JP2004340858A - 物理量センサーおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、加速度等の物理量の変化を2以上の方向で検出することが可能な物理量センサーを提供することにある。
【解決手段】本発明の物理量センサーは、半導体基板により構成される梁部とその梁部により揺動自在に支持される錘部とを有し、該梁部に形成されたピエゾ抵抗によって該梁部の歪みを検出する構造の物理量センサーにおいて、該梁部は、少なくともその一部が上底、下底および1以上の斜辺からなる台形断面形状を有し、該上底側の表面および該斜辺を構成する斜面にピエゾ抵抗を各1以上形成したことを特徴としている。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の物理量センサーは、半導体基板により構成される梁部とその梁部により揺動自在に支持される錘部とを有し、該梁部に形成されたピエゾ抵抗によって該梁部の歪みを検出する構造の物理量センサーにおいて、該梁部は、少なくともその一部が上底、下底および1以上の斜辺からなる台形断面形状を有し、該上底側の表面および該斜辺を構成する斜面にピエゾ抵抗を各1以上形成したことを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピエゾ抵抗によって変化を検出する方式の物理量センサーに関する。より詳細には、加速度、振動、傾斜等の物理量をシリコン等の半導体基板に設けた梁部の歪みにより検出する、半導体基板を用いた物理量センサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の物理量センサーは、一般に半導体基板を加工することにより形成されている(たとえば特許文献1および特許文献2)。図5の(a)はそのような従来の物理量センサーの平面図を示し、図5の(b)は同図(a)のC−C線の部分の断面図を示す(特許文献2)。
【0003】
図5の(a)および(b)より明らかなように、このような物理量センサー500は、第1の半導体基板501により形成された四角形枠状の支持部503(第2の半導体基板502の下面にはりあわされている)と、第2の半導体基板502により支持部503の上面に十字型に形成された梁部505とによって揺動自在に支持される錘部507とを備えた構成となっている。そして錘部507と支持部503とは僅かな隙間(以下、離間部506という)を有して隣接している。
【0004】
ところで、このように十字型に形成された梁部505の任意の表面部には、それぞれ複数のピエゾ抵抗504が配設されている。これらのピエゾ抵抗504は、加速度を電気的な出力として検出するためのものである。このようなピエゾ抵抗504は、それぞれブリッジ回路に接続してあり、各ピエゾ抵抗504のブリッジ回路には外部電源(図示せず)より電圧が印加されている。そして、物理量センサーに加速度が全く印加されていない状態においてブリッジ回路が平衡するようにしてある。
【0005】
そして、加速度が印加されると錘部507が揺動して梁部505がたわむことになる。その結果、梁部505には加速度に応じた応力による歪みが生じ、この歪みに応じてピエゾ抵抗504の抵抗値が変化するので、ピエゾ抵抗504により構成されたブリッジ回路の平衡がくずれ、上記ブリッジ回路からは加速度に応じた電圧出力が得られることとなる。
【0006】
このような従来の物理量センサーは、図6に示すようにして形成される。まず、イオン注入またはデポジット拡散により形成した犠牲層608を有する第1の半導体基板601の表面に、もう一枚の第2の半導体基板602を接合する(図6(a))。
【0007】
次に、接合された第2の半導体基板602を所定の厚みまで削り、表面を研磨する。研磨した第2の半導体基板602の表面に熱酸化により酸化シリコンから成る絶縁膜(図示せず)を形成し、この酸化シリコンの絶縁膜表面にエッチングを行なうことにより、ピエゾ抵抗604を内部に形成するための短冊型のパターンを半導体基板602の上面に形成する(図示せず)。そして、そのパターン部分にイオン注入等で不純物をドープし、ピエゾ抵抗604を第2の半導体基板602の表面に形成する(図6(b))。
【0008】
続いて、第1の半導体基板601において離間部606を形成するために、サンドブラスト法により第1の半導体基板601に対してダイシングや細かな粒子の砂を高圧で吹き付けることによって、第2の半導体基板602の梁部605に対して略垂直となる離間部606を形成する。次いで、フッ酸などのエッチング溶液に浸すことにより、上記犠牲層608を除去すると離間部606を梁部605に対して略垂直に設けた物理量センサーを形成することができる(図6(c))。
【0009】
このような物理量センサーにおいては、離間部606を梁部605に対して略垂直とすることにより、支持部603と錘部607との成す角度を小さく(平行に近く)することができる。このため、第2の半導体基板602に接合される、離間部606により形成された錘部607の体積を、従来の逆四角錐状の錘より大きくすることが可能となるため、物理量センサーのチップ面積を大きくすることなくセンサーの感度を高めることができる。
【0010】
しかし、このような従来技術に示される物理量センサーでは、センサーを構成する梁の上面だけにピエゾ抵抗が形成された構造となっているため、3方向(たとえばX軸、Y軸、Z軸の関係にある3方向)の加速度を検出するためには、錘を十字型の両持ち梁で支持し、各ピエゾ抵抗にかかる歪みの+−によるモードでX軸、Y軸、Z軸の3方向の加速度を分類して検出する以外に方法はなかった。
【0011】
また、錘を4つの梁で拘束した十字型の両持ち梁であるため、片持ち梁や固定端の少ない梁に比べると加速度による梁の変形量も少ないため、感度が悪く、センサー面積も大きく小型化が難しいという課題を有していた。
【0012】
さらに、上記では図示していないが1軸方向の加速度センサーとなる片持ち梁構造のもの(特許文献1)においても、梁上面にしかピエゾ抵抗が形成されておらず、2軸方向(X軸、Y軸の2方向)の加速度を検出することはできなかった。
【0013】
これに対して、このような片持ち梁構造のものおいて、梁の側面にもピエゾ抵抗を形成すれば、上面および側面に形成したピエゾ抵抗によりそれぞれのピエゾ抵抗が圧縮や引張りの応力を受けることによって、それぞれの方向の加速度、すなわち2方向の加速度を検出することが可能になるとも考えられる。
【0014】
しかし、このように梁の側面が上面に対して垂直に形成されていると、ピエゾ抵抗を形成する際、イオンビームが側面と平行に照射されるので梁の側面にイオンドープすることができず、そのような側面にピエゾ抵抗を形成することはできなかった。また、そのような側面に対して有機溶剤中にボロンなどを分散させた液体を塗布する方法によっても、重力によりボロンを分散した液体が流れ落ちるため、ボロンをドープさせることができずそこにピエゾ抵抗を形成させることはできなかった。
【0015】
【特許文献1】
特開平1−315173号公報
【0016】
【特許文献2】
特開平10−335674号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、加速度等の物理量の変化を2以上の方向で検出することが可能な物理量センサーを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の物理量センサーは、半導体基板により構成される梁部とその梁部により揺動自在に支持される錘部とを有し、該梁部に形成されたピエゾ抵抗によって該梁部の歪みを検出する構造の物理量センサーにおいて、該梁部は、少なくともその一部が上底、下底および1以上の斜辺からなる台形断面形状を有し、該上底側の表面および該斜辺を構成する斜面にピエゾ抵抗を各1以上形成したことを特徴としている。
【0019】
このような構造の物理量センサーに加速度等の物理量が印加されると、錘部が揺動して梁部がたわみ、該梁部には該物理量に応じた応力による歪みが生じる。そして、この歪みに応じてピエゾ抵抗の抵抗値が変化するので、このピエゾ抵抗を外部のブリッジ回路等に接続しておけばその回路の平衡がくずれ、該回路からは前記印加された物理量に応じた電圧出力が得られることとなる。このため、結局のところ、このピエゾ抵抗によって該梁部の歪みが検出され、これにより物理量が検出されることになる。
【0020】
そして、本発明の物理量センサーにおいては、少なくともその一部が上底、下底および1以上の斜辺からなる台形断面形状となっている梁部を有することから、ピエゾ抵抗をその上底側の表面および斜辺を構成する斜面に各1以上形成することが可能となり、これにより加速度等の物理量を簡単に2方向(たとえばX軸方向とY軸方向の関係にある2方向)で検出することができるものとしている。また、該ピエゾ抵抗が、垂直面ではなく斜面に形成される構成であるため、イオンビーム法によっても、また不純物を含んだ液体の塗布法によっても該ピエゾ抵抗自体を容易に形成することができる。なお、該梁部は、このように少なくともその一部が上底、下底および1以上の斜辺からなる台形断面形状を有するものであるが、その全断面がこのような台形断面形状となっていても良い。
【0021】
また、上記梁部は、ひとつの半導体基板の同一平面内で方向を異にするようにして2つ形成することができ、この2つの梁部により1つの錘部を揺動自在に支持し、一方の梁部の上底側の表面および斜辺を構成する斜面にピエゾ抵抗を各1以上形成するとともに、他方の梁部には斜辺を構成する斜面にのみ1以上のピエゾ抵抗を形成したものとすることができる。このようにピエゾ抵抗が、2つの梁部に合計3以上形成されるため、加速度等の物理量を3方向(たとえばX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の関係にある3方向)で検出することができる。
【0022】
