JP2004340039A - 内燃機関の始動暖機時燃焼制御装置 - Google Patents

内燃機関の始動暖機時燃焼制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な構成で冷機時の排気温度を上昇させ、触媒の早期暖機を行い、未燃HCの排出を抑制できるシステムを提供する。
【解決手段】点火時期を上死点前5°から上死点後36°とし、エンジンの有効軸トルク分を適切な量に抑えながら、後燃えする燃料量を増やして排気温度を上昇させることができる。
また、偏向噴霧により、燃料をピストン冠面やシリンダ壁に衝突させずプラグ近傍に運ぶ。圧縮行程後半に噴射された燃料は拡散することがなく、シリンダ壁近傍のクエンチ層に燃料または混合気が入り込むことを防止でき、未燃HC量を少なくできる。またこのとき、空燃比が理論空燃比またはやや薄い(スライトリーン)状態とし、排気温度を高く保ち、排気管内の後燃えを起こりやすくする。触媒温度が十分に上昇し、通常の燃焼を行っても十分HC,NOxの低減が行えると判断されるときには、暖機後の通常制御に戻す。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダ内に直接燃料を噴射し、主として点火により燃焼させる内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、排気低減のために、シリンダ内に直接燃料を噴射する内燃機関が広く知られている。この機構においては、始動後、まだエンジンおよび触媒の暖機が完了していない場合は、燃焼の安定性を確保するために、吸気行程で燃料を噴射し、十分な燃料の気化時間をとり、均質燃焼を行おうとするのが一般的であった。
【0003】
しかし、一層の排気低減をはかる必要から、これら始動直後のいわゆるファーストアイドル時において、燃料噴射制御および点火制御に工夫を凝らし、冷機時の混合気を偏在させる、いわゆる成層燃焼を行うことにより、未燃HCの低減をはかる技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
エンジンの冷機時に、吸気行程と圧縮行程に分けて二回噴射を行うことにより、プラグ周りを空燃比9〜13の比較的リッチな混合気とし、それ以外の領域を空燃比16〜28程度のリーン混合気とする。そして、リッチな混合気に点火することにより、高い燃焼安定性を保ちつつ、リッチ雰囲気で生成されたCOと、リーン燃焼で余剰となるO を排気管内または触媒内で酸化反応させ、排気温度の上昇および未燃HCの低減を図ろうとするものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−324765号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構成においては、次に示すような問題点があった。
【0007】
すなわち、前述の構成はピストンに噴霧を衝突させ、噴霧をピストンキャビティに沿ってプラグ近傍に導き混合気形成を行う、いわゆる壁ガイド方式を前提としており、ピストン冠面温度が低い場合には、ピストンに衝突・付着した燃料は気化することができず、未燃HCとなって排出されたり、オイルに溶けてオイル希釈等を引き起こすといった問題点があった。また、これを避けるためにピストン冠面温度が高くなるまで成層燃焼を行わないようにすると、冷機時に実際に排気低減を行う時間が少なくなってしまうという問題点があった。
【0008】
また、上記の例における成層燃焼、および従来の均質燃焼とも、シリンダ壁面近傍には混合気層が存在する。壁面近傍には、良く知られているようにクエンチゾーンと呼ばれる消炎層が存在し、この領域に火炎が伝播してきても、発生する熱量よりも壁面に伝わる熱量のほうが大きく、燃焼することができない。よってこの層内に入ったHCは全て未燃分として排気管に排出されてしまい、未燃HCが増加するという問題点があった。
【0009】
以上より、本発明において解決すべき課題を列挙すると次のようになる。
【0010】
まず、簡易な構成で冷機時の排気温度を上昇させ、触媒の早期暖機を行うことのできるシステムを提供しようとするものである。
【0011】
