JP2004342368A - 加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンパクトで、消費電力が低く、高温に加熱した状態であっても外部への発熱を充分に防止し得る加熱装置を提供する。
【解決手段】面状発熱体14を装着した熱伝導性を有する面状基材12の外面側に、断熱室20を形成する外殻部材18を配設し、面状発熱体14と外殻部材18との間に輻射シールド体16を配設し、断熱室20内が略真空状態を維持できるように構成した。面状発熱体14を断熱室20内に含む場合、断熱室20内にガス吸着部26を付設して面状発熱体14からの放出ガスによる真空度の低下を防止した。さらに、他の態様では、面状基材12と外殻部材18との間に内殻部材17を配設して、断熱室20を内殻部材17と外殻部材18との間隙で構成し、面状発熱体14を断熱室20外に配置する構成とした。
【選択図】 図1
【解決手段】面状発熱体14を装着した熱伝導性を有する面状基材12の外面側に、断熱室20を形成する外殻部材18を配設し、面状発熱体14と外殻部材18との間に輻射シールド体16を配設し、断熱室20内が略真空状態を維持できるように構成した。面状発熱体14を断熱室20内に含む場合、断熱室20内にガス吸着部26を付設して面状発熱体14からの放出ガスによる真空度の低下を防止した。さらに、他の態様では、面状基材12と外殻部材18との間に内殻部材17を配設して、断熱室20を内殻部材17と外殻部材18との間隙で構成し、面状発熱体14を断熱室20外に配置する構成とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱装置に関し、さらに詳細には、熱伝導性の基材を介してその外面に装着した発熱体により被加熱対象を加熱する加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造装置では、ウエハを載置した反応室内へ、ガス導入用の配管を介して反応等に使用するガスを導入し、ガス排気用の配管を介して反応室内からのガスを排気している。
【0003】
このガス導入用の配管は、ガス温度が配管内で下がらないように、その外周側から加熱され、高温で維持されている。
【0004】
また、ガス排気用の配管も、反応副生成物の生成を防止する等の目的で同様に加熱され、高温で維持されている。
【0005】
従来より、この加熱もしくは高温での維持を、配管の外周にバンドヒータを巻装して行うなど、発熱部が外部へ露出した加熱手段で配管の外周を覆うことにより行っていた(例えば、特許文献1、2を参照)。
【0006】
しかしながら、半導体装置は通常、クリーン・ルームまたはクリーン・ブース内に設置されているが、このように発熱部が外部へ露出していると不必要なガスもしくはパーティクルを発生し易く、クリーンな環境を汚染してしまう。
【0007】
また、配管に巻装されたバンドヒータは相当量の空間を占有するため、作業空間が狭くなり、このため配管周辺での機械操作に支障を生じたり、配管周辺での装置設計の自由度を制限する要因となる。
【0008】
さらに、バンドヒータ等はその発熱部が外部へ露出しているため、外部への放熱による熱損失が大きく、ヒータの消費する電力は非常に高くなる。
【0009】
加熱した配管を介して配管内部の被加熱対象を加熱するに際し、配管外部への放熱による熱損失を改善する技術としては、流体を輸送するパイプラインにおいて、同心円状に配設した内管と外管との間隙で構成される室内を排気して、内管と外管とを通電することにより加熱した内管からの外部への放熱を抑制する技術が知られている(特許文献3を参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開平10−199818号公報
【特許文献2】
特開平11−288927号公報
【特許文献3】
特開昭62−141391号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した半導体装置の配管は、例えば100℃を超える温度まで加熱する必要があり、これに伴い配管外周に巻装されたバンドヒータが高温で発熱している周辺で作業を行うことは、作業者にとって非常に危険である。
【0012】
このため、コンパクトで場所を取らず、消費電力を低減するという要求を満たすとともに、高温に加熱した状態であっても外部への発熱を充分に防止し得る加熱装置が要望されている。
【0013】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するために為されたものであり、その目的は、コンパクトで、消費電力が低く、高温に加熱した状態であっても外部への発熱を充分に防止し得る加熱装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の加熱装置は、熱伝導性を有する面状基材と、
前記面状基材の片面に装着された面状発熱体と、
前記面状発熱体の外面側に配設され、該面状発熱体の外面側に断熱室を形成する外殻部材とを備え、
前記断熱室内が略真空状態を維持できるように構成されていることを特徴としている。
【0015】
このように構成することにより、面状発熱体と外殻部材との間には略真空状態である断熱室が形成されているため、面状発熱体から外殻部材へのガスを介した熱伝導が遮断される。
【0016】
さらに、抵抗体を絶縁フィルムで挟持して形成した発熱体等の薄い面状発熱体を用いるとともに、その近傍に沿って外殻部材を配設した構造であるため、例えば面状基材の面状発熱体側の表面から外殻部材の外面までの厚さが2〜10mmとすることができ、コンパクトな装置構成とすることができる。
【0017】
また、本発明の加熱装置は、前記断熱室が、前記面状基材と外殻部材との間隙で構成され、
前記面状発熱体と外殻部材との間に配設された輻射シールド体とを備えるとともに、
前記外殻部材の内面に、ガス吸着部を付設したことを特徴としている。
【0018】
また、前記ガス吸着部が、ガス吸着材としてゲッター材を含むことが好適である。
【0019】
また、前記面状基材が内管を構成し、前記外殻部材が外管を構成する二重配管構造であることが好適である。
【0020】
この場合、面状発熱体と外殻部材との間には銅箔等の輻射シールド体が介在しているため、面状発熱体から外殻部材への赤外線輻射による熱伝導が遮断される。
【0021】
したがって、面状発熱体からの熱損失が抑えられ、消費電力を低くすることができるとともに、面状発熱体により面状基材を高温に加熱した状態であっても外殻部材は加熱されず、その表面の発熱を充分に防止することができる。
【0022】
さらに、面状発熱体から加熱により経時的に放出されるガスがゲッター材等により捕捉され、断熱室内の真空度の低下が防止される。
