JP2004341244A - 光拡散フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】拡散異方性を有する安価な光拡散フィルムを実現する。
【解決手段】基材フィルム1上に、樹脂バインダー2中に等方性球状微粒子3を分散させた材料を用いて、レンチキュラレンズのようにかまぼこ型の凸部4が多数配列された表面形状を有する光拡散層5を金型により形成して光拡散フィルムを得る。
【選択図】 図1
【解決手段】基材フィルム1上に、樹脂バインダー2中に等方性球状微粒子3を分散させた材料を用いて、レンチキュラレンズのようにかまぼこ型の凸部4が多数配列された表面形状を有する光拡散層5を金型により形成して光拡散フィルムを得る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、拡散角異方性を有する光拡散フィルム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光拡散フィルムは光を均一に拡散放出する機能を有し、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等の画像表示装置などにおいて、画面の視認性を高めるために使用されている。このような光拡散フィルムとしては、例えば、微粒子を分散させた樹脂バインダーを基材フィルム上に塗布し、硬化させて形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、近年では液晶プロジェクタの普及により民生用でも高輝度なスクリーンが望まれるようになり、それに接合される光拡散フィルムにも、拡散角が垂直方向(上下方向)と水平方向で異なり、適切な範囲に絞り込んで拡散させる、いわゆる拡散角異方性が要求されるようになってきた。ここで、拡散角とは、入射角0度で入射した光の出射輝度が、出射角0度の値の1/2となる角度と規定される。
【0004】
しかしながら、従来のような等方性球状微粒子を用いた拡散フィルムでは、水平方向と垂直方向で拡散角に異方性を持たせることが非常に困難であり、異方性形状粒子についても実験レベルであって市販に至ってはいない。
【0005】
また、拡散角異方性を持たせた拡散フィルムとしては米POC社製 LSDシート(商品名)がある。しかし、製法上複雑な光学系を要するため、大型サイズになるほど製造時の技術的困難さが増し、またこの場合、製造歩留まりも極端に低下するので非常に高価であって、40インチ超の大型スクリーンには現実的ではない(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−142406号公報
【特許文献2】
米国特許第5609939号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来技術では等方性球状微粒子を用いた場合、垂直方向の拡散角と水平方向の拡散角が異なる光拡散フィルムを得ることは困難であった。また、従来の拡散異方性を有する光拡散フィルムは、製法が複雑で、非常に高価なものとなっており、投影用スクリーンのような大型の画面に適用するのは技術的、コスト的に問題があった。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、等方性球状微粒子を用いて拡散異方性を実現することができる安価な光拡散フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1の発明は、光拡散フィルムにおいて、樹脂バインダーに等方性球状微粒子を分散させた材料を用いて形成され、断面が曲線形状又は三角形状の凸部が多数同一方向に伸びた光拡散層を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明においては、凸部の配列方向へ光の拡散は主に凸部によって行われ、凸部の長手方向への拡散は等方性球状微粒子の分散に伴う表面粗度により行われるため、凸部の長手方向の拡散角とこれに直交する配列方向の拡散角を変えることが可能となり、直交する2方向で拡散角の異なる光拡散フィルムを容易かつ安価に得ることが可能となる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の光拡散フィルムにおいて、光拡散層が、平行に配列された多数の溝を有する金型を用いて基材上に形成されてなることを特徴とする。これにより、所望の表面粗度を有する凸部を容易に形成することが可能となる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の光拡散フィルムにおいて、凸部のピッチをP、凸部の高さをh、等方性球状微粒子の平均粒子径をdとしたとき、3<h/d、及び20<P/dを満足することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明においては、凸部形成時に等方性球状微粒子が凸部内で充分に分散することができ、これによって凸部の長手方向への拡散を左右する等方性球状微粒子による表面凹凸が良好に形成され、凸部の長手方向の拡散角を所望値に拡大することが可能となる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3の光拡散フィルムにおいて、等方性球状微粒子の平均粒子径dが10μm以上であることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明においては、凸部の長手方向の拡散角を所望範囲に絞り込むことが可能となり、プロジェクタ用のスクリーンに適用した場合に、広視野角と高輝度を両立させたスクリーンが実現可能となる
