JP2004340493A - 吸着式冷凍機 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンの始動前や始動直後等の熱源温度及び熱量が低いときであっても、十分な冷凍能力(冷房能力)を得る。
【解決手段】エンジン停止後、エンジンに蓄えられた余熱にて第1、2吸着器12内の吸着剤に吸着された冷媒を脱離放出させる。これにより、次回始動時に、両吸着器12内の冷媒を十分に脱離再生した状態で吸着式冷凍機10を始動することができる。したがって、エンジン始動前やエンジン始動直後等の廃熱温度及び廃熱量が低いときであっても、十分な冷凍能力を得ることができるので、十分な冷房能力を得ることができる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒の蒸発作用により冷凍能力を発生させるとともに、蒸発した蒸気冷媒を吸着し、かつ、加熱されることにより吸着していた冷媒を脱離する吸着剤を有する吸着式冷凍機に関するもので、走行用エンジン(内燃機関)のエンジン冷却水等の車両で発生する廃熱を熱源として作動する車両用空調装置に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術発明が解決しようとする課題】
吸着式冷凍機とは、周知のごとく、吸着剤を冷却して蒸気冷媒の吸着を促進して液相冷媒の蒸発を促す吸着工程と、冷媒が吸着された吸着剤を加熱して吸着されている冷媒を吸着剤から脱離させる脱離工程とを切り換えて冷凍能力を発生させるものである。
【0003】
しかし、脱離工程中は冷凍能力を得ることができないので、通常は、少なくとも2個の吸着器を設け、吸着工程にある吸着器と脱離工程にある吸着器とを、例えば所定時間毎に切り換えることにより、連続的に冷凍能力を得ることができるように構成している。
【0004】
ところで、仮に、第1吸着器が吸着工程から脱離工程に以降して、第2吸着器が脱離工程から吸着工程に移行したときに、第2吸着器内の吸着剤が十分に冷媒を脱離放出していないと、吸着工程に移行した第2吸着器内の吸着剤は十分な量の冷媒を吸着することができないため、十分な冷凍能力を得ることができない。
【0005】
したがって、エンジン始動前やエンジン始動直後等の廃熱温度及び廃熱量が低いときには、十分に吸着剤を加熱することができないので、十分に冷媒を脱離放出することができず、エンジン始動前やエンジン始動直後等の廃熱温度及び廃熱量が低いときには、十分な冷凍能力を得ることが難しい。
【0006】
本発明は、上記点に鑑み、第1には、従来と異なる新規な吸着式冷凍機を提供し、第2には、熱源の始動前や始動直後等の熱源温度及び熱量が低いときであっても、十分な冷凍能力を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、冷媒の蒸発作用により冷凍能力を発生させるとともに、蒸発した蒸気冷媒を吸着し、かつ、加熱されることにより吸着していた冷媒を脱離する吸着剤を有する吸着式冷凍機であって、吸着剤及び冷媒が収納された複数個の吸着器(12)と、熱源で発生した熱にて吸着剤を加熱して冷媒を脱離させる脱離工程と、吸着剤を冷却して蒸気冷媒の吸着を促進して液相冷媒の蒸発を促す吸着工程とを切り換える切換制御手段(V1〜V4)と、熱源が停止したときに、熱源に蓄えられた余熱により複数個の吸着器(12)を脱離工程とする余熱脱離制御手段(S2〜S8)とを備えることを特徴とする。
【0008】
これにより、次回始動時に、全ての吸着器(12)内の冷媒を十分に脱離再生した状態で吸着式冷凍機を始動することができ得るので、熱源の温度及び熱量が低いときであって、十分な冷凍能力を得ることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、余熱脱離制御手段(S2〜S8)は、熱源が停止した時から所定時間は、複数個の吸着器(12)を脱離工程とすることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載の発明では、吸着器(12)は、吸着剤を加熱又は冷却するための吸着コア(12c)が収納された吸着室(12d)と、液相冷媒が溜まる蒸発室(12e)とに分離されており、少なくとも、脱離工程の終了後、吸着工程が開始するまで、吸着室(12d)と蒸発室(12e)とを連通させる連通路を閉じる開閉弁(12f)を備えることを特徴とする。
【0011】
これにより、吸着式冷凍機を停止している間に、脱離した冷媒が再び冷媒を吸着してしまうことを防止できるので、次回始動時に、全ての吸着器(12)内の冷媒を十分に脱離再生した状態で吸着式冷凍機を始動することができ得る。
【0012】