【0023】
したがって、この放出ガスに起因する、所定温度に加熱するための消費電力の経時的な増加、あるいは面状発熱体から外殻部材への熱伝導を充分に防止することができる。
【0024】
また、本発明の加熱装置は、前記面状基材と外殻部材との間に内殻部材が配設され、
前記断熱室が、前記内殻部材と外殻部材との間隙で構成されていることを特徴としている。
【0025】
この場合、前記面状基材が内管を構成し、前記内殻部材が中管を構成し、前記外殻部材が外管を構成する三重配管構造であることが好適である。
【0026】
このように構成することにより、断熱室を内殻部材と外殻部材との間隙で構成して、面状発熱体を断熱室外に配置することとしたので、面状発熱体から加熱により経時的に放出されるガスで断熱室内の真空度が低下することがない。
【0027】
したがって、この放出ガスに起因する、所定温度に加熱するための消費電力の経時的な増加、あるいは面状発熱体から外殻部材への熱伝導を防止することができる。
【0028】
また、本発明の加熱装置は、前記内管が露出した両端部を覆うように、前記外管の両端部に保護部材を取り付けたことを特徴としている。
【0029】
このように構成することにより、両端部で内管が露出している場合であっても、その周囲に保護部材が配置されているため、この露出部へ素手等が接触することが防止される。
【0030】
したがって、例えばこれらの二重もしくは三重配管の近傍で作業を行う際に、加熱された内管の露出部へ素手等が接触して火傷してしまうことを防止することができ、安全性を向上することができる。
【0031】
また、本発明の加熱装置は、前記面状発熱体が、抵抗体と、該抵抗体の一面側に配設した絶縁フィルムと、該抵抗体の他面側に配設した絶縁フィルムとを含み、
前記各絶縁フィルムを、前記抵抗体を挟持するように接合して形成されていることを特徴としている。
【0032】
この場合、前記絶縁フィルムがポリイミドフィルムであることが好適である。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明の加熱装置の一実施形態を示した概略断面図、図2は、図1の断面に対する垂直面による概略断面図、図3は、本発明の加熱装置の他の実施形態を示した概略断面図、図4は、図3の断面に対する垂直面による概略断面図、図5は、本発明の加熱装置の他の実施形態を示した概略断面図、図6は、図5の断面に対する垂直面による概略断面図、図7は、本発明の加熱装置の他の実施形態を示した概略断面図、図8は、図7の断面に対する垂直面による概略断面図である。
【0035】
図1〜図8に示したように、本発明の加熱装置10は、面状基材12の片面に装着された面状発熱体14と、面状発熱体14の外面側に配設された外殻部材18とを備えている。
【0036】
面状発熱体14の外面側には、断熱室20が形成されている。この断熱室20は、略真空状態を維持できるように構成されている。
【0037】
被加熱対象は、面状発熱体14により片面側から加熱された熱伝導性の面状基材12により、その他面側からの発熱によって加熱される。
【0038】
面状基材12の形状としては、例えば図5〜8において示した配管状、あるいは配管へ連結されるバルブ等の機器を構成する少なくとも一部の形状など、特に限定されず、平面状、多面状、曲面状または中空状等とすることができる。
【0039】
面状発熱体14としては、抵抗体を絶縁フィルムで挟持して形成したものを用いることが好ましい。図9は、この抵抗体を絶縁フィルムで挟持した面状発熱体の例を示した概略断面図である。同図に示したように、この面状発熱体14は、通電により発熱する抵抗体38と、抵抗体38の一面側に配設した絶縁フィルム36aと、抵抗体38の他面側に配設した絶縁フィルム36bとを有している。抵抗体38は、絶縁フィルムを介して2層以上に積層されていてもよい。面状発熱体14の厚さは、特に限定されないが、通常50〜500μmである。
【0040】
抵抗体38は、絶縁フィルム面が均一に加熱されるように、例えば蛇行もしくは曲折してフィルム全体に一様に配置され、そのパターンはエッチング加工等により形成される。
【0041】
このような抵抗体38としては、例えばニクロム線(ニッケル−クロム合金)、カンタル、ステンレススチール、鉄−ニッケル合金、銅−ニッケル合金等の箔状物が挙げられる。
【0042】
絶縁フィルム36a、36bは、抵抗体38を挟持するように接合される。絶縁フィルム36a、36bの形成材料としては、合成樹脂が使用される。この合成樹脂としては、例えばポリイミド、FEP、PFA、PETが挙げられるが、ポリイミドが、機械的強度、耐熱性および電気的特性に優れているため特に好ましい。
【0043】
絶縁フィルム36a、36bとしてポリイミドを使用する場合、これらのフィルムを接着剤を介して接着するか、あるいはこれらのフィルムを熱融着して直接に接合する。この接着剤としては、例えばシリコーン、ゴム系材料、ポリアミック酸溶液を接合面に塗布した後、加熱して脱水縮合させて接着を行う熱硬化性ポリイミド、および融着(ホットメルト)タイプの熱可塑性ポリイミドが挙げられる。
【0044】
抵抗体38は、図示しない温度調節装置とリード線を介して接続され、この温度調節装置は、図示しない測温体からの測温情報に基づいて抵抗体38への通電を制御し、これにより面状基材12の温度を調節している。この測温体としては、例えば熱電対が使用され、面状基材12に接続される。温度制御装置からのリード線は、外殻部材18等の適切な位置にリード線接続用端子を設けるなどして断熱室20内もしくは離隔室21内に導入され、室内の面状発熱体14が内包する抵抗体へ接続される。
【0045】
外殻部材18の形成材料としては、特に限定されないが、金属が好ましく使用され、外部への熱放射を促すためにできるだけ薄く形成することが望ましい。
【0046】
また、本発明の一態様では、面状発熱体14の外面側に輻射シールド体16を設置している。この輻射シールド体16は、面状発熱体14からの赤外線輻射を遮断し、これにより外殻部材が輻射により加熱されることを防止している。この輻射シールド体16としては、銅箔を使用することが好ましい。この銅箔の厚さは、特に限定されないが、好ましくは9〜20μmである。
【0047】
このような構成とした本発明の加熱装置10は、用途に応じて、例えば装置を中空状に形成して、内部に導入した被加熱対象を加熱するように構成し、装置の外側が全体的に外殻部材18で覆われるように構成した態様、あるいは装置を略平板状に形成して、加熱プレートとして用いる態様等、任意の装置構成とすることができる。
【0048】