【0016】
請求項5の発明は、請求項1の光拡散フィルムにおいて、等方性球状微粒子の樹脂バインダーに対する割合が、樹脂バインダー100重量部に対して10〜100重量部であることを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明においては、等方性球状微粒子の分散による良好な表面凹凸効果が得られ、所望の拡散異方性を有する光拡散フィルムを容易に作成することが可能となる。
【0018】
請求項6の発明は、光拡散フィルムの製造方法において、樹脂バインダーに等方性球状微粒子を分散させた樹脂材料を用いて、曲線形又はV字形の溝が多数平行に配列された長溝列金型により成形することを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明は、請求項6の光拡散フィルムの製造方法において、樹脂材料を長溝列金型に塗布法により充填する工程と、長溝列金型の充填層の上に基材フィルムを付着させる工程と、充填層を硬化させ、基材フィルムとともに長溝列金型から剥離する工程とを含むことを特徴とする。
【0020】
請求項6、7の発明においては、凸部の形成とともに等方性球状微粒子の分散による表面凹凸が形成され、凸部による光拡散と表面凹凸による光拡散によって凸部の長手方向と配列方向で拡散角が異なる光拡散フィルムを複雑な設備を要することなく容易に得ることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の光拡散フィルムの一実施の形態を示す断面図であり、図2は図1のA−A矢視断面図である。また、図3〜5は、本実施の形態の光拡散フィルムの製造工程の一例を示す工程断面図である。
【0022】
図1、2に示すように、本実施の形態の光拡散フィルムは、基材フィルム1と、樹脂バインダー2中に等方性球状微粒子3を分散させた材料により形成され、かまぼこ型の凸部4が多数平行に配列された表面形状を有する光拡散層5とで構成されている。
【0023】
上記光拡散フィルムにおいて、等方性球状微粒子3の大きさ及び凸部4の配列ピッチは、凸部4の長手方向の拡散角と長手方向に直交する配列方向の拡散角をどのような範囲にするかによって調整される。
【0024】
例えば、スクリーン用途の光拡散フィルムの場合、スクリーン輝度を高くするには光の拡散する領域を小さく絞ればよいが、絞りすぎると全ての観察者がスクリーン像を視認できなくなる恐れがある。そこで輝度と視野角のバランスを考えると、拡散角は実用上は水平方向60〜80度、垂直方向10〜30度位が好ましいと言える。
【0025】
したがって、上記光拡散フィルムがスクリーン用途の場合、水平方向の拡散角を垂直方向より大きくするために、凸部4の長手方向がスクリーンの垂直方向となるように配列される。配列ピッチは、投影像の1画素より小さいことが好ましいが、あまり小さいと等方性球状微粒子3が凸部4内に入りにくくなるため、通常は、従来のリアプロジェクタ用レンチキュラシートと同様、100〜800μmの範囲が用いられる。このような凸部4の形成により、水平方向の拡散角を60〜80度にすることができる。なお、凸部4の形状は、断面が円や楕円の曲率の曲線形又は他の曲線形もしくは三角形等の非曲線形をとることができる。
【0026】
一方、垂直方向の拡散は、等方性球状粒子3を分散させることによって実現する。拡散角は、分散させる等方性球状粒子3の平均粒子径が小さくなればなるほど大きくなる傾向があり、垂直方向の拡散角を30度以下にするためには、等方性球状粒子3の平均粒子径を10μm以上とすることが好ましい。また、10度以上の拡散角を実現するためには、凸部4内で等方性球状粒子3が充分分散可能なサイズである必要があり、等方性球状粒子3の平均粒子径の上限は凸部4の高さと配列ピッチに依存する。
【0027】
上記光拡散フィルムの各材料としては、基材フィルム1は、光学的透明性を有するものが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン等を用いることができるが、特に限定されない。
【0028】
同様に、光拡散層5を構成する樹脂バインダー2は、光学的透明性を有するものがよく、例えばアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、シリコーン樹脂等各種の樹脂が用いられるが、特に限定されるものではない。
【0029】
樹脂バインダー2に分散される等方性球状微粒子3も、透過率が高いものがよい。例えば、アクリル樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、ポリエステル樹脂粒子等各種のものが良好である。等方性球状微粒子3の配合量は、樹脂バインダー100重量部に対して10〜100重量部が好ましい。10重量部より少ないと微粒子の分散による光拡散効果が得られず、100重量部より多いと調製した樹脂材料の取り扱い性が極端に悪化する。
【0030】
