遠い側の端が、ゲート電極から遠い側のメモリ機能体162aの端と一致していない場合は、W2をゲート電極端からシリコン微粒子142aのゲート電極と遠い側の端までと定義すればよい。なお、図9中の要素には、図8中の対応する要素の符号にaを付した符号を用いている。
【0201】
図8の構造における消去状態(ホールが蓄積されている)のドレイン電流は、シリコン微粒子142とソース/ドレイン拡散領域113とがオーバーラップする形状においては充分な電流値が得られるが、シリコン微粒子142とソース/ドレイン拡散領域113とがオーバーラップしない形状においてはシリコン微粒子142とソース/ドレイン拡散領域113との距離が離れると急激に減少し、30nm程度離れると3桁程度減少する。
【0202】
ドレイン電流値は、読出し動作速度にほぼ比例するので、シリコン微粒子142とソース/ドレイン拡散領域113との距離が離れにつれメモリの性能は急速に劣化する。一方、シリコン微粒子142とソース/ドレイン拡散領域113とがオーバーラップする範囲においては、ドレイン電流の減少は緩やかである。したがって、電荷を保持する機能を有する膜であるシリコン微粒子142の少なくとも一部とソース/ドレイン領域とがオーバーラップすることが好ましい。
【0203】
メモリ機能体161(領域181)に記憶された情報の読み出しは、ソース/ドレイン拡散領域112をソース電極とし、ソース/ドレイン拡散領域113をドレイン領域としてチャネル形成領域中のドレイン領域に近い側にピンチオフ点を形成するのが好ましい。すなわち、2つのメモリ機能体のうち一方に記憶された情報を読み出す時に、ピンチオフ点をチャネル形成領域内であって、他方のメモリ機能体に近い領域に形成させるのが好ましい。これにより、メモリ機能体162の記憶状況の如何にかかわらず、メモリ機能体161の記憶情報を感度よく検出することができ、2ビット動作を可能にする大きな要因となる。
【0204】
一方、2つのメモリ機能体の片側のみに情報を記憶させる場合又は2つのメモリ機能体を同じ記憶状態にして使用する場合には、読出し時に必ずしもピンチオフ点を形成しなくてもよい。
【0205】
なお、図8には図示していないが、半導体基板111の表面にウェル領域(Nチャネル素子の場合はP型ウェル)を形成することが好ましい。ウェル領域を形成することにより、チャネル形成領域の不純物濃度をメモリ動作(書換え動作及び読出し動作)に最適にしつつ、その他の電気特性(耐圧、接合容量、短チャネル効果)を制御するのが容易になる。
【0206】
メモリ機能体は、メモリの保持特性を向上させる観点から、電荷を保持できる機能を有する微粒子及びその微粒子に蓄積された電荷の散逸を防ぐ散逸防止絶縁体を含んでいるのが好ましい。この実施の形態では、微粒子として電荷をトラップする準位を有するシリコン微粒子142、散逸防止絶縁体として微粒子に蓄積された電荷の散逸を防ぐ働きのあるシリコン酸化膜141、143を用いている。メモリ機能体が微粒子と散逸防止絶縁体とを含むことにより電荷の散逸を防いで保持特性を向上させることができる。
【0207】
また、メモリ機能体は、ゲート絶縁膜表面と略平行に配置される微粒子を含むこと、いいかえると、メモリ機能体における微粒子が、ゲート絶縁膜上面から等しい距離に位置するように配置されることが好ましい。具体的には、図10に示したように、メモリ機能体162のシリコン微粒子142が、ゲート絶縁膜114表面と略平行に配列している。言い換えると、微粒子142は、ゲート絶縁膜114表面に対応する高さから、均一な高さに形成されることが好ましい。
【0208】
メモリ機能体162中に、ゲート絶縁膜114表面と略平行な微粒子142があることにより、微粒子142に蓄積された電荷の多寡によりオフセット領域171での反転層の形成されやすさを効果的に制御することができ、ひいてはメモリ効果を大きくすることができる。また、微粒子142をゲート絶縁膜114の表面と略平行とすることにより、オフセット量(W1)がばらついた場合でもメモリ効果の変化を比較的小さく保つことができ、メモリ効果のばらつきを抑制することができる。しかも、微粒子142上部方向への電荷の移動が抑制され、記憶保持中に電荷移動による特性変化が起こるのを抑制することができる。
【0209】
さらに、メモリ機能体162は、ゲート絶縁膜114の表面と略平行な微粒子142とチャネル形成領域(又はウェル領域)とを隔てる絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜144のうちオフセット領域171上の部分)を含むことが好ましい。この絶縁膜により、微粒子に蓄積された電荷の散逸が抑制され、さらに保持特性の良い半導体記憶素子を得ることができる。
【0210】
なお、微粒子142の大きさを制御すると共に、微粒子142下の絶縁膜(シリコン酸化膜144のうちオフセット領域171上の部分)の膜厚を一定に制御することにより、半導体基板表面から微粒子中に蓄えられる電荷までの距離を概ね一定に保つことが可能となる。つまり、半導体基板表面から微粒子中に蓄えられる電荷までの距離を、微粒子142下の絶縁膜の最小膜厚値から、微粒子142下の絶縁膜の最大膜厚値と微粒子142の大きさ最大値との和までの間に制御することができる。これにより、微粒子142に蓄えられた電荷により発生する電気力線の密度を概ね制御することが可能となり、メモリ素子のメモリ効果の大きさばらつきを非常に小さくすることが可能となる。
【0211】
(第7の実施形態)
この実施の形態は、ゲート電極、メモリ機能体及びソース/ドレイン領域間距離の最適化に関する。
【0212】
図11に示したように、Aはゲート長方向の切断面におけるゲート電極長、Bはソース/ドレイン領域間の距離(チャネル長)、Cは一方のメモリ機能体の端から他方のメモリ機能体の端までの距離、つまり、ゲート長方向の切断面における一方のメモリ機能体内の電荷を保持できる機能を有する膜の端(ゲート電極と離れている側)から他方のメモリ機能体内の電荷を保持できる機能を有する膜の端(ゲート電極と離れている側)までの距離を示す。
【0213】
まず、B<Cであることが好ましい。チャネル形成領域のうちゲート電極117下の部分とソース/ドレイン領域112、113との間にはオフセット領域171が存する。B<Cにより、メモリ機能体161、162(シリコン微粒子142)に蓄積された電荷により、オフセット領域171の全領域において、反転の容易性が効果的に変動する。したがって、メモリ効果が増大し、特に読出し動作の高速化が実現する。
【0214】
また、ゲート電極117とソース/ドレイン領域112、113がオフセットしている場合、つまり、A<Bが成立する場合には、ゲート電極に電圧を印加したときのオフセット領域の反転のしやすさがメモリ機能体に蓄積された電荷量によって大きく変化し、メモリ効果が増大するとともに、短チャネル効果を低減することができる。ただし、メモリ効果が発現する限りにおいては、必ずしも存在する必要はない。オフセット領域171がない場合においても、ソース/ドレイン領域112、113の不純物濃度が十分に薄ければ、メモリ機能体161、162(シリコン微粒子142)においてメモリ効果が発現し得る。
したがって、A<B<Cであるのが最も好ましい。
【0215】
(第8の実施形態)
この実施の形態の半導体装置を構成する半導体記憶素子は、図12に示すように、第6の実施形態における半導体基板をSOI基板とする以外は、実質的に同様の構成を有する。
【0216】
ただし、SOI基板特有の基板浮遊効果が発現しやすくなり、それによってホットエレクトロン発生効率を向上させることができ、書込み速度を高速化できる。
【0217】
この半導体記憶素子は、半導体基板181上に埋め込み酸化膜183が形成され、さらにその上にSOI層が形成されている。SOI層内にはソース/ドレイン拡散領域112、113が形成され、それ以外の領域はボディ領域182となっている。
【0218】
この半導体記憶素子によっても、第6の実施形態における半導体記憶素子と同様の作用効果を奏する。さらに、ソース/ドレイン拡散領域112、113とボディ領域182との接合容量を著しく小さくすることができるので、素子の高速化や低消費電力化が可能となる。
【0219】
(第9の実施形態)
この実施の形態の半導体装置を構成する半導体記憶素子は、図13に示すように、上記第6の実施形態において、N型のソース/ドレイン領域112、113のチャネル形成領域側に隣接して、P型高濃度領域191を追加した以外は、実質的に同様の構成を有する。
【0220】
すなわち、P型高濃度領域191におけるP型を与える不純物(例えばボロン)濃度が、領域192におけるP型を与える不純物濃度より高い。P型高濃度領域191におけるP型の不純物濃度は、例えば、5×1017cm−3〜1×1019cm−3程度が適当である。また、領域192のP型の不純物濃度は、例えば、5×1016cm−3〜1×1018cm−3とすることができる。
【0221】
このように、P型高濃度領域191を設けることにより、ソース/ドレイン拡散領域112、113と半導体基板111との接合が、メモリ機能体161、162の直下で急峻となる。そのため、書込み及び消去動作時にホットキャリアが発生し易くなり、書込み動作及び消去動作の電圧を低下させ、あるいは書込み動作及び消去動作を高速にすることが可能となる。さらに、領域192の不純物濃度は比較的薄いので、メモリが消去状態にあるときの閾値が低く、ドレイン電流は大きくなる。そのため、読出し速度が向上する。したがって、書換え電圧が低く又は書換え速度が高速で、かつ、読出し速度が高速な半導体記憶素子を得ることができる。
【0222】
また、図13において、ソース/ドレイン領域近傍であってメモリ機能体の下(すなわち、ゲート電極の直下ではない)において、P型高濃度領域191を設けることにより、トランジスタ全体としての閾値は著しく上昇する。この上昇の程度は、P型高濃度領域191がゲート電極の直下にある場合に比べて著しく大きい。メモリ機能体に書込み電荷(トランジスタがNチャネル型の場合は電子)が蓄積した場合は、この差がいっそう大きくなる。一方、メモリ機能体に十分な消去電荷(トランジスタがNチャネル型の場合は正孔)が蓄積された場合は、トランジスタ全体としての閾値は、ゲート電極下のチャネル形成領域(領域192)の不純物濃度で決まる閾値まで低下する。すなわち、消去時の閾値は、P型高濃度領域191の不純物濃度には依存せず、一方で、書込み時の閾値は非常に大きな影響を受ける。よって、P型高濃度領域191をメモリ機能体の下であってソース/ドレイン領域近傍に配置することにより、書込み時の閾値のみが非常に大きく変動し、メモリ効果(書込時と消去時での閾値の差)を著しく増大させることができる。
【0223】
(第10の実施形態)
この実施の形態の半導体装置を構成する半導体記憶素子は、図14に示すように、第6の実施形態において、電荷保持部(シリコン微粒子142)とチャネル形成領域又はウェル領域とを隔てる絶縁膜の厚さ(T1)が、ゲート絶縁膜の厚さ(T2)よりも薄いこと以外は、実質的に同様の構成を有する。
【0224】
ゲート絶縁膜114は、メモリの書換え動作時における耐圧の要請から、その厚さT2には下限値が存在する。しかし、絶縁膜の厚さT1は、耐圧の要請かかわらず、T2よりも薄くすることが可能である。T1を薄くすることにより、メモリ機能体への電荷の注入が容易になり、書込み動作及び消去動作の電圧を低下させ、又は書込み動作及び消去動作を高速にすることが可能となり、また、シリコン微粒子142に電荷が蓄積された時にチャネル形成領域又はウェル領域に誘起される電荷量が増えるため、メモリ効果を増大させることができる。
【0225】
したがって、T1<T2とすることにより、メモリの耐圧性能を低下させることなく、書込み動作及び消去動作の電圧を低下させ、又は書込み動作及び消去動作を高速にし、さらにメモリ効果を増大することが可能となる。
【0226】
なお、絶縁膜の厚さT1は、製造プロセスによる均一性や膜質が一定の水準を維持することが可能であり、かつ保持特性が極端に劣化しない限界となる0.8nm以上であることがより好ましい。
【0227】
(第11の実施形態)
この実施形態の半導体装置を構成する半導体記憶素子は、図15に示すように、第6の実施形態において、電荷保持部(シリコン微粒子142)とチャネル形成領域又はウェル領域とを隔てる絶縁膜の厚さ(T1)が、ゲート絶縁膜の厚さ(T2)よりも厚いこと以外は、実質的に同様の構成を有する。
【0228】
ゲート絶縁膜114は、素子の短チャネル効果防止の要請から、その厚さT2には上限値が存在する。しかし、絶縁膜の厚さT1は、短チャネル効果防止の要請かかわらず、T2よりも厚くすることが可能である。T1を厚くすることにより、電荷蓄積領域に蓄積された電荷が散逸するのを防ぎ、メモリの保持特性を改善することが可能となる。
【0229】
したがって、T1>T2とすることにより、メモリの短チャネル効果を悪化させることなく保持特性を改善することが可能となる。
【0230】
なお、絶縁膜の厚さT1は、書換え速度の低下を考慮して、20nm以下であることが好ましい。
【0231】
(第12の実施形態)
図18(a),図18(b)は、それぞれ本発明の一実施形態のICカード400A,400Bの構成を示している。
【0232】
図18(a)に示すICカード400A内には、MPU(Micro Processing Unit;マイクロ・プロセシング・ユニット)部401、及び、コネクト部408が内蔵されている。MPU部401内には、データメモリ部404、演算部402、制御部403、ROM(Read Only Memory;読み出し専用メモリ)405及びRAM(Random Access Memory;ランダム・アクセス・メモリ)406があり、これらが1つのチップに形成されている。ROM405には、MPU部401を駆動するためのプログラムが格納されている。RAM406はワークエリアとして用いられ、演算データを一時的に記憶する。MPU部401には、本発明の半導体装置が組み込まれている。上記各部401,403,403,404,405,406,408は、配線(データバス、電源線等を含む)407で接続されている。また、コネクト部408と外部のリーダライタ409は、このICカード400Aがリードライタ409に装着されたときに接続され、カード400Aに電力が供給されるとともにデータの交換が行なわれる。
【0233】
本ICカード400Aの特徴は、MPU部401にデータメモリ部404が内蔵され、1つの半導体チップ上に半導体スイッチング素子と半導体記憶素子とが混載されている点である。
【0234】
データメモリ部404には、既述のような製造コストを削減することが可能な半導体記憶素子30,31,41,51A〜51Cまたは61A〜61Dを用いている。これらの半導体記憶素子は微細化が容易であり、かつ2ビット動作が可能であるから、これを配列したメモリセルアレイの面積を縮小するのも容易となる。したがって、メモリセルアレイのコストを削減することができる。このメモリセルアレイをICカード400Aのデータメモリ部404に用いれば、ICカードのコストが削減される。
【0235】
また、MPU部401にデータメモリ部404を内蔵し、1つのチップ上に形成しているので、ICカードのコストを大きく低減することができる。
【0236】
さらに、MPU部401を本発明の半導体装置で構成しているので、つまりデータメモリ部404に半導体記憶素子を用いており、他の回路部には半導体スイッチング素子を用いているので、例えばデータメモリ部404にフラッシュメモリを用いた場合に比べて、製造プロセスが著しく簡略化される。この理由は、データメモリ部404の半導体記憶素子の形成プロセスと、論理回路部(演算部402及び制御部403)を構成する半導体スイッチング素子の形成プロセスとが、互いに非常に似ており、それらを1チップ上に混載するのが非常に容易だからである。したがって、MPU部401とデータメモリ部404を1つのチップ上に形成することによるコスト削減効果が特に大きくなる。
【0237】
なお、ROM405を上記半導体記憶素子で構成してもよい。このようにすれば、ROM405を外部から書き換えることが可能となり、ICカードの機能を飛躍的に高くすることができる。上記記憶素子は微細化が容易で、かつ2ビット動作が可能であるから、マスクROMを上記記憶素子で置き換えてもチップ面積の増大をほとんど招かない。また、上記半導体記憶素子を形成するプロセスは、通常のCMOS形成プロセスとほとんど変わらないので、論理回路部との混載が容易である。
【0238】
次に図18(b)に示すICカード400B内には、MPU部401、RFインターフェース部410、及び、アンテナ部411が内蔵されている。MPU部401内には、データメモリ部404、演算部402、制御部403、ROM405及びRAM406があり、これらが1つのチップに形成されている。上記各部401,402,403,404,405,406,410,411は、配線(データバス、電源線等を含む)407で接続されている。
【0239】
この図18(b)のICカード400Bが、図18(a)のICカード400Aと異なるのは、非接触型であるという点である。そのため、制御部403は、コネクト部ではなく、RFインターフェース部410を介してアンテナ部411に接続されている。アンテナ部411は、外部機器との通信及び集電機能を有する。RFインターフェース部410は、アンテナ部411から伝達された高周波信号を整流し電力を供給する機能と、信号の変調及び復調機能を有する。なお、RFインターフェース部410及びアンテナ部411は、MPU部401と1つのチップ上に混載されていてもよい。
【0240】
本ICカード400Bは非接触型であるから、コネクタ部を通じた静電破壊を防止することができる。また、外部機器と必ずしも密着する必要がないので、使用形態の自由度が大きくなる。更には、データメモリ部404を構成する半導体記憶素子は、従来のフラッシュメモリ(約12Vの電源電圧)に比べて低い電源電圧(例えば約9V)で動作するので、RFインターフェース部410の回路を小型化し、コストを削減することができる。
【0241】
(第13の実施形態)
本発明の半導体装置は、電池駆動の携帯電子機器、特に携帯情報端末に用いることができる。携帯電子機器としては、携帯情報端末、携帯電話、ゲーム機器等が挙げられる。
【0242】
図19は本発明を適用した一実施形態の携帯電話500のブロック構成を示している。
【0243】
この携帯電話500内には、MPU部501、マン・マシンインターフェース部508、RF回路部510、及び、アンテナ部511が内蔵されている。MPU部501内には、データメモリ部504、演算部502、制御部503、ROM505及びRAM506があり、これらが1つのチップに形成されている。ROM505には、MPU部501を駆動するためのプログラムが格納されている。RAM506はワークエリアとして用いられ、演算データを一時的に記憶する。MPU部501には、本発明の半導体装置が組み込まれている。上記各部501,502,503,504,505,506,508,510,511は、配線(データバス、電源線等を含む)507で接続されている。
【0244】
本携帯電話500の特徴は、MPU部501にデータメモリ部504が内蔵され、1つの半導体チップ上に半導体スイッチング素子と半導体記憶素子とが混載されている点である。
【0245】
データメモリ部504には、既述のような製造コストを削減することが可能な半導体記憶素子30,31,41,51A〜51Cまたは61A〜61Dを用いている。これらの半導体記憶素子は微細化が容易であり、かつ2ビット動作が可能であるから、これを配列したメモリセルアレイの面積を縮小するのも容易となる。したがって、メモリセルアレイのコストを削減することができる。このメモリセルアレイを携帯電話500のデータメモリ部504に用いれば、携帯電話のコストが削減される。
【0246】
また、MPU部501にデータメモリ部504を内蔵し、1つのチップ上に形成しているので、携帯電話のコストを大きく低減することができる。
【0247】
