JP2004339775A - 弾性舗装体の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ファイバー状ゴム(ひじき状ゴム)による特に車両走行路に好適な弾性舗装体を現場施工により構築可能とする。
【解決手段】ファイバー状ゴム31を主材とする骨材に所定のバインダー33を混合して弾性舗装合材30を得るブレンド工程と、所定の下地上2において弾性舗装合材30を未硬化の状態で目標施工層厚よりも3〜100mm厚い厚さに暫定的に均す第1均し工程と、暫定的に均された弾性舗装合材30を目標施工層厚以上でスクリードの進行方向前方端の高さを超えない厚さ範囲内にまで押圧する押圧工程と、押圧された弾性舗装合材30をスクリード44にて目標施工層厚に仕上げる第2均し工程とを実施する。
【選択図】 図2
【解決手段】ファイバー状ゴム31を主材とする骨材に所定のバインダー33を混合して弾性舗装合材30を得るブレンド工程と、所定の下地上2において弾性舗装合材30を未硬化の状態で目標施工層厚よりも3〜100mm厚い厚さに暫定的に均す第1均し工程と、暫定的に均された弾性舗装合材30を目標施工層厚以上でスクリードの進行方向前方端の高さを超えない厚さ範囲内にまで押圧する押圧工程と、押圧された弾性舗装合材30をスクリード44にて目標施工層厚に仕上げる第2均し工程とを実施する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴムを主材とする弾性舗装体の施工方法に関し、さらに詳しく言えば、特に車両通行路として好適な静粛性および耐スリップ性に富むファイバー状ゴムを骨材に用いた弾性舗装体の現場施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴムチップなどの軟質骨材を主材とする弾性舗装体は、その骨材間に空隙を有する多孔質構造であるため、歩行感の良さや転倒時に対する安全性が高く、しかも排水性に優れていることから、歩道や競技場用の舗装路面として好ましく採用されているが、近年においては、車両通行路を視野に入れた用途開発が行われている。
【0003】
とりわけ、その軟質骨材としてファイバー状ゴム(別名:ひじき状ゴム,撚糸ゴムと呼ばれるゴム片)を用いた場合には、静粛性のみならず降雨などによる路面の湿潤時における耐スリップ性が大幅に向上することが知られている。
【0004】
しかしながら、実用化するにあたって種々検討した結果、ファイバー状ゴムは、その形状がひじきのように複雑で、かつ、いびつな形状であるため、バインダーとの混合・攪拌が難しく混合状態が不均一になりやすいということが判明した。
【0005】
そこで、本出願人はその問題を解決する方法として、下記の特許文献1において、ファイバー状ゴムにモース硬度が7以上であり、かつ、平均粒径が1000μm以下の硬質骨材を、ファイバー状ゴム100重量%に対して5重量%以上の割合で配合してバインダーで結合することを提案している。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−74007号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これによれば、ファイバー状ゴムの間に粒状の硬質骨材が入り込んで、いわゆる「コロ」の役割を果たすことで、ファイバー状ゴムの攪拌性および混合性が良好になり、バインダーでほぼ均一に結合されたファイバー状ゴムの合材(以下、ひじき状ゴム合材ともいう)が得られるが、現場施工で下地面上に敷き均す際に次のような問題がある。
【0008】
現場施工で舗装材を敷き均すには、通常、スクリードを有するアスファルトフィニッシャーやチップ状ゴムの施工機などが用いられるが、舗装材がひじき状ゴム合材である場合には平坦に敷き均すことができない。
【0009】
すなわち、スクリードで敷き均す場合、下地面上に舗装材を多少多めに散布しておき、その余剰分をスクリードで掻き取って平坦に仕上げるため、スクリードの進行方向前方には常に舗装材の山ができる。ひじき状ゴム合材の場合、その山ができた状態で強引にスクリードを動かすと、その形状が複雑であるため表面に波目状の引きずり痕が生じて、きれいな施工面が得られない。
【0010】
この点を解決するため、本発明者らは種々検討した結果、ひじき状ゴム合材の層厚をあらかじめ手作業もしくはスクリューなどの機械作業でスクリードの高さに揃えるように均して置き、その後にスクリードを通過させればきれいな舗装面が得られることを見いだした。
【0011】
しかしながら、ひじき状ゴム合材の層厚をあらかじめスクリードの高さに揃えるように均す場合、その均し面がスクリードの高さよりも少しでも低いと舗装面に穴(凹み)があいた状態となる。
【0012】
かといって多めに均すと、上記したようにスクリードの進行方向前方に山ができ、舗装面にそれによる引きずり痕が生じてしまう。このように、この事前の均し作業にはかなりの面精度が要求されるため小規模舗装はともかくとして、車両走行路などの広い施工面を対象とする場合には実用化が難しい。
【0013】
したがって、本発明の課題は、ひじき状ゴム合材をアスファルトフィニッシャーやチップ状ゴムの施工機などに備えられているスクリードによってきれいに敷き均すことができるようにし、特に車両走行路などの広い施工面をひじき状ゴム合材によって舗装可能とする弾性舗装体の施工技術を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、スクリードによる舗装材の均し工程を含む弾性舗装体の施工方法において、ファイバー状ゴムを主材とする骨材に所定のバインダーを混合して弾性舗装合材を得るブレンド工程と、所定の下地上において上記弾性舗装合材を未硬化の状態で目標施工層厚よりも3〜100mm厚い厚さに暫定的に均す第1均し工程と、上記暫定的に均された弾性舗装合材を、上記目標施工層厚以上で上記スクリードの進行方向前方端の高さを超えない厚さ範囲内にまで所定の押圧手段にて押圧する押圧工程と、上記押圧された弾性舗装合材をスクリードにて上記目標施工層厚に仕上げる第2均し工程とを含むことを特徴としている。