上記光拡散フィルムは、図3〜5に示すようにして、長い溝が多数配列して設けられた長溝列金型6を用いて形成される。例えば、樹脂バインダー2に紫外線(UV)により硬化する紫外線硬化樹脂を用いた場合、紫外線硬化樹脂に等方性球状微粒子3と溶剤と光重合開始剤を加えて塗布用の樹脂材料を調製し、図4に示すように長溝列金型6の溝の上に塗布する。ついで、図5に示すように、塗布した樹脂層の上に基材フィルム1を載せた後に、UV光を照射して樹脂層を硬化させる。充分に硬化させた後、フィルム1に固着した樹脂層(光拡散層5)を金型6から剥離して、光拡散フィルムが完成する。
【0031】
なお、長溝列金型6は切削加工やフォトリソグラフィなど一般的な手法により製作されるものであり、材質も銅、銅タングステン、アルミニウム、ステンレスなど加工し易いものであれば制限はない。
【0032】
上記の説明からも明らかなように、本実施の形態においては、水平方向の拡散角と垂直方向の拡散角が異なる光拡散フィルムを等方性球状微粒子を用いて容易に製造することができ、スクリーン用として好適な安価な拡散異方性の光拡散フィルムを実現することができる。例えば、この光拡散フィルムをプロジェクタ用スクリーン表面に接合することで、反射光を適切な範囲へ絞り込んで拡散することができ、高輝度なスクリーンを実現することができる。また、製法についても特殊な異方性微粒子や複雑な設備が不要であって、ごく一般的な材料にて製造することができ、拡散異方性の光拡散フィルムを低コストで提供することができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例について本発明を詳細に説明する。
(光拡散フィルムの作成)
<実施例1>
下記に示す樹脂材料、基材フィルム及び金型を用いて、前述した図3〜5に示す工程で光拡散フィルムを作成した。
【0034】
微粒子:架橋アクリル粒子、平均粒径1μm(綜研化学社製) 80重量部
紫外線硬化樹脂:ウレタンアクリレート系モノマー 100重量部
光重合開始剤 5重量部
溶剤:トルエン 150重量部
基材フィルム:ポリエチレンテレフタレート
金型:溝ピッチ 600μm、溝深さ 100μmのレンチキュラ形状
【0035】
<実施例2>
架橋アクリル粒子の平均粒子径を9μmとした以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0036】
<実施例3>
架橋アクリル粒子の平均粒子径を20μmとした以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0037】
<実施例4>
架橋アクリル粒子の平均粒子径を30μmとした以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0038】
<実施例5>
架橋アクリル粒子の平均粒子径を50μmとした以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0039】
<実施例6>
架橋アクリル粒子の平均粒子径を90μmとした以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0040】
<実施例7>
架橋アクリル粒子の平均粒子径を200μmとした以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0041】
<実施例8>
架橋アクリル粒子の配合量を5重量部とした以外は実施例3と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0042】
<実施例9>
架橋アクリル粒子の配合量を10重量部とした以外は実施例3と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0043】
<実施例10>
架橋アクリル粒子の配合量を50重量部とした以外は実施例3と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0044】
<実施例11>
架橋アクリル粒子の配合量を100重量部とした以外は実施例3と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0045】
<比較例1>
微粒子の配合量を0とした以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0046】
<比較例2>
架橋アクリル粒子の平均粒子径を10μmとし、金型を用いないで樹脂材料を基材フィルム上に直接塗布し硬化させた以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0047】
(拡散角の測定)
拡散角は輝度から求めた。実施例1〜11及び比較例1、2の各光拡散フィルムについて、基材フィルム側にアルミ蒸着により反射層を設け、床と垂直な面に、金型の溝によって形成された凸部の長手方向が垂直方向(上下方向)となるように貼り付けた。この光拡散フィルムを貼り付けた面に対して、水平方向2mの位置に光出力2000ANSIルーメンの液晶プロジェクタ(SONY製VPL−CX5)を正面から対向させ、白画面を投影した。プロジェクタの投影レンズ位置を0度とし、光拡散フィルムを中心とした半径2mの円弧上で輝度計(トプコン社製 BM−9)を走査させて測定を行った。このとき、測定可能な角度領域は、プロジェクタと輝度計の配置が干渉しない範囲に限定され、反時計周りを正とすると−2.5〜−85度、+2.5〜85度となる。輝度が±2.5度の値(ピークゲイン)の半分になった時(半値幅)の角度を拡散角として求めた。