請求項4に記載の発明では、余熱脱離制御手段(S2〜S8)にて複数個の吸着器(12)を脱離工程とした後、冷凍能力を発生させる場合であって、熱源の温度が所定温度以下のときには、少なくとも複数個の吸着器(12)のうちいずれか1つの開閉弁(12f)を閉じた状態で、その他の吸着器(12)内の冷媒を蒸発させることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の吸着式冷凍機にて車室内に吹き出す空気を冷却するとともに、内燃機関を熱源とする車両用空調装置であって、イグニッションスイッチが遮断されたときに、熱源に蓄えられた余熱により複数個の吸着器(12)を脱離工程とする余熱脱離制御手段(S2〜S8)とを備えることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6に記載の発明では、余熱脱離制御手段(S2〜S8)は、イグニッションスイッチが遮断された時から所定時間は、複数個の吸着器(12)を脱離工程とすることを特徴とするものである。
【0015】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本実施形態は、本発明に係る吸着式冷凍機をリヒート式の車両用空調装置に適用したものであって、図1、2は本実施形態に係る空調装置(空調ユニット)の模式図である。
【0017】
図1中、空調ケーシング1は室内に吹き出される空気が流れるダクト手段であり、空気流れ最上流側には、室内又は室外から空気を吸引して室内に空気を送風する遠心式の送風機2が設けられている。
【0018】
なお、本実施形態では、空調ケーシング1(空調ユニット)は、車両床下又はシート下に搭載されている。
【0019】
また、空調ケーシング1の空気流れ最下流側は、乗員の上半身側に向けて空気を吹き出すフェイス吹出口、乗員の下半身側に向けて空気を吹き出すフット吹出口、及び窓ガラスに向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口等に連通しているとともに、吹出モード、つまり空気を吹き出させる吹出口を切り替える吹出モード切換装置が設けられている。
【0020】
また、空調ケーシング1内のうち、送風機2より空気流れ下流側であって、吹出モード切換装置より上流側には、室内に吹き出す空気と熱媒体とを熱交換する第1、2熱交換器3、4が収納されており、空気流れ上流側に収納された第1熱交換器3は、主に室内に吹き出す空気を冷却する熱交換器であり、空気流れ下流側に収納された第2熱交換器4は、主に室内に吹き出す空気を加熱する熱交換器である。
【0021】
そして、第1熱交換器3は、空気流れに対して直列に配置された複数個(本実施形態では、2個)の熱交換部3a、3bを有し、かつ、第1熱交換器3に供給される冷却用の媒体が、空気流れ上流側に配置された熱交換部3aから空気流れ下流側に配置された熱交換部3bに向けて流れるように構成されている。
【0022】
また、第1熱交換器3に供給される冷却用の熱媒体は、吸着式冷凍機により生成(冷却)された流体で、第1熱交換器3に流入した熱媒体は、第1熱交換器3内で相変化することなく、室内吹き出す空気から吸熱しながら吸熱量に略比例して温度が上昇してそのエンタルピを上昇させる。
【0023】
なお、吸着式冷凍機とは、吸着剤が気相冷媒を吸着する作用を利用して冷媒を蒸発させ、その蒸発潜熱により冷凍能力を発揮するもので、その詳細は後述する。
【0024】
一方、第2熱交換器4に供給される加熱用の熱媒体は、エンジン冷却水、つまりエンジンにて過熱された熱媒体であり、本実施形態では、両熱交換器3、4に供給される熱媒体を同一のものとしている。
【0025】
因みに、熱媒体は水(エチレングリコール等の不凍液が混合されたものも含む。)であり、走行用駆動源をなすエンジン(内燃機関)を冷却するエンジン冷却水と同じ流体である。
【0026】
次に、吸着式冷凍機10について図3を用いて述べる。
【0027】
吸着剤は、吸着剤の関係湿度、つまり吸着剤表面の相対湿度に応じた量の冷媒(本実施形態では、水)を吸着するものである。このため、吸着剤を加熱すると関係湿度が低下するため吸着していた冷媒を脱離放出し、冷却する関係湿度が上昇するため雰囲気中の冷媒を吸着する。
【0028】
なお、吸着剤が冷媒(水蒸気)を吸着する際には、凝縮熱相当の吸着熱が発生するので、吸着剤の吸着能力を維持するには、吸着剤を冷却しながら冷媒を吸着させる必要がある。
【0029】
因みに、本実施形態では、吸着剤としてシリカゲルを用いていたが、活性アルミナ、活性炭、ゼオライト、モレキュラーシービングカーボン等を用いてもよいことは言うまでもない。
【0030】