また、燃料または混合気がクエンチゾーンに入ることなく、冷機時未燃HCの排出を抑制できるシステムを提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次のような手段を有する。
【0013】
まず、燃料を直接噴射できる内燃機関において、燃料をピストン冠面やシリンダ壁面に衝突させることなく成層燃焼を行うことができる混合気の生成手段を備える。またこのとき、燃料噴霧は、点火プラグ近傍の流量が多く、ピストン側に向かう燃料が少ない、いわゆる偏向噴霧とする。
【0014】
また、エンジン水温,エンジン回転数,必要負荷を検出し、これにより燃料噴射時期や点火時期,スロットル開度を可変することのできる制御手段を備える。
【0015】
さらに、上記構成において、エンジン冷機時に燃料噴射終了時期を圧縮上死点前44°から、上死点前36°に、そして点火時期を上死点前5°から、上死点後36°の間に設定するように上記制御手段を用いる。またさらに、このときの空燃比を14から17の間に設定するようにするか、または空気過剰率を0.95から1.2の間になるように制御する。
【0016】
また、燃料噴射から点火までの時間を、少なくとも4ms,最大10msの間に調節する。
【0017】
また、排気温度を検出する手段を備え、上記の状態で排気温度が約700℃を超えていない場合には、点火時期を遅らせ、かつスロットル開度を大きくし、燃料噴射量を増やすようにする。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1および図2に、本発明の実施例における構成図を、図1は略横側から、図2はエンジン上方から見たものとして示す。なお、本実施例では主として多気筒エンジンを想定しているが、以降の図では簡単のために1つのシリンダについて説明する。
【0019】
吸気管101は、燃焼室118に近づくと、仕切り板102によって上下に分割される。その上流部に吸気制御弁103が、吸気管101の下部側通路を閉塞するように取り付けられている。
【0020】
燃料噴射弁122は、燃焼室118内に直接燃料を噴射するように取り付けられている。また、このとき、燃料噴射弁122からの噴霧は点火プラグ113を直接指向する燃料が多く、ピストンに直接向かう成分が少ない、いわゆる偏向噴霧になっている。
【0021】
図1の右側より空気が吸入され、エアクリーナ106を通り、エアフローメータ105で流量を計測し、電子制御スロットル104で流量を調節した後、コレクタ116で各気筒に分配される。その後、前述した吸気管101を通り、吸気弁111が開いた際にシリンダ123に流入する。シリンダで燃焼したガスは、排気弁112,排気管110,触媒115を通り、消音器117を通って大気中に排気される。
【0022】
燃料噴射弁122の燃料噴射時期,点火プラグ113の点火時期,吸気制御弁103,電子制御スロットル104,EGR制御弁108のそれぞれの開度は、エアフローメータ105で計測された吸入空気量や、アクセルペダルの開度、そしてエンジン水温,エンジン回転数,車速(いずれもその入力を行うセンサを図示していない)などの情報を元に、コンピュータ201によって最適な値および時期に設定および制御される。
【0023】
エンジンが冷えた状態からの始動時、または始動直後でエンジンや触媒115の温度が低い場合、コンピュータ201は、まずギヤ位置の情報やアクセルペダルの開度を調べ、走行状態でないと判断すると、まず電子制御スロットル104の開度を大きくする。そして、燃料噴射弁122の開弁時期を、閉弁時期がクランク角で上死点前44°から36°の間、すなわち圧縮行程の後半になるように決めて噴射を行う。また、点火時期を上死点前5°〜上死点後36°の間に設定する。このようにすると、噴射された燃料はピストンの上昇により、圧力が高い状態で気化しようとするため、噴霧125は、その貫通力(ペネトレーション)が伸びず、噴霧125がピストン107や燃焼室118,シリンダ壁119などに付着することを防げる。また、噴霧125の拡散が抑えられるので、燃焼室118内で成層混合気を容易に生成できる。
【0024】