さらに、上記梁部は、同一平面内で2方向を有するように屈曲して形成されており、その一の方向を有する部分において上底側の表面および斜辺を構成する斜面にピエゾ抵抗を各1以上形成するとともに、他の方向を有する部分においては斜辺を構成する斜面にのみ1以上のピエゾ抵抗を形成したものとすることができる。このようにピエゾ抵抗が、2方向を有する梁部に合計3以上形成されるため、加速度等の物理量を上記同様3方向で検出することができる。
【0023】
このような本発明の物理量センサーは、半導体基板としてシリコン基板を使用し、梁部の形状の少なくとも一部を台形断面形状となるように成形するステップと、不純物をドープすることによりピエゾ抵抗を形成するステップとを含む製造方法によって製造することができる。
【0024】
また、上記の製造方法は、上記不純物をドープすることによりピエゾ抵抗を形成するステップにおいて、梁部の上底側の表面および斜面にレジストでマスクを形成し、イオン注入装置により不純物をドープするものとすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づき説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
<実施の形態1>
図1は、本発明に係る物理量センサーの概略図であって、(a)は紙面に対して垂直方向から見た概略図であり、(b)は紙面に対して水平方向から見た概略図であり、(c)は(a)中のA−A線の断面構造の概略図である。
【0027】
該物理量センサー100は、半導体基板101により構成される梁部102を有する。ここで、半導体基板101としては、シリコン基板を用いることが好ましいが、これのみに限られるものではない。該半導体基板101は、四角形枠状の形状を呈しているとともに、該梁部102は該半導体基板101の四角形枠状の内側の1方向(便宜上Y軸方向という)に張り出た片持ち梁形状となっている。そして、該梁部102の先端に、該梁部102より面積の広い(幅の広い)錘部103が揺動自在に支持されている。
【0028】
この錘部103の裏面には、たとえば陽極接合などによってシリコン、ガラスなどの錘104が取り付けられており、加速度等の物理量が印加された時、該梁部102が変形しやすい構造となっている。ただし、該梁部102が、それ自体変形しやすい場合には特にこの錘104を取り付けなくても良い。
【0029】
そして該梁部102は、A−A線の断面形状によって示されるようにその断面が台形断面形状となっていることが好ましい。この台形断面形状は、上底、下底および1以上の斜辺からなるものであり、具体的には斜辺を構成する斜面105、同斜面106および上底側の表面107を含んだものとなる(図1(a)には下底側の表面は図示されていない)。このような台形断面形状を有する梁部102は、たとえば後述のようにして成形することができる。
【0030】
そして、上記の斜面(たとえば斜面106)および上底側の表面107の一部には、それぞれ1以上のピエゾ抵抗108および109が形成されている。このようなピエゾ抵抗108および109は、半導体基板としてシリコン基板を使用する場合、不純物をドープすることにより形成することができる。この場合、該梁部102の上底側の表面107および斜面106にレジストでマスクを形成し、イオン注入装置により不純物をドープすることによって形成することが好ましい。また、該不純物としては、半導体基板がシリコン基板である場合、たとえばボロンやリン等を挙げることができるがこれらのみに限られるものではない。本発明においては、このようにピエゾ抵抗が特に台形断面形状の斜面に形成されるため、ピエゾ抵抗自体を非常に容易に形成することができる。
【0031】
このような構造の物理量センサーにおいて、任意の方向(たとえば、便宜上上記のY軸方向に対するX軸方向)の加速度等の物理量が印加された場合、該梁部102は錘部103の慣性によってX軸方向とは逆の方向、すなわちX軸のマイナス方向に曲げ力が作用し変形する。すなわち、該梁部102の斜面106は、この曲げによって引張力が発生し変形することにより歪みが生じる。
【0032】
したがって、該斜面106に形成されたピエゾ抵抗109は、この引張力によって変形した歪みにより抵抗変化を生ずることとなる。このため、電源を有する抵抗値計測回路(図示せず)に該ピエゾ抵抗109を電気的に接続することにより、上記引張力による単位時間当たりの抵抗変化量を測定すると、ピエゾ抵抗によって該梁部の歪みが検出され、もってX軸方向の上記物理量を電気的に検出することが可能となる。
【0033】
すなわち、この抵抗値計測回路は該ピエゾ抵抗109とブリッジ回路を形成するように構成することができる。上記のように加速度等の物理量に応じた応力による歪みが生じた時、この歪みに応じて該ピエゾ抵抗の抵抗値が変化する。これにより、該ピエゾ抵抗を接続したブリッジ回路の平衡がくずれ、ブリッジ回路からはその物理量に応じた電圧出力が得られる。したがって、上記物理量が電気的に検出可能となる。
【0034】
一方、紙面に垂直な方向(便宜上Z軸方向という)において上向きに加速度等の物理量の印加を受けた時、該梁部102は錘部103の慣性によってZ軸方向とは逆の方向、すなわちZ軸のマイナス方向に曲げ力が作用し変形する。すなわち、該梁部102の上底側の表面107は、この曲げによって引張力が発生し変形することにより歪みが生じる。
【0035】
したがって、該表面107に形成されたピエゾ抵抗108は、この引張力によって変形した歪みにより抵抗変化を生ずることとなるため、上記と同様このピエゾ抵抗108を抵抗値計測回路(図示せず)に電気的に接続し、単位時間当たりの抵抗変化量を計測すればZ軸方向の上記物理量を電気的に検出することが可能となる。
【0036】
すなわち、この抵抗値計測回路は、上記のX軸方向の物理量の検出と同様にして、Z軸方向の物理量を検出できるように該ピエゾ抵抗108によりブリッジ回路を形成するように構成することができ、該ブリッジ回路からはその物理量に応じた電圧出力が得られることになる。
【0037】
なお、X軸、Z軸方向ともに逆方向の物理量の印加を受ければ、上記で説明した各梁部は逆方向の曲げ力を受け圧縮力を受けることとなるが、この場合は、引張力とは逆の抵抗変化を受けることとなり同様に各方向の物理量を検出することができる。
【0038】
このように、梁部を台形断面形状を有する構造としその梁部の斜面および上底側の表面にピエゾ抵抗を有する構造とすることで、片持ち梁構造で2方向の加速度等の物理量を検出することが可能となり、感度がよく、小型の物理量センサーを構成することができる。
【0039】
なお、上記では物理量の例示として加速度を挙げているが、本発明が対象とする物理量は加速度のみに限られるものではなく、たとえば振動、傾斜、変位等が含まれる。
【0040】
<実施の形態2>
図2は、上記とは異なる構造の本発明に係る物理量センサーの概略図であって、(a)は紙面に対して垂直方向から見た概略図であり、(b)は(a)中のA−A線の断面構造の概略図であり、(c)は(a)中のB−B線の断面構造の概略図である。
【0041】
該物理量センサー200は、前記同様の半導体基板201により構成される2つの梁部202と211を有し、この2つの梁部202と211は、このようにひとつの半導体基板201の同一平面内で方向を異にするようにして形成されている。また、この2つの梁部202と211により1つの錘部203を揺動自在に支持している。
【0042】
すなわち、該半導体基板201は四角形枠状の形状を呈しているとともに、該梁部202は該半導体基板201の四角形枠状の1方向(便宜上Y軸方向という)に張り出た形状となっており、また該梁部211は該半導体基板201の四角形枠状の別の1方向(便宜上X軸方向という)に張り出た形状となっている。このような2つの梁部202と211の方向は、互いの方向が180°以外の角度をなすように設定されていることが好ましく、さらに好ましくは互いの方向が90°の角度をなすように設定されていることが好適である。このような梁部202と211は、後述のようにして成形することができる。
【0043】
上記錘部203は梁部202および梁部211よりも面積が広く(幅が広く)なっており、その裏面には陽極接合などによってシリコンやガラスなどの錘204が取り付けられていることにより、加速度等の物理量が印加された時、梁部202および211が変形しやすい構造となっている。ただし、該梁部202および211が、それ自体変形しやすい場合には特にこの錘204を取り付けなくても良い。
【0044】
そして該梁部202および211は、A−A線およびB−B線の断面形状によって示されるようにその断面がそれぞれ台形断面形状となっていることが好ましい。この台形断面形状は、それぞれ上底、下底および1以上の斜辺からなるものであり、具体的には斜辺を構成する斜面205、同斜面206、上底側の表面207および同表面212等を含んだものとなる。
【0045】
そして上記2つの梁部202と211は、どちらか一方の梁部(たとえば211)の上底側の表面(たとえば207)および斜辺を構成する斜面(たとえば205)にピエゾ抵抗208、209を各1以上形成するとともに、他方の梁部(たとえば202)には斜辺を構成する斜面(たとえば206)にのみ1以上のピエゾ抵抗210を形成したものとすることができる。このようなピエゾ抵抗は、たとえば上記と同様にして形成することができる。なお、上記一方の梁部の表面(たとえば212)にはピエゾ抵抗が形成されていないが、これはここにピエゾ抵抗を形成しても結局上記207に形成したピエゾ抵抗と同一の方向の物理量を検出することとなるからである。
【0046】
このような構造の物理量センサーにおいて、任意の方向(たとえば上記Y軸方向)の加速度等の物理量が印加された場合、該梁部211は錘部203の慣性によってY軸方向とは逆の方向、すなわちY軸のマイナス方向に曲げ力が作用し変形する。すなわち、該梁部211の斜面205は、この曲げによって圧縮力が発生し変形することにより歪みが生じる。