【0015】
このように、下地上にファイバー状ゴムを含む弾性舗装合材(ひじき状ゴム合材)を多少多めに投入して目標施工層厚よりも3〜100mm厚い厚さに暫定的に均した後、その弾性舗装合材を例えばローラにて目標施工層厚以上でスクリードの進行方向前方端の高さを超えない厚さ範囲内にまで所定の押圧手段にて押圧してから、スクリードにて目標施工層厚に仕上げるようにしたことにより、引きずり痕や凹みのない安定したひじき状ゴム合材による舗装面を得ることができる。
【0016】
なお、このスクリードによる仕上げ層は、特に車両走行路用の場合、その後に例えば1トン程度のアスファルト用ロードローラにて本格的に転圧(圧縮)されるが、本発明における目標施工層厚とは、スクリードにより仕上げられる層の厚さであり、本格的に圧縮された層の厚さではない。また、スクリードの進行方向の前端とは、スクリードの押圧面の前端であり、その高さを超えない厚さとしては、目標施工面厚と同厚の場合も含まれる。
【0017】
上記第1均し工程において、弾性舗装合材を目標施工層厚+3mm未満の層厚とした場合には、舗装面に生じた穴(凹み)の塞がりが不十分となるおそれがあるため好ましくない。他方において、弾性舗装合材を目標施工層厚+100mm超の層厚とした場合には、弾性舗装合材の量が多くなり過ぎ、ローラーで転圧しきれないため、スクリードの前方に山ができ、引きずり痕を生じる原因となるおそれあるため好ましくない。本発明において、弾性舗装合材のより好ましい層厚は目標施工層厚+20〜50mmの範囲内である。
【0018】
上記押圧工程において、弾性舗装合材を目標施工層厚+30mm超の層厚に押圧した場合には、上記第2均し工程においてスクリードの進行方向前方にできる山が大きくなり、上記した波目状の引きずり痕が発生することがあるので好ましくない。本発明において、上記押圧工程で得る弾性舗装合材の好ましい層厚は目標施工層厚と同厚である。
【0019】
また、上記第2均し工程において、上記スクリードにより弾性舗装合材を目標施工層厚に仕上げる際、スクリードは下地と平行にしてもよいが、スクリードの進行方向前方端の高さを後方端よりも高くし、スクリードの押圧面を傾斜させた状態とすることが好ましい。
【0020】
これによれば、スクリードの進行方向前方に弾性舗装合材の山ができたとしても、その山がスクリードの傾斜面に沿ってスクリードの後方に押し込まれることになるため、引きずり痕の発生をより効果的に抑えることができる。
【0021】
この場合、上記スクリードの進行方向前方端の高さが後方端よりも1〜30mm高くなるようにスクリードの押圧面を傾斜させることが好ましい。すなわち、スクリードの進行方向前方端の高さを後方端よりも30mmを超える高さとすると、スクリードの傾斜がきつくなりすぎるため、弾性舗装合材の押し下げ作用が低下するばかりでなく、かえって弾性舗装合材の山ができやすくなるので好ましくない。
【0022】
なお、本発明において、スクリードとは舗装材の敷き均しに用いられる定規板であり、スキージや鏝板などと呼ばれるものも含まれる。通常は平板状のものが用いられるが、下地側に向けて突状に湾曲している板であってもよい。また、上記押圧工程で用いる押圧手段には転圧ローラが好ましく採用されるが、ランマーのような突き固め装置を用いることもできる。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
まず図1に、本発明の施工方法にて得ようとする弾性舗装体3の断面図を模式的に示す。この例において、弾性舗装体3は路盤1上に構築された下地層2上に形成されている。
【0025】
下地層2は、例えばアスファルト/コンクリート,砕石,モルタル,半たわみ舗装,簡易安定化処理層などであってよく、必ずしも高度に安定化された処理層である必要はないが、少なくとも表面が一様に安定化された面であることが好ましい。なお、この例とは異なり、路盤1の表面が一様に安定化された面であれば、下地層2を設けずに路盤1に対して弾性舗装体3を直接構築してもよい。
【0026】
弾性舗装体3は、軟質骨材31と硬質骨材32とをバインダーによって結合してなる弾性舗装合材30により形成される。軟質骨材31は、その全部がファイバー状ゴム(ひじき状ゴム)であってもよく、また、過半量(50重量部以上)がファイバー状ゴムで、残りがゴムチップであってもよい。
【0027】
軟質骨材31としては、天然ゴム,SBR,NBR,EDPM,BR,CRなどの各種ゴム材料の単体物もしくは混合物、またはこれらゴム材料で被覆された骨材,ウレタンなどの各種エラストマーなど基本的にゴム弾性を有するものであれば適用可能である。
【0028】
ひじき状ゴムとしては、廃棄物の再利用の観点から、更正タイヤを製造する際に出るトレッドゴムの削りカスを用いることが推奨され、車両走行路用途に適したサイズは、一例として長さが5〜30mm(特には7〜20mm)で、断面径が0.3〜3mm(特には0.5〜2mm)のものが好ましい。
【0029】
硬質骨材32としては、プラスチック粉砕物,珪砂,砥粒,金属粉または各種セラミック類などを例示することができ、その粒径(平均粒径)は0.1〜10mmの範囲内で、好ましくは0.2〜5mm,より好ましくは0.3〜1mmのものを採用するとよい。軟質骨材31(100重量部)に対する硬質骨材32の配合比率は0〜200重量部の範囲内で適宜選択されてよい。このように0重量部を含むため、本発明において硬質骨材32は必須要件ではない。
【0030】
