JP2008032824A - 光拡散シート - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な全光線透過率を有し、広い視点角度において十分な輝度が得られる光拡散シートを提供する。
【解決手段】透明基材10の上に、樹脂層22に粒子24(樹脂)を含有させた光拡散層20と、樹脂層32に粒子34(シリカ)が分散された粒子分散層30とが積層されて形成されており、粒子分散層30の膜厚は光拡散層20の膜厚より薄いと共に、粒子分散層30の粒子34の径は光拡散層20の粒子24の径より小さく、かつ粒子分散層30の粒子34の含有量は、光拡散層20の粒子24の含有量より低く設定されている。
【選択図】図2

Description

本発明は光拡散シートに係り、さらに詳しくは、透過光線を拡散させる機能を有し、液晶表示装置のバックライトユニットに好適に適用できる光拡散シートに関する。
液晶表示装置は、自発光型ではないため一般的にバックライト方式が採用され、液晶素子からの透過光によって画像が表示される。図1には、液晶表示装置のエッジライト方式のバックライトユニットの一例が示されている。図1に示すように、バックライトユニットは、光源100と、光源100の横方向に配置された導光板200と、導光板200の下に配置された反射フィルム300と、導光板200の上側に設置された光拡散シート400と、光拡散シート400の上側に設置されたプリズムシート500とを備えている。
光源100から導光板200に入射した光は、導光板200及び反射フィルム300によって反射され、その表面から上側に出射される。導光板200から出射した光は光拡散シート400に入射し、光拡散シート400で拡散され、光拡散シート400から上側に出射される。その後、光拡散シート400から出射された光は、プリズムシート500に入射し、プリズムシート500よって真上方向にピークを示す分布の光線として出射される。
このように、光源100から出射された光が、光拡散シート400の光拡散効果によって正面輝度が増強され、さらにプリズムシート500によって真上方向にピークを示すように屈折され、液晶層に照射される。
従来技術の光拡散シートには、透明基材の上に複数の微粒子を分散させた樹脂層(光拡散層)が形成されて基本構成されるものがある。特許文献1には、合成樹脂にビーズを混入させたシート基材の上にバインダにビーズを分散したビーズ層を積層したものが記載されている。
また、特許文献2には、透明基板の上に光拡散層として微粒子を含有する樹脂皮膜層が形成され、その上に表面が凹凸形状の樹脂皮膜層が重畳形成された構造の光拡散シートにおいて、各層のヘイズ値を調整することによってギラツキや白ぼけを防止することが記載されている。
特開平10−10304号公報 特開2002−90508号公報
しかしながら、従来の光拡散シートでは、複数の微粒子を含有するため全光線透過率特性が悪くなる傾向があり、光源からの光のロスが発生しやすい。また、従来技術では、微粒子を含有する層を積層するなどして正面での輝度を上げる方法が試みられているが、正面からみたときの輝度は十分に得られるものの、斜め方向からみたときの輝度が低下する傾向があり、輝度の角度依存性が大きいといった問題がある。
本発明は以上の問題点を鑑みて創作されたものであり、十分な全光線透過率を有し、広い視点角度において十分な輝度が得られる光拡散シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は光拡散シートに係り、透明基材と、前記透明基材の上に形成され、樹脂層に粒子を含有させた光拡散層と、前記光拡散層の上に形成され、樹脂層に粒子が分散された粒子分散層とを有し、前記粒子分散層の膜厚は前記光拡散層の膜厚より薄いと共に、前記粒子分散層の粒子の径は前記光拡散層の粒子の径より小さく、かつ前記粒子分散層の粒子の含有量は、前記光拡散層の粒子の含有量より低く設定されていることを特徴とする。
本発明の光拡散シートは、透明基材(PETフィルムなど)の上に光拡散層と粒子分散層とが積層されて基本構成されている。粒子分散層の膜厚は光拡散層の膜厚より薄く設定されている。また、粒子分散層の粒子(好適にはシリカ粒子)の径は、光拡散層の粒子(好適には樹脂粒子)の径より小さく設定されている。さらには、粒子分散層の粒子の含有量は、光拡散層の粒子の含有量よりも少なく設定されている。