さらに、MPU部501を本発明の半導体装置で構成しているので、つまりデータメモリ部504に半導体記憶素子を用いており、他の回路部には半導体スイッチング素子を用いているので、例えばデータメモリ部504にフラッシュメモリを用いた場合に比べて、製造プロセスが著しく簡略化される。この理由は、データメモリ部504の半導体記憶素子の形成プロセスと、論理回路部(演算部502及び制御部503)を構成する半導体スイッチング素子の形成プロセスとが、互いに非常に似ており、それらを1チップ上に混載するのが非常に容易だからである。したがって、MPU部501とデータメモリ部504を1つのチップ上に形成することによるコスト削減効果が特に大きくなる。
【0248】
なお、ROM505を上記半導体記憶素子で構成してもよい。このようにすれば、ROM505を外部から書き換えることが可能となり、携帯電話の機能を飛躍的に高くすることができる。上記記憶素子は微細化が容易で、かつ2ビット動作が可能であるから、マスクROMを上記記憶素子で置き換えてもチップ面積の増大をほとんど招かない。また、上記半導体記憶素子を形成するプロセスは、通常のCMOS形成プロセスとほとんど変わらないので、論理回路部との混載が容易である。
【0249】
このように、本発明の半導体装置を携帯電話500に代表されるような携帯電子機器に用いることにより、制御回路の製造コストが削減されるから、携帯電子機器自体のコストを削減することができる。もしくは、制御回路に含まれる半導体記憶素子を大容量化して、携帯電子機器の機能を高度化することができる。
【0250】
【発明の効果】
以上より明らかなように、本発明の半導体装置は、半導体記憶素子と半導体スイッチング素子とを混載した半導体装置であって、簡単なプロセスで容易に作製でき、低コスト化することができる。
【0251】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体記憶素子と半導体スイッチング素子とを混載した半導体装置を、簡単なプロセスで容易に作製でき、低コスト化できる。
【0252】
また、本発明の携帯電子機器及びICカードは、そのような半導体装置を備えているので、コスト削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体記憶素子の構造の概要を示す概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す概略断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す概略断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す概略断面図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す概略断面図である。
【図6】本発明の第5の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第6の実施形態に係る半導体記憶素子の構造の概要を示す概略断面図である。
【図8】図7の半導体記憶素子が有するメモリ機能体及びその周辺部の拡大図である。
【図9】図8に対応して、メモリ機能体のうちシリコン微粒子のゲート電極から遠い側の端が、ゲート電極から遠い側のメモリ機能体の端と一致していない態様を示す図である。
【図10】メモリ機能体のシリコン微粒子が、ゲート絶縁膜表面と略平行に配列している態様を示す図である。
【図11】本発明の第7の実施形態に係る半導体記憶素子の構造の概要を示す概略断面図である。
【図12】本発明の第8の実施形態に係る半導体記憶素子の構造の概要を示す概略断面図である。
【図13】本発明の第9の実施形態に係る半導体記憶素子の構造の概要を示す概略断面図である。
【図14】本発明の第10の実施形態に係る半導体記憶素子の構造の概要を示す概略断面図である。
【図15】本発明の第11の実施形態に係る半導体記憶素子の構造の概要を示す概略断面図である。
【図16】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成図である。
【図17】本発明の第1の実施形態に係る別の半導体装置の構成図である。
【図18】本発明の第12の実施形態に係るICカードを示す概略ブロック図である。
【図19】本発明の第13の実施形態に係る携帯電話を示す概略ブロック図である。
【図20】従来の不揮発性メモリ素子の構造の概要を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 半導体基板
2 ゲート絶縁膜
3 ゲート電極
4 論理回路領域
5 メモリ領域
6 LDD領域
8 ゲートスタック
10 シリコンドット
11,11A,11B,11C,…,11G メモリ機能体
12 L字型絶縁膜
16 側壁絶縁体
20 オフセット領域
25 サイドウォールスペーサ絶縁体
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体記憶素子と半導体スイッチング素子とを同一基板上に混載した半導体装置及びその製造方法に関する。
【0002】
また、本発明は、そのような半導体装置を備えた携帯電子機器及びICカードに関する。
【0003】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来は、フラッシュメモリと論理回路を混載した半導体装置を製造する場合、大幅なコスト・アップが避けられなかった。コスト・アップの要因である製造コストがかさむ理由としては、混載のため複雑なプロセスになり、余計にマスクが必要となることが挙げられる。例えばフラッシュメモリでは、メモリ素子に2層のポリシリコン層を必要とするなどの理由から、標準のCMOS製造プロセスに対して7から8枚のマスクを追加しなければならなかった(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
そこで、本発明の課題は、半導体記憶素子と半導体スイッチング素子とを混載した半導体装置であって、簡単なプロセスで容易に作製でき、低コスト化することができるものを提供することにある。
【0005】
また、本発明の課題は、半導体記憶素子と半導体スイッチング素子とを混載した半導体装置を、簡単なプロセスで容易に作製でき、低コスト化できる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0006】
また、本発明の課題は、そのような半導体装置を備えた携帯電子機器及びICカードを提供することにある。
【0007】
なお、一般的なフラッシュメモリの素子の構造断面図を、図20に示す。P型ウェル領域101上に第1酸化膜104を介してポリシリコンからなる浮遊ゲート106を有し、浮遊ゲート106の上に第2酸化膜105を介してポリシリコンからなる制御ゲート107を有する。ゲート電極106,107の両側のP型ウェル領域101表面には第1のN型拡散領域102及び第2のN型拡散領域103が形成されている。ゲート電極106,107の端部は第1のN型拡散領域102,第2のN型拡散領域103の端部上にそれぞれ重なっている。また、フラッシュメモリと論理回路を混載した場合の一形態として、アレイ状に配置したメモリセルアレイ、並びに、その周辺にデコーダ、書き込み/消去回路及び読み出し回路等の周辺回路となる論理回路を配置する技術が知られている。さらに、メモリユニットをパソコンや携帯電話等の情報処理システムとして機能させるためには、MPU(マイクロ・プロセッシング・ユニット)等の論理回路部、キャッシュとして用いるSRAM(スタティックRAM)部等を配置する技術が知られている。
【0008】
【非特許文献1】
大石 基之、『「誰でも使える不揮発性メモリ」が登場,標準CMOS技術で製造可能に』、第3段落「従来の不揮発性メモリは〜が使いづらかった。」、[online]、2002年3月6日、日経BP社、[平成15年3月17日検索]、インターネット<URL:http://ne.nikkeibp.co.jp/edaonline/2002/03/1000011229.html>
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の半導体装置は、半導体基板上に、半導体記憶素子を有するメモリ領域と、半導体スイッチング素子を有する論理回路領域とが配置され、
上記半導体記憶素子と半導体スイッチング素子はそれぞれ、ゲート電極と、このゲート電極の両側に相当する半導体基板表面に形成された一対のソース/ドレイン拡散領域とを有する電界効果トランジスタからなり、
上記半導体記憶素子のゲート電極の両側に、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子からなる電荷保持部及び蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体とからなるメモリ機能体が設けられ、
上記半導体記憶素子においては、上記電荷保持部に保持された電荷の多寡により、上記ゲート電極に電圧を印加した際の一方の上記ソース/ドレイン拡散領域から他方の上記ソース/ドレイン拡散領域に流れる電流量を変化させ得るように構成されていることを特徴としている。
【0010】
一般的なフラッシュメモリは電荷保持部(電荷を蓄積するための領域)がゲート電極下部にあるのでゲート絶縁膜が厚膜化した電界効果トランジスタとしての能力しかなかったが、本発明における半導体記憶素子は、電荷保持部がゲート電極側方にあるため、最先端のMOSFET製造プロセスを容易に適用できる。そして、本発明によれば、そのような半導体記憶素子と半導体スイッチング素子を混載した、半導体装置を提供できる。さらに、上記複数の半導体スイッチング素子より論理回路部が構成され、上記複数の半導体記憶素子により不揮発性メモリ部が構成されているため、上記効果を有し、同一基板上に容易に混載された論理回路部と不揮発性メモリ部を有する半導体装置を実現することができる。
【0011】
また、別の局面では、本発明の半導体装置は、半導体基板上に、半導体記憶素子を有するメモリ領域と、半導体スイッチング素子を有する論理回路領域とが配置され、
上記半導体記憶素子と半導体スイッチング素子はそれぞれ、ゲート電極と、このゲート電極の両側に相当する半導体基板表面に形成された一対のソース/ドレイン拡散領域とを有する電界効果トランジスタからなり、
上記半導体スイッチング素子では、チャネル方向に関して上記ゲート電極の端部の下に上記ソース/ドレイン拡散領域が延在して重なる一方、
上記半導体記憶素子では、チャネル方向に関して上記ゲート電極と上記ソース/ドレイン拡散領域との間に間隔が設けられ、半導体基板表面上の上記間隔を覆うように、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子からなる電荷保持部及び蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体とからなるメモリ機能体が設けられていることを特徴としている。
【0012】
本発明の半導体装置では、半導体基板上に、半導体記憶素子を有するメモリ領域と、半導体スイッチング素子を有する論理回路領域とが配置されている。つまり、同一基板内に半導体記憶素子と半導体スイッチング素子とが混載されている。半導体記憶素子は、一方のソース/ドレイン拡散領域から他方のソース/ドレイン拡散領域に流れる電流量を保持電荷の多寡により変化させ得るものとする。半導体スイッチング素子は、たとえ電荷を保持し得る場合であっても、一方のソース/ドレイン拡散領域から他方のソース/ドレイン拡散領域に流れる電流量を、素子の動作に影響する程度には、保持電荷の多寡により変化させないものとする。半導体記憶素子において、ゲート電極の側方に、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子からなる電荷保持部と、蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体とのメモリ機能体が配置されるため、不揮発性半導体記憶素子として働くことができる。
【0013】
さらに、チャネル方向に関して上記ゲート電極と上記ソース/ドレイン拡散領域との間に間隔(オフセット領域)を有する半導体記憶素子と、そのような間隔を有しない半導体スイッチング素子とが同一基板内に混載されているので、メモリ効果の良好な不揮発性半導体記憶素子と電流駆動能力の高い半導体スイッチング素子が混載できる。
【0014】
また、一般的なフラッシュメモリは電荷保持部(電荷を蓄積するための領域)がゲート電極下部にあるのでゲート絶縁膜が厚膜化した電界効果トランジスタとしての能力しかなかったが、本発明における半導体記憶素子は、電荷保持部がゲート電極側方にあるため、最先端のMOSFET製造プロセスを容易に適用できる。そして、本発明によれば、そのような半導体記憶素子と半導体スイッチング素子を混載した、半導体装置を提供できる。さらに、上記複数の半導体スイッチング素子より論理回路部が構成され、上記複数の半導体記憶素子により不揮発性メモリ部が構成されているため、上記効果を有し、同一基板上に容易に混載された論理回路部と不揮発性メモリ部を有する半導体装置を実現することができる。
【0015】
一実施形態の半導体装置は、上記半導体スイッチング素子のゲート電極の両側に、上記半導体記憶素子のメモリ機能体と同じものが設けられていることを特徴とする。
【0016】
このように、半導体記憶素子だけでなく半導体スイッチング素子でもゲート電極の側方にメモリ機能体を形成した場合は、両者の作製プロセスに大幅な差がないため、半導体記憶素子と半導体スイッチング素子とを混載した半導体装置を、簡単なプロセスで容易に作製でき、低コスト化できる。
【0017】
また、一実施形態の半導体装置は、上記メモリ機能体が上記ゲート電極の側面に設けられたサイドウォールスペーサであることを特徴としている。
【0018】
この一実施形態の半導体装置では、サイドウォールスペーサがセルフアラインプロセスにより形成され得るため、例えば、半導体スイッチング素子からなる論理回路等と半導体記憶素子からなる不揮発性メモリとの混載が自己整合的なプロセスを用いて非常に容易に可能になる。
【0019】
また、一実施形態の半導体装置は、上記微粒子と上記ゲート電極との間、及び、上記微粒子と上記半導体基板との間に、上記散逸防止絶縁体の少なくとも一部が介在していることを特徴としている。
【0020】
この一実施形態の半導体装置では、上記電荷を蓄積する機能を有する微粒子と、上記ゲート電極及び半導体基板との間に、上記散逸防止絶縁体の少なくとも一部が介在しているため、上記微粒子から上記ゲート電極及び半導体基板への蓄積電荷のリークを抑制することができる。それにより、電荷保持特性が良くなり、長期信頼性が高まる。
【0021】
また、一実施形態の半導体装置では、上記散逸防止絶縁体は、上記微粒子と上記ゲート電極との間及び上記微粒子と半導体基板との間を隔離するように、実質的に均一な膜厚で上記ゲート電極の側面と上記ゲート電極の両側に相当する半導体基板表面とを覆う断面L字型(ここでL字型とは、単に角を有する形状のことを意味しているものであり、完全に直角に交わる角を有していることを意味するものではない。以下L字型の記載はすべて同じ)の第1の絶縁膜を含むことを特徴としている。
【0022】
この一実施形態の半導体装置によれば、上記と同様に、上記微粒子から上記ゲート電極及び半導体基板への蓄積電荷のリークを抑制することができる。それにより、電荷保持特性が良くなり、長期信頼性が高まる。しかも、電荷を蓄積する機能を有する微粒子とゲート電極及び半導体基板とは、実質的に均一な膜厚の断面L字型の第1の絶縁膜によって隔てられているので、書き込み/消去における電荷の注入/除去のバラツキを抑制できる。よって、書き込み/消去効率の良い半導体記憶素子を有する半導体装置を提供できる。ここで「実質的に均一な膜厚」とは、膜厚のバラツキが製造バラツキの範囲内であることを示している。
【0023】
さらに、上記第1の絶縁膜の厚さが1nmから10nmの範囲内であるのが望ましい。半導体基板と微粒子及びゲート電極と微粒子を隔てる絶縁体の厚さが1nm以上であれば電荷の散逸を防止できリテンションが向上する一方、10nm以下であれば効率よく電荷を注入できる。さらに第1の絶縁膜の厚さが3nmから6nmの範囲内であるのが望ましい。第1の絶縁膜の厚さが3nm以上であれば直接トンネルによる電荷の散逸の抑制が可能であり、6nm以下であれば半導体基板と微粒子間及びゲート電極と微粒子間をFNトンネル伝導等のトンネル伝導によって効率的に電荷を移動させることができるので、非常に低電圧で高速の書き込み/消去及び長期保持が可能な不揮発性メモリが提供できる。
【0024】
さらに、上記微粒子の大きさが1nmから15nmであるのが望ましい。また、上記微粒子は、上記半導体基板に対して1nmから6nmの間隔を有する第1の微粒子と、前記第1の微粒子に対して1nmから6nmの間隔を有する第2の微粒子を有するのが望ましい。上記半導体基板と第1の微粒子との間の間隔が1nmから6nmであり、かつ、第1の微粒子と第2の微粒子との間の間隔が1nmから6nmであれば、電荷の散逸を防止し、リテンションが向上する。さらに、半導体基板と第1の微粒子との間及び第1の微粒子と第2の微粒子との間をトンネル伝導によって電荷を移動させることができるので、非常に低電圧で、高速の書き込み、消去及び長期保持が可能な不揮発性半導体記憶素子が提供できる。
さらに、第1の微粒子の大きさが1nm以上であるためクーロンブロッケード効果が大き過ぎる場合に起こる書き込み効率の低下が抑制される。
【0025】
さらに、微粒子の大きさが15nm以下であるので微粒子のエネルギー準位が離散化し、クーロンブロッケード効果により電荷を保持することができる。よって、長時間の電荷保持が可能な不揮発性メモリが提供できる。
【0026】
さらに、上記微粒子の大きさについての限定と、上記半導体基板と第1の微粒子との間及び第1の微粒子と第2の微粒子との間の間隔についての限定とがともに満足されれば、2重トンネル接合が形成されるので、更に効率的にクーロンブロッケード効果が発現し、更に長時間の電荷保持が可能な不揮発性メモリが提供できる。
【0027】
さらに、上記半導体基板がシリコン基板であり、上記微粒子はシリコンからなるのが望ましい。LSI(大規模集積回路)の材料として最も広く使われているシリコンを用いることで、非常に高度に発達したシリコンプロセスを用いることができるので、製造が容易になる。
【0028】
また、一実施形態の半導体装置は、上記電荷保持部の最上部位置が上記ゲート電極の最上部位置より下方であることを特徴としている。
【0029】
この一実施形態の半導体装置によれば、上記微粒子がチャネル近傍に限定して配置される。よって、書き込みによって注入される電子はチャネル近傍付近に限定されるので、消去によって電子を除去し易くなる。それゆえ、消去不良を防止できる。また、電荷保持部の占める領域が限定されるので、注入電子数が変わらないとすれば、電子密度が高くなる。よって、書き込みと消去のしきい値電圧の差や、駆動電流の差が増大するので、電圧マージンが大きく、信頼性の向上した不揮発性メモリが形成できる。
【0030】
また、一実施形態の半導体装置は、上記半導体スイッチング素子の上記ソース/ドレイン拡散領域のうち上記ゲート電極の端部の下に延在する部分は、該ソース/ドレイン拡散領域のうち上記ゲート電極及びメモリ機能体の外側に相当する部分よりも不純物濃度が低いことを特徴としている。
【0031】
この一実施形態の半導体装置によれば、上記半導体スイッチング素子の上記ソース/ドレイン拡散領域のうち上記ゲート電極の端部の下に延在する部分は、該ソース/ドレイン拡散領域のうち上記ゲート電極及びメモリ機能体の外側に相当する部分よりも不純物濃度が低いので、ドレイン耐圧が向上する。一方、上記半導体記憶素子では、チャネル方向に関して上記ゲート電極と上記ソース/ドレイン拡散領域との間に間隔が設けられているため、ホットキャリヤが効率的に発生し、充分に早い書き込み/消去速度が得られる。よって、信頼性の高い半導体スイッチング素子と、充分に早い書き込み/消去速度を有する半導体記憶素子とを同時に実現することができる。
【0032】