【0048】
上記実施例及び比較例についての拡散角の測定結果を表1に示す。なお、実施例1〜7及び比較例1、2については、表面粗度に対応する水平方向(凸部の配列方向)と垂直方向(凸部の長手方向)の微細凹凸の平均間隔Smも合わせて示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1から明らかなように、微粒子を含まない比較例1(単なるレンチキュラレンズシートに相当)は水平方向(レンチキュラレンズの配列方向)には拡散するが、垂直方向(レンチキュラレンズの長手方向)にはほとんど拡散していない。実施例1や2のように等方性球状微粒子の平均粒子径が9μm以下の場合、実施例1では内部に含有する微粒子の光拡散効果によって、また実施例2では表面粗度によって垂直方向の拡散角が拡大し、改善されている。しかしながら、全体的に拡散角が拡大し過ぎてしまい、スクリーン輝度の低下を招くと考えられる。
【0051】
一方、実施例5〜7のように平均粒子径50μm以上では、垂直方向の拡散角が狭すぎ、スクリーンの上端と下端を視認できない可能性がある。理由としてはサイズが大きい故に粒子が金型溝へ十分入り込めずに表面の凹凸による効果が不十分となり、レンチキュラレンズの効果が主に発現してしまうためと考えられる。
【0052】
これに対して、粒子径が10〜30μmの範囲では、レンチキュラレンズ効果と表面凹凸効果がほどよく調和され、水平、垂直方向の拡散角が好ましい値になることがわかる。比較例2は、一般的な微粒子分散タイプの光拡散フィルムと同等の構造であり、等方性拡散を示している。これと比較しても実施例3、4は拡散角の異方性によって高輝度なスクリーンが実現できる。
【0053】
上記したように、溝ピッチ600μm、溝深さ100μmの金型を使用した場合、微粒子の平均粒子径が10〜30μmのとき、所望の拡散異方性を有する光拡散フィルムが得られた。このことから明らかように、スクリーン用途として良好な光拡散フィルムを得るためには、微粒子の平均粒子径d、溝ピッチP及び溝深さhは以下の条件を満たすことが好ましい。
3<h/d かつ 20<P/d
【0054】
また、実施例3、8〜11及び比較例1に示すように、樹脂バインダー100重量部に対し、平均粒子径20μmの微粒子の配合量を0〜100重量部まで変化させて見ると、10重量部以下では垂直方向の拡散角が狭いことがわかる。これは金型溝に入り込む微粒子が少ないことが原因と考えられる。一方、微粒子の配合量が100重量部を超えると、分散塗料自体の取り扱い性が極端に悪化し、ムラになったり塗布に支障が生じてしまう。このことから、微粒子の配合量は10〜100重量部が好ましい。
【0055】
【発明の効果】
上記したように、請求項1の発明によれば、樹脂バインダーに微粒子を分散させた材料により凸部を形成することにより、凸部長手方向とこれに直交する凸部配列方向において拡散角の異なる光拡散フィルムを容易に実現することができる。
【0056】
請求項2の発明によれば、金型を用いて凸部を形成することにより、所望の表面粗度を有する凸部を容易に形成することができ、良好な拡散異方性を有する光拡散フィルムを得ることができる。
【0057】
請求項3の発明によれば、凸部のピッチ及び高さと平均粒子径との関係が一定の条件を満たすように調整することにより、光拡散フィルムにおける凸部の長手方向の拡散角を所望値に拡大することができ、プロジェクタ用スクリーンに用いたとき視認性の良好なスクリーンを実現することができる。
【0058】
請求項4の発明によれば、平均粒子径10μm以上の微粒子を用いることにより、光拡散フィルムにおける凸部の長手方向の拡散角を所望値に絞ることができ、プロジェクタ用スクリーンに用いたとき高輝度スクリーンを実現することができる。
【0059】
請求項5の発明によれば、微粒子の配合量を10〜100重量部とすることにより、拡散異方性の光拡散フィルムを容易に作成することができる。
【0060】
請求項6、7の発明によれば、樹脂バインダーに微粒子を分散させた樹脂材料を用いて長溝列金型により成形することにより、凸部による光拡散と微粒子分散に伴う表面凹凸による光拡散によって凸部の長手方向と配列方向で拡散角が異なる光拡散フィルムを複雑な設備を要することなく容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の光拡散フィルムを示す断面図である。
【図2】図1におけるA−A矢視断面図である。
【図3】長溝列金型の一例を示す断面図である。
【図4】本発明に係る光拡散フィルムの製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図5】本発明に係る光拡散フィルムの製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【符号の説明】
1……基材フィルム、2……樹脂バインダー、3……等方性球状微粒子、4……凸部、5……光拡散層、6……長溝列金型
【発明の属する技術分野】