室外熱交換器11は吸着器12内を循環した熱媒体と室外空気とを熱交換する熱交換器であり、吸着していた冷媒を脱離放出させる際には、エンジン等の車両で発生した熱(本実施形態では、エンジン冷却水)を吸着器12内に循環させる。なお、切換弁V1〜V4は熱媒体の循環経路を切り換えるである。
【0031】
また、2台の吸着器12は、内部が略真空に保たれた状態で冷媒(本実施形態では、水)が封入されたステンレス(本実施形態では、SUS304)製のケーシング12a、熱媒体とケーシング12a内の冷媒との間で熱交換を行う蒸発/凝縮コアをなす第1熱交換器12b、及び吸着剤を冷却又は加熱する吸着コアをなす第2熱交換器12cから等から構成されている。
【0032】
そして、ケーシング12aは、第2熱交換器12cが収納された吸着室12dと、第1熱交換器12bが収納された液相冷媒が溜まる蒸発/凝縮室12eとに分離されており、吸着室12dと蒸発/凝縮室12eとを連通させる連通路には、連通路を開閉する電磁弁12f等の開閉弁が設けられている。因みに、電磁弁12fは、非通電時閉(ノーマルクローズ)型の電磁弁である。
【0033】
次に、吸着式冷凍機10の概略作動を述べる。
【0034】
1.通常運転作動
先ず、切換弁V1〜V4を図3の実線に示すように作動させて、紙面上側の吸着器(以下、第1吸着器12と表記する。)の第1熱交換器12bと第1熱交換器3との間、第1吸着器12の第2熱交換器12cと室外熱交換器11との間、並びに紙面下側の吸着器(以下、第2吸着器12と表記する。)の第1熱交換器と室外熱交換器11との間、第2吸着器12の第2熱交換器12cとエンジンとの間に熱媒体を循環させる。
【0035】
これにより、第1吸着器12が吸着工程となり、第2吸着器12が脱離工程となるので、第1吸着器12で発生した冷凍能力により室内に吹き出す空気が冷却され、第2吸着器12にて吸着剤の再生が行われる。
【0036】
つまり、この状態(以下、第1状態と呼ぶ。)では、第1吸着器12の第1熱交換器12bは液相冷媒を蒸発させて冷凍能力を発生させる蒸発器として機能し、第1吸着器12の第2熱交換器12cは吸着剤を冷却する冷却器として機能し、第2吸着器12の第1熱交換器12bは吸着剤から脱離した水蒸気を冷却する凝縮器として機能し、第2吸着器12の第2熱交換器12cは吸着剤を加熱する加熱器として機能する。
【0037】
そして、第1状態で所定時間(本実施形態では、60秒〜100秒)が経過したときに、切換弁V1〜V4を図4の実線に示すように作動させて、第2吸着器12の第1熱交換器12bと第1熱交換器3との間、第2吸着器12の第2熱交換器12cと室外熱交換器11との間、並びに第1吸着器12の第1熱交換器と室外熱交換器11との間、第1吸着器12の第2熱交換器12cとエンジンとの間に熱媒体を循環させる。
【0038】
これにより、第2吸着器12が吸着工程となり、第1吸着器12が脱離工程となるので、第2吸着器12で発生した冷凍能力により室内に吹き出す空気が冷却され、第1吸着器12にて吸着剤の再生が行われる。
【0039】
つまり、この状態(以下、第2状態と呼ぶ。)では、第2吸着器12の第1熱交換器12bは液相冷媒を蒸発させて冷凍能力を発生させる蒸発器として機能し、第2吸着器12の第2熱交換器12cは吸着剤を冷却する冷却器として機能し、第1吸着器12の第1熱交換器12bは吸着剤から脱離した水蒸気を冷却する凝縮器として機能し、第1吸着器12の第2熱交換器12cは吸着剤を加熱する加熱器として機能する。
【0040】
そして、第2状態で所定時間が経過したとき、切換弁V1〜V4作動させて再び第1状態とする。このように、第1状態及び第2状態を所定時間毎に交互に繰り返して、空調装置を連続的に稼働させる。
【0041】
なお、所定時間は、ケーシング12a内に存在する液相冷媒の残量や吸着剤の吸着能力等に基づいて適宜選定されるものであり、以下のこの所定時間を、切換時間と呼ぶ。
【0042】
2.パージ運転
この運転モードは、イグニッションスイッチが遮断され、熱源をなすエンジンが停止した時から所定時間行われものである。
【0043】
具体的には、エンジンに蓄えられた余熱にて暖められたエンジン冷却水を電動ポンプ(図示せず。)にて第2熱交換器12cを循環させて、第1、2吸着器12内の吸着剤に吸着された冷媒を脱離放出させた後、次回、吸着式冷凍機10(空調装置)を始動させるまで、つまり第1、2吸着器12のうちいずれか一方の吸着器の第2熱交換器12cに冷水を循環させて、吸着剤を冷却して蒸気冷媒の吸着を促進することにより液相冷媒の蒸発を促す吸着工程とするまで両方の電磁弁12fを閉じるものである。
【0044】
なお、図5はパージ運転時の制御フローを示すフローチャートであり、イグニッションスイッチが遮断されると、送風機2が停止する(S1)。
【0045】