【0047】
したがって、該斜面205に形成されたピエゾ抵抗208は、この圧縮力によって変形した歪みにより抵抗変化を生ずることとなる。このため、電源を有する抵抗値計測回路(図示せず)に該ピエゾ抵抗208を電気的に接続することにより、上記圧縮力による単位時間当たりの抵抗変化量を測定すると、ピエゾ抵抗によって該梁部の歪みが検出され、もってY軸方向の上記物理量を電気的に検出することが可能となる。
【0048】
すなわち、この抵抗値計測回路は該ピエゾ抵抗208とブリッジ回路を形成するように構成することができる。上記のように加速度等の物理量に応じた応力による歪みが生じた時、この歪みに応じて該ピエゾ抵抗の抵抗値が変化する。これにより、該ピエゾ抵抗を接続したブリッジ回路の平衡がくずれ、ブリッジ回路からはその物理量に応じた電圧出力が得られる。したがって、上記物理量が電気的に検出可能となる。
【0049】
また、上記と同様にしてX軸方向の加速度等の物理量が印加された場合、該梁部202は錘部203の慣性によってX軸方向とは逆の方向、すなわちX軸のマイナス方向に曲げ力が作用し変形する。すなわち、該梁部202の斜面206は、この曲げによって引張力が発生し変形することにより歪みが生じる。
【0050】
したがって、該斜面206に形成されたピエゾ抵抗210は、この引張力によって変形した歪みにより抵抗変化を生ずることとなるため、上記と同様このピエゾ抵抗210を抵抗値計測回路(図示せず)に電気的に接続し、単位時間当たりの抵抗変化量を計測すればX軸方向の上記物理量を電気的に検出することが可能となる。
【0051】
すなわち、この抵抗値計測回路は、上記のY軸方向の物理量の検出と同様にして、X軸方向の物理量を検出できるように該ピエゾ抵抗210によりブリッジ回路を形成するように構成することができ、該ブリッジ回路からはその物理量に応じた電圧出力が得られることになる。
【0052】
一方、上記と同様にして紙面に垂直な方向(便宜上Z軸方向という)において上向きに加速度等の物理量の印加を受けた時、該梁部211は錘部203の慣性によってZ軸方向とは逆の方向、すなわちZ軸のマイナス方向に曲げ力が作用し変形する。すなわち、該梁部211の上底側の表面207は、この曲げによって引張力が発生し変形することにより歪みが生じる。
【0053】
したがって、該表面207に形成されたピエゾ抵抗209は、この引張力によって変形した歪みにより抵抗変化を生ずることとなるため、該ピエゾ抵抗209を抵抗値計測回路(図示せず)に電気的に接続し、単位時間当たりの抵抗変化量を計測すればZ軸方向の上記物理量を電気的に検出することが可能となる。
【0054】
すなわち、この抵抗値計測回路は、上記のY軸方向およびX軸方向の物理量の検出と同様にして、Z軸方向の物理量を検出できるように該ピエゾ抵抗209によりブリッジ回路を形成するように構成することができ、該ブリッジ回路からはその物理量に応じた電圧出力が得られることになる。
【0055】
なお、X、Y、Z軸方向ともに逆方向の加速度等の物理量の印加を受ければ、上記で説明した各梁部は逆方向の曲げ力を受けることとなるが、この場合は、逆の抵抗変化を受けることとなり同様に各方向の物理量を検出することができる。
【0056】
このように、梁部を台形断面形状を有する構造とし、かつ同一平面内で異なる2方向に形成し、しかもその各斜面および少なくとも一方の梁部の上底側の表面にピエゾ抵抗を有する構造とすることで、3方向の物理量を検出することを可能としている。また、2つの梁部で錘を拘束する構成となっているため、従来技術よりも拘束箇所を減らすことができ、加速度などの物理量によって曲がりやすい構成とすることができるので、感度がよく、小型の物理量センサーを構成することができる。
【0057】
<実施の形態3>
図3は、上記とは異なる構造の本発明に係る物理量センサーの概略図であって、(a)は紙面に対して垂直方向から見た概略図であり、(b)は紙面に対して水平方向から見た概略図であり、(c)は(a)中のA−A線の断面構造の概略図であり、(d)は(a)中のB−B線の断面構造の概略図である。
【0058】
該物理量センサー300は、シリコン基板等の半導体基板301により構成され、同一平面内で2方向を有するように屈曲して形成されている梁部302を有する。同一平面内で2方向を有するように屈曲して形成するとは、たとえば図3に示したL字型等の形状に形成されていることをいうものとする。なお、該2方向がなす角度は、このようにL字型となっている場合には90°となるが、これに限定されるものではない。
【0059】
すなわち該梁部302は、四角形枠状の形状を呈する該半導体基板301の内側にL字型に張り出た形状となっており、同一平面内で2方向を有するように屈曲して形成されている。そして、該梁部302の先端に、該梁部302より面積の広い(幅の広い)錘部303が揺動自在に支持されている。
【0060】
この錘部303の裏面には、たとえば陽極接合などによってシリコン、ガラスなどの錘304が取り付けられており、加速度等の物理量が印加された時、L字型の梁部302が変形しやすい構成となっている。ただし、該梁部302が、それ自体変形しやすい場合には特にこの錘304を取り付けなくても良い。
【0061】
そして該梁部302は、A−A線およびB−B線の断面形状によって示されるようにその断面がそれぞれ台形断面形状となっていることが好ましい。この台形断面形状は、上底、下底および1以上の斜辺からなるものであり、具体的には斜辺を構成する斜面305、同斜面306、上底側の表面307および同表面311等を含んだものとなる(図3(a)には下底側の表面は図示されていない)。
【0062】
ここで、上記L字型の梁部302において、便宜上該斜面305および該表面311を含む部分(錘部303に隣接する部分)を縦長部と呼び、該斜面306および該表面307を含む部分(四角形枠に隣接する部分)を横長部と呼ぶ。このような梁部302は、たとえば後述のようにして成形することができる。
【0063】
そして該梁部302は、L字型をなす2つの表面307および311のいずれか一方の表面(たとえば307)にピエゾ抵抗309を1以上形成するとともに、前記L字型の斜辺を構成する2つの斜面305および306にそれぞれ1以上のピエゾ抵抗308、310を形成することができる。このようにして、同一平面内で2方向を有するように屈曲して形成された梁部302において、その一の方向を有する部分において上底側の表面および斜辺を構成する斜面にピエゾ抵抗を各1以上形成するとともに、他の方向を有する部分においては斜辺を構成する斜面にのみ1以上のピエゾ抵抗を形成したことになる。なお、このようなピエゾ抵抗は、たとえば上記と同様にして形成することができる。
【0064】
このような構造の物理量センサーにおいて、たとえば図3における紙面に平行な任意の方向(便宜上Y軸方向と記す)の加速度等の物理量が印加された場合、該L字型の梁部302の横長部は錘部303の慣性によってY軸方向とは逆の方向、すなわちY軸のマイナス方向に曲げ力が作用し変形する。すなわち、該梁部302の横長部の斜面306は、この曲げによって圧縮力が発生し変形することにより歪みが生じる。
【0065】
したがって、該斜面306に形成されたピエゾ抵抗308は、この圧縮力によって変形した歪みにより抵抗変化を生ずることとなる。このため、電源を有する抵抗値計測回路(図示せず)に該ピエゾ抵抗308を電気的に接続することにより、上記圧縮力による単位時間当たりの抵抗変化量を測定すると、ピエゾ抵抗によって該梁部の歪みが検出され、もってY軸方向の上記物理量を電気的に検出することが可能となる。
【0066】
すなわち、この抵抗値計測回路は該ピエゾ抵抗308とブリッジ回路を形成するように構成することができる。上記のように加速度等の物理量に応じた応力による歪みが生じた時、この歪みに応じて該ピエゾ抵抗の抵抗値が変化する。これにより、該ピエゾ抵抗を接続したブリッジ回路の平衡がくずれ、ブリッジ回路からはその物理量に応じた電圧出力が得られる。したがって、上記物理量が電気的に検出可能となる。
【0067】
また、上記と同様にしてX軸方向(上記のY軸方向と直角をなす方向)の加速度等の物理量が印加された場合、該梁部302の縦長部は錘部303の慣性によってX軸方向とは逆の方向、すなわちX軸のマイナス方向に曲げ力が作用し変形する。すなわち、該梁部302の縦長部の斜面305は、この曲げによって引張力が発生し変形することにより歪みが生じる。
【0068】
したがって、該斜面305に形成されたピエゾ抵抗310は、この引張力によって変形した歪みにより抵抗変化を生ずることとなるため、上記と同様このピエゾ抵抗310を抵抗値計測回路(図示せず)に電気的に接続し、単位時間当たりの抵抗変化量を計測すれば、X軸方向の上記物理量を電気的に検出することが可能となる。
【0069】
すなわち、この抵抗値計測回路は、上記のY軸方向の物理量の検出と同様にして、X軸方向の物理量を検出できるように該ピエゾ抵抗310によりブリッジ回路を形成するように構成することができ、該ブリッジ回路からはその物理量に応じた電圧出力が得られることになる。
【0070】
一方、上記と同様にして紙面と垂直な方向(便宜上Z軸方向という)において上向きに加速度等の物理量の印加を受けた場合、該梁部302の横長部は錘部303の慣性によってZ軸方向とは逆の方向、すなわちZ軸のマイナス方向に曲げ力が作用し変形する。すなわち、該梁部302の横長部の表面307は、この曲げによって引張力が発生し変形することにより歪みが生じる。
【0071】
したがって、該表面307に形成されたピエゾ抵抗309は、この引張力によって変形した歪みにより抵抗変化を生ずることとななるため、該ピエゾ抵抗309を抵抗値計測回路(図示せず)に電気的に接続し、単位時間当たりの抵抗変化量を計測すればZ軸方向の上記物理量を電気的に検出することが可能となる。
【0072】
