JP2004342156A - 垂直磁気記録媒体 - Google Patents

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英一 宮下
Nobuhiko Funabashi
信彦 船橋
Akira Taguchi
亮 田口
Takahiko Tamaki
孝彦 玉城
Kazuyuki Usuki
一幸 臼杵
Shinji Saito
真二 斉藤
Makoto Nagao
信 長尾
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Abstract

【課題】垂直磁気異方性の低下を抑制し、かつノイズを低減することが可能な垂直磁気記録媒体を提供すること。
【解決手段】垂直磁気異方性を有する強磁性金属薄膜103が少なくとも1層以上非磁性支持体101上に形成された垂直磁気記録媒体100において、強磁性金属薄膜103に垂直な方向について得られる、垂直磁気記録媒体100の磁化曲線に基づいて算出される反転磁界分布が、0.55以上かつ1.05以下の範囲内にはいるなる構成を有している。また、強磁性金属薄膜103に垂直な方向の磁化曲線に基づいて算出される角型比が0.9以上であり、この磁化曲線に基づいて得られる飽和磁化Msが150emu/cc以上かつ350emu/cc以下の範囲内にはいるようにすることがより好適である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記録媒体に係り、特に、超高密度記録が可能な垂直磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットの普及により、パーソナルコンピュータを用いて大容量の動画情報や音声情報の処理を行う等、コンピュータの利用形態が変化してきている。これに伴い、ハードディスク等の磁気記録媒体に要求される記憶容量も増大している。
【0003】
現在、市販のハードディスク装置において採用されている磁気記録方式は、記録媒体の走行方向に磁化を行う長手磁気記録方式である。この長手磁気記録方式は、熱揺らぎの影響が大きく、熱揺らぎによって媒体に記録された磁化情報が消失しやすいことが知られており、高密度化には限界があるとされている。これに対し、記録媒体のディスク面に垂直に磁化を行う垂直磁気記録方式は、かかる熱揺らぎによる影響が小さいことから、高密度化を実現する次世代の磁気記録方式として期待されている。また、垂直磁気記録のための磁性材料としては、コバルト−クロム系合金(CoCr系合金)が有力視されている。
【0004】
以上のように垂直磁気記録方式を採用することによって、更なる高密度化を図ることが可能であると考えられるが、垂直磁気記録方式においても、ノイズを低減させるために磁性層の膜厚を薄層化する必要がある。ここで、記録ビット体積が小さくなると長手記録方式と同様に熱揺らぎの影響が強く現れるようになる。このため、希土類遷移金属合金やコバルト/パラジウム多層膜(以下、「Co/Pd多層膜」とも表す。)などの高い垂直磁気異方性定数Kuを有する磁性材料が注目されている。
【0005】
ここで、希土類遷移金属合金やCo/Pd多層膜などの高い垂直磁気異方性を有する連続膜は一般に面内方向の磁気的な相互作用が強いことが知られている。そして、強い面内方向の相互作用のため、記録後に磁壁が移動して記録マークが乱れたり、消失したりすることがある。そして、連続膜は、これらが原因となるノイズが高く、高密度記録媒体に適さないと考えられていた。
【0006】
かかる観点から、Co/Pd多層膜を構成するCoの層またはPdの層にホウ素(B)などの非磁性元素を添加して、膜内の磁性層粒子を孤立させて磁壁の移動をピニングしようとする技術もある(例えば、特許文献1参照。)。図7は、特許文献1に開示された垂直磁気記録媒体の断面構造を示す図である。