JP2004339974A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】S被毒回復のための還元剤供給を行う内燃機関にあって、排気通路の壁面への還元剤付着を抑制することのできる内燃機関の排気浄化装置を提供する。
【解決手段】エンジン1は、排気管26に配設されたNOx浄化触媒12と、同NOx浄化触媒12にS被毒回復用の還元剤を供給する噴射ノズル5と、ターボチャージャ11とを備える。制御装置25は、ターボチャージャ11の壁温が所定温度T1以下であるときに噴射ノズル5による還元剤の供給を制限する制限処理を実行する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、NOx浄化触媒のS被毒回復処理を行う際に還元剤の供給がなされる内燃機関の排気浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、一部の内燃機関の排気通路には、排気中のNOx(窒素酸化物)を浄化するNOx浄化触媒が備えられるようになってきている。
【0003】
このNOx浄化触媒は、排気の空燃比がリーンであるときには、排気中のNOxを吸蔵(吸収)して排気中のNOx濃度を低下させる。また、排気の空燃比がリッチになる、すなわち還元雰囲気下に置かれると吸蔵したNOxを還元・放出する。
【0004】
一方、このNOx浄化触媒はNOxだけではなく、燃料等に含まれる硫黄やその化合物も吸収してしまう(以下、これを「S被毒」と称する)。そのため、NOx浄化触媒においてこれらの堆積量(以下、これを「S堆積量」と称する)が増大すると吸蔵可能なNOx量が減少しNOx浄化機能が低下する、といったいわゆるS被毒によるNOx浄化触媒の機能低下現象が生じる。
【0005】
ここで、NOx浄化触媒が600℃近い温度であって、かつ同触媒の周りの酸素濃度が低い還元雰囲気下では、NOx浄化触媒に堆積した硫黄分がNOx浄化触媒から還元された状態で放出されることが知られている。
【0006】
このようないわゆるS被毒回復を行うために、特許文献1に記載の装置では、排気通路を介して還元剤をNOx浄化触媒に供給するようにしている。このようにNOx浄化触媒に還元剤が供給されると、同還元剤は硫黄分の還元反応に寄与する。また、この還元剤はNOx浄化触媒において燃焼され、その熱より同触媒の温度は高められる。しかも還元剤の燃焼によってNOx浄化触媒の周りの酸素が消費され、同触媒の周りの酸素濃度も低くなるため、高温及び還元雰囲気といった条件が満たされてS被毒回復が行われる。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−13456号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した還元剤供給では、排気通路を介してNOx浄化触媒に還元剤を供給するようにしている。そのため、供給された還元剤のうち、蒸発していない還元剤や微粒化されていない還元剤は、NOx浄化触媒に到達する前に排気通路の壁面に付着してしまうおそれがある。
【0009】
このように排気通路の壁面に還元剤が付着すると、この付着した還元剤は例えば車両の急発進や急加速といった排気流量や排気流速の増大時における排気の流勢によって霧化され、未燃状態の白煙として大気に排出されてしまうといった不具合が生じるおそれがある。
【0010】
ちなみに、機関冷間状態からの機関始動時などではNOx浄化触媒の温度は低くなっている。このような状態で排気通路の壁面に還元剤が付着していると、排気によって還元剤が触媒に到達しても同触媒上で還元剤の消費(酸化)が行われないため、上記白煙はさらに発生しやすくなる。
【0011】
この発明はこうした事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、S被毒回復のための還元剤供給を行う内燃機関にあって、排気通路の壁面への還元剤付着を抑制することのできる内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に記載の発明は、排気通路に配設されたNOx浄化触媒と、同NOx浄化触媒にS被毒回復用の還元剤を供給する還元剤供給手段とを備える内燃機関の排気浄化装置において、前記排気通路の壁温が所定温度T1以下であるときに前記還元剤供給手段による還元剤の供給を制限する制限処理を実行する制限手段を備えることをその要旨とする。
【0013】
排気通路の壁面の温度が還元剤の気化を促す温度である場合には、上記還元剤供給手段による還元剤供給が行われても、同壁面への還元剤付着は生じにくい。換言すれば、排気通路の壁面の温度がある温度以下の場合には還元剤供給を制限することにより、上記壁面への還元剤付着を抑制することができる。そこで、上記構成では、排気通路の壁温が所定温度T1以下であるときに上記還元剤供給手段による還元剤の供給を制限するようにしている。そのため、還元剤供給に際して、上記壁面への還元剤付着を抑えることができるようになり、ひいては上記白煙の発生も好適に抑えることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記還元剤供給手段による還元剤の供給に先だって、燃焼用燃料を前記NOx浄化触媒に供給してこれを昇温する昇温手段を更に備えることをその要旨とする。
【0015】
S被毒回復用の還元剤供給によってNOx浄化触媒は昇温されるものの、還元剤供給がなされてからNOx浄化触媒が実際に昇温されるまでにはある程度の時間がかかる。そのため、還元剤の供給直後にあってはS被毒回復が行われないおそれがある。この点、上記構成ではS被毒回復用の還元剤供給に先立って、NOx浄化触媒に昇温用の燃焼用燃料が供給される。そのため、NOx浄化触媒の温度が十分に高められた状態でS被毒回復処理を行うことができ、同S被毒回復処理の実行直後から確実にS被毒回復を行うことができるようになる。また、このように予めNOx浄化触媒が昇温された状態からS被毒回復が開始されるため、S被毒回復処理の実行に際して、NOx浄化触媒の昇温に必要な還元剤供給量を減少させることができ、これにより排気通路の壁面に付着する還元剤の量を減量させることができるようになる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記制限手段は前記排気通路の壁温が所定温度T2以下であるときに前記昇温手段による燃焼用燃料の供給を制限する処理を前記制限処理として含むことをその要旨とする。