すなわち、この抵抗値計測回路は、上記のY軸方向およびX軸方向の物理量の検出と同様にして、Z軸方向の物理量を検出できるように該ピエゾ抵抗309によりブリッジ回路を形成するように構成することができ、該ブリッジ回路からはその物理量に応じた電圧出力が得られることになる。
【0073】
本実施の形態の物理量センサーにおいては、前記X軸方向に物理量の印加を受けた場合、梁部302の横長部にもモーメントが働くことにより変形することが懸念される。しかし、基本的には梁部302の縦長部の変形による歪量は、同横長部の変形には関係しないため、上記縦長部の変形による歪でX軸方向の加速度を検出することができる。
【0074】
また、錘部303の中心からピエゾ抵抗308までの距離は一定であるため、X軸方向の物理量および錘の重量が既知であれば梁部302の横長部に働くモーメントは演算可能となる。したがって、あらかじめX軸方向のみに物理量を印加し、そのモーメントによるピエゾ抵抗308の出力を求めておけば、X軸方向の物理量によって発生する梁部302の横長部に働くモーメントによるピエゾ抵抗の変化量を知り得るので、この値をピエゾ抵抗308の出力から差し引いて補正することによつて正確なY軸方向の物理量を検出することができる。
【0075】
このような構造の物理量センサーを用いれば、コンパクトな片持ち梁を用いて3方向(X軸、Y軸、Z軸方向)の物理量の検出をすることが可能となる。
【0076】
<実施の形態4>
本発明に係る物理量センサーの製造方法について図4を用いて説明する。
【0077】
図4は、図2(a)または図3(a)のA−A線またはB−B線における断面に相当する部分の構造を中心に、製造工程(a)〜(l)の順に従って示したものである。なお、該製造工程は、ボロンドープの工程を除きすべて半導体基板全面を対象とした工程である。
【0078】
まず、図4の(a)は、半導体基板400の上に、Si02等の絶縁膜401を形成したものを示している。このように、まず半導体基板400の上に絶縁膜401を形成する。該半導体基板400としては、シリコン基板を使用することが好ましい。
【0079】
次に(b)に示すように、絶縁膜401の上面にレジスト402をスピンナーなどによって塗布コーティングする。
【0080】
続いて(c)に示すように、所望のパターンを描いたマスク403を、レジスト402上にセットし、上部より光をあてパターンに合わせて感光させる(なお、図中の矢印は光の向きを示している)。(c)においては、白抜きの部分が光の通過する部分である。
【0081】
次いで(d)に示すように、現像処理を施し上記のマスクに対応したレジストパターン404を形成する。
【0082】
次に、このように半導体基板400の上に絶縁膜401を有し、その上に上記(d)で形成したレジストパターン404を有する基板を、フッ酸等のエッチング液に入れると、レジストパターン404を有さない部分がエッチングされる。すなわち、(e)に示すようにレジストパターン404の形成されていない部分の絶縁膜401が半導体基板400が現れるまでエッチングされるとともに、レジストパターン404のある部分の絶縁膜401はエッチングされずに残る。このようにして、所望のパターンに応じた、絶縁膜401により構成されるエッチングマスク405を形成する。
【0083】
次に、上記(e)で形成されたエッチングマスク405を有する半導体基板400を、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)やKOH(水酸化カリウム)等のアルカリエッチング溶液に浸すことによって異方性エッチングを行ない、(f)に示すような台形断面形状の梁部406を有する半導体基板を形成する。
【0084】
続いて、半導体基板400上に存在する、絶縁膜401により構成されるエッチングマスク405をフッ酸等のエッチング液で除去することにより、(g)に示すような台形断面形状を有する梁部406を成形する。すなわち、上述の(a)〜(g)が、本発明の物理量センサーの製造方法における、梁部の形状の少なくとも一部を台形断面形状となるように成形するステップとなる。
【0085】
次に、(h)で示すように、台形断面形状を有する梁部406の上面部(上底側の表面)および斜面部(台形断面形状の斜辺を構成するもの)に、スピンナーあるいはロールコータでレジスト407を塗布し硬化する。
【0086】
次いで、(i)に示すようにレジスト407上面にマスク408を設置し、(c)の工程と同様に感光処理を施す。マスク408は、梁部406の上面部と斜面部に相対する任意の位置の光が通過するように形成されている。
【0087】
次に、(j)に示すように現像処理を施し光の通過したレジスト部分を除去し、レジスト407に穴409、410を形成する。
【0088】
続いて、このように形成したレジストパターンを有する半導体基板に対して、(k)に示すようにイオン注入装置を用いて上面より一度にボロンなどの不純物イオンをドープすることにより、ピエゾ抵抗411および412を形成する。この場合、レジストを有する部分ではボロンなどの不純物はドープされないが、レジストのない部分、すなわち上記の穴部分ではボロンなどがドープされることとなる。これにより、半導体基板上の上面、すなわち台形断面形状を有する梁部の上底側の表面にボロンがドープされたピエゾ抵抗411が形成されるとともに、該台形断面形状の斜辺を構成する斜面にもボロンがドープされ、ピエゾ抵抗412が形成される。なお、上記においては不純物としてボロンを例に示したが、本発明における不純物としてはこのようなボロンのみに限られるものではなく、リンなどの従来公知の不純物をいずれも用いることができる。
【0089】
そして、レジスト407を除去すると、(l)に示すように台形断面形状の梁部の上底側の表面と斜面にピエゾ抵抗411と412が形成される。すなわち、上述の(h)〜(l)が、本発明の物理量センサーの製造方法における、不純物をドープすることによりピエゾ抵抗を形成するステップとなる。このように、本発明の物理量センサーの製造方法は、半導体基板としてシリコン基板を使用し、梁部の形状の少なくとも一部を台形断面形状となるように成形するステップと、不純物をドープすることによりピエゾ抵抗を形成するステップとを含むものとすることが好ましい。
【0090】
そして最後に、図示しないが上記工程で形成された梁部と同様にして形成された錘部において、ガラスなどで形成された錘を陽極接合等によって接合することにより本発明に係る物理量センサーが得られる。
【0091】
なお、本発明の物理量センサーの製造方法における、不純物をドープすることによりピエゾ抵抗を形成するステップでは、上記のように梁部の上底側の表面および斜面にレジストでマスクを形成し、イオン注入装置により不純物をドープすることが好ましい。しかし、有機溶剤内にボロン等の不純物を含んだ液体を所望の箇所に塗布、硬化させ、熱拡散によってドープすることによりピエゾ抵抗を形成してもよい。この場合、該梁部の斜面にも液体を塗布することになるが、レジストにより形成した穴410が、数〜数百μmオーダーと十分狭く、また傾斜しているため重力によって液体は流れ出ず、表面張力によって液体は穴410に保持され、もって該梁部の斜面上に不純物をドープすることによりピエゾ抵抗を形成することが可能となる。
【0092】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0093】
【発明の効果】
本発明の物理量センサーは、梁部の少なくとも一部が台形断面形状となっており、その台形の斜辺を構成する斜面と上底側の表面とにそれぞれピエゾ抵抗を形成することができる。このため、錘部を従来技術のように拘束箇所が多くなる十字型の両持ち梁で支持しなくても、拘束箇所の少ない片持ち梁、あるいは2箇所の梁で支持することにより、X軸方向およびY軸方向の2方向、あるいはさらにZ軸方向を加えた3方向の物理量を検出することが可能である。
【0094】
また本発明の物理量センサーの梁部は、上記のように錘部の拘束箇所を少なくしているため、それ自体が変形しやすく、もって小型で感度の良い物理量センサーを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る物理量センサーの概略図であって、(a)は紙面に対して垂直方向から見た概略図であり、(b)は紙面に対して水平方向から見た概略図であり、(c)は(a)中のA−A線の断面構造の概略図である。
【図2】本発明に係る上記とは異なる構造の物理量センサーの概略図であって、(a)は紙面に対して垂直方向から見た概略図であり、(b)は(a)中のA−A線の断面構造の概略図であり、(c)は(a)中のB−B線の断面構造の概略図である。
【図3】本発明に係る上記とは異なる構造の物理量センサーの概略図であって、(a)は紙面に対して垂直方向から見た概略図であり、(b)は紙面に対して水平方向から見た概略図であり、(c)は(a)中のA−A線の断面構造の概略図であり、(d)は(a)中のB−B線の断面構造の概略図である。
【図4】本発明に係る物理量センサーの製造工程を示す図である。
【図5】従来の物理量センサーの概略図である。
【図6】従来の物理量センサーの製造工程を示す図である。
【符号の説明】
100,200,300 物理量センサー、101,201,301,400半導体基板、102,202,211,302,406 梁部、103,203,303 錘部、104,204,304 錘、105,106,205,206,305,306 斜面、107,207,212,307,311 表面、108,109,208,209,210,308,309,310,411,412 ピエゾ抵抗、401 絶縁膜、402,407 レジスト、403,408 マスク、404 レジストパターン、405 エッチングマスク、409,410 穴。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピエゾ抵抗によって変化を検出する方式の物理量センサーに関する。より詳細には、加速度、振動、傾斜等の物理量をシリコン等の半導体基板に設けた梁部の歪みにより検出する、半導体基板を用いた物理量センサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の物理量センサーは、一般に半導体基板を加工することにより形成されている(たとえば特許文献1および特許文献2)。図5の(a)はそのような従来の物理量センサーの平面図を示し、図5の(b)は同図(a)のC−C線の部分の断面図を示す(特許文献2)。