以下、図1に示した実施形態の加熱装置について説明する。同図の加熱装置10では、断熱室20が、面状基材12と外殻部材18との間隙で構成されている。また、輻射シールド体16が、断熱室20内の面状発熱体14を覆うように、その外面全体に渡り装着されている。なお、平行する面状基材12面と外殻部材18面との間隙幅を規定する周囲のカバー部材は、例えば水平面部から連続する外殻部材18であってよい。
【0049】
本実施形態では、外殻部材18の内面に、ガス吸着部26が付設されている。断熱室20内の面状発熱体14は、加熱に伴い経時的にガスを発生する。これにより断熱室20内の真空度が低下すると、面状発熱体14からの熱が外殻部材18へ伝導するようになり、外殻部材18が加熱されてしまう。ガス吸着部26は、これを防止するためのものであり、発生したガスを吸着して真空度の低下を防止する。
【0050】
ガス吸着部26は、ガス吸着材として、良好なガス吸着能をもつゲッター材を含むことが好ましい。ゲッター材には非蒸発型と蒸発型があるが、いずれの場合も予め加熱して活性化させる必要がある。非蒸発型のゲッター材としては、例えば、Zr−Al、Zr−V−Fe、Zr−Ti等のZrを主成分とする合金で、バルク形状や多孔質形状のものが挙げられる。蒸発型のゲッター材としては、例えば、Ba、Ba−Al系、およびTi系の、金属もしくは合金が挙げられる。
【0051】
加熱装置10の形状は、前述したように、用途に応じて所望の形状とすることができ、特に限定されないが、面状基材12を例えば配管もしくはこれに連結する機器のような中空部材の少なくとも一部として、その外周を外殻部材18で覆い当該中空部材内を流通するガス等の被加熱対象を加熱する構成とすることが好適であり、特に、図5に示したように、面状基材12を内管とし、外殻部材18を外管とした二重配管構造とすることが好適である。
【0052】
以下、図5に示した実施形態の、半導体装置のガス導入・排出用配管として使用される加熱装置10について、その製造方法の一例を説明する。
【0053】
内管(面状基材)12を金属で形成し、その内面を電解研磨、化学研磨またはバフ研磨等にて仕上げ、両端部に継手30を取り付ける。
【0054】
外管(外殻部材)18を金属で形成し、その内面を、輻射熱を受けにくくするために、外面とともに電解研磨、化学研磨またはバフ研磨等にて仕上げる。前述したように、外管18の厚みは外部への熱放射を促すためにできるだけ薄くする。
【0055】
外管18の外面には、排気ポート24を取り付ける。この排気ポート24は、メタルシールまたは溶接等により排気口22を封止できるように構成されている。また、排気ポート24には、面状発熱体14を加熱するために図示しない温度調節装置から電流を導入するための端子を設置する。
【0056】
外管18の内面には、ゲッタ−材を封入したガス吸着部26を取り付ける。真空露出面積等の条件に応じて、2以上のガス吸着部26を設置してもよい。
【0057】
内管12の外面には、面状発熱体14を巻装する。この面状発熱体14を巻装する態様としては、特に限定されないが、内管12の加熱部分に対応する外面に、一面に隙間なく巻き付けることが、被加熱対象に対して均一な加熱を行う観点から好ましい。半導体装置のガス導入・排出用配管として使用する場合、例えば排出用配管での反応副生成物の生成を防止するためには管内を100〜300℃程度に加熱する必要があるが、このためには面状発熱体14として、前述した、抵抗体をポリイミドで挟持して形成したポリイミドヒータを使用することが好ましい。ポリイミドヒータは300℃程度まで昇温可能であり、経時で放出するガスの量も少ない。
【0058】
さらに、面状発熱体14の外面に輻射シールド体16として厚さが10μmの銅箔を巻装する。
【0059】
排気ポート24とガス吸着部26とを取り付けた外管18は、内管12に取り付けられる。こうして形成された断熱室20を真空排気しながら、面状発熱体14と、外管18に巻装したバンドヒータとを加熱して、断熱室20内をベーキングする。ベーキングは、例えば内管と外管の温度を200℃程度とし、これを6時間程度維持して行う。ベーキングと真空排気は、断熱室20内面の加熱と真空排気とを交互に行いこれを繰り返すか、あるいは加熱しながら同時に真空排気して行う。
【0060】
このように真空排気をしながらベーキングをする状態で、ゲッター材を活性化するために、ガス吸着部26を、バーナー等を用いて、例えば300℃で1時間もしくは450℃で30分間程度加熱する。
【0061】
ゲッター材の活性化を終了した後、排気ポート24の真空封止を行う。
【0062】
次いで、面状発熱体14の温度調節を行うため、内管12端部の露出部35に測温センサとして熱電対を取り付ける。
【0063】
この露出部35の周囲には、内管12の加熱時に素手等が触れないように、火傷防止のための保護部材32を、外管18の両端部に取り付ける。
【0064】
このようにして製造された二重配管型の加熱装置10は、バンドヒータを配管の外面に巻き付けた従来の場合に比して、コンパクトで取り扱いやすく、作業空間を広くすることができ、装置配置等の設計自由度も広くなる。
【0065】
また、ベーキングを行うとともにガス吸着部を設置したため、断熱室20内の真空度は例えば10−8〜10−6Torrとすることができ、これにより面状発熱体14からの熱損失が抑えられ、バンドヒータを配管の外面に巻き付けた従来の場合に比して、消費電力を大幅に低減することができる。すなわち、バンドヒータで外部から配管を昇温させる方法と比較して、本発明の加熱装置10では内管12を目的温度まで到達させるために要する加熱時間を約1/2とすることができ、消費電力を1/3〜2/3程度とすることができる。
【0066】
さらに、内管12を加熱した状態においても外殻部材18は加熱されず、その表面に素手等が接触しても全く問題はなく、この周辺で作業を行う場合であっても安全な環境で作業を行うことができる。
【0067】
以下、図3に示した実施形態の加熱装置について説明する。同図の加熱装置10では、断熱室20が、内殻部材17と外殻部材18との間隙で構成されている。また、輻射シールド体16が、内殻部材17の外面に、面状発熱体14からの赤外線輻射を遮断するように装着されている。
【0068】
図1、3の実施形態では、断熱室20内に、面状発熱体14から経時的に放出されるガスを吸着するガス吸着部26を設置したが、本実施形態では、断熱室20を内殻部材17と外殻部材18との間隙で構成して、面状発熱体14を断熱室20外に配置したことにより、面状発熱体14から経時的に放出されるガスによる断熱室20内の真空度の低下が防止される。なお、面状基材12と内殻部材17との間隙で構成される離隔室21内は、大気圧としてよい。
【0069】
加熱装置10の形状は、前述したように、用途に応じて所望の形状とすることができ特に限定されないが、特に、図7に示したように、面状基材12を内管とし、内殻部材17を中管とし、外殻部材18を外管とした三重配管構造とすることが好適である。