【0017】
同構成によれば、上記制限処理として排気通路の壁温が所定温度T2以下であるときに上記昇温手段による燃焼用燃料の供給が制限される。そのため昇温手段による燃焼用燃料の供給に起因する、上記壁面への燃焼用燃料の付着を抑制することができるようになる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記昇温手段は前記NOx浄化触媒の温度が所定期間継続して所定温度T3以上に維持されるまで前記昇温の処理を実行することをその要旨とする。
【0019】
同構成によれば、NOx浄化触媒全体の温度を確実に昇温させることができるようになる。そのため、S被毒回復を確実に行うことができるようになり、ひいてはS被毒回復中の還元剤供給量についてもその量を確実に減少させることができ、請求項2に記載の作用効果を確実に得ることができるようになる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記制限手段は前記還元剤供給手段による還元剤の供給及び前記昇温手段による燃焼用燃料の供給の少なくとも一方についてその実行を禁止する処理を前記制限処理として実行することをその要旨とする。
【0021】
同構成によれば、上記制限処理として還元剤の供給及び燃焼用燃料の供給の少なくとも一方が行われなくなるため、壁面への還元剤付着または燃焼用燃料の付着を確実に抑えることができるようになる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記制限手段は前記壁温が所定温度T4以上であるときに前記還元剤供給手段の還元剤供給及び前記昇温手段の燃焼用燃料供給の少なくとも一方の処理についてその開始を許可する一方、前記壁温が所定温度T5未満に低下したときに前記一方の処理を中断することをその要旨とする。
【0023】
上記壁温が還元剤や燃焼用燃料の気化を促す温度である場合には、上記壁面への還元剤や燃焼用燃料の付着は抑制される。そこで、上記構成では、壁温が所定温度T4以上であるときに還元剤供給及び燃焼用燃料供給の少なくとも一方の処理についてその開始を許可するようにしている。そのため、排気通路の壁面への還元剤付着や燃焼用燃料の付着を抑制することができるようになる。また、開始が許可された上記供給処理について、壁温が所定温度T5未満に低下したときにはその処理を中断させるようにしている。そのため、同供給処理の実行中に壁温が低下した場合においても、還元剤や燃焼用燃料が排気通路の壁面に付着することを確実に抑制することができるようになる。
【0024】
ここで、還元剤供給手段による還元剤の供給処理が中断される場合には、NOx浄化触媒に硫黄分が残留してしまう。そこで請求項7に記載の発明によるように、還元剤供給手段は前記NOx浄化触媒のS堆積量を機関運転状態に基づき推定してその推定されるS堆積量が所定量以上であることを条件に前記還元剤の供給を実行するものであり、且つ、前記一方の処理として同還元剤供給手段による還元剤の供給処理が中断される際には、同供給処理の実行時間に基づいて前記S堆積量についてその残存量を算出するとともに、これを同供給処理の中断後に前記NOx浄化触媒に堆積したと推定されるS堆積量に加算する、といった構成を採用することでNOx浄化触媒のS堆積量を正確に算出することができる。そのため、S堆積量に基づくS被毒回復処理の実行要否の判定に際して、その判定精度を向上させることができる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記壁温は機関運転状態に基づいて推定されることをその要旨とする。
【0026】
上記壁温は排気通路に温度センサ等を設けることにより検出することはできるものの、一般に内燃機関の排気通路にはこのようなセンサは設けられていない。そのため、新たにセンサを設ける必要があり、取付工程の増加や部品コストの上昇等を招いてしまう。ここで、排気通路の壁温は排気温度と相関関係にあり、この排気温度は機関運転状態に基づいて推定することができる。従って、上記構成によれば、内燃機関の排気通路に新たなセンサ等を設けることなく、上記壁温を把握することができるようになる。
【0027】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記内燃機関は排気圧によって駆動される過給機をその排気通路に備え、前記制限手段はこの過給機にあって前記排気通路を区画する部材の温度を前記排気通路の壁温として参照することをその要旨とする。
【0028】
過給機を通過する排気は、過給機を駆動させることで熱エネルギーが消費され、また過給機の構成部材に熱量を奪われて、その温度が低下する。そのため、場合によっては、排気通路の一部を構成する過給機の壁面の温度が排気通路を構成する排気管の壁温よりも低くなることがあり、この場合には過給機内の上記壁面に還元剤や燃焼用燃料が付着しやすくなる。また、過給機内で排気の流れ方向を大きく変更させる壁面には還元剤や燃焼用燃料が付着しやすい傾向にある。このように還元剤や燃焼用燃料が付着しやすい過給機にあって上記排気通路を区画する部材の温度を上記排気通路の壁温として参照する請求項9に記載の構成によれば、排気通路の壁面への還元剤付着や燃焼用燃料の付着をより好適に抑制することができるようになる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる内燃機関の排気浄化装置を自動車に搭載されたコモンレール式4気筒ディーゼルエンジンに具体化した一実施形態について図1〜図7に基づいて詳細に説明する。
【0030】
図1は、本実施形態にかかる内燃機関の排気浄化装置、これが適用されるエンジン1、並びにそれらの周辺構成を示す概略構成図である。