積層された磁気記録層に、Bおよび酸素(O)を添加した例が示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−25032号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術では、磁壁をピニングするために添加した非磁性元素の存在によって、保磁力や垂直磁気異方性などの高密度化の促進に重要な磁気特性が低下してしまうため、高密度化が十分に図れないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、垂直磁気異方性の低下を抑制し、かつノイズを低減することが可能な垂直磁気記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以上の点を考慮して、請求項1に係る発明は、垂直磁気異方性を有する強磁性金属薄膜が少なくとも1層以上非磁性支持体上に形成された垂直磁気記録媒体において、前記強磁性金属薄膜に垂直な方向について得られる、前記垂直磁気記録媒体の磁化曲線に基づいて算出される反転磁界分布が、0.55以上かつ1.05以下の範囲である構成を有している。
この構成により、反転磁界分布を0.55以上かつ1.05以下の範囲内にはいるようにすることによって、磁性層の面内方向の磁気的相互作用を弱め、微小記録マークが磁壁移動等の影響を受けず、安定に存在することができるため、超高密度記録に必要な微小マークを安定に記録・保持することが可能な垂直磁気記録媒体を実現することができる。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、請求項1において、前記強磁性金属薄膜に垂直な方向の前記磁化曲線に基づいて算出される角型比が0.9以上であり、前記磁化曲線に基づいて得られる飽和磁化が150以上かつ350emu/cc以下の範囲内にはいる構成を有している。
この構成により、請求項1の効果に加え、角型比を0.9以上とすることで記録後の逆磁区の発生を防止し、磁化量を150emu/cc以上かつ350emu/cc以下の範囲内にはいるようにしたため、近年のGMRヘッドやTMRヘッドなどの高感度ヘッドに適するようにノイズを低減できるとともに、S/Nを向上することが可能な垂直磁気記録媒体を実現することができる。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2において、前記強磁性金属薄膜がコバルトの膜とパラジウムの膜とを交互に積層して得られる多層膜からなる構成を有している。
この構成により、請求項1または請求項2の効果に加え、高い垂直磁気異方性を有するコバルト/パラジウム多層膜からなる垂直磁気記録層を使用すると共に熱揺らぎの影響を低減できるため、記録ビット体積を減少させた場合でも熱的安定性を保持しつつ記録することが可能な垂直磁気記録媒体を実現することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る垂直磁気記録媒体の断面構造を概念的に示した図である。図1において、垂直磁気記録媒体100は、非磁性支持体としての基板101に、下地層102、および垂直磁気記録層103を含むように構成される。
【0013】
ここで、垂直磁気記録層103は、コバルト(Co)の膜とパラジウム(Pd)の膜とを交互に積層した多層膜によって構成するのでもよい。また、基板101と下地層102との間に裏打ち層104を設け、垂直磁気記録層103の上にさらに保護層105、防錆層106、潤滑層107等を積層してもよい。
【0014】
基板101は、非磁性の支持体からなり、例えば、ディスク形状に加工された、ガラス基板、アルミニウム基板、シリコン基板、カーボン基板、ポリカーボネート基板、その他の基板が使用できる。以下では、基板101のことを「非磁性支持体101」ともいう。ここで、非磁性支持体101のディスクサイズは特に限定されるものではなく、一般的な1.0inchφ〜5.25inchφのディスクサイズの基板を使用するのでもよい。また、厚みも特に限定されるものではなく、0.1〜2.0mmのものが使用できる。
【0015】
なお、ハードディスク向けの場合では、磁気ヘッドを極僅かに浮上させて走行させながら記録再生を行うため、基板の表面粗さは平滑であることが好ましい。このため、基板表面を物理的あるいは化学的に研磨して、鏡面加工することが好ましい。本発明においてコバルト/パラジウム多層膜からなる垂直磁気記録層103を用いる場合、この垂直磁気記録層103は基板を加熱することなく室温で成膜しても十分な磁気特性がえられるため、コバルト−クロム(CoCr)系合金の様に基板加熱が不要であり、生産性に優れていると同時に、CoCr系合金で使用することが難しかったプラスティック基板も使用することができる。
【0016】