本発明は、拡散角異方性を有する光拡散フィルム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光拡散フィルムは光を均一に拡散放出する機能を有し、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等の画像表示装置などにおいて、画面の視認性を高めるために使用されている。このような光拡散フィルムとしては、例えば、微粒子を分散させた樹脂バインダーを基材フィルム上に塗布し、硬化させて形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、近年では液晶プロジェクタの普及により民生用でも高輝度なスクリーンが望まれるようになり、それに接合される光拡散フィルムにも、拡散角が垂直方向(上下方向)と水平方向で異なり、適切な範囲に絞り込んで拡散させる、いわゆる拡散角異方性が要求されるようになってきた。ここで、拡散角とは、入射角0度で入射した光の出射輝度が、出射角0度の値の1/2となる角度と規定される。
【0004】
しかしながら、従来のような等方性球状微粒子を用いた拡散フィルムでは、水平方向と垂直方向で拡散角に異方性を持たせることが非常に困難であり、異方性形状粒子についても実験レベルであって市販に至ってはいない。
【0005】
また、拡散角異方性を持たせた拡散フィルムとしては米POC社製 LSDシート(商品名)がある。しかし、製法上複雑な光学系を要するため、大型サイズになるほど製造時の技術的困難さが増し、またこの場合、製造歩留まりも極端に低下するので非常に高価であって、40インチ超の大型スクリーンには現実的ではない(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−142406号公報
【特許文献2】
米国特許第5609939号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来技術では等方性球状微粒子を用いた場合、垂直方向の拡散角と水平方向の拡散角が異なる光拡散フィルムを得ることは困難であった。また、従来の拡散異方性を有する光拡散フィルムは、製法が複雑で、非常に高価なものとなっており、投影用スクリーンのような大型の画面に適用するのは技術的、コスト的に問題があった。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、等方性球状微粒子を用いて拡散異方性を実現することができる安価な光拡散フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1の発明は、光拡散フィルムにおいて、樹脂バインダーに等方性球状微粒子を分散させた材料を用いて形成され、断面が曲線形状又は三角形状の凸部が多数同一方向に伸びた光拡散層を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明においては、凸部の配列方向へ光の拡散は主に凸部によって行われ、凸部の長手方向への拡散は等方性球状微粒子の分散に伴う表面粗度により行われるため、凸部の長手方向の拡散角とこれに直交する配列方向の拡散角を変えることが可能となり、直交する2方向で拡散角の異なる光拡散フィルムを容易かつ安価に得ることが可能となる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の光拡散フィルムにおいて、光拡散層が、平行に配列された多数の溝を有する金型を用いて基材上に形成されてなることを特徴とする。これにより、所望の表面粗度を有する凸部を容易に形成することが可能となる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の光拡散フィルムにおいて、凸部のピッチをP、凸部の高さをh、等方性球状微粒子の平均粒子径をdとしたとき、3<h/d、及び20<P/dを満足することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明においては、凸部形成時に等方性球状微粒子が凸部内で充分に分散することができ、これによって凸部の長手方向への拡散を左右する等方性球状微粒子による表面凹凸が良好に形成され、凸部の長手方向の拡散角を所望値に拡大することが可能となる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3の光拡散フィルムにおいて、等方性球状微粒子の平均粒子径dが10μm以上であることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明においては、凸部の長手方向の拡散角を所望範囲に絞り込むことが可能となり、プロジェクタ用のスクリーンに適用した場合に、広視野角と高輝度を両立させたスクリーンが実現可能となる
【0016】
請求項5の発明は、請求項1の光拡散フィルムにおいて、等方性球状微粒子の樹脂バインダーに対する割合が、樹脂バインダー100重量部に対して10〜100重量部であることを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明においては、等方性球状微粒子の分散による良好な表面凹凸効果が得られ、所望の拡散異方性を有する光拡散フィルムを容易に作成することが可能となる。
【0018】
請求項6の発明は、光拡散フィルムの製造方法において、樹脂バインダーに等方性球状微粒子を分散させた樹脂材料を用いて、曲線形又はV字形の溝が多数平行に配列された長溝列金型により成形することを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明は、請求項6の光拡散フィルムの製造方法において、樹脂材料を長溝列金型に塗布法により充填する工程と、長溝列金型の充填層の上に基材フィルムを付着させる工程と、充填層を硬化させ、基材フィルムとともに長溝列金型から剥離する工程とを含むことを特徴とする。