エンジン1には複数の気筒#1〜#4が設けられている。シリンダヘッド2には前記各気筒毎に燃料噴射弁4a〜4dが取り付けられている。これら燃料噴射弁4a〜4dは各気筒#1〜#4の気筒内に燃料を噴射する。また、シリンダヘッド2には、外気を気筒内に導入するための吸気ポートと燃焼ガスを気筒外へ排出するための排気ポート6a〜6dとが各気筒#1〜#4に対応して設けられている。
【0031】
燃料噴射弁4a〜4dは、高圧燃料を蓄圧するコモンレール9に接続されている。コモンレール9はサプライポンプ10に接続されている。サプライポンプ10は燃料タンク(図示略)内の燃料を吸入するとともにコモンレール9に高圧燃料を供給する。コモンレール9に供給された高圧燃料は、各燃料噴射弁4a〜4dの開弁時に同燃料噴射弁4a〜4dから気筒内に噴射される。
【0032】
吸気ポートにはインテークマニホールド7が接続されている。インテークマニホールド7は吸気通路3に接続されている。この吸気通路3内には吸入空気量を調整するためのスロットル弁16が設けられている。
【0033】
排気ポート6a〜6dにはエキゾーストマニホールド8が接続されている。このエキゾーストマニホールド8の排気下流側は後述するターボチャージャ11が接続されており、このターボチャージャ11の排気下流側には排気管26が接続されている。排気管26の途中には、排気中のNOxを浄化するためのNOx浄化触媒12が設置されている。このNOx浄化触媒12は、NOx吸蔵還元型触媒が担持された担体であり、排気の空燃比がリーンの場合には排気中のNOxを吸蔵し、同空燃比がリッチの場合には吸蔵したNOxを還元・放出する。
【0034】
この他、エンジン1にはEGR装置28が備えられている。このEGR装置28は、吸入空気に排気の一部を導入することで気筒内の燃焼温度を低下させてNOxの発生量を低減させる装置である。このEGR装置28は吸気通路3とエキゾーストマニホールド8とを連通するEGR通路13、同EGR通路13に設けられたEGR弁15、EGRクーラ14により構成されている。EGR弁15は制御装置25によりその開度が調整され、その結果、エキゾーストマニホールド8から吸気通路3に導入される排気の量(EGR量)が調整される。EGRクーラ14はEGR通路13内を流れる排気の温度を低下させる。
【0035】
また、エンジン1には、排気圧を利用して気筒に導入される吸入空気を過給するターボチャージャ(過給機)11が備えられている。このターボチャージャ11は、センタハウジング40、タービンハウジング42、コンプレッサハウジング41を備えている。タービンハウジング42の外周部に設けられる開口部には、エキゾーストマニホールド8が接続され、同タービンハウジング42の中心部に設けられる開口部には、排気管26が接続される。また、コンプレッサハウジング41の中心部に設けられる開口部には、エアクリーナ側の吸気通路3が接続され、同コンプレッサハウジング41の外周部に設けられる開口部には、燃焼室側の吸気通路3が接続されている。
【0036】
タービンハウジング42内には、エキゾーストマニホールド8から送り込まれる排気によって回転するタービンホイールが備えられている。また、コンプレッサハウジング41内には、吸気通路3内の空気を強制的に燃焼室へ送り込むコンプレッサホイールが備えられている。これらタービンホイールとコンプレッサホイールとは、ロータシャフトを介して一体回転可能に連結されている。そして、タービンホイールに排気が吹き付けられて同タービンホイールが回転するとコンプレッサホイールも回転し、吸気通路3内の空気が強制的に燃焼室に送り込まれる。
【0037】
また、コンプレッサハウジング41とスロットル弁16との間の吸気通路3には、このターボチャージャ11の過給により温度が上昇する吸入空気の温度を低下させるため、インタークーラ18が備えられている。
【0038】
エンジン1には、機関運転状態を検出するための各種センサが取り付けられている。例えば、エアフロメータ19は吸気通路3内の吸入空気量GAを検出する。スロットル開度センサ20はスロットル弁16の開度、すなわちスロットル開度TAを検出する。空燃比センサ21は排気の空燃比λを検出する。機関回転速度センサ22はクランクシャフトの回転速度、すなわち機関回転速度NEを検出する。アクセル開度センサ24はアクセルペダルの踏み込み量、すなわちアクセル開度ACCPを検出する。NOx浄化触媒12の排気下流側に設けられた排気温度センサ29は、NOx浄化触媒12の排気下流側の排気温度ETを検出する。
【0039】
これら各種センサの出力は制御装置25に入力される。この制御装置25は、中央処理制御装置(CPU)、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えたマイクロコンピュータを中心として構成されている。そして、この制御装置25により、例えば、燃料噴射弁4a〜4dの燃料噴射量制御や燃料噴射時期制御、サプライポンプ10の吐出圧力制御、スロットル弁16を開閉するアクチュエータ17の駆動量制御、EGR弁15の開度制御等、エンジン1の各種制御が行われる。
【0040】
他方、上記エキゾーストマニホールド8には、燃料をNOx浄化触媒12に供給するための噴射ノズル5が取り付けられている。この噴射ノズル5とサプライポンプ10とは燃料供給管27によって接続されており、燃料である軽油が供給されるようになっている。また、噴射ノズル5は燃料噴射弁4a〜4dと同様な構造を有しており、制御装置25によってその噴射量及び噴射時期は制御される。また、噴射ノズル5は、ターボチャージャ11よりも上流側に設けられており、高温の排気に燃料を添加することができるようになっている。このため、同噴射ノズル5から排気系に供給される燃料の温度を十分に上昇させることができ、ひいては後述するS被毒回復制御におけるNOx浄化触媒12の昇温についても十分に行うことができるようになっている。
【0041】
さて、上記NOx浄化触媒12はNOxだけではなく、燃料等に含まれる硫黄やその化合物も吸収してしまうことが知られている。そのため、NOx浄化触媒のS堆積量が増大すると吸蔵可能なNOx量が減少しNOx浄化機能が低下する、といったいわゆるS被毒によるNOx浄化触媒の機能低下現象が生じる。
【0042】