本発明では、垂直磁気記録層103の記録特性を改善するため、垂直磁気記録層103と基板101との間に下地層102を設けることが好ましい。以下では、基板寄りの方向を「下」の方向といい、基板から遠ざかる方向を「上」の方向という。この下地層102としては、パラジウムが特に好ましい。このパラジウム下地層102を形成することによって、この下地層102の上に成膜する垂直磁気記録層103の初期成長層の厚さを低減できるため、低ノイズの記録特性を得ることができる。
【0017】
以下では、反転磁界分布とは、磁化曲線を印加磁界の方向に微分を取って得られた微分曲線において、磁化反転が生じる保磁力近傍に現れる微分曲線のピークの半値幅dHと保磁力Hcの比で求められる値のことをいい、一般には磁性体の保磁力分散を表している。また、角型比とは、飽和磁化に対する残留磁化の比のことをいう。
【0018】
本発明では、垂直磁気記録層103の反転磁界分布および角型比を所定範囲内に入るようにしてノイズを低減するために、パラジウム下地層102の成膜条件および膜厚を調整したり、パラジウム下地層102にシリカ、室化ケイ素、ボロンなどの非磁性元素、非磁性化合物を添加したりする。これによって下地層102に粒子状の構造が生成され、垂直磁気記録層103の面内方向の磁気的相互作用を調節することができる。具体的には、以下のようにすることによって実現することができる。
【0019】
まず、パラジウム下地層102の膜厚は1〜100nmが好ましく、特に5〜60nmが好ましい。膜厚がこれ以下では下地層102を設ける効果が得られず、これ以上では下地層102の粒子成長による表面性の低下や粒子径の増大によって反転磁界分布が増大し、ノイズが増加してしまう。
【0020】
パラジウム下地層102は、スパッタ法、真空蒸着法等のいわゆる真空成膜法で作製できるが、この際に本発明の反転磁界分布および角型比を達成するために、成膜条件及び膜厚を調整し、適度な表面粗さ、結晶構造を付与する必要がある。表面粗さとしてはRmaxで5〜20nm、粒子のサイズとして1〜30nm程度が好ましい。
【0021】
パラジウム下地層102を生成するためのスパッタ法としては、例えば、DCスパッタ法、RFスパッタ法、DCパルススパッタ法、RFバイアススパッタ法、反応性スパッタ法などを使用するのでもよい。
【0022】
パラジウム下地層102をスパッタ法で成膜する場合、スパッタリングのために導入するガス(以下、単に「スパッタガス」という。)として、例えば、アルゴンなどの希ガスを用いるが、このガス圧を変更することで、表面粗さや粒子サイズを変化させることができる。スパッタガスのガス圧(以下、単に「スパッタガス圧」という。)が20mTorr程度の場合、一般に、パラジウム下地層102は微小な粒子群からなる状態(以下、単に「粒状」という。)を呈し、細かな凹凸が高密度に形成された表面性となる。逆にガス圧を低くすると、パラジウムは連続膜となり、平坦な表面性となる。
【0023】
パラジウム下地層102が粒状を呈すると、この粒状に応じた垂直磁気記録層103(以下では、垂直磁気記録層103がコバルト/パラジウム多層膜からなるものとして説明する。)が成膜されるため、この粒状に対応した磁壁のピン止め効果が得られ、面内の磁気的相互作用が弱まる。一方、スパッタガス圧が0.5mTorr程度の場合、一般に、磁壁移動型の磁気記録層を形成しやすく、交換相互作用が強くなる。したがって、本発明の反転磁界分布または角型比は、例えば、0.1mTorr〜50mTorrの範囲内でスパッタガス圧を調整することによって実現できる。
【0024】
なお、パラジウム下地層102にボロンなどの非延性元素を添加する場合には、パラジウムと添加する元素とを混合してスパッタターゲットを生成し、このスパッタターゲットを用いてスパッタするのでもよい。また、パラジウム下地層102に酸素などを導入する場合には、アルゴンなどのスパッタガスに加え、微量の酸素を導入し、スパッタすることで膜中に酸素を含有するパラジウム下地層102を形成する(反応性スパッタ)のでもよい。
【0025】