バインダーには、熱硬化性バインダー単独、もしくは熱硬化性バインダーと熱可塑性バインダーの混合物で熱可塑性バインダーの融点が120℃以上のものを10〜100重量部含む混合バインダーを使用することができる。さらに、老化防止剤,紫外線吸収剤,光安定剤,カーボンブラック,ウレタン硬化触媒促進剤などを添加してもよい。
【0031】
次に、上記弾性舗装体3の本発明による施工方法について説明する。本発明の施工方法は、施工現場で軟質骨材31,硬質骨材32およびバインダーを混合して弾性舗装合材30を調製し、それを下地層2上に敷き均して転圧するいわゆる現場施工方式で行われる。以下、図2を参照して、その施工手順の一例について順を追って説明する。
【0032】
まず、図2(a)に示すように、ひじき状ゴムを過半量含む軟質骨材31と硬質骨材32とを所定の配合比で配合した骨材と、少なくともこの骨材を結合するに足りるバインダー33とを攪拌機40に投入し混合して、弾性舗装合材30を調製する(ブレンド工程)。
【0033】
攪拌機40はエンジン式,モータ式などを問わず、いわゆるモルタルミキサーのような攪拌容器内で攪拌羽根を回して混合するものであればよく、これ以外にも骨材とバインダーとを確実にブレンド可能なものであれば適宜採用できる。
【0034】
次に、図2(b)に示すように、先のブレンド工程によって調製された弾性舗装合材30を未硬化の状態で下地層2上に散布し、例えばスキージ41を使って目標施工層厚よりも3〜100mm厚い厚さとなるように暫定的に敷き均す(第1均し工程)。なお、目標施工層厚とは、後の工程でスクリードによって仕上げられる層の厚さである。
【0035】
弾性舗装合材3を上記の厚さに均すには、例えば下地層2上に目標施工層厚よりも3〜100mm高い高さを有する図示しない2本のガイドレールを平行に並べ、その間に弾性舗装合材30を散布し、スキージ41を各ガイドレールの天端に沿って移動させて余剰分を掻き取ればよい。なお、この第1均し工程は暫定的なものであるため、その均し面に多少の引きずり痕ができてもよい。
【0036】
次に、図2(c)に示すように、弾性舗装合材30を所定の押圧手段によって目標施工層厚と同厚もしくはそれよりも30mm厚い厚さ範囲内にまで圧縮する(押圧工程)。押圧手段としては転圧ローラ42が好ましいが、ランマーのような突き固め装置を用いてもよい。なお、この押圧(圧縮)作業はバインダーが硬化する前であれば、必要に応じて何度行ってもよい。
【0037】
また、弾性舗装合材30を目標施工層厚よりも+0〜+30mm厚い厚さにまで圧縮するにあたっては、上記第1均し工程と同じく、下地層2上に目標施工層厚と同じ高さもしくはそれよりも30mm高い範囲内で所望とする高さを有する図示しない2本のガイドレールを平行に並べ、そのガイドレールの天端に沿って転圧ローラ42を移動させる方法が好適である。
【0038】
最後に、図3(d)に示すように、スクリード44を有する仕上げ施工機43にて弾性舗装合材30を目標施工層厚に仕上げて弾性舗装体3を得る(第2均し工程)。仕上げ施工機43としては、図3に示すものが用いられる。
【0039】
仕上げ施工機43は自走式,牽引式のいずれてあってもよく、この例において本体下部の進行方向(図中矢印方向)後方にスクリード44を備えている。スクリード44は図示しない高さ調整手段に支持されており、目標施工層厚に合わせてその高さが自在に調整される。
【0040】
スクリード44は、仕上げ施工機43の進行方向と直交する幅方向に延在する断面そり状の均し面(底面)441を有し、弾性舗装合材30を目標施工層厚に仕上げるにあたって、その均し面441を下地層2と平行としてもよいが、進行方向の前方端44a側を進行方向の後方端44b側よりも所定高さhだけ高くすることが好ましい。
【0041】
これによれば、均し面441が上記高さhに応じて所定角度傾斜した傾斜面となり、図3の拡大図に示すように、スクリード44の進行方向前方に溜まった弾性舗装合材30を下側に押し下げる効果が生まれるため、平坦かつきれいな舗装面に仕上げることができる。
【0042】
この場合、上記高さhは1〜30mmの範囲内で適宜調整されることが好ましい。すなわち、上記高さhを30mm超とすると、均し面441の傾斜がきつくなりすぎるため、弾性舗装合材30の押し下げ作用が低下するばかりでなく、かえってスクリード44の進行方向前方に弾性舗装合材30の山ができやすくなるので好ましくない。
【0043】
スクリード44の均し面441は必ずしもフラットな面である必要はなく、下地層2側に向けて凸となる湾曲面としてもよい。また、通常のゴムチップ舗装施工のように、図示しない加熱手段にてスクリード44を例えば50℃以上(好ましくは60℃以上,より好ましくは70℃以上)に加熱することにより、よりきれいな舗装面を得ることができる。
【0044】
また、弾性舗装合材30の均しをより効果的に行うため、図示しない加振手段によりスクリード44を進行方向と直交する方向に振動させてもよい。その振幅および振動数は特に限定されないが、振幅については±1mm以上(より好ましくは±2mm以上,さらに好ましくは±3mm以上)がよい。また、振動数については1Hz以上(より好ましくは5Hz以上、さらに好ましくは10Hz以上)がよい。
【0045】
なお、図3に示すように、仕上げ施工機43に上記押圧工程で用いる転圧ローラ42をスクリード44の進行方向前方の位置に高さ調整可能に設けることもできる。また、仕上げ施工機43に弾性舗装合材30を貯留するホッパ46を搭載するとともに、その弾性舗装合材30を下地層2上に散布する例えばスクリュウ式の散布手段45を転圧ローラ42の進行方向前方に高さ調整可能に設け、仕上げ施工機43を走行させながら弾性舗装合材30を所定の層厚に散布することもできる。
【0046】