【0070】
以下、図7に示した実施形態の、半導体装置のガス導入・排出用配管として使用される加熱装置10について、その製造方法の一例を説明する。
【0071】
内管(面状基材)12を金属で形成し、その内面を電解研磨、化学研磨またはバフ研磨等にて仕上げ、両端部に継手を取り付ける。
【0072】
中管(内殻部材)17を金属で形成し、その外面(真空露出面)を電解研磨、化学研磨またはバフ研磨等にて仕上げる。
【0073】
外管(外殻部材)18を金属で形成し、その内面を、輻射熱を受けにくくするために、外面とともに電解研磨、化学研磨またはバフ研磨等にて仕上げる。前述したように、外管18の厚みは外部への熱放射を促すためにできるだけ薄くする。
【0074】
外管18の外面には、排気ポート24を取り付ける。この排気ポート24は、メタルシールまたは溶接等により排気口22を封止できるように構成されている。
【0075】
内管12の外面には、面状発熱体14を巻装する。この面状発熱体14を巻装する態様としては、特に限定されないが、内管12の加熱部分に対応する外面に、一面に隙間なく巻き付けることが好ましい。前述したように、面状発熱体14としては、抵抗体をポリイミドで挟持して形成したポリイミドヒータを使用することが好ましい。しかし、本実施形態では、面状発熱体14を断熱室20外に配置したことにより、面状発熱体14から経時的に放出されるガスによる断熱室20内の真空度の低下が防止されるため、シリコンラバーヒータ(厚さ0.8〜1.6mm)のようなガス放出量の高いヒータも好適に利用可能である。
【0076】
中管17の外面には、輻射シールド体16として厚さが10μmの銅箔を巻装する。
【0077】
排気ポート24を取り付けた外管18は、中管17に取り付けられ、次いでこれらは内管12へ取り付けられる。こうして形成された断熱室20内を真空排気しながら、面状発熱体14と、外管18に巻装したバンドヒータとを加熱して、断熱室20内を、前述したようにベーキングする。
【0078】
ベーキングを終了した後、断熱室20内が所定の真空度まで下がったことを確認して排気ポート24の真空封止を行う。
【0079】
次いで、面状発熱体14の温度調節を行うため、内管12端部の露出部35に測温センサとして熱電対を取り付ける。
【0080】
この露出部35の周囲に、内管12の加熱時に素手等が触れないように、火傷防止のための保護部材32を、外管18の両端部に取り付ける。
【0081】
【発明の効果】
以上説明した本発明の加熱装置によれば、面状発熱体と外殻部材との間に、略真空状態に維持可能な断熱室が形成されているため、面状発熱体から外殻部材へのガスを介した熱伝導が遮断される。さらに、面状発熱体と外殻部材との間に銅箔等の輻射シールド体を介在させることで、面状発熱体から外殻部材への赤外線輻射による熱伝導が遮断される。
【0082】
したがって、面状発熱体からの熱損失が抑えられ、消費電力を低くすることができるとともに、面状発熱体により面状基材を高温に加熱した状態であっても外殻部材は加熱されず、その表面の発熱を充分に防止することができる。
【0083】
さらに、抵抗体を絶縁フィルムで挟持して形成した発熱体等の薄い面状発熱体を用いるとともに、その近傍に沿って外殻部材を配設した構造であるため、コンパクトな装置構成とすることができる。
【0084】
また、面状発熱体から加熱により経時的に放出されるガスがゲッター材等により捕捉され、断熱室内の真空度の低下が防止される。
【0085】
したがって、この放出ガスに起因する、所定温度に加熱するための消費電力の経時的な増加、あるいは面状発熱体から外殻部材への熱伝導を充分に防止することができる。
【0086】
また、断熱室を内殻部材と外殻部材との間隙で構成して、面状発熱体を断熱室外に配置することとしたので、面状発熱体から加熱により経時的に放出されるガスで断熱室内の真空度が低下することがない。
【0087】
したがって、この放出ガスに起因する、所定温度に加熱するための消費電力の経時的な増加、あるいは面状発熱体から外殻部材への熱伝導を防止することができる。
【0088】
また、内管が露出した両端部を覆うように、外管の両端部に保護部材を取り付けることとしたので、両端部で内管が露出している場合であっても、この露出部へ素手等が接触することが防止される。
【0089】
したがって、配管近傍で作業を行う際に、加熱された内管の露出部へ素手等が接触して火傷してしまうことを防止することができ、安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の加熱装置の一実施形態を示した概略断面図である。
【図2】図2は、図1の断面に対する垂直面による概略断面図である。
【図3】図3は、本発明の加熱装置の他の実施形態を示した概略断面図である。
【図4】図4は、図3の断面に対する垂直面による概略断面図である。
【図5】図5は、本発明の加熱装置の他の実施形態を示した概略断面図である。
【図6】図6は、図5の断面に対する垂直面による概略断面図である。
【図7】図7は、本発明の加熱装置の他の実施形態を示した概略断面図である。
【図8】図8は、図7の断面に対する垂直面による概略断面図である。
【図9】図9は、抵抗体を絶縁フィルムで挟持した面状発熱体の例を示した概略断面図である。
【符号の説明】
10 加熱装置
12 面状基材(内管)
14 面状発熱体
16 輻射シールド体
17 内殻部材(中管)
18 外殻部材(外管)
20 断熱室
21 離隔室
22 排気口
24 排気ポート
26 ガス吸着部
30 継手
32 保護部材
34 管内空隙
35 露出部
36a,36b 絶縁フィルム
38 抵抗体
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱装置に関し、さらに詳細には、熱伝導性の基材を介してその外面に装着した発熱体により被加熱対象を加熱する加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造装置では、ウエハを載置した反応室内へ、ガス導入用の配管を介して反応等に使用するガスを導入し、ガス排気用の配管を介して反応室内からのガスを排気している。
【0003】
このガス導入用の配管は、ガス温度が配管内で下がらないように、その外周側から加熱され、高温で維持されている。
【0004】
また、ガス排気用の配管も、反応副生成物の生成を防止する等の目的で同様に加熱され、高温で維持されている。
【0005】
従来より、この加熱もしくは高温での維持を、配管の外周にバンドヒータを巻装して行うなど、発熱部が外部へ露出した加熱手段で配管の外周を覆うことにより行っていた(例えば、特許文献1、2を参照)。
【0006】