このようにして構成される光拡散シートでは、まず、光拡散シートの下方に配置された光源からの光が透明基材を透過して光拡散層に入射する。このとき、所要の粒子が分散された光拡散層の光拡散効果によって、粒子を透過する光は主に真上方向(正面方向)に増幅された明るい光となって粒子分散層に入射する。ここで、粒子分散層は、光拡散層よりも粒子含有量を少なくして光透過が良好な薄膜の樹脂領域が多く存在する状態となっている。このため、光拡散層よりも透過する光の方向が規制されなくなり、斜め方向においても光が出射されるようになって十分な輝度が得られるようになっている。しかも、粒子分散層には光拡散層からの拡散光の輝度が下がらない程度に粒子が分散されているので、光拡散効果によって真上方向(正面方向)にも十分な輝度が得られるようになる。このようにすることにより、視点角度によって輝度が殆ど変化しない光拡散シートを構成することができる。しかも、透明性の高いPETフィルムと同等な全光線透過率(80〜90%以上)が得られる。
また、粒子分散層の粒子として多孔質のシリカ粒子を使用することにより、多孔質構造によってシリカ粒子から拡散する光の軌道修正が行われ、真上方向(正面方向)ばかりではなく、斜め方向に光がより拡散されるようになり、輝度の角度依存性がさらに改善される。
以上説明したように、本発明では、高い全光線透過率が得られ、かつ視点角度によって輝度が殆ど変化しない光拡散シートが構成される。
本発明の実施の形態について、図を参照しながら説明する。
図2は本発明の実施形態の光拡散シート示す断面図である。図2に示すように、本発明の実施形態の光拡散シート1は、透明基材としてのPETフィルム10と、その上に形成された光拡散層20と、その上に形成された粒子分散層30とによって基本構成されている。PETフィルム10の他にもアクリル樹脂やポリエステル樹脂などの各種の透明フィルムを使用することができる。
光拡散層20は、樹脂バインダから形成された透明性の樹脂層22の中に透明又は白色の樹脂粒子24(粒子はビーズや顔料とも呼ばれる)が分散されて構成されている。樹脂層22としては好適にはアクリル樹脂が使用される。また、樹脂粒子24としては、シリコーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子などが使用される。なお、樹脂粒子24の代わりにシリカ粒子を使用してもよい。
光拡散層20の樹脂粒子24の最適な例ではアクリル樹脂粒子が用いられ、樹脂粒子24は、樹脂層22を構成する樹脂が100重量部に対して70〜150重量部(好適には100重量部)の比率で樹脂層22に分散されている。樹脂層22の中の樹脂粒子24の含有量をg/cm3(樹脂層22の単位体積に含有される樹脂粒子24のトータル重量)に換算すると、0.446〜0.648g/cm3(好適には0.528g/cm3)となる。
また、樹脂粒子24は、その径が5〜15μm(好適には8μm)のものが使用される。また、光拡散層20の膜厚は5〜15μm(好適には10μm)に設定される。
光拡散層20では、樹脂層22の中に樹脂粒子24が略均一に分散されており、樹脂粒子24として比較的径が大きいものを使用する場合は、図1にように樹脂層22の上面から樹脂粒子24の上部が突出した状態で形成される。
一方、光拡散層20の上に形成された粒子分散層30は、樹脂バインダから形成された透明性の樹脂層32の中に透明又は白色のシリカ粒子34が分散されて構成されている。粒子分散層30においても樹脂層32としては好適にアクリル樹脂が使用される。粒子分散層30のシリカ粒子34の径は、光拡散層20の樹脂粒子24の径よりも小さく設定されており、その径は1〜5μmである。また、粒子分散層30の膜厚は、光拡散層20の膜厚より薄く設定されており、その膜厚は1〜10μm(好適には3〜5μm)である。
粒子分散層30のシリカ粒子34は、複数の微細な1次粒子が凝集した凝集粒子から形成されており、内部から外面にかけて微細な孔が設けられた多孔質体となっている。また、シリカ粒子34は、樹脂層32を構成する樹脂が100重量部に対して10〜50重量部(好適には20重量部)の比率で樹脂層32に分散されている。樹脂層32の中のシリカ粒子34の含有量をg/cm3(樹脂層32の単位体積に含有されるシリカ粒子34のトータル重量)に換算すると、0.091〜0.387g/cm3(好適には0.174g/cm3)となる。
さらに、シリカ粒子34は疎水化処理が施されて疎水性を有しており、これによって樹脂への濡れ性(分散性)を高くしているので、シリカ粒子34は樹脂層32の中に略均一に分散されている。なお、本実施形態では、粒子分散層30の粒子の好適な例としてシリカ粒子34を挙げたが、光拡散層20で説明した各種の樹脂粒子を使用してもよい。
以上のように、本実施形態の光拡散シート1では、PETフィルム10の上に光拡散層20と粒子分散層30とが積層されて基本構成されている。そして、粒子分散層30の膜厚は光拡散層20の膜厚より薄く設定されている。また、粒子分散層30のシリカ粒子34の径は、光拡散層20の樹脂粒子24の径より小さく設定されている。さらには、粒子分散層30のシリカ粒子34の樹脂層32への含有量は、光拡散層20の樹脂粒子24の樹脂層22への含有量よりも少なく設定されている。