ここで、NOx浄化触媒12が600℃近い温度であって、かつ同触媒の周りの酸素濃度が低い還元雰囲気下では、NOx浄化触媒に堆積した硫黄分は還元された状態で放出される。すなわち上記条件下では、NOx浄化触媒12のS堆積量を減少させることができる。
【0043】
そこで本実施形態では、このようないわゆるS被毒回復を行うために、NOx浄化触媒12に還元剤、すなわちエンジン1の燃料を供給するようにしている。この燃料供給は、上述した噴射ノズル5からの燃料供給によって行われる。このように燃料がNOx浄化触媒12に供給されると、この燃料は硫黄分の還元反応に寄与する。また同燃料はNOx浄化触媒において燃焼され、その熱より同NOx浄化触媒12の温度は高められる。しかも燃料の燃焼によってNOx浄化触媒12の周りの酸素が消費され、NOx浄化触媒12の周りの酸素濃度も低くなるため、高温及び還元雰囲気といった条件が満たされてS被毒回復が行われる。
【0044】
ところで、上述したS被毒回復用の燃料供給処理の実行時には、エキゾーストマニホールド8、ターボチャージャ11、及び排気管26といった排気通路を介してNOx浄化触媒12に燃料が供給される。そのため、供給された燃料のうち、蒸発していない燃料や微粒化されていない燃料は、NOx浄化触媒12に到達する前に上記排気通路の壁面に付着してしまうおそれがある。
【0045】
特に、上記ターボチャージャ11のタービンハウジング42の壁面には燃料が付着しやすい。これは次の理由による。
すなわち、ターボチャージャ11を通過する排気は、同ターボチャージャ11を駆動させることで熱エネルギーが消費され、またターボチャージャ11の構成部材に熱量を奪われて、その温度が低下する。そのため、タービンハウジング42等の壁面に燃料が付着しやすくなる。また、ターボチャージャ11の内部、例えばタービンハウジング42内では排気の流れ方向が大きく変更されるため、このタービンハウジング42の壁面には燃料が付着しやすい傾向にある。
【0046】
このように排気系の壁面に燃料が付着すると、この付着した燃料は例えば車両の急発進や急加速といった排気流量や排気流速の増大時における排気の流勢によって霧化され、未燃状態の白煙として大気に排出されてしまうといった不具合が生じるおそれがある。ちなみに、機関冷間状態からの機関始動時などではNOx浄化触媒12の温度は低くなっている。このような状態で排気系の壁面に燃料が付着していると、排気によって燃料がNOx浄化触媒12に到達しても同NOx浄化触媒12上で燃料の消費(酸化)が行われないため、上記白煙はさらに発生しやすくなる。
【0047】
そこで本実施形態ではS被毒回復処理の実行に際し、排気通路の壁温に基づいてNOx浄化触媒12への燃料供給を制限する制限手段を備えるようにしている。より具体的には、排気通路の壁面、特に排気通路の一部であり、同排気通路を区画する部材であるタービンハウジング42の内壁(以下ターボ壁面という)の温度(以下ターボ壁温という)が所定温度以下の場合には、NOx浄化触媒12への燃料供給を禁止するようにしている。
【0048】
ここで、ターボ壁温はタービンハウジング42に温度センサ等を設けることにより検出することはできるものの、一般に内燃機関のターボチャージャ11にはこのようなセンサは設けられていない。そこで、本実施形態ではターボ壁温を機関運転状態から推定するようにしている。
【0049】
以下、本実施形態にかかる内燃機関の排気浄化装置によって実行されるS被毒回復制御について、図2〜図4を併せ参照し説明する。
図2、図3は、制御装置25によって実行されるS被毒回復制御の処理手順を示している。
【0050】
本処理が開始されると、まず、次式(1)に基づいてNOx浄化触媒12に堆積したS堆積量Sが算出される(S100)。
S堆積量S=S吸収量NS+S残存量RS … (1)
なお、S吸収量NSは、吸入空気量GA及び機関回転速度NE等から求められる排気流量、前回のS被毒回復が行われてからの経過時間、車両の走行距離、あるいはエンジン1の運転時間等に基づいて推定される値である。すなわち、前回のS被毒回復が行われてからNOx浄化触媒12に吸収された硫黄分の量のことである。また、S残存量RSは、後述するS230の処理で算出される値であって、前回のS被毒回復処理が終了された時点でNOx浄化触媒12に残留した硫黄分の量のことである。
【0051】
次に、ターボ壁温Tの推定を開始するか否かが判定される(S110)。ここでは、S堆積量Sが予めの実験等により求められている限界堆積量Smax以上である場合には肯定判定される。そしてS堆積量Sが限界堆積量Smaxよりも少なく、NOxをまだ十分に吸蔵できる場合には(S110でNO)、ターボ壁温Tの推定が開始されることなく、再びS堆積量Sの算出が行われる。
【0052】
一方、S堆積量Sが限界堆積量Smax以上である場合には(S110でYES)、NOx浄化触媒12がS被毒によってNOxを十分に吸蔵できないおそれがあり、S被毒回復処理を実行する必要がある。そこで、S被毒回復処理の実行に先立って、まず、NOx浄化触媒12への燃料供給を禁止するか否かの判断をするためのターボ壁温Tについて推定が開始される(S120)。なお、このターボ壁温Tの推定は本処理とは別の処理で行われ、その詳細については後述する。
【0053】
次に、別途実行されるターボ壁温Tの推定処理で推定されたターボ壁温Tが読み込まれ(S130)、S被毒回復処理を実行するか否か、すなわち燃料供給を禁止するか否かの判断がなされる(S140)。ここでは、S堆積量Sが上記限界堆積量Smax未満である、または推定されたターボ壁温Tが所定温度T2以下の場合に燃料供給の実行を禁止する旨の判定がなされる。
【0054】
ここで、本実施形態にかかるエンジン1において、噴射ノズル5からの燃料添加が実行されている期間のターボ壁温の最小値及び白煙の発生状況を図4に示す。なお、ここでは噴射ノズル5からの燃料添加が開始されたときのターボ入ガス温(ターボチャージャ11に流入する排気温度)、機関回転速度、機関負荷、及び燃料添加時間を種々変更している。この図4に示される白煙の発生状況から本発明者は、本実施形態におけるエンジン1の場合、ターボ壁温が120℃以上あれば白煙が発生しないことを確認した。すなわち、ターボ壁温が120℃以上あれば燃料の気化が促され、同壁面への燃料付着が抑えられることを見出した。そこで本実施形態では、燃料供給処理を制限するか否かの判断をするための上記所定温度T2を120℃に設定している。なお、この所定温度T2はターボ壁面への燃料付着を抑制することのできる温度を設定すればよく、何らこの値(120℃)に限定されるものではない。