さらに、上記メモリ領域の半導体記憶素子と上記論理回路領域の半導体スイッチング素子とに対して供給される電源電圧が、互いに独立に設定されるようになっているのが望ましい。その場合、メモリ領域における半導体記憶素子には比較的高電源電圧の供給ができるため、書き込み/消去速度を比較的向上させることができる。さらに、論理回路領域における半導体スイッチング素子には比較的低電源電圧の供給ができるため、ゲート絶縁膜の破壊等による、トランジスタ特性の劣化を抑制することができ、さらに低消費電力化が達成され、それらが混載される。よって、同一基板上に容易に混載された信頼性の高い論理回路領域と書き込み/消去速度が格段に速いメモリ領域を有する半導体装置を実現することができる。
【0033】
さらに、上記複数の半導体スイッチング素子により、スタティック・ランダム・アクセス・メモリが構成されているのが望ましい。その場合、上記複数の半導体スイッチング素子により論理回路部及びスタティック・ランダム・アクセス・メモリが構成され、上記複数の半導体記憶素子により不揮発性メモリ部が構成される。このため、同一基板上に混載された論理回路部及びスタティック・ランダム・アクセス・メモリと不揮発性メモリ部を有する半導体装置を容易に実現することができる。さらに、スタティック・ランダム・アクセス・メモリを高速動作メモリ一時記憶メモリとして混載することにより、さらなる機能の向上を達成することができる。
【0034】
また、一実施形態の半導体装置では、上記半導体記憶素子において、上記複数の微粒子からなる電荷保持部の少なくとも一部が前記ソース/ドレイン拡散領域の一部にオーバーラップしていることを特徴としている。
【0035】
この一実施形態の半導体装置では、半導体記憶素子の読出し動作時の電流値がオーバーラップしていない場合と比較して、格段に向上する。それによって、半導体記憶素子の読出し速度が格段に向上する。
【0036】
また、一実施形態の半導体装置では、上記微粒子が、上記ゲート絶縁膜の表面と略平行に配列していることを特徴としている。
【0037】
この一実施形態の半導体装置では、微粒子に保持された電荷の多寡によりオフセット領域での反転層の形成されやすさを効果的に制御することができ、メモリ効果を大きくすることができる。また、オフセット量がばらついた場合でもメモリ効果の変化を比較的小さく保つことができ、メモリ効果のばらつきを抑制することができる。
【0038】
また、一実施形態の半導体装置では、上記電荷保持部が、上記ゲート電極側面と略平行に配列している微粒子を含むことを特徴としている。
【0039】
この一実施形態の半導体装置では、書換え動作時に電荷保持部に注入される電荷が増加し、書換え速度が増大する。
【0040】
また、一実施形態の半導体装置では、上記第1の絶縁膜の膜厚が、上記ゲート電極の直下に形成されたゲート絶縁膜の膜厚より薄く、かつ0.8nm以上であることを特徴としている。
【0041】
この一実施形態の半導体装置では、微粒子への電荷の注入が容易になり、書込み動作及び消去動作の電圧を低下させ、又は書込み動作及び消去動作を高速にすることが可能となり、また、微粒子に電荷が保持された時にチャネル形成領域又はウェル領域に誘起される電荷量が増えるため、メモリ効果を増大させることができる。また、上記第1の絶縁膜の膜厚が0.8nm以上なので保持特性の極端な劣化が抑制される。
【0042】
また、一実施形態の半導体装置では、上記第1の絶縁膜の膜厚が、上記ゲート電極の直下に形成されたゲート絶縁膜の膜厚より厚く、かつ20nm以下であることを特徴としている。
【0043】
この一実施形態の半導体装置では、メモリの短チャネル効果を悪化させることなく保持特性を改善することが可能となる。また、上記第1の絶縁膜の膜厚が20nm以下であるため書換え速度の低下を抑制できる。
【0044】
また、本発明のICカードは、上記発明の半導体装置を備えたことを特徴としている。
【0045】
本発明のICカードによれば、上記発明の半導体装置による作用効果と同様の作用効果を奏することができる。例えば、ICカードは、不揮発性メモリとその周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等を容易に混載し低コスト化できた半導体装置を有する。それゆえ、コスト削減できたICカードが提供できる。
【0046】
また、本発明の携帯電子機器は、上記発明の半導体装置を備えたことを特徴としている。
【0047】
本発明の携帯電子機器によれば、上記発明の半導体装置による作用効果と同様の作用効果を奏することができる。例えば、携帯電話は、不揮発性メモリとその周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等を容易に混載し低コスト化できた半導体装置を有する。それゆえ、コスト削減できた携帯電話が提供できる。
【0048】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に設定されたメモリ領域に電界効果トランジスタからなる半導体記憶素子を形成するのと並行して、上記半導体基板上に設定された論理回路領域に電界効果トランジスタからなる半導体スイッチング素子を形成する半導体装置の製造方法であって、
上記メモリ領域及び論理回路領域の半導体基板表面上に、それぞれゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
上記メモリ領域に不純物が導入されないようにマスクを設けた状態で上記論理回路領域に上記ゲート電極をマスクとして不純物を導入して、上記論理回路領域に、ソース/ドレイン拡散領域の一部となる第1の不純物領域を形成する工程と、
少なくとも上記メモリ領域の上記ゲート電極の側面に、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子からなる電荷保持部及び蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体とからなるメモリ機能体を形成する工程と、
上記メモリ領域と論理回路領域に、上記ゲート電極と形成されたメモリ機能体とをマスクとして上記不純物と同じ導電型の不純物をそれぞれ導入して、ソース/ドレイン拡散領域の少なくとも一部となる第2の不純物領域を形成する工程とを有することを特徴としている。
【0049】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、半導体記憶素子と半導体スイッチング素子とを混載した半導体装置を、簡単なプロセスで容易に作製でき、低コスト化できる。具体的には、半導体基板上に設定されたメモリ領域に電界効果トランジスタからなる半導体記憶素子を形成するのと並行して、上記半導体基板上に設定された論理回路領域に電界効果トランジスタからなる半導体スイッチング素子が形成される。形成された半導体スイッチング素子は、上記ゲート電極の両側に相当する半導体基板表面に上記第1の不純物領域が配置されて、チャネル方向に関してゲート電極とソース/ドレイン拡散領域との間に間隔が存しないものとなる。一方、形成された半導体記憶素子は、チャネル方向に関して上記ゲート電極と上記ソース/ドレイン拡散領域との間に間隔(オフセット領域)が設けられ、半導体基板表面上の上記間隔を覆うように、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子からなる電荷保持部及び蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体とからなるメモリ機能体が設けられたものとなる。さらに、上記オフセット領域を有しない半導体スイッチング素子は比較的駆動電流が大きく、上記オフセット領域を有する半導体記憶素子は比較的メモリ効果が大きくなるので、駆動電流が大きい論理回路とメモリ効果が大きい不揮発性メモリが容易に混載される。
【0050】
また、一実施形態の半導体装置の製造方法は、
上記メモリ機能体を形成する工程は、
上記ゲート電極の上面および側面と上記ゲート電極の両側に相当する半導体基板表面とを覆うように、電荷を蓄積する機能をもつ微粒子と上記微粒子に接する絶縁膜とを形成する工程と、
上記微粒子に接する絶縁膜を選択的にエッチングバックして、上記ゲート電極の側面に上記微粒子及び上記絶縁膜を有するサイドウォールスペーサを形成する工程とを含むことを特徴としている。
【0051】
この一実施形態の半導体装置の製造方法では、選択的なエッチングバックにより、自己整合的にサイドウォールスペーサを形成している。このようにした場合、上記オフセット領域を有しない半導体スイッチング素子が自己整合プロセスを用いてより簡易に形成でき、さらに、上記オフセット領域を有する半導体記憶素子も自己整合プロセスを用いて簡易に形成できる。したがって、不揮発性半導体記憶素子と論理回路部等の半導体スイッチング素子との混載が極めて容易に可能となる。
【0052】
また、一実施形態の半導体装置の製造方法は、
上記メモリ機能体を形成する工程は、
実質的に均一な膜厚で上記ゲート電極の側面と上記ゲート電極の両側に相当する半導体基板表面とを覆う断面L字型の部分をもつ第1の絶縁膜を形成する工程と、
上記第1の絶縁膜の表面に沿って電荷を蓄積する機能をもつ微粒子を形成する処理と、その微粒子の表面を酸化かつ/又は窒化する処理とを組み合わせて1回以上繰り返す工程と、
上記第1の絶縁膜の表面とともに上記酸化かつ/又は窒化された微粒子を覆うように、堆積絶縁膜を堆積する工程と、
上記第1の絶縁膜及び堆積絶縁膜をエッチングバックして、上記ゲート電極の側面に、上記第1の絶縁膜、微粒子及び堆積絶縁膜を有するサイドウォールスペーサを形成する工程とを含むことを特徴としている。
【0053】
この一実施形態の半導体装置の製造方法では、上記微粒子を酸化かつ/又は窒化処理しているので、微粒子の大きさバラツキが抑えられ、メモリ効果のバラツキが抑えられ、信頼性が向上する。ここで、「酸化かつ/又は窒化」とは、酸化若しくは窒化すること、又は酸化かつ窒化することを意味する。
【0054】
また、微粒子の表面に酸化膜若しくは窒化膜、または酸化膜と窒化膜との複合膜を形成しているので、耐圧が高く、リーク電流が少なく、信頼性の高い半導体装置を提供できる。
【0055】
また、一実施形態の半導体装置の製造方法は、上記電荷保持部の最上部位置が上記ゲート電極の最上部位置より下方になるように、上記サイドウォールスペーサを等方性エッチングする工程を含むことを特徴としている。
【0056】
この一実施形態の半導体装置の製造方法によれば、電荷保持部の最上部位置が上記ゲート電極の最上部位置より下方になることから、微粒子をチャネル近傍に限定して配置することができる。よって、書き込みによって注入される電子はチャネル近傍付近に限定されるので、消去によって電子を除去し易くなる。それゆえ、消去不良を防止できる。また、電荷保持部の占める領域が限定されるので、注入電子数が変わらないとすれば、電子密度が高くなる。よって、書き込みと消去のしきい値電圧の差や、駆動電流の差が増大するので、電圧マージンが大きく、信頼性の向上した不揮発性メモリが形成できる。
【0057】
また、サイドウォールスペーサ形成時のエッチングバック工程で微粒子の残渣が残った場合に、サイドウォールスペーサにさらに等方性エッチングを行うことにより、残渣をリフトオフすることができる。したがって、残渣による素子の不良を抑制できる。
【0058】
また、一実施形態の半導体装置の製造方法は、上記第1の不純物領域における不純物濃度は、上記第2の不純物領域における不純物濃度より低いことを特徴としている。
【0059】
この一実施形態の半導体装置の製造方法では、上記半導体スイッチング素子の上記ソース/ドレイン拡散領域のうち第1の不純物領域における不純物濃度は、上記第2の不純物領域における不純物濃度より低いので、ドレイン耐圧が向上する。一方、上記半導体記憶素子では、チャネル方向に関して上記ゲート電極と上記ソース/ドレイン拡散領域との間に間隔が設けられているため、ホットキャリヤが効率的に発生し、充分に早い書き込み/消去速度が得られる。よって、信頼性の高い半導体スイッチング素子と、充分に早い書き込み/消去速度を有する半導体記憶素子とを同時に形成することができる。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0061】
(第1の実施形態)
図16は、本発明の半導体装置の一実施形態であるメモリユニット200の平面レイアウトを示している。このメモリユニット200では、同一の半導体基板1上に、半導体記憶素子を備えたメモリ領域201と、半導体スイッチング素子を備えた論理回路領域202とが配置されている。メモリ領域201には、後述する半導体記憶素子をアレイ状に配置してなるメモリセルアレイが形成されている。論理回路領域202には、デコーダ203,207、書き込み/消去回路209、読み出し回路208、アナログ回路206、制御回路205、各種のI/O回路204等、通常のMOSFET(電界効果トランジスタ)により構成できる周辺回路が形成されている。
【0062】
さらに、図17に示すように、パーソナルコンピュータや携帯電話等の情報処理システムの記憶装置300を1チップで構成するためには、メモリユニット200に加えて、MPU(マイクロ・プロセッシング・ユニット)301、キャッシュ(SRAM(スタティックRAM))302、ロジック回路303、アナログ回路304等の論理回路領域を、同一の半導体基板1上に配置することが必要である。
【0063】
従来はこれらのメモリ領域201と論理回路領域202,…を混載するのに標準のCMOSを形成する場合と比べて製造コストが大幅に増大していたが、以下の説明から明らかになるように、本発明により、製造コストの増大を抑制することができる。
【0064】
図1は、上記メモリ領域201を構成する半導体記憶素子30のチャネル方向に沿った断面を例示している。図1における左右方向がチャネル方向に相当する。
【0065】
この半導体記憶素子30は、図1に示したように、半導体基板1上に、ゲート絶縁膜2を介して、ゲート電極3を備えている。ゲート電極3の両側に相当する半導体基板表面1aには、一対のソース/ドレイン拡散領域13,13が形成されている。このソース/ドレイン拡散領域13は、ゲート電極3の端部3eに対してオフセットされている。つまり、チャネル方向に関してゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13との間には間隔(これを「オフセット領域」と呼ぶ。
)20が設けられている。ゲート絶縁膜2及びゲート電極3よりなるゲートスタック8の両側には、それぞれオフセット領域20を覆うように、メモリ機能体11が形成されている。メモリ機能体11は、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子(図中に●で示す。)10からなる電荷保持部と、蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体17とからなる。これにより、メモリ機能体11への電子の注入、及び、正孔の注入が効率的に行われ、書き込み、消去速度の速いメモリ素子が構成される。
【0066】
また、半導体記憶素子30における、ソース/ドレイン拡散領域13がゲート電極3からオフセットされていることにより、ゲート電極3に電圧を印加したときのメモリ機能体11下のオフセット領域の反転しやすさを、メモリ機能体11に蓄積された電荷量によって大きく変化させることができ、メモリ効果を増大させることが可能となる。さらに、通常構造のMOSFETと比較して、短チャネル効果を抑制することができ、ゲート長の微細化を図ることができる。また、上記理由より構造的に短チャネル効果抑制に適しているため、オフセットしていないロジックトランジスタと比較して膜厚の厚いゲート絶縁膜を採用することができ、信頼性を向上させることが可能となる。
【0067】
また、半導体記憶素子30のメモリ機能体11は、ゲート絶縁膜2とは独立した材料によって形成されている。したがって、メモリ機能体11が担うメモリ機能と、ゲート絶縁膜2が担うトランジスタ動作機能とは互いに独立に実現されている。また、同様の理由により、メモリ機能体11としてメモリ機能に好適な材料を選択して形成することができる。
【0068】
この半導体記憶素子30は、1つの素子に2ビット又はそれ以上の情報を記憶することにより、4値又はそれ以上の情報を記憶する半導体記憶素子として機能し、また、メモリ機能体11による可変抵抗効果により、選択トランジスタとメモリトランジスタとの機能を兼ね備えた半導体記憶素子としても機能する。
【0069】
ここで、1トランジスタ当り2ビットの記憶を実現するための、書き込み/消去、読み出しの方法の原理の例を以下に示す。ここでは、メモリ素子がNチャネル型である場合を説明する。そこで、メモリ素子がPチャネル型の場合は電圧の符号を逆にして同様に適応すれば良い。なお、印加電圧を特に指定していないノード(ソース、ドレイン、ゲート、基板)においては、接地電位を与えれば良い。
【0070】
この半導体記憶素子30に書き込みを行う場合には、ゲートに正電圧を、ドレインにゲートと同程度かそれ以上の正電圧を加える。この時ソースから供給された電荷(電子)は、ドレイン端付近で加速され、ホットエレクトロンとなってドレイン側のメモリ機能体11に注入される。このとき、ソース側に存在するメモリ機能体11には電子は注入されない。このようにして特定の側のメモリ機能体11に書き込みをすることができる。また、ソースとドレインを入れ替えることで、容易に2ビットの書き込みを行うことができる。
【0071】
この半導体記憶素子30に書き込まれた情報を消去するためには、ホットホール注入を利用する。消去したいメモリ機能体11のある側の拡散層領域(ソース/ドレイン)に正電圧を、ゲートに負電圧をくわえればよい。このとき、半導体基板1と正電圧を与えられた拡散層領域におけるPN接合において、バンド間トンネルにより正孔が発生し、負電位をもつゲートに引き寄せられて、消去したいメモリ機能体11に注入される。このようにして、特定の側の情報を消去することができる。なお、反対の側のメモリ機能体11に書き込まれた情報を消去するためには、反対側のメモリ機能体11に正電圧を加えればよい。
【0072】
次に、この半導体記憶素子30に書きこまれた情報を読み出すためには、読み出したいメモリ機能体11の側の拡散領域をソースとし、反対側の拡散領域をドレインとする。すなわち、ゲートに正電圧を、ドレイン(書き込みの時はソースとしていた)にゲートと同程度かそれ以上の正電圧を与えればよい。ただし、このときの電圧は書き込みが行われないよう充分小さくしておく必要がある。メモリ機能体11に蓄積された電荷の多寡により、ドレイン電流が変化し、記憶情報を検出することができる。なお、反対側のメモリ機能体11に書き込まれた情報を読み出すためには、ソースとドレインを入れ替えればよい。
【0073】
上記書き込み消去と読み出しの方法は、メモリ機能体11に窒化膜を用いた場合の1例であり、それ以外の方法を用いることができる。さらにまた、それ以外の材料を用いた場合であっても、上記方法かもしくは異なる書き込みと消去の方法を用いることができる。
【0074】
さらに、メモリ機能体11が、ゲート電極3下ではなく、ゲート電極3の両側に配置されるため、ゲート絶縁膜2をメモリ機能体11として機能させる必要がなく、ゲート絶縁膜2を、メモリ機能体11とは独立して、単純にゲート絶縁膜としての機能のみに使用することが可能となり、LSIのスケーリング則に応じた設計を行うことが可能となる。このため、フラッシュメモリのようにフローティングゲートをチャネルとコントロールゲートとの間に挿入する必要がなく、さらに、ゲート絶縁膜2としてメモリ機能をもたせたONO膜を採用する必要がなく、微細化に応じたゲート絶縁膜を採用することが可能となるとともに、ゲート電極3の電界がチャネルに及ぼす影響が強くなり、短チャネル効果に強いメモリ機能を有する半導体記憶素子30を実現することができる。よって、微細化して集積度を向上させることができるとともに、安価な半導体記憶素子を提供することができる。さらに、同時に形成された論理回路部のMOSFETにおけるゲート絶縁膜2も、半導体記憶素子30におけるのと同様に、微細化に応じたゲート絶縁膜を採用することが可能となるため、短チャネル効果に強いMOSFETも同時に形成される。以上より、高性能な半導体記憶素子と論理回路部等のMOSFETを自己整合による簡易な工程で形成することができる。