パラジウム下地層102に適切な非磁性元素を導入するとパラジウム下地層102が粒状化しやすくなり、いわゆるグラニュラ構造の膜を形成できる。この様に作製したグラニュラ構造のパラジウム下地層102は、上記でガス圧を調整して行ったスパッタで形成されたパラジウム下地層102と同様に、この上に形成するコバルト/パラジウム垂直磁気記録層の磁壁のピン止め効果が得られるため、磁気記録層における面内の交換相互作用を制御することできる。したがって、導入する非磁性元素の比率は、本発明の反転磁界分布(0.60以上かつ1.20以下の範囲)、角型比(0.9以上)が達成されるように調整されているものとする。
【0026】
次に、下地層102をパラジウム層とし、下地層102上に形成する垂直磁気記録層103について説明する。垂直磁気記録層103は、コバルト/パラジウム多層膜からなるものを例にとり説明する。コバルト膜の厚みは、好ましくは0.10〜1.00nmであり、さらに好ましくは0.15〜0.50nmである。これよりもコバルト膜が薄くなると、記録層が磁性を失ってしまい、これ以上厚くなると保磁力が低下し、ノイズが上昇してしまう。
【0027】
またパラジウム膜の厚みは、好ましくは0.10〜2.0nmであり、さらに好ましくは0.40〜1.20nmである。これよりもパラジウム膜が薄くなると垂直磁気異方性が低下し、出力の低下やノイズの増加を生じ、これよりも厚くなると、磁化が減少するため、出力の低下が生じてしまう。多層膜からなる磁気記録層の膜厚としては10〜50nmが好ましく、15〜30nmが特に好ましい。このため、上記の膜厚の膜を必要量積層することで好ましい磁気記録層厚を得るものとするのでもよい。
【0028】
上記の膜構成と後述の成膜条件を制御することで、垂直磁気記録層103の垂直方向の保磁力および飽和磁化を制御することできる。ここで、保磁力としては、1500Oe〜8000Oeの範囲内にあることが好ましい。ここで、1[Oe]は、10/4π[Am−1]である。保磁力が低いと反磁界による逆磁区の形成が生じやすくなり、保磁力が高すぎると、磁気ヘッドの信号書き込みが困難となる。
【0029】
また、このコバルト/パラジウム多層膜103は、前述のように面内方向の磁気的交換結合が非常に強いことが知られており、これを制御する方法としてはパラジウム下地層102の設計が有効であるが、さらにコバルトあるいはパラジウム中に微量の酸素や窒素を添加して磁性体を孤立化させる手法も使用できる。
【0030】
また、パラジウム下地層102の形成の場合と同様に、コバルト/パラジウム多層膜103をスパッタ法で形成する際のスパッタガス圧によっても交換相互作用を制御することができる。一般に、ガス圧を高く(例えば20mTorr程度)すると、コバルト/パラジウム層は微小な粒子からなる粒状を呈し、細かな凹凸が高密度に形成された表面性となる。
【0031】
逆に、ガス圧を低下させるとパラジウム層に見られる粒状がほぼ消え、平坦な表面性となる。コバルト/パラジウム多層膜103が粒状を呈すると、この粒状に応じた磁壁のピン止め効果が得られ、面内の磁気的相互作用が弱まる。ガス圧が低い(例えば0.5mTorr程度)場合には、磁壁移動型の磁気記録層を形成しやすく、交換相互作用が強くなる。
【0032】
コバルト/パラジウム多層膜103の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタ法等の物理的蒸着法をあげることができるが、組成と膜厚制御が容易である点で、スパッタ法が特に好ましい。スパッタ法としては、例えば、DCスパッタ法、RFスパッタ法、DCパルススパッタ法、RFバイアススパッタ法、反応性スパッタ法などを使用するのでもよい。スパッタは、非磁性支持体101を保持させた基板を回転させて、コバルトまたはパラジウムのターゲットにほぼ対抗する位置を通過させて膜を形成する方法や、逆に非磁性支持体101を保持させた基板を固定し、各ターゲットを回転させて通過させて膜を形成する方法で行うのでもよい。
【0033】
また、単磁極ヘッドと組み合わせて使用する場合には、非磁性支持体101とパラジウム下地層102との間に軟磁性材料からなる裏打ち層104を設けてもよい。軟磁性材料としては、例えば、Fe−Ta−C系、Co−Nb−Zr系、Co−Ta−Zr系、Fe−Al−Si系等の磁性合金材料を使用することができる。裏打ち層104の膜厚は、30〜200nmが好ましい。
【0034】
次に、垂直磁気記録層103上に作製する保護層105について説明する。保護層105は、垂直磁気記録層103に含まれる金属材料の腐蝕を防止し、磁気ヘッドと磁気ディスクとの擬似接触または接触摺動による磨耗を防止して、走行耐久性、耐食性を改善するために設けられる。