しかしながら、半導体装置は通常、クリーン・ルームまたはクリーン・ブース内に設置されているが、このように発熱部が外部へ露出していると不必要なガスもしくはパーティクルを発生し易く、クリーンな環境を汚染してしまう。
【0007】
また、配管に巻装されたバンドヒータは相当量の空間を占有するため、作業空間が狭くなり、このため配管周辺での機械操作に支障を生じたり、配管周辺での装置設計の自由度を制限する要因となる。
【0008】
さらに、バンドヒータ等はその発熱部が外部へ露出しているため、外部への放熱による熱損失が大きく、ヒータの消費する電力は非常に高くなる。
【0009】
加熱した配管を介して配管内部の被加熱対象を加熱するに際し、配管外部への放熱による熱損失を改善する技術としては、流体を輸送するパイプラインにおいて、同心円状に配設した内管と外管との間隙で構成される室内を排気して、内管と外管とを通電することにより加熱した内管からの外部への放熱を抑制する技術が知られている(特許文献3を参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開平10−199818号公報
【特許文献2】
特開平11−288927号公報
【特許文献3】
特開昭62−141391号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した半導体装置の配管は、例えば100℃を超える温度まで加熱する必要があり、これに伴い配管外周に巻装されたバンドヒータが高温で発熱している周辺で作業を行うことは、作業者にとって非常に危険である。
【0012】
このため、コンパクトで場所を取らず、消費電力を低減するという要求を満たすとともに、高温に加熱した状態であっても外部への発熱を充分に防止し得る加熱装置が要望されている。
【0013】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するために為されたものであり、その目的は、コンパクトで、消費電力が低く、高温に加熱した状態であっても外部への発熱を充分に防止し得る加熱装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の加熱装置は、熱伝導性を有する面状基材と、
前記面状基材の片面に装着された面状発熱体と、
前記面状発熱体の外面側に配設され、該面状発熱体の外面側に断熱室を形成する外殻部材とを備え、
前記断熱室内が略真空状態を維持できるように構成されていることを特徴としている。
【0015】
このように構成することにより、面状発熱体と外殻部材との間には略真空状態である断熱室が形成されているため、面状発熱体から外殻部材へのガスを介した熱伝導が遮断される。
【0016】
さらに、抵抗体を絶縁フィルムで挟持して形成した発熱体等の薄い面状発熱体を用いるとともに、その近傍に沿って外殻部材を配設した構造であるため、例えば面状基材の面状発熱体側の表面から外殻部材の外面までの厚さが2〜10mmとすることができ、コンパクトな装置構成とすることができる。
【0017】
また、本発明の加熱装置は、前記断熱室が、前記面状基材と外殻部材との間隙で構成され、
前記面状発熱体と外殻部材との間に配設された輻射シールド体とを備えるとともに、
前記外殻部材の内面に、ガス吸着部を付設したことを特徴としている。
【0018】
また、前記ガス吸着部が、ガス吸着材としてゲッター材を含むことが好適である。
【0019】
また、前記面状基材が内管を構成し、前記外殻部材が外管を構成する二重配管構造であることが好適である。
【0020】
この場合、面状発熱体と外殻部材との間には銅箔等の輻射シールド体が介在しているため、面状発熱体から外殻部材への赤外線輻射による熱伝導が遮断される。
【0021】
したがって、面状発熱体からの熱損失が抑えられ、消費電力を低くすることができるとともに、面状発熱体により面状基材を高温に加熱した状態であっても外殻部材は加熱されず、その表面の発熱を充分に防止することができる。
【0022】
さらに、面状発熱体から加熱により経時的に放出されるガスがゲッター材等により捕捉され、断熱室内の真空度の低下が防止される。
【0023】
したがって、この放出ガスに起因する、所定温度に加熱するための消費電力の経時的な増加、あるいは面状発熱体から外殻部材への熱伝導を充分に防止することができる。
【0024】
また、本発明の加熱装置は、前記面状基材と外殻部材との間に内殻部材が配設され、
前記断熱室が、前記内殻部材と外殻部材との間隙で構成されていることを特徴としている。
【0025】
この場合、前記面状基材が内管を構成し、前記内殻部材が中管を構成し、前記外殻部材が外管を構成する三重配管構造であることが好適である。
【0026】
このように構成することにより、断熱室を内殻部材と外殻部材との間隙で構成して、面状発熱体を断熱室外に配置することとしたので、面状発熱体から加熱により経時的に放出されるガスで断熱室内の真空度が低下することがない。
【0027】
したがって、この放出ガスに起因する、所定温度に加熱するための消費電力の経時的な増加、あるいは面状発熱体から外殻部材への熱伝導を防止することができる。
【0028】
また、本発明の加熱装置は、前記内管が露出した両端部を覆うように、前記外管の両端部に保護部材を取り付けたことを特徴としている。
【0029】
このように構成することにより、両端部で内管が露出している場合であっても、その周囲に保護部材が配置されているため、この露出部へ素手等が接触することが防止される。
【0030】
したがって、例えばこれらの二重もしくは三重配管の近傍で作業を行う際に、加熱された内管の露出部へ素手等が接触して火傷してしまうことを防止することができ、安全性を向上することができる。
【0031】
また、本発明の加熱装置は、前記面状発熱体が、抵抗体と、該抵抗体の一面側に配設した絶縁フィルムと、該抵抗体の他面側に配設した絶縁フィルムとを含み、
前記各絶縁フィルムを、前記抵抗体を挟持するように接合して形成されていることを特徴としている。
【0032】
この場合、前記絶縁フィルムがポリイミドフィルムであることが好適である。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明の加熱装置の一実施形態を示した概略断面図、図2は、図1の断面に対する垂直面による概略断面図、図3は、本発明の加熱装置の他の実施形態を示した概略断面図、図4は、図3の断面に対する垂直面による概略断面図、図5は、本発明の加熱装置の他の実施形態を示した概略断面図、図6は、図5の断面に対する垂直面による概略断面図、図7は、本発明の加熱装置の他の実施形態を示した概略断面図、図8は、図7の断面に対する垂直面による概略断面図である。
【0035】