【0075】
このように、この半導体記憶素子30によれば、1トランジスタ当り2ビットの記憶を実現しながら、短チャネル効果が極めて抑制され、微細化が可能となる。また、高速動作と低消費電力化が可能である。また、メモリ機能体11に電荷を保持した場合に、チャネル拡散領域の一部が電荷による影響を強く受けるため、ドレイン電流値が変化する。それにより電荷の有無を区別する半導体記憶素子が形成される。
【0076】
さらに、本半導体記憶素子の構成においては、下記に記載する形態であっても良い。
【0077】
本発明の半導体装置のメモリを構成する半導体記憶素子は、主として、ゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、ゲート電極の両側に形成されたメモリ機能体と、ゲート電極の下に形成されたチャネル形成領域と、チャネル形成領域の両側に形成されチャネル形成領域と逆導電型を有するソース/ドレイン拡散領域とから構成される。
【0078】
この半導体記憶素子は、1つのメモリ機能体に2値又はそれ以上の情報を記憶することにより、4値又はそれ以上の情報を記憶する半導体記憶素子として機能し、また、メモリ機能体による可変抵抗効果により、選択トランジスタとメモリトランジスタとの機能を兼ね備えたメモリセルとしても機能する。しかしながら、この半導体記憶素子は、必ずしも4値又はそれ以上の情報を記憶して機能させる必要はなく、例えば、2値の情報を記憶して機能させてもよい。
【0079】
本発明の半導体装置を構成する半導体記憶素子は、半導体基板上、又は半導体基板内に形成されたチャネル形成領域と同導電型のウェル領域上に形成されることが好ましい。
【0080】
半導体基板としては、半導体装置に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の元素半導体、シリコンゲルマニウム、GaAs、InGaAs、ZnSe、GaN等の化合物半導体による基板が挙げられる。また、表面に半導体層を有するものとして、SOI(Silicon on Insulator;シリコン・オン・インシュレータ)基板又は多層SOI基板等の種々の基板、ガラスやプラスチック基板上に半導体層を有するものを用いてもよい。なかでもシリコン基板又は表面にシリコン層が形成されたSOI基板等が好ましい。半導体基板又は半導体層は、内部を流れる電流量に多少が生ずるが、単結晶(例えば、エピタキシャル成長による)、多結晶又はアモルファスのいずれであってもよい。
【0081】
この半導体基板又は半導体層上には、素子分離領域が形成されていることが好ましく、さらにトランジスタ、キャパシタ、抵抗等の素子、これらによる回路、半導体装置や層間絶縁膜が組み合わせられて、シングル又はマルチレイヤー構造で形成されていてもよい。なお、素子分離領域は、LOCOS(局所酸化)膜、トレンチ酸化膜、STI(Shallow Trench Isolation;浅い溝分離法)膜等種々の素子分離膜により形成することができる。半導体基板は、P型又はN型の導電型を有していてもよく、半導体基板には、少なくとも1つの第1導電型(P型又はN型)のウェル領域が形成されていることが好ましい。半導体基板及びウェル領域の不純物濃度は、当該分野で公知の範囲のものが使用できる。なお、半導体基板としてSOI基板を用いる場合には、表面半導体層には、ウェル領域が形成されていてもよいが、チャネル領域下にボディ領域を有していてもよい。
【0082】
ゲート絶縁膜は、通常、半導体装置に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等の絶縁膜;酸化アルミニウム膜、酸化チタニウム膜、酸化タンタル膜、酸化ハフニウム膜などの高誘電体膜の単層膜又は積層膜を使用することができる。なかでも、シリコン酸化膜が好ましい。ゲート絶縁膜は、例えば、等価酸化膜厚で1nm〜20nm程度、好ましくは1nm〜6nm程度の膜厚とすることが適当である。ゲート絶縁膜は、ゲート電極直下にのみ形成されていてもよいし、ゲート電極よりも大きく(幅広)で形成されていてもよい。
【0083】
ゲート電極又は電極は、ゲート絶縁膜上に、通常半導体装置に使用されるような形状又は下端部に凹部を有した形状で形成されている。なお、単一のゲート電極とは、ゲート電極としては、単層又は多層の導電膜によって分離されることなく、一体形状として形成されているゲート電極を意味する。また、ゲート電極は、側壁に側壁絶縁膜を有していてもよい。ゲート電極は、通常、半導体装置に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、導電膜、例えば、ポリシリコン:銅、アルミニウム等の金属:タングステン、チタン、タンタル等の高融点金属:高融点金属とのシリサイド等の単層膜又は積層膜等が挙げられる。ゲート電極の膜厚は、例えば50nm〜400nm程度の膜厚で形成することが適当である。なお、ゲート電極の下にはチャネル形成領域が形成されている。
【0084】
メモリ機能体は、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子からなる電荷保持部と、蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体とによって構成されている。微粒子としては、例えば、シリコン窒化膜ドット、導電体ドットもしくは半導体ドットを1つ以上含む絶縁体等の単層又は積層構造によって形成することができる。ここでドットとは、材料の形状がドット型をしているものであり、必ずしも球形である必要は無く歪な球形であっても良く、また、立方体に近いのものであっても良く、その大きさは1nm〜50nm程度であることが好ましい。より好ましくは、クーロンブロッケード等の量子効果を発現するような1nm〜15nm程度であることが望ましい。また、材料としては、シリコン窒化物;シリコン;リン、ボロン等の不純物を含むシリケートガラス;シリコンカーバイド;アルミナ;ハフニウムオキサイド、ジルコニウムオキサイド、タンタルオキサイド等の高誘電体;酸化亜鉛;強誘電体;金属等やそれと同様の機能を示す材料が挙げられる。
【0085】
なかでも、シリコン窒化膜ドットを1つ以上含む絶縁体をメモリ機能体の一形態として用いれば、電荷をトラップする準位が多数存在するため大きなヒステリシス特性を得ることができ、また、電荷保持時間が長く、リークパスの発生による電荷漏れの問題が生じないため保持特性が良好であり、さらに、LSIプロセスではごく標準的に用いられる材料であるため、好ましい。
【0086】
ドットを1つ以上含む絶縁体膜をメモリ機能体として用いることにより、電荷の直接トンネリングによる書込・消去が行ないやすくなり、低消費電力化の効果がある。
【0087】
メモリ機能体は、電荷を逃げにくくする領域又は電荷を逃げにくくする機能を有する膜をさらに含むことが好ましい。電荷を逃げにくくする機能を果たすものとしては、シリコン酸化膜等が挙げられる。
【0088】
メモリ機能体に含まれるドットは、直接又は絶縁膜を介してゲート電極の両側に形成されており、また、直接、ゲート絶縁膜又は絶縁膜を介して半導体基板(ウェル領域、ボディ領域又はソース/ドレイン拡散領域もしくは拡散領域)上に配置している。ゲート電極の両側のドットは、直接又は絶縁膜を介してゲート電極の側壁の全て又は一部を覆うように形成されていることが好ましい。特に、メモリ機能体として導電体ドットを1つ以上含む絶縁体を用いる場合には、導電体ドットが半導体基板(ウェル領域、ボディ領域又はソース/ドレイン拡散領域もしくは拡散領域)又はゲート電極と直接接触しないように、絶縁膜を介して配置させることが好ましい。応用例としては、ゲート電極が下端部に凹部を有する場合には、直接又は絶縁膜を介して凹部を完全に又は凹部の一部を埋め込むように形成されていてもよい。
【0089】
ゲート電極は、メモリ機能体の側壁のみに形成されるか、あるいはメモリ機能体の上部を覆わないことが好ましい。このような配置により、コンタクトプラグをよりゲート電極と接近して配置することができるので、半導体記憶素子の微細化が容易となる。また、このような単純な配置を有する半導体記憶素子は製造が容易であり、歩留まりを向上することができる。
【0090】
メモリ機能体は、電荷を逃げにくくする領域又は電荷を逃げにくくする機能を有する膜をさらに含むことが好ましい。電荷を逃げにくくする機能を果たすものとしては、シリコン酸化膜等が挙げられる。
【0091】
ソース/ドレイン拡散領域は、半導体基板又はウェル領域と逆導電型の拡散領域として、メモリ機能体のゲート電極と反対側のそれぞれに配置されている。ソース/ドレイン拡散領域と半導体基板又はウェル領域との接合は、不純物濃度が急峻であることが好ましい。ホットエレクトロンやホットホールが低電圧で効率良く発生し、より低電圧で高速な動作が可能となるからである。ソース/ドレイン拡散領域の接合深さは、特に限定されるものではなく、得ようとする半導体記憶装置の性能等に応じて、適宜調整することができる。なお、半導体基板としてSOI基板を用いる場合には、ソース/ドレイン拡散領域は、表面半導体層の膜厚よりも小さな接合深さを有していてもよいが、表面半導体層の膜厚とほぼ同程度の接合深さを有していることが好ましい。
【0092】
ソース/ドレイン拡散領域は、ゲート電極端とオーバーラップするように配置していてもよいし、ゲート電極端と一致するように配置してもよいし、ゲート電極端に対してオフセットされて配置されていてもよい。特に、オフセットされている場合には、ゲート電極に電圧を印加したとき、電荷を保持するドット下のオフセット領域の反転しやすさが、メモリ機能体に蓄積された電荷量によって大きく変化し、メモリ効果が増大するとともに、短チャネル効果の低減をもたらすため、好ましい。ただし、あまりオフセットしすぎると、ソース・ドレイン間の駆動電流が著しく小さくなるため、ゲート長方向に対するドットの存在する領域の厚さよりもオフセット量つまり、ゲート長方向における一方のゲート電極端から近い方のソース/ドレイン拡散領域までの距離は短い方が好ましい。特に重要なことは、メモリ機能体中の電荷を保持するドットの少なくとも一部が、拡散領域であるソース/ドレイン拡散領域の一部とオーバーラップしていることである。
本発明の半導体装置を構成する半導体記憶素子の本質は、メモリ機能体の側壁部にのみ存在するゲート電極とソース/ドレイン拡散領域間の電圧差によりメモリ機能体を横切る電界によって記憶を書き換えることであるためである。
【0093】
ソース/ドレイン拡散領域は、その一部が、チャネル領域表面、つまり、ゲート絶縁膜下面よりも高い位置に延設されていてもよい。この場合には、半導体基板内に形成されたソース/ドレイン拡散領域上に、このソース/ドレイン拡散領域と一体化した導電膜が積層されて構成されていることが適当である。導電膜としては、例えば、ポリシリコン、アモルファスシリコン等の半導体、シリサイド、上述した金属、高融点金属等が挙げられる。なかでも、ポリシリコンが好ましい。ポリシリコンは、不純物拡散速度が半導体基板に比べて非常に大きいために、半導体基板内におけるソース/ドレイン拡散領域の接合深さを浅くするのが容易で、短チャネル効果の抑制がしやすいためである。なお、この場合には、このソース/ドレイン拡散領域の一部は、ゲート電極とともに、メモリ機能体の少なくとも一部を挟持するように配置することが好ましい。
【0094】
本発明の半導体装置を構成する半導体記憶素子は、通常の半導体プロセスによって、例えば、ゲート電極の側壁に単層又は積層構造のサイドウォールスペーサを形成する方法と同様の方法によって形成することができる。具体的には、ゲート電極又は電極を形成した後、ドット、ドット/絶縁膜、絶縁膜/ドット、絶縁膜/ドット/絶縁膜等のドットを含む単層膜又は積層膜を形成し、適当な条件下でエッチバックしてこれらの膜をサイドウォールスペーサとして残す方法;絶縁膜又はドットを形成し、適当な条件下でエッチバックしてサイドウォールスペーサとして残し、さらにドット又は絶縁膜を形成し、同様にエッチバックしてサイドウォールスペーサとして残す方法;粒子状の電荷保持材料を分散させた絶縁膜材料をゲート電極を含む半導体基板上に塗布または堆積し、適当な条件下でエッチバックして、絶縁膜材料をサイドウォールスペーサとして残す方法;ゲート電極を形成した後、前記単層膜又は積層膜を形成し、マスクを用いてパターニングする方法等が挙げられる。また、ゲート電極又は電極を形成する前に、ドット、ドット/絶縁膜、絶縁膜/ドット、絶縁膜/ドット/絶縁膜等を形成し、これらの膜のチャネル領域となる領域に開口を形成し、その上全面にゲート電極材料膜を形成し、このゲート電極材料膜を、開口を含み、開口よりも大きな形状でパターニングする方法等が挙げられる。
【0095】
上述の半導体記憶素子を配列してメモリセルアレイを構成した場合、半導体記憶素子の最良の形態は、例えば、
i)複数の半導体記憶素子のゲート電極が一体となってワード線の機能を有する、
ii)上記ワード線の両側にはメモリ機能体が形成されている、
iii)メモリ機能体内で電荷を保持するのはドット、特にシリコンドットである、
iv)メモリ機能体はドットと絶縁膜で構成されており、ドットはゲート絶縁膜の表面と略並行に配列する部分を有している、
v)メモリ機能体中のシリコンドットはワード線及びチャネル領域とシリコン酸化膜で隔てられている、
vi)メモリ機能体内のシリコンドットと拡散層とがオーバーラップしている、
vii)ゲート絶縁膜の表面と略並行な表面を有するシリコンドットとチャネル領域又は半導体層とを隔てる絶縁膜の厚さと、ゲート絶縁膜の厚さが異なる、
viii)1個の半導体記憶素子の書込み及び消去動作は単一のワード線により行なう、
ix)メモリ機能体の上には書込み及び消去動作を補助する機能を有する電極(ワード線)がない、
x)メモリ機能体の直下で拡散領域と接する部分に拡散領域の導電型と反対導電型の不純物濃度が濃い領域を有する、
なる要件を満たすものである。前記要件を全て満たす場合が最良の形態となるが、無論、必ずしも上記要件を全て満たす必要はない。
【0096】
前記要件を複数満たす場合、特に好ましい組み合わせが存在する。例えば、iii)メモリ機能体内で電荷を保持するのがドット、特にシリコンドットであり、ix)メモリ機能体の上には書込み及び消去動作を補助する機能を有する電極(ワード線)がなく、vi)メモリ機能体内のドット(シリコンドット)と拡散層とがオーバーラップしている、場合である。メモリ機能体内で電荷を保持しているのが絶縁体であり、且つ、メモリ機能体の上には書込み及び消去動作を補助する機能を有する電極がない場合には、メモリ機能体内のドット(シリコンドット)と拡散層とがオーバーラップしている場合にのみ、書込み動作が良好に行なわれることを発見した。すなわち、要件iii)及びix)を満たす場合は、要件vi)を満たすことが特に好ましい。一方、メモリ機能体内で電荷を保持するのが導電体であり、又はメモリ機能体の上には書込み及び消去動作を補助する機能を有する電極がある場合は、メモリ機能体内のドットと拡散層がオーバーラップしていない場合でも、書込み動作を行なうことができた。しかしながら、メモリ機能体内で電荷を保持するのが導電体ではなく絶縁体であり、又はメモリ機能体の上には書込み及び消去動作を補助する機能を有する電極がない場合には、以下のような非常に大きな効果を得ることができる。すなわち、コンタクトプラグをよりメモリ機能体と接近して配置することができ、又は半導体記憶素子間の距離が接近して複数のメモリ機能体が干渉しても記憶情報を保持できるので、半導体記憶素子の微細化が容易となる。また、素子構造が単純であるから工程数が減少し、歩留まりを向上し、論理回路やアナログ回路を構成するトランジスタとの混載を容易にすることができる。更には、5V以下という低電圧により書込み及び消去動作が行なわれることを確認した。以上より、要件iii)、ix)及びvi)を満たすことが特に好ましいのである。
【0097】
本発明の半導体記憶素子及び論理素子を組み合わせた半導体記憶装置は、電池駆動の携帯電子機器、特に携帯情報端末に用いることができる。携帯電子機器としては、携帯情報端末、携帯電話、ゲーム機器等が挙げられる。
【0098】
ところで、本実施形態では、Nチャネル型素子の場合について述べているが、Pチャネル型素子でもよい。その場合は、不純物の導電型を全て逆にすれば良い。
【0099】
また、図面の記載において、同一の材料及び物質を用いている部分においては、同一の符号を付しており、必ずしも同―の形状を示すものではない。
【0100】
また、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法の関係、各層や各部の厚みや大きさの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや大きさの寸法は、以下の説明を斟酌して判断すべきものである。また図面相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0101】
また、本特許に記載の各層や各部の厚みや大きさは、特に説明がない場合は、半導体装置の形成を完了した段階での最終形状の寸法である。よって、膜や不純物領域等を形成した直後の寸法と比較して最終形状の寸法は、後の工程の熱履歴等によって多少変化することに留意すべきである。
【0102】
(第2の実施形態)
図2(a)〜図2(d)に、通常構造のMOSFETである半導体スイッチング素子32により構成される論理回路領域4と、半導体記憶素子31からなるメモリ領域5とを、同一の半導体基板(チップ)1上に混載する手順を示す。ここで、図2において、左側が周辺回路領域4における通常構造の1個のMOSFETに対応する領域を示し、右側がメモリ領域5における1個の半導体記憶素子に対応する領域を示している(後述する図3〜図6において同様。)。論理回路領域4とは、メモリ周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等を含む領域のことを総称している。
【0103】
メモリ領域5の半導体記憶素子31は、ゲートスタック8の側面にメモリ機能体11を有しているため、混載プロセスが非常に簡単になる。より具体的には、ゲート電極3形成後の工程にフォトリソグラフィ工程を加え、LDD(Lightly Doped Drain;ライトリ・ドープト・ドレイン)拡散領域を形成する領域と形成しない領域とを設けることにより、同一基板上で自動的に、論理回路領域4とメモリ領域5を作製することができることを示す。
【0104】
まず、図2(a)に示すように、半導体基板1上に、膜厚1nm〜6nm程度のシリコン酸窒化膜からなるゲート絶縁膜2と、膜厚50nm〜400nm程度のゲート電極3形成のための材料膜とを形成し、これらを所望の形状にパターニングすることによりゲートスタック8を形成する。
【0105】
なお、ゲート電極3形成のための材料膜としては、ポリシリコン、又は、ポリシリコンと高融点金属シリサイドの積層膜、又は、ポリシリコンと金属との積層膜が挙げられる。ゲート絶縁膜2及びゲート電極3の材料は、上述したように、その時代のスケーリング則に則ったロジックプロセスにおいて使われる材料を用いればよく、上記材料に限定されるものではない。
【0106】
次に、図2(b)に示すように、フォトレジストを塗布して、メモリ領域5をフォトレジスト7で覆い、論理回路領域4における半導体スイッチング素子32を形成すべき部位にレジスト開口部を設けるようにパターニングする(図2(b)の左半分はレジスト開口部に相当する。)。その後フォトレジスト7及びゲートスタック8をマスクとして不純物を注入し、論理回路領域4における、ゲートスタック8の両側に相当する半導体基板表面にLDD領域6を形成する。ここで、メモリ領域5にはLDD領域6が形成されずに、通常構造のトランジスタを形成すべき論理回路領域4にLDD領域6を形成することができた。
【0107】