【0003】
図5の(a)および(b)より明らかなように、このような物理量センサー500は、第1の半導体基板501により形成された四角形枠状の支持部503(第2の半導体基板502の下面にはりあわされている)と、第2の半導体基板502により支持部503の上面に十字型に形成された梁部505とによって揺動自在に支持される錘部507とを備えた構成となっている。そして錘部507と支持部503とは僅かな隙間(以下、離間部506という)を有して隣接している。
【0004】
ところで、このように十字型に形成された梁部505の任意の表面部には、それぞれ複数のピエゾ抵抗504が配設されている。これらのピエゾ抵抗504は、加速度を電気的な出力として検出するためのものである。このようなピエゾ抵抗504は、それぞれブリッジ回路に接続してあり、各ピエゾ抵抗504のブリッジ回路には外部電源(図示せず)より電圧が印加されている。そして、物理量センサーに加速度が全く印加されていない状態においてブリッジ回路が平衡するようにしてある。
【0005】
そして、加速度が印加されると錘部507が揺動して梁部505がたわむことになる。その結果、梁部505には加速度に応じた応力による歪みが生じ、この歪みに応じてピエゾ抵抗504の抵抗値が変化するので、ピエゾ抵抗504により構成されたブリッジ回路の平衡がくずれ、上記ブリッジ回路からは加速度に応じた電圧出力が得られることとなる。
【0006】
このような従来の物理量センサーは、図6に示すようにして形成される。まず、イオン注入またはデポジット拡散により形成した犠牲層608を有する第1の半導体基板601の表面に、もう一枚の第2の半導体基板602を接合する(図6(a))。
【0007】
次に、接合された第2の半導体基板602を所定の厚みまで削り、表面を研磨する。研磨した第2の半導体基板602の表面に熱酸化により酸化シリコンから成る絶縁膜(図示せず)を形成し、この酸化シリコンの絶縁膜表面にエッチングを行なうことにより、ピエゾ抵抗604を内部に形成するための短冊型のパターンを半導体基板602の上面に形成する(図示せず)。そして、そのパターン部分にイオン注入等で不純物をドープし、ピエゾ抵抗604を第2の半導体基板602の表面に形成する(図6(b))。
【0008】
続いて、第1の半導体基板601において離間部606を形成するために、サンドブラスト法により第1の半導体基板601に対してダイシングや細かな粒子の砂を高圧で吹き付けることによって、第2の半導体基板602の梁部605に対して略垂直となる離間部606を形成する。次いで、フッ酸などのエッチング溶液に浸すことにより、上記犠牲層608を除去すると離間部606を梁部605に対して略垂直に設けた物理量センサーを形成することができる(図6(c))。
【0009】
このような物理量センサーにおいては、離間部606を梁部605に対して略垂直とすることにより、支持部603と錘部607との成す角度を小さく(平行に近く)することができる。このため、第2の半導体基板602に接合される、離間部606により形成された錘部607の体積を、従来の逆四角錐状の錘より大きくすることが可能となるため、物理量センサーのチップ面積を大きくすることなくセンサーの感度を高めることができる。
【0010】
しかし、このような従来技術に示される物理量センサーでは、センサーを構成する梁の上面だけにピエゾ抵抗が形成された構造となっているため、3方向(たとえばX軸、Y軸、Z軸の関係にある3方向)の加速度を検出するためには、錘を十字型の両持ち梁で支持し、各ピエゾ抵抗にかかる歪みの+−によるモードでX軸、Y軸、Z軸の3方向の加速度を分類して検出する以外に方法はなかった。
【0011】
また、錘を4つの梁で拘束した十字型の両持ち梁であるため、片持ち梁や固定端の少ない梁に比べると加速度による梁の変形量も少ないため、感度が悪く、センサー面積も大きく小型化が難しいという課題を有していた。
【0012】
さらに、上記では図示していないが1軸方向の加速度センサーとなる片持ち梁構造のもの(特許文献1)においても、梁上面にしかピエゾ抵抗が形成されておらず、2軸方向(X軸、Y軸の2方向)の加速度を検出することはできなかった。
【0013】
これに対して、このような片持ち梁構造のものおいて、梁の側面にもピエゾ抵抗を形成すれば、上面および側面に形成したピエゾ抵抗によりそれぞれのピエゾ抵抗が圧縮や引張りの応力を受けることによって、それぞれの方向の加速度、すなわち2方向の加速度を検出することが可能になるとも考えられる。
【0014】
しかし、このように梁の側面が上面に対して垂直に形成されていると、ピエゾ抵抗を形成する際、イオンビームが側面と平行に照射されるので梁の側面にイオンドープすることができず、そのような側面にピエゾ抵抗を形成することはできなかった。また、そのような側面に対して有機溶剤中にボロンなどを分散させた液体を塗布する方法によっても、重力によりボロンを分散した液体が流れ落ちるため、ボロンをドープさせることができずそこにピエゾ抵抗を形成させることはできなかった。
【0015】
【特許文献1】
特開平1−315173号公報
【0016】
【特許文献2】
特開平10−335674号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、加速度等の物理量の変化を2以上の方向で検出することが可能な物理量センサーを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の物理量センサーは、半導体基板により構成される梁部とその梁部により揺動自在に支持される錘部とを有し、該梁部に形成されたピエゾ抵抗によって該梁部の歪みを検出する構造の物理量センサーにおいて、該梁部は、少なくともその一部が上底、下底および1以上の斜辺からなる台形断面形状を有し、該上底側の表面および該斜辺を構成する斜面にピエゾ抵抗を各1以上形成したことを特徴としている。
【0019】
このような構造の物理量センサーに加速度等の物理量が印加されると、錘部が揺動して梁部がたわみ、該梁部には該物理量に応じた応力による歪みが生じる。そして、この歪みに応じてピエゾ抵抗の抵抗値が変化するので、このピエゾ抵抗を外部のブリッジ回路等に接続しておけばその回路の平衡がくずれ、該回路からは前記印加された物理量に応じた電圧出力が得られることとなる。このため、結局のところ、このピエゾ抵抗によって該梁部の歪みが検出され、これにより物理量が検出されることになる。
【0020】
そして、本発明の物理量センサーにおいては、少なくともその一部が上底、下底および1以上の斜辺からなる台形断面形状となっている梁部を有することから、ピエゾ抵抗をその上底側の表面および斜辺を構成する斜面に各1以上形成することが可能となり、これにより加速度等の物理量を簡単に2方向(たとえばX軸方向とY軸方向の関係にある2方向)で検出することができるものとしている。また、該ピエゾ抵抗が、垂直面ではなく斜面に形成される構成であるため、イオンビーム法によっても、また不純物を含んだ液体の塗布法によっても該ピエゾ抵抗自体を容易に形成することができる。なお、該梁部は、このように少なくともその一部が上底、下底および1以上の斜辺からなる台形断面形状を有するものであるが、その全断面がこのような台形断面形状となっていても良い。
【0021】
また、上記梁部は、ひとつの半導体基板の同一平面内で方向を異にするようにして2つ形成することができ、この2つの梁部により1つの錘部を揺動自在に支持し、一方の梁部の上底側の表面および斜辺を構成する斜面にピエゾ抵抗を各1以上形成するとともに、他方の梁部には斜辺を構成する斜面にのみ1以上のピエゾ抵抗を形成したものとすることができる。このようにピエゾ抵抗が、2つの梁部に合計3以上形成されるため、加速度等の物理量を3方向(たとえばX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の関係にある3方向)で検出することができる。
【0022】
さらに、上記梁部は、同一平面内で2方向を有するように屈曲して形成されており、その一の方向を有する部分において上底側の表面および斜辺を構成する斜面にピエゾ抵抗を各1以上形成するとともに、他の方向を有する部分においては斜辺を構成する斜面にのみ1以上のピエゾ抵抗を形成したものとすることができる。このようにピエゾ抵抗が、2方向を有する梁部に合計3以上形成されるため、加速度等の物理量を上記同様3方向で検出することができる。
【0023】
このような本発明の物理量センサーは、半導体基板としてシリコン基板を使用し、梁部の形状の少なくとも一部を台形断面形状となるように成形するステップと、不純物をドープすることによりピエゾ抵抗を形成するステップとを含む製造方法によって製造することができる。
【0024】
また、上記の製造方法は、上記不純物をドープすることによりピエゾ抵抗を形成するステップにおいて、梁部の上底側の表面および斜面にレジストでマスクを形成し、イオン注入装置により不純物をドープするものとすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づき説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
<実施の形態1>
図1は、本発明に係る物理量センサーの概略図であって、(a)は紙面に対して垂直方向から見た概略図であり、(b)は紙面に対して水平方向から見た概略図であり、(c)は(a)中のA−A線の断面構造の概略図である。
【0027】