そして、現在、脱離工程となっている吸着器12の脱離工程を最後まで実施した後、その吸着器12の電磁弁12fを閉じる(S2〜S4)。
【0046】
次に、他方側の吸着器12を脱離工程として脱離工程を最後まで実施した後、その吸着器12の電磁弁12fを閉じる(S5〜S8)、電動ポンプを停止させる(S9)。
【0047】
次に、空調装置の作動について述べる。
【0048】
1.プレ空調運転
この運転モードは、エンジンを始動させる前、つまり熱源をなすエンジン(エンジン冷却水)の温度が脱離工程を行うに十分な温度以下のときに、事前に空調装置を稼動させて車室内の温度を適正な温度としておくものである。
【0049】
具体的には、図6に示すように、遠隔操作又はタイマーにてエンジンを始動させる前、つまり人員が乗車する前に、第1、2吸着器12のうちいずれか一方の電磁弁12fを開いて吸着式冷凍機にて冷凍能力を発生させるとともに、送風機2を作動させた状態で、電動ポンプにて吸着式冷凍機にて冷却された熱媒体を第1熱交換器3に供給する(S10〜S13)。
【0050】
そして、一方の吸着器12の吸着能力が飽和する前に、イグニッションスイッチが投入されてエンジンが始動したときには、一方の吸着器12を脱離工程とするとともに、他方の吸着器12を吸着工程として通常運転作動とする(S14〜S16)。
【0051】
なお、上記作動説明からも明らかなように、プレ空調運転は、一方の吸着器12のみで空調(冷房)を行い、他方の吸着器12はエンジン始動後に空調(冷房)に用いることが望ましいので、プレ空調時間は切換時間未満とすることが望ましいが、プレ空調時における送風機2の送風量を吸着剤の水分吸着能力低下、つまり吸着工程開始時からの時間経過に応じて低下させる等して、プレ空調時間を切換時間以上としてもよい。
【0052】
2.最大冷房運転(クールダウン)
目標吹出温度TAOが第1所定値より小さくなったとき、又は乗員が手動操作にて最大冷房運転を選択したときには、図7(a)に示すように、図示しない温水バルブを閉じて第2熱交換器4への熱媒体(温水)供給を停止した状態で、第1熱交換器3に吸着式冷凍機で生成された温度の低い熱媒体を供給する。
【0053】
因みに、目標吹出温度TAOとは、乗員が設定した希望室内温度や室内温度などに基づいて決定される制御パラメータを成すもので、目標吹出温度TAOが小さくなるほど大きな冷房能力が必要であるとみなされ、逆に目標吹出温度TAOが大きくなるほど大きな暖房能力が必要であるとみなされる。
【0054】
そして、本実形態では、目標吹出温度TAOに基づいて最大冷房運転(クールダウン)や温度コントロール運転等の運転モード、エアミックスドア5の開度及び吹出モード等が自動制御される。
【0055】
3.温度コントロールモード(除湿暖房運転)
目標吹出温度TAOが第1所定値より大きく、かつ、第1所定値より大きい第2所定値以下となったとき、又はやデフロスタ吹出モード等の曇り除去運転が手動操作にて選択された場合等には、図7(b)に示すように、温水バルブを開いて第2熱交換器4へ熱媒体(温水)を供給した状態で、第1熱交換器3に吸着式冷凍機で生成された温度の低い熱媒体を供給する。
【0056】
これにより、第1熱交換器3にて除湿冷却された空気が第2熱交換器4にて所定温度まで加熱されて室内に吹き出される。なお、室内に吹き出す空気の温度は、温水バルブにて第2熱交換器4での加熱能力を調節することにより行う。
【0057】
4.(除湿不要)暖房運転
目標吹出温度TAOが第2所定値より大きくなったとき、又はや最大暖房運転が手動操作にて選択された場合等には、図7(c)に示すように、吸着式冷凍機10を停止して第1熱交換器3への熱媒体の供給を停止した状態で、温水バルブを開いて第2熱交換器4へ熱媒体(温水)を供給する。
【0058】
次に、本実施形態の作用効果を述べる。
【0059】
本実施形態では、エンジンに蓄えられた余熱にて暖められたエンジン冷却水を第2熱交換器12cを循環させて、第1、2吸着器12内の吸着剤に吸着された冷媒を脱離放出させるので、次回始動時に、両吸着器12内の冷媒を十分に脱離再生した状態で吸着式冷凍機10を始動することができる。
【0060】
したがって、エンジン始動前やエンジン始動直後等の廃熱温度及び廃熱量が低いときであって、十分な冷凍能力を得ることができるので、十分な冷房能力を得ることができる。
【0061】
また、両吸着器12内の冷媒を十分に脱離再生し後、次回、吸着式冷凍機10(空調装置)を始動させるまで、両方の電磁弁12fを閉じるので、吸着式冷凍機10を停止している間に、脱離した冷媒が再び冷媒を吸着してしまうことを防止できるので、次回始動時に、両吸着器12内の冷媒を十分に脱離再生した状態で吸着式冷凍機10を始動することができる。