このようにして構成される光拡散シート1では、まず、光源からの光がPETフィルム10を透過して光拡散層20に入射する。このとき、所要の樹脂粒子24が分散された光拡散層20の光拡散効果によって、樹脂粒子24を透過する光は主に真上方向(正面方向)に輝度が増幅された明るい光となって粒子分散層30に入射する。またこのとき、粒子分散層30では、その膜厚が光拡散層20よりも薄く、それに含まれるシリカ粒子34の径が光拡散層20の樹脂粒子24より小さく、かつシリカ粒子34の含有量が光拡散層20の樹脂粒子24よりも少なく設定されている。
つまり、粒子分散層30は、光拡散層20よりも粒子のトータル含有量を少なくして光透過が良好な薄膜の樹脂領域が多く存在する状態となっている。このため、粒子分散層30を透過する光の方向が光拡散層20よりも規制されにくくなり、斜め方向にも光が出射されて斜め方向から視認しても十分な輝度が得られるようになっている。
しかも、粒子分散層30には光拡散層20からの拡散光の輝度が下がらない程度にシリカ粒子34が分散されているので、シリカ粒子34の光拡散効果によって真上方向(正面方向)にも十分な輝度が得られるようになる。このようにして、本実施形態の光拡散シート1は、正面から斜め方向に視点角度が変わっても輝度が殆ど変化せず、輝度の角度依存性が改善される。
さらには、粒子分散層30のシリカ粒子34は多孔質体からなるので、多孔質構造によってシリカ粒子34から拡散する光の軌道修正が行われる。つまり、シリカ粒子34を透過拡散する光も真上方向(正面方向)ばかりではなく、斜め方向にも光がより拡散されるようになり、これによっても輝度の角度依存性が改善される。
次に、本発明の実施形態の光拡散シートの製造方法の好適な一例について説明する。まず、UV硬化型のアクリル系の樹脂バインダが100重量部、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる樹脂粒子(径:8μm)が100重量部、溶剤(MEK(メチルエチルケトン)/TO(トルエン))が250重量部となるように設定し、それらを混合して塗布液を得る。そして、その塗布液をPETフィルム10上に塗布量10g/m2で塗布して膜厚が10μm程度の塗布膜を形成した後に、その塗布膜に対してUV照射して塗布膜を硬化させることにより、樹脂粒子24が分散された光拡散層20を得る。
続いて、UV硬化型のアクリル系の樹脂バインダが100重量部、シリカ粒子(径:2.1μm)が20重量部、溶剤(MEK/TO)が160重量部となるように設定し、それらを混合して塗布液を得る。このとき、本実施形態では、シリカ粒子が疎水性を有するので、シリカ粒子が樹脂液の中に均一に分散される。そして、その塗布液を光拡散層20の上に塗布量5g/m2で塗布して膜厚が5μm程度の塗布膜を形成した後に、その塗布膜に対してUV照射して塗布膜を硬化させることにより、シリカ粒子34が分散された粒子分散層30を得る。
以上により、図2に示した本実施形態の光拡散シート1が得られる。
本願発明者は、本実施形態の光拡散シートの効果を確認するための比較実験を行った。上記した製造方法によって製造された本実施形態の光拡散シート1(図2)と、比較例1及び2の光拡散シートとにおいて、全光線透過率、ヘイズ値、輝度の角度依存性を調査して比較した。その結果を表1に示す。表1の輝度の角度依存性については、0°の輝度は光拡散シートの正面から輝度を測定した結果である。また、15〜60°の輝度は、光拡散シートの表面に対して垂直な軸からの傾斜角度を示しており、角度が大きくなるにつれて光拡散シートのより斜め方向から測定していることを示す。
また、表1において、比較例1の光拡散シートは図2の本実施形態の光拡散シート1において粒子分散層30が省略されたものである。また、比較例2は、一般的な液晶テレビに使用されている光拡散シートである。
Figure 2008032824
表1に示すように、全光線透過率に関しては、比較例1及び2が70〜75%程度であるのに対し、本実施形態の光拡散シート1では、91%と高く透明性の高いPETフィルム単体の値と同等であり、光のロスが少ない光拡散シートを構成できることが分かる。光拡散層20及び粒子分散層30の構成条件を微調整するとしても少なくも80%の以上の全光線透過率が得られる。
また、輝度の角度依存性に関しては、比較例1では、0°の輝度(光拡散シートの正面から測定)は3015cd/m2であるが、角度が大きくなるにつれて輝度が減少し、60°になると64%程度の輝度(1921cd/m2)に減少する。比較例2も同様に、0°の輝度(光拡散シートの正面から測定)は3496cd/m2であるが、60°になると41%程度の輝度(1439cd/m2)に減少する。これらのデータは、比較例1及び2では、光拡散層に含まれる粒子を透過する光は、主に真上方向(正面方向)に光拡散されることを意味する。