【0055】
そして、ターボ壁温Tが所定温度T2以下である場合には(S140でNO)、燃料供給による壁面への燃料付着が起こるおそれがあるため、再びS100〜S140の処理が繰り返し実行され、S被毒回復処理の実行が保留される。すなわち実質的には、燃焼用燃料の供給を制限する制限処理が行われる。
【0056】
一方、ターボ壁温Tが所定温度T2よりも高い場合には(S140でYES)、燃料供給を行っても壁面への燃料付着が起きにくいため、S被毒回復処理の実行が許可される。
【0057】
ここで、S被毒回復処理における燃料供給によってNOx浄化触媒12が昇温されるとはいえ、燃料供給が行われてから実際にNOx浄化触媒12が昇温されるまでにはある程度の時間がかかる。そのため、燃料の供給直後にあってはS被毒回復が行われないおそれがある。そこで本実施形態ではS被毒回復用の燃料供給に先立って、NOx浄化触媒12を昇温させるための燃焼用燃料を同NOx浄化触媒12に供給するようにしている。この燃焼用燃料の供給処理により、S被毒回復に先立ってNOx浄化触媒12は昇温され、S被毒回復処理の実行後速やかにS被毒回復が行われるようになる。また、このようにNOx浄化触媒が予め昇温された状態からS被毒回復を開始するようにしているため、S被毒回復処理の実行に際して、NOx浄化触媒12の昇温に必要な燃料、すなわち還元剤の供給量を減少させることができ、これによりターボ壁面に付着する還元剤の量を減量させることができる。
【0058】
そこで、先のS140で肯定判定された場合、すなわちターボ壁温Tが所定温度T2よりも高い場合には(S140でYES)、この昇温処理が実行される(S150)。この昇温処理では、噴射ノズル5から燃料が噴射され、この噴射された燃料はNOx浄化触媒12上で燃焼されることにより、同NOx浄化触媒12は昇温される。この昇温処理における燃焼用燃料の供給処理は上記昇温手段を構成する。
【0059】
なお、この昇温処理では、燃焼用燃料の供給によってNOx浄化触媒12を昇温させるようにしているが、この処理が行われるときには、先のS140での判定でターボ壁温Tは所定温度T2よりも高いことが確認されている。そのため、昇温処理での燃焼用燃料供給による壁面への燃料付着は抑制される。
【0060】
次に昇温処理が終了したか否かが判定される(S160)。この判定は、NOx浄化触媒12の温度が所定期間継続して所定温度T3以上に維持されたか否かに基づいて行われる。なお、NOx浄化触媒12の温度は排気温度ETから推定している。また所定温度T3としては、この後実行されるS被毒回復を速やかに行うことのできる温度が設定されており、所定期間としてはNOx浄化触媒12全体の温度を所定温度T3にすることのできる時間が設定されている。
【0061】
そして、昇温処理がまだ終了していない場合には(S160でNO)、昇温処理の終了判定がなされるまで、S150及びS160の処理が繰り返し実行される。
【0062】
一方、昇温処理が終了した場合には(S160でYES)、十分にNOx浄化触媒12が昇温されており、速やかにS被毒回復を行うことができるため、S被毒回復処理が実行される(図3のS170)。このS被毒回復処理が実行されると、噴射ノズル5から燃料が噴射され、NOx浄化触媒12に還元剤である燃料が供給される。このようにNOx浄化触媒12に還元剤が供給されると、上述したようにNOx浄化触媒12に堆積した硫黄分は還元された状態で放出される。また、S被毒回復処理の実行時には、スロットル弁16が閉じ側に制御される。これにより排気中の酸素濃度を低下させ、硫黄分の還元・放出をより促進させるようにしている。なお、このS被毒回復処理における還元剤の供給処理は上記還元剤供給手段を構成する。
【0063】
次に、ターボ壁温Tが読み込まれ(図3のS180)、ターボ壁温Tが所定温度T1以下であるか否かが判定される(図3のS190)。なお、この所定温度T1は上記所定温度T2と同一の値が設定されている。そして、ターボ壁温Tが所定温度T1以下である旨の判定がなされると(図3のS190でYES)、ターボ壁面に燃料が付着するおそれがあるため、噴射ノズル5からの燃料供給が禁止される。換言すれば、S被毒回復処理が中断され(図3のS200)、還元剤の供給を制限する制限処理が行われる。
【0064】
ここで、S被毒回復用の燃料供給処理が中断されると、NOx浄化触媒12に堆積した硫黄分が十分に還元・放出される前に燃料供給が禁止されてしまう。そこで、次にNOx浄化触媒12に残存している硫黄分の量であるS残存量RSが算出され(図3のS210)、この算出結果は制御装置25内のRAMに記憶される。なお、このS残存量RSはS被毒回復処理の実行時間(噴射ノズル5による還元剤供給の実行時間)が長くなるほど少なくなるため、同実行時間に基づいて推定することができる。そして、別途実行されているターボ壁温Tの推定処理を終了させて(図3のS240)、本処理は終了される。
【0065】
他方、先のS190において、ターボ壁温Tが所定温度T1よりも高い旨の判定がなされた場合には(S190でNO)、S被毒回復処理が終了したか否かが判定される(図3のS220)。ここでは、S被毒回復が十分なされたと推定できる時間以上、噴射ノズル5からの燃料噴射が実行され、同噴射ノズル5からの燃料噴射が終了されているときに肯定判定される。そして、S被毒回復処理が終了されていない場合には(S220でNO)、S被毒回復処理の終了判定がなされるまで、S170〜S190及びS220の処理が繰り返し実行される。
【0066】
一方、S被毒回復処理が終了されている場合には(S220でYES)、S残存量RSが「0」にリセットされ(図3のS230)、別途実行されているターボ壁温Tの推定処理を終了させて(図3のS240)、本処理は終了される。
【0067】
次に上記ターボ壁温Tの推定について、図5〜図7を併せ参照して説明する。