【0020】
請求項6、7の発明においては、凸部の形成とともに等方性球状微粒子の分散による表面凹凸が形成され、凸部による光拡散と表面凹凸による光拡散によって凸部の長手方向と配列方向で拡散角が異なる光拡散フィルムを複雑な設備を要することなく容易に得ることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の光拡散フィルムの一実施の形態を示す断面図であり、図2は図1のA−A矢視断面図である。また、図3〜5は、本実施の形態の光拡散フィルムの製造工程の一例を示す工程断面図である。
【0022】
図1、2に示すように、本実施の形態の光拡散フィルムは、基材フィルム1と、樹脂バインダー2中に等方性球状微粒子3を分散させた材料により形成され、かまぼこ型の凸部4が多数平行に配列された表面形状を有する光拡散層5とで構成されている。
【0023】
上記光拡散フィルムにおいて、等方性球状微粒子3の大きさ及び凸部4の配列ピッチは、凸部4の長手方向の拡散角と長手方向に直交する配列方向の拡散角をどのような範囲にするかによって調整される。
【0024】
例えば、スクリーン用途の光拡散フィルムの場合、スクリーン輝度を高くするには光の拡散する領域を小さく絞ればよいが、絞りすぎると全ての観察者がスクリーン像を視認できなくなる恐れがある。そこで輝度と視野角のバランスを考えると、拡散角は実用上は水平方向60〜80度、垂直方向10〜30度位が好ましいと言える。
【0025】
したがって、上記光拡散フィルムがスクリーン用途の場合、水平方向の拡散角を垂直方向より大きくするために、凸部4の長手方向がスクリーンの垂直方向となるように配列される。配列ピッチは、投影像の1画素より小さいことが好ましいが、あまり小さいと等方性球状微粒子3が凸部4内に入りにくくなるため、通常は、従来のリアプロジェクタ用レンチキュラシートと同様、100〜800μmの範囲が用いられる。このような凸部4の形成により、水平方向の拡散角を60〜80度にすることができる。なお、凸部4の形状は、断面が円や楕円の曲率の曲線形又は他の曲線形もしくは三角形等の非曲線形をとることができる。
【0026】
一方、垂直方向の拡散は、等方性球状粒子3を分散させることによって実現する。拡散角は、分散させる等方性球状粒子3の平均粒子径が小さくなればなるほど大きくなる傾向があり、垂直方向の拡散角を30度以下にするためには、等方性球状粒子3の平均粒子径を10μm以上とすることが好ましい。また、10度以上の拡散角を実現するためには、凸部4内で等方性球状粒子3が充分分散可能なサイズである必要があり、等方性球状粒子3の平均粒子径の上限は凸部4の高さと配列ピッチに依存する。
【0027】
上記光拡散フィルムの各材料としては、基材フィルム1は、光学的透明性を有するものが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン等を用いることができるが、特に限定されない。
【0028】
同様に、光拡散層5を構成する樹脂バインダー2は、光学的透明性を有するものがよく、例えばアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、シリコーン樹脂等各種の樹脂が用いられるが、特に限定されるものではない。
【0029】
樹脂バインダー2に分散される等方性球状微粒子3も、透過率が高いものがよい。例えば、アクリル樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、ポリエステル樹脂粒子等各種のものが良好である。等方性球状微粒子3の配合量は、樹脂バインダー100重量部に対して10〜100重量部が好ましい。10重量部より少ないと微粒子の分散による光拡散効果が得られず、100重量部より多いと調製した樹脂材料の取り扱い性が極端に悪化する。
【0030】
上記光拡散フィルムは、図3〜5に示すようにして、長い溝が多数配列して設けられた長溝列金型6を用いて形成される。例えば、樹脂バインダー2に紫外線(UV)により硬化する紫外線硬化樹脂を用いた場合、紫外線硬化樹脂に等方性球状微粒子3と溶剤と光重合開始剤を加えて塗布用の樹脂材料を調製し、図4に示すように長溝列金型6の溝の上に塗布する。ついで、図5に示すように、塗布した樹脂層の上に基材フィルム1を載せた後に、UV光を照射して樹脂層を硬化させる。充分に硬化させた後、フィルム1に固着した樹脂層(光拡散層5)を金型6から剥離して、光拡散フィルムが完成する。
【0031】
なお、長溝列金型6は切削加工やフォトリソグラフィなど一般的な手法により製作されるものであり、材質も銅、銅タングステン、アルミニウム、ステンレスなど加工し易いものであれば制限はない。
【0032】
上記の説明からも明らかなように、本実施の形態においては、水平方向の拡散角と垂直方向の拡散角が異なる光拡散フィルムを等方性球状微粒子を用いて容易に製造することができ、スクリーン用として好適な安価な拡散異方性の光拡散フィルムを実現することができる。例えば、この光拡散フィルムをプロジェクタ用スクリーン表面に接合することで、反射光を適切な範囲へ絞り込んで拡散することができ、高輝度なスクリーンを実現することができる。また、製法についても特殊な異方性微粒子や複雑な設備が不要であって、ごく一般的な材料にて製造することができ、拡散異方性の光拡散フィルムを低コストで提供することができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例について本発明を詳細に説明する。