続いて、図2(c)に示すように、得られた半導体基板1、及び、ゲートスタック8の露出面上に、シリコンドットを1つ以上含み膜厚20nm〜100nm程度の絶縁膜を形成し、異方性エッチングによりエッチバックすることにより、記憶に最適なメモリ機能体11を、ゲート電極3の側面に沿ってサイドウォールとして形成する。
【0108】
ここでは、メモリ機能体11は、複数のシリコンドット10とそれらを包む散逸防止絶縁体17とからなるものとしたが、メモリ機能体11は、電荷を蓄積又はトラップする機能を有する物質とそれを包んで絶縁する物質とによって形成されていればよく、例えば、導電体ドットもしくは半導体ドットを1つ以上含む絶縁体等の単層又は積層構造によって形成することができる。
【0109】
その後、図2(d)に示すように、ゲート電極3及びメモリ機能体11をマスクとして不純物をイオン注入することにより、ゲート電極3及びメモリ機能体11の両側に相当する半導体基板表面にソース/ドレイン拡散領域13を形成する。
【0110】
上記したような方法を用いて半導体記憶素子31、及び、半導体スイッチング素子32を、同一基板1上に並行して形成することができる。
【0111】
上記手順から分かるように、上記半導体記憶素子31を形成するための手順は、通常構造のMOSFET形成プロセスと非常に親和性の高いものとなっている。上記半導体記憶素子31の構成は、公知の一般的なMOSFETに近い。上記一般的なMOSFETを上記半導体記憶素子31に変更するためには、例えば、公知の一般的なMOSFETのサイドウォールスペーサにメモリ機能体11としての機能を有する材料を用いて、LDD領域6を形成しないだけでよい。上記メモリ周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等を構成する通常構造MOSFETのサイドウォールスペーサがメモリ機能体11としての機能をもっていたとしても、サイドウォールスペーサ幅が適切であって、書き換え動作が起こらない電圧範囲で動作させる限り、トランジスタ性能を損なうことが無い。従って、通常構造MOSFETで構成される半導体スイッチング素子32と半導体記憶素子31とは、共通のサイドウォールスペーサを用いることができる。また、上記メモリ周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等を構成する通常構造MOSFETで構成される半導体スイッチング素子32と上記半導体記憶素子31とを混載させるためには、更に、上記メモリ周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等のみLDD構造を形成する必要がある。LDD構造を形成するためには、上記ゲート電極3を形成した後であって、上記メモリ機能体11を構成する材料を堆積するまえに、LDD領域形成のための不純物注入を行えばよい。従って、上記LDD形成のための不純物注入を行う際に、上記メモリ領域5のみフォトレジスト7でマスクするだけで、上記半導体記憶素子31と上記メモリ周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等を構成する通常構造MOSFETとを容易に混載することが可能である。さらに、上記半導体記憶素子31と上記メモリ周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等を構成する通常構造MOSFETによってSRAMを構成すれば、不揮発性メモリ、論理回路、SRAMを容易に混載することができる。
【0112】
ところで、上記半導体記憶素子31において、上記論理回路部及びSRAM部等で許容されるよりも、高い電圧を印加する必要がある場合、高耐圧ウエル形成用マスク及び高耐圧ゲート絶縁膜形成用マスクを標準MOSFET形成用マスクに追加するだけでよい。従来、EEPROM(書き込み消去が電気的に可能なプログラブルROM)と論理回路部とを1つのチップ上に混載するプロセスは標準MOSFETプロセスと大きく異なり、必要マスク枚数、プロセス工数が著しく増大した。ゆえに、EEPROMとメモリ周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等の回路と混載した従来の場合に比べて、飛躍的にマスク枚数及びプロセス工数を削減することが可能になる。従って、メモリ周辺回路部、論理回路部及びSRAM部等の通常構造MOSFETと半導体記憶素子31とを混載したチップの歩留まりが向上し、コストが削減される。
【0113】
(第3の実施形態)
図3(a)〜図4(f)に、論理回路領域4における半導体スイッチング素子42と、メモリ領域5における半導体記憶素子41とを、同一の半導体基板1上に混載する別の手順を示す。より詳しくは、ゲート電極3を形成した後であって、ゲート側面にメモリ機能体11を構成する材料を堆積する前にフォトリソグラフィ工程及びそれに続く不純物注入工程を行うことにより、通常構造MOSFETを形成する領域のみに選択的にLDD領域を形成し、半導体スイッチング素子42と半導体記憶素子41とを、複雑なプロセスを必要とせず簡易に並行して形成できることを示す。
【0114】
図3(a)に示すように、p型の導電型を有する半導体基板1上にMOS(金属―酸化膜―半導体)形成プロセスを経た、MOS構造を有するゲート絶縁膜2及びゲート電極3、つまりゲートスタック8を形成する。
【0115】
代表的なMOS形成プロセスは、次のようなものである。
【0116】
まず、p型の半導体領域を有する半導体基板1に既知の方法により素子分離領域(図示せず)を形成する。素子分離領域は隣り合ったデバイス間において、基板を通じてリーク電流が流れることを防止することができる。ただし、隣り合ったデバイス同士であっても、ソース/ドレイン拡散領域13を共通にするものであれば、このような素子分離領域を形成しなくても良い。既知の素子分離領域形成方法とは、既知のロコス酸化膜を用いたものでも、既知のトレンチ分離領域を用いたものでも、その他の既知の方法を用いて素子を分離するという目的を達成することができるものであれば良い。
【0117】
次に、半導体領域の露出面全面に絶縁膜2を形成する(ただし、図3(a)は既にパターン加工された状態を示している。)。この絶縁膜2はMOSFETのゲート絶縁膜となるため、N2O酸化や、NO酸化、酸化後の窒化処理等を含んだ工程を用いること等により、ゲート絶縁膜2としての性能の良い膜を形成することが望まれる。ゲート絶縁膜2としての性能の良い膜とは、MOSFETの短チャネル効果の抑制、ゲート絶縁膜2を不必要に流れる電流であるリーク電流の抑制、ゲート電極3の不純物の空乏化を抑制しつつMOSFETのチャネル拡散領域へのゲート電極3不純物の拡散を抑制する等々の、MOSFETの微細化や高性能化を進めるに当たってのあらゆる不都合な要因を抑制することができる絶縁膜のことである。代表的な膜は熱酸化膜、N2O酸化膜、NO酸化膜等の酸化膜であり、膜厚は1nmから6nmの範囲内であることが適当である。
【0118】
次に、上記絶縁膜2上にゲート電極3のための材料(以下、「ゲート電極材料」と呼び、簡単のため、ゲート電極と同じ符号3を用いて説明する。)を全面に形成する。ゲート電極材料3としては、ポリシリコン、ドープドポリシリコン等の半導体や、Al、Ti、W等の金属や、これらの金属とシリコンとの化合物等、MOSFETとしての性能を有することのできる材料であればどんな材料を用いることも可能である。
【0119】
次に、ゲート電極材料3上に、フォトリソグラフィ工程により、所望のフォトレジストパターンを形成し、そのフォトレジストパターンをマスクとして、ゲート電極材料3及びゲート絶縁膜2をエッチングして、図3(a)中に示すようにパターン加工する。これによりゲートスタック8を形成する。この時、ゲート絶縁膜2はエッチングしなくても良い。エッチングせずに次工程である不純物注入時に注入保護膜として利用した場合、注入保護膜を形成する工程を略することができる。
【0120】
また、次に示すような方法で、ゲートスタック8を形成しても良い。p型の半導体領域を有する半導体基板1の露出面全面に上記同様の機能を有するゲート絶縁膜2を形成する。次に、該ゲート絶縁膜2上に上記同様の機能を有するゲート電極材料3を形成する。次に該ゲート電極材料3上に酸化膜、窒化膜、酸窒化膜等からなるマスク絶縁膜を形成する。次に、該マスク絶縁膜上に上記同様の機能を有するフォトレジストパターンを形成し、このフォトレジストパターンの通りに該マスク絶縁膜をエッチングしてパターン化する。次にフォトレジストパターンを除去し、該マスク絶縁膜をエッチングマスクとしてゲート電極材料3をエッチングする。次に、該マスク絶縁膜、及び、ゲート絶縁膜2の露出部をエッチングすることによって、図3(a)中に示すようにゲートスタック8を形成する。
この時、ゲート絶縁膜2はエッチングしなくても良い。エッチングせずに次工程である不純物注入時に注入保護膜として利用した場合、注入保護膜を形成する工程を略することができる。
【0121】
次に、図3(b)に示すように論理回路領域4のみにLDD領域6を形成する。この際、メモリ領域5には、フォトレジスト7が形成されており、LDD領域は形成されない。ここで、メモリ領域5にはLDD領域6が形成されずに、通常構造のトランジスタを形成する論理回路領域4にLDD領域を形成することができた。該フォトレジストは、注入を阻止するものであり、選択的に除去できるものであれば良い。したがって、フォトレジストに代えて、窒化膜等の絶縁膜を用いることもできる。
【0122】
次に、図3(c)に示すように、ゲートスタック8及び半導体基板1の露出面上に第1絶縁膜9を形成し、さらに、第1絶縁膜9上にシリコンドット10を形成し、その後、化学的気相堆積(CVD)法を用いた堆積絶縁膜15を形成する。それぞれの工程を次に詳細に示す。
【0123】
まず、第1絶縁膜9の形成方法について示す。ゲートスタック8及び半導体基板1の露出面上に形成される第1絶縁膜9は、電子が通過する絶縁膜となるため、耐圧が高く、リーク電流が少なく、信頼性の高い膜が良い。例えば、上記ゲート絶縁膜2の材料と同様に、熱酸化膜、N2O酸化膜、NO酸化膜等の酸化膜を用いる。該酸化膜を用いる場合、膜厚は、1nmから20nm程度が良い。更に、該絶縁膜9をトンネル電流が流れる程度に薄く形成した場合は、電荷の注入/消去に必要とする電圧を低くすることができ、それによって、低消費電力化ができる。その場合の典型的な膜厚は、1nm〜5nm程度が良い。ここで第1絶縁膜9を形成することにより、シリコンドット10は、半導体基板1及びゲート電極3に絶縁膜を介して接することになるので、保持電荷のリークをこの絶縁膜により抑制することができる。それにより、電荷保持特性がよく、長期信頼性の高い半導体記憶素子41が形成される。
【0124】
次に、シリコンドット10の形成方法について示す。CVD法で、ジシランを原料ガスとして、1Torrの圧力のもとで基板温度700℃でシリコンドット10を2分間成長させる。このときシリコンドット10の大きさは5nm程度である。ただし、このときのシリコンドット10の大きさは、1nm〜50nm程度であることが好ましい。より好ましくは、クーロンブロッケード等の量子効果を発現するような大きさである1nm〜15nm程度であることが望ましい。ここで、CVDにおける原料ガス、圧力、基板温度、成長時間等のそれぞれの条件を適宜変更、調整することにより、シリコンドット10の大きさ、密度等の形態を最適化し形成することが可能となる。また、次工程の酸化によりドット径が小さくなることを考慮し、適宜大きめに形成しておくことにより、最適な形状のシリコンドット10を形成することができる。
【0125】
さらに、図示はしていないが、シリコンドット10形成後、該シリコンドット10の表面を酸化することが望ましい。当酸化工程は熱酸化を用いるとよい。この際、シリコンドット10の大きさが小さくなるほど、酸化の速度が遅くなるため、シリコンドット10の大きさバラツキが抑えられる。また、該シリコンドット10表面酸化膜は電子が通過する絶縁膜となるため、耐圧が高く、リーク電流が少なく、信頼性の高い膜であれば良い。例えば、N2O酸化膜、NO酸化膜等の酸化膜を用いてもよい。該酸化膜の場合、最終形状における膜厚は第1絶縁膜9を含んで等価酸化膜厚で、1nmから20nm程度が良い。より好ましくは、シリコンドット10の大きさが1nm〜15nm程度大きさである場合には1nm〜10nm程度であることが望ましい。このように、シリコンドット10を酸化し小さくする場合、シリコンドット10の形成時に大きさの減少分を考慮して、大きめに形成しておく必要があることは、言うまでもない。更に、該絶縁膜をトンネル電流が流れる程度に薄く形成し、2重トンネル接合を用いたクーロンブロッケード効果によって電荷を保持する場合は、電荷の注入/消去に必要とする電圧を低くすることができ、それによって、低消費電力化ができる。その場合の典型的な酸化膜厚は、1nm〜3nm程度が良い。また、図においては、シリコンドット10は該ゲートスタック8及び該半導体基板1の露出面上に1層のみ積層されている。しかし、このシリコンドット10の上にさらにシリコンドット10が堆積し、2層以上の層構造をなしても良く、また、高さが揃わず凸凹に堆積されても良い。
【0126】
次に、CVD法を用いた堆積絶縁膜15を形成するが、当工程はHTO(High Temperature Oxide;高温酸化膜)やLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition;減圧気相成長法)を用いたステップカバレッジの良い膜を用いると良い。HTO膜を用いた場合、膜厚は20nm〜100nm程度であれば良い。なお、堆積絶縁膜15は、このあとの工程においてエッチングバックされてサイドウォールスペーサとして加工され、ソース/ドレイン拡散領域13を形成する不純物注入の際の注入マスクとして働く。つまり、ソース/ドレイン拡散領域13の形状、特にゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13との間のオフセット幅を規定する重要な要素となる。したがって、堆積絶縁膜厚を適宜調整変更することにより、ソース/ドレイン拡散領域13を最適な形状に形成し、最適なオフセット幅を得ることが可能となる。
【0127】
次に、図4(d)に示すように、堆積絶縁膜15及びシリコンドット10を異方性エッチングすることにより、ゲートスタック8の側面に沿ってサイドウォールスペーサとして、堆積絶縁膜15の一部からなる側壁絶縁体16を形成する。なお、第1絶縁膜9と側壁絶縁体16との間にはシリコンドット10が残存する。この際、予め第1絶縁膜9と堆積絶縁膜15の材料としてエッチングレートが異なる材料を選んでおくことにより、これらの膜の間の選択比を上げることができ、当工程を効率よく簡単に実施することが可能となる。例えば、第1絶縁膜9の材料としては窒化膜を、堆積絶縁膜15の材料としては酸化膜を用いると良い。
【0128】
ただし、半導体基板1は通常シリコン基板を用いている場合が多く、その場合、ドットの材料としてシリコンを用いているため、シリコンドット10を充分にはエッチングできず、エッチング残りが出る場合がある、この場合は、異方性エッチング後にフッ酸等を用いたウエットエッチングを用いて、残っている絶縁膜を等方性エッチングすることにより、シリコン残渣をリフトオフすると良い。
【0129】
次に、図4(e)に示すように、第1絶縁膜9に対して異方性エッチングを行うことにより、露出部分のみ、選択的にエッチングして、第1絶縁膜9の一部からなるL字型絶縁膜12を形成する。該エッチングは第1絶縁膜9を選択的にエッチングでき、側壁絶縁体16、及び、ゲート電極3材料、及び、半導体基板1材料とのエッチング選択比の大きな条件で行うと良い。これにより、L字型絶縁膜12、シリコンドット10、及び、側壁絶縁体16からなる、メモリ機能体11を形成することができた。
【0130】
また、図3(c)に示す構造から、図4(e)に示す構造まで、1工程で進めてもよい。つまり、第1絶縁膜9、シリコンドット10、及び、堆積絶縁膜15をともに選択的にエッチングでき、ゲート電極3材料、及び、半導体基板1材料とのエッチング選択比の大きな条件を用いた異方性エッチングを行うことにより、通常2工程必要なところを1工程で進めても良い。そのようにした場合、工程数を減少させることができる。ただし、シリコンドット10とゲート電極3材料、及び、半導体基板1材料は、本実施形態の典型的な例においてはシリコンを材料としているため、エッチング選択比を大きく取ることが難しい。そこで、シリコンドット10は残るが、第1絶縁膜9及び堆積絶縁膜15はエッチングされるような条件でエッチングし、その後、適宜フッ酸等のウエットエッチングを用いて残っている絶縁膜を等方性エッチングすることにより、シリコン残渣をリフトオフすると良い。
【0131】
ただし、図示はしないが、これまでの工程において、第1絶縁膜9はエッチングしなくても良い。エッチングせずに次工程である不純物注入時に注入保護膜として利用した場合、注入保護膜を形成する工程を略することができる。
【0132】
次に、図4(f)に示すように、ゲート電極3及びその両側のメモリ機能体11,11を一体のマスク14として用いてソース/ドレイン注入を行い、さらに所定の熱処理を行う。これにより、ソース/ドレイン拡散領域13を自己整合的に形成することができる。
【0133】
以上のプロセスを用いることにより、論理回路領域4に用いるLDD領域を形成した通常構造MOSFET42、及び、メモリ領域5に用いる半導体記憶素子41を、同一基板上で並行して、特別複雑な工程を用いることなく簡易な工程を追加するだけで、容易に形成することができる。
【0134】
また、メモリ機能体11に電荷を保持した場合に、チャネル拡散領域の一部が電荷による影響を強く受けるため、ドレイン電流値が変化する。それにより半導体記憶素子41は、保持電荷の有無に応じて情報を記憶することができる。
【0135】
半導体記憶素子41のゲート絶縁膜2とメモリ機能体11とを独立して設けることにより、半導体記憶素子41と通常構造MOSFET42とを、標準MOSFETプロセスと比べて大幅なプロセス変更やプロセス工数の増加なしに1つのチップ上に混載することが可能となった。それゆえメモリ領域5と、メモリ周辺回路部等4を1つの半導体基板(チップ)1上に混載するための製造コストを大幅に削減することができる。
【0136】
ゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13とがオフセットした半導体記憶素子41と、オフセットしていない論理回路における通常MOSFET42を自己整合的な工程で同一基板上に形成することにより、メモリ効果の高い半導体記憶素子と、電流駆動力の高い論理回路における通常MOSFETを複雑なプロセスを必要とせず簡易に混載できる。
【0137】
更には、この半導体記憶素子41によれば、1トランジスタ当り2ビットの記憶を実現することができるので、1ビットあたりのメモリ素子の占有面積を縮小することができ、大容量の半導体記憶素子を実現できる。
【0138】
また、メモリ機能体11において、シリコンドット10とゲート電極3との間及びシリコンドット10と半導体基板1との間を隔離するようにL字型絶縁膜12が介在しているため、保持電荷のリークをこの絶縁膜12により抑制することができる。それにより、電荷保持特性がよく、長期信頼性の高い半導体記憶素子を実現できる。
【0139】
さらに、シリコンドット10表面を酸化することにより、シリコンドット10の大きさバラツキが抑制でき、電気特性のバラツキが少ない半導体装置が得られる。
【0140】
更に、基板とシリコンドット10間の絶縁膜もしくはゲート電極3とシリコンドット10間の絶縁膜をトンネル電流が流れる程度に薄く形成することにより、2重トンネル接合を用いたクーロンブロッケード効果によって電荷を保持する場合は、電荷の注入/消去に必要とする電圧を低くすることができ、それによって、低消費電力化が達成できる。
【0141】
(第4の実施形態)
図5(a)〜図5(c)を用いて、上記第3の実施形態を変形した実施形態について説明する。本実施形態では、上記第3の実施形態におけるシリコンドット10形成の際、シリコンドット10を1層のみでなく、2層、3層及びそれ以上積層している。
【0142】