このようにすることにより、上記第1均し工程,上記押圧(圧縮)工程および上記第2均し工程を1台の仕上げ施工機43にて実施することが可能となる。このほかに、弾性舗装合材30を硬化を促進させる硬化促進装置を施工機43に搭載することもできる。なお、硬さが要求される車両走行路用途などの場合には、スクリード44により仕上げられた弾性舗装体3を例えば1トン程度のアスファルト用ロードローラにて本格的に転圧(圧縮)すればよい。
【0047】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例1〜4と、その比較例1〜3について説明する。
【0048】
《実施例1》
軟質骨材としてのひじき状ゴム(ミサワ東洋社製ファイバーゴム612)100重量部に対し、硬質骨材として7号珪砂を40重量部,バインダーとしてMDIプレポリマー(住化バイエルウレタン社製)を40重量部それぞれ配合し、よく攪拌して弾性舗装合材を調製した。
この弾性舗装合材を平坦な排水性アスファルトからなる下地層上に散布し、平板を用いて約50〜70mm厚になるように暫定的に均した。
施工機として、SPORTPLATZMASCHINENBAU GMBH社製のPlanoMaticP702を使用した。この施工機P702には転圧ローラが付いていないため、本発明者らにより直径200mmの鋼鉄製の転圧ロールを特別に作製してスクリードの進行方向前方に設置した。
その転圧ロールに100kgの負荷をかけた状態で下地層上からの高さを50mm以下には下がらないように設定した。また、スクリードについては、進行方向の前方端が下地層上から50mmの高さで、その後方端が下地層上から40mmの高さとなるように10mmの高低差をつけてスクリードを傾斜させた。
そして、スクリードを80℃に加熱した状態で、施工機P702を1.3m/minの速度で暫定的に均した上記約50〜70mm厚の弾性舗装合材上を通過させたところ、施工面はきわめてきれいに仕上がった。
屋外で1週間養生して空隙率を測定したところ45%であった。この45%なる空隙率は車両用走行路に求められている騒音低減効果を発揮するのに適した空隙率である。
【0049】
〈比較例1〉
上記実施例1で用いた施工機P702から転圧ローラを取り去った。それ以外は上記実施例1と同じ条件として、施工機P702を暫定的に均した上記約50〜70mm厚の弾性舗装合材上を通過させた。スクリードの進行方向前方に弾性舗装合材の大きな山ができ、施工面に引きずったような波状の模様がついて、車両用走行路としては不適であった。
【0050】
《実施例2》
上記実施例1と同様にして施工面を仕上げた後、その施工面を250kgの負荷をかけた転圧ローラ(ローラ表面にテフロン(商品名)でコーティングしたもの)でさらに圧縮した。屋外で1週間養生して空隙率を測定したところ40%で、車両用走行路として好適な施工面が得られた。
【0051】
《実施例3》
上記実施例1における上記スクリードの傾きをなくし、スクリードの前方端および後方端をともに下地層上から50mmとした以外は、上記実施例1と同じとして施工面を仕上げた。施工面には、わずかに引きずった痕がところどころに発現したが、車両用走行路としては問題がない程度であった。
【0052】
《実施例4》
上記実施例3と同じく上記スクリードの傾きをなくして施工面を仕上げた後、上記実施例2のように、その施工面上を250kgの負荷をかけた転圧ローラにてさらに圧縮した。圧縮後の施工面には引きずった痕が見えず、車両用走行路としては問題はなかった。
【0053】
〈比較例2〉
上記比較例1における上記スクリードの傾きをなくし、スクリードの前方端および後方端をともに下地層上から50mmとした以外は、上記比較例1と同じとして施工面を仕上げたところ、施工面には下地層が見えるほどの穴がところどころにできており、車両用走行路としては不適であった。
【0054】
〈比較例3〉
上記スクリードの進行方向前方に意図的に弾性舗装合材を山盛りとして、上記比較例2と同様にして施工したところ、その施工面にはいたるところに下地層が見える穴ができ、車両用走行路としてはまったく不適であった。
【0055】
上記実施例1〜4および比較例1〜3により、次のような知見が得られた。すなわち、実施例1,2によれば、スクリードを傾斜させることにより、舗装面の仕上がりが極めてよくなる。また、実施例3によれば、スクリードを傾斜させなくとも、転圧工程で目標施工層厚に対して+0〜+30mm厚にまで転圧することで、車両走行路として十分使用可能な舗装面が得られる。実施例2により、前転圧工程に加えて後転圧工程をさらに施すことにより、より安定化した舗装面が得られる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ファイバー状ゴムを主材とする骨材に所定のバインダーを混合して弾性舗装合材を得るブレンド工程と、弾性舗装合材を未硬化の状態で目標施工層厚よりも3〜100mm厚い厚さに暫定的に均す第1均し工程と、暫定的に均された弾性舗装合材を、目標施工層厚以上でスクリードの進行方向前方端の高さを超えない厚さ範囲内にまで所定の押圧手段にて押圧する押圧工程と、押圧された弾性舗装合材をスクリードにて目標施工層厚に仕上げる第2均し工程とを実施することにより、ひじき状ゴム合材をアスファルトフィニッシャーやチップ状ゴムの施工機などに備えられているスクリードによってきれいに敷き均すことができ、特に車両走行路などの広い施工面をひじき状ゴム合材によって形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の施工方法により形成される弾性舗装体を示す模式的断面図。
【図2】本発明の施工方法の施工手順の一例を説明する説明図。
【図3】本発明に用いられる仕上げ施工機の構成を模式的に示す模式図。
【符号の説明】
1 路盤
2 下地層
3 弾性舗装材
30 表層部
31 軟質骨材
32 硬質骨材
40 攪拌機
41 スキージ
42 転圧ローラ
43 仕上げ施工機
44 スクリード