図1〜図8に示したように、本発明の加熱装置10は、面状基材12の片面に装着された面状発熱体14と、面状発熱体14の外面側に配設された外殻部材18とを備えている。
【0036】
面状発熱体14の外面側には、断熱室20が形成されている。この断熱室20は、略真空状態を維持できるように構成されている。
【0037】
被加熱対象は、面状発熱体14により片面側から加熱された熱伝導性の面状基材12により、その他面側からの発熱によって加熱される。
【0038】
面状基材12の形状としては、例えば図5〜8において示した配管状、あるいは配管へ連結されるバルブ等の機器を構成する少なくとも一部の形状など、特に限定されず、平面状、多面状、曲面状または中空状等とすることができる。
【0039】
面状発熱体14としては、抵抗体を絶縁フィルムで挟持して形成したものを用いることが好ましい。図9は、この抵抗体を絶縁フィルムで挟持した面状発熱体の例を示した概略断面図である。同図に示したように、この面状発熱体14は、通電により発熱する抵抗体38と、抵抗体38の一面側に配設した絶縁フィルム36aと、抵抗体38の他面側に配設した絶縁フィルム36bとを有している。抵抗体38は、絶縁フィルムを介して2層以上に積層されていてもよい。面状発熱体14の厚さは、特に限定されないが、通常50〜500μmである。
【0040】
抵抗体38は、絶縁フィルム面が均一に加熱されるように、例えば蛇行もしくは曲折してフィルム全体に一様に配置され、そのパターンはエッチング加工等により形成される。
【0041】
このような抵抗体38としては、例えばニクロム線(ニッケル−クロム合金)、カンタル、ステンレススチール、鉄−ニッケル合金、銅−ニッケル合金等の箔状物が挙げられる。
【0042】
絶縁フィルム36a、36bは、抵抗体38を挟持するように接合される。絶縁フィルム36a、36bの形成材料としては、合成樹脂が使用される。この合成樹脂としては、例えばポリイミド、FEP、PFA、PETが挙げられるが、ポリイミドが、機械的強度、耐熱性および電気的特性に優れているため特に好ましい。
【0043】
絶縁フィルム36a、36bとしてポリイミドを使用する場合、これらのフィルムを接着剤を介して接着するか、あるいはこれらのフィルムを熱融着して直接に接合する。この接着剤としては、例えばシリコーン、ゴム系材料、ポリアミック酸溶液を接合面に塗布した後、加熱して脱水縮合させて接着を行う熱硬化性ポリイミド、および融着(ホットメルト)タイプの熱可塑性ポリイミドが挙げられる。
【0044】
抵抗体38は、図示しない温度調節装置とリード線を介して接続され、この温度調節装置は、図示しない測温体からの測温情報に基づいて抵抗体38への通電を制御し、これにより面状基材12の温度を調節している。この測温体としては、例えば熱電対が使用され、面状基材12に接続される。温度制御装置からのリード線は、外殻部材18等の適切な位置にリード線接続用端子を設けるなどして断熱室20内もしくは離隔室21内に導入され、室内の面状発熱体14が内包する抵抗体へ接続される。
【0045】
外殻部材18の形成材料としては、特に限定されないが、金属が好ましく使用され、外部への熱放射を促すためにできるだけ薄く形成することが望ましい。
【0046】
また、本発明の一態様では、面状発熱体14の外面側に輻射シールド体16を設置している。この輻射シールド体16は、面状発熱体14からの赤外線輻射を遮断し、これにより外殻部材が輻射により加熱されることを防止している。この輻射シールド体16としては、銅箔を使用することが好ましい。この銅箔の厚さは、特に限定されないが、好ましくは9〜20μmである。
【0047】
このような構成とした本発明の加熱装置10は、用途に応じて、例えば装置を中空状に形成して、内部に導入した被加熱対象を加熱するように構成し、装置の外側が全体的に外殻部材18で覆われるように構成した態様、あるいは装置を略平板状に形成して、加熱プレートとして用いる態様等、任意の装置構成とすることができる。
【0048】
以下、図1に示した実施形態の加熱装置について説明する。同図の加熱装置10では、断熱室20が、面状基材12と外殻部材18との間隙で構成されている。また、輻射シールド体16が、断熱室20内の面状発熱体14を覆うように、その外面全体に渡り装着されている。なお、平行する面状基材12面と外殻部材18面との間隙幅を規定する周囲のカバー部材は、例えば水平面部から連続する外殻部材18であってよい。
【0049】
本実施形態では、外殻部材18の内面に、ガス吸着部26が付設されている。断熱室20内の面状発熱体14は、加熱に伴い経時的にガスを発生する。これにより断熱室20内の真空度が低下すると、面状発熱体14からの熱が外殻部材18へ伝導するようになり、外殻部材18が加熱されてしまう。ガス吸着部26は、これを防止するためのものであり、発生したガスを吸着して真空度の低下を防止する。
【0050】
ガス吸着部26は、ガス吸着材として、良好なガス吸着能をもつゲッター材を含むことが好ましい。ゲッター材には非蒸発型と蒸発型があるが、いずれの場合も予め加熱して活性化させる必要がある。非蒸発型のゲッター材としては、例えば、Zr−Al、Zr−V−Fe、Zr−Ti等のZrを主成分とする合金で、バルク形状や多孔質形状のものが挙げられる。蒸発型のゲッター材としては、例えば、Ba、Ba−Al系、およびTi系の、金属もしくは合金が挙げられる。
【0051】
加熱装置10の形状は、前述したように、用途に応じて所望の形状とすることができ、特に限定されないが、面状基材12を例えば配管もしくはこれに連結する機器のような中空部材の少なくとも一部として、その外周を外殻部材18で覆い当該中空部材内を流通するガス等の被加熱対象を加熱する構成とすることが好適であり、特に、図5に示したように、面状基材12を内管とし、外殻部材18を外管とした二重配管構造とすることが好適である。
【0052】
以下、図5に示した実施形態の、半導体装置のガス導入・排出用配管として使用される加熱装置10について、その製造方法の一例を説明する。
【0053】
内管(面状基材)12を金属で形成し、その内面を電解研磨、化学研磨またはバフ研磨等にて仕上げ、両端部に継手30を取り付ける。
【0054】
外管(外殻部材)18を金属で形成し、その内面を、輻射熱を受けにくくするために、外面とともに電解研磨、化学研磨またはバフ研磨等にて仕上げる。前述したように、外管18の厚みは外部への熱放射を促すためにできるだけ薄くする。
【0055】
外管18の外面には、排気ポート24を取り付ける。この排気ポート24は、メタルシールまたは溶接等により排気口22を封止できるように構成されている。また、排気ポート24には、面状発熱体14を加熱するために図示しない温度調節装置から電流を導入するための端子を設置する。
【0056】