図5(a)に示すのは、シリコンドット10を2層積層した場合のソース/ドレイン拡散領域13形成後の断面形状である。メモリ機能体11A中のシリコンドット10が縦方向に2重以上の多重ドットを構成するため1重ドットと比較して、メモリ保持性能が飛躍的に向上する。さらに、1重ドットと比較して、メモリ機能体11A中のシリコンドット10の数が増加するため、保持電荷数が増加し、電荷密度が増大する。よって、書き込みと消去のしきい値電圧の差や、駆動電流の差が増大するので、電圧マージンが大きく、信頼性の向上した半導体記憶素子51Aを実現できる。
【0143】
また、図5(b)に示すのは、シリコンドット10を3層積層した場合のソース/ドレイン拡散領域13形成後の断面形状である。メモリ機能体11B中のシリコンドット10が縦方向に3重以上の多重ドットを構成するため1重及び2重ドットと比較して、メモリ保持性能が飛躍的に向上する。さらに、1重及び2重ドットと比較して、メモリ機能体11B中のシリコンドット10の数が増加するため、保持電荷数が増加し、電荷密度が増大する。よって、書き込みと消去のしきい値電圧の差や、駆動電流の差が増大するので、電圧マージンが大きく、信頼性の向上した半導体記憶素子51Bを実現できる。
【0144】
さらに、図5(c)に示すのは、メモリ機能体11C内を充分に満たすだけの膜厚まで、シリコンドット10を積層した場合のソース/ドレイン拡散領域13形成後の断面形状である。1重、2重及び3重ドットの場合と比較して、メモリ保持性能が飛躍的に向上する。さらに、1重、2重及び3重ドットと比較して、メモリ機能体11C中のシリコンドット10数が増加するため、保持電荷数が増加し、電荷密度が増大する。よって、書き込みと消去のしきい値電圧の差や、駆動電流の差が増大するので、電圧マージンが大きく、信頼性の向上した半導体記憶素子51Cを実現できる。
【0145】
次に、シリコンドット10を複数層積層させる製造方法について説明する。シリコンドット10を複数層積層させること以外の工程は基本的には上記第3の実施形態に記載の工程と同様の工程を用いても良いが、シリコンドット10の複数層積層による膜厚の厚膜化によって、堆積絶縁膜15(図3(c)参照)の堆積膜厚を減らす必要がある。詳細を以下に説明する。
【0146】
図3(b)に示すようなLDD領域形成工程までは、上記第3の実施形態と同様の工程を用いても良い。そこで、同様の工程を用いることによる、重複説明は省略する。
【0147】
その後、図3(c)に示したのと同様にゲートスタック8及び半導体基板1の露出面上に第1絶縁膜9を形成し、さらに、第1絶縁膜9上にシリコンドット10を形成し、その後、化学的気相堆積(CVD)法を用いた堆積絶縁膜15を形成する。ただし、シリコンドット10は1層のみでなく、2層、3層及びそれ以上積層する。つまり、1層シリコンドット10を形成後、第3の実施形態と同様の工程によるシリコンドット10表面の酸化を行い、2層目のシリコンドット10を形成する。3層の場合はさらに、2層目のシリコンドット10表面酸化を行い、その後3層目のシリコンドット10を形成する。以降同様に多層構造を形成することができる。
【0148】
ただし、2層目以降のシリコンドット10表面酸化は、1層目のシリコンドット10の表面をも酸化するといった現象があるため、下層の酸化膜が厚膜化する。つまり、下層酸化膜の厚膜化を考慮した酸化条件を設定することにより、所望の酸化膜を形成することが可能となる。
【0149】
シリコンドット10及び酸化膜の形成工程は上記第3の実施形態と同様次のようなものである。
【0150】
シリコンドット10を形成する場合、CVD法で、ジシランを原料ガスとして、1Torrの圧力のもとで基板温度700℃でシリコンドット10を2分間成長させる。このときシリコンドット10の大きさは5nm程度である。ただし、最終形状におけるシリコンドット10の大きさは、1nm〜50nm程度であることが好ましい。より好ましくは、クーロンブロッケード等の量子効果を発現するような大きさである1nm〜15nm程度であることが望ましい。ここで、CVDにおける原料ガス、圧力、基板温度、成長時間等のそれぞれの条件を適宜変更、調整することにより、シリコンドット10の大きさ、密度等の形態を最適化し形成することが可能となる。また、次工程の酸化によりドット径が小さくなることを考慮し、適宜大きめに形成しておくことにより、最適な形状のシリコンドット10を形成することができる。
【0151】
次にシリコンドット10表面酸化の1例は次の様なものである。当酸化工程は熱酸化を用いるとよい。この際、シリコンドット10の大きさが小さくなるほど、酸化の速度が遅くなるため、シリコンドット10の大きさバラツキが抑えられる。また、該シリコンドット10の表面酸化膜は電子が通過する絶縁膜となるため、耐圧が高く、リーク電流が少なく、信頼性の高い膜であれば良い。例えば、N2O酸化膜、NO酸化膜等の酸化膜を用いてもよい。該酸化膜の場合、最終形状における膜厚は第1絶縁膜9を含んで等価酸化膜厚で、1nmから20nm程度が良い。より好ましくは、シリコンドット10の大きさが1nm〜15nm程度大きさである場合には膜厚が1nm〜10nm程度であることが望ましい。このように、シリコンドット10を酸化し小さくする場合、シリコンドット10の形成時に大きさの減少分を考慮して、大きめに形成しておく必要があることは、言うまでもない。
【0152】
次に、CVD法を用いた堆積絶縁膜15を形成するが、当工程はHTOやLPCVDを用いたステップカバレッジの良い膜を用いると良い。HTO膜を用いた場合、膜厚は20nm〜100nm程度であれば良い。なお、堆積絶縁膜15は、このあとの工程においてエッチングバックされてサイドウォールスペーサとして加工され、ソース/ドレイン拡散領域13を形成する不純物注入の際の注入マスクとして働く。つまり、ソース/ドレイン拡散領域13の形状、特にゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13との間のオフセット幅を規定する重要な要素となる。したがって、堆積絶縁膜厚を適宜調整変更することにより、ソース/ドレイン拡散領域13を最適な形状に形成し、最適なオフセット幅を得ることが可能となる。ただし、シリコンドット10の積層膜厚に堆積絶縁膜15の膜厚を加えたものがサイドウォールスペーサ幅となる。したがって、シリコンドット10の積層膜厚を考慮して堆積絶縁膜15の膜厚を決めることにより、適切なサイドウォールスペーサ幅を得ることができる。例えば、シリコンドット10積層膜厚が所望のサイドウォールスペーサ幅に達している場合は、堆積絶縁膜を形成しなくてよい。
【0153】
次に、図4(d)に示したのと同様に、堆積絶縁膜15及びシリコンドット10を異方性エッチングすることにより、ゲートスタック8の側面に沿ってサイドウォールスペーサとして、堆積絶縁膜15の一部からなる側壁絶縁体16を形成する。なお、第1絶縁膜9と側壁絶縁体16との間にはシリコンドット10が残存する。この際、予め第1絶縁膜9と堆積絶縁膜15の材料としてエッチングレートが異なる材料を選んでおくことにより、これらの膜の間の選択比を上げることができ、当工程を効率よく簡単に実施することが可能となる。例えば、第1絶縁膜9の材料としては窒化膜を、堆積絶縁膜15の材料としては酸化膜を用いると良い。
【0154】
ただし、半導体基板1は通常シリコン基板を用いている場合が多く、その場合、ドットの材料としてシリコンを用いているため、シリコンドット10を充分にはエッチングできず、エッチング残りが出る場合がある。この場合は、異方性エッチング後にフッ酸等を用いたウエットエッチングを用いて、残っている絶縁膜を等方性エッチングすることにより、シリコン残渣をリフトオフすると良い。
【0155】
次に、図5(a)〜図5(c)にそれぞれ示すように、第1絶縁膜9に対して異方性エッチングを行うことにより、露出部分のみ、選択的にエッチングして、第1絶縁膜9の一部からなるL字型絶縁膜12を形成する。該エッチングは第1絶縁膜9を選択的にエッチングでき、側壁絶縁体16、及び、ゲート電極3材料、及び、半導体基板1材料とのエッチング選択比の大きな条件で行うと良い。これにより、L字型絶縁膜12、シリコンドット10、及び、側壁絶縁体16からなる、メモリ機能体11A,11B,11Cを形成することができた。
【0156】
ただし、図示はしないが、これまでの工程において、第1絶縁膜9はエッチングしなくても良い。エッチングせずに次工程である不純物注入時に注入保護膜として利用した場合、注入保護膜を形成する工程を略することができる。
【0157】
次に、図5(a)〜図5(c)にそれぞれ示すように、ゲート電極3及びその両側のメモリ機能体11A,11A、ゲート電極3及びその両側のメモリ機能体11B,11B、ゲート電極3及びその両側のメモリ機能体11C,11Cをそれぞれ一体のマスクとして用いて、ソース/ドレイン注入を行い、さらに所定の熱処理を行う。これにより、それぞれソース/ドレイン拡散領域13を自己整合的に形成することができる。
【0158】
以上のプロセスを用いることにより、論理回路領域4に用いるLDD領域を形成した通常構造MOSFET52A,52B,52C、及び、メモリ領域5に用いる半導体記憶素子51A,51B,51Cを、同一基板上で並行して、特別複雑な工程を用いることなく簡易な工程を追加するだけで、容易に形成することができる。
【0159】
また、メモリ機能体11A,11B,11Cに電荷を保持した場合に、チャネル拡散領域の一部が電荷による影響を強く受けるため、ドレイン電流値が変化する。それにより半導体記憶素子51A,51B,51Cは、保持電荷の有無に応じて情報を記憶することができる。
【0160】
半導体記憶素子51A,51B,51Cのゲート絶縁膜2とメモリ機能体11A,11B,11Cとを独立して設けることにより、半導体記憶素子51A,51B,51Cと通常構造MOSFET52A,52B,52Cとを、標準MOSFETプロセスと比べて大幅なプロセス変更やプロセス工数の増加なしに1つのチップ上に混載することが可能となった。それゆえメモリ領域5と、メモリ周辺回路部等4を1つの半導体基板(チップ)1上に混載するための製造コストを大幅に削減することができる。
【0161】
ゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13とがオフセットした半導体記憶素子51A,51B,51Cと、オフセットしていない論理回路における半導体スイッチング素子52A,52B,52Cを自己整合的な工程で同一基板上に形成することにより、メモリ効果の高い半導体記憶素子と、電流駆動力の高い論理回路における通常MOSFETを複雑なプロセスを必要とせず簡易に混載できる。
【0162】
更には、この半導体記憶素子51A,51B,51Cによれば、1トランジスタ当り2ビットの記憶を実現することができるので、1ビットあたりのメモリ素子の占有面積を縮小することができ、大容量の半導体記憶素子を実現できる。
【0163】
また、メモリ機能体11A,11B,11Cにおいて、シリコンドット10とゲート電極3との間及びシリコンドット10と半導体基板1との間を隔離するようにL字型絶縁膜12が介在しているため、保持電荷のリークをこの絶縁膜12により抑制することができる。それにより、電荷保持特性がよく、長期信頼性の高い半導体記憶素子を実現できる。
【0164】
さらに、シリコンドット10表面を酸化することにより、シリコンドット10の大きさバラツキが抑制でき、電気特性のバラツキが少ない半導体装置が得られる。
【0165】
更に、基板1とシリコンドット10間およびゲート電極3とシリコンドット10間の絶縁膜12をトンネル電流が流れる程度に薄く形成することにより、2重トンネル接合を用いたクーロンブロッケード効果によって電荷を保持する場合は、電荷の注入/消去に必要とする電圧を低くすることができ、それによって、低消費電力化が達成できる。
【0166】
更に、シリコンドット10が2重、3重もしくはそれ以上の多重ドットを形成するため、1重ドットと比較して、より蓄積電荷量が多く、保持時間の長い半導体記憶素子51A,51B,51Cが得られる。
【0167】
(第5の実施形態)
図6(a)〜図6(d)を用いて、上記第3または第4の実施形態を変形した実施形態について説明する。本実施形態ではメモリ機能体等の形状を改変している。
【0168】
図6(a)に示すのは、シリコンドット10を1層含むメモリ機能体11の形状を改変した場合(改変されたメモリ機能体を符号11Dで示す。)の断面形状である。この場合、電荷を保持するシリコンドット10が、チャネル拡散領域付近にのみ形成されるため、書き込みによって注入した電子を消去によって除去しやすくなる。それゆえ、消去不良を防止できる。また、電荷保持部を微小化することにより、効率的に電荷の消去を行うことができ、読み出しと消去スピードが早く信頼性の高い半導体記憶素子61Aを実現できる。
【0169】
また、図6(b)に示すのは、シリコンドット10を1層含むメモリ機能体11形成時に形状を改変し(改変されたメモリ機能体を符号11Eで示す。)、その後、メモリ機能体11Eを覆う絶縁膜25を形成した場合の断面形状である。
この場合、電荷を保持するシリコンドット10が、チャネル拡散領域付近にのみ形成されるため、書き込みによって注入した電子を消去によって除去しやすくなる。それゆえ、消去後のしきい値電圧バラツキが抑制でき、消去不良を防止できる。また、電荷保持部を微小化することにより、効率的に電荷の消去を行うことができ、読み出しと消去スピードが早く信頼性の高い半導体記憶素子61Bを実現できる。
【0170】
また、図6(c)に示すのは、シリコンドット10を多層含むメモリ機能体11Cの形状を改変した場合(改変されたメモリ機能体を符号11Fで示す。)の断面形状である。
【0171】
また、図6(d)に示すのは、シリコンドット10を多層含むメモリ機能体11Cの形状を改変し(改変されたメモリ機能体を符号11Eで示す。)、その後、メモリ機能体11Eを覆う絶縁膜25を形成した場合の断面形状である。
【0172】
この図6(c),図6(d)の場合、電荷を保持するシリコンドット10が、チャネル拡散領域付近にのみ形成されるため、書き込みによって注入した電子を消去によって除去しやすくなる。それゆえ、消去後のしきい値電圧バラツキが抑制でき、消去不良を防止できる。また、効率的に電荷の消去を行うことができ、読み出しと消去スピードが早く信頼性の高い半導体記憶素子61C,61Dを実現できる。さらに、L字型絶縁膜12はゲート電極3の外周を覆うように残るため、ソース/ドレインのコンタクトとゲート電極3との短絡を抑制することができる。それによって、微細化が容易になり、メモリの高集積化が可能となる。さらに、1層ドットの場合と比較して、メモリ機能体11D,11E中のシリコンドット10の数が増加するため、保持電荷数が増加し、電荷密度が増大する。よって、書き込みと消去のしきい値電圧の差や、駆動電流の差が増大するので、電圧マージンが大きく、信頼性の向上した半導体記憶素子61C,61Dを実現できる。
【0173】
ここで、上記図6(a)〜図6(d)の構造において、メモリ領域5における、ゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13との間のオフセット幅、つまり、ゲート電極3の一方の端部からソース/ドレイン拡散領域13の近い方の端部までの横方向の距離は、それぞれメモリ機能体11D,11E,11F,11Gの厚さ(図中の横方向の寸法)と等しいか、または、それ以下であることが望ましい。
【0174】
次に、図6(a)及び図6(c)に示す構造の半導体装置の形成方法について詳細に説明する。
【0175】
ソース/ドレイン拡散領域13形成工程までは、上記第3の実施形態におけるのと同様の工程を用いても良い。そこで、同様の工程を用いることによる、重複説明は省略する。
【0176】
次に、図6(a)及び図6(c)に示すように、メモリ機能体11D,11Fを等方性エッチングすることにより、ゲートスタック8の最上部位置より、メモリ機能体11D,11Fの最上部位置が低くなるようにする。
【0177】
ただし、半導体基板1は通常シリコン基板を用いている場合が多く、その場合、ドットの材料としてシリコンを用いているため、シリコンドット10を充分エッチングできず、エッチング残りが出るような条件でエッチングを実施しても良い。ただし、この場合は、フッ酸等を用いたウエットエッチングを用いて残っている絶縁膜12を適宜等方性エッチングすることにより、シリコン残渣をリフトオフすると良い。加えて、シリコン残渣を酸化し、その後、適宜フッ酸等を用いたウエットエッチングを用いてシリコン残渣を除去しても良い。
【0178】
また、当工程におけるエッチング量を調整し、次に示すような最適形状になるように、メモリ機能体11D,11Fの横幅を最適になるようにすることが好ましい。最適形状とは、メモリ領域5における、ゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13との間のオフセット幅、つまり、ゲート電極3の一方の端部からソース/ドレイン拡散領域13の近い方の端部までの横方向の距離が、それぞれメモリ機能体11D,11Fの厚さ(図中の横方向の寸法)と等しいか、または、それ以下であることを意味する。
【0179】
次に、図6(b)に示す構造の半導体装置の形成方法について詳細に説明する。
【0180】
この場合、まず上記第2実施形態における図4(d)に示される構造を形成する。
【0181】
次に、等方性エッチングを行って、側壁絶縁膜16及びシリコンドット10を図6(b)に示す形状になるまでエッチングする。つまり、ゲートスタック8の最上部位置より、メモリ機能体11Eの最上部位置が低くなるようにする。
【0182】
次に、CVD法を用いた堆積絶縁膜を全域に形成し、それを異方性エッチングして、図6(b)に示すように、ゲート電極3の両側にメモリ機能体11Eを包むようにサイドウォールスペーサ絶縁体25を形成する。当工程はHTOやLPCVDを用いたステップカバレッジの良い膜を用いると良い。なお、サイドウォールスペーサ絶縁体25は、このあとの工程においてソース/ドレイン拡散領域13を形成する不純物注入の際のマスクの一部として働く。つまり、ソース/ドレイン拡散領域13の形状、特にゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13との間のオフセット幅を規定する重要な要素となる。したがって、堆積絶縁膜厚を適宜調整変更することにより、ソース/ドレイン拡散領域13を最適な形状に形成し、最適なオフセット幅を得ることが可能となる。ただし、メモリ機能体11Eの幅に堆積絶縁膜の膜厚を加えたものがサイドウォールスペーサ幅となる。
したがって、メモリ機能体11Eの幅を考慮して堆積絶縁膜の膜厚を決めることにより、適切なサイドウォールスペーサ幅を得ることができる。
【0183】
次に、図6(b)に示すように、ゲート電極3、その両側のメモリ機能体11E,11E及びサイドウォールスペーサ絶縁体25,25を一体のマスクとして用いて、ソース/ドレイン注入を行い、さらに所定の熱処理を行う。これにより、ソース/ドレイン拡散領域13を自己整合的に形成することができる。
【0184】
次に、図6(d)に示す構造の半導体装置の形成方法について詳細に説明する。
【0185】
この図6(d)に示す構造を形成する方法は、シリコンドット10を積層する工程以外は、ほぼ上記図6(b)を形成した工程と同様な工程を用いる。つまり、まず第4の実施形態に記載した半導体装置の形成方法における、シリコンドット10の積層膜を形成する。その後に、等方性エッチングを行って、側壁絶縁膜16、L字型絶縁膜12及びシリコンドット10を図6(d)に示す形状になるまでエッチングする。つまり、ゲートスタック8の最上部位置より、メモリ機能体11Gの最上部位置が低くなるようにする。ただし、半導体基板1は通常シリコン基板を用いている場合が多く、その場合、ドットの材料としてシリコンを用いているため、シリコンドット10を充分エッチングできず、エッチング残りが出るような条件でエッチングを実施しても良い。ただし、この場合は、フッ酸等を用いたウエットエッチングを用いて残っている絶縁膜12を適宜等方性エッチングすることにより、シリコン残渣をリフトオフすると良い。加えて、シリコン残渣を酸化し、その後、適宜フッ酸等を用いたウエットエッチングを用いてシリコン残渣を除去しても良い。このようにして、図6(d)に示す形状のメモリ機能体11Gを形成できる。