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴムを主材とする弾性舗装体の施工方法に関し、さらに詳しく言えば、特に車両通行路として好適な静粛性および耐スリップ性に富むファイバー状ゴムを骨材に用いた弾性舗装体の現場施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴムチップなどの軟質骨材を主材とする弾性舗装体は、その骨材間に空隙を有する多孔質構造であるため、歩行感の良さや転倒時に対する安全性が高く、しかも排水性に優れていることから、歩道や競技場用の舗装路面として好ましく採用されているが、近年においては、車両通行路を視野に入れた用途開発が行われている。
【0003】
とりわけ、その軟質骨材としてファイバー状ゴム(別名:ひじき状ゴム,撚糸ゴムと呼ばれるゴム片)を用いた場合には、静粛性のみならず降雨などによる路面の湿潤時における耐スリップ性が大幅に向上することが知られている。
【0004】
しかしながら、実用化するにあたって種々検討した結果、ファイバー状ゴムは、その形状がひじきのように複雑で、かつ、いびつな形状であるため、バインダーとの混合・攪拌が難しく混合状態が不均一になりやすいということが判明した。
【0005】
そこで、本出願人はその問題を解決する方法として、下記の特許文献1において、ファイバー状ゴムにモース硬度が7以上であり、かつ、平均粒径が1000μm以下の硬質骨材を、ファイバー状ゴム100重量%に対して5重量%以上の割合で配合してバインダーで結合することを提案している。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−74007号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これによれば、ファイバー状ゴムの間に粒状の硬質骨材が入り込んで、いわゆる「コロ」の役割を果たすことで、ファイバー状ゴムの攪拌性および混合性が良好になり、バインダーでほぼ均一に結合されたファイバー状ゴムの合材(以下、ひじき状ゴム合材ともいう)が得られるが、現場施工で下地面上に敷き均す際に次のような問題がある。
【0008】
現場施工で舗装材を敷き均すには、通常、スクリードを有するアスファルトフィニッシャーやチップ状ゴムの施工機などが用いられるが、舗装材がひじき状ゴム合材である場合には平坦に敷き均すことができない。
【0009】
すなわち、スクリードで敷き均す場合、下地面上に舗装材を多少多めに散布しておき、その余剰分をスクリードで掻き取って平坦に仕上げるため、スクリードの進行方向前方には常に舗装材の山ができる。ひじき状ゴム合材の場合、その山ができた状態で強引にスクリードを動かすと、その形状が複雑であるため表面に波目状の引きずり痕が生じて、きれいな施工面が得られない。
【0010】
この点を解決するため、本発明者らは種々検討した結果、ひじき状ゴム合材の層厚をあらかじめ手作業もしくはスクリューなどの機械作業でスクリードの高さに揃えるように均して置き、その後にスクリードを通過させればきれいな舗装面が得られることを見いだした。
【0011】
しかしながら、ひじき状ゴム合材の層厚をあらかじめスクリードの高さに揃えるように均す場合、その均し面がスクリードの高さよりも少しでも低いと舗装面に穴(凹み)があいた状態となる。
【0012】
かといって多めに均すと、上記したようにスクリードの進行方向前方に山ができ、舗装面にそれによる引きずり痕が生じてしまう。このように、この事前の均し作業にはかなりの面精度が要求されるため小規模舗装はともかくとして、車両走行路などの広い施工面を対象とする場合には実用化が難しい。
【0013】
したがって、本発明の課題は、ひじき状ゴム合材をアスファルトフィニッシャーやチップ状ゴムの施工機などに備えられているスクリードによってきれいに敷き均すことができるようにし、特に車両走行路などの広い施工面をひじき状ゴム合材によって舗装可能とする弾性舗装体の施工技術を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、スクリードによる舗装材の均し工程を含む弾性舗装体の施工方法において、ファイバー状ゴムを主材とする骨材に所定のバインダーを混合して弾性舗装合材を得るブレンド工程と、所定の下地上において上記弾性舗装合材を未硬化の状態で目標施工層厚よりも3〜100mm厚い厚さに暫定的に均す第1均し工程と、上記暫定的に均された弾性舗装合材を、上記目標施工層厚以上で上記スクリードの進行方向前方端の高さを超えない厚さ範囲内にまで所定の押圧手段にて押圧する押圧工程と、上記押圧された弾性舗装合材をスクリードにて上記目標施工層厚に仕上げる第2均し工程とを含むことを特徴としている。
【0015】
このように、下地上にファイバー状ゴムを含む弾性舗装合材(ひじき状ゴム合材)を多少多めに投入して目標施工層厚よりも3〜100mm厚い厚さに暫定的に均した後、その弾性舗装合材を例えばローラにて目標施工層厚以上でスクリードの進行方向前方端の高さを超えない厚さ範囲内にまで所定の押圧手段にて押圧してから、スクリードにて目標施工層厚に仕上げるようにしたことにより、引きずり痕や凹みのない安定したひじき状ゴム合材による舗装面を得ることができる。
【0016】
なお、このスクリードによる仕上げ層は、特に車両走行路用の場合、その後に例えば1トン程度のアスファルト用ロードローラにて本格的に転圧(圧縮)されるが、本発明における目標施工層厚とは、スクリードにより仕上げられる層の厚さであり、本格的に圧縮された層の厚さではない。また、スクリードの進行方向の前端とは、スクリードの押圧面の前端であり、その高さを超えない厚さとしては、目標施工面厚と同厚の場合も含まれる。
【0017】