該物理量センサー100は、半導体基板101により構成される梁部102を有する。ここで、半導体基板101としては、シリコン基板を用いることが好ましいが、これのみに限られるものではない。該半導体基板101は、四角形枠状の形状を呈しているとともに、該梁部102は該半導体基板101の四角形枠状の内側の1方向(便宜上Y軸方向という)に張り出た片持ち梁形状となっている。そして、該梁部102の先端に、該梁部102より面積の広い(幅の広い)錘部103が揺動自在に支持されている。
【0028】
この錘部103の裏面には、たとえば陽極接合などによってシリコン、ガラスなどの錘104が取り付けられており、加速度等の物理量が印加された時、該梁部102が変形しやすい構造となっている。ただし、該梁部102が、それ自体変形しやすい場合には特にこの錘104を取り付けなくても良い。
【0029】
そして該梁部102は、A−A線の断面形状によって示されるようにその断面が台形断面形状となっていることが好ましい。この台形断面形状は、上底、下底および1以上の斜辺からなるものであり、具体的には斜辺を構成する斜面105、同斜面106および上底側の表面107を含んだものとなる(図1(a)には下底側の表面は図示されていない)。このような台形断面形状を有する梁部102は、たとえば後述のようにして成形することができる。
【0030】
そして、上記の斜面(たとえば斜面106)および上底側の表面107の一部には、それぞれ1以上のピエゾ抵抗108および109が形成されている。このようなピエゾ抵抗108および109は、半導体基板としてシリコン基板を使用する場合、不純物をドープすることにより形成することができる。この場合、該梁部102の上底側の表面107および斜面106にレジストでマスクを形成し、イオン注入装置により不純物をドープすることによって形成することが好ましい。また、該不純物としては、半導体基板がシリコン基板である場合、たとえばボロンやリン等を挙げることができるがこれらのみに限られるものではない。本発明においては、このようにピエゾ抵抗が特に台形断面形状の斜面に形成されるため、ピエゾ抵抗自体を非常に容易に形成することができる。
【0031】
このような構造の物理量センサーにおいて、任意の方向(たとえば、便宜上上記のY軸方向に対するX軸方向)の加速度等の物理量が印加された場合、該梁部102は錘部103の慣性によってX軸方向とは逆の方向、すなわちX軸のマイナス方向に曲げ力が作用し変形する。すなわち、該梁部102の斜面106は、この曲げによって引張力が発生し変形することにより歪みが生じる。
【0032】
したがって、該斜面106に形成されたピエゾ抵抗109は、この引張力によって変形した歪みにより抵抗変化を生ずることとなる。このため、電源を有する抵抗値計測回路(図示せず)に該ピエゾ抵抗109を電気的に接続することにより、上記引張力による単位時間当たりの抵抗変化量を測定すると、ピエゾ抵抗によって該梁部の歪みが検出され、もってX軸方向の上記物理量を電気的に検出することが可能となる。
【0033】
すなわち、この抵抗値計測回路は該ピエゾ抵抗109とブリッジ回路を形成するように構成することができる。上記のように加速度等の物理量に応じた応力による歪みが生じた時、この歪みに応じて該ピエゾ抵抗の抵抗値が変化する。これにより、該ピエゾ抵抗を接続したブリッジ回路の平衡がくずれ、ブリッジ回路からはその物理量に応じた電圧出力が得られる。したがって、上記物理量が電気的に検出可能となる。
【0034】
一方、紙面に垂直な方向(便宜上Z軸方向という)において上向きに加速度等の物理量の印加を受けた時、該梁部102は錘部103の慣性によってZ軸方向とは逆の方向、すなわちZ軸のマイナス方向に曲げ力が作用し変形する。すなわち、該梁部102の上底側の表面107は、この曲げによって引張力が発生し変形することにより歪みが生じる。
【0035】
したがって、該表面107に形成されたピエゾ抵抗108は、この引張力によって変形した歪みにより抵抗変化を生ずることとなるため、上記と同様このピエゾ抵抗108を抵抗値計測回路(図示せず)に電気的に接続し、単位時間当たりの抵抗変化量を計測すればZ軸方向の上記物理量を電気的に検出することが可能となる。
【0036】
すなわち、この抵抗値計測回路は、上記のX軸方向の物理量の検出と同様にして、Z軸方向の物理量を検出できるように該ピエゾ抵抗108によりブリッジ回路を形成するように構成することができ、該ブリッジ回路からはその物理量に応じた電圧出力が得られることになる。
【0037】
なお、X軸、Z軸方向ともに逆方向の物理量の印加を受ければ、上記で説明した各梁部は逆方向の曲げ力を受け圧縮力を受けることとなるが、この場合は、引張力とは逆の抵抗変化を受けることとなり同様に各方向の物理量を検出することができる。
【0038】
このように、梁部を台形断面形状を有する構造としその梁部の斜面および上底側の表面にピエゾ抵抗を有する構造とすることで、片持ち梁構造で2方向の加速度等の物理量を検出することが可能となり、感度がよく、小型の物理量センサーを構成することができる。
【0039】
なお、上記では物理量の例示として加速度を挙げているが、本発明が対象とする物理量は加速度のみに限られるものではなく、たとえば振動、傾斜、変位等が含まれる。
【0040】
<実施の形態2>
図2は、上記とは異なる構造の本発明に係る物理量センサーの概略図であって、(a)は紙面に対して垂直方向から見た概略図であり、(b)は(a)中のA−A線の断面構造の概略図であり、(c)は(a)中のB−B線の断面構造の概略図である。
【0041】
該物理量センサー200は、前記同様の半導体基板201により構成される2つの梁部202と211を有し、この2つの梁部202と211は、このようにひとつの半導体基板201の同一平面内で方向を異にするようにして形成されている。また、この2つの梁部202と211により1つの錘部203を揺動自在に支持している。
【0042】
すなわち、該半導体基板201は四角形枠状の形状を呈しているとともに、該梁部202は該半導体基板201の四角形枠状の1方向(便宜上Y軸方向という)に張り出た形状となっており、また該梁部211は該半導体基板201の四角形枠状の別の1方向(便宜上X軸方向という)に張り出た形状となっている。このような2つの梁部202と211の方向は、互いの方向が180°以外の角度をなすように設定されていることが好ましく、さらに好ましくは互いの方向が90°の角度をなすように設定されていることが好適である。このような梁部202と211は、後述のようにして成形することができる。
【0043】
上記錘部203は梁部202および梁部211よりも面積が広く(幅が広く)なっており、その裏面には陽極接合などによってシリコンやガラスなどの錘204が取り付けられていることにより、加速度等の物理量が印加された時、梁部202および211が変形しやすい構造となっている。ただし、該梁部202および211が、それ自体変形しやすい場合には特にこの錘204を取り付けなくても良い。
【0044】
そして該梁部202および211は、A−A線およびB−B線の断面形状によって示されるようにその断面がそれぞれ台形断面形状となっていることが好ましい。この台形断面形状は、それぞれ上底、下底および1以上の斜辺からなるものであり、具体的には斜辺を構成する斜面205、同斜面206、上底側の表面207および同表面212等を含んだものとなる。
【0045】
そして上記2つの梁部202と211は、どちらか一方の梁部(たとえば211)の上底側の表面(たとえば207)および斜辺を構成する斜面(たとえば205)にピエゾ抵抗208、209を各1以上形成するとともに、他方の梁部(たとえば202)には斜辺を構成する斜面(たとえば206)にのみ1以上のピエゾ抵抗210を形成したものとすることができる。このようなピエゾ抵抗は、たとえば上記と同様にして形成することができる。なお、上記一方の梁部の表面(たとえば212)にはピエゾ抵抗が形成されていないが、これはここにピエゾ抵抗を形成しても結局上記207に形成したピエゾ抵抗と同一の方向の物理量を検出することとなるからである。
【0046】
このような構造の物理量センサーにおいて、任意の方向(たとえば上記Y軸方向)の加速度等の物理量が印加された場合、該梁部211は錘部203の慣性によってY軸方向とは逆の方向、すなわちY軸のマイナス方向に曲げ力が作用し変形する。すなわち、該梁部211の斜面205は、この曲げによって圧縮力が発生し変形することにより歪みが生じる。
【0047】
したがって、該斜面205に形成されたピエゾ抵抗208は、この圧縮力によって変形した歪みにより抵抗変化を生ずることとなる。このため、電源を有する抵抗値計測回路(図示せず)に該ピエゾ抵抗208を電気的に接続することにより、上記圧縮力による単位時間当たりの抵抗変化量を測定すると、ピエゾ抵抗によって該梁部の歪みが検出され、もってY軸方向の上記物理量を電気的に検出することが可能となる。
【0048】
すなわち、この抵抗値計測回路は該ピエゾ抵抗208とブリッジ回路を形成するように構成することができる。上記のように加速度等の物理量に応じた応力による歪みが生じた時、この歪みに応じて該ピエゾ抵抗の抵抗値が変化する。これにより、該ピエゾ抵抗を接続したブリッジ回路の平衡がくずれ、ブリッジ回路からはその物理量に応じた電圧出力が得られる。したがって、上記物理量が電気的に検出可能となる。
【0049】
また、上記と同様にしてX軸方向の加速度等の物理量が印加された場合、該梁部202は錘部203の慣性によってX軸方向とは逆の方向、すなわちX軸のマイナス方向に曲げ力が作用し変形する。すなわち、該梁部202の斜面206は、この曲げによって引張力が発生し変形することにより歪みが生じる。
【0050】
したがって、該斜面206に形成されたピエゾ抵抗210は、この引張力によって変形した歪みにより抵抗変化を生ずることとなるため、上記と同様このピエゾ抵抗210を抵抗値計測回路(図示せず)に電気的に接続し、単位時間当たりの抵抗変化量を計測すればX軸方向の上記物理量を電気的に検出することが可能となる。