【0186】
次に、CVD法を用いた堆積絶縁膜を形成し、それを異方性エッチングして図6(d)に示すサイドウォールスペーサ絶縁体25を形成する。当工程はHTOやLPCVDを用いたステップカバレッジの良い膜を用いると良い。なお、サイドウォールスペーサ絶縁体25は、このあとの工程においてソース/ドレイン拡散領域13を形成する不純物注入の際のマスクの一部として働く。つまり、ソース/ドレイン拡散領域13の形状、特にゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13との間のオフセット幅を規定する重要な要素となる。したがって、堆積絶縁膜厚を適宜調整変更することにより、ソース/ドレイン拡散領域13を最適な形状に形成し、最適なオフセット幅を得ることが可能となる。ただし、メモリ機能体11Gの幅に堆積絶縁膜の膜厚を加えたものがサイドウォールスペーサ幅となる。したがって、メモリ機能体11Gの幅を考慮して堆積絶縁膜の膜厚を決めることにより、適切なサイドウォールスペーサ幅を得ることができる。
【0187】
次に、図6(d)に示すように、ゲート電極3、その両側のメモリ機能体11G,11G及びサイドウォールスペーサ絶縁体25,25を一体のマスクとして用いて、ソース/ドレイン注入を行い、さらに所定の熱処理を行う。これにより、ソース/ドレイン拡散領域13を自己整合的に形成することができる。
【0188】
以上のプロセスを用いることにより、論理回路領域4に用いるLDD領域を形成した通常構造MOSFET62A,62B,62C,62D、及び、メモリ領域5に用いる半導体記憶素子61A,61B,61C,61Dを、同一基板上で並行して、特別複雑な工程を用いることなく簡易な工程を追加するだけで、容易に形成することができる。
【0189】
また、メモリ機能体11D,11E,11F,11Gに電荷を保持した場合に、チャネル拡散領域の一部が電荷による影響を強く受けるため、ドレイン電流値が変化する。それにより半導体記憶素子61A,61B,61C,61Dは、保持電荷の有無に応じて情報を記憶することができる。
【0190】
半導体記憶素子61A,61B,61C,61Dのゲート絶縁膜2とメモリ機能体11D,11E,11F,11Gとを独立して設けることにより、半導体記憶素子61A,61B,61C,61Dと通常構造MOSFET62A,62B,62C,62Dとを、標準MOSFETプロセスと比べて大幅なプロセス変更やプロセス工数の増加なしに1つのチップ上に混載することが可能となった。それゆえメモリ領域5と、メモリ周辺回路部等4を1つの半導体基板(チップ)1上に混載するための製造コストを大幅に削減することができる。
【0191】
ゲート電極3とソース/ドレイン拡散領域13とがオフセットした半導体記憶素子61A,61B,61C,61Dと、オフセットしていない論理回路における半導体スイッチング素子62A,62B,62C,62Dを自己整合的な工程で同一基板上に形成することにより、メモリ効果の高い半導体記憶素子と、電流駆動力の高い論理回路における通常MOSFETを複雑なプロセスを必要とせず簡易に混載できる。
【0192】
更には、この半導体記憶素子61A,61B,61C,61Dによれば、1トランジスタ当り2ビットの記憶を実現することができるので、1ビットあたりのメモリ素子の占有面積を縮小することができ、大容量の半導体記憶素子を実現できる。
【0193】
また、メモリ機能体11D,11E,11F,11Gにおいて、シリコンドット10とゲート電極3との間及びシリコンドット10と半導体基板1との間を隔離するようにL字型絶縁膜12が介在しているため、保持電荷のリークをこの絶縁膜12により抑制することができる。それにより、電荷保持特性がよく、長期信頼性の高い半導体記憶素子を実現できる。
【0194】
更に、基板1とシリコンドット10間およびゲート電極3とシリコンドット10間の絶縁膜12をトンネル電流が流れる程度に薄く形成することにより、2重トンネル接合を用いたクーロンブロッケード効果によって電荷を保持する場合は、電荷の注入/消去に必要とする電圧を低くすることができ、それによって、低消費電力化が達成できる。
【0195】
更に、シリコンドット10が2重、3重もしくはそれ以上の多重ドットを形成するため、1重ドットと比較して、より蓄積電荷量が多く、保持時間の長い半導体記憶素子61A,61B,61C,61Dが得られる。
【0196】
(第6の実施形態)
この実施の形態の半導体装置を構成する半導体記憶素子は、ゲート電極117の両側のメモリ機能体161、162が電荷を保持できる領域(電荷を蓄える領域であって、電荷を保持する機能を有する膜であってもよい)と電荷を逃げにくくする領域(電荷を逃げにくくする機能を有する膜であってもよい)から構成される。例えば、図7に示すように、シリコン酸化膜141、シリコン微粒子142及びそれを覆うように形成されたシリコン酸化膜143から、メモリ機能体161、162が構成されている。ここで、シリコン微粒子は電荷を保持できる機能を果たす。また、シリコン酸化膜141、143はシリコン微粒子中に蓄えられた電荷を逃げにくくする機能を有する膜の役割を果たす。
【0197】
また、メモリ機能体161、162における電荷を保持できる領域(シリコン微粒子142)は、ソース/ドレイン拡散領域112、113とそれぞれオーバーラップしている。ここで、オーバーラップするとは、ソース/ドレイン拡散領域112、113の少なくとも一部の領域上に、電荷を保持できる領域(シリコン微粒子142)の少なくとも一部が存在することを意味する。なお、111は半導体基板、114はゲート絶縁膜、117はゲート電極、171は(ゲート電極とソース/ドレイン拡散領域との)オフセット領域である。図示しないが、ゲート絶縁膜114下であって半導体基板111最表面部はチャネル形成領域となる。
【0198】
メモリ機能体161、162におけるシリコン微粒子142とソース/ドレイン拡散領域112、113とがオーバーラップすることによる効果を次に説明する。
【0199】
図8は、図7の右側のメモリ機能体162周辺部の拡大図である。W1はゲート電極114とソース/ドレイン拡散領域113とのオフセット量を示す。また、W2はゲート電極のゲート長方向の切断面におけるメモリ機能体162の幅を示しているが、メモリ機能体162のうちシリコン微粒子142のゲート電極117から遠い側の端が、ゲート電極117から遠い側のメモリ機能体162の端と一致しているため、メモリ機能体162の幅をW2として定義した。メモリ機能体162と拡散領域113とのオーバーラップ量は(W2−W1)で表される。特に重要なことは、メモリ機能体162のうちシリコン微粒子142が、拡散領域113とオーバーラップする、つまり、W2>W1なる関係を満たすことである。
【0200】
なお、図9に示すように、メモリ機能体162aのうちシリコン微粒子142aのゲート電極から遠い側の端が、ゲート電極から遠い側のメモリ機能体162aの端と一致していない場合は、W2をゲート電極端からシリコン微粒子142aのゲート電極と遠い側の端までと定義すればよい。なお、図9中の要素には、図8中の対応する要素の符号にaを付した符号を用いている。
【0201】
図8の構造における消去状態(ホールが蓄積されている)のドレイン電流は、シリコン微粒子142とソース/ドレイン拡散領域113とがオーバーラップする形状においては充分な電流値が得られるが、シリコン微粒子142とソース/ドレイン拡散領域113とがオーバーラップしない形状においてはシリコン微粒子142とソース/ドレイン拡散領域113との距離が離れると急激に減少し、30nm程度離れると3桁程度減少する。
【0202】
ドレイン電流値は、読出し動作速度にほぼ比例するので、シリコン微粒子142とソース/ドレイン拡散領域113との距離が離れにつれメモリの性能は急速に劣化する。一方、シリコン微粒子142とソース/ドレイン拡散領域113とがオーバーラップする範囲においては、ドレイン電流の減少は緩やかである。したがって、電荷を保持する機能を有する膜であるシリコン微粒子142の少なくとも一部とソース/ドレイン領域とがオーバーラップすることが好ましい。
【0203】
メモリ機能体161(領域181)に記憶された情報の読み出しは、ソース/ドレイン拡散領域112をソース電極とし、ソース/ドレイン拡散領域113をドレイン領域としてチャネル形成領域中のドレイン領域に近い側にピンチオフ点を形成するのが好ましい。すなわち、2つのメモリ機能体のうち一方に記憶された情報を読み出す時に、ピンチオフ点をチャネル形成領域内であって、他方のメモリ機能体に近い領域に形成させるのが好ましい。これにより、メモリ機能体162の記憶状況の如何にかかわらず、メモリ機能体161の記憶情報を感度よく検出することができ、2ビット動作を可能にする大きな要因となる。
【0204】
一方、2つのメモリ機能体の片側のみに情報を記憶させる場合又は2つのメモリ機能体を同じ記憶状態にして使用する場合には、読出し時に必ずしもピンチオフ点を形成しなくてもよい。
【0205】
なお、図8には図示していないが、半導体基板111の表面にウェル領域(Nチャネル素子の場合はP型ウェル)を形成することが好ましい。ウェル領域を形成することにより、チャネル形成領域の不純物濃度をメモリ動作(書換え動作及び読出し動作)に最適にしつつ、その他の電気特性(耐圧、接合容量、短チャネル効果)を制御するのが容易になる。
【0206】
メモリ機能体は、メモリの保持特性を向上させる観点から、電荷を保持できる機能を有する微粒子及びその微粒子に蓄積された電荷の散逸を防ぐ散逸防止絶縁体を含んでいるのが好ましい。この実施の形態では、微粒子として電荷をトラップする準位を有するシリコン微粒子142、散逸防止絶縁体として微粒子に蓄積された電荷の散逸を防ぐ働きのあるシリコン酸化膜141、143を用いている。メモリ機能体が微粒子と散逸防止絶縁体とを含むことにより電荷の散逸を防いで保持特性を向上させることができる。
【0207】
また、メモリ機能体は、ゲート絶縁膜表面と略平行に配置される微粒子を含むこと、いいかえると、メモリ機能体における微粒子が、ゲート絶縁膜上面から等しい距離に位置するように配置されることが好ましい。具体的には、図10に示したように、メモリ機能体162のシリコン微粒子142が、ゲート絶縁膜114表面と略平行に配列している。言い換えると、微粒子142は、ゲート絶縁膜114表面に対応する高さから、均一な高さに形成されることが好ましい。
【0208】
メモリ機能体162中に、ゲート絶縁膜114表面と略平行な微粒子142があることにより、微粒子142に蓄積された電荷の多寡によりオフセット領域171での反転層の形成されやすさを効果的に制御することができ、ひいてはメモリ効果を大きくすることができる。また、微粒子142をゲート絶縁膜114の表面と略平行とすることにより、オフセット量(W1)がばらついた場合でもメモリ効果の変化を比較的小さく保つことができ、メモリ効果のばらつきを抑制することができる。しかも、微粒子142上部方向への電荷の移動が抑制され、記憶保持中に電荷移動による特性変化が起こるのを抑制することができる。
【0209】
さらに、メモリ機能体162は、ゲート絶縁膜114の表面と略平行な微粒子142とチャネル形成領域(又はウェル領域)とを隔てる絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜144のうちオフセット領域171上の部分)を含むことが好ましい。この絶縁膜により、微粒子に蓄積された電荷の散逸が抑制され、さらに保持特性の良い半導体記憶素子を得ることができる。
【0210】
なお、微粒子142の大きさを制御すると共に、微粒子142下の絶縁膜(シリコン酸化膜144のうちオフセット領域171上の部分)の膜厚を一定に制御することにより、半導体基板表面から微粒子中に蓄えられる電荷までの距離を概ね一定に保つことが可能となる。つまり、半導体基板表面から微粒子中に蓄えられる電荷までの距離を、微粒子142下の絶縁膜の最小膜厚値から、微粒子142下の絶縁膜の最大膜厚値と微粒子142の大きさ最大値との和までの間に制御することができる。これにより、微粒子142に蓄えられた電荷により発生する電気力線の密度を概ね制御することが可能となり、メモリ素子のメモリ効果の大きさばらつきを非常に小さくすることが可能となる。
【0211】
(第7の実施形態)
この実施の形態は、ゲート電極、メモリ機能体及びソース/ドレイン領域間距離の最適化に関する。
【0212】
図11に示したように、Aはゲート長方向の切断面におけるゲート電極長、Bはソース/ドレイン領域間の距離(チャネル長)、Cは一方のメモリ機能体の端から他方のメモリ機能体の端までの距離、つまり、ゲート長方向の切断面における一方のメモリ機能体内の電荷を保持できる機能を有する膜の端(ゲート電極と離れている側)から他方のメモリ機能体内の電荷を保持できる機能を有する膜の端(ゲート電極と離れている側)までの距離を示す。
【0213】
まず、B<Cであることが好ましい。チャネル形成領域のうちゲート電極117下の部分とソース/ドレイン領域112、113との間にはオフセット領域171が存する。B<Cにより、メモリ機能体161、162(シリコン微粒子142)に蓄積された電荷により、オフセット領域171の全領域において、反転の容易性が効果的に変動する。したがって、メモリ効果が増大し、特に読出し動作の高速化が実現する。
【0214】
また、ゲート電極117とソース/ドレイン領域112、113がオフセットしている場合、つまり、A<Bが成立する場合には、ゲート電極に電圧を印加したときのオフセット領域の反転のしやすさがメモリ機能体に蓄積された電荷量によって大きく変化し、メモリ効果が増大するとともに、短チャネル効果を低減することができる。ただし、メモリ効果が発現する限りにおいては、必ずしも存在する必要はない。オフセット領域171がない場合においても、ソース/ドレイン領域112、113の不純物濃度が十分に薄ければ、メモリ機能体161、162(シリコン微粒子142)においてメモリ効果が発現し得る。
したがって、A<B<Cであるのが最も好ましい。
【0215】
(第8の実施形態)
この実施の形態の半導体装置を構成する半導体記憶素子は、図12に示すように、第6の実施形態における半導体基板をSOI基板とする以外は、実質的に同様の構成を有する。
【0216】
ただし、SOI基板特有の基板浮遊効果が発現しやすくなり、それによってホットエレクトロン発生効率を向上させることができ、書込み速度を高速化できる。
【0217】
この半導体記憶素子は、半導体基板181上に埋め込み酸化膜183が形成され、さらにその上にSOI層が形成されている。SOI層内にはソース/ドレイン拡散領域112、113が形成され、それ以外の領域はボディ領域182となっている。
【0218】
この半導体記憶素子によっても、第6の実施形態における半導体記憶素子と同様の作用効果を奏する。さらに、ソース/ドレイン拡散領域112、113とボディ領域182との接合容量を著しく小さくすることができるので、素子の高速化や低消費電力化が可能となる。
【0219】
(第9の実施形態)
この実施の形態の半導体装置を構成する半導体記憶素子は、図13に示すように、上記第6の実施形態において、N型のソース/ドレイン領域112、113のチャネル形成領域側に隣接して、P型高濃度領域191を追加した以外は、実質的に同様の構成を有する。
【0220】
すなわち、P型高濃度領域191におけるP型を与える不純物(例えばボロン)濃度が、領域192におけるP型を与える不純物濃度より高い。P型高濃度領域191におけるP型の不純物濃度は、例えば、5×1017cm−3〜1×1019cm−3程度が適当である。また、領域192のP型の不純物濃度は、例えば、5×1016cm−3〜1×1018cm−3とすることができる。
【0221】
このように、P型高濃度領域191を設けることにより、ソース/ドレイン拡散領域112、113と半導体基板111との接合が、メモリ機能体161、162の直下で急峻となる。そのため、書込み及び消去動作時にホットキャリアが発生し易くなり、書込み動作及び消去動作の電圧を低下させ、あるいは書込み動作及び消去動作を高速にすることが可能となる。さらに、領域192の不純物濃度は比較的薄いので、メモリが消去状態にあるときの閾値が低く、ドレイン電流は大きくなる。そのため、読出し速度が向上する。したがって、書換え電圧が低く又は書換え速度が高速で、かつ、読出し速度が高速な半導体記憶素子を得ることができる。
【0222】
また、図13において、ソース/ドレイン領域近傍であってメモリ機能体の下(すなわち、ゲート電極の直下ではない)において、P型高濃度領域191を設けることにより、トランジスタ全体としての閾値は著しく上昇する。この上昇の程度は、P型高濃度領域191がゲート電極の直下にある場合に比べて著しく大きい。メモリ機能体に書込み電荷(トランジスタがNチャネル型の場合は電子)が蓄積した場合は、この差がいっそう大きくなる。一方、メモリ機能体に十分な消去電荷(トランジスタがNチャネル型の場合は正孔)が蓄積された場合は、トランジスタ全体としての閾値は、ゲート電極下のチャネル形成領域(領域192)の不純物濃度で決まる閾値まで低下する。すなわち、消去時の閾値は、P型高濃度領域191の不純物濃度には依存せず、一方で、書込み時の閾値は非常に大きな影響を受ける。よって、P型高濃度領域191をメモリ機能体の下であってソース/ドレイン領域近傍に配置することにより、書込み時の閾値のみが非常に大きく変動し、メモリ効果(書込時と消去時での閾値の差)を著しく増大させることができる。
【0223】
(第10の実施形態)
この実施の形態の半導体装置を構成する半導体記憶素子は、図14に示すように、第6の実施形態において、電荷保持部(シリコン微粒子142)とチャネル形成領域又はウェル領域とを隔てる絶縁膜の厚さ(T1)が、ゲート絶縁膜の厚さ(T2)よりも薄いこと以外は、実質的に同様の構成を有する。
【0224】
ゲート絶縁膜114は、メモリの書換え動作時における耐圧の要請から、その厚さT2には下限値が存在する。しかし、絶縁膜の厚さT1は、耐圧の要請かかわらず、T2よりも薄くすることが可能である。T1を薄くすることにより、メモリ機能体への電荷の注入が容易になり、書込み動作及び消去動作の電圧を低下させ、又は書込み動作及び消去動作を高速にすることが可能となり、また、シリコン微粒子142に電荷が蓄積された時にチャネル形成領域又はウェル領域に誘起される電荷量が増えるため、メモリ効果を増大させることができる。
【0225】
したがって、T1<T2とすることにより、メモリの耐圧性能を低下させることなく、書込み動作及び消去動作の電圧を低下させ、又は書込み動作及び消去動作を高速にし、さらにメモリ効果を増大することが可能となる。
【0226】
なお、絶縁膜の厚さT1は、製造プロセスによる均一性や膜質が一定の水準を維持することが可能であり、かつ保持特性が極端に劣化しない限界となる0.8nm以上であることがより好ましい。
【0227】
(第11の実施形態)
この実施形態の半導体装置を構成する半導体記憶素子は、図15に示すように、第6の実施形態において、電荷保持部(シリコン微粒子142)とチャネル形成領域又はウェル領域とを隔てる絶縁膜の厚さ(T1)が、ゲート絶縁膜の厚さ(T2)よりも厚いこと以外は、実質的に同様の構成を有する。
【0228】
ゲート絶縁膜114は、素子の短チャネル効果防止の要請から、その厚さT2には上限値が存在する。しかし、絶縁膜の厚さT1は、短チャネル効果防止の要請かかわらず、T2よりも厚くすることが可能である。T1を厚くすることにより、電荷蓄積領域に蓄積された電荷が散逸するのを防ぎ、メモリの保持特性を改善することが可能となる。
【0229】
したがって、T1>T2とすることにより、メモリの短チャネル効果を悪化させることなく保持特性を改善することが可能となる。
【0230】
なお、絶縁膜の厚さT1は、書換え速度の低下を考慮して、20nm以下であることが好ましい。
【0231】
(第12の実施形態)