上記第1均し工程において、弾性舗装合材を目標施工層厚+3mm未満の層厚とした場合には、舗装面に生じた穴(凹み)の塞がりが不十分となるおそれがあるため好ましくない。他方において、弾性舗装合材を目標施工層厚+100mm超の層厚とした場合には、弾性舗装合材の量が多くなり過ぎ、ローラーで転圧しきれないため、スクリードの前方に山ができ、引きずり痕を生じる原因となるおそれあるため好ましくない。本発明において、弾性舗装合材のより好ましい層厚は目標施工層厚+20〜50mmの範囲内である。
【0018】
上記押圧工程において、弾性舗装合材を目標施工層厚+30mm超の層厚に押圧した場合には、上記第2均し工程においてスクリードの進行方向前方にできる山が大きくなり、上記した波目状の引きずり痕が発生することがあるので好ましくない。本発明において、上記押圧工程で得る弾性舗装合材の好ましい層厚は目標施工層厚と同厚である。
【0019】
また、上記第2均し工程において、上記スクリードにより弾性舗装合材を目標施工層厚に仕上げる際、スクリードは下地と平行にしてもよいが、スクリードの進行方向前方端の高さを後方端よりも高くし、スクリードの押圧面を傾斜させた状態とすることが好ましい。
【0020】
これによれば、スクリードの進行方向前方に弾性舗装合材の山ができたとしても、その山がスクリードの傾斜面に沿ってスクリードの後方に押し込まれることになるため、引きずり痕の発生をより効果的に抑えることができる。
【0021】
この場合、上記スクリードの進行方向前方端の高さが後方端よりも1〜30mm高くなるようにスクリードの押圧面を傾斜させることが好ましい。すなわち、スクリードの進行方向前方端の高さを後方端よりも30mmを超える高さとすると、スクリードの傾斜がきつくなりすぎるため、弾性舗装合材の押し下げ作用が低下するばかりでなく、かえって弾性舗装合材の山ができやすくなるので好ましくない。
【0022】
なお、本発明において、スクリードとは舗装材の敷き均しに用いられる定規板であり、スキージや鏝板などと呼ばれるものも含まれる。通常は平板状のものが用いられるが、下地側に向けて突状に湾曲している板であってもよい。また、上記押圧工程で用いる押圧手段には転圧ローラが好ましく採用されるが、ランマーのような突き固め装置を用いることもできる。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
まず図1に、本発明の施工方法にて得ようとする弾性舗装体3の断面図を模式的に示す。この例において、弾性舗装体3は路盤1上に構築された下地層2上に形成されている。
【0025】
下地層2は、例えばアスファルト/コンクリート,砕石,モルタル,半たわみ舗装,簡易安定化処理層などであってよく、必ずしも高度に安定化された処理層である必要はないが、少なくとも表面が一様に安定化された面であることが好ましい。なお、この例とは異なり、路盤1の表面が一様に安定化された面であれば、下地層2を設けずに路盤1に対して弾性舗装体3を直接構築してもよい。
【0026】
弾性舗装体3は、軟質骨材31と硬質骨材32とをバインダーによって結合してなる弾性舗装合材30により形成される。軟質骨材31は、その全部がファイバー状ゴム(ひじき状ゴム)であってもよく、また、過半量(50重量部以上)がファイバー状ゴムで、残りがゴムチップであってもよい。
【0027】
軟質骨材31としては、天然ゴム,SBR,NBR,EDPM,BR,CRなどの各種ゴム材料の単体物もしくは混合物、またはこれらゴム材料で被覆された骨材,ウレタンなどの各種エラストマーなど基本的にゴム弾性を有するものであれば適用可能である。
【0028】
ひじき状ゴムとしては、廃棄物の再利用の観点から、更正タイヤを製造する際に出るトレッドゴムの削りカスを用いることが推奨され、車両走行路用途に適したサイズは、一例として長さが5〜30mm(特には7〜20mm)で、断面径が0.3〜3mm(特には0.5〜2mm)のものが好ましい。
【0029】
硬質骨材32としては、プラスチック粉砕物,珪砂,砥粒,金属粉または各種セラミック類などを例示することができ、その粒径(平均粒径)は0.1〜10mmの範囲内で、好ましくは0.2〜5mm,より好ましくは0.3〜1mmのものを採用するとよい。軟質骨材31(100重量部)に対する硬質骨材32の配合比率は0〜200重量部の範囲内で適宜選択されてよい。このように0重量部を含むため、本発明において硬質骨材32は必須要件ではない。
【0030】
バインダーには、熱硬化性バインダー単独、もしくは熱硬化性バインダーと熱可塑性バインダーの混合物で熱可塑性バインダーの融点が120℃以上のものを10〜100重量部含む混合バインダーを使用することができる。さらに、老化防止剤,紫外線吸収剤,光安定剤,カーボンブラック,ウレタン硬化触媒促進剤などを添加してもよい。
【0031】
次に、上記弾性舗装体3の本発明による施工方法について説明する。本発明の施工方法は、施工現場で軟質骨材31,硬質骨材32およびバインダーを混合して弾性舗装合材30を調製し、それを下地層2上に敷き均して転圧するいわゆる現場施工方式で行われる。以下、図2を参照して、その施工手順の一例について順を追って説明する。
【0032】
まず、図2(a)に示すように、ひじき状ゴムを過半量含む軟質骨材31と硬質骨材32とを所定の配合比で配合した骨材と、少なくともこの骨材を結合するに足りるバインダー33とを攪拌機40に投入し混合して、弾性舗装合材30を調製する(ブレンド工程)。
【0033】
攪拌機40はエンジン式,モータ式などを問わず、いわゆるモルタルミキサーのような攪拌容器内で攪拌羽根を回して混合するものであればよく、これ以外にも骨材とバインダーとを確実にブレンド可能なものであれば適宜採用できる。
【0034】