また、点火が上死点近く、または上死点後に行われるので、実際の混合気126の燃焼は、例えば上死点後30°から60°で主に行われる。このため、始動直後のファーストアイドル状態にあっては、気化のための時間を長くとることができ、気化不足または混合不足の燃料が燃焼する際に生じる、すすの発生を極力抑えることができる。また、偏向噴霧であるので、噴霧の一部がプラグに向かい、毎回の燃焼ごとに比較的濃い混合気をプラグ近傍に生成し、これにより安定した燃焼を実現することができる。
【0025】
図3に、本発明の実施例におけるフローチャートを示す。
【0026】
まず、コンピュータ201がエンジン回転数,アクセル開度,水温,吸気圧力,排気温度,ギヤ位置などの情報をセンサから取り込む。次のステップで、水温が一定温度以下、ここでは例えば40℃であるかどうかを調べる。ここでOKすなわち40℃以下であると判断されると、次のステップに進む。
【0027】
次のステップで、例えばギヤ位置がニュートラルであるか、アクセルが踏まれているか否かを調べることにより、ファーストアイドル状態であるかどうかを調べる。
【0028】
ここでOKと判断されると次のステップに進み、成層運転可能であるかどうかを調べる。これは例えば、排気温度が触媒の昇温のために必要な温度になっていないか否か、過去に始動後ファーストアイドル状態で問題がなかったかどうかを記憶しておき、問題がないか否か、などを調べることにより決定される。このステップでOKと判定されると、始動後ファーストアイドル状態での成層運転が行われる。
【0029】
次のステップで、点火時期をクランク角で上死点前5°から上死点後36°の間に設定する。実際には、この点火時期は燃焼室118の形状や水温,エンジン回転数などにより定まる値になる。
【0030】
次のステップで燃料噴射量を演算する。本発明の構成では、後燃えする燃料量が非常に大きいため、その分を考慮して、必要なトルクを出すための燃料増量を行う。この必要燃料量は、水温や点火時期によりあらかじめ定められたマップを参照したり、または計算式により演算してもよい。
【0031】
次のステップで、燃料噴射量と、空燃比(14〜17)の情報から、必要な吸入空気量を求め、それに見合う量の空気を吸入するために、電子制御スロットル104の開度を設定する。後燃え量が大きいので、スロットルの開度も大きくなる。
【0032】
次のステップで燃料の噴射開始時期を計算する。燃料量の計算同様、エンジン回転数や必要トルクによりマップを参照したり、または計算式により求めてもよい。
【0033】
次に、燃料噴射開始時期と、燃料量から、燃料噴射終了時期を求める。また、燃料噴射開始から点火までの時間は4msから10ms開け、噴霧125に十分な気化時間をあたえ、かつ、シリンダ123等に付着するのを防止する。
【0034】
このとき、もし燃料噴射終了時期が上死点前44°から36°の間にない場合、本発明の燃焼では安定性が確保できない可能性があるので、通常制御、すなわち吸気行程噴射に切替えて制御するようにする。
【0035】
ここでOKと判定されると、これまでのステップで定められたように燃料噴射,点火を行い、1サイクルが完了する。これを繰り返すことにより運転が継続される。
【0036】
図4から図7で、本発明の実施例における、吸気行程から膨張行程までの混合気形成過程を図解する。
【0037】
図4は吸気行程の状態を示したものである。吸気管101は仕切り板102によって上下に区切られている。吸気行程では、ピストン107が下降して吸気弁111が開き、主として吸気管101の上部から空気が燃焼室118内に流入し、紙面に略垂直な軸を持つタンブル120を形成する。排気弁112は閉じられている。
【0038】
図5は圧縮行程後半、例えば圧縮上死点前60°前後の状態を示したものである。吸気弁111は閉じられ、ピストン107が上昇し、燃焼室118の圧力が上昇している。ここで、燃料噴射弁122から燃料噴射を行う。燃料噴霧125は略円すい形をしているが、その一方、点火プラグ側は点火プラグ113を指向しており、貫通力も比較的強いリード噴霧である。また、ピストン107側は貫通力の比較的弱い噴霧となっている。
【0039】