(光拡散フィルムの作成)
<実施例1>
下記に示す樹脂材料、基材フィルム及び金型を用いて、前述した図3〜5に示す工程で光拡散フィルムを作成した。
【0034】
微粒子:架橋アクリル粒子、平均粒径1μm(綜研化学社製) 80重量部
紫外線硬化樹脂:ウレタンアクリレート系モノマー 100重量部
光重合開始剤 5重量部
溶剤:トルエン 150重量部
基材フィルム:ポリエチレンテレフタレート
金型:溝ピッチ 600μm、溝深さ 100μmのレンチキュラ形状
【0035】
<実施例2>
架橋アクリル粒子の平均粒子径を9μmとした以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0036】
<実施例3>
架橋アクリル粒子の平均粒子径を20μmとした以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0037】
<実施例4>
架橋アクリル粒子の平均粒子径を30μmとした以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0038】
<実施例5>
架橋アクリル粒子の平均粒子径を50μmとした以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0039】
<実施例6>
架橋アクリル粒子の平均粒子径を90μmとした以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0040】
<実施例7>
架橋アクリル粒子の平均粒子径を200μmとした以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0041】
<実施例8>
架橋アクリル粒子の配合量を5重量部とした以外は実施例3と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0042】
<実施例9>
架橋アクリル粒子の配合量を10重量部とした以外は実施例3と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0043】
<実施例10>
架橋アクリル粒子の配合量を50重量部とした以外は実施例3と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0044】
<実施例11>
架橋アクリル粒子の配合量を100重量部とした以外は実施例3と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0045】
<比較例1>
微粒子の配合量を0とした以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0046】
<比較例2>
架橋アクリル粒子の平均粒子径を10μmとし、金型を用いないで樹脂材料を基材フィルム上に直接塗布し硬化させた以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを作成した。
【0047】
(拡散角の測定)
拡散角は輝度から求めた。実施例1〜11及び比較例1、2の各光拡散フィルムについて、基材フィルム側にアルミ蒸着により反射層を設け、床と垂直な面に、金型の溝によって形成された凸部の長手方向が垂直方向(上下方向)となるように貼り付けた。この光拡散フィルムを貼り付けた面に対して、水平方向2mの位置に光出力2000ANSIルーメンの液晶プロジェクタ(SONY製VPL−CX5)を正面から対向させ、白画面を投影した。プロジェクタの投影レンズ位置を0度とし、光拡散フィルムを中心とした半径2mの円弧上で輝度計(トプコン社製 BM−9)を走査させて測定を行った。このとき、測定可能な角度領域は、プロジェクタと輝度計の配置が干渉しない範囲に限定され、反時計周りを正とすると−2.5〜−85度、+2.5〜85度となる。輝度が±2.5度の値(ピークゲイン)の半分になった時(半値幅)の角度を拡散角として求めた。
【0048】
上記実施例及び比較例についての拡散角の測定結果を表1に示す。なお、実施例1〜7及び比較例1、2については、表面粗度に対応する水平方向(凸部の配列方向)と垂直方向(凸部の長手方向)の微細凹凸の平均間隔Smも合わせて示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1から明らかなように、微粒子を含まない比較例1(単なるレンチキュラレンズシートに相当)は水平方向(レンチキュラレンズの配列方向)には拡散するが、垂直方向(レンチキュラレンズの長手方向)にはほとんど拡散していない。実施例1や2のように等方性球状微粒子の平均粒子径が9μm以下の場合、実施例1では内部に含有する微粒子の光拡散効果によって、また実施例2では表面粗度によって垂直方向の拡散角が拡大し、改善されている。しかしながら、全体的に拡散角が拡大し過ぎてしまい、スクリーン輝度の低下を招くと考えられる。
【0051】