次に、図2(b)に示すように、先のブレンド工程によって調製された弾性舗装合材30を未硬化の状態で下地層2上に散布し、例えばスキージ41を使って目標施工層厚よりも3〜100mm厚い厚さとなるように暫定的に敷き均す(第1均し工程)。なお、目標施工層厚とは、後の工程でスクリードによって仕上げられる層の厚さである。
【0035】
弾性舗装合材3を上記の厚さに均すには、例えば下地層2上に目標施工層厚よりも3〜100mm高い高さを有する図示しない2本のガイドレールを平行に並べ、その間に弾性舗装合材30を散布し、スキージ41を各ガイドレールの天端に沿って移動させて余剰分を掻き取ればよい。なお、この第1均し工程は暫定的なものであるため、その均し面に多少の引きずり痕ができてもよい。
【0036】
次に、図2(c)に示すように、弾性舗装合材30を所定の押圧手段によって目標施工層厚と同厚もしくはそれよりも30mm厚い厚さ範囲内にまで圧縮する(押圧工程)。押圧手段としては転圧ローラ42が好ましいが、ランマーのような突き固め装置を用いてもよい。なお、この押圧(圧縮)作業はバインダーが硬化する前であれば、必要に応じて何度行ってもよい。
【0037】
また、弾性舗装合材30を目標施工層厚よりも+0〜+30mm厚い厚さにまで圧縮するにあたっては、上記第1均し工程と同じく、下地層2上に目標施工層厚と同じ高さもしくはそれよりも30mm高い範囲内で所望とする高さを有する図示しない2本のガイドレールを平行に並べ、そのガイドレールの天端に沿って転圧ローラ42を移動させる方法が好適である。
【0038】
最後に、図3(d)に示すように、スクリード44を有する仕上げ施工機43にて弾性舗装合材30を目標施工層厚に仕上げて弾性舗装体3を得る(第2均し工程)。仕上げ施工機43としては、図3に示すものが用いられる。
【0039】
仕上げ施工機43は自走式,牽引式のいずれてあってもよく、この例において本体下部の進行方向(図中矢印方向)後方にスクリード44を備えている。スクリード44は図示しない高さ調整手段に支持されており、目標施工層厚に合わせてその高さが自在に調整される。
【0040】
スクリード44は、仕上げ施工機43の進行方向と直交する幅方向に延在する断面そり状の均し面(底面)441を有し、弾性舗装合材30を目標施工層厚に仕上げるにあたって、その均し面441を下地層2と平行としてもよいが、進行方向の前方端44a側を進行方向の後方端44b側よりも所定高さhだけ高くすることが好ましい。
【0041】
これによれば、均し面441が上記高さhに応じて所定角度傾斜した傾斜面となり、図3の拡大図に示すように、スクリード44の進行方向前方に溜まった弾性舗装合材30を下側に押し下げる効果が生まれるため、平坦かつきれいな舗装面に仕上げることができる。
【0042】
この場合、上記高さhは1〜30mmの範囲内で適宜調整されることが好ましい。すなわち、上記高さhを30mm超とすると、均し面441の傾斜がきつくなりすぎるため、弾性舗装合材30の押し下げ作用が低下するばかりでなく、かえってスクリード44の進行方向前方に弾性舗装合材30の山ができやすくなるので好ましくない。
【0043】
スクリード44の均し面441は必ずしもフラットな面である必要はなく、下地層2側に向けて凸となる湾曲面としてもよい。また、通常のゴムチップ舗装施工のように、図示しない加熱手段にてスクリード44を例えば50℃以上(好ましくは60℃以上,より好ましくは70℃以上)に加熱することにより、よりきれいな舗装面を得ることができる。
【0044】
また、弾性舗装合材30の均しをより効果的に行うため、図示しない加振手段によりスクリード44を進行方向と直交する方向に振動させてもよい。その振幅および振動数は特に限定されないが、振幅については±1mm以上(より好ましくは±2mm以上,さらに好ましくは±3mm以上)がよい。また、振動数については1Hz以上(より好ましくは5Hz以上、さらに好ましくは10Hz以上)がよい。
【0045】
なお、図3に示すように、仕上げ施工機43に上記押圧工程で用いる転圧ローラ42をスクリード44の進行方向前方の位置に高さ調整可能に設けることもできる。また、仕上げ施工機43に弾性舗装合材30を貯留するホッパ46を搭載するとともに、その弾性舗装合材30を下地層2上に散布する例えばスクリュウ式の散布手段45を転圧ローラ42の進行方向前方に高さ調整可能に設け、仕上げ施工機43を走行させながら弾性舗装合材30を所定の層厚に散布することもできる。
【0046】
このようにすることにより、上記第1均し工程,上記押圧(圧縮)工程および上記第2均し工程を1台の仕上げ施工機43にて実施することが可能となる。このほかに、弾性舗装合材30を硬化を促進させる硬化促進装置を施工機43に搭載することもできる。なお、硬さが要求される車両走行路用途などの場合には、スクリード44により仕上げられた弾性舗装体3を例えば1トン程度のアスファルト用ロードローラにて本格的に転圧(圧縮)すればよい。
【0047】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例1〜4と、その比較例1〜3について説明する。
【0048】
《実施例1》
軟質骨材としてのひじき状ゴム(ミサワ東洋社製ファイバーゴム612)100重量部に対し、硬質骨材として7号珪砂を40重量部,バインダーとしてMDIプレポリマー(住化バイエルウレタン社製)を40重量部それぞれ配合し、よく攪拌して弾性舗装合材を調製した。
この弾性舗装合材を平坦な排水性アスファルトからなる下地層上に散布し、平板を用いて約50〜70mm厚になるように暫定的に均した。
施工機として、SPORTPLATZMASCHINENBAU GMBH社製のPlanoMaticP702を使用した。この施工機P702には転圧ローラが付いていないため、本発明者らにより直径200mmの鋼鉄製の転圧ロールを特別に作製してスクリードの進行方向前方に設置した。