【0062】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、熱源としてエンジンを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば電気自動車にあっては、燃料電池、走行用電動モータ及びモータ制御用インバータ等からの廃熱を熱源としてもよい。
【0063】
また、プレ空調時に駐車時換気システムを連動させて作動させてもよい。
【0064】
また、上述の実施形態では、本発明に係る吸着式冷凍機を車両用空調装置に適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではない。
【0065】
また、上述の実施形態では、吸着器12を2台としたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る空調装置(空調ユニット)の模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る空調装置(空調ユニット)の模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係る吸着式冷凍機の模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係る吸着式冷凍機の模式図である。
【図5】本発明の実施形態に係る吸着式冷凍機の制御作動を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る吸着式冷凍機の制御作動を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る空調装置の作動説明図である。
【符号の説明】
10…吸着式冷凍機、11…室外熱交換器、12…吸着器、
12a…ケーシング、12b…蒸発/凝縮コア(第1熱交換器)、
12c…吸着コア(第2熱交換器)、12d…吸着室、
12e…蒸発/凝縮室、12f…電磁弁。

Claims (6)

  1. 冷媒の蒸発作用により冷凍能力を発生させるとともに、蒸発した蒸気冷媒を吸着し、かつ、加熱されることにより吸着していた冷媒を脱離する吸着剤を有する吸着式冷凍機であって、
    前記吸着剤及び冷媒が収納された複数個の吸着器(12)と、
    熱源で発生した熱にて前記吸着剤を加熱して冷媒を脱離させる脱離工程と、前記吸着剤を冷却して蒸気冷媒の吸着を促進して液相冷媒の蒸発を促す吸着工程とを切り換える切換制御手段(V1〜V4)と、
    前記熱源が停止したときに、前記熱源に蓄えられた余熱により前記複数個の吸着器(12)を前記脱離工程とする余熱脱離制御手段(S2〜S8)とを備えることを特徴とする吸着式冷凍機。
  2. 前記余熱脱離制御手段(S2〜S8)は、前記熱源が停止した時から所定時間は、前記複数個の吸着器(12)を前記脱離工程とすることを特徴とする請求項1に記載の吸着式冷凍機。
  3. 前記吸着器(12)は、前記吸着剤を加熱又は冷却するための吸着コア(12c)が収納された吸着室(12d)と、液相冷媒が溜まる蒸発室(12e)とに分離されており、
    少なくとも、前記脱離工程の終了後、前記吸着工程が開始するまで、前記吸着室(12d)と前記蒸発室(12e)とを連通させる連通路を閉じる開閉弁(12f)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸着式冷凍機。
  4. 前記余熱脱離制御手段(S2〜S8)にて前記複数個の吸着器(12)を前記脱離工程とした後、冷凍能力を発生させる場合であって、前記熱源の温度が所定温度以下のときには、少なくとも前記複数個の吸着器(12)のうちいずれか1つの前記開閉弁(12f)を閉じた状態で、その他の前記吸着器(12)内の冷媒を蒸発させることを特徴とする請求項3に記載の吸着式冷凍機。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の吸着式冷凍機にて車室内に吹き出す空気を冷却するとともに、内燃機関を前記熱源とする車両用空調装置であって、
    イグニッションスイッチが遮断されたときに、前記熱源に蓄えられた余熱により前記複数個の吸着器(12)を前記脱離工程とする余熱脱離制御手段(S2〜S8)とを備えることを特徴とする車両用空調装置。
  6. 前記余熱脱離制御手段(S2〜S8)は、前記イグニッションスイッチが遮断された時から所定時間は、前記複数個の吸着器(12)を前記脱離工程とすることを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
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