図18(a),図18(b)は、それぞれ本発明の一実施形態のICカード400A,400Bの構成を示している。
【0232】
図18(a)に示すICカード400A内には、MPU(Micro Processing Unit;マイクロ・プロセシング・ユニット)部401、及び、コネクト部408が内蔵されている。MPU部401内には、データメモリ部404、演算部402、制御部403、ROM(Read Only Memory;読み出し専用メモリ)405及びRAM(Random Access Memory;ランダム・アクセス・メモリ)406があり、これらが1つのチップに形成されている。ROM405には、MPU部401を駆動するためのプログラムが格納されている。RAM406はワークエリアとして用いられ、演算データを一時的に記憶する。MPU部401には、本発明の半導体装置が組み込まれている。上記各部401,403,403,404,405,406,408は、配線(データバス、電源線等を含む)407で接続されている。また、コネクト部408と外部のリーダライタ409は、このICカード400Aがリードライタ409に装着されたときに接続され、カード400Aに電力が供給されるとともにデータの交換が行なわれる。
【0233】
本ICカード400Aの特徴は、MPU部401にデータメモリ部404が内蔵され、1つの半導体チップ上に半導体スイッチング素子と半導体記憶素子とが混載されている点である。
【0234】
データメモリ部404には、既述のような製造コストを削減することが可能な半導体記憶素子30,31,41,51A〜51Cまたは61A〜61Dを用いている。これらの半導体記憶素子は微細化が容易であり、かつ2ビット動作が可能であるから、これを配列したメモリセルアレイの面積を縮小するのも容易となる。したがって、メモリセルアレイのコストを削減することができる。このメモリセルアレイをICカード400Aのデータメモリ部404に用いれば、ICカードのコストが削減される。
【0235】
また、MPU部401にデータメモリ部404を内蔵し、1つのチップ上に形成しているので、ICカードのコストを大きく低減することができる。
【0236】
さらに、MPU部401を本発明の半導体装置で構成しているので、つまりデータメモリ部404に半導体記憶素子を用いており、他の回路部には半導体スイッチング素子を用いているので、例えばデータメモリ部404にフラッシュメモリを用いた場合に比べて、製造プロセスが著しく簡略化される。この理由は、データメモリ部404の半導体記憶素子の形成プロセスと、論理回路部(演算部402及び制御部403)を構成する半導体スイッチング素子の形成プロセスとが、互いに非常に似ており、それらを1チップ上に混載するのが非常に容易だからである。したがって、MPU部401とデータメモリ部404を1つのチップ上に形成することによるコスト削減効果が特に大きくなる。
【0237】
なお、ROM405を上記半導体記憶素子で構成してもよい。このようにすれば、ROM405を外部から書き換えることが可能となり、ICカードの機能を飛躍的に高くすることができる。上記記憶素子は微細化が容易で、かつ2ビット動作が可能であるから、マスクROMを上記記憶素子で置き換えてもチップ面積の増大をほとんど招かない。また、上記半導体記憶素子を形成するプロセスは、通常のCMOS形成プロセスとほとんど変わらないので、論理回路部との混載が容易である。
【0238】
次に図18(b)に示すICカード400B内には、MPU部401、RFインターフェース部410、及び、アンテナ部411が内蔵されている。MPU部401内には、データメモリ部404、演算部402、制御部403、ROM405及びRAM406があり、これらが1つのチップに形成されている。上記各部401,402,403,404,405,406,410,411は、配線(データバス、電源線等を含む)407で接続されている。
【0239】
この図18(b)のICカード400Bが、図18(a)のICカード400Aと異なるのは、非接触型であるという点である。そのため、制御部403は、コネクト部ではなく、RFインターフェース部410を介してアンテナ部411に接続されている。アンテナ部411は、外部機器との通信及び集電機能を有する。RFインターフェース部410は、アンテナ部411から伝達された高周波信号を整流し電力を供給する機能と、信号の変調及び復調機能を有する。なお、RFインターフェース部410及びアンテナ部411は、MPU部401と1つのチップ上に混載されていてもよい。
【0240】
本ICカード400Bは非接触型であるから、コネクタ部を通じた静電破壊を防止することができる。また、外部機器と必ずしも密着する必要がないので、使用形態の自由度が大きくなる。更には、データメモリ部404を構成する半導体記憶素子は、従来のフラッシュメモリ(約12Vの電源電圧)に比べて低い電源電圧(例えば約9V)で動作するので、RFインターフェース部410の回路を小型化し、コストを削減することができる。
【0241】
(第13の実施形態)
本発明の半導体装置は、電池駆動の携帯電子機器、特に携帯情報端末に用いることができる。携帯電子機器としては、携帯情報端末、携帯電話、ゲーム機器等が挙げられる。
【0242】
図19は本発明を適用した一実施形態の携帯電話500のブロック構成を示している。
【0243】
この携帯電話500内には、MPU部501、マン・マシンインターフェース部508、RF回路部510、及び、アンテナ部511が内蔵されている。MPU部501内には、データメモリ部504、演算部502、制御部503、ROM505及びRAM506があり、これらが1つのチップに形成されている。ROM505には、MPU部501を駆動するためのプログラムが格納されている。RAM506はワークエリアとして用いられ、演算データを一時的に記憶する。MPU部501には、本発明の半導体装置が組み込まれている。上記各部501,502,503,504,505,506,508,510,511は、配線(データバス、電源線等を含む)507で接続されている。
【0244】
本携帯電話500の特徴は、MPU部501にデータメモリ部504が内蔵され、1つの半導体チップ上に半導体スイッチング素子と半導体記憶素子とが混載されている点である。
【0245】
データメモリ部504には、既述のような製造コストを削減することが可能な半導体記憶素子30,31,41,51A〜51Cまたは61A〜61Dを用いている。これらの半導体記憶素子は微細化が容易であり、かつ2ビット動作が可能であるから、これを配列したメモリセルアレイの面積を縮小するのも容易となる。したがって、メモリセルアレイのコストを削減することができる。このメモリセルアレイを携帯電話500のデータメモリ部504に用いれば、携帯電話のコストが削減される。
【0246】
また、MPU部501にデータメモリ部504を内蔵し、1つのチップ上に形成しているので、携帯電話のコストを大きく低減することができる。
【0247】
さらに、MPU部501を本発明の半導体装置で構成しているので、つまりデータメモリ部504に半導体記憶素子を用いており、他の回路部には半導体スイッチング素子を用いているので、例えばデータメモリ部504にフラッシュメモリを用いた場合に比べて、製造プロセスが著しく簡略化される。この理由は、データメモリ部504の半導体記憶素子の形成プロセスと、論理回路部(演算部502及び制御部503)を構成する半導体スイッチング素子の形成プロセスとが、互いに非常に似ており、それらを1チップ上に混載するのが非常に容易だからである。したがって、MPU部501とデータメモリ部504を1つのチップ上に形成することによるコスト削減効果が特に大きくなる。
【0248】
なお、ROM505を上記半導体記憶素子で構成してもよい。このようにすれば、ROM505を外部から書き換えることが可能となり、携帯電話の機能を飛躍的に高くすることができる。上記記憶素子は微細化が容易で、かつ2ビット動作が可能であるから、マスクROMを上記記憶素子で置き換えてもチップ面積の増大をほとんど招かない。また、上記半導体記憶素子を形成するプロセスは、通常のCMOS形成プロセスとほとんど変わらないので、論理回路部との混載が容易である。
【0249】
このように、本発明の半導体装置を携帯電話500に代表されるような携帯電子機器に用いることにより、制御回路の製造コストが削減されるから、携帯電子機器自体のコストを削減することができる。もしくは、制御回路に含まれる半導体記憶素子を大容量化して、携帯電子機器の機能を高度化することができる。
【0250】
【発明の効果】
以上より明らかなように、本発明の半導体装置は、半導体記憶素子と半導体スイッチング素子とを混載した半導体装置であって、簡単なプロセスで容易に作製でき、低コスト化することができる。
【0251】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体記憶素子と半導体スイッチング素子とを混載した半導体装置を、簡単なプロセスで容易に作製でき、低コスト化できる。
【0252】
また、本発明の携帯電子機器及びICカードは、そのような半導体装置を備えているので、コスト削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体記憶素子の構造の概要を示す概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す概略断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す概略断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す概略断面図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す概略断面図である。
【図6】本発明の第5の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第6の実施形態に係る半導体記憶素子の構造の概要を示す概略断面図である。
【図8】図7の半導体記憶素子が有するメモリ機能体及びその周辺部の拡大図である。
【図9】図8に対応して、メモリ機能体のうちシリコン微粒子のゲート電極から遠い側の端が、ゲート電極から遠い側のメモリ機能体の端と一致していない態様を示す図である。
【図10】メモリ機能体のシリコン微粒子が、ゲート絶縁膜表面と略平行に配列している態様を示す図である。
【図11】本発明の第7の実施形態に係る半導体記憶素子の構造の概要を示す概略断面図である。
【図12】本発明の第8の実施形態に係る半導体記憶素子の構造の概要を示す概略断面図である。
【図13】本発明の第9の実施形態に係る半導体記憶素子の構造の概要を示す概略断面図である。
【図14】本発明の第10の実施形態に係る半導体記憶素子の構造の概要を示す概略断面図である。
【図15】本発明の第11の実施形態に係る半導体記憶素子の構造の概要を示す概略断面図である。
【図16】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成図である。
【図17】本発明の第1の実施形態に係る別の半導体装置の構成図である。
【図18】本発明の第12の実施形態に係るICカードを示す概略ブロック図である。
【図19】本発明の第13の実施形態に係る携帯電話を示す概略ブロック図である。
【図20】従来の不揮発性メモリ素子の構造の概要を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 半導体基板
2 ゲート絶縁膜
3 ゲート電極
4 論理回路領域
5 メモリ領域
6 LDD領域
8 ゲートスタック
10 シリコンドット
11,11A,11B,11C,…,11G メモリ機能体
12 L字型絶縁膜
16 側壁絶縁体
20 オフセット領域
25 サイドウォールスペーサ絶縁体
Claims (18)
- 半導体基板上に、半導体記憶素子を有するメモリ領域と、半導体スイッチング素子を有する論理回路領域とが配置され、
上記半導体記憶素子と半導体スイッチング素子はそれぞれ、ゲート電極と、このゲート電極の両側に相当する半導体基板表面に形成された一対のソース/ドレイン拡散領域とを有する電界効果トランジスタからなり、
上記半導体記憶素子のゲート電極の両側に、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子からなる電荷保持部及び蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体とからなるメモリ機能体が設けられ、
上記半導体記憶素子においては、上記電荷保持部に保持された電荷の多寡により、上記ゲート電極に電圧を印加した際の一方の上記ソース/ドレイン拡散領域から他方の上記ソース/ドレイン拡散領域に流れる電流量を変化させ得るように構成されていることを特徴とする半導体装置。 - 半導体基板上に、半導体記憶素子を有するメモリ領域と、半導体スイッチング素子を有する論理回路領域とが配置され、
上記半導体記憶素子と半導体スイッチング素子はそれぞれ、ゲート電極と、このゲート電極の両側に相当する半導体基板表面に形成された一対のソース/ドレイン拡散領域とを有する電界効果トランジスタからなり、
上記半導体スイッチング素子では、チャネル方向に関して上記ゲート電極の端部の下に上記ソース/ドレイン拡散領域が延在して重なる一方、
上記半導体記憶素子では、チャネル方向に関して上記ゲート電極と上記ソース/ドレイン拡散領域との間に間隔が設けられ、半導体基板表面上の上記間隔を覆うように、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子からなる電荷保持部及び蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体とからなるメモリ機能体が設けられていることを特徴とする半導体装置。 - 請求項2に記載の半導体装置において、
上記半導体スイッチング素子のゲート電極の両側に、上記半導体記憶素子のメモリ機能体と同じものが設けられていることを特徴とする半導体装置。 - 請求項2に記載の半導体装置において、
上記メモリ機能体が上記ゲート電極の側面に設けられたサイドウォールスペーサであることを特徴とする半導体装置。 - 請求項2に記載の半導体装置において、
上記微粒子と上記ゲート電極との間、及び、上記微粒子と上記半導体基板との間に、上記散逸防止絶縁体の少なくとも一部が介在していることを特徴とする半導体装置。 - 請求項2に記載の半導体装置において、
上記散逸防止絶縁体は、上記微粒子と上記ゲート電極との間及び上記微粒子と半導体基板との間を隔離するように、実質的に均一な膜厚で上記ゲート電極の側面と上記ゲート電極の両側に相当する半導体基板表面とを覆う断面L字型の第1の絶縁膜を含むことを特徴とする半導体装置。 - 請求項2に記載の半導体装置において、
上記電荷保持部の最上部位置が上記ゲート電極の最上部位置より下方であることを特徴とする半導体装置。 - 請求項2に記載の半導体装置において、
上記半導体スイッチング素子の上記ソース/ドレイン拡散領域のうち上記ゲート電極の端部の下に延在する部分は、該ソース/ドレイン拡散領域のうち上記ゲート電極及びメモリ機能体の外側に相当する部分よりも不純物濃度が低いことを特徴とする半導体装置。 - 請求項2に記載の半導体装置において、
上記半導体記憶素子では、上記複数の微粒子からなる電荷保持部の少なくとも一部が前記ソース/ドレイン拡散領域の一部にオーバーラップしていることを特徴とする半導体装置。 - 請求項6に記載の半導体装置において、
上記第1の絶縁膜の膜厚が、上記ゲート電極の直下に形成されたゲート絶縁膜の膜厚より薄く、かつ0.8nm以上であることを特徴とする半導体記憶素子を有する半導体装置。 - 請求項6に記載の半導体装置において、
上記第1の絶縁膜の膜厚が、上記ゲート電極の直下に形成されたゲート絶縁膜の膜厚より厚く、かつ20nm以下であることを特徴とする半導体記憶素子を有する半導体装置。 - 請求項1または2に記載の半導体装置を備えたことを特徴とするICカード。
- 請求項1または2に記載の半導体装置を備えたことを特徴とする携帯電子機器。
- 半導体基板上に設定されたメモリ領域に電界効果トランジスタからなる半導体記憶素子を形成するのと並行して、上記半導体基板上に設定された論理回路領域に電界効果トランジスタからなる半導体スイッチング素子を形成する半導体装置の製造方法であって、
上記メモリ領域及び論理回路領域の半導体基板表面上に、それぞれゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
上記メモリ領域に不純物が導入されないようにマスクを設けた状態で上記論理回路領域に上記ゲート電極をマスクとして不純物を導入して、上記論理回路領域に、ソース/ドレイン拡散領域の一部となる第1の不純物領域を形成する工程と、
少なくとも上記メモリ領域の上記ゲート電極の側面に、電荷を蓄積する機能を有する複数の微粒子からなる電荷保持部及び蓄積された電荷の散逸を防止する機能を有する散逸防止絶縁体とからなるメモリ機能体を形成する工程と、
上記メモリ領域と論理回路領域に、上記ゲート電極と形成されたメモリ機能体とをマスクとして上記不純物と同じ導電型の不純物をそれぞれ導入して、ソース/ドレイン拡散領域の少なくとも一部となる第2の不純物領域を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項14に記載の半導体装置の製造方法において、
上記メモリ機能体を形成する工程は、
上記ゲート電極の上面および側面と上記ゲート電極の両側に相当する半導体基板表面とを覆うように、電荷を蓄積する機能をもつ微粒子と上記微粒子に接する絶縁膜とを形成する工程と、
上記微粒子に接する絶縁膜を選択的にエッチングバックして、上記ゲート電極の側面に上記微粒子及び上記絶縁膜を有するサイドウォールスペーサを形成する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項14に記載の半導体装置の製造方法において、
上記メモリ機能体を形成する工程は、
実質的に均一な膜厚で上記ゲート電極の側面と上記ゲート電極の両側に相当する半導体基板表面とを覆う断面L字型の部分をもつ第1の絶縁膜を形成する工程と、
上記第1の絶縁膜の表面に沿って電荷を蓄積する機能をもつ微粒子を形成する処理と、その微粒子の表面を酸化かつ/又は窒化する処理とを組み合わせて1回以上繰り返す工程と、
上記第1の絶縁膜の表面とともに上記酸化かつ/又は窒化された微粒子を覆うように、堆積絶縁膜を堆積する工程と、
上記第1の絶縁膜及び堆積絶縁膜をエッチングバックして、上記ゲート電極の側面に、上記第1の絶縁膜、微粒子及び堆積絶縁膜を有するサイドウォールスペーサを形成する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
上記電荷保持部の最上部位置が上記ゲート電極の最上部位置より下方になるように、上記サイドウォールスペーサを等方性エッチングする工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項14に記載の半導体装置の製造方法において、
上記第1の不純物領域における不純物濃度は、上記第2の不純物領域における不純物濃度より低いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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JP2003134285A JP2004342659A (ja) | 2003-05-13 | 2003-05-13 | 半導体装置及びその製造方法、携帯電子機器、並びにicカード |
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JP2008078376A (ja) * | 2006-09-21 | 2008-04-03 | Oki Electric Ind Co Ltd | 半導体記憶装置 |
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