本実施形態では、ターボ壁温Tを機関運転状態、より具体的には燃料噴射量と機関回転速度とに基づいて推定するようにしている。これは、燃料噴射量が増大するほど排気温度が上昇し、ターボ壁温も高くなるといった傾向があるためである。また、機関回転速度が増大すると排気流量が増大し、排気からターボ壁面に移動する熱量も増大するため、ターボ壁温は高くなるといった傾向があるためである。こうした理由により、機関運転の定常状態がある時間以上継続されていれば、排気からターボ壁面への熱伝達が十分に行われているため、そのときの機関運転状態に基づいてターボ壁温Tを推定することができる。
【0068】
ここで図5に示すように、機関運転状態が定常状態Aから別の定常状態Bに変化した場合には(時刻tα)、定常状態Aでの機関運転状態に基づいて推定されるターボ壁温aは、定常状態Bでの機関運転状態に基づいて推定されるターボ壁温b(一点鎖線)に直ちに変更される。一方、排気からターボ壁面への熱伝達にはある程度の時間を要する。そのため、実際のターボ壁温Tは、実線で示されるようにターボ壁温aからターボ壁温bに向けて徐々に変化していく。すなわち機関運転状態の変化に対してターボ壁温の変化は遅れてしまう。そのため、機関運転状態が変化してからしばらくの間は、燃料噴射量と機関回転速度とに基づいてターボ壁温を推定してもその推定精度は低下してしまう。そこで、本実施形態では、機関運転状態が変化した場合のターボ壁温を精度よく推定するために、後述する一次遅れモデル式を用いてターボ壁温Tを算出するようにしている。
【0069】
図6はターボ壁温Tの推定にかかる処理手順を示しており、先の図2におけるS110で肯定判定されると、制御装置25によって所定時間毎に繰り返し実行される。
【0070】
本処理が開始されると、まず、燃料噴射量Qと機関回転速度NEとが読み込まれる(S300)。なお、燃料噴射量Qはアクセル開度ACCP及び機関回転速度NE等に基づいて別途算出されている。
【0071】
次に、燃料噴射量Q及び機関回転速度NEに基づき図7に示すターボ壁温推定マップを参照して、定常運転時のターボ壁温TMが推定される(S310)。このターボ壁温推定マップは、燃料噴射量Qが増大するほど、あるいは機関回転速度NEが増大するほど算出されるターボ壁温TMも大きくなるように設定されている。
【0072】
次に、次式(2)に基づいてターボ壁温Tが算出される(S320)。
T=(TMn−1−TM)×e^(−t/τ)+TM … (2)
なお、ターボ壁温TMn−1はターボ壁温推定マップに基づいて前回推定されたターボ壁温であり、ターボ壁温TMは同マップに基づいて今回推定されたターボ壁温である。また経過時間tは、機関運転状態が変化してから現在までの経過時間を示しており、先の図5においては時刻tαからの経過時間tを示す。そして、時定数τは、機関運転状態の変化によって排気温度や排気流量が変化してからターボ壁温が変化するまでの応答遅れが反映された値であり、予めの実験等により最適な値が設定されている。また、「e」は自然対数の底であり、その値は「e=2.7182…」となる無理数である。すなわち、この式(2)は、機関運転状態がある定常状態から別の定常状態に変化した場合のターボ壁温の推移を推定する一次遅れモデル式になっている。なお、この式(2)から分かるように経過時間tが長くなるほど、「(TMn−1−TM)×e^(−t/τ)」の値は小さくなる。すなわち、先の図5に示すように、時刻tαで機関運転状態が変化してからの経過時間tが長くなるほど、ターボ壁温Tは前回推定されたターボ壁温TMn−1から今回推定されたターボ壁温TMに近づいていく。
【0073】
こうしてターボ壁温Tの算出が行われると本処理は終了される。そして、所定時間毎に上記一連の推定処理が行われ、ターボ壁温Tは更新される。このターボ壁温推定処理により、先の図5に示した実際のターボ壁温(実線)を近似した値が算出され、機関運転状態が変化した後のターボ壁温Tを精度よく推定することができる。
【0074】
以上説明したように、本実施形態によれば次のような効果が得られるようになる。
(1)S被毒回復用の還元剤供給に際し、排気通路を区画する部材であって、特に燃料付着が生じやすいタービンハウジング42の壁面について、その温度(ターボ壁温T)が所定温度T1以下のときには還元剤の供給を制限するようにしている。そのため、還元剤供給に際して、ターボ壁面への還元剤付着を抑えることができるようになり、ひいては上記白煙の発生も好適に抑えることができるようになる。
【0075】
(2)S被毒回復処理の実行中にターボ壁温Tが所定温度T1以下になったときに、還元剤供給を中断するようにしている。すなわち、S被毒回復処理の実行中にターボ壁温Tを監視するようにしているため、還元剤供給処理の実行中にターボ壁温Tが低下し、ターボ壁面に燃料が付着してしまうような状態になった場合でも、ターボ壁面への燃料付着を確実に抑制することができるようになる。
【0076】
(3)このように還元剤供給処理の実行が中断される場合には、NOx浄化触媒12に硫黄分が残留してしまう。そこで上記実施形態では、S被毒回復用の還元剤供給が中断される場合には、NOx浄化触媒12に残存する硫黄分の量を算出し、この算出されたS残存量を、NOx浄化触媒12に堆積したS堆積量の算出に際して加算するようにしている。そのため、S被毒回復処理が中断された場合でもS堆積量Sを正確に算出することができ、もってS被毒回復処理の実行要求にかかる判定精度を向上させることができるようになる。
【0077】
(4)S被毒回復用の還元剤供給に先立って、NOx浄化触媒12に昇温用の燃焼用燃料を供給するようにしている。そのため、NOx浄化触媒12の温度が十分に高められた状態でS被毒回復処理を行うことができ、同S被毒回復処理の実行直後から確実にS被毒回復を行うことができるようになる。また、このように予めNOx浄化触媒12が昇温された状態からS被毒回復が開始されるため、S被毒回復中の還元剤供給量についてもその量を減少させることができ、これによりターボ壁面に付着する還元剤の量を減量させることができるようになる。
【0078】