図6は圧縮行程後半、例えば圧縮上死点前20°前後の状態を示したものである。ピストン107はさらに上昇し、燃焼室118内の圧力が上がってくるために、燃料噴霧125の貫通力は抑えられる。一方、燃焼室118内に残存するタンブル120により、燃料噴霧125のピストン107側に向かう成分はプラグ方向に向かって押し上げられる。このようにして、ピストン107,燃焼室118の内壁,シリンダ123,排気弁112への付着が極力抑えられる。
【0040】
図7は、圧縮上死点付近における状態を示したものである。時間の経過にともない、燃料噴霧125は気化する。ピストン107はさらに上昇し、タンブル120は崩壊して微小な乱れとなり、燃料と空気の混合が促進される。燃焼室118内に大きな流れがないので、点火プラグ113と、燃焼室118の中心部にはA/F12〜14の混合気が偏在し、その周囲のシリンダ123または燃焼室118内壁付近、ピストンクレビス127の周囲はほとんど空気のみで混合気が存在しない。このようにして、シリンダ123近傍などのクエンチ(消炎)領域に混合気が入り込むことが防止され、未燃HCの排出が抑えられる。また、気化するのに十分な時間があり、混合気126が衝突せずに燃焼室118の中心付近にとどまるため、すすも出にくい。さらに、シリンダ123周辺の空気層によって、燃焼により発生する熱がシリンダ123に逃げるのを抑えられるので、排気温度も高くなる。
【0041】
図8および図9に、実施例において、エンジンの排気行程でHCが減少する様子を示す。図8に模式図を、図9にHC濃度のグラフで表している。排気管110に温度センサを取りつけ、さらにA,B,Cの各点においてHC濃度を調べると、A点の排気温度が700°を超えている場合は、
[H ,HC,CO]+O → CO +H
という酸化反応が起こり、B点,C点と下流に進むにしたがいHCは減少していく。また、これらの酸化反応によって排気温度も高く保たれる。そのため、触媒115の活性化を早めることができる。
【0042】
一方、排気温度が650℃以下になると、上記したような酸化反応が起こらず、A,B,C点のHC濃度にはほとんど差がなくなる。このため、触媒の活性化は遅れることになる。以上より、排気温度を700℃以上にするために、点火時期を遅らせて後燃えを増やし、電子制御スロットル104を開け、また燃料噴射量も増やす必要が出てくる。これらは図3で説明したように、あらかじめマップや計算式の定数を調整することにより実現することができる。
【0043】
図10に、本発明の実施例における熱発生率積算値の時間変化を示す。比較対象として、同じトルクを発生する、通常温間時(80℃)の成層燃焼の熱発生率積算値もあわせて示した。通常燃焼では、例えば上死点前25°で点火が行われ、燃焼速度、すなわちグラフの傾きは上死点から上死点後10°前後で最大になる。また、後燃えはほとんどない。これに対し、本実施例では例えば上死点後5°で点火し、上死点からかなり遅れて、上死点後30°から60°の間で緩慢な燃焼が行われる。すなわち、多くの燃料が有効なトルクにならずに後燃えし、排気管110に流入し、排気温度の上昇に役立つことになる。具体的には、後燃えする燃料量は温間時のアイドル相当に対し2倍以上であり、合計3倍以上の燃料を燃焼させている。
【0044】
図11から図13に、シリンダ内圧力変化と、混合気分布を点火プラグ方向から見た模式図を示す。図11は本発明の実施例を、図12と図13には、比較パターンとして、均質燃焼と、通常温間時の成層燃焼について示している。
【0045】
図11の本発明の実施例では、上死点前60°で燃料噴射開始、上死点後44°で噴射終了する。そして上死点後5°で点火している。燃焼は上死点後30°で緩慢に行われるため、トルクにならずに排気温度上昇に役立つ燃料量が多くなる。模式図によると、混合気126は点火プラグ113を中心に分布し、シリンダ123の近傍やピストンクレビス127,燃焼室118の内壁や排気弁112の近傍には、空気またはごく薄い混合気しか存在せず、クエンチ層に入った燃料が未燃HCとなって排出するのを防止できる。また、平均空燃比は14〜17であるため、全体のガス量が少なく、排気温度が上がりやすい。
【0046】
これに対し図12の均質燃焼では、点火時期は例えば上死点前10°前後で、後燃えの割合は少ない。混合気が均一にA/F14.7 で分布している。そのため、シリンダ123の周辺やピストンクレビス127にも混合気が存在し、燃焼時にはこれらが未燃HCとなって排出され、排出量の増加を招く。