【0035】
保護層105には、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸化物、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物、グラファイト、無定型カーボンなどの炭素等の材料を使用することができる。
【0036】
保護層105としては、磁気ヘッド材質と同等またはそれ以上の硬度を有する硬質膜であり、摺動中に焼き付きを生じ難く、その効果が安定して持続するものが、摺動耐久性に優れており好ましい。また、同時にピンホールが少ないものが、耐食性に優れておりより好ましい。このような保護膜としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング法で作製されるDLC(Diamondlike Carbon)と呼ばれる硬質炭素膜があげられる。
【0037】
保護層105上には、走行耐久性および耐食性を改善するために、潤滑層106が設けられる。潤滑層106には、公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤等の潤滑剤が使用される。
【0038】
炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類、ステアリン酸アミド等のカルボン故アミド類、ステアリルアミン等のアミン類などがあげられる。
【0039】
フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全邸をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤があげられる。パーフルオロポリエーテル基としては、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CFCFCFO)、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF)CFO)、またはこれらの共重合体等があげられる。具体的には、分子末端に水酸基を有するパーフルオロメチレン−パーフルオロエチレン共重合体(アウジモント社製、商品名「FOMBLIN Z−DOL」)等があげられる。
【0040】
極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジベンジル等の硫黄系極圧剤などがあげられる。
【0041】
なお、上記の潤滑剤は、単独もしくは複数を併用して使用することができ、潤滑剤を有機溶剤に溶解した溶液を、スピンコート法、ディップコート法等で保護層105表面に塗布するか、真空蒸着法により保護層105裏面に付着させればよい。潤滑剤の塗布量としては、0.5〜2nmが特に好ましい。
【0042】
また、耐食性をさらに高めるために、防錆剤を併用することが好ましい。防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダソール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複素環類若しくはこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体、又は、ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾチアゾール、テトラザインテン環化合物、チオウラシル化合物等の窒素、又は、硫黄含有複素環類若しくはこの誘導体等があげられる。これら防錆剤は、潤滑割に混合して保護層105上に塗布してもよく、潤滑剤を塗布する前に保護層105上に塗布し、その上に潤滑剤を塗布するのでもよい。防錆剤の塗布量としては、潤滑剤の塗布量に対して0.1〜10wt%が好ましい。
【0043】
上述の製造方法で作製した磁気記録媒体は、工程で付着した塵埃や潤滑剤の凝集が生じることがある。このため、作製した磁気記録媒体は熱処理、ワイピング、バーニッシュなどのクリーニング工程によってクリーニングされることが好ましい。
【0044】
図2は、パラジウム下地層102を形成し、その上にコバルト/パラジウム多層膜103を積層して垂直磁気記録層を形成した実施例と、その記録再生特性を示す図である。以下では、図2における例18を取り上げて詳細に説明する。例18に示す垂直磁気記録媒体100は、以下のようにして生成される。