(5)また上記昇温処理を、NOx浄化触媒12の温度が所定期間継続して所定温度T3以上に維持されるまで実行するようにしている。従ってNOx浄化触媒12全体の温度を確実に昇温させることができる。そのため、S被毒回復を確実に行うことができるようになり、ひいてはS被毒回復中の還元剤供給量についてもその量を確実に減少させることができ、上記(3)に記載の効果を確実に得ることができるようになる。
【0079】
(6)更に、上記昇温処理の実行に際して、ターボ壁温が所定温度T2以下のときには燃焼用燃料の供給を制限するようにしている。そのため燃焼用燃料の供給に起因する、ターボ壁面への燃焼用燃料の付着を抑えることができるようになる。
【0080】
(7)上記制限処理による制限態様として、燃焼用燃料の供給や還元剤供給を禁止するようにしている。そのためターボ壁面への還元剤付着や燃焼用燃料の付着を確実に抑えることができるようになる。
【0081】
(8)燃料噴射量Q及び機関回転速度NEといった機関運転状態に基づいてターボ壁温Tを推定するようにしている。また、上記一次遅れモデル式を用いて機関運転状態が変化した後のターボ壁温Tも精度よく推定するようにしている。そのため、ターボ壁面に新たなセンサ等を設けることなく、ターボ壁温Tを把握することができるようになる。
【0082】
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記昇温処理における所定温度T2とS被毒回復処理における所定温度T1とを互いに異ならせてもよい。例えば実験等により各所定温度T1、T2をそれぞれ異なる好適な値に設定してもよい。
【0083】
・上記実施形態では、還元剤の供給を制限する制限処理をS被毒回復処理の実行中、すなわち還元剤の供給が行われているときに実行するようにしたが、S堆積量Sが限界堆積量Smax以上である旨の判定がなされた後であれば、いつ実行してもよい。例えば、先の図3におけるS170の処理に先立って、図8に示すS400、及びS410の処理を追加するようにしてもよい。すなわち、S被毒回復処理の実行に先立って、ターボ壁温Tを読み込み(S400)、ターボ壁温Tが所定温度T1以下であるか否かを判定する(S410)。そして、ターボ壁温Tが所定温度T1以下である場合には(S410でYES)、図3に示したS200以降の処理を実行する。一方、ターボ壁温Tが所定温度T1よりも高い場合には(S410でNO)、図3に示したS170以降の処理を実行する。この場合にも上記実施形態と同様な効果を得ることができる。なお、この場合にはS被毒回復処理の実行中に行われる制限処理を省略してもよい。
【0084】
・また、ターボ壁温Tが所定温度T4以上であるときに還元剤供給の処理についてその開始を許可する一方、ターボ壁温Tが所定温度T5未満に低下したときに還元剤供給の処理を中断するようにしてもよい。なお、このときの所定温度T4及び所定温度T5は上記所定温度T1と同一の値でもよく、また、例えば実験等により各所定温度T4、T5をそれぞれ異なる好適な値に設定してもよい。この場合にも、ターボ壁温Tが所定温度T4以上であるときに還元剤供給の処理についてその開始が許可されるため、ターボ壁面への還元剤付着を抑制することができるようになる。また、開始が許可された還元剤供給処理について、ターボ壁温Tが所定温度T5未満に低下したときにはその処理が中断されるため、同供給処理の実行中にターボ壁温Tが低下した場合においても、還元剤がターボ壁面に付着することを確実に抑制することができるようになる。
【0085】
・上記実施形態では、燃焼用燃料の供給を制限する制限処理を昇温処理の実行前に行うようにしたが、昇温処理の実行中、すなわち燃焼用燃料の供給が行われているときに同制限処理を実行するようにしてもよい。この場合には、昇温処理の実行中にあって、ターボ壁温Tが低下したときでも、ターボ壁面への燃焼用燃料の付着を抑制することができる。なお、この場合には昇温処理の実行前に行われる制限処理を省略してもよい。
【0086】
・また、ターボ壁温Tが所定温度T4以上であるときに燃焼用燃料の供給処理についてその開始を許可する一方、ターボ壁温Tが所定温度T5未満に低下したときに燃焼用燃料の供給処理を中断するようにしてもよい。なお、このときの所定温度T4及び所定温度T5は上記所定温度T2と同一の値でもよく、また、例えば実験等により各所定温度T4、T5をそれぞれ異なる好適な値に設定してもよい。この場合にも、ターボ壁温Tが所定温度T4以上であるときに燃焼用燃料の供給処理についてその開始が許可されるため、ターボ壁面への燃焼用燃料の付着を抑制することができるようになる。また、開始が許可された燃焼用燃料の供給処理について、ターボ壁温Tが所定温度T5未満に低下したときにはその処理が中断されるため、同供給処理の実行中にターボ壁温Tが低下した場合においても、燃焼用燃料がターボ壁面に付着することを確実に抑制することができるようになる。
【0087】
・上記制限処理として燃焼用燃料の供給及び還元剤の供給を禁止するようにしたが、少なくともいずれか一方の供給についてその実行を禁止するようにしてもよい。この場合にも上記実施形態に準ずる作用効果を得ることができる。
【0088】
・上記制限処理における制限態様として、燃焼用燃料の供給量や還元剤の供給量を減量するようにしてもよい。この場合にも上記実施形態に準ずる作用効果を得ることができる。
【0089】
・S被毒回復処理で実行される還元剤供給によって、NOx浄化触媒12を速やかに昇温させることができる場合には、上記昇温処理(S150及びS160の処理)を省略してもよい。
【0090】
・上記実施形態ではターボ壁温Tを推定するようにしたが、上記ターボ壁面に温度センサなどの温度検出素子を取り付けて、実際のターボ壁温を検出するようにしてもよい。また、タービンハウジング42の内壁の温度とその外壁の温度とは相関関係にあるため、タービンハウジング42の外壁の温度を推定する、或いは検出し、それらの値を排気通路の壁温として参照するようにしてもよい。
【0091】
・上記実施形態ではターボ壁面の温度を推定するようにしたが、排気通路にあって壁温を推定する部分は任意に選択することができる。なお、燃料付着が生じやすい部分の壁温を推定するようにすれば、上記白煙の発生を好適に抑えることができる。
【0092】