一方、実施例5〜7のように平均粒子径50μm以上では、垂直方向の拡散角が狭すぎ、スクリーンの上端と下端を視認できない可能性がある。理由としてはサイズが大きい故に粒子が金型溝へ十分入り込めずに表面の凹凸による効果が不十分となり、レンチキュラレンズの効果が主に発現してしまうためと考えられる。
【0052】
これに対して、粒子径が10〜30μmの範囲では、レンチキュラレンズ効果と表面凹凸効果がほどよく調和され、水平、垂直方向の拡散角が好ましい値になることがわかる。比較例2は、一般的な微粒子分散タイプの光拡散フィルムと同等の構造であり、等方性拡散を示している。これと比較しても実施例3、4は拡散角の異方性によって高輝度なスクリーンが実現できる。
【0053】
上記したように、溝ピッチ600μm、溝深さ100μmの金型を使用した場合、微粒子の平均粒子径が10〜30μmのとき、所望の拡散異方性を有する光拡散フィルムが得られた。このことから明らかように、スクリーン用途として良好な光拡散フィルムを得るためには、微粒子の平均粒子径d、溝ピッチP及び溝深さhは以下の条件を満たすことが好ましい。
3<h/d かつ 20<P/d
【0054】
また、実施例3、8〜11及び比較例1に示すように、樹脂バインダー100重量部に対し、平均粒子径20μmの微粒子の配合量を0〜100重量部まで変化させて見ると、10重量部以下では垂直方向の拡散角が狭いことがわかる。これは金型溝に入り込む微粒子が少ないことが原因と考えられる。一方、微粒子の配合量が100重量部を超えると、分散塗料自体の取り扱い性が極端に悪化し、ムラになったり塗布に支障が生じてしまう。このことから、微粒子の配合量は10〜100重量部が好ましい。
【0055】
【発明の効果】
上記したように、請求項1の発明によれば、樹脂バインダーに微粒子を分散させた材料により凸部を形成することにより、凸部長手方向とこれに直交する凸部配列方向において拡散角の異なる光拡散フィルムを容易に実現することができる。
【0056】
請求項2の発明によれば、金型を用いて凸部を形成することにより、所望の表面粗度を有する凸部を容易に形成することができ、良好な拡散異方性を有する光拡散フィルムを得ることができる。
【0057】
請求項3の発明によれば、凸部のピッチ及び高さと平均粒子径との関係が一定の条件を満たすように調整することにより、光拡散フィルムにおける凸部の長手方向の拡散角を所望値に拡大することができ、プロジェクタ用スクリーンに用いたとき視認性の良好なスクリーンを実現することができる。
【0058】
請求項4の発明によれば、平均粒子径10μm以上の微粒子を用いることにより、光拡散フィルムにおける凸部の長手方向の拡散角を所望値に絞ることができ、プロジェクタ用スクリーンに用いたとき高輝度スクリーンを実現することができる。
【0059】
請求項5の発明によれば、微粒子の配合量を10〜100重量部とすることにより、拡散異方性の光拡散フィルムを容易に作成することができる。
【0060】
請求項6、7の発明によれば、樹脂バインダーに微粒子を分散させた樹脂材料を用いて長溝列金型により成形することにより、凸部による光拡散と微粒子分散に伴う表面凹凸による光拡散によって凸部の長手方向と配列方向で拡散角が異なる光拡散フィルムを複雑な設備を要することなく容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の光拡散フィルムを示す断面図である。
【図2】図1におけるA−A矢視断面図である。
【図3】長溝列金型の一例を示す断面図である。
【図4】本発明に係る光拡散フィルムの製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図5】本発明に係る光拡散フィルムの製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【符号の説明】
1……基材フィルム、2……樹脂バインダー、3……等方性球状微粒子、4……凸部、5……光拡散層、6……長溝列金型
Claims (7)
- 樹脂バインダーに等方性球状微粒子を分散させた材料を用いて形成され、断面が曲線形状又は三角形状の凸部が多数同一方向に伸びた光拡散層を備えたことを特徴とする光拡散フィルム。
- 前記光拡散層が、平行に配列された多数の溝を有する金型を用いて基材上に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の光拡散フィルム。
- 前記凸部のピッチをP、凸部の高さをh、前記等方性球状微粒子の平均粒子径をdとしたとき、3<h/d、及び20<P/dを満足することを特徴とする請求項1記載の光拡散フィルム。
- 前記平均粒子径dが10μm以上であることを特徴とする請求項3記載の光拡散フィルム。
- 前記等方性球状微粒子の樹脂バインダーに対する割合が、樹脂バインダー100重量部に対して10〜100重量部であることを特徴とする請求項1記載の光拡散フィルム。
- 樹脂バインダーに等方性球状微粒子を分散させた樹脂材料を用いて、曲線形又はV字形の溝が多数平行に配列された長溝列金型により成形することを特徴とする光拡散フィルムの製造方法。
- 前記樹脂材料を長溝列金型に塗布法により充填する工程と、
前記長溝列金型の充填層の上に基材フィルムを付着させる工程と、
前記充填層を硬化させ、基材フィルムとともに長溝列金型から剥離する工程とを含むことを特徴とする請求項6記載の光拡散フィルムの製造方法。
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