【0047】
図13の温間時成層燃焼は、点火プラグ113の周囲に混合気を偏在させている点は本実施例と同じだが、平均空燃比は24〜40前後で、大量の空気が過剰に吸入されているので、ポンピングロスは少なくなるが、排気温度を上昇させることができない。
【0048】
図14と図15に、本発明の実施例と、従来の方式における、各点の温度変化を、図16に、本発明と従来例における、排気温度とHC排出量をそれぞれ示す。本実施例では始動後、すぐに排気温度を700℃以上にすることができ、触媒の活性化を早めることができる。さらに、触媒が不活性の間もHC排出量を低く抑えることができる。これに対し従来方式では、排気温度が低く、触媒の活性化を早めることができない。また、触媒が不活性の間も未燃HCが多く排出される。
【0049】
なお、本実施例はエンジン冷機時、始動後ファーストアイドル時燃焼の基本概念について述べたものであり、本発明の範囲は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば吸気通路の本数、あるいは吸気通路の形状が変わった場合でも、それらの通路を部分的に閉塞する仕切り板と吸気制御弁を持ち、噴霧をピストン107等に衝突させずに導く構成であればあきらかに本発明の範囲に含まれる。
【0050】
さらに、本実施例は自然吸気エンジンについて記載しているが、エンジンのファーストアイドル時に点火時期を遅らせた成層燃焼を行うことができれば、過給機付きエンジンに関しても同様の動作を行わせることができる。通常、過給機の熱容量のために、過給機付きエンジンの場合には触媒の早期活性化は難しいとされているが、本発明によれば排気温度の上昇は噴射時期を最適に設定しながら、点火時期の調整で行うことができ、触媒の早期活性に十分な効果がある。吸入空気の圧力が大気圧よりも高まるので、EGRガスを入れても吸入空気量を多くすることができ、自然吸気の場合よりも成層運転範囲を広くすることができる。
【0051】
このように本発明によれば、クランク角で上死点前5°から上死点後36°、より詳しくは、上死点から上死点後25°に点火すると、燃焼割合を圧縮上死点の、例えば30°以降にほとんど燃焼するようにでき、エンジンの有効軸トルク分を適切な量に抑えながら、後燃えを増やして排気温度の上昇にあてることができる。
【0052】
また、燃料噴射から点火までの時間を4msから10msの間に調節しているので、燃料噴霧の気化を十分に行いながら、シリンダ壁等への噴霧の衝突を少なくし、良好な成層燃焼を行わせることができる。これらにより、排出されるHC量を低く抑えることができる。
【0053】
さらに、偏向噴霧により、燃料をピストン冠面やシリンダ壁に衝突させずプラグ近傍に運ぶ。燃料の噴射時期が上記のごとく、圧縮行程後半の比較的遅い時期に設定されているので、噴射された燃料は拡散することがなく、シリンダ壁近傍のクエンチ層に燃料または混合気が存在しないか、あってもごく少量に保たれる。このため、未燃のまま排出されるHC量はごく少なく保たれる。
【0054】
またこのとき、空燃比が理論空燃比前後、またはやや薄い(スライトリーン)状態になっているために、燃料に対する燃焼ガス量の割合が少なく、排気温度が高く保たれ、排気管内の後燃えが起こりやすくなる。
【0055】
そして、この燃焼を繰り返し、触媒温度が十分に上昇し、通常の燃焼を行っても十分HC,NOxの低減が行えると判断されるときには、暖機後の通常制御に移行し、点火時期,燃料噴射時期を通常に戻す。
【0056】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、簡易な構成により冷機時の排気温度を上昇させ触媒の早期暖機を行うことができ、冷機時等の未燃HCの排出を抑制できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例をシリンダ略横側から見た構成図。
【図2】本発明の実施例の構成をエンジン上側から見た図。
【図3】実施例におけるファーストアイドル時の制御フローチャート。
【図4】実施例中、吸気行程における空気流動を示した図。