その転圧ロールに100kgの負荷をかけた状態で下地層上からの高さを50mm以下には下がらないように設定した。また、スクリードについては、進行方向の前方端が下地層上から50mmの高さで、その後方端が下地層上から40mmの高さとなるように10mmの高低差をつけてスクリードを傾斜させた。
そして、スクリードを80℃に加熱した状態で、施工機P702を1.3m/minの速度で暫定的に均した上記約50〜70mm厚の弾性舗装合材上を通過させたところ、施工面はきわめてきれいに仕上がった。
屋外で1週間養生して空隙率を測定したところ45%であった。この45%なる空隙率は車両用走行路に求められている騒音低減効果を発揮するのに適した空隙率である。
【0049】
〈比較例1〉
上記実施例1で用いた施工機P702から転圧ローラを取り去った。それ以外は上記実施例1と同じ条件として、施工機P702を暫定的に均した上記約50〜70mm厚の弾性舗装合材上を通過させた。スクリードの進行方向前方に弾性舗装合材の大きな山ができ、施工面に引きずったような波状の模様がついて、車両用走行路としては不適であった。
【0050】
《実施例2》
上記実施例1と同様にして施工面を仕上げた後、その施工面を250kgの負荷をかけた転圧ローラ(ローラ表面にテフロン(商品名)でコーティングしたもの)でさらに圧縮した。屋外で1週間養生して空隙率を測定したところ40%で、車両用走行路として好適な施工面が得られた。
【0051】
《実施例3》
上記実施例1における上記スクリードの傾きをなくし、スクリードの前方端および後方端をともに下地層上から50mmとした以外は、上記実施例1と同じとして施工面を仕上げた。施工面には、わずかに引きずった痕がところどころに発現したが、車両用走行路としては問題がない程度であった。
【0052】
《実施例4》
上記実施例3と同じく上記スクリードの傾きをなくして施工面を仕上げた後、上記実施例2のように、その施工面上を250kgの負荷をかけた転圧ローラにてさらに圧縮した。圧縮後の施工面には引きずった痕が見えず、車両用走行路としては問題はなかった。
【0053】
〈比較例2〉
上記比較例1における上記スクリードの傾きをなくし、スクリードの前方端および後方端をともに下地層上から50mmとした以外は、上記比較例1と同じとして施工面を仕上げたところ、施工面には下地層が見えるほどの穴がところどころにできており、車両用走行路としては不適であった。
【0054】
〈比較例3〉
上記スクリードの進行方向前方に意図的に弾性舗装合材を山盛りとして、上記比較例2と同様にして施工したところ、その施工面にはいたるところに下地層が見える穴ができ、車両用走行路としてはまったく不適であった。
【0055】
上記実施例1〜4および比較例1〜3により、次のような知見が得られた。すなわち、実施例1,2によれば、スクリードを傾斜させることにより、舗装面の仕上がりが極めてよくなる。また、実施例3によれば、スクリードを傾斜させなくとも、転圧工程で目標施工層厚に対して+0〜+30mm厚にまで転圧することで、車両走行路として十分使用可能な舗装面が得られる。実施例2により、前転圧工程に加えて後転圧工程をさらに施すことにより、より安定化した舗装面が得られる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ファイバー状ゴムを主材とする骨材に所定のバインダーを混合して弾性舗装合材を得るブレンド工程と、弾性舗装合材を未硬化の状態で目標施工層厚よりも3〜100mm厚い厚さに暫定的に均す第1均し工程と、暫定的に均された弾性舗装合材を、目標施工層厚以上でスクリードの進行方向前方端の高さを超えない厚さ範囲内にまで所定の押圧手段にて押圧する押圧工程と、押圧された弾性舗装合材をスクリードにて目標施工層厚に仕上げる第2均し工程とを実施することにより、ひじき状ゴム合材をアスファルトフィニッシャーやチップ状ゴムの施工機などに備えられているスクリードによってきれいに敷き均すことができ、特に車両走行路などの広い施工面をひじき状ゴム合材によって形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の施工方法により形成される弾性舗装体を示す模式的断面図。
【図2】本発明の施工方法の施工手順の一例を説明する説明図。
【図3】本発明に用いられる仕上げ施工機の構成を模式的に示す模式図。
【符号の説明】
1 路盤
2 下地層
3 弾性舗装材
30 表層部
31 軟質骨材
32 硬質骨材
40 攪拌機
41 スキージ
42 転圧ローラ
43 仕上げ施工機
44 スクリード
Claims (3)
- スクリードによる舗装材の均し工程を含む弾性舗装体の施工方法において、
ファイバー状ゴムを主材とする骨材に所定のバインダーを混合して弾性舗装合材を得るブレンド工程と、
所定の下地上において上記弾性舗装合材を未硬化の状態で目標施工層厚よりも3〜100mm厚い厚さに暫定的に均す第1均し工程と、
上記暫定的に均された弾性舗装合材を、上記目標施工層厚以上で上記スクリードの進行方向前方端の高さを超えない厚さ範囲内にまで所定の押圧手段にて押圧する押圧工程と、
上記押圧された弾性舗装合材をスクリードにて上記目標施工層厚に仕上げる第2均し工程とを含むことを特徴とする弾性舗装体の施工方法。 - 上記第2均し工程において、上記スクリードの進行方向前方端の高さを後方端よりも高くし、上記スクリードの押圧面を傾斜させた状態として上記弾性舗装合材を上記目標施工層厚に仕上げる請求項1に記載の弾性舗装体の施工方法。
- 上記スクリードの進行方向前方端の高さが後方端よりも1〜30mm高くなるように、上記スクリードの押圧面を傾斜させる請求項2に記載の弾性舗装体の施工方法。
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-
2003
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