【0051】
すなわち、この抵抗値計測回路は、上記のY軸方向の物理量の検出と同様にして、X軸方向の物理量を検出できるように該ピエゾ抵抗210によりブリッジ回路を形成するように構成することができ、該ブリッジ回路からはその物理量に応じた電圧出力が得られることになる。
【0052】
一方、上記と同様にして紙面に垂直な方向(便宜上Z軸方向という)において上向きに加速度等の物理量の印加を受けた時、該梁部211は錘部203の慣性によってZ軸方向とは逆の方向、すなわちZ軸のマイナス方向に曲げ力が作用し変形する。すなわち、該梁部211の上底側の表面207は、この曲げによって引張力が発生し変形することにより歪みが生じる。
【0053】
したがって、該表面207に形成されたピエゾ抵抗209は、この引張力によって変形した歪みにより抵抗変化を生ずることとなるため、該ピエゾ抵抗209を抵抗値計測回路(図示せず)に電気的に接続し、単位時間当たりの抵抗変化量を計測すればZ軸方向の上記物理量を電気的に検出することが可能となる。
【0054】
すなわち、この抵抗値計測回路は、上記のY軸方向およびX軸方向の物理量の検出と同様にして、Z軸方向の物理量を検出できるように該ピエゾ抵抗209によりブリッジ回路を形成するように構成することができ、該ブリッジ回路からはその物理量に応じた電圧出力が得られることになる。
【0055】
なお、X、Y、Z軸方向ともに逆方向の加速度等の物理量の印加を受ければ、上記で説明した各梁部は逆方向の曲げ力を受けることとなるが、この場合は、逆の抵抗変化を受けることとなり同様に各方向の物理量を検出することができる。
【0056】
このように、梁部を台形断面形状を有する構造とし、かつ同一平面内で異なる2方向に形成し、しかもその各斜面および少なくとも一方の梁部の上底側の表面にピエゾ抵抗を有する構造とすることで、3方向の物理量を検出することを可能としている。また、2つの梁部で錘を拘束する構成となっているため、従来技術よりも拘束箇所を減らすことができ、加速度などの物理量によって曲がりやすい構成とすることができるので、感度がよく、小型の物理量センサーを構成することができる。
【0057】
<実施の形態3>
図3は、上記とは異なる構造の本発明に係る物理量センサーの概略図であって、(a)は紙面に対して垂直方向から見た概略図であり、(b)は紙面に対して水平方向から見た概略図であり、(c)は(a)中のA−A線の断面構造の概略図であり、(d)は(a)中のB−B線の断面構造の概略図である。
【0058】
該物理量センサー300は、シリコン基板等の半導体基板301により構成され、同一平面内で2方向を有するように屈曲して形成されている梁部302を有する。同一平面内で2方向を有するように屈曲して形成するとは、たとえば図3に示したL字型等の形状に形成されていることをいうものとする。なお、該2方向がなす角度は、このようにL字型となっている場合には90°となるが、これに限定されるものではない。
【0059】
すなわち該梁部302は、四角形枠状の形状を呈する該半導体基板301の内側にL字型に張り出た形状となっており、同一平面内で2方向を有するように屈曲して形成されている。そして、該梁部302の先端に、該梁部302より面積の広い(幅の広い)錘部303が揺動自在に支持されている。
【0060】
この錘部303の裏面には、たとえば陽極接合などによってシリコン、ガラスなどの錘304が取り付けられており、加速度等の物理量が印加された時、L字型の梁部302が変形しやすい構成となっている。ただし、該梁部302が、それ自体変形しやすい場合には特にこの錘304を取り付けなくても良い。
【0061】
そして該梁部302は、A−A線およびB−B線の断面形状によって示されるようにその断面がそれぞれ台形断面形状となっていることが好ましい。この台形断面形状は、上底、下底および1以上の斜辺からなるものであり、具体的には斜辺を構成する斜面305、同斜面306、上底側の表面307および同表面311等を含んだものとなる(図3(a)には下底側の表面は図示されていない)。
【0062】
ここで、上記L字型の梁部302において、便宜上該斜面305および該表面311を含む部分(錘部303に隣接する部分)を縦長部と呼び、該斜面306および該表面307を含む部分(四角形枠に隣接する部分)を横長部と呼ぶ。このような梁部302は、たとえば後述のようにして成形することができる。
【0063】
そして該梁部302は、L字型をなす2つの表面307および311のいずれか一方の表面(たとえば307)にピエゾ抵抗309を1以上形成するとともに、前記L字型の斜辺を構成する2つの斜面305および306にそれぞれ1以上のピエゾ抵抗308、310を形成することができる。このようにして、同一平面内で2方向を有するように屈曲して形成された梁部302において、その一の方向を有する部分において上底側の表面および斜辺を構成する斜面にピエゾ抵抗を各1以上形成するとともに、他の方向を有する部分においては斜辺を構成する斜面にのみ1以上のピエゾ抵抗を形成したことになる。なお、このようなピエゾ抵抗は、たとえば上記と同様にして形成することができる。
【0064】
このような構造の物理量センサーにおいて、たとえば図3における紙面に平行な任意の方向(便宜上Y軸方向と記す)の加速度等の物理量が印加された場合、該L字型の梁部302の横長部は錘部303の慣性によってY軸方向とは逆の方向、すなわちY軸のマイナス方向に曲げ力が作用し変形する。すなわち、該梁部302の横長部の斜面306は、この曲げによって圧縮力が発生し変形することにより歪みが生じる。
【0065】
したがって、該斜面306に形成されたピエゾ抵抗308は、この圧縮力によって変形した歪みにより抵抗変化を生ずることとなる。このため、電源を有する抵抗値計測回路(図示せず)に該ピエゾ抵抗308を電気的に接続することにより、上記圧縮力による単位時間当たりの抵抗変化量を測定すると、ピエゾ抵抗によって該梁部の歪みが検出され、もってY軸方向の上記物理量を電気的に検出することが可能となる。
【0066】
すなわち、この抵抗値計測回路は該ピエゾ抵抗308とブリッジ回路を形成するように構成することができる。上記のように加速度等の物理量に応じた応力による歪みが生じた時、この歪みに応じて該ピエゾ抵抗の抵抗値が変化する。これにより、該ピエゾ抵抗を接続したブリッジ回路の平衡がくずれ、ブリッジ回路からはその物理量に応じた電圧出力が得られる。したがって、上記物理量が電気的に検出可能となる。
【0067】
また、上記と同様にしてX軸方向(上記のY軸方向と直角をなす方向)の加速度等の物理量が印加された場合、該梁部302の縦長部は錘部303の慣性によってX軸方向とは逆の方向、すなわちX軸のマイナス方向に曲げ力が作用し変形する。すなわち、該梁部302の縦長部の斜面305は、この曲げによって引張力が発生し変形することにより歪みが生じる。
【0068】
したがって、該斜面305に形成されたピエゾ抵抗310は、この引張力によって変形した歪みにより抵抗変化を生ずることとなるため、上記と同様このピエゾ抵抗310を抵抗値計測回路(図示せず)に電気的に接続し、単位時間当たりの抵抗変化量を計測すれば、X軸方向の上記物理量を電気的に検出することが可能となる。
【0069】
すなわち、この抵抗値計測回路は、上記のY軸方向の物理量の検出と同様にして、X軸方向の物理量を検出できるように該ピエゾ抵抗310によりブリッジ回路を形成するように構成することができ、該ブリッジ回路からはその物理量に応じた電圧出力が得られることになる。
【0070】
一方、上記と同様にして紙面と垂直な方向(便宜上Z軸方向という)において上向きに加速度等の物理量の印加を受けた場合、該梁部302の横長部は錘部303の慣性によってZ軸方向とは逆の方向、すなわちZ軸のマイナス方向に曲げ力が作用し変形する。すなわち、該梁部302の横長部の表面307は、この曲げによって引張力が発生し変形することにより歪みが生じる。
【0071】
したがって、該表面307に形成されたピエゾ抵抗309は、この引張力によって変形した歪みにより抵抗変化を生ずることとななるため、該ピエゾ抵抗309を抵抗値計測回路(図示せず)に電気的に接続し、単位時間当たりの抵抗変化量を計測すればZ軸方向の上記物理量を電気的に検出することが可能となる。
【0072】
すなわち、この抵抗値計測回路は、上記のY軸方向およびX軸方向の物理量の検出と同様にして、Z軸方向の物理量を検出できるように該ピエゾ抵抗309によりブリッジ回路を形成するように構成することができ、該ブリッジ回路からはその物理量に応じた電圧出力が得られることになる。
【0073】
本実施の形態の物理量センサーにおいては、前記X軸方向に物理量の印加を受けた場合、梁部302の横長部にもモーメントが働くことにより変形することが懸念される。しかし、基本的には梁部302の縦長部の変形による歪量は、同横長部の変形には関係しないため、上記縦長部の変形による歪でX軸方向の加速度を検出することができる。
【0074】
また、錘部303の中心からピエゾ抵抗308までの距離は一定であるため、X軸方向の物理量および錘の重量が既知であれば梁部302の横長部に働くモーメントは演算可能となる。したがって、あらかじめX軸方向のみに物理量を印加し、そのモーメントによるピエゾ抵抗308の出力を求めておけば、X軸方向の物理量によって発生する梁部302の横長部に働くモーメントによるピエゾ抵抗の変化量を知り得るので、この値をピエゾ抵抗308の出力から差し引いて補正することによつて正確なY軸方向の物理量を検出することができる。
【0075】
このような構造の物理量センサーを用いれば、コンパクトな片持ち梁を用いて3方向(X軸、Y軸、Z軸方向)の物理量の検出をすることが可能となる。
【0076】
<実施の形態4>
本発明に係る物理量センサーの製造方法について図4を用いて説明する。
【0077】