【図5】実施例中、圧縮上死点前60°前後の混合気形成の状態を示した図。
【図6】実施例中、圧縮上死点前20°前後の混合気形成の状態を示した図。
【図7】実施例中、圧縮上死点前後の混合気形成の状態を示した図。
【図8】実施例における、エンジン排気管の模式図。
【図9】実施例における、排気管内HC濃度変化を示した図。
【図10】実施例および比較対象における熱発生率積算値の時間変化を示した図。
【図11】本発明の実施例におけるシリンダ内圧力変化の模式図、および混合気形成状態を上から見た図。
【図12】従来の均質燃焼におけるシリンダ内圧力変化の模式図、および混合気形成状態を上から見た図。
【図13】従来の温間時成層燃焼におけるシリンダ内圧力変化の模式図、および混合気形成状態を上から見た図。
【図14】本発明の実施例における水温,排気温度,触媒温度の時間変化を示した図。
【図15】従来方式における水温,排気温度,触媒温度の時間変化を示した図。
【図16】本発明の実施例と、従来例における排気温度と、触媒前HC排出量の比較を示した図。
【符号の説明】
101…吸気管、102…仕切り板、103…吸気制御弁、104…電子制御スロットル、105…エアフローメータ、106…エアクリーナ、107…ピストン、110…排気管、111…吸気弁、112…排気弁、113…点火プラグ、115…三元触媒、116…コレクタ、117…消音器、118…燃焼室、120…タンブル、122…燃料噴射弁、123…シリンダ、125…燃料噴霧、126…混合気、127…ピストンクレビス、128…排気フランジ、201…コンピュータ。

Claims (8)

  1. 燃料をシリンダ内に直接噴射する機構と、
    アイドル回転数アップを行う機構と、
    エンジン始動直後で触媒の温度が低いとき、混合気の空燃比を14から17(空気過剰率で0.95から1.2)の間になるように設定して圧縮行程噴射を行うと共に、点火時期がクランク角で圧縮上死点前5°から上死点後36°の間になるように制御することを特徴とする内燃機関の始動時燃焼制御装置。
  2. 燃料をシリンダ内に直接噴射する機構と、
    アイドル回転数アップを行う機構とを備え、エンジン始動直後で触媒の温度が低いとき、混合気の空燃比を14から17(空気過剰率で0.95から1.2)の間になるように設定し、燃料噴射の終了時期がクランク角で圧縮上死点前44°から上死点前36°の間になるように制御することを特徴とする内燃機関の始動時燃焼制御装置。
  3. 請求項1又は2のいずれかに記載の内燃機関の始動暖機時燃焼制御装置において、前記燃料をシリンダ内に直接噴射する機構は、燃料噴霧がピストン側に少なく点火プラグ側に多く偏向される燃料噴射弁であることを特徴とする内燃機関の始動暖機時燃焼制御装置。
  4. 請求項1に記載の内燃機関の始動暖機時燃焼制御装置において、燃料の噴射終了時点を基準としたとき、前記燃料の噴射終了時点より約4ms後から約10ms後までの間に点火することを特徴とする内燃機関の始動時燃焼制御装置。
  5. 燃料をシリンダ内に直接噴射する機構と、始動後にアイドル回転数を上昇させる機構を備えており、エンジン始動直後、エンジンからの排気の温度が少なくとも700℃以上になるようにアイドル状態に対して燃料噴射量及び、空気量を増量すると共に点火時期を遅らせることを特徴とする内燃機関の始動時燃焼制御装置。
  6. 請求項5に記載の内燃機関の始動時燃焼制御装置において、前記燃料噴射量及び空気量を通常のアイドル状態に対し、約3倍以上とすることを特徴とする内燃機関の始動暖機時燃焼制御装置。
  7. 請求項5に記載の内燃機関の始動時燃焼制御装置において、前記点火時期は、クランク角で圧縮上死点前5°から上死点後36°の間になるように制御することを特徴とする内燃機関の始動暖機時燃焼制御装置。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の内燃機関の始動暖機時燃焼制御装置において、吸気制御弁を有し、前記吸気制御弁により、前記シリンダ内の混合気を成層化又は均質化する切替え手段を有することを特徴とする内燃機関の始動暖機時燃焼制御装置。
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