外管18の内面には、ゲッタ−材を封入したガス吸着部26を取り付ける。真空露出面積等の条件に応じて、2以上のガス吸着部26を設置してもよい。
【0057】
内管12の外面には、面状発熱体14を巻装する。この面状発熱体14を巻装する態様としては、特に限定されないが、内管12の加熱部分に対応する外面に、一面に隙間なく巻き付けることが、被加熱対象に対して均一な加熱を行う観点から好ましい。半導体装置のガス導入・排出用配管として使用する場合、例えば排出用配管での反応副生成物の生成を防止するためには管内を100〜300℃程度に加熱する必要があるが、このためには面状発熱体14として、前述した、抵抗体をポリイミドで挟持して形成したポリイミドヒータを使用することが好ましい。ポリイミドヒータは300℃程度まで昇温可能であり、経時で放出するガスの量も少ない。
【0058】
さらに、面状発熱体14の外面に輻射シールド体16として厚さが10μmの銅箔を巻装する。
【0059】
排気ポート24とガス吸着部26とを取り付けた外管18は、内管12に取り付けられる。こうして形成された断熱室20を真空排気しながら、面状発熱体14と、外管18に巻装したバンドヒータとを加熱して、断熱室20内をベーキングする。ベーキングは、例えば内管と外管の温度を200℃程度とし、これを6時間程度維持して行う。ベーキングと真空排気は、断熱室20内面の加熱と真空排気とを交互に行いこれを繰り返すか、あるいは加熱しながら同時に真空排気して行う。
【0060】
このように真空排気をしながらベーキングをする状態で、ゲッター材を活性化するために、ガス吸着部26を、バーナー等を用いて、例えば300℃で1時間もしくは450℃で30分間程度加熱する。
【0061】
ゲッター材の活性化を終了した後、排気ポート24の真空封止を行う。
【0062】
次いで、面状発熱体14の温度調節を行うため、内管12端部の露出部35に測温センサとして熱電対を取り付ける。
【0063】
この露出部35の周囲には、内管12の加熱時に素手等が触れないように、火傷防止のための保護部材32を、外管18の両端部に取り付ける。
【0064】
このようにして製造された二重配管型の加熱装置10は、バンドヒータを配管の外面に巻き付けた従来の場合に比して、コンパクトで取り扱いやすく、作業空間を広くすることができ、装置配置等の設計自由度も広くなる。
【0065】
また、ベーキングを行うとともにガス吸着部を設置したため、断熱室20内の真空度は例えば10−8〜10−6Torrとすることができ、これにより面状発熱体14からの熱損失が抑えられ、バンドヒータを配管の外面に巻き付けた従来の場合に比して、消費電力を大幅に低減することができる。すなわち、バンドヒータで外部から配管を昇温させる方法と比較して、本発明の加熱装置10では内管12を目的温度まで到達させるために要する加熱時間を約1/2とすることができ、消費電力を1/3〜2/3程度とすることができる。
【0066】
さらに、内管12を加熱した状態においても外殻部材18は加熱されず、その表面に素手等が接触しても全く問題はなく、この周辺で作業を行う場合であっても安全な環境で作業を行うことができる。
【0067】
以下、図3に示した実施形態の加熱装置について説明する。同図の加熱装置10では、断熱室20が、内殻部材17と外殻部材18との間隙で構成されている。また、輻射シールド体16が、内殻部材17の外面に、面状発熱体14からの赤外線輻射を遮断するように装着されている。
【0068】
図1、3の実施形態では、断熱室20内に、面状発熱体14から経時的に放出されるガスを吸着するガス吸着部26を設置したが、本実施形態では、断熱室20を内殻部材17と外殻部材18との間隙で構成して、面状発熱体14を断熱室20外に配置したことにより、面状発熱体14から経時的に放出されるガスによる断熱室20内の真空度の低下が防止される。なお、面状基材12と内殻部材17との間隙で構成される離隔室21内は、大気圧としてよい。
【0069】
加熱装置10の形状は、前述したように、用途に応じて所望の形状とすることができ特に限定されないが、特に、図7に示したように、面状基材12を内管とし、内殻部材17を中管とし、外殻部材18を外管とした三重配管構造とすることが好適である。
【0070】
以下、図7に示した実施形態の、半導体装置のガス導入・排出用配管として使用される加熱装置10について、その製造方法の一例を説明する。
【0071】
内管(面状基材)12を金属で形成し、その内面を電解研磨、化学研磨またはバフ研磨等にて仕上げ、両端部に継手を取り付ける。
【0072】
中管(内殻部材)17を金属で形成し、その外面(真空露出面)を電解研磨、化学研磨またはバフ研磨等にて仕上げる。
【0073】
外管(外殻部材)18を金属で形成し、その内面を、輻射熱を受けにくくするために、外面とともに電解研磨、化学研磨またはバフ研磨等にて仕上げる。前述したように、外管18の厚みは外部への熱放射を促すためにできるだけ薄くする。
【0074】
外管18の外面には、排気ポート24を取り付ける。この排気ポート24は、メタルシールまたは溶接等により排気口22を封止できるように構成されている。
【0075】
内管12の外面には、面状発熱体14を巻装する。この面状発熱体14を巻装する態様としては、特に限定されないが、内管12の加熱部分に対応する外面に、一面に隙間なく巻き付けることが好ましい。前述したように、面状発熱体14としては、抵抗体をポリイミドで挟持して形成したポリイミドヒータを使用することが好ましい。しかし、本実施形態では、面状発熱体14を断熱室20外に配置したことにより、面状発熱体14から経時的に放出されるガスによる断熱室20内の真空度の低下が防止されるため、シリコンラバーヒータ(厚さ0.8〜1.6mm)のようなガス放出量の高いヒータも好適に利用可能である。
【0076】
中管17の外面には、輻射シールド体16として厚さが10μmの銅箔を巻装する。
【0077】
排気ポート24を取り付けた外管18は、中管17に取り付けられ、次いでこれらは内管12へ取り付けられる。こうして形成された断熱室20内を真空排気しながら、面状発熱体14と、外管18に巻装したバンドヒータとを加熱して、断熱室20内を、前述したようにベーキングする。
【0078】
ベーキングを終了した後、断熱室20内が所定の真空度まで下がったことを確認して排気ポート24の真空封止を行う。
【0079】
次いで、面状発熱体14の温度調節を行うため、内管12端部の露出部35に測温センサとして熱電対を取り付ける。
【0080】
この露出部35の周囲に、内管12の加熱時に素手等が触れないように、火傷防止のための保護部材32を、外管18の両端部に取り付ける。
【0081】
【発明の効果】