【0045】
まず、鏡面研磨され表面組Raが0.5nm以下で厚みが0.6mmの強化ガラス製の2.5inchφサイズのハードディスク基板をスパッタ装置に設置し、成膜室内を真空度1×10−7Torrまで排気した後、基板表面をArガスによる逆スパッタでクリーニングする。次に、このガラス基枝101上に純パラジウムのターゲットを用いてDCマグネトロンスパッタ法で、8mTorrのアルゴンガス圧でパラジウム下地層102を膜厚50nmとなるように成膜した。
【0046】
次に、このパラジウム下地層102上にアルゴンガス圧8mTorrで図2記載の積層周期、膜厚となるようにコバルト/パラジウム多層膜103を形成した。コバルト/パラジウム多層膜103を形成した後、この上にアルゴンガス圧0.35mTorrでカーボンからなる保護層105を5nmの厚みで形成し、スパッタリング装置から取り出した。
【0047】
次に、この保護層105上にフッ素溶剤(3M社製HFE−7200)に溶解したパーフルオロポリエーテル潤滑剤(アウジモント社製FOMBLIN Z−DOL2000)を1nmの厚みとなるようにディップコートで塗布した。作製したハードディスクは、アルミナ研磨テープを用いたバーニッシュ加工によってクリーニングがなされた。
【0048】
図2に示す例18以外の実施例についても、図2に示す他の例の条件である以外は、上記と同様の工程で垂直磁気記録媒体を生成する。
上記のように作製したハードディスクは、振動試料型磁気力計を用いて、磁化曲線を計測し、この磁化曲線から保磁力、角型比、飽和磁化、反転磁界分布を求めた。このようにしてえら得た磁化曲線および微分曲線等を図3に示す。
【0049】
このようにして作製したハードディスクの記録再生特性の評価は、回転数4200rpmで回転させた状態で半径25.4mm位置にGMR(Giant Magnetic Resistance)ヘッドをロードし、線記録密度200kFCI(Flux Change per Inch)の信号を記録再生し、そのノイズレベルと信号出力対変調ノイズ比(S/N)を比較するという方法をとった。
【0050】
ここで、ノイズレベルは、400kFCIまでの積分ノイズとした。GMRヘッドとしては、再生トラック幅0.61μm、記録トラック幅1.04μm、再生ギャップ0.16μm、記録ギャップ0.25μmのものを用いた。
【0051】
本発明において、垂直磁気記録媒体の磁化曲線の測定には一般的な振動試料型磁力計を用いた。上記の方法で作製したコバルト/パラジウム多層膜103の垂直方向の磁化曲線と高感度GMRヘッドで測定したノイズやS/N比の測定、さらには記録マークの磁気力顕微鏡MFM観察を行うことによって、磁化曲線が適切な反転磁界分布SFD、角型比SQ、飽和磁化Msをとった場合に、ノイズが低く、S/N比が高い垂直磁気記録媒体を作製できることが示された。
【0052】
また、反転磁界分布SFDは、磁化曲線を印加磁界の方向に微分を取って得られた微分曲線において、磁化反転が生じる保磁力近傍に現れる微分曲線のピークの半値幅dHと保磁力Hcの比で求められる値であり、一般には磁性体の保磁力分散を表している。しかしながら、本発明のような強磁性金属薄膜を磁性層とする垂直磁気記録媒体においては、磁性体の保磁力分散だけではなく、磁性体の面内方向の磁気的相互作用と非常に良い相関があることが示された。つまり、反転磁界分布が小さい膜では磁気的相互作用が強い膜となり、反転磁界分布が大きい膜では磁気的相互作用が弱い膜となる。
【0053】
前述の通り、磁気的相互作用の強い膜は記録マークが磁壁移動によって乱れることがあるため、磁気的相互作用が弱い膜が好ましい。しかし、磁気的相互作用を弱くすると保磁力分散が大きくなりやすく、この結果、保磁力の小さい磁性体が逆磁区を形成し、ノイズの増加につながる。したがって、磁気的相互作用には適切な範囲が存在する。その適切な範囲が本発明における反転磁界分布が0.55から1.05となる範囲であり、好ましくは0.62から1.0の範囲である。
【0054】