図4は、図2(a)または図3(a)のA−A線またはB−B線における断面に相当する部分の構造を中心に、製造工程(a)〜(l)の順に従って示したものである。なお、該製造工程は、ボロンドープの工程を除きすべて半導体基板全面を対象とした工程である。
【0078】
まず、図4の(a)は、半導体基板400の上に、Si02等の絶縁膜401を形成したものを示している。このように、まず半導体基板400の上に絶縁膜401を形成する。該半導体基板400としては、シリコン基板を使用することが好ましい。
【0079】
次に(b)に示すように、絶縁膜401の上面にレジスト402をスピンナーなどによって塗布コーティングする。
【0080】
続いて(c)に示すように、所望のパターンを描いたマスク403を、レジスト402上にセットし、上部より光をあてパターンに合わせて感光させる(なお、図中の矢印は光の向きを示している)。(c)においては、白抜きの部分が光の通過する部分である。
【0081】
次いで(d)に示すように、現像処理を施し上記のマスクに対応したレジストパターン404を形成する。
【0082】
次に、このように半導体基板400の上に絶縁膜401を有し、その上に上記(d)で形成したレジストパターン404を有する基板を、フッ酸等のエッチング液に入れると、レジストパターン404を有さない部分がエッチングされる。すなわち、(e)に示すようにレジストパターン404の形成されていない部分の絶縁膜401が半導体基板400が現れるまでエッチングされるとともに、レジストパターン404のある部分の絶縁膜401はエッチングされずに残る。このようにして、所望のパターンに応じた、絶縁膜401により構成されるエッチングマスク405を形成する。
【0083】
次に、上記(e)で形成されたエッチングマスク405を有する半導体基板400を、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)やKOH(水酸化カリウム)等のアルカリエッチング溶液に浸すことによって異方性エッチングを行ない、(f)に示すような台形断面形状の梁部406を有する半導体基板を形成する。
【0084】
続いて、半導体基板400上に存在する、絶縁膜401により構成されるエッチングマスク405をフッ酸等のエッチング液で除去することにより、(g)に示すような台形断面形状を有する梁部406を成形する。すなわち、上述の(a)〜(g)が、本発明の物理量センサーの製造方法における、梁部の形状の少なくとも一部を台形断面形状となるように成形するステップとなる。
【0085】
次に、(h)で示すように、台形断面形状を有する梁部406の上面部(上底側の表面)および斜面部(台形断面形状の斜辺を構成するもの)に、スピンナーあるいはロールコータでレジスト407を塗布し硬化する。
【0086】
次いで、(i)に示すようにレジスト407上面にマスク408を設置し、(c)の工程と同様に感光処理を施す。マスク408は、梁部406の上面部と斜面部に相対する任意の位置の光が通過するように形成されている。
【0087】
次に、(j)に示すように現像処理を施し光の通過したレジスト部分を除去し、レジスト407に穴409、410を形成する。
【0088】
続いて、このように形成したレジストパターンを有する半導体基板に対して、(k)に示すようにイオン注入装置を用いて上面より一度にボロンなどの不純物イオンをドープすることにより、ピエゾ抵抗411および412を形成する。この場合、レジストを有する部分ではボロンなどの不純物はドープされないが、レジストのない部分、すなわち上記の穴部分ではボロンなどがドープされることとなる。これにより、半導体基板上の上面、すなわち台形断面形状を有する梁部の上底側の表面にボロンがドープされたピエゾ抵抗411が形成されるとともに、該台形断面形状の斜辺を構成する斜面にもボロンがドープされ、ピエゾ抵抗412が形成される。なお、上記においては不純物としてボロンを例に示したが、本発明における不純物としてはこのようなボロンのみに限られるものではなく、リンなどの従来公知の不純物をいずれも用いることができる。
【0089】
そして、レジスト407を除去すると、(l)に示すように台形断面形状の梁部の上底側の表面と斜面にピエゾ抵抗411と412が形成される。すなわち、上述の(h)〜(l)が、本発明の物理量センサーの製造方法における、不純物をドープすることによりピエゾ抵抗を形成するステップとなる。このように、本発明の物理量センサーの製造方法は、半導体基板としてシリコン基板を使用し、梁部の形状の少なくとも一部を台形断面形状となるように成形するステップと、不純物をドープすることによりピエゾ抵抗を形成するステップとを含むものとすることが好ましい。
【0090】
そして最後に、図示しないが上記工程で形成された梁部と同様にして形成された錘部において、ガラスなどで形成された錘を陽極接合等によって接合することにより本発明に係る物理量センサーが得られる。
【0091】
なお、本発明の物理量センサーの製造方法における、不純物をドープすることによりピエゾ抵抗を形成するステップでは、上記のように梁部の上底側の表面および斜面にレジストでマスクを形成し、イオン注入装置により不純物をドープすることが好ましい。しかし、有機溶剤内にボロン等の不純物を含んだ液体を所望の箇所に塗布、硬化させ、熱拡散によってドープすることによりピエゾ抵抗を形成してもよい。この場合、該梁部の斜面にも液体を塗布することになるが、レジストにより形成した穴410が、数〜数百μmオーダーと十分狭く、また傾斜しているため重力によって液体は流れ出ず、表面張力によって液体は穴410に保持され、もって該梁部の斜面上に不純物をドープすることによりピエゾ抵抗を形成することが可能となる。
【0092】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0093】
【発明の効果】
本発明の物理量センサーは、梁部の少なくとも一部が台形断面形状となっており、その台形の斜辺を構成する斜面と上底側の表面とにそれぞれピエゾ抵抗を形成することができる。このため、錘部を従来技術のように拘束箇所が多くなる十字型の両持ち梁で支持しなくても、拘束箇所の少ない片持ち梁、あるいは2箇所の梁で支持することにより、X軸方向およびY軸方向の2方向、あるいはさらにZ軸方向を加えた3方向の物理量を検出することが可能である。
【0094】
また本発明の物理量センサーの梁部は、上記のように錘部の拘束箇所を少なくしているため、それ自体が変形しやすく、もって小型で感度の良い物理量センサーを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る物理量センサーの概略図であって、(a)は紙面に対して垂直方向から見た概略図であり、(b)は紙面に対して水平方向から見た概略図であり、(c)は(a)中のA−A線の断面構造の概略図である。
【図2】本発明に係る上記とは異なる構造の物理量センサーの概略図であって、(a)は紙面に対して垂直方向から見た概略図であり、(b)は(a)中のA−A線の断面構造の概略図であり、(c)は(a)中のB−B線の断面構造の概略図である。
【図3】本発明に係る上記とは異なる構造の物理量センサーの概略図であって、(a)は紙面に対して垂直方向から見た概略図であり、(b)は紙面に対して水平方向から見た概略図であり、(c)は(a)中のA−A線の断面構造の概略図であり、(d)は(a)中のB−B線の断面構造の概略図である。
【図4】本発明に係る物理量センサーの製造工程を示す図である。
【図5】従来の物理量センサーの概略図である。
【図6】従来の物理量センサーの製造工程を示す図である。
【符号の説明】
100,200,300 物理量センサー、101,201,301,400半導体基板、102,202,211,302,406 梁部、103,203,303 錘部、104,204,304 錘、105,106,205,206,305,306 斜面、107,207,212,307,311 表面、108,109,208,209,210,308,309,310,411,412 ピエゾ抵抗、401 絶縁膜、402,407 レジスト、403,408 マスク、404 レジストパターン、405 エッチングマスク、409,410 穴。
Claims (5)
- 半導体基板により構成される梁部とその梁部により揺動自在に支持される錘部とを有し、該梁部に形成されたピエゾ抵抗によって該梁部の歪みを検出する構造の物理量センサーにおいて、該梁部は、少なくともその一部が上底、下底および1以上の斜辺からなる台形断面形状を有し、該上底側の表面および該斜辺を構成する斜面にピエゾ抵抗を各1以上形成したことを特徴とする、物理量センサー。
- 前記梁部は、ひとつの半導体基板の同一平面内で方向を異にするようにして2つ形成されており、この2つの梁部により1つの錘部を揺動自在に支持し、一方の梁部の上底側の表面および斜辺を構成する斜面にピエゾ抵抗を各1以上形成するとともに、他方の梁部には斜辺を構成する斜面にのみ1以上のピエゾ抵抗を形成したことを特徴とする、請求項1記載の物理量センサー。
- 前記梁部は、同一平面内で2方向を有するように屈曲して形成されており、その一の方向を有する部分において上底側の表面および斜辺を構成する斜面にピエゾ抵抗を各1以上形成するとともに、他の方向を有する部分においては斜辺を構成する斜面にのみ1以上のピエゾ抵抗を形成したことを特徴とする、請求項1記載の物理量センサー。
- 半導体基板としてシリコン基板を使用し、梁部の形状の少なくとも一部を台形断面形状となるように成形するステップと、不純物をドープすることによりピエゾ抵抗を形成するステップとを含むことを特徴とする、請求項1記載の物理量センサーの製造方法。
- 前記不純物をドープすることによりピエゾ抵抗を形成するステップにおいて、梁部の上底側の表面および斜面にレジストでマスクを形成し、イオン注入装置により不純物をドープすることを特徴とする、請求項4記載の物理量センサーの製造方法。
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