しかしながら、本実施形態の光拡散シートでは、0°の輝度(光拡散シートの正面から測定)から60°までの間で、輝度の大きな減少はみられず、2964〜2805cd/m2の輝度が得られている。このように、本実施形態の光拡散シート1では、光拡散層20と粒子分散層30をそれらの膜厚や粒子の径及び含有量を最適化して積層することによって、広い視点角度の範囲において十分な輝度が得られることが分かる。
また、ヘイズ値に関しては、比較例1及び2が80〜85%程度であるのに対して、本実施形態の光拡散シートでは40%と減少している。これは、輝度の角度依存性を改善するために粒子分散層30の膜厚を薄めにし、シリカ粒子34の含有量を低めに設定した結果、透明度が向上したためであると考えられる。しかしながら、本実施形態の光拡散シートを液晶表示装置のバックライトユニット(光源の配置が直下型)に適用する場合、ヘイズ値が40%程度あれば光源の写り込みは発生せず、十分に使用できる範囲であり何ら問題はないことが確認された。また、光源の配置が端部となるエッジライト方式のバックライトユニットに適用する場合であっても、導光板のドッドの映り込みは発生しない。
以上説明したように、本実施形態では、光拡散層20と粒子分散層30とをそれらの膜厚、粒子径及び粒子の含有量を最適化して積層することにより、全光線透過率が高く光ロスが少なく、かつ視点角度によって輝度が殆ど変化しない光拡散シートを構成することができる。
また、本実施形態の光拡散シートを輝度の角度依存性をもつ通常の光拡散シートの上に配置することにより、視点角度によって輝度が殆ど変化しない光拡散シートを構成することも可能である。
図1は液晶表示装置のバックライトユニットの一例を示す構成図である。 図2は本発明の実施形態の光拡散シートを示す断面図である。
符号の説明
1…光拡散シート、10…PETフィルム、20…光拡散層、22,32…樹脂層、24…樹脂粒子、30…粒子分散層、34…シリカ粒子。

Claims (10)

  1. 透明基材と、
    前記透明基材の上に形成され、樹脂層に粒子を含有させた光拡散層と、
    前記光拡散層の上に形成され、樹脂層に粒子が分散された粒子分散層とを有し、
    前記粒子分散層の膜厚は前記光拡散層の膜厚より薄いと共に、前記粒子分散層の粒子の径は前記光拡散層の粒子の径より小さく、かつ前記粒子分散層の粒子の含有量は前記光拡散層の粒子の含有量より低く設定されていることを特徴とする光拡散シート。
  2. 前記光拡散層及び前記粒子分散層の各粒子は、樹脂粒子又はシリカ粒子であることを特徴とする請求項1に記載の光拡散シート。
  3. 前記光拡散層の粒子は前記樹脂粒子であり、前記粒子分散層の粒子は前記シリカ粒子であることを特徴とする請求項2に記載の光拡散シート。
  4. 前記粒子分散層の前記シリカ粒子は、疎水性を有することを特徴とする請求項3に記載の光拡散シート。
  5. 前記粒子分散層の前記シリカ粒子は、多孔質体からなることを特徴とする請求項3に記載の光拡散シート。
  6. 前記光拡散層の粒子の径は5乃至15μmから選択され、前記粒子分散層の粒子の径は1〜5μmから選択されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光拡散シート。
  7. 前記光拡散層の前記樹脂粒子はアクリル樹脂からなり、その含有量は、前記樹脂層を構成する樹脂が100重量部に対して前記樹脂粒子が75乃至150重量部であり、
    前記粒子分散層の前記シリカ粒子の含有量は、前記樹脂層を構成する樹脂が100重量部に対して前記シリカ粒子が10乃至50重量部であることを特徴とする請求項3に記載の光拡散シート。
  8. 前記光拡散層の膜厚は5〜15μmから選択され、前記粒子分散層の膜厚は1乃至10μmから選択されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光拡散シート。
  9. 前記光拡散シートの全光線透過率は80%以上であり、ヘイズ値が40%以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光拡散シート。
  10. 前記透明基材はPETフィルムであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光拡散シート。
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