以上説明した本発明の加熱装置によれば、面状発熱体と外殻部材との間に、略真空状態に維持可能な断熱室が形成されているため、面状発熱体から外殻部材へのガスを介した熱伝導が遮断される。さらに、面状発熱体と外殻部材との間に銅箔等の輻射シールド体を介在させることで、面状発熱体から外殻部材への赤外線輻射による熱伝導が遮断される。
【0082】
したがって、面状発熱体からの熱損失が抑えられ、消費電力を低くすることができるとともに、面状発熱体により面状基材を高温に加熱した状態であっても外殻部材は加熱されず、その表面の発熱を充分に防止することができる。
【0083】
さらに、抵抗体を絶縁フィルムで挟持して形成した発熱体等の薄い面状発熱体を用いるとともに、その近傍に沿って外殻部材を配設した構造であるため、コンパクトな装置構成とすることができる。
【0084】
また、面状発熱体から加熱により経時的に放出されるガスがゲッター材等により捕捉され、断熱室内の真空度の低下が防止される。
【0085】
したがって、この放出ガスに起因する、所定温度に加熱するための消費電力の経時的な増加、あるいは面状発熱体から外殻部材への熱伝導を充分に防止することができる。
【0086】
また、断熱室を内殻部材と外殻部材との間隙で構成して、面状発熱体を断熱室外に配置することとしたので、面状発熱体から加熱により経時的に放出されるガスで断熱室内の真空度が低下することがない。
【0087】
したがって、この放出ガスに起因する、所定温度に加熱するための消費電力の経時的な増加、あるいは面状発熱体から外殻部材への熱伝導を防止することができる。
【0088】
また、内管が露出した両端部を覆うように、外管の両端部に保護部材を取り付けることとしたので、両端部で内管が露出している場合であっても、この露出部へ素手等が接触することが防止される。
【0089】
したがって、配管近傍で作業を行う際に、加熱された内管の露出部へ素手等が接触して火傷してしまうことを防止することができ、安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の加熱装置の一実施形態を示した概略断面図である。
【図2】図2は、図1の断面に対する垂直面による概略断面図である。
【図3】図3は、本発明の加熱装置の他の実施形態を示した概略断面図である。
【図4】図4は、図3の断面に対する垂直面による概略断面図である。
【図5】図5は、本発明の加熱装置の他の実施形態を示した概略断面図である。
【図6】図6は、図5の断面に対する垂直面による概略断面図である。
【図7】図7は、本発明の加熱装置の他の実施形態を示した概略断面図である。
【図8】図8は、図7の断面に対する垂直面による概略断面図である。
【図9】図9は、抵抗体を絶縁フィルムで挟持した面状発熱体の例を示した概略断面図である。
【符号の説明】
10 加熱装置
12 面状基材(内管)
14 面状発熱体
16 輻射シールド体
17 内殻部材(中管)
18 外殻部材(外管)
20 断熱室
21 離隔室
22 排気口
24 排気ポート
26 ガス吸着部
30 継手
32 保護部材
34 管内空隙
35 露出部
36a,36b 絶縁フィルム
38 抵抗体
Claims (9)
- 熱伝導性を有する面状基材と、
前記面状基材の片面に装着された面状発熱体と、
前記面状発熱体の外面側に配設され、該面状発熱体の外面側に断熱室を形成する外殻部材とを備え、
前記断熱室内が略真空状態を維持できるように構成されていることを特徴とする加熱装置。 - 前記断熱室が、前記面状基材と外殻部材との間隙で構成され、
前記面状発熱体と外殻部材との間に配設された輻射シールド体を備えるとともに、
前記外殻部材の内面に、ガス吸着部を付設したことを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。 - 前記ガス吸着部が、ガス吸着材としてゲッター材を含むことを特徴とする請求項2に記載の加熱装置。
- 前記面状基材が内管を構成し、前記外殻部材が外管を構成する二重配管構造であることを特徴とする請求項2または3に記載の加熱装置。
- 前記面状基材と外殻部材との間に内殻部材が配設され、
前記断熱室が、前記内殻部材と外殻部材との間隙で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。 - 前記面状基材が内管を構成し、前記内殻部材が中管を構成し、前記外殻部材が外管を構成する三重配管構造であることを特徴とする請求項5に記載の加熱装置。
- 前記内管が露出した両端部を覆うように、前記外管の両端部に保護部材を取り付けたことを特徴とする請求項4または6に記載の加熱装置。
- 前記面状発熱体が、抵抗体と、該抵抗体の一面側に配設した絶縁フィルムと、該抵抗体の他面側に配設した絶縁フィルムとを含み、
前記各絶縁フィルムを、前記抵抗体を挟持するように接合して形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の加熱装置。 - 前記絶縁フィルムがポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項8に記載の加熱装置。
Priority Applications (1)
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JP2003134701A JP2004342368A (ja) | 2003-05-13 | 2003-05-13 | 加熱装置 |
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JP2003134701A Withdrawn JP2004342368A (ja) | 2003-05-13 | 2003-05-13 | 加熱装置 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011204456A (ja) * | 2010-03-25 | 2011-10-13 | Kyocera Corp | 加熱用部材およびこれを用いた加熱装置 |
CN107333345A (zh) * | 2017-08-08 | 2017-11-07 | 上海金洛海洋工程有限公司 | 吸附夹持加热件 |
CN108851244A (zh) * | 2018-07-24 | 2018-11-23 | 深圳麦克韦尔股份有限公司 | 烘烤烟具及真空隔热的加热组件 |
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-
2003
- 2003-05-13 JP JP2003134701A patent/JP2004342368A/ja not_active Withdrawn
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