・上記実施形態では、燃料噴射量Qと機関回転速度NEとに基づいてターボ壁温Tを推定するようにした。ここで、機関負荷が増大すると排気温度は高くなる傾向にあるため、機関負荷と相関関係にある他のパラメータ、例えばアクセル開度ACCP等を用いてターボ壁温Tを推定するようにしてもよい。
【0093】
・上記実施形態におけるNOx浄化触媒は、NOx吸蔵還元型触媒であった。この他にも、還元剤が供給されるNOx浄化触媒、例えばNOx選択還元型触媒等のNOx浄化触媒であっても、本発明は同様に適用することができる。
【0094】
・上記実施形態において、噴射ノズル5から噴射される還元剤は内燃機関用の燃料であったが、S被毒回復に寄与する還元剤であればどのようなものでもよい。この場合にも、上記実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0095】
・上記実施形態における内燃機関はディーゼルエンジンであった。しかし、NOx浄化触媒が担持された担体を備え、同担体に対して燃料等の還元剤を供給する機関であれば上記実施形態は適用可能であり、この場合にも上記実施形態と同等な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態にかかる排気浄化装置が適用される内燃機関、並びにその周辺構成を示す概略構成図。
【図2】同実施形態によるS被毒回復制御の処理手順を示すフローチャート。
【図3】同実施形態によるS被毒回復制御の処理手順を示すフローチャート。
【図4】種々の条件におけるターボ壁温の最小値及び白煙の発生状況を示す説明図。
【図5】機関運転状態が変化したときのターボ壁温の推移を例示するタイミングチャート。
【図6】上記実施形態によるターボ壁温推定処理の手順を示すフローチャート。
【図7】同実施形態において、ターボ壁温を算出するためのマップ構造を示す図。
【図8】上記実施形態の変形例におけるS被毒回復制御の処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…エンジン、2…シリンダヘッド、3…吸気通路、4a〜4d…燃料噴射弁、5…噴射ノズル、6a〜6d…排気ポート、7…インテークマニホールド、8…エキゾーストマニホールド、9…コモンレール、10…サプライポンプ、11…ターボチャージャ、12…NOx浄化触媒、13…EGR通路、14…EGRクーラ、15…EGR弁、16…スロットル弁、17…アクチュエータ、18…インタークーラ、19…エアフロメータ、20…スロットル開度センサ、21…空燃比センサ、22…機関回転速度センサ、24…アクセル開度センサ、25…制御装置、26…排気管、27…燃料供給管、28…EGR装置、29…排気温度センサ、40…センタハウジング、41…コンプレッサハウジング、42…タービンハウジング、#1…第1気筒、#2…第2気筒、#3…第3気筒、#4…第4気筒。

Claims (9)

  1. 排気通路に配設されたNOx浄化触媒と、同NOx浄化触媒にS被毒回復用の還元剤を供給する還元剤供給手段とを備える内燃機関の排気浄化装置において、
    前記排気通路の壁温が所定温度T1以下であるときに前記還元剤供給手段による還元剤の供給を制限する制限処理を実行する制限手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記還元剤供給手段による還元剤の供給に先だって、燃焼用燃料を前記NOx浄化触媒に供給してこれを昇温する昇温手段を更に備える
    請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記制限手段は前記排気通路の壁温が所定温度T2以下であるときに前記昇温手段による燃焼用燃料の供給を制限する処理を前記制限処理として含む
    請求項2記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記昇温手段は前記NOx浄化触媒の温度が所定期間継続して所定温度T3以上に維持されるまで前記昇温の処理を実行する
    請求項2または3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 前記制限手段は前記還元剤供給手段による還元剤の供給及び前記昇温手段による燃焼用燃料の供給の少なくとも一方についてその実行を禁止する処理を前記制限処理として実行する
    請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 前記制限手段は前記壁温が所定温度T4以上であるときに前記還元剤供給手段の還元剤供給及び前記昇温手段の燃焼用燃料供給の少なくとも一方の処理についてその開始を許可する一方、前記壁温が所定温度T5未満に低下したときに前記一方の処理を中断する
    請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  7. 還元剤供給手段は前記NOx浄化触媒のS堆積量を機関運転状態に基づき推定してその推定されるS堆積量が所定量以上であることを条件に前記還元剤の供給を実行するものであり、且つ、前記一方の処理として同還元剤供給手段による還元剤の供給処理が中断される際には、同供給処理の実行時間に基づいて前記S堆積量についてその残存量を算出するとともに、これを同供給処理の中断後に前記NOx浄化触媒に堆積したと推定されるS堆積量に加算する
    請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  8. 前記壁温は機関運転状態に基づいて推定される
    請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置において、
    前記内燃機関は排気圧によって駆動される過給機をその排気通路に備え、
    前記制限手段はこの過給機にあって前記排気通路を区画する部材の温度を前記排気通路の壁温として参照する
    ことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
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