図4は、S/N比の反転磁界分布(SFD)依存性を示す図である。図4において、SFDが0.62から1.0の範囲(以下、「好適範囲」という。)内でS/N比が概ね最高になっている。SFDの好適範囲外の2つのサンプル(例7と例5)と好適範囲内のサンプル(例8)の磁気力顕微鏡(MFM)観察の結果を図5に示す。好適範囲以外のSFDでは、記録ビットが乱れていることが見て取れる。同様に、図6は、S/N比の飽和磁化(Ms)依存性を示す図である。図6に用いたデータは、SFDが0.55〜1.05の範囲内のものである。Msの好適範囲は、図に示す領域になる。
【0055】
以上説明したように、本発明の垂直磁気記録媒体は、反転磁界分布を0.55以上かつ1.05以下の範囲内にはいるようにすることによって、磁性層の面内方向の磁気的相互作用を弱め、微小記録マークが磁壁移動等の影響を受けず、安定に存在することができるため、超高密度記録に必要な微小マークを安定に記録・保持することができる。
【0056】
また、角型比を0.9以上とすることで記録後の逆磁区の発生を防止し、磁化量を150emu/cc以上かつ350emu/cc以下の範囲内にはいるようにしたため、近年のGMRヘッドやTMRヘッドなどの高感度ヘッドに適するようにノイズを低減できるとともに、S/Nを向上することができる。ここで、1[emu]は、10−3/(4π)[A・m]または10−3/4π[Wb・m]である。
【0057】
さらに、高い垂直磁気異方性を有するコバルト/パラジウム多層膜からなる垂直磁気記録層を使用すると共に熱揺らぎの影響を低減できるため、記録ビット体積を減少させた場合でも熱的安定性を保持しつつ記録することができる。本発明に使用できるコバルト/パラジウム多層膜は、例えば0.2nmのコバルト薄膜と0.8nmのパラジウム薄膜を十〜数十層積層した多層膜であり、パラジウムに接するコバルトの格子歪によって垂直磁気異方性が発現するとされている。成膜方法や層構成にも依存するが、コバルト/パラジウム多層膜の垂直磁気異方性定数Kuは一般に10〜10e r g/ccとCoCrPt合金よりも高く、熱揺らぎに対して有利である。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、垂直磁気異方性の低下を抑制し、かつノイズを低減することが可能な垂直磁気記録媒体を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る垂直磁気記録媒体の断面構造を概念的に示した図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る垂直磁気記録媒体の作製条件とその記録再生特性を示す図である。
【図3】例18について得られた磁気特性を示す図である。
【図4】図2に示す各例についての、S/N比の反転磁界分布依存性を示す図である。
【図5】好適範囲内の1例と範囲外の2例についての、磁気力顕微鏡による観察結果を示す図である。
【図6】図2に示す例のうちの所定のものについての、S/N比の飽和磁化依存性を示す図である。
【図7】従来の垂直磁気記録媒体の断面構造を概念的に示した図である。
【符号の説明】
1、100 垂直磁気記録媒体
2、101 基板(非磁性支持体)
3 接着層
4、102 下地層
5、103 垂直磁気記録層
6、105 保護層
104 裏打ち層
106 防錆層
107 潤滑層

Claims (3)

  1. 垂直磁気異方性を有する強磁性金属薄膜が少なくとも1層以上非磁性支持体上に形成された垂直磁気記録媒体において、
    前記強磁性金属薄膜に垂直な方向について得られ、前記垂直磁気記録媒体の磁化曲線に基づいて算出される反転磁界分布が、0.55以上かつ1.05以下の範囲内にはいることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記強磁性金属薄膜に垂直な方向の前記磁化曲線に基づいて算出される角型比が0.9以上であり、前記磁化曲線に基づいて得られる飽和磁化が150emu/cc以上かつ350emu/cc以下の範囲内にはいることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記強磁性金属薄膜がコバルトの膜とパラジウムの膜とを交互に積層して得られる多層膜からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の垂直磁